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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品はオリジナルキャラクターを含みます。

この作品は執筆を終了しています。

死喰人──序章 邂逅──

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  1. 1 : : 2014/12/03(水) 18:27:44
    【注意事項】
    ・この作品はグロテスクな表現が含まれてるので、苦手な方にはオススメできません。

    ・これは完全オリジナル作品です、その辺りはご了承ください。

    ・面白ければGOODをいただければ幸いですが、つまらなければアドバイスや面白くないと言ったコメントはしていただいてかまいません。むしろ歓迎です。

    ・コメントは作品の終了後。解禁させていただきます。読み終わったらどんどんコメントしてください。作者が喜びます。


    【更新について】
    ・このSSは(ほぼ)毎日20:00(午後8:00)頃に更新します。

    ・もし更新出来ない場合は可能な限りその都度書き込むようにするので確認していただければと思います。

    ・皆さんが見られるように遅くなった日は書き込みをせず次の日の同じ時間に書き込みをします。ご了承ください。


    コメントはこちらへどうぞ

    http://www.ssnote.net/groups/91

    では本日20:00より始まりです。
    お楽しみください。
  2. 2 : : 2014/12/03(水) 20:01:53







    バルト大陸の南端に位置する大国ローランド王国。



    そのさらに東南端の海沿いに位置する首都エルザ。



    この街は美しい自然と海に囲まれた陽気な街だ。中心には白く美しい宮殿がそびえ立っている。



    様々なものを取り込み一つの芸術として作り上げた尊厳と調和の街。



    その街の活気や美しさは多くの人を惹きつけた。
  3. 3 : : 2014/12/03(水) 20:02:57





    しかし、商人が行き交い活気に溢れるその街だが、最近ではその明るさに暗い影を落としていた。




  4. 4 : : 2014/12/03(水) 20:09:45





    3年ほど前から発生している"連続殺人事件"





    すでに何十人もの死亡が確認されている。つい最近では発生のペースも徐々に増している様だった。



    その死亡者にはある共通点があった
    "死体の心臓がない"ことだ。



    現場には毎度血肉が飛び散り、胸にぽっかりと穴の空いた死体が転がるという凄惨な光景が広がっている。



    時には首が引きちぎられているものや、手足が無いものもあった。



    そのあまりに残酷な手口は噂として瞬く間に国中に広がり人々を恐怖に陥れた。
  5. 5 : : 2014/12/03(水) 20:20:58




    普通では考えられない異常事態な殺人。



    流石のこの状況には王政も重い腰をあげざるを得なかったのだろう。


    この事件の為だけに軍部から特別部隊を編成、派遣し捜査に当たらせた。



    軍部の中でも特に高い知能、戦闘力、あらゆる分野において突出した者のみがより集められたエリート集団。



    しかしなんの成果もあげられない日々がただ続いていた。
  6. 6 : : 2014/12/03(水) 20:26:35





    その隊長であるクラウン・ハンヴルストはここ数ヶ月の出突っ張りに疲労困憊していた。



    クラウンは短く整えた清潔感ある瞳と同じ茶色の髪をワシャワシャと掻き乱す。



    「ふざけやがって……」




  7. 7 : : 2014/12/03(水) 20:27:54




    「怒っていても仕方ないわ 早く終わらせましょ」



    「にしても、今月に入って9件目だぞ……ありえねぇだろこれ」



    強気な口ぶりで諭すような事を言うのは、クラウンと同様に選ばられた1人にして、幼馴染クレアであった。



    隊長に選ばれたクラウンがこの部隊の選出権限の一部を任されていたため選出したのが彼女だ。



    クレアは肩あたりまで伸びた燃えるように赤い髪を後ろで束ねると、死体を調べ始める。



  8. 8 : : 2014/12/03(水) 20:30:05





    クレアは黙ってうわの空で死体を見つめるクラウンの方を振り返ると不機嫌そうに口を開く。



    「サボってないで、早く手伝ってくれるかしら?隊長殿」



    「ああ、すまん」



    クレアの嫌味に我にかえり、クラウンは死体の検分に加わった。



    とはいえ今回"も"これと言った成果はなかった。



    上半身と下半身が切り離された死体はいつも通り心臓はくりぬかれ、特に証拠になりそうなことはない。




    あたりを聞き込みしても怪しい人物が浮上することすらなかった。悔しいが毎度の事だ。



    現場を抑えるしかないのかもしれないが、毎度犯人はクラウン達の裏をかいてくる。



    現状に頭を抱えながらもクラウンは検分と死体の処理を一通り終えると、クレアを引き連れて王国軍兵集団墓地にむかった。



    そこには任務や戦争において命を落とした兵士達が埋葬されている。


  9. 9 : : 2014/12/03(水) 20:30:38








    今日は親友ルークの命日だ。









  10. 10 : : 2014/12/03(水) 20:32:09




    ルークとクラウン、クレアは幼馴染だった。三人競い合い軍でも出世コースを走っていた。






    しかし、突然ルークは死んだ。






    ルークが死んだのはちょうど3年前の事だ。彼は今尚問題になっている事件の初めの被害者であった。



    彼はもうすぐ貴族の娘と結婚するのだと嬉しそうに語り、その人生は夢と希望に溢れていた。そんな矢先の事件だ。



    彼の死に顔には苦しみの表情を感じ取ることはできなかった、殺されたにも関わらず今にも話だしそうなほどだった。



    おそらく不意をつかれ、一瞬の出来事だったのだろう。



  11. 11 : : 2014/12/03(水) 20:33:47




    クラウンもクレアも初めは悪い冗談だと思った。



    その状況も合わさって2人はなかなか受け入れることはできなかったが、現実は変わることはない。



    ルークの死を理解してからも2人はしばらく仕事に手などつかなかったが、時間が彼らを癒した。



    さらに言うなら彼らは1人ではなかった。クラウンとクレアは2人だった。



    1人だったなら今ここには立っていないだろうと理解している。



    それと同時に復讐心もまたクラウンに関しては良い方向に働いた。



    必ず犯人をその気持ちが今の彼を突き動かし、ここに立たせていた。



    「ルーク……お前の死を絶対無駄にはしない、仇は俺たちが討つから
    待っててくれ」



  12. 12 : : 2014/12/03(水) 20:35:02




    クラウンの姿を黙って見つめていたクレアだったが、彼が立ち上がると声をかける。



    「復讐したってルークは帰ってこないわよ」



    「ああ、わかってる……でもやらなきゃダメなんだ」



    「そう……」



    その後、なんとなく気まずい空気が場を支配し言葉を交わすこともなく2人はその場を後にした。



  13. 13 : : 2014/12/03(水) 20:46:27





    翌日もまた新たな死体が発見された。二日連続と言うことは今までにはなかった為なんとなく嫌な予感がしていた。



    またクラウンは現場に向かった。今度はクレアだけでなく他の隊員も連れてだ。


  14. 14 : : 2014/12/03(水) 20:47:29



    クラウンは途中で妙なものを見つけた、活気に溢れた表通りとは違う暗い路地裏。



    黒いローブをきてフードを被った人影がある。体格的におそらく男だろう。



    確かに格好は怪しいが特段気にするほどのものではないはずだ、普段なら気にすら止めなかっただろう。



    しかし、今回は何か予感のようなものがあった。



    隊員を一旦止めるとその路地裏に向かう。先ほどは影に隠れて見えなかったが1人の女性が光を失った虚ろな目をして立っていた。



    「おい、なにをしてる……」





  15. 15 : : 2014/12/03(水) 20:49:51
    近づいてよく見ると女性の胸を腕が貫いているのが見えた。


    ポタポタと血が滴る。男が腕を引き抜くと壁や地面に血が飛び散る。



    手には心臓が握られておりそれをおもむろに顔の前へと運ぶ。



    「くそっ!早く来い!こいつが犯人だ!!」



    クラウン声に気づいたのか、隊員達が駆け寄ってくる。その中でクレアも彼の方を訝しげに見つめている。



    しかし彼の反応したのは隊員だけではなかった。





    ローブの男がこちらを振り向く。





    そこにいたのは決して男などと呼べるものではなかった。




  16. 16 : : 2014/12/03(水) 20:52:41




    溶けてぐちゃぐちゃになったかのような顔をしていた。



    さらに口には今だわずかに動く心臓を加えていた。ずるりと口の中にそれを吸い込むと口から血を撒き散らしながら咀嚼し飲み込む。



    想像を絶する光景に、嘔吐する者も居た。



    実際にクラウンも胃からせり上がってくるものを感じ無理やり押し戻す。



  17. 17 : : 2014/12/03(水) 20:55:45
    恐怖心や嫌悪感を圧し殺し、その場にいる誰よりも速くクラウンは剣を抜き"それ"を斬りつける。



    この時のためだけに鍛え続けてきたのだ。一撃で決める自信すらあった。







    しかし剣を振り抜いた時そこに"それ"の姿はなかった。








    後ろを振り向いたときには、隊員全員の首が落ち、腕が引き千切られ大量の血が吹き出す。



    その中、地面に転がるクレアの首も見えた。



    おそらく自分が死んだことにすら気づいていなかったであろう様子だった。



    そう。ルークと同じ顔をしていた。




  18. 18 : : 2014/12/03(水) 20:58:54





    「う、嘘だろ……」



    何故さっき自分がやられなかったのかはわからない。だが、次は殺される。



    "それ"がこちらに近づくにつれその恐怖と絶望、それと同時に隊員たちをクレアを殺された怒りがクラウンの中に膨れ上がった。




    「クレア……くそ……くそぉおおおおおッ!!」



    クラウンは涙を流しヤケクソとばかりに、"それ"に向け斬りかかる。





    しかしその攻撃は難なくかわされ、胸には手が突き刺さっていた。





    一瞬の激痛。身体の力が抜けて行き、意識が消えていく。



    胸から腕が引き抜かれたときにはクラウンの意識はなく、重力に逆らうことなく倒れた。




    その日クラウンはあまりにもあっけなくその人生に幕を閉じた。




    辺りには気味の悪い呻きのような声と、咀嚼の音だけが響いていた。



  19. 19 : : 2014/12/04(木) 19:50:55






    ◇ ◇ ◇





    ミリア・ラフィアルは、買い物の為に街に出て来ていた。



    街を歩けば彼女は良くも悪くも目立つ。



    腰にまで届きそうなほどに長い白銀の髪は陽光を受けて眩いほどに輝いていた。まるで色素を持たぬかの様に白い肌は神秘的な雰囲気を醸し出している。大きくぱっちりとした瞳は宝石のように美しい真紅をたたえていた。



    その人間離れした美しい容姿は、見る者の多くの目を否応なく引きつける。



    しかし、彼女は自分の姿を衆目に晒すのは好きではなかった。




  20. 20 : : 2014/12/04(木) 19:55:44




    その原因は両親にあった。彼女の両親はローランドの人間だ。



    未だに理由はわからないが、両親とは似ても似つかぬ彼女が生まれた。



    この容姿のせいで自らの子にも関わらず彼女を両親が心から愛することはなかった。



    両親は彼女を気味悪がってか、独り立ちできる年齢を迎えるとすぐに自分達から遠ざけた。



    ラフィアル家は代々ローランドの王城で宰相を務めていたため相応の権力を持っており、幾つかの土地を与えられていたようだ。



    彼女が大きくなると、そのうち街の外れにある小さな一軒家を彼女にあてがい閉じ込めた。




  21. 21 : : 2014/12/04(木) 20:01:45





    そしておよそ2年前、彼女が15になった頃に両親は死んだ。強盗に家を襲われ命を落としたらしい。様々な噂はあったが、彼女にとってそんなことはどうでもよかった。



    自分を愛さなかった両親も、その原因となったこの容姿も憎むべき存在でしかなかった。



    だから彼女はその日も人目を避け暗い路地裏を通ることを選んだ。



  22. 22 : : 2014/12/04(木) 20:05:54





    そしてその現場を目にしてしまった。






    クラウン達の屍肉(しにく)を貪る"それ"の姿を。





  23. 23 : : 2014/12/04(木) 20:16:43





    むせ返るほどに濃密な死臭が路地裏を包み込んでいた。



    目の前では人型の何かが人であった物を食っている。



    あまりに凄惨な状況にミリアの思考は停止していた。






  24. 24 : : 2014/12/04(木) 20:18:26





    「あ……あう……あ」



    『逃げなきゃ』そんな言葉だけが彼女の意識を支配した。ただ這いずる様にしてその場から逃れようと走る。



    その様子にすぐに"それ"は気づいた。すると"それ"は喜色の表情を浮かべ、彼女を追う。



    極度の緊張の中こわばった足をもつれさせながら、走る彼女では逃げ切ると言うことは絶望的だった。



    案の定、逃げ惑う彼女は路地を抜けることすら叶わず、再び引き戻されてしまう。



    「い、いや!やめて!」



    "それ"がそんな言葉に耳を貸すわけもなく。その腕をミリアの胸の中心へとにねじ込んだ。



    血飛沫が舞い、彼女の胸にもまたポッカリと穴が空く。





  25. 25 : : 2014/12/04(木) 20:19:53





    "それ"が彼女の心臓を引き抜こうとした────



    その時



    黒い物体が宙を舞う。



    それは1人の男だった。



    暗い路地裏ですら圧倒的存在感を放つ金色(こんじき)の髪と、漆黒のロングコートをなびかせながら身の丈ほどの大剣を振り下ろしていた。



    そしてその大剣は見事"それ"の腕を切り落とした。



    腕から吹き出る血を一滴も浴びることなくそこに佇む男の紺碧の瞳が"それ"を射抜くと同時に後ろに倒れたミリアの姿を捉える。




  26. 26 : : 2014/12/04(木) 20:21:20





    「あっちゃあ……間に合わなかったか……」



    「にしてもこんな都会にも死喰人が現れるとはなッ……」



    その言葉とともに男は剣を横一閃に振り抜く。



    すると"それ"は上下真っ二つになりバランスを崩し地に倒れる。



    しかし、まだ"それ"は死んではいなかった。上半身だけが這いながら男に迫る。



    「しつけぇんだよッ……!」



    痺れを切らしたかの様に、男は"それ"の頭に剣を突き立てた。



    するとようやく"それ"は動きを止める。




  27. 27 : : 2014/12/04(木) 20:24:06





    「ったく……」



    悪態をつきながら剣を一振り、血を払い落とすと背中に掛け直す。



    男はミリアに歩み寄り今だ胸に刺さったままの腕を丁寧に取り除いた。



    「心臓は無事か……まだ死んではいないようだな」



    男が胸のあたりに手をかざし、呪文の様な物を唱え始める。



    「不浄なる略奪者の(けが)れを 取り除かん」



    すると微かな光と共にミリアの傷口が見る見るうちにふさがって行き、ついにはまるで何事もなかったかの様に真っ白な肌が胸を覆った。



    (こいつ……なんて治癒力だ……)



    彼が使ったのはあくまで傷口の穢れを祓い、細胞を極限まで活性化させただけで一瞬で傷が治るような魔法を使ったわけではないのだ。



    普通の人間なら5分はかかるであろう治癒が彼女はものの30秒で終わってしまった。



    (この子まさか……)



    男が考えごとをしているうちにミリアは目を覚ました。



  28. 28 : : 2014/12/05(金) 20:10:01





    ◇ ◇ ◇



    「本当ごめんなさい!助けてくれたのに……」



    ミリアは不機嫌そうな男の前でただひたすら謝っていた。




  29. 29 : : 2014/12/05(金) 20:11:21





    その理由は男の顔を見れば一目瞭然。男の左頬を見事な紅葉が彩っていた。



    「場所が場所だったから……」



    要するに男が胸のあたりを治療していた時にミリアが目を覚まし、胸元に手をかざす男を見て痴漢と勘違いしてひっぱたいたらしい。



    こんな血みどろの空間で痴漢をはたらける奴がいたらそいつは相当のバカか、異常性癖の持ち主だろう。



    とはいえ、男も謝られるとなにやら申し訳ないことをしているような気がしてくる。



    「あーもう良いいよ。気にすんなって」



    「そう……?ありがと……」



    「ああ。俺はそろそろ行くから。あんたも面倒に巻き込まれない様に兵士が来る前に逃げとけよ」



    そう言い残して、男は立ち上がるとその場を立ち去ろうとする。




  30. 30 : : 2014/12/05(金) 20:13:33





    しかし、それをすぐに女が止めた。



    「ちょ、ちょっと待ってよ!」



    「ん?まだ何かあるのか?」



    振り返りながら不思議そうに尋ねる男にミリアは焦りを混じらせた様子で口を開く。



    「命の恩人に何もせず返すなんてできないわよ。家へ招待くらいさせてよ」



    「ああ。そんなの良いって。仕事だし」



    「あなたが良くても私がダメなの!ほら!行くわよ!」



    ミリアは半ば強引に男の腕を掴み引きずる様にして連れて行こうとする。



    「お、おい。わかったから腕に抱きつくなって……!」



    「なに言ってるのよ。こんな美少女に抱きついてもらえて光栄でしょ!」



    男は死体をみたどころか死の淵を彷徨った直後になんとも強かな娘だと思いながら、ミリアに引きずられるようにしてその場を後にしたのだった。




  31. 31 : : 2014/12/05(金) 20:14:37





    彼女の家は街の外れにあった。



    先ほどの街の中心部とは程遠く、人通りはない。



    というか建物すらない。あるのといえば木と草くらいのものである。



    そんな中、一件だけ小高い丘の上に綺麗な家が建っていた。



    よほど人が嫌いなのか物好きなのかはわからないが、街の外れの草原に家を建てるとは変わっているのは間違いない。





  32. 32 : : 2014/12/05(金) 20:15:52





    彼女が鍵を開け中に入ると男もそれに続いた。



    「おじゃまします……」



    男がおずおずと家の敷居をまたぐ。



    中はこじんまりとしていながら綺麗に掃除され、統一された木製の家具達がなんとも落ち着いた雰囲気を醸し出していた。



    男が部屋を見渡していると、すかさずミリアが口を開く。



    「なに突っ立ってるのよ。着替えてくるからその辺で適当にくつろいでて」



    「あ、ああ。悪い……」



    男は言われた通り背中の剣を下ろし、側にあったソファに腰掛けて部屋に引っ込んだ彼女を待つ。




  33. 33 : : 2014/12/05(金) 20:17:09





    部屋は少し寂しく感じられるほどに物が少なく、綺麗に片付けられていた。



    男が今座っているソファとテーブルその向かいに椅子があるのを除けば隅に小さな戸棚と奥に台所、食卓があるくらいだ。



    まだ若いのに一人暮らしなのだろうかなどと男が考えていると、すぐにミリアが戻ってきた。





  34. 34 : : 2014/12/05(金) 20:20:00





    「ごめんなさいね待たせて。すぐお茶をいれるわ」



    「あ、お構いなく」



    ミリアは慣れた手つきでお茶と茶菓子を用意してテーブルに並べていった。



    なかなか家庭的なものだ。すぐに用意を終えてミリアは向かいに腰を下ろして口を開いた。



    「さて。自己紹介がまだだったわね。私はミリア・ラフィアル。危ないところを助けて貰って感謝してるわ」



    「ああ。ザック・レイザスだ」



    お互い挨拶を終えた2人だったがミリアはまだ聞きたいことがあるのか難しい顔をしていた。



    ミリアは覚悟を決めたかのように口をきゅっと結んだかと思うと身を乗り出すようにして口を開いた。


    「ねぇ……さっきの奴なんなの?それに兵士が勝てなかったような相手を倒しちゃうなんてあなた何者?それにそんな剣を持ち歩いてるなんて……」



    「まあ落ち着けよ。そういっぺんに聞かれても答えられないだろ」



    「あ、ごめんなさい……つい」



    ザックが笑ってなだめると、ミリアはしまったと言う顔をした。不躾なことをしてしまったと思ったのだろう。





  35. 35 : : 2014/12/05(金) 20:21:58





    「まあこうなったからには教えるしかないか……まずはあの化け物の正体。
    奴らを死喰人(ビオラドール)と俺たちは呼んでる。
    奴らは人の心臓を好んで食らう。食われたものは同時に魂も奪い取られ、そして解放されるまで永劫の苦しみを受け続けるといわれているんだ。
    どこから来たのか、なぜ人の心臓を食らうのかはまだわかっていない」



    「魂……?」



    ミリアは意味がわからないといったような顔をしていた。突如として魂だとかなんとか言われれば混乱もするだろう。



    とはいえ、彼女は自分の目で見たものの異常さ故にそれを馬鹿げた話だと笑うことはできなかった。



    「まあ信じられないのも無理はねぇよ。でも現実だ。よく言うだろ事実は小説よりも奇なりってな」



  36. 36 : : 2014/12/05(金) 20:22:52





    先程見た死体は首が飛んでいるものもあったが、必ずどれにも胸の中心にぽっかりと穴の空いた死体がいくつも転がっていた。



    しかもその心臓を食っていた。



    いかれた殺人鬼にしても異常すぎる。人間のすることとは到底思えなかった。



    極めつけはあのドロドロに溶けたかのような顔。確実に化け物だ。人じゃない。



    彼女は見たものが彼が自分をからかうための嘘ではない。そう示している。そんな気がしていた。




  37. 37 : : 2014/12/05(金) 20:24:53




    「まあいい。んで俺の正体だが。俺は"魂の管理者(ナムシャルク)"つってもわかんねぇだろうな。要は死喰人に殺され魂を喰われるのを未然に防いだり、喰われた魂を解放したりするために集められた特殊な力を持った人間。この剣もそのために持ち歩いてる」



    「なむしゃるく……だっけ?それはあなた以外にもいるの?」



    「ああ。世界中に散らばって今も死喰人の除去と、その発生原因の捜査に当たってる」



    「なるほど……」



    ミリアは考え込むような表情を見せるが答えは出ないのだろう。先程から1人相撲をしている様子だ。





  38. 38 : : 2014/12/05(金) 20:27:16





    沈黙が続きなんとなく気まずくなったのか、ザックが口を開く。



    「そういえばあんたはこの家に一人で住んでるのか?」



    「え、ええそうよ?」



    あまりにも唐突な平凡すぎる質問にミリアは間の抜けた返事をしてしまう。



    「両親はいないのか?」



    ザックは口をついてでた言葉だったが、すぐにしまったと言う顔をする。



    それにはミリアも気づいていた。



    デリカシーのない発言と言ってしまえばそれまでだが、彼女にとってはそう大したものでもなかった。



    「いいのよ。両親は死んだわ。あんな奴ら死んで当然よ」


  39. 39 : : 2014/12/05(金) 20:28:23




    「何かあったのか?」



    「あいつらはまだ13歳だった私にこの家を与えて追い出したのよ。この髪と目のせい。私はこの国では異質なのよ。だから気味悪いって追い出したの。あなただってそう思うでしょ?」



    「別に気味が悪いとは思わねぇけどな」



    「口ではどうとでも言えるわよ」



    「自分で美少女とか言ってた奴がよく言うぜ」



    その一言に女は顔を真っ赤にする。冗談とはいえ、指摘されると恥ずかしくなったのだ。



    「そ、それはその場のノリよ」などとわけの分からぬ弁明をしていた。




  40. 40 : : 2014/12/05(金) 20:29:32




    「ま、俺はお前と同じような奴を知ってるしな。気味が悪いなんておもわねぇよ」



    「え!何か知ってるの!?」



    「あっははは!お前ほんとせっかちなのな」



    またもや身を乗り出すミリアを見てザックがおかしそうに笑うとすぐに引っ込んだ。とはいえ、話題が話題なだけに彼女の様になるのも仕方ないのないことなのだろう。



  41. 41 : : 2014/12/05(金) 20:31:18





    「それでどうなのよ……」



    「おそらくだが、神威異常者(アルファユザリア)だろうな」



    「……なんなのそれ?」



    「まあ説明は難しいし俺も詳しくはわかってないんだが、人間は多少あれど神威(ユザリア)ってのを生まれながら肉体に秘めてる。まあ俺たちもその力を使って戦ってるわけだが、それは別としてだ。あまりに膨大すぎる神威は人体の構造に影響が出るらしい。その結果体毛や目の色が変わるんだそうだ」



    「……不明瞭な話ね。結局神威ってなんなの?」



    「うーん。俺も座学は苦手でな。よくわかんねぇんだ。強いて言うなら物語に出てくるような魔力の親戚みたいなもんかな」





  42. 42 : : 2014/12/05(金) 20:32:32




    「そうなんだ……これって治らないの?」



    「治ったって言う話は聞かないな。それ以前に治そうとしてる奴も見たのは初めてだよ」



    肩を竦めるザックにミリアはがっくりと項垂れる。結果として進展はなしだ。知識は増えたが核心に迫れないことは彼女にもどかしさを残した。





  43. 43 : : 2014/12/05(金) 20:33:58





    「ありがとう。折角招待したのになんだか色々聞いちゃってごめんなさい」



    「うまい茶も飲ませてもらったし、それくらいはしないとな」



    そう男が笑った時、突如としてミシミシと家鳴りと軽い揺れが襲った。



    「お、おう!?」



    「あ、大丈夫よいつものことだから。最近こう言うの良くあるのよね。この家壊れないか心配で仕方ないのよ」



    「売っぱらって他に移り住むわけにはいかないのか?」



    「それが、ここは国の所有してる土地で、そこを勝手に使ってることになってるからそうもいかないのよ……相当大切な土地らしいし、売ればすぐ足がつくわ」





  44. 44 : : 2014/12/05(金) 20:35:29





    「なかなか大変だな……っと少し長居し過ぎた。そろそろお暇するよ」



    「あら、もう帰るの?ゆっくりして行けば良いのに」



    もうと言っても既に日が沈んでいる。



    女の一人暮らしに男がこんな時間まで居座るのは非常識と言うのがザックの考えであった。



    「まあ一応死喰人が残ってないか確認もしなきゃいけないからな」



    「残念ね。また暇があったら立ち寄ってね」



    「ああ。そうさせてもらうよ。まだ死喰人がいるかもしれないからあんまり出歩かないようにな」



    「ええ。わかったわ」



    ひとしきり別れを済ませ、ザックはミリアの家を後にする。





  45. 45 : : 2014/12/05(金) 20:35:52





    扉が閉まったときザックは先ほどのにこやかな様子とは一変神妙な面持ちをしていた。



    (神威異常者か……何もないと良いんだが……)



    「ま、考え過ぎか。どうせ俺がいるしな」



    ザックは考えるのをやめて再び街に向けて歩き始めた。




  46. 46 : : 2014/12/06(土) 20:10:41





    ◇ ◇ ◇





    ザックが調査を初めてこれで3日目だが、生き残りの死喰人が現れる様子もない。



    定期的にミリアの家の周辺にも訪れたが、特に変わった様子はないようだった。



    あの死喰人はたまたま1匹迷い込んだのだろう。



    そろそろ本部へ帰って報告しようか。そう考えながら街中を歩いていると、人だかりを見つけた。




  47. 47 : : 2014/12/06(土) 20:11:23





    「号外!号外だよ!王城内に化け物が侵入!1部200コニーだよ!!」



    ザックは慌ててコートのポケットから小銭を取り出すと、号外記事をひったくるように受け取り中を見た。





  48. 48 : : 2014/12/06(土) 20:12:47





    「まじかよ……」



    その内容はこうだ。




    先日の夜中城内に使用人の悲鳴が響き渡った。



    心臓をくりぬかれた死体を発見したのだ。すぐに王は兵を集め警戒に当たらせた。



    しばらくの創作の後、死喰人と思われる化け物を発見。20人もの死者を出しながらなんとか撃退したが、その後城内を捜索しても見当たらなかったそうだ。




  49. 49 : : 2014/12/06(土) 20:14:09





    「間違いない……母体(マザー)がいる……」



    母体とは死喰人のいわば上位種であり、死喰人を生み出す力を持っているもののことだ。



    しかしおかしかった。記事によると発見されたのは1体。



    母体がいるなら複数の死喰人がいると見て間違いない。城内の人間などすでに1人残らず食われているはずだ。



    今頃街に死喰人が現れてパニックと言う事が起きていてもなんらおかしくはない。



    「どこに消えたんだ……母体がいるうえに、逃げられたとなるとかなり力をつけてるかもな……」



    こうしてザックの捜索は再び始まった。



  50. 50 : : 2014/12/06(土) 20:15:50





    どうしても疑問が残ることは死喰人が何処から城内に侵入し、消えたのかだった。



    そう簡単に騒ぎにならず侵入できるものでは決してない。



    厳重な警備をかいくぐるほどに死喰人の知能は高くないだろう。



    「となると……未だ城内にいるか?いや、それなら既に兵に見つかってるはず。どこか侵入経路があるはずだ……」




  51. 51 : : 2014/12/06(土) 20:17:05





    ザックは裏の情報屋を探し出し、手当たり次第当たった。



    王城への侵入経路を聞けばそう言った筋の者ですら驚いていた。中にはやめておけと彼を諭そうとするものすらいた。



    盗みに入るとでも思ったのだろう。



    その中で有力な情報を手にしていた。




  52. 52 : : 2014/12/06(土) 20:18:22




    ザックは夕暮れの中を歩きながら紙に書かれた情報に目を通す。



    王城の極秘の脱出用の地下通路をラフィアル家が管理していた。しかし、2年前に当主は亡くなったそうだ。正確な場所は未だ王家の人間しかわからず、おそらくどこかに放置されているのではないかと書かれていた。



    「ラフィアル家……ってまさか……!」



    ザックは突然何かを思い出したかのように走り出した。




  53. 53 : : 2014/12/07(日) 20:05:12





    ◇ ◇ ◇





    ミリアはぐつぐつと煮えた鍋をかき回しながら、鼻歌を歌っていた。



    上機嫌な彼女は夕飯の支度を手際良く整えて行く。鍋の中のスープを味見して唸るように頷く。



    「うん!おいしい!私天才かもしれないわね」



    うまく出来た料理にさらに機嫌を良くして食卓に料理を並べる。一通り並べ終え、席につこうとしていた。




  54. 54 : : 2014/12/07(日) 20:06:15





    その時地面を揺らす衝撃と轟音を家の中を支配する。



    ミリアは突然の状況に理解が追いつかない。ただあたりをきょろきょろと見回すことしかできずにいた。



    「な、なに!なんなの!?」





  55. 55 : : 2014/12/07(日) 20:07:54





    床に大きく穴が空きそのすぐ横には先日遭遇した死喰人よりもさらに大きく禍々しい者の姿があった。



    さらには穴からぞろぞろと何体もの死喰人が溢れるようにして現れる。



    「コノ前ハ逃ゲラレタ。今度ハ逃ガサナイ。殺シテカラ食ウ」



    ひときわ大きな死喰人と思われるものは口を開き言葉を発しながらジリジリと彼女に迫る。



    先日の記憶が鮮明に蘇る。



    トラウマと恐怖に腰を抜かしてしまいその場でうずくまることしかできなかった。



    一歩一歩と近づき、ついにはその足音も止まる。彼女の命を奪うべく死喰人の腕は振り上げられる。



    そして、ついにその腕は振り下ろされ、激しい音ともに血が吹き出し彼女の身体が血に塗れた。




  56. 56 : : 2014/12/07(日) 20:08:59





    ◇ ◇ ◇





    「よう。今回は間に合ったみたいだな」


    ミリアはいつまでも訪れぬ恐怖と、聞き覚えのある声に目を開く。



    ミリアの身体を濡らしたのは彼女自身の血ではなく、死喰人の血であった。



    ザックが家の扉をぶち破り、大剣の刺突で頭のあった場所を吹き飛ばしたのだ。




  57. 57 : : 2014/12/07(日) 20:11:21





    「え、あ、なんで……」



    「母体めこんなとこに……話は後だ、ちょっと外へ出るぞ」



    ザックは片腕で軽々と腰を抜かしたミリアを担ぎ、家の外に飛び出す。



    すると後を追うように首の取れた死喰人が追いかけてくる。



    さらにはよたよたと歩きながら首があった場所の肉が盛り上がり再び頭を形作った。



    「くそ。再生能力(リジェネレイト)……!レベルC以上かよ。面倒になる前に仕留めるか……」



    「オ前邪魔。殺ス」



    「やれるもんならやってみろよ。俺の固有能力は炎死に損ないを葬るにはもってこいってわけだ」





  58. 58 : : 2014/12/07(日) 20:11:58





    "大いなる神炎よ 穢れを祓い 裁きを下せ"





    降天の業火(メギドフレイム)!!』



  59. 59 : : 2014/12/07(日) 20:15:27





    ザックの言葉に呼応するかのように剣に刻まれた文字が光り始める。



    そして剣を振るうと同時に金色の炎が天に立ち上り、死喰人達に向けて降り注ぐ。



    うめき声を上げながら数多くいた死喰人が形を失って行く。



    容易に死ぬことは許されず、逃れることもできない炎に焼かれ消える。



    そしてザックがもう一度剣を振るうとその場の炎は消え、跡には更地のみが残った。




  60. 60 : : 2014/12/07(日) 20:17:22





    「え……嘘……」



    「ふう……まさかここまででかくなってるとはな。よりによって皇族の地下通路に巣食ってるなんてな」



    「『ふう……』じゃないわよ!家ないじゃない!どうしてくれんの!?」



    「命助けたんだからケチくさいこと言うなよ」



    「住むとこないの!お金も吹っ飛んだの!おわかり!?」



    「あーそっか。悪りぃ……なんとか弁償するよ」




  61. 61 : : 2014/12/07(日) 20:19:20





    怒るミリアにバツが悪そうにザックは頬をかきながら謝る。それに対して彼女は何か閃いたかの様にハッとした表情をする。



    「あ、良いこと思いついた」



    「え?」



    「あなたってこれからどうするの?」



    「1度俺たちの本部に帰ってそのあとまた旅だと思うけど」



    「なら私も着いて行くわ」



    「はぁ!?」



    あまりにも唐突な発言にザックは動揺を隠せなかった。しかし、ミリアはなにを驚いているのかとばかりにキョトンとした顔をしている。



    「あら?ダメ?」



    「ダメに決まってんだろ!危ねえし!」


    「でもあなたが守ってくれるでしょ?お金返すって言いつつトンズラされちゃ困るもの。当面の資金も住む場所も私にはないし。それに、あなたに着いて行けば、神威異常者の事も分かるかもしれないわ」



    ザックは頭を抱えた。



    ここ数日の付き合いだが、なんと言おうがミリアの強引な性格からして意地でも着いてくるタイプだ。



    下手に距離を取ればさらに危険だ。かと言って、それを放っておくわけにも行くまい。



    「はぁ……わかったよ……」



    こうして、ザックとミリアは共に旅をすることになった。



  62. 62 : : 2014/12/07(日) 20:22:40





    「あ、そういえば。なんでここにあいつらがいるってわかったの?」



    「ん?ああ、街でラフィアル家と王家の地下通路の話を聞いて、家鳴りがしたのと、大事な土地だって言ってたのを思い出してな。家の地下にあんたを狙って死喰人が溜まった結果家鳴りが起こり、力を蓄えた死喰人が時期に封をぶち破るんじゃないかと思ったんだ」



    「なるほど。ありがと。助かったわ。あ、でも!そろそろミリアって呼んでくれないかしら?」



    少し不満そうな顔を作って見せるミリアにザックは苦笑いをしながら答える。



    「わかったよミリア。俺のこともザックで頼む」



    「ええ。これからしばらくよろしくねザック!」



  63. 63 : : 2014/12/08(月) 19:58:14





    その後二人は一度街に出た。ミリアの日用品から何から揃えなければならない。



    ザックも金を持っている方ではないが、文無しではない。



    一通り必要なものを揃えて翌朝出立することにしてその日は宿をとった。



    その日はザックもミリアも疲れていたのかそれぞれの部屋に入りベッドに寝転べばすぐ睡魔が襲い眠りについた。



    翌朝早くに宿を出た2人は、ザックたちの本拠地のあるメイザス共和国を目指して出立した。



    メイザスはローランドの北西に位置する資源が豊富で、田舎ながら非常に豊かな小国だ。



    普通に歩けば本部のあるイルヴァンまでは3週間ほどの道程だ。



    ミリアを連れていることを加味しても、1ヶ月もあればたどり着けるだろう。



  64. 64 : : 2014/12/08(月) 20:00:10





    工程を確認しながら歩いているとミリアがザックの肩をつつく。



    「なんだ?」



    「前言ってた神威異常者の知り合いってどんな人なの?」



    ただなんの気なしにでた疑問だろう。



    それにザックは少しおかしそうに笑いながら答える。



    「ああ。それ俺だよ。俺も神威異常者だから」



    「え、ええ!?でもあなた髪も目も……」



    「金髪って言っても色素が薄まってそう見えるタイプらしい。目も碧眼と言うには深い色だし。神威異常者って言っても色々みたいだな」



    「本当にややこしいわね……」





  65. 65 : : 2014/12/08(月) 20:04:37





    「まあ本部に行けばその辺の詳しい説明も受けられるはずだ。もう少し辛抱してくれ。あ、あとこれ渡しとくわ」



    ザックはポケットから数枚の紙の束を取り出すとミリアに手渡した。



    「なにこれ?」



    不思議に思いながらもミリアが紙を開くと細かい文字がびっしりと書かれていた。



    思わず尻込みしそうになるが、内容を読んでみるとこんなことが書いてあった。



    ラフィアル家当主の死亡の原因。




    つまりミリアの父の死の理由だ。
    ラフィアル家はローランド人の一部で信仰されているロスヴェルス教団と対立していた。



    その原因はラフィアル家の長女出産にあった。白銀の髪と、紅の瞳の女の子。ミリアのことだ。



    ロスヴェルス教には白銀の髪と紅の瞳の人の形をした悪魔が万の人を殺したと言う言い伝えがある。



    それ故にロスヴェルス教では、白銀の髪と、紅の瞳を持つ子は忌子とされ殺さねばならないとされている。



    教団はミリアの出生を知るとすぐにラフィアル家に引き渡しを要求した。しかしラフィアル家はその要求を断固として拒否する。



    見かねたラフィアル家当主のリグドア・ラフィアルはミリアを街の外の小屋に隠し見張りをつけた。



    王に頼み込めば、その当時厚い信頼を受けていたリグドアの頼みを断りはしなかった。



    結果としてロスヴェルス教団への強大な圧力がかかり。ローランド内でも肩身の狭い思いをすることになったようだ。



    そんなある日だった。




    ロスヴェルス教団は逆恨みからラフィアル家に押し入りリグドアと妻を殺した。



    それを知った王は激怒しロスヴェルス教団を徹底的に叩き潰し、その件に与したものを全員処刑。教団幹部も全員国外へ放逐したのだそうだ。



    とても信じがたい事実がそこには書かれていた。今まで自分が信じていたことも、恨みも全てを否定する内容がそこにはあった。


  66. 66 : : 2014/12/08(月) 20:06:07





    「作り話じゃないのよね……?」



    「まあもののついでに調べた事だから本当かどうかは知らないが、幾つかの筋から聞いた話だ」



    愛されていないなどとんでもなかった。両親は彼女のために戦い彼女のために死んだのだ。



    「なによ私……バカみたいじゃない。あは……あははははっ」



    「……そうだな」



    笑い声を上げるミリアの頬を涙が伝っていたが、ザックはそれに気づかないふりをして一緒に笑うのだった。






  67. 67 : : 2014/12/08(月) 20:10:06







    ◇ ◇ ◇





    それからというものしばらくはミリアは上機嫌であった。



    ザックはともに行くのをやめるか聞いて見たが、自分のことを知りたいと彼女が帰るということはなかった。



    ただし、上機嫌だったのもしばらくはである。



    「ねえぇ。ザックぅ。つかれたぁ!」



    「いや、どんだけだよ。まだ1時間しか歩いてないから」



    「仕方ないじゃない!ろくに歩いたこともないんだから!お陰で全身筋肉痛よ!」



    そうミリアは3日目にして既に音をあげていた。



  68. 68 : : 2014/12/08(月) 20:13:33





    彼女があの小屋から出るようになったのもつい最近のことで、運動などとは無縁であったことを考えれば3日は頑張ったほうなのかもしれない。



    そう考えるとザックもまた彼女に無理を強いることもできなかった。



    やれやれとばかりに溜息をつくとその場に立ち止まる。



    するとまともに前を向いて歩いていないミリアは彼の背中にぶつかった。


    「いたっ!もう……なんで急に止まるのよ……」



    「少し休むか」



    「え!ほんと!?流石ザック!男前!」



    ザックの言葉に急に元気になる調子のいいミリアにまた溜息が漏れるのだった。




  69. 69 : : 2014/12/08(月) 20:26:26





    2人は適当に近くにあった木陰に腰を下ろして休むことにして荷物を降ろした。



    木に背中をあずけると心地よい風が吹き抜る。



    まだ春だと言うのに、珍しく気温が高く。歩いているとすこし汗ばんでくるような陽気だった。



    そんな中のひんやりとした空気は彼らの火照ったからだを程よく冷やした。



    「んーっ!気持ちいい……あいてっ!」



    ミリアは伸びをしたあと木に持たれかかろうとして、頭を打ち付けたようだった。



    ザックはここ3日一緒に旅をして気づいたことがある。ミリアは抜けている。



    何をするにしても騒がしく、何もないところで転ぶ。ものにぶつかる。



    今回もまたやってる。そんなふうにザックが考えていると、しばらくして急に静かになる。




  70. 70 : : 2014/12/08(月) 20:31:42




    不審に思ったザックが覗いてみると。木に体重を預けたまま寝息を立てるミリアの姿があった。



    「子供みたいなやつだな」



    呆れ半分で見ていたが、気持ち良さそうに眠る彼女をみているとなんだか微笑ましい気持ちになった。



    ザックが頬をつついてみるが起きない。



    少し楽しくなり引っ張ったりしても起きない。



    ここ数日の慣れない移動に疲れが溜まっていたのだろう。



    遊ぶのもほどほどにして彼女にコートをかけると、ザックも少し休もうと横に座って瞳を閉じた。




  71. 71 : : 2014/12/09(火) 19:55:41





    ◇ ◇ ◇




    「はぁはぁはぁッ……」



    少年が炎に包まれた町の中を走っていた。



    あたりは燃える建物のおかげで明るいが、地面は凍りつき雪の降る夜。



    凍てつくような寒さに耐えながら少年は走る。


    素手に素足。服は来ているものの寝巻きだけの姿では、真冬の寒さは凌げない。



    彼の手足はボロボロで、体の芯まで冷たさが支配していた。




  72. 72 : : 2014/12/09(火) 19:56:55





    しかし、少年は足を止めない。



    後ろから追ってくる兵士たちに捕まるわけにはいかなかった。



    「くそッ……!くそ、くそッ!」




    少年を奪いに来た兵士たちに両親を殺され街を焼かれ。既に彼には何も残ってなどいない。



    いっそここで自ら命を絶ってしまったほうが楽なのかもしれない。



    しかしそれはできなかった。




    父が母が生きろと言ったから。




    彼らが命を賭して少年を守ったから。





  73. 73 : : 2014/12/09(火) 19:58:00




    兵士は少年を救世主だと呼んだ。



    彼が世のためにその生を尽くすそれが(ことわり)だと言った。



    そのためなら多少の犠牲など些末な問題だと言った。



    「こんな事が許される世界なら……理なら……」






    「俺がぶっ壊してやる」






    そこで立ち止まった少年の言葉だった。




  74. 74 : : 2014/12/09(火) 20:09:35





    ◇ ◇ ◇




    「っ!……またこの夢か……」



    彼が目を覚ますとぐっしょりと汗をかき、服が肌にまとわりついていた。



    この夢を見るといつもこうだ。



    今までに何度も見た夢。



    彼には幼い頃の記憶がないが、この夢だけは幾度となく見てきた。恐らくこの夢は彼の過去の記憶なのだろう。



    「つっても今更な……」





  75. 75 : : 2014/12/09(火) 20:16:25





    すると既に目を覚ましていたのか、ミリアが心配そうにザックの顔を覗き込んできた。



    「大丈夫……?酷い顔よ……?ずっとうなされてたみたいだし」



    「ああ、大丈夫だ。ちょっと嫌な夢をみただけだよ」



    「そう?ならいいんだけど……」



    「悪いな心配かけて。ちょっと汗を拭いてくる。終わったらそろそろ移動しよう」



    「わかったわ……」



    それでもなお心配そうなミリアに笑いかけるとザックはその場を離れた。



    ザックが帰ってくるとさっきのしおらしさはどこへやら、ミリアはいつも通りに戻っていた。



    とはいえ、ザックとしてもいつも通りにしていてくれたほうが気が楽だ。だから特に触れることもしなかった。





  76. 76 : : 2014/12/09(火) 20:26:22





    道中ミリアがぐずったり、変なやつにミリアがナンパされて調子にのったり、こけたり、ぶつかったりはしたが他に特に何事もなく旅は進んだ。



    なんとも順調だ。



    最近ではミリアも体力がついてきたのかぐずることも無くなって来た。



    この調子で行けばあと3日もあれば到着できるはずだ。



    文句を言いながらも予想以上に頑張ったミリアのおかげで予定よりかなり早く、ここまで20日しかかかっていない。





  77. 77 : : 2014/12/10(水) 20:27:37




    ただ20日も一緒に生活していると困る事もなかなかに多い。



    ミリアはあまり外にでることが少なかったせいか危機管理に疎い。



    注意力が散漫なのは言うまでも無いが問題はそこでは無い。




  78. 78 : : 2014/12/10(水) 20:28:43





    街で宿に泊まる時はいいのだが、野営や昼寝の時あまりに無防備なのだ。



    寝苦しいのか胸元をはだけさせて寝ていることなど日常茶飯事である。



    ザックも男だ。ミリアのような美人が目の前でそんなあられもない格好をしていればなかなかきついものがある。



    信頼されていると言ってしまえばそれまでなのだが、もう少しその辺りは警戒して欲しいものだった。



    あまりにひどいので、耐えかねて一度ミリアに直接言ったこともあったが笑い飛ばされてしまい真面にとりあってはもらえなかった。





  79. 79 : : 2014/12/10(水) 20:29:36





    この日も野営をすることになったが、悶々として夜を過ごすことを考えるとどうしても憂鬱さがこみ上げてきて溜息が出てしまう。



    「もう。なんなのよさっきから辛気臭いわね」



    なにも知らない当人はこの様子であり、ザックの溜息が止まることは無い。



    「あ!ザック!今私をみて溜息ついたでしょ!ねぇ!ねぇってば!」



    なにやら御立腹のようだが相手にしていてはきりがないので、そそくさと逃げるザックだった。



    案の定それからザックは寝不足の日々が続いた。



    しかしそれも一旦終わりだ。




  80. 80 : : 2014/12/10(水) 20:52:22




    もうあと少し歩けば目的ににつく



    「おかしいな。もう本部や街が見えてもいい頃なんだが………」



    「まさか道を間違えたんじゃないでしょうね………?」



    ザックをジト目で睨むミリアであったが、そんなはずはなかった。



    ザックはこの道を何度も通ったことがある。さらには手に地図を持って細心の注意を払ってきた。



    道を間違えたとは考えにくい。



    「いや。間違いないこの道であってる」



    「じゃあなんで見えないのよ………」





  81. 81 : : 2014/12/10(水) 20:54:18








    目の前の小さな丘を越え、その先にあったものを見てザックは言葉を失った。










  82. 82 : : 2014/12/10(水) 20:54:49





    いや正確に言えばその先にはなにもなかった(・・・・・・・)



    目の前にはその部分だけ切り取られたように草も生えない更地が横たわるのみだった。






    つまり忽然と消えたのだ。










    イルヴァンの街が丸々ひとつその場所から。







  83. 83 : : 2014/12/10(水) 21:00:58






    「嘘だろ……」


    「なんなのよザック。なにもないじゃない」



    なにがなにやらわからないと言った様子のミリアを前にザックは今の状況を整理しきれずにいた。



    一体なにが起こったのか全くわからなかった。



    「ミリア。落ち着いて聞いてくれ」



    「え、ええ。どうしたのよ深刻な顔して。さては道を間違えたわね?」



    「違う。イルヴァンの街はそこにあった。消えたんだ」



    ミリアは口をぽかんとあけて信じられないというような表情をした後に声を上げて笑った。



    「あっはははは。街が消えるわけないじゃない。道を間違えたなら素直にそう言いなさいよ。ほら引き返しましょ」



    「嘘じゃない。イルヴァンはここにあった………そして消えた」



    ザックは真剣な表情を崩さなかった。




    その雰囲気にようやくミリアは何かを感じ取ったのか、笑うのをやめる。



    「ほんと………なの?からかってるわけじゃないのよね?」



    「ああ。俺だって冗談であって欲しいよ」



    「でもなんで。そんな。街がひとつ消えるなんて」




    「俺にもわからないが、じっとしてるわけにも行かない。誰か周辺に留まってる人がまだいるかもしれない。探してみよう」



    「ええ………わかったわ」





  84. 84 : : 2014/12/10(水) 21:02:06





    その時後ろでガサガサと草を掻き分けるような音が響いた。



    「誰だっ!!」



    ザックはすぐに剣を抜き放ちあたりを警戒する。




    相手は街ひとつ消し飛ばした奴かもしれない。油断はできなかった。



    その時、草むらからふたの人影がザックに向けて襲いかかった。







  85. 85 : : 2014/12/10(水) 21:02:39






    to be continued……










  86. 86 : : 2014/12/10(水) 21:08:07



    プロフィール




    ・ザック・レイザス(19)男

    身長176cm体重66kg

    魂の管理者として世界を回りながら多くの魂を死喰人から守っている。
    嫌味のない金髪と深い紺の瞳が特徴。顔立ちは際立って整ってはいないが、爽やかな好青年と言う印象。

    背中に担いだ身の丈ほどもある大剣を媒介として彼の固有能力である炎を操ることができる。1話では"降天の業火"を使用した。



    ミリア・ラフィアル(17)女

    身長154cm体重42kg

    ザックによって命を救われた少女。
    白銀の髪に、真紅の瞳と言う特殊な容姿の持ち主。神威異常のせいで人生を狂わされ、治す方法を探るためザックについて行こうとするが、両親の真実を知った今では自分の正体を知るという目的の為に旅をしている。



  87. 87 : : 2014/12/10(水) 21:13:48
    あとがき?



    はいでは死喰人序章邂逅と言うことで主にザックとミリアの出会いについて書かせていただきました。更には突然の目的地の消失。迫り来る襲撃者。ハラハラドキドキの展開を楽しんでいただけたでしょうか!


    ここからもどんどん物語は加速してまいります!是非是非読んで、ワクワクしてくださればなぁと思います!


    ここで一つクラウンやクレアの事について触れておきますと。彼らはダミーとして登場させた人々です。襲われる人の悲しみや、仲間を失った人の心情を表現するとともに、読者の皆さんに衝撃を与えられればと思い登場していただきました!私の意図は読者様にも伝わっていれば幸いです。


    だらだらと長くなってしまいましたが、序章はこれで完結です!次のお話にご期待ください!


    これ以降コメントを解禁するのでどしどし厳しい意見・感想などいただけたらなぁとおもいます!


  88. 88 : : 2014/12/10(水) 21:44:04
    面白かった!
    久々にこんな王道のファンタジーを見れたし読み応えもあった!

    でもまあちょっとザックの固有能力のシーンがざっくりしてた(ザックだけに)のが物足りなかった感もあるかな....って思いました

    いやでもまあ全然面白いし続きも期待!!です!!
  89. 89 : : 2014/12/12(金) 19:16:36
    >>88
    ありがとうございます!!
    次回作もがんばります!!
  90. 90 : : 2014/12/15(月) 08:14:42
    死喰人の怖さが伝わってこない
  91. 91 : : 2014/12/15(月) 08:21:07
    面白いけど読むのが苦痛
  92. 92 : : 2014/12/15(月) 08:28:25
    序盤が長すぎる
  93. 93 : : 2014/12/15(月) 17:58:58
    >>90>>91>>92
    コメントありがとうございます!!
    次回作以降の参考にさせていただきます!
  94. 94 : : 2020/10/27(火) 10:21:50
    http://www.ssnote.net/users/homo
    ↑害悪登録ユーザー・提督のアカウント⚠️

    http://www.ssnote.net/groups/2536/archives/8
    ↑⚠️神威団・恋中騒動⚠️
    ⚠️提督とみかぱん謝罪⚠️

    ⚠️害悪登録ユーザー提督・にゃる・墓場⚠️
    ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️
    10 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:30:50 このユーザーのレスのみ表示する
    みかぱん氏に代わり私が謝罪させていただきます
    今回は誠にすみませんでした。


    13 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:59:46 このユーザーのレスのみ表示する
    >>12
    みかぱん氏がしくんだことに対しての謝罪でしたので
    現在みかぱん氏は謹慎中であり、代わりに謝罪をさせていただきました

    私自身の謝罪を忘れていました。すいません

    改めまして、今回は多大なるご迷惑をおかけし、誠にすみませんでした。
    今回の事に対し、カムイ団を解散したのも貴方への謝罪を含めてです
    あなたの心に深い傷を負わせてしまった事、本当にすみませんでした
    SS活動、頑張ってください。応援できるという立場ではございませんが、貴方のSSを陰ながら応援しています
    本当に今回はすみませんでした。




    ⚠️提督のサブ垢・墓場⚠️

    http://www.ssnote.net/users/taiyouakiyosi

    ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️

    56 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:53:40 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ごめんなさい。


    58 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:54:10 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ずっとここ見てました。
    怖くて怖くてたまらないんです。


    61 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:55:00 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    今までにしたことは謝りますし、近々このサイトからも消える予定なんです。
    お願いです、やめてください。


    65 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:56:26 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    元はといえば私の責任なんです。
    お願いです、許してください


    67 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    アカウントは消します。サブ垢もです。
    もう金輪際このサイトには関わりませんし、貴方に対しても何もいたしません。
    どうかお許しください…


    68 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:42 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    これは嘘じゃないです。
    本当にお願いします…



    79 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:01:54 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ホントにやめてください…お願いします…


    85 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:04:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    それに関しては本当に申し訳ありません。
    若気の至りで、謎の万能感がそのころにはあったんです。
    お願いですから今回だけはお慈悲をください


    89 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:05:34 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    もう二度としませんから…
    お願いです、許してください…

    5 : 墓場 : 2018/12/02(日) 10:28:43 このユーザーのレスのみ表示する
    ストレス発散とは言え、他ユーザーを巻き込みストレス発散に利用したこと、それに加えて荒らしをしてしまったこと、皆様にご迷惑をおかけししたことを謝罪します。
    本当に申し訳ございませんでした。
    元はと言えば、私が方々に火種を撒き散らしたのが原因であり、自制の効かない状態であったのは否定できません。
    私としましては、今後このようなことがないようにアカウントを消し、そのままこのnoteを去ろうと思います。
    今までご迷惑をおかけした皆様、改めまして誠に申し訳ございませんでした。

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