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クリスタ「巨人殺しの歌姫」Ⅰー歌姫ー
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- 1 : 2014/12/15(月) 17:12:59 :
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いつからだろうか。絵本の中の歌姫に憧れて、自分も歌を歌いだしたのは。
そうだ、あれは3歳の頃。友達のいなかった私の歌で、鳥が、犬が、猫が、馬がーーー動物達が集まってくれた。
そして、私は、私たちはーーーー運命の出逢いをした。
《歌が世界を救うっていう風潮》
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- 2 : 2014/12/15(月) 17:47:58 :
ハンジ「うッッッッ、おおぉおおおおおおおおおおおおォォォォォォ!!」
モブリット「分隊長うるさすぎです!」
朝っぱらから発狂に似たーーというか発狂ーー奇声を発する、調査兵団第2分隊長、ハンジ。
そして的確なツッコミを入れる分隊長補佐、モブリット。
リヴァイ「なんだハンジ、朝っぱらからうるせぇな」
寝起きなのだろう。パジャマ姿のまま部屋を覗くリヴァイ。
ハンジ「見つけたんだよッッッッ!!巨人の新しい弱点ッッッ!」
リヴァイ「うるせぇな」
相変わらずハイテンションなハンジを余所に、冷静にリヴァイが聞く。
リヴァイ「さっさとその弱点とやらを教えろ。立体機動による攻撃よりも簡易ならば、壁外調査も捗るしな」
モブリット「はやくエルヴィン団長に伝えましょう!」
相変わらず冷静なリヴァイと、興奮気味のモブリット。
ハンジ「ふふふ、聞きたい?聞きたいよねぇ、ん?ん?どうなのかな、リヴァイ君?」
やたらリヴァイを挑発するハンジ。いつも怖い表情をしているが、さらに顔つきが鋭くなるのを見たモブリットは、背筋に冷や汗を掻いた。
モブリット(リヴァイ兵長のこの表情……。この前会議室にゴキブリが出た時の顔だ……)
ハンジ「そ、そう怒らないでよ、リヴァイ」
リヴァイの迫力に圧倒され、すぐに真面目な表情に戻るハンジ。
ハンジ「ごほん。えー、この前調査兵団の本部前広場でさ、最近有名になった集団……その、あれだよあれ!歌ってギター弾いてドラム叩いて……」
モブリット「ああ、この前のライブですね。最近歌が流行ってますしね」
リヴァイ「それで、巨人の弱点とどんな関連性があるんだ」
ハンジ「あの、集団のボーカルの子の歌を聞いた瞬間、捕獲していた巨人が絶命したんだよ!」
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- 3 : 2014/12/15(月) 20:18:10 :
モブリット「………え?」
リヴァイ「つまり、なんだ。そいつの歌が巨人を殺した……と?」
ハンジ「そうなんだよ。あの子の声だけだったんだ。試しに私が歌ってみても何の影響もなかったんだ」
リヴァイ「お前が音痴なだけじゃねぇのか?」
ハンジ「いやいや、私は結構上手いよ?」
確かにハンジはかなり歌が上手い。
この前聞いた時は意外さに驚いた。
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- 5 : 2014/12/15(月) 21:04:19 :
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リヴァイ「……だが、そいつが調査兵団に協力するのか?」
それが一番の問題だった。もしかしたら、その時、たまたま巨人が死んだだけなのかもしれない。
ハンジ「うーん、とりあえず誘ってみようよ」
モブリット「ですが、名前もわからないグループなんて、どこに出現するかわかりませんよ?」
ハンジ「いや、名前はわかってるんだ」
いかにもタイミングを狙っていたかのように胸ポケットから紙を取り出すハンジ。絶妙なドヤ顔が更にムカつく。
ハンジ「《エゴイスト》。利己主義者って意味だね」
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- 6 : 2014/12/15(月) 21:15:24 :
リヴァイ「そいつらのライブは、次どこで行われるんだ?」
ハンジ「噂では、訓練兵団のグラウンドだってさ。キース元団長の推薦」
モブリット「キースさん、意外と優しいから」
訓練兵達に少しでも休養を、ということだろう。
ハンジ「じゃあ、私がキース元団長のとこにいくよ」
リヴァイ「俺はエルヴィンに伝える。いいな」
ハンジ「オッケー。なんとしても引きずり込むよ。行くよ、モブリット!!」
モブリット「今からですか!?分隊長はやすぎます!」
やはりハンジに振り回されるモブリットを横目に、リヴァイは団長室に向かった。
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- 7 : 2014/12/15(月) 21:28:06 :
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ーートロスト区ーー
やはり、エゴイストの人気は凄まじく、街の至る所で訓練兵団のグラウンドでライブが行われるという噂が絶えなかった。
そんな中、フードを深く被った少年と少女が二人、買い物の帰りなのだろう。袋を持って歩いていた。
「凄い人気だな、クリスタ。フードを取ったらサインサインって、皆が言い寄ってくるぜ」
クリスタと呼ばれた少女ははにかみ、少年ーーーエレンをつつく。
クリスタ「エレンだって、ギター上手いよ?」
エレン「いやいや、我らが歌姫サマにはかなわないよ」
クリスタ「もう、エレンったら」
端から見たら、フードの変人がじゃれあっているようにしか見えない。全く、憲兵を呼んでやろうか。
エレン「急ぐぞ。ミカサは時間に厳しいからな。遅れたら怒られるぞ」
クリスタ「そうだね。ミカサの説教長いけどわかりにくいんだよね……」
苦笑いをしながら早足で歩く二人。
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- 10 : 2014/12/15(月) 21:40:36 :
ミカサ「遅い。二秒遅刻。そこに直りなさい」
たどり着いた宿舎の部屋の入口で仁王立ちしているミカサ。
エレン「二秒だぞ!?二秒!許して下さい!」
人差し指と中指を立て、ミカサに見せつける。
ミカサ「ライブに遅刻して、せっかく見にきてくれた人を不愉快にさせるの?」
ものすごく正論を言い放つミカサに言葉も出ない。ヤバい。始まる。地獄の説教タイムが。
アルミン「まあまあ、誤差の範囲内だよ。ここは大目にみてあげよう。ね?」
ミカサ「……まあ、今回だけ。次時間を守らなかったらーーーー」
ああ、神はいたのだ。唯一神アルミン様。ありがとう。
クリスタ「ごめんねミカサ」
ミカサ「……ええ」
部屋のドアを閉めたところでフードを脱ぎ、荷物を下ろす。
ーーーーもうお分かりだろうか。
この四人こそが、壁内を歌で包み込んでいるグループーーー《エゴイスト》である。
そのエゴイストの私生活を覗いてみようーーーーーッ!
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- 14 : 2014/12/15(月) 21:53:29 :
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アルミン「あー、エレン。お茶取って」
ミカサ「私はコーヒーを所望する」
クリスタ「私はフルーツ牛乳!」
エレン「俺は召し使いじゃねぇーーッ!」
エレンは基本家事が万能なので、ご飯を作ったり掃除をしたり買い物したりと、生活のほとんどが任せれているうえに、なぜか召し使い的ポジションにいる。
エレン「ったく、人を何だと思ってんだお前ら!」
ーーーと、愚痴を漏らしながらもしっかりこなす。結構優しい。
アルミン「さすがエレン。もう僕たちエレン無しでは生きていけないよ」
ミカサ「同感。エレン、これからも美味しいご飯を作り上げ、掃除洗濯買い物、全部任せた」
クリスタ「えーっと、多少は手伝うよ?多少は……」
安定のポジションに、もう誰も気にしなくなっている悲しい現状。エレンは毎日過酷な日々を送っている。
エレン「………お前ら、俺泣くぞ?」
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- 16 : 2014/12/15(月) 22:02:25 :
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エレン「だいたいなお前ら。少しは家事というものをやってみろ。大変なんだぞ」
アルミン「あーはいはい。気が向いたらねー」
エレン「絶対やる気ないだろお前!」
もうすでに涙目のエレンを余所に、ミカサとクリスタがトランプを広げている。
アルミンは立ち上がったかと思うと、鞄から本を取り出し、それを眺めたまま動かない。
エレン「………エゴイスト。マジでぴったりの名前だよな」
利己主義者。まさにこいつらのことではないか。まあ、自分も好きでやってるんだが。
エレン「さーて。ギターの調整でもしようかな」
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- 19 : 2014/12/15(月) 22:16:36 :
クリスタ「あ、そう言えば訓練兵団のグラウンドでライブするよね。その時の衣装考えてないんだ」
アルミン「エレンー。出番だよ」
エレン「あーっもう!俺に自由はないのかッ!?」
ギターを取り出したところで呼ばれ、ミカサに引っ張られて連行される。
クリスタ「どういう服がいいかな?」
エレン「そうだな……今は冬前だからな~」
想像してみる。冬ーー雪ーーそこで歌うクリスターーベースは、冬を届ける雪の妖精。
エレン「もうすぐ雪が降る季節だろ?だから、雪の妖精とイメージして、白いドレスーーなんてどうかな」
ミカサ「……うん。いいと思う。クリスタのイメージに合ってるし、何よりも季節感が合ってる」
アルミン「じゃあ歌う曲は冬に関するのだね。考えておくよ」
クリスタ「雪の妖精かぁ……」
ミカサ「きっと似合う」
アルミン「僕たちは?」
エレン「当然、サンタクロースだろ。あ、アルミンはトナカイ」
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- 21 : 2014/12/15(月) 22:23:39 :
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ーー訓練兵団訓練施設ーー
エゴイストのライブの情報を集めるべく、ハンジとモブリットはキースの元に訪れていた。
ハンジ「明明後日、エゴイストのライブがあるんですね?」
キース「ああ。今から訓練兵たちも楽しみにしている。貴様らも見にくるのか?」
ハンジ「ええ。ちょっと」
キース「冬前で冷えるからな。暖かくして見にこいよ」
ハンジ「はい。ありがとうございます」
モブリット「明明後日ですか」
教官室を出た二人は、馬小屋に向かう。
ハンジ「いやー、私も楽しみだよ」
モブリット「勧誘が目的なんですからね。そこのところ、忘れないでくださいよ」
ハンジ「わかってるって。モブリットは心配性だなー」
モブリット「あなたが危なっかしいからです!」
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- 27 : 2014/12/16(火) 13:37:59 :
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期待ありがとうございますッ!
クリスタ「着いた!ここが訓練兵団訓練施設かぁ」
キース「ここでのんびりしていてくれ」
ライブの当日、昼過ぎに到着したエゴイストは、やはりフードを深く被り、教官の案内で待機室に案内されていた。
エレン「空模様からして、今夜は雪が降りそうだな。皆、衣装薄くないか?」
ミカサ「大丈夫。問題ない」
クリスタ「うん。私も大丈夫だよ」
エレン「そっか、よかった」
アルミン「よくねーよ、バカ!!」
ガン無視したエレンに、トナカイアルミンのボディブローが炸裂する。
エレン「いってぇぇ……何すんだよ!」
アルミン「トナカイじゃねえよ、この衣装!!よく見ろ、これ。鹿じゃん!」
エレン「同じようなもんだろ!?文句あるなら自分で作れ!」
アルミン「ああぁぁぁぁ‥‥。どうせ鹿ミンなんてあだ名がつくんだろうなー」
がっくりと肩を落とすアルミンをポンと叩き、ミカサが声をかける。
ミカサ「よく似合ってる。まさに鹿ミン。あなた、いいネーミングセンスしてる」
アルミン「早速採用ですかーーーッ!」
クリスタ「まあまあ、アルミンはドラムだからあまり違いわからないよ?」
エレン「あーーっっははははは!鹿ミン!お前最高だよ鹿ミン!!」
ライブ前でも平常運転なエゴイスト。それを見た教官は、自然と口元が緩んでいた。
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- 29 : 2014/12/16(火) 14:27:00 :
ジャン「今日はやっとエゴイストのライブだ!」
マルコ「前から楽しみにしていたからね!」
ライブ二時間前。訓練兵たちはエゴイストの話で持ちきりだった。
しかし、浮かれない表情が三つ。
アニ「……エゴイスト、か」
ライナー「可能性は十分にある。気をつけるに越したことはない」
ベルトルト「即死ってわけじゃないよね……」
ライナー「ああ。とにかく、歌を近くで聞いたらいけない。いいな?」
無言で頷く二人。
この大盛り上がりの中、参加できないという切なさ。しかし、仕方がない。彼らは巨人なのだから。
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- 30 : 2014/12/16(火) 14:38:55 :
エゴイストのライブがもうすぐ始まるーー。
グラウンドは多くの人でいっぱいになっていた。
席を確保している貴族もいるほどだ。
凄まじい熱気が、辺り一帯を包み込む。
そんな中、最前列の人たちは唾を飲み込んだ。
地面から生えてきているように槍がそびえ立つ。これはエゴイストに必要以上近づくな、ということだろう。
憲兵も駐屯兵も出向いて警備を行っている。
ーーーステージの裏。すでに開始十分前となった。
クリスタ「うわぁぁぁ……。すごく人がいる……緊張してきたなぁ」
そんなクリスタの背中を、ベースを持ったミカサがバシンと叩く。
ミカサ「きっと上手くいく」
クリスタ「ミカサ……ありがとう」
エレン「よっし、そろそろ時間だな」
アルミン「はぁぁあぁ………」
四人はエレンのギターを中心に、円陣を組む。
エレン「えー、それじゃあ、今回のライブも、絶対成功させましょう、いくぞ!!」
「「「「おおぉぉぉぉぉッ!!!」」」」
全員が人差し指を空に向けて突き立てる。
さあ、ライブを始めよう!!
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- 31 : 2014/12/16(火) 15:05:38 :
エレンを先頭に、ミカサ、アルミン、クリスタと、ステージに入場する。
耳をつんざくかのような歓喜の叫びが、あちこちで響く。
ゆっくりとステージの中心に向かい、各々の楽器、マイクを構える
クリスタ『皆さん、今日は寒い中わざわざありがとうございます』
再び湧き上がる歓声。
その大きな声の間を透き通るかのような美しい声。歌う前から、彼女の声の質の良さが明確になる。
リヴァイ「始まったか」
グラウンドの片隅。立体機動装置を装着したリヴァイとハンジとモブリット。
ハンジ「かっわいいねぇぇえ!!」
モブリット「分隊長うるさすぎです!」
リヴァイ「おい、始まるみたいだ」
すごく大勢の人の前で歌うのは、経験を積んでもなれないものだ。しかし、それ以上に歌いきった後の達成感が素晴らしい。聞いてくれた人が笑顔になってくれたら嬉しい。
クリスタ(だから、歌がすごく好きなんだ)
マイクを握る力が強まる。
クリスタ「………ッ!」
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- 35 : 2014/12/16(火) 16:53:22 :
クリスタ『雪が降り始めた寒い夜はーーー』
最初の出だしは少し詰まったが、エレンとミカサ、アルミンの楽器を奏でる音が耳に届いた瞬間、自然といつものように声がでていた。
クリスタ『あなたの温もりが暖かくてーーー』
声が、喉をなめらかに通り抜ける。
空気が、分子レベルで振動しているのがわかる気がする。
クリスタ『重ねた手を、離さずこのままずっとーーーー』
エレンのギターが響き、ミカサのベースがそれに共鳴。アルミンのドラムが的確にリズムを刻んでいく。
一曲目にも関わらず、寒さを吹き飛ばすかのような熱気と歓声に、グラウンドは包まれた。
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- 43 : 2014/12/16(火) 19:17:13 :
クリスタ『321GO!」
「いぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
フィナーレを飾る最後の曲。エゴイストの奏でる音に神様も共感したのだろうか。
真っ白な雪が降り始めた。
その中で歌う歌姫は、まさに雪の妖精。
ーーーああ、歌っていいな。
一緒にメロディーを奏でる仲間たち。一緒に盛り上がり、エールを送ってくれる観客。
その全てに感謝を込めてーー。
クリスタ『センキューーーーッッッ!!』
全15曲を熱唱したクリスタ。
観客たちも最高に盛り上がった。
エレン「はぁぁぁぁぁ……。つっかれたぁっっっっ」
アルミン「くたくただよ……」
ミカサ「お疲れ様」
エレン「なんでお前は平気なんだよ?」
ミカサ「……実力?」
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- 48 : 2014/12/16(火) 20:28:33 :
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クリスタ「喉カラカラ……」
アルミン「はやく帰ってエレンの作ったご飯が食べたいよ……」
ミカサ「さあ行こう。エレン」
エレン「おい。お前らさ、ライブの後に労働させる気か?バカ?バカなのか?」
ステージ裏で帰還の準備をしていたエゴイスト。安定のエレン弄り。
そんな中、空気が斬れる音が聞こえる。
ーーー立体機動装置!?
エレン「誰だっーーーー」
声を出そうと思ったが、気づくのが一瞬遅かった。
リヴァイ「おとなしくしろ。そう構えるな。敵意があるわけじゃない」
アルミン「……なら、腰にあるブレードを捨ててくれたら嬉しいんですけど」
ハンジ「バッカやろぉぉぉあ!最初から印象最悪だよ!」
ミカサ「……どういうこと?」
遅れて着地したモブリットが冷静に対処する。
モブリット「ちょっと話があるんだ。ついて来てほしい」
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- 49 : 2014/12/16(火) 20:37:16 :
調査兵団幹部に案内ーー連行とは言わないでおこうーーされ、会議室に向かう。
ハンジ「単刀直入に言う。私たち調査兵団に協力してくれないか?」
全員が椅子に腰を下ろしたところで、ハンジが言った。
エレン「調査兵団に協力って……一緒に壁外調査に行くということですか?」
ハンジ「まあ、そうなるね」
アルミン「いやです」
ハンジ「即答!?」
刹那的に返答したアルミンに、全員が頷く。
アルミン「満足に立体機動を行えない僕たちが壁から出たら、即死じゃないですか。理由がないのに協力する事はできないし、何よりエゴイストにメリットがない」
ハンジ「理由は今説明しようとしたんだよ……」
モブリット「分隊長落ち込みすぎです」
リヴァイ「要するに、お前らの音楽ーーー特に、そこの金髪女の歌声が巨人を殺したんだよ」
クリスタ「…………え?」
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- 51 : 2014/12/16(火) 20:42:31 :
クリスタ「私の歌が、巨人を殺した?」
信じられないと言った表情のエゴイスト。
まあ当然か。なにせ、自分たちの音楽が、歌が巨人を殺したのだから。
ハンジ「そう。君の歌を巨人に聞かせて討伐するという手段は、立体機動による攻撃よりも容易なんだ」
アルミン「そんなことが……あり得るんだ…………」
ハンジ「君の歌が、エゴイストの奏でる音が、人類を救うんだ。どうか、協力してほしい」
差し出されたハンジの手を、クリスタはーーーーーーーー。
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- 53 : 2014/12/16(火) 20:44:07 :
《巨人殺しの歌姫が対巨人最強説》
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- 55 : 2014/12/16(火) 20:54:26 :
宿舎にて、ライブ後恒例の反省会ーーではなく、先ほどの出来事についての話し合いをしていた。
ハンジ(どうか、協力してほしい)
差し出されたハンジの手を、クリスタはーーーーー握らなかった。
クリスタ(すいません……。ちょっと…………)
申し訳なさそうに頭を下げるクリスタ。
ハンジ(………そっか)
クリスタ(あ、その……少し、時間をください。考える、時間を………)
ハンジ(本当に!?)
興奮気味のハンジをモブリットが押さえ込む。
リヴァイ(決まったら調査兵団本部に来い。いいな)
クリスタ(……はい)
クリスタは少し躊躇ったが、返事をした。
アルミン「なーんで言っちゃったかな」
クリスタ「ごめんね皆……」
ミカサ「気にしなくていい。その件に関しては、じっくり考えよう」
エレン「俺の扱いについてもじっくり考えてほしいね!」
キッチンで遅めの晩御飯を作っているエレンが叫ぶ。
アルミン「エレンしか料理できないから」
エレン「洗濯物ぐらい干せよ!お前ら下着も全部俺に押し付けて!!」
クリスタ「エレン……えっち」
ミカサ「いやらしい……」
エレン「なんで!?」
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- 68 : 2014/12/17(水) 17:04:31 :
アルミン「そんなことは置いといてさ」
エレン「置いてかないで!」
いつものエレンを弄る時のフザミン(ふざけたアルミン)ではなく、マジミン(マジなアルミン)モードに入っているアルミン。
アルミン「調査兵団の件について話し合おうよ。いや、冗談抜きで」
ミカサ「確かに。エレンの扱いなんて置いておこう」
エレン「おい!」
アルミン「正直言って僕は反対だ。何の信憑性もないことに命を使いたくない」
エレン「だから、俺の扱いーーー」
クリスタ「そうだけど、巨人を歌で倒せるなら……」
ミカサ「もし、それを人間にも効果があると解釈されたら、エゴイストは終わり。今までのように歌えなくなる。山奥で動物たちに聞いてもらう?」
クリスタ「それは……」
エレン「おい!無視するなよ!」
アルミン「ミカサ、過去を掘り起こすのは止めてくれ。それにね、クリスタ」
完全にエレンの扱いについては忘却の彼方。
アルミン「君が歌う場所は、血反吐の匂いがする死地ではなく、ここーーー君の歌を聞く'人間'がいる場所だ」
クリスタ「……」
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- 69 : 2014/12/17(水) 17:09:35 :
アルミン「まあ、方針はリーダーのエレンが決めてね」
ミカサ「あなたは正しい判断ができる」
クリスタ「エレン……」
エレン「お前らさ、丸投げだよね」
人を散々小馬鹿にし、挙げ句の果てに無視ときた。あまつさえ、これからの方針ーーエゴイスト存続に関わる重要な選択を丸投げしてきたのだ。
アルミン「いつも馬鹿にしてるけど、頼りにしてるよリーダー!」
クリスタ「大丈夫だよ。エレンならいい判断ができる!私は知ってるよ」
ミカサ「さあエレン。指示を」
エレン「………説得力ねえよーーーッ!」
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- 71 : 2014/12/17(水) 17:17:51 :
翌日、エレンは調査兵団本部に来ていた。
エレン「昨日の話について、結論を出しました」
ハンジ「あれ?一人?」
エレン「はい。俺が代表で」
まあ、100000%押し付けられてだが。
あれこれ言いつつ引き受けるエレンは、優しいのだろう。
エレン「率直に言います。お断りさせていただきたい」
その一言で、会議室の温度は一気に氷点下を下回った。
ハンジ「………なぜ?」
エレン「あなた方の話に信憑性がないと判断したからです。話によると、クリスタの歌で巨人が死んだのを見たのは、あなた一人です」
ハンジ「まあ、そうだね」
エレン「それに、壁外調査に同行するなんてもってのほかだ」
ハンジ「ーーーーつまり、私の話が信じられない、と?」
エレン「はい」
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- 73 : 2014/12/17(水) 17:23:16 :
ハンジ「信用されてないようだね。あ、そうだ」
何かを思いついたように柏手を打つハンジ。
ハンジ「じゃあさ、実際に君たちが目の前で巨人が死んだのを見たらーーーどう?」
エレン「俺一人じゃ判断できませんがーーー多分、納得すると思います」
そう言うと、なぜか嬉しそうに頷くハンジ。
ハンジ「わかった。じゃあ、次の壁外調査が三週間後に行われるんだ。その時、巨人を捕獲してくる」
エレン「つまり、その巨人を使って、俺たちの信頼を得ようとするわけですね」
ハンジ「話がわかる人だね、君は」
エレン「それじゃあ、三週間後。また来ます」
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- 74 : 2014/12/17(水) 17:30:04 :
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ーーー。
ーーーーーーーー。
エレン「ってことだ」
先ほどの話をアルミンに伝えたエレン。
納得はしてくれたようだ。
アルミン「三週間……。そういえば、訓練兵団の解散式の翌日だよね」
エレン「そっか。あれ?ミカサとクリスタは?」
アルミン「買い物。当分ライブの予定はないから、食材の買い込み」
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- 77 : 2014/12/17(水) 19:25:34 :
アルミン「それにしても、さ」
なぜかシリアスな雰囲気になったアルミン。非常に珍しい光景にエレンは息を呑んだ。
アルミン「もし、クリスタの歌が本当に巨人を殺したのであれば、公に広めるべきではないと思うんだ」
エレン「なんでだよ」
エレンの問いに、アルミンは呆れたように息を吐いた。
アルミン「相っ変わらず脳みそが腐りきっているようだねエレン」
エレン「悪かったな!」
安定のエレン弄り。そして突っ込むエレン。
先ほどのシリアスモードは地平線の彼方。
アルミン「うーん。なんと言ったらいいんだろう」
エレン「思ったことを言えばいいだろ」
アルミン「理解力がない君に対して、極力簡単に教えるにはどうすればいいか考えてたんだ」
エレン「悪かったな!いや、マジで!」
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- 78 : 2014/12/17(水) 19:35:18 :
エレン「はぁ………もういいよ」
アルミン「王政は壁外に関することを模索するのをタブーにした。それはなぜだかわかる?」
エレン「壁内に巨人を招き入れないため……だったよな」
アルミン「普通ならそう考えるだろうね。君みたいな一般的思考しか持たない凡人はね」
相変わらずエレンへの当たりが強いアルミン。
これが冗談だとわかっていても、かなり心にダメージが。
アルミン「なぜ、王政は調査兵団をよく思わないのか。僕はこう考える」
アルミン「王政は、巨人の秘密がバレるのを恐れているから、調査兵団を圧迫するんだ」
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- 79 : 2014/12/17(水) 19:56:45 :
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いくら何でも考え過ぎではないだろうか。
そう思う反面、説得力がある。
エレン「じゃあ、クリスタの歌が巨人を殺すなら、当然エゴイストを圧迫するーーってことか?」
アルミン「うん。そういうこと。まあ、僕の勝手な妄想だけどね」
エレン「………」
仮にもし、そうだとしたら。
もし、クリスタの歌が本当に巨人を殺したとして、それを王政が知り、エゴイストを圧迫したのならそれはーーーー。
エレン「王政は、巨人に対して重大な秘密を知っていて、巨人と何らかの繋がりがあるからで………」
王政がエゴイストを圧迫してしまったら、辻褄があってしまう。つまり人類は、内と外、敵に板挟みにされているということになる。
エレン「それに、クリスタの出身って、レイス家……」
壁内でも最有力の貴族だ。巨人に対して特殊だとしても、先ほどの仮定が通っているのなら、なにもおかしいことはない。
アルミン「エレンのわりにはちゃんと理解してるね」
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- 80 : 2014/12/18(木) 14:21:43 :
エレン「うっせ。何だよ、お前。俺のことそうとう馬鹿だと思ってるな」
アルミン「もちろん」
親指を立てて決め顔をするこいつの顔面に拳をめり込ませたい。
アルミン「とりあえず様子見ってことで。二人とも帰ってきたみたいだし」
アルミンが言い終わると同時に、ドアの開く音が響く。
クリスタ「ただいま!」
ミカサ「今帰った」
アルミン「ああ、お帰り」
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- 81 : 2014/12/18(木) 14:28:59 :
調査兵団との交渉から三週間が経過。
エゴイストーーエレンを除くーーは怠惰な生活を送り、安定のエレン弄り。
ヤケクソ気味で家事をこなすエレン。
エレン「ああっっっもう!布団くらい畳めっつーの!」
アルミン「うるさいなぁ……。君は僕のお母さんかなにか?」
エレン「いいから動け!」
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- 82 : 2014/12/18(木) 14:34:41 :
アルミン「まったく、うるさいなぁエレンは」
愚痴を言いながらやっと布団から這い出てくるアルミン。
エレン「うるさくて結構。はやく朝飯食えよ。作ってあるからさ」
アルミン「うーん」
全員が机に着くと、各々ご飯を食べ始める。
エレン「あ、そういえばーーーー」
エレンが何かを言おうとした瞬間。
轟音が響いた。
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- 83 : 2014/12/18(木) 14:38:37 :
激震する地面。悲鳴が響く街。
最初に動いたのはエレンだった。
エレン「まさか……これは5年前と同じ……」
フードを被るのも忘れ、外に出る。
エレン「……嘘、だろ」
壁から出た巨大な頭。空高く昇る蒸気。
5年前の悪夢が、そこにいた。
エレン「超大型巨人………」
ーーーー壁が、またも壊された。
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- 84 : 2014/12/18(木) 14:44:05 :
アルミン「よりによって、調査兵団がいない時に……」
調査兵団は壁外調査で不在だ。
ミカサ「狙っていたようなタイミング……」
クリスタ「とりあえず逃げようよ!」
幸い、この宿舎はウォール・ローゼ内地に近い。急いで支度すれば、巨人がくる前に非難できる。
エレン「急ぐぞ。また巨人が入ってくる!」
すでに頭上で駐屯兵団が立体機動で通り過ぎている。戦闘が始まってしまったらしい。
クリスタ「……」
ふと思った。もし、私の歌で皆を救えるならーーー。
エレン「おいクリスタ、はやく!」
クリスタ「ご、ごめん……」
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- 85 : 2014/12/18(木) 14:49:18 :
無事に壁内へ逃れたエゴイスト。
大量の避難民で溢れかえっていた。
エレン「とりあえず、移動しよう。身動きが取れない」
エレンを先頭に、人気が少ない路地に移動する。
アルミン「まさか、こんなことになるなんてね」
クリスタ「……うん」
ミカサ「………」
未だに壁内へと流れる避難民たち。どの顔も、恐怖と絶望を露わにしていた。
エレン「……おいおい、マジかお前ら」
突然、エレンが口を開いた。
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- 86 : 2014/12/18(木) 14:53:21 :
エレン「俺たちエゴイストの目的はなんだ?人を笑顔にさせるために活動するんだろ?」
エレン「だったらまず、俺たちがそんな顔しちゃダメだろ。俺たちにしかできないこと、やろうぜ」
アルミン「……ここで、ライブでもやるつもりかい?」
心底呆れた顔で言うアルミンだが、目だけは本気だった。
ミカサ「じゃあ、そこの屋根の上でやろう。平らだし、歌いやすい」
クリスタ「私たちの音楽で、皆が少しでも元気になってくれれば………」
エレン「よし、やるぞ!!屋根上ライブ!」
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- 87 : 2014/12/18(木) 16:55:40 :
屋根に楽器をセットし、いつでも歌う準備ができた。当然、屋根の上は目立つわけで、多くの視線が集まった。
「あれってエゴイストじゃね?」
「うんうん。エゴイストだ」
「こんな時にライブ?」
ーーーこんな時だからこそ、だ。
エレン「さあ盛り上げよう!こんな時だからこそ前を向け!上を向けぇぇーーーーーッ!!」
エレンの叫び声で、アルミンがリズムを刻む。
ーーーーーライブが、始まった。
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- 88 : 2014/12/19(金) 13:26:02 :
一方、トロスト区では、破壊された開閉扉の修復が不可能な上、多くの兵士を失い、崩壊寸前だった。
「嫌だ、嫌だぁぁぁぁぁあああーーーッ!!」
一つ。また一つと、悲鳴が消える。
「ピクシス指令」
ピクシス「……わかっておる。もう少しまてい」
ピクシスが見つめる先は、ウォール・マリア。
調査兵団の帰還を待っていた。
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- 89 : 2014/12/19(金) 13:29:39 :
ハンジ「うっひょぉぉぉお!!巨人がこんなにたくさん!!」
調査兵団は、すでに壁際まで到達していたが、巨人の大群が行く手を阻み、出るに出られない状況が続いていた。
エルヴィン「リヴァイ、いつでも行ける準備をしておけ」
リヴァイ「……了解した」
エルヴィン「包囲網を展開!!壁内へのルートを確保せよ!!」
「うぉぉぉおおおおおお!!」
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- 90 : 2014/12/19(金) 13:44:16 :
あちこちで吹き上がる蒸気。
さすが調査兵団。見事な連携で次々巨人を討伐していく。
ハンジ「ひゃっほぉぉぉおおおぃい!!」
空中を滑走するかのような動きで巨人に接近し、反対側のアンカーを放出して旋回。降り出された拳をかいくぐり、確実に脚の健を削ぎ落とす。支えを失った巨体が揺らぐ。
ハンジ「よっこい………しょぉおぉおお!」
うなじに直接アンカーを突き立て、重力を振り切り舞い上がる。ブレードを構え、うなじを削いだーーーーーが、うなじを削いだのはハンジではなく、ナナバだった。
自分の獲物を横取りされ、喚くハンジ。
ハンジ「ナナバぁぁ!ちょっと、なにしてくれてんの!?」
ナナバ「討伐数1!討伐補佐ありがとう、ハンジ」
ハンジ「このやろー!」
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- 91 : 2014/12/19(金) 13:59:48 :
リヴァイ「頃合いだな」
高めの屋根から飛び降り、地面スレスレで立体機動に移る。そのまま破壊された開閉扉をくぐり抜け、体を反転。壁の上部にアンカーを突き立て、飛翔。
リヴァイ「おいおい、まるで巨人の庭じゃねえか」
遅れてハンジとモブリットがトロスト区に入る。
ハンジ「さすがに数が多いね」
モブリット「どうします?破壊された開閉扉を修復するのは不可能です」
リヴァイ「いや、いるじゃねえか」
ハンジ「………エゴイスト」
リヴァイ「おいクソメガネ、今すぐあいつらを連れてこい」
ハンジ「合点承知!いくよモブリット!」
モブリット「了解!」
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- 92 : 2014/12/19(金) 14:06:11 :
エルヴィン「本当に、エゴイストの歌が殺したのだとすれば、人類は大きく前進できる」
いつの間にか隣に来ていたエルヴィンが口を開いた。
リヴァイ「……そうだな」
エルヴィン「しかし、本当に歌えるのか?」
リヴァイ「どういうことだ?」
エルヴィン「こんなところで歌えるのかってことだ。大勢の人間の前で歌うのと、大勢の巨人の前で歌うのとは大違いということだ」
リヴァイ「……どの道この街は放棄される」
エルヴィン「ならなぜ、無駄なことをするんだ?エゴイストがここにきても、なにも変わらない」
リヴァイ「……賭けてみようと思ってな。'巨人殺しの歌姫'に」
およそ彼らしくない言葉に、エルヴィンは眉を寄せた。
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- 93 : 2014/12/19(金) 14:11:32 :
屋根上ライブを終え、避難所に向かおうとするエゴイストたちに、背後から声がかかる。
ハンジ「やあ、ひさしぶり」
エレン「……ハンジさん。どうかしました?」
ハンジ「君たちの力を借りにきたんだ」
エレン「……まさか、巨人の前で歌えと?」
ハンジ「そっ。信憑性を持たせるために、ね」
アルミン「トロスト区に来いといわけですか」
なぜか敵意を含んだ視線をハンジに向けるアルミン。
ハンジ「そう。ライブをしてほしい。人類を救うために」
クリスタ「……」
ハンジ「どうする?巨人殺しの歌姫さん」
クリスタ「……私はーーーーーー」
第一部、完。
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- 114 : 2014/12/24(水) 14:08:54 :
- http://www.ssnote.net/archives/29178
続きです。是非ご覧ください。
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