この作品はオリジナルキャラクターを含みます。
My Lover【ペトラ誕生日企画】
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- 1 : 2014/12/04(木) 17:30:05 :
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↑【ペトラ誕生日企画】
ぜひペトラ好きな人は参加してください\(^o^)/
ペトラ誕生日12/6おめでとう( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆
*リヴァペトな感じだと思います。
*視点はオリキャラ(?)です。
*平和な現代世界です。
*とても亀更新かつ読みづらい駄文
よろしくお願いいたします、、
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- 2 : 2014/12/04(木) 17:34:56 :
私が学校から帰路に着いたとき、道路を挟んで斜め向かい側の家が騒がしかった。
耳をすませば、賑やかな笑い声と泣き声。
喧騒ではなく祝い事らしい。
明るい歓声が幾度も窓の外からこちらへと届く。
若い男の人の声を聞いて、誰かの誕生日パーティーを開いていることが分かった。
斜め向かい側の家の玄関には人だかり。
…こんな忙しい夕暮れ時によくこんなに大人が集まれるな…
私が二階の窓から身を乗り出して人数を目で数えていれば、その内の見ず知らずの人懐こそうな大柄の男性がそんな私に気が付いて「来なよ」と笑いながら手を振る。
躊躇が無いわけではない。が、断る理由も無いのでその誰を祝っているかも分からない誕生日パーティーに誘われることにした。
部屋のベッドから下りて、側にあった厚手のカーディガンを手に取り、制服の上から羽織る。
階段を早足に駆け、玄関を開ければ、冬の冷たい空気が肌を刺す。
上で見ていた人は、思っていたより少なかった。
おめでとう、また一年過ごせれるな、と行き交う祝福の言葉。
…主役は誰だろう
場の輪の中心に囲まれてる人物を足りない背丈に少し背伸びして目で捜す。
いた。後ろ姿だけど、髪が腰辺りまで伸びた私と同じくらいの背丈の小柄な女性。
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- 3 : 2014/12/04(木) 17:41:45 :
「あいつは、お前の倍以上の年齢だ」
声の聞こえた方へ、首を向ければ、清潔感のある黒髪に白髪が所々混じった――40歳前後だろうか――男性がいた。
おじさん、とは言い難い立派な濃紺の背広からでも分かる均整のとれた体に、目付きは、とても、鋭く、怖い。
私に話しかけたのだろうか。
私の記憶の中にはいない男性。
「……あの?」
少しの恐怖を感じながら、尋ねてみた。
「お前、あいつを祝いに来たんじゃねえのか」
男性は細い眉をくっと寄せる。彼の高圧的な物言いに、背筋がシャンとなる。
「窓の外からこの状況を眺めていたら誘われてしまって…」
「なら…別に知り合いって訳じゃねえのか」
何だか責められてる気持ちになる。悪いことをしたわけではないけれど、何かをしでかしてしまったような気持ちに買いかわれる。私は、返答に詰に詰まって下を向く。
「まぁ…おめでとうぐらい言ってやってくれ」
彼は先ほどの言葉に比べて柔らかい声音でそう言った。何となく、気恥ずかしそうに。何となく、照れ臭そうに。
よく見れば、彼の右手には仕事帰りなのか、黒革の高そうな鞄に、左手には、控えめな、でもカラフルで可愛らしい花束。きっと、あの女性に渡すものだ、と察しがつく。
「はい、分かりました」
きっと彼の奥さんなんだろうな。
私は笑顔で応えた。
輪から離れた私は女性の後ろ姿を見ていた。
女性の髪は大きな夕陽を飲み込んでしまうかのように、金に縁取られ、赤からオレンジのグラデーションは、とても美しい。
長い飴色の髪が、周りの人に話しかけられ右往左往する度、生きているように揺れている。
意識をこちらへ戻せばいつの間にか男性が隣に来ていた。
「あなたは、行かなくていいんですか?」
彼の顔を覗き込めば、彼は、眉間に皺を少し寄せ、
「俺は、最後でいい」
と。
「奥さんなんですか?あの女性の方…」
「俺にはもったいないくらいな奴だ」
と何食わぬ顔で答える。
「奥さん、この誕生日でおいくつなんですか?」
「35だ、全くそうは見えないが。」
彼は、奥さんの事がとても気に入ってるらしい。冷たい口振りのように聞こえるが、奥さんの事を大事にしてるのが言葉の一つ一つに垣間見える。
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- 4 : 2014/12/04(木) 17:49:26 :
ようやく輪の中のおめでとうコールのほとぼりが冷めてきたようだ。
そこにいる人達がみんな友人同士なのか、そのまま会話に夢中だ。
見ず知らずの彼とそんな彼より二回り近くは年下であろう私二人でその温かい光景を遠目で眺めるという奇妙な光景。
端から見たら父娘に見えるかもしれない、なんて。
横目で彼を盗み見れば、何か眩しいものを見ているように彼女を見つめ、目を細めていた。
視線を正面に戻せば、ふと、私は彼の奥さんと目が合った気がした。
すると、彼女は場を抜け出してこちらへ長い髪を揺らして駆け寄ってきた。
確かに、30代とは思えない容貌だ。
何も言われなければ、普通の女子大学生にだと思ってしまうだろう。
可愛らしい、という言葉がよく似合う女性だと私は思った。
「リヴァイさん!おかえりなさい!」
奥さんは、私にではなく、彼に気付いてこちらへ来たようだ。
奥さんは、垂れ下がった横髪を手で耳に掬いながら笑顔で迎える。髪とお揃いの飴色の大きな瞳が彼を映し出してしまうかのように輝いている。
彼の名前はリヴァイさん、というみたいだ。
「あぁ、ただいま」
私の隣にいるリヴァイさんは、花束を持った左手を隠しながら、何事もないように装い、返事した。それを横目で見ていた私は、先程までの怖いリヴァイさんからかけ離れた行動に、自然と口角が上がる。
その返答に満足した奥さんが、その大きな瞳で私を捉える。
「?この女の子は?」
奥さんは首を傾げた。なんとも一つ一つの動作がいじらしい。
「お前の誕生日を祝ってくれるらしい。別に浮気じゃねえぞ、心配すんな」
私はその言葉に、血液が顔に集まるのを感じた。でもそれ以上に奥さんは顔を真っ赤にさせていた。
「分かってます!リヴァイさんのこと本当に信じてますから!!」
奥さんの愛の告白にも近い叫びは、輪にも届いたのか、そこにいるどの人も吹き出しそうになってるのを我慢して口元がゆるゆるに溶けている。
奥さんは恥ずかしさを誤魔化すように視線を落とす。長い睫毛が頬に影を落ちていた。
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- 5 : 2014/12/04(木) 18:13:11 :
「リヴァイ兵長に何、今さら公開告白しちゃってんすか。ペトラさんよぉ」
「…うっさい、エルド…」
奥さんを冷やかしに来たのか、金髪をひとつにまとめ結った、世で言うイケメンの男性が足取り軽くヒョコヒョコやってきた。
さっき、私をこの場に誘ってきた張本人だ。
奥さんは、ペトラさん。男性は、エルドさん、のようだ。
「あれ?食って掛かんねえの?兵士時代のオルオと喧嘩するときに比べたら、大分丸くなったなあ…」
「…そんな昔話しないでよ」
エルドさんは、白い歯を見せながらケラケラと笑う。
「あの、奥さ…ペトラさんは、兵士、だったんですか?」
初めまして、お誕生日おめでとうございます、という言葉よりも先に、直感で不思議に思った事が口に出た。
「えぇと…、そうよ、うんと昔にね」
ペトラさんはそう答えたが、全くそうは見えない。
彼女が着ているスカートからは、白くほっそりとした、むしろ脆そうな脚。
なんとなく、昔にね、と言ったペトラさんの表情が何かを慈しむような寂しそうな色を浮かばせたので、この話に触れないの方がいいのかもしれない。
うんと、昔にね
ペトラさんにとっての昔とは何だろうか。
私はそう胸に抱え込んだまま、底に沈ませた。
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- 6 : 2014/12/04(木) 18:19:16 :
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「あ、あの誕生日おめでとうございます!」
「ありがとう」
一番の用事を思い出し、ペトラさんに頭を下げながらお祝いの言葉を述べる。
ペトラさんは、見ず知らずの私に嫌な顔を欠片も見せず、くしゃっと笑う。
「あの、リヴァイさんから聞きました。35歳に全く見えません。あの、とても綺麗です」
お母さんに似て口下手な私は、物事を素直に全部言ってしまう。でもこの今の言葉は紛れもない本心だ。
「お世辞をごめんね、嬉しいよ」
子どものように舌を少し見せて笑うペトラさん。
「こいつは、本心で言っている」
後ろから腕を組んだリヴァイさんが自信満々、といった表情で私の気持ちを代弁した。
いや、本心なんだけど。でも、なんでそんなリヴァイさんが満足げな顔で言うんですか。
「リヴァイ兵長、お久しぶりです。…何だか昔と比べて変わりました?」
「お前らも変わるだろ」
エルドさんが、リヴァイ兵長は嫁バカになりすぎだろ…と小声で呟いた。が、リヴァイさんが、あぁ?と眉を寄せて凄めば、エルドさんが両手を前に振りながら否定の言葉を並べる。
「最後にお会いしたの、4年前くらいでしたっけ?」
「そうだな」
「今日はちゃんとオルオ連れてきましたよ。あいつ、リヴァイ兵長にペトラとられた~とか、でも兵長にペトラもったいない~って、ずっと嘆いてて、顔も見れない~とか舌噛んでほざいてましたから」
「ほぅ…」
エルドさんが、誰かの真似をしながらコロコロ表情を変える。
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- 7 : 2014/12/04(木) 21:22:28 :
- 期待!
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- 8 : 2014/12/05(金) 23:40:35 :
- >>7
ありがとうございます(^^)
「……リヴァイ兵長、あの、その…」
「なんだ…はっきり言え」
急に口をごもりだしたエルドさんを急かすような、リヴァイさんの言葉は、こちらまで押し潰されそうな圧迫感。
「その…グンタ、見つかったので呼ばせました、今近くのカフェにいます」
「!」
ペトラさんの息を飲む音が聞こえた。リヴァイさんと目を合わしている。少なからず、リヴァイさんも驚いているらしい。
「…記憶は、ありません。探りを入れましたが、全くその様子はありませんでした」
「…嘘、グンタが…?いるの…?」
ペトラさんの頬に抑えきれなく溢れた涙が伝う。悲しい涙じゃなくて嬉しい涙のようだ。
「…あぁ、俺の仕事の取引先の相手がちょうどそうだった、思わず抱き締めちまったよ」
「…まぁ…あの頃と何一つ変わってないよ」
私には何の事だか寸分も分かることではないが、そこには確かに見えない強い絆があるようだった。
エルドさんが胸元のポケットから携帯電話を取りだし、誰かを呼び出そうと私たちから離れていった。
きっと、グンタさんという人なんだろう。
「…リヴァイさん」
「………あぁ、分かっている、もうお前らの時みたいに頭下げたりしねぇよ」
ペトラさんが何かを確かめるように、釘を刺すように強い声音で彼の名を呟く。
私は場違いな人間ではなかろうか、と薄々感じていた感情の繰り返しをしていたところに、後方からペトラさんの名を叫ぶ女性が猪突の如く向かってくる様を目の端で捉えた。
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- 9 : 2014/12/06(土) 22:33:11 :
「ペットラアアアアァアァァアァ!」
褐色のたっぷりとした髪を頭の上にまとめ上げた女性がペトラさんに駆け寄り、抱き締めた。
ダイナミックにダイブする、という表現が一番ふさわしいかもしれない。
「ペトラ、たんじょ、び、おめ、でと!」
脱兎の如く現れた女性は息を切らしながら、ペトラさんに大きい包み箱を笑顔で手渡した。
「ハンジさん!ありがとうございます!一週間研究で忙しくて会えないってリヴァイさんから聞いていたのに…」
「ノンノン!ペトラの為ならリヴァイよりも早く駆けつけるよ!…だからさ、こんな潔癖症でチビで目付き悪い男となんかと別れてハンジさんと結婚し…
「うるせぇ、クソめがね」
ペトラさんが、フフと口を隠して笑う。
「……えぇと、あの、この子はリヴァイの新しい愛人?」
急に私に話の焦点が当たって、私は咄嗟に反応できなかった。
「ちっ、違います!リヴァイさんはそんな人じゃありません!昨日だって…!」
横からペトラさんが、ハンジさんのその言葉に食って掛かるように、口を捲し立てる。
そこまで言って、思い立ったように、口を一文字にする。
「……へぇ?昨日だって?何があったの?え、ナニがあったのか、ハンジさんに詳しく教えてよ」
「…おい、クソメガネ。ガキがここにいるのに下世話な話してんじゃねえ。それ以上話すと、項ごと削ぐぞ」
「…へぇ…聞かれたくないやましいことしてるんだぁ?ね、お嬢ちゃんも気になるでしょ?」
「…あまり、詮索するのは、よくない、と思います」
この何とも幸せそうな夫婦を詮索するのは、とても野暮だ、なんて思うのは、会ってまだ30分しか経ってないこの二人組の魅力に溺れているのだろうか。
「しっかりしたお父さんとお母さんに育てられたんだね」
「…うー…何かさぁ…この子、誰かに似てない?君、なんて名前?」
品定めするように、眼鏡のレンズの奥からギョロ、と私を覗く。
あ、そう言えば名前も何も紹介をしていないんだった。
「…一昨日から、この、向かい側の家に引っ越してきた―――」
名前を言いかけた時、遠くから私の名を呼ぶ声が聞こえた。
お父さんだ。
私はその場を放り出して、大好きな父親の元へ走って行く。新しい学校の制服が私によく似合うって、お父さんが言ってくれたから、何度でも褒めてほしい。
「おかえり、お父さん!」
「ただいま、どうしたんだ?外なんかにいて…」
「あのね、向かい側の人、誕生日で、パーティーやるみたいで、誘われちゃった」
エヘヘと舌を出せば、お父さんの大きな温かい手が私の頭をくしゃくしゃっと撫でるというには強くかき混ぜる。私はこれがとても好きだ。
お母さんのとは違う。お母さんのも好きだけど、お父さんは私を守ってくれているような気になるのだ。
「へぇ、よかったな、俺も挨拶しとかなきゃな。あそこにいる人達かな?名前は何って?」
私の背中越しにいる集団を見ようと、お父さんは少し体を右に傾ける。
「あのね、すごく、可愛い人なの。えぇと、ペ――」
お父さんの耳には、私の言葉が届かなかった。
お父さんの大きな金色の瞳から、大きな涙の粒がぽろぽろと流れる。驚きと喜びと哀しみを固めた表情。
こんな姿を見たのは、初めてだった。
「―――――ペトラさん、」
お父さんが、ずっと知ってた、ずっと探していた、そんな人を見つけたような温もりを持った声音で、彼女の名を呼んだ。
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