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アニ「私にできる最後の償い」エレアニ
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- 1 : 2014/12/18(木) 19:13:21 :
- 素人ですがエレアニのシリアス書いていこうと思います
がんばるので応援コメくれるとうれしいです!
エレン目線でいきます
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- 4 : 2014/12/18(木) 20:06:31 :
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アニ「私があんたの良い人でよかったね、ひとまずあんたは賭けに勝った・・・・・・でも、私が賭けたのはここからだから」
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- 5 : 2014/12/18(木) 20:15:33 :
窓から差し込む朝日で目が覚める
エレン「ここは・・・どこだ・・・?」
欠伸をしながら立ち上がり、周りを見渡した
そこは日光の差込口を除いて壁に囲まれていた
壁にあるのは一つのドアだけ、殺風景過ぎる部屋に不安がよぎる
他にあるの自分が寝ていたと思われる水晶だけで、情報はこれだけだった
エレン「水晶・・・・・」
何かを思い出そうと思考を巡らすが、何も思い出せない
エレン「とりあえず出るしかねえな」
外の世界という誘惑にかられるように、ドアに手をかける
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- 6 : 2014/12/18(木) 20:38:40 :
「エレン。起きたんだね」
そこに居たのはアニだった
アニ・・・・俺たちの仲間を虫けらのように殺した宿敵だ
エレン「なんでお前がここにいるんだ?」
アニ「私だってわからない。さっき起きたばかりだし」
俺の問いに肩をすくめて答えるアニは、本当に何も知らないようだった
だが、まだ聞きたいことは山ほどある
エレン「どうして・・・お前は仲間を裏切った?」
アニ「・・・」
エレン「どうして・・・みんなを殺した?答えろ!」
アニ「・・・」
俺の質問に答えずにアニはうつむく
エレン「おい、アニ!なんでだ、おい!」
アニ「ごめんなさい・・・」
アニの予想外の返答に俺は戸惑う
エレン「・・・は?」
アニ「私だってこんなことしたくなかった・・・」
アニは今までの冷静な姿ではなく感情のある普通の女の子に見えた だけど、俺は信用できなかった
エレン「そんなんで許される罪だとでも思うか?」
アニ「わかってる・・・でも、私だってやりたくてやったわけじゃない!」
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- 9 : 2014/12/18(木) 21:06:32 :
- コニーが馬鹿なことをしても、ミーナ達が恋バナをしていても、決して感情を出さず一人でいて、壁を作っている
周囲からは凍りの女と揶揄されているようなアニが、感情を出したことは皆無だった
そんなアニが目の前で感情を出している。
エレン「お前、本当にアニか・・?」
アニ「・・・え?」
アニは豆鉄砲をくらったかのような顔をしている
エレン「お前は、そんなに感情を出すやつだったか?」
アニ「もう嘘をつく必要がないから・・・」
エレン「・・・は?」
アニの返答に今日2回目の間抜けな声が出る
アニ「もう、嘘は付かないよ。隠すことが出来ないから」
エレン「それとこれに何の関係があるんだよ」
アニ「もう、迷う必要はない。戦士になりそこねたから」
エレン「戦士ってなんだ?」
アニ「ごめん。言えない」
苦渋の表情をみせ、アニはまたうつむく
これ以上は何も聞きだせそうに無かった
言葉が無くなり沈黙が流れる
アニ「・・・私は辺りを見回してくる。エレンは?」
エレン「俺も行く。ここじゃ状況が何一つわからねえからな」
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- 10 : 2014/12/18(木) 21:21:46 :
- ドアを開けるアニに先導されるように狭い廊下を進んでいく
しかし不安な何かがそこにはあった
エレン「ここは・・・独房か?」
アニ「多分そうだと思う。人がまだ一人もいないけどね」
アニに言われて不安の理由に気づく
エレン「ここは・・・牢屋だよな。何で見張りがいねえんだ?」
アニ「わからない。私もこれ以上進んでないから」
エレン「そうか・・・」
それからは無言のまま階段を上る
階段の先にあるドアは錆付いていて上手く開かない
アニ「待って。まだ外に人がいる可能性がある。離れて・・」
アニは深く息をすうと聞き耳を立てる
アニ「大丈夫。人の気配はない。」
エレン「どこで、そんな技術を?」
アニ「別に。人との接触がしたくなかったから自然に覚えた感じかな」
アニ「じゃあ行くよ・・」
俺は頷いてドアに手をかける
エレン「これは・・・・」
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- 11 : 2014/12/18(木) 21:33:45 :
- アニ「・・・・!」
俺たちはその状況を見て唖然とした
人がいないどころか城が、町が、何も無いのだ
エレン「嘘だろ・・・・」
アニ「どういうこと・・?」
落ち着いて周りを見渡す しかし周りには人気は無かった
エレン「そんな・・・ミカサやアルミンはどうなったんだ・・?」
アニ「待って、ここに何かある」
アニが指差したところには人骨と思われるものと、手紙のようなものがあった
エレン「いったい誰が・・・」
アニ「読んでみれば?何か情報があるかもしれない」
エレン「・・・わかった」
俺は手紙を手に取った
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- 16 : 2014/12/18(木) 22:10:24 :
- ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
エレン、アニへ
君たちがこの手紙を読むころには僕はこの世にいないと思う
僕が、というより人類がいないかもしれない
実はエレン達が水晶に囚われてから少したったころに、ハンジ分隊長たちによって超大型巨人及び鎧の巨人の正体がわかったんだ
アニはもう知っていると思うけど、超大型はベルトルト、鎧はライナーだったんだ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
エレン「・・・!」
アニ「・・・」
衝撃だった。アニが女型の時点で想像は付いていた。でも、いざ現実を突きつけられると衝撃は大きかった
エレン「ここに書いてあるのは・・・本当なのか?」
アニ「・・・」
アニは口をつぐんだ。肯定に等しいだろう
アニ「ごめんなさい・・・」
エレン「・・・続きを読むぞ」
うつむくアニを横目に見て、手紙を続けた
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- 18 : 2014/12/18(木) 22:24:52 :
- ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
その後、彼らの捕獲作戦を実行し、捕獲できたんだ
逃げられかけたけど、リヴァイ兵士長が捕獲してくれたんだ。
そこからは、思い出したくもないし、時間もないから省略するね
その後、その手柄で僕たち調査兵団の発言力が高まり、庶民からも慕われていった。
確かに、彼らが調査兵団にいたのは事実だけど、捕獲という情報から得るものは大きく、その情報はあまり世に出なかったんだ。
でも、そんな僕達を憲兵や王政は黙ってみていなかった。
彼らは庶民の記憶を何らかの方法で改ざんし、調査兵団を諸悪の根源とするよう洗脳した
ピクシス指令が危惧していた、壁内での内戦の開始だった
戦争はまさに壁内を二分する戦いになった
その中で、僕たちはジャンや、ミカサ達とも別れて、最後まで連絡がつかなかった
その後は地獄だった。血で血を洗う戦いが続いて、しまいには王政側が『核』が使った
核というのは恐ろしい爆弾で、しかも病気になる細菌を中に入れて打ってきたんだ
その菌の繁殖力が圧倒的で、人類は今、王政、調査兵団関係なく人類の絶滅まで来ている。今無事なのは君たちだけだ。
どうか、人類を、世界を立て直してくれ
今を変えられるのは君たちだけだ
アルミン・アルレルト 852年この書を記す
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- 19 : 2014/12/18(木) 22:41:01 :
- エレン「アルミン・・・」
アニ「じゃあ、この骨は・・・アルミンなの?」
アニが呟いた
エレン「ああ、そうだよ。お前たちが襲ってきたせいで・・人類は・・」
仲間たちの声が、姿が、頭の中で鮮明に思い出される
楽しかった日常はもう無い。笑い合い、助け合える仲間はもういないのだ。その事実は紛れも無い真実だった
エレン「アルミン、みんな・・本当にすまない」
あふれでる涙を堪え切れなかった
エレン「俺が無力だから!俺は何も出来なかった!すまねぇ!すまねぇ!俺には生きてる価値なんか!」
アニ「エレン・・・・そのままじゃダメだよ」
エレン「ああ?お前は仲間が死んで悲しくねえのか?この薄情者め!」
エレン「お前たちが壁を壊したせいでこうなってんだぞ!」
アニ「・・・」
エレン「くそっ!くそっ!」
俺はあふれでる感情を止められなかった。俺のすべてを奪ったアニが許せなかった。
やり場の無い怒りを地面に叩きつける他無かった
でも、今のアニが正しいのも理解していた。悔しいが、アニの方が何枚も大人なのだ。今はアニと協力するしかなかった
エレン「行くぞ・・・」
アニ「え?」
エレン「生き残るんだろ?食料が必要だ」
アニ「そうだね・・・」
エレン「俺はお前を許したつもりはねぇ、かならずこの恨みは返す。だけど・・・今は仲間だ。これからよろしくな、アニ」
アニ「ありがとう・・・」
アニの顔から少し不安が取れたようだった
エレン「もう肩の力を抜いてもいいぞ。人類が尊厳を取り戻すまで、俺はお前を、一人の女としてしかみない。だから・・何ていうか、お前も普通に接してくれ」
アニ「わかったよ。それと、女としてって・・セクハラかい?」
エレン「ばっ、そんなんじゃねえよ!」
二人で笑いあった
必ず、人類を立ち直らせる、そう誓い、俺たちは今は無き商店街を抜け、木の実などを採取することにした
俺たちに、わだかまりは少しずつ無くなっていった
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- 26 : 2014/12/19(金) 20:44:59 :
- エレン「今って何年かわかるか?」
俺が今まで疑問に思っていたことを口にする
アニ「わからないけど、多分あの手紙から1年ぐらい経っていると思う」
アニ「手紙は字が読めるし、まだ風化していないから」
アニの目には確かな確信があるようだった
エレン「そうか・・なら、まだ生きている人がいるかもしれない」
アニ「そうだね・・・少しでも仲間がいるとうれしいよ」
エレン「お前が仲間を求めるか・・昔のお前からは考えられないな」
アニ「もう私は一人でいる必要がないから・・」
そう言うアニの顔からは昔の孤独さは消えていた
アニ「何こっち見てるの。早く食料を探すんだろ。もうじき暗くなる」
俺たちは市街地だった場所を進んだ
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- 27 : 2014/12/19(金) 21:07:10 :
- そろそろ夕暮れが近づいてきた
当てもなく辺りを回ったが、食べ物らしきものはどこにもなかった
エレン「くそっ!食べ物は何ひとつねえか・・」
アニ「しょうがないよ。人類は絶滅したんだ。食料は作られない」
エレン「せめて水だけでもあれば・・」
アニ「私は右を探してくる。エレンは左を探してきて」
右には険しい木々が連なりとても簡単には進めそうにない。
一方で左は見晴らしがよく簡単にすすめそうな道だ
エレン「俺が右に行く。女一人に任せるほど弱くはないぜ」
アニ「気にしないで。私は幼いころからこういうのには慣れてるの」
エレン「幼いころっていつからだよ」
その質問にアニは一瞬悲しげな表情を見せる
どうやら聞くべきではなかったようだ
エレン「あっ、いや別にいい、すまねえ」
アニ「いいの。・・・私は生まれてから孤独だから」
アニ「じゃあ、また後でこの場所で・・・」
かける言葉を模索しているうちにアニは去ってしまった
アニの過去に興味はあったが、あまり聞き出すべき事ではないみたいだ
エレン「・・・」
俺はどうにかして、アニを笑顔にしたいという思いを抱いた
なぜこんな気持ちになったかはわからなかったが、少しでも喜ばせるため、という思いで俺は歩みだした
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- 28 : 2014/12/19(金) 21:33:24 :
- エレン「早く見つけねえと・・・」
俺は走った。だが、進んでも進んでも、あるのは『死』だけだった
町そのものが死んでいるのだ。町には生活感は何一つなかった
だが決して死だけではなかった
エレン「あれは・・・水かっ!?」
暗い横道にビンが3本置いてあった
中身は幸い腐っておらず、飲めるように見えた
エレン「水・・・水・・・」
思わずビンを開けて貪りつきそうになる
~~~~~~~
アニ「じゃあ、また、この場所で・・・」
~~~~~~~
そうだ。思わず忘れかけていた。この水は貴重にしなければならない
エレン「早く届けるぞ・・」
ビンを小脇に抱え、鉛のように重い体に鞭を打ち、元来た道を走る
エレン「・・・っ!」
突然足に激痛が走る。
エレン「なんだ・・・」
足を見るとガラスが刺さっていた
いつのまにか靴が擦り切れてただの布と化していた。
エレン「うっ・・・」
ガラスは予想外に深く刺さり、簡単に抜けそうに無かった
エレン「こんな・・・とこ・・ろ・・で・・」
俺の意識は遠のいていった
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- 29 : 2014/12/19(金) 22:13:53 :
- ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーー
ーーーーー
「・・・レン」
「・・・・エレン!」
エレン「・・・ここは・・・?」
目を開くと心配そうなアニの姿が見えた
エレン「アニ、なんでここに・・・」
アニ「ずっと待ってたけど帰ってこなかったから・・・どこかでヘマしてないか見に来たんだよ」
つっけんどんに言われたが、真の感情はそうではなさそうだった
エレン「わざわざありがとな・・・うっ」
立ち上がろうとして足に激痛が走る
アニ「まだ動いちゃダメ。無理に動くと酷くなるよ」
足には服の切れ端がきつく巻かれている。恐らくアニの服だろう
アニ「それは、止血用の包帯。上手くできなくてごめん」
エレン「そんなことない。俺のためにここまでしてくれるなんて・・」
アニ「ほんの気まぐれだから。気にしなくていい」
エレン「アニは優しいんだな」
感謝の意をこめて、アニの手を握る
アニ「乙女に気安くさわるんじゃないよ」
だが、アニは抵抗するそぶりは見せなかった
アニ「そ、そうだ。そういえばこれを見つけたんだ」
気まずさをはらすようにアニが言う
アニ「ほら、少しだけなんだけど・・」
アニが手にしていたのは木の実だった
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- 34 : 2014/12/20(土) 20:15:41 :
- エレン「これって・・・高いところにしか無いんじゃないのか」
アニ「あ、これは、その・・・登ったの」
エレン「えっ」
アニ「私、そういうの慣れてるから・・・」
エレン「なんでだ?」
当然の疑問を口にするとアニはばつが悪そうな顔をする
アニ「私には・・・友達がいなかったから・・」
エレン「あ・・・」
またまずい質問をしてしまったようだ。自分の気遣いの無さに悔いる
なんとかして、挽回しようと考えていたとき俺はあれを思い出す
エレン「あ、そうだ・・・俺、あれを見つけたんだ。ほら、水だ・・ってあれ・・?」
水を渡そうとしたが見当たらない。まさか・・割ってしまったのか・・・?
アニ「ああ、あれなら日陰に置いといたよ。蒸発したら困るからね」
アニ「助かるよ、エレン」
つくづく、アニは気が利く。俺は普段と違うアニに新鮮さを覚える
エレン「すまねえな。俺は何も出来なくて・・」
アニ「いいよ。ここにはエレンと私しかいない。もう孤独は嫌なんだ」
いま、今までの謎に近づいた気がした。アニは最初から孤独など求めていない
ただ、人と関わるのが苦手なだけなんだと
エレン「ああ、そうだな。俺も話し相手が欲しいよ」
アニ「こんなに誰かといるのはライナーとベルトルト以外ではエレンが初めてだよ。話すのはなれてないから」
エレン「気にすんな。俺は見捨てたりしないから」
アニ「へえ。エレンもそんなこと言えるんだ。まあ・・ありがとね」
そういって少し微笑む。そんなアニの姿に、少し惹かれていく自分がいた
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- 36 : 2014/12/20(土) 20:54:22 :
- アニ「なにずっと見てるの?なんか付いてる?」
そういって髪を整えるアニの言葉で我に返る
エレン「あ、いや、何でもないから!そ、そういえば、そろそろ寝床を見つけた方がいいんじゃないのか?」
アニ「ん?ああ、そうだね、とりあえずあの建物に宿を取ろうか。エレン、立てる?」
アニが手を差し伸べてくる
エレン「別に一人で立てるよ・・・うっ」
何とか一人で立とうとするが足に激痛が走る。
自分の足は生まれたての子鹿のように震えて、上手く立てない
自分の無力さに苛立ちがつのる
アニ「手を貸そうか?」
エレン「別にいいよそんなもん!」
思わずアニが差し伸べた手をはたいてしまう
アニ「そ、そうだよね・・・急にごめん」
アニの悲しげな表情を見て自分の過ちに気づく
アニ「私、水とかを持ってくから・・・」
エレン「あ・・・」
声をかける間もなくアニは走っていってしまった
エレン「・・・」
つい俺のためを思って行動してくれたアニを傷つけた俺は、最低の奴だ。なんとしても謝らなければ・・・
そばにあった枝を杖代わりにしてなんとかアニの元に向かった
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- 37 : 2014/12/20(土) 21:33:12 :
- アニ「・・・」
アニは一人で草のベッドを敷いている。この建物は机や椅子が散乱しているものの、決して悪くはなかった
エレン「なぁアニ・・・」
アニは無言で作業を続けている。かなり傷つけてしまったみたいだ
エレン「・・俺も手伝うよ」
かける言葉が見つからず作業を手伝う事にした
尚もアニは無言で、反応してくれない
無言の時間が進む
このままでは埒が明かないと思い、勢いで全て喋ることにしようと決意した
エレン「アニ、すまなかった!!」
エレン「アニの優しさを、あんな態度で返してしまって・・」
エレン「本当にすまなかった・・・」
アニ「・・・気にしてないよ」
エレン「えっ」
俺の間抜けな声にアニはふふっと笑う
アニ「エレンの顔面白かったよ。困ってそうな顔して」
エレン「そ、そうだったか・・ア、アハハ」
アニが怒っていなかった安堵と恥ずかしさで苦笑いするしかなかった
エレン「でも、本当にゴメンな。あの気持ちに嘘はないから」
アニ「もういいよ。あれぐらいの事は慣れてるから」
いつもの表情に変わったアニが言う
アニ「そろそろご飯にしましょう。お腹空いたでしょ?」
エレン「そうだな。アニがたくさん食えよ」
アニ「悪いよ。エレンは怪我人なんだから。エレンがたくさん食べて」
エレン「よし、じゃあ半分だ!これで平等だろ?」
アニ「ま、それでもいいんだけどね」
アニ「それじゃ、いただきます」
アニが手を合わせてそう言う
エレン「いただきます」
俺も、今日始めての食べ物を口にした
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- 38 : 2014/12/20(土) 22:21:57 :
- エレン「ふぅー美味しかった!」
木の実は芳醇な甘みでとても美味しかった
アニ「おいしかったね」
アニがまた笑顔を見せる。その笑顔に俺も笑顔を見せる
アニ「そろそろ暗くなってきたね。明かりを灯そうか」
アニが思い出したように呟く
エレン「そんな事できるのか?」
アニ「こうやるの」
アニはそういって板に石を叩きつけ始めた
エレン「そうすれば火がつくのか?」
アニ「うん、なんでなのかはわからないけど・・」
火を起こそうとがんばるアニだが一向に付きそうに無い
いい所を見せるか・・・
エレン「俺に貸してみな」
アニ「え?出来る?」
エレン「こうするんだろ?」
見よう見まねでやってみる
少し立つと小さな火ができた
アニ「すごい、火種だ!貸してみて」
小さな火種がついたその板を慎重に木にくべる
アニ「やった!付いたよ」
暗くなっていた世界がふと明るくなった気がした
光に照らされるアニの姿からは氷の女の姿は消えていた
アニ「これからどうする?」
アニが空を眺めたまま問いかける
エレン「どうするって?」
アニ「このまま生きながらえても何かあるのかなってさ」
エレン「仲間を見つけ出すんだ。まだ死んだと決まったわけじゃない」
アニ「わかった。でもその足じゃまだ動けないよ」
アニが俺の隣に座る
エレン「大丈夫だ。杖を使ってでも歩いてやる」
アニ「わかったよ。どうせ止めても聞かないだろうね。じゃ、そろそろ寝ようか」
アニは草のベッドにごろんと横になる
エレン「これ、かけろよ」
アニに着ていたジャケットを掛ける
アニ「別に大丈夫だよ。寒くないから」
エレン「気にすんな。おやすみ」
アニは何か言いたそうだったが、口を閉じてまた横になる
アニ「・・・おやすみ」
アニが寝たのを確認し眠りに付く
絶対に仲間を見つける、そう誓って
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- 47 : 2014/12/21(日) 21:42:02 :
- >翌日
俺が目を覚ましたころにはアニはそばに居なかった
エレン「おーい、アニー?」
建物内にアニの姿はなく、外に出てみることにする
エレン「よいしょっと・・・」
さすがにまだ完全にでは無かったが治癒能力で歩くのには遜色の無いレベルにまで回復した
これもアニの手当てのおかげなのかもしれない
アニ「あ、エレン起きたんだ」
歩き始めたと同時に謎の生き物を持ったアニが戻ってくる
エレン「何してたんだ?」
アニ「ええと・・今日の朝食とりに行ってた」
エレン「え、これが?」
この長いやつを食べるのか・・・
アニ「これは蛇っていって、食べると意外においしいらしいよ」
エレン「へぇ~すげえな。こんなの見たこと無い」
アニは本当になんでも知っている。
俺も何かしないと・・・そう考えるが、いい案は思いつかない
アニ「エレン、火付けてもらえる?」
エレン「おう、任せろ!」
アニに頼られると言うことが、なぜだかちょっぴり嬉しかった
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- 48 : 2014/12/21(日) 22:02:07 :
- アニ「そろそろ出来るよ」
そういって焼いていたへびを取り出す
香ばしい匂いが俺を包む
エレン「意外に旨いな」
アニ「そうだね。よかった」
食べ物を食べると自然と力がわいて来る
アニ「そろそろ、行こうか。エレンはもうちゃんと歩けるの?」
エレン「ああ、問題ない。よし、行こうか」
俺たちは瓦礫を搔き分けて旧ストヘス区に向かった
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- 49 : 2014/12/21(日) 22:22:12 :
- エレン「なあ・・あれって・・貯水庫じゃないか?」
アニ「え、ほんとに?」
間違いない。恐らく地下にあったものが戦争で剥き出しになったのだろう
アニ「あれなら当分水には困らなそうだね」
エレン「そうだな!」
先の見えない旅に一筋の光が差し込んだ
アニ「すごい・・・綺麗な水」
アニがうっとりとした表情で水を眺める
枯葉などは落ちていたが昨日の水よりはずっと綺麗だ
エレン「なぁ・・・ここで軽く水浴びしないか・・」
俺は前からしたかったことを口に出す
アニ「・・別にいいけど。見ないでよね」
そういいながらもアニは乗り気そうだ
エレン「じゃあ、アニ、先いいぞ」
アニ「いいの?」
エレン「レディーファーストだ」
アニ「へぇ・・いいとこあるね。じゃ、エレンはあっちで待ってて」
そういってアニは木陰に隠れようとするが、途中で歩みを止める
エレン「どうした?」
アニ「何か・・・子供の声が聞こえる」
エレン「・・・えっ、それは本当か?」
アニ「こっちよ。付いてきて」
アニに連れられてひとつの建物に着く
アニ「ほら・・泣き声聞こえる」
アニの言うとおり、微かに音が聞こえる
エレン「二階みたいだ。行ってみよう」
ギシギシと音が鳴り、今にも壊れそうな階段を上る
アニ「あ・・・赤ちゃんだ・・」
-
- 50 : 2014/12/21(日) 22:32:42 :
- 見たものが信じられなかった
この時期に1歳程度の赤子が二人も生きている?なぜ?多くの疑問が頭をよぎる
アニ「あそこに水と食料がある・・この子達はあれで生活していたの・・・?」
確かに食料はあった。あきらかにやつれているが命に別状はなさそうだ
エレン「・・・どうする?」
アニ「子供たちを見捨てられない」
答えは予想がついていた。俺もその意見には同意だった
エレン「この子達を引き取れば食料は厳しくなる。それでもいいのか?」
アニ「覚悟の上だから・・」
エレン「なら異論はない。こいつら・・絶対に育てよう」
アニ「ええ。先ほどの場所に連れて行きましょう。そのほうがいいと思う」
二人を抱えて、先ほどの場所に戻る
エレン「そういえばこいつらの名前を決めてなかったな・・どうする?」
アニ「そうだね・・・」
アニはじっくりと考えて、こう言った
アニ「男の子と女の子だから・・・アダムとイヴ、どうかな?」
エレン「創生の神か・・いい名前だと思うぞ」
アニ「ならよかった・・」
エレン「俺たちが親か・・なんか恥ずかしいな」
アニが俺を見て少し笑う
エレン「な、なんだよ・・」
アニ「エレン、顔が頼りないよ。もう少し父親らしくしないと」
エレン「ははっ、悪い悪い。これでどうだ?」
アニに向かってにっこりと笑う
アニ「それでいいよ。これからもよろしくね、エレン」
エレン「ああ、がんばろうな」
この日、人類の新たなる希望が、産声をあげた
~fin~
-
- 51 : 2014/12/21(日) 22:36:29 :
- 今日中に駆け足で完結させてしまいました。
見てくれた人、本当にありがとうございました。
もうアニの口調が安定しなくて・・・
ご感想あればいただけるとうれしいです
重ねて、読んでくださって本当にありがとうございました
また、私の作品がお目に止まれば見ていただけるとうれしいです
ではまた。。
-
- 52 : 2014/12/22(月) 12:01:12 :
- いいストーリーで引き込まれました
次回作も期待してます!
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- 53 : 2014/12/22(月) 17:42:23 :
- 良かったです。
これからの作品に期待です。
-
- 54 : 2014/12/28(日) 16:10:14 :
- 感動しました!続編希望です!
-
- 56 : 2015/02/09(月) 00:16:27 :
- 感動しました!
続編にも期待!
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- 57 : 2015/03/02(月) 21:29:57 :
- エレンは、なんで水晶の中にいたですか?
-
- 58 : 2018/01/08(月) 22:18:41 :
- 最高です!
けどなんでエレンが···水晶のなかに!?
次回作期待です!
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- 59 : 2020/10/06(火) 13:26:41 :
- 高身長イケメン偏差値70代の生まれた時からnote民とは格が違って、黒帯で力も強くて身体能力も高いが、noteに個人情報を公開して引退まで追い込まれたラーメンマンの冒険
http://www.ssnote.net/archives/80410
恋中騒動 提督 みかぱん 絶賛恋仲 神威団
http://www.ssnote.net/archives/86931
害悪ユーザーカグラ
http://www.ssnote.net/archives/78041
害悪ユーザースルメ わたあめ
http://www.ssnote.net/archives/78042
害悪ユーザーエルドカエサル (カエサル)
http://www.ssnote.net/archives/80906
害悪ユーザー提督、にゃる、墓場
http://www.ssnote.net/archives/81672
害悪ユーザー墓場、提督の別アカ
http://www.ssnote.net/archives/81774
害悪ユーザー筋力
http://www.ssnote.net/archives/84057
害悪ユーザースルメ、カグラ、提督謝罪
http://www.ssnote.net/archives/85091
害悪ユーザー空山
http://www.ssnote.net/archives/81038
【キャロル様教団】
http://www.ssnote.net/archives/86972
何故、登録ユーザーは自演をするのだろうか??
コソコソ隠れて見てるのも知ってるぞ?
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