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【ニセコイ】 楽「とにかく万里花を照れさせたいんだッ!」
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- 1 : 2014/12/31(水) 20:48:59 :
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【ニセコイ】 楽「とにかく万里花を照れさせたいんだッ!」
【ニセコイ】 楽「万里花が一途過ぎて、もうどうしようもないッ!」
の続編のようなものです。前作でやろうとしていた内容です。
――――万里花と出遭った当初の頃だった。
あいつの父親が警視総監。オレの親父がヤクザの組長。
その事を万里花に脅されて、強引にデートに誘われたあの案件。
街中でのデートと食事を終えて、親父さんに会うべく万里花の住むマンションへ。
そして、ヤクザ顔負けの怖さを持つ万里花の親父さんに圧倒されて、超ビビッていたオレ。
万里花はそんな父親の良いところをオレに教えてくれた。
万里花はオレのためならば、どんな姿・性格にもなれると言ってくれた。
当時は実感がわかなかったけど、それはとてもすごい決意の上での発言だっただろう。
それだけ、オレに好意を寄せてくれているのだと今なら再確認できる。
当時、そんな万里花に、オレはこう言った。
「今の喋り方の橘も昔の喋り方の橘も。今の髪の長さも昔の髪の長さの橘もオレは好きだ。」
…と。
すると、突然あいつは顔を真っ赤にするほど照れて、呂律も回らないほどに狼狽して逃げた。
いつも猛アタックを決めてくる万里花の面影はどこにもなく、ただただ照れていた。
鈍感キャラやっていた当時のオレでもすぐに気が付いた。
『万里花は普段はアプローチが積極的だけど、立場が逆転すると狼狽する。』
ん?意味がよく分からない?端的に言うとだな…。
『万里花は受けに回ると、めっちゃ弱い照れ症!』だという事だ。
楽「…という話だ。お前はどう思う、集?」
集「なぜ俺にそんな話をする?」
場面は回想から現実へと戻される。
『一条 楽』は、腐れ縁の友人『舞子 集』に大事な話があるといい、この場へ誘っていた。
回想を脳内へ直接インプットされ、集は訳が分からないといった様子で楽へ問うた。
対する楽の反応と言えば…。
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- 2 : 2014/12/31(水) 20:50:53 :
楽「キリッと」
集「されても意味不明だぞ。帰ってもいいか?」
楽「おいおい、そんな簡単に話をぶった切るなよ。」
集「大体なんだよ。さっきまでのだらだらと長い説明。」
楽「一部始終を伝えるのは、大事な過程だろ?」
集「知らんがな。」
集が思う事は尤《もっと》もである。
誰が他人の惚気話を聞かされに、わざわざ足を運ぶだろうか。
楽の妙に論旨に沿った言い訳も、集の興味根本を否定する言葉で遮られた。
楽「…可愛いと思うだろ?」
集「知らんがな、と言いたいところだが、楽の言いたい事も分かる。まぁ可愛いな。」
楽「だろ?だからオレは…。」
集「で?あれだけ冒頭からテンポの悪い前置きしておいて、言いたい事は最後の一文だろ?」
楽「最後まで言わせろよ。まぁ、その見解で間違いはないけどよ。」
そんな集を尻目に、楽は更に続けようとする。
最早、この男は自分の事を他人に伝えようとする事しか頭にないようである。なんて迷惑な。
集「わざわざ『屋上で話がある』とか言うから、何かと思ってついて来てみれば。」
楽「ん。」
集「聞かされてみれば、腐れ縁のただの惚気話だったと知った俺の心情よ。」
楽「ん。」
集「『ん。』じゃねぇよ。生返事の繰り返しやめろ。」
人の話を聞かない気満々な様子である。
もしかしたら、集の事を理解した上での、この生返事の応酬だったのかもしれない。
こういうやりとりができるのも、腐れ縁という仲があるからだろう。
楽「で、だ。」
集「また本題に入ろうとしている前にすまないが、もう一つだけ言わせてくれ。」
楽「ん。」
集「野郎二人が屋上でこんなしょうもない話をして黄昏ている。シュールだろ。」
楽「だって、こんな事、集にしか話せないだろ?」
集「…まぁ、いいさ。で、その後の話は?」
楽「そうそう!あの万里花の表情や仕草…もう一度とは言わず、何度も見たいんだよ。」
集「へー(棒)」
ここまでやりとりをして、ようやく引き出せた楽の“本題”。
集が思わず棒読みで流したくなる気持ちは、割と誰にでも理解できるのではないだろうか。
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- 3 : 2014/12/31(水) 20:51:30 :
楽「何度でも引き出してやりたい。あの照れMAXの万里花。」
集「ドSか、お前は。」
楽「俺は万里花に正直に向き合う事に決めたんだ」
楽「だから万里花の事をもっと好きになりたい。万里花を照れさせたいんだ!」
集「言ってる事はまともだけど、方法が下心満載だな。お前本当にあの一条楽か?」
こんな事できるのも二次創作だかr…ゲフン。
『こんな一条楽これ以上見たくない』と思われる方は、今のうちにお引返しください。
集「でも、それなら、俺に話さずにお前一人で勝手にやっていればいいだろ?」
集「さっきも聞いたけど、なぜ俺に話したんだ?」
楽「ちっちっちっ、集、お前分かってないなぁ。」
集「何がだよ。」
楽「お前が影から様子を窺って、万里花の可愛さを客観的に聞く事に意味があるんだよ!」
集「ゲスいな、これぞ下水道。」
楽「…で、ここまで聞いたお前の本音は?」
集「…超楽しそう♪」
そして、この本音である。
舞子集としての人格は、常に潜在していたという事である。いやぁ、げすいげすい。
楽「だと思って、お前に話したんだ。」
集「そういう頼みとあらば、協力するさ~♪」
楽「注意点としては、万里花を照れさせるだけで辱める事とは違う。ここ重要だ。」
集「へいへい。基本的にオレは傍観者に徹するって事だろ?後は適度なサポート・フォロー。」
楽「流石、集だな。そういう事は弁《わきま》えてる。」
集「じゃあ、話もまとまったところで、戻ろうぜ。今の俺達、明らかにおかしい。」
楽「合点だ。変な噂立たないうちに、退散だな。」
これが、男子高校生の日常とも言うべきか。
はたまた擬似リア充と愉快な仲間(笑)の悪だくみと称すべきか。
場所は、いつものにぎやかな教室へと移り変わる。――――
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- 4 : 2014/12/31(水) 20:52:01 :
万里花「あっ、楽様ぁ~!お昼ご一緒しましょう♪」
千棘「!」
小咲「!」
誠士郎「!」
そこでは、いつもの光景があった。
今は、お昼休み。お昼を購入しに食堂や購買へ足を運ぶ者。お弁当を持参する者さまざま。
教室では、生徒達が机をくっつけて、にぎやかにお弁当をつつきあったりしている。
楽の姿を見つけ、真っ先に声をかけ近づいて来る万里花。
いつにも増して、ご機嫌そうな様子である。
千棘や小咲、誠士郎も少し遅れて気付き、反応する様子が見られる。
万里花「楽様の分もお弁当作ってまいりましたので、是非!」
楽「あぁ、ありがとな、万里花。」
千棘「!?」
小咲「!?」
誠士郎「!?」
集(ほうほう、この様子だと皆は楽の橘さんへの呼び方に動揺しているようですなぁ。)
集の思った通り、3人は『万里花』という楽の呼び方に素早く反応した。
一切の違和感なく互いを名前で呼び合う2人の様子に動揺を隠せない3人。
集はこれから面白い展開が見られると直感し、傍観者に徹する事を決めていた。
万里花「今日は楽様に対抗すべく、いつも以上に気合を入れて作ってまいりました。」
万里花「必ず舌を感動させて見せますわよ、ふっふっふ。」
楽「いやいや、万里花の料理が元より美味いのは知ってるさ。」
楽「寧ろオレが技を習いたいくらいで。」
万里花「でしたら、楽様!今度の休日に一緒にお料理の修業でも…。」
千棘(ま、まずい…!)
小咲(このままだと、一条君が…!)
誠士郎(お嬢の一条楽が万里花に横取りに…くっ!ここは…。)
集(おーおー、皆焦り出した様子だなぁ。)
2人の間にいい雰囲気が流れる様子をただただ見ていた3人だったが、ここで展開が。
この流れはまずいと女の勘で察した3人は、おそらくこの後に…。
そう先の流れを予測していたのが集であった。察しが良いキャラ居ると扱いが楽だ(ボソッ。
万里花「で、でしたら…是非とも楽様!」
千棘「あー、ワタシもリョーリのベンキョーしないとイケナイナー。」
小咲「ソ、ソウダネー。ダレかオイシクするコツをオシエテホシイナー。」
誠士郎「わ、私も一人暮らしだから、料理の事は真摯に教えてほしい!頼む!!」
なんとも棒読みである。
反面、誠士郎は至って真面目な口調で頼み込む。
彼女は、純粋に料理の事を学びたいのだろう。
この時は一瞬、千棘の事を忘れているに相違ない。
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- 5 : 2014/12/31(水) 20:52:59 :
万里花(ちっ、邪魔が入りましたわね。でも、仕方ない事ですものね。)
楽「んー、俺は…まぁ構わないけど、万里花…お前はいいか?」
万里花「はいっ!皆さんで一緒にやった方が楽しいし、吸収も早いですものね!」
楽「そっか。ならよかった。じゃあ、今週末は俺ん家でも使って、皆で料理を…。」
千棘(なんか、この2人の雰囲気が…。)
小咲(いつもと違うというか…。)
誠士郎(万里花め~、お嬢が居るのに一条楽にべたべたするなど…ぐぬぬ。)
集(あっはっは。見てて楽しい~♪)
さて、ここから先は、楽と万里花の照れダイジェスト。
再度言いますが、引き返すなら今の内です。
万里花「では、楽様。お弁当をどうぞ。」
楽「ありがとな。じゃあ、オレの弁当も少し分けてやるよ。」
万里花「よ、よろしいのですか!?」
楽「ん?当たり前だろ…まぁ、試食みたいなものだ。」
集(言い訳下手だなぁ。)
万里花のお弁当が披露される。
事実、万里花の料理の腕は本物で、以前に皆も見ていたため、内心、気になってもいた。
万里花はいつものように、楽へアプローチを掛けに行く。
万里花「ではでは、楽様。お口まで運んで差し上げます。どーぞ、あーん。」
千棘「あっ!」
誠士郎「こら、万里花。お前はまたそうやって…。」
楽「……。」
万里花「あれ?どうされました楽様?お食べにならないんですか?」
楽「いやいや、寧ろオレが口まで運んでやるよ、ほら、万里花。あーんしろ。」
万里花「え…えぇ!?」
楽「どうしたんだ?いつもオレに食べさせた後に、やってくれって言っているだろ?」
万里花「そ、そそそっ、それはそうですけど…いざ素直にそう向けられると…あぅぅ。」
楽の第一の作戦。
受けに対して弱くなる万里花を照れさせるために、こちらからカウンターを仕掛けに行く。
案の定、万里花は想定外の事態に、すぐ狼狽する羽目に。
慣れていない事というのは、得てしてこんなもの。
楽は、積極的に攻めに入る姿勢を見せる。あくまで表面上は平静に。
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- 6 : 2014/12/31(水) 20:53:25 :
楽「ほら、あーん。」
万里花「あ、あああ…あむっ!」
集(楽の奴、やりおった…あっはっは♪)
千棘(ぽかーん。)
小咲(ぽかーん。)
誠士郎(ぽかーん。)
万里花(ぷしゅ~~。)
楽(よっし、1回目成功ッ!この万里花の表情!顔真っ赤だな♪)
万里花(ら、楽様が…楽様が…。)
内心で喜びを見せる楽。
万里花が混乱している内に、連続攻撃を仕掛けに行くことに。
楽「あ、万里花。口元に少し付いてるぞ。」
万里花「え?」
楽「ほら、動くなよ。取ってやるから…よし、もういいぞ。」
万里花「は、はしたない所を…すみません。」
楽「いいって。それにな。」
万里花「はい」
楽「普段きちんとしてる万里花のそんな少し抜けた所が俺は可愛いと思うぞ?」
万里花「ふぁっ!?」
千棘「ぶっ!」
小咲「こほっけほっ!」
楽「そういや万里花は昔もおっちょこちょいな所あったもんな。こいつめ。」
万里花(ぷしゅ~~~っ!)
集(楽の奴、攻めるなぁ。橘さん、既にふらふらじゃん。)
楽(ふっふ。早速2連続で照れ顔ゲットだ!)
『可愛い』といった言葉で急に褒められると照れやすい。
これも、以前に万里花の家へ行った時に分かった事だった。
今日の万里花は、振り回されっぱなしのようである。
そんなこんなでいちゃこら空間が形成されつつ、お昼が進んでいった。
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- 7 : 2014/12/31(水) 20:54:59 :
千棘「ごちそうさま~。」
小咲「一条君のお弁当、分けてもらったけど、やっぱり美味しいね!」
千棘「そ、そうね。ダーリンにしては良く出来たほうなんじゃない?ふふんっ。」
お昼も食べ終わり、皆くつろいでいる様子。
楽の弁当を少し分けてもらって、千棘と小咲も機嫌が良さそうであった。
楽「おいおい、小野寺はともかく、千棘からはひでぇ言われ様だな。」
小咲「ほ、本当に美味しかったからね、一条くん!?」
楽「わ、分かってるって。小野寺は千棘と違って酷い事言わないって事くらい。」
小咲(ホッ。)
千棘「ちょっと、小咲ちゃんの事は当然として、『私と違って』ってどういう意味よ!」
万里花「そのままの意味ではありませんか?現に今だって…。」
楽「こらこら、万里花も煽るような事言うなって。」
千棘「ぐぎぎ…。」
万里花「ふふん~♪」
誠士郎「お嬢も万里花もケンカはそこまで。だろ、一条楽?」
楽「そっ!」
集(このやりとりも何回目だろうなぁ~。)
普段の調子も取り戻したようで、千棘と万里花はまたもケンカ(小)していた。
だが、それも置いておいて、万里花としては料理の出来が気になったようである。
嬉々として、楽に問いかける。
万里花「ところで、楽様!今回の出来はいかがだったでしょうか?」
万里花「私としては、今までよりも味付けを一風変えてみて挑んでみたのですが…。」
楽「そうそう!今日の味は違うなって、食べてすぐに感じたよ。」
楽「語りたい事もあるけど、まずは…美味しかったぞ、万里花。さんきゅーな。」
万里花「嬉しいですわ、楽様っ!」
楽「今回の味付けもオレはきっと試したことないようなものだろうから、教えてくれ!」
万里花「はい、勿論ですわ!先程話した週末にでも是非!」
とてもいい雰囲気である。
ところが、この楽。まだ何か言おうとしている…。
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- 8 : 2014/12/31(水) 20:55:31 :
楽「でも、オレ嬉しいな。」
万里花「え、何がですか?」
楽「万里花がこうやって、弁当を作ってきてくれることも、味の研究してくれることも。」
万里花「え…それは…。」
楽「…オレの為に頑張ってくれているんだろ?だから、ありがとうって言いたくてな。」
万里花「ひゃっ?え、ええと…その…あの…。」
先ほどの事もあり、若干耐性がなくなった万里花に楽は追撃を加えた。
楽「これからも、また料理作ってくれよ?」
万里花「はぅぅ…も、勿論…喜ん…で。」
集(あーあ、橘さん、あまりの照れと嬉しさのあまりに倒れちゃったよ。)
楽(気持ちを正直に伝えただけなんだけど、照れ過ぎじゃないか?)
集(楽よ、今のお前…ただのジゴロみたいだぞ?)
言葉は少なく、飾り気のあったものではないが、今の万里花を倒れさせるには十分であった。
千棘「あーあ、万里花なにやってんの。」
小咲「橘さん、しっかり!」
誠士郎「ここは私にお任せを。万里花を保健室へ連れていって寝かせてきます。」
集(リア充爆発しろとは言わんが、楽は爆発した方がいいかもしれないな。)
集(桐崎さんも小野寺も案外呑気なものなのかねぇ。楽達の変化に追い付いていないとか?)
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- 9 : 2014/12/31(水) 20:55:39 :
誠士郎が先駆けて万里花を運んでいった後、楽はぽつりと言い出した。
楽「オレ…様子見てくるわ。看病とかもしたいし。」
千棘「あ…!」
小咲「な、なら私達も…。」
楽「…いや、オレ一人で行かせてくれ。頼む。」
千棘「でも、万里花とはいえ、私達も心配だしね…。」
集「…ここは、楽の希望聞いてもらえないかな?」
楽「集…。」
千棘「うーん。」
集「橘さんもさ、あんまり大勢で保健室に駆けつけられても困惑するだろうし。」
集「楽に任せておけばいいと思うよ?」
楽の言葉だけでは弱いと思い、集が追い風を吹かせた。
他人からの言葉があれば、説得力や言葉の重みが増す。
決して意図して言ったわけではないが、気を利かせられるところが集の強みである。
千棘「でも…。」
小咲「……。」
集「だーいじょうぶだって!どうせやましい事なんてないさ、だって楽だぞ?」
楽「…まぁ、そうだな…って、おい、集!それどういう意味だよ!」
集「うん?言わなくても分かるだろ、へたれ楽さんよ?」
楽「けらけら笑いやがって。」
千棘「…ぷっ、確かに。」
小咲「うん、そうだね。一条君、一人で行ってあげて、くすすっ。」
楽「おいおい、千棘に小野寺まで…はぁ、分かったよ、集に感謝しとく。」
集「さっさと行け、ほらしっしっ!」
楽「…ありがとな、皆。」
そういい残し、楽は教室を後にした。
あの2人の事は、後は集に任せて大丈夫だと確信があった。
そのため、楽は心配せずに万里花の元へ向かう事ができた。
残された2人に、集はきっといい言葉を用いて鎮めてくれるだろうと思いながら…。
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- 10 : 2014/12/31(水) 20:56:47 :
楽「入るぞ?」
誠士郎「お、来たのか、一条楽。」
楽「あぁ。そうだ、ちなみに他の奴は来ないぞ?」
誠士郎「お嬢達が?どうしてだ?」
楽「あんまり皆で押しかけて騒がしくなっても、こいつに悪いだろ?」
誠士郎「なるほどな、貴様にしては気が利いた心がけだと思うぞ。」
楽「何を偉そうに…じゃあ。」
誠士郎「うむ。貴様がきたから、私もこれで部屋を出る事にしようか。後は任せたぞ。」
楽「あぁ、看病はオレ一人でも務まるよ。運んでくれてありがとな。」
誠士郎「ふんっ、これくらい軽いものだ。私はお嬢の元へ戻る。それじゃあな。」
保健室ですれ違った誠士郎にお礼を言い残し、楽は万里花の傍へ寄った。
楽「万里花…。」
万里花「うぅーん。」
楽「……。」
万里花「…あれ?楽様?」
楽「起きたのか?」
万里花「あれ?私…どうしてここに?」
楽「ちょっと眩んだのか、倒れたんだよ、お前。」
万里花「そう…でしたの。申し訳ありません、ご迷惑をお掛けして…。」
万里花は、まだ倒れた当時の事を思い出すのに、時間が要していた。
なぜ自分がここに居るのか分からず、ひとまず楽へ謝ろうと思ったのだった。
楽「いや、その…オレも悪かったんだよ。お前にちょっと露骨に…。」
万里花「露骨に…?…はっ、そ、そういえば、私先程楽様に…。」
楽「いや、オレが万里花を褒めたのは本心だぞ?」
楽「ただちょっと、意地悪く言ってみただけで…。」
楽を見て、ようやく先程の事を思い出したようだった。
思い出すと、とても恥ずかしさが込み上げて来て、万里花は思わず顔を赤らめる。
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- 11 : 2014/12/31(水) 20:57:07 :
万里花「あ、あげん褒められると…恥ずかしいばい…。」
楽「だ、だからすまなかったって。照れてる万里花。すげぇ可愛いんだからさ!」
万里花「らっくん…。で、でも!どげん恥ずかしかったと思うとるん?!」
万里花「他の人ならまだしも!ウ、ウチがらっくんの事好きなん、分かっとるんに…。」
楽「すまん。まさか照れ過ぎて卒倒するなんて、予想外で…。」
万里花「…ううん、それはもうよか。」
楽「え、いいのか?」
すぐに許してもらった事に、楽は意外だという表情を見せる。
万里花の本意は…。
万里花「らっくんがそれだけウチの事、好いてくれとるん分かったけん。」
楽「ま、まぁ…その、なんだ…万里花の事は…好きだぞ?」
万里花「らっくん!」
楽「お、おい。急に飛び出して大丈夫なのか?」
万里花「もう平気!らっくんに抱き着いたら、元気出たけん!」
楽「そ、そうか。なら良かった。」
万里花「…ずっと、こうしてらっくんの温かさ、感じていたい…。」
その気持ちは、楽にとってはとても嬉しいものだった。
しかし、自分と千棘の立場上、表立って万里花の事を好きだとは言えない。
楽「オレも…だけど、今はずっとそういう訳にはいかないのは、知ってるだろ?」
万里花「…うん。」
楽「だから、オレから万里花へのお願いだ。」
万里花「お願い?」
楽「そう。オレの事…ずっと好きでいてくれ。オレも万里花の事はずっと好きでいる。」
万里花「うぅっ…そんなん…当たり前ばい!」
楽「ありがとな。これからも、ずっと。」
万里花「らっくんを想う気持ち…昔からずっと、これからも絶対に変わらんよ。」
万里花の気持ちを再び聞けて良かったと安堵する楽。
対する万里花も同様である。
互いに互いが好きである事を、こうしたきっかけでまた再確認し、幸福感に包まれている。
そして、次に口を開いたのは…。
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- 12 : 2014/12/31(水) 20:57:26 :
楽「でも…。」
万里花「ん、何?」
楽「万里花の照れ姿、すっげぇ可愛かったからな!」
万里花「なっ!ら、らっくん、またそういう事言う。た、耐えられんよ。」
楽「でも、万里花としても嬉しかったんだろ?」
万里花「むぅ、そういう事、自分で言うん?」
楽「じゃあ、そういった事は、もう一切言わないでおこうかな。」
万里花「え!そ、それはそれで…寂しいけん。」
楽「…イジワルして悪い。でもさ、これがオレの本音で、万里花に対する想いなんだ。」
万里花「…それは?」
万里花もきっと、楽の本音は知っていた。
知っていても、そのうえで本人からその気持ちを聞きたいと思い、聞き返したのだった。
そして、楽が言ったその言葉は…。
楽「オレは、とにかく万里花を照れさせたいんだ!」
万里花「…知っとるよ。流石に気付くけん♪」
楽「だって、照れた万里花が可愛いんだから仕方ないだろ?」
万里花「ばからっくん…くすっ。」
La Fin.
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- 13 : 2014/12/31(水) 20:59:30 :
作者コメント:今年も年の瀬ですね。私は変わらず妄想でSS書いてきました。来年もきっと頑張ります。構想・文章ともに質の高い作品を生み出していけたらいいなぁと思い、SS創作のリハビリとしました。あでゅ!
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- 14 : 2015/03/01(日) 16:06:50 :
- いやー!いいですね、ほんと!
ほんと万里花可愛いですよね!
リハビリとは言わず、本格的にも
万里花を書いてください!お願いします!
めっちゃ期待しています(*´ω`*)!!
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- 15 : 2015/03/22(日) 23:10:43 :
- サイコーです
ちょっとにやけちゃいました!
二次創作はサイコーですね
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- 16 : 2015/04/04(土) 21:08:51 :
- まじ最高でした。続きも期待しています
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- 17 : 2016/10/08(土) 20:26:35 :
- マリーの可愛い表情が想像出来て、とても良かったです!
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- 18 : 2020/03/24(火) 14:25:52 :
- すごいよかったです。万里花のSSでは一番でした。これからも頑張ってください!
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- 19 : 2020/10/01(木) 22:58:08 :
- 高身長イケメン偏差値70代の生まれた時からnote民とは格が違って、黒帯で力も強くて身体能力も高いが、noteに個人情報を公開して引退まで追い込まれたラーメンマンの冒険
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恋中騒動 提督 みかぱん 絶賛恋仲 神威団
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害悪ユーザーカグラ
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害悪ユーザースルメ わたあめ
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害悪ユーザーエルドカエサル (カエサル)
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害悪ユーザー提督、にゃる、墓場
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害悪ユーザー墓場、提督の別アカ
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害悪ユーザー筋力
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害悪ユーザースルメ、カグラ、提督謝罪
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害悪ユーザー空山
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【キャロル様教団】
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何故、登録ユーザーは自演をするのだろうか??
コソコソ隠れて見てるのも知ってるぞ?
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