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January story

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  1. 1 : : 2015/01/01(木) 10:29:23
    「January story」を日本語訳にすると「1月の物語」となりますね。英語で洒落こんでみたのです。

    このシリーズ三作目となります、短編集です。
    前作を読んでいない方は「November story」も読んでいただけると、嬉しいです。続き物の物語ではないので、この作品からでも気軽に読めます。


    さて、この短編集の説明をしたいと思います。
    >>2には、目次があります。

    タイトルはその日の誕生花となっています。12月は31日あるので、31話あります。おまけで誕生日のお話なども書きたいと思います。

    1日1話ずつ更新したいと思います。ちょっとした時に読んでいただけると、嬉しいです。

    皆様に楽しく読んでいただけるように励みたいと思います。


    感想と組み合わせのリクエストはこちらに↓
    http://www.ssnote.net/groups/257/archives/17


    ※感想コメント、ありがとうございます。読みやすさ重視のため、非表示にさせていただいていますが、ちゃんと読んでいますし、感動してます。
  2. 2 : : 2015/01/01(木) 10:29:58
    《目次》

    >>3 1.1「友を求める」スノードロップ

    >>12 1.2「優しい心」ロウバ

    >>20 1.3「切望」クロッカス

    >>28 1.4「遊戯」ヒアシンス

    >>34 1.5「自信」ミスミソウ

    >>44 1.6「無邪気な愛を」スミレ
  3. 3 : : 2015/01/01(木) 21:00:57


    「友を求める」



    コンコンとリズム良くノックをする。

    すると中から声が聞こえて私は部屋の中に入った。

    この部屋の持ち主というのは、我等調査兵団の尊敬すべき団長、エルヴィン・スミス。

    エルヴィンの部下に伝言を伝えられ、今こうしてエルヴィンの部屋へと来た。

    エルヴィンはにこやかな笑みをうかべ、私の顔をじっくりと見つめた。

    そんなエルヴィンに私はフッと笑う。
  4. 4 : : 2015/01/01(木) 21:03:39

    エルヴィンの青い瞳はまるで露草のように透き通っている。

    綺麗な金髪はきっちりと七三分けなところが、エルヴィンらしい。

    エルヴィン「私の顔に何かついているか?」

    ナナバ「いいや、エルヴィンの瞳があまりにも綺麗だったからね」

    エルヴィン「フン、ナナバらしい洒落だな。まあ、本題にはいろうか」

    エルヴィンはそう言ってとある書類を手に取った。

    きっと今回の用件についてだろう。
  5. 5 : : 2015/01/01(木) 21:03:59

    エルヴィン「駐屯兵団本部へこの書類を届けに行ってほしい。駐屯兵団のリコという者にな」

    ナナバ「お使いというわけか。リコという名前からすると女性だね」

    エルヴィン「ああ」

    ナナバ「わかった、今から向かえばいいかな?」

    エルヴィン「よろしく頼んだぞ」

    ナナバ「勿論」

    私はそう自信ありげの顔をし、エルヴィンから書類を受けとる。

    エルヴィンに背を向け、そして扉を開け、部屋から出ると早速馬の準備をし、駐屯兵団本部へと向かった。
  6. 6 : : 2015/01/01(木) 21:04:24




    駐屯兵団本部に着くと、馬を休め本部へと入る。

    あまり調査兵団本部と内装が変わらないなと思いながら、駐屯兵がいないか辺りを見回す。

    すると、可愛らしい女の駐屯兵がいた。私はその駐屯兵に声をかける。

    駐屯兵は私に敬礼する。私は彼女に敬礼をやめさせると、本来の目的の為にたずねた。

    ナナバ「駐屯兵団のリコさんとはどこにいるかわかるかな?」

    「リ、リコ班長は二回の一番東の部屋にいると思います」

    ナナバ「そうかい、ありがとう」

    そうお礼を言い、微笑むと駐屯兵はペコペコとお辞儀をする。

    何とも可愛らしいものだ。

    私はリコの部屋へと向かった。
  7. 7 : : 2015/01/01(木) 21:04:50




    リコの部屋に着くと、私はノックをする。

    すると、中から「誰だ?」と凛々しい声がした。

    ナナバ「調査兵団団員、ナナバだ。書類を届けに来た」

    そう言うと、リコは入れと言ったので、私はリコの部屋の扉を開けた。

    部屋に入ると、リコは書類を片っ端から片付けていたようだ。その証拠に、机には書類の山、それにインクにペンがささっている。

    ナナバ「初めまして、リコさん」
  8. 8 : : 2015/01/01(木) 21:05:37

    私が笑って言うと、リコは椅子から立ち上がり、

    リコ「初めまして、あんたの名前はよく耳にする」

    ナナバ「それは光栄だね」

    リコ「まあそんなことはどうでもいい、書類を早く渡せ」

    リコは銀縁の眼鏡をギロリと光らせ、私を見た。

    私はクスリと笑ってから、リコに書類を渡すと、リコは早く帰れとでも言うような顔をする。

    ナナバ「あなたとは仲良くできそうだね」
  9. 9 : : 2015/01/01(木) 21:06:00

    リコ「どういうことだ?」

    ナナバ「言葉通りの意味だよ。あなたは私のこと嫌いでしょ?」

    フフッと口から笑いがこぼれる私を、リコは鋭い目付きで睨む。

    リコ「まあ、少なくともあんたのことは苦手だ。見透かしたような性格をしているし、どこかいけすかない…」

    ナナバ「思っていたより、私のことが嫌いなんだね、リコさんは」

    リコ「フン、用件は済ませただろ?早く帰れ」
  10. 10 : : 2015/01/01(木) 21:06:18

    ナナバ「フフ、わかったよ。お邪魔したね、リコさん」

    私がそう言ってリコを見ると、リコは既に書類に目を落としていた。

    私はそんなリコを見てまた、笑った。

    何故、笑ったかはわからない。ただ、何となく面白い、そう思ったのだ。

    リコの部屋を去ると、自然と呟きが漏れた。

    ナナバ「性格が対になる者は相性が良いって聞くしな。リコとは、仲良くなれそう…フフ、〝友〟か」
  11. 11 : : 2015/01/01(木) 21:06:50



    ナナバが去ると、リコは溜め息をついた。

    リコ「何なんだ、アイツは」

    リコはそう言って、椅子の背もたれに体の体重をかける。

    そして、手を上にあげのびをした。

    リコ「奇人変人の巣窟の調査兵団にはあんな奴ばかりなのか…」



    その時のリコの溜め息は、その日の一番深い溜め息であった。





  12. 12 : : 2015/01/02(金) 08:42:14


    「優しい心」



    「やあ、ジャン」

    俺は突然声をかけられ、ふり向く。

    丁度、リヴァイ兵長に書類を渡しに行ったあとのことだった。

    ふり向いた先には、眼鏡をかけて茶髪の髪を括り、少し愛嬌のある顔立ちをしている女性がニコニコと笑っていた。

    ジャン「こ、こんにちは!ハンジ分隊長」
  13. 13 : : 2015/01/02(金) 10:33:08

    慌てて敬礼をすると、ハンジ分隊長は、

    ハンジ「敬礼なんてしなくていいよ」

    そう言った。俺は敬礼の手をおろすと、満足そうな顔を俺に向けた。

    ハンジ「君は立体機動が秀でてるって聞いたけど、本当かな?」

    ジャン「い、一応、ミカサと立体機動だけは敵うものでした」

    ハンジ「ミカサと?そいつはすごいや。立ち話もなんだから、私の部屋に行こうか」

    ジャン「えっ…」
  14. 14 : : 2015/01/02(金) 10:33:25
    いきなり上官でもあるハンジ分隊長の部屋へ行くことに俺は驚きと動揺の声をあげた。

    するとハンジ分隊長は俺が声をあげた理由がわかったようで、

    ハンジ「ごめんごめん、いきなり上官の部屋というのもキツいよね」

    ジャン「はあ、すみません」

    ハンジ「ううん、気にしないで。じゃあ食堂にでも行こうか」

    ジャン「はい」

    俺が返事をするとハンジ分隊長は楽しそうに歩き出した。

    その背を俺は追いかけるように歩き出す。
  15. 15 : : 2015/01/02(金) 10:33:46




    食堂に着くと、ハンジ分隊長は一番窓に近い席を選び座った。

    ハンジ「ここは私のお気に入りの席なんだ、リヴァイは嫌がるけど」

    ジャン「はあ…」

    ジャン「あの…用件というものは…?」

    ハンジ「私は個人的に君の立体機動の能力に興味がある。業務的に君のエレンに対しての信頼度を確かめなくてはならない、それが用件だよ」

    ジャン「はあ、エレンに対しての信頼度、ですか」
  16. 16 : : 2015/01/02(金) 10:34:27

    エレンは巨人化ができる、そう聞いた。

    実際、それでトロスト区奪還作戦であの大岩を持ち上げ、トロスト区の壁に空いた穴を塞いだ。

    ハンジ「君とエレンは相当仲が悪いと聞いているけど、そうなの?」

    ジャン「…はい、まあ仲が悪いですね。水と油と言っても過言ではないくらいに…」

    ハンジ「そうなんだね、君は巨人化しているエレンを信頼できるかい?」

    ハンジ分隊長にそう聞かれ、俺は押し黙った。
  17. 17 : : 2015/01/02(金) 10:35:37

    ハンジ分隊長の顔を見れば、楽しそうにニコニコと笑っているわけではなく、真面目な表情。

    巨人化しているエレンというのを信頼できるか、否や。

    トロスト区奪還作戦の時、エレンが暴走しミカサの頬に傷ができた。

    まるで虫ケラを見るかのようにアイツは暴走したのだ。


    そんな巨人化したアイツを信じるべきなのか、正直なところわからない。


  18. 18 : : 2015/01/02(金) 10:35:58
    ただ、ハンジ分隊長は〝わからない〟という回答では満足しないだろう。

    この都度、はっきり言うことを望んでいるに違いない。

    ジャン「俺は巨人化したエレンを信頼するなんて到底無理です」

    少し緊張気味になる。それでもかまわない。

    ハンジ分隊長の顔を見ると、その答えを待っていたかのように優しい表情をしていた。

    ハンジ「そうか…ありがとう、質問に答えてくれて。君みたいな子は多分、友達の死で調査兵団に入ったんだろうね」
  19. 19 : : 2015/01/02(金) 10:36:19

    俺は驚く。

    友達────アイツのことで調査兵団に入ったのもあながち間違ってはいない。



    ハンジ「優しいね、君は。だけどね、君みたいな優しい子にとってはこの世界は辛いだろうに…」


    俺はハンジ分隊長が何を言いたいのかわからなかった。

    ハンジ分隊長は満足そうな顔をして俺に「じゃあね」と言って去った。





  20. 20 : : 2015/01/04(日) 17:51:10


    「切望」



    無い物ねだりなんかしても無駄だということは知っていた。

    彼女の背を見れば、溜め息が出てしまう。

    彼女は優しくて温かくて綺麗、私にはないものだ。

    あなたが辛い思いをしていても、私の励ましの言葉ではあなたを勇気づけることはできない。

    あなたが楽しい思いをしていても、私はあなたと楽しいことを共有できない。

    あなたを助けるこの力しかない私に、あなたは鬱陶しく感じないのだろうか。
  21. 21 : : 2015/01/04(日) 17:51:33
    あなたがもし、助けられる立場でなくなったら、私はもう必要はないのかもしれない。

    あなたの目的の巨人がいなくなれば、私はもうあなたを守る必要もない。

    私は必要とされていないのかもしれない。

    「ミカサ?ミカサ」

    突然、体が揺らされ私は気づく。

    私の瞳にうつるのは、私が無い物ねだりをしていた人物、クリスタルであった。

    美しい金髪をなびかせ、綺麗な青い瞳。
  22. 22 : : 2015/01/04(日) 17:51:58
    誰もが憧れる容姿、そして

    全ての者に対し平等に接し、優しく振る舞い、間違いは正し、思い悩んでいれば一緒に考える。

    そんな彼女は綺麗で、〝天使〟や〝女神〟と称するのもわからなくはない。

    クリスタ「どうしたの?ミカサ。そんなボーッとしてしまって」

    私の顔を除きこむクリスタは、青い瞳を私に向けていた。

    ミカサ「何でもない…」

    クリスタ「何でもない、わけないんでしょう?ミカサがボーッとしていることなんて珍しいことなのだし…」
  23. 23 : : 2015/01/04(日) 17:52:22
    周りがよく見える彼女は、少しでも異変があると気にかけてくれたりとする。

    優しさの塊と言ってもいいかもしれない。

    クリスタ「何かあるんでしょう?困っていることがあるのなら言って。私なんかが力になれるかわからないけど…」

    ミカサ「…ありがとう。その…、クリスタはどうしてそんなに親切なの?」

    私がそう聞くと、クリスタは驚いたような顔をしてこちらを見た。

    やはり、本人に聞いたからってわかるわけでもない。
  24. 24 : : 2015/01/04(日) 17:53:44
    ミカサ「ごめんなさい、無理な質問をしてしまった。やっぱり、大丈夫」

    私がそう言って行こうとすると、ミカサは私の手を掴んだ。

    クリスタの見た目からのか弱い体からの力から考えられないほど、私の手を掴んだ力は強かった。



    クリスタ「待って!その…私は親切なんかじゃないけど…、ミカサは今のままでもすごく親切だよ!」



    クリスタは私に訴えるかのような目で言った。
  25. 25 : : 2015/01/04(日) 17:54:14
    クリスタの言葉に驚いていた私は、しばらく言葉を詰まらせた。

    ミカサ「クリスタは私のどこを見て、親切だと思ったの?」

    クリスタはしばらく間を置いてから口を開いた。

    クリスタ「エレンが無茶なことをしていると止めてあげたり、アルミンが困っているとそっと助けてあげる、それに…」



    クリスタ「本当の親切というのは、周りが気づかないものだと思うの!」


  26. 26 : : 2015/01/04(日) 17:54:31
    ミカサ「気づかない…もの?」

    クリスタ「そう、親切にするのって誰かに感謝される為でも気づいてもらう為でもない。親切にしたいから親切にするものだと思う!」

    ミカサ「…そうかもしれない……。ありがとう、クリスタ」

    私がそう言うと、クリスタは笑った。

    その笑顔が輝いて見えたのは気のせいだろうか。








  27. 28 : : 2015/01/05(月) 20:07:35


    「遊戯」



    今日は水汲み当番だったサシャは水汲み場へと向かった。

    水汲み場に着くと、そこにはエレンがいた。

    サシャ「エレンじゃないですか、あれ?今日は二人だけなんですか?」

    エレンは少し驚いたような顔をしてから口を開いた。

    エレン「今日はアルミンもだったんだけど、アルミン風邪引いちまってな」
  28. 29 : : 2015/01/05(月) 20:08:10
    サシャ「それは大変ですね。まあ、今日は寒かったですし…」

    吐く息が白く、エレンの鼻の先もサシャの鼻の先も赤くなっていた。

    エレンはポケットに手をいれ、寒そうにしている。

    エレン「さっさと終わらそうぜ」

    サシャ「そうですね」

    そう言って二人は水汲みをし始めた。
  29. 30 : : 2015/01/05(月) 20:08:32



    サシャ「ふー終わりました。手が冷たいです」

    汲んでいる最中に手に溢してしまったサシャは、ひんやりする手を見て言った。

    この寒い冬の中、水は普通よりも冷たい。

    そのうえ、ただでさえ熱を欲している身体にひんやりとする水が触れるとより寒く感じる。

    エレン「まあ、頑張れよ」

    エレンは適当にサシャに相槌を打つ。
  30. 31 : : 2015/01/05(月) 20:08:47
    すると、サシャはそんなエレンに少し苛つくとあることを思い付いた。

    そして、ニヤリと笑う。

    サシャは手をエレンの方へと弾く。

    エレン「冷たっ!何するんだよ?」

    エレンは水をかけられたことに気付き、悲鳴に近いものをあげた。

    サシャ「フフッ、エレンが適当に相槌を打つのがいけないんですよ」

    不敵に笑うサシャにエレンは少し苛立ちを感じた。
  31. 32 : : 2015/01/05(月) 20:09:09
    そして、バケツに残った少しの水を手で掬うと、サシャにパシャリとかける。

    サシャ「な、何するんですか?!冷たいです!」

    エレン「あはは!仕返しだよ、さっきはよくも水をかけてくれたな!」

    エレンは大笑いしながら、サシャにそう言った。

    するとサシャもエレンに水をかけ始め、あっという間に水かけ合戦になり始めた。

    そして数十分経つと、二人は顔を見合わせて大笑いした。

    サシャ「エレンびしょ濡れじゃないですか!」

    エレン「サシャこそ、びしょびしょじゃねえか!」
  32. 33 : : 2015/01/05(月) 20:09:36




    その次の日

    サシャとエレンは風邪引いた。

    それは、自業自得なこと。

    アルミンとミカサにこっぴどく叱られたのは、

    当然なこと。






  33. 34 : : 2015/01/06(火) 19:48:48


    「自信」



    ジャンからマルコが死んだと聞かされたミカサは、下を俯いた。

    マルコとはさほど仲良かったわけではない。

    しかし、自分と同期で三年間は共に過ごしてきた仲間が死んだのだ。

    悲しげな気持ちにもなるだろう。

    ミカサの黒い髪が、気持ち悪い程生暖かい風に揺られ、宙を舞う。

    空を見上げれば、陽が沈んできて、夕日が見える。
  34. 35 : : 2015/01/06(火) 19:52:19
    ミカサはマルコと話した時のことを思い出す。

    関わりのないマルコと、一度だけ一対一で話した会話を、思い出す。




    その日は、訓練が休みで休日であった。

    エレンとアルミンはライナー達と出かけてしまったし、クリスタ達も出かけてしまった。

    部屋には、さほど仲が良くない同期が寝てたり、読書をしたりしていた。

    しかし、その雰囲気の中、いくらミカサと言えど気まずいものがあった。

    部屋から出て、行く宛ても無くミカサは散歩気分で、至るところを歩き回った。
  35. 36 : : 2015/01/06(火) 19:55:46
    食堂には、特に仲の良い人物も、関わりのある人物がいなかった。

    次に図書室に行くと、そこにはとある人物の姿。

    ミカサでさえ、その人物は非常に温厚で、作戦より仲間を優先する人物。

    ミカサには無いものを持っている気がした。

    ミカサ「マルコ」

    その人物とは、マルコのこと。

    ミカサがマルコの名前を呼ぶと、目を落としていた本から、上を向く。

    マルコは、ミカサに呼ばれたことに気付くなり、ふんわりと笑みを浮かべた。
  36. 37 : : 2015/01/06(火) 20:00:23
    マルコ「やあ、ミカサ。今日はあの二人と一緒じゃないのかい?」

    ミカサ「ええ、あの二人はライナー達と出かけているから。ここに座ってもいい?」

    ミカサがそう言って席を指差すと、マルコは笑みを浮かべたまま、

    マルコ「勿論、いいよ」

    そう言った。ミカサが席に座ると、正面にはマルコがいる。

    ミカサ「マルコは出かけないの?今日は良い天気だけど…」

    マルコ「ジャンが部屋で寝ているからね。別に買いたい物もないし…」

    ジャンとマルコはとても仲が良い。
  37. 38 : : 2015/01/06(火) 20:04:12
    少々気の荒いジャンに、温厚なマルコ。

    まるで、凸と凹の関係と言ってもいいかもしれない。

    真逆で対になる性格だからこそ、二人は仲が良いのかもしれない。


    マルコ「ミカサはさ、すごいよね」


    マルコが言った言葉にミカサは驚く。

    ミカサ「えっ?」

    マルコ「だって、自分のやることやることに、自信があるでしょ?」
  38. 39 : : 2015/01/06(火) 20:08:14
    マルコにそう言われ、ミカサは思い浮かべ、考えてみる。

    確かにマルコの言う通りに、自信とは言えずとも〝確信〟できるものがある。

    マルコ「ミカサみたいな自信は、僕は持っていない。すごく羨ましいよ」

    ミカサ「でも、マルコはすごいじゃない」

    ミカサがそう言うと、マルコは首をゆっくりと横に振る。

    マルコは、成績も今のところ上位で、座学の成績なんかはアルミンの次というところ。

    それに関しては、すごいと思わざる終えないものだ。

    立体機動だって、上手い方ではある。

    そんなマルコはどこが不安なのだろうか、そうミカサは考えを張り巡らせる。
  39. 40 : : 2015/01/06(火) 20:12:23
    マルコ「いつも自信がないんだ。自分は正しいのか、こういう結果で良かったのだろうか、と」

    初めて聞いたマルコの消極的な言葉であった。

    普段は温厚で、辛い時は周りを励まそうと積極的なマルコが、不安そうな表情を浮かべている。

    ミカサはマルコが言っていることは、違うと思った。

    ミカサはマルコの顔を覗きこむと、マルコは驚いたような表情をする。

    そして、温かな微笑みをミカサは、マルコに向ける。

    ミカサ「マルコはもっと自信を持つべき」
  40. 41 : : 2015/01/06(火) 20:17:16
    ミカサ「マルコのお陰で辛いことを乗り越えられている」

    ミカサ「マルコだからこそ、皆は貴方に背を任せ、時には判断を任せている、だから──」


    ミカサ「例え、貴方の判断が間違っていることがあるかもしれない。だけど、後悔はしても自分が選ぶことに自信を持って欲しい」


    ミカサ「貴方が自信を無くしてしまえば、貴方に判断を託した皆の思いが無駄になる。だから、自信を持って」



    ミカサ「皆は、貴方を信頼しているのだから…」

  41. 42 : : 2015/01/06(火) 20:22:56
    ミカサがそう言うと、マルコは驚いたような表情をするが、すぐにその表情は変わった。

    先ほどの曇りのような表情が、晴れ晴れとした表情になっている。

    マルコ「ミカサ、ありがとう。今すぐには無理だけど、少しずつつけていけたらと思う」

    ミカサ「マルコの役に立てたのなら、良かった」

    マルコ「本当にありがとう」

    マルコが自然に笑みを浮かべると、ミカサもつられて笑みを浮かべた。
  42. 43 : : 2015/01/06(火) 20:57:09



    そう懐かしく、そしてマルコの笑みを思い出した。

    マルコはいつだって、優しかったし、色々なことを教えてくれた。


    あんなにも温厚で仲間思いなマルコが死んだ──。


    それはミカサにも、そして同期等の心に、ぽっかりと穴が空いたようだった。

    振り返れば、マルコが笑ってくれる、そんな気がしたが、マルコはいなかった。


    ミカサ「…私こそ…、ありがとう」






  43. 44 : : 2015/01/07(水) 21:01:29


    「無邪気な愛を」



    あと三十分したら、消灯時間だろうである部屋は、賑わっていた。

    あははっ!と笑い声が響き、真ん中にある机では盛り上がっている。

    ベッドでも、楽しそうに笑う声が聞こえてくる。

    中には読書をして、静かに過ごしている者もいる。

    ベルトルトは、ベッドの上で窓の外を見ていた。
  44. 45 : : 2015/01/07(水) 21:04:33
    ベルトルトの故郷では、今見ている風景以上の綺麗な夜空が見えた。

    早く帰りたいな、と思うと少し苦しくそして辛くなる。

    ベルトルトが故郷に帰る頃には、ベルトルトの与えられた任務は遂行されてなくてはならない。

    任務遂行ということは、ここにいる同期等を殺さなくてはならないということである。

    そう思うと、まだ兵士でいたいと、思うのだ。

    しかし、それは叶わない、夢のまた夢の話である。
  45. 46 : : 2015/01/07(水) 21:07:22
    ベルトルトは戦士だ。

    戦士は与えられた任務を遂行し、結果を残さなくてはならない。

    戦士としての責任を果たさなくてはならないのだ。

    ベルトルト「はあ…」

    この夜空をずっと見ていたい。このまま、ずっと…、そういう思いにかられる。

    溜め息をつけば、つくほど、虚しさにかられ、胸が押し付けられるような気分になる。
  46. 47 : : 2015/01/07(水) 21:10:42
    「ベルトルト、寒いから窓閉めてくれよ」

    ふと、そう言われ、ベルトルトは「あ、うん。ごめん」と反射的に答えた。

    そして、窓を閉め、ようやく自分に声をかけた者を認識する。

    コニー「外なんか見て、どうしたんだ?何かあったのか?」

    ベルトルト「いや、別に。ただ、夜空が綺麗だなって思って」

    コニー「そうか、確かにこの時期は寒いけど夜空がスゲー綺麗だよな!」

    コニーはそう言ってニカッと笑う。


  47. 48 : : 2015/01/07(水) 21:13:18
    コニー「俺の故郷も、ここ以上の綺麗な夜空が見えたんだぜ?」

    ベルトルト「本当に?僕の故郷もそうだよ」

    ベルトルトは幼い頃、よく夜に家を脱け出して、夜空を見に行った。

    一緒に見ていたのは勿論、ライナーとアニ。

    冷たい風に真っ白な雪のような頬と鼻を薄い赤色に染めていた。

    その時に見た夜空は、とても綺麗だった。
  48. 49 : : 2015/01/07(水) 21:16:08
    コニー「村に帰りてえな。憲兵になれなかったら、どうしようか…」

    コニーが珍しく、そう言ったのでベルトルトは驚いた。

    ベルトルト「大丈夫だよ、コニー。コニーはいつも頑張ってるし、本当にすごいよ」

    コニー「本当か?ありがとな!ベルトルトと同じ兵団に入れたらいいな!」

    コニーはそう言ってニカッと笑う。

    屈託のない笑顔がまるで、夜空とは正反対で、

    暗い闇を照らす希望の太陽のように見えた。
  49. 50 : : 2015/01/07(水) 21:19:18
    ベルトルト「そうだね」

    ベルトルトがそう言うと、コニーは嬉しそうな表情をした。



    ──君は僕の真実を知らないままだったら、

    きっと君は無邪気な愛を僕にくれるだろう。

    しかし、僕の真実の姿を知ってしまったら、

    君はきっと、僕を叱るだろう。

    それでいいのだ。

    僕はそうされるべきものだから。


    無邪気な愛をありがとう、

    そうとだけ伝えたい。






  50. 51 : : 2015/01/08(木) 21:33:42


    「失恋」


    馬面と言われ続けてきた、ジャン・キルシュタインに同情する者は少なくはないだろう。

    死に急ぎ野郎と呼ばれ、自らが嫌った人物と同じ兵団へと入団する。

    そのうえ、その人物に成績で負けてしまう。

    そして、彼を特に哀れだと思うのはこれであると言える。


    彼は失恋したことに気づいていないのだ。


  51. 52 : : 2015/01/08(木) 21:41:31
    ジャンは恋をしていた。

    しかし、ジャンの思い人には好きな人がいる。

    そのことを、ジャンは知っている。それも痛いくらいに。

    無理だと諦めず、その人のことを思い続けるジャンは一途だ。


    しかし、無理な恋もまたあるのだ。
  52. 53 : : 2015/01/08(木) 21:43:29


    例え、

    どんなにその人に尽くそうとも、

    どんなにその人に愛を注いでも、

    どんなにその人に触れようとも、

    無理なものは無理なのだ。


    無理だと知っていながら、ジャンは諦めず、思い人を思い続ける。

    例え、挫けようとも。

  53. 54 : : 2015/01/08(木) 21:45:33
    挫けたとき、ジャンを励ますのは親友である、マルコ・ボット。

    マルコは優しい言葉で、傷付くジャンを癒すのだ。


    マルコ「ジャンの良さを知ってくれる人が必ずいるから」

    ジャン「俺は…ミカサがいいんだよ!」


    ジャンがそう言ってしまうと、親友の彼でもカバーしきれないものがある。
  54. 55 : : 2015/01/08(木) 21:47:36
    恋する者は無敵なのだ。

    失恋とは、恋する気持ちを失うこと。

    彼は本当の意味では、失恋ではないのかもしれない。

    例え周りが笑っても、馬鹿にしても、邪魔しようとも彼は思い人を好きでい続けるだろう。

    そして、そんな彼の周りにはきっと…


    人が集まるのだろう。





  55. 56 : : 2020/10/27(火) 10:10:58
    http://www.ssnote.net/users/homo
    ↑害悪登録ユーザー・提督のアカウント⚠️

    http://www.ssnote.net/groups/2536/archives/8
    ↑⚠️神威団・恋中騒動⚠️
    ⚠️提督とみかぱん謝罪⚠️

    ⚠️害悪登録ユーザー提督・にゃる・墓場⚠️
    ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️
    10 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:30:50 このユーザーのレスのみ表示する
    みかぱん氏に代わり私が謝罪させていただきます
    今回は誠にすみませんでした。


    13 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:59:46 このユーザーのレスのみ表示する
    >>12
    みかぱん氏がしくんだことに対しての謝罪でしたので
    現在みかぱん氏は謹慎中であり、代わりに謝罪をさせていただきました

    私自身の謝罪を忘れていました。すいません

    改めまして、今回は多大なるご迷惑をおかけし、誠にすみませんでした。
    今回の事に対し、カムイ団を解散したのも貴方への謝罪を含めてです
    あなたの心に深い傷を負わせてしまった事、本当にすみませんでした
    SS活動、頑張ってください。応援できるという立場ではございませんが、貴方のSSを陰ながら応援しています
    本当に今回はすみませんでした。




    ⚠️提督のサブ垢・墓場⚠️

    http://www.ssnote.net/users/taiyouakiyosi

    ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️

    56 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:53:40 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ごめんなさい。


    58 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:54:10 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ずっとここ見てました。
    怖くて怖くてたまらないんです。


    61 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:55:00 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    今までにしたことは謝りますし、近々このサイトからも消える予定なんです。
    お願いです、やめてください。


    65 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:56:26 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    元はといえば私の責任なんです。
    お願いです、許してください


    67 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    アカウントは消します。サブ垢もです。
    もう金輪際このサイトには関わりませんし、貴方に対しても何もいたしません。
    どうかお許しください…


    68 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:42 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    これは嘘じゃないです。
    本当にお願いします…



    79 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:01:54 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ホントにやめてください…お願いします…


    85 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:04:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    それに関しては本当に申し訳ありません。
    若気の至りで、謎の万能感がそのころにはあったんです。
    お願いですから今回だけはお慈悲をください


    89 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:05:34 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    もう二度としませんから…
    お願いです、許してください…

    5 : 墓場 : 2018/12/02(日) 10:28:43 このユーザーのレスのみ表示する
    ストレス発散とは言え、他ユーザーを巻き込みストレス発散に利用したこと、それに加えて荒らしをしてしまったこと、皆様にご迷惑をおかけししたことを謝罪します。
    本当に申し訳ございませんでした。
    元はと言えば、私が方々に火種を撒き散らしたのが原因であり、自制の効かない状態であったのは否定できません。
    私としましては、今後このようなことがないようにアカウントを消し、そのままこのnoteを去ろうと思います。
    今までご迷惑をおかけした皆様、改めまして誠に申し訳ございませんでした。

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chihiro

蘭々

@chihiro

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The story of 12 months シリーズ

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