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ハンジ「隠された気持ち」~バレンタイン記念ss~

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  1. 1 : : 2015/02/05(木) 17:53:43
    今回はバレンタインネタです

    リヴァハンでございます♪

    バレンタインまでに、頑張って仕上げます!…多分

    亀更新です

    タイトルは仮です(笑)

    リヴァイはキャラ崩壊かも?弱気な兵長です。
  2. 2 : : 2015/02/05(木) 17:55:11
    それはいつもの学級だった

    しかし、いつもと違う点が一つ……

    普段の会話には、あまり出てこない話題があった


    「ねぇ、誰にあげる?」


    最近、女子の話によく出てくるキーワード

    その話題を話しているときの女の子の顔は、皆恥ずかしそうに俯き加減で、顔を紅に染めていた

    でも、楽しそうに話している


    そんなクラスの女子達の話題を盗み聞きしながら、ボーッと眺める少女がいた

    その少女は机に頬杖をつきながら、何をするでもなく、ただただその様子を眺めていた
  3. 3 : : 2015/02/05(木) 17:56:02
    そんな少女の後ろの席から、静かに声を掛ける人物がいた

    「ハンジ、何見てんの?」

    すると、ハンジと呼ばれた少女は、無視したのではないだろうが、その呼び掛けには答えず、それどころか、見向きもしなかった

    そんな彼女の態度に少々苛つきながらも、もう一度声を掛ける

    今度は少しボリュームを上げ、決して静かではない声で、

    「ハンジっ!」

    ハンジ「ふえっ!?」

    すると、ハンジはビクッと飛び上がり、間抜けな声を出したかと思えば、辺りをキョロキョロと見回す始末

    ハンジ「だ、誰!?」

    「私だよ、ばか」

    ハンジは後ろの席に座っている友人だと気がつくと、

    ハンジ「なんだ、ナナバかぁ…驚かせないでよね、全く」

    と、悪態を付く

    すると、ナナバと呼ばれた少女は、不自然ながらも、口元を上げる

    しかし、口回りの表情筋はひくひくと動き、眉間には皺が寄っている

    まさに作り笑いそのものだった

    そんな彼女に気づかず、ハンジは明るい話題を持ち掛ける

    ハンジ「あっ、あのさぁ、ナナバ」

    ナナバ「ん~?何~?」

    ナナバは呑気に言葉を発していたが、ハンジの次の言葉によって、興奮へと変わった


    ハンジ「あのさぁ…ちょ、チョコレートって、どうやって作るの…?」

    ナナバがその言葉に反応するには、1秒もかからなかった

    バッと身を前に乗りだし、口を開く

    ナナバ「えっ!?」
  4. 4 : : 2015/02/05(木) 17:57:25
    ハンジはサッと身を引き、困った様子で、

    ハンジ「ほら、私ってそういうのに無頓着だろ?…だから、そういうの、本っ当に分かんなくて…」

    ナナバ「違う!問題はそこじゃない!誰に渡すの!?」

    すると、ハンジは、ニヘッと笑うと、


    ハンジ「渡すって、誰に?自分で食べようと思ってたんだけど…?」


    すると、ナナバはそのままの表情で固まった

    口も開いたまま、口許も笑ったままだ

    そして、呆れた表情になると、

    ナナバ「はぁ…どうせそんなもんよねぇ…だって…」

    そう言ってハンジをチラリと見ると

    ナナバ「…これだもんね」

    と、息をついた


    そんなハンジは、髪の毛はテキトーに一つにまとめただけ、首もとからは黒いシャツが覗いている

    ナナバ「はぁ…」

    そして、もう一度深い溜め息を吐くのだった
  5. 7 : : 2015/02/05(木) 21:17:07
    ハンジはそんなナナバを見て、困った様な表情になる。

    ハンジ「…え~と…何に期待したのかは知らないけど…あ、あの、作り方。教えてくれる?」

    ナナバ「うん、うん。それでこそハンジだよぉ…」

    ハンジ「?」

    そう、これがハンジ。

    恋愛、お洒落、家事、そんなのには興味なし。

    自分のやりたい事に向かって一直線。

    しかし、自分では気付いてない様だが、天然で鈍感。

    飾らない魅力?みたいなのがあるらしく、ハンジは意外とモテる。

    が、女子に特に何をされるでもなく、言わば、誰からも好かれるような人格なのだ。


    そんな事を思いながら、ナナバはもう一度、大きな溜め息をついた。

    ナナバ「あんたって、なんだかんだ得してるよね…羨ましい…」

    しかし、そんなナナバも大人っぽい性格と、その見た目により、モテている。

    ハンジ「そぉお?」

    ハンジは机に顎を置き、だらーんとしている

    ハンジ「で、教えてくれるの~?」

    ナナバ「あぁはいはい。教える教える」
  6. 12 : : 2015/02/06(金) 17:14:07
    その日は点検があるらしく、学校は昼までだった

    そんな日の帰り道

    ハンジは手の力をだらーんと抜き、前のめりになりながら、のんびりと歩いていた

    ナナバは、ハンジの歩くペースにうんざりしたのと、チョコレート作りの用意をしに、そそくさと帰ってしまった

    白い息をふぅ…と吐き、その息を追って、顔を上げる

    「………」

    ハンジ「……」

    ハンジは固まった

    顔を上げると、目の前に友人の顔があったから______

    ハンジ「……うぉぉぉお!」

    「うるせぇ、クソメガネ」

    ハンジは、男の様な声を上げ、サッと身を引く

    ハンジ「びっくりするだろ!?あほリヴァイ!」

    リヴァイ「あほはお前だ、バーカ」

    いや、この友人の現れかたにびっくりしない人間はいないと思う

    何故なら…

    ハンジ「やめてよ、ぶら下がってるの!」

    そう、公園にある、大きい遊具の橋

    そこに足を掛け、ぶら下がっていたからだ
  7. 13 : : 2015/02/06(金) 19:21:09
    本人曰く、理由はねぇ…らしいが、ハンジには、160cmしかない身長を伸ばすため工夫にしか見えないらしい

    ハンジ「とにかくやめてよね…そういう現れ方…」

    そういう現れ方、というのは、過去にもあったのだ

    時には木の幹から目の前に飛び下りて来たり、時には、気配もなく背後から声を掛けてきたこともあった

    リヴァイと呼ばれた男の子(?)は、ハンジの言葉を無視し、

    リヴァイ「俺は驚かせたつもりはねぇ…」

    ハンジ「あっそ」

    すると、ハンジの鞄の中で、携帯の着信音が鳴った

    ハンジはごそごそと鞄を漁り始める

    しかし、見つからないのか、漁るスピードが徐々に上がっていく

    リヴァイ「ちゃんと整理しねぇからだろ、バカが…」

    そう言って、スタッと遊具から飛び下りた
  8. 14 : : 2015/02/06(金) 19:22:01
    リヴァイ「貸せ」

    ハンジ「えっ、嫌だよ」

    ハンジは身体でサッと鞄を隠すが、リヴァイをそれをいとも簡単に奪い取ると、遠慮なくがさがさと漁り始めた

    そして、着信音が鳴り終わらない内に、携帯を見つけると、スッとハンジに……渡さなかった…

    ピッと通話ボタンを押した

    ナナバ「もしもーし」

    電話の相手はナナバだった

    しかし、リヴァイは何の躊躇いもなく

    リヴァイ「あ?」

    と、言った

    ハンジは取り返そうと、暫く足掻いていたが、最終的には諦めたのか、ジトっとした眼でリヴァイを見つめていた


    ナナバ「あぁ?ん?あ?……リヴァイか!」

    リヴァイ「あぁ」

    ナナバ「何でリヴァイが出てんの」

    ナナバは若干笑いを含めた声で、そう問うた

    リヴァイ「…俺が携帯を見つけたからな。ついでだ」

    ハンジ「何のついでだっつぅの」

    ハンジは小声で毒づいた

    ナナバ「ま、まぁさ。とにかくハンジに変わってくれない?」

    リヴァイ「…ちっ、まぁいい…」
  9. 15 : : 2015/02/06(金) 19:24:25
    ハンジはリヴァイから携帯を奪い取ると、ナナバと話し始める

    ハンジ「ナナバ!」

    ナナバ「ハンジ、お願いがあるの」

    ハンジ「ん、何?」

    ナナバ「近くのスーパーで買い物して来てくれない?」

    ハンジ「うっ…はいはい」

    ナナバ「いっぱいあるからメモしたほうがいいよ?」

    ハンジ「えっ!?ちょっと待って!」

    そう言ってハンジは、鞄をがさごそと漁ると、メモ用紙と、ペンを取り出した

    そして、リヴァイに鞄を押し付けると、顔と肩に携帯を挟み、メモ用紙にメモもしていく

    その間、暇だったのか、リヴァイはハンジの鞄の中を漁っていたが、ハンジに睨まれたので、手を止める

    ハンジ「それだけ?」

    ナナバ「うん。じゃ、頼んだよ。さよなら~」

    ハンジ「ん、ばいばーい」

    ピッ

    ハンジ「ふぅ、よし!リヴァイ、手伝って!」
  10. 17 : : 2015/02/06(金) 20:52:45
    リヴァイ「あぁ?何で俺が…」

    ハンジ「私の鞄を漁った罰だ」

    すると、リヴァイは何も言わず、代わりにチッと盛大に舌打ちをするのだった

    ハンジ「そうと決まればレッツゴー!」
  11. 18 : : 2015/02/07(土) 20:15:36
    ~スーパー~

    ハンジ「ん」

    買い物の途中、ハンジはリヴァイにメモ用紙を一枚渡した

    リヴァイは眉間に皺を寄せ、不機嫌そうに、

    リヴァイ「あ?」

    と言っているが、ハンジは気にせずに

    ハンジ「ん!」

    と言い、メモ用紙をリヴァイに握らせた

    リヴァイ「………」

    リヴァイは握らされたメモ用紙を見た瞬間に、怪訝そうな顔をする

    リヴァイ「何で俺も買い物しないといけねぇんだよ」

    ハンジ「じゃあ何で連れて来たんだよ!?」

    リヴァイ「…………ちっ」

    リヴァイはメモを握りしめ、足早に去って行った

    ハンジは、はぁ…と息をつくと板チョコを探しにカートを押す

    バレンタインのコーナーが見えたからか、ハンジは進むスピードを少しだけ上げる

    その時だった_________

    ドンッ

    「!!」

    ハンジ「わっ」

    ハンジがスピードを上げたからか、角から出てきた人物に気づかなかったのだろう

    カートで相手にぶつかってしまった

    ハンジ「すみませ………エルヴィンかい?」

    ハンジは慌てて謝ろうとするが、相手を確認すると、謝るのも忘れて少しながら、声を弾ませる

    エルヴィン「やぁ、ハンジ。君も買い物かい?」

    ハンジ「うん!エルヴィンこそ買い物?」

    エルヴィンと呼ばれた男性は、ニコリと微笑んだ

    エルヴィン「あぁ、夕飯の買い出しをな」

    ハンジ「エルヴィンが作るの?」

    エルヴィン「あぁ、何なら作りに来てくれていいんだけどな」

    エルヴィンはそう言って、不敵な笑みを浮かべる

    ハンジ「ははは、私は料理出来ないや…」

    エルヴィン「教えてやってもいいんだけどな…」

    ハンジ「いえ、結構です」

    ハンジは身の危険を感じたのか、

    ハンジ「じゃ、そろそろバイバイ!」

    と言い、足早にその場を後にした
  12. 19 : : 2015/02/08(日) 16:48:18
    神作ですね…
    期待です!
  13. 20 : : 2015/02/08(日) 16:51:18
    神作…ですか…!?
    ありがとうございます♪
    頑張ります♪
  14. 21 : : 2015/02/09(月) 16:53:27
    ハンジ「危なかったな…お嫁に行けなくなるところだったよ…」

    周りに聞こえない程度の小さな声で、ボソリと呟く

    ハンジはメモ用紙を取り出し、確認すると、板チョコを数枚手に取った

    ハンジ「うーん…ブラック…?ミルク?」

    「ブラックにしろ」

    ハンジが迷っていると、後ろから突然、声を掛けられた

    ハンジにはその相手が誰だか分かっているらしく、振り向かずに答える

    ハンジ「なんでリヴァイに合わせなきゃいけないんだよ」

    リヴァイ「あ?バレンタインのチョコだろ?」

    ハンジ「あんたにあげるなんて、誰が言ったっけ?」

    リヴァイはふんっと鼻を鳴らすと、

    リヴァイ「お前の毎年の行動だ。去年もあげないだの何だの言ってやがったが、結局くれたじゃねぇか」

    ハンジ「…ちぇっ!」

    ハンジはリヴァイに向かって舌打ち(?)をすると、リヴァイの持って来たものを確かめる

    ハンジ「人参…じゃがいも…ブロッコリー…うん、バッチリ!」

    ハンジは全てあるのを確認するとレジへとカートを進める
  15. 22 : : 2015/02/09(月) 17:37:18
    リヴァイ「…シチューか?」

    リヴァイの問いに、ハンジは親指と人差し指を、丸める様にして指先をつけると、ウインク…には見えない様なウインクをした

    ハンジ「ピンポーン!シチューだよ、私達にもご馳走するって♪」

    ハンジはそう言って、まるで小さな子供の様に声を弾ませた

    リヴァイ「…ガキみてぇ」

    リヴァイはハンジに聞こえない程度の声で呟いたつもりだったらしいが、以外にも地獄耳であったハンジに、どつかれた

    ハンジ「あんたのほうが子供みたいでしょ?」

    リヴァイ「は?あり得ねぇな…」

    そんな小さな子供の様なやり取りを話しながら、二人はレジへと並ぶ

    夕飯時の時間帯のスーパーは、沢山の人で溢れかえっていた

    そんな人混みの中、リヴァイは小さく舌を打つ

    それを聞き逃さなかったハンジは、そんなリヴァイの子供の様な態度に、くすりと笑う

    すると、リヴァイは眉間に皺を寄せながら、不機嫌そうに問う

    リヴァイ「あ?何だ、気色悪ぃ」

    ハンジ「ふはっ、リヴァイったら、子供みたい…ふふ、ははは!」

    すると、リヴァイの眉間の皺は一層深くなる

    リヴァイ「だから、それはてめぇだろが」

    すると、ハンジはにやにやとした目でリヴァイを眺めながら、

    ハンジ「でもさ、さっきから苛々してるでしょ?」

    ハンジはリヴァイの頬をつんつんとつついた

    リヴァイはそれを蝿を払うかの様に、鬱陶しそうに手で払うと、ハンジの頬をギュッと引っ張った

    リヴァイ「してねぇよ」

    ハンジ「嘘つけ~、私には分かるもんね~♪」

    ハンジは引っ張られて赤くなった頬を、にいっと上げ笑窪を二つ、両方の頬に作った
  16. 23 : : 2015/02/13(金) 15:49:50
    そして、ハンジは軽々とかごを持ち上げると、レジに置いた

    リヴァイ「気色悪ぃな...」

    と、リヴァイは小さく毒づくがハンジはそれを軽く受け流す

    ハンジ「小学生からの仲だよ?それ位分かるって!」

    ハンジはそう言うと、白い歯を覗かせた

    リヴァイはハンジのほうは見ず、会計をしていく店員の手の動きを、食い入る様に見つめながら、黙り込む

    彼の黙り込むということは、納得したということだ

    ハンジは財布から、お金を取り出しながら、怪しげな笑みを浮かべる

    ハンジ「それに、リヴァイのことをよぉ~く観察しているからね...ふっふっふっ♪」

    すると、リヴァイは鳥肌が立つと共に、ゾクッと悪寒が走る
    そして顔をしかめると、

    リヴァイ「気色悪ぃぞ、おい」

    ハンジはお金を払い終え、袋に品物を詰めている

    ハンジ「本当だよ?ほら、これが証拠。凄いでしょ?♪」

    ハンジは、リヴァイの目の前に、『ある物』を、面白がるような笑みを向けながら、スッと見せつけた

    リヴァイはその『ある物』を見たとたん、怒気が混じっているが、静かな声で言った

    リヴァイ「おい...てめぇ、それ何処で手に入れた......俺の財布!」

    ハンジは勝ち誇ったかの様な笑みを浮かべる

    ハンジ「へへっ、いいだろ?」

    リヴァイ「............どっかいったと思ったら...てめぇか」
  17. 24 : : 2015/02/13(金) 16:01:38
    するとハンジは、きょとんとした様な間抜けな顔をすると、

    ハンジ「...え?気づかなかったの?」

    リヴァイ「いつ盗んだ、こそ泥が」

    すると、ハンジはへらへらと笑うと、

    ハンジ「あぁ~...まぁそうか!リヴァイの部活中に、こそっと貸・し・て!もらったもんね~」

    ハンジは、やたら『貸す』という部分を強調して言葉を発した
    けして、盗んだ訳ではない、と言いたいのだろう

    しかし、リヴァイにその戦法は通じない

    リヴァイ「盗んだんだろが。返せ」

    ハンジ「や~だよ♪」

    ハンジはそう言うと、財布を持った手を真上に上げ、背伸びをした

    リヴァイ「返せ」

    ハンジはうーんと暫く考えた後、閃いた様に、声を上げる

    ハンジ「あっ!じゃあ、私がリヴァイとものすんごい仲良しだって言ってくれたらいいよ。返してあげる」

    リヴァイは、ハンジを睨みながら、暫く考えた後、分かった。と言った

    しかし、そう言うや否や、リヴァイはハンジの無防備な腹部へと手を伸ばす

    ハンジ「うぎゃあっ!っ!あっ...!ははははははは!ひひっふふははは!やっ、やめっ...ふははっうはははは!」

    リヴァイ「やめてほしいなら返せ」

    ハンジは後ずさるが、リヴァイはそれを許さない

    ハンジの財布を持っていない手を、リヴァイはもう片方の手で、ガッシリと掴む

    ハンジ「うっはははは!わっ、返すから!はははは!あはは!」

    すると、リヴァイは手を止める...が、片方の手は、しっかりとハンジの手を捕らえている

    ハンジ「もう~、ほら。返した」

    ハンジは渋々といった様子で、リヴァイの手に財布を返す

    リヴァイ「何がもう、だ。牛になんぞ」

    リヴァイはそれをしっかりと受けとると、ハンジの手を離した

    そして、出口へ向かって歩きだした

  18. 25 : : 2015/02/14(土) 23:16:50
    ~帰り道~

    ハンジ「ちょっとぉ!リヴァイ、ちょっと位持ってくれたっていいだろ!」

    すると、リヴァイはハンジに手を伸ばす

    リヴァイ「ん」

    ハンジ「へ?」

    リヴァイはハンジに差し出した手を引っ込めると、チッと舌を打つ

    リヴァイ「持つっつってんだろが、馬鹿が」

    ハンジはそんなリヴァイの態度に、物珍しそうな顔をすると、

    ハンジ「へぇ~、リヴァイ、今日は優しいじゃん」

    すると、リヴァイは目を見開くと、ふいっと顔を背け、

    リヴァイ「もう持たねぇ」

    口で言ってはいるが、心無しか、耳が紅くなっている様だった

    ハンジ「あっはは!リヴァイったら、今度は照れてるぅ~、レアリヴァイだ♪」

    ハンジはそう言うと、指を丸め、それを双眼鏡に見立てると、その穴からリヴァイの様子を伺った
  19. 26 : : 2015/02/14(土) 23:22:21
    リヴァイは鬱陶しそうに、ハンジとの間に手で境を作った

    リヴァイ「じろじろ見んなよ」

    ハンジ「ふっふふ~ん」

    ハンジはよく分からない鼻歌と共に、リヴァイの作った境界線を突破する

    その時、ハンジの視界に、彼女の興味を引く物が映り込む

    ハンジ「あっ!」

    ハンジは一言だけ言葉を発すると、リヴァイの前を通り過ぎる

    リヴァイはそれを目線で追う

    無意識に

    気づけば、最近いつも目で追っていた

    それは、彼自身も気づいていないのかも知れないが


    ハンジは道端にしゃがみ込むと、風にたなびく薄紫の、小さな花をいとおしそうに眺めた

    ハンジ「…すみれだ」

    ハンジは小さな声でそう呟くと、誰もが見とれる様な、美しい笑みをその小さな命へと向ける

    リヴァイ「こんな時期に珍しいな」

    リヴァイの目線も、ハンジを通り越したその先の、小さな花へと注がれていた
  20. 27 : : 2015/02/14(土) 23:41:10
    ハンジ「すみれの花言葉ってね、「謙虚」「誠実」「小さな幸せ」って言うんだって」

    ハンジがポツリと呟いた

    そして、リヴァイにその微笑みを向けた

    さっきすみれに向けた様な、眩しくて、美しい笑みを

    リヴァイ「……」

    リヴァイはハンジと同じ様に、彼女の横にしゃがむ

    そして、視線を地面へ向ける

    たなびく花を視界の片隅に置いて


    ハンジ「リヴァイ?」

    ハンジが、俯いたまま黙り込むリヴァイを心配したのか、不安そうに声を掛ける

    冷たい真冬の風が、二人の間を通り抜けた

    眩しかった大空は、風に乗って流された灰色の、大きな幕に包まれる


    リヴァイ「…行くか」

    少し間を開け、我に返ったかの様にリヴァイが言う

    ハンジはこくりと頷くと、重くなった空気を振り払うかの様に、勢い良く立ち上がった
  21. 28 : : 2015/02/14(土) 23:54:01
    リヴァイは道端に孤独に咲く花を、もう一度、目に焼き付ける様に見つめた

    そして、ハンジの方を振り返る

    ハンジはさっきの空と同じ様な、眩しい笑みを浮かべていた

    リヴァイはその笑顔を見ると、何故か心が落ち着いた

    ふぅ、と大きく息を吐き出す

    最近、ふと胸が行き詰まったかの様に苦しくなる

    胸騒ぎがする

    原因は分からない

    だけど、ハンジの太陽の様な笑顔を眺めていると、何故かその胸騒ぎが治まった

    ハンジは歩き出す、一歩、一歩

    リヴァイはその後を追う様に、ハンジの後ろをついて歩いた

    すると、ハンジはくるっと振り返ると、

    ハンジ「ちょっと、リヴァイ。さっきから私を風避けにしてるでしょ?」

    リヴァイ「バレたか」


    そんなこんなで、いつもの暖かな雰囲気に包まれるのであった
  22. 29 : : 2015/02/15(日) 00:27:39
    ~ナナバ宅~

    ハンジ「ふぅ、やっとついた...誰かさんのせいで顔が凍るかと思ったよ、全く...」

    ハンジはそう言って息をつく

    そして、リヴァイを氷の様な冷ややかな目で睨み付ける

    リヴァイ「...俺も誰かに手袋取られたから、手が凍った」

    リヴァイは少し大袈裟に言う

    ハンジ「凍る訳あるか!___ひゃっ!?」

    リヴァイはハンジの首元へと手を伸ばす

    ハンジはその冷たさに驚き、気の抜けた声が口から飛び出す

    ハンジ「...誰だよ、最初に私を盾にした奴は!」

    リヴァイ「さぁな。...早くインターホン押せよ、いつまでこんなクソ寒ぃところで突っ立ってんだ」

    ハンジ「さぁなって...」

    ハンジはリヴァイに文句をぶつけながら、インターホンを押す

    ピンポーン...

    独特な音が辺りに響く

    しかし、いつまで経っても返事がない

    ハンジは苛立ったのか、何回もチャイムを鳴らす

    ピンポンピンポンピンポン...

    すると、ガチャ...と控えめにドアが開く


    そこには、ひきつった笑みを顔に貼り付けたナナバが立っていた
  23. 30 : : 2015/02/15(日) 00:41:54
    ナナバ「ハンジ...あんたねぇ!」

    ナナバが発した第一声は、この一言だった

    怒気を加えて

    すると、今度はハンジが、ひきつった笑みを浮かべる番だった

    ハンジ「ま、まあまぁ...」

    ハンジはそう言って視線を游がせる

    そして、視線は自分の手元で止まった

    ハンジ「あっ、ほらほら!買ってきたから!ね?」

    すると、ナナバは袋の中身を確認すると、はぁ、と息をついた

    ナナバ「仕方ないなぁ...今回だけだよ?次はないからね」

    すると、ハンジは控えめに言った

    ハンジ「はい...」

    しかし、顔には喜びの色が伺える

    ナナバは、はぁ、ともう一度息をつくと、ハンジのその横____リヴァイへと視線を向けた

    ナナバ「で、リヴァイは何でついて来てんの?」

    リヴァイは面倒といった様子で説明する

    リヴァイ「クソメガネについて来いって言われたんだよ」

    ナナバの家はマンションの五階だ

    リヴァイは五階からの景色を楽しむ様に、辺りを見渡した
  24. 32 : : 2015/02/15(日) 12:02:29
    ナナバ「まぁ、とりあえず入ってよ。こんな所で立ち話してたら、凍っちゃうよ」

    そう言って、ナナバはドアを開け、二人を招き入れた

    ハンジ「おじゃましま~す!」

    ハンジは靴も揃えず、部屋の奥に突っ走る

    そして、ストーブの前にちょこんと座り、顔を緩める

    ハンジ「暖か~い...」

    リヴァイはハンジのバラバラになってほったらかしにされた靴を揃え、部屋を見回す様に、視線を游がせながら、部屋に入った

    すると、ハンジが満面の笑みを浮かべながら、リヴァイに手招きをする

    ハンジ「リヴァイ、おいでおいで♪暖かいよ」

    リヴァイはハンジの言葉を聞き入れ、彼女の横へ立つ

    それに満足したのか、ハンジは視線をストーブへと動かす

    ナナバ「コーヒーとココア、どっちがいい?」

    ナナバがマグカップを二つ手に、二人に聞いた

    ハンジ「ココアー」

    リヴァイ「...コーヒー」

    ナナバ「んー」
  25. 33 : : 2015/02/15(日) 13:32:09
    カチャカチャと、陶器と金属、陶器と陶器が触れ合う音が、白を基調とした、綺麗に整頓されたキッチンに響く

    ハンジとリヴァイはというと、どちらがストーブに近い所に座るか、という問題で争っている

    ハンジ「リヴァイがあっちに行ってよ!」

    リヴァイ「あぁ?てめぇがどっか行けよ、クソメガネ」

    ハンジ「私が先にここにいたの!」

    リヴァイ「俺をここに呼んだのは誰だ」

    そんな二人を眺めながら、ナナバはふふっと笑いを漏らす

    ナナバ「出来たよ、二人共」

    ナナバはスリッパを履きながら、二人の元へと向かった
  26. 34 : : 2015/02/15(日) 15:39:22
    すると、二人の動きが止まる

    ナナバ「ハンジがリヴァイを呼んだんだから、あんたが退いたら?」

    ハンジはちぇっと舌を打つと、少し横に寄る

    リヴァイは元居た場所から動かない

    結果、二人はぴったりと、まるでバレンタインの時期に寄り添い合うカップルの様にくっついた

    ハンジ「...」

    リヴァイ「...おい、離れろよ」

    すると、ハンジはリヴァイの言葉を無視するどころか、よりリヴァイにすり寄る

    ハンジ「えっへへ~、リヴァイ暖か~い♪」

    リヴァイ「......」

    リヴァイは、一瞬黙り込んだかと思うと、ハンジを抱き寄せる

    ハンジ「うわぁ!...なっ、なななどうしたの!?」

    ナナバ「わぉ」

    ナナバはそう呟くと、こそっと部屋を抜け出した



    リヴァイ「...寂しい」

    二人になった部屋、さっきまでなかった静けさ

    その静けさに包まれながら、リヴァイは普段言葉にしない言葉を発した

    それは、長い間仲の良い友達の地位にいたハンジでさえ、初めて聞いた言葉だった

    ハンジ「...え?」

    リヴァイ「...なんか」

    ハンジ「なに言ってるの...私、ずっと隣に居たじゃないか」

    そう言って、ハンジはリヴァイの頭を撫でた

    優しく、優しく

    まるで子猫を撫でる様に

    リヴァイ「...夢」

    ハンジ「夢?」

    ハンジは、リヴァイの発した言葉に、手を止める
  27. 35 : : 2015/02/15(日) 16:12:40
    リヴァイ「...最近、夢を見る」

    リヴァイはポツリと語り始める

    ハンジは、それを黙って聞いた

    リヴァイの、何処か悲しげな、寂しげな眼を見つめながら

    リヴァイ「何処か分からねぇ、森にいるんだ、てめぇと一緒に」

    ハンジ「森...私と一緒に?」

    リヴァイ「あぁ」

    リヴァイは天井を向いた

    リヴァイ「そこに、クソでけぇ生き物がいやがる。そいつが、お前を食う」

    ハンジ「食う?私が、食べられるの?」

    リヴァイ「...」

    リヴァイはこくりと頷いた

    すると、ハンジは優しい笑みを浮かべる

    ハンジ「ははは、今日は本当に可笑しいね、リヴァイ。貴方がこんなに弱気なのは初めてみたよ」

    リヴァイ「...夢のせいだ...」

    ハンジ「要するに、リヴァイは私と離れるのが嫌なんだね」

    すると、リヴァイは目を見開く


    ハンジ「実はさ、私も見るんだよね。その夢」

    リヴァイはハンジの方に顔を向ける

    ハンジ「リヴァイが食べられるの。大きな生き物に。あれは...巨人かな」

    リヴァイ「お前も弱気じゃねぇか」

    すると、ハンジは、はははっと弱々しく笑う

    ハンジ「そうだね」


    ハンジ「それでね、リヴァイが食べられる度、リヴァイにもう、会えない気がして...」

    ハンジは、俯き、目に涙を浮かべる

    ハンジ「それが...苦しくて...眠るのが怖かった」

    リヴァイ「俺も、思った」

    ハンジは、目に浮かんだ涙を拭い、今度は明るい笑顔を浮かべた

    ハンジ「へへへ、私達、同じ事考えるんだね」
  28. 36 : : 2015/02/15(日) 19:19:51
    ハンジ「私は、貴方と離れたくない。リヴァイも同じ?」

    リヴァイ「...あぁ」

    ハンジは、晴れ空の様な眩しい笑みを見せ、

    ハンジ「やっぱりね」

    窓から覗く大空は、いつの間にか晴れ間が広がっていた


    その時、丁度ナナバが帰って来た

    ナナバ「あんた達...終わった?」

    ハンジ「終わったって...何が?」

    ナナバは、はぁ...と溜め息をつくと、

    ナナバ「あんたらがイチャイチャしてるから、こっちは気を効かせて出て行ったんだけど」

    すると、ハンジは苦い笑みを浮かべる

    ハンジ「イチャイチャって...」

    ナナバ「あっ、チョコレート。作るんでしょ?」

    ハンジは元気良く頷くと、リヴァイの手を引いた

    リヴァイ「あ?」

    ハンジ「リヴァイも一緒に作ろうよ!」

    ナナバ「えっ」

    ナナバは、リヴァイにあげるんじゃないのかよ、と心の中で毒づきながら、ハンジについて歩き出した
  29. 37 : : 2015/02/15(日) 21:10:25
    ナナバ「はぁ...とりあえず、これに着替えて」

    そう言って、ナナバがハンジに手渡したのは、

    ハンジ「エプロン...?」

    ナナバ「そう。あんた、絶対に服に飛ばすから」

    ハンジは手を上に上げ、元気良く、

    ハンジ「はいはーい!」

    ナナバ「リヴァイはお湯を沸かして?」

    すると、リヴァイは頷きもせずに、小鍋に水を入れる

    リヴァイ「...」

    すると、ナナバの隣から、間の抜けた声が聞こえる

    ハンジ「あっれー?エプロンってどうやって着けるんだっけ?」

    ナナバは、エプロンに絡まるハンジを見て、

    ナナバ「...はぁ...」

    と、溜め息をつくと、ハンジに絡まるエプロンをほどく作業に移る

    ハンジはふと、窓の外に目をやる

    ハンジ「あっ!...雪だぁ!」

    ハンジの嬉しそうな声に、ナナバもチョコレートを刻む手を止め、窓の外を見やる

    ナナバ「本当だ、ホワイトバレンタインだね」

    リヴァイも空を見ていた、目を細めながら

    金色の織物の様な、美しい夕暮れの空からは、美しい銀色の雪が舞い降りている

    その雪を眺めながら、リヴァイはポツリと呟く


    リヴァイ「...離れたくないじゃねぇ。離す訳ねぇだろが」

    その呟きは、ハンジにも、ナナバにも聞こえていなかった

    もしかしたら、聞こえていたのかもしれないが


    こうして、三人の『バレンタインデー』は、過ぎていった


    ハッピー・バレンタイン♪





    *END*

  30. 38 : : 2015/02/15(日) 21:15:46
    少し遅刻しましたが、これでこのお話は終わりです(*^^*)

    急いで書いたので、分からない所があるかもしれません(・・;)
    遠慮せずに聞いて下さい

    ここまで読んで下さった方々、ありがとうございました。
  31. 39 : : 2015/02/15(日) 21:21:07
    執筆お疲れ様でした
    姫のリヴァイ好きです
    リヴァハンって、キャラが崩壊している物が多くてなかなか読むにいたらないのですが、姫のリヴァイはリヴァイしてて自然で凄く好きです!
    こんなリヴァハンならおかわりしたいです♪
    これからも素敵なリヴァハン書いてください♪
  32. 40 : : 2015/02/15(日) 21:24:37
    >>39
    ロメ姉さん、ありがとうございました♪
    リヴァイしてて良かったです(*^^*)
    リヴァイのセリフには、結構悩んだり(^_^;)
    おかわりありがとうございます♪
    嬉しいです(*^^*)
  33. 41 : : 2015/02/15(日) 21:36:25
    執筆お疲れさまでした。
    仲良しな2人にほっこりしまくりでした。( *´ ∀ `*)
    リヴァイの背伸ばし作戦…効果があるといいね♪
    私もゆう姫さまのリヴァハンおかわりしたいです!次回も期待しています。
  34. 42 : : 2015/02/15(日) 21:39:04
    >>41
    さだはる殿、ありがとうございました♪
    リヴァイ、伸びるといいね(^_^;)
    仲の良い二人の雰囲気が好きなんです♪
    さだはる殿もおかわり、ありがとうございます(*`・ω・)ゞ
  35. 43 : : 2015/02/15(日) 21:40:30
    執筆お疲れ様でした!

    学生の甘酸っぱい感じが文章の中から出てて、可愛いバレンタインに仕上がってました。
    私も現場に潜入して陰から覗き見したいです。
  36. 44 : : 2015/02/15(日) 21:43:32
    >>43
    とりちゃん、いきましょう!レッツゴー!
    甘酸っぱい感じでしたか♪
    可愛いバレンタインに仕上がってて良かった(^_^;)
    ありがとうございました♪

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著者情報
20030522a

ふらい

@20030522a

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