このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。
この作品は執筆を終了しています。
モノクマ「うぷぷぷ…能力コロシアイ学園生活の幕開けだよ!」
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- 1 : 2014/12/20(土) 16:37:54 :
- よっしゃ! Deです!
あのですね!バトル系ssを書こうと思い立ったが吉日。それ以外は凶日。
というトリコの言葉を信じ書いていきたいと思います!
最後まで見て下されば、感謝感激です!
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- 2 : 2014/12/20(土) 16:42:00 :
都心部に聳え立つ、『希望ヶ峰学園』。
通称ーーーー・・・
『能力者育成学園』
1995年、アフリカ
とある貧しい村で、背中から火を噴き出す子供が産まれた。
その後、その子供が産まれたのをきっかけとするかのように、世界各地で能力者が現れだした。
各国の代表者は、これを『人類の進化プロジェクト』と名付け、
日本に『能力者を研究するための施設』を作った。
それが、『希望ヶ峰学園』誕生の秘話である。
そして、今日、その希望ヶ峰学園に新入生が入ってくる…
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- 3 : 2014/12/20(土) 16:44:46 :
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僕の名前は、苗木誠だ。
身長が小さ目の高校生である。
一週間前、希望ヶ峰学園から入学の通知がきた。
最初は、なぜ僕が選ばれたのだろうか…という疑問もあったが、
卒業すれば人生の成功は保証されるという、うたい文句につられ
僕は今、希望ヶ峰学園へ向かっている。
の、だが・・・
苗木「あれ…おかしいな…地図にはここら辺って書いてあるのに…」
僕は入学初日から、迷子になってしまっていた。
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- 4 : 2014/12/20(土) 16:59:58 :
苗木「しかもどんどん人気の無いところに来てるし…」
ここは、華やかな東京の都心部としてはあまりにも寂しい場所だった。
さしずめ、『東京の裏側』と言ったところだろうか。
怪しげな建物が幾つも並んでいる。
…すると、それらの建物の一つから男が出てくるのが見えた。
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- 5 : 2014/12/20(土) 17:18:11 :
男「・・・」
男は失望し、青ざめている様子だった。
ストレスのあまりか、実年齢よりも数十歳は老けてみえる。
男「・・・」
苗木「・・・」
僕と目が合い、
男は無言で近づいてきた。
その場に緊張が走る。
苗木「何ですか…?」
身の危険を察知し、僕は男から少し距離をとる。
男「いや、対した用じゃねえさ」
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- 6 : 2014/12/20(土) 17:40:25 :
苗木「・・・」
男「あのさ…さっきよ、ギャンブルでボロ負けしちゃってな…」
男「だ か ら」
男「臓器くれよ…借金の担保としてさ」
苗木「…嫌ですよ」
男「あ、言っとくけどお前に拒否権ねーからな」
男「俺はさっさと負けた分を取り返したいんだよ…」
苗木「・・・ズ」ボソッ
男「あ? 何つった?」
苗木「『働いて返しやがれ、クズ!!!』って言ったんだよ!!」ビシッ
ゴゴゴゴゴゴゴゴ…!!!
男「…ふぅーん、せっかく平和的にいこうと思ってたのに」
男「しょうがないな…」
男「そんなに死にたいかよ?」チャキ
男は懐からペーパーナイフを取り出す。
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- 7 : 2014/12/20(土) 18:08:10 :
男「いっぺん死ねや!!!」
ナイフを僕に向け、男は一気に突っ込んでくる…!!
男と僕の距離が縮んでいく。
苗木「・・・」スッ
僕も『武器』をポケットから取り出す。
男「は…ビー玉!?」
苗木「違う、鉛玉だ…」
男「ハッ!! 何が違うってんだよ!!」ヒュッ
男が振り下ろしてきたナイフを、間一髪で避ける。
苗木「おっと」サッ
男「クソッ…ちょこまかと…」
苗木「・・・」
苗木「『違い』か…」
男「ああ!? 何の話だよ!!」
苗木「『ビー玉』と『鉛玉』の違いについての話だよ…」
苗木「まあ、『くらえば』わかるかな…」
男「何、ゴチャゴチャ言ってやがんだ!!」
男「くたばれ!!!」
男は大きく腕を降り上げ、ナイフで僕を斬りつけようとする。
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- 8 : 2014/12/20(土) 18:13:09 :
苗木「『くたばれ』か…ごめんね」
苗木「くたばるのはお前の方だ」
サッ
僕は手に持っていた鉛玉を、男に向かって投げた。
男「ヘッ!! ノロいぜ!!!」
男は、鉛玉をナイフで弾き飛ばそうとする…
が、
ヒュン
男「えっ!? だんだんと速くなっている!!?」
男の言うとおり、鉛玉は徐々に加速していた。
男「え!? ちょ待…」
男の腕をすり抜け、鉛玉は男の額を捉える。
バギバギッ
男が言い終わる前に、鉛玉は男の脳天を突き破った。
どうやら、ガードが間に合わなかったみたいだ。
苗木「言い忘れてたけど…この鉛玉は『加速』するッ!!!」
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- 9 : 2014/12/20(土) 18:17:11 :
能力者 ファイル⑦
苗木 誠
能力『加速』
動く物を加速させる事が出来る。
加速には体力を使うので、連続で何度も使用することは出来ない。
射程距離は、苗木誠の半径10m以内である。
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- 10 : 2014/12/20(土) 18:24:42 :
苗木「…さて、死んじゃったかな?」
男「・・・グフッ」
苗木「おお、運が良いね…おそらく、鉛玉がギリギリで脳を避けたんだろうね」
苗木「…まあ、救急車くらいなら呼んであげるよ」
苗木「これに懲りたら、ギャンブルなんかしてないで真面目に働いてね」
僕は入学祝いに買って貰った携帯に『119』を打ち込む。
…救急車についでに希望ヶ峰学園へ連れて行ってもらおう。
救急車をタクシー変わりにするのには気が引けるが、背に腹はかえられない。
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- 11 : 2014/12/20(土) 21:05:06 :
- 苗木自身は加速できないの?
あと、期待
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- 12 : 2014/12/20(土) 21:22:42 :
- 他のメンツの能力も気になるよぉ期待!
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- 14 : 2014/12/20(土) 22:12:36 :
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希望ヶ峰学園前
苗木「うぉ…流石に大きいね」
希望ヶ峰学園…まさに希望を象徴するかのような迫力が、校門へ踏み込もうとする足を躊躇させる。
希望ヶ峰学園のその圧倒的存在感に、自分の小ささを感じずにはいられなかった。
だが、今日から僕も希望ヶ峰学園の新入生だ。
こんなところで怖気付いてなるものか!!! と、自分に言い聞かせ、
僕は希望ヶ峰学園へ足を…
踏み…
こ…
あれ…?
意識が…?
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- 15 : 2014/12/20(土) 22:18:52 :
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苗木「・・・」
ここはどこだ…?
どうやら僕は気絶していたみたいだが…
苗木「・・・はっ」
見覚えの無い部屋。
見覚えの無い天井。
見覚えの無い黒板。
見覚えの無い…鉄板!?
苗木「どういう事だ…? 僕は確かに希望ヶ峰学園を訪れた筈なのに…?」
『希望』というよりも、『監禁』という言葉が似合いそうな部屋だった。
苗木「とりあえず、脱出しようかな」
なぜ、自分がここにいるのか…気になる事は色々あったが、
まずは外に出る事にした。
苗木「あの鉄板…破壊出来るかな?」
ポケットに入っていた鉛玉を手に持ち、ゆっくりと取り出した。
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- 16 : 2014/12/20(土) 22:58:52 :
- 破壊できたら…無敵
期待( ๑・ิω・ิ๑)و グッ!
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- 17 : 2014/12/20(土) 23:10:54 :
- >>16
( ´ ▽ ` )ノ頑張るっす!
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- 18 : 2014/12/20(土) 23:11:06 :
苗木「あの鉄板…破壊出来るかな?」
ポケットに入っていた鉛玉を手に持ち、ゆっくりと取り出した。
そして鉛玉を鉄板に向け、照準を合わせ……る途中。
ある『モノ』が目に飛び込んできた。
苗木「・・・監視カメラ!?」
僕は慌てて、鉛玉をポケットにしまった。
苗木「なんで…!?」
そう、僕が鉄板の破壊を中止した理由は、この『監視カメラ』にある。
…能力者にとっての一番の弱点は、『見られる』事だ。
それは、『能力を見られる』事であったり
『能力の発動条件を見られる』事であったりと様々だが、
とにかく能力者は、敵に『能力を知られる』という事を最も恐れるのである。
-
- 19 : 2014/12/20(土) 23:18:43 :
-
なぜなら能力者といっても、能力を持っている事を除けば、所詮、人間だ。
完全無欠というわけでは無い。
弱点はどこかに必ずある。
だからこそ、『監視カメラ』が設置してあるという誰かに見られている状況で
自身の能力を使用するのは、あまり得策では無かった。
苗木「…ん、手紙…?」パサッ
建物からの脱出を諦めかけていた僕の目に写ったのは、
一通の手紙だった。
苗木「何々…? 体育館に8時までに集合…か…」
僕は黒板の上にあった掛け時計に目を向けてみた。
苗木「えーっと、今の時刻は…」
苗木「げ、まずいぞ!?」
時計の針はもう8時を過ぎていた。
苗木「急がないと…!?」
僕は慌てて教室らしき部屋を飛び出した。
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- 20 : 2014/12/21(日) 01:55:47 :
- 期待です!!
加速は他の人のサポートにも使えそうですね
-
- 21 : 2014/12/21(日) 02:21:12 :
- きたったったったきたきたきたい!
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- 23 : 2014/12/21(日) 08:40:52 :
…この異常ともいえる状況で、
時間を厳守するっていうのは、
生真面目な日本人の性かもしれない。
苗木「体育館…体育館…!!」
紫色や緑色のライトで照らされている、怪しい雰囲気の廊下を駆け抜ける。
苗木「ここか!!」
目的の場所についた…そう確信し、ドアを開ける。
ドアの隙間から眩しい光が射し込んできた。
思わず、目を瞑ってしまう。
苗木「・・・」
明かりに目が慣れ、目を見開くとそこには、高校生らしき人物が14人ほど見えた。
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- 24 : 2014/12/21(日) 09:06:46 :
舞園「あ…こんにちは!!」ニコッ
江ノ島「ていうかー、早く帰りたいんだけど?」
桑田「ええっ!? また来たぜ!?」
不二咲「ええっと…よ、よろしくねぇ」
大和田「これで…何人目だよ?」
石丸「うむ、15人だな!!」
山田「15人…戦隊モノなら3グループ作れますぞ!!」
セレス「ふん…」
大神「うぬ、よろしく頼むぞ」
朝日奈「やっほー!! よろしくね!!」
腐川「やけにショタコン受けの良さそうな奴が来たわね…」
十神「愚民が…」
葉隠「だべ!!」
霧切「・・・」
苗木「あ、うん、よろしくね!!」
なんと個性豊かな人達なんだろうか…
これなら自己紹介無しでも、一発で名前を覚えられそうだ。
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- 25 : 2014/12/21(日) 09:11:18 :
苗木「み、みんなも…気絶してここに?」
桑田「ああ!! 希望ヶ峰学園に来たと思ったらよ…」
不二咲「なぜか、こんな所に来ちゃったんだよねぇ」
大神「うぬ、我もだ」
腐川「まったくよ…携帯電話も無いし」
苗木「え!?」
僕は携帯電話がポケットに入っているか否かを確かめる。
苗木「な…無い」
苗木(絶望的だ…この間買ってもらったばっかりなのに…)
圧倒的絶望に落ち込んでいると、そんな僕を励ますかのような
嬉しい出会いが訪れた。
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- 26 : 2014/12/21(日) 09:59:32 :
舞園「あのー? もしかして、苗木くんですか?」
苗木「え…? ま、舞園さん!?」
舞園「良かった〜、覚えててくれたんですね!」
苗木「勿論だよ!! 逆に、舞園さんが僕なんかの事を覚えていてくれてたなんて…」
舞園「忘れるわけないじゃないですか!!」
舞園「昔から、ずっとお友達になりたいと思ってたんですよ!!」
苗木「ハハハ…ありがとね」
・・・やっぱり、中学校のマドンナだった舞園さんにそんな事を言われると、お世辞でも照れてしまう。
舞園「うふふ、苗木くんって面白いですね!!」
苗木「そ、そうかな?」
舞園さんと、たわいのない会話をする。
他の人とも、きっと楽しくやっていけるだろう。
この幸せな時が、いつまでも…
続けばいいのに。
が、その淡い期待は
スピーカーのノイズ音により掻き消される。
『ザーザーザー!!!!』
葉隠「な、なんだべ!?」
『お前ら、おはようございます!』
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- 27 : 2014/12/21(日) 10:32:29 :
石丸「おはようございますっ!!」ペコッ
腐川「ま、真面目過ぎて眩しいわ…!!」
『えーっと、まずは自己紹介からかな?』
『僕はモノクマ、この学園の学園長なのだ!!』
モノクマ…と名乗るその男?は、
姿こそ見せないものの、有無を言わさぬ威圧感を放っていた。
大和田「んな事よりも、ここから出せよ!!」
『うん、自己紹介はそんな所かな』
大和田「・・・チッ」
大和田くんの叫びは、モノクマにより無視された。
『えー、ここにお前らを閉じ込めたのは他でもない』
『この僕です!!!』
桑田「はぁーーー!?」
江ノ島「・・・」
山田「何ですと!?」
あちらこちらから、野次や罵声が飛び交う。
僕だって、なぜ自分がこんな理不尽な目に合わなきゃいけないんだっていう怒りで、スピーカーを壊したい気分だった。
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- 28 : 2014/12/21(日) 10:48:17 :
『ですが、ここからどうしても出たいと思っているお前らに朗報があります!!!』
モノクマのその言葉に、一瞬、体育館の空気が変わった。
【出られる】
そんな希望が微かに、みんなの心に灯ったのだ。
しかし、
『…この学園内にいる、お前らの内、残った7人だけがこの学園から卒業する事が出来ます!!』
苗木「7人だけ…!?」
希望は再び絶望に塗りつぶされてしまった。
7/15 つまり、約、1/2
二人の内一人は、この学園内に残る事になるのだ。
が、モノクマはさらに続ける。
『でね、【残った7人】ってところがミソなんだよね』
『つまり…』
『今からお前らには、【能力コロシアイ学園生活】を送ってもらいます!!』
『殺し合い、生き【残った7人】だけがこの学園から卒業出来ます!!』
桑田「は、殺し合い…!?」
石丸「な…不健全だろう!! 殺し合いなど!!」
そう、僕も耳を疑った。
けど、注目しているのはそこじゃない。
【能力コロシアイ学園生活】_____?
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- 29 : 2014/12/21(日) 11:30:01 :
つまり、能力で殺し合いをする学園生活…?
僕は、みんなを見渡す。
桑田「殺し合い…」
舞園「そんな事って…」
江ノ島「ていうか、マジなの?」
能力…という事は、
大和田「・・・」
不二咲「えーっと…?」
石丸「クッ…!!」
ここにいる、
山田「怖いですな…」
セレス「ふむ、適応する必要がありますわね」
大神「我はコロシアイなどごめんだが…」
朝日奈「ドッキリ…とかじゃないよね?」
十神「…面白くなってきたな」
葉隠「俺たちどうなるんだべ!?」
腐川「ひぃ…」
全員が…
苗木「・・・あ」
霧切「・・・」
僕が体育館を見渡していると、
銀髪の女の子と目が合った。
その子は、これから起こるであろう何かに酷く怯えているようだった。
苗木「全員が…」
【全員が…能力者…?】
『うぷぷぷぷぅ…』
モノクマの嘲笑が僕らの不安を煽る。
コロシアイ…能力者…
新しい学園生活は、僕にとって、
絶望的な幕開けとなった。
ーーーーーーーーーーーーーー
プロローグ END
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- 30 : 2014/12/21(日) 12:12:25 :
第一章 『戦闘開始』
…モノクマ曰く、個人個人に個室があるとの事だ。
僕たちはその場から解散し、自分たちの部屋を目指した。
気持ちを落ち着かせるため、一人になりたかったのだ。
苗木「コロシアイ…か…」
僕は長い廊下を歩きながら、そう呟いた。
すると、
桑田「おっ、苗木じゃん?」
桑田くんが玄関ホールから出てきた。
苗木「あれ…? 自分の部屋にいったんじゃないの?」
桑田「いや、外に出られるところがあるんじゃないか…って思ってよ」
桑田「ちょっと探ってたんだ」
苗木「そうだったんだね、お疲れ様だよ」
桑田「ヘヘ、別にお疲れ様ってほどの事はしてないぜ」
桑田「まあ、俺もコロシアイなんてしたくないし、全員でこの学園から卒業したいしな!!」
苗木「・・・」
桑田「ん? どうした?」
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- 31 : 2014/12/21(日) 12:48:25 :
苗木「…嘘つき」
桑田「・・・」
桑田「あ?」
苗木「殺気が…だだ漏れなんだけど?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ…!!
桑田「あれ…? バレちゃった?」
苗木「…僕が一人になるのを待ってたんでしょ? 玄関ホールでさ」
苗木「僕を殺す為にね…」
苗木「君は、モノクマの話を信じるの?」
桑田「・・・」
桑田「…信じるもクソも無ぇ」
桑田「俺はさっさと外に出たいんだよ!!」
桑田「コロシアイ? ふざけんな!!」
桑田「俺は絶対にこんな所で死なねえ!! 必ずイキキル!!」
桑田「だから苗木…」
桑田「お前はここで死んでいけ!!」
苗木「『死んでいけ』…か、ごめんね」
苗木「死ぬのはお前の方だ」
お互いに少し距離をとり、臨戦体制に入る。
数万本の針で、身体全体をじわじわと刺されるような緊張感…
桑田「はっ!! とりあえずぶっ殺す!!」
桑田くんは雄叫びを上げるとともに、右腕に力を込めだした。
すると、桑田くんの右腕が形を変え、刃の形に変形していった。
苗木「…な!?」
桑田「斬れ味は、抜群だぜ…?」
僕の身長ほどありそうな刃を、桑田くんは軽々と振り回す。
考えている余裕は無かった。
苗木「くっ…!!」
桑田くんの攻撃を身体を捻って横に避け、急いでポケットから武器を取り出す。
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- 32 : 2014/12/21(日) 13:29:04 :
- 面白い…期待(2回目)
( ๑・ิω・ิ๑)و グッ!
-
- 33 : 2014/12/21(日) 14:07:22 :
- 桑田は相変わらずのクズ要員ですねw期待です
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- 34 : 2014/12/21(日) 14:44:30 :
- うわっ……何これ期待
俺もダンロンバトルss書きたい……
真似させてもらっていいですかっ!土下座します
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- 36 : 2014/12/21(日) 14:55:09 :
桑田「オラッ!! もう一発!!」
苗木「喰らうかよ!!」
こちらに攻撃の機会を与えないつもりだろう。
桑田くんは間髪入れずに刃で斬りかかってくる。
僕は一旦下がり、鉛玉の照準を合わせる。
バチッ!!
鉛玉を指で弾いた音が、空気を振動させる。
鉛玉は真っ直ぐ、桑田くんに向かって飛んでいく。
桑田「効くかよ!! こんなもん!!」
桑田くんは鉛玉を無視し、僕に刃を突き刺そうとする。
そう、今のところ鉛玉のスピードは遅く、驚異は感じないだろう。
が、そこで僕の能力は発動した。
苗木「悪いけど…この鉛玉は加速するッ!!」
桑田「はっ!?」
徐々に加速していく鉛玉は、桑田くんの刃をかすりながら突き進み、
頭に激突する。
金属が重なり合う、高い音が空気中に轟く。
桑田「グッ…!!?」
桑田くんはふらつきながら、後ろに下がっていく…
桑田「クソ…死ぬ…!!」
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- 37 : 2014/12/21(日) 15:03:28 :
桑田「・・・」
桑田「と、思ったか?」
が、平気な顔で、桑田くんは応える。
苗木「な…!?」
桑田「お前の能力が、『鉛玉を加速させる』っていう事もわかったし…」
桑田「今度はコッチの番だよな!?」
苗木「・・・」
そう叫び、突っ込んでくる桑田くんに対し
僕は……
苗木「逢えて突っ込むッ!!」
桑田「は!!?」
お互いの距離がぐんぐん近づく。
殺気と殺気がぶつかり合う。
桑田「ヤケになったか!!」
桑田「リーチも能力も、俺の方が上だろうが!!」
苗木「でもね…桑田くん、君は勘違いをしているんだよ」
僕は拳を握りしめ、桑田くんの顔面を狙う。
桑田「だから、遅いってんだよ!!」
桑田くんの刃が、僕の喉元を捉える…
前に、
苗木「この拳は、加速するッ!!」
桑田「グッ…!!?」
僕の一撃が桑田くんの顔面を捉えた。
鈍い音が、長い廊下に吸い込まれる様に伝わる。
苗木「僕の能力は『加速』…動いているものなら、全てのものに作用する能力さ!!!」
苗木「だから『鉛玉を加速させる』だけじゃないんだな…って」
-
- 38 : 2014/12/21(日) 16:03:02 :
苗木「痛ッッッッッ!!?」
桑田くんを殴った拳を、灼ける様な痛みが襲う。
桑田「お、大丈夫か…?」
苗木「ハハハ…その口調からしてノーダメージみたいだね」
桑田「おお!! 絶好調だぜ!!」
苗木「ハァ…こっちは凄く痛いよ…」
苗木「けど、痛みと引き換えに、君の能力はわかった」
苗木「君は硬いんだよ…硬いっていうより固いかな?」
桑田「…ほう?」
苗木「君の能力は『鉄』だなッ!!」
-
- 39 : 2014/12/21(日) 16:32:09 :
-
能力者ファイル ③
桑田 レオン
能力『鉄』
身体の性質を鉄にする能力。
血液など、全ての臓器も『鉄』の性質を持つことが出来る。
簡単な変形(例えば刃や銃)なら行える。
-
- 40 : 2014/12/21(日) 16:58:19 :
桑田「正解だよ!!」
桑田「ついでに、お前の攻撃が俺に通じない事も理解出来たろ?」
苗木「確かにね…」
僕はゆっくりと後ずさりする。
桑田「ん? 逃げんのか?」
苗木「それは違うよ…限界まで距離をとってるのさ」
桑田「何、意味のわかんねー事言ってんだ?」
苗木「もうすぐわかるよ…」
桑田「チッ!! 気に食わねえなオイ!!」
桑田「そのスカした態度!! イライラすんだよ…」
桑田「変形:銃」
桑田くんの左腕が銃へと形を変えていく。
桑田「トドメはこれだ」
桑田「死にな…」
桑田くんは僕に銃口を向け…
ようとするが、巧く照準を定める事が出来ないでいた。
桑田「は!? なんだこれ!!?」
桑田「照準を定めようとしたら、行き過ぎちまう!!!」
焦った桑田くんは、何度も照準を合わせようとしたが全て失敗に終わった。
苗木「…種明かしするとね、僕の能力だよ」
桑田「あ!?」
苗木「君が銃口を僕に向ける動きを…『加速』させた」
桑田「クッ…!!」
苗木「僕の能力はね、『攻撃』するだけじゃない…『妨害』も出来るんだよ」
-
- 41 : 2014/12/21(日) 17:12:14 :
- おお…なるほど…。
『触れたものを』加速させるわけではないのですね!
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- 42 : 2014/12/21(日) 17:52:26 :
- まず主人公が強すぎないのが面白い
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- 43 : 2014/12/21(日) 18:25:45 :
- >>35神
ありがとうございます
影響されたssとしてここのURL載させてもらっていいですか?
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- 45 : 2014/12/21(日) 18:52:50 :
桑田「クソクソクソクソォ!!!」
桑田「別に関係ねぇ!! 俺がこの刃で直接、お前を殺ってやる!!」
苗木「だから…それはもう無理だって」
苗木「今の、僕と君の距離は…ちょうど10mなんだ」
苗木「10mっていうのは、僕の能力が働くギリギリの距離でね…」
苗木「これなら十分な威力を発揮できる…」
桑田「ハァ!!? さっき、お前の攻撃は俺に効かなかったろうが!!!」
苗木「…うん、まあくらえばわかるよ」
-
- 46 : 2014/12/21(日) 19:13:55 :
・・・・・・・・・・・・・・
加速の例として上げられるのが、
坂を転がる球の話である。
球は坂が短い時よりも、坂が長い時の方が、球の速度は大きくなる。
これは坂の距離に比例して、球のスピードは上がるからである。
坂が短い時 → 加速「小」
坂が長い時 → 加速「大」
苗木の能力は加速である。
とどのつまり、対象物との距離が長い時の方が鉛玉の威力は大きくなる…
・・・・・・・・・・・・・・
-
- 47 : 2014/12/21(日) 19:31:52 :
苗木「くらいな…」
バチッ!!
鉛玉が僕の指を飛び出す。
桑田「だから遅えし、効かないぜ!!!」
苗木「それは…何M前の話をしているの?」
鉛玉は、風を巻き上げ、更にスピードを増していった。
桑田「え…? 球が見えねぇ…?」
桑田「うっ…!!?」
桑田くんの脳天に、強い一撃が加わる。
火花を散らしながら、鉛玉は、桑田くんの頭蓋骨を削り取る。
鉛玉の速度は鉄を砕くほどになっていた。
桑田「ア…アポ…」
桑田くんは倒れ、そして動かなくなった。
死体が一つ出来上がった。
苗木「…ハァ、また人を殺しちゃったよ」
桑田くんの死体にさよならし、
僕は自分の部屋へと向かった。
ー
ーー
ーーー
ーーーー
昔の話である。
僕が能力に目覚めた時の話。
周りの大人たちは、僕を殺そうとした。
どうやら、人っていうのは、自分と違う生物が苦手な様だ。
ーーーー
ーーー
ーー
ー
-
- 48 : 2014/12/21(日) 20:09:35 :
- 能力者ファイルの番号が判明した順番じゃないのは伏線ですか?
あと進化的な物はありますか?
-
- 49 : 2014/12/21(日) 20:29:48 :
- >>48
伏線は…無い…かな?
進化というより、『能力の応用』系を出していくつもりです!!
-
- 50 : 2014/12/21(日) 20:33:15 :
個室は、まあ、シャワー付きであの広さなら文句は無い。
昼に一度、食堂に集合する事になっていたので、
僕は、鍵を閉め、食堂へと足を運んだ。
【食堂】
朝日奈「ハァ…ハァ…!!」
大神「落ち着け!! 朝日奈よ!!」
舞園「そうですよ!!」
苗木「え…ど、どうしたの?」
山田「あのですね…」
山田くんは僕に顔を近づけ、耳元で囁く。
山田「どうやら朝日奈 葵 殿 は、散歩中に、『桑田レオン』殿の死体を発見したそうなのですよ」ボソボソ
苗木「・・・」
山田「だから、今、パニックになっているとか…」ボソボソ
苗木「…まあ、あれだね。用心しなきゃね」
苗木(うん、犯人は僕だ)
-
- 51 : 2014/12/21(日) 20:53:23 :
山田くんと会話をしていると、
十神「今、帰った」
セレス「どうもですわ」
霧切「・・・」
『十神くん』『セレスさん』『霧切さん』が食堂に入ってきた。
苗木「え…3人は、何をしてたの?」
セレス「あら、苗木くんではないですか?」
霧切「これで全員揃ったわね…」
霧切「では始めるわ」
苗木「ちょ? え…何を?」
霧切「『桑田殺しの事件』についてよ…」
苗木「ああ、なるほどね…」
おそらく3人は、桑田くんの死体を調べていたんだろう。
霧切「とりあえず、わかった事を報告するわ」
霧切「まず、桑田くんの死因は『鉛玉で頭を貫かれ死亡』よ」
不二咲「鉛玉?」
霧切「ええ…普通は、あんな物で頭を貫く事なんて出来るはずないんだけどね…」
セレス「で、私たちの結論としては、犯人は十中八九『能力者』だという事ですわ」
大和田「能力者…!?」
十神「ふん、モノクマも言っていたろう?」
十神「『能力コロシアイ学園生活』だとな」
十神「おそらく、ここにいる全員が能力者だろう」
十神くんの言葉と共に、お互いの顔を見合わせる。
図星だ…という顔の人もいれば、
警戒している人もいる…
-
- 52 : 2014/12/21(日) 21:01:37 :
朝日奈「…って事は何? 桑田はなんで殺されたの?」
十神「…始まったんだよ、コロシアイがな」
朝日奈「コロシ…アイ…?」
朝日奈「殺される…? 私が…?」
…朝日奈さんは異常なまでに震えていた。
きっと、死への恐怖が理性を崩壊させたに違いない。
大神さんはそれに気づき、駆け寄ろうとする。
が、
テーブルの上にあるスープ…の中の、『水』が、
突如、蛇のように暴れだし、水柱を発生させた。
大神「なっ!? これは…!?」
朝日奈「私の能力だよ…」
朝日奈「殺されるくらいなら、ここで全員、殺してやる!!!」
-
- 53 : 2014/12/21(日) 22:14:02 :
能力者ファイル⑤
朝日奈 葵
能力『水』
単純にいうと、水を操る事が出来る。
水を圧縮させ、鋭い刃物で斬りつけるかのような攻撃も可能だ。
射程距離は、一部屋分くらいである。
-
- 54 : 2014/12/21(日) 22:57:38 :
苗木「クソッ!!」
僕は悪態をつき、テーブルの影に隠れる。
他のみんなも、隠れるなり退くなりしていた。
苗木「能力は『水』か…」
水といえども、圧縮すればダイアモンドを切り裂くほどの威力を持つ。
迂闊に手は出せない。
朝日奈「どうしたの!? こないならコッチからいくよ!!」
ペットボトルが水圧により弾け飛ぶ。
そしてその水は、鋭さを増し、僕らに襲いかかってきた。
霧切「・・・!!」
霧切さんは、その攻撃を全て紙一重でかわしていく。
山田「おお!! 霧切響子 殿 、なかなかの運動能力ですぞ!!」
朝日奈「チッ!! 当たれよ!!」
朝日奈さんは、水を手で操っているのか、まるで指揮者の様に慌ただしく手を動かしていた。
そして朝日奈さんが、霧切さんに気を取られている隙に、
僕は作戦を練る事にした。
-
- 55 : 2014/12/21(日) 23:01:59 :
苗木(まず、能力は…正直、使いたくない)
苗木(多分、みんなもそうだろうね…こんなに大勢の人がいる場所で能力を使ったら、間違いなく弱点を見つけられる…)
苗木(最高で、能力を使うのは『一回まで』かな?)
…僕を再び現実へと引き戻したのは、朝日奈さんの叫び声だった。
朝日奈「ああああああああああ!!」
苗木「!?」
朝日奈さんの血管が膨張していく…
ピシッ
大和田「フグッ!!?」
朝日奈さんの血管から、超圧縮された血が噴き出た。
その血は、大和田くんの左胸を一瞬にして貫く。
まるで紅いレーザーのようだった。
朝日奈さんと大和田くんの血が、火山の噴火のように弾け散る。
苗木「大和田くん!?」
大和田くんは、よろめきながら倒れこんだ。
即死…だろう。
あの攻撃には、心臓を貫くほどの速さと威力があった。
十神「ふん、そんな隠し球があったとはな」
朝日奈「ふぅーー・・・ふぅーー・・・」
みんなが、朝日奈さんを見つめる。
食堂に戦慄がはしる。
張り詰めた空気だ…けど、
僕は大和田くんに駆け寄った。
苗木「大丈夫? 大和田くん?」
無駄だとわかっていても…生きてる事を期待してしまう。
大和田「・・・」
-
- 56 : 2014/12/21(日) 23:10:17 :
大和田「グホッ…ハァハァ…死ぬかと思ったぜ」
苗木「あれ?」
え…生きている!!? なぜ!!?
それに、胸の傷も塞がっていた。
苗木「え…?」
大和田「苗木!? クソッ…見やがったな!!?」
苗木「ど、どういう事!?」
苗木「なんで生きているの…!?」
大和田「見られたからには、生かしちゃおけねぇ…」
大和田「冥土の土産に教えてやんよ!! 俺の能力は『不死身』だ!!」
大和田「死んでも蘇るッ!!」
-
- 57 : 2014/12/22(月) 05:54:41 :
- 面白いです!期待です!
-
- 58 : 2014/12/22(月) 16:56:17 :
- >>57
ありがとうございます!! 期待に応えれるよう、頑張ります!!
-
- 59 : 2014/12/22(月) 19:03:18 :
能力者ファイル⑥
大和田 紋土
能力『不死身』
死なない…というより、死んでも蘇る。
蘇る際に、身体の損傷した部分は完治する。
-
- 60 : 2014/12/22(月) 19:15:17 :
苗木「なるほどね…」
大和田「殺してやんよ…!!」
苗木「ちょ、ちょっと待ってよ!!」
苗木「運命なんだよ…これは!!」
大和田「ハァ!? 運命!?」
苗木「君の能力を、僕が知ったのはね…」
苗木「僕たちが協力するきっかけを作ったんだよ!! 運命がさ!!」
大和田「し、信用できるかよ!!!」
苗木「うん、だったら僕も教えるよ…!!」
苗木「僕の能力は『加速』…動く物体を加速させる能力だよ!!」
大和田「ハァァァ!!? なんで教えるんだよ!!!?」
苗木「これが僕の覚悟だよ…君と運命共同体になるための…」
苗木「『覚悟』だ!!」
大和田「グッ…!!」
苗木「どうせ大和田くんは、生きてる事がわかれば、自然に能力もバレちゃうでしょ?」
苗木「そして、このままだと、僕も能力を使えないまま死んでしまう…」
苗木「だから協力しよう!! 一度でいいから僕を信用してくれ!!」
大和田「…わぁーったよ」
大和田「協力してやるぜ…俺は何をすればいい?」
大和田「どうせやるなら、ド派手にだ」
苗木「ありがとう…それでね」
苗木「これを投げて欲しいんだけど…」ボソボソ
大和田「ふむふむ…了解だ」
僕と大和田くんは、共に立ち上げり、
朝日奈さんへと視線を向ける…
-
- 61 : 2014/12/22(月) 19:34:57 :
朝日奈「死ねぇぇ!!!」
朝日奈さんが手を振ると、
床に散っていた水が空気中に集まっていき、一つの球体のようになる。
葉隠「ヒィィ…死ぬべ!!」
朝日奈「!」
朝日奈さんが腕を捻り、球体が一気に動き出しす。
十神「フッ…愚民が」
セレス「さて、どうしましょうか」
その球体はスピードを緩めずに、
『十神くん』と『セレスさん』
に向かっていく。
距離はどんどん狭まっていく。
残り3M…
十神「フン…!!」
十神くんが嘲笑うと、水の球体は急激に回転し、弾け飛んだ。
朝日奈「えっ!?」
十神「このくらいの攻撃…慌てるまでもない」
セレス「まあ、及第点といったところでしょうか」
十神「ふん…感謝しろよ? 庇ってやったんだからな」
セレス「ふふふ、貴方に気を使われるとは思ってもいませんでしたわ」
十神「フッ…お前の『能力』は有名だからな、使えばすぐにバレてしまうだろ…」
セレス「あら? 私の『能力』を知っているのですか?」
十神「…逆に、お前の『能力』を知らないやつがいるのか?」
セレス「ふふっ、なかなか面白い事を言いますわね」
苗木(ん? 『知らないやつがいるのか?』だって…!? どういう意味だ?)
苗木(…十神くんとセレスさんの能力は気になるけど、今はそれどころじゃない)
苗木(頼むよ…? 大和田くん…)
大和田「おい!! 朝日奈!!」
朝日奈「!?」
-
- 62 : 2014/12/22(月) 19:45:36 :
- 期待です!
頑張ってください!
-
- 63 : 2014/12/22(月) 21:02:58 :
- >>62
ありがとうございます!! よっしゃ、やりますよー!!
-
- 64 : 2014/12/22(月) 21:07:02 :
大和田くんの登場に、驚いたのは朝日奈さんだけでは無かった。
腐川「え…幽霊?」
霧切「・・・」
それもそのはず、大和田くんは確実に死んだと思われていたから。
大和田「ウラァッ!!」
…そんな事お構いなしに、
打ち合わせ通り、大和田くんは鉛玉を投げた。
朝日奈「そんなの効くわけないじゃん!!」
朝日奈さんは、水を操り鉛玉を止めようとするが…
苗木「悪いけど…この鉛玉は『加速』するッ!!」ボソッ
僕が能力を発動させる。
朝日奈「なっ、なんでっ!!!?」
加速していく鉛玉は、水を突き破り、尚、スピードをさらに増し、朝日奈さんの額を撃ち抜いた。
水飛沫と血飛沫が飛び散り、辺りを濡らす。蒼い色と紅い色が混ざり合う。
朝日奈「グハッ…!!?」
朝日奈さんは千鳥足で、その場を離れようとするが、
目の焦点が定まっていなかった。
すぐに、転んでしまった。
…そして二度と立ち上げる事は無かった。
-
- 65 : 2014/12/22(月) 21:41:38 :
- 面白いです!頑張ってください!
-
- 66 : 2014/12/22(月) 22:27:03 :
- >>65
ありがとうございます!! 頑張ります!!
-
- 67 : 2014/12/22(月) 22:32:26 :
大神「朝日奈ァァァ!!!」
大神「クッ…!!!」
不二咲「あんまり…だよ…」
十神「ふむ、大和田…貴様、なぜ生きている?」
大和田「今はそんな事、どうでもいいだろ…」
大和田「死んだんだぜ? 人がよ…」
無視して十神くんは続ける。
みんなも、朝日奈さんの死を悲しむと共に、この会話に注目していた。
十神「俺の推測からするとだな…朝日奈の攻撃を無力化したのは超回復的な能力だ…」
十神「だが、朝日奈と桑田を殺した能力は、物を加速させる能力だった…」
十神「謎だな…能力は一人一つじゃないのか?」
十神「それとも、回復と加速を両方行えるような能力なのか?」
十神「教えてくれないか…?」
大和田「・・・」
十神「教えてくれれば、仲間にしてやらんでもないぞ」
大和田「…じゃあよ、お前の能力を教えてくれよ」
大和田「仲間になるんだろ?」
十神「・・・」
十神「クックックック…面白いな…」
そう言うと、十神くんは行ってしまった。
僕らはしばらく動けずにいたが、徐々に自分の部屋に帰り出した。
誰も、大和田くんを責めようとはしなかった。
朝日奈さんの時と、桑田くんの時も、正当防衛を主張したからだ。
おかげで、大和田くんの能力もバレずに、僕の殺しもバレ無かった。
僕と大和田くんは、少しトイレで話す事にした。
-
- 68 : 2014/12/22(月) 22:59:56 :
苗木「…ごめんね、桑田くんと朝日奈さんを殺した事までなすりつけちゃって…」
大和田「別に構わないぜ」
大和田「それよりよ…」
大和田「ありがとな」ボソッ
苗木「うん、頑張ろうね」
大和田「ああ」
そう言い残し、大和田くんはトイレから出て行った。
『頑張ろうね』
『ああ』
…僕に仲間ができた
ーーーーーーーーーーーーーー
第一章 END
ーーーーーーーーーーーーーー
-
- 69 : 2014/12/23(火) 00:06:04 :
- ホモ和田大歓喜!!
-
- 70 : 2014/12/23(火) 08:14:27 :
- >>69
せやかて工藤
-
- 71 : 2014/12/23(火) 08:33:13 :
第二章 『発動』
桑田くんと朝日奈さんの死から、
1日が経ち、二階が解放された。
僕たちは、食堂で朝ご飯を済ませ、二階を探索する事になった。
【プール】
プールは、僕たちだけで使うのが勿体無いくらいの広さだった。
苗木「うぉ…ここで朝日奈さんと戦ってたらアウトだったね」
霧切「さて、次の場所に行きましょう」
他に対した物がなさそうだったので、僕たちは別の場所に向かった。
【図書室】
山田「あれれ? 漫画が一切無いですぞ!!?」
腐川「ふん…あんな低俗な本が置いてあるわけないじゃない」
山田「低俗だとぉ!!?」
山田くんと腐川さんの不毛な争いを無視し、脱出の手掛かりを探していると…
苗木「お、なんだこれ?」
僕は、机の引き出しの中に入っていたPCを見つけた。
十神「ふむ、だが…外への連絡を取るには使えんな」
不二咲「あ、じゃあ僕が貰ってもいい?」
十神「ふん、好きにしろ…」
不二咲「わーい!! ありがとう!!」
苗木(あれ…? そのPCを見つけたのは僕なんだけど…)
苗木「まあ、いいか」
僕たちは、とりあえず解散する事になった。
二時間、探して脱出の糸口0である。気が滅入ってしまう。
苗木「さて、どうしようか…」
個室に戻ろうとする僕に、大和田くんが話しかけてきた。
-
- 72 : 2014/12/23(火) 10:08:11 :
大和田「あ、おい苗木」
苗木「ん? 何?」
大和田「この後、暇だろ? ちょっとついて来てくれねぇか」
苗木「はぁ…?」
大和田くんによると、先程、不二咲さんにお部屋にお呼ばれしたらしい。
で、女子の部屋になんて一度も行った事が無いから、その案内役を僕に頼んだとの事だ。
大和田「ふぅ…緊張するな…」
さすがは硬派ヤンキーと言ったところだろうか。
【不二咲ルーム】
大和田くんが勝手に緊張している間に、不二咲さんの部屋についた。
大和田「・・・よし、押すか」
チャイムを押す、大和田くんの指が震えている。
ピーンポーン♫
ガチャリ
不二咲「あ!! 二人とも、来てくれたんだね!!」
中から不二咲さんが出てきた。
不二咲「さ、入って入って!!」
苗木「あ、うん、どうも」
大和田「おじゃまするぜ」
-
- 73 : 2014/12/23(火) 17:24:46 :
- ちーたんの能力が地雷とかだったらヤバいな…期待です(ृ°͈꒳°͈ ृ )ु
-
- 74 : 2014/12/23(火) 18:10:41 :
- >>73
実は不二咲の能力は、結構、キーになっている能力なのです。
期待ありがとうございます!!
-
- 75 : 2014/12/23(火) 19:07:30 :
- 十神とセレスは十神が賄賂して
仲間になってそうww
期待です!
-
- 76 : 2014/12/23(火) 19:08:35 :
- 枕はエスパーかな?
-
- 78 : 2014/12/23(火) 19:33:44 :
不二咲さんに招かれ、部屋におじゃました。
…部屋の構造は、僕の部屋と遜色なかったが、とても綺麗で整理整頓されていた。
苗木(見習わないとね…ハハハ)
大和田「でよー? 何の用だ?」
不二咲「え…ああ、うん」
不二咲「君たちに僕の【秘密】を知ってもらいたくて…」
苗木「【秘密】?」
大和田「それって何の事だ?」
不二咲「実は、僕……」
不二咲「男の子なんだ!!」
衝撃の事実に頭が拒絶反応を出した。
苗木「え」
大和田「え」
不二咲「うぅ…やっぱり気持ち悪いよね…」
大和田「ていうか…本当なのか?」
不二咲「うん…」
苗木「…ちょっと聞いていい? 男の子だったんなら、なんで女の子の格好をしてたの?」
不二咲「…昔から、僕は弱くてさ」
不二咲「女の子の格好をする事で、弱い自分を隠していたんだよ…」
大和田「…ならよ、なんで今、俺たちにそれを話そうと思ったんだ?」
不二咲「それは…強くなりたかったんだ」
不二咲「弱い自分を隠さずに、強い自分になるために…!!」
大和田「…じゃあよ、不二咲はもう十分強いぜ」
不二咲「え?」
苗木「…弱い自分を克服しようと勇気を振り絞って、僕らに秘密を打ち明けたんでしょ?」
苗木「だったら、もう立派な男じゃないか!!」
大和田「だな」
不二咲「二人共…」
-
- 79 : 2014/12/23(火) 20:02:04 :
不二咲「何言ってんの?」
苗木「…え!?」
不二咲「強いっていうのは、生存競争を勝ち抜くって事でしょ!!?」
不二咲「つまり…この能力コロシアイ学園生活を生き抜いた時」
不二咲「僕は強い自分になれるんだ!!!」
不二咲「だから、秘密を打ち明けたのは、強くなるためのスタートラインであって目標ではない!!!」
不二咲「君たちを殺して、僕は強くなる!!!」
苗木「…本気みたいだね」
大和田「やるっきゃないって感じか…」
バチッ!!!
苗木「先手必勝…」
僕はすぐさま、鉛玉を発射する。
不二咲くんとの距離は短いが、人を殺すのには十分な距離だ。
苗木「この鉛玉は…『加速』するッ!!」
不二咲「…人形(ザ・ドール)」
『人形』、不二咲くんがそう呟くと、
不二咲さんと僕の間に、オールバックの男が出現した。
目に生気は宿っておらず、身長は180強はありそうだった。
ザ・ドール『・・・』
苗木(なんだ…!? 不二咲くんの能力か…!?)
盾にする気だろうか?
鉛玉は『ザ・ドール』にそのまま突っ込んでいく…
ザ・ドール『!!』
一瞬、『ザ・ドール』が、微かな気迫を込めた気がした。
すると…
苗木「え…鉛玉が消えた!!?」
不二咲「フフフ…消えてなんかないよ」
不二咲「ちゃんとあるよ?」
不二咲「『ザ・ドール』の手の中に!!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ…!!!
ザ・ドール『・・・!!』
確かに、鉛玉は『ザ・ドール』の手の中にあった。
大和田「おいおい、どんなスピードだよ?」
苗木「それは違うよ…スピードだけじゃない、パワーもかなり持っている…」
苗木「僕の『加速』は、物体が射程距離を超えるか、静止するかのどちらかになるまで作用するからね…」
苗木「あのスピードの鉛玉を完全に止めるなんて…あいつ、かなり強いぞ!!?」
不二咲「じゃ、反撃といこっか」
-
- 80 : 2014/12/23(火) 21:40:21 :
能力者ファイル①
不二咲 千尋
能力『人形(ザ・ドール)』
人形を出現させる能力。
この人形は、不二咲 千尋 の思うがままに操る事が出来る。
人形は、スピードやパワーに優れている。
射程距離は、不二咲 千尋 の半径5M以内である。
-
- 81 : 2014/12/23(火) 23:04:16 :
- 苗木の能力は「加速する!」って言わなきゃ発動できない感じですか?答えるのが無理なら答えなくてもいいんで
期待
-
- 82 : 2014/12/23(火) 23:05:33 :
- >>81
決めセリフ的なものだと思って下さい!!
言わずとも使えます!!
期待ありがとうございます!!
-
- 83 : 2014/12/23(火) 23:17:40 :
- やはり面白いです!
能力も炎や風などのありきたりな能力ではないのがいいと思います!
期待!
-
- 84 : 2014/12/24(水) 01:21:22 :
- (あれ?大和田最強じゃね?)
-
- 86 : 2014/12/24(水) 17:37:32 :
不二咲「お返しだよっ!!」
ザ・ドール『!!』
『ザ・ドール』は、手に持っていた鉛玉をこちらに向かって投げ返してきた。
大和田「苗木!! 危ねぇ!!」
苗木「うおっ!?」
大和田くんに突き飛ばされ、僕は床を転がる様にして移動した。
『ザ・ドール』が放った鉛玉が、大和田くんに撃ち込まれる。
大和田「くっ…!! 効くな…これ」
大和田くんは、僕を攻撃から庇ったのだ。
『不死身』だからといって簡単に出来る行為ではない。
僕は大和田くんに感謝するとともに、仲間で良かったと強く感じた。
苗木「…さて、大和田くん」
大和田「あ? どうしたよ」
大和田くんは、腹部を抑えながら尋ねる。
苗木「あの『ザ・ドール』から、どのくらいの時間が稼げそう?」
大和田「…怪我人をこれ以上、働かせんなよ」
『やれやれ』と言いながら、結局、大和田くんは考え出した。
-
- 87 : 2014/12/24(水) 19:14:39 :
大和田「…そうだな、『3』秒ってところかな」
苗木「OK…了解」
『3』秒あれば、何とかなるだろう。
不二咲「…あのね、大和田くん」
不二咲「君みたいな凡人的な能力者じゃ、『3』秒も稼げないよ?」
大和田「やってみなきゃ、わかんないだろ…」
大和田「あと…不二咲」
不二咲「何?」
大和田「本当の強さってのは、『傷つける』事じゃねえ…」
大和田「『守り抜く』事だ!!」
不二咲「じゃあさ、守ってみろよ!!」
不二咲くんがそう言い、『ザ・ドール』が構える。
-
- 88 : 2014/12/24(水) 19:39:33 :
大和田「うぉぉぉぉぉ!!!」
ザ・ドール『!!!』
お互いの拳がぶつかり合う。
どちらも譲らない。
大和田「ぐぐぐ…!!!」
ザ・ドール『!!!』
若干、『ザ・ドール』の方が押しているように見えた…
大和田「ドラァ!!!」
ザ・ドール『!?』
不二咲「何ッ!!?」
が、大和田くんが『ザ・ドール』の腕を払い除ける。
鍔迫り合いを制したのは、大和田くんの方だった。
苗木「今か…!!」
僕は全力で不二咲くんに向かっていく。
不二咲「なんで僕の『ザ・ドール』が…!?」
酷く動揺しているようだった。
この隙を、僕が見逃す筈が無い。
苗木「喰らえ!!」
不二咲「しまった!!! 僕を護れ!! 『ザ・ドール』!!」
物凄く速い動きで、『ザ・ドール』がこちらに跳んできた。
腕を伸ばし、僕を止めようとする。
『ザ・ドール』の掌が、僕の前に立ち塞がる。
苗木「悪いけど…僕自身も、『加速』しているッ!!」
不二咲「煩い!! 『ザ・ドール』のパワーを甘く見るなよ!!!」
不二咲「さっきだって、止めたじゃないか!!」
苗木「…それは、鉛玉の場合だよね?」
そして…
僕のスピードと、『ザ・ドール』のパワーが激しくぶつかり合う。
-
- 89 : 2014/12/24(水) 19:52:58 :
- 在り来たりじゃないところが逆にかっこいい!
大和田の能力は『死なない....ではなく死んだら蘇生する』ってところが鍵っぽいですね....!
-
- 90 : 2014/12/24(水) 21:33:17 :
- >>89
そうなのです!! 結構、重要なポイントになってきます!!
-
- 91 : 2014/12/24(水) 21:59:30 :
・・・・・・・・・・・・・・・
『エネルギー』というのは、基本的には、『速さ×重さ』の式で求める事が出来る。
まあ、実際にはもっと複雑だが。
鉛玉よりも重さが大きい苗木がぶつかれば、勿論、威力も上がってくるだろう。
・・・・・・・・・・・・・・・
苗木「うらぁぁぁぁぁ!!!」
ザ・ドール『!!!?』
『ザ・ドール』のパワーを弾き飛ばし、僕は転けそうになりながらも、
不二咲くん目掛けて突き進む。
不二咲「うわぁぁぁ!!?」
苗木「うぉぉぉぉ…!!!」
そのまま、僕は拳を振り抜いた。
『加速』した僕の拳が、不二咲くんの顎を砕く。
脳しんとうどころの話ではないだろう。
不二咲「あぁ…」
白目をむき、不二咲くんの意識は飛んだ。
それと同時に、『ザ・ドール』も儚く、消え果てた…
-
- 92 : 2014/12/24(水) 22:38:45 :
苗木「はぁー・・・はぁー・・・」
荒い呼吸を整え、僕は不二咲くんに近づく。
苗木「失礼するよ…?」
脈を取ると、案の定、不二咲くんは死んでいた。
大和田「終わった…か」
苗木「そうだね…」
苗木「と、いうかさ、『3』秒って言ってたのに、普通に押し勝ってたじゃん」
大和田「ああ…あいつが本気で来てたらそうだったかもな」
大和田「わざと油断させたんだよ『3』秒とか言ってな…だったら勝機があったからな」
苗木「どういう事…?」
大和田「…『火事場の馬鹿力』って知ってるだろ?」
大和田「俺は、『不死身』だからよ…身体のリミッターを外しやすいんだ」
大和田「あいつは、凡人の奴に勝つ程度の力しか使わなかった…」
大和田「俺が強くなる事を予想して無かったんだろうな…」
苗木「なるほどね…そういう応用の仕方もあったんだね」
大和田「まあ、とりあえず、ここから離れようぜ…」
大和田「疲れちまったよ…」
苗木「…うん、そうしよう」
大和田「っというより、腕が折れちまったな」
苗木「え!?」
大和田「いや、そりゃ『火事場の馬鹿力』だからな。リミッターを外したツケは返ってくるんだよ」
苗木「大丈夫なの? それって…」
大和田「まあ、死にゃあ治る」
苗木「それはそうかもしれないけどさ…」
僕たちは、不二咲くんの部屋から、こっそり抜け出した。
誰にも見つからないように…。
けど、
???「あいつら…なぜ不二咲くんの部屋から出てきたんだ?」
苗木「大和田くん? どうしたの?」
大和田「いや…なんでも無い」
大和田(誰かに見られた感覚が、あったが…?)
偶然。
恐ろしいのは、計算されていない事故。
予測不能な出会い。
それは、死を招く、きっかけとなり得る。
???「・・・行ったか」
石丸「あの2人に直接、問いただしてみる必要があるな…!!」
-
- 93 : 2014/12/24(水) 23:02:14 :
ー
ーー
ーーー
???『プログラム…インストールまで、あと、60%…』
ーーー
ーー
ー
-
- 94 : 2014/12/25(木) 08:06:06 :
不二咲くんが死んだ翌日、
僕と大和田くんは、石丸くんに食堂へと呼び出された。
苗木「もしかして…バレちゃったのかなぁ?」ボソボソ
大和田「だとしたらどうする?」ボソボソ
苗木「隠し通そう…今回の場合、不二咲くんが死んだのは彼の個室で、僕たちがそこに向かった事になる」ボソボソ
苗木「つまり、正当防衛が認めてもらえない可能性がある…」ボソボソ
大和田「OKOK…」ボソボソ
苗木「よし、着いたよ…気合を入れいこう」
【食堂】
石丸「遅かったな!! 二人共!!」
やっぱりというか、なんというか、食堂には全員が揃っていた。
僕たちを怪しむ目で見る人もいれば、疑った目で見る人もいる。
苗木(ここで孤立するわけにはいかない…!!)
苗木(絶対に隠し通す!!)
-
- 95 : 2014/12/25(木) 08:29:00 :
石丸「それでは、学級裁判を始めるぞ!!」
石丸「今回の議題は、『不二咲殺しの犯人』についてだ!!」
苗木「え!? 不二咲くん…死んじゃったんだね…」
霧切「・・・」
霧切「苗木くん? なぜ貴方が不二咲くんが男の子だった事を知ってるの?」
霧切「それを知っているのは、現場を捜査をした少人数の人たちだけよ?」
苗木「ああ…それはね、入学した時にこっそり聞いたんだ」
苗木「掲示板で『不二咲さんは男の子だった』っていう書き込みがあったからさ」
苗木「その真偽を確かめたくてね」
霧切「そう…」
大和田くんにアイコンタクトで謝罪し、次にくる尋問に備える。
石丸「では、証人を出そう!!」
石丸「証人は僕だ!!」
苗木(君かよ…)
石丸「僕は、不二咲くんの部屋から出てきた『苗木くん』と『大和田くん』を偶然、見かけたんだ!!」
石丸「怪しいと思った僕は、不二咲くんの部屋を訪れた!!」
石丸「そしたら、案の定、彼は死んでいた…」
石丸「これらの事から、僕は大和田くんと苗木くんが犯人だと推測するッ!!」
苗木(やっぱり見られてたのか…)
葉隠「…とりあえず、悪いのは大和田っちと苗木っちって事だべか?」
苗木「ちょ、ちょっと待ってよ!!」
苗木「僕たちは不二咲くんを殺してなんかいない!!」
-
- 96 : 2014/12/25(木) 14:46:12 :
- 大和田ってもしかして自分だけじゃなくて他の生物も蘇生できるのでしょうか?
期待です!
-
- 97 : 2014/12/25(木) 18:09:37 :
- >>96
それは無理です!! あくまで蘇生するのは『自分だけ』ですよ!!
期待ありがとうございます!!
-
- 98 : 2014/12/25(木) 19:29:01 :
苗木「第一…証拠不十分じゃないか!!」
石丸「何!? 僕が嘘をついていると言うのか!!?」
苗木「いや…石丸くんが見た僕たちは『能力による物』だったんじゃないかな?」
苗木「だって石丸くんの証言しか、僕たちが犯人だっていう証拠は無いんでしょ?」
苗木「そしたらさ、辻褄が合うよね?」
十神「つまり…『石丸が見たお前らは、真犯人が能力で作りだした偽物だった』という事か?」
苗木「うん、多分そうだと思う」
苗木(嘘だけどね…)
-
- 99 : 2014/12/25(木) 21:31:12 :
舞園「確かに…石丸くんの証言だけでは証拠不十分ですし、その考えはあり得ると思います」
大神「うぬ…」
江ノ島「てことは何? 苗木たちは犯人じゃないの?」
大和田「ああ、俺たちはこの事件に全く関係無ぇ」
十神「…まあ、俺も石丸の証言だけでお前らを犯人にするほど愚かでは無い」
十神「証拠は必ず必要だ」
苗木(…十神くんは何を言っているんだ?)
十神「・・・」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ…!!
十神「…と、いうわけで、身体を調べさせろ。大和田」
苗木・大和田「!!?」
苗木(そう言う事か…!!)
葉隠「え? どういう事だべ?」
十神「説明するのは面倒だが…まあいいだろう」
十神「俺たちは能力者だろ?」
十神「大抵の場合、争った時には無傷ではすまない…」
十神「身体のどこかに『傷を負う』!!!」
大和田「傷…」
十神くんの言う通りだ。現に大和田くんは、不二咲くんとの闘いで、二つの傷を負っている。
『鉛玉による攻撃』
と、
『自身の能力による反動』
十神「もし、苗木と大和田が不可解なダメージを負っていれば、それは不二咲との戦闘で作った可能性が高い…!!」
十神「…というわけだ、無実を証明したければ調べさせろ」
苗木「・・・大和田くん」ボソッ
大和田「何だよ?」ボソッ
苗木「昨日…死んだ?」ボソ
大和田「いや…死んでねぇ…」ボソ
苗木「…まずいね、これ」
石丸「おい!! 雑談をするな!!」ビシッ
-
- 100 : 2014/12/25(木) 23:02:15 :
苗木「あ、うん、ごめん」
苗木(クソッ…どうする!!?)
石丸「では、僕が調べるとしよう!!」
十神「ふん…構わないが、ちゃんとやれよ?」
石丸「勿論だッ!!」
大和田「・・・」
石丸「そうだな…まずは、腕から調べるか…」
苗木(一発目から正解か…良い勘してるな!!)
大和田「・・・」
石丸「おい!! どうした!? 早く出したまえ!!」
大和田(クッ…どうするのが正しいんだ!?)
苗木「・・・」
苗木「・・・そ」
苗木「そうだよ…大和田くん」
苗木「早く腕を出して、無実を証明しようよ!!」
大和田「…なっ!!?」
苗木「ほら、早く!!」ガシッ
大和田「は、離せよ…」
大和田(どうしたんだよ…苗木!?)
大和田(骨折してる事がバレちまうじゃねえか!!)
苗木「大和田くん…」
石丸「苗木くんも言っているだろう!! 早く出さないか!!」
大神「…む? もしかして、苗木と大和田は仲間ではないのでは?」
腐川「あり得るわね…さしずめ、あのもろこしが一人で殺ったんでしょうね…」
山田「桑田殿と朝日奈殿を殺したのも、大和田殿ですしね…!!」
セレス(苗木くんの裏切りでしょうか…?)
十神(甘過ぎるな…その程度でお前への疑いは消えないぞ? 苗木…)
霧切「・・・」
苗木「さあ、出すんだ!! 大和田くん!!」
大和田「クッ・・・」
-
- 101 : 2014/12/26(金) 00:29:04 :
- 「治癒」を加速させてる…?
期待です!!
-
- 102 : 2014/12/26(金) 08:10:26 :
- >>101
あ・・・(察し)
期待ありがとうございます!! 頑張ります!!
-
- 103 : 2014/12/26(金) 08:27:45 :
大和田(苗木…俺を裏切ったのか…?)
大和田(いや、こいつはそんな奴じゃない…)
大和田(俺は…信じるぜ)
大和田(お前の『覚悟』をッ!!!)
大和田「…ほらよ」
石丸「ようやく観念したか…どれどれ…?」
石丸「・・・」
石丸「うむ!筋肉質で立派な腕だな!」
石丸「異常無しだ!!」
大和田「ど、どうも…?」
大和田(異常無しだと!? 何がどうなってるんだ…!?)
苗木「あ!!」
石丸「む? どうしたんだ?苗木くん」
苗木「いや、昨日、大和田くんが特訓した時に失敗して、お腹に傷を負ったって言ってたからさ…」
苗木「勘違いされる前に、言った方がいいかもって思ったんだけど」
大和田「あ、ああ…そうだな」
大和田「ほら、ここに鉛玉を撃ち込まれた跡があるだろ?」
石丸「うむ、確かにあるな…」
大和田「ミスってよ…自分で撃った鉛玉にやられちまったんだ」
セレス「ちょっと待って下さらない? 『特訓』とは?」
大和田「…そ、それは俺の能力に関わるから言えないな」
セレス「…ふむ、わかりましたわ」
大和田「な、なあ…もう、これでいいだろ?」
セレス「はい、構いませんわよ」
石丸「だ、だが…!!」
舞園「石丸くんが、必死になるのもわかりますが…」
山田「大和田殿は実質、無傷でしたしね!!」
腐川「確実な証拠が無いんじゃ…さすがに無理よ…」
石丸「グッ…!?」
-
- 104 : 2014/12/26(金) 09:10:35 :
- 石丸が見るのを加速した?
-
- 105 : 2014/12/26(金) 16:50:49 :
- わかりました!大和田のもろこしが伸びる速度を加速させたんですね!
-
- 107 : 2014/12/26(金) 19:05:41 :
苗木「じゃあ…そろそろ解散にする?」
霧切「ええ、これ以上議論しても仕方ないみたいだしね」
山田「それでは、拙者は帰らせていただくでござる!!」
江ノ島「んじゃまあ、私も〜」
一人…二人…と、食堂を後にしていく。
ただ、
十神「なるほど…わかったぞ…ククク…」
十神くんが不気味な笑い声を出していた事が、僕の脳裏に引っかかった。
苗木「・・・」
大和田「なぁ…苗木…」
苗木「え?…ああ、ごめんごめん」
気がつくと、食堂は静寂に包まれていた。残っているのは僕と大和田くんだけだった。
苗木「何?」
大和田「『何?』…じゃねえよ!!?」
大和田「なんで俺の骨折が治ってんだよ!!!?」
苗木「…ああ!! それね!!」
苗木「なんて事は無いよ…僕の能力を使ったんだ」
大和田「能力…!?」
苗木「…君の治癒速度を『加速』させたッ!!」
大和田「ち…治癒速度!!?」
-
- 108 : 2014/12/26(金) 21:14:47 :
- 成長速度も加速できるのかな~www
あと、動くものならナエギが走っているとき、
射程距離はナエギの中心だから移動してるとき
ナエギが音速で移動できるんじゃね?
と、思いました!
期待です!
-
- 109 : 2014/12/26(金) 21:38:44 :
- >>108
成長速度の件については後ほど!!
あと、苗木が音速で走れるか? という質問ですが勿論走れます。
ただ、そこまで加速するとなると、それなりの距離が必要ですし、加速には体力も使うので難しいです。
期待ありがとうございます!!
そういう『〜〜は出来るのか?』という質問は、私的にも改めて能力を把握するきっかけにもなりますし、読者の方々も物語をより理解してもらい易くなると思うので、ありがたいです!!
-
- 110 : 2014/12/26(金) 22:08:19 :
苗木「うん、そもそも『動くものを加速させる』っていう概念が間違いだったんだよ…」
苗木「僕の能力は『速さ』だけじゃなくて、『早さ』も加速出来たんだッ!!」
苗木「…と、言ってもとっさの思いつきだったから、確証は無かったけどね」
大和田「・・・」
大和田「なあ…苗木…もし、俺の骨折が治らなかったら、お前ならどうした?」
苗木「え?…そうだね…まず、脱出経路の確保かな…?」
苗木「さすがにあの人数を一度に相手にするのは、参っちゃうしね…ハハハ」
大和田「・・・」
大和田(『裏切る』…なんて選択肢は最初から無かったんだな…)
大和田「ハァ…お人好しと言うかなんというか」
苗木「え!?」
苗木(な、なんか怒らせちゃったみたいだな…?)
でも、なぜか、僕たちの友情は深まった気がした。
ーーー
ーー
ー
-
- 111 : 2014/12/26(金) 22:12:40 :
- ホモワダェ…
ホモワダェのモロコシのモロコシがポップコーンクラッシュする展開がありそうなwww
-
- 112 : 2014/12/26(金) 23:00:16 :
- 回転速度は加速できるのか(距離がいらないので強い)
思考速度とか反射神経は加速できるのか
地球は加速できるのか(おそらく無理)
時は加速できるのか(たぶん無理)
負の加速(減速になる)はできるのか(たぶん無理)
このあたりはどうですかね
-
- 114 : 2014/12/27(土) 00:23:22 :
【苗木誠の部屋】
『不二咲くん殺し』の事件について、僕と大和田くんは証拠不十分という事で、無罪放免となった。
苗木「ふぅー、疲れた…」
壁にかけてある時計に目をやると、既に昼を過ぎていた。
苗木「…ん?」
一眠りしようかと考えていた矢先に、
ドアの隙間に一通の手紙が挟まっているのを見つけた。
苗木「何だろう…?」
少し警戒しながら、その手紙を開けてみる事にした。
苗木「果たし状…? 差出人は…」
苗木「…石丸くんか」
-
- 115 : 2014/12/27(土) 07:28:28 :
ー
ーー
ーーー
【教室】
石丸「・・・」
ガラガラ
苗木「石丸くん…?」
石丸「む、来たか…!!」
石丸「果たし状を読んで来たという事は…勝負を受けてくれるという事だな!!?」
苗木「まあ…うん、とりあえず理由を聞こうか…?」
石丸「・・・」
石丸「…僕は、悪が嫌いだ」
石丸「悪とは…自分の私利私欲のために、人を傷つける事だッ!!」
石丸「君は罪の無い人を傷つけた…」
石丸「だから、僕の正義で、君の悪を裁く!!」
石丸「僕の能力は『拘束』ッ!!」
石丸「いざ尋常に勝負ッ!!」
-
- 116 : 2014/12/27(土) 07:54:58 :
能力者ファイル④
石丸 清多夏
能力『拘束』
手のひらに『拘束具』を出現させる。
『拘束具』は 石丸 清多夏 自身が持つ際には重さはほとんど無いが、対象物に触れるとその重さは膨れ上がり、約15kgほどになる。
『拘束具』の形は 石丸 清多夏 が決める事ができ、大きさは、手のひらサイズなら大小変更できる。
一度、対象物に触れた『拘束具』は 、石丸 清多夏 が自分の意思で解除するか、もしくは意識を失うかでしか消失しない。
『拘束具』は対象物に触れるまでは、指定された形の物の性質を持つ。
-
- 117 : 2014/12/27(土) 08:19:58 :
- この『拘束具』って、形は決まっているのですか?
後、『不死身』の能力は、「死んでも生き返る」能力ですよね?
死なないor死ねない状態にしておけば、拷問をしたり、捕まえたりできるんですか?そうだとすると、無力化は結構簡単そうですね
-
- 118 : 2014/12/27(土) 10:02:52 :
- 苗木の音速移動は無理だよ、空気の壁にぶつかって体壊れる(物理)
-
- 119 : 2014/12/27(土) 10:46:02 :
石丸には死んでほしくないかな。
-
- 120 : 2014/12/27(土) 14:15:29 :
- うっひゃ面白い!
期待です!!!
-
- 121 : 2014/12/27(土) 16:43:41 :
- 石丸め!拘束具を使ってあんなこと(SMプ○イ)やこんなこと(SMプ○イ)をする気だな!
-
- 123 : 2014/12/27(土) 18:35:53 :
-
苗木「・・・」
石丸「フンッ!!!」
石丸くんの掛け声と共に、彼の手のひらにチョークが3本ほど、出現した。
石丸くんは、それを指と指の間に一本ずつ挟み、投げる体制をとる。
石丸「これは、桑田くんの分だッ!!」
そう言うと、石丸くんはチョークを空中に放った。
チョークは僕めがけ、猛烈に回転しながら、一直線で飛んで来る。
苗木「グッ!?」
…僕の身体にチョークが侵入していく!?
身体が一気に重苦しくなった。
気のせいでは…ない。
苗木「ガハッ…重っ!?」
石丸「ふ、君の体格からして、体重は50kg有るか無いかだろう」
石丸「今、僕が撃ち込んだ『拘束具』は、計45kg!!!」
石丸「どうだ? 日頃の、倍の重力を味わった感想は!!!」
苗木「そりゃきついよ…」
苗木「なるほど…『重りを撃ち込む能力』ってわけだね…」
石丸「…フン!! 減らず口を!!」
石丸「次は、朝日奈さんと不二咲くんの分だ!!」
-
- 124 : 2014/12/27(土) 19:09:15 :
- 重力に近い能力なんですねー
加速と相性最悪ですな…
-
- 125 : 2014/12/27(土) 19:12:46 :
- これ誰かに見られたらとか考えないのかな?
見られた瞬間石丸終わりじゃねww
期待です!
-
- 126 : 2014/12/27(土) 19:35:16 :
- 苗木が希望覚醒したら無敵になるんじゃ…
おっと口が滑った
-
- 128 : 2014/12/27(土) 23:05:13 :
石丸くんの両方の手のひらに、チョークが、それぞれ3本ずつ現れた。計…6本。
石丸くんはそれを一斉に放つ。
チョークが一瞬にして、僕の目の前まで近づいた。
石丸「さあ、どうするッ!!? 苗木くん!!」
苗木「・・・!!!」
身体のあちこちに、チョークが撃ち込まれる。
立っていられないほどの衝撃が、僕を襲う。
苗木「クッ…!!!!」
苗木「ハァ・・・ハァ・・・!!」
苗木「きついね…これで、計135kg増えたって事…かな…?」
石丸「・・・」
石丸「…何故だ」
-
- 129 : 2014/12/28(日) 01:31:03 :
- 朝日奈はお前も見てただろ!仕方ないだろ!
まあ全部仕方ないけど!
-
- 130 : 2014/12/28(日) 08:35:33 :
- >>129
そうなんですよねー。やっぱり人ですからね。何が正しくて何が間違ってるのか…
-
- 131 : 2014/12/28(日) 08:39:39 :
石丸「何故、避けない!?」
石丸「何故、反撃してこない!!?」
苗木「…それは」
苗木「君が悪いやつじゃないからだよ」
石丸「なっ!!?」
苗木「君は、自分の為に能力を使っていない…」
苗木「死んだ人たちの為に使っている…!!」
苗木「僕は…基本的に、いい人とは闘いたくないんだよ…」
苗木「殺した時に、罪悪感が残るからね」
石丸「ど、どういう事だ…!?」
苗木「…まず、僕の話を聞いてくれないかい?」
-
- 132 : 2014/12/28(日) 08:58:18 :
僕はありのままを、石丸くんに話した。
僕の能力と大和田くんの能力、
桑田くん、朝日奈さん、不二咲くんを僕が止むを得ず、殺してしまった事。
石丸「そ、そうだったのか…!?」
苗木「うん…全部、事実だよ」
石丸「そうか…ならば…」
石丸くんは、急に姿勢を屈める。
石丸「この通りだッ!! すまない!!」
石丸くんが行った『それ』は、
俗に言う、『土下座』だった。
-
- 133 : 2014/12/28(日) 09:53:21 :
苗木「えっ!? ちょ、顔を上げてよ…!?」
石丸「いやっ…!! このままでは、僕の気が収まらない!!」
石丸「君は、悪人なんかじゃなかったんだ…」
石丸「心の中に、きちんと『正義』を掲げていたんだッ!!」
石丸「…だが」
石丸「僕の『正義』が、君の『正義』を傷つけていたのだな…」
苗木「石丸くん…」
苗木「…それは違うよ」
石丸「えっ!?」
苗木「桑田くんも、朝日奈さんも、不二咲くんも、みんな、心の中に『正義』を持っていたんだよ…!!」
苗木「それは、『生き残る為の正義』であったり」
苗木「『強くなる為の正義』だったりと…形は様々だけど」
苗木「どれも確実に『正義』だった…!!」
苗木「ただ、彼らの『正義』は、僕の『正義』を受け入れてはくれなかった…」
苗木「だからこそ、殺しあっちゃったんだけどね…」
石丸「・・・」
苗木「でも!! 僕は、石丸くんの『正義』となら分かり合える気がするんだ!!」
苗木「僕も、殺し合いなんて選択肢は選びたくない!!」
苗木「だからこそ、協力しようよ!!」
苗木「全員が、生きてここから出られるように!!」
-
- 134 : 2014/12/28(日) 18:56:04 :
石丸(…どうやら、僕は酷い勘違いをしていたようだな…)
石丸(彼は、殺し合いなんて望んでいなかったのだ…誰よりも、他人の事を考えていたのだ…!!)
石丸「…ああ!! 是非、お願いする!!」
苗木「うん!! ありがとう!!」
…春、入学式…始まりの季節。
僕に、友達が一人増えた。
ー
ーー
ーーー
ーーーー
その次の日、食堂のある一角で、
仲良く食事をしている3人組がいたという。
第二章 END
-
- 135 : 2014/12/28(日) 19:36:45 :
第三章 『共闘』
-
- 136 : 2014/12/29(月) 08:43:08 :
僕の名前は、苗木誠。
わけあって『能力コロシアイ学園生活』を送っている。
石丸くんという友達が増えてから、早五日。
僕は、この学園生活にすっかり慣れてしまっていた。
一昨日から、スケジュールも作って行動している。
〜スケジュール〜
6:00
「モノクマのアナウンスと共に起床」
『お前ら、おはようございます!!』
苗木「うーん…ああ、よく…寝たぁ…」
苗木「・・・」
苗木「さて、髪を整えて食堂へ向かおうか…」
まあ、寝癖は直っても、この一本だけひょっこり生えている、アンテナみたいな癖っ毛はどうしようもない。
-
- 139 : 2014/12/29(月) 18:13:48 :
6:30
「朝食」
【食堂】
苗木「おはよ〜」
食堂には既に、大和田くんと石丸くんが訪れていた。
大和田「おう」
石丸「おはよう!!」
石丸「はっはっは、清々しい朝だな!!」
苗木「ハハハ…天気はわからないけどね」
2人と雑談と食事を楽しんだ後、僕は、新たに開放された3階を調べることにした。
-
- 140 : 2014/12/29(月) 23:02:07 :
8:00
「捜索」
【3階】
僕は、3階の怪しげで、不気味な感じが好きではなかった。
というより、この学園に好きな場所などない。
苗木「よし…今日は、娯楽室を調べてみようかな」
【娯楽室】
苗木「ふぅーーー・・・」
小一時間ほど調べてみたのだが、隠し扉一つ無かった。
苗木「ハァ…やっぱり、全員で脱出するなんて無理なのかな?」
…そんな暗い気分になった時は、身体を動かすにかぎる。
僕のスケジュール的にも、次は、『能力の訓練』なので丁度いい。
早速、部屋に戻る事にした。
が、
苗木「・・・」
苗木「…出てきたら?」
僕は、娯楽室のドアの陰に隠れている人影に話しかけた。
???「・・・!!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ…!!!
山田「あれれ? バレてしまいましたかー!!」
苗木「うん、結構、わかりやすかったよ?」
山田「しょぼーん…」
山田「せっかく、この五日間、苗木誠 殿 の行動パターンを調べていたのに…」
山田「今日の『捜索』は『娯楽室』だろうと予測して、あわよくば不意打ちをしようと思ってたのに…」
山田「はぁ…しょうがない…普通に戦闘で殺すとしますか…」
苗木「・・・」
苗木「あまり僕を舐めるなよ?」
-
- 141 : 2014/12/30(火) 08:12:54 :
バチッ!!!
鉛玉を指で弾き飛ばす。
…部屋という場所は、戦闘においては個人的に好きではない。
理由は、『加速』するための距離が作りにくいからだ。
苗木「その鉛玉は…『加速』するッ!!」
空気を切り裂き、鉛玉は、山田くんめがけて突き進む。
当たれば即死。
運が悪くても、意識不明の重体だろう。
が…山田くんは、
掌で鉛玉を受け止めようとしていた。
苗木「無駄だッ!!」
苗木「この速度なら、鉛玉は、君の掌を突き破り、脳天を貫く!!」
山田「それはどうでしょう…?」
そう山田くんが言い終わると同時に、
山田くんの掌に、鉛玉が衝突する…
苗木「・・・」
苗木「なっ!!?」
山田「ふむふむ…なかなかの威力でしたぞ!!」
…驚くべき事に、彼は無傷だった。
いや、真に注目すべきはそこでは無い。
苗木(そりゃ、不二咲くんの時の『ザ・ドール』みたいに、鉛玉を掴んだのなら可能性はあるけど…!?)
そう、僕の『加速』は、『静止しない』かぎり作用し続ける。
という事は、スピードを殺さないかぎりは止まらない。
不二咲くんは、『ザ・ドール』で鉛玉を掴む事によって、それの威力を殺した。
苗木(けど…彼は、掌で『受け止めた』…!!?)
『掌で受け止めた』…それが示すものは、つまり、
『掌に、何かしらの力が働いていた』という事だろう。
苗木(もしかして、彼の『能力』は、桑田くんのような『固い能力』…!!?)
-
- 142 : 2014/12/30(火) 12:28:25 :
- 逆に柔らかいという可能性は!?とか言ってみたりー
期待
-
- 143 : 2014/12/30(火) 18:23:46 :
- >>142
なるほど、その可能性もありますね!!
期待ありがとうございます!!
-
- 144 : 2014/12/30(火) 23:15:59 :
- 動きをはやくして駄目ならもしかして自分とか対象者のみの時間を速くすれば?
-
- 145 : 2014/12/31(水) 00:53:04 :
- 期待です!
楽しみに見てます!
-
- 147 : 2014/12/31(水) 18:27:03 :
思考を巡らせる。
いろいろな考えが浮かんでは消える。
が、その思考は、山田くんの呼びかけによって中断された。
山田「苗木殿…」
苗木「ん? 何?」
山田「不二咲殿を殺したことを、僕は絶対に許しませんぞ!!」
苗木「うん、許される気もないよ…」
苗木「彼を殺した事は、僕が一生をかけて背負っていく罪だ…」
苗木「あと、それと」
苗木「僕が不二咲くんを殺した事を誰から聞いたの?」
山田「…それは答えかねますな」
山田「…まあ、とりあえず、死で償ってもらいましょうかッ!!」
苗木「!!!」
山田くんが発した『死』という言葉は、
何故か、とても現実味を帯びていた。
山田「うおおおおおお!!!」
それもその筈…
彼が放り投げた『鉛玉』は、僕が『加速』させた速度を
はるかに上回るスピードで僕に向かってきたからだ。
苗木「何ィィィッ!!?」
一瞬、山田くんが放った怒気にひるみ、身体をその場から避けなければ、
僕は今頃、この世にはいなかっただろう。
苗木「クッ…!?」
鉛玉は、僕の頬を掠めながら飛んでいき、壁に激しく当たった。
苗木「な…『能力』は、『固い』では無いのか!?」
山田「『固い』? まさか苗木殿が、そんな同人誌みたいな事を言うとは、思っていませんでしたぞッ!!」
苗木(落ち着け…僕を動揺させる為に、ふざけた事を言っているんだ…!!)
-
- 148 : 2014/12/31(水) 19:16:20 :
苗木「…とりあえず、様子見といこうかな?」
山田「ふっ!! 『様子見』なんかさせませんぞッ!!」
山田「貴方の『能力』の弱点は、
『近距離戦』!!」
山田「近距離なら、十分な『加速』は出来ない!!」
山田「こちらからガンガン戦います!!」
苗木「だよね…!!」
苗木(クッ…まさか弱点まで、バレちゃってるとはね…!!)
苗木(僕が不二咲くんを殺した事といい、僕の能力の弱点といい…)
苗木(きっと、『誰』かが入れ知恵したんだな…!!)
苗木「…さて、近距離戦といこうかなッ!!」
虚勢を張り、僕は戦闘の構えをとる。
-
- 149 : 2014/12/31(水) 20:01:41 :
苗木「オラァッ!!」
突き進んできた山田くんに対し、
僕は拳を突き立てる。
山田「フンッ!! 『加速』するとわかっていれば、こんなパンチ、何とも無いですぞ!!」
ガシッ!!
苗木(クッ…腕を掴まれた…)
苗木(しかも、威力を完全に殺されてるし…)
山田「喰らえっ!! 山田スペシャル!!」
山田くんは片方の腕を振り上げ、僕の腹部めがけて拳を振り抜く。
苗木「…ガハッ!!!?」
ネーミングセンスは置いといて…
なんて威力のパンチだよ…!!?
苗木(僕の攻撃より…強い…!?)
山田くんに吹き飛ばされ、僕はテーブルに背中を強く打ち付けた。
苗木「グフッ…!!?」
山田「まだまだいきますぞ!!」
正直、かなりまずい…
頭はくらつき、まともに視界が定まらない。
けど、そんな事お構い無しに、山田くんはこちらに猛スピードで向かってくる。
苗木「クッ…立つことすらままならないね…」
苗木「けど」
苗木「『攻撃』する事は出来る…!!」
山田「覚悟ォ!! 苗木殿!!」
山田くんは、僕に飛びつこうとする。
が、
山田「あれ? 止まらない…!?」
山田くんは、そのまま減速する事なく、壁に激突した。
山田「ぐおぉぉ!!?」
苗木「君の動きを『加速』させたッ…!!」
-
- 150 : 2014/12/31(水) 23:38:32 :
山田「ぐぬぬ…痛い…!!」
山田くんは、頭を押さえながら立ち上がる。
苗木「ふぅ…やっとダメージを与えられたね」
苗木「でも…」
苗木(なんで気絶してないんだよ…!?)
苗木(今のは、常人なら耐えられない速度で壁にぶつかった筈だぞ…!?)
山田「さて、セカンドラウンドといきますかな!!」
苗木「クッ…!!」
山田くんは拳に力を込め、僕にボディーブローを入れて来た。
苗木「速…!?」
なんとか腕でガードしたが、ガード諸共、弾き飛ばされてしまった。
肺の中の空気が、一気に絞り出される。
苗木「グォッ!!?」
今度は僕が反対側の壁に打ち付けられた。
苗木「クフッ…呼吸…が…」
息が出来なかった。
かなり苦しい…身体が小刻みに震える。
限界が…近づいてきているのかもしれない。
-
- 151 : 2015/01/01(木) 00:23:29 :
- あけましておめでとうございますこれからも面白い作品よろしくお願いしますということで期待!
-
- 152 : 2015/01/01(木) 09:52:27 :
- >>151
明けましてです!! 面白いSSを書けるように頑張るってばよ!!
-
- 153 : 2015/01/01(木) 10:16:43 :
苗木(なんて強さだよ…!?)
山田「ふふふ、もう終わりですか?」
苦しむ僕を見て、山田くんが笑いながら話かけてきた。
苗木(クソ野郎…せめて能力さえわかれば…)
苗木(きっと、僕の攻撃を『軽減』する能力と…)
苗木(自分の攻撃を『強化』する、二つの能力なんだろうけど…)
苗木(でも、能力は、『一人一つまで』だったはず…)
苗木「という事は…」
苗木「『軽減』と『強化』を、両方、行える…能…」
苗木「力…?」
苗木「あっ…!!」
その時、僕の脳裏に、厚い碧雲を切り裂くような光が降り注ぐ感覚を味わった。
-
- 154 : 2015/01/01(木) 10:33:09 :
- 腐川あたりが、人格がらみの才能だろうな・・・例えば、鋏を無限に出す能力や身体能力を底上げする能力とか・・・更新をまっています。
-
- 155 : 2015/01/01(木) 10:53:17 :
- >>154
面白い能力ですね!! 当たっているかどうかはお楽しみにということで!!
-
- 156 : 2015/01/01(木) 11:19:52 :
苗木「わかった…ぞ…!?」
僕は、山田くんを見つめながら、ゆっくりと立ち上がる。
山田「わかった? 何がですか?」
苗木「君の『能力』だよ…!!」
山田「…ふむ、では聞きましょう、私の『能力』とは何でしょうか?」
苗木「…今思えば、君の攻撃は後だしジャンケンだったんだよ…」
山田「後だしジャンケン…?」
苗木「うん、僕の『鉛玉』を受け止める→『鉛玉』を投げ返す」
苗木「僕のパンチを止める→殴り飛ばす」
苗木「壁に激突させられる→殴り飛ばす」
苗木「…みたいな感じでね」
苗木「必ず、僕の『攻撃』の後に君は『攻撃』していたんだ!!」
苗木「という事は…僕の『攻撃』があって、初めて君の『攻撃』が成り立つという事…」
苗木「つまり…」
苗木「君の『能力』は、『吸収』だろッ!!」
苗木「僕の攻撃を『吸収』して、自分の力に変えたんだッ!!」
苗木「それに、鉛玉を掌で止めたり、僕のパンチをを掴んでガードしたって事は」
苗木「君の『吸収』が可能な範囲は掌のみって事だなッ!!」
山田「…ぐぬぬ!!」
-
- 157 : 2015/01/01(木) 19:09:29 :
能力者ファイル⑨
山田 一二三
能力『吸収』
相手の攻撃を『吸収』し、自分の『力』に変える能力。
ただ、射程距離は掌のみと狭く、
『吸収』した『力』を溜める事は出来ない。
-
- 158 : 2015/01/01(木) 19:59:43 :
山田「…だとしたら、どうだっていうのですか?」
山田「近距離戦だったら、僕の圧勝…」
山田「貴方の得意とする鉛玉での攻撃も、僕には通用しません!!」
山田「つまり、貴方が僕の『能力』を理解出来たとして」
山田「僕の勝ちは揺るがないッ!!」
苗木「うん、君の勝ちだよ…」
苗木「僕と戦ったのが、5日前だったらね…!!」
バチッ!!!
僕は気力を振り絞り、鉛玉を放った。
苗木「この鉛玉は…『加速』するッ…!!」
山田「そんな事は知ってますぞ!!」
山田「僕の能力で、鉛玉のパワーを『吸収』するッ!!」
山田くんは鉛玉が通過する位置を予測し、手を動かす…
山田「勝ったァァッ!!」
苗木「いや…僕の勝ちだ」
苗木「その、君の手の動きも『加速』させるッ!!」
山田「何ィッ!!?」
山田「手が行き過ぎてしまったぞ!!?」
山田「ま、まさかっ!?」
苗木「そう、これが僕の新たな『加速』…」
苗木「『攻撃』と『妨害』を同時に行える…」
苗木「『二点同時加速』ッ!!」
山田「『二点同時加速』ゥゥ!!?」
そして、鉛玉は…
そのまま突き進む!!
山田「グァァァ!!?」
山田くんの首の周りの肉を、鉛玉が抉り取る。
そこから赤い血が噴き出た。
苗木「この学園に来てから、僕の中の『能力』がざわめいているのを感じていたんだ…」
苗木「きっと、『成長』する合図だったんだね」
苗木「…僕はこの5日間、自室で能力の『可能性』を探していたッ!!」
苗木「その『成長』であり、『可能性』こそが」
苗木「『二点同時加速』っていう、僕の新たな『加速』だったんだッ!!」
苗木「だからこそ、君は惜しかったんだ…」
苗木「5日前に僕を襲っていたら、間違いなく君の勝ちだっただろうね」
-
- 159 : 2015/01/01(木) 22:42:20 :
- 本当にカッコイい話ですね!
がんばってください!
-
- 160 : 2015/01/01(木) 22:52:27 :
- >>159
ありがとうございます!!
頑張ります!!
-
- 161 : 2015/01/02(金) 03:22:27 :
- 山田が地味にカービィ能力ww
-
- 162 : 2015/01/02(金) 08:34:39 :
- >>161
コピー能力では無いですけどねー。
まあ、なんか口に咥えて相手にぶつけるってところは似てるかもですね!!
-
- 163 : 2015/01/02(金) 09:01:38 :
能力者 ファイルβ⑦
苗木 誠
能力『加速』
動く(動く→『早い』or『速い』)物を加速させる事が出来る。
加速には体力を使うので、連続で何度も使用することは出来ない。
射程距離は、苗木誠の半径10m以内である。
『二点同時加速』・・・一度に、二つの物体を『加速』する事が可能である。
-
- 164 : 2015/01/02(金) 09:14:34 :
山田「カハァー・・・」
山田「クッ…こんなところで、死ねませんぞっ!!」
苗木「タフネス…だね」
山田「うがぁぁぁ!!」
山田くんは僕めがけ、血を噴き出しながらも突進してくる。
苗木「執念…って奴か」
苗木(クソッ、『二点同時加速』はあくまで攻撃用の技…)
苗木(だからこそ、相手の攻撃の対処には、激しく向いていない…!!)
苗木「・・・」
苗木「『切り札』を使おうかな…?」
苗木「けど、『あれ』は山田くんの能力には相性が悪いしね…」
山田「ゴチャゴチャ煩いぞカス!!」
苗木「フグッ!!?」
山田くんの拳が、僕の腹部を捉えた。
『能力』を使わずにこの威力。
しかも満身創痍にも関わらずだ。
苗木「グッ…僕も…負けられ…あ、あれ?」
身体に上手く力が入らない。
床に膝を付いてしまった。
苗木「…限界だったというわけだね」
僕はその場に倒れこむ。視界がぼやけて来た。
闘う力は残っていない。
そんな僕に、山田くんはゆっくりと近づいてきた。
山田「ククク、これで終わりだぁッ!!」
山田くんは、僕めがけて拳を振り抜く。
『死』という感覚が、頭の中にこびりついた。
苗木「・・・」
『今から死ぬんだな…』そんな事を考えていると、
???「止めなさい!!」
娯楽室の扉の方から、声が部屋に轟いた。
-
- 165 : 2015/01/02(金) 11:44:11 :
- 誰?
-
- 166 : 2015/01/02(金) 13:05:42 :
- 口調的に霧切じゃね?
-
- 167 : 2015/01/02(金) 15:23:31 :
- セレスじゃない?場所的にも
-
- 168 : 2015/01/02(金) 16:49:25 :
- セレスはなんか轟くってほど声普段は大きく出さない気がするけど…でもセレスなのかな?
-
- 170 : 2015/01/02(金) 17:38:27 :
山田「なっ!? 誰だ!?」
山田くんは僕への攻撃を中断し、声のする方向へと身体を向けた。
苗木「え…?」
苗木「霧切さん!?」
???「全く…」
霧切「何をしているのよ?」
そこに現れた人物は、いつもクールで物静かな『霧切 響子』さんだった…
山田「貴方も、僕の事を邪魔する気ですか!?」
霧切「ええ、殺されたくなかったら逃げなさい」
山田「フンッ!! いいでしょう!! そんなに死にたいのなら殺してやりますよ!!」
霧切「…なら、来なさいよ」
霧切さんが、ゆっくりと戦闘の構えを取る。
山田「・・・!!」
その場を、痛いほどの緊張感が包みこむ。
…静寂を破ったのは、山田くんの咆哮だった。
山田「ぬぁぁぁ!!」
山田くんは、霧切さんへと一直線に突き進む。
霧切さんは、構えをとったままジッと動かず、山田くんを見据えていた。
霧切「・・・!!」
-
- 171 : 2015/01/02(金) 18:29:26 :
あとちょっとで、お互いが触れ合ってしまうという距離で、
…遂に霧切さんが動いた。
霧切さんの脚が、山田くんの足を捉える。
山田くんの動きを利用して、足払いをしたのだ。
山田「フゴッ!!」
山田くんは、顔から床に突っ込んでいった。
苗木「す、凄い…!!」
僕は、霧切さんの攻撃の強さだけではなく、その可憐さにも見惚れてしまっていた。
山田「クソがぁぁぁ!!」
山田くんは雄叫びを上げ、ドアから逃げていった。
霧切「・・・」
霧切「大丈夫? 苗木くん?」
苗木「え、あ、うん、多分大丈夫」
霧切「ならいいけどね…まあ、貴方が無実だって事はわかったわ」
苗木「え? ど、どういう事?」
霧切「…実は、この5日間、ずっと貴方を監視していたの」
苗木「ええっ!?」
苗木(山田くんと霧切さんの両方に見られてたのか…)
苗木「でも、なんで?」
霧切「…個人的にね、貴方が皆を殺していると思っていたの」
霧切「でも、その証拠が無かった」
霧切「だから、自分でその証拠を見つけようとしたの」
苗木「なるほど…その為に、僕を見張ってたってわけだね」
霧切「ええ、その通りよ」
霧切「さすがの貴方も、現行犯なら言い逃れ出来ないでしょ?」
苗木「う、うん」
苗木(『さすがの貴方』って、僕はどんな奴だと思われていたんだよ…)
-
- 172 : 2015/01/02(金) 23:48:14 :
- >>166
あったり~!おめでとう~
期待
-
- 173 : 2015/01/03(土) 01:01:40 :
- >>172やったぜ!オレの推理は10割当たる‼︎
-
- 175 : 2015/01/03(土) 08:52:35 :
霧切「まあ、でも、山田くんとの戦いを見て、これまでの戦いも
『正当防衛』だったと信じてあげましょう」
苗木「アハハ…ありがと」
霧切「・・・」
霧切「怒らないの?」
苗木「え? なんで?」
霧切「だって私は貴方を疑い、監視までしていたのよ?」
霧切「私は、貴方に怒られるのを覚悟でこの事を話したのに…」
苗木「うーん…別に怒らないよ?」
苗木「だって僕は、霧切さんを『信用』してるし」
霧切「・・・」
霧切「は? 『信用』?」
霧切「意味がわからないわ…私と貴方は、決して仲間では無いのよ?」
苗木「うん、でも『信用』はしているよ…!!」
苗木「だって現に、僕の事を助けてくれたし…」
-
- 176 : 2015/01/03(土) 14:02:31 :
- K田「よしそのまま霧切とフラグたてやがれそうすりゃ俺は舞園ちゃんとtグサ……アポ?」
-
- 177 : 2015/01/03(土) 18:09:47 :
- >>176
てめーはもう死んだだろーがァァァ!!
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!
はい、オッパッピー。
-
- 178 : 2015/01/03(土) 23:31:56 :
- すっごい今更なんだが、苗木の頭のネジが1本抜けてて不気味だ
まぁ確かに正当防衛だけどさ・・・。
-
- 179 : 2015/01/04(日) 09:07:16 :
- >>178
おー、正解です。
-
- 180 : 2015/01/05(月) 08:52:48 :
霧切「…どういう事? 私の『能力』を知りたいの?」
霧切「残念だけど、それは出来ないわ」
苗木「いや、別に『能力』なんてどうだっていいけど…」
霧切「・・・」
霧切「だったら、尚更わからないわ、一体、貴方は何を望んでいるの?」
苗木「うーん…霧切さんに『信頼』してもらえる事かな?」
霧切「はぁ…さっきから軽々しく『信用』とか『信頼』だとか言ってるけど、実際、貴方はそんな事考えていないのよ…」
霧切「自分の身代わりになる存在が欲しいんでしょ?」
霧切「貴方だけじゃないわ…」
霧切「人はいつだって人を切り捨てて生きている」
霧切「だからこそ、私は誰とも組まずに一人で生きていくの…」
苗木「…難しい話はさ、わかんないけど」
苗木「僕が霧切さんを『信用』しているっていうのは本当だよ?」
霧切「…そこまで言うのなら、チャンスをあげるわ」
そう言うと霧切さんは懐に手を入れ、中から、全体の半分ほど液体の入ったペットボトルを取り出した。
霧切「このペットボトルに入っている水は、『私が飲んだ事がある水』よ」
霧切「私の事を『信用』しているのなら、この水を飲んでくれないかしら?」
苗木「えっ…!?」
霧切「私の言葉を『信用』しているのなら、飲める筈よ?」
霧切「だって私は『飲んだ事がある』って言ったもの」
霧切「さあ、飲んで?」
霧切さんは、ペットボトルを僕に向かって山なりに投げてきた。
僕はそれを受け止める。
苗木「・・・」
霧切「どうしたの? 飲まないの?」
霧切「…まあ、飲めないでしょうね」
霧切「普通だったら、『まさか毒物でも仕込んでいるのでは…!?』っていう思考が働くわ」
霧切「飲めなくていいの、それが正常な思考回路よ…」
-
- 181 : 2015/01/05(月) 09:56:37 :
苗木「い、いや、あのさ」
苗木「これ、か…」
霧切「ん?」
顔から火が出そうなほど恥ずかしい…
霧切さんの方を直視出来ない。
苗木「これ…間接キスになっちゃうじゃん!?」
霧切「…え?」
苗木「いやさ、もちろん、霧切さんと…あの、そういう事をするのが嫌ってわけじゃないよ?」
苗木「でも、そういうのは…だ、段階を踏んでから、っていうか…」
…何を言っているのだ僕は。
支離滅裂じゃないか。
霧切「別に気にしないわ…」
霧切(どういう事なの? 演技には見えないけど…)
苗木「じゃ、じゃあ飲むよ?」
霧切「・・・」
苗木「あ、あの…出来れば見つめないで欲しいんだけど」
霧切「・・・」
苗木「無視…だね」
苗木「良しっ!!」
苗木(煩悩退散、煩悩退散…)
苗木「んっ!! ゴクッゴクッ…」
苗木「ゴクッ」
苗木「ぷはぁー・・」
苗木「の、飲んだよ?」
霧切「…本当の馬鹿ね」
霧切「はぁ…」
苗木「アハハ…は?」
苗木(あれ、天井と床が入れ替わった…?)
足元が消えていく…
そして視界がぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐ…
と、
回って…
そこで、
僕の意識は途絶えた。
苗木「・・・」
僕を襲うのは、冷たい床の感覚。
霧切「ね? 人を『信用』するからそうなるの…」
-
- 182 : 2015/01/05(月) 17:43:55 :
- やだ霧切さん怖い
でもそこに痺れるッ
-
- 183 : 2015/01/05(月) 18:41:40 :
- 憧れるゥッ!!
…違う気がする…
-
- 185 : 2015/01/05(月) 20:27:42 :
ー
ーー
ーーー
ーーーー
僕は、絶望したんだ。
自分の運命に。
ーーーー
ーーー
ーー
ー
-
- 186 : 2015/01/06(火) 09:34:11 :
ここはどこだろうか?
見覚えのあるようで、ないような天井。
身体を優しく包みこむ、ふかふかで温かい柔らかさ。
華やかな香りが漂っている。
苗木「き…霧切さん?」
何故かその名前が口から発せられた。
霧切「…いるわ」
…そう返って来たとき、何故だか凄く安心した。
苗木「ここは…どこ?」
霧切「私の部屋よ」
霧切「睡眠薬入りの水を飲んで倒れた貴方を、ベッドで寝かせていたの」
苗木「そうだったんだね…運んでくれてありがと」
霧切「……」
霧切「これで懲りたでしょ?」
霧切「これが睡眠薬じゃなくて、普通の毒薬だったら、貴方は死んでたのよ?」
苗木「……」
-
- 187 : 2015/01/07(水) 08:30:42 :
苗木「でも、僕は死んでないよね」
苗木「霧切さんは、最初から僕を殺す気なんてなかったんだよ」
苗木「だって殺す気なら、山田くんから僕を助けたりしないでしょ?」
苗木「だからこそ、僕は君を『信用』していた…」
苗木「『信用』がある人に何をされても、僕は全く気にしないんだ」
苗木「だって『信用』してるから、その人の行動も『信用』出来る」
霧切「フッ…貴方は相当のお人よしのようね」
霧切「それとも、頭のネジがとんでいるのか」
苗木「アハハ…うん、前者の方がいいよ」
霧切「……」
霧切「私の『能力』は『観察』」
霧切「それだけは教えてあげるわ」
苗木(『観察』…あ、だから朝日奈さんと山田くんの攻撃を楽々と避けられたのか)
苗木(二人の動きを『観察』して、攻撃を先読みしたんだ…!!)
-
- 188 : 2015/01/07(水) 08:51:23 :
能力者ファイル.10
霧切 響子
能力『観察』
人の体温の変化や感情の変化まで
見極める事が出来る。
つまり、細かい『変化』を把握する事が可能である。
-
- 189 : 2015/01/07(水) 14:58:57 :
- 体温の変化で相手の嘘も読み取れそうですね…赤外線スコープみたいな感じだったら相手が透明になっても探せるし
-
- 190 : 2015/01/07(水) 21:18:52 :
- 期待☆
苗木の能力で体力回復を早めるとどうなるんだろ
能力使うと体力消費っていう感じだし
-
- 191 : 2015/01/07(水) 23:39:39 :
- ハッ!苗木の能力で山田の性欲を加速させたら他の女子襲って反撃されるかテクノブレイクかで勝手に死んでくれるんじゃないか!?
-
- 192 : 2015/01/08(木) 13:21:58 :
- >>191こいつはくせえ ゲロ以下のにおいがプンプンするぜ〜!
-
- 194 : 2015/01/08(木) 19:11:08 :
霧切「さあ、気がすんだら出て行って頂戴」
苗木「あ、うん」
苗木「……」
苗木「あと最後に聞いておきたいんだけど、睡眠薬入りの水って何の為に持ってたの?」
霧切「ああ、あれは私のよ」
霧切「ここに来てから不安で眠れなくてね…」
苗木「ああ、そうだったんだね」
苗木(やっぱり間接キスだったんだ…)
苗木(嬉しいような、なんというか…)
霧切「まあ」
霧切「今日は…寝れそうだけど…」
苗木「ん? 今、なんて?」
霧切「…なんでもない」
苗木「えー?」
霧切「なんでもないっ」
霧切「苗木くんの癖に生意気よ…」
苗木「ご、ごめん!?」
そんなやり取りをした後、僕は霧切さんの部屋から出ていった。
-
- 195 : 2015/01/08(木) 22:35:05 :
苗木「…とりあえず、食堂にでも行ってみるかな」
【食堂】
苗木「…あ、大和田くんと石丸くん!!」
食堂には、大和田くんと石丸くんがいるのが見えた。
僕は辺りを見渡してみたが、彼ら以外の人はいないようだった。
大和田「お!! 苗木か!! 丁度良かったぜ」
苗木「丁度、良い…?」
大和田くんの謎の言葉に、僕は頭を一瞬悩ませる。
石丸「ああ、実は僕のところにこんな手紙が届いてな…」
石丸くんはポケットから一枚の紙を取り出し、僕に渡して来た。
苗木「えっと、『石丸清多夏へ、今夜10時、お前の仲間を連れて図書室までこい』か…」
苗木「差出人は書いてないね」
大和田「ああ、どうする?」
大和田「行くか? 逃げるか?」
苗木(なるほど、丁度いいってのは、この手紙についてか…)
苗木「うーん、まだ闘うと決まったわけじゃないしね…」
苗木「行ってみる?」
石丸「うむ!! そうだな、3人も
いるし、用心をこせば大丈夫だろう!!」
苗木「……」
苗木「あ、一つわかった事があるんだけど」
大和田「『わかった事』?」
苗木「うん、山田くんの『能力』だよ」
石丸「なんだとっ!!?」
石丸「どこでそれを…?」
苗木「さっき、山田くんと戦った時にわかったんだ」
苗木「彼の能力は『吸収』」
苗木「相手の力を『吸収』し、自分の力に変える能力さ」
大和田「なるほどな…そいつは厄介だ」
大和田「ていうか、戦っただと?」
苗木「うん、かなり強かったよ」
大和田「…まあ、勝敗は聞かねえでおいてやるよ」
苗木「アハハ…ありがたいよ」
大和田くんの変な気遣いに感謝し、僕ははにかむ。
-
- 196 : 2015/01/08(木) 23:00:30 :
- K枝「苗木君!もっと君の希望を見してよ!え?ボクの能力?まぁクズみたいな能力だから一回しか言わないよそれはねキィィィィィィィィン(謎のノイズ)だよははっボクの能力を知ってもらえるなんて嬉しいな!」
-
- 197 : 2015/01/09(金) 21:10:48 :
- >>196
狛枝は複雑だからねぇ…
-
- 198 : 2015/01/09(金) 21:17:23 :
大和田「さて、早速準備をしようじゃねえか」
…僕たちは、待ち合わせの時刻に向けて準備を始めた。
ただ、準備といっても大袈裟な事はしていない。
大和田くんは精神統一をし、石丸くんは手紙をもう一度眺めていた。
そして僕は、『ある物』を取りに部屋へと戻った。
【苗木誠の部屋】
苗木「なんで、『これ』が僕の机の中に入っていたのかはわからないけど…」
苗木「とりあえず、使える物は使わせてもらうよ…!!」
『ある物』をポケットにしまい、僕は再び食堂を目指した。
【食堂】
ー21:50ー
大和田「お、戻って来たか」
苗木「うん…よし、向かおうか」
石丸「ああ!! そうだな!!」
そうして、僕たちは図書室へと向かった。
…この時は、まだ予想すらしていなかったんだ。
敵の強さを。
甘く見ていた…
【図書室】
苗木「さてと、誰がドアを開ける?」
石丸「うむ…苗木くんが適任だと思うぞ!!」
大和田「ああ、俺もそう思うぜ」
苗木「…わかったよ」
僕は渋々、ゆっくりと扉に手をかける。
いつも開けている筈の扉が、やけに重く感じた。
腕に力を込めて、慎重に扉を開いていくと…
中に、人がいるのがわかった。
-
- 199 : 2015/01/09(金) 21:37:45 :
- これって二点同時加速で加速させた足で鉛玉を蹴ってその鉛玉も加速させるとかなり強力そうですね(なお苗木君のコントロールによる)
期待です
-
- 200 : 2015/01/09(金) 21:53:36 :
- >>199
確かに強そうです!!(苗木のコントロールによる)
でも、それなら二点同時加速を使わなくても出来ますよ!!
まず、苗木の足を加速→加速の対象を鉛玉へ移動。ってな感じで、『同時』じゃないので普通の加速で大丈夫です!!
-
- 201 : 2015/01/12(月) 16:13:18 :
???「む、来たか…」
十神「フン、この十神白夜様を待たせるとはな」
苗木「あ…ご、ごめん」
苗木(十神くんだって!? 差出人は山田くんじゃなかったのか…)
大和田「…遅れてはねーだろーがよ」
大和田「まあ、それより」
大和田「ここに俺たちを呼び出した理由を聞こうじゃねえか」
十神「……」
十神「呼び出した理由か…それは簡単だ」
十神「お前らに、俺の『能力』を教えてやろうと思ってな」
石丸「『能力』を教える…?」
十神「ああ、俺の『能力』は『回転』」
十神「物体を『回転』させる能力だ」
石丸「喋った…だと!?」
大和田「ヘン‼ 『能力』なんて、そんなもんいくらでも嘘をつけるし」
大和田「そんなんじゃ俺らの信頼を得ることは出来ねーぜ‼」
苗木「『回転』か…」
苗木(参ったな…やけに信憑性が高い能力だぞ?)
苗木(朝日奈さんの攻撃…もとい水の球体での攻撃を、十神くんは確かに『回転させて弾け飛ばした』…!!)
苗木「……」
苗木「ということは、十神くんは僕たちの仲間になりたいの?」
苗木「『能力』を教えるっていうのは…そういう事でしょ?」
-
- 202 : 2015/01/12(月) 17:20:13 :
十神「…愚民め」
十神「俺が貴様らと馴れ合うわけ無いだろう…!!」
十神「『能力』を教えたというのはつまり、『知られたからには必ず殺す』という…」
十神「『決意』の証だろうがッ!!」
十神「とどのつまり…これは俺なりの宣戦布告だッ!!」
苗木「まあ、予想はしてたよ…!!」
石丸「クッ…やはり争いは避けられないか!!」
大和田「ケッ!! この方が手っ取り早くて助かるぜ!!」
僕たちは十神くんと戦う為に、彼の方を見つめる。
十神「…悪いが」
十神「そこは俺の『能力』の射程距離だ…!!」
十神くんがそう呟くと同時に、地面が急に氷結し出した。
大和田「なっ!!?」
苗木「クッ!!? 避けて!!」
石丸「おっと!?」
僕は石丸くんと大和田くんを突き飛ばし、図書室から押し出した。
苗木「ッッ!!」
そして急いで扉を閉め、冷気が外へと逃げ出すのを防いだ。
十神「ククク…仲間思いのいいやつじゃないか?」
苗木「まあね…というか、能力はやっぱり『回転』じゃないじゃん」
十神「当たり前だろ? 本当の『能力』を言うわけ無いだろうが」
苗木「残念だよ…」
苗木「また、死体が増えちゃうとはね」
十神「フンッ!! ほざけッ!!」
十神くんの『能力』で、床、壁、天井、全てが凍っていく。
-
- 203 : 2015/01/12(月) 17:41:43 :
- 『凍結』とは…強力ですな⁝(ृ‘ᾥ’ ृ )ु⁝
期待です!
-
- 204 : 2015/01/12(月) 18:15:14 :
- 摩訶鉢特摩!
-
- 206 : 2015/01/13(火) 17:48:41 :
苗木「とりあえず逃げさせてもらうよ!!」
僕は十神くんに背を向け、扉に、もう一度手を触れる…
と、
苗木「なっ!!?」
扉に『触れた』と同時に、僕の腕を氷が一気に駆け上っていった。
苗木「なぁぁぁ!!!?」
そして、僕の身体を物凄い早さで氷が覆っていく。
苗木「クッ…!!」
手は扉に触れたまま凍ってしまい、動かすことは出来ない。
足の方も、とうの昔に氷により固定されてしまった。
十神「お前なら、『逃げる』という選択肢を選ぶと思っていた…」
十神「だからこそ、俺は扉の温度を重点的に下げておいたッ!!」
苗木「なるほどね、してやられたってわけか…」
十神「この状況なら、お前の能力である『加速』は意味をなさないッ!!」
十神「…俺の勝ちだ」
十神「あとは、じわじわと嬲り殺しにしてやるからな…」
そう言って、十神くんは不敵な笑みを浮かべる。
苗木「ねぇ…十神くん」
十神「なんだ?」
苗木「僕の『能力』をどこで知ったの?」
-
- 207 : 2015/01/13(火) 19:05:47 :
- >>205
摩訶鉢特摩(まかはどま)とは
八寒地獄という謎に包まれた地獄の中で最も過酷な地獄(8地獄中)
そもそも八寒地獄自体が寒い
まあざっくり言うと一番凍えている地獄
-
- 208 : 2015/01/13(火) 23:03:27 :
- >>207
へー、なるほど。え? これ何のSS?
-
- 209 : 2015/01/13(火) 23:04:04 :
十神「…フッ」
十神「つまらない時間稼ぎだな」
苗木「……」
十神「大方、石丸たちが他のやつらを引き連れて、ここにくるのを待っているのだろ?」
苗木「…いいから教えてよ」
十神「フン、まあいいだろう」
十神「俺は最初から、お前と大和田が裏で繋がっていると疑っていたんだよ」
十神「で、その疑惑は、食堂の時のお前と大和田のやり取りで確信に変わった…」
苗木(…大和田くんの骨折がバレそうになった時か)
十神「もし大和田が『加速』を使う能力者なら、あの時、あれほど焦る必要は無い」
十神「『治癒速度』を加速させればいいだけの話だからな」
十神「だが、大和田は焦っていたッ!!」
十神「つまり、大和田は『加速』の能力者では無い!!」
十神「…ということは、別のやつが『加速』を使って大和田の傷を治した事になる」
十神「となると、石丸の証言通り、『大和田と一緒に行動していた』苗木…お前が怪しい」
-
- 210 : 2015/01/13(火) 23:09:41 :
- え?時間稼ぎって二回おなじレス(?)をしたことですよね?
-
- 211 : 2015/01/14(水) 07:07:59 :
- >>210
はい?
-
- 212 : 2015/01/14(水) 19:17:15 :
十神「俺は、お前が、仲間である大和田の『治癒速度』を『加速』させて傷を治したと考えた!!」
十神「これらの事から、お前が『加速』の能力者だという結論に至ったのだッ!!」
苗木「なるほど、よくわかったよ」
苗木「…でも、いいの?」
十神「何がだ?」
苗木「いやさ、大和田くんたちが他の人を呼びに行った事だよ」
苗木「流石の君も、あの人数を相手にするのは難しいでしょ?」
十神「……」
十神「こ」
-
- 215 : 2015/01/14(水) 22:17:32 :
十神「この間抜けがぁッ!!」
十神「俺がなぜ、お前の能力を『加速』だと決めつけていると思う!?」
十神「俺がさっき話したのは、あくまで推測であって、『証拠』は無かっただろうがッ!!」
十神「つまり…」
十神「お前の能力が『加速』とわかる、確実な『証拠』があったんだよ!!」
苗木「……あっ!!」
苗木「山田くんかッ!!?」
十神「そう!! 山田は俺の下僕だ!!」
十神「だからこそ俺は、あえて山田とお前を戦わせ、お前に『能力』を使わせた!!」
十神「後で、山田から『能力』を確認する為にな」
苗木「クソッ…なるほど、『誰』かが入れ知恵してたと思ったら、君だったのか!!」
十神「ああ、山田の『不二咲を殺したやつへの復讐心』を利用させてもらった」
苗木「クッ、納得したよ」
苗木「山田くんと君が僕の『能力』を知っていたのは」
苗木「お互いが協力し合っていたからなんだね…!!」
十神「正解だが…あと2つ絶望的な事を教えてやろう」
十神「1つ目は、俺にはもう1人『下僕』がいる事だ」
十神「大和田と石丸は、山田と『そいつ』が始末するさ…」
苗木「…だから、石丸くんたちが他の人を連れてくる事を知っていても、全く動じていなかったのか!!」
苗木「彼らを食い止める算段が整っていたからッ!!」
十神「正解だ…なかなか鋭いじゃないか」
十神「では、2つ目の絶望的な報告だ」
十神「このままいくとお前は、1分後に『凍死』する…!!」
苗木「……」
十神くんの言うとおり、既に身体のほとんどが氷で覆われてしまっていた。
…徐々に、体力が奪われていくのが感じとれた。
苗木「確かに…絶望的だね」
-
- 216 : 2015/01/14(水) 23:39:52 :
- ここで苗木が死へのカウントダウンを加速させると見た
-
- 217 : 2015/01/15(木) 01:29:57 :
体温を加速?解凍を加速?
どちらにしても十神に対して有利になったとは言い難いですね…⁝(ृ‘ᾥ’ ृ )ु⁝
-
- 218 : 2015/01/15(木) 11:32:14 :
- 物質内の分子運動を加速すれば、言わば"パイロキネシス"が可能になるわけだが。
-
- 220 : 2015/01/15(木) 18:18:28 :
- 相手の寿命を加速させる事は出来ないんですか?
-
- 221 : 2015/01/15(木) 19:06:40 :
- >>220
出来ますよー。ただ、相手が寿命で死ぬ前に苗木が疲労で倒れます。
-
- 222 : 2015/01/15(木) 19:06:59 :
ーーーーーー
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
ー
大和田「いくぞっ…!!」
俺は、今、仲間を見捨てようとしている。
頭では『助けを求める』事が最善策だとわかっていても、
心がそれを否定する。
心が、『自分の力で助けろ!!』と叫んでいる。
…どちらが正しいのか、俺にはわからない。
ただ、俺は…苗木の提案を信じるだけだ。
石丸「ああ、急ごう!!」
俺の呼びかけに応えて、少し後を石丸がついて来る。
大和田「早くしないと…苗木が危ない…!!」
俺は一階へと向かう為、猛スピードで廊下を駆け抜けていた。
だが、
階段を降りようと、角を曲がろうとした際に…
拳が俺を目掛けて飛んできた。
大和田「何ぃッ!!?」
角が死角になっていたせいで、そこに敵が隠れている事を見抜け無かったのだ。
大和田「フグッ…!?」
勢い余っていた所為か、俺はその拳へともろに突っ込んだ。
-
- 223 : 2015/01/15(木) 22:19:28 :
- 苗木の二点同時加速の加速する対象を一つにしていつもの二倍の加速!とかはできないんですか?あと期待!
-
- 224 : 2015/01/15(木) 22:28:50 :
- 相手の体の血液を加速させたり、心臓を加速させた勝てるんじゃ?期待!
-
- 225 : 2015/01/15(木) 23:11:12 :
- 相手の能力加速させまくったら制御効かなくなって自爆すると思う(自分に完全に能力が回りきるため、自殺に等しい)
-
- 226 : 2015/01/17(土) 07:39:29 :
- 期待。
-
- 227 : 2015/01/17(土) 21:40:00 :
- クリスチーヌ風情がああああああああ!!!!!!!
-
- 228 : 2015/01/18(日) 15:24:36 :
- 眠かったからか
勢い余っていた所為か、俺はその拳へともろに突っ込んだ。
↓
勢い余っていた所為か、俺はその拳へともろこしとともに突っ込んだ。
って読んじまったよ・・・
-
- 230 : 2015/01/18(日) 21:14:48 :
石丸「大和田くん!?」
謎の拳によって吹っ飛ばされた俺に、石丸が駆け寄る。
大和田「チッ…誰だ…!?」
石丸「僕にもわからない…」
石丸「が」
石丸「躊躇している暇は無い」
石丸「時は一刻を争っているのだ…!!」
石丸「苗木くんの為にも、僕は立ち止まったりしないッ!!」
大和田「…わかってるよ、隠れているやつは俺が殺る」
大和田「お前は、助けを呼びに行ってくれ」
石丸「うむ、検討を祈るぞ!!」
俺は、石丸が前へと進めるための道を作るために立ち上げる。
大和田「いくぜ…!!」
俺は角に向かって、もう一度突っ込んだ。
…すると、またも角の影から、拳が飛び出してきやがった。
正確に俺の方に向かって来る。
大和田「俺は…昔から、喧嘩だけは強くてよぉ!!」
俺はその拳を右に避け、
角の影に隠れているやつを蹴り上げた。
山田「グハッ…!!?」
大和田「やっぱりてめーか…」
大和田「仲間を傷つけた借りは、返してもらうぜッ!!」
-
- 231 : 2015/01/18(日) 21:22:09 :
-
山田は吹っ飛び、背中を床に打ち付ける。
その隙をついて石丸は、階段を駆け下りていった。
それを見届け、俺は再び山田の方へと視線を向ける。
山田「ぐぬぬ…!!」
大和田「ケッ、お前のパンチくらい慣れれば余裕だぜ」
大和田「それに、俺はお前の『能力』を知っているッ!!」
大和田「負けるはずがねえッ!!」
山田「ハァー・・・ハァー・・・」
山田は、呼吸を荒くしながらも立ち上げる。
山田「フン、ラッキーパンチで調子に乗るんじゃない…」
山田「貴方は僕が殺すッ!!」
山田「貴方が殺した『不二咲殿』の為にもッ!!」
大和田「『殺す』か、怖いな」
大和田「俺は怖いぜ…?」
大和田「人を殺すのはな」
山田「ぬぁぁぁ!!」
…山田は、ブレずに、真っ直ぐ俺に向かって来た。
俺は覚悟を決め、拳を強く握った…
-
- 232 : 2015/01/18(日) 21:30:09 :
ーーーーーーー
ーーーーーー
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
ー
僕は助けを求める為に、階段を駆け下りる。
石丸「大和田くんには…感謝しないとな!!」
そう言葉を発し、次の段を踏もうとした際に、
僕の足を、妙な感覚が包み込んだ。
石丸「これはっ!?」
生暖かく、ぬめりけのある感じ。
まるで『油』のようだった。
石丸「くっ…!?」
あまりのぬめりけに、僕は足を滑らせてしまった。
僕の身体は宙に舞い、一階の床へと落下していく。
石丸「このままだと…何故か、まずい気がするッ!!」
僕は空中で身体を捻り、落下地点を少しずらした。
石丸「…クハッ!!」
床に激しく身体をぶつける。
一瞬、身体が痙攣した。
石丸「クッ、それにしても…今の『ぬめりけ』は何だったのだ?」
僕は、とりあえず、『僕が落下する筈だった地点』へと向かってみた。
石丸「…何だ? 『文字』が書いてあるぞ?」
その地点に近づいてみると、
『炎』
という『文字』が床に書かれているのを見つけた。
石丸「明らかに怪しい…!!」
石丸「…攻撃してみるか」
石丸「『拘束具』ッ!!」
僕は、手のひらにチョーク型の『拘束具』を出現させる。
-
- 233 : 2015/01/18(日) 21:34:08 :
- ピコーン
あ、石丸死亡フラグ…建った気がする
-
- 234 : 2015/01/18(日) 21:41:26 :
- >>233
乞うご期待!!
-
- 235 : 2015/01/18(日) 21:42:25 :
石丸「ウラッァ!!」
僕は『拘束具』を、『炎』と書かれている『文字』へと投げつける。
だが、
『拘束具』は、『炎』という『文字』に近づく前に燃え尽きてしまい、灰になった。
石丸「なっ!?」
身体から、嫌な汗が出てくる。
石丸「…あ、危なかった」
石丸「あのまま落下していたら、間違いなく僕は燃えてしまっていた…」
そして、僕はあることを閃く。
石丸「も、もしかしてッ!!?」
僕は、再び階段を駆け上がり、『僕が滑った地点』へと向かった。
石丸「ここには…」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ…!!!
石丸「やはりそうだッ!!」
石丸「『油』と書かれているッ!!」
石丸「つまりこれは、書いた『文字』が、『その意味の性質を持つという能力』だッ!!」
???「大正解よ…全く…」
廊下の先から、誰かがこちらに近づいて来た。
石丸「ふ…腐川さんッ!!?」
腐川「人殺しは趣味じゃないけど…白夜様のご命令となれば、止むを得ないわ」
腐川「大人しく私に殺されなさい!!
石丸 清多夏!!」
石丸「…悪いが、殺される気は無い」
石丸「僕の『正義』で、君を裁くッ!!」
-
- 236 : 2015/01/18(日) 22:02:09 :
ーーーーーーーー
ーーーーーーー
ーーーーーー
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
ー
【図書室】
苗木「『凍死』まで、後1分か…」
十神「ああ、最後に言い残す言葉はあるか?」
苗木「そうだね…じゃあ」
苗木「『最後に言い残すのはお前の方だ』…で」
僕のその言葉と共に、僕の周りを水蒸気が覆い隠す。
十神「なっ!!?」
図書室を、白い煙が一気に包み込む。
十神「何なんだ!!? これはッ!!?」
そして、
白い煙を切り裂く様にして、
僕は十神くんへと歩み寄った。
苗木「・・・」
十神「苗木…!!」
苗木「…僕の『血流速度』を『加速』させ」
苗木「『体温』を上げて、『氷』を溶かしたッ!!」
十神「『血流速度』を『加速』させただとッ!!?」
苗木「うん…少し血圧が上がっちゃうけどね」
苗木「さて、そろそろ反撃といこうかなっ!!」
バチッ!!!
僕は十神くん目掛けて、鉛玉を撃ち込む。
-
- 237 : 2015/01/18(日) 22:20:47 :
- 腐川強い…!!期待です!!(ृ°͈꒳°͈ ृ )ु
-
- 238 : 2015/01/19(月) 10:36:33 :
- ジェノさんのほうも同じ能力ですか?
-
- 239 : 2015/01/19(月) 18:00:44 :
- 腐川の能力であのドアとか壊せそう笑
-
- 240 : 2015/01/19(月) 18:41:28 :
- 腐川あれだよな、H×Hのバショーさんの能力の上位互換版だよな....
-
- 241 : 2015/01/19(月) 20:32:52 :
- >>240
それに賛成だよ!
-
- 242 : 2015/01/19(月) 22:31:47 :
- その意見に賛成だ!!
-
- 243 : 2015/01/19(月) 23:00:52 :
- ていうか、ジョジョの七部にそんな能力なかったっけ?
-
- 244 : 2015/01/20(火) 00:11:29 :
- ジョジョなら4部のエコーズact2の能力がそれぽっくないか?
-
- 245 : 2015/01/20(火) 16:27:29 :
- つまり腐川の能力なら
でかい紙(4㎡くらいの)に炎って端っこに小さく書いて
置いておけばいいんじゃないかな
それと人形って書けばその紙が人形にでもなるんですかね
-
- 246 : 2015/01/20(火) 18:36:37 :
- >>245
多分この手の能力で得られるのは性質だけだから、紙が人形になるといった概念自体が変わることはないんじゃないかな?
-
- 247 : 2015/01/20(火) 21:44:14 :
- >>244名前思い出したけどスティボールランに参加したサンドマンってやつのスタンドに腐川の能力似てる
-
- 248 : 2015/01/21(水) 17:48:54 :
- 腐川の能力みんな話しすぎじゃね?wwあと期待っす!
-
- 250 : 2015/01/21(水) 22:23:09 :
バチッ!!!
僕は十神くん目掛けて、鉛玉を撃ち込む。
苗木「その鉛玉は、『加速』するッ!!」
鉛玉は、白い煙を巻き上げる様にして突き進む。
十神「……」
十神「だが、関係無いッ!!」
鉛玉は十神くんの目の前を、円を描く様にして激しく回った後、
十神くんとは、全く別の方向に弾き飛ばされた。
苗木「これは、朝日奈さんの時の『能力』…」
苗木「『氷』と『回転』か…」
僕は頭を悩ませる…が、
十神「…お前ごときがいくら頭を使ったところで、俺に敵うはず無いだろう?」
十神「消し炭にしてやるよ…!!」
そう十神くんが言うと、彼の手に『電気』が纏われた。
十神「こいつで殺すッ…!!」
苗木「何だよ…まるで『能力』のバーゲンセールじゃないか…」
十神「フン、いくらお前の『加速』でも、『電気』は避けれまい」
十神「死ねェッ!!」
十神くんは、僕へと拳を振るう。
そこから、『電気』が一直線に放たれた。
苗木「確かに、避けれないね…」
苗木「けど」
苗木「避ける必要も無いッ!!」
僕は上の方向に鉛玉を放つ。
すると、『電気』は鉛玉の方へと方向を変えて、
鉛玉を貫いた。
苗木「これでわかったよ…」
苗木「今の君の攻撃は『電気』では無いッ!!」
苗木「『雷』だッ!!」
・・・・・・・・・・・・・
雷は、高いところに落ちやすいという性質を持つ。
そして、十神が放った『電気』は上の方へと発射された鉛玉を貫いた。
これらの事から、苗木は、十神が放った『電気』が『雷』と考えたのだ。
・・・・・・・・・・・・・
-
- 251 : 2015/01/21(水) 22:28:30 :
苗木「そして、『回転』」
苗木「これはきっと『ハリケーン』なんだよ」
苗木「そう考えると、全ての謎が解明出来る」
苗木「『氷』は『氷結』」
苗木「『回転』は『ハリケーン』」
苗木「『電気』は『雷』」
苗木「つまり、君の『能力』は『気象』!!」
苗木「『気象』を司る能力者ってわけだ!!」
十神「……」
十神「俺はお前を…侮っていたかもしれないな」
-
- 252 : 2015/01/21(水) 22:31:05 :
- 『気象』かぁ…強いなぁ…噛ませのくせに…
-
- 253 : 2015/01/21(水) 22:42:37 :
- >>252
噛ませもたまには強いんです。
-
- 254 : 2015/01/21(水) 22:42:56 :
能力者ファイル②
十神 白夜
能力『気象』
あらゆる『気象』を司る能力。
ただ、スケールは人並みである。
そして、体力の消耗が激しい。
-
- 255 : 2015/01/21(水) 22:46:45 :
ーーーーーーー
ーーーーーー
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
ー
大和田「オラッ!!」
俺は、突っ込んできた山田に対し、腕のリーチを活かしながら、
山田の顔面を殴り抜く。
が、
山田「僕はこの程度じゃ倒れないッ!!」
山田は堪えた。
山田「僕は、貴方を殺さなきゃ駄目なんだッ!!」
そして、腰に隠し持っていた『ビン』を俺に向かって投げつけて来た。
大和田「クソッ!!」
俺は『ビン』を避け、後ろに退く。
放たれた『ビン』は、高い音を上げて粉々に砕け散った。
山田「無駄だァッ!!」
山田「その『ビン』の中身は、『睡眠ガス』!!」
山田「少しでも吸ってしまったら、すぐに眠くなってしまいますぞ!!」
大和田(なるほどな、こいつ…俺の『能力』をよく理解してやがる)
大和田(『死ねば蘇る』という事は、つまり、『死ななければ何も出来ない』ってわけだからな)
大和田「殺さない程度に無力化するってわけか…」
…視界が、睡眠ガスの所為で歪んできた。
もって後3分といったところだろうか。
山田「これで殺れる…!!」
大和田「クッ…何故、そこまで俺たちを殺す事を望むんだ?」
山田「…ずっと言っているではないですか」
山田「それは、貴方達が無慈悲にも不二咲殿を殺したからですぞ」
山田「…十神殿が言うには、不二咲殿は、恐怖で顔を引き攣らせ死んでいたそうです」
山田「僕は、それが許せないッ!!」
山田「僕は…好きだった彼の無念を晴らしたいのです!!」
山田「だから殺すッ!!」
大和田「そうか…」
…ああ、それでいい。
別に、ここだけが特別な訳じゃない。
外の世界だってそうだ。
気に食わないから『争う』
気に食わないから『疑う』
気に食わないから…
『殺す』
所詮、俺たちは人であって人では無い。
人が一番道徳心を持っているつもりが、
一番非常で残酷なのは、人だったりする…
大和田「なら、来いよ…!!」
大和田「俺は俺の仲間を助けたいだけだ…!!」
俺は戦闘の姿勢を取る。
山田「……!!」
お互いに、少しずつ距離を詰めていく。
そして、
大和田「オラァッッッ!!」
山田「ヌァッッッ!!」
お互いの拳が炸裂した。
-
- 256 : 2015/01/21(水) 23:15:34 :
ーーーーーー
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
ー
石丸「女子とは戦いたくないが、仕方あるまい…!!」
僕と腐川さんの距離は、およそ20M。
この距離だと『拘束具』を投げつけても避けられる恐れがあるので、
僕は腐川さんに、出来るだけ近づく事にした。
石丸「強行突破させてもらうぞッ!!」
僕は腐川さんの方へと走り出した。
しかし、
腐川「ハァ…ただの馬鹿ね」
石丸「なッ!!?」
一歩目を踏み出した筈の僕の足は、床に埋まってしまっていた。
腐川「そこからは、私のテリトリーよ…!!」
腐川「様々な罠を用意してあるから、注意してよね?」
石丸「クッ!!」
僕は、足を床から引き摺り出した。
そして床に視線を落とすと…
石丸「やはり…床には『穴』と書いてあったか!!」
きっと腐川さんの『能力』で、
床に『穴』を空けたのだろう。
石丸「・・・」
『気をつけなければならない』
そう心に言い聞かせ、僕はもう一度、腐川さんに向かって走り出した。
-
- 257 : 2015/01/21(水) 23:22:11 :
- 星を司る能力者は最強だろうなぁ
-
- 261 : 2015/01/22(木) 23:13:17 :
石丸「悪いが、近距離戦なら僕の勝ちだッ!!」
床に書いてあった『動』や『壊』の文字を避けながら、
僕は腐川さんに近寄る。
腐川「フン、それはどうかしら?」
残り数メートル…のところで、腐川さんは、背中に隠し持っていた『ノート』を取り出した。
石丸「なんだ!? それは…!!」
…僕はその『ノート』に意識を向け過ぎた所為で、
足元の注意が疎かになっていた。
きっと、『僕の意識の誘導』も、彼女の罠の一つだったのだろう…
石丸「はっ!!」
僕が踏み入れたその場所の中心には、
『痺』
という『文字』が見えた。
石丸「グァァァァ!!!?」
僕の身体を電流が駆け巡る。
焼けるように熱い。
意識が、一瞬、途切れかけた。
石丸「あああああっ…!!」
僕は、反射的にその場から足を離す。
腐川「罠に引っかかってくれて、ありがと」
気絶しそうな僕に、腐川さんの猛攻は続く。
取り出した『ノート』の、とあるページを開き、
僕にそのページを押し付けて来た。
石丸「なっ…!?」
目の焦点を何とか定め、そのページを見つめると…
そこには一面に、
斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬・・・
と、殴り書きされていた。
-
- 262 : 2015/01/22(木) 23:19:03 :
石丸「うぉぉぉぉ!!?」
僕の身体全体が、切り裂かれていく。
頬にも、鋭い切り傷が走った。
…幸いにも、身体を仰け反っていたおかげで、傷の一つ一つはそこまで深くはなさそうだった。
しかし、ダメージは大きい。
僕の精神も折れかけていた。
石丸「だが、君に『近づけ』たッ…!!」
僕は、手に『拘束具』を3つほど出現させ、
腐川さんに投げ込もうとする。
が、
腐川「あぅ…血が…」
僕は腐川さんの異変に気づいた。
石丸「『血』?」
僕は自分の身体を見回してみたが、確かに血塗れだった。
おそらく、先ほどの彼女の攻撃で負った傷から、血が出たのだろう。
純白の制服が紅く染まっている。
腐川「やっぱり…無理」
血の気の引いた顔で、腐川さんは床に倒れ込んだ。
石丸「何ッ!!?」
腐川「・・・」
石丸「ま、まさか本当に気絶してしまったのか…!?」
腐川「・・・」
石丸「…一応、『拘束具』を撃ち込んでみようか」
石丸「ウラッ!!」
僕は、腐川さんへと『拘束具』を投げつけた。
のだが、
石丸「なっ!? 消えた!?」
そう、腐川さんは、一瞬の内にして消えてしまった。
-
- 263 : 2015/01/22(木) 23:24:40 :
石丸「ど、何処だ!?」
僕は辺りを見渡す。
すると、後ろの方で声がした。
???「コッチよんッ!!」
石丸「何だとッ!!?」
僕は、やけに明るい声がした方へと振り向いた。
翔「呼ばれて無いけど邪邪邪邪ーンッ!!」
翔「『ジェノサイダー翔』ですッ!!」
そこには腐川さんには似ても似つかない、
腐川さんの形をした『誰か』がいた。
石丸「な、何がどうなっているのだ…!?」
翔「アタシは、腐川冬子の別人格ッ!!」
石丸「べ、別人格!?」
翔「まあ、細けぇー事はいいんだよっ!!」
翔「とりあえず、ぶっ殺す!!」
そう言うと、ジェノサイダー翔は、衣類のポケットから『万年筆』を取り出した。
翔「お前…名前は?」
石丸「石丸 清多夏だッ!!」
翔「なるほどなるほど…きよたんって呼ばせてもらうわねん!!」
石丸「き、きよたん…?」
翔「…きよたんはさぁ、アタシが腐川冬子の別人格だから、ひょっとすると『能力は使えない』って思ってない?」
石丸「あ、少し…」
翔「甘ぇぇぇぇッ!!」
翔「『能力』とか余裕で使えるんだよ!!」
翔「この…『万年筆』さえあれば、『誰でも』能力を使える!!」
石丸「な、なるほど…万年筆自体が能力みたいなものか?」
翔「と、いう事で、さっさと殺らせていただきます!!」
翔「この万年筆で、『死』っていう『文字』を相手の身体書けば、その生物は死に至る!!」
石丸「クッ!!」
僕は、腐川さんの豹変っぷりに驚きを隠せないまま
ジェノサイダー翔と戦うことにした。
のだ…が、
石丸「…ぇ」
僕の視界からジェノサイダー翔が再び消えた。
そう思った次の瞬間…
刹那。
そいつが僕の目の前に現れた。
石丸「うわあああああッ!!?」
身体中の細胞が、圧倒的な恐怖を目の前に震えていた。
翔「死んじゃえッ!!」
そうジェノサイダー翔は叫び、
『万年筆』を振りかざす。
石丸「ああああああ!!?」
石丸(は、速すぎる…!!)
確実に『死』んだ…
数秒後に、自分が死体として床に転がっている姿が、はっきりと見えた。
-
- 264 : 2015/01/23(金) 00:12:06 :
- ジェノサイダーのみぞおちに山田が飛んできて一気に2人とも倒せますように。パンパン。
-
- 265 : 2015/01/23(金) 18:59:45 :
- >>264
狛枝を呼べェーーーーッ!!
-
- 266 : 2015/01/23(金) 19:00:13 :
翔「…ってギャアアアアアアア!!?」
石丸「え…?」
ジェノサイダー翔は、激しく身体をのたうちまわらせる。
不思議に思いながら、床に目を向けると、そこには、僕がダメージを負った原因でもある
『痺』
の『文字』があった。
石丸「そ、そうか…『多重人格』だから、記憶を共有して無かったんだ」
石丸「だからこそ『自分』で仕掛けた罠に引っかかったのか…!!」
石丸(…というより、『自分の能力』にやられただと…?)
石丸(能力の『応用力』が高い分、『制御』が効きにくいのが弱点か…)
石丸「これを『利用』すれば、勝てるかもしれないぞ…!?」
翔「クソッ、あの根暗ァ…!!」
翔「あとちょっとだったのに…」
石丸「・・・」
石丸(やるしかない!! 勝つしかないんだ!!)
僕は、チョーク型の『拘束具』を取り出す。
石丸「ウオォッ!!」
腕が弾け飛ぶのではないか…そう思えるほどに、僕は、全力で『拘束具』を投げた。
翔「トロいトロい!!」
そう言ってジェノサイダー翔は『拘束具』を避ける。
石丸「ああ、僕もそう思うぞ!!」
僕は、彼女が避けるであろう、およその位置を予測し、一気に詰め寄っていた。
翔「チッ!!」
石丸「うおおおおお!!」
僕は彼女に手を伸ばす…
翔「けど、残念!!」
翔「アタシは速いのよん!!」
そう吐き捨て、ジェノサイダー翔は僕の胸に『万年筆』を突き刺した。
石丸「グフッ…!!」
僕の口から、赤い血が飛び出す。
翔「ていうか、わざわざ近づいて来てくれてありがとさん!!」
翔「アタシから近づく手間が省けたし!!」
石丸「…いや、礼を言うのはこちらの方だ」
石丸「僕の狙いは最初から『これ』だったのだッ!!」
僕はジェノサイダー翔から、『万年筆』を奪い取り、一気に身体から引き抜く。
石丸「よし…!!」
僕は確かな手応えを感じ、彼女から少し距離をとる。
-
- 267 : 2015/01/23(金) 19:33:25 :
翔「なるほど、私の『能力』を使う気ねん…!!」
石丸「ああ、いくら君が速くても、『痺』れている間なら倒せるからな!!」
翔「・・・やるわね」
能力者ファイル.11
腐川冬子(ジェノサイダー翔)
能力『文字』
書いた『文字』の半径50cm以内の空間が、『その文字の性質を持つ』という能力。
例えば『炎』と書くと、その半径50cm以内の空間は、『炎』に覆われている状態となる。
ただし、文字を書かれた物体にはこの能力は作用しない。(『死』という文字は除く)
この『能力』によって与えられる影響は、能力者本人にも作用する。
そして、腐川冬子が指定した物体(今回では『万年筆』を指す)を使えば、誰であっても、『文字』の『能力』を使用することが可能である。
石丸「…というわけで、早速、書き込ませてもらうッ!!」
僕はその場にしゃがみ込み、床に『万年筆』を突き立てる。
が、
石丸「なっ!? インクが出ないぞ!!?」
何度床を擦っても、万年筆からインクが出る気配は無かった。
そんな慌てふためく僕の姿を見て、彼女は楽しそうに嗤う。
翔「あ〜ダメダメ、その『万年筆』を使うのにはコツがいるのよ」
翔「っていうか、敵に利用される可能性もある『能力』なんだし、その『対策』を練ってないわけないじゃん!!」
石丸「クッ!!」
僕は諦めずに、万年筆を使うが、床が擦れる音が虚しく響くだけだった。
翔「往生際悪いって!!」
石丸「あがっ!!?」
ジェノサイダー翔は、万年筆を握っている僕の右腕を蹴り上げた。
万年筆は僕の手を離れ、回転しながら宙を舞う。
石丸(今のは…腕が折れたかもな)
激痛に耐えながら、僕は彼女を見上げる。
翔「はーい、これでアタシの勝ち」
翔「後は、華麗に万年筆をキャッチして」
翔「きよたんに『死』を書き込むだけ…!!」
石丸「・・・」
翔「死ねぇぇぇぇ!!」
万年筆は、彼女の手の中に吸い込まれるように落下していく…
そして、
翔「掴んだッ!!」
彼女は万年筆を掴んだ。
と、
同時に…!!
石丸「それは君の動きを『拘束』するッ!!」
万年筆はジェノサイダー翔の身体の中に、ずぷずぷと入っていった。
翔「なぁぁぁぁ!!?」
翔「お…重い…!?」
石丸「…悪いが、君が『万年筆』だと思っていた物は」
石丸「僕の『能力』で作り出した『拘束具』だッ!!」
翔「クソッ…!!」
翔「『拘束具』の形を『万年筆』に似せて」
翔「『偽装』しやがったなァァァ!!」
石丸「僕の『能力』は、形を自由に指定出来るからな…!!」
石丸「本物の万年筆は、僕が隠し持っている…!!」
-
- 268 : 2015/01/23(金) 20:48:23 :
翔「ハァハァ…だから何だってんだよ…!!」
翔「アタシはまだ『速い』ッ!!」
翔「十分、あんたを殺せるわッ!!」
石丸「そう…」
石丸「だから僕は『こうする』」
僕は、『ナイフ』型の『拘束具』を出現させる。
そして、
石丸「グッ…!!」
『それ』で自分の右腕の動脈を斬り捨てた。
翔「ええええええ!!?」
そこから、真っ赤な血液が噴き出す。
辺りに僕の『血』が撒き散らされた。
床も赤く染まっていく…
翔「…じ、自暴自棄にでもなったの!!?」
石丸「いや、そうじゃない…」
石丸「よく見るんだ…!!」
撒き散らされた僕の『血』は、
僕が万年筆で擦ったことによって出来た文字の『溝』を赤く埋め、
赤い『文字』を作り出した。
翔「ま、まさかァァァ!!?」
石丸「その『溝』は、君の『万年筆』…もとい『能力』で作ったもの!!」
石丸「そして僕の『血』で、その『跡』を浮かび上がらせ」
石丸「『文字』にしたッ!!」
そして、彼女の足元には…
『痺』
と、赤く書かれていた。
翔「うぎゃああああ!!」
弾けるほどの電流が彼女を駆け巡る。
石丸「やはり君の『能力』は、『文字』なら発動するみたいだな…」
石丸「さてと…」
僕はゆっくりと立ち上がる。
石丸「そういえば昔、『ジェノサイダー翔』という名前を新聞で見たことがある…」
石丸「『そいつ』は、自身の快楽のため、罪の無い人を殺しまわっていたらしい…」
僕は、少しずつ彼女に近寄り…
翔「あぁ…」
石丸「ウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラァッ!!」
渾身の連打を叩き込んだ。
彼女は首の向きをあり得ない方向に曲げ、飛んでいった。
石丸「地獄で詫びろ…」
石丸「貴様が殺した人間たちに!!」
石丸(…と、やってみたはいいもの)
石丸「血が、足りない…」
石丸「少し…休憩しなくては」
そして僕は、崩れるように倒れこんだ。
石丸「・・・」
-
- 269 : 2015/01/23(金) 23:42:13 :
- 石丸かっけーーー!
-
- 270 : 2015/01/24(土) 21:04:16 :
- >>269
KAKKEEEEEEE
-
- 271 : 2015/01/24(土) 21:06:23 :
ーーーーーーー
ーーーーーー
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
ー
【図書室】
十神「お前は、この俺が本気で殺させてもらう…!!」
苗木「・・・!!」
その場を、静寂が包み込む。
破り難い…沈黙。
を、
僕は自分の声で壊す。
苗木「実は…山田くんと戦った時には使っていない、『切り札』があるんだよね」
十神「『切り札』だと?」
苗木「うん、彼の『能力』に物凄く相性が悪かったから…使えなかったんだけどさ」
苗木「あと、この『切り札』は、体力を酷使するしね…」
十神「・・・」
十神「何を言っている? 虚勢か?」
苗木「まあ、喰らえばわかるよ…!!」
僕はいつも通り、鉛玉をポケットから取り出す。
苗木「これが、僕が今持っている鉛玉の…」
苗木「最後の『一個』だ」
十神「…嘘を言っているようには見えないが」
十神「・・・」
十神「何が目的だ?」
苗木「まあ、本当だからね」
苗木「これで決めるっていう僕の『決意』だと思ってくれればいいよ」
バチッ!!!
そして、僕は鉛玉を発射する。
十神「ならばお前の『決意』を、俺は『力』でねじ伏せるッ!!」
苗木「なら僕は…」
苗木「君の『力』を『超えて』いくッ!!」
鉛玉は、徐々に速度を上げていく。
十神「ウオォッ!!」
十神くんが叫ぶと、彼の周りで『ハリケーン』が発生した。
十神「弾け飛べッ!!」
苗木「…言ったでしょ?」
苗木「『切り札』だって!!」
鉛玉は『加速』していた…
が、
今までの『加速』とは、圧倒的に何かが違った。
十神「な、何なんだ!? この速さはァァァ!!?」
苗木「これが僕の『切り札』…」
苗木「『加速』を『超えた加速』…!!」
苗木「『超加速』ッ!!」
・・・・・・・・・・・・・・・
『加速』と『超加速』…2つの違いは何か?
それは単純である。
『比例的加速』か『二次関数的加速』かの差だ。
苗木が日頃行っている『加速』は、前者の『比例的加速』に当てはまる。
これは『加速』する距離が2倍3倍になると、『速さ』も2倍3倍になるという比例の関係を持つ。
つまり、対象物から1M離れている時の速さを1とすると、
『能力』の最大射程距離である10M離れた時の速さは10になる。
が、今回の『加速』は『二次関数的加速』、とどのつまり『超加速』。
『加速』する距離が2倍3倍になれば、『速さ』は4倍9倍になる。
つまり、『能力』の最大射程距離である10M離れた時では、速さは、その2乗の『100』になる。
・・・・・・・・・・・・・・・
十神「うおおおおお!!」
鉛玉は、『ハリケーン』に激しく激突する。
衝突音が図書室に轟いた。
鼓膜が破れるかと思うほどの衝撃だった。
苗木「まだまだァッ!!」
鉛玉は『ハリケーン』の回転に負けまいと、一直線に突き進む。
そして、
『風』の『壁』を弾け飛ばした。
十神「ぐああああああ!!?」
十神くんの肉体に鉛玉が撃ち込まれる。
あの位置には『心臓』がある。
敗れ去った『ハリケーン』は、バラバラに飛び散っていった。
苗木「ということで…僕の勝ち」
苗木「まあ、『超加速』はあくまで威力をあげるものだからね…」
苗木「『力』を吸収しちゃう山田くんの『能力』とは、激しく相性が悪かったんだ」
苗木「けど、君の『能力』になら、僕の『超加速』は相性が最高だッ!!」
-
- 272 : 2015/01/24(土) 23:03:49 :
ーーーーーーーー
ーーーーーーー
ーーーーーー
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
ー
お互いの『拳』…もとい、
お互いの『意地』がぶつかり合う。
俺たちはその『気持ち』を『拳』に込め、一気に放つ。
『感情』と『感情』が弾け、火花を散らす。
永遠に思えるようで、一瞬のような出来事。
そして、
その『戦い』を制したのは…
『山田』の『意地』だった。
大和田「グハッ!!?」
山田の『拳』が、俺の顔面を殴り抜く。
大和田(クソッタレ…『睡眠ガス』の所為で上手く身体をコントロール出来ねえ…!!)
山田「やった…やったぞッ!!」
俺の身体は、山田から少し離れた場所に打ち付けられた。
大和田「グッ…!!」
大和田「痛え、けど」
大和田「とりあえず、逃げて…体制を整えねえとな…!!」
俺は身体を起こし、山田とは別の方向へと走り出す。
山田「逃がすかッ!!」
すると、山田も俺を追いかけて来た。当然の判断だろう。
…お互いが全力疾走にも関わらず、距離が広がっていくのは、おそらく体型の所為ではないだろうか。
大和田「ハァハァ…」
大和田(やべえかもな…もう、ガチで眠っちまいそうだ)
そんなことを思いながら廊下を走っていた俺に…
何故かはわからない。
運命のちょっとした気まぐれかもしれない。
ただ、この状況をひっくり返す可能性のある…
出会いが訪れた。
???「えっ!? 大和田くん!?」
大和田「なっ…舞園!?」
舞園「そうですけど…どうしたんですか?」
…反撃の狼煙が上がる。
-
- 273 : 2015/01/24(土) 23:27:59 :
- 舞園の能力はあれだ!苗木のアンテナを生み出す能力だ!
-
- 274 : 2015/01/25(日) 00:26:32 :
- 「音」とか?
-
- 276 : 2015/01/25(日) 12:14:41 :
大和田「…今、山田に追われてるんだ‼」
大和田「頼む、お前の力を貸してくれ‼」
舞園「ち、力…!?」
大和田「ああ、このままだと奴は、俺だけじゃない…舞園…」
大和田「お前ごと殺す…!!」
舞園「えっ…」
舞園「で、でも、私は何をすればいいんですか!?」
大和田「簡単だ…お前の『能力』を教えてくれ」
大和田「そうすれば、奴に勝てる作戦を練れるかもしれねえ…!!」
舞園「・・・」
舞園「…わ、私」
大和田「ああ、俺を信用出来ないのもわかる…」
大和田「けど、俺たちが生き残るにはこれしか無いんだ…!!」
大和田「頼む、お前の『能力』を教えてくれ‼」
…俺の訴えに心を悩ませているのか、舞園は深く黙り込んだ。
そして、ゆっくりと口を開く。
舞園「…非常に言いづらいんですが」
舞園「私…『能力者』じゃないんです…」
大和田「なっ!!?」
返って来た答えは、予想外の返答だった。
舞園「だから最初、私は何かの間違いだと思ったんです…」
舞園「『非能力者』である私が、何故こんな所に来てしまったのだろうか…って」
…反撃の狼煙は、
もしかすると…不発に終わってしまうかもしれない。
-
- 277 : 2015/01/25(日) 12:41:08 :
大和田「あ、あり得ねえ‼?」
大和田「だって…モノクマって奴は『能力コロシアイ学園生活』だと、確かに言ったんだ‼」
舞園「そんなこと言われても…」
大和田(…どういうことだ!?)
俺が考えを巡らせていると、後ろから大きな声が聞こえてきた。
山田「見つけたぞ!!」
大和田「チッ…もう来ちまったか…‼」
舞園「あの、私は…」
大和田「ああ、俺に構わないで逃げてくれ」
舞園「え、でも…!!」
大和田「いいんだよ、戦えない奴を巻き込むほど俺も腐っちゃいねえ」
大和田「それに…『苗木』も、それを望まねえだろうしな」
舞園「‼」
舞園「苗木くんも…戦っているんですか?」
大和田「ああ、かなり強い奴とな」
舞園「なら…私も戦います」
大和田「はぁ‼?」
舞園「彼は、いつも自分が損な役割を進んで引き受けます…!!」
舞園「私は、そんな彼を助けたいんですッ!!」
大和田「でもよ、『能力』が無い以上、戦わせるわけにはいかねえ…」
舞園「そうですよね…」
会話を交わす俺たちに、山田は近づいて来る。
山田「余所見をするなァッ!!」
山田「ヌラァッ!!」
大和田「クッ!!」
山田は、舞園がいることなどお構い無しに攻撃してきた。
山田の拳を右腕で受け止める。
大和田「ドラッ!!」
そして、俺は左肘で山田の顎を捉えた。
俺の左肘に鈍い感覚が走る。
確かな手応えがあった。
山田「ヌッ…」
山田はふらつきながら後退りしていく。
それを見た俺は、好機とばかりに猛攻をかける。
俺の右腕から繰り出された拳は…
大和田「ドラッッ!!」
山田「・・・!!」
…山田の『掌』に止められた。
大和田「し」
大和田「しまったァァァ!!?」
山田「ハァハァ…これで僕の勝ちだ…!!」
山田「君の攻撃を『吸収』し、その力に僕の力を乗せて攻撃するッ!!」
大和田(クソッここまでか…!!?)
-
- 278 : 2015/01/25(日) 15:00:31 :
- 舞園の能力って、半径何メートル圏内にいる相手の能力無力化とか?
-
- 279 : 2015/01/25(日) 19:05:37 :
- 舞園さんは覚醒していつでも何処でも苗木くんを出せる能力者になるんですね!分かります!
-
- 281 : 2015/01/25(日) 20:22:01 :
- 舞園さんのイレギュラーキャラ。期待です。
-
- 282 : 2015/01/25(日) 21:27:18 :
- >>281
まだ舞園がイレギュラーって決まってはいないですけど、期待ありがたいです!
-
- 283 : 2015/01/25(日) 21:28:00 :
大和田(クソッここまでか…!!?)
山田が腕を振り上げる。
…絶望に包まれていた俺に、
『ダダダダダ』
と、ある『音』が聞こえてきた。
大和田「な…?」
山田「何だこれは!?」
いや、俺だけじゃなかったらしい。
山田もこの『音』が聞こえているようだ。
『音』はさらに大きくなる。
『ダダダダダ…!!』
大和田「この…『誰かが走っているような音』は何だッ!!?」
俺は音源を探すべく、辺りを見回した。
山田「クッ!!?」
山田も必死になって探している。
どうやらこの『音』に山田は関係無いらしい。
舞園「え…大和田くん!?」
舞園が俺の名前を叫ぶ。
大和田「何だよ舞園!!」
舞園「わ、私の手から…」
舞園「『ダダダダダ』っていう『音』が出てるんです!!」
大和田「何ッ!!?」
大和田「ま、まさか…!!」
大和田「『苗木を助けたいと願う気持ち』が、『眠っていた能力』を呼び起こしたッ!!?」
大和田「やっぱり…『ここ』に舞園が呼ばれたのは偶然なんかじゃなかった!!」
大和田「必然的だったんだ!!」
舞園「私の『能力』は…『音』!!?」
山田「お、『音』だとォォ!!?」
山田「…たいしたこと無いではないですか」
山田「手から『音』を出す『能力』…?」
山田「弱えェェェェッ!!」
山田「そんな雑魚、いくらでもかかって来て問題無いですぞ!!」
大和田(確かにそうだ…『音』で奴を倒せるとは思えねえ!!)
舞園「…大和田くん、とりあえず向こうの教室に逃げ込みましょう」
大和田「…なんでわざわざ逃げ場を無くさなきゃなんねーんだよ」
舞園「『力』が溢れてくるのを感じるんです…!!」
舞園「教室なら…山田くんを倒せるかもしれない!!」
大和田「・・・」
大和田「わーったよ」
大和田(どうせ俺の限界も近い…今は舞園を信じるっきゃねえ!!)
大和田「行くぞッ!!」
舞園「は、はい!!」
山田「まだ逃げる気かッ!!」
俺たちは走り出した。
教室に向かって…
そこに『希望』があることを信じて…
-
- 284 : 2015/01/25(日) 23:14:20 :
- かなりの高い音を出せば凄い振動が生まれるからある意味最強かもよ
-
- 286 : 2015/01/25(日) 23:24:56 :
- あと期待!
-
- 288 : 2015/01/26(月) 18:59:01 :
ーーーーーー
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
ー
【教室】
ガラガラ!!
扉が勢いよく開けられ、外から山田が飛び込んできた。
山田「どこだァァァ!!」
理性を失っているのか、自分の位置を敵に知られることも構わずに山田は叫ぶ。
大和田「・・・」
俺と舞園は、起死回生の一撃を成功させるため、
ジッと息を潜める。
山田「暗くてよくわかりませんが…僕は確かに奴らが『この教室』に入って行くのを見た…!!」
山田「それなのに、今ここに奴らが居ないという事は…!!」
山田「何処かに隠れているというわけだなァァァ!!」
舞園「・・・!!」
大和田(落ちつけ…舞園!! まだ奴は俺たちを見つけちゃいねえ!!)
大和田(堪えるんだ!!)
山田「・・・」
山田「普通に考えて…隠れることが可能な箇所は」
山田「『掃除道具入れの中』」
山田「か」
山田「『教壇の下』」
山田「でしょうね…!!」
舞園「・・・ク」
大和田(焦るな!! 舞園!!)
大和田(奴の狙いは、俺たちを動揺させる事なんだッ!!)
舞園「ハァ…ハァ…」
山田「・・・」
緊迫した空気の中、
少し漏れた『音』は、すぐに辺りに伝道する。
『ガタッ』
教壇から、『何かが動いた音』がした。
山田「そこかァァァ!!」
その『音』は、日常生活では聞き逃してしまうであろうほど、
僅かな『音』だった。
ただ、
この静けさの中では…目立ち過ぎた。
山田「喰らえッ!!」
山田は高く拳を振り上げ、教壇へと向かって一直線に突き進んだ。
山田「山田スペシャ…!!」
『ガタッ』
山田「…る?」
山田は、振り上げていた拳を下ろす。
『ガタッ』
山田「なんだこれは…!?」
山田「教壇にこの『ガタッ』という『音』が染み付いている…!?」
バタッ!!
掃除道具入れの扉を乱暴に開け、舞園が飛び出す。
舞園「『染み付いている』…ではなく、『染み入っている』にして欲しいものです!!」
舞園は、山田に向かって全力疾走で突っ走る。
舞園「私の『能力』は…『音』を『出す』だけでなく、物体に『与える』ことも出来たんです!!」
山田「なるほど…」
山田「でも、『染み付いている』だろうが『染み入っている』だろうが…」
山田「両方、同じじゃねーかァァァ!!」
山田は糾弾しながら、舞園を殴り飛ばす。
舞園「クッ…!!」
思いっきり顔を殴られ、舞園は辺りにあった机と一緒に飛ばされていった。
舞園「ハァハァ…!!」
山田「ふん、さて後は大和田殿だけ…」
舞園「・・・」
舞園「フフフ…」
山田「…何が可笑しいのですか?」
舞園「いや、後ろですよ後ろ」
山田「なっ!?」
山田は舞園に指摘され、後ろを振り向く。
そこには…
俺がいた。
大和田「さて、ゆっくり殺させてもらうぜ…!!」
俺は山田の首を締め付ける。
山田「ががが…!?」
必死に山田は抵抗するが、俺は攻撃の手を緩めようとはしなかった。
山田「何故…!? 貴方の気配は、教壇から『聞こえなかった』…!?」
そう、山田の言うとおり、俺はずっと教壇の下に隠れていた。
しかし、こいつにはそれを見抜けなかった。
確かに、『ガタッ』という『音』に意識を向け過ぎていた、というのも一つの理由だろう。
だが、本当の理由は別のところにある…
大和田「…だとよ舞園」
大和田「冥土の土産に教えてやれ」
舞園「私の『能力』は『音』」
舞園「『音』を『与える』ことが出来るのなら…その『逆』もまた然り」
舞園「『音』を『奪う』ことも出来るのです!!」
山田「なる…ほど…大和田殿が発する『音』を『奪った』の…」
山田「か…」
そして、その言葉を最後に、山田は力尽きた…
大和田(で、俺も眠気が…)
そして、俺もその場に倒れた。
-
- 289 : 2015/01/26(月) 22:01:06 :
- 大和田って死んだら生き返るけど、体力切れで生き返られなかったとかはないの?あと、超絶期待‼︎
-
- 290 : 2015/01/26(月) 22:42:58 :
- 締め上げられる山田…
ヒモで締め上げられ、吊るされるチャーシュー…
ああ、チャーシューメン食べたい(^。^)
-
- 292 : 2015/01/26(月) 22:57:16 :
- 山田の肉厚な首を絞めるのはいくら大和田でも相当力入れたでしょうな…w
-
- 293 : 2015/01/27(火) 16:52:33 :
- 大和田って老衰はどうなんでしょう?
-
- 294 : 2015/01/27(火) 20:29:21 :
- 苗木の能力って、声優的に大嘘付きで・・・
-
- 295 : 2015/01/27(火) 20:36:35 :
- >>293ドラゴンボールみたいに、寿命とかじゃ死ぬんじゃない?
-
- 296 : 2015/01/27(火) 23:40:10 :
-
http://www.ssnote.net/groups/1195
↑グループ作りました。よければどうぞ。
-
- 298 : 2015/01/28(水) 17:28:45 :
- 舞園の能力で一人オーケストラ出来そうw
でもあの能力で相手の思考を錯覚できそう
相手にあなたは座りたい・・・って刷り込んで何度も何度も発生させれば・・・
-
- 299 : 2015/01/28(水) 21:40:27 :
- 期待です!
-
- 300 : 2015/01/29(木) 01:06:27 :
- 期待です!
-
- 302 : 2015/01/29(木) 19:02:40 :
能力者ファイル⑧
舞園 さやか
能力『音』
手で触れた物体に、『音』を与えたり奪ったり出来る。
音のメモリは無限で、舞園が一度聞いたことのある『音』なら、どんな『音』でも出すことが可能である。
音量はMAXで、人の鼓膜を破るほどの威力を発揮できる。
ーーーーーー
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
ー
【図書室】
苗木「ふぅ、大和田くんたちの加勢に向かおっか」
僕は死体となった十神くんに背を向け、廊下へと歩き出そうとした。
が、
十神「行かせんぞ…!!」
何故か立ち上がっている十神くんに、それを阻まれてしまった。
苗木「あれ?」
苗木「死んだはずじゃ…?」
十神「ああ、一瞬、本当に死んだと思ったさ」
十神「だからこそ閃いた」
十神「生きることを諦めなかった、俺の頭脳が…」
十神「死を回避する、唯一の方法をな…!!」
十神「名付けて『氷の鎧』ッ!!」
十神「鉛玉が撃ち込まれる瞬間、俺は『氷』で自分の身体を覆った!!」
十神「そして、それで鉛玉の威力を殺し、何とか耐え抜いたってわけだ」
-
- 303 : 2015/01/29(木) 19:14:19 :
苗木「なるほど…『風の壁』に『氷の鎧』」
苗木「『二つ』合わせて無敵の防御ってわけだね…」
苗木「厄介だな」
十神「わかったらさっさと諦めろ…所詮、愚民は俺には勝てない」
そう言って、十神くんは不気味に嗤った。
苗木「…諦めろ、か」
苗木「……」
苗木「悪いけどさ…」
苗木「まだ、『可能性』は残ってるんだよね…!!」
苗木「君に勝てる『可能性』がッ!!」
十神「『可能性』だと…!?」
十神「おいおい、どういう事だ苗木?」
十神「お前はもう、手持ちの鉛玉を全て使ってしまった」
十神「自慢の『加速』だって、俺には通用しない…」
十神「『可能性』なんて万に一つも無いんだよッ!!」
十神くんの気迫が、図書室中を震わせる。
ただ、僕は怯まない。
彼の方をしっかりと見据え、自分のポケットに手を突っ込む。
そしてそこから、球体状の『ある物体』を取り出す。
何故か…僕の部屋の机の中に入っていた『これ』
苗木「…『これ』が『可能性』だッ!!」
十神「何だ『それ』は…!?」
十神「鉛玉には見えんが…」
僕が取り出した『物体』を見て、十神くんは首を傾げる。
それもその筈。
なぜなら、僕が持っている『これ』は、どう見ても戦闘で使える代物には思えないからだ。
-
- 308 : 2015/01/29(木) 22:31:20 :
だが、
苗木「…名付けて『超跳球
』ッ!!」
苗木「まあ、お祭りとかでよく売ってるやつだよ」
『これ』は僕が使う事で、真価を発揮する。
十神「……」
十神「クハハハハハッ!! 笑わせるな!!」
十神「そんな玩具で俺に勝てるなどと…恥を知れッ!!」
苗木「…いや、勝てる『可能性』はあるよ?」
苗木「見せてあげるね…」
苗木「『加速』と『超跳球』の組み合わせの恐怖を…!!」
バチッ!!!
僕の指先から飛び出た『超跳球』は、十神くんとは全く別の方向へと突き進む。
十神「はっ…!! どこを狙っている!!」
苗木「…いや、これでいい」
壁に激突した『超跳球』は、ゴムの弾力により弾き返される。
十神「なっ!?」
そしてさらには天井や床、様々な場所にぶつかっては跳ね返る。
苗木「…その『超跳球』は『加速』するッ!!」
跳ね返される度に『超跳球』はスピードを増し、鋭く辺りを飛び回る。
十神「なんて速さだ…!?」
苗木「うん、これが僕の言ってた『可能性』だよ」
苗木「この『速さ』なら、君の防御は間に合わない!!」
十神「確かにな…」
十神「…だがお前もこの速さを制御できまい」
苗木「クッ…!!」
『超跳球』が僕の頬をすれすれで飛んでいった。
風圧で髪の毛が軽くなびく。
苗木「…だから言ったでしょ?」
苗木「『可能性』だって」
苗木「これは『賭け』だよ」
『超跳球』は、近くに置かれていた本棚をなぎ倒しながら、尚、加速する。
苗木「二分の一ロシアンルーレット!!」
苗木「この『超跳球』で死ぬ確率は君か僕かの二分の一!!」
-
- 309 : 2015/01/30(金) 01:51:47 :
- 二人ともに当たる可能性は?
-
- 310 : 2015/01/30(金) 16:28:42 :
苗木「あとは……祈るだけだね」
苗木「自分に当たらないように」
十神「……ククク、最後まで本当に面白い奴だ」
十神「お前のアイディアには花マルをやりたいが」
十神「俺は十神白夜だぞ?」
十神「『運』はいつだって勝者に味方する……」
十神「つまり、俺に味方するッ!!」
苗木「ッ!!」
僕の服を『超跳球』が引き裂く。
最早、『超跳球』は肉眼で捉えることは不可能なまでに加速していた。
十神「な…言ったろう?」
苗木「……」
苗木「実は僕も結構、運はいい方なんだよね」
十神「!?」
一瞬、空間がスローになった気がした。
『超跳球』が壁に当たり、弾き飛ばされる。
その弾き飛ばされた先には……
十神くんの背中があった。
彼のうなじ目掛け、一直線に『超跳球』が飛び込む。
十神「ガハッ……!?」
十神くんの喉を、『超跳球』が貫いた。
彼の喉に大きな穴が空く。
その穴から、向こうの景色が見えそうだった。
そしてそこから真っ赤な血が、流星のように飛び散っていった。
彼は朧げな目で、幾らか足を前後に動かし、
十神「何故…俺…が」
そして……床に倒れ、絶命した。
苗木「何故、君が負けたのか……それは単純な理由だよ」
苗木「『運命』が僕を選んだ…!!」
…『運』で勝つっていうのは、まわりからは卑怯だと思われるだろう。
『実力』で勝ってこそ、やっとその人の努力が認められるかの様な風潮がある。
……だが、人の人生なんてそんなものだ。
人は弱い。
だからこそ、『実力』じゃどうしようもない困難な壁にぶつかった時、人は『運』に頼る。
災害だったり病気だったりと。
それは能力者だって同じだ。
……いや、能力者として生まれてきた時点で、
既に『運』が悪いのかもしれない。
-
- 311 : 2015/01/30(金) 19:27:05 :
苗木「……さて、帰ろうか」
僕は十神くんの死体に別れを告げ、図書室を去る。
扉を開け廊下に出ると、そこには意外な人物が立っていた。
苗木「え!? 舞園さん!?」
舞園「あ、あの……大和田くんが」
舞園「えっと、不死身で、それで音が出て……!!」
苗木「ちょ、ちょっと落ち着こうか!?」
若干パニックになっている舞園さんの心を落ち着かせ、僕は彼女が体験した一部始終を聞くことにした。
舞園「まず初めに、私と大和田くんが一緒に戦って、山田くんを倒したんです!!」
舞園「でも大和田くんは、山田くんが投げつけて来た『睡眠ガス』の所為で眠ってしまい、気絶しちゃいました」
舞園「私は彼を保健室に連れて行こうと考えて、担いで行ったんですけど……」
舞園「途中で、倒れている石丸くんも見つけちゃって…」
舞園「……と、いうわけで」
舞園「大和田くんと石丸くんは、一緒に保健室で休んでいます」
苗木「そっか、ありがとね」
苗木「……腐川さんはいた?」
舞園「あ、はい……死んでましたけど」
苗木「なるほどね……うん、大体わかったよ」
苗木「さて、二人が無事なら問題ないね」
苗木「舞園さんも大丈夫そうで何よりだよ」
舞園「……」
舞園「本当にこれで良かったんですかね?」
舞園「命が、こんなにも軽く散ってしまって……」
苗木「……」
苗木「いい訳ないよ」
苗木「でも、殺らなきゃいけない時にやっとかないと、きっと後で後悔する」
苗木「自分が敵を殺すことを躊躇したばっかりに、僕の仲間が死んだら……僕は死んでも死に切れない」
舞園「……苗木くんは強いんですね」
苗木「いや、僕は強くなんてないよ……『ただ』」
舞園「『ただ』?」
苗木「『ただ』、僕は仲間を守りたいんだ」
舞園「……私も、みんなと一緒に外に出たいです」
舞園「私も……みんなを守りたいです!!」
苗木「うん、必ずここから全員で出ようね!!」
舞園「は、はい!!」
僕と舞園さんは『約束』をした。
『人を殺さずにここから出る』と
僕たちはこの『約束』が守られるように心から祈った。
第三章 END
-
- 312 : 2015/01/30(金) 19:27:48 :
第四章 『最終決戦』
-
- 313 : 2015/01/30(金) 21:37:46 :
- ついに最終決戦!!期待です!!
-
- 314 : 2015/01/30(金) 22:00:39 :
- とうとう最後か……期待ですっ
-
- 315 : 2015/01/31(土) 10:09:54 :
- (/・ω・)/アンパンマン!新しい期待よ!それ~
期待です~
-
- 316 : 2015/01/31(土) 15:11:19 :
期待です!
-
- 317 : 2015/01/31(土) 17:11:17 :
- これで一つ楽しみがなくなってしまう...
期待!!!!
-
- 318 : 2015/01/31(土) 17:20:53 :
- 頑張ってください!!期待してます!!
-
- 319 : 2015/02/01(日) 00:09:24 :
- 現在誰が生きているのでしょうか?
-
- 320 : 2015/02/01(日) 07:51:21 :
- 期待ありがとうございます!!
ここから、ノンストップでいきたいと思います!!(気分は)
-
- 321 : 2015/02/01(日) 08:01:47 :
十神くんたちとの死闘から、翌日。
大和田くんや石丸くんは、すっかり元気になった(僕の能力で彼らの治癒速度を『加速』させた)。
苗木「……」
僕は今、重大な責務を果たすため、平常心を保ちつつ、食堂に向かっている。
目的は……『謝罪』と『和解』だ。
【食堂】
苗木「やあ、わざわざ集まってくれてありがと」
食堂に入ってすぐ、僕が呼び出した生存者全員の顔が確認出来た。
これから起こる何かに不安を感じている人もいれば、
セレス「……さっさと本題に入って下さらない?」
苛立ちを隠せてない人もいる。
苗木「あ、うん」
大和田「……」
苗木「察しのいい皆なら、もうわかると思うけど」
苗木「『十神』『山田』『腐川』の3人は……死んだ」
苗木「僕たちが殺した」
舞園「……」
葉隠「!?」
葉隠「ひ、人殺しだべ!!?」
葉隠くんが狂ったように騒ぎ立てる。
疑心暗鬼に陥っている今、それは仕方のない事なのかもしれないけど……。
大神「何が言いたいのだ?」
苗木「つまり、この事が正当防衛だって事を認めて欲しいんだ」
セレス「……また、それですか」
苗木「うん、もう……殺し合いなんて僕はしたくない」
苗木「だから、言うよ」
江ノ島「……」
苗木「僕の能力は『加速』」
苗木「物体を加速させる能力だ」
-
- 322 : 2015/02/01(日) 18:10:09 :
霧切「……!!」
セレス「まあ…」
食堂を、ありとあらゆる感情が覆い込む。
『疑惑』『動揺』『焦燥』……。
他の能力者の前で自分の『能力』を話すというのは、それ程の衝撃がある。
苗木「……僕を、信用して欲しい」
苗木「この能力コロシアイ学園生活を、終わらせるために」
苗木「僕を信用して、皆の『能力』を教えてくれ……!!」
苗木「この絶望的な状況を打破するための、策を考えるんだ!!」
僕の心からの願いを、食堂にいる皆に訴えかけた。
葉隠「…苗木っち」
大神「……」
-
- 323 : 2015/02/01(日) 18:15:33 :
セレス「貴方の仰ることもわかります」
セレス「ですが」
セレス「貴方が殺した……腐れラードは……」
セレス「もう、戻って来ない」
『殺意』
苗木「!!?」
苗木「避けろッ!!?」
ーー
ー
百戦錬磨の苗木誠。
小さい頃から、彼は能力者…つまり異端児として、差別的な扱いを受けていた。
そんな彼は、幼い自分の身を守るため、日々周りの大人たちと戦い続ける道を選択した。
『殺意』には慣れっこだった。
そんな彼だからこそ、セレスの放った『殺意』を瞬時に感じとり、行動に移せたのである。
ー
ーー
霧切「ッ!!?」
ーー
ー
霧切響子…彼女の観察眼は、はっきりと『セレス』の能力を捉えた。
だが皮肉な事に、セレスの能力は観察眼など使わずとも、五感全体で感じることが出来た。
ー
ーー
燃え盛る空気。
灰色の煙が立ち込める。
僕はセレスさんに背を向け、全力疾走で食堂を飛び出す。
そこで皆がついて来ていないことに気づき、ハッと足を止める。
仲間のことなど考えてもいなかった。
自分が助かることしか、頭になかった。
苗木「み、みんな!?」
振り返ると、
大和田「クソッタレ!!」
石丸「危なかった……」
霧切「全く……」
舞園「何とか助かりました……」
江ノ島「……」
葉隠「あちちち!!」
食堂から、皆が出てくるのが見えた。
心の底から安堵の気持ちが溢れ出る。が、
苗木「いや……一人足りない」
苗木「大神さんは?」
-
- 324 : 2015/02/01(日) 22:04:18 :
少し戸惑いながら、霧切さんが口を開く。
霧切「彼女はセレスさんを止める為、中に残ったわ」
苗木「なっ!?」
自殺行為だ。
いくら何でも、無謀過ぎる。
今は亡き十神くんの言っていた、セレスさんの能力。
ーーー
ーー
ー
十神『フッ…お前の『能力』は有名だからな、使えばすぐにバレてしまうだろ…』
セレス『あら? 私の『能力』を知っているのですか?』
十神『…逆に、お前の『能力』を知らないやつがいるのか?』
ー
ーー
ーーー
これらの言葉の意味が、ようやくわかった。
『1995年、アフリカ』
『とある貧しい村で、背中から火を噴き出す子供が産まれた』
どういう訳かは知らないが、セレスさんの能力はこれだ。
さっき、セレスさんの能力を見て確信した。
……この子供の能力は、ただ純粋に有名だった。
世界最初の能力者として、そのの能力は教科書にも載っている。
だから十神くんは、
お前の能力『を』知らない奴がいるのか?
と言ったんだ。
つまり、
セレスさんの能力=子供の能力
……イコール『炎』!!
で、一番の問題は他にある。
『その後、その子供が産まれたのをきっかけとするかのように、世界各地で能力者が現れだした』
……つまり、僕たち能力者は、この子供の影響力によって現れた存在にしかすぎない。
スケールが違う。
僕たちが付属品 なら、
セレスさんはいわば、原型
彼女の能力は『炎』
単純、故に最強の能力者だ。
-
- 325 : 2015/02/01(日) 23:17:24 :
- 朝日奈さんと真逆かぁ。これは期待
-
- 326 : 2015/02/02(月) 02:30:33 :
- アフリカ……?セレスはアフリカで産まれたのか……
-
- 327 : 2015/02/02(月) 10:37:23 :
- >>326
炎の能力者がアフリカで生まれただけで、セレスの能力が炎だからと言ってセレスがアフリカで生まれた事にはならない…と思うよ?
-
- 328 : 2015/02/02(月) 18:13:41 :
- セレスがオリジナルならアフリカで生まれた、と解釈できるかと・・・
-
- 329 : 2015/02/02(月) 18:26:43 :
能力者ファイル Original
安広 多恵子
能力『炎』
炎を纏う能力。
射程距離は50メートル。
ーーー
ーー
ー
安広多恵子に肉親はいない。
それは安広多恵子の両親が、望んだ結果のものだった。
1995年、安広多恵子がまだ母親のお腹の中にいる時の話。
安広多恵子の兄は、両親の抵抗虚しく、能力者のモルモットとして政府に連れ去られた。
このことは、彼女の両親を酷く落ち込ませた。
だが、更なる苦悩が二人を襲う。
母親は、自分のお腹の中の娘も、兄と同じような力を持っていると感じていた。
このままでは、娘も兄と同じように連れ去られてしまう。
そう考えた彼らは、産まれた自分の娘を、日本という比較的安全な国へと送った。
セレスティア・ルーデンベルクと改名して…
ー
ーー
ーーー
-
- 330 : 2015/02/03(火) 16:03:50 :
- 期待です
-
- 331 : 2015/02/03(火) 16:28:19 :
- そうか、セレスの家系がそういうもんなのか
でも炎とか色々できそうだなぁ
サバイバル生活とかでかなり役立ちそう・・・
-
- 333 : 2015/02/03(火) 17:22:46 :
大神「ぬぅ…!!」
何と激しい能力だろうか。
荒ぶる炎。
食堂中を灼熱の熱気が包み込む。
セレス「大丈夫、いたぶる趣味はありませんわ」
セレス「すぐに殺してあげます」
そう言ってセレスは微笑む。
その笑みが、逆に我を畏怖の念を煽り立てる。
大神「…我の能力は、『創造』」
大神「物質を作り出す能力だ」
苗木たちの為に、少しでも時間を稼がなければならない。
我は、あえて自分の能力をセレスに教えた。
セレス「『能力』…」
セレス「貴方がどんな能力だろうと、私には全く関係ありませんことよ?」
セレス「ただ、燃やし尽くすだけ」
大神「!?」
セレスの目が一瞬、鋭く光った。
それと同時に、辺りを照らしていただけの炎がまるで意思を持ったかのように、我に襲いかかってきた。
我は炎に耐えるために構える…が、
そんなもの、セレスの能力の前には全く意味をなさなかったようだ。
大神「グァァァァ…!!?」
圧倒的なスケールの炎に、身体が飲み込まれる。
そして、
そこで我の意識は途絶えた。
セレス「骨も遺さぬ、最強の能力…」
セレス「次の犠牲者は誰になるのでしょうか?」
ー
ーー
ーーー
ーーーー
-
- 334 : 2015/02/03(火) 20:04:57 :
- 創造の能力とかもしや大神さんの筋肉って創造されたもの・・・
じゃないですよね
-
- 335 : 2015/02/03(火) 22:21:44 :
- >>334
⊂((・x・))⊃
-
- 336 : 2015/02/03(火) 22:22:47 :
ー
ーー
ーーー
ーーーー
苗木「大神さんを助けないと!!」
僕は、食堂へと向かおうとする。
だが、僕の目の前に大和田くんが立ち塞がった。
大和田「……大神は、『覚悟』して食堂に残った」
大和田「俺たちの為に死ぬ『覚悟』だ」
大和田「だから、俺たちはそいつの『覚悟』を裏切っちゃいけねえ…と、思うぜ」
大和田「もう、前に進むしか道はないんだ……!!」
苗木「……わかった」
苗木「でも、一つやっておきたい事があるんだ」
苗木「まずは……それからだよ」
ーーーー
ーーー
ーー
ー
-
- 337 : 2015/02/03(火) 22:47:14 :
- やっておきたいこと・・・
この季節・・・
手洗いうがいだな(確信)
-
- 338 : 2015/02/04(水) 19:06:08 :
ーーーー
ーーー
ーー
ー
セレス「……」
食堂からセレスさんが出て来た。
僕はそれを、物陰から息を潜めて見つめる。
『彼女だけが出て来た』、それが意味する事は……。
いや、今はそれを考える事はよそう。
……僕が試したいのは『奇襲』。
いくら最強とはいえ、四六時中、神経を研ぎ澄ましているわけにもいかないだろう。
苗木「殺ってやる…!!」
覚悟を決め、僕は鉛玉を彼女に向ける。
失敗は許されない。
鉛玉を握る手が熱くなる。
苗木(…喰らえ!! 『超加速』ッ!!)
バチッ!!!
鉛玉が発射される。
まだセレスさんは、こちらに気づいてないようだった。
苗木「いける……!!」
鉛玉はスピードを増し、セレスさんに襲いかかる。
セレス「あら、苗木くんではないですか?」
セレスさんは、こちらに勝ち誇ったような笑顔をみせる。
まるで全てを見透かしていたかのごとく。
苗木「いや、関係ない……この速度なら、鉛玉はセレスさんを殺せる……!!」
僕の『超加速』により、鉛玉の速度はいつもの何倍にも膨れ上がっていた。
だが、
それでも彼女には届かない。
セレス「諦めなさい」
セレスさんが目を瞑る。
すると、彼女の周りにあった炎が重なり合い、大きな火柱を作り出した。
その衝撃で、セレスさんの髪が軽くなびく。
苗木「…なっ!?」
鉛玉はそのまま彼女の火柱に飛び込み、焼失していった。
苗木「『奇襲』失敗か……」
確かに悔しいけど、落ち込んでいる暇など有りはしない。
僕はすぐに逃げ出した。
セレス「『逃がすか』……そう言いたいところですが、貴方だけはじわじわと追い詰めて殺すと決めていますからね」
セレス「せいぜい、もがき苦しみなさい」
僕は彼女の挑発にも耳を貸さず、ただひたすらに皆のところに向かって走った。
ー
ーー
ーーー
ーーーー
-
- 339 : 2015/02/04(水) 22:15:32 :
【娯楽室】
苗木「……ってなわけで、奇襲は失敗だよ」
苗木「ごめん……」
舞園「苗木くんが謝る必要ないですって!!」
苗木「でも、僕は貴重なチャンスを……」
霧切「反省は後にしましょう」
霧切「今はセレスさんを殺すことだけ考えるのよ」
霧切「そのためには、私たちの協力が必要不可欠なのだけど……」
霧切「ここまで言えば、わかるわね?」
そう言って、霧切さんは『二人』の方に視線を向ける。
葉隠「……」
江ノ島「……」
まだ、能力が判明してない二人だ。(霧切さんたちは、僕がいない間に自分たちの能力を話したらしい。)
霧切「貴方たちの『能力』を教えて頂戴」
霧切「正直、そうでもしないと勝てる気はしないわ」
江ノ島「…しょうがないわね」
江ノ島「私の『能力』は、無効 」
江ノ島「物体を『無効』にする能力」
大和田「『無効』? どういう意味だそりゃ」
江ノ島「まあ、聞くよりも見た方が早い」
江ノ島「手…出して」
大和田「お、おう…」
大和田くんは言われるがままに、江ノ島さんに向けて手を差し出す。
-
- 340 : 2015/02/04(水) 22:21:16 :
江ノ島「……握手」
大和田くんは、何が起こるのかと不安になりながらも、江ノ島さんと握手をしようとする。
が、
大和田「なっ!?」
大和田「触れねえ!!?」
そう、大和田くんは、江ノ島さんの手に触れることが出来ないでいたのだった。
大和田「『見える』のに、『触れねえ』ッ!!?」
江ノ島「……それが私の能力」
江ノ島「インビジブル」
能力者ファイル.12
戦刃 むくろ
能力『無効 』
指定した物体を、無効化する能力。
無効化された物体は、見ることは可能だが干渉することは出来ない。
一度に無効化出来る場所は、一箇所だけで、射程距離は半径2mである。
そして、無効化出来る継続時間は2秒と短い。
-
- 341 : 2015/02/05(木) 13:14:21 :
- 半径2mなら全身を無効にもできるの?あと、連続で無効にはできないの?
-
- 342 : 2015/02/05(木) 16:10:56 :
- 葉隠はあれか、毛を伸ばす能力を駆使して攻撃するんだな
-
- 344 : 2015/02/05(木) 19:08:27 :
江ノ島「今のは、私の手を『無効化』した」
苗木「す、凄く強いぞ……!!?」
大和田「そうだ!! 自分の身体を無効化したままセレスに突っ込めば、勝てるんじゃねーか!?」
江ノ島「……がっかりさせる様で悪いけどそれは出来ない」
江ノ島「『無効化』が続くのは2秒まで」
江ノ島「突っ込めばそのまま、確実に燃やされる」
大和田「そ、そうか……」
霧切「なるほどね。じゃあ、次は葉隠くんよ」
葉隠「……俺は嫌だべ」
葉隠くんの口から発せられた言葉は、意外なものだった。
-
- 345 : 2015/02/05(木) 19:14:57 :
石丸「なっ!?」
葉隠「俺はそんな危険な事、やりたくねーべ!!」
葉隠「皆も見ただろ!?」
葉隠「セレスっちの能力をよ!!」
葉隠「化物だった……あんな奴に勝てるわけねえべ」
葉隠「だから俺は逃げる!!」
葉隠「勝ちの薄い希望より、生き残りやすい絶望に賭ける」
葉隠「これが俺の生き方だべ!!」
そう叫び、葉隠くんは娯楽室から飛び出していってしまった。
苗木「……葉隠くん」
石丸「情けない!!」
霧切「……いない人の事を幾ら言っても、現状は何も変わらないわ」
霧切「今はただ、セレスさんに勝てる策を練るのよ」
霧切さんにもっともな正論を突きつけられ、僕は黙り込む。
それでもやはり、人が少なくなった部屋は寂しく感じた。
-
- 346 : 2015/02/05(木) 19:50:30 :
(応用次第でセレスの裏をかける能力を葉隠が持ってると信じて)期待です!!
-
- 347 : 2015/02/05(木) 20:11:12 :
- 葉隠がこのままセレスあわないかなー
-
- 348 : 2015/02/05(木) 20:30:39 :
- 葉隠クンはきっと内緒でセレスを倒しに行ったんだよ
葉隠クンかっこいい~
っていう現実逃避を苗木がしないかなぁ
-
- 349 : 2015/02/06(金) 22:57:54 :
- 葉隠くんのあるかどうか不明な活躍にご期待下さい!!
-
- 350 : 2015/02/06(金) 23:00:29 :
その気まずい空気を打ち破るかのように、大和田くんが口を開く。
大和田「それよりよぉ……セレスは大丈夫なのか? 」
霧切「どういう意味?」
大和田「いや、もう既に結構俺らに近づいているんじゃねーかと思ってよ」
舞園「あ、それなら大丈夫です!!」
舞園「彼女は今、二階にいますから!!」
苗木「え……?」
舞園さんの唐突なカミングアウトに、僕は疑問を覚えた。
苗木「舞園さん、何で君はセレスさんの現在地がわかるの?」
舞園「わかるって言っても大体の場所ですけどね!!」
舞園「何故かと申しますと、それは私の『能力』によるものなのです!!」
苗木「『能力』?」
舞園「私の能力は『音』」
舞園「実は、今もずっと聞こえない程度の音を出し続けてるんですよ?」
舞園「音というのは、空気の振動」
舞園「空気の振動は物体に当たる度に、跳ね返る」
舞園「その跳ね返ってきた空気の振動から逆算して、私はセレスさんの現在地を把握しているのです!!」
苗木「な、なるほど……言うならば、潜水艦のソナーとかコウモリの超音波みたいな感じかな」
コウモリは超音波を出すことによって、暗闇の中でも障害物を把握することが出来るらしい。
舞園さんが行っているのは、きっとそれだろう。
-
- 351 : 2015/02/06(金) 23:06:04 :
霧切「……それなら私は逆に、近くならはっきりとわかるわね」
霧切「例えば、セレスさんの半径10mくらいに近づけば、壁越しでも位置を正確に観れるわ」
江ノ島「……半径10m以内に近づけば燃やされちゃうでしょ」
霧切「フフッ、そうね。否定は出来ないわ」
霧切さんは笑みを見せる。
彼女の今の発言も、そこまで本気ではなかったのだろう。
だが、
苗木「……いや、そこだよ」
霧切「え?」
苗木「彼女の能力の強さと弱点は……そこにあるんだ、きっと」
-
- 352 : 2015/02/07(土) 20:35:17 :
石丸「ど、どういう事だね!?」
苗木「……僕がさっきした話を思い出してくれない?」
霧切「ええ……それがどうしたのよ」
苗木「僕は言ったよね?」
苗木「鉛玉が『焼失』したってさ」
苗木「『焼失』ってことは、『気化』したってことでしょ?」
苗木「しかも、ほんの一瞬で」
苗木「『鉛』玉の『沸点』は確か『約1800℃』」
苗木「セレスさんの『炎』は、それ以上の温度を持っているんだよ」
苗木「なのに」
苗木「何で彼女は、あんなに炎に近づいても平気なんだろう……?」
大和田「た、確かに言われてみれば……!!」
苗木「『約1800℃』以上の炎に近づけば、普通は絶対ただじゃ済まないよね」
石丸「それは……彼女が『炎』の能力者だからなのではないか!?」
苗木「いや、それは違うよ」
苗木「だとすると、セレスさんは『炎』と『耐熱性』っていう二つの能力を持ってることになる」
苗木「それは能力者のルールに反しちゃうし、いくら彼女が原型だとしても、そのルールは適用される筈だ」
苗木「それに僕たちだって、あの距離だと『炎』に対して近すぎる」
苗木「……これらのことから、セレスさんの『炎』の方に秘密があるのと考えるのが妥当だろうね」
-
- 353 : 2015/02/07(土) 20:40:39 :
霧切「秘密……」
霧切「一つ、言っていいかしら?」
苗木「うん、構わないよ」
霧切「……彼女の能力の謎は、大きく分けて二つあるわ」
霧切「一つ目は、『何故、あれほどまでの巨大なエネルギーが出せるのか』」
霧切「そして二つ目は、苗木くんも言ってた、『炎に近づける距離』」
霧切「この二つの問題を解決する仮定があるんだけど……聞く?」
霧切さんは、不安そうにこちらを見つめる。
自分の意見に自信が持てないのかもしれない。けど、言わなきゃ何も進まない。
僕は無言で頷いた。
霧切「……」
霧切「彼女の『炎』は、炎であって炎じゃないのよ」
-
- 354 : 2015/02/07(土) 20:47:30 :
炎だと信じこんだら焼かれる…みたいな幻覚能力ですかね??
-
- 355 : 2015/02/07(土) 20:52:59 :
- >>354
それいいですね!! ですが、残念ながら違います。炎であって炎じゃないんです。
-
- 356 : 2015/02/07(土) 20:59:13 :
大和田「炎であって炎じゃない!!?」
霧切「ええ、炎っていうのは基本的に、周りにもエネルギーを撒き散らす」
霧切「だから私たちは、炎に触らなくても近づけば熱いと感じるの」
霧切「ただ、セレスさんの『炎』にはそれがない」
苗木「……なるほど」
霧切さんの仮定は、確かに理にかなっている。
だが、セレスさんの能力が『炎』であることは、変えようのない事実だ。
苗木「それじゃあ、セレスさんの本当の能力って何なの?」
霧切「それは……『炎』でしょう」
苗木「でも、『炎』じゃないって霧切さんは言ってたよね?」
霧切「いえ、私が言ったのは、『炎であって炎じゃない』ってことよ」
霧切「彼女は『炎』を、凝縮して一点に集めているの」
霧切「だから『炎であって炎じゃない』」
苗木「あ、そういう事か」
苗木「周りに撒き散らしているエネルギーを、一点に凝縮しているから……」
苗木「僕たちは『炎』に近づける
し、セレスさんの『炎』のエネルギーは大きいのか!!」
霧切「そうね……つまり、彼女の『炎』は『出現』させているというより、『纏っている』といった方が正しいのでしょう」
霧切「凝縮した『炎』を『纏っている』」
霧切「きっと、それが彼女の能力の秘密ね」
そう言い切り、霧切さんは口を閉じた。なかなか正確な推理なのではないだろうか。
だが、他の皆の反応はどうも薄かった。
舞園「うーん、でも、あまり使えそうにない情報ですね」
石丸「クッ……ここまで議論しても駄目か」
-
- 357 : 2015/02/08(日) 07:33:16 :
苗木「それは違うよ」
苗木「やっと勝機が見えてきたってところじゃないか……!!」
苗木「これでまだ、戦える」
大和田「……勝てるのか?」
大和田「あの化物に」
苗木「それはわからないよ……僕は神様じゃないしね」
苗木「けど」
苗木「勝つ手段は、整った」
苗木「勝負は、彼女が三階に上って来た時に決まる」
苗木「舞園さんは、セレスさんの動きをしっかりと把握しててね?」
舞園「はい!! 任せて下さい!!」
苗木「……じゃあ、作戦を話すね」
大和田「……」
苗木「あ、その前に石丸くんにお願いがあるんだけど」
石丸「む、何だね?」
苗木「実は……」
ー
ーー
ーーー
ーーーー
ーーーーー
ーーーーーー
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
ー
【三階廊下】
苗木「ふぅ……」
皆には、作戦を全て伝えた。後は、事が上手く運ぶように祈るだけだ。
苗木「!!」
階段の方から、人影が動いてくるのが見えた。
セレス「おや……苗木くん、お一人のようですが」
セレス「逃げるのを諦めたんですか?」
その人影は勿論、セレスさんだった。
彼女は獲物を見つけたとでも言わんばかりに、目を赤く光らせる。
苗木「違うね……負けることを諦めたんだ」
-
- 358 : 2015/02/08(日) 16:07:31 :
- まさか・・・加速能力でジワジワと寿命を・・・
ナワケナイデスヨネ
-
- 359 : 2015/02/08(日) 18:54:36 :
- >>358
はい、違います
-
- 360 : 2015/02/08(日) 18:56:41 :
僕と彼女の距離は、およそ20m強。この距離を活かして戦う。
セレス「フッ、では、貴方が抱いている希望を絶望にひっくり返してあげましょう」
セレス「そうですね……貴方が持っている『鉛玉』の数は、全部で6個ですわよね?」
苗木「なっ!? 何故、それを!!?」
セレス「……今のは、カマをかけてみただけですわ」
セレス「まさか正解だとは思っていませんでしたけどね?」
そう言って、セレスさんは笑顔を見せる。まずい、完全に彼女のペースだ。
苗木「……けど、それがわかったところで関係ない」
苗木「喰らえ、鉛玉の一撃を!!」
正確には、一撃ではなく五撃である。
僕はポケットから5つほど球体を取り出し、全てセレスさんへと撃ち込んだ。
セレス「フン……ノロいんだよ!!」
僕と彼女の間に、炎の嵐が吹き荒れる。
僕が撃ち込んだ球体は、一つ、二つ、と次々と炎に吸い込まれていった。
苗木「ノロいか……その通りだよ」
苗木「だって僕は、弾を一つも加速させてないからね」
苗木「君の目を遅い弾に慣れさせたところで、加速させた速い弾を撃ち込む!!」
苗木「このスピードの緩急を、君は捉えられるかなッ!!」
バチッ!!!
僕がさっき撃ち込んだ球体が、全て炎に焼き尽くされたと同時に、
僕は最後の一つをポケットから素早く取り出し、彼女の方に発射した。
セレス「スピード……緩急……?」
セレス「そういうのを……」
セレス「浅知恵って言うんだよォォォォ!!!!」
彼女の糾弾と共に、炎が其処ら中を暴れ回る。
そして、
僕が放った弾は、加速させる間も無く炎に飲み込まれていった。
セレス「これでお分かりになりました?」
セレス「貴方
では私
には勝てない……と」
苗木「……」
-
- 361 : 2015/02/08(日) 19:34:19 :
- すげくつえぇっすマジ期待っす。
-
- 362 : 2015/02/08(日) 21:58:49 :
- >>361期待あざっす!!
-
- 363 : 2015/02/08(日) 21:59:56 :
苗木「……」
苗木「フフフ……」
苗木「これを見ても、まだ勝ち誇っていられるかな!?」
僕はポケットから鉛玉を6つほど、一つ一つを指と指の間に挟み取り出す。
セレス「ハッ、ハァァァァ!!?」
セレス「さっき、持っているのは六つだと、そう仰ってたではないですか!?」
苗木「うん、僕も君に当てられてびっくりしたよ」
苗木「ただ、六つなのは『鉛玉』の個数だったんだ」
苗木「つまり僕がさっき放ったのは、『鉛玉』じゃなくて……」
苗木「石丸くんの『拘束具』だッ!!」
セレス「『拘束具』ッ!!?」
苗木「僕がポケットに忍び込ませておいたのは、『鉛玉』六つと『鉛玉に似せた拘束具』を六つ、つまり計十二個だったんだよ」
セレス「クッ、私が焼いたと思っていた『鉛玉』は、実は『拘束具』でしたのね……!!」
苗木「……」
苗木「それも違うよ……!!」
セレス「ファッ!!?」
苗木「君の能力の秘密はもうバレているんだ……セレスさん」
苗木「それは、君の『炎』が凝縮されたものであり、気体というより固体と考えた方が正しいってことをね……!!」
セレス「フッ!! それが分かったところで何になるんだよビチグソがァァァ!!!!」
苗木「それはこっちの科白だよ…まだ分からないの?」
苗木「石丸くんの能力は、『対象物に触れた時に拘束する』という能力」
苗木「そして、君の能力は固体」
苗木「ここまで言えば、分かるでしょ?」
セレス「まっ、まさか……!!!?」
セレス・苗木「「私(君)の能力を『拘束』したッ!!?(!!)」」
-
- 364 : 2015/02/08(日) 22:21:06 :
- そ、そんなことが∑(゚Д゚)期待しかない!
-
- 365 : 2015/02/08(日) 23:33:15 :
- なるほど、そう言うことなのか
-
- 366 : 2015/02/09(月) 08:35:11 :
- 苗木が霧切と化している!
まさかそういうこととは…
-
- 367 : 2015/02/09(月) 18:07:18 :
- な、なるほどぅ・・・
あれ?でも苗木は拘束具に触れて大丈夫なのかな
-
- 369 : 2015/02/09(月) 20:58:03 :
- >>368
あ、本当だ、少し頭から抜け落ちてましたw
執筆頑張ってください~
-
- 370 : 2015/02/10(火) 19:23:18 :
苗木「……そう、大正解」
苗木「6発撃ち込んだからね、90kgは重くなってる筈だよ」
苗木「君の炎はね」
セレス「……でも、それでも関係ないッ!!」
セレス「私の勝利は揺るがない!!」
苗木「悪いけど、これで決めるよ……!!」
僕は鉛玉の照準をセレスさんの額に合わせ、距離を微調整する。
僕は『超加速』を発動する為、力を身体中からかき集めた。指先に力が集中する。
作戦を使えるのは一度きり。
次はない。
苗木「だからこそ……」
苗木「だからこそ、ここで殺すッ!!」
バチッ!!
鉛玉は、この戦いを終わらせるために、僕の指から放たれた。
鉛玉は走る。
最後のチャンスを背負って。
苗木「いけええええええええ!!!!」
そして、鉛玉は……加速する。
セレス「クッ!!」
セレスさんの炎の動きが、少し鈍っているように見えた。
きっと石丸くんの、『拘束具』の効果が出ているのだろう。
だが、
彼女の炎は尚、激しく燃え、辺りを焦がしながら僕の方へと突進してきた。
セレス「このまま……鉛玉ごと、お前を消して殺る!!」
苗木「!!」
セレスさんが全身全霊で僕を殺そうとしているのが、感じ取れた瞬間だった。
-
- 371 : 2015/02/10(火) 19:28:55 :
苗木「……けど、それがいい」
苗木「『全身全霊』ってところが凄くいい!!」
苗木「『僕の方へと意識を集中させてる』ってところが凄くいい!!」
ー
ーー
ーーー
【四階廊下】
霧切「……ここよ」
霧切「丁度、ここの真下にセレスさんがいるわ」
霧切「私の観察眼なら、『床』で隔てていても正確な位置がよく観える……!!」
江ノ島「了解……」
江ノ島「炎は大丈夫?」
霧切「ええ、苗木くんの方に全て向かっているわ」
江ノ島「なるほど」
江ノ島「じゃ、行ってきます」
江ノ島「無効 」
江ノ島「床の一部を……『無効化』した」
江ノ島「これで下に飛び込める」
ーーー
ーー
ー
【三階廊下】
セレス「死ねええええええ!!!!」
暴れ回る炎が、『超加速』していた僕の鉛玉を飲み込む。
次は、僕の番か……。
そんな事を思っていると、天井をすり抜け、江ノ島さんが出現した。
丁度、セレスさんの真上を。
セレス「なっ!?」
慌てふためきながら、セレスさんは炎を自分の元へと戻そうとする。
が、
遅い。
苗木「これで終わりだ……」
江ノ島「それじゃ」
苗木・江ノ島「「また、来世でお会いしましょう」」
-
- 372 : 2015/02/10(火) 23:35:58 :
- おおおおおかっけぇええ!
-
- 373 : 2015/02/11(水) 01:27:00 :
- 忘れてたけど、7人生き残れるからセレスを倒せば丁度になるんですね!(モノクマもいるからこれで終わりだとは思わないけど)
-
- 374 : 2015/02/11(水) 08:27:26 :
- >>373
それなら葉隠を殺ればワンチャンある…!
-
- 375 : 2015/02/11(水) 09:52:52 :
- しびれるぅぅう!!!!!
-
- 376 : 2015/02/11(水) 10:02:42 :
落下している衝撃も利用しながら、江ノ島さんはセレスさんに重い一撃を浴びせる。
江ノ島さんのナイフが、セレスさんの首筋を切り裂いた。
それと同時に倒れ、動かなくなるセレスさん。
それが、最強だった彼女の終幕だった。
苗木「これで、終わりなんだ」
今生き残っているのは、
僕。
霧切さん。
舞園さん。
大和田くん。
石丸くん。
葉隠くん。
江ノ島さん。
ぴったり7人。
モノクマの言っていた人数と、一致した。
それが、何故か悔しかった。
奴の手のひらの上で躍らされているような気がして。
だが、これで終わりだ。
能力コロシアイ学園生活の最後。
僕は、皆と共に、玄関ホールへと向かうことにした。
第四章 END
-
- 377 : 2015/02/11(水) 10:33:55 :
- 葉隠は何もしてないのに脱出はなんかムカつくよね…
-
- 378 : 2015/02/11(水) 18:41:04 :
- >377
適応してたってことで!!
-
- 379 : 2015/02/11(水) 18:42:43 :
第五章 『道』
【玄関ホール】
大和田「……終わったのか」
石丸「ああ、終わったんだ」
苗木「……」
終わりこそしたが、失ったものが多過ぎた。
苗木「クッ……」
僕は、皆を見回す。
もう仲間を失いたくはない。
必ず守り抜く。ここから出たら、取り敢えず警察に連絡しよう。
苗木「……あれ?」
見回している途中で気付いた、『江ノ島』さんがいない。
苗木「江ノ島さんは?」
僕は、近くに立っていた舞園さんに尋ねた。
舞園「さ、さあ? 分かりません」
舞園さんは首を傾げ、そう答える。僕は「そっか」と素っ気ない態度で返した。
いずれ来るだろう。
そう思い、今は気にしないことにした。
葉隠「やっと終わるべ……」
そう言うと、葉隠くんは深い溜め息を漏らした。
さっきまで逃げていた癖に……虫がいいというか何というか。
霧切「……ねえ、苗木くん」
苗木「ん? どうしたの?」
霧切「……」
霧切さんは何かを躊躇っているようだった。言い辛い事でもあるのだろうか。
霧切「…あ」
決心を固めたのか、霧切さんは口を開く。そこから声が発せられた。
-
- 380 : 2015/02/11(水) 21:48:28 :
- 姉と妹がいるから(江の島)
-
- 382 : 2015/02/12(木) 19:22:59 :
ドスッ…
その瞬間。
僕には何が起こっているのか、さっぱり分からなかった。
ただ、目で見た事は、霧切さんの腹部から腕が生えていたことだけだった。
苗木「え……?」
血が雨のように、僕に降り注ぐ。
霧切さんの生暖かい血だ。
霧切「……かはっ」
霧切さんは、苦しそうな目をこちらに向け、呟く。
霧切「苗木く…ん……」
苗木「霧切さん……!?」
彼女はそう言葉を発し、目を固く瞑った。
霧切さんの最後。
それが僕の名前で締められたという事実が、少し嬉しく、
又、彼女に最後が訪れてしまったことが、妙に悲しかった。
苗木「クソッ……誰がこんなことを……」
僕は目を擦りながら、霧切さんを死へと追いやった人物を見つめる。
その人物とは……。
-
- 383 : 2015/02/12(木) 20:07:41 :
- 意外と葉隠だったり…
-
- 384 : 2015/02/12(木) 21:00:28 :
- 葉隠だろ(確信
-
- 385 : 2015/02/12(木) 22:47:07 :
- 葉隠だな
-
- 387 : 2015/02/12(木) 23:14:32 :
- 葉隠だったら書くの止めます。
-
- 388 : 2015/02/13(金) 07:51:38 :
- 葉隠とか言わないので続けてくださいお願いします
-
- 389 : 2015/02/13(金) 15:19:24 :
- あれか、スイカ食べたら種まで食っちゃってツルが生えてくるみたいな感じか、腕の種でも食ったのか
-
- 390 : 2015/02/13(金) 18:36:48 :
- >>388
大丈夫ですよー。書きます。ただ、あまりやられちゃうと、このSSに全く関係ないコメントまで便乗して書かれちゃうんで、出来る限りお控え下さい。
あと、返信のコメントがきて少し感動しています。ネットってやり逃げしほうだいですからね……。
-
- 391 : 2015/02/13(金) 21:02:09 :
ザ・ドール『・・・』
死んだ筈の不二咲くんの能力、『ザ・ドール』だった。
大和田「何でコイツが…!?」
大和田くんは、霧切さんの死体に目を向けることなく『ザ・ドール』へと視線を飛ばす。
他の皆も同様だった。
石丸「……何がどうなっているのだ!?」
???「やあ、また会ったね」
『ザ・ドール』の頭部の方から、聞き慣れていた声が聴こえた。
不二咲AI「お久しぶり」
その声の持ち主は、僕が殺した筈の不二咲くんだった。
苗木「な、何で……」
不二咲AI「ん? ああ、何で『僕が生きているのか?』って事?」
不二咲AI「それは簡単だよ」
不二咲AI「僕は『アルターエゴ』なんだ」
不二咲AI「本体は死んでるけど、本体の記憶はここにある」
不二咲くん?がそう言うと、それと連動して、ザ・ドールが自分の頭部をコツコツ叩く。
舞園「本体が死んでるのに……何で能力が発動しているんですか!?」
舞園さんがザ・ドールに向かって、必死になって叫ぶ。
不二咲AI「……君は、能力って何だと思う?」
不二咲AI「僕は、能力とは『魂』だと思ってる」
不二咲AI「『魂』が持つエネルギー、それが能力なんだよ」
不二咲AI「本体の『魂』は、僕が受け継いだ」
不二咲AI「だから僕は能力を使える」
苗木「……魂か」
舞園さんの疑問は、不二咲くんにより直ぐに片付けられた。
次は……僕が質問する番だ。
-
- 392 : 2015/02/13(金) 21:21:36 :
苗木「それよりだ、お前、今まで何処にいた?」
不二咲AI「僕? ああ、普通に情報を集めてたよ」
不二咲AI「君たちのね……」
苗木「!?」
背筋がゾワッとした。能力が奴にバレている。
そう確信出来る程の何かが、不二咲くんの発言の中にあった。
不二咲AI「まあ、それだとコッチが有利過ぎるからね」
不二咲AI「君たちが少し有利になる情報をあげよう」
不二咲AI「ザ・ドールの頭部にある、僕(データ)を破壊すれば、僕は消滅する」
大和田「頭部……!!」
頭を狙え。そう誘導しているようにも思えた。だが、今はその確証の少ない情報にもすがるしかない。
不二咲AI「……じゃ、そろそろ始めよっか」
苗木「『戦わない』って選択肢は?」
不二咲AI「フッ……そんなもの、最初から無いに決まってるじゃん」
『確かに』、心の何処かでそう感じた。
弱肉強食とも言える社会を生きていく上で、僕たちは常に誰かと争っている。
それが人間に定められた宿命なのかもしれない。
ザ・ドール『・・・』
ザ・ドールは、石丸くんの方へと足を進める。やけにゆったりとした足取りだった。
-
- 393 : 2015/02/13(金) 22:26:18 :
石丸「ならば、迎え撃つ‼」
石丸くんはチョーク型の『拘束具』を取り出し、ザ・ドールに投げつけた。
ザ・ドール『ヌ……』
石丸くんの放った『拘束具』がザ・ドールの腕に当たり、ずぷずぷと入っていく。
石丸「やった‼」
それを見た石丸くんは、喜びを露わにする。
だが、
不二咲AI「さよーなら」
不二咲くんの言葉と共に、ザ・ドールの腕が一本、消滅していった。
無論、石丸くんの『拘束具』が当たった方の。
不二咲AI「これで『拘束』は発動出来ない」
不二咲AI「そして……修復」
不二咲くんが『修復』、そう呟くと、消滅した筈のザ・ドール腕が元に戻っていった。
石丸「な……!?」
不二咲AI「これがいいよね……ザ・ドールは能力だから、パーツの取り外しが簡単なんだ」
-
- 394 : 2015/02/13(金) 22:47:53 :
- 能力そのものが本体みたいなものだからただでさえ厄介なのに、再生したりパーツの取り外しをしたりチートかよ…
(セレスの方がチートだけど)
-
- 395 : 2015/02/13(金) 23:51:22 :
- なんか大和田の強化版であり弱体化版であるみたいな感じ・・・かな?
-
- 397 : 2015/02/14(土) 09:44:05 :
不二咲AI「……さて」
不二咲AI「死ね」
重い言葉が、僕の胸に突き刺さる。
また、守れなかった。
ザ・ドール『オラッ‼』
石丸「フグッ‼?」
ザ・ドールの拳が、石丸くんの首をいとも簡単にへし折る。
あれでは二度と立てないだろう。命がまた摘まれた。
苗木「……クソォォォォ‼」
僕は、ザ・ドールに向かって全力疾走で突き進む。
苗木「オラッッ‼」
不二咲AI「いや、君はまだだ」
苗木「!?」
僕のパンチを、ザ・ドールは物凄い跳躍力で躱した。
そしてそのジャンプの先には……。
舞園さんの姿があった。
-
- 398 : 2015/02/14(土) 09:50:19 :
- 石丸るるるるるるるるるるーーーーー
-
- 399 : 2015/02/14(土) 11:31:21 :
アルたんは江ノ島達が仕向けたんでしょうかね…?
-
- 400 : 2015/02/14(土) 21:21:09 :
- >>399
さて、どうでしょうか。続きは卒業の後で!
-
- 401 : 2015/02/14(土) 21:22:10 :
舞園「キャ……」
不二咲AI「じゃあね」
苗木「や、止めろおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
僕の叫びも虚しく、ザ・ドールは舞園さんに拳を振り下ろす。
葉隠「ああ……」
舞園さんの近くにいる葉隠くんは、完全に腰が引けていて、役に立ちそうも無かった。
不二咲AI「……死体の出来上がり」
大和田「そうはさせねえ!!」
間一髪。
そんなところで、舞園さんとザ・ドールの間に大和田くんが割って入った。
大和田「ガフッ‼?」
舞園「キャアッ‼」
ザ・ドールの鋭い拳により、舞園さんと大和田くんは吹き飛ばされ、壁に身体を打ち付けた。
大和田くんがクッションになってくれたお陰で、舞園さんにそこまでの怪我はなさそうだった。
苗木「た、助かった……」
-
- 402 : 2015/02/14(土) 22:43:47 :
- 大和田、お前は漢だぜ!
ということで期待‼︎
-
- 403 : 2015/02/15(日) 08:29:12 :
- 大和田…!まさに漢!!
かっこいい!
-
- 404 : 2015/02/15(日) 20:57:03 :
- 大和田の今後の活躍に目がはなせませんね^ ^
-
- 405 : 2015/02/15(日) 20:59:47 :
不二咲AI「チッ」
不二咲AI「まあ、いいや」
不二咲AI「先に君を殺す」
不二咲AI「彼らはその後だ」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!
苗木「……もう失いたくはない」
苗木「ここで終わらせる」
ザ・ドール『・・・』
石丸くんの時とは一変。
僕に対し、ザ・ドールは目にも留まらぬ早さで駆けて来た。
苗木「オラッ‼」
僕の拳を『加速』させる。
狙いは勿論、頭。
不二咲AI「無駄だ……!!」
僕のパンチをザ・ドールは左手で弾き飛ばし、残った右手で僕の顔面に拳を叩き込む。
苗木「ガハッ……!?」
不二咲AI「いや、まだ殺るよ」
ザ・ドール『オラオラオラオラオラオラオラオラッ‼』
ザ・ドールの拳が、まるで流星群のように僕に降り注ぐ。
激しい痛みと、悪魔のような苦しみが僕を襲った。殴られた箇所が燃えるように熱い。
苗木「グフッ…!?」
ザ・ドール『オラッッッ‼』
そして、ザ・ドールは拳に力をため、僕を殺す為の最後の一撃を放とうとしていた。
苗木「ガードしなきゃ……!!」
僕は、腕を顔の前に持って行こうとする。
不二咲AI「無駄だァッ‼」
だが、圧倒的なザ・ドールのスピードの前に、僕のガードは間に合わなかった。
苗木「グハッ‼」
顔面を殴られ、僕は近くの床を転がるようにして、飛ばされていった。
不二咲AI「……フ、勝ったな」
苗木「……」
-
- 406 : 2015/02/15(日) 22:32:13 :
- 加速でオーバーヒートできないのかなあ?
-
- 407 : 2015/02/16(月) 19:31:17 :
- >>406無理っす
-
- 408 : 2015/02/16(月) 19:32:58 :
苗木「……」
苗木「カハッ……ハァハァ……」
不二咲AI「な、まだ生きているのか」
不二咲AI「……なるほど、ガードを加速させて、間に合わせたと」
不二咲AI「味な真似を……!!」
苗木「……」
駄目だ。身体に力が入らない。
ザ・ドール『・・・』
ザ・ドールがこちらに少しずつ近づいて来る。
もう、抗うだけの力なんて残っていない。
不二咲AI「君は、僕が殺す」
不二咲AI「それが僕の役目なんだ」
不二咲AI「それじゃ、次は地獄で会おうぜ」
不二咲くんは別れの言葉と共に、ザ・ドールで僕に向かって拳を振るう。
-
- 409 : 2015/02/16(月) 19:35:38 :
ああ……僕は死ぬんだな。
そりゃそうだ。これはフィクションでもなければ、おとぎ話の世界でもない。
死。
それが当たり前のように行われる。
……それに抵抗はない。
僕は死んでも構わない。
だが、僕がここで死んだら、舞園さんと大和田くんはどうなる?
結果は目に見えていた。
だからこそ、死ねない。
けど、
ザ・ドール『・・・!!』
ザ・ドールの拳が、スローモーションで僕に近づいて来る。
どうやら僕はここまでのようだ。
ごめんね。
そして、
……さようなら
-
- 410 : 2015/02/16(月) 19:37:19 :
バギッ‼
ああ、命が摘まれる音。
……だが、意外なことに、その音は僕の物ではなかった。
苗木「葉隠……くん……!?」
葉隠「ハァハァ……!!」
ザ・ドールの拳は、いつの間にか僕の前に立っていた葉隠くんの腹部を、深く貫き通していた。
不二咲AI「……何でお前が、苗木を助けてんだよ」
葉隠「まあ……聞け」
-
- 411 : 2015/02/16(月) 19:42:02 :
葉隠「俺の能力は『予知』」
葉隠「って言っても、『誰かが死ぬ未来しか見えない』っていう最低の能力だけどな」
葉隠くんは苦しそうに喋る。
葉隠「……俺が小3の頃、道を歩いていると『予知』が発動した」
葉隠「内容は『道路に出た猫が、車に轢かれて死ぬ』という物だったべ」
葉隠「そして、それは本当に起こった」
葉隠「命が失われるのを初めて実感した時だべ」
葉隠「……それから、俺は誰かが死ぬ未来を『予知』するようになった」
葉隠「この能力を得た時は、自分の能力を心底恨んだべ」
葉隠「だって、予知したことは100%当たっちまうんだからよ」
葉隠「誰かが死ぬのを、黙って見過ごすしかなかった」
葉隠「今回も、そうなる……」
葉隠「筈だった」
葉隠「俺の『予知』は、『苗木っちがザ・ドールに殺される』そう出たべ」
葉隠「……けど、仲間が死ぬところを見るのはもう嫌だったんだ」
葉隠「だから動いた」
葉隠「すると、間に合った」
葉隠「お前から……苗木っちを守れた」
葉隠「……あの時、俺が恨むべき物は俺の能力じゃなかった」
葉隠「猫を助ける為に道路に飛び出さなかった、俺自身なんだべ……」
葉隠「誰かから指定された未来なんて、俺は御免だ」
葉隠「自分の運命は俺が選ぶ」
葉隠「俺の運命は、苗木っちを救うことだ‼」
不二咲AI「ハッ、救えてないだろ‼」
不二咲AI「この後、僕が殺るんだからな‼」
葉隠「グフッ……」
そう言って、ザ・ドールは葉隠くんから拳を引き抜いた。
苗木「……」
葉隠「カフッ……」
葉隠(ああ、これでいいんだべ)
葉隠(苗木っちを助けれた)
葉隠(それが俺にとっての勝利だべ)
葉隠(だから……)
葉隠「後は、任せたべ」
苗木「ああ、分かってる……!!」
葉隠くんの亡骸が床に打ちつけられた。
それと同時に、僕は気力を振り絞り立ち上がる。
苗木「僕の『治癒速度』を『加速』させた……!!」
-
- 412 : 2015/02/16(月) 20:29:25 :
- 葉隠さんマジカッコいいっす・・・
というかあの時能力言わなかったのは既にセレスが死ぬって分かってたからか・・・
-
- 413 : 2015/02/16(月) 23:11:03 :
- やべえ かっけぇ
-
- 415 : 2015/02/18(水) 22:41:45 :
-
不二咲AI「うんうん、で?」
不二咲AI「だから何?」
不二咲AI「それで僕に勝てるの?」
苗木「……」
あくまで可能性の範囲内。
出来るかどうかは分からない。
失敗すれば死ぬ。
けど、やらなきゃ確実に死ぬ。
なら、
苗木「失敗してから死んでやる……‼」
不二咲AI「殺すッ‼」
ザ・ドールの鋭い拳が、僕へと向かってくる。
僕も、ザ・ドールに向かって拳を全力で放つ。
ザ・ドールの拳の方が、若干早く僕に到達しそうだった。
不二咲AI「勝ったァッ‼」
怖い。
怖い怖い怖い怖い。
けど……。
苗木「希望の輝きで……道を切り開く……!!」
苗木「THE・HOPE 」
バキッ!!!
不二咲AI「なっ!?」
ザ・ドールが後退して行く。
僕の拳が、奴に当たったのだ。
不二咲AI「は、速……何をした!?」
苗木「……『加速』させたんだ」
苗木「僕の中の『時間の経過』をね」
苗木「だから君の感じていた1秒が、僕にとっての5秒になった」
苗木「それが『THE・HOPE』、『時の加速』」
-
- 416 : 2015/02/18(水) 22:45:40 :
不二咲くんに与えられた時間。つまり、皆が過ごす時間。当然、僕もその時間を過ごしている。
僕はその中でも『自分の時間の経過』を『加速』させた。
よって 不二咲くんの時間<僕の時間 となったわけだ。
数にして5倍、僕は不二咲くんの5倍動ける。(それ以上は、体力に限界があるため)。
-
- 417 : 2015/02/18(水) 23:23:26 :
- >>126の伏線回収乙です
-
- 418 : 2015/02/19(木) 18:44:04 :
不二咲AI「クソォ……!!」
不二咲AI「だが、無駄だ‼」
不二咲AI「『時を加速』させる前に叩き潰すッ‼」
苗木「ザ・ホー・・・」
僕が『時を加速』させようとすると、ザ・ドールが一気に詰め寄って来た。
ザ・ドール『オラッ‼』
苗木「うぐっ‼?」
ザ・ドールは僕の肩を狙ってきた。何とか直撃は避ける事が出来た……が、ザ・ドールの猛襲は続く。
不二咲AI「フハハハ‼ 消えろ‼」
不二咲AI「そして僕が頂点に返り咲く‼」
拳が雨のように飛んでくる。
避けるのが精一杯で、時間を加速させている暇なんてない。
そして、
僕の体力は限界に近かった。
-
- 419 : 2015/02/20(金) 21:53:33 :
ザ・ドール『オラッ‼』
苗木「ガハッ!?」
骨が折れた感触が、身体中を駆け巡る。
僕はその場に膝をついた。
不二咲AI「終わりだ……!!」
ザ・ドールは大きく拳を振りかぶり、力を込めているようだった。
これで終わらせる気らしい。
僕は、もう諦めていた。
事実、もう限界だった。
『ここまでやれたんだ』『悔いはない』そう言った思いの方が大きかった。
……ただ、ここで僕が死んだら、誰が不二咲くんを止めれる?
僕が殺るしかない。それが僕の宿命。
不二咲AI「必ず殺す……!!」
ザ・ドールの拳が、今、振り下ろされた。
やるなら今だ。
けど、何を?
時を加速させるには、加速させる為の時間が足りない。
ザ・ドールを加速させる?
フッ、冗談にしては笑えない。
そもそも、無理な話だったんだ。
僕が勝つなんて。
ああ、走馬灯が見える…。
-
- 420 : 2015/02/20(金) 22:26:12 :
???「さあ、苗木くん、ここまでは分かるかい?」
苗木「いえ……分かりません」
???「まあ落ち込む事はない」
???「いずれ分かればいいんだからな‼」
苗木「……ハイ‼ 仁先生‼」
仁「うん、それでいい」
仁「……さてと、じゃあもう一度教えるぞ?」
仁「二次関数っていうのは特別な関数でな、増加したり減少したりする」
仁「で、Xの変域が-1から4の時、Yの変域の最低値は何だと思う?」
苗木「えーっと、4を二乗して16……-1を二乗して1」
苗木「1です‼」
仁「そう、最初はそうやって皆が引っかかる」
仁「答えは0だ」
仁「二次関数は切片が0の場合、必ず0を通る」
仁「だから、最低値は0だ」
苗木「へー、どうもありがとうございました‼」
仁「いやいや、いいんだ」
仁「また分からないところがあったら、聞きに来なさい」
苗木「ハイ‼」
仁「ちなみに高校になると、グラフが動きだすからな」
苗木「えっ」
……ああ、懐かしい。
中学校の頃、仁先生だけは僕の味方だった。
元気にしてるかな?
僕は、今から死ぬ。
それが運命なら、しょうがない。
安らかな気持ちだ。
後悔はない。
短い時間だったけど、仲間と一緒にいれた。
それだけで僕は……
……ちょっと待て。
大切な事を忘れていないか?
思い出せ。
【仁「二次関数っていうのは特別な関数でな、増加したり減少したりする」】
【『加速』と『超加速』…2つの違いは何か?
それは単純である。
『比例的加速』か『二次関数的加速』かの差だ。】
【時を加速させるには、加速させる為の時間が足りない。
ザ・ドールを加速させる…?】
不二咲AI「今度こそ、勝った‼」
不二咲くんは僕を殺す気だ。
だが、思いとは裏腹に、
ザ・ドールの拳がだんだんとスピードを緩めていく。
不二咲AI「なっ!?」
そして、停止した。
ザ・ドール『・・・グググ!?』
苗木「僕の能力は、『加速(増加)』だけじゃなくて、『減速(減少)』も出来たんだ……」
苗木「そして『減速』していく物体の動きは」
苗木「やがて『0』になる……!!」
-
- 421 : 2015/02/20(金) 22:30:03 :
- おぉ、減速もできるとは・・・
そういえばザ・ドールって何の材質で出来てるんでしょうか・・・
-
- 422 : 2015/02/20(金) 22:34:25 :
- >>421
この世の物体ではないので、分類は不可能ですねー。強いていうなら『能力物質』とでもいいましょうか。
-
- 423 : 2015/02/20(金) 22:36:55 :
- >>422
なるほど・・・
確かにこの世の物で出来る物じゃないですからね・・・
回答ありがとうございます!
-
- 424 : 2015/02/20(金) 22:38:44 :
- >>423
いえいえ、こちらこそ質問ありがとうございます。
-
- 425 : 2015/02/20(金) 22:40:41 :
ザ・ドールが停止した時間は、ほんの一瞬。
だが、それで十分。
苗木「THE・HOPE」
苗木「僕の時間は加速する」
加速した時の中では、ザ・ドールの動きはスローに見えた。
そして、僕の拳がザ・ドールの頭部を打ち砕く。
何かが激しく飛び散っていった。
そして、ザ・ドールは儚く消え果てた。
苗木「ありがとう……ございました……!!」
目頭が熱くなる。僕は、もう一度だけ先生にお礼を言った。
第五章 END
-
- 426 : 2015/02/21(土) 00:13:44 :
- おおお…お見事…!!(ृ°͈꒳°͈ ृ )ु
-
- 427 : 2015/02/21(土) 22:17:23 :
- 苗木の能力って加速させる能力というより、速度を操る能力って感じがする
-
- 429 : 2015/02/22(日) 19:38:07 :
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
エピローグ 『僕が希望で、彼女は……』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今、玄関ホールに立っているのは3人。
舞園「……」
大和田「……」
苗木「……」
僕たちは固く口を閉ざしている。
今回の出来事は、そう簡単には僕たちを立ち直らせてはくれないだろう。
だが、
それでも、
生きる事は奇跡だ。
何かが生まれ、何かが終わる。
その瞬間に出会う事は、時には悲しみを運ぶ。
苗木「例え、そうであっても……僕は……」
舞園「苗木くん……」
舞園さんが僕に話しかけてきた。
「何だろう」、そう思いながら僕は振り向く。
舞園「ここから出たら、まずは、思いっきり泣きましょう」
舞園「笑うのは、それからでもいいんですから」
目に涙を浮かべながら、舞園さんは微笑む。
苗木「うん、僕たちの日常に……戻ろう」
僕も彼女に微笑み返す。
-
- 430 : 2015/02/22(日) 20:51:36 :
- あー…残ったの江ノ島除けば3人かー…少ない…
-
- 431 : 2015/02/22(日) 22:45:51 :
- 戦刃じゃなくてギャルの方の江ノ島の能力ってなんだったんだろう?
-
- 432 : 2015/02/23(月) 00:10:01 :
- 大和田が残ってるのが地味に嬉しい
-
- 434 : 2015/02/23(月) 19:08:11 :
大和田「俺はここから出たら、取り敢えず黒幕の野郎をぶっ潰すぜ!!」
苗木「そうだね、勿論、僕も同行させてもらうよ!!」
舞園「もぅ……無茶はしないで下さいね?」
大和田「そりゃそうだな!!」
僕たちは久しぶりに笑った。
久しく忘れていた、本心。
苗木「……さあ、行こうか」
僕たちは、円状のドアの前に立つ。
大和田「……」
苗木「……あ」
舞園「どうしたんですか?」
『江ノ島さんは?』、そう言おうとして止めた。
……何故なら、舞園さんの直ぐ後ろに江ノ島さんがいたから。
しかし、江ノ島さんが持っていたナイフを振りかぶり、そのナイフで舞園さんの首を斬り落とした事で、
僕の疑問は悲鳴へと変わった。
苗木「ああああああああああああああああああああああああああああ!!!?」
-
- 435 : 2015/02/23(月) 19:26:46 :
- ギィヤァァーーー!!!
ここに来てまさかの!?
期待です!!
-
- 436 : 2015/02/23(月) 20:04:07 :
- 凄い!まさかの展開っ!!
期待です!!あと…433みたいな感じで、
コメント?の返信ってどうやってするんですか?
-
- 437 : 2015/02/23(月) 20:29:34 :
- ぎゃああ!!
このまま大人しく帰すわけないですもんね…
-
- 439 : 2015/02/24(火) 20:56:53 :
- おおぉぉう…
あかん…
-
- 440 : 2015/02/25(水) 18:48:18 :
苗木「ああああああああああああああああああああ!!!?」
舞園さんの身体が崩れ落ちる。
顔だけになった舞園さんは、もう微笑みはしなかった。
苗木「何を……してるの……?」
僕は、江ノ島さんに尋ねた。
江ノ島「……」
江ノ島さんは俯いたまま、答えようとはしなかった。
それが僕の理性をぶち壊した。
苗木「答えろって言ってんだよ!? 江ノ島ァ!!!?」
江ノ島「私だって……分かんないよ……」
江ノ島「何が正しくて……何が間違っているのか……」
彼女は、涙を流しながらそう答えた。
江ノ島「けど、こうするしかなかったの、苗木くん……」
苗木「煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い‼‼」
苗木「……僕にも分かんないよ」
苗木「君を殺す事が、間違いなのかってさ」
僕は少しずつ江ノ島さんに近づく。涙が頬を伝わりながら、床に落ちた。
大和田「……苗木」
大和田くんが僕の肩に軽く手をおく。
苗木「大和田くん……邪魔、しないでよ」
僕は冷たくあしらった。
-
- 442 : 2015/02/26(木) 16:56:47 :
大和田「……いや、そうじゃない」
大和田「ちょっと舞園のところに行ってみろ」
大和田くんにそう言われ、ある事に気づく。
苗木「舞園さんから『音』が聞こえる……?」
僕は江ノ島さんに背を向け、舞園さんの方へと歩み寄る。
苗木「……舞園さん」
僕は顔だけになった舞園さんを、優しく抱き抱えた。
耳を近づけると、彼女のヘアピンから『音』が出ているのが分かった。
-
- 443 : 2015/02/26(木) 17:00:55 :
舞園『こんにちは、苗木くん……」
いや、『音』というよりは、『声』だった。
苗木「『能力』で、『声』を『ヘアピン』に与えたのか」
そして、死ぬ間際に能力を発動させたという訳だね。
舞園さんの遺言。
その場に、愛おしい程の静寂が訪れた。
舞園『えーっと……苗木くんがこれを聞いてるって事は、きっと私は死んじゃってるんですね』
舞園『これからの貴方の人生の隣に、私がいないっていうのは少し残念です』
舞園『けど』
舞園『貴方が生きている事が、私は一番嬉しい』
舞園『……さて』
舞園『さ、次は霧切さんの番ですよ‼』
霧切『私もやるの?』
舞園『当たり前じゃないですか‼』
舞園『提案したのは霧切さんですし‼』
舞園『それにほら、やっておかないと後悔するかもですよ?』
霧切『……分かったわよ』
霧切『苗木くん……私は最初、貴方をただの殺人犯としてしか見ていなかったわ』
霧切『けど、それは貴方の一面にしか過ぎなかったのね』
霧切『貴方は優しい』
霧切『私が今までで出会った、誰よりも……』
霧切『その優しさを、私に向けてくれてありがとう』
霧切『好きだったよ……』
舞園『キャー‼ お熱い‼』
霧切『……煩いわね』
霧切『生きてここを出たら、即刻これを消すわよ』
舞園『はい、そうですね‼』
舞園『……それじゃ』
舞園『苗木くん、本当にさようなら』
霧切『元気でね』
そこで、メッセージは途絶えた。
-
- 444 : 2015/02/26(木) 17:05:02 :
苗木「ああああああ……!!」
僕は舞園さんを強く抱きしめながら、泣き叫ぶ。
僕は、彼女たちを守れなかった。
大和田「……立てよ」
苗木「いや、もういいんだ……」
苗木「僕はここで終わる」
大和田「何言ってんだよ、苗木」
大和田「お前が立たなきゃ、誰が立ち上がるんだ!!?」
大和田「俺か!!?」
大和田「他の奴か!!?」
大和田「いや違う!!!」
大和田「死んだ奴らの思いを一番受け止めてるのは、苗木……」
大和田「お前だろうが……」
唇を噛む。目を強く閉ざす。
そして、
僕は立ち上がった。
苗木「……そうだね」
苗木「皆……託したんだよね」
苗木「僕に思いを」
苗木「だったら僕は、進まなきゃいけない」
もう、僕は江ノ島さんの方へと振り向く事は無かった。
隣には、大和田くんが立っている。
見つめる場所は同じだ。
江ノ島さんは、少し後ろに立ち、何かを思っているようだった。
寂しそうなその目を、僕は一生忘れる事はないだろう。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!
ドアが開く。
生き残ったのはたったの3人。
あまりに少ない。
だけど、僕は……。
苗木「前に進むよ」
少し開いたドアの隙間から、鋭い陽射しが射し込んできた。
僕はその眩しさに、一瞬、目を瞑る。
けど、
僕は目を見開いた。
-
- 445 : 2015/02/26(木) 17:07:39 :
そして、僕は見た。
逆光でよく見えないが、扉の向こうには人がいるのがわかった。
苗木「……キミは誰なの?」
???「……」
そして、その人物はゆっくりと口を開いた。
To be continue…
第一部
『モノクマ「うぷぷぷ…能力コロシアイ学園生活の幕開けだよ!』 END
-
- 446 : 2015/02/26(木) 17:10:24 :
- ということは続きが!?
-
- 447 : 2015/02/26(木) 17:13:10 :
- はい、第一部完結です。ここまで支えて下さった方々に、感謝を捧げます。
第二部は、細かいところのストーリーや構想練ったりするのに、少し時間がかかりそうなので、3月15日から執筆開始していきたいと思います。
最期は既に決まっているので、よろしければそこまでお付き合いお願いしますorz
-
- 448 : 2015/02/26(木) 17:15:17 :
- >>446
ありますぜ、旦那。パワーアップして戻ってきます^ ^
-
- 449 : 2015/02/26(木) 17:43:55 :
- 執筆お疲れ様です!
続きも期待してます!
-
- 450 : 2015/02/26(木) 19:13:04 :
- お疲れ様でした!
次作期待です!!
-
- 451 : 2015/02/26(木) 19:34:33 :
- お疲れ様です!
第二部の舞台はまさかの……?
-
- 452 : 2015/02/26(木) 20:51:01 :
- 最期って不吉だぁぁ…
お疲れ様でした!
-
- 454 : 2015/02/26(木) 22:13:35 :
- しかし、苗木も戦刃の事を許せたな・・・。後は、江ノ島さんとこまるだけなんだが・・・
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- 455 : 2015/02/26(木) 22:16:35 :
- >>454
江ノ島の存在がキーになってきますね。こまるは……。
-
- 456 : 2015/02/26(木) 22:37:10 :
- お疲れ様でした!最後まで頑張ってください!
-
- 457 : 2015/02/26(木) 22:58:08 :
- >>456
責任を持って完結させます‼w
-
- 458 : 2015/02/26(木) 23:14:59 :
- お疲れ様です!!!次作に期待!( *´艸`)
-
- 459 : 2015/02/26(木) 23:20:18 :
- 乙です、面白かったです
さっきのメッセージ?みたいなのSAOにもありましたが、
もしかして知ってました?
-
- 460 : 2015/02/26(木) 23:32:13 :
- ( ゚ω^ )ゝ 乙であります!
-
- 462 : 2015/02/26(木) 23:33:00 :
- >>460
まだ続くよ☆
-
- 463 : 2015/02/27(金) 21:44:26 :
- 乙。
-
- 464 : 2015/02/27(金) 22:26:03 :
- >>463
どーも、ありがとうございます。
-
- 465 : 2015/03/10(火) 17:52:07 :
- >>438
なるほど!理解出来ました!ありがとうございます!
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- 466 : 2015/03/15(日) 10:01:15 :
- 続きにも期待
-
- 467 : 2015/03/15(日) 16:53:47 :
『第二部』 犯罪者vs市民
ドドドドドドドド……!!‼
「強くなければッ‼」
「終戦のゴングを鳴らすぞ……」
「お前がッ‼」
「……うん、ありがとう」
「お前は一体何なんだよ……?」
「……分かってんじゃねえか」
『お前らには、能力コロシアイ南国生活を送ってもらいます!!』
http://www.ssnote.net/archives/32688#top
「……『さよなら』だ」
「さよなら……」
-
- 468 : 2015/10/11(日) 20:30:35 :
- この作品を元にした(完全パクリじゃないです)作品書いていいですか?
-
- 469 : 2015/10/11(日) 23:16:05 :
- >>468
いいですよ!!!!!!!!!!!
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