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×××、あの子は死にました
-
- 1 : 2014/12/10(水) 18:09:58 :
- 「『今日、あの子は死にました』」
隣にいる友人が、訳の分からないことを呟く
「は」
「『12月10日水曜日、あの子は死にました』」
立て続けに、訳の分からないことを呟く
12月10日は今日の日付だ
こっちを見て微笑んだ
「ねぇ、どっちが現実味があるかな?」
「……知らないよ、そんなん。どのみち『あの子』は死んじゃってるじゃん」
ああ、そういうことか
友人は時々、言葉遊びを仕掛けてくる
今、帰り道に行われたこれも、言葉遊びの一種なんだろう
「そうだね、『あの子』は死んじゃってるね」
どうやら正解だったらしい
「じゃあ」
今度はこっちから仕掛ける
「『今、あの子は死にました』と、『さっき、あの子は死にました』どっちが悲しい?」
「どっちもかな。今って事は調度その時ってことでしょ?さっき、って事は少し前の時間。そこまで変わらない」
「そうなんだ」
「正解?」
「さあね」
答えは用意してなかった
「さあねって」
最寄り駅に着いた
「家、来る?」
なんとなく聞いた
「…………………別にいいや」
ドアが開く
「ばいばい」
「うん、さよなら」
最後の言葉に、少し違和感がした
-
- 3 : 2014/12/10(水) 18:29:44 :
- 次の日の事だった
いつもの電車に、友人は居なかった
学校に着く
やっぱり、友人は居なかった
「おはよー」
「おはよ」
何人かと挨拶をしたが、友人と挨拶をかわす事はなかった
「おはようございます、日直さんはホームルームの用意を…」
とうとう、友人は来なかった
「これで朝のホームルームを終わりまぁす」
やる気のない声で、ホームルームは終わった
-
- 5 : 2014/12/10(水) 18:39:40 :
- と思った
「実は皆さんに重大なお知らせがあります」
ここで、友人の言葉を思い出す
『終わったかと思ったら、終わってないなんてこといっぱいあるんだよ。この文の意味は分かる?』
少し上から目線だったのは記憶に焼き付いている
先生が続ける
「…実は、」
内容は、友人が家庭の事情で引っ越した、というものだった
「…」
なにか腑に落ちなかった
-
- 6 : 2014/12/10(水) 18:46:15 :
- 「先生」
放課後、部活をほっぽらかして先生の元に行った
昼休みは、行こうか行くまいか悩んで行けなかった
「どうしたんですか?」
「質問があります」
あくまで、単刀直入に聞こうと思った
視界が揺らぐ、呼吸がしずらい、心臓の音が五月蝿い
それでも、聞かなければならないと思った
「引っ越した子は……………本当に………引っ越したん…です…よ…ね?」
最後の方の言葉が消えた
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- 7 : 2014/12/10(水) 19:05:41 :
- 先生は、目を大きく開いた
すると、突然泣き出した
「引っ越してない…そうか、君はあの子の手紙の……」
「どういう…事なんですか?」
分かっていた、分かっていた、分かっていた
嫌だ、嫌だ、身体が拒絶した
現実は、それを無視した
「…昨日、あの子は死んだんだ………。家庭内暴力に耐えられなくて……昨晩…母親が泣きながら…学校に駆け込んで来たよ…」
死んだんだ、死にました
昨日の会話が、自然に頭に浮かぶ
あれが、もしも友人の最後の足掻きだったら
もっと強く、家においでって言ってれば
「昨日………………12月10日、水曜、日、ですね」
「ああ……」
昨日、友人は死にました
12月10日、友人は死にました
もう、友人はこの世に居ません
「あ………ああ………」
『………知らないよ、そんなん。どのみち『あの子』は死んじゃってるじゃん』
なにかが、壊れた
-
- 8 : 2014/12/10(水) 19:33:59 :
──────────────
拝啓
私の唯一の友人様
前略
ここで、二つの事をさせてください
一つは、お礼です
聞いているとは思いますが、私の家はDV家庭でした
基本的に、母と弟に父は暴力を振るいました
私には、あまり降らなかったのです
それは父の策略でした
それについては詳しく話せません
しかし、私にも暴力は振るわれます
言葉の暴力です
いつか、『壊れた』話をしましたね、それは私の事です
その時、私の心はもうボロボロでした
しかし、弟と母はさらに酷い暴力を受けてます
相談なんか出来ません
警察に行ったら、弟の命は保証しない、と脅されていました
その時、貴方がずっと側に居てくれました
正直、貴方が私を励まそうとかしてないのは分かります
ただ、話を聞いてくれた事が、嬉しかったです
感謝しきれません
ありがとうございます
二つ目は謝罪です
どんな形であれ、どんな事情があれ、私が貴方の前から消えることを謝罪します
自分勝手でごめんなさい
我が儘でごめんなさい12月10日 、私は死にます
PS.
貴方がいつか、「一緒に辞書を作ろう、とびきり面白い辞書を、言葉の常識はずれみたいな」と言ってくれた時、本当に楽しみにしていました
-
- 9 : 2014/12/10(水) 19:38:56 :
- ──────────
「あいつは…」
先生がおもむろに口を開く
「弟を守るため、この世から居なくなったらしい」
弟、今、初めて知った
どうでもいい
「本当は…自殺なんかじゃない、他殺、だったらしい、たまたま自殺する日に、殺されたらしい、自分の、義父に、殺された。そう、母親が話してた。証拠はないとも、話してた」
どうでもいい
「帰ります」
「…部活は?」
どうでもいい
「帰ります」
現実味は、痛いほど感じた
END
-
- 10 : 2014/12/10(水) 19:43:19 :
- 後書きと言う名の言い訳
現実は言葉より甘くない
こういう長さの初めて書いた
本当は短編にする予定の奴でした…
中途半端で終わっているけど気にしたらあかん
最後まで読んで頂き、ありがとうございました
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- 11 : 2014/12/10(水) 20:12:11 :
- 乙
なんかぶどっちのssって遠青っぽいよね
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- 12 : 2014/12/10(水) 20:16:39 :
- >>11
あざす
そうですかね…
あまり意識はしてないんですけど…w
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- 13 : 2014/12/13(土) 12:36:47 :
- 乙
面白い!!不思議な話でしたね
-
- 14 : 2014/12/13(土) 13:32:32 :
- >>13
ありがとうございます!
-
- 15 : 2020/10/03(土) 08:53:59 :
- 高身長イケメン偏差値70代の生まれた時からnote民とは格が違って、黒帯で力も強くて身体能力も高いが、noteに個人情報を公開して引退まで追い込まれたラーメンマンの冒険
http://www.ssnote.net/archives/80410
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害悪ユーザーカグラ
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何故、登録ユーザーは自演をするのだろうか??
コソコソ隠れて見てるのも知ってるぞ?
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