ssnote

x

新規登録する

作品にスターを付けるにはユーザー登録が必要です! 今ならすぐに登録可能!

このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品は執筆を終了しています。

『大きなもみの木の下で』進撃の世界のカップルのクリスマス

    • Good
    • 10

loupe をクリックすると、その人の書き込みとそれに関連した書き込みだけが表示されます。

▼一番下へ

表示を元に戻す

  1. 1 : : 2014/12/14(日) 22:15:34
    『大きなもみの木の下で』

    題名通りです
    いろんな進撃カップルのクリスマスをごった煮で…

    ネタバレは単行本

    感想などこちらに下さいましたら嬉しいです(*´∀`)
    http://www.ssnote.net/groups/553/archives/1
    よろしくお願いいたします
  2. 2 : : 2014/12/14(日) 22:16:03
    《scene 1 ハンジ・ゾエ》

    「今日はさっむいねぇ…」

    師走のトロスト区、南方に位置するこの地域にも、冬はやってくる

    駐屯兵団に顔を出した帰り道、ハンジは体をブルッと震わせた

    「だからあれほど、マントなりロングコートなり羽織って下さいと言ったのに…」

    ハンジの半歩ほど後ろを歩く彼女の副官モブリットは、ため息混じりにそう言った

    ハンジはその呆れたような口調に、くるりと後ろを振り返る

    「だって、こんなに寒いなんて知らなかったし、もさもさしてるのは好きじゃないし」

    ハンジは口を尖らせた

    「分隊長は俺の言う事は聞かないですからね…」

    ハンジの不服そうな表情にも、モブリットの呆れたような口調は変わらなかった

    「そんな事はない。ちゃんと聞くときだってあるさ…くしゅっ」

    ハンジはブルッと震えてくしゃみをした

    「…ほらご覧なさい。風邪ひいたんじゃないですか?」

    「こんなので風邪なんか引かないよ。そんなやわじゃな…くしゅん…」

    ハンジの様子に、モブリットは肩を竦める

    「くしゃみばかりしてるじゃないですか。ほらこれを…」

    モブリットはそう言うと、ハンジの肩に自分のマントをかけてやった

    「大丈夫だよ。いらないって…くしゃん」

    「くしゃみだけは可愛らしいですよね」

    モブリットは思わず小さな声で呟いた

    「くしゃみだけってなんだい?聞こえてるんだけどな」

    ハンジは副官の言葉を聞き咎めた

    「冗談ですよ」

    「くしゃみも可愛くないって事か」

    「…お好きな様にお取り下さって結構です」

    モブリットはそう言うと、ハンジにかけてやったマントのボタンをしっかり留めてやった
  3. 3 : : 2014/12/14(日) 22:33:04
    「うー、寒いよー」

    ハンジは歩きながら、ますます身を震わせた

    「本格的に風邪をひいたんでは?」

    モブリットはそう言うと、ハンジの額に手を当てた

    「ひえっ、モブリットの手冷たいなぁ…」

    「す、すみません。ますます寒くなりそうですね」

    モブリットは慌ててハンジの額に当てた手を離した

    「いいよ、謝らなくてもさ」

    ハンジはへらっと笑った

    「熱はまだ無さそうですし、今日は兵舎に戻って早めに休みましょう」

    「えっ!だめだよ、今日は…」
    モブリットの言葉に、ハンジは激しく首を振った

    「何が駄目なんです?」

    モブリットの問いに、ハンジは口を開きかけた

    だが、何も言わずに口を閉じた

    「分隊長?」

    「何でもない…兵舎に戻る」

    ハンジはそう言うと、足早にその場を立ち去った
  4. 4 : : 2014/12/14(日) 22:52:23
    モブリットは兵舎に戻るなり、真っ先に医務室にハンジを連れて行った

    「モブリットは大袈裟なんだよ。くしゃみくらい大丈夫だって」

    ハンジは口を尖らせた

    だがモブリットは首を振る

    「風邪はひき始めが大事なんです。酷くならないうちに、先手を打つべきなんですよ」

    「ただ寒かっただけだってば」

    モブリットの諭すような口調に、ハンジは不服そうに顔を歪めた

    「分隊長の事を思ってですね…」

    「はいはい、過保護すぎるんだよ君は…もっと適当でいいのに」

    ハンジは舌を出すと、プイッと顔を背けて医務室の扉を開けた

  5. 5 : : 2014/12/15(月) 08:30:20
    ハンジのくしゃみは案の定風邪だったらしく、のどが真っ赤に腫れており、微熱もあった

    彼女は医師に絶対安静を言いつけられ、医務室を後にした

    「あーあ、風邪ひいちゃったかぁ…」

    ハンジはことのほか残念そうにため息をついた

    「とにかく、今日は温かくして早く休みましょうね、分隊長」

    モブリットが労る様にそう言うと、ハンジは何故かプイッと顔を背ける

    「言われなくても寝るさ。子どもじゃあるまいし」

    「…はい。そうして下さい」

    モブリットは頭を下げてそう言った

    ハンジはちらりとモブリットの方を見たが、目が合うと直ぐにそらしてしまうのであった
  6. 6 : : 2014/12/15(月) 08:46:40
    ハンジの部屋は清潔が保たれていた

    彼女の副官の几帳面さが成せる業だ

    部屋が散らかる気配があれば直ぐ様片付ける

    黙って片付けてくれるならハンジにとってもありがたい

    しかしモブリットは、事あるごとにハンジに注意するので、彼女にとっては煩わしいと言えた

    「さ、分隊長、着替えて休みましょうね」

    どこに用意していたのか、寝間着まで出てくる周到さ

    ハンジは肩を竦める

    「君は私の執事か、お母さんだろ?」

    寝間着を受け取りながら、ハンジは言葉を発した

    「そのどちらでもありません。俺はあなたの部下なだけです」

    「執事って部下みたいなもんだよ」

    「違いますよ。執事は召し使いですよね。俺はあなたから給料貰っていませんし」

    モブリットは淡々とそう言うと、ハンジに寝間着を渡して洗面所へ促した

    着替えろと言う意味だ

    「はいはい、口うるさいお母さん執事殿」

    ハンジはそううそぶきながら、洗面所へ向かった
  7. 7 : : 2014/12/15(月) 09:08:00
    洗面所で寝間着に着替えながら、ハンジは肩で息をした

    「あーあ、絶対忘れてるよ。きっちりしているくせに、大事な約束は覚えてないとか…執事が聞いて呆れるさ」

    ハンジはそう言うと、洗面所のドアに向かって舌を出した

    「…今年も、見に行けなかったな」

    ハンジはため息一つつくと、鏡に映る自分の顔に向かってしかめ面をしてみたのであった


  8. 8 : : 2014/12/15(月) 09:22:57
    ハンジが部屋に戻ると、モブリットはコップに水を入れている最中だった

    「薬かあ、やだな…って言ってもどうせ飲まされるけどさ」

    「はい、その通りです。はい、どうぞ」

    「お母さんあーん」

    ハンジはモブリットに向かって大きく口を開けた

    モブリットは一瞬目を丸くしたが、やがてはあ、と息をつき、彼女の口に薬を入れてやった

    「水は自分で飲んで下さいね、分隊長」

    「口移しは?」

    ハンジの言葉にモブリットは、眉をひそめた

    「…俺に風邪をうつす気ですか?」

    「ああ」

    「口移しは、却下です」

    モブリットはきっぱりそう言って、首を振った


  9. 9 : : 2014/12/15(月) 10:58:08
    ベッドに体を横たえると、自然に眠気が襲ってきた

    やはり体は正直らしい

    ハンジはそのまま目を閉じた

    「では分隊長、俺は残った仕事を片付けてきますので、くれぐれもゆっくり休んで下さいね」

    モブリットの言葉に、ハンジは目を開けた

    「行っちゃうのかい?」

    「はい、少し片付けたらまた伺いますから」

    モブリットはそう言うと、部屋を後にしていった

    「…はぁ、つまんないな」

    ハンジは鈍い痛みを感じる頭をゆるゆると振ると、目を閉じた

    モブリットに約束を忘れられている事も、子ども扱いされる事も、風邪なんかをひいてしまった柔な自分の事も、全てが煩わしく思えた
  10. 10 : : 2014/12/15(月) 11:09:24
    この副官に対して、自分が上官として以外の感情を持っている事を、ハンジはわかっていた

    だからと言って今さら態度を変えるのはおかしいし、彼の方は一切、自分に対して部下以上の関わりを持とうとはしない

    彼は、自分との間に意図的に壁を作っている様にも見える

    ハンジは煮え切らない思いを心に抱きながらも、それを表に出す事はしなかった

    「ほんと、つまんない…」

    ハンジはぼそっと呟くと、枕に顔を埋めた

    やがて睡魔がハンジを眠りの世界へと誘った
  11. 11 : : 2014/12/15(月) 11:32:33
    ガタン…微かな音に、ハンジは睡眠から覚めた

    目を開け、体を起こそうとしたが、思いの外動き辛い

    体と頭がだる重かった

    「分隊長、起こしてしまいましたか」

    ハンジはモブリットの声のする方に、目をやった

    そして次の瞬間、目を見開く

    「モブリット、君…」

    ハンジの視線の先には、1メートル強の高さの小さなもみの木が置かれていた

    その横には袋が置かれており、その口からキラキラした何かが飛び出ていた

    「分隊長、大きなもみの木の飾り付けには参加出来ませんでしたが…これで今日の所は我慢して頂けませんでしょうか」

    モブリットのなんとも申し訳なさそうな表情に、ハンジは何も言えず、ただ小さなもみの木を見つめていた
  12. 12 : : 2014/12/15(月) 11:52:43
    「なんだ…忘れていたわけじゃないんだ」

    ハンジの言葉に、モブリットは首を傾げる

    「俺がそういう約束を忘れる人間かどうか、あなたが一番良くお分かりかと思いますが」

    「そう、だよね…」

    ハンジは頷いた

    「大きなもみの木もいいですが、小さなもみの木も可愛らしいでしょう。一目で気に入ってしまいまして。飾りも、少しですが用意したんですよ」

    モブリットはそう言うと、体を起こそうとしているハンジの背に手を添えて、介助した

    「うん、キラキラが見える。白いのもね」

    「白い物は綿ですよ。木に飾れば雪に見えるかなと」

    モブリットは跪いて、ハンジの顔を覗きながら言った

    「ああ、そうだね。きっと雪に見える」

    ハンジは頷いた

    「熱が上がっている様ですが…飾り付けはできそうですか?熱が下がってからゆっくり飾って頂けたら、俺は嬉しいんですが…」

    モブリットの心配そうな声と眼差しに、ハンジは頷いた

    「わかった。飾りは明日にでもやるよ。無理はしないから」

    「分隊長、ありがとうございます…」

    モブリットは何故か頭を下げた

  13. 13 : : 2014/12/15(月) 12:20:11
    「なんで頭を下げるんだい?」

    「分隊長が俺の言うことを聞いてくださったので…」

    モブリットは、はにかんだ様な笑みを浮かべながらそう言った

    「なんだよそれ。まるでいつも言うことを聞かない子どもみたいじゃないか」

    ハンジは口を尖らせた

    「一回で言うことを聞いて下さったためしがないですしね。反抗期なんでしょうか?」

    「子どもじゃないってば」

    「子どもはもっと可愛らしいですよ」

    モブリットは肩を竦めた

    「どうせ私は可愛くないお子さまだよ。おばさんに近い年齢のさ」

    「可愛くない事も無いですよ」

    モブリットの言葉に、ハンジはじっと彼を見つめた

    「じゃあ可愛いのかい?」

    「そうですね…可愛い時もありますよ」

    「へえ…」

    ハンジは赤面を隠すべく、彼から顔を背けた
  14. 14 : : 2014/12/15(月) 15:46:48
    「ああ、顔が熱いな…」

    「熱が上がったんでしょうか」

    モブリットはハンジの額に手のひらを当てた

    「…やっぱり冷たいなぁ…」

    「すみません。最近冷え症でして」

    モブリットは手を離してそう言った

    「ありゃ、そうなんだね」

    ハンジはモブリットの手をとり、ぎゅっと握った

    「ハンジさんは温かいですね。昔から変わりません」

    モブリットは顔を綻ばせた

    「温かくなるかなぁ。モブリットの手」

    「どうでしょうか。ハンジさんの手は熱のせいか、いつもより更に温かいですから。指先が温もった気がします」

    ハンジに手を握られながら、モブリットはほんのり頬を朱に染めていた

  15. 15 : : 2014/12/15(月) 15:58:25
    「いつまで、こうしていられるんだろうね」

    ハンジはモブリットの手を指で解してやりながら、小さな声でそう言った

    「手を…握っていたいんですか?」

    「まあ、それもあるけど…いつまで一緒にいられるのかなってね」

    ハンジはそう言うと、またモブリットの手をしっかり握った

    「俺は命ある限り、あなたに着いていきますよ。分隊長」

    モブリットは静かに、だがはっきりと言った

    「ありがとう、モブリット。君は私が死なせないからね」

    「俺があなたをお守りします。そのために口うるさく言う事もありますが…どうかご理解下さいね、ハンジさん」

    モブリットは自分の手を握るハンジの手に、片方の手を重ねた

    「ああ、わかってるよ。私もよくへそを曲げるけど…いいよね?」

    「できましたら素直に聞いて下さいましたら嬉しいんですが」

    「…考えておくよ」

    ハンジはそう言うと、爽やかな笑顔をモブリットに向けた


  16. 16 : : 2014/12/15(月) 16:09:44
    「飾り付け、上手く出来るかなあ」

    「そうですね、ハンジさんはあまりセンスがよろしくないですからね…」

    モブリットは困ったように眉をひそめた

    「ツリーの飾り付けくらい出来るさ、多分…」

    「途中で面倒くさいと言うのが目に見えていますが」

    「うるさいな、君は」

    ハンジは頬を膨らませた

    「…黙らせてみますか?」

    「え?」

    ハンジはモブリットの言葉に、きょとんとした

    「…いや、何でもないです」

    「何でもあるじゃないか。黙らせてみますかって君…」

    「言葉のあやです、お気になさらず」

    モブリットはつい、と顔を背けた

    「顔真っ赤だよ、モブリット」

    「気のせいです」

    モブリットはハンジから距離を取ろうと立ち上がり、後ずさろうとするが、手をしっかり握られていて、それはかなわなかった

    「…ねえモブリット。黙らせてあげる」

    ハンジはそう言うと、モブリットの手を引き、自分の元へ引き寄せた

    「ぶ、分隊長…」

    「君が言い出しっぺだ。否は許さない」

    ハンジはそう言うと、何かを口走ろうとしたモブリットの唇に、自分の唇を落とした
  17. 17 : : 2014/12/15(月) 16:18:49
    「ふぅ…ご馳走さまでした。さて続きはどうする?」

    「何がご馳走さまですか…って続きってあなたね…」

    やっと唇が解放されたと思いきや、またまた迫ってくるハンジに、モブリットは慌てふためいた

    「続きはしないのかい?」

    「あ、当たり前でしょうが!あなたは病気なんですよ?」

    「これくらいの熱なら出来るよ」

    ハンジはモブリットの顎に手をかけながらそう言った

    「出来るとかできないとかの問題ではなくて…」

    「何?やっぱり私相手じゃ勃たないのかな」

    「そういう問題でもなくて…」

    モブリットは首をぶんぶん振った

    「何だよ。はっきり言ってくれよ、モブリット」

    ハンジは煮え切らないモブリットの態度に、不服そうに口を尖らせた
  18. 18 : : 2014/12/15(月) 16:25:42
    「あなたは俺と付き合ってるわけでもないのに、そんな事はですね…」

    「じゃあなんで付き合ってもない女に、黙らせてみますかなんて言うわけ?」

    ハンジの言葉に、モブリットはぐうの音もでない

    「た、確かに…つい出来心で…」

    「雰囲気で?」

    「はい、そうです、すみません」

    モブリットは情けない表情で頭を下げた

    「私、嬉しかったよ」

    ハンジはモブリットの頭を撫でながら言った

    「嬉しい?」

    「ああ、だって私は君に子ども扱いしかされてないから、きっとそういう対象として見てくれてないんだろうなって、ずっと思っていたからね」

    ハンジの言葉に、モブリットは目を見開いた

    「そう、でしたか。良かれと思った過保護が逆効果でしたか…」

    「うん、だから嬉しかったよ。ありがとう、モブリット」

    ハンジはそう言うと、輝くような笑顔を見せた
  19. 19 : : 2014/12/15(月) 16:29:20
    こうして長い間すれ違っていた二人の心が繋がった

    小さなもみの木のクリスマスツリー

    二人は一年に一度、この小さなもみの木を飾りながら、二人だけの記念日を祝うのであった



    ーscene 1 完―
  20. 20 : : 2014/12/15(月) 16:38:28
    《scene 2 ペトラ・ラル》

    「あーっ、どうしようどうしよう。ついに明日だよ…」

    ペトラは自室で落ち着かなさげにうろうろと動き回っていた

    「今年こそは誘うぞ!なんて思って早二年…いまだに誘えない私の小心者!」

    ペトラは自分の頭を自分で叩いた

    「痛っ!あー、本当にどうしよう…いざ誘うとなると、もう本人を目の前にしただけで動悸が激しくなっちゃって…しかも二人っきりとか。考えただけで顔が暑くなる…」

    ペトラは頬に手を当てながら、ふぅと息をついた

    「落ち着けペトラ。ただ一言、一緒に出掛けませんか?これだけ言えばいいんだから!よし、がんばろう!」

    ペトラは自室で一人そう叫ぶと、握りこぶしを天高くつきあげ、部屋をダッシュで出ていった
  21. 21 : : 2014/12/15(月) 21:43:10
    「へ、兵長!」

    ペトラは馬屋にいた黒髪の男の後ろ姿に向かって、すっとんきょうな声を出した

    兵長と呼ばれた男は振り向き、弦の様な眉をひそめた

    「ペトラか」

    明らかに不機嫌そうな男の顔に、先ほどの勇気は何処へやら…ペトラは後ずさった

    「ひ、ひゃい!」

    「なんかようか?」

    上ずったような返事に、男は怪訝そうな顔で尋ねた

    不機嫌そうに見えるが実はこの男、リヴァイはもともと愛想がよろしくない

    だから今も至って普通の対応をしているつもりだった

    ペトラも平常であればそれを理解できた

    だが、今は勇気を振り絞ってやっと声を掛けたという限界ぎりぎり状態

    リヴァイが自分のせいで気分を害したとしか思えず、うなだれた

    「あ、あの…その、すみません…」

    「何が、すみませんなのか、わからねえんだが」

    リヴァイは首を傾げた

    「あっ、いえ、何も…」

    ペトラは震える膝をなんとか抑えようと、必死で手足に力を入れた

    「トイレ、我慢してるのか?」

    リヴァイの言葉に、ペトラはぶんぶん首を振った

    「ち、違います、兵長…」

    「じゃあ、何なんだ。はっきり言え」

    リヴァイの静かな言葉に切羽詰まったペトラは、懸命に言葉を発しようと、口をぱくぱくさせた
  22. 22 : : 2014/12/15(月) 21:52:20
    「…鯉みてえ」

    リヴァイはぼそっと呟いた

    「えっ?」

    「なんでもねえよ」

    リヴァイはそう言うと、また馬の毛並みをブラッシングしはじめた

    「鯉…魚ですか?」

    「ああ、口ぱくぱくさせてるだろうが、あいつら。さっきのお前とよく似てた」

    「は、はあ…」

    鯉と似てると言われて複雑なペトラであったが、少し気がほぐれてきた

    「俺は鯉が好きじゃねえ。あれは食うにも骨が多いからな。綺麗に食えねえ」

    要するに、自分の事も好きじゃねえと言われているのか、と疑心暗鬼になるペトラ

    「そ、そうですか…」

    「で、何の用だったんだ」

    本題を忘れていたペトラは、また口をぱくぱくさせたのであった
  23. 23 : : 2014/12/15(月) 21:58:55
    「あ、あの、えっとですね…」

    「ああ、なんだ?」

    リヴァイはペトラの方を向き直り、視線を彼女に合わせながら言った

    「あの、その」

    「お前、あの、しか言ってねえぞ。さっきから」

    リヴァイの言葉に、ペトラは泣きそうな顔になる

    「あ、あの…すみません」

    「…おい、泣くなよ?わけがわからねえ」

    ペトラはぐっと涙をこらえた

    そうだ、今は泣くときじゃない

    勇気を出す時なんだと、言い聞かせた

    「へ、兵長、付き合って下さい!」

    「…あぁ?」

    リヴァイは驚き目を見開いた

    ペトラが慌て始める

    「ああああ、ま、間違えましたぁぁ!」

    ペトラはその場で崩折れた
  24. 24 : : 2014/12/15(月) 22:07:54
    「何なんだ。お前、変だぞ、ペトラ」

    リヴァイは眉をひそめた

    「ひゃい!す、すみません兵長…」

    「間違えましたって、何が間違えなんだ」

    リヴァイの言葉に、ペトラは座り込んだまま口を開く

    「付き合って下さい、ではなくて、一緒に出掛けませんかって言いたかったんです…明日、クリスマスイブだから…」

    「クリスマス、か」

    リヴァイは腕を組み、何かを考える様な素振りを見せた

    「は、はい…大きなもみの木の飾り付けもされているみたいで…それを一緒に見に行けたらなあって。あ、勿論もしよかったら、でいいんですだからその…」

    「暇だから付き合ってやる」

    「……………えっ?」

    ペトラははとが豆を食らったような顔をした

    「付き合ってやるよ」

    「は、は、は、はひ!」

    ペトラはすっとんきょうな声で返事をし、びしっと敬礼をしたのだった
  25. 25 : : 2014/12/15(月) 22:15:47
    次の日の夕暮れ時

    ペトラは赤いワンピースに身を包んで、大きなもみの木の下にいた

    隣には恋い焦がれていた憧れの、リヴァイ

    「でけえな、おい」

    「はい、でっかいですね、兵長」

    ペトラは感無量といった体で、リヴァイともみの木を交互に見つめていたのであった

    その後二人は、二人だけのどこか甘い夜を過ごすのであった


    ーscene 2 完―
  26. 26 : : 2014/12/15(月) 23:04:39
    《scene 3 ミカサ・アッカーマン》

    「エレン、今日はクリスマスイブ」

    朝一番に食堂前で開口一番そう言ったのは、ミカサ・アッカーマン

    彼女はいつも唐突に声を掛けてくるため、回りの人間が驚く事が多い

    今回も例外ではなかった

    「うわっ、びびった…ミカサ、いきなり後ろからぼそっと呟くなよ!」

    話しかけられたエレンは、狼狽えながらそう言った

    「ごめん、ついうっかり」

    「いつも言ってるのによ…」

    「エレン、許して」

    ミカサの懇願に、エレンは肩を竦めた

    「いいけどよ。で、なんだっけな」

    「今日はクリスマスイブ」

    「……ふうん」

    エレンは気のない返事をした

    「クリスマスイブには、もみの木が飾られて、そこで歌のショーあるらしい」

    「へえ、そうなんだな」

    「今日、夕方から一緒にもみの木の所に行きたい」

    ミカサはエレンが全く興味が無さそうな事にも構わず、誘った


  27. 27 : : 2014/12/15(月) 23:14:07
    「へ?」

    「一緒にもみの木を見に行きたい。後、歌も聞きたい」

    ミカサはエレンにずいっと顔を近付けながらそう言った

    「ちょ、近寄りすぎだって!離れろよ、ミカサ!」

    エレンは後ずさった

    「エレン、一緒にもみの木…」

    「俺じゃなくてもいいだろ?あんまり興味ねえんだよな…」

    エレンの気のない返事に、ミカサは俯いた

    だが、すぐに顔を上げて頷く

    「わかった。エレンはあまり歌が好きじゃない。もみの木の飾りだって、男はそんなもの見たくないはず。ごめんなさい、エレン」

    ミカサはそう言うと、頭を下げてその場を立ち去った

    「お、おいちょっと待てよ!?」

    そんなエレンの制止は、ミカサの耳には届いていなかった
  28. 28 : : 2014/12/16(火) 08:30:29
    「私は早まってしまった。エレンは巨人を駆逐するのが目的…というか、それしか頭に無いほど。なのにいきなりクリスマスなんて。エレンがそんな物に興味を示すはずがない。私の独りよがりをおしつけてしまった。反省…」

    ミカサは廊下を一人足早に歩きながら、独りごちた

    いつも強く輝いている彼女の漆黒の瞳は、頼りなさげに揺れている

    常に皆の先頭を走り続ける彼女であったが、エレンの事になると、どうもその積極性が成りを潜めた

    「クリスマスイブ、か…兵士には無縁。そうだそうに違いない。私が間違っていた。そんなものにうつつを抜かすなんて、兵士にあるまじき行為。エレンもきっとそう思っているに違いない。幻滅されていたら、どうしよう…」

    ぶつぶつと独り事を言いながら歩いているミカサ

    その時だった

    「じんぐるべーるじんぐるべーる、すっずっがー鳴るー♪」

    すっとんきょうな歌声が、廊下の先から聴こえてきた
  29. 29 : : 2014/12/16(火) 08:39:48
    「分隊長!音痴が過ぎます!近所迷惑です!」

    その掛け合いに、ミカサは立ち止まる

    彼女の良く知る人物…上官達の声であった

    「音痴でもいいじゃないか。楽しけりゃ」

    「騒音ですよ、騒音!」

    「君はうるっさいなあ」

    ミカサはそのやり取りを聞きながら眉をひそめる

    「あっ、ほら分隊長。ミカサが辛そうにしてるじゃないですか」

    「違うだろ?君のダミ声がうるさいからだよ。ねーミカサ?」

    「…いえ、辛くはありません。でも…歌はひどい、です」

    ミカサは小さな声でぼそっと言い放った

    「えー!天使の歌声を真似てるのに!」

    「天使は天使でも堕天使でしょうね」

    「モブリット、うるっさい!」

    二人の掛け合いを耳にしながら、ミカサはその場を離れようとした

    だが、がしっと手を掴まれる

    振り返れば、メガネの上官が笑顔を見せていた
  30. 30 : : 2014/12/16(火) 08:55:24
    「ミカサはクリスマスイブの野外コンサート、行くのかい?天使の歌声の歌手が歌うだろ?」

    ハンジの言葉に、ミカサは首を振る

    「兵士には音楽など無縁。私は興味が無い、です」

    「そうなのか。私は一応兵士だけど、行くよ?癒されるしね」

    ハンジはそう言うと、ミカサの頭をよしよし、と撫でた

    「頭を撫でないで下さい。子どもじゃないから」

    「うーん、なんか可愛くってさ」

    「失礼ですよ、ハンジさん。ミカサは立派な兵士です」

    モブリットはそう言いながら、ミカサに何かを手渡した

    「これ、何ですか?」

    「それね、野外コンサートの座席チケット。早くから並ばされて確保できたんだ。だから君にもね」

    「チケットが必要だったんですか」

    ミカサがそう言うと、ハンジが肩をぽんと叩いた

    「やっぱり、ミカサも行く予定だったんだね。チケットがあると、前の方で聴けるからね。私たちは近くのでかい木に立体機動で登って聴くから、いらなくなったんだ」

    「そうですよ。そうするなら並ぶ必要なんかなかったのに…」

    モブリットは口を尖らせた

    「私、本当は、聞きたかった。歌が好きだから」

    ミカサはチケットを握りしめてそう言った

    「ならよかったよ。二枚あるから誰か誘うといい。ミカサならエレンかなぁ?」

    「………ハンジさんは、モブリットさんと?」

    ハンジの言葉に返事をせず、ミカサは逆に尋ねた

    「そうだよ。モブリットが一人だと泣くからさあ」

    「泣きませんよ。たまには一人そっとしておいて欲しいくらいですよ!」

    「またまた、寂しいくせにー」

    ミカサは二人のそんなやり取りに、目を細めた
  31. 31 : : 2014/12/16(火) 09:02:21
    「お二人は歴戦の立派な兵士。だけど歌も好きで愛し合っている」

    ミカサは二人を交互に見ながらそう言った

    「わお!いきなり照れる発言を!」

    「愛し合っているというかなんというか…」

    ハンジとモブリットは顔を赤らめた

    「私はやっぱり歌が好き。だから一人ででも聞きに行こう。ハンジさん、モブリットさん、ありがとう」

    「エレンは誘わないのかい?」

    ハンジの言葉に、ミカサは目を伏せた

    「エレンは歌に興味がないから…では失礼します」

    ミカサはそう言うと、その場を立ち去った

    「…なんか、悲しそうだったね、ミカサ」

    「そうですね。確かに」

    二人は揃って思案を巡らせるのであった
  32. 32 : : 2014/12/16(火) 09:12:48
    クリスマスイブの夜

    町は色とりどりの飾りと、賑やかな喧騒に包まれていた

    恋人達、家族…皆幸せそうな表情だ

    ミカサはそんな中一人で、野外コンサートがある大きなもみの木の広場にいた

    不思議と寂しくはなかった

    今から聴けるであろう大好きな歌を心待にしていたからだ

    エレンは友人達と楽しんでいるに違いない

    ミカサは大勢で騒ぐ中にいるのが苦手だった

    だから一人でこうしている方が気が楽でもあった

    チケットを握りしめて、入場しようとしたその時だった

    「ミカサ!」

    肩をぽんと叩かれる感覚、そして自分の名を呼ぶその声

    ミカサが振り向くと、思った通りの人物がそこにいた

    はあはあと息を荒くしながら…
  33. 33 : : 2014/12/16(火) 09:19:38
    「エレン、どうしてここに…」

    ミカサは驚き目を見開いた

    「ハンジさんから聞いたんだ。お前が一人でここに行ってるってな」

    「そう、でもエレン、歌に興味がないんじゃない?」

    「…まあそうだけどよ。たまにはいいかなってな」

    エレンはそう言うと、照れたように鼻の頭をぽりぽりと掻いた

    「…エレン、ありがとう」

    ミカサは俯いた

    何故だか涙が溢れそうになっていたからだ

    「お、おいミカサ…」

    チケットを握るミカサの手に、ぽたぽたと落ちる水滴

    それはミカサが流す、初めての嬉し涙だった

    「ありがとう、エレン…」

    ミカサは顔をあげ、泣き笑いの様な顔を見せたのであった
  34. 34 : : 2014/12/16(火) 09:21:53
    二人の若いカップルは、大きなもみの木の下で、美しい歌声に包まれながら

    つかの間の平穏で幸せな時間を過ごすのであった



    ーscene 3 完―
  35. 35 : : 2014/12/16(火) 12:21:21
    《scene 4 エルヴィン・スミス》

    まだウォールマリアが崩壊する前の事

    エルヴィン・スミスは分隊長として、影から調査兵団を動かす存在になっていた

    彼は特に高圧的な態度は取らない

    だが彼から発せられるオーラというのであろうか…一種の威圧感の様な物が、他の兵士達に畏怖と尊敬の念を与えていた

    だから、彼に気安く声を掛けてくる兵士は稀であった

    「エルヴィン分隊長、今日はかなり冷え込みますね」

    いつも側近として側にいる女性兵士は、そんな稀な人物の一人であった

    エルヴィンの元で班長をしている、歴戦の兵士だ

    齢はまだ20にいくかいかないか、それくらいの普通の女性

    特に美しいわけでもないが、快活で可愛らしい一面も持ち合わせていた

    肩の下辺りの長さの赤毛を二つに分けてくくり、動作の邪魔にならないようにしていた

    「確かに冷えるな」

    エルヴィンはそう言うと、ちらりと彼女を見た

    赤毛の彼女と目が合った

    彼女は一瞬目と口を開いて、それから照れた様な笑みを浮かべた

    「はい、分隊長」

    彼女はそう言うと、これ以上は無理だとでもいうように、視線を反らしたのであった



  36. 36 : : 2014/12/16(火) 14:34:28
    エルヴィンにとって、憧れや恋慕の視線を浴びることは珍しい事ではない

    完全無欠に見える彼でも、普通に女を愛するし、時には欲する事だってある

    ただ、一人の女性に深入りをしたりはしなかった

    彼には途方もない野望があり、夢がある

    何を捨てても、たとえ自分自身を捨てても、たどり着きたい夢

    そのためには、自分自身より大切なものを作る事は許されなかった

    だからエルヴィンは、特定の女性と何度も逢瀬を繰り返す事はしなかった

    言うなれば双方に後腐れ無い縁だけの関係に終始していたのである
  37. 37 : : 2014/12/16(火) 14:47:34
    「何だか町が賑やかだな」

    エルヴィンは辺りを見回して言った

    「はい、今日はクリスマスイブですからね」

    女性兵士は、辺りを歩くカップルを羨ましげに見つめながらそう言った

    「そうか、クリスマスか」

    「はい。分隊長の所にはサンタは来るんでしょうかね?」

    女性兵士はそう言うと、ふわりと笑みを浮かべた

    「いや、来たことがないな」

    「奇遇です。私の所にも来ませんね」

    女性兵士は何かを探すように空に目を凝らした

    「…何か見えるか?」

    エルヴィンの問いに、女性兵士は首を振った

    「いいえ。サンタがそりに乗っているのが見えるかなあって思ったんですが」

    彼女はそう言ってはにかんだ

    「忙しくて猫の手も借りたい事だろうな」

    「そうですね、きっと大慌てです。ふふっ」

    女性兵士は口元に手を当てて含み笑いをした

  38. 38 : : 2014/12/16(火) 19:22:29
    「クリスマスを共に過ごすような男はいないのか?」

    エルヴィンのその言葉に、女性兵士は一瞬固まった

    「あの…そうですね、いないです」

    「そうか。勿体ないな」

    「いいえ…」

    女性兵士はそう言うと、視線を地面に落とした

    エルヴィンはその様子に少し引っかかる物を感じたが、何も言わなかった

    「調査兵団にいれば、中々そう言った男は見つけにくいか」

    「そうですね。と言いますか、私はあまり興味がなくて…」

    女性兵士はその言うと、笑みを浮かべた

    だが、その笑みは何処と無く寂しげであった

  39. 39 : : 2014/12/16(火) 19:32:00
    「あっ」

    町の中心部を歩いていた時、女性兵士が不意に立ち止まった

    「どうした?」

    「歌が聴こえてきませんか?」

    その言葉にエルヴィンは耳をすませた

    確かに人々の喧騒の間をぬうように、歌声が耳に入ってきた

    「聴こえるな」

    「はい、もみの木の広場で、クリスマスイブのコンサートがあると聞いていましたから、多分その歌でしょうね」

    女性兵士は目を閉じ、歌声に聞き入っていた

    「聴きたいのなら、もう少し近くへ行くか?」

    エルヴィンの言葉に、女性兵士は嬉しそうに顔を綻ばせた

    「い、いいんですか?嬉しいです」

    二人は人混みをかき分ける様に、もみの木の広場に向かった
  40. 40 : : 2014/12/16(火) 19:47:29
    もみの木の広場には、人だかりができていた

    だが不思議と、静まり返っている

    皆が歌声に聞き入っているようだった

    「美しい歌声だな」

    「はい、天使の歌声と呼ばれている歌手だそうです。兵団の兵士達も、聞きに来ているかもしれません。皆噂をしていましたから」

    女性兵士は目を閉じ、歌に聞き入りながら言葉を発した

    「そうか。俺はそういう事にはとんと疎いからな」

    「エルヴィン分隊長は大変ですから…いろいろと」

    彼女はエルヴィンが昼夜を惜しんで、調査兵団のために動いている事を知っていた

    「大変か…そうだな。だが、望んでやっているからな」

    「はい、分隊長」

    女性兵士は目を開け頷いた

    「だが、たまには歌に耳をすませるのもいいな。心が落ち着く」

    「そうですね。戦うのが本分とは言え、私たちにも癒しは必要ですから」

    女性兵士はそう言うと、また目を閉じた
  41. 41 : : 2014/12/16(火) 19:53:21
    そのまま聞き入っていると、コンサートが終わったのだろうか…人だかりが徐々に少なくなっていった

    その場を動かなかったエルヴィンと彼女の前に、大きなもみの木が目に入ってきた

    「もみの木が飾られているな」

    「…はい、分隊長」

    静かな夜の闇に、キラキラと輝くもみの木の飾りが彩りを添えていた

    「綺麗だな。こんな飾りまでされているとはな」

    「分隊長、ここ数年毎年飾り付けはされていますよ」

    女性兵士のその言葉に、エルヴィンは首を振った

    「そうだったか…」

    「はい、分隊長」

    女性兵士ははにかんだ様な笑みを浮かべた
  42. 42 : : 2014/12/16(火) 22:24:19
    「さすがにカップルが多いですね…」

    もみの木の近くへ行くと、辺りのベンチや木立の下には数組のカップルが寄り添っていた

    「クリスマスイブだからかな?」

    「はい、そうですね。私達も、そう見えるでしょうか…」

    女性兵士はそう言ってから、慌てて口を手で押さえた

    余計なことを言ってしまったと言った体で

    エルヴィンはしばし黙っていたが、やがて頷き

    「そうだな。そう見えるかもしれないな」

    と、言ったのだった
  43. 43 : : 2014/12/16(火) 22:37:52
    「嬉しいです、まさか今日、歌も聞けてもみの木も見られるなんて思っていませんでしたから」

    もみの木を見上げながら、女性兵士は目を細めた

    「そうか。クリスマスイブにまで仕事に駆り出して、すまなかったな」

    そう言って頭を下げるエルヴィンに、女性兵士はぶんぶん首を振った

    「そ、そんな事!私はクリスマスにエルヴィン分隊長といられるだけで…あっ」

    女性兵士はそこにまで言って我に返った

    そして端から見ても分かるくらいに、顔を朱に染めた

    「ん?」

    「な、何でもないです!」

    女性兵士はそう言うと、くるりともみの木に背を向けた

    「もういいのか?」

    エルヴィンの問いに、女性兵士は

    「はい…」

    力なく頷いたのだった
  44. 44 : : 2014/12/17(水) 09:48:03
    もみの木の広場からの帰り道、辺りはすっかり夜の闇に覆われていた

    女性兵士はエルヴィンの半歩後ろを、ゆっくり踏みしめる様に歩いていた

    もちろん、遅れはとらない程度にだが

    隣を歩きたいという思いが、彼女の中にはある

    だがこの憧れ尊敬する上官の隣を歩くなど、自分には不相応すぎると思っていた

    この上官を一目見た時から、彼女の運命は急激に舵をきった

    訓練兵卒業を間近に控えた勧誘式にて、エルヴィンの言葉とその瞳の輝きを目にした時

    駐屯兵団を希望していたはずの彼女は、自由の翼を背に負う事を決めた

    それから数年、必死に壁外で闘い、やっとの思いで憧れの上官の側近として登用された

    彼女にとってそれは、夢であり希望であった

    それが叶った今、夢の先に見えるものは…

    永遠に叶うことの無い夢だった
  45. 45 : : 2014/12/17(水) 12:36:48
    「すっかり遅くなってしまったな」

    エルヴィンの言葉に、女性兵士は頭を下げる

    「すみません、私が寄り道を…」

    「いや、そういう意味じゃない。腹が減らないか?」

    「あっ、そういえば…」

    とたんに女性兵士のお腹から、キュウ、と切ない音がした

    「腹の虫は正直だな」

    エルヴィンはにやりと笑いながらそう言った

    「分隊長、笑うなんて酷いです。せ、生理現象なんですから…」

    女性兵士は顔を真っ赤にしながらお腹を押さえた

    「すまない。あまりに可愛らしい音がしたものでな。何か食べて帰るか。予定は…無いんだったな?」

    エルヴィンのその言葉に、女性兵士は内心飛び上がってダンスをしたい気分ではあったが、口に出してはこう言った

    「予定は未定です。食べて帰りましょう、分隊長」

    その後またすぐに、彼女の腹が音を出した

    「……かなり切羽詰まっている様だな、君の腹の虫は。はは」

    「わ、笑わないで下さいって…!」

    女性兵士はますます顔を赤くしながら、エルヴィンに批難めいた眼差しを向けたのだった
  46. 46 : : 2014/12/17(水) 12:48:40
    彼女は内心浮かれていた

    夢にすら見れなかった、エルヴィンとのデート、といってさしつかえないであろうこの状況に

    側近として側にいられる事だけで満足しているはずだった

    だがそれがいつしか、もどかしいほどに切ない想いに変わっていった

    すぐ側にいるのに、厚く高い壁に阻まれる彼女の想い

    届くはずのない想い

    届かなくていいのだと自分自身に言い聞かせてきた

    そんな彼女にとって、今日のこの日は、人生で最良の日と言っても過言ではなかった

    彼女は足取り軽く歩んだ

    敬愛する上官の背中を追いながら
  47. 47 : : 2014/12/17(水) 12:56:54
    エルヴィンにしてみれば、彼女を食事に誘う事に関して特別な想いがあるわけではなく、ただ単に兵舎に帰っても食事の時間はとうに過ぎているという理由だけであった

    ただ、自分がそう言った時の彼女の表情が、みるみるうちに綻び始めたのを見て、満更でもなかった

    彼女の想いをなんとなく理解している

    だが、それに応える様な余力は持ち合わせてはいない

    恋愛感情など、調査兵団を志す事に決めてから捨ててしまった

    そういう想いを向けられる事を煩わしいとは思わなかったが、それを自ら掬い取る様な事はしなかった
  48. 48 : : 2014/12/17(水) 17:07:41
    店内は食欲をそそる匂いと、酒の香りが充満していた

    女性兵士はこれい以上腹の虫を鳴らさないぞと言いたげに、ぐっと腹筋に力を入れていた

    だがそんな努力が実るはずがない

    エルヴィンにからかわれながら、これ以上無いほどに顔を赤らめて恥ずかしがっていた

    「そんなに恥ずかしがらなくてもいいのにな。なかなかいい音だと思うぞ」

    「ぶっ、分隊長!もう止めてください!というか、分隊長のお腹の音も聴かせて下さいよ!」

    女性兵士はからかわれすぎて、ついに怒り始めた

    「俺の腹の音か?さっき鳴ったが聞こえなかったか。残念だな」

    エルヴィンはそう言うと、また不敵な笑みを浮かべたのだった

  49. 49 : : 2014/12/17(水) 17:17:57
    料理に舌鼓を打ち、腹の虫がおさまった二人は、酒に興じていた

    「エルヴィン分隊長って、結構いじわるなんですね…知りませんでした」

    女性兵士の中で、完全無欠なエルヴィンのイメージに少し変化が現れた

    「そうかな?」

    「はい…でも、やっぱり…」

    女性兵士はそこまで言って言葉を切った

    そして、酒をぐいっとあおった

    「ん?どうかしたか?」

    「やっぱり、す、す…素敵だと思います!」

    女性兵士は思い切り大きな声で、そう言い放った

    みるみるうちに、顔が朱に染まり、瞳が潤んでくる

    その瑞々しいといえる変化に、エルヴィンはじっと見入っていた

  50. 50 : : 2014/12/17(水) 23:12:00
    女性兵士はこれ以上無いほどに赤面した顔を、両手で覆いながら頭を振った

    酒の勢いを借りて、言わなくてもいい事を言ってしまったと、後悔した

    「もしかして誉めてくれたのか?ありがたいな」

    だがエルヴィンはそう言って、彼女に微笑みかけた

    彼女は指と指の隙間からエルヴィンの顔を盗み見る

    そこには何時もとは違う、柔らかな表情の上官がいた

    「ほ、本当の事ですから…」

    女性兵士は小さな声でそう言ったのだった
  51. 51 : : 2014/12/17(水) 23:25:04



    「酔いは覚めたか?」

    酒場からの帰り道

    冷たい空気が彼女の火照った頬を冷やすのにうってつけだった

    「はい、元々酔ってはいませんが…」

    女性兵士はそう言いながら、頬に手を当てた

    先ほどの酒場での発言からかなりの時間がたち、ようやく頬に上がった熱が冷めてきた様に思えた

    あれからは当たり障りのない会話しかしなかったが、彼女にとってはエルヴィンと二人きりというだけで赤面に値する状況だ

    とにかく今は、外の冷たい空気がありがたかった

    「しかし冷えるな…寒くはないか?」

    「大丈夫です、分隊長。クリスマスイブは何故か寒い日が多いですね…」

    女性兵士の言葉に、エルヴィンが首を傾げる

    「そうなのか。あまり意識した事はなかったな」

    「寒いと肩を寄せ合いたくなります。クリスマスにカップルが増えるのも、寒いからじゃないでしょうか」

    「なるほどな」

    エルヴィンは相づちを打った

    「分隊長は寒くないですか?」

    「ああ、大丈夫だ。酒のせいで体がほかほかしているよ。飲み過ぎたかな」

    「分隊長はそんなに飲んでいませんよ。私も、少し飲んだだけなのに…」

    女性兵士はそう言うと、またほてり出した頬に手を当てた

    頬の赤みを酒のせいにできるのは、好都合かもしれない、と彼女は思った
  52. 52 : : 2014/12/17(水) 23:33:42
    「しかし、少しくらい男の影がいてもいいと思うんだがな」

    「私、ですか?」

    「ああ」

    エルヴィンの言葉に、女性兵士は俯いた

    「私は、いいんです。必要ありません。調査兵団にいれば、いつ死ぬかわからないですし…」

    彼女はゆっくりと、小さな声でそう言った

    「そうか…」

    「それに、私は………」

    女性兵士はエルヴィンの顔をじっと見つめた

    エルヴィンの青い瞳に自分が映っているのを見て、視線をそらす

    だが、息をつき、もう一度しっかりとエルヴィンの目を見た

    エルヴィンはその、言葉より雄弁な彼女の瞳をしっかりと受け止めた

    「私は、あなたが、好きだから…他には何もいりません」

    彼女はそう言うと、瞳を潤ませた
  53. 53 : : 2014/12/17(水) 23:36:48
    言ってしまったと後悔はしない

    いつまで生きられるかわからない

    生きている間に、少しでいい、夢を叶えたい

    夢の先を見てみたい

    彼女のその想いが、勇気となって言葉を発した

    いつしかぽたぼたと流れ落ちる涙

    エルヴィンは何も言わず、その涙を掬ってやる

    エルヴィンには、彼女の想いを掬ってやる事はできない

    ただ、涙を掬ってやる事しかできないのであった
  54. 54 : : 2014/12/17(水) 23:57:53
    「ありがとう。だが俺は、君の気持ちに応えてやれない」

    「はい、わかっています…分隊長を困らせるつもりはありません…ただ、伝えたかっただけ、です」

    涙を必死に堪えながら、女性兵士はそう言った

    「…すまない」

    「謝らないで下さい、分隊長…。私はあなたのお側で働けるだけで満足なんですから…でも…」

    「でも、何だ?」

    エルヴィンの問いに、女性兵士は潤んだ瞳を上官に向けた

    「もし、もし迷惑じゃなかったら…私を…抱いてくれませんか…?」

    女性兵士の言葉に、エルヴィンは目を見開いた

    彼女の真摯な眼差しは、恐れを知らない

    まっ直ぐ自分を見ていた

    「意味はわかっているのか?」

    「勿論です…私はまともな恋愛をしたことがありません。ですので、まだ男を知りません。いつ死ぬかわからないなら、せめて好きな人に抱かれたいと思うのは、おかしいでしょうか…」

    雄弁に語る彼女に、エルヴィンは静かに言葉を発する

    「俺は君に何も与えてやれない。特定の女性と付き合う事も考えていない」

    「はい、それも承知の上です。分隊長」

    きっぱりとそう言う彼女に、エルヴィンは内心舌を巻いた

    これ程までに積極的に出てくるとは、予想外であったからだ

    ここまで覚悟を決めているのなら、応えてやる方がいいのだろうか

    エルヴィンはいまだに視線を反らさない彼女を見ながら、思考を巡らせた
  55. 55 : : 2014/12/18(木) 09:04:03
    「わかった。兵舎に帰って酔いを覚まして、それでもまだ心が変わらないなら、部屋に来い。鍵は開けておく」

    エルヴィンの言葉に、女性兵士は頷いた

    「はい、分隊長。ありがとうございます」

    そう言って、笑顔になった



    部屋の灯りに灯をともし、執務机に向かうエルヴィン

    仕事はいくらでもある

    エルヴィンの予定に休日などなかった

    今日済ましておきたい書類にペンを走らせながら、予想外の行動に出た部下の事を、時折思い浮かべる

    彼女は来るだろうか

    来たとして、本当に応えてやっていいものだろうか

    それが彼女のためになるのであろうか

    答えは見つからない

    ただ、今まで一度も自分から何かを要求する事がなかった彼女の、初めての願い事

    それを願い出る勇気

    壁外での苦労に見合った代償にそれを求めるなら…

    それをかってやるべきか

    エルヴィンは珍しい程に迷っていた

  56. 56 : : 2014/12/18(木) 10:47:50
    どれくらい時が経っただろうか

    エルヴィンが相変わらず執務に励んでいると、扉がノックされて、静かに開いた

    彼が視線を扉の方にやると、兵服姿の女性兵士が硬い表情で立っていた

    「分隊長、失礼します」

    彼女の言葉は幾分震えていた

    「…酔いは覚めたか?」

    「はい。風呂に入って、冷たいシャワーも浴びました。あっ、執務中でしたか」

    女性兵士はそう言うと、エルヴィンの方に歩み寄り、書類に手をのばす

    何時もの様に

    だが、書類を手にしようとした彼女の手の動きを、エルヴィンの手が握って妨げた

    「これは今しなくて構わない」

    その言葉に、女性兵士は肩をびくっと震わせた

    「はい、分隊長…」

    彼女は今にも消え入りそうな声でそう言った
  57. 57 : : 2014/12/18(木) 11:03:35
    「風呂に入ってきたのに、着替えてこなかったのか」

    エルヴィンの言葉に、女性兵士は首を振る

    「いいえ。着替えてきました、新しい兵服に。私は分隊長の前では、私服になったことがありませんから…」

    「なるほどな」

    彼女はいくら自分の想いが強くても、いや強いからこそ、それを覆い隠すために、公私混同を避けるために、エルヴィンの前では必ず兵服でいたのであった

    エルヴィンはそれを理解した

    彼は立ち上がると、握りしめた彼女の手を引き、その身体を自分の腕の中に収めた

    彼女は夢にすら見られなかった、敬愛する上官の温もりに、思わず涙をこぼした

    そして小さな声で

    「好きです…」

    と呟くのだった
  58. 58 : : 2014/12/18(木) 11:25:59
    「泣くな」

    彼女の肩が震え始めた事に気が付き、エルヴィンは静かにそう言った

    「はい、すみません、分隊長…」

    「謝らなくていい」

    「はい…」

    彼女はエルヴィンの腕の中で、こくりと頷いた

    エルヴィンは彼女の髪を手で掬った

    石鹸のよい香りが、鼻腔をくすぐった

    彼女の頬に手を添えて、その顔を余すところなく観察する

    火照った頬、涙の跡、そして潤んではいるが、しっかりと自分を見つめてくる、言葉よりも雄弁な、力強い瞳

    エルヴィンはその瞳に引かれる様に、彼女に顔を近づけた

    彼女は目を閉じる

    唇が重なりあった時、彼女の全ての想いが昇華された様に…

    彼女の瞳から、また涙がポロポロと零れ落ちた
  59. 59 : : 2014/12/18(木) 11:35:59
    エルヴィンは彼女を優しく、慈しむ様に抱いてやった

    自らの欲求のためではなく、彼女のために

    何も知らない彼女に、一つ一つ丁寧に教えてやった

    訓練兵から調査兵に来たときに、座学を教えてやった時の様に

    彼女の初めて体験が満足のいくものになる様に
  60. 60 : : 2014/12/18(木) 11:36:23

    彼女は想いを遂げた

    夢にすら見れなかった、敬愛する上官との初めての体験

    これでもう、思い残す事はない

    彼女は夢の先まで、叶えたのであった

    自らの勇気によって
  61. 61 : : 2014/12/18(木) 11:45:52
    「…もう行くのか?」

    事が済み、しばらくエルヴィンの腕に抱かれていた女性兵士だったが、徐に腕から抜け出して、兵服に手を伸ばそうとした

    「はい。分隊長の眠りの妨げになるといけませんから」

    「そんな事は気にしなくていいんだがな」

    エルヴィンはそう言うと、自らも起き上がり、兵服を着込み始めた

    「…分隊長はもうお休みください」

    女性兵士は、自らは下着のまま、エルヴィンの身体をベッドに押し付けた

    「…えらく積極的だな」

    その言葉に、彼女は赤面する

    「ち、違います!そういう意味じゃないです!」

    「わかっているさ。もう少しここで休んでいけばいい」

    エルヴィンはベッドをぽんぽんと叩いた

    女性兵士はしばしためらった後、エルヴィンの隣に身を滑らせたのであった
  62. 62 : : 2014/12/18(木) 11:51:55
    「エルヴィン分隊長の夢って…何ですか?」

    他愛のないピロートークから飛び出した、彼女の問いに、エルヴィンは首を振る

    「いろいろあるが…すまない、今は誰にも話せないんだ」

    「そうですか…その夢、きっと叶いますよ」

    女性兵士はそう言うと、笑顔をみせた

    「そうかな」

    「はい、私が全力でお助けしますから」

    「それは頼もしいな、よろしく頼むよ」

    エルヴィンはそう言うと、彼女の頭をくしゃっと撫でた

    「君の夢は?」

    「私の夢は…秘密です」

    「そうか…叶うといいな」

    エルヴィンの言葉に、女性兵士はただ、微笑んだのだった
  63. 63 : : 2014/12/18(木) 12:03:24
    ・・ 一年後 ・・

    クリスマスイブの夜更け

    さすがにこの時間になると、人気はなくなっていた

    大きなもみの木には、今年もきらびやかな飾りが施されていた

    一人の男が、もみの木の前に佇んでいた

    彼はもみの木を見上げながら、小さな声で呟いた

    「来るのが遅くなってしまったな。あれからもう、一年が経った。早いものだ」

    「俺には後ろを振り返る時間がない。君の事を振り返るのも、今日が最初で最後になるかもしれん…許せ」

    「君の夢は、来世で必ず遂げるんだ。俺の夢が叶えば、来世はきっと平和な世になる。君は…必ず幸せになれる」

    「俺は前に進む。上から見ていてくれ。そして…また逝くかもしれない兵士たちをよろしく頼む」

    エルヴィンはそう言うと、もみの木に頭を下げ、その場を後にした
  64. 64 : : 2014/12/18(木) 12:19:26
    エルヴィンは知らなかった

    彼女の夢の先は、すでに叶っていたという事を

    彼が叶えていたのだといいう事を

    夜空に輝く無数の星の中で、一つの赤い星が、きらりと輝きを増した

    エルヴィンの背中を、まるで押すかの様に



    ーscene 4 完―
  65. 65 : : 2014/12/19(金) 00:52:01
    執筆お疲れ様でした

    88さんのSSは
    毎回楽しみにしてます

    今後も期待してます
  66. 66 : : 2014/12/19(金) 00:56:28
    >りんごさん☆
    読んで頂き、ありがとうございます♪
    そう言っていただけて幸せです!
    また頑張ります(*´∀`)
  67. 67 : : 2014/12/19(金) 21:42:03
    師匠!!執筆お疲れ様です!
    モブリットとハンジさんは毎回、師匠が書かれると素敵です(*´∀`*)
    でも、今回、読んでて凄く素敵だと思ったのがエルヴィンのストーリーです!!
    大人のムードが凄くて素敵です!
    彼女の夢が叶っている事、エルヴィンの夢が叶う事、本当に進撃の漫画で書かれるサブストーリみたいで素敵です!
    次の作品も期待してます!いつも素敵なSSありがとうございます!!
  68. 68 : : 2014/12/21(日) 07:59:52
    >EreAni師匠☆
    コメントありがとうございます!
    エルヴィンですか!
    最近彼のSSを書いていないなあと思っていまして、入れてみました!
    大人のムードと言って頂けて嬉しいです♪
    彼女は名前が無いですが、アニメには出ていたんですよ!
    名前の出てこない人ともいろいろあっただろうなと想像して書きました♪
    いつもありがとう!
  69. 69 : : 2014/12/30(火) 15:00:05
    verygooooooooooood!!!!!!!!!!!!(^^)d
    つぎはベルユミ、アルアニもいれてくりょ(^_^)/
  70. 70 : : 2014/12/30(火) 21:14:57
    エルヴィンに彼女か・・いい歳だし悪くないね、

     総合人気ユーザーランキング2位すっごい!!次の作品メッチャ期待してます。
     ログインしたいけど自分のパスワードお父さんが、教えてくれないから・・まあ、このまま、頑張りたいと思います。
  71. 71 : : 2014/12/31(水) 21:25:39
    >名無しさん☆
    コメントありがとうございます‼
    べるゆみ、書いてみたいです!
  72. 72 : : 2014/12/31(水) 21:26:50
    >さっちさん☆
    コメントありがとうございます!
    エルヴィンはもてそうですからね……
    ランキング、ありがとうございます!
    作品数が多いからなんですけど、これからも頑張りますので、よろしくお願いいたします♪

▲一番上へ

このスレッドは書き込みが制限されています。
スレッド作成者が書き込みを許可していないため、書き込むことができません。

著者情報
fransowa

88&EreAni☆

@fransowa

「進撃の巨人」カテゴリの人気記事
「進撃の巨人」カテゴリの最新記事
「進撃の巨人」SSの交流広場
進撃の巨人 交流広場