僕は詐欺師


自分の心を誤魔化す詐欺師


一瞬たりとも気は抜けない


あのこは昨日自分が悪口を言っていた子と話をしていた


あのこの悪口を聞いていたそのこはあのこを軽く睨んでる


誰かに話すとめんどうなことになるのに


そんな僕の唯一の話し相手は動かないし喋らない


彼に今日生き残った感想を一言告げる


僕は詐欺師だから警察に見つかったらおしまいだ


誰にも知られちゃいけない


通報されたら困る



でも



ある日僕は見つかった


知らない人に


目が黄色い


まるで僕の親友みたいだね


そう笑うと、彼はそうだよ、と笑う


「もう大丈夫だよ、詐欺師はやめて。ずっとずっと辛かったでしょ、本当は誰かに感情をぶちまけたかったでしょう。もう大丈夫、僕が君の家族だから」


抱き締められる


少し涙の味がした


僕は大声で叫ぶ


「どぉしてみんな僕の前から居なくなっちゃったんだよぉ…!母さんも父さんも!!!なんで僕を捨てたんだよぉ…………!!!」


ずっと押さえてた


誰も居ない家が嫌いだった


異臭がする部屋で、寝るのが嫌だった


色んな感情が溢れてきたが


今はこの暖かさに身を任せることにした