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僕
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- 1 : 2014/12/15(月) 00:04:30 :
- 僕は今、壁外にいる。たった一人、たっている。いや、たっているのは地面じゃなくて壁。立体起動装置を使っている。
――僕は何者だ?
――戦士に決まっている。
深く息を吸って自問自答する。この3年間、なんどもしてきたことだ。いや、壁内に入ってからだから5年かな。この3年間がたまたまこの自問自答をする回数が多かっただけで。
――戦士には、やらねばならぬときがある。
そして、僕は自分を傷つけた。
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- 2 : 2014/12/15(月) 00:10:39 :
- ドォン、と大きなおとがして、僕は巨人にへんしんする。60メートルもの高さから見る景色は、トロスト区もシガンシナ区もかわらない。でも、違うのが、二つだけある。1つは、僕はこのまちで3年もの日々を過ごしたこと。それから―――
壁の上を見る。エレンやサシャがいる。そう、目の前にいるのが知らない人ではなく、3年間を一緒に過ごした仲間だということだ。
――仲間?戦士は一人で戦うものだ。
つい、仲間という単語を使ってしまった。だめだだめだ。僕は、戦士だ。エレン達がまだ固まっている。さあ、僕の仕事。雑念は捨てて、故郷のために体をうごかせ――。
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- 3 : 2014/12/15(月) 00:24:18 :
- 足を振り上げ、蹴ろうとする――
が、一瞬エレンのお母さんのことが頭をよぎる。僕のせいで、目の前で死んでしまった。この足を降り下ろせば、そんな人が何人生まれるのだろう。しかし、もう足は止まらない。そのまま、開閉扉に穴を開ける。破片が町中に飛んでいく。人を潰したり、家を潰したり。その姿が意識してみると、たくさんある。
はっと思い、下を見る。すると、サシャが一人の男の足に立体起動のワイヤーを刺していた。その兵士以外はみな無事なようだ。戦士なはずの僕は、またほっとする。
――僕は何者だ?
――……戦士、だ。
さっきより頼り無さげな返事がかえってくる。そんな自分に憤りを感じつつ、仕方がないじゃないかと思う僕もいる。
この五年間、ずっとこの中で過ごしてきた。悪魔なはずの人間が、すごい優しかった。ライナーなんて恋をするぐらいだ。アニだって親友と呼べるぐらい仲のよい友達がいるようだ。だって、だって、仕方がないじゃないか。僕はずっと影でいたのにこんなにも心が揺らぐ。みんなの頼れる兄貴なライナーや、女一人でいたアニは僕の何倍も悩んでるはずだ。でも、やらなくちゃ。僕たちがやらなくちゃ。
――僕は何をしているのだろう。
ふとそんな疑問が頭に浮かぶ。
この質問は戦士の僕に?それとも兵士の僕に?
どっちなんだろう。
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- 4 : 2014/12/15(月) 00:28:57 :
- 「よぉ…5年ぶりだな…。」
ふと気がつくと、エレンが壁の上にたっていた。
やめてよエレン。このままじゃ僕は君を――
とりあえず、固定砲は壊した方がいいだろう。目を狙われたらたまらない。そういって腕で壁の上を削るように叩く。エレンはちゃんと避けてくれた。しかし、そのまま腕を上ってくる。
ごめん、ごめんよ。もうやらないで。僕は君を殺さなければならなくなるかも知れないんだ。
そう心のそこから願うけど、エレンにとどくはずもない。
ごめん、エレン。死なないで――!!
そう願いながら、僕は水蒸気を出して、人になる。エレンなら、死なないと願って。
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- 5 : 2014/12/15(月) 00:31:31 :
- そのまま壁内に戻る。ライナーは僕を見て頷く。僕も、頷く。アニを探すと、ミーナと何やらしゃべっている。邪魔はしない方がいいだろう。そのあとエレンの姿をほっとする。
――僕は何者だ?
――僕は兵士だ。
――さぁ、今度は兵士としての義務をはたさなきゃ。
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- 6 : 2014/12/15(月) 00:31:37 :
- 終わり
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- 7 : 2014/12/15(月) 00:34:44 :
- おもしろかったよ
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- 8 : 2014/12/15(月) 00:36:17 :
- >>7
さっそくコメントをしてくださりありがとうございます!!
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