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春の夜に咲く幻想【ジャンアニ】
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- 1 : 2015/02/27(金) 22:09:09 :
- 5作目です。
エレミカ前提のジャンアニ。
アニ→エレ、ジャン→ミカ描写あります。
誤字や脱字などあればご指摘お願いします。
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- 2 : 2015/02/27(金) 22:14:51 :
- どうしてこんなにも、この世界は残酷なんだろう。
エレンとの惚気話を女子達に聞かせるミカサはとても幸せそうだ。
家族とか、そんなの……ずるい。
私が入る隙なんてない。
仮にあったとしても入れないのだけれど。
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- 3 : 2015/02/27(金) 22:15:17 :
- これ以上聞いてられない。
心が締め付けられた私は明かりも持たずにこっそりと、部屋を抜け出した。
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- 6 : 2015/02/27(金) 22:22:28 :
- この季節、可愛らしい様々な彩で人々の目を魅了する広い草原。
いつ来ても無慈悲ながら私を受け入れてくれる場所でもある。
今はなんの光もなく、色なんて見えない。
春の香りが漂う。
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- 7 : 2015/02/27(金) 22:34:49 :
- 私はただ泣いた。
ここなら誰も来ないのをいいことに、大声をあげて。
戦士と兵士の狭間で揺れ惑う心。
だけどこの世界はどちらになることも許してくれないらしい。
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- 8 : 2015/02/27(金) 22:47:46 :
- 気まぐれで格闘術を教えているうちに、彼の荒い行動の中にある優しさに気づいてしまった。
それからどんどん惹かれていった。
私の心はもう私自身のものではなく、彼のものだ。
私は……戦士に成り損ねた。
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- 9 : 2015/02/27(金) 23:09:37 :
- 叶わない、なんて、分かっていたのに。
兵士にもなれないなんて、滑稽だね。
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- 10 : 2015/02/27(金) 23:38:54 :
- 「アニ……?」
自分の泣き声で気がつかなかった。
小さな明かりを持って現れたのは、エレンとよく喧嘩しているジャンだ。
「なっ……」
あまりにも突然のことだったから、涙を隠すことも顔を背けることもできずにただ呆然としていた。
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- 11 : 2015/02/28(土) 00:31:28 :
- 「お前、泣いてるの、か……」
それは質問というより確認に近くて。
彼は私の目の前にしゃがみ込んだ。
なんだ、といまいち見えない瞳を見つめていると、突然唇に柔らかいものが当たった。
ファーストキスってこんなにも簡単に奪われるものなんだな、なんて的外れなことを考える。
やさしくて穏やかで、そして何処に行くあてもないキス。
触れては離れない程度に唇を浮かせ、また触れてを繰り返す。
どのくらいの時間そうしてただろうか。
私の涙が渇いた頃に、彼は離れた。
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- 16 : 2015/02/28(土) 17:26:53 :
- 「……わりぃ」
相変わらず明かりが弱くて彼の顔は見えない。
「別に。取っておくものでもなかったし」
顔は見えないけれど、声で驚き、焦っているのがわかった。
「お前を見てたら、つい」
彼の必死な姿が目に浮かんで思わず ふ、と笑いがでた。
「あんたも仲間だったね」
叶うことのない恋の仲間。
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- 19 : 2015/02/28(土) 21:04:08 :
- 「その、本当にすまねえ。俺も初めてだったから……って慰めにもなんねえよな」
へえ、初めてにしてはなかなか上手だったよ。
なんて言ったらお前も初めてなんだろうと返されるだろうか。
「どうせこれから先、することもなかっただろうし。いいんじゃない? 」
きっと今の私は、人生のなかで一番穏やかな笑顔だ。
この暗闇で彼に見えているかはわからないけど。
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- 20 : 2015/02/28(土) 21:32:52 :
- 「……笑うと可愛いんだな」
このおかしな雰囲気におかしくされたのだろうか。
「ねえ、またさっきみたいにしてよ」
自分の口から出てきた言葉に驚いた。
私もおかしくなったみたいだね。
もう言ったものはしょうがない。
きっとこれが本心なんだろう。
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- 23 : 2015/03/01(日) 01:15:10 :
- 「……は、何回でもしてやるよ」
ランプ1つしかない闇夜。
腕を首に回しむさぼるようなキスをする。
さっきのよりあいつに近いよ。上出来。
あの子なら……きっと最初だけ求めてあとはされるがまま、かな。
そう思って舌を差し込んだ。
彼はそれを受け入れてくれる。
ああ、この場所は本当に私を受け入れてくれる。
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- 26 : 2015/03/01(日) 14:07:12 :
- どちらからともなく唇から離れ、抱きしめ合った。
「もうそろそろ部屋に戻らなきゃまずいかもな」
どのくらい時が経ったかなんて全くわからない。
5分もしない出来事だったのかもしれないし、1時間経っているのかもしれない。
けれどこれ以上ここにいてはいけない気がした。
私たちは、女子寮と男子寮の境目までずっと手をつないで歩いた。
「ねえ、さっき言ったこと忘れないでね」
きっと彼なら
「ああ。何回でもしてやるよ」
何回でも受け入れてくれる。
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- 29 : 2015/03/01(日) 15:31:49 :
- 今度は建物の明かりでよく見える。
何もかも。
笑いながら抱き合って、痺れるキスをした。
さっきまでは座ってたから気にならなかったけど、私の身長じゃ抱えあげなきゃ届かないんだね。
それでも彼はさりげなくやってのける。
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- 32 : 2015/03/01(日) 16:05:57 :
- 「じゃあね」
最後は冗談のように軽いキス。
今度は彼が屈んでくれた。
「ああ、またな」
こんなもの、ただの幻想と知りながら。
春の夜に咲く幻想
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- 33 : 2015/03/01(日) 16:08:44 :
- ここまで読んでいただきありがとうございました。
すごく唐突に思いついて息抜きに書いていたのですが、この2人にはまりそうです。
それと完結したので、読みやすいようにこの投稿より前にあるコメントを非表示にさせていただきます。
ですが書いているときも終わった今もとっても励みになりましたので、これからもぜひよろしくお願いします!
また何か思いついたら書こうと思いますのでよろしくお願いします!
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- 34 : 2015/03/01(日) 16:37:29 :
- 凄くよかったです!ジャンとアニのコンビ好きです!
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- 35 : 2015/03/01(日) 18:02:24 :
- >>34
雛莉華さん
ありがとうございます!
そういっていただけると書いた甲斐があります♪
この2人本当にいいですね・・・!
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