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ユミル「クリスタはもういない」
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- 1 : 2015/03/17(火) 16:54:48 :
- 短編です
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- 2 : 2015/03/17(火) 16:55:17 :
ベルトルト「…えっ?」
ユミル「クリスタはもう、いないんだ」
ベルトルト「……なにを…言っているんだ?ユミル…」
ユミル「そう、あいつはどこか遠くへ旅立っちまったのさ」
ベルトルト「っ…!は、早まるなよ!まだ諦める時じゃない!」ガシッ
ユミル「よせベルトルさん。…あんただって分かってんだろ?」
ユミル「見ろよ、こいつを」
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- 3 : 2015/03/17(火) 16:56:02 :
クリスタ「やだやだー!!」ジタバタ
ユミル「小一時間はこの調子だぞ?あの女神が…玩具をねだる生意気なガキの如く、ジタバタご乱心ハイパーモードだ。こりゃ間違いなく手遅れだぜ」
ベルトルト「だからって!」グイッ
ユミル「ってえなコラ」
ベルトルト「…ごめん」パッ
ユミル「よしよし」
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- 4 : 2015/03/17(火) 16:56:29 :
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ベルトルト「えっと…その、彼女を亡き者にするのは…どうかと…」
ユミル「いいやクリスタは初めから存在しなかったんだ。な、これが現実だ。目を背けてちゃダメだぞベルトルトさん」
ベルトルト「16年生きてきた中で一番鮮やかなブーメランを今、目にしたよ」
ユミル「私はしっかり現実を見るタイプでな。おたくの相方みたく、逃避して甘い幻想に生きたりはしないのさ」
ベルトルト「!? い、いくらなんでもそれは聞き捨てならないぞ…!?」
ユミル「悪い、イライラしてた。なんせクリスタが
クリスタ「やだーー!!!」ジタバタ
ユミル「こんなんだからな」
ベルトルト「…心中お察しするよ」
ユミル「ところで相方は?」
ベルトルト「あっちで…眉間にシワを寄せてふさぎこんでる」
ユミル「ああ、あいつの器じゃコレを
クリスタ「やーだーー!!」ジタバタ
ユミル「受け止めきれなかったか」
ベルトルト「コレ呼ばわりはさすがにひどいと思う」
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- 5 : 2015/03/17(火) 19:45:04 :
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ライナー「なあ、ひょっとしてこいつはクリスタじゃないんじゃないか?」ヒョコ
ユミル「噂をすれば…だ。そら、私と同じ結論に至って戻ってきたぞ」
ベルトルト「考え直せライナー」
ライナー「だって…なあ?俺が3年間を共にしたクリスタ・レンズっつうのは
クリスタ「やだやだやだやだやだ!!」ジタバタ
ライナー「決してこんな稚拙に喚くガキじゃなかったはすだ」
ベルトルト「君までガキ呼ばわりか!?」
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- 6 : 2015/03/17(火) 19:46:35 :
ユミル「不本意ながらライナーの意見にゃ大いに賛成だ。我らが女神はこんな真似しねえ」
ライナー「お前とは良い酒が飲めそうだ」
ユミル「そうかい、しかしそりゃあ叶わない夢ってやつだな。所詮、私は酒を飲めない年で死ぬんだから」
ライナー「…すまん」
ベルトルト「あの、勝手にシリアス始めてないでさ」
ベルトルト「それよりこの
クリスタ「だーーー!!!」ジタバタ
ベルトルト「……この…クリスタ(?)をなんとかしないと」
ユミル「お前も大概じゃねえか」
ベルトルト「じゃあクリスタ(仮)」
ライナー「それはなんかまずいからやめとけ」
ベルトルト「クリスタ(かもしれない)」
ユミル「はっきりしねえなあ。灰じゃなくて、白か黒かを断言しろよ」
クリスタ「私クリスタじゃない!!!!」ガタッ
ユミル「おら、本人もそう言ってるんだしってちょっと待て」
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- 7 : 2015/03/17(火) 19:47:39 :
ライナー「こいつ…”やだ”以外の言葉を口にしたぞ…!?」
ユミル「なんてこった!!?」
ベルトルト「二人とも、初めて我が子が喋った時の親の顔してるな」
クリスタ?「聞いて!!私は!クリスタじゃ!ないの!!」
ライナー「じゃあ誰だてめえ」ガタッ
ユミル「ミンチにしてやろうか」ガタッ
ベルトルト「うん、一旦落ち着こう。ライナーはすごむのをやめて。ユミルはブレードを置いて。というかどこから持ち出してきたの」
ユミル「お前が盗ってきた立体機動装置から」
ベルトルト「やられた」
クリスタ?「聞いてよ!!」
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- 8 : 2015/03/17(火) 20:34:44 :
クリスタ?「私は、クリスタなんかじゃなくて…」
ライナー「だと思ったぜ。そもそもクリスタがこんな所に来れるはずがねえ」
ユミル「ああ、なんせここは壁上。しかも…」
ベルトルト「…ウォール・マリア、シガンシナ区の外門の上だ」
クリスタ?「…」
ユミル「やれやれ。誰だか知らねえが、とっととおうちに帰んな。こちとら暇じゃねえんだ」
ライナー「…待て。こいつ…巨人か?」
ベルトルト「え?」
ユミル「どこからどう見ても小人だろ」
ライナー「茶化すな。ただの人間が、ここに辿り着けると思うか?」
クリスタ?「…」
ベルトルト「知性巨人…?ど、どうして?何故今、僕達の目の前に現れたんだ?」
ユミル「さあな。ひょっとして、お前らんとこの増援かも」
ライナー「いや…それはねえだろ」
クリスタ?「…」
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- 9 : 2015/03/17(火) 20:35:29 :
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クリスタ?「なんで」
ライナー「あ?何か言ったか」
クリスタ?「なんでなの?」
ベルトルト「…?」
クリスタ?「なんで?ねえ、なんで?」
クリスタ?「なんでなんでなんで?どうして?どうして、どうして私を見てくれないの?ねえ、なんで?なんでなの?なんで?なんで?なんで?なんなの?どうして?なんなの?何か言ってよ?無視しないで言ってよ。ほら、言えよ!」
クリスタ?「何か言えよ!!私はここにいるの!!こっちを見て!ねえ!ねえったら!」
ベルトルト「ひっ…!?」
ライナー「な、なんだ?気でも狂ったか…?」
クリスタ?「どうして答えてくれないの!?」
ライナー「…すまん、あまりの勢いに圧倒されて
クリスタ?「お前じゃない!!」
ライナー「えっ」
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- 10 : 2015/03/17(火) 22:13:56 :
クリスタ?「私の言う事を…聞いてよ!」
クリスタ?「ユミル!!」
ユミル「…」
クリスタ?「私の名前は…ヒストリア。あなたが名乗る勇気をくれた!」
ヒストリア「私達は私達のために生きるんでしょう!?なのに、どうして私を突き放すの!?」
ユミル「…」
ベルトルト「どういう…ことなんだ?これは…」
ライナー「…おいユミル。最初にこいつを見つけたのはお前だったよな?」
ユミル「…っはー……仕方ねえ、一から説明してやるか」
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- 11 : 2015/03/17(火) 22:14:40 :
ユミル「壁上にクリスタを…いや、ヒストリアを連れてきたのは、この私だ」
ライナー「なっ…!?」
ベルトルト「今は夜だから巨人の脅威が無いとはいえ…ロ、ローゼとマリアまでの距離を、君ひとりで踏破したっていうのか?」
ユミル「まさか。私はただ単に、こいつを壁上に引き上げただけだよ」
ユミル「1時間半くらい前かな…私が寝つけなくて、寝っ転がったままぼーっとしてると、どこからともなく声が聞こえてさ」
ユミル「少しして、それが下から聞こえるってことに気付いたあと、私は壁から顔を出して下を覗き込んだんだ」
ユミル「そしたらこいつがいた」
ヒストリア「…」
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- 12 : 2015/07/22(水) 21:19:52 :
ベルトルト「彼女が…ひとりで…?」
ユミル「しかし、ヒストリアは巨人化できない。それは明白だ」
ユミル「つまり…分かるな」
ライナー「…やられたな」
ベルトルト「そ、そんな…まさか」
ヒストリア「……そう悲しまないで、ユミル」
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- 13 : 2015/07/22(水) 21:22:24 :
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ヒストリア「大丈夫、私がいるわ。だから安心して」
ユミル「何を安心すりゃいいんでしょうねえ。お前をここまで連れてきたお仲間に囲まれているであろうこの状況で」
ヒストリア「助かるのよ」
ライナー「なに?」
ヒストリア「大丈夫、助かるの。だから安心して」
ユミル「…」
ベルトルト「…」
ヒストリア「ね?」
ユミル「…はっ。そいつはありがたいねえ」
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- 14 : 2015/07/22(水) 21:28:47 :
ユミル「で、対価はなんだ」
ヒストリア「二人の首」
ベルトルト「!?」
ライナー「かわいい顔して全くかわいくねえ事言いやがるなあ、ヒストリアって奴は」
ヒストリア「黙って。私はユミルと話してるの」
ユミル「私はその賭けに乗る気はねえ。おら、これで話は終わりだ。とっとと帰れ」
ヒストリア「ユミル…!なんで!」
ヒストリア「賭けなんかじゃないわ!彼らは条件を満たせば必ず助けると保障してくれた!」
ユミル「はー、やれやれ。そんなうさんくせえ言葉、信じられっかよ」
ヒストリア「っ、そんなに…そんなに…」
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- 15 : 2015/07/22(水) 21:33:19 :
ヒストリア「そんなに彼らが大事だっていうの!?」
ユミル「ああ。案外使えるぜ?肉体労働、料理、サバイバル、バッチコイだ」
ベルトルト「人を便利屋みたいに言わないでよ…」
ライナー「お前が働かねえから、仕方なくこなしてるだけだ」
ヒストリア「茶化さないで!」
ユミル「…クリスタはもういない」
ヒストリア「え?」
ユミル「もう、いないんだ」
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- 16 : 2015/07/22(水) 21:36:53 :
ユミル「今、お前を目の前にして分かった」
ユミル「私はクリスタが好きなんだ」
ヒストリア「…え」
ユミル「私はクリスタと一緒に生きたい」
ユミル「だが、それが叶わないんならどうでもいい」
ユミル「お前のことなんか、どうでもいい」
ヒストリア「ユミル…」
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- 17 : 2015/07/22(水) 21:53:28 :
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ユミル「だから、さよならだ」
ヒストリア「…!」
ユミル「私のことは死んだと思ってくれ…いや、もうすぐ死ぬか」
ユミル「まあとにかく…私の為に生きるのはよせ。じゃあな」ドンッ
ヒストリア「!? い、いやあああぁぁぁっ!」
ベルトルト「ユ、ユミル!?壁から突き落とすなんて…!」
ライナー「落ち着け、下を見ろ。俺逹の首狙って奴らが飛んで来てるのが分かるだろ」
ユミル「そーそー。あの数ならキャッチしてくれる奴がひとりは現れるよ」
ベルトルト「え…か、彼らもう攻撃に移ったの?早くないか?」
ユミル「はなっから説得は成功しないと踏んでいたのさ。きっと本部隊が到着するまでの間に私達が逃げないよう時間稼ぎに利用されたんだろなあ」
ライナー「…最初から分かっていたんだな」
ユミル「最期にあいつとお喋りしてから逝きたかったんだ。わり」
ベルトルト「…そうか」
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- 18 : 2015/07/22(水) 21:54:45 :
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ライナー「最期にひとつ良いか」
ユミル「どうぞ」
ライナー「お前嘘つくの下手だな」
ユミル「…うっせ」
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- 19 : 2015/07/22(水) 21:56:29 :
- おしまい
携帯をアップデートしたら、SSの続きとログインのパスワードを書いたメモが消えてしまうアクシデントに見舞われました。生きてます
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