このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。
この作品は執筆を終了しています。
アビリティ・デスマッチ
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- 1 : 2014/12/28(日) 21:36:10 :
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異常ヶ峰学園に続く、長編です。
兼ねてより能力バトル系のssを考えていたので、書くことにしました。
※キャラ崩壊注意
※その他もろもろ注意
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- 2 : 2014/12/28(日) 21:48:09 :
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ここは、どこなのだろう。
僕は、何してるんだっけ?
ああ、わからなくなってきた。
目の前には、服がはだけた少女。
首から血を流し、既に息は無い。
秘部から血混じりの白濁液。
僕は……何をするべきなんだ?
始まりは……あの日。そう、あの日だ。
僕らが、互いの─────を─────う、─────の開始を告げられた、あの日。
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希望ヶ峰学園。
僕らはその生徒。
今、修学旅行が目の前だった。
舞園「苗木君!楽しみですね!」
苗木「そうだね…僕あんまり旅行したことないからさ」
狛枝「しかも行き先が南国の島なんて、なんて素晴らしいんだろうね!」
日向「はは、本当にな」
セレス「あら、とっとと荷物運んでくださる?」
山田「セ、セレス殿…これ、重い…何入って」
セレス「いいからさっさと積まねぇーかぁぁぁぁ!!!!!」
山田「積みます!山田一二三、時給ゼロ円の仕事します!!」
朝日奈「楽しみ〜!泳ぎ放題じゃ〜ん!!」
大神「ふふ…嬉しかろう、朝日奈よ。我も笑みを隠せぬな」
終里「朝日奈、どこまで潜る?深海魚でも捕まえたろうか!」
朝日奈「あはは、それいいね!」
みんな、楽しそうだ。
とても楽しそうで、僕はみんなの会話を聞いてるだけで自然と顔がニヤけた。
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- 3 : 2014/12/28(日) 22:02:47 :
バスの中。
霧切「苗木君、これ…」
舞園「苗木君、私クッキー焼いてきたんですよ!」
霧切「…」
桑田「え!舞園ちゃんの手作り?」
舞園「桑田君食べます?はい」
桑田「うひょー!ありがとう!」パクッ
桑田「…………ッ!!!」
舞園「ふふふ、ラー油クッキーですよ。どうですか?」
桑田「あ、はい……その、と、とても美味しゅうございます」
桑田クンの顔は真っ青だった。
小泉「みんな、写真とるよ!ほら、写って!」
最前列に座る小泉さんがカメラを掲げる。
パシャリッ
小泉さんは嬉しそうに微笑む。
日向「左右田、おい左右田、息をしろ」
左右田「…ハッ!バス酔いがピークに達して五臓六腑が活動を辞めてたぜ…」
日向「大丈夫かお前…」
バスは長い時間走っている。
苗木「…!」
苗木(ま、舞園さん…)
どうやら眠っているようで、僕の肩に寄りかかってきた。
苗木「…!!」
逆サイドにいる霧切さんも同じように肩に寄りかかってきた。
よく見ると、結構寝てる人が多い。
そのままバスはまだまだ長い時間走り、僕もいつの間にか眠りについていた。
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- 4 : 2014/12/28(日) 22:27:45 :
苗木「…ん?」
ここ、どこ?
教室?違う。何だ?倉庫?
わからない、ここはどこ?
みんなが倒れている。
苗木「ひ、日向クン、日向クン!」
一番近くにいた日向クンを揺さぶる。
日向「んう…苗木?」
日向「ん!?何だこれは!?」
苗木「わからない…とにかく、全員を起こそう!」
次々にみんなを起こし、全員が目を覚ました。
桑田「おいおい!なんだよここ!?」
大和田「何だコリャ!?どうなってやがる!」
豚神「落ち着け。…まずは状況を確認するぞ!」
戦刃「荷物が…無い」
澪田「携帯はある…けど、ここ電波まったく無ぇっす!」
各自が身につけていたもの以外は、荷物は取られている。
『アー、アー、起きた?みんな起きたよね?』
左右田「何だ!?おい誰だ?」
十神「アレのようだな…」
どこからか、マイクを持った生物が現れた。
白と黒、半分に分かれた…クマ?なのだろうか。
???『僕、モノクマ!モノクマだからモノクマって呼んでね!』
舞園「な、何…あれ…?」
モノクマ『モノクマです。まぁそれは置いておいて、皆様!ようこそ南国のリゾート・ジャバウォック島へ!』
…???
ジャバウォック島?
それ、僕らの宿泊先なんだけど…?
モノクマ『えーと、今君たちがいるのは飛行機の中なの!それでね、君たちの後ろにあるダンボールには人数分のパラシュートが入ってます!』
罪木「え、あ、あの、それって…」
モノクマ『まぁわかってると思うけど、パラシュートで降下していただきたいのです!説明が終わったらね!あ、でもとりあえず今のうちに付けておいて!』
大和田「おいコラ!ふざけたこと言ってんじゃねぇ!」
霧切「…とりあえず、装着しましょう」
大和田「お、おい霧切!!」
戦刃「私も、霧切さんに賛成。相手の正体が全くわからないのよ?今は従った方がいいと思う」
大和田「……」
モノクマ『全員つけた?それボタン一つで作動できて、しかも絡まんないから!』
モノクマ『で、ここからが本題です!』
モノクマ『これから、君たちは誰もいないジャバウォック島に閉じ込められます!』
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- 5 : 2014/12/28(日) 22:49:02 :
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…???
なんだって?閉じ込められる?
ペコ「…どういうことだ、それは」
モノクマ『勿論救助のためのボートは用意してるよ!でもね、そのボートには3人までしか乗れないの!!』
モノクマ『まぁ何が言いたいかと言うとね』
モノクマ『島から出たかったら、3人になるまで殺し合ってください!ってこと!』
葉隠「はぁ!?」
ソニア「あ、あの、今何と…じょ、冗談ですよね?」
モノクマ『僕は冗談は嫌いです』
途端、みんなの顔が一瞬で青ざめた。
モノクマ『だけどさぁ、殺し合えって言ったって、例えば不二咲さんが喧嘩で大和田くんに勝てるわけないよね?』
モノクマ『だけど、安心して!そんなときのための、あるルールを設けております!』
ルール?
一体何だ?
モノクマ『誰かを殺したら、その殺した人の才能を奪うことができます!』
????????????
みんなの顔がポカンとなる。
モノクマ『例えば、舞園さんが桑田くんを殺したとしましょう!そうすれば舞園さんは”超高校級の野球選手”の才能が手に入り、遠距離からの攻撃が可能になります!』
モノクマ『逆に桑田くんが大和田くんや辺古山さんを殺したら、遠距離にも近距離にも対応できるファイターの出来上がり!』
モノクマ『弐大くんが舞園さんを殺せば、歌って踊れるプリティーなマネージャーが誕生するのです!!!』
モノクマ『…と、そんなわけです。これで説明終わり。質問は?ある?』
…………。
質問が無いわけじゃない。
今のこの状況に、頭が追いついていないのだ。
モノクマ『じゃあ皆さん、今から足場が傾きますので、滑り落ちたくない人は自主的に飛び降りてパラシュートを展開してください!!』
大きな音がして、床がだんだん傾き、機内に風が入り込む。
「うおおおおお!!」
「きゃああああ!!」
「あわわわ……とうっ!!」
落とされたり、自らジャンプしたり、そうして皆がバラバラになっていく。
日向「…くそっ!」
俺は床の傾きを利用し、助走をつけて思いっきり飛んだ。
お互いに殺し合い、お互いの才能を奪い合う。
才能奪取サバイバルが、始まった…。
プロローグ『開幕』 END
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- 7 : 2014/12/29(月) 14:35:29 :
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日向「うおあっ!!」
日向は風であおられ、林の中に突っ込んだ。
パラシュートが木の枝に絡まってしまったので、装置を外して受け身で着陸する。
ここが…ジャバウォック島?
林を抜けると、青空がバッと広がり、陽が照りつける。
日向は携帯を確認する。
時刻は…14時。
……未だにガラケーを使っているのかと皆に笑われたものだ。
同時刻…
苗木「ふう…」
これも”幸運”のおかげなのか、何事もなく無事に着陸した。
苗木「ここは…」
目の前の建物には、病院のマークが見える。
あそこに隠れれば…
いや!だめだ!
苗木「同じことを考えてる人がきっといるはずだ… …ん?いや、じゃあ好都合なのか?」
そうだ、隠れてるということは殺し合う意思がない証拠じゃないか。
苗木「絶対に…誰一人、死なせない」
みんなでこの島から出るんだ!!
同時刻…
霧切「………」
少女は既に着陸、辺りを調査していた。
周りに人の気配がないことまで確認済みである。
霧切(さっき錆び付いた『軍事施設』の文字があった…)
霧切(何か、武器になるようなものくらいは持っておいた方がいいわね)
同時刻…
大和田「不二咲、怪我はないか?」
不二咲「うん」
大和田「そうか…良かった。あれ、見ろ」
ナイフとフォークが×の形に交差した看板。
大和田「食料が確保できるかもしれねぇ。それに、食器か何かあるだろ、武器になる何かがあるかもしれねぇ…」
不二咲「そっか…今食べ物もないしね…」
大和田「おう。まずはあそこ行こうぜ」
不二咲「うん!」
大和田は、安心していた。
ひとつは…不二咲千尋がとりあえず無事であること。
そしてもうひとつは…生き残れるのが『3人』、つまり『必ず2人は生きて島から出られる』ということ。
…良かった。
こういった状況の場合、ほとんどが『最後の1人になるまで殺し合え』と言われる。
だが、あのふざけたクマは丁寧にも『3人』と言った。
そう、3人。
少なくとも、不二咲と兄弟…もとい、石丸は生きて島から出られる。
俺は何も、この2人だけが友達というわけではない。
いろんな奴と話し、笑い、怒り、泣いた。
だが、俺にはやはりこの2人の命が一番大切なんだ。
…自分まで生き残ろうだなんて贅沢は言わない。
俺はただ、この2人に生きてほしいだけ。
不二咲を、兄弟を守る。
そのためなら何だって犠牲にしてやる。
…来いよ。
……皆殺しにしてやる。
大和田紋土は拳をグッと握りしめた。
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- 8 : 2014/12/29(月) 18:03:12 :
- 期待しかないです!!
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- 11 : 2014/12/29(月) 19:41:55 :
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>>8
ありがとうございます!!
九頭龍「だけど、ペコ!俺はお前を…」
ペコ「なりません、坊ちゃん」
橋の上でのやりとりだった。
ペコ「戦刃、大神、大和田…そして私。この4人はまず狙われるでしょう」
軍人に格闘家に、喧嘩術と剣術。
このようなサバイバルにおいては、これらは最強クラスの能力である。
九頭龍「だからこそ俺がお前を守…」
ペコ「私は、坊ちゃんを犠牲にしたくはない」
九頭龍「………」
ペコ「これだけは…従えません。 どうか……わかってください」
九頭龍「……わかった。 …ただし!」
九頭龍「生き残れ。…絶対に死ぬな」
ペコ「…はい。」
それだけ言うと、男女は背を向けてそれぞれ異なる方向へ歩き出した。
女は、今にも泣きそうな感情を我慢して橋を渡った。
男は、二回ほど後ろを向いてしまった。
そして我慢できなかった涙を拭いた。
同時刻…
澪田「………」
3人まで?
何で、3人なんすか?
いいじゃないっすか、全員で。
32人じゃ何がどう不服なの?
澪田(もう…みんなで笑えない?)
澪田(もう…みんなで騒げない?)
澪田(もう…あの頃に、あの時に戻れないの?)
西園寺「澪田おねぇ!!」
右からの声。
考え事をしていて、『耳を』『研ぎ澄ます』のを忘れていた。
澪田「…日寄子ちゃん」
涙目になっている。
彼女はきっと、着陸して最初に見つけたのが澪田唯吹だったのだろう。
西園寺「おねえは…私を、殺したり、しないよね…?」
澪田「……当然じゃないっすか。誰も…殺したくなんかねぇっす」
西園寺「よ、よかった…」
ふらふらと寄ってくる。
……しかし。
澪田「やめて。」
その身体を手で払う。
西園寺「お、おねえ?ど…どうして……」
澪田「唯吹は…誰とも組む気は無ぇっす。 誰とも組まないし、誰も殺したくない……」
西園寺「ま、待って……」
澪田「…早く、逃げた方がいいっすよ。2キロ先…男性の足音。重いものを所持してるような音では無いけれど、きっと何か凶器は隠してるはず」
西園寺「おねえ!!待って、待ってよぉお!!置いて行かないで!!あああああ!!うえぇぇえぇぇええええぇぇん!!!!」
その場で泣き崩れる西園寺の悲鳴が耳を越して脳にまで焼き付いた。
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- 12 : 2014/12/29(月) 20:02:47 :
- あれっ、澪田の能力結構チートじゃね?
期待です
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- 13 : 2014/12/29(月) 20:31:52 :
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軍事施設を徘徊するも、何故か武器の類はほとんど見当たらない。
拳銃はあるのだが、弾丸が全くと言っていいほど見つからないのだ。
霧切(……別の場所にあるのかしら)
そして、珍しい物を見つけた。
霧切「……?」
片手に収まる程度の大きさの、立方体だった。
振ると、チャプチャプと液体の音が聞こえる。
それに、何かを映し出すような小さな表示窓がある。
ピッ
!!
表示窓の下にスイッチがある。
どうやら、触っているうちに押してしまったようだ。
…すると、どうだろう。
『10』
『9』
『8』
表示窓にデジタル数字が表示され、どんどんカウントダウンしていくではないか。
霧切(何か…嫌な予感が…)
彼女の勘が身体を動かす。
手に持っていた『立方体』を海へと投げ捨てたのだ。
霧切(…4…3…2…1…0)
海がドーンと、噴火のように水しぶきをあげた。
その『立方体』は、海の中で爆発したのだ。
霧切(……時限爆弾…だったようね)
よく見たら、ご丁寧にそれ専用のポーチまで付いている。
専用のポーチにはくぼみが8つ。
ひとつ爆発させたので、残りはあと7個。
霧切(7個…使いどころが肝心ね)
霧切は改めて爆発させた海辺を見て、初めて気がついた。
霧切「…もう夕方ね」
どうやら、随分な時間軍事施設を彷徨っていたらしい。
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- 14 : 2014/12/29(月) 21:29:35 :
- (おっ、タイマーBIMかな?期待です)
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- 15 : 2014/12/30(火) 01:04:17 :
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>>14
さすがです…わかっていらっしゃる
日向(もう暗くなるな…)
日向(どこか…安全に休めるところを探さなきゃ)
田中「…日向か」
日向「うおっ!?」
振り向くと、銅像の影に田中が立っていた。
日向「た、田中…生きてたんだな」
田中「フン、当然よ。この俺を誰だと思ってるんだ」
日向「お、おう」
田中「お前、ホテルのある島から来たようだな」
日向「ホ、ホテル?」
日向(林を抜けてすぐ橋を渡ってきたから気づかなかった…)
日向(にしても…)
日向「なんでホテルがあるって知ってんだよ?」
田中「地図に書いてあるだろう」
日向「地図?」
田中「パラシュートのポケットに入っていた。おそらく全員そうだろう」
パラシュートは林の中なんだよなぁ…。
日向「そ、そうだったのか… っとそんなことよりも!!」
日向「お前、この殺し合いには反対だよな!?」
田中「当然だ」
日向「なら、俺と「だが断る」
日向「えっ…」
田中「俺は、俺のやりたいようにやる。よって、貴様とは手を組まん。ホテルまでの同行ならしてやらなくもないがな」
日向「本当か?」
田中「ああ。俺も寝床を欲している身だからな」
日向「よ、良かった…」
田中「安心するなよ。先に宣言しておくが、俺は危険が迫ったらお前を身代わりにして逃げるからな」
日向「はは…厳しいな」
今夜は安全そうだな。
夜になり、辺りは暗く、施設の明かりを頼りに皆は行動する。
海や砂浜は月明かりに照らされる。
その中でひっそりと、殺し合いは起きていた。
桑田「葉隠…テメェ、どういうつもりだ」
葉隠「お、おお俺はまだ、死にたくない。やりたいことが沢山ある。だから…生きてここから出なきゃ行けねぇんだべ」
葉隠「頼む桑田っち!大人しく死んでくれぇ!」
桑田「やめろ、葉隠!お前、今まで一緒に過ごしてきた仲間を…」
葉隠「そんなもんが何だってんだ!?あの罪木っちがメス振り回して俺に襲いかかってきたんだぞ!?」
桑田「なっ…」
葉隠「人間なんてそんなもんだ…自分のためなら友情なんざ仲間なんざ簡単に切り捨てんだべ!!」
葉隠「だから…俺も『そうする』。この島での、殺し合いのルールに沿って頭を『適応させる』ことにしたんだ!!」
葉隠……まじかよ!!
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- 16 : 2014/12/30(火) 01:24:34 :
葉隠はポケットから手術用のメスを取り出すと襲いかかってきた。
桑田(くそっ、アイツ…どうする!?)
少し距離がある。
その距離を利用して…
桑田「オラァ!」
ポケットに入れていた石を投げた。
だが、葉隠もただの木偶の坊ではない。
借金取りやヤクザから逃げ回る葉隠康比呂の人生。
戦刃ほどではないが、事実上の死と隣り合わせで生きてきた彼は、反射神経は並のスポーツ選手に匹敵するほどに優れていた。
150キロ以上の高速を叩き出す桑田の投球を顔色一つ変えずにかわしたのだ。
桑田「なっ…」
葉隠「死んでくれぇ!俺のためにもッ!」
間一髪でメスの攻撃を躱す。
だが、次から次へと襲いかかる斬撃をかわす桑田は態勢を整えることができず、よろめいていた。
葉隠もそれを見逃さない。
桑田が屈んだところにメスを振り上げる。
葉隠「おらあぁぁぁ!!」
桑田「……捕らえたぜ」
桑田も、葉隠に隙ができるのを待っていた。
よろめくふりをしながら。
桑田「オラァ!!」
葉隠「がッ!?」
屈んだ姿勢から左足を大きく踏み込んでのアンダースロー!!
予測できなかった葉隠はかわすこともままならず、石が腹に直撃。メスを落とし怯む。
桑田はすぐに態勢を整えて右手を顔面にお見舞いする……はずだった。
葉隠もまたすぐに態勢を整えて、桑田の喉に両手を伸ばしたのだ。
桑田「がっ……て……めぇ……」
桑田は後ろに倒れこみ、尻餅ついてしまう。
葉隠「俺は…生き残りてぇんだ…!!頼むよォ!!」
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- 17 : 2014/12/30(火) 03:26:01 :
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生き残りたい?
そんなもん…みんな同じだっつうの!!
桑田「ふ…ざっ…けんなっ!!」
右脚をグッと曲げ、伸ばす。
葉隠の腹に蹴りをいれた。
葉隠「がっは!!ごほっ!!」
形勢逆転。
倒れた葉隠に馬乗りになり、顔面に一発。
それでもジタバタと暴れる葉隠に、また一発。
しかし、その時。
桑田怜恩の身体に、既に異変は起きていた。
桑田の耳を邪魔するのは、学園生活での葉隠の笑い声。
桑田の頭を邪魔するのは、皆にいじられて眉をひそめる葉隠の顔。
桑田の目を邪魔するのは、目の前の、瀕死の葉隠の顔。
桑田「…やめろ」
桑田「やめろおおおお!!!」
必死に頭を左右に振り、『それら』を振り払おうとする。
葉隠の顔を殴打する右手が加速していることにも気付かないほどに。
しかし、いくら振り払おうとしても、葉隠の笑い声は、皆の笑い声は消えない。
桑田「やめろっつってんだろおおお!!!!!そんなもん…ぞんなもん思い出じたぐねぇよおぉぉぉぉぉ!!!!」
一発。
また一発。
葉隠を殴るたびに桑田の脳裏に浮かぶのは、彼と過ごしたその日々、その青春。
笑い声が、脳に響く。
朝日奈が、大和田が、桑田自身が、葉隠をいじる。
それに皆が一斉に笑う。
眉をひそめ、自身も笑いながらその扱いに抗議する葉隠。
その声、その台詞、その訛り。
桑田「やめろ…!!やめてくれ…!!」
桑田は泣いていた。
涙が溢れ、鼻水を垂れ流し、涎を撒き散らしながら、それでも血に染まった右手は殴るのを止めない。
皆の笑い声は、葉隠と、彼らと過ごした日々は、拳を動かす度に桑田怜恩の脳裏に浮かぶ。
そして、消えず。
永遠に、桑田の頭に残り、幻覚となり、彼をこうして苦しめる。
桑田「やめろっ!やめろっ!!消えてくれ!!!」
桑田「嫌だっ!!」
桑田「嫌だっ!!!嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!!嫌だああああぁぁあぁぁぁあああぁああぁぁぁああああああ!!!!!!!!!!」
泣いて泣いて、喚き散らしながら、それでも鼻の骨が折れる感覚を手で感じ、やっと我に返った。
葉隠は、笑ってなどいない。
笑い声など、発してはいない。
当たり前だ。
目を見開き、顔中を青く腫らし、鼻や口から血を流すのに忙しい葉隠に、笑ってる暇などあるわけがないだろう。
桑田「あ…あ……あぁ」
うろたえる桑田。
だが、葉隠の死より恐ろしいことが彼の身に起こる。
それは彼がたしかに、”超高校級の占い師”の才能が自分の身体に『力』となって溢れるのを感じとったこと。
とどのつまり、『桑田怜恩が葉隠康比呂を殺した』ということ。
桑田「あああああああああ!!!!!!」
発狂し、頭を抱えながら逃げる。
桑田「嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ!!まだ、まだ聴こえる!!あいつの楽しそうな笑い声が聴こえるんだ!!!」
桑田「誰かっ…助けて、ここに来て、俺をっ!俺を支えてくれえええええ!!!!」
悲痛な叫びが、夜空に虚しく響いた。
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- 18 : 2014/12/30(火) 12:32:44 :
- この桑田を殺したら、野球選手と占い師の才能の2つが手に入るの?
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- 19 : 2014/12/30(火) 16:19:38 :
>>18
そちらについては、後ほど説明があります。
戦刃「別行動?」
江ノ島「そっ!別々のルートを通って敵を一掃すんのよ」
江ノ島「集合はホテルのロビー!どうよ?」
戦刃「うん、いいと思う」
江ノ島「おし!じゃ作戦開始な」
江ノ島盾子の携帯は深夜1時を指していた。
それから30分が過ぎた、深夜1時半。
戦刃むくろと辺古山ペコによる殺し合いは始まった。
ペコ「貴様……本気で殺すつもりか」
戦刃「…あなたが知る必要はない」
ペコ「そうか…なら私は、『正当防衛だ』とだけ言っておこう」
サバイバルナイフと日本刀の戦い。
ペコ(『身につけていたものは取られていない』か。今思えば、日本刀を選んで正解だったな)
いざ、勝負!!
『戦刃と辺古山の戦い』
その1…刃物を振り回す
これは、軽い刃を扱う戦刃の方が有利。
重い太刀を振る辺古山に比べ、スピードで圧倒できる。
その2…間合い
こちらは、日本刀を使い、更に”超高校級剣道家”である辺古山の方が有利。
彼女を軸とした一定の範囲内に入ることは、斬られることを意味する。
その3…経験
一人の軍人として戦場へ赴き、死と隣り合わせのサバイバルを経験した戦刃が圧倒的に有利である。
以上のことを考えると、戦刃が圧倒的に有利であった。
増してここは畳の上ではなく、木や草や土や建物が並んでいるのだ。
ペコ「くっ…」
お互いに体力を削り合う中、最初にダメージを負ったのは辺古山の方だった。
辺古山は片膝をついてしまう。
戦刃「あなたに私怨は無い。けれど…これも盾子ちゃんのため」
戦刃「おとなしく…死んでほしい」
ペコ(ああ……哀しい)
ペコ(こいつは、何も考えちゃいないんだ)
ペコ(自分は今なにをするべきか?どうするのが正しい?また、その理由は?)
ペコ(『自分の頭で』、『考える』ことを、辞めている)
ペコ「哀れだな、戦刃むくろ」
ザンッ!!
肉眼で捉え切れないほどの速さ。
辺古山ペコが放ったその一閃は、戦刃むくろの右腕を綺麗に切断した。
その4…覚悟
アシダカグモは巣網は張らず、『生物最強クラスの瞬発力を持つ』というゴキブリを走って捕らえるという。
『ぶらぶらしてたら腹が減ったから近い位置にある住宅に飯を貰いにきた』ゴキブリは、
『ゴキブリを殺すヴィジョンを持った』アシダカグモには勝てないのだ。
同じこと。
『根拠は無いが、まぁ妹のためだから敵を倒す』戦闘のプロは、
『愛する人のために命をかけて戦う』剣道家には勝てないのだ。
サバイバルナイフとともに右腕がボトッと戦刃の身体から落ちる。
戦刃「……っ!!…、…!……っ!!」
バランスを崩しながらも必死に声を殺す戦刃。
苦し紛れの彼女が左手で投げてきたものは…
ペコ(あれは……手榴弾!!?)
辺古山は即座に後退、転がりながら地面に伏せる。
ペコ(ん?)
轟音もなければ、爆発もない。
ペコ「煙幕……だったのか?」
戦刃の姿はない。
ペコ「…フン」
刀身を鞘に収め、歩き出した。
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- 20 : 2014/12/31(水) 00:54:26 :
- 異常ヶ峰学園お疲れ様です!
このssも楽しみにしてます!
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- 21 : 2014/12/31(水) 01:17:41 :
西園寺「澪田おねえは…私を置いて行った…ぐすっ」
苗木「だ、大丈夫だって。澪田さんもこんな状況で頭が混乱してたんだよ」
西園寺「でも…誰とも組まないって…ひっぐ…」
苗木「大丈夫。僕がついてるからさ」
必ず…守る。
みんなで…必ずみんなでここから出る!!
同時刻…
霧切響子の調査後、ある男が軍事施設へ入って行った。
そして…
九頭龍「軍事施設…か」
弾…あるかもな。
九頭龍は胸元にしまっていたリボルバーを取り出す。
6発…。
今撃てるのは6発。
九頭龍「……」
何で、こんなことになったんだろうな。
俺はただ、ペコを守りたかっただけなのに。
今まで俺が頼りにしてきたから、せめてその恩返しをしたかった。
ただ、それだけの話。
パンッッ!!!
九頭龍「!!」
今のは、発砲音。
あの鉄扉の向こうから、確かに聞こえた。
九頭龍「……誰だ」
いる。
誰かが…この軍事施設にいる!!
そして、夜は明けた。
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- 22 : 2014/12/31(水) 02:29:39 :
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>>20
ありがとうございます!
日向「…ん」
俺と田中は十数個あるコテージのひとつで眠っていた。
日向「…田中?」
いない。
俺と組む気はない…って言ってたしな。もうどこかへ行ったのかな。
携帯を開くと、朝の8時。
日向「ん!?」
普段携帯を使っていてもあまり気に留めないだろう。
だが、その驚きはこの島だからこそだった。
メールが来ているのだ。1件だけ。
日向(この島に電波は無かったはず!!)
恐る恐る開くと、『コロシアイ修学旅行 実行委員』と書かれている。
コロシアイ修学旅行 実行委員からのお知らせ
昨日死んだ生徒
葉隠康比呂
以上 1名
残り 31名
コロシアイ修学旅行 実行委員
日向「なんだよ、これ…」
受信時刻は7時となっている。
日向(みんなにも届いてるのか?)
日向(それに…葉隠…。あいつが…)
同時刻…
左右田「ソニアさん…これ…」
ソニア「はい…葉隠さんが…」
左右田「そんな、嘘だろ…?昨日の時点で既に殺し合いが起きてたのかよ…!!」
ソニア「それも…私達の誰か、なんですよね…?葉隠さんを殺したの…」
左右田「そうなりますね…考えたくないですが」
左右田「だ、大丈夫です!心配しなくていいですよ!ソニアさんは俺が守りますから!」
ソニア「…頼もしいです、左右田さん」
…次はお前の番だ、左右田和一。
同時刻…
江ノ島「あらぁ?どうしちゃったのその右腕」
戦刃「…斬られた。辺古山さんに」
江ノ島「あらら。こっち誰もいなかったってのにねぇ」
戦刃「ねぇ、盾子ちゃん」
江ノ島「ん?」
戦刃「盾子ちゃん、本当に何も知らないの?」
江ノ島「どゆこと?」
戦刃「辺古山さんがいることを知ってたんじゃなくて?」
江ノ島「いや、知るわけないじゃん。いくらこの私様でも予知能力や透視能力はナッシング」
戦刃「そっか…。 ……そうだよね」
江ノ島「………」
江ノ島(あーあ…めんどくせ)
江ノ島(残姉のくせに変なとこ勘付きやがって)
江ノ島(片腕だし、ナイフも持ってないし、コイツはもう使えないな)
江ノ島「あ、あれ苗木君じゃねー?」
戦刃「え!?な、苗木君どこ!? ……あ、いや、苗木君がどうかした?」
江ノ島「ほら、あそこ。 …ちょっと声かけちゃおっかなぁ〜?」
戦刃「えっと……何処?」
戦刃「……がっ、」
息ができない。
首を絞められている。
戦刃「かはっ、ごっ、あっ…ちょっ……」
絞める強さはますます強くなる。
戦刃「じゅ……ん……………ちゃ……」
無念なり。
これが、超高校級の軍人の最期だった。
江ノ島「ふう」
絞殺に使用したネクタイを結び直す。
江ノ島「ま、アンタのことだから足手まといでいるよりは私様のためになった方が幸せっしょ?」
さてと。これで私も参戦できる。
江ノ島「皆殺しといきましょーか!」
-
- 23 : 2014/12/31(水) 10:19:29 :
- 盾子ちゃん!?
何やってんの!??
期待です!!
-
- 25 : 2014/12/31(水) 20:21:18 :
- 展開が読めない…!!
期待です!!
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- 26 : 2015/01/01(木) 22:48:56 :
-
>>25
ありがとうございます!!
あまりに突然だった。
旧館の広間に身を潜めていた大神さくらと朝日奈葵のもとに、明らかに殺気を帯びた江ノ島盾子がやってきたのだ。
床下に隠れていた花村輝輝はただ鉄串を握りしめて怯えることしかできなかった。
声が、騒音がさらに花村を怯えさせる。
床下からでは確認しづらいが、どうやら江ノ島盾子は実の姉の”才能”を奪ったようだ。
そんな話をしているし、さっきからそれっぽい動きで大神さくらを翻弄している。
「ああああああ!!!!」
高い断末魔。
あああああ!!!
朝日奈葵がやられたようだ。
首を何かで切られた?
あれは…手術で使う、メス?
騒音はさらに大きくなる。
大神さくらが怒り狂ったのだ。
親友を殺され、いつもの冷静さは無く、それはまるで本当の『オーガ』のように。
花村輝輝には、ただ恐怖に震えることしかできなかった。
花村(ど、どうしよう、やばい、逃げないと…!!)
だが、考え直す。
花村(江ノ島さんはきっと僕の存在に気付いたら殺しにかかるだろう。けど、大神さんならどうだ?)
花村(大神さんに味方しておけば…助けてもらえるかもしれない!)
花村は勇気を身体に蓄える。
花村(逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ)
花村(後に引けなくなっても、今ここで勇気を出すんだ!!)
仰向けになって少しずつ江ノ島の真下を目指す。
鉄串を地面と垂直に構えながら。
その時、タイミングは訪れた。
大神さくらが全力で江ノ島に向かって突進しているのだ。
対して、余裕をひけらかしておちょくる江ノ島。
花村は、江ノ島の真下、下着が見える位置まで徐々に移動する。
タイミングを見計らい、そして!
花村「ああああああ!!!」
江ノ島の足に鉄串を思いっきり突き刺した。
江ノ島「ん!?」
足を攻撃され、身動きが取れない江ノ島に、大神が思いっきりパンチを浴びせる。
江ノ島の身体は漫画のように吹き飛び、旧館の壁を壊して飛んで行った。
や、やった…
僕は勇気を振り絞って、正しい選択をした!
大神「今の声は…花村か?」
片膝をつき、床板の隙間の花村と目を合わせる。
花村「ははは……こ、怖かったけど、僕、頑張ったよ…ははは」
大神「…すまぬ。助かったぞ」
床板をベキベキと剥がし、花村を床下から出す。
大神「朝日奈を…埋葬したいのだ。手伝ってくれぬか」
同時刻…
江ノ島「うー。まさか刺客を用意してたなんてねぇ」
自身の身体を痛み止めや包帯で治療しながら呟く。
江ノ島「痛ぇなぁー…」
花村に刺された、足の傷。
なんと足の甲を貫通していたのだ。
江ノ島「まじで何があるかわかったもんじゃねぇわ」
まぁいいや。
”超高校級のスイマー”、なかなかの体力だねぇ。
これが手に入っただけでも良しとするかー。
-
- 28 : 2015/01/02(金) 04:52:21 :
-
江ノ島「ん、もう昼になんのか…」
江ノ島「あー、こりゃ歩けんわ」
江ノ島「あーもー、予想外だ。絶望的かもしれん」
右足を引きずりながら歩き出す。
日向「ここは…スーパーマーケット?」
『ロケットパンチマーケット』と書かれた看板。
日向(そうだ、俺昨日から何も食べてないじゃないか)
日向(多分もう残り少ないだろうけど、とにかく食料を手に入れないと)
…ってあれ?
驚いたことに、食料品はほとんど手が付けられていないに等しい状態だった。
ここへ来たのは、おそらくまだ1人か2人だと思われる。
ナイフやフォークなどの食器類は幾つか持って行ったような跡がある。
日向(武器に使うためにか…)
セレス「あら、先客がおりましたの」
人を見下したような独特の喋り方。
自分が入ってきた入り口を振り返る。
日向「セレス…」
セレス「安心してくださいまし。私は『今は』争う気はありませんわ」
山田「そうですな…我々はまだ、自身が持つ才能しか無いのですよ」
つまり、こいつらは誰かを殺したらいずれ俺にも手を伸ばすってことか…
けど……俺の才能って……?
セレス「あなたも食料を確保しにきたのでしょう?」
日向「ん?ああ…」
山田「目的は同じですな。今は休戦協定中ですぞ、そのような警戒した態度はやめなされ」
日向「…おう」
俺はポケットに入るサイズのものとペットボトルの水1本を持ってさっさと出て行った。
バッグの類が一切置いてなかったので、それくらいしか持っていくことができなかったのだ。
日向「………才能を奪う」
日向「才能が……貰える」
俺は、自分が何の取り柄もない人間だと知っている。
才能という言葉に執着し、何一つ持たないのに必死に悪あがきしていることも。
それが偶然、ほんの偶然だ。
高い金を払って、薄汚い『予備学科』で、少しでも本科の生徒に近づこうと、希望に近づこうと頑張った結果、俺は”超高校級の[努力家]”として、最近本科に移動が決定した。
だが果たしてそれは、才能と言えるのだろうか…?
多分俺は、『168キロの球を投げる』とか、『絶滅危惧種を繁殖できる』とか、『数々の難事件をほぼ1人で解決してきた』とか、そういう具体的な才能が欲しいんだと思う。
『努力家』だなんて、誰でもなれる。
そんなものではなく、きっと俺は唯一無二の才能を求めているんだ。
……昨日だって、そう。
心の片隅で、田中を殺そうと考えていた。
凶器という凶器がないから断念しただけで。
もし何か持っていたら、おれはあのとき田中を……。
日向「………」
俺、どうしたいのかな。
みんなで生きてここから脱出したいって思ってたけど、本当にそうなのか?
本当は…みんなの才能が欲しいんじゃないのか……?
-
- 30 : 2015/01/03(土) 02:59:59 :
この際ハッキリと言うが、俺は石丸、十神、ソニア、九頭龍の才能に全く魅力を感じない。
具体的に何をしたという例がないからだ。
しかもそのうち3人は家柄だというだけで入学を認められている。
…正直、憎かった。
日向(…いけない。こんなこと考えてどうする)
日向(怒りや憎しみは…殺意を生むだけだ)
日向(そう、そうだよ、俺はみんなで協力したいんだ、そうなんだ)
だが、一体何人が説得に応じてくれる?
十神はもちろん、江ノ島や桑田なんて絶対に応じないだろう。
セレス、九頭龍も怪しいし、腐川なんて疑いに疑いを重ねて信用なんてしてくれない。
日向「小泉…」
そうだ、小泉だ。
あいつがいれば、女子を落ち着かせられる。
それに、豚神。あいつの力が必要だ。
日向「快く協力してくれそうなのは…大神、弐大、苗木、舞園、澪田…あとは石丸と不二咲か」
とにかく……今は仲間を集めよう!
日向は走り出した。
桑田「……」
小泉「ちょっとアンタ、しっかりしてよ…」
桑田が、『また』耳を抑える。
桑田「うぐっ…ああああ!!!あああああ!!!」
小泉「ちょっ、アンタ! 」
暴れ出す桑田に駆け寄る。
小泉「大丈夫…大丈夫だから。アンタは悪くないから」
桑田の背中をさすりながら言い聞かす。
桑田「はぁ…はぁ……」
桑田怜恩。
昨日、葉隠をその手で殺害した張本人。
その時のショックで幻聴を聞くようになってしまったようだ。
トラウマが蘇る、といったやつだろうか。
度々このようにフラッシュバックしては耳を抑え、頭を掻き毟りながら苦しみだす。
桑田「俺は……俺は……」
小泉「大丈夫。大丈夫だから…。けど、乗り越えないといつまでも苦しいままだよ?」
桑田「わかってるさ……わかってるんだ。けど、苦しいんだ…みんなで笑い合ってた日々が俺を苦しめるんだ!!」
小泉「大丈夫だよ。アンタが乗り越えるまで、ちゃんとアタシが支えてあげるから」
桑田「小泉……」
桑田はまた泣き出した。
大神「すまぬが…我はお主と行動するわけにはいかぬ」
花村「え!?そ、そんな」
大神「我は……朝日奈を守れなかった。お主を守りきれる自信が…今の我にはないのだ」
大神「我は……『守る力』を手に入れるために、自らの手を汚すことにする」
花村「そ、それって……」
大神「ああ」
大神「我は……この殺し合いに身を投じることにした」
-
- 31 : 2015/01/03(土) 09:37:40 :
- 日向の嫉妬が生々しくていいな
歪んでるって意味だと狛枝なんかと相性良さそうだ(仲が良さそうだとは言っていない)
いろんな意味で活躍を期待
-
- 33 : 2015/01/03(土) 23:15:59 :
-
西園寺「お腹…減った……」
苗木「そうだね…」
水だけを口にして、2日目の夜を迎えようとしていた。
苗木「大丈夫、僕がなにか食べられるものを探してくるよ」
僕は病院を出た。
苗木「…」
昨日、ついに殺し合いが起きてしまった。
葉隠クン…。
犯人は、誰だ?
簡単に仲間を殺す人間は誰か、疑って生きなければならないのか?
もしかすると僕と会う前に西園寺さんが殺したかもしれない。
……こんなふうに、疑わなければならないのか?
苗木(いかんいかん、ダメだ!)
苗木(必ずだ…必ずみんなでここから出るんだ…!!)
どうせみんな、私を殺す。
私なんて死んでも誰も悲しまない。
だからみんな、私を探す。
そして、血走った目で殺す。
だから……殺られる前に殺る。
罪木「私は…生き残る」
罪木「生き残って…私の存在を証明する!!」
罪木蜜柑の手元で血の付着したサバイバルナイフがギラリと光った。
弐大「のぉ、七海よ」
弐大「ワシは…別に死にたいわけではないんじゃ」
弐大「だが…ワシが生き残ったところでどうにもならん」
弐大「死ぬのは…怖くはない。だが、ワシは”超高校級のマネージャー”であることに誇りを持っておる。これが世間から消えてしまうのは惜しいんじゃ」
弐大「そこで、偶然会ったお前さんに頼みがある」
弐大「ワシを……殺してくれんか」
-
- 34 : 2015/01/03(土) 23:44:14 :
- 弐大までこれとは・・絶望的すぎる。
今んとこの希望は小泉さんと苗木くらいか?でも小泉さんが早く死にそうで怖い《゚Д゚》ガクブル
あ、期待です
-
- 35 : 2015/01/04(日) 21:08:44 :
-
時刻は夜8時。
2日目の夜がやってきた。
今日も夜な夜な殺し合いは起きてきた。
場所は第2大橋を越えた先、初日に大和田と不二咲が着陸した島。
ビーチハウスに2人、女の影はあった…。
霧切「……どういうことかしら」
終里「だからよお、オレなりに考えたんだぜ?」
終里「…オレに足りねぇのは、頭脳(あたま)だってな!」
霧切「それで、『匂い』で私を探していたと?」
終里「おう。オメーは、他の奴らとは違う匂いがするからな」
霧切「あなたに私が殺せるかしら?力だけで生き残れるほど、世の中は甘くないわ」
終里「だからこそ、オメーを狙ったんだろうが」
終里の目は真っ直ぐ霧切を捕らえている。
終里「オレの『力』とッ!オメーの『脳』ッ!この2つが揃えばオレは最強になれるッ!!」
霧切「……哀れね」
終里「その言葉、そっくりオメーに返してやるぜ!!」
猛スピードで霧切に攻撃を仕掛ける終里。
終里赤音。
体力・腕力・瞬発力に長けており、それと合わせ、獰猛さも『危険』レベルである。
バトルを好み、それに関しては弐大猫丸による拘束をものともせず、逆に防御戦に持ち込む戦闘センスを誇る。
弐大曰く、『筋肉の使い方がまるでなっていない』その戦いは、言い方を変えるなら『どんな型にもはまらない、次の攻撃の予測が不可能』な戦いなのだ。
自然に囲まれて生きてきた彼女のパワーは、辺古山ペコを軽く上回る。
その終里赤音が今、『最も謎めいた少女』に襲いかかる。
霧切響子。
数々の難事件を1人で解決する”探偵”のその頭脳。
彼女の脳は今、襲いかかる終里の行動を冷静に分析していた。
終里「オラオラオラオラァ!!!」
右、下、左、右、上、真ん中。
バラバラに繰り出される連撃をいとも容易く躱す。
終里「オラァ!」
そして!
霧切「フンッ!」
終里「うおぉ!?」
終里の拳を受け流し、身体を拘束!
ただ戦いだけを好み、戦いだけをしてきた終里は、『護身術』を知らない。
霧切はそれを瞬時に閃いたのだ。
終里「くそっ!はなせ!!」
霧切「勝手に離れればいいじゃない」
だが、終里も(戦闘に関しては)馬鹿ではない。
自分の方が力があることは理解している。
深呼吸。全身の力を抜き、思い切り肺に空気を取り込む。
終里「ドラァ!!」
思わず肩をすくめるほどの一喝と同時に全身に力を入れて霧切の拘束を解く。
そのまま、素早く態勢を立て直しての回し蹴り。
霧切の首に見事にヒットする。
霧切「ぐっ…」
その場に倒れ、よろめきながら起き上がる。
終里「へっ、どうだ?おとなしくぶっ倒される気にはなったか?」
両手を広げて近づく終里。
……そんな余裕な態度をとっては、ご自慢の瞬発力が使えないではないか。
案の定、終里は鳩尾に蹴りを喰らった。
終里「ごほっ…てめぇ!!」
フラついたように見せかけて、蹴りを入れる態勢だけは整えていた。
弱っているように見せた『演技』だったのだ!
-
- 36 : 2015/01/04(日) 22:01:52 :
-
終里も負けじと、身体能力をフルに活用する。
終里「がァァァァァ!!!」
霧切「…!」
まるで豹のように素早い『四足歩行』。
そして次に、同じ生物とは思えないほどの”超高校級の体操部”の『足のバネ』。
天井に頭を打つんじゃないかと思うほどの跳躍を見せた終里は、そのまま壁を蹴って背中で霧切に体当たり。
終里(それで終わりだと思うなよ!)
空中で態勢を整え、猫背で膝を抱えるようにして丸くなる。
思いっきり両足を伸ばし、霧切にキック!
彼女の身体を吹き飛ばす。
『予測が不可能な戦い』に、霧切は相手のペースに飲まれるしかなかった。
立ち上がろうとした彼女の首を掴む終里。
霧切「うっ……」
終里「…身体鍛えてんな。あれだけ攻撃しても立ち上がるなんてよォ」
終里「けどもう限界みてーだな?暗闇に潜んで生きてるようなオメーは『ダメージを受ける』ことに慣れてねーんだよ」
霧切「……っ!」
終里「さあ…死にな!オレがぶっ倒す!!」
息ができず、青ざめていく霧切。
彼女が咄嗟に行なった、せめてもの足掻きは……
終里「んおっ!?」
終里赤音の豊満な乳房。
その谷間に手を突っ込んだ。
……一体、何がしたかったのか?
終里の油断を誘ったのだろうか??
現に終里は一瞬困惑し、その手を離してしまったが……。
その後霧切は後ろの窓を割って外へ逃走。
終里「あの野郎、胸の間に何か入れやがったな!?」
終里が取り出したそれは……手に収まるくらいの立方体だった。
そしてその立方体についている表示窓は、カウントダウンしている。
……嫌な予感がする。
これはアレだ!
あの、カウントがゼロになったら爆発するやつ!
あの野郎ッ!オレを爆発で倒す気だな!?
終里「馬鹿野郎がぁ!!返してやるよこんなもん!!」
ビーチハウスから離れようと走る霧切の背中に向かって『立方体』を投げる。
終里「爆発するのは…オメーだああ!!!」
終里が勝利を確信したとき。
彼女の足元の『立方体』のカウントはゼロになった。
激しい轟音とともに、ビーチハウスが爆発する。
霧切「……」
終里が霧切に向かって投げた方の『立方体』のカウントは既に彼女がストップしてある。
霧切「……だから言ったでしょう?力だけでは勝てないのよ」
死体は見なかった。
自分の身体に”超高校級の体操部”の力が流れてくるのを感じたから。
-
- 37 : 2015/01/04(日) 22:28:51 :
- 1と2のコラボとは…!
毎日の楽しみが出来ました!
案外あっさり人が死ぬから展開の予想ができない…!
-
- 38 : 2015/01/04(日) 22:41:39 :
- 霧切さんが終里並みに戦えるようになったてチートじゃない?
期待です!!!
-
- 40 : 2015/01/05(月) 17:41:37 :
- いやあああああああああぁあまさか霧切さんが人殺しをするとは・・
この胸糞きらいじゃないぜ・・・
-
- 44 : 2015/01/06(火) 04:21:41 :
各々思っていることはあると思いますが、作中で解説いたします。お楽しみに。
大和田「なっ…なんだ?」
ビーチハウスで爆発が起きたのを図書館から見えた。
大和田「お、おいおい…殺し合い起きてんのかよ…。こっちまで飛び火してくるんじゃねぇだろうな」
だが、移動しようにもビーチハウスは橋の近く。
今そこに近づくのは危険である。
その時だった。
ガタンッ
不二咲「え…?」
誰か、来た?
それとも俺たち以外に誰かいたのか?
大和田「不二咲、俺の後ろへ」
言われるがまま不二咲は大和田の後ろへ隠れた。
そして、現れたのは……
罪木「あれれれぇ?こんなところにいたんですかぁ」
大和田の頭は即座に『ヤバイ』という危険信号を出した。
あれは……戦刃のナイフ!!
血が付着している!!
罪木「ああ…わかりますよぉ。あなた方もツラいんですよねぇ?」
不二咲「え?」
罪木「いきなり仲間同士で殺し合えだなんて言われて…気持ちの整理がつかないんですよねぇ?あぁ、でも、ほら、大丈夫ですよぉ」
罪木「私が…わたワタ私が今ラクに、楽にしてあげますからねぇ…わ、ワタわた、私があァァーーーッ!!!!」
苗木「はい、これ」
苗木が差し出したのは、リンゴだった。
苗木「近くにリンゴが成った木があってさ」
渡されたリンゴに西園寺は小さな口でかぶりついた。
久々に口にした、甘い果実の味。
無意識に涙が溢れてくる。
苗木「ほら、泣かないで」
西園寺「う゛ん……」
西園寺「………?」
西園寺はすぐに異変に気がついた。
西園寺「おにい……具合悪いの?」
苗木「えっ!?」
西園寺「だって、顔…すごい青白いよ?」
苗木「あ、あれ?そうかな…?な、なんだか疲れてるみたいだね…今日はもう寝ようか?」
西園寺「うん…」
2人は病院の個室を根城にしており、少し大きめのシングルベッドに2人で寝ている。
その夜、苗木は寝付けなかった。
眠れるはずがなかった。
『見てしまった』のだから。
『霧切響子が人を殺した』。
苗木「霧切さん…君は……一体……」
-
- 45 : 2015/01/06(火) 16:32:37 :
-
霧切さん……。
君だけは、信じていたんだ。
きっと、みんなで協力することに、賛同してくれると…。
だって君は……
僕だけには、話してくれたじゃないか…
見せてくれたじゃないか…
─────この手袋の下を見せるのは、家族になる人間だけ─────
僕は、誰を信じればいい?
大和田「てめぇ……」
罪木「ああ…そうやって、私に殺意のこもった目を向ける……」
大和田「あぁ?」
罪木「だから、だからこそわたワタしハ、殺られる前に殺るなんですよ、これ、ねぇ!!!」
ナイフを振り回す。
大和田は、『椅子』でガードする。
大和田(女に暴力振るうなんて正直嫌だけどよ……あーだこーだ言ってらんねぇ!)
大和田「おらぁ!!」
椅子を思いっきり罪木へ投げつけた。
大和田だからこそ振り回せるその椅子の重みと衝撃で罪木は本棚に衝突、さらには落ちてきた本に視界を阻まれる。
大和田「逃げろ不二咲!!後から必ず追いつくから!!」
不二咲「う、うん!!」
罪木「ああああああああ!!!!」
なっ…こいつ、何だ!!?
血走った目で大和田に襲いかかる。
あれほどの衝撃なら普通は立っていられねぇ筈だろ!?
大和田「う、お、おおおお!!!」
大和田は椅子で頭を殴りつけた。
が、罪木は大和田から一瞬も目を離さず、まるで何事もなかったかのようにナイフを振り続ける。
大和田(こ、こいつ、『痛覚』ってモンが無いのかよ!?)
そのとき大和田は思い出した。
罪木蜜柑は”超高校級の保健委員”。
治療、手術、応急処置、投薬……
そう、投薬。
大和田(こいつ……薬キメてやがるのか…!!!)
-
- 46 : 2015/01/06(火) 16:38:31 :
- 投薬!?それ一番駄目なんじゃ・・・
-
- 49 : 2015/01/06(火) 22:26:02 :
- 超高校級の暴走族の身体能力を持った罪木になるのか、
超高校級の保健委員の知識・技術を持った大和田になるのか…
どっちに転んでも他の参加者には脅威になりそうだ
-
- 50 : 2015/01/07(水) 15:21:42 :
-
痛みをものともせずナイフをギラつかせる罪木。
こいつを止めなければならないと腹を決める大和田。
大和田は構え、罪木を迎え撃つ。
罪木「がぁあああああああ!!!!」
大和田は頭が良い方ではない。
だが、『冷静に考える』ことができる自分の方が有利であることはわかる。
ただ刃を振り回す女と、冷静に弱点を見極める男。
もうこの時点で勝負は決まったようなもの。
単純に右腕を振り回すその動き。
ただ大和田に近づくだけの運びをする『足元』がお留守なのだ!
大和田は椅子で罪木の足を払う。
そのまま両手を拘束、ナイフを取り上げる。が……
罪木「ああああああ!!!!」
さっきとは明らかに違うレベルで暴れ出す。
罪木「返せっ!!!返せぇぇぇぇぇ!!!それれはワタわたしの、ワ、私だけのぉぉォォォォ!!!!返せぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
罪木「ワタわたしを、私をゆるユル氏てくれ田あの人の、あの人のおォ尾お御お織おおぉオオぉぉォぉぉぉぉーーー!!!」
大和田が力を入れてもまだ暴れ出す。
それどころか、大和田の力が若干負けつつある。
大和田「なっ……くっ!お前、暴れんな!!」
罪木「それをヲヲヲヲヲヲ!!!!」
なんと罪木はついに大和田を振り払い立ち上がった。
その目が捕らえるのはナイフを持った大和田の左手。
大和田「うああっ!!!」
罪木は自分の顔が切れるのも気に留めず、大和田の左手に噛み付いた。
あまりの痛みに大和田も冷静ではいられない。
罪木の腹を何度も蹴る。
だが現在、痛覚を失っている罪木には効いていない!!
大和田「ぐあああああ!!!!」
ついに大和田は悲鳴をあげた。
罪木も一時大和田から離れる。
その罪木の口には……千切れた親指が咥えられていた。
-
- 56 : 2015/01/08(木) 16:49:53 :
- 面白い!
狛枝がどうなるのか一番気になる
-
- 57 : 2015/01/09(金) 01:50:21 :
-
>>56
狛枝ももうすぐ出てきます
大和田「があっ……はぁー…はぁー……」
左手の親指……があった場所を抑える。
どんどん出血し、あまりの痛みに視界はボヤけ、呼吸は荒くなる。
罪木「があああああああ!!!!」
大和田「くそっ!!」
椅子や本で足元を遮り、近づけないようにする。
対して罪木は、転んでも何してもすぐに立ち上がる。
大和田(俺は…できるか?)
大和田(こいつを…殺せるか?)
大和田はかつての自分を思い出していた。
兄貴を超える。超えなければならない。
……今思えば、そんなことに何の意味があったのだろうか。
兄貴を超えるために、バイクで勝負を挑んだ。
……その結果、兄貴は俺を守って死んだ。
俺のせいで、兄貴は犠牲になった。
あの時俺は、今まで味わったことのない恐怖を感じた。
俺が、人を殺した。
それも、尊敬している兄貴を。
ガキの頃から俺を見ててくれた『恩師』を。
軽率に『殺す』という言葉を口にできなくなるくらいに、俺の心を蝕んでいった。
そんな俺が……こいつを、殺せる?
罪木「があアアアああああ!!!」
やべぇ、来る!!
覚悟を決めろ、俺……!
大和田「俺は…!!」
ナイフで肩を刺される。
痛みに耐え、歯を食いしばる!!
大和田「俺は不二咲と兄弟を守る!!!」
右ポケットから取り出したフォークを思いっきり罪木の眼に突き刺した。
-
- 58 : 2015/01/09(金) 02:51:03 :
罪木「があああああ!!?」
痛みは無くとも、いきなり視界を半分失えばパニックにはなるだろう。
大和田「おああああ!!!」
2本目のフォークを取り出す。
今度は左眼に突き刺し、完全に視界を奪う!!
……と、思っていた。
だが、今までの流れからして、そう上手くいくわけがなかった。
片眼を潰されてさらに激昂する罪木。
ナイフを落とした彼女が振った『メス』は大和田の身体を斜めに切り裂いた。
斜めに血を流すその姿は、若き日の三刀流の剣士のようでもあった。
本の山に倒れこむ大和田。
罪木「はぁ…はぁ……このっ…!!」
ズリュッと右眼からフォークを抜く。
フォークをその場に捨て、『逃げた方の標的』を追う。
図書館からさほど遠くないドラッグストア。
不二咲千尋はフォークを握りしめ、身を潜めていた。
不二咲(大丈夫……大丈夫……!)
不二咲(僕は……強くならなきゃいけないから……)
不二咲(大和田君がいなくても戦えるようにならなきゃいけないから……!!)
瞬間、足音。
刹那、絶望。
やってきたのは、罪木蜜柑だった。
罪木「ふふ、フフフフ、何処ですかぁ?大丈夫ですよぉ、すぐに…すぐにラクにしてあげますからねぇ……彼の、ようにぃ!!!」
その言葉に、ただ、ただ涙を流すしかなかった。
なんと絶望的だろう。
最早、戦う意志は絶望と悲しみで消え去っていた。
罪木「ふふふふ……大丈夫ですよぉ!あなたもちゃんと『彼』の元へ送ってあげますからねぇ!だからぁ…出てきてくださぁい!!」
その挑発とも言える言葉に乗り、少女は店の奥から姿を現す。
霧切「出てきてあげたわ」
罪木「…霧切さぁん?」
霧切「お呼びじゃなかったかしら? …今は」
罪木「いえいえ!遠慮しないでくださぁい!」
罪木「……あなたも、地獄へ送ってあげますからねぇ!!!」
霧切「……」
霧切は武器を取るでもなく、身構えるでもなく、ただその様子を見ていた。
その様子を、その『異変』を。
自分の目の前で罪木は、悲鳴をあげながら暴れだしたのだ。
全身を抑え、苦しんでいる。
霧切「……モルヒネ、かしら? とにかく、鎮痛剤の類を自分に打っていたようね」
霧切「効果が切れて身体に受けた痛みが戻った…とか?」
罪木はまだ立ち上がれぬようで、目だけを霧切に合わせている。
霧切「……痛みに苦しみながら死ぬのは、辛いでしょう」
霧切「せめて……安らかに眠りなさい」
それから10秒後、ドラッグストアは爆発により半壊した。
-
- 62 : 2015/01/10(土) 01:56:00 :
図書館の扉を開けた2人の前に、大和田が現れる。
大和田「ふ……じ……」
不二咲「大和田君!!」
大和田はその場に倒れる。
霧切「…不二咲さん、さっきのドラッグストアで止血剤と消毒、それから縫合糸と包帯を取ってきて。手当するわ」
大和田「…すま……ねぇ……霧……」
霧切「喋らないで。私が今持ってるものだけでも応急処置するから」
それから、“超高校級の保健委員”の才能による手当をした。
大和田は、自分を殺そうとした人間の能力で一命を取り留めたのだ。
大和田「……すまねぇ」
霧切「…いいのよ。それより、しばらくは動けないと思うわ。今日はもう安静にしてなさい」
不二咲「霧切さんは…?」
霧切「私は……他にやることがある。あまり長居はしていられないわ」
大和田「……そうか」
大和田「………」
不二咲「大和田君!?」
霧切「大丈夫。気を失ってるだけよ」
霧切「…手当が遅れれば失血死だったんだから」
包丁が、ある。
あの、料理で使う、肉や野菜や魚を切る、あの包丁だ。
あれは、人の肉も切ることができる。
すると、血が出てくる。
包丁に血がつくのだ。
日向は、血塗れになった包丁というものを初めて見た。
中央の島、ジャバウォック公園。
今、目の前の少女は引きつった顔で包丁をこちらに向けている。
日向「ま…舞園……」
彼女のうしろに大の字で倒れているのは………田中眼蛇夢。
日向「お前…田中を……」
舞園「はは、仕方なかったんですよ…」
日向「は…?」
舞園「私は…帰らなきゃならないんです。グループのみんなが、ファンのみんなが………私を待っているんですよ」
舞園「殺し合いだなんて…こんなの、さっさと終わらせて……私は私のいるべき場所へ帰らなきゃいけないんですよおおお!!!!」
日向「や、やめろ舞園!!」
舞園「あなたには分からないでしょうねぇ!私の心が、気持ちがッ!!」
包丁を向けて襲いかかってくる。
日向はマーケットで手に入れたハサミを取り出し、包丁を持った手に向ける。
舞園「そんなもので私を殺せますかあぁぁぁ!!!」
日向「俺は、殺すわけじゃない!!」
包丁を持った手に思いっきりハサミを叩きつける。
舞園「うぐっ…!!」
攻撃を躊躇う舞園。
その手首を掴んで包丁の動きを拘束する。
日向「落ち着け!!みんなで脱出する方法を考えよう!!」
舞園「いや!離して!離してよ!!」
日向「目を覚ませ、舞園!!」
舞園「くっ……行きなさい!!」
その瞬間。
舞園の制服の袖から出てきたヘビが、日向の肩に噛み付いた。
日向「なっ……!?」
舞園「ふ、ふふふ……サンゴヘビです。強力な神経毒持ちですよ」
日向「くっ……」
思わず尻餅ついてしまう。
舞園「毒が回っては苦しいですからね…その前に私が葬ってあげますよ!!」
日向「ぐっ…!来るなああ!!」
包丁を振りかざす舞園に対し、日向はハサミを投げた。
舞園「えっ…!?」
投げたハサミは舞園の脚に突き刺さる!
日向「うおっ!?」
そのせいでバランスを崩した彼女は、日向に覆いかぶさるように倒れた。
次に日向が見たのは、血だった。
真っ赤な、新しい血。
だが、自分は痛みを感じていない。
…それだけで、状況は理解できた。
倒れた舞園に、彼女が持っていた包丁が刺さったのだ。
日向「舞……園!?おい、舞園!しっかりしろ!!」
そして事態は、さらに恐ろしいことに。
日向の頭に、『何か』が流れる。
それは、舞園の記憶、舞園の生きた記録。
そして日向は、自分の身体に“超高校級のアイドル”の力が流れるのを確かに感じ取った。
日向(俺が……俺が舞園を殺した?)
日向「ああああああ!!俺は…俺はそんなつもりじゃ…っ!!」
日向「俺が……俺が、人殺しだなんて……!!」
-
- 64 : 2015/01/10(土) 18:20:27 :
- 動物を使うとは。ちゃんと才能が生かされていて面白いです!
-
- 70 : 2015/01/11(日) 12:01:49 :
-
お、俺が…俺が舞園を…殺した?
日向「ち、違う…!俺は…俺は悪くないんだっ…!!」
お、落ち着け、落ち着くんだ俺!!
まず、毒をなんとかしないと!
…そうだ、田中は地図を持ってる。
日向「田中…借りるぞ」
目をカッと開いて死んでいる。
自身を『覇王』と名乗っていたあの田中が……こんな簡単に……。
日向「地図…あった。まず俺は今どこにいるのか…」
目の前には銅像。周りを見渡すと、モノクマの形の岩。
……『中央島』か!
日向「第2大橋を渡った先にドラッグストアがある!」
急ごう!
日向は走り出した。
ソニア「はぁ…はぁ…」
左右田「ソニアさん?疲れたのですか?」
ソニア「…少しだけ」
左右田「少し休みましょう。歩きっぱなしですからね…」
ソニア「…近くにライヴハウスがあるそうです。そこまで行きましょう」
ライヴハウス。
どこにでもあるようでないような、そんなところだ。
左右田「そこら辺探したけど、誰もいないっぽいです」
ソニア「…そうですか」
左右田「…ソニアさん?」
左右田は、心は普通の高校生だ。
女性を見てドキドキすることなんて、多々ある。
ソニアが、自分にゆったりと近づいてくる。
胸元のリボンを取り、ベストのボタンを外しながら。
下着は見えないが、谷間は露わになっている。
左右田「そ、そそソニアさん!?何を…」
ソニア「左右田さん……ここには、私と左右田さんしかいません」
ソニア「……二人きりです」
ソニアの白い腕が首筋を流れ、背中までまわる。
吐息が喉にかかり、心臓の鼓動が聞こえるほど距離が近い。
左右田「ソニアさん……」
ソニア「左右田さん……あなたは……」
ソニア「私を、悪く思ったりしませんよね?」
左右田の背中に包丁が深く突き刺さった。
-
- 74 : 2015/01/12(月) 02:35:24 :
-
左右田は膝から崩れ落ちる。
左右田「ソニ……ア……さん……?」
ソニア「左右田さん…あなたの“才能”を、他の方に奪われるわけには行かないのですよ…」
ソニア「私は……必ず生きて帰らなければならないのです」
左右田「待っ……で……ソニアざん……」
口から吐血しながらもソニアにしがみつく。
ソニア「左右田さん……私たちは、敵同士なのですよ?この島では、より多くの“才能”を得た者が…」
左右田「俺を……置いで……行がないでぐれ……俺を…」
左右田「俺を置いて行がないでぐれぇ!!!!!」
瞬間、左右田の両手がソニアの細い首に伸びた。
ソニア「がっ……そっ……ぉだっ……さ……」
絞める力はさらに強くなる。
だらしなく舌を出し、涎が滴る。
ソニア「そうっ……………がほっ………がっ…………ご…………お…………………………」
左右田の両手を必死になって掴んでいた腕はダランと垂れ下がり、ソニアは足元から崩れ落ちる。
“超高校級の王女” ソニア・ネヴァーマインド、死亡。
左右田「は……」
左右田「ははは………」
左右田「あはははははははははははははははははははは!!!!!あーっはっはっはっはっはっはあぁぁぁ────!!!!」
左右田「これで………いいんだ」
左右田「これで………離れない」
左右田「同じ心と………同じ身体を持つ」
左右田「俺たち………やっとひとつになれたんだ…………」
左右田「そうでしょう?ソニアさん………」
─────左右田さん、
─────生き残りましょう。
─────2人で……2人だけで。
左右田「そうですね……俺たちの邪魔をする奴らは………」
左右田「全員………やっつけましょう………」
邪魔するものはいない。
ソニアさんは、俺の心の中で生き続けている。
2人だけの世界。
豚神「夜が……明ける…」
才能奪取サバイバルは、3日目の朝を迎えようとしていた。
第一部『動向』 END
-
- 75 : 2015/01/12(月) 17:13:58 :
-
今更ですが、物語内の時計で2日ごとにChapterを分けたいと考えています。
変な終わり方になるときもあるかと思われますがご了承ください。
苗木「朝……」
西園寺「ん……」
苗木「3日目……か…」
2人の携帯が鳴る。
時刻は7時。
コロシアイ修学旅行 実行委員からのお知らせ
昨日死んだ生徒
戦刃むくろ
朝日奈葵
終里赤音
罪木蜜柑
田中眼蛇夢
舞園さやか
ソニア・ネヴァーマインド
以上 7名
残り 24名
苗木「なっ……!?」
初日とは比べものにならない量に苗木は戦慄した。
苗木(そんな……昨日だけで、こんなに!)
誰が……殺したんだ?
誰を信じればいい?誰を疑えばいい?
ずっと一緒にいた西園寺さんが人知れず殺したんじゃないかとすら思った。
苗木(ダメだダメだ!!疑っちゃダメなんだ!)
苗木(絶対に…絶対にだ!生きているみんなで脱出する!!)
日向「はぁ……」
血清を打ったおかげで日向は助かった。
さっきまで神経毒の血清を死に物狂いで探していたため、ドラッグストアがさらに散らかってしまった。
日向「ん?」
日向「おお…」
さきほど日向に噛み付いたサンゴヘビが懐いてきた。
日向の左手に頬ずりしている。
日向「ははは」
瞬間、日向は戦慄した。
日向(何故俺は……神経毒の血清を知っていた?)
日向(ヘビが近づいたとき……恐怖のひとつも感じなかった…!)
日向(それどころか、懐いてきたヘビに対し俺は笑顔だった……)
日向(これは……“超高校級の飼育委員”の才能……!!?)
江ノ島「あら、日向君」
日向「……江ノ島?」
戦慄する日向のもとに現れたのは、右足を少し引きずりながら歩く江ノ島盾子。
江ノ島「何だこれ?あんたTNTでも使ったの?」
日向「違う、俺じゃない!俺は…たまたまここに来ただけだ」
立ち上がり、改めてドラッグストア内を歩く。
江ノ島「ふぅん?」
日向「な、なんだよ」
江ノ島「いや別に?」
日向「…そうか。ところで江ノ島、朝のメール見たか?」
江ノ島「ああ。初日に比べてかなり死んだね……」
日向「まさか戦刃が死ぬなんてな」
江ノ島「まぁ、残姉でも実の姉だったからさ……悔しいってか、悲しいよ」
日向「終里と朝日奈まで死ぬなんて…それに、ソニアも……」
江ノ島「本当だね」
日向「戦刃と朝日奈か……どうして」
江ノ島「ん?」
日向「戦刃……まさか自分が死ぬだなんて思ってなかっただろうな」
江ノ島「………」
日向「朝日奈……きっと大神は激怒してる」
江ノ島「あのさ?」
日向「ところでお前、全身に傷負ってるみたいだな。大丈夫か?」
江ノ島「おい」
日向「ああ、でもしっかりした手当がされてるな」
江ノ島「何が言いたい?」
日向「……とぼけるなよ」
日向「…ギャルがTNTなんか知ってるかよ」
日向「それにお前…『大神』と言った瞬間、目が泳いだ」
日向「『戦刃』と!『朝日奈』だ!」
振りかざしてきた刃を、舞園の包丁で防ぐ。
江ノ島「あ〜らら!バレちゃったなんてねぇ〜!」
日向「『嘘』をついていたらわかるんだよ。お前、実の姉の残念な部分まで受け継いだみたいだな」
江ノ島「嘘がわかる?どーしてかな?」
日向「さぁ……どうしてだろうな」
─────わかるんだよ。
─────エスパーだから。
-
- 77 : 2015/01/12(月) 20:56:50 :
- ここでエスパーだからとか卑怯ですよ!
面白すぎる!
-
- 80 : 2015/01/12(月) 22:31:06 :
- 個人の能力も受け継がれるのか…!
-
- 81 : 2015/01/12(月) 23:56:57 :
江ノ島「ふーん…まぁいいや。“努力家”、いただこうかね」
日向「させるか!」
突っ込んでくる江ノ島はかなり素早い。
だが、元々の体力に“超高校級のアイドル”の体力と瞬発力が加わった日向も負けてはいない。
江ノ島「ほぉー…強力ねぇ」
江ノ島「けど…いつまでもつかな?」
江ノ島の猛攻が続く。
相手はメス、こちらは包丁。
刃同士の戦い。
だが、“超高校級の軍人”の刃の運びは強力である。
日向は捌き切れず、左肩に怪我を負った。
日向「うおっ…!」
江ノ島「そらっ、スキあり!♪」
頭に向けてメスを振り下ろす江ノ島。
その腕が途中で止まる。
ピタッと止まったわけではない。
何かが腕に絡まったのだ。
日向「オラッ!!」
江ノ島「オゴッ」
タックルされ、受け身で起き上がる。
江ノ島「なんだ今の?なーんか、絡まったような…」
日向「……見えないか」
日向の右肩に『何か』が止まった。
それは……蛾だ。
あの、蝶と正反対のような存在の、気持ち悪い、どこにでもいる、蛾。
江ノ島「んん〜?」
太陽の光に照らされて、辺りがキラキラ光っているのが見える。
これは……糸。
糸が、太陽光に反射してキラキラしているのだ。
日向「コイツは、鋼鉄の糸を作る。軍人もよく利用してるはずだ」
江ノ島の腕を捕らえたのは……『蚕蛾』が作り出す、鋼鉄の糸!
江ノ島「ほぉ〜……これは気づかんわな」
江ノ島「けどねぇ、“軍人”の目をなめんじゃないよ!」
糸の結界をすり抜けて日向に突進する江ノ島。
朝日奈葵の『瞬発力』と、戦刃むくろの『技術』が彼を追い詰める!
江ノ島「ふんっ!」
日向「がはっ…!」
江ノ島「そら、もういっちょ!」
日向「ごあっ!!」
日向、ダウン!
江ノ島「ん〜なかなかやるねぇ…けど、終わりにしちゃおっかな」
江ノ島がもう一度メスを頭に向けたその時。
???「うおおおおおおおお!!!!!」
突如現れたその人物は、消火器を江ノ島に向けて放つ。
江ノ島「うおっ!見えねーじゃん!」
江ノ島「くっ…げほっ煙幕?いや、こりゃ消火器か?」
江ノ島「…にしても」
江ノ島「まさか逃がしてしまうとは……絶望的です…」
『第2の島』を抜け、中央島。
日向は、その木々のうちの一本の下まで運ばれた。
???「大丈夫か?」
日向「あぁ。……助かったよ」
日向「………豚神……」
豚神「……フン」
-
- 82 : 2015/01/13(火) 02:54:46 :
- アイドルの才能の中にエスパー並な察しの良さも含まれてるってことなのか
まとめてみたが
才能三個持ち
・江ノ島(ギャル・軍人・スイマー)
・霧切(探偵・体操部・保健委員)
・日向(努力家・アイドル・飼育委員)
才能二個持ち
・桑田(野球選手・占い師)
・左右田(エンジニア・女王)
…霧切さんのバランスの良さが怖い
-
- 83 : 2015/01/13(火) 04:51:07 :
- 残りの人数24じゃない?
-
- 84 : 2015/01/13(火) 15:34:22 :
-
時刻は12時を過ぎていた。
豚神「日向、お前この殺し合いをどう生きるつもりだ?」
日向「え?」
豚神「まさか……七海のために死ぬだなんて言わないだろうな?」
日向「な、なな、七海?何でそこで七海が出てくるんだよ?」
豚神「……気付いてないと思ったのか?」
日向「え?」
豚神「え?」
日向「……」
豚神「……」
豚神「………プフッ」
日向「お、おい、何笑ってんだ…?」
豚神「ま、まぁいい。それよりも、お前の殺し合いに対する態勢についてだ」
日向「そりゃあ……できることなら殺し合いなんかしないで、みんなで協力し合って、みんなで脱出したいさ」
それが……それが一番に決まってる。
豚神「………愚かだな」
日向「何だと!?」
豚神「本当にそれができると思っているのか?」
日向「そ、それは……」
豚神「俺たちがこの島に来て2日が経ったんだぞ。いい加減、変な幻想を抱くのはやめろ」
日向「変な幻想だと!!?」
日向は怒りをあらわにし、立ち上がる。
日向「じゃあお前はどうしたいんだよ!?」
豚神「俺は…」
豚神「みんなで生き残ろうとする意志のある者だけを導く」
日向「え?」
豚神「自分のために人を殺すような奴は……導く必要がないってことだ」
日向「な、なんだよそれ!?他のみんなを見捨てるってことだろ!?」
豚神「まぁな」
日向「そんなもん……お前、本当に俺たちを導くんなら、みんなを…」
豚神「花村は俺の目の前で死んだ」
日向「え…?」
豚神「お前に出会う少し前のことだ。花村は……俺の目の前で、母さん、母さん、と叫びながら切り刻まれて死んだ」
豚神「俺は……ただ、逃げることしかできなかったんだ。あいつの断末魔が耳から離れない」
日向「誰………なんだ?犯人は……」
豚神「腐川だ」
日向「腐川!?」
豚神「いや……あれは本当に腐川だったのか?姿は腐川なんだ。けれど……中身は腐川ではなかった。まるで人の顔をした鬼のように、笑いながら花村を切り刻んでいたんだ……何を言ってるかわからないと思うが、俺も何を見たのか……」
日向「な…なんだよ、それ」
豚神「死ぬ直前の花村と目が合ったんだ。俺は逃げることしかできなかったがな……そして、俺は改めて思い知った」
豚神「学園で笑い合ってた仲間たちは……今は互いを殺し合い蹴落とし合う、敵同士なんだとな」
日向「………」
つい最近まで笑い合ってた。
けど今は…疑い合って、殺し合って。
苗木、左右田、桑田。
七海、澪田、小泉。
みんな……本当に、敵になっちまうのかよ?
-
- 87 : 2015/01/13(火) 18:41:36 :
-
豚神「わかるか?日向。俺は出来もしない幻想は抱かない。現実を見て、自分のできる精一杯のことをする。それが……俺のやり方だ」
日向「それでも俺は……みんなを信じたい」
日向「仲良く笑い合ってふざけ合ってた俺達に戻れるって、信じたいんだ」
豚神「………どこまでもお人好しな奴だな」
日向「豚神、お前も協力してほしいんだ。俺はみんなを説得したい。みんなの力を……ひとつにしたい!」
豚神「力を、ひとつに………」
豚神「…フン、仕方ないな」
日向「豚神…!」
みんなの力をひとつに……
みんなの希望をひとつにするんだ!
九頭龍「ここは、てめぇに有利な戦場ってわけか?」
狛枝「あは、そんなわけじゃないよ。ただボクは、君を騙してるのがツラくなったんだよ」
九頭龍「ハッ、よく言うぜ。最初から殺気プンプンに匂わせてたクセによぉ」
狛枝「さぁ……どうだかね」
-
- 88 : 2015/01/13(火) 22:40:15 :
- 坊っちゃん早まるな‼そいつは危険だ!
-
- 89 : 2015/01/14(水) 16:43:15 :
-
この工場に入った途端、こいつは小銃で攻撃してきた。
銃の反動で狙いを外したようだが。
狛枝「ボクはこの日を、この時を待っていたのかもしれない」
窓の閉めきった蛍光灯の明かりだけの工場内に、狛枝のネットリとした声だけが音をたてる。
九頭龍「…何のことだ」
狛枝「ボクはね、キミたちの希望を愛してるんだよ。みんなの希望がより一層輝けるのならボクは喜んでその踏み台になりたかったんだよ」
狛枝「けれど……ボクはそれだけじゃ物足りなくなっちゃったみたいでさ。そんな時、ボクらはこの島に幽閉された」
狛枝「そしたらどうだい……才能を奪うだって?希望が貰えるんだって?」
狛枝は両手をバッと広げる。
狛枝「実に!!素晴らしいよ!!」
狛枝「こんな何の取り柄もないゴミみたいなというかゴミ以下のボクも希望を分けて貰えるんだよ?ボクも輝かしい希望になれるんだよ?」
狛枝「だからボクは……希望になる」
狛枝「大いなる希望を、この手で掴みとる」
狛枝「そうすればボクは……“超高校級”を超えた“超世界級”、いや、次元や時空さえも超越した『真の希望』になれるんじゃあないかなぁ?」
首や関節をゴキゴキと鳴らしながら興奮して顔を引きつらせる狛枝と、そんな彼を冷めた目で見る九頭龍。
九頭龍「……要するに、俺らを皆殺しにすると?」
狛枝「まぁそうだね」
九頭龍「そうか……なら、テメェだけはここでリタイアしてもらわねぇとな!!」
先攻は九頭龍。
落ちていたスパナを狛枝めがけて投げる。
その隙に、銃の死角に入るのだ。
この工場はどうやらロボットやその部品を格納しているようで、隠れる場所は沢山ある。
後攻、狛枝。
狛枝「ふぅん……」
スパナを回避して九頭龍を見失った。
狛枝(………)
彼が放ったのは、たった一発だった。
九頭龍「!?」
九頭龍(な、何だ!?いきなり真っ暗に…)
九頭龍(そうか……あいつ、分電盤を銃撃したのか!!)
九頭龍(くそ……何も見えねぇ!)
だが、冷静に考えるのだ。
この暗闇ならば、狛枝も九頭龍が見えないはず。
そうなれば、一つの物音が死に繋がることになるだろう………。
九頭龍「ぐああ!!」
否。
狛枝には『見えている』のだ。
何も見えない中、左肩を撃ち抜かれた九頭龍には状況を理解できなかった。
九頭龍(な……何でだ!?あいつ、何故俺の位置が……)
九頭龍(俺は物音ひとつ立てなかった!一体どうなってやがる!?)
-
- 90 : 2015/01/14(水) 17:10:56 :
- ぼっちゃん死なないで…
-
- 91 : 2015/01/14(水) 18:52:53 :
- 狛枝は完全に悪役か。おいしいポジション持っていくなぁさすが希望厨だ
これは活躍に期待するしかない
-
- 93 : 2015/01/14(水) 21:32:17 :
狛枝「あはは、どこに当たったかな?」
九頭龍(どうやって俺の位置を…)
九頭龍(……やるしかねぇか)
ピンを抜き、狛枝の声がした方へ投げる。
狛枝「………!!」
バン、という破裂音とともに閃光手榴弾が炸裂した。
狛枝「うっ!」
視界を手に入れた九頭龍の撃ったリボルバーの銃弾が狛枝の左足を貫く。
九頭龍はさらに奥の方に身を隠す。
九頭龍(一瞬……一瞬見たぞ…)
九頭龍(あいつ……暗視ゴーグルか!!)
九頭龍(あんなもん持ち歩いて…分電盤を最初にダメにして……やはり俺をこの工場に誘導しやがったのか!)
狛枝「いたたた……どこ行ったのかな」
九頭龍(くそ…閃光手榴弾はあと一発…何とかしてあいつの姿を捕えねぇと)
九頭龍(……ん?)
ふと自分の足元に紙が落ちているのを発見する。
目が慣れて、近くのものなら見えるようになったのだ。
九頭龍(これは……ロボットの設計図か?)
九頭龍(これは…!)
九頭龍「うぐぁっ!!」
狛枝「あは、そこだね?」
内臓は掠めたようだが、横腹に当たってしまった。
九頭龍(くそ……どこだ…『アレ』は)
狛枝「さぁ…もう降参しなよ。おとなしくボクの踏み台になってくれないかな」
九頭龍(クソが!!)
素早く他の障害物の陰に移動する九頭龍。
それにならうように狛枝もトリガーを引く。
狛枝「おっと……外しちゃった」
狛枝「ん?もう弾がないね。仕方ない……君は捕らえて殴り殺すことにしよう」
九頭龍(……!)
九頭龍(あった……コレだ!!)
九頭龍(こっちに誘い込んで…あいつの動きを止める!)
狛枝「さぁ、何処にいるのかな?」
喰らいやがれ…!!
閃光手榴弾を投げる。
光ったその一瞬、前に出て、心臓を撃つ!
パァン!
破裂音とともに辺りは白くなる。
九頭龍は前に出て、引き金を引いた!!
ドドドドドドドドドドドドド!!!!
……凄まじい音。
リボルバーは連射できない。
同じく、手榴弾の音でもない。
狛枝「はぁ……やはりボクは幸運だ」
フラフラ立ち上がる狛枝と、血塗れになって吹き飛んだ九頭龍。
狛枝が手にしているのは……マシンガン。
-
- 95 : 2015/01/15(木) 03:05:52 :
-
狛枝「暗かったからねェ…ボクが防弾チョッキを着たのもわからなかったよね」
狛枝「さぁ…もう死んだのかな?」
九頭龍「………馬鹿…が」
九頭龍「罠に………ハマったの…は……てめぇの方……だぜ」
流血しながら、吐血しながら、それでも立ち上がる。
狛枝「………何か言った?」
九頭龍「お前……いつも、口癖の…ように……言ってたよな…」
─────幸運の後には、
九頭龍「『幸運の後には……』」
─────必ず、
九頭龍「『不運がくる』ってなあ!!!」
この工場では、ロボット本体と一緒にその『動力となるもの』も格納している。
九頭龍は、見つけた設計図から全てを知った。
そして、狛枝を完全に殺すには、もう『それ』しかないと判断したのだ。
もう一度、リボルバーの引き金を引く。
しかし、狛枝に対してではない。
飛ばした銃弾は、狛枝のすぐ横の『燃料タンク』に直撃!!
狛枝「なっ………」
九頭龍「へっ……消し飛びな……」
凄まじい爆音、轟音。
凄まじい炎、煙。
まるで映画のような想像を絶する大爆発で、工場は木っ端微塵となった。
その中から、影はひとつ。
全身血塗れで、立ち上がることもできない身体を腕で引きずりながら瓦礫をよけて出てきたのは、九頭龍冬彦だった。
九頭龍「はぁ……はぁ……」
ペコ「坊ちゃん!!!」
九頭龍「ぺ、ペコ……何故……ここに………」
ペコ「坊ちゃん、怪我が、!!!」
九頭龍(ああ……ペコ……)
九頭龍(会いたかったよ……ペコ……)
九頭龍(意識が……朦朧としてきた……)
九頭龍(早く……俺の………最期の願いを……伝えなくては………!!)
九頭龍「丁度……いいか……丁度…………いいな………」
ペコ「坊ちゃん!?しっかりしてください!!」
九頭龍「ペコ……いいから聞け……」
ペコ「な、何でしょう!?」
九頭龍「俺の……“才能”を………持っていけ」
ペコ「な、何を……おっしゃるの…ですか」
そんな、悲しい顔しないでくれ、ペコ。
泣かないでくれ……最愛の人。
九頭龍「これ……まだ弾は入ってる……だから……俺を殺して……俺の“才能”を……持って行ってくれないか」
ペコ「で、できない!!私が、坊ちゃんを……そんなこと!!!」
九頭龍「俺の……最期のお願いだ」
ペコ「……!」
ペコ「……………………はい」
銃声が一発、虚しく響いた。
九頭龍冬彦・逝去
幼少から共に過ごした最愛の人に全てを託し、我が身の終わりを任せた。
泣かないでくれ、愛しい人
俺だって、悲しいのさ。
お前を残していくことが何よりツラいんだ。
けど、俺は幸せだったよ。
最後に……お前が傍にいてくれたから。
-
- 98 : 2015/01/16(金) 00:40:35 :
- 多分今までで一番幸せに死んだな
-
- 99 : 2015/01/16(金) 02:26:19 :
ペコはしばらく泣いた。
九頭龍の死体を抱き、胸に顔を埋めて大声で泣いた。
ペコ「………行こう……」
九頭龍の身体をそっと壁によりかける。
ペコ「さよなら………坊ちゃん………」
もう一度涙を拭いて島を後にした。
澪田「ソニア…ちゃん……」
ライヴハウスに無造作に置かれた死体。
胸元ははだけ、スカートは捲れ、乳房と秘部が露わになっている。
澪田「……誰が………」
小泉「繰り返して。『俺は悪くない』」
桑田「俺は悪くない」
小泉「『向こうからかかってきたんだから、仕方なかった』」
桑田「向こうからかかってきたんだから、仕方なかった」
小泉「『正当防衛だ』」
桑田「正当防衛だ」
小泉「『俺のせいじゃない』」
桑田「俺のせいじゃない」
小泉「『俺のせいじゃない』」
桑田「俺のせいじゃない」
小泉「『俺のせいじゃない』」
桑田「俺のせいじゃない」
小泉「うん……大丈夫だよ、アンタのせいじゃない」
小泉「ほら、これ!」
小泉が桑田の手に握らせたのは、桑田にとってもっとも近いもの。
桑田「野球……ボール……?」
小泉「生きて帰って、野球やるんでしょ?だったら強い心持たなきゃ!」
桑田「小泉………」
良く言えば、励ましただけ。
悪く言えば、マインドコントロール。
優しく言い聞かせることで、桑田の心を落ち着かせる。
桑田は、昨日一昨日に比べて明らかに症状が悪化していた。
幻聴だけでなく、幻覚まで見るようになってしまったのだ。
小泉(アタシだって、正直怖い…何もかも)
小泉(日寄子ちゃん……唯吹ちゃん……どこにいるの?)
-
- 100 : 2015/01/16(金) 10:10:45 :
- 舞園の時は、何もかも忘れていたからまだマシだったんだなぁ・・・
-
- 101 : 2015/01/17(土) 01:29:30 :
- 左右田ェ…
-
- 102 : 2015/01/17(土) 15:46:59 :
-
豚神「もう夕方か…すぐに夜が来るぞ」
豚神「島々を移動するには橋一本だけだというのに、こうも人に会わないとはな」
ここは……何だ?
第3大橋を抜けた先には、様々な建物が並んでいた。
豚神「これだけ数あれば、安全に休める場所もあるだろう」
日向「ああ。しかし、結構入り組んでるな…」
セレス「あなた方が次に休むのは、永遠に眠るときでしてよ」
日向「何!?」
後ろからの声。
豚神「うお!?」
山田「貴様の相手は拙者だ!!」
日向「豚神!」
山田にタックルされ、近くの建物に入っていく。
セレス「さあ、貴方の相手は私がいたしますわ」
日向「お前……」
セレス「あら、マーケットのことを思い出しているのですか?あのときはあのとき、今は今ですわ」
あのとき、こいつらは自分達の才能しか持っていないという理由で俺に襲いかかりはしなかった。
なら、今は……
日向「誰だ……」
セレス「?」
日向「誰を……殺した!」
セレス「……さぁ?一体、どこの暴走族でしょうね?」
日向「お前!!!」
セレス「あら、あなただって持ってらっしゃるのでしょう?“才能”を…」
セレス「怒りをぶつけられる筋合いはありませんわ」
日向「そ、それは…!!」
セレス「あら?今青ざめましたね、貴方。ふふ、図星でしょう?ズバリ、当たってしまった…か…なァ────ッ!?」
ゴルフクラブを手に向かってくるセレス。
日向「くっ!」
細い身体に似合わず、物凄い勢いで振り回す。
セレス「どうしたのです?『包丁』は出さないのですかァ!?」
ダメだ!
包丁で攻撃したら……最悪殺してしまう!
セレス「はいっ!」
日向「くっ…!」
ゴルフクラブを振るセレスと、腕で防ぐ日向。
だが、日向に当たるスレスレでセレスはゴルフクラブを手放し……
セレス「オラァ!」
日向「ごっ!」
顔面にストレート!!
セレス「オラオラオラオラ!オラァ!」
腹に4発、アゴに1発。
日向「が……はっ……」
セレス「あら、まだ序章ですわよ?」
セレスはゴルフクラブを再び手にとり、大きく振りかぶる。
セレス「はっ!」
日向「がっ!」
セレス「ふんっ!!」
日向「があっ!!」
セレス「召されなさい!!」
日向「ぐあああっ!!」
セレス「んぅ〜……スカッとしますわね」
江ノ島に受けた傷の影響もあり、日向はとても戦えるような状態ではなかった。
日向(くそっ……目の前が………霞む……)
何度も殴られクラブを叩きつけられ、痛みと苦しみで心身に限界が来ていた。
-
- 106 : 2015/01/18(日) 00:12:23 :
-
日向(もう……動けない)
動けない?
そういえば、前もそんなときがあったような。
─────もう、動けねぇわ。
─────俺たち、まるで囚人だよな。
あのとき、俺はどうしたっけ?
─────おい日向、ちょっと休憩しようぜ。
ああ、そうだ。
俺はそのままずっと走ってた。
一度でも立ち止まったら、もう疲れて動けなくなる。
けど、それじゃ『あいつら』と同じだと思ったから。
─────何が希望だよ。
─────そこらの底辺高校以下の扱いじゃねぇか。
そんな声が飛び交う中、俺は何をしてたっけ。
ただ、ただ机に向かっていた。
いろいろなプレッシャーに押されながら、プライドに、劣等感に押し潰されながら、それでも俺だけは立ち上がった。
他のやつらと一緒に笑われ、他のやつらと一緒に馬鹿にされ、他のやつらと一緒に倒された。
けど、悔しくて悔しくて立ち上がったのは俺だけだった。
周りはみんな倒れたまま。
どうして、そうしなければいけなかったのか?
ここで立ち上がらなかったら、本当に何もかもを失うから。
何度倒れても、踏まれても、俺は立ち上がってきた。
限界から、何度も何度も立ち上がってきた!
─────俺が“努力家”だったから!!!
日向「うおおおおおお!!!」
セレス「なっ!?」
日向「だああああ!!!」
拳をグッと握りしめ、セレスの頬に会心の一撃!!
日向「セレスッ!!!」
セレス「がはっ!」
日向「お前らが!」
セレス「ぐふっ」
日向「退くまで!」
セレス「だはっ!」
日向「殴るのをやめない!!!」
セレス「だああああっ!!!」
セレスは軽く吹き飛んだ。
セレス「がはっ……こ、この、…」
普段の風格なんてなかった。
口から鼻から血を流し、シワ全開の怒り顔。
セレス「この汚らしいダボがぁ─────ッ!!!」
セレスは日向の眉間にフォークを降ろす!
瞬間、セレスの身体は右に勢いよく吹き飛んだ!
セレス「ぐえっ!!こ、今度は何だァ─────ッ!!」
日向の目の前を、セレスを巻き込んで横切ったのは、山田だった。
山田「がはっ……も、申し訳ございませぬ、セレス殿……」
豚神「……フン、馬鹿めが。ちょいとでも俺にかなうと思ったのか……マヌケが」
豚神「お前の身体は『ただの脂肪』、俺の身体は『脂肪と鍛えあげた筋肉』。 …力の差は歴然だな」
山田「セ、セレス殿……今の我々では敵いませぬ!ここは一旦引きましょうぞ!」
セレス「なっ……」
日向「退け、セレス」
日向「俺たちは、お前らを追撃したりはしない」
セレス「…………っ」
セレス「……クソッ!!」
セレスと山田は一目散に逃げ出した。
そして俺は、気を失った。
-
- 107 : 2015/01/18(日) 00:31:33 :
- なんという日向主人公展開!
いろいろと、ごちそうさま!
-
- 111 : 2015/01/18(日) 13:52:11 :
-
日向「………ん?」
豚神「気がついたか」
おそらく、セレスと戦った近辺の建物だろう。
豚神「お前が寝てる間に一通り調べたが、この辺の建物は水は通っているらしい。ここには保存食も少しだが残っていた」
日向「すまない……豚神」
豚神「いい。お前は無理をしすぎたんだ。ボイラーが作動しているから、身体を洗ってまた休んでいろ」
ふと窓を見ると、外は真っ暗になっていた。
日向「はぁ………」
シャワーを浴びると、肩の力が落ちて少し気持ちが和らいだ。
日向「セレス………」
本当に、俺たちを潰そうとして襲いかかってきた。
あの山田も本気で豚神にかかっていった。
日向「本当に……敵………なんだな……」
七海も、敵になるのか?
────────日向君、
七海……どこにいるんだよ?
────────好きな人いるの?
無事……だよな?
────────その人は、日向君にとって大切な人?
七海「………これは」
弐大「夕方に凄まじい爆発があった……おそらく、これじゃろうなぁ」
廃墟と化した工場。
いまだに火が立っているところもある。
七海「! これは……」
弐大「なんじゃあ?」
七海「地下に行ける……」
不二咲「………」
─────霧切、不二咲を連れて逃げろ。
─────こいつらは俺が殺る。
あれから何時間経っただろうか、大和田君は来ない。
……なんとなくわかってはいるが。
不二咲「…………」
この戦いに、何の意味が?
僕たちは……何故戦わなければいけないのか?
大切な人たちを失って、それでも戦いは止まらない。
どうすればいい?
悪に手を染めなければ、生き残れない?
-
- 112 : 2015/01/18(日) 14:16:09 :
- ああ、誰が最後に生き残るか凄く気になります!!
楽しみに待ってます!!
あと、ちょいとでも俺にかなうとでも思ったかマヌケが、はディオを彷彿とさせました!!
-
- 113 : 2015/01/18(日) 15:04:40 :
>>112
ありがとうございます!
ディオですね(☝︎՞ਊ՞)☝︎
弐大「凶器は手に入った」
弐大「約束通り……ワシを殺してくれ」
弐大「ワシは、お前さんを信じる」
弐大「お前さんに……全てを託した」
七海「………うん」
西園寺「おにい……大丈夫?」
苗木「僕?僕は大丈夫さ」
二人分に切り分けたリンゴ、苗木は手をつけていなかった。
舞園さんは、仕方ないんだ。
ここはコンサート会場ではない。無人島なのだから。
彼女が、生きていけたはずがないんだ。
苗木「でも……もし僕が助けに行っていたら……」
西園寺「……おにい?」
苗木「あ、いや……何でもないんだ。それより、ほら、食べなよ」
西園寺「でもそれ…おにい食べてないじゃん」
苗木「大丈夫だよ、僕はこう見えて身体は強いからさ…ははは」
西園寺「…………」
西園寺は苗木が渡してきたリンゴも平らげた。
この島から、出たい……よね?
みんなで一緒に出たい………よね?
僕は……間違ってないんだよね?
西園寺さんも、そう思ってるはず……だよね?
正しい…………よね?
小泉「今日は……もう寝よっか」
桑田「………」
小泉「ちょっと、桑田!」
桑田「ん?ああ、えーと……何だっけ」
小泉「ちょっと、しっかりしてよ!今日はもう遅いから寝ようって言ったの!」
桑田「おぉ……そうか……」
桑田「わりぃ、苗木」
小泉「……え?」
桑田「ん……?」
桑田「おお……小泉じゃん」
桑田「どうしたんだよ?こんな夜中にさ……」
小泉「………っ」
桑田「何か…大事な話?でもほら、もうすぐ夜時間だしさ、明日にしようぜ……」
桑田「明日は……どうしようか」
桑田「舞園ちゃんか澪田でも誘っちゃおっかなぁ……」
桑田「大和田にキャッチボール手伝ってもらっかな……?」
桑田「………おやすみ」
小泉「…………っ」
言葉は出なかった。
ただ、恐怖を感じ、震えることしかできなかった。
小泉「だ、誰か…………」
小泉「はやく……助けに来て……!」
そして……4日目の朝がやってきた。
-
- 114 : 2015/01/18(日) 17:13:32 :
- 桑田と小泉って珍しいコンビだけど今後がすごく気になる!
-
- 115 : 2015/01/18(日) 19:01:13 :
- これある意味最悪の相手と組んだ小泉に同情。
そして苗木も大丈夫か心配・・・。
-
- 117 : 2015/01/18(日) 21:42:08 :
-
>>114
結構意識してます。あんまり他の人はやらないような組み合わせを多めにしようと思いまして
朝7時、携帯の着信音で豚神とともに起きた。
また、あのメールだ。
日向「………大和田」
本当に……セレスは殺したんだ。
仲間を……躊躇いもなく。
豚神「日向、少し話しておきたいことがある」
日向「ん?」
豚神「まずこれからの進路だが、苗木か小泉を探そう。昨日の夜、外を眺めていたんだが、途中で明かりが消された建物が多くあった。
きっとこの第3の島には結構な人数がいるはずだ」
日向「ああ」
豚神「それとお前……“才能”を持っているな?」
日向「そ、それは……」
………。
日向「………持っている」
豚神「……誰だ?」
日向「舞園と……田中だ。舞園に襲われて……田中はそのとき既に死んでいた」
豚神「何だと?つまり……“飼育委員”を元々持っていたのは舞園なのか?」
日向「ああ。 ……舞園があんな風に人を殺すなんて……」
豚神「…アイドルや俳優は神様じゃない。俺たちと同じ、人間なんだ」
豚神「それはさて置き、お前の話だと『殺した者が以前に奪っていた能力』も奪うことができるということになるな」
豚神「……なかなか、奥が深いな。相変わらずそのトリックはわからんが」
豚神「まぁいい。そういうルールなのだからな」
日向「お前は…」
豚神「何だ」
日向「俺が自分のために誰かを殺してしまったら、俺を殺すのか?」
豚神「殺す」
即答だった。
まるで俺が言うことを予測したかのような。
豚神「……そうならんようにして欲しいものだな」
石丸「ここは………」
殺し合いとは程遠いような、遊園地。
地図によると島全体がそれになっているようだ。
石丸は入ってすぐのベンチに腰掛けた。
普段のような威勢は全くない。
頬は痩せこけ、顔は青ざめ、目には一切の光がない。
石丸「……ははは」
兄弟は、死んだ。
兄弟はもういない。
僕は、何を目標とすればいい?
僕は、誰を探して歩けばいい?
僕は……何のために生き残ればいい?
石丸「は……ははは」
石丸「不思議なものだな……死のうとだけは、思わないんだ」
石丸「もう僕には、希望なんてないのに……」
石丸「…………不思議なものだ」
また、フラフラと園内を歩き出した。
七海「あなたが殺したの?」
腐川「アタシー?残念、ハズレでーす!」
壁にもたれた九頭龍の死体。
一本だけ綺麗な花が添えられている。
この花……辺古山さんが好きだった花に似ているような………
腐川「それよりアンタさー、アタシ死にたくねーワケよ!」
七海「だから?」
腐川「けどアタシ、コロシアイなんてしたくないんよね!できればね!けど……3人になるまで終わらないってんなら仕方ねーってゆーかー?」
七海「だから?」
腐川「オメーを切り刻んでやるってことだよ爆乳ゲーマー!!」
七海「………」
七海「……哀しいね」
七海はリュックを下ろした。
-
- 121 : 2015/01/19(月) 14:59:49 :
セレス「全く……予想外でしたわ」
山田「まさか、彼らがあのような強さを…」
セレス「作戦を立て直しましょう……あら?」
セレス「あれは……」
スラッとした美脚に日本刀を背負ったその後ろ姿は、辺古山ペコの他においていない。
こちらには気付いていないようだ。
セレス「彼女の“才能”があれば戦いは有利になるでしょう」
山田「……戦う気ですかな?」
セレス「ええ。こちらは2人…取り押さえれば私たちの勝ちですわ」
山田「拙者は……退かせていただく」
セレス「……は?」
山田「我々では……あの辺古山殿に敵うと思いませんぞ。それに、セレス殿も傷がまだ……ぐえっ!」
言いかけて、セレスの尖った靴のつま先で蹴られた。
普段なら脂肪で覆われた山田の身体にはそんなもの通用しないが、豚神の重いパンチを浴びせられた山田の身体は治りきっていなかった。
セレス「ふざけんじゃねぇぞダボ!!てめぇ、私を守るって言っただろうが!!黙って従えってんだコラァ!!」
山田「セ、セレス殿、そのような大声を出されますと……あっ」
言わんこっちゃない。
こちらに気付いた辺古山が進路を変え、『日本刀を持って』こちらに近づいてくる。
セレス「あらあら…ごきげんよう」
ペコ「……」
セレス「何を怖い顔してらっしゃるのです?」
ペコ「……」
セレス「貴女……まさか、殺る気じゃあないでしょうね?」
ペコ「……お前は銃を構えたアメリカ人にもそんな風に話しかけるのか?」
山田「た、助けてくだされ……い、命だけは……」
セレス「……!」
山田「セ、セレス殿……最早プライド引っ提げて気取ってる場合ではありませんぞ…!!!」
……はぁ?
この私が、何故他人に跪かねばならないのです?
跪くなら………てめぇらの方だろうがこのビチグソがぁぁ!!
セレス「オラァ!!」
山田(セ、セレス殿ォォォ!!!)
セレスのパンチを辺古山は軽くかわす。
セレス「山田!!こいつを後ろから……」
横を見ると、山田はいなかった。
山田は、後ろにいたのだ。
後ろというか、辺古山に背を向けて逃走、どんどんセレスから遠ざかっていくのだ。
山田「も、もう沢山だあああああ!!!!」
セレス「な、ななな………」
チラッと辺古山の方を振り返ると、日本刀は鞘におさめ、こちらに背を向けて歩いていた。
辺古山「………貴様らは、斬る価値も無ければ撃つ価値もない」
セレス「て、てめぇ……」
辺古山「………追わなくていいのか?」
セレス「………クソッ!!」
セレス、2回目の逃走。
彼女のプライドはズタズタであった。
-
- 122 : 2015/01/19(月) 15:17:15 :
- 多恵ちゃん・・・駄目だ、早く何とかしないと(遠目)
-
- 123 : 2015/01/19(月) 18:25:16 :
- 冷静じゃないセレスさんが一番キャラ崩壊な気がするなぁ。
これって大和田の才能を奪ったせい?
-
- 124 : 2015/01/19(月) 23:19:48 :
-
七海「……ん?」
七海のスマートフォンが光る。
七海「メール……」
こんな時間に、なんだろう。
時刻は正午。
昨日死んだ人達のお知らせは、朝来たはず。
コロシアイ修学旅行 実行委員からのお知らせ
やっほー!!皆さん、殺し合ってますか!!
実は皆さんのために、とっておきの情報をご用意いたしました!
実はこのジャバウォック島には、中央島を除くそれぞれの島にとってもスペシャルなお宝が眠っているのです!
宝箱に入れて大事に保管してあるそうなので、早い者勝ちです!!
では、良いコロシアイを!
七海「お宝……」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
七海「地下へ行ける…」
弐大「地下ぁ?一体何があるんじゃ…」
七海「うーん……特に気になるものはないね」
弐大「いや、待つんじゃ。ここに宝箱があるぞ」
七海「宝箱?」
弐大「ぬお、開いたぞ……何だこれは」
入っていたのは、ウエストポーチ。
開くと、掌に収まるくらいの見たことのない物体が8つ。
ポーチの傍らには、ご丁寧に使い方の書いた紙が置かれていた。
弐大「『真空爆弾のあそびかた』じゃと……?」
七海「真空?」
弐大「なになに……『破壊したい物体にセットして、スイッチを押します。スイッチを押すと、裏が吸盤になり、真空モードに入ります』」
弐大「『真空モードに入ると周りの空気や塵を吸い込み、臨界点に達すると爆縮し、」
弐大「あらゆる物体を削り取る真空の爆発を起こします』……じゃと!?」
七海「物体を削り取る?ガオンしちゃうってことかな」
弐大「『範囲は直径1.5メートルです。自身が真空の爆発に巻き込まれないよう、広い場所で使用してください』…か」
弐大「要するにこいつは、武器っちゅうことじゃな」
七海「武器…かぁ」
弐大「おう、凶器が手に入った」
弐大「約束通り……ワシを殺してくれ」
七海「……本当にいいの?」
弐大「おう。ワシが生き残ったって、しょうがなかろう」
弐大「ワシは……“超高校級のマネージャー”さえ生きておればそれでいい」
弐大「お前さんを信じる。お前さんに全てを託した」
弐大「必ず……生き残ってくれ」
七海「…………うん」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
七海「これのことだったんだね」
七海「残り6つ……か」
七海はリュックを背負う。
両手両足だけを残して粉微塵になって死んだ腐川が、殺人鬼・ジェノサイダー翔だったとも知らずに第5の島を後にした。
-
- 128 : 2015/01/22(木) 01:33:18 :
- 寝る前に少し読もうと思ったのにここまで全部読んでしまった…|ω• `)
こういうの大好きです!これからの更新も、楽しみにさせていただきます!!(=^x^=)期待!
-
- 129 : 2015/01/22(木) 17:14:07 :
-
>>128
七ころさんありがとうございます!!
桑田「うぐああうあおおおあををを」
小泉「………っ」
桑田の症状の悪化はより酷いものとなった。
頭を壁に打ち付け、転がって暴れまわり、自分の皮膚や服を食いちぎるようになった。
まるで、悪霊でも取り付いたかのようだ。
もしかすると……“超高校級の占い師”が頭の中で反発を起こし、自分を殺した桑田を呪っているのかもしれない……。
桑田「あががぎごごけけああぐあぉぉおをあぎぎぎががぎご」
小泉にはもう、桑田を慰めたり励ましたりなんてことはできなかった。
豹変した彼に恐怖と絶望で怯え震えることしかできなかった……。
豚神「さて……何処へ向かうべきか」
日向は地図を開く。
日向「病院に行ってみよう」
俺はまだ、苗木にも小泉にも会っていない。
とするなら、俺がまだ行ったことのない場所にずっといたのかもしれない。
豚神「あまり遠くないな。急ごう」
日向「ああ」
苗木……。
あいつならきっと、みんなで協力しようって言うはずだ。
今の俺たちに必要なのは『信じ合う心』だ。
そりゃあ、こんな島に連れて来られ、殺し合いをしろと言われては人を信じるなんて難しい。
けど、互いを疑い合ってちゃダメだ!
俺たちは、今までお互いを信じあってきた。
大丈夫。きっと戻れる。
きっと……。
そうこうしているうちに、病院が見えてきた。
豚神「あそこだな」
日向「ああ」
日向が走り出したとき。
視界の左斜め上が、黒い影に覆われた。
それが何かを確かめる間もなく日向は豚神によって前に突き飛ばされた。
豚神「ぐっ!」
豚神は黒い影によって手に傷を負う。
現れた影の正体は……。
日向「辺古山!?」
ペコ「………」
刀を構え、こちらに近づいてくる!
日向「お、おい辺古山!どういうことだ」
ペコ「…どうもこうもないだろう」
ペコ「私は……生きなければならない。それだけだ」
日向「なっ……」
豚神「日向、病院へ急げ!こいつは俺がやる!」
豚神……殺す気か!?
日向「待ってくれ、豚神!俺は……」
言いかけた日向だが、襲いかかるペコに包丁で応戦する。
日向「待て……辺古山……!!」
ペコは包丁の刃の形に沿って、刀身をずらしていく。
ペコが取った構えは……下段の構え。
それを見て思わずペコから離れた日向。
彼女が足を狙うとわかったから。
日向「ペコ、落ち着け!みんなで生き残る方法を探そう!」
ペコ「そんなものがあるものか!!」
さらに襲いかかってくる。
ペコ「そんなものがあるのなら……坊っちゃんは今頃生きていただろうな!!」
ペコ「くだらん幻想を見るなよ、日向……3人になるまで殺しあう他、我々が生き延びる術など無いっ!!」
日向「………!!」
何も……言い返せない。
みんなで生き残ることは……できないのか?
いや……絶望しちゃダメだ!必ず何かある!!
ペコ「どうした日向……心に隙ができているぞ!」
包丁を弾かれ、無防備になる。
日向(しまった……!)
斬られる!!!
-
- 130 : 2015/01/22(木) 17:49:44 :
- ペコちゃんやめて・・・
-
- 131 : 2015/01/22(木) 19:39:22 :
日向「があああ!!!」
刀を持つ腕を蹴ったおかげで、重症喰わされずに済んだ。
が、かなりダメージは大きい。
Yシャツの腹部が切れ、血が滲んでいく。
日向「くっ……!!」
ペコ「浅いか……だが、次は斬る」
日向「目を覚ませ、辺古山!!」
日向「俺はただ……殺し合いたくないだけなんだ」
日向「みんなで笑い合ってたあのときに戻りたいだけなんだ!!」
ペコ「何を…」
日向「お前も九頭龍も!皆でひとつになって何にでも取り組んだあの頃に……あのときのように!またみんなで笑顔でいられる場所を作りたい!!」
ペコ「みんなで………笑顔で………」
日向「辺古山……協力してくれ。俺たちは…もう血を見たくない。みんなが殺意を持っていがみ合う様なんて……見たくないんだ。お前も………そうなんだろ?」
日向「お前今……とても、悲しい目をしてるんだ」
ペコ「そ、そんなこと……!!」
日向「『嘘』はつかなくていい。 ……わかるんだ。お前の『嘘』が」
────────エスパーだから。
ペコ「そんなことがあるわけないだろう!?私は……私は生き残らねばならんのだ!!」
日向「じゃあお前は何故『泣いている』んだ!?」
ペコ「……っ!」
日向「辺古山……頼む!!あの頃に戻りたいという気持ちが少しでもあるなら!!俺たちに協力してくれ!!!」
ペコ「……だ」
ペコ「だめだ!!」
ペコ「だって私は……坊っちゃんを……」
日向「……え?」
ペコ「坊っちゃんを殺したのは!!私なんだ!!!」
日向「何だと!?」
ペコ「もう『あの頃』には戻れないんだあああ!!!」
日向は、反応できなかった。
刀を平行に構え、突進してくる辺古山に。
結果から言うと、日向は無事だった。
しかし、辺古山は確かに刀を突き刺したのだ。
我が身を盾に、日向を守った豚神に。
日向「なっ……あっ…ぁ……」
日向「豚神ぃぃぃぃぃ!!!!!!!」
ペコ「……!!」
ペコ「……わ、私は………」
ペコ「……そうだ、私は戻れない……」
ペコ「私はもう戻れない!お前も葬ってやる!!日向!!」
パン!!
銃声が一発。
刀を振り上げた辺古山ペコの左胸を貫通した。
豚神「最初……庇ったときに……奪ったんだ………お前から…!!」
震える手でリボルバーを握る豚神。
カラン、と刀が地に落ちて、辺古山は膝から崩れた。
ペコ「ふ……………ゆ…………ひ………こ…………」
辺古山ペコ・逝去
最愛の人のため、武士道を捨て自らの手を汚して戦った。
豚神「はぁ………はぁ……がはっ!」
日向「豚神!!」
豚神「日向……無事か」
日向「俺はいい!!とにかく、治療を…」
豚神「……本物の十神はどちらか、なんて話をよくしていたな」
日向「な、何を…」
豚神「お前も……わかっているだろう。俺は……本物ではない」
豚神「俺は……いや、僕は……“超高校級の詐欺師”なんだ」
日向「……え?」
豚神「名前も無い、正体も無い……僕はずっと、闇に生きてきた」
豚神「けれど……僕でも、できた……人を……命を救った」
日向「わ、わかった、もう喋るな!傷が…」
豚神「お願いが……あるんだ」
豚神「“詐欺師”を……持って行ってくれないか」
日向「なっ……!?」
豚神「あと一発……入ってる。僕を……」
日向「………」
日向「……ああ。わかった」
豚神「誰かに……打ち明けたかった。けれど、誰にも打ち明けられなかった」
豚神「………ありがとう」
悲しい銃声とともに、偉大な男がこの世を去った。
日向「………豚神」
日向「………豚神ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!」
悲しい泣き声とともに、一人の男が意志を受け継いだ。
-
- 132 : 2015/01/22(木) 19:56:05 :
- 豚神九頭龍と同じような死に方したね・・・・
-
- 133 : 2015/01/22(木) 20:25:14 :
- 日向の能力がヤバいことなってる気がする
・・・6!?日向君化けた!実際に殺めたのは2人なのに・・・
(しかも殺したくて殺したわけじゃないという・・・)
-
- 135 : 2015/01/23(金) 00:14:37 :
- 小泉さん大丈夫か?
-
- 137 : 2015/01/24(土) 02:59:08 :
- 狛枝の幸運は日向が持っているんだよね。としたら日向の能力自分のも合わせたら七つか。すごいな。
-
- 140 : 2015/01/24(土) 10:50:44 :
日向「………」
二人の死体を花を添えて埋葬する。
日向「………」
日向「………待っていてくれ」
病院へ向かった。
霧切「……どういうことかしら」
江ノ島「…どうもこうも、ねぇ」
江ノ島「私はまだやり残したことがあるから生き残らねばならなくてね」
霧切「……少なくとも、あなたは今回の件に関わってはいないようね」
江ノ島「?」
霧切「いえ、何でもないわ」
霧切「とにかく、私を殺す気ならあなたも死んでもらうしかないのよ」
江ノ島「まぁ!そんな怖いこと言っちゃって!」
江ノ島「……なーんてなァ!!」
蹴りを交える。
第1の島での大きな戦いが始まった。
日向「誰も……いないのか?」
一階を探したが、人の気配はない。
日向(少し……休むか)
置いてある医療道具でとりあえず手当した。
日向(これだけじゃ、完全に治療できないな)
日向(もう夜か……)
日向(……)
まだ信じられなかった。
あの辺古山が激昂して襲いかかってきた。
それに、九頭龍を殺したって……。
その時。
日向「!」
すぐ上で物音がしたのを日向は聞き逃さなかった。
日向「今のは……」
日向(誰かいる!)
日向はゆっくりと音を立てないように階段を上がる。
自分がいたすぐ上の部屋、どうやら病室のようだ。
半開きになったドアを、そっと覗く。
そして、絶望した。
苗木「ハッ……ハァッ……ふっ……はあっ」
苗木「………んうっ!」
日向「苗木!」
苗木「……ん、ああ、日向君じゃないか」
苗木は何事もなかったかのように、床に無造作に置いたパンツとズボンを履いてベルトをした。
ベットの上、首から血を流して着物を乱雑に脱がされた女は……
……西園寺………。
日向「お、お前は……」
苗木「ああ……3日もこんな状況が続くと『溜まっちゃう』からね」
日向「お前が……殺したのか?」
苗木「そうさ」
苗木「僕は……生き残ることにしたよ、日向君」
-
- 143 : 2015/01/24(土) 13:20:23 :
- 苗木ィィィィィ?!w
ひよこちゃん可愛いのに…(ノω・、`)
桑田も可哀想です…。
期待しています!
-
- 144 : 2015/01/24(土) 13:34:40 :
- 人間も動物だから、生命の危機に瀕すると生殖本能が活発になるんだよな
苗木はなんだかんだ非凡でおいしい役回りを持っていくことが多いから、この展開は個人的にすごく面白い
人間臭い負の面って日向が担うことが多いし(このssでも家柄系の才能持ちに嫉妬してるわけで)
-
- 148 : 2015/01/24(土) 21:35:56 :
日向「生き残ることにしたって……お前…」
苗木「日向君」
─────苗木。
苗木「君だけは、考えていた筈だよ」
─────お前だけは、考えてたはずだ。
苗木「みんなで生き残ろうって」
─────みんなでここから出ようって。
苗木「でも、現実はどうだい?」
苗木「『世の希望』として希望ヶ峰学園に集められ、今までみんなで心をひとつに何にでも取り組んできた僕らは、言われるがままに武器を取り、それぞれが殺し合いの引き金をひいた」
苗木「築いてきた信頼や友情は、いとも簡単に崩れたのさ」
日向「…………」
苗木「いい加減、目が覚めたよ」
苗木「みんなで生きて脱出するだなんてありもしない希望を信じて、それが不可能だと知って絶望する…………もう、たくさんだよ」
苗木「一体僕が何をした!?僕らが何をしたと言うんだい!?」
苗木「何故、どうして僕らがこんな目に遭わなければならないんだよ!!?」
苗木「西園寺さんは毎日のように泣いていた!!その度に僕は彼女を慰めた!!どうして彼女は泣かなければならなかったんだい!?どうして僕らはこんな気持ちにならなければならない!?」
苗木「それとも僕が狂っているのか?こんな目に遭うのが普通なのか?人はみんな大人になる前にこの島に連れて来られ、殺し合いを強要されるのか!?」
苗木「何が正しくて!!何が間違っているんだよ!?」
─────俺は、
─────────正しいのか?
─────────間違ってるのか?
苗木「3日間………狂ったように考えた」
苗木「そして4日目になって、やっと答えが出たんだよ」
苗木「………自分のことだけ考えて、自分のためだけに、生きる」
苗木「それが、正しい選択だったんだよ」
苗木「自分が生き残りたいから殺す。自分がしたくなったから無理矢理でもする。」
苗木「それがきっと……この島での正しい生き方なのさ」
日向「それは………違うぞ!!」
-
- 150 : 2015/01/25(日) 18:15:35 :
-
苗木「……何だって?」
日向「俺だって……正直、何が正しいのかわからない」
日向「だけど……お前は間違ってる」
日向「それだけは言える!!」
苗木「そういうのさぁ……聞き飽きたんだよ」
苗木「この3日間、何度も何度も自分に言い聞かせてたからね」
苗木「だからもうさ…」
苗木「殺し合ってどちらが正しいか証明するしか無いンだよ!!!」
果物ナイフを取り出し、日向に襲いかかる苗木。
包丁で応戦する日向。
刃が十字に重なる。
苗木「包丁なんか持ってさ……結局君もこの殺し合いに参加してるんじゃないか」
日向「違う!俺は…」
苗木「言い訳はいいんだよ!!」
日向「っ!」
果物ナイフが頬をかすめる。
苗木「みんな死ぬのさ…君のような甘い考えの人間はみんな……ね」
苗木「舞園さんは死んだ……でも、良かったよ」
苗木「僕が直接手を下すことなく死んでくれたからね……気が楽なもんさ」
日向「お前……!!」
苗木「君も…早くあの世へ行きなよ!」
苗木「七海さんもすぐ君に会わせてあげるからさぁ!!」
七海…?
こいつ……七海を愚弄したのか?
こいつ………
………許さない!!!
苗木「死になよ!!」
腹めがけてナイフを構える苗木。
日向は包丁の構えを変えた。
突っ込んでくる苗木に対し、隙だらけの手に『峰打ち』!!
苗木「ぐっ!」
慌ててナイフを拾う苗木。
だが、目の前にいた日向の姿はない。
後ろに気配を感じたときにはもう遅かった。
日向が両手で持っているのは、パイプ椅子。
日向「七海を……悪く言うなぁぁぁ!!!」
苗木の頭に思いっきり叩きつけた!!
嫌な音とともに、苗木は膝から崩れ、倒れた。
首だけを回し、最後の力でこちらを睨みつける。
苗木「そ、そうやって……他のみんなを……殺したんだね……」
苗木「その顔………偽善者の顔……」
苗木「その顔…………殺人鬼…………」
苗木は動かなくなった。
-
- 151 : 2015/01/25(日) 20:16:13 :
- 苗木・・・そんな死に方してほしくなかったよ・・・
-
- 152 : 2015/01/25(日) 20:24:08 :
- ああ、苗木…まさか死ぬなんて…
-
- 153 : 2015/01/25(日) 22:08:57 :
- 正当防衛ではなく、請われてでもなく
初めて自分の負の感情だけで殺したか
ついにほ本当の「殺人者」になってしまったな…
-
- 155 : 2015/01/26(月) 00:32:32 :
-
俺は舞園を殺した。
そんなつもりじゃなかったのに。
俺は豚神を殺した。
殺したくなんかなかったのに。
俺は苗木を殺した。
自分の心で、自分の感情で。
─────その顔、殺人鬼。
俺は………正しいのか?
俺は………間違ってたのか?
何が正しくて、何が間違ってるんだ?
日向「……ハッ」
日向は我に返った。
横のベッドに目をやる。
…………西園寺。
脈は無い。身体が冷たい。
喉を切られ、確実に死んでいた。
日向(……西園寺は一人じゃ着物を着られない)
日向(せめてもの手向け……着せてあげよう)
日向は“超高校級の日本舞踊家”を発揮し、せっせと着物を着せていく。
日向「うっ……!!?」
刹那、生々しい臭いに吐き気を催す。
日向「これか……?」
自分の身体のことは勿論知っているが、異性の身体のことは知らない。
西園寺の『それ』は無理矢理開けられたダンボールのように広がり、『中』は血や白濁液でぐちゃぐちゃだった。
日向「頭痛くなるな……」
日向は『そこ』に目をやらないように着物を直し、枕カバーを取って西園寺の顔にかけた。
次に見たのは、苗木の死体。
日向「苗木………」
あんなに、一緒だったのに。
あんだけ、笑い合ったのに。
────────築いてきた信頼や友情は、いとも簡単に崩れた。
…彼の言うとおりだった。
日向「……じゃあ、どうすればいいんだろうな」
-
- 158 : 2015/01/26(月) 08:07:54 :
江ノ島「随分、戦闘力あるじゃないの?一体何人殺したのかなぁ?」
霧切「…あなたこそ、実の姉を殺すなんてよくそんな真似ができたこと」
江ノ島「その方があいつにとって幸せだったからさ!」
霧切「……あっそう」
大神「もう残りの人数も少ないのだろうか…」
島々を移動していても、人に会わないのだ。
会うのは死体となった者たちだけ。
大神「江ノ島……何処へ行った」
親友・朝日奈葵の仇。
大神「必ず……我の手で葬ってやる」
拳をぐっと握りしめた。
残りは何人だ?
一体誰が生きているのか?
中には救助の船なんて来ない、自分達はこの島で皆殺しにされるんだ、なんて思ってる奴もいるだろう。
…俺が最初そうだったからな。
でも、今は違う。
あのクマが言った通り、ちゃんと生き残るやつはいるはずだ。
それがこの俺だ。
どう考えたって俺しかいないだろう。
いや、厳密に言うと、俺とソニアさんだな。
他の奴らなんて死んだって構わない。
俺は、俺とソニアさんの未来のために生き残る。
邪魔する奴は誰だろうと殺す。
左右田和一は獲物を狩りに出た。
薄暗い部屋の中。
武器に、書物に囲まれていた。
その男は一人、それを読んでいた。
この殺し合いの意味。
本当の目的。
男は知ってしまったのだ。
十神「……なるほどな」
第二部『喧騒』 END
-
- 161 : 2015/01/26(月) 19:16:44 :
-
その日は、眠れなかった。
朝のメールには、『豚神白夜』『苗木誠』の文字。
日向「………」
────────その顔、殺人鬼。
まだ頭の中で反響している。
日向「……もう、ここに用はない」
日向は病院を出た。
日向「くそ…俺はどうしたら……ん?」
あれは………
日向「小泉!」
小泉「日向……」
相変わらずカメラを提げている。
ブラウスの第一ボタンが外れ、目は少し濁っているように感じる。
……何かあった?
日向「良かった……生きてたんだ」
小泉「はは……アンタ、無事そうだね…」
日向「小泉…俺に協力してほしいんだ」
小泉「協力?」
日向「ああ」
日向「俺は……みんなでここから出たい。今まだ生きている奴らだけでも」
小泉「………っ!」
日向「みんなを集めたいんだ。協力してくれないか?」
小泉「……みんなで………」
日向「…?」
小泉「……だめ」
日向「えっ」
小泉「アタシ……だめなんだ」
日向「な、何でだよ!?お前だって」
小泉「アタシはもう!!!戻れないんだよ!!!」
日向「!!!」
─────────もう『あの頃』には戻れないんだ
小泉「仕方……なかったのよ……アタシは……どうすればよかったってのよ………?」
日向「こ、小泉……お前……」
小泉「うわああああああ!!!!」
日向「お、おい、小泉!!」
泣きながら走り去って行く。
日向「小泉………」
日向「………そうか」
日向「………戻れない、よな」
-
- 165 : 2015/01/26(月) 22:02:51 :
- もっと早く小泉さんや苗木に会っていれば2人も希望持てたのかもと、思うと悲しい
-
- 169 : 2015/01/28(水) 19:57:12 :
セレス「この豚がああ!!」
山田「ひえええ!!」
山田をズカズカと蹴るセレス。
今の山田にとって、それはとても『ご褒美』にはなり得ない。
ただ痛みと恐怖を感じるだけの『オシオキ』なのだ。
セレス「テメェ、『死んでも私をお守りする』んだろぉ!?だったら大人しく私に従いやがれこの豚がっ!!」
山田「だからこそっ、だからこそあの場は逃げるしかなかった!!そうでは無いのですか!?」
山田「苗木誠殿まで殺されてしまった!もう貴女を守るナイトはいないのですぞ!?」
セレス「………っ!」
セレス「うるせぇンだよ豚野郎ォォォ!!!」
山田「ぐあああ!!」
セレスは、2度もプライドをズタズタにされた。
いまだ怒りが収まらないほど屈辱を味わった。
本当はフランス人の娘でもなければ音楽家の娘でもない、虚勢を張るだけの自分。
“ギャンブラー”の才能が無ければ、何もかもが庶民と同等。
頂点に立つ者への憧れから、嘘で自分を固めることしかできぬ彼女。
……いつの間にか、プライドだけが大きく大きく育っていったのだ。
セレス「クソが…!!クソがクソがクソがぁ!!」
セレス「私は…絶対に生き残るんだよォ!」
山田「策が……ひとつだけ……」
セレス「?」
山田「ここから南西に、軍事施設が……我々はまだそこへ行っていない」
セレス「なるほど……武器の一つや二つはあるでしょう」
山田「ええ……少し休んだらそちらへ向かいましょうぞ」
その時だった。
大きな音がして、後ろの扉が開いた。
左右田「2人……ついてるぜ」
血走った目をした左右田和一。
セレスも山田も、彼の姿に戦慄していた。
彼が両手で持っているのは………チェーンソー。
だが、セレスは迷いが無かった。
セレス「…山田」
山田「へ?」
セレス「私を、守るのでしょう?」
山田「………へ?」
山田はセレスに服を掴まれ、彼女の前に突き出される。
………へ??
チェーンソーを振り上げて向かってくる左右田。
冷酷なまでのセレスの行動。
自分の身体がバラバラに切り裂かれるヴィジョンが脳をめぐる。
山田はもう、一杯一杯だった。
山田「もう……沢山だ」
セレス「?」
山田「仲間も……友達も……恋仲も……家族も……“名声”も………」
山田「何もかも、生きてこそでしょうがあああ!!」
振り返ってセレスの身体を思いっきり掴む山田。
セレス「なっ…何を……」
山田「僕は生きる!!もうお前に縛られない!!」
セレスの身体を掴んだまま、山田はもう一度振り返る。
セレス「や、やめ……!!」
言いかけたセレス、時すでに遅し。
チェーンソーの刃は、セレスの身体を真っ二つに切り裂いた。
異常な量の血飛沫が辺りに飛び散り、左右田の黄色いツナギを真っ赤にする。
山田は窓を割って逃走。
左右田と、上半身と下半身の別れたセレスだけが残された。
セレス「あ………ぁ……………?」
手だけを必死に動かして臓物引きずりながら左右田から逃げるセレス。
視界は赤くぼやけ、脳はほとんど活動を辞めていた。
セレス「痛い……よ………………い………た……い…ぃ………よ…………」
セレス「た…………す…………け……………て……………」
声が、静かに止んだ。
-
- 172 : 2015/01/28(水) 21:16:32 :
- たえちゃぁぁぁぁん!じゃなくてセレスううううう!!
山田の気持ちも分かるけどセレスがグロい(^_^;)
-
- 174 : 2015/01/28(水) 21:48:19 :
- 眠れ…安らかに……
-
- 186 : 2015/01/29(木) 19:05:47 :
- 石丸楽しみ
-
- 187 : 2015/01/30(金) 01:46:32 :
日向(…………)
ただ当てもなく歩く。
誰か、いないのか。
何か、ないのか。
日向(小泉は……無事だろうか)
日向(セレスと山田は……まだこの島に?)
その時。
後ろに気配を感じた。
“超高校級の剣道家”が、その慎重な足の運びを、気配を感じ取ったのだ。
日向「大神……」
大神「……気付かれたか。いや、我から声をかけるつもりでいた」
朝日奈が死んだ。
彼女はそれをどう思っているのだろう…。
大神「率直に聞こう…江ノ島を知らぬか」
日向「いや……2日目に会ったきり、わからない」
大神「そうか……」
大神「奴は朝日奈の仇……必ず我の手で葬らねばならん」
日向「それは、朝日奈の“才能”を……」
大神「才能……?」
日向「あ…いや、その……」
いや、いい。
大神になら……正直に話そう。
日向「俺は……舞園と苗木と豚神を殺した。舞園も豚神も、そんなはずじゃなかったんだ」
大神「………」
日向「けど、殺した。そこは責められても言い訳はしない」
大神「それで……朝日奈と何の関係があるのだ?」
日向「ああ、俺が舞園を殺した時に……」
石丸「僕は……どうすれば……」
十神「……お前か」
石丸の目の前には、見慣れたスーツの男。
十神「……いや、丁度いいかもな」
十神「お前、真実を知る勇気はあるか?」
石丸「!!!」
石丸「な、何か知っているのか!?」
十神「……来い。俺がここで知った全てをお前に教えよう」
-
- 188 : 2015/01/30(金) 11:15:36 :
- 石丸と白夜様ってあまり見ない組み合わせですねw楽しみです
-
- 191 : 2015/01/30(金) 20:21:16 :
石丸「ここは……」
先ほどの遊園地とは違い、不気味な雰囲気を醸し出している。
倉庫だろうか?
槍やら斧やらメイスやら、武器が所々に置いてある。
十神「ここならさすがに誰も聞かないだろう」
石丸「で、では知っていることを教えてくれ!」
十神「……これだ」
十神は黒いファイルを取り出した。
石丸「これは……」
十神「ここに、全てが書いてある」
江ノ島「あははは!どこいったのかな?」
コテージが並んでいる。
その中に一つ、扉が閉まっているコテージがある。
江ノ島「……そこだな?」
ドアを思いっきり開ける。
江ノ島「……ん?」
部屋の真ん中に、黒い物体が。
黒い物体のカウントは『01』を指している!
江ノ島(やっべ!!)
江ノ島は素早く受け身の態勢をとった。
爆発するコテージ、吹き飛ぶ木片。
江ノ島「!!」
別のコテージに隠れていた霧切による第二の攻撃。
江ノ島「くっ!」
投げられたタイマー爆弾を手で弾く。
その隙に突進する霧切と格闘勝負。
戦刃と朝日奈の身体能力vs終里の戦闘センスと霧切の判断力。
どちらも引けを取らない戦い。
江ノ島(これじゃラチあかんぜ!)
江ノ島「そらっ!」
彼女の放った閃光手榴弾が光る。
江ノ島(さて、少し離れて…)
江ノ島(……!?)
目が眩む光の中に、黒い物体を見た。
それは、『カウントダウンしている』。
江ノ島(あいつ…!!私が『閃光手榴弾を投げると予測してた』のか!!)
江ノ島「くそっ!!」
閃光を爆発が押し殺し、辺りはたちまち煙に包まれる。
江ノ島(一旦ホテルまで戻……!?)
なんと、次の攻撃はもう始まっていた。
それは、上空にあった。
表示窓の青い光が見えたのだ。
タイマー爆弾は上空で爆発し、空襲の如く爆炎が降り注ぐ!
江ノ島「アチい!」
霧切「………」
霧切「逃げたようね」
霧切「けど……逃がさないわ」
-
- 192 : 2015/01/31(土) 09:43:47 :
- 続きが気になる!
-
- 193 : 2015/01/31(土) 18:35:10 :
- 霧っつぁん……!期待ですっ
-
- 194 : 2015/02/01(日) 12:40:37 :
ホテルへ到着する霧切。
待ち構える江ノ島。
江ノ島「さあ…最終決戦といきますか!」
メスを構えてこちらへ向かってくる。
振りかざす刃を誰かさんのサバイバルナイフで受け止める霧切。
江ノ島「へぇ……それ、アンタが持ってたんだ」
霧切「あなたは自分の姉に斬られる」
霧切「……だなんて、洒落を考えてしまっただけよ」
江ノ島「ハッ!ナイスなギャグじゃん」
巧みな身体の運びで刃を振り回す江ノ島。
対し、巧み故の隙につけこみ、“体操部”の筋力を叩き込む霧切。
ほとんど力技の霧切には本人の脳が、攻撃をメスだけに頼る江ノ島には“軍人”による相応の技術が。
だが、斬撃の方がダメージは大きい。
江ノ島「オラァ!」
霧切「くっ…」
霧切はダメージを負ってしまう。
江ノ島「ほらほら!どーしたのかな!?」
メスは切れ味はいいが、刃は小さい。
サバイバルナイフや包丁ほどの応用性は無いのだ。
それ故、急所一点を狙う必要がある。
狙うは……霧切の『首』。
刃物で顎や鳩尾狙ったって意味が無いからだ。
だが、忘れてはいけない。
江ノ島盾子が、戦刃むくろの『残念な部分』をも受け継いでしまったこと。
そして、江ノ島の『過信』。
この二つが合わさったその一瞬の隙を霧切が見逃すわけがない。
霧切は低い姿勢をとって江ノ島に突進、そして飛びかかる。
まるで四足歩行の動物のように。
江ノ島「なっ!?」
抱きつくように飛びかかった霧切が江ノ島の首に刺したのは、中身がカラの注射器。
江ノ島「チッ、てめえ!!」
江ノ島がメスを振り直す前に離れる霧切。
それと同時に江ノ島もその場を離れる。
自分の足元に落とされたタイマー爆弾から離れるために。
爆発とともにホテル内に火の手が上がる。
江ノ島「ホント抜け目ない奴だねぇ!」
霧切「……あなたもでしょう」
-
- 195 : 2015/02/01(日) 21:57:55 :
燃え上がる中、刃を交わす2人。
火の熱さと煙とあいまって、互いの体力はどんどん削られていく。
霧切「ぐっ………」
江ノ島「はっ、もうへばったのかな?」
江ノ島は朝日奈の“才能”により、体力が大幅にアップしていた。
江ノ島「だろうねぇ……ダメージも大きいだろうし、この火の中だもんね」
江ノ島「宣言したっていいよ。アンタは私には勝てない」
仁王立ちで霧切を見据えて勝利宣言する江ノ島。
霧切「……言い切るのね」
江ノ島「アンタが戦闘で使ってる……いや、役に立ってるのは“終里”とアンタの知力。でも私には私の持つ力と“姉ちゃん”と“朝日奈”がいんのよ。人数の時点で既にこっちが勝ってるってワケ」
江ノ島「それに…アンタはもう『爆弾』を使い切った。さっきポーチを捨てたのも、付けてる意味が無くなったからだろう?」
霧切「……」
江ノ島「もうわかっただろう?アンタじゃ勝てないのよ。炎と煙に苦しみながら死ぬ前にこの私様が殺してやるよ。 …丁度、その脳みそも欲しいところだし」
霧切「…そうね」
霧切はフラつきながら立ち上がる。
霧切「これ以上火の中で戦うのは互いに無益。 …最後の一撃にしましょう?」
霧切はサバイバルナイフを構える。
江ノ島「ハッ…仕方ないね」
江ノ島もメスを構える。
互いに距離を取ったあと、突進する。
さながら、武士のようである。
江ノ島(霧切……アンタはもうほとんど体力は残っていないはず)
江ノ島(アンタより速く斬撃をその首に入れてやるよ!)
お互いがすれ違うまで、あと五歩。
四歩。
三歩。江ノ島は刃を振り始める。
二歩。
一歩。霧切はサバイバルナイフをしまった。
江ノ島(……え?)
そして、ポケットから『残り2秒』の『タイマー爆弾』を取り出し、その場で手離した。
江ノ島(………………………え?)
0歩。お互いは同じ位置にいる。
霧切は江ノ島とすれ違う形はとらず、横に飛んだ。
江ノ島は……何もできなかった。
両者とも、最後まで刃を振ることはなく。
激しい轟音の後、江ノ島はホテルの外へ吹き飛ばされた。
-
- 196 : 2015/02/01(日) 22:30:18 :
江ノ島「がっ……はっ……」
霞む視界に夕空が映る。
江ノ島(私は……生きている)
江ノ島(だが……かなり負傷してしまった…!)
江ノ島(くそっ…右手の感覚がない!!)
それもそのはず、江ノ島盾子の右腕は爆発で関節から吹き飛ばされたのだから。
霧切「…まだ生きていたのね」
江ノ島「お前……何故」
江ノ島「爆弾は………『5個』使い切ったはず」
霧切「あなたが『手で弾きとばした』んでしょう?」
!!!
コテージのエリアで投げた爆弾か…!!
江ノ島(思い出してみれば……あの1個は爆発しなかった)
霧切「あら、もうへばったのかしら? ……勝利宣言までしておきながら」
江ノ島「へっ……てめぇ…! …ぐっ!」
突如、立ち上がれないほど激しい痺れが江ノ島の身体を襲う。
霧切「……効いていたようね。『遅効性の毒』は」
江ノ島「ど、毒だと……?」
そんなもの、いつの間に…?
あの首に刺した注射器か?
あれは空っぽだったはず……。
江ノ島「!!」
江ノ島「そうか……『針先に塗った』ッ!!」
霧切「……そうね」
必死に立ち上がろうとする江ノ島の顔に一蹴りを浴びせ、江ノ島は再び仰向けに倒れる。
その上にサバイバルナイフを構えて馬乗りになる霧切。
霧切「さあ、もう終わりよ。江ノ島盾子」
江ノ島「フッ……本当に『自分の姉に殺される』なんて……絶望的ったらありゃしないわ」
これから死を迎えようというのに高らかに笑う江ノ島。
霧切「あなたは、過信しすぎた」
江ノ島「?」
霧切「自分を買い被っていた……そうでしょう?」
江ノ島「…何の話だ?」
霧切「あなたは………『刑事』でもなければ『犯人』でもない」
霧切「『勇者』でもなければ、『魔王』でもない」
霧切「………私たちと同じ、『ただ巻き込まれた』だけの『一般人』に過ぎないのよ」
江ノ島「………何が言いたい」
そんな江ノ島を、霧切は鼻で笑った。
霧切「………満足だったでしょう?」
霧切「……自分を『真打』だなんて勘違いした人生は」
絶望に悶え喜んでいた江ノ島の表情は、怒りに変わった。
しかし、霧切響子にはそれすら関係がないのだ。
江ノ島の首に思いっきり刃を入れた。
霧切「……フン」
顔にベットリついた血を払う。
江ノ島盾子の力が、確かに脳へ流れてきた。
霧切(おや……)
そこで霧切はあることに気が付いた。
霧切(私の中に……“超高校級の軍人”は無い)
霧切(手に入れられるのは………あくまで『自らが殺した相手』の力だけのようね)
大神「霧切!」
霧切「大神さん……久しぶりね」
大神は霧切の服に付いた大量の血から、彼女が殺し合いをしたのだとわかった。
そして、彼女の後ろの死体をすぐに見つけた。
大神「江ノ島……お主が殺ったのか?」
霧切「ええ。その通りよ」
大神(…………。)
大神「非常に言いづらいのだが、霧切よ…」
霧切「?」
大神「江ノ島は……朝日奈の仇なのだ。お主がそれを殺したということは……朝日奈の“才能”がお主の中に在る」
霧切「……??」
大神「とどのつまり……お主が朝日奈の仇ということに……」
霧切「ちょっと待ちなさい」
大神「…なんだろうか」
霧切「私の中に朝日奈さんの“才能”は無いわ。手に入れたのは、江ノ島盾子の“才能”だけ」
大神「な、何だと!?しかし…日向は、『殺した者が他者から奪った“才能”も手に入る』と……」
霧切「何ですって……?」
霧切の中に“超高校級のスイマー”と“超高校級の軍人”は無い。
あるのは、“体操部” “保健委員” “ギャル”、
そして、彼女自身が持つ“探偵”。
霧切(一体………どうなっているの?)
-
- 200 : 2015/02/02(月) 16:43:17 :
-
山田「………」
軍事施設に着いた山田は、夕暮れを見ながら休んでいた。
山田「僕は……間違っていない」
山田「自分を大事にすることが…間違ってなんかいるものか」
山田「僕はもう……何者にも縛られない」
山田「誰の奴隷でもない!『自分』を生きる」
小泉「ど、どういうこと…?アンタが……アンタがソニアちゃんを殺したの!?」
左右田「だから……ソニアさんは死んでねぇっつうの」
左右田「ソニアさんは俺の心の中で生きてるって言ってんだろ!!」
小泉「だから!!それはつまり殺したってことでしょ!?」
左右田「ああもう、うるさい奴だな」
左右田はチェーンソーを駆動させる。
小泉「ちょ、ちょっと、アンタ……」
左右田「どいつもこいつも……この俺を誰だと思ってやがる」
左右田「もういいや……お前も殺してやる」
澪田「はぁ……はぁ………」
ライブハウスに1人、耳を抑えて震えていた。
澪田「…………聞こえる」
澪田「みんなの声が………悲鳴が…………!!」
─────や…やめてくれ……桑……
─────じゅん……こ……ちゃ…………ん………?
─────さく………ら、ちゃ、……、
─────ここまでか……俺は………!!!
─────私は……ここから、出なきゃ!!!
─────生きてくれ、ペコ………
──────お母ちゃああああん!!!!
──────すまねぇ……不二咲
──────痛い………痛いよぉ………!!
──────誰か俺を支えてくれ!!!
──────冬彦……!!
──────その顔……殺人鬼……
───────たすけて、おねぇ!!!
澪田「あ……あああああああ………」
澪田「もう………嫌だ……」
そばに置いた『宝箱』を乱暴に開ける。
中からスイッチを取り出した。
澪田「もう………たくさん……」
澪田「もう…………聞きたくない!!!」
ユラユラした火のような字体で『DANGER』と書かれたスイッチを思いっきり押した。
-
- 201 : 2015/02/02(月) 19:31:17 :
- 唯吹……(T ^ T)
-
- 202 : 2015/02/02(月) 23:27:27 :
日向(もう、この島から離れよう)
日向は第3の島にいても意味がないと考え、他の島に人を探すことにした。
ピッ
日向「もう夕方……」
日向「大神……江ノ島は見つけたんだろうか」
ピッ
日向「そういえば……軍事施設のある島に行ってないな」
日向(もう5日目も終わんのに、まだ2つも行ってない島があったとは)
ピッ
日向「……何だ?さっきから…」
そう、さっきからピッピッと何か音が鳴っているのだ。
日向の携帯ではないし、近くに防犯システムのある建物もない。
ピッ ピッ
日向(近くだけじゃない……よく聞けば、遠くからも……いろんなところから同じ音が鳴っている)
ピッ ピッ ピッ
日向「……………」
日向は、無言でダッシュした。
何も考えず、ただひたすら勢いを落とさないように、身体を手足を筋肉をフル稼動させて走る。
目指す場所は、中央島への大橋。
日向(嫌な予感がするんだ……!)
ピッ ピッ ピッ
日向(俺の……俺の予想が正しければ!)
ピッ ピッ ピッ ピッ
ひたすら、本当にひたすら走る。
ピッ ピッ ピッ ピッ ピッ
日向(あった!!)
ピッ ピッ ピッ ピッ ピッ ピッ
日向(俺の予想が当たっていれば、早く島から離れないとヤバい!!!)
ピ ピ ピ ピ ピ ピ ピ ピ ピ ピ
日向「うおおおおおおお!!!」
橋をガタガタと揺らしながら、中央島へ一直線。
ピピピピピピピピピピピピピピ
ピ──────────────
日向が中央島に辿り着くと同時に、第3の島はピカッと光って炎に包まれた。
日向「なっ………」
オレンジ色の空と明るさ比べでもしてるかのように、島全体が炎でフワッと光る。
引火した橋は崩れ、沈み、もう第3の島へ行くことはできない。
あの島にいた人間はもう生きてはいないだろう。
日向「何故……」
小泉は、セレスは、山田は……。
-
- 204 : 2015/02/03(火) 04:41:10 :
- うわあ絶望的ィ…
-
- 206 : 2015/02/03(火) 22:15:52 :
第2の島、遺跡裏。
肩をおさえて苦しむ少女が1人。
小泉「はぁ………はぁ………」
小泉真昼が手に入れた“超高校級の野球選手”は、チェーンソーを持っているはずの左右田和一を追い込んだ。
正確に急所を狙える強力な能力である。
小泉「うう………っ!!」
だが、桑田怜恩が今まで野球選手でいられたのは、彼自身のスペックがあったから。
普段トレーニングなどしない小泉真昼に、その能力はあまりにも強すぎたのだ。
『身体』が“才能”について行けず、筋肉や骨に支障をきたしていた。
『精神』を蝕まれた桑田が“占い師”に脳を支配されてしまったのと同じ……。
小泉(肩が……痛い…!!!)
小泉(腕が……千切れそう…!)
左右田「クソアマがあああ!!!何処行ったァァァ!!!!」
チェーンソーを鳴らしながら叫ぶ左右田。
身体の至るところに石を投げられたかのようなアザができている。
小泉(見つかったら…殺される!!)
小泉(もっと奥に隠れなきゃ…!)
そのとき、小泉は自分の横に置いてあった宝箱に初めて気がついた。
小泉(これは…!!)
箱を開けると、4つの球体が入っていた。
大きさは、野球ボールより少し大きい。
ソフトボールくらいだろうか。
中が空洞になっているのを感じるが、振っても音はしない。
小泉(な、何これ……?何の役にたつの?)
左右田「があああ!!!」
チェーンソーを振り回して遺跡の蔦を切り裂く。
小泉「あっ………!」
左右田「見つけたぞ…!よくも俺様をコケにしやがったな……クソが!!」
小泉「嫌……こ、来ないで!!」
左右田「うるせぇ!死にやがれッ!!」
小泉「嫌ぁ!!!」
小泉は手に持った『謎の球体』を左右田に投げた!
謎の球体は、左右田に当たった瞬間、バラバラになって弾けた。
ただ弾けたのではない。
空洞いっぱいに詰められていたのだろう、何か液体を大量に撒き散らしながら、レゴブロックのようにバラバラになったのだ。
液体は左右田の顔を中心にほぼ全身にかかる。
左右田「………!!!」
左右田「ああ゛……あああああああああ!!!!!!!」
小泉「え………!?」
左右田「ああああ!!!ああああああ!!!!!」
顔を両手で抑えながらバタバタ暴れる左右田。
彼の皮膚が、火傷したようにだんだん溶けていく。
左右田「あアアあアアア!!!あああアああアアあアああああ!!!!」
顔を覆う指も溶けて、赤黒く染まっていく。
左右田「あああ!!!あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!!!!!!!!」
断末魔の叫びをあげ、左右田は動かなくなった。
小泉「あ……あ、ぁ……?」
小泉は宝箱をもう一度確認する。
さっきは必死で見つけられなかったのだろう、箱の隅の方に折り畳まれた紙切れが入っていた。
小泉「『硫酸ボールのあそびかた』………?」
その瞬間、小泉の額、首筋に汗が滲んだ。
最早面影を失くした左右田の死体を振り返る。
────左右田は、全身に硫酸を浴びて死んだ。
────呻きながら、身体を焼け溶ける痛みに襲われながら。
-
- 207 : 2015/02/03(火) 23:09:49 :
- デスヨネー(結構永いこと生きてたな・・・)
-
- 210 : 2015/02/04(水) 02:00:46 :
- 個人的に小泉さんには生き残って欲しい。
まぁ、それが幸せかどうかは分からないけど・・・。
-
- 211 : 2015/02/04(水) 03:59:56 :
- 真昼ちゃんすごいなぁ…
-
- 212 : 2015/02/04(水) 06:08:51 :
- 肉体を損傷したら才能は入ってこないとすると王女は手に入らねえか?
-
- 214 : 2015/02/04(水) 18:45:15 :
(肉体を損傷したら才能は手に入らないなんて私どこに書いたんでしょうかね)
日向「ここか…」
第5大橋を渡った先、軍事施設のある島。
日向「ここは……軍事施設ではないな」
屋台が並んでいる。中に誰もいないが。
日向(屋台……か)
夏祭り。
あの日は……左右田、苗木、桑田に誘われたが、俺は行かなかった。
………七海と2人で行く予定だったから。
俺が、思いきって、電話した。
緊張して、自分でも何言ってるのかわからなかった。
七海の浴衣姿なんて初めて見たっけな。
しばらくは屋台を回ってた。
そのあと、2人で花火を見てたな。
─────ねえ、日向君。
─────日向君、好きな人いるの?
─────その人は、日向君にとって大切な人?
日向「七海………」
お前は……何処に……。
???「うおおおおおお!!!!!」
日向「!!?」
後ろからの急襲。
日向は横に転がる。
日向「何だ!?」
自分が避ける前に立っていた場所には、斧の刃が食い込んでいる。
斧を抜き取ったのは………石丸清多夏。
日向「い、石丸…?」
石丸「はああああ!!!」
日向「うわっ!!」
所構わず斧を振り回してくる。
日向「落ち着け石丸!俺は…」
石丸「兄弟の仇!!兄弟の無念を晴らしてやる!!」
…………ん?
日向「な、何言ってるんだ!!大和田は…」
石丸「問答無用!!」
石丸「君がいなければ、兄弟が殺されることはなかったのだ!!!」
な、何言ってるんだコイツ!?
わけがわからないッ!!
まさか……セレスか?
セレスが石丸に有る事無い事吹き込んだのか!?
石丸「はあっ!!」
日向「くそっ!」
斧を振り降ろす石丸の懐に入り、そのままタックル。
石丸「ぐはっ!!」
日向「落ち着け石丸!大和田を殺したのは俺じゃない!!」
日向「お前、セレスに唆されてるぞ!!」
石丸「何の話だ…!!」
日向「……は!?」
石丸「ふんっ!!」
日向「ぐっ………!?」
日向はメイスで頭を殴られた。
だんだん意識が遠くなっていく。
石丸「気絶したか…?」
石丸「君がいなければ……君さえいなければ!!」
石丸「君は僕が直々に罰を与える!!」
日向の首に斧を当てがったそのとき。
石丸の身体は背中から刃で貫かれた。
???「……ダメだよ」
石丸「キミ……は………」
石丸「何故…だ……何故………裏切った…!!!」
???「まだ………彼を殺しちゃダメなんだよ……石丸クン………」
刃を抜くと、石丸は力尽き倒れた。
???「キミは………ここで殺されるべきではない」
???「………日向クン」
-
- 217 : 2015/02/04(水) 22:01:00 :
- >>120が喜びのあまり電車内で不審者になりかけたようです
-
- 219 : 2015/02/05(木) 01:38:24 :
- 期待です!!
-
- 221 : 2015/02/05(木) 20:33:00 :
-
日向「………ん?」
瞼を上げると、まず星空が俺の目に映りこんだ。
オレンジの空と対比するように暗い。
???「目、覚めた?」
俺の隣から呼び声がした。
─────ああ。
─────その声を聞きたかった。
─────その顔を、見たかった。
日向「七海!!」
七海「あうっ」
思わず七海を抱きしめた。
七海「ひ、日向君」
日向「あ……す、すまん」
???「おやおや………目を覚ましたようだね……日向クン」
日向「……狛枝」
顔の半分が焼けただれている。
左半分にガーゼや絆創膏による処置を施しており、首や両手足の露出部分には包帯が巻いてある。
……それほどの出来事があったのだろう。
狛枝「君は屋台の通りのど真ん中で倒れていたんだよ……頭から血を流して、ね」
日向の頭にも包帯がヘタクソに巻いてある。
日向「屋台通り……そうだ!石丸はどうした!?」
七海「石丸君も日向君と一緒に倒れてたよ」
狛枝「けれども……石丸クンは既に死んでいたんだ」
日向「な、何だって!?」
石丸は……俺を殺す気だった。
自殺なんてしないだろう。
狛枝「さて…日向君も目覚めたし、中央島へ行くよ」
日向「中央島?」
狛枝「うん、皆が待っているよ」
日向「み、みんなが…?」
狛枝「十神クンが召集をかけたんだ。 さぁ、行こうか」
七海「…………」
中央島、ジャバウォック公園。
十神「……霧切、七海、石丸、小泉、不二咲、山田、大神、狛枝」
十神「……もう、これだけになってしまったのか……」
小泉「それで……私たちを集めた理由は何?」
十神「それは、狛枝と七海と石丸が帰ってきたら話す。 …全員集まらねば、意味がないのだからな」
不二咲「……?」
大神「む、来たぞ」
狛枝「ごめんごめん、待たせたね」
小泉「日向…」
日向「小泉…!みんな……!」
十神「…おい狛枝、石丸はどうした」
狛枝「石丸クンは残念ながら、死んでいたよ」
十神「…何だと?」
狛枝「正直ボクも、気持ちの整理がついてないんだ。 でも確かに石丸クンは死んでいた。今ここにいる人達で全員のはずだよ」
十神「……そうか」
大神「全員揃ったということか。ならば、話を始めよ」
十神「……ああ」
十神「皆に集まってもらったのはほかでもない」
十神「俺が手に入れた『真実』を、今この場で教えよう」
-
- 223 : 2015/02/06(金) 00:20:30 :
- ああ....さようなら十神....
-
- 225 : 2015/02/07(土) 01:55:36 :
日向「……真実?」
十神「俺達がこの島に集められ、殺し合いを強要された目的……全てここに記されてある」
十神は銅像の横から黒い大きなファイルを取り出した。
希望ヶ峰学園の校章が刻まれてある。
第4の島の宝、それは『情報』。
十神「まず俺達は……あのバスから飛行機の荷台で目を覚ますまでの記憶を奪われている」
十神「その間…………約48時間だ」
一同「「「「!!??」」」」
俺達はバスで眠ってから……2日間の記憶が無いだと!?
小泉「ど、どういうことよ…!?その2日間、何してたとか……何か書いてないの!?」
十神「48時間の間、俺達は……」
十神「全員、脳の手術をしていた」
再び、全員が呆気にとられる。
十神「噛み砕いて言えば、脳をめちゃくちゃにいじくられていた」
十神「……このゲームの参加資格を得るためにな」
七海「それって……『才能を奪えるようにする』ってことだよね?」
大神「我々が改造手術を施された……そこまでは分かった」
大神「だが、問題は『何故今殺し合いをさせられているのか』だ!!」
山田「そうですぞ……わざわざ脳ミソめちゃくちゃにされてまで殺し合わなければならない、その理由だ!!」
十神「……それは、奪われた記憶が『2日間』だったこと」
不二咲「え?」
十神「俺達の手術は24時間以内に終了したらしい。 …ただ1人を除いてな」
十神「そいつは、希望ヶ峰学園の闇を買うことになったんだ」
霧切「学園の………闇……」
霧切(……………)
十神「学園は、この世の森羅万象を支配できるような、『真の希望』を求めていた」
十神「希望ヶ峰学園の創造主から代々受け継がれし、秘密裏の……深い闇の計画だ」
小泉「ちょ、ちょっと待って!!いきなり何の話よ!?」
十神「闇の計画が、完成を間近に迎えているという話さ」
小泉「えっ……!?」
十神「1人だけ……2日間の精密な手術を必要とした。そいつだけの、特別な力のためにな」
十神「そいつが、全ての才能を手に入れて『真の希望』となるために!!!」
十神「そうだろう……?」
十神「………日向 創」
日向「お、俺……!?」
十神「全ては……学園の闇……!!」
十神「受け継がれた闇の計画の成功のため、俺達の命はモルモットとされた!!」
十神「日向創に全ての才能を与え、完全なる“希望”を生み出すためにな!!!」
な……
何だって………!!?
-
- 226 : 2015/02/07(土) 07:15:42 :
- なるほど!! カムクラか!!
これは期待せざるを得ません!!
-
- 227 : 2015/02/07(土) 07:29:57 :
- 黒幕は希望ヶ峰学園?
-
- 228 : 2015/02/07(土) 12:47:41 :
- 期待
-
- 229 : 2015/02/07(土) 23:26:01 :
-
>>226
>>228
ありがとうございます!
>>227
そうなりますね(今のところは)
山田「な、何が何だが、あ、頭がパンクしそうですぞ!!」
大神「希望ヶ峰学園にそのような裏が…」
小泉「ねぇ、あの…それって要するにさ、」
小泉「……日向がいなかったら、こんな事にはならなかったってこと?」
全員の目線が、日向に集まる。
日向「お、俺は……ぐっ!?」
右太ももの辺りに激痛が走る。
目を赤く腫らした不二咲千尋が日向にフォークを突き立てたのだ。
不二咲「君がっ……、君がいなければ、大和田君はっ…、」
不二咲「お前さえ存在 なければッ!!大和田君は…!!」
日向「ふ、不二咲……」
息を荒くして、フォークに力を込める不二咲。
十神「日向……頼む」
十神「……おとなしく、死んでくれないだろうか」
衝撃の一言だった。
大神「………」
山田「………」
小泉「………」
その静寂を打ち破ったのは、俺の後ろにいた人物だった。
狛枝「……ダメだよ、不二咲さん」
狛枝「……希望を台無しにしちゃ」
言い終えるとともに狛枝は鎌で不二咲の首を飛ばした。
小さな首が、小泉の前に転がる。
小泉「ひっ…」
小泉「いやあああああ!!!」
十神「狛枝、貴様!!」
狛枝「ダメだよぉみんな……日向クンを殺そうなんてさ」
狛枝「やっと見つけた、『真の希望』なんだからさぁ!あはは!あーっはっはっはっはっは!!!」
小泉「も…う……やだ」
小泉「もう嫌あああ!!!!」
後方、第5大橋の方向へ走り去る小泉。
山田「もう付き合っていられるかぁ!お前らなんかこの島から出てくるなぁぁぁ!!」
山田もどこかへ走り去ってしまう。
十神「小泉!山田!!」
霧切「…」
狛枝「さぁみんな!」
狛枝「ここからは容赦無し、真のデスマッチだよ!!」
─────生き残りたくば、
───────殺せ!!!
狛枝は両手を広げ、高らかに笑った。
・苗木誠
思考が歪み、日向が撲殺
・桑田怜恩
葉隠を殺したトラウマにより発狂、小泉に襲いかかるが彼女が撲殺
・大和田紋土
セレスにより撲殺
・石丸清多夏
先走って日向を抹殺しようとするも、狛枝の裏切りに遭い死亡
・不二咲千尋
狛枝により首を斬られ死亡
・葉隠康比呂
桑田により撲殺
・舞園さやか
日向を追い詰めるも、自らの包丁で自滅
・セレスティア・ルーデンベルク
山田に裏切られ、左右田により惨殺される
・朝日奈葵
江ノ島に喉を切られ死亡
・戦刃むくろ
江ノ島に裏切られ、絞殺される
・江ノ島盾子
霧切に襲いかかるが、首を切断され死亡
・腐川冬子
七海と戦闘、真空爆弾で手足以外消滅する
・豚神白夜
日向を庇い重症を負う。その後自らを殺させた
・花村輝輝
腐川に全身を切り刻まれ死亡
・左右田和一
小泉を追い詰めるが、第2の宝で全身に硫酸を浴びて死亡
・九頭龍冬彦
我が身を犠牲に狛枝に重症を与える。ペコにより銃殺
田中眼蛇夢
舞園に身体を切り刻まれ死亡
・弐大猫丸
七海の真空爆弾により死亡
・澪田唯吹
第3の宝により、島ごと焼失
・西園寺日寄子
苗木に喉を切られ死亡、屍姦に遭う
・罪木蜜柑
大和田に重症を与えるが、霧切により爆殺
・辺古山ペコ
日向を庇った豚神により銃殺
・終里赤音
霧切と戦闘、タイマー爆弾により爆殺
・ソニア・ネヴァーマインド
左右田を騙し、負傷させるも彼により絞殺
死亡 24人
残り8人
-
- 230 : 2015/02/08(日) 04:37:05 :
- 期待通りの狛枝の動きに感無量
-
- 231 : 2015/02/08(日) 11:34:43 :
- 狛ったなぁ
-
- 232 : 2015/02/08(日) 21:03:44 :
-
十神「狛枝……貴様、裏切るつもりか」
狛枝「裏切るも何も……ボクは最初からキミたちと手を組むつもりなんてないよ」
狛枝「ボクは……希望の味方なのさ」
十神「くっ……」
狛枝「さぁ…行くよ、日向クン」
狛枝が広場の中心に何かを投げる。
それはたちまち閃光となって広場を白く包み込んだ。
十神「ぐあっ……くそ!!」
大神「閃光手榴弾か…!」
霧切「………」
─────響子。
─────私の力では、何もできなかった。
─────君はこれから……戦争に出掛けることになるだろう。
─────どうか……父さんの願いを聞いてくれないか。
─────例え人殺しになったとしても、生きて帰ってきてほしい。
─────それが、父さんの、自分勝手で我儘でどうしようもない、一生のお願いだ。
霧切「………」
霧切「一生のお願い……ね」
………仕方ないわね。
第2の島・図書館
狛枝「さて、ここまで逃げれば何とかなるかな」
日向「俺は………」
狛枝「…………」
日向「俺は………どうしたらいい…?」
日向「本当に……?」
日向「俺のせいで……みんなが…?」
狛枝「はぁ…まだそんなこと考えてるのかい?」
狛枝「簡単だよ!みんなを殺して、真の希望を手に入れようよ!」
日向「簡単に言うな!!!」
日向「俺は……殺したくなんてなかったんだ!!!舞園だって、豚神だって………殺していいわけがない……!!」
日向「仲間を傷つけて手に入れる希望なんて……俺はいらないんだよ!!!」
狛枝「………」
狛枝「そっか……なら仕方ないね」
狛枝「まぁ、脳だけあればいいしね」
日向「狛枝?」
狛枝が振りかざした鎌を間一髪で避けた。
日向「おい!!何のつもりだ!?」
狛枝「キミが希望にならないというのなら、僕が受け継ぐだけさ」
狛枝「キミを殺したあと、その頭を切り開いて脳だけを摘出し、ボクの頭に移植する」
狛枝「……簡単でしょ?」
-
- 233 : 2015/02/08(日) 21:25:19 :
- また移植か…
-
- 234 : 2015/02/08(日) 22:09:23 :
- 今追いついたべ
苗木と江ノ島の途中退場には驚いたなーとにかく期待
-
- 236 : 2015/02/10(火) 20:57:15 :
- 他人の奪った才能を引き継ぐのは日向だけ?
-
- 237 : 2015/02/10(火) 22:44:19 :
-
>>233
>>236
そういうことになります。
日向「お前、最初から全部分かってたのか!?」
狛枝「違うね。キミのことは十神クンに会うまでは知らなかったよ」
狛枝「ボクは全員殺す気でいたからさ」
狛枝「例え3人になったとしても、残りの2人の“希望”もボクがいただくよ」
日向(こいつ……危険だ)
日向は包丁で対応しようとしたが。
日向(……無い!)
狛枝「どうしたの?武器でも探してるの?」
狛枝「例えば……包丁とかぁ?」
日向(こいつ…!!)
狛枝「まぁ……武器が無くてもボクは容赦しないけどね」
狛枝は鎌を振り回す。
さまざまな“才能”による身体能力で躱していく。
日向(次は……右!)
狛枝「当たらないな……まるで心が読まれてるかのようだよ」
日向「……皮肉のつもりか」
狛枝「さぁね!」
そのとき、図書館のドアが勢いよく開けられた。
狛枝「おやおや……お揃いで」
現れたのは、大神さくらと十神白夜と霧切響子だった。
日向「………」
狛枝「さすがに4人vs1人 じゃ分が悪い」
狛枝「ここは、退かせてもらおうかな!」
狛枝は後ろにあった消火器を取り出し、辺りに振りまいた。
十神「くっ……逃げられたか」
十神「だが…奴はまた現れるはずだ。その時は必ず討ってやる」
日向「お前らは…」
大神「日向よ、我は何が正しいのかわからぬ」
大神「お主を殺せば戦いの意味は無くなるが、だからと言ってそれで残り全員が助かるとも思えん」
霧切「……日向君が死んでも、3人になるまで戦いは続くでしょうね」
確かに、俺が死んだら殺し合いの意味は無くなる。
けど、だからって学園が殺し合いを中止するとは思えない。
つまり、俺が生きても死んでも、3人になるまで殺し合いは続く。
そう、要するにこいつらは………
日向「……組んだのか」
日向「………3人で!!」
十神「察しがいいじゃないか、日向創」
-
- 240 : 2015/02/13(金) 20:35:58 :
-
霧切「日向君、おとなしく死んでくれとは言わないわ。私たちだって、生き残りたいから手を組んだのだから」
霧切「けれども……私たちの敵に回るつもりであれば、腕や脚の一本くらいは覚悟してちょうだい」
日向「……よく言うぜ」
けど……どうする。
強がっている場合じゃない、この状況は本当にヤバい!
日向(……ん?)
大神「さあ行くぞ……日向よ」
霧切「待って!この匂いは…」
そう、さっきから何かが鼻を突く。
この匂い……何か、ものを燃やしてるような……。
霧切「……火薬よ!」
大神「何っ!?」
十神「狛枝……奴の仕業だな!一旦退却だ!!」
日向(俺も逃げなければ…!!)
日向は窓を割って脱出、そのまま逃走。
その後、図書館は大爆発を起こした。
日向「はぁ…はぁ……くそっ!!」
日向「………何でこうなったんだよ!!」
みんなで協力するどころか、俺がみんなから狙われるなんて……。
…………。
やはり、俺は間違っていたのか?
いや、協力するしないの話ではない。
俺さえいなければ、こんなことにはならなかったのだ。
俺は…潔く死ぬべきなのか?
七海「日向君!!」
日向「七海……」
七海「無事でよかったよ……とりあえず今は、身を隠そう?」
日向「……ああ」
日向と七海は、遺跡へと向かった。
日向「………」
その死体はゾンビか何かのように顔がドロドロに溶けていたが、蛍光色の裾と黄緑色の靴で誰なのか判断できた。
日向「左右田………」
七海「とりあえず、上登ろっか?」
日向「上……?」
上なら、確かに気づかれにくいかもしれない……。
七海「空が明るくなってきたね」
日向「ああ」
真っ黒だった星空が藍色になり、段々薄くなっていく。
日向「七海……俺、どうすればいいかな」
日向「俺がいなければ、みんな殺し合う必要なんてなかったんだ」
七海「次に日向君は『俺は死ぬべきなんじゃないのか』って言う」
日向「俺は……死ぬべきなんじゃないのか?」
日向「……あっ」
七海「ほらね」
日向「けど、これは俺のせいでむぐっ」
俺の口は七海の唇によって塞がれた。
七海「…そんなこと、言っちゃだめだよ」
七海「本当に自分のせいだって思うなら、死んだみんなの分まで日向君が生きなくちゃ」
-
- 241 : 2015/02/13(金) 20:56:32 :
- 期待です‼ 七海の死亡フラグが立ってて辛い……。
-
- 243 : 2015/02/13(金) 22:53:00 :
- 七海は殺人鬼の才能と文学少女の才能どっち持っているんだろう?もしくは、どっちも持っているんだろうか?
-
- 244 : 2015/02/17(火) 20:13:12 :
>>241
ありがとうございます!
さぁどうでしょうね…(☝︎՞ਊ՞)☝︎
>>242
>>243
ジェノサイダー翔の人格を殺したため“殺人鬼”が受け継がれます。
江ノ島は何なんだという話になりますが、そもそも彼女の絶望やら何やらは正式な“才能”ではない、言うなれば自称のようなものなので誰がどう倒しても手に入るのは“ギャル”となります。
日向「……ん」
気付いたら俺は眠っていたようだ。
七海「おはよう、日向君」
日向「ああ……おはよ……う!?」
俺は飛び上がって起きた。
なんということだろう。
俺は七海に膝枕されて寝ていたのだ。
七海「どうしたの?」
日向「あ、いや…その……な、何でもない!」
その時、俺の携帯が鳴った。
七海のも同時に。
時刻は7時。3時間ほど眠っていたことになる。
コロシアイ修学旅行 実行委員からのお知らせ
昨日死んだ生徒
セレスティア・ルーデンベルク
江ノ島盾子
澪田唯吹
左右田和一
石丸清多夏
不二咲千尋
以上 6名
残り 8名
日向(残り…8人)
七海「ねぇ日向君」
日向「ん?」
七海はハサミを持って俺に襲いかかってきた!
日向「七海!?おい何のマネだよ!?」
七海「問答無用……だよ」
武器を持っていない俺は躱すことしかできない!
日向「落ち着け七海!!一体どうしたんだよ!?」
七海「生き残れるのは3人……残り5人が死ななくちゃいけない」
七海「だったら、まずは私を殺しておくべき……だと思うよ」
日向(な、何だよ……どうしたんだよ!?)
日向(とりあえず七海を止めないと!!)
ハサミを振る七海の腕をいなし、ハサミが振れぬ距離まで近づく。
日向(よし、これで…)
日向「がっ…!!」
ハサミを捨てた七海の右手が鳩尾に命中した。
七海「どうしたの?日向君」
七海「……いくら身体能力を高めていても、『身体のクセ』が見えているよ?」
日向「な、七海……?」
七海「距離を詰めたときの独特な足の運び、『剣道』のものだよね?」
七海「……“辺古山さん”だね?」
日向「ど、どうして…」
七海「……格ゲーは得意だから」
日向「……『嘘』だな」
日向「………“弐大”、なんだろ?」
七海「……どうして分かったのかな?」
日向「さぁな……人の心が読めるようになっちゃってさ」
また互いに距離をとる。
七海「私は……弐大君と腐川さんを殺した」
日向「何でそれを、俺に言うんだよ!?」
七海「今言わなきゃいけなかったから……かな?」
-
- 245 : 2015/02/17(火) 20:39:51 :
再びハサミを手に向かってくる。
こちらに突き刺すつもりの構えだ。
日向(俺は……)
七海はもう目の前にいる。
日向(……俺は………)
─────俺は。
時間が止まったようだった。
日向も七海も、ピタッとその場で動きを止めた。
あと1秒でも動いたら、日向は心臓にハサミを喰らっていただろう。
七海「………どうして、止めるってわかったの?」
…………。
日向「…エスパーだから、かな」
七海「答えになってない……と思う」
日向「俺は、七海を殺さない」
七海「生き残れるのが1人だけだったとしたら?」
日向「七海以外皆殺しにして、最後に俺が自害する」
七海の手が、ハサミを落とした。
心が揺らいだのを確かに感じた。
七海「………どうして?」
日向「……好きだから」
日向「………愛してるからだよ、七海」
七海は飛びかかるように抱きついた。
俺はそれを抱き締める。
日向「……やっと、決心がついたよ」
日向「………生き残ろう、七海」
七海「うん……!」
誰が向かって来ようと、俺はもう迷わない。
俺は、生き残りたい。
七海と、二人で……。
俺は七海から『真空爆弾』を3つ受け取った。
使い方も教わった。
日向「……行こう」
そんな中。
物語は密かに動いていた。
十神「……くっ!」
戦闘に有利になる武器を探すため、改めて第5の島に足を運んだ十神・霧切・大神は、思わぬ足止めを喰らっていた。
それは、まるで悪魔の兵器。
例えるならば……数多の猛獣をひとつに合わせたような。
そう、合成獣 だ。
まるで無理矢理縫いつけたかのように夥しい数の砲台をつけた戦車がそこにいたのだ。
十神(………あんなことができるのは…)
十神(……“超高校級のメカニック”の他にいない!)
十神(山田か、小泉……)
大神「どうするのだ…あれは我の力を持ってしてもさすがに……」
霧切「一旦、退くしかないわ」
霧切「今の私たちでは……アレには敵わない」
-
- 246 : 2015/02/19(木) 13:28:18 :
- 期待です!
あげぴよさん応援しています。
-
- 247 : 2015/02/19(木) 21:52:08 :
- 10000pv超えおめでとうございます。
さすがあげぴよさんです。
-
- 248 : 2015/02/21(土) 01:44:28 :
-
>>246,247
ありがとうございます!!
狛枝「大丈夫さ…ボクの言うとおりに動けば上手くいくよ」
七海「小泉さんと合流しよう」
七海「彼女ならきっと…私たちに協力してくれるはずだよ」
日向「……ああ」
小泉……。
自分の手で、自分の感情で、誰かを殺した。
─────日向がいなかったら、こんな事にはならなかったってこと?
……大丈夫だろうか。
小泉「はぁ……はぁ………」
十神の悲鳴が脳裏に響く。
小泉「う………うううっ………!」
激しい頭痛。
一昨日の出来事が蘇る。
もはやアタシの声が届かなくなった桑田。
まるで悪魔に取り憑かれたかのように発狂を繰り返して暴走。
終いには、襲いかかってきた。
桑田の目は何処も見ていなかった。
ただブツブツと呟きながらアタシを殴る。
葉隠、葉隠、と其処に居るはずのない名前を呪うように呟きながら。
こっちだって痛いし、恐い。
もう桑田のことなんて考えていられなかった。
爪で桑田の眼球を潰し、怯んだ隙に、カメラで頭を……。
小泉「うぅっ………」
吐きそうになるのを必死にこらえる。
違う。
アタシは間違ってない。
ああしなきゃ、アタシが死んでたんだから。
左右田だって……。
蜜柑ちゃんも日寄子ちゃんも消えてしまった。
唯吹ちゃんもペコちゃんもいない。
誰も、アタシを助けてはくれない。
だったら、自分で生きるしかない。
生き残るしかない……。
十神「ぐっ……」
霧切「落ち着いて、応急処置をするわ」
霧切「大神さん、戦車は…」
大神「………いる」
霧切「え?」
大神「橋を渡って、こちらへ向かってきている!!」
霧切「何ですって!?」
-
- 249 : 2015/02/21(土) 19:21:51 :
- 期待してます
-
- 250 : 2015/02/22(日) 22:26:22 :
>>249
ありがとうございます!!
大神「霧切、十神を連れて逃げよ」
大神「我は…あれを止める」
霧切「けれど…」
大神「大丈夫だ。 …我を信じよ」
霧切「………」
霧切は頷くと、十神と共にその場を後にした。
大神「さて……まずはひっくり返すとしよう」
戦車が橋を渡りきり中央島を走ると、大神は砲撃を喰らいながら戦車へ突進する。
大神「むん!!!」
爆風を受けようと、火傷を負おうと関係ない。
大神は車体を拳でボコボコにしていく。
所詮は金属板をゴチャゴチャに貼り合わせて作った即席兵器。
接着剤でも使ったかのように不自然に取り付けられた砲台も“霊長類ヒト科最強”の拳を入れてしまえば機能しなくなる。
大神「おおおお!!!」
太鼓でも叩くかのように連続でパンチを入れる!
大神「終わりだ……!」
キャタピラが搭載されているこの戦車は、キャタピラの間は空洞になっているのだ。
戦車の下に潜り込むかのようにしゃがみ、装甲裏に手をかけてそのまま力の限り戦車を持ち上げる!
大神「んぬぉぉぉぁぁああああ!!!」
車体が浮き、そのままひっくり返った。
その衝撃で部品が数箇所イカれてしまったのか、爆竹のように車体がところどころ炎上、爆発し黒い煙が空を舞う。
大神「さあ出てこい。正々堂々、拳で勝敗を決めようではないか」
砲撃によるダメージは大きいが、それでも戦えないほどではない。
大神「……?」
大神(妙だ……中から誰も出てこぬぞ)
大神(……生きることを諦めたわけでもあるまい)
瞬間、大神の身体は衝撃を受けた。
橋の向こうから現れた小泉真昼の持つ機関銃によって。
狛枝「やれやれだよ……ボクら2人の力作が台無しになっちゃうなんて」
大神「貴様ら……!!」
小泉「わ、悪く思わないで…! こうでもしないと……生き残れないんだから!」
狛枝「あはは。それにしても、いい才能 だね……プログラマー」
狛枝「ボクは戦車や飛行機ってのは人が操縦してナンボだと思っていたからさぁ」
狛枝「プログラミングでどうにかなるモンなんだね」
大神(まさか……あの戦車の操縦システムは“メカニック”と“プログラマー”の才能が生み出した代物!?)
大神(あれほどのデカさの兵器を遠隔操作するとは……!!)
狛枝「本題はここからだ」
狛枝「キミさぁ……ボクらと手を組もうよ」
大神「何だと…?」
狛枝「ボクらには大神さんの力が必要なんだ」
狛枝「キミだって、自分さえ生き残れば他に誰がいても同じなんでしょ?」
大神「……………」
-
- 253 : 2015/02/23(月) 13:32:04 :
- 期待です
-
- 254 : 2015/02/23(月) 18:28:00 :
- 小泉さんって七海や日向からも信用されたのに・・。
もっと早く出会ってればなぁ・・。
-
- 255 : 2015/02/23(月) 22:14:08 :
狛枝「キミにとって最高の形は、『自分と朝日奈さんが生き残ること』」
大神「……っ!!」
狛枝「けど……朝日奈さんがいない今、自分の命があればいい」
狛枝「小泉さんだって……ねぇ?」
大神は狛枝の動きに注意しながら小泉を睨む。
小泉「もう…誰もいないんだよ……。唯吹ちゃん、蜜柑ちゃん、日寄子ちゃん……」
小泉は一枚の写真を取り出した。
それは、女子全員で取った写真。
勿論、大神も写っている。
おそらく霧切が『笑顔で』写っている唯一の写真であるだろう。
小泉「もう……この頃には戻れないんだよ……?」
涙を流しながら、大神に訴えかけるように話す。
小泉「もう…………『自分が生き残る』以上の形が………無いんだよ………!!!」
小泉「もう綺麗事なんて言ってられないんだよ!!どんな手を使っても生き残るしか無いんだよ!!」
小泉「仕方………ないんだよぉ……!!」
大神「………」
朝日奈よ………。
我には……何が正しいのか、わからぬ…。
お主なら……今の我に、何と言ってくれるのだ?
十神「貴様……何のつもりだ!!」
第1大橋を越えた先の砂浜で十神・霧切は別のアクシデントに遭っていた。
霧切「山田君、馬鹿なマネはやめなさい」
山田「だ、黙れぇぇ!!僕は生き残る!!こんなところで死にたくない!!」
霧切(まずい……彼は本気ね)
山田が握っているのは、大きなハンドガン。
デザートイーグルというヤツだろう、威力は高めだ。
別に自分は“軍人”ではないので、それ以上の知識は無いし、あってもここで語る気はない。
霧切(銃は……軍事施設にあったうちの一つだわ)
霧切(ということは……)
山田「ふ、ふふふ……さ、さぁ、遺言はそれだけかぁ!?」
十神「くっ……貴様!!」
山田は負傷してる十神に銃口を向けている。
霧切が動けば十神は間違いなく撃たれる。
だが、動かなければ2人とも撃たれる。
霧切(…………)
霧切「……あなた、その銃を何処で」
山田「軍事施設だ!それがどうした!」
霧切「……おかしいわね。私もそれと同じものを、初日に軍事施設で見たのよ。けれど、弾は入っていなかった」
山田「えっ……」
思った通り。
武器を手に入れただけで安心感を持ってしまったのか、弾まではチェックしてなかったようだ。
山田「そ、そんな……」
山田「く、くそぉぉぉぉ!!!」
霧切は山田を取り押さえようと動きだす。
その時、銃声は鳴った。
霧切(えっ………?)
銃弾は霧切の右太ももを貫通した!
山田「は、ははは……拙者が何の準備もしてないとお思いか!!」
山田「この弾は、戦刃むくろ殿の死体から見つけたものだ!!」
-
- 257 : 2015/02/24(火) 16:30:31 :
十神「霧切!!」
霧切「うっ……!」
山田「は、はは、ははは……ど、どうした、強がりは終わりか!?」
霧切「…そうね、強がりは終わり」
霧切「本当の強さでかかるだけよ」
右太ももに『注射』を打ち込むと、彼女は飛び出した。
横跳び、前転、跳躍、突進……あらゆる動作で山田の銃撃を躱していく。
脚を撃たれたというのに、人間とは思えないほどのスピードだ。
山田(な、なんだこの動き!?まるで獣のような…!!)
獲物を狙う眼は鷹のようでもあり、その動きは狼や豹のようでもあり。
その動きは戦闘中の終里赤音によく似ていた。
山田「ぐああ!!」
そうこうしているうちに霧切は山田の右手に思いっきり噛み付いた。
銃を落としてしまい、山田に攻撃の術が無くなる。
十神「山田……貴様」
山田「ひ、ひぃぃぃ!!」
自分が十神に突きつけていた銃が今度は十神が山田に突きつけている。
山田「ゆ、許してくだせぇ!命だけはああ!!」
十神「…終わりだ」
放った銃弾は山田の眉間にヒット。
山田はあっけなく殺された。
霧切「くっ…」
注射は速効性の鎮痛剤。
激しく動いたためか効果切れも早いもので、霧切は立ち上がるのがやっとだった。
十神の方は霧切の“治療”のお陰か、歩けるくらいにはなっている。
十神「霧切、お前…」
霧切「しばらくは……戦力になれないわね」
十神「そうか」
言葉とともに霧切の頭に銃を向ける。
霧切「……何のマネかしら?」
十神「お前、チェスのルールは知ってるか?」
十神「チェスってのは、倒された駒は使えない」
十神「つまり、比較的強力なナイトやクイーンでも戦力にならなくなったらそれまでということだ」
十神「……ここまで言えばわかるよな?」
十神はトリガーを引いた。
と同時に霧切はその手を掴み、手首にサバイバルナイフを深く入れる。
十神が苦痛を感じる間もなく、霧切は彼の喉を切り裂いた。
十神「がっ……き、きさっ……ぁ………」
霧切「同じことを考えていたなんて、たまには気が合うのね。それと…」
霧切「……チェス得意なのよ、私」
弾切れのデザートイーグルと、こと切れた十神に背を向け、大神の救援に急いだ。
-
- 258 : 2015/02/24(火) 16:51:16 :
- やっぱりかませはかませだったか…
十神と豚神両方死んだ…
-
- 259 : 2015/02/24(火) 18:43:10 :
- 誰も殺めてないさくらちゃんが生き残ってほしい
-
- 260 : 2015/02/24(火) 23:35:16 :
- 霧切さん人殺してるのに、この霧切さんカッコイイ
-
- 261 : 2015/02/26(木) 19:36:21 :
大神「小泉……お主は間違っていないか?」
小泉「えっ…?」
大神「お前は…『本当は』誰の味方でありたいのだ?」
小泉「そ、それは…」
狛枝「小泉さん」
狛枝が小泉を睨みつけると、彼女は口ごもってしまった。
大神「わかった、もう口は開かんでいい」
大神「その足で我のところへ来い」
大神「自分の思いを……証明して見せてくれないか?」
狛枝「……無駄だよ」
狛枝はそんな大神を鼻で笑う。
狛枝「キミは不利なんだよ?誰が不利な方にわざわざ味方するんだい?」
大神「……哀しいな」
その一言で狛枝の笑いは途切れた。
狛枝「……何か言った?」
大神「お主は……とても哀しい眼をしている」
大神「大きすぎる何かを求めるあまり、欲に溺れて堕落してしまった眼だ…」
狛枝「………」
狛枝「……小泉さん、撃っちゃっていいや」
小泉「……うん」
大神「……!!」
小泉は機関銃のトリガーを引く。
同時に、銃撃された狛枝凪斗の身体は吹き飛んだ。
狛枝「……何の……マネかな、小泉……さん……」
立ち上がる狛枝は『次の気配』を感じ、急いで横に避難する。
彼に対して投げられた『半球体』は、周りの空気や塵を吸い込むと『地面を』『空間ごと』『削り取った』。
日向「もう終わりだ、狛枝!!」
狛枝「日向クン…」
霧切「もう逃げられないわよ」
第2大橋の先から日向・七海が、第1大橋の先から霧切が現れた。
狛枝「……あれあれ、やばい状況のようだね」
七海「キミは、小泉さんの心を弄んで利用し、さらには日向君を自分のために殺そうと企んだ」
七海「…許さないよ」
霧切「さぁ……あなたは終里や江ノ島 とは違うのでしょう?」
霧切「あなたの未来は……ここまで来たらわかるわね?」
-
- 262 : 2015/02/26(木) 22:40:23 :
- 期待です!
-
- 263 : 2015/02/26(木) 23:01:33 :
- 江ノ島を雑魚扱い…
霧切るさんマジパネェッす!
期待です!!
-
- 264 : 2015/02/27(金) 12:26:14 :
- 期待です!
-
- 265 : 2015/02/28(土) 16:13:55 :
-
霧切「狛枝君、武器を捨てなさい」
狛枝「……仕方ないなぁ」
狛枝は腰の鎌、コートのポケットの手榴弾3個、ズボンのポケットから小型拳銃 を取り出し、その場で地面に置いた。
霧切「……まだ何か、持ってないでしょうね」
霧切「……身体を調べさせてもらうわ」
日向「待て霧切!危険だ!」
足を引きずりながら移動しているような霧切を奴に近づけてはならない!
大神「…我が行こう」
大神「我なら……たとえナイフを隠し持っていてもへし折ってやれる。それに、いくら“幸運”といえど自分を巻き込んでまで爆弾は使うまい」
狛枝「まぁ…ボクだって死にたくないからね」
狛枝「いいさ、調べなよ」
日向(大神に任せて大丈夫だろうか?)
日向(俺も七海も武器を構えてはいるが…真空爆弾はすぐには発動できない)
日向(霧切はまだマトモに戦える状態ではない)
日向(小泉も戸惑ってる。そうだろうな……機関銃は一番有効だが、大神ごと撃ってしまう可能性が高い)
大神は一歩一歩用心しながら狛枝に近づく。
大神(武器を隠し持つとすれば、ナイフや拳銃程度の大きさ)
大神(それくらいならば…すこし負傷してでも此奴の首を折ることができる)
大神(だが……何だ?この不気味さは)
大神はまず、フードの中と脇腹、後ろ髪を調べた。
狛枝「何もないでしょ?」
大神「……ああ」
狛枝「………」
狛枝(馬鹿だね……)
狛枝(大体にして、ボクを拘束したところでどうしようというんだい?)
狛枝(ここには警察なんていない。逮捕や拘束なんて何の意味も無いのに…)
狛枝(それとも……ボクを日本に連れ帰って更正させようとでも言う気なのかな?)
狛枝(とりあえず今は……これしかないね)
大神「……何もない」
日向「……」
大神「誰か、何か縛るものは────」
言いかけた声が止まった。
大神は、気付いてしまったのだ。
狛枝の右の手の平に『埋め込まれた』何かに!!
狛枝「あはっ!!!」
それは、まるで手の平に小さな穴が空いているようだった。
その穴からビームのように飛び出した『光の刀身』は強靭な筋肉を持つ大神さくらの胴体をあっさりと切断した。
小泉「ひっ……!!」
霧切「なっ………大神さん!!」
狛枝「くだらないなぁ〜……この島は生きるか死ぬかの世界だってことを忘れたのかなぁ?」
狛枝「『武器』は無くとも……ボクにはこの『宝』があるんだよね。コテージのひとつにあったのを偶然見つけたんだよ」
七海「……っ!!」
第1の島の『宝箱』。
その中身はすでにこの男の手に渡っていたのだ。
狛枝「こいつはすごいよ……『柄』に力を込めて握るだけで刀身が出てくるのさ」
狛枝「ライトセイバー……と言ったら分かり易いかな?面白そうだったから身体に直接埋め込んでみたのさ」
狛枝「で、結果はオーライさ。あの大神さんを一発で仕留めてやったよ」
狛枝「まったくだね!最初から無駄なことしなければ死なずに済んだのにさぁ!あははははは!!!」
日向「狛……枝………っ!!」
日向「狛枝ァァァァァ!!!!!!」
-
- 266 : 2015/02/28(土) 16:24:18 :
- さくらちゃん…
-
- 267 : 2015/02/28(土) 19:14:51 :
- さくらちゃんの才能+明確な殺意=ヤバイ(;゜∇゜)
-
- 268 : 2015/02/28(土) 21:50:21 :
- 狛ちゃんがさいつよになってしまった……
-
- 269 : 2015/02/28(土) 22:43:42 :
- この霧切さんになら抱かれてもいい!
もう一度読み直しましたが、凄く面白いです‼ 日向のカムクラ化が目的なら、何故『3人』まで生き残れるんだろとか、いろいろと謎が深くてたまらんですね。
これからも執筆、頑張って下さい‼
-
- 270 : 2015/03/01(日) 22:38:14 :
-
>>266
>>267
>>268
狛枝の活躍にご期待ください(☝︎՞ਊ՞)☝︎
>>269
ありがとうございます!!
後々明かされますよ〜
日向「ああああ!!」
日向は真空爆弾を投げる。
狛枝「……それも『宝』か」
狛枝は捨てた武器を幾つか拾って爆縮を躱す。
狛枝「…さて、これで終わりにしよっか」
日向「動くな!!」
狛枝「日向クン……無駄なんだよ」
狛枝「ボクが何の考えもなしにただここに来たと思うかい?」
七海「………」
狛枝「ボクはね、ちゃんと計画を立ててきたんだよ」
日向「……何だと?」
狛枝は両手を広げながら優雅に歩く。
狛枝「ボクはただ“幸運”の赴くままに生きているわけじゃない。増してや今ボクの中には幾つかの“希望”がある」
狛枝「……対してキミはどうだ?何も考えずに感情的に動いている。怒りにまかせて何の狙いもつけずに『宝』を使ったのがその証拠だよ」
日向「だったら何だ!!」
狛枝「キミではボクには勝てないってことさ」
狛枝は全身の力を抜いたと思うと、瞬時に『踵で跳んだ』。
それは機関銃を構える小泉が『自分を狙っている』と分かっていても対応できなかった。
小泉「………!!」
狛枝「さぁ日向クン、ゲームしよっか?」
狛枝は一瞬で小泉の背後をとり、彼女の喉に『光の刀身』突き付けた。
日向「小泉!!」
狛枝「おぉっと……誰も動いちゃダメだよ。小泉さんを見殺しにしたくはないでしょ?」
狛枝「さて、どうしようかなぁ」
日向「やめろ狛枝!!」
狛枝「別にボクに武器を向けても構わないけど、その場合は『キミ達が小泉さんを見捨てた』と見なすよ?」
狛枝「そのときは……どうしようかな」
狛枝「生きたまま全身の皮を剥いじゃおっか?
狛枝「キミの硫酸ボールで足から徐々に溶かしていくのもいいかもね」
小泉「いっ……嫌………助けて………」
恐怖で遠目から見てもわかるほどに震える小泉を弄ぶ狛枝。
狛枝「よし、決めたよ」
狛枝「日向クン、七海さんか霧切さん……どちらかを選んで殺しな」
日向「────────ッ!!?」
狛枝「ほらこれあげるから、どちらか選んで首すっ飛ばしてよ」
日向は足元に投げられた鎌を手に取る。
─────俺が殺さなければならない!?
─────どちらかを選んで……?
霧切「…日向君」
霧切は足を引きずりながら日向へと近づいていく。
日向「き、霧切……?」
そして、日向に抱きついた。
霧切「私……まだ、死にたくないの」
日向の耳元で囁く。
日向「そ、そんなこと……」
霧切「私は…あなたを信じてる」
霧切「私と2人で生き残りましょ?そしたら……何でもしてあげるわ」
霧切「だから…お願い。私を生かして……?」
霧切「─────────」
日向「………!!」
-
- 274 : 2015/03/06(金) 00:21:39 :
- 爆発で脳をやられた。
と考えれば狛枝の言動すべて納得できるで
-
- 275 : 2015/03/06(金) 17:43:54 :
- 期待
-
- 276 : 2015/03/07(土) 15:47:18 :
-
狛枝「…早くしなよ、小泉さんを見捨てるかい?」
日向「……いや、決めたよ」
狛枝「へぇ、どっちにするのかな?」
日向「ああ。 ……こうするまでさ」
瞬間、狛枝と小泉は同時に焦った。
日向は、自分の胸を鎌で切り裂いた。
大量の血が舞い、日向は力なく崩れ落ちた。
小泉「ひっ……日向……」
狛枝「………はっ」
狛枝「まさか……そんなことしちゃうなんてねぇ」
狛枝は日向の死体に近づく。
狛枝「まぁいいさ。あとはボクがコイツの脳をもらえばいい」
狛枝「“保健委員”があればボクはこの場でやってやることもできるけど……生憎持ってないんだよね」
小泉「………」
狛枝「ま、結果的にボクが直接手を下すことなく死んでくれたってことだね」
日向「そうかな」
日向は血塗れのまま起き上がり、狛枝を捕らえる。
狛枝「なっ……お前、何故!!」
日向「詐欺師は嫌いか?狛枝…」
日向「小泉!!」
小泉「はい!!」
小泉は狛枝に向けて思いっきり投球。
狛枝は左半身に思いっきり硫酸を浴びた。
狛枝「がアぁぁあアアぁあアああ!!!!!!」
狛枝はすかさず『刀身』を出す。
が、それは七海が投げた真空爆弾によって一時的に削られる。
“ゲーマー”の才能が刀身を確実に狙ったが、“幸運”の力で腕を失うのは免れたか。
その隙をついた日向は狛枝のアゴに思いっきり拳を入れて吹っ飛ばした。
狛枝「くそ………何故……!!」
霧切「あなたからは見えなかったでしょうね。私の採った血を日向君にあげただけのことよ」
狛枝「お前ら……!」
日向「観念しろ、狛枝!!」
狛枝(馬鹿か!今ひと思いにボクを殺せば全て済むのに……)
狛枝「はははは……やばいね、皮膚の痛み以外何も感じなくなってきたよ…」
狛枝「けどさあ、日向クン……キミは今ボクを『爆弾』で消しちゃえば、全て終わるんだよ」
狛枝「だけどキミはそれをしない……もっと言えば、死んだふりをしたときにボクの首を跳ねればよかったじゃないか」
日向「な、何が言いたいんだ!?」
狛枝「キミはまだ……『殺す』ことに抵抗を感じているんだよ」
狛枝「キミはその鎌を振れるのかい?」
狛枝「キミは……ボクに『爆弾』を使えるかい?」
日向「………っ!!」
……そうだ。
心に決めたのに……俺はコイツを殺すのに、躊躇いを感じている。
命だ……軽いはずがない。
この右腕を振ればもう狛枝は死ぬ。
なのに……震えて動けない。
狛枝「無理だよね……そりゃあ、そうだよね」
狛枝「だってボクら………『友達』だろ?」
-
- 277 : 2015/03/07(土) 15:51:08 :
- 狛枝のキャラが変わってる…?
-
- 278 : 2015/03/07(土) 16:18:54 :
- こんな状況で普段とキャラが同じな方がおかしいと思うんですけど(名推理)
-
- 280 : 2015/03/07(土) 19:50:58 :
- まあまあ
10人いれば10通りの狛枝がいるんだから、納得できる人もそうでない人も出てくるだろ
狛枝は特にキャラの振れ幅が広くて、解釈次第ではガチクズのサイコ野郎にも根は優しい好青年にもなり得るからな
つーか、この狛枝に納得いかない人も>>274でなんも問題ないだろ?
-
- 281 : 2015/03/08(日) 00:06:01 :
(『※キャラ崩壊注意』が読めない人がいる…?いやそんなわけがない、特に難しい漢字は使っていないはず)
狛枝「思い出してごらん……ボクと、ボクらと過ごした、何ともないありふれた日々を……」
日向「………!!」
─────ねえ日向クン、七海さんとはどうなんだい?
─────何ィ!?日向、オメーまさか七海と…?
─────べ、別に何もないぞ!狛枝、何言い出すんだ!
─────左右田君は、ソニアさんとはどうなの?
─────いや、別に何も…オイこら笑うな桑田!!
─────日向クン、キミは将来何になりたいの?
─────将来?そうだな…どうなりたいんだろうなぁ…狛枝は?
─────ボクは……平和に過ごしたい、かな。
─────はは、なんだそりゃ! …ま、俺もそんな感じなんだろうけど。
─────キミも苗木クンも青春してるねぇ…あ、ボクのことは木だと思ってくれて大丈夫だよ。
─────だ、だから七海とは何も無いって……
─────七海さんとは言ってないよ?
─────お、お前は……
─────ていうか、『とは』ってことは他の子とは何かあるの?
─────な、苗木まで何言い出すんだよ!
狛枝「キミは本科に来てから、何もかもが不安だった」
狛枝「だから……キミにとっては、どうでもいい日常の積み重ねこそが宝物だった」
狛枝「さぁ……ボクを殺せるかな?」
狛枝「キミは……またひとつ『失う』ことが、できるかな?」
日向「…………っ!!!」
狛枝「………できないんだね?」
日向「くっ………!!!」
狛枝「……言ったのにね、この島は生きるか死ぬかの世界だって」
狛枝「逆に言えば、殺すか殺されるかの世界……」
狛枝「キミのその『甘さ』が!!『犠牲』を生み出すんだよ!!!」
狛枝は日向を斬るわけでもなく、抑えるわけでもなく。
ただ、小型拳銃を一発撃った。
銃弾は日向の頬を掠める。
日向を撃つつもりだったのか、そうでなかったのか、
その銃弾に撃ち抜かれたのは、七海千秋だった。
-
- 283 : 2015/03/08(日) 08:25:37 :
- ああああああっさあああ七海!!
生きろ!! 生きるんやで!!
あと、霧切さんのキャラに興奮しっぱなしです。(二重の意味で)
-
- 284 : 2015/03/08(日) 20:50:26 :
- まだ七海は死んでいないと信じたい
希望は前へ進むんだ‼︎
-
- 286 : 2015/03/10(火) 19:35:56 :
膝から崩れる七海。
左胸から血を流している。
狛枝の“幸運”が本物ならば、確実に心臓を射抜いただろう。
七海を支える小泉と霧切。
日向「なな……み………」
日向「七海!!!!!!!」
日向は目の前の狛枝に何をすることもせず、むしろ背を向けてただ七海のもとへ走っていく。
今の日向にはそれしかできなかった。
七海「日向……くん……」
七海は立ち上がった。
日向「な……七海!」
七海「待っ……てて……ね……」
七海「今………全部…………終わりに…………するから……ね…」
七海はフラフラと、それでも強く歩く。
七海「狛枝……君……」
狛枝「ど、どうして……何故………何故立ち上がるんだい……?」
狛枝にはわからなかった。
七海は、自分の死が間近に迫っているのを分かっている。
だからこそ狛枝にはわからなかった。
倒れては立ち上がり、胸を押さえて足を引きずり、ときに這いずりながら、彼女は今狛枝の目の前に立っている。
狛枝はというと、恐怖なのか何なのか、全身が震えて、心臓がバクバクと鎮まらず、動くことができなかった。
狛枝「……わからないよ」
残りの短い糸で、何をしようというのだ!!
何故、死を目の前にしてなおも立ち上がり、目に光を宿すのだ!!
何故、今もなお希望を持ち続けているのだ!!
…………希望?
希望………。
希望とは、何か?
ボクは、皆の“才能”が欲しかった。
家柄のような何の役にも立たない才能でも欲しかった。
そう、“努力家”でも……
だが、それは本物にボクの目指すべき、そうで在るべき『希望』だったのだろうか?
小さな身体で、自らの死を理解し、それでもなお運命に抗いつづける少女の姿を見るまで、狛枝はわからなかった。
いや、わからなかったのではない。
ただ、忘れていた。
欲、闇、心、偽りの希望…………全てに溺れて、忘れていたのだ。
そうだ。
ボクはいつも言っていた。
───────キミ達の希望がより輝くためならば、ボクは喜んで希望の踏み台となろう。
狛枝「キミこそが………真の『希望』だった」
七海「………それは、わからない」
七海は手に握っていた真空爆弾のスイッチを押した。
────────ああ、
────────ボクは、
───────希望の踏み台になれた。
─────────とうとう、『ボクにとっての』『希望』を見つけた。
七海「さよなら……みんな」
七海「さよなら…………日向君」
爆弾は臨界点に達し、間近にいた2人の身体は消滅した。
-
- 287 : 2015/03/12(木) 02:27:33 :
- 予想外の生き残りですわ・・・
-
- 289 : 2015/03/12(木) 22:50:46 :
- 七海ィ……(泣)
-
- 290 : 2015/03/13(金) 17:52:40 :
-
まるで嵐が過ぎた後の静けさのように、全てが止まった。
狛枝と七海の足……右手と左手。
同時に崩れるその音以外、何もない。
日向「……七海」
小泉「…………」
日向「……何だよ、さよならって」
日向「……一緒に生きようって約束しただろ?」
日向「…………こんな、『手』だけ残して……勝手にどっか行くなよ」
日向「…………悲しすぎるじゃんかよ………お前が死んで全てが終わっただなんて………」
日向「……………」
小泉「日向………」
霧切「日向君、小泉さん………船が来たわ」
豪華客船、といった程ではないがフェリー程の大きさはあるだろう。
船から黒いスーツの男が出てきた。
男「日向創様、霧切響子様、小泉真昼様でよろしいですね?」
霧切「ええ。あなた1人で来たのかしら?」
男「はい。霧切学園長の命令で、私1人で、と」
霧切「…そう」
霧切(………)
霧切「日向君、小泉さん。この船はいつまでも『あなた達を待つ』わ」
小泉「え?」
日向「待つ……」
霧切「もし、この島でまだやることがあるのなら……それを済ませてきて」
男「こちらは、いつでも出航できる準備が整っております」
日向「…………」
日向「………わかった」
小泉「日向、アタシも着いて行くよ」
日向「……無理しなくていいんだぞ」
小泉「無理なんかしてないよ!」
小泉「アタシも……ちゃんと皆に別れを告げたいからさ」
霧切「………」
-
- 291 : 2015/03/13(金) 18:21:00 :
-
第1の島。
ここにはホテルやレストラン、マーケットがあり、空港もこのエリアにある。
ホテルは完全に焼けてしまったが。
日向「山田……十神……」
小泉「……」
日向は2人の死体を並べて寝かせ、それぞれが着ている上着を顔に被せた。
日向(花村……)
焼けたホテルの、レストラン。
切り刻まれてボロボロになった赤いスカーフを顔に被せた。
日向「お前の料理は……最高だったよ。味だけじゃない、心がこもってたんだ」
日向「お前が料理されて……どうすんだよ…!!」
日向「ちくしょう……ちくしょう……!!!」
日向は床に怒りをぶつけると、涙を拭いて立ち上がる。
日向「すまん……次を行こう」
小泉「……うん」
第2の島。
この島には遺跡や図書館がある。
最初に寄ったのは、爆発でボロボロになったビーチハウス。
日向「……この『手』」
小泉「……赤音ちゃんだ」
日向「……お前が戦闘 で負けるなんてな………」
日向「俺は……強い奴と戦って満足する、お前の馬鹿っぽい笑顔が見たかったよ。こんな……こんな姿よりもさ……」
半壊したドラッグストアには、包帯を巻いた『白い手』。
小泉「蜜柑ちゃん……手柔らかいよね。いつまでも触れていたくなるような」
小泉「けど……もう蜜柑ちゃんには………『体温』が………無いんだね…………」
図書館には、包帯を巻いた大和田が、座り込むように眠っていた。
勿論………彼はもう、二度と目を覚ますことはない。
日向「………」
大和田の学ランを、全身を覆うような形で彼自身に被せた。
日向「………光り輝くダイヤモンド」
小泉「え?」
日向「学ランに刻まれた刺繍だよ。『小さくとも最も強く光り輝くダイヤモンドたれ』」
日向「大和田は……強く、光り輝くことができたのかな……?」
遺跡で倒れるその姿は、かつて俺を『ソウルフレンド』と呼んだ男だ。
小泉「アタシが……殺したんだ」
側に置かれたチェーンソーを見て、大体どのような状況だったのかは理解できた。
日向「……自分を責めなくていいよ」
日向「お前も左右田も………ただ、生きることに必死だっただけなんだ」
日向「みんな……生きるために自分を捨ててたんだ」
-
- 292 : 2015/03/13(金) 19:04:08 :
- 悲しい…あと一息ですね!頑張ってください!
-
- 293 : 2015/03/14(土) 15:04:04 :
第2の島を後にした日向と小泉は、第4の島に辿り着いた。
苗木たちの死体は……第3の島とともに、火葬された。
俺たちが弔う間も、与えてくれなかった。
第4の島。
島全体がまるで遊園地のようだ。
日向「……ちょっと、休まないか?」
小泉「……うん」
2人、ベンチに腰掛ける。
小泉「……みんなで、来たかったね。修学旅行としてさ」
日向「……そうだな」
小泉「唯吹ちゃんがね、楽しみにしてたの…あのジェットコースター」
小泉「……4人で乗ろうって」
日向「はは……罪木なんかは途中で失神しそうだよな」
小泉「ほんとにね……アタシもあんま得意じゃないしさ」
小泉「アンタはどう?千秋ちゃんと2人で行きたかったでしょ?」
日向「…ああ」
日向「七海と2人で……そうだな、ジェットコースターの後に観覧車かな?ゆったりと…ゆっくりと……」
日向「左右田を無理矢理乗せたりすんのも面白そうだけど…それは桑田と狛枝の役目かな、はは」
小泉「ふふ、アイツらしいね…それ」
小泉「……本当、みんなで騒ぎたかったね」
小泉「みんなで……笑いたかった」
小泉「みんなの笑顔を……写真に収めたかったな」
小泉「なのにさ……どうして、なんだろうね」
小泉は両手で顔を覆って泣き出した。
小泉「……ごめんね、もうちょっとだけ泣かせて」
日向「……ああ。俺は、いつまでも待つよ」
日向「その、もうちょっと……休んでいたいしさ?」
小泉とは反対方向に顔を向ける日向は、それはもう顔を腫らして泣いていた。
日向(全て……終わったのに)
日向(……何で、かな)
日向(全てが………全てが悔しい……!!)
第1の島では、焼け落ちたホテルのロビーに1人、少女が立っていた。
『形の似た』、『2つの』頭蓋骨を黒く焦げた床に並べる。
霧切「………」
霧切「………また、地獄で会いましょう」
霧切「………何十年後かに」
-
- 294 : 2015/03/15(日) 16:40:55 :
夕闇が空を覆う頃、日向たちは第5の島へ赴く。
屋台通りに倒れる石丸の死体は、胸の傷さえ無ければ本当に眠っているようであった。
日向「………なんだか、不思議だな」
小泉「不思議?」
日向「ああ。屋台に明かりがついてんのに、全部もぬけの殻なんだぜ」
日向「……まるで、人々が街を捨てて逃げ出したような感じだよ。朝が来たら月が落ちる世界みたいにさ」
小泉「月が落ちる……?」
日向「……七海が言ってたんだ。うちの近くに、潰れた店ばっかの廃れた商店外があってさ。そこを散歩してたときにな」
日向「皆が店を畳んで、あるいはそのままで、人だけがいなくなったような……まあ、ゲームの話なんだろうな」
小泉「……千秋ちゃんらしい表現だね」
軍事施設に眠る少年は、九頭龍組の後取りとなる男。
日向「九頭龍……」
添えられた花は枯れていた。
日向「……辺古山が言ってたんだ。九頭龍を殺したって」
小泉「ペコちゃんが……?」
日向「ああ。けど今考えると……もしかしたら、九頭龍は幸せだったのかもしれない。九頭龍はきっと、自害してでも辺古山の命を優先したはずだ」
日向「………何よりもな」
最後に、中央島。
舞園と田中の死体を並べ、布を被せた。
小泉「……さやかちゃん、田中を殺したんだね」
日向「ああ。俺も……殺されかけた」
小泉「そっか……大変だったんだね……」
小泉(本当にみんな………生き残るために必死だったんだ………アタシを含めて、みんな…………)
小泉「あの……アタシちょっと、場を離れるよ。終わったら、公園にいるから」
日向「ああ」
小泉が向かった先は、中央島の砂浜。
葉隠の死体が、無造作に置いてあった。
何も手を加えることはしない。
小泉はただ手を合わせた。
……それだけだった。
そして、公園へ。
日向は、深い緑のコートの切れ端を『白い右手』に。
日向「狛枝……俺はお前を、許さないだろう」
日向「けれども……最後にお前と対峙したのは……何というか、そういう『運命』だったんじゃないかと思ってる」
日向「俺が死んだとき……お前は地獄で、この日のことを俺に愚痴るんだろうな……」
小泉「………」
日向は自分のネクタイを取り、『小さな左手』に結ぶ。
日向「七海…………」
日向「俺は………お前を忘れない。 ……忘れてなるものか」
日向「だから……一方的でワガママかもしれないけれど」
日向「ずっと………見守っていてくれ」
最後の言葉を贈り、日向と小泉は霧切とともに船に乗り込んだ。
-
- 295 : 2015/03/15(日) 21:31:59 :
- 泣ける。
-
- 296 : 2015/03/16(月) 19:15:47 :
船の中はホテルのように個室があったが、1人でいられなかった俺と小泉はロビーにいた。
霧切「………丁度いいところに」
日向「……どうした?」
霧切「私の知っていることを話そうと思ってね」
!!
日向「そうだ……お前、何をどこまで知っている!?」
小泉「学園がアタシたちを捨てたって……本当なの?」
霧切「……落ち着いて。順を追って説明するわ」
霧切もソファに腰掛けた。
霧切「……まずこの殺し合いの目的は十神君も言ったとおりよ。日向君、あなたに全ての“才能”を与え、希望ヶ峰学園が創始者の代から秘密裏に研究してきた『完璧な希望』を創ること」
霧切「学園が始まって77年、ようやく現れた『適合者』があなただったようね」
日向「…………俺は、学園に騙されてたってことか」
日向「本科への編入、“努力家”、そして修学旅行………何もかも」
そう、何もかも。
全て…………嘘だった。
俺は、結局何の才能もない、普通で平凡で、『ツマラナイ』人間だったのだ。
霧切「……気を落とさないでちょうだい。続けるわ。
闇の計画を実行するために、学園はジャバウォック島に毒を散布した」
小泉「ど、毒!?」
霧切「枯葉剤のようなものだと思ってくれればいいわ。もちろん、私たちには何の害もないように作られている。
……大した技術だこと」
霧切「そうして誰もいなくなったあの島に、私たちを日向君のためのモルモットとして送りこんだ」
日向「くっ………!!!!」
日向が思いっきり拳をテーブルに叩きつける。
日向「俺のせいで……こんな………こんな…………くそっ!!!!」
小泉「落ち着いて。アンタのせいじゃないよ」
小泉「アンタもみんなと同じ………巻き込まれただけなんだから」
霧切「……この闇の計画を実行したのは、学園長ではないわ」
日向「……何だって?」
霧切「決して、学園長を擁護するわけではないわ。少なからず、関わってはいたのだから」
霧切「闇の計画を進めたのは………『評議員会』と呼ばれる奴らよ」
日向「……評議員会」
霧切「彼らは、本当なら日向君1人を島から連れ帰る予定だったのよ。それを『3人』に提案したのが学園長」
霧切「才能を詰め込みすぎて異常を起こしてしまうかもしれない………という名目でね。それが精一杯だったようね」
霧切「……ここまでが、私の知る全て」
霧切「日向君のことについては、『これ』に記されてあるわ」
霧切がテーブルに置いたのは、十神が持っていた『黒いファイル』。
霧切「……2人とも、後で目を通しておいてちょうだい」
日向「……そうしておく」
霧切「………さて、ここからは『私の』話よ」
霧切「これから『希望の象徴』たる学園と戦争することになるわ」
霧切「………覚悟はできてる?」
-
- 298 : 2015/03/17(火) 00:30:27 :
日向「………希望ヶ峰学園を……潰す……」
俺の幼少からの憧れだった希望ヶ峰学園が……敵になる。
霧切「……まぁ、後でゆっくり考えてちょうだい。
私は、もちろんこの計画を知っていたし、父さんと2人で阻止するべく尽力していた」
霧切………俺たちが普通に生活していた裏でそんなことを……。
小泉「響子ちゃんは……殺し合いでみんなが生き残る方法とか、わからなかったの?」
霧切「何も聞いていないし、なにより不可能だったと思うわ。島は監視されていたのだから」
日向「じゃあ、最初から殺し合いはするつもりだったんだな…」
霧切「ええ、私は初めから不二咲さんと左右田君の“才能”は手に入れるつもりだったから」
日向「な、お前……随分何の気なく言うんだな」
霧切「私だって抵抗あったわよ。命なんだから、軽いはずがないでしょう」
霧切「けれど……“メカニック”が生き残っていて助かったわ。“プログラム”も居てくれたら尚よかったのだけど」
“メカニック”と“プログラム”。
この2つの才能を組み合わせれば、ほとんど何でもできてしまう。
希望ヶ峰学園と勝負をするには、それくらいの力が必要だってことなのか……。
霧切「小泉さん、悪いけれどあなたは私たちの計画に参加してもらうわ」
霧切「全て終わったら……本当に、自由を約束するから」
小泉「……わかってる」
小泉「みんなが犠牲になって……全てを知って………アタシ、逃げれないよ」
小泉「それでみんなが戻ってくるわけないけれど………せめて、この怒りをぶつけたい」
小泉「アタシにできることなら、なんでもやる」
霧切「………ありがとう。感謝するわ」
日向「俺も……やるよ」
霧切「……覚悟を決めたのね?」
日向「ああ。ここで逃げたら……何の意味もない」
日向「俺がすべての元凶なんだ。ならば……俺が終止符を打つ」
日向「俺の物語を、終わらせる」
霧切「…………」
霧切「……そうね」
男「霧切様、学園長からの連絡が届いております」
霧切「ええ、すぐ行くわ」
霧切はロビーを後にした。
日向「……やるぞ、小泉」
日向「今度は……俺達が攻める番だ」
2人、小さく拳を合わせた。
第三部『真相』 END
-
- 299 : 2015/03/17(火) 09:59:54 :
- おお!
新章ですか!七海が死んじゃったのは
悲しいですが、期待です!!
-
- 300 : 2015/03/17(火) 14:59:17 :
- ここまでお疲れ様です!
引き続き更新を心待ちにしております!
-
- 301 : 2015/03/17(火) 19:51:07 :
- シリアスなのに和むシーンも所々にあり、キャラのチートも面白かったです。
これからの更新が楽しみです。
-
- 302 : 2015/03/20(金) 16:20:32 :
俺達は普通に学校に通う中学生だ。
勉強、運動、娯楽、全てが通常どおり、滞りなく行われる。
そして、部活をやって帰る。
運動が好きな俺は、部活の時間を大切にしていた。
男A「あ〜今日も疲れたな」
男B「お前は幾つも運動部持つからだよ」
男C「でも羨ましいな〜。何でもそつなくこなせるってよぉ」
男A「ははは、お前らも兼部するか?楽しいぞ! ………あっ」
いつもの帰り道の、いつもの公園。
小学生が砂場や遊具で戯れる中、公園のベンチに静かに佇む女性の姿。
彼女は、最近いつもこの時間にここにいるのだ。
男B「今日もいるね、カメラの女」
男C「あの中の誰かの姉ちゃんなんじゃね?」
男A「………」
姉ちゃん、か……。
姉ちゃん、元気かな。
連絡……全然くれないけど。
男A「………」
男A「俺、ちょっと声かけちゃおっかな」
男B「お、おい悠太!」
俺は公園に入っていった。
-
- 303 : 2015/03/20(金) 16:53:37 :
私は、普通に学校に通う高校生。
自分自身を象徴したかのような、平凡で平和で何もない毎日を送っている。
女「はぁ……」
何というか、疲れる。
毎日同じことの繰り返しだからこそ、徐々にストレスが溜まる。
女「あっ すみません」
男「いや、こちらこそすまない……余所見してたよ」
すれ違った男とぶつかってしまった。
その拍子に、男は持っていた携帯を地面に落としてしまう。
それを拾おうとしたとき、その画面を見て私は驚いた。
女「………お兄ちゃん?」
男「………!!」
そう、その男の待ち受け画面は、私の兄・苗木誠とその友人の写真だったのだ。
男「お前……苗木の……」
女「お兄ちゃんを……知ってるんですか?」
男「………」
女「あの、お兄ちゃんは……今何処に?最近全然連絡がなくて……」
男「……もし、平和を捨ててでも知りたいのなら、俺と一緒に来てくれ」
女「……え?」
男「苗木のことと……俺『達』のこと」
男「全て、打ち明けよう。平和を捨てて、俺達と共に『希望』に喧嘩を売る覚悟があるなら」
-
- 304 : 2015/03/20(金) 22:51:33 :
- 新章おめでとうございます
苗木はいいやつだったいいやつ過ぎたんだ
期待です!!
-
- 305 : 2015/03/20(金) 23:47:49 :
- おお〜‼いつの間に始まっていた。
-
- 306 : 2015/03/22(日) 17:17:24 :
子供達が遊んでいる。
とても無邪気で、夕日のように明るい。
笑って、遊んで、時には転んじゃったりして。
なんだか、見たことのある光景。
日寄子ちゃん、唯吹ちゃん、蜜柑ちゃん、それを見守るアタシ。
男「カメラの姉ちゃん!」
まだ幼さの残る声がアタシに投げられる。
彼は……いつも公園の前を通る少年の1人。
おそらく中学生だ。部活帰りだろうか?
男「カメラの姉ちゃん、いつもここ居るよなー」
男「公園、好きなの?それともチビッ子の方?」
─────昨日も、ここにいたな。
─────この場所、気に入ってるのか?
─────まぁ、確かに写真は撮りやすいかもな。この位置なら、皆が写るだろう。
男「あ、そうだ、カメラの姉ちゃん、名前なんて言うの?」
純粋で、知らないものを知りたがる子供のような眼差し。
─────お名前を聞かせていただいても、よろしいでしょうか?
─────私?私は……
小泉「…真昼」
男「まひる?なんか、変わった名前だな…」
─────まひる?珍しい名前だね。
─────あ、私まだ自己紹介してなかった……よね、確か。
男「俺は…悠太」
小泉「ふぅん……なんか、ありふれた名前だね」
─────オレは終里赤音だ。まぁ、忘れたらまた聞いてくれ。
悠太「まひる、何でいつもここいんの?」
小泉「こら、『姉さん』をつけなさい。アタシの方が年上なんだからさ」
悠太「いーじゃんそんな細 いこと。で、何でいつも公園いんの?」
小泉「前、見てごらん」
悠太は言われるがまま、子供達が無邪気に遊ぶ光景を見る。
小泉「笑顔、溢れてるでしょ」
悠太「うん」
小泉「どうせ『見る』ならさ、明るい笑顔を一番長く見ていたいなって」
悠太「それで…子供達が集まる公園に?」
小泉「そう。ここ、公園全体を見渡せるでしょ?どこを見ても、笑顔が目に入ってくるんだよ」
そう、笑顔を。
泣き顔を、怒り顔を、悲しい表情をずっと見ていたから……。
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- 307 : 2015/03/22(日) 18:01:30 :
小泉「それに……アタシ、もうすぐ……」
悠太「ん?」
小泉「……ううん、何でもない」
夕闇が空に迫り、子供達は『ばいばい』して帰っていく。
小泉「……さて、子供達もいなくなったし、アタシも帰るよ」
悠太「じゃ俺も帰ろっかな。母ちゃん待ってるし」
悠太「それに、姉ちゃんも……いや、姉ちゃんは…………」
小泉「……?」
悠太「いや、何でもねーわ、じゃーね、まひる」
小泉「あ、こら、『姉さん』をつけなさいってば。 …じゃあね」
男B「お、帰ってきたぞ」
男C「どうだったんだよ?」
悠太「ああ、ちょっと自己紹介して終わったよ」
男B「お!名前、何て言うんだ?」
悠太「教えない」
男C「え〜!マジかよ悠太〜」
悠太「はは、知りたきゃ話しかけな」
男B「いじわるだな〜」
男B「でも……綺麗な人だよな、歳もそんなに離れてなさそうだし」
小泉「………」
小泉「……笑顔、みんな帰っちゃった」
そのとき、携帯が鳴った。
小泉「もしもし……どうしたの?」
日向『仲間になってくれる人間に出会った』
小泉「仲間?」
日向『苗木こまる………苗木の妹だ』
小泉「妹……」
日向『霧切の許可も出た。これからは、この5人で…』
小泉「5人じゃないよ」
日向『え?』
小泉「32人と2人、でしょ?」
日向『……』
日向『……そうだな』
仁「……全て、理解できたかい?」
こまる「…はい」
仁「……本当にいいのかい?」
こまる「大丈夫です」
こまる「私は……お兄ちゃんの無念を晴らします」
仁「………そうか」
仁「響子、日向君は?」
霧切「……『あの部屋』よ」
仁「………」
日向「……こんな再会なんて、なんかモヤモヤするよな」
日向「けど今は……あまり無駄な話はしてられないみたいだ」
日向「……プログラムだけのお前にできることなんて、限られるけどさ」
日向「………協力してくれるか?」
日向「…………七海」
アルターエゴ『もちろんだよ!』
アルターエゴ『力を合わせて……全部、終わらせようね』
画面に映る小さな拳と手を合わせた。
エピローグ『また笑顔でいられるために』 END
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- 308 : 2015/03/22(日) 18:07:14 :
約3ヶ月の間自分の文章とにらめっこしてましたが、成長が見られませんね。
その癖ネタだけはどんどん浮かんでくるし……。
とりあえず、アビリティ・デスマッチという物語はこれで終了となります。なんだか生殺しな気もしますが……。
セレス「それでは皆様、ごきげんよう」
セレス「また…次回作でお会いしましょう」
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- 309 : 2015/03/22(日) 18:59:06 :
- お疲れ様でした!
3ヶ月間楽しく読ませて頂きました。次回作も期待していますっ
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- 310 : 2015/03/22(日) 22:17:49 :
- 序盤から鳥肌立ちっぱなしでした!
こんなに素晴らしい作品を書いてくださってありがとうございます!
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- 311 : 2015/03/22(日) 22:25:15 :
- 最後泣きました。
素晴らしい作品をありがとうございます‼なんで最後にたえこが出てきたのかは謎ですが、お疲れ様でした‼
次回作も待っています‼
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- 312 : 2015/03/23(月) 00:09:16 :
- アビリティ・デスマッチおもしろかったです!
本当にお疲れ様でした!
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- 313 : 2015/03/24(火) 20:00:59 :
- たえちゃんが出てきたーっw
「アビリティ・デスマッチ」。
かっこよすぎます…鳥肌立っちゃいました。次回作も楽しみにしています‼お疲れさまでした。
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- 314 : 2015/03/27(金) 10:18:08 :
- お疲れ様でした!
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- 315 : 2015/03/30(月) 20:18:03 :
- 乙。
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- 334 : 2017/04/13(木) 00:35:52 :
- やっと読み終わった・・・・←今更かよ
霧切さんは一応江ノ島の能力も手に入れてるから
ギャルギリさんになるのかなとか思ってました
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