この作品は執筆を終了しています。
女「怖いよ…怖いよ…」
-
- 1 : 2014/11/22(土) 19:39:45 :
-
女「怖いよ…怖いよ…」
男「どうしたの?」
女「今この瞬間、私の見えないところで沢山の人が意思をもって動いていることが怖いの」
女「友達が別の空間で…私とは関係のないことをしていると考えると怖いの」
女「学校で友達と話すことが今まさに起こっていると思うと…」
女「怖い…」
男「大丈夫だよ」
男「世界は自分が中心なんかじゃない。大勢の意思でなりたっている」
男「そういうものなんだから」
男「怖がらないで、視野を広げてごらん?」
-
- 2 : 2014/11/22(土) 19:47:52 :
女「怖いよ…怖いよ…」
男「どうしたの?」
女「他人が何を考えているのかがわからなくて怖いの」
女「みんなも私と同じように色々なことを考えて、妄想しているのかと思うと怖いの」
女「普段発する言葉の中に様々な思惑があるのかと考えると…」
女「怖いの」
男「大丈夫だよ」
男「どうせ他人の本当の気持ちが分かるまで付き合うなんて事はないんだから」
男「表面のことだけ気にしていればいいんだよ」
男「お互いにね」
-
- 3 : 2014/11/22(土) 19:54:19 :
女「怖いよ…怖いよ…」
男「どうしたの?」
女「いつも嫌いなあの人を殺したいと考える私自身が怖いの」
女「どうやって殺せば誰にもバレないかを考えてしまう私自身が怖いの」
女「突如今もっている辞典で頭を殴ってしまいたいと思う私自身が怖いの」
女「そんな勇気もないのに…」
女「殺すまではいかなくても、あの子の鞄にライターで火をつけて」
女「教室ごと燃やしてしまって」
女「あの子の鞄からライターが見つかって放火犯になってしまえばいい」
女「そんなことばかり考えてしまう私自身が…」
女「怖いの」
男「大丈夫だよ」
男「誰でも思うことだよ」
男「妄想で終わらせることができたなら幸せじゃないか」
-
- 4 : 2014/11/22(土) 20:06:42 :
女「怖いよ…怖いよ…」
男「どうしたの?」
女「私は…ううん。人間はどうして生まれてきたのかを考えると怖いの」
女「私達のこの知能は進化の過程で生まれてきたものなの?」
女「人類が誕生する前はこの世界は何が支配をしていたの?」
女「人間もまた何かに支配されてしまうの?」
女「それとも…地球が46臆年前に誕生したというのは嘘で、世界は人間の為に作り出されたものなの?」
女「私達がいる意味がわからない…」
女「地球にとって不利益しかもたらさない私達を生み出した意味はなんなのか…」
女「そんなことを延々と考えると…」
女「怖いの」
男「大丈夫だよ」
男「そんなこと考えるだけ無駄なんだよ」
男「僕らが居る事なんてただの現象にすぎないんだよ」
男「…だけど考え続ければいつかは答えを見つけられるかもしれないね」
男「案外僕らが生まれてきた意味はそれを考えるためかもしれない」
-
- 5 : 2014/11/22(土) 20:15:59 :
女「怖いよ…怖いよ…」
男「どうしたの?」
女「人間以外の生物も私と同じくらい思考しているんじゃないかと考えると怖いの」
女「私達とは言語が違うだけでくだらない会話や流行語について話してるんじゃないかと思うと怖いの」
女「気持ち悪い虫にも意思があるんじゃないかと思うと怖いの」
女「つぶして殺してしまう瞬間に叫び声をあげて死にたくない死にたくないと考えているのかな?」
女「家族のこととか考えるのかな?」
女「走馬燈とか見えるのかな?」
女「そう考えると…怖いの」
男「大丈夫だよ」
男「やつらに意思なんてあるわけがないじゃないか!」
男「あいつらはただ本能に従って生きているだけ」
男「感情なんて存在しないんだよ」
男「そういう風に作られてるんだから」
男「そういう役割なんだから」
女「…男くんは虫が苦手なの?」
男「どうして?」
女「さっきまでよりも必死だったから」クス
男「…秘密だよ?」
-
- 6 : 2014/11/22(土) 20:24:15 :
女「怖いよ…怖いよ…」
男「どうしたの?」
女「幽霊が怖いの」
女「私には見えないけど…」
女「もしかしたら私達の視界に入らないように行動しているだけなんじゃないの?」
女「いつも死角にいるんじゃないの?」
女「私に見えないようにして楽しんでるんじゃないの?」
女「そんな存在がいるかもしれないことが…怖いの」
男「大丈夫だよ」
男「見えないならいいじゃないか」
男「あっちが見られないようにして楽しんでいることが不快なら…」
男「こっちは敢えて気づいていない振りをしてあげようか」
男「そうすればこっちの方が一枚上手だったってことになるからね」
-
- 7 : 2014/11/22(土) 20:38:02 :
女「怖いよ…怖いよ…」
男「どうしたの?」
女「いつも死にたいと思っている私自身が怖いの」
女「どうやったら苦しまずに死ねるかを考えている私自身が怖いの」
女「私の身長より大きな…密度が高い鉄の塊が真上から落ちてきたらいいのに」
女「そうすれば苦しまずに済む」
女「そんなことばっかり考えている私自身が怖いの」
男「…死にたいの?」
女「でもね、いつもその次のことばかり考えてしまう」
女「私がいなくなった後も世界は続く」
女「お母さん、お姉ちゃん…残された人のことを考えると怖い」
女「その人達には一生身内が自殺したという事実がつきまとう」
女「お姉ちゃん達が昔の思い出を語るとき、私の存在がでてきたら空気が重くなってしまう」
女「次第に昔話事態がタブーになってしまう」
女「そんな未来が作られてしまうと考えると…」
女「怖いの」
男「大丈夫だよ」
男「人の記憶力なんて大したことはないんだから」
男「どんなに衝撃的なことでも、すぐに風化してしまう」
男「そんな風にできているんだよ」
男「まあ、薪の上で寝て、毎日肝を嘗めたら忘れないかもしれないけどね?」クス
女「…………」
男「あっ、死ぬことを肯定しているわけじゃないから!」
女「男くん焦ってる?」
男「…どうかな?」
男「自分の目で確かめてみたら?」
女「…………」
男「振り向かないと、何もわからないよ?」
女「…………」
男「…………」
男「ごめん、なんでもない」
-
- 8 : 2014/11/22(土) 20:54:12 :
女「怖いよ…怖いよ…」
男「どうしたの?」
女「もし記憶喪失になったら…その時に生まれた自我は元々の自我と同じものなのかと考えると怖いの」
女「記憶を失う前の私はどこへいってしまうんだろ?」
女「いつか記憶と自我が戻ったとき、記憶喪失によって生まれた自我はどこへいってしまうんだろ?」
女「そう考えていくと…」
女「”自分”って定義が分からなくなって怖いの…」
男「大丈夫だよ」
男「自分なんて日々違った存在になるものなんだから」
男「僕らは日々の暮らしで経験を積む」
男「経験が積まれれば視野が広がる」
男「視野が広がれば今までと違う考え方が生まれる」
男「…それはもう昨日までの自分とは別の存在って言えるんじゃないかな」
女「…それもそれで怖いよ」
男「あ」
-
- 9 : 2014/11/22(土) 21:39:15 :
女「怖いよ…怖いよ…」
男「どうしたの?」
女「人からどう思われているのかを考えると怖いの…」
女「私、すぐ人を嫌いになってしまうの」
女「近くにいたらその人の嫌な部分が沢山見えてきて…」
女「だから、きっとみんなも私を嫌っているの」
女「私が多くの人を嫌っているように…」
女「そう思うと、怖いの」
男「大丈夫だよ」
男「負の感情ってものは誰もが抱き、抱かれるんだから」
男「いろんな顔をして、いろんな感情をもつ」
男「これが生きてるってことなんだからね」
男「それに…嫌っている人ばかりじゃないよ」
女「?」
女「そんな人…どこにいるっていうの?」
男「………」
男「…秘密」ニコ
女「そう…」
-
- 10 : 2014/11/22(土) 21:43:36 :
女「怖いよ…怖いよ…」
男「どうしたの?」
女「本当は今私は一人で部屋にいて」
女「”どうしたの?”っていってくれる人なんていなくて」
女「今まで話していたあなたが」
女「恐怖で震える私が作り出した妄想だったとしたらと考えると…」
女「怖いの」
女「?」
女「男…くん?」
-
- 11 : 2014/11/22(土) 21:48:00 :
女「ど、どうして何も言ってくれないの?」
女「どうしていつもみたいに”大丈夫だよ”っていってくれないの?」
女「いるんだよね?」
女「妄想なんかじゃないよね!?」
女(部屋には…私の声だけが響いている)
女(怖い)
女(ずっと優しく語りかけてくれたあの声が聞こえない)
女(姿は見ていない、声だけしか聴いてないけれど)
女(あなたは…いたんだよね?)
-
- 12 : 2014/11/22(土) 21:52:32 :
女(怖い)
女(こんな怖いもので溢れている世界なんてみたくない)
女(もし振り向いて…男くんがいなかったら)
女(怖い)
女(怖い)
『自分の目で確かめてみたら?』
女「!」
『振り向かないと、何もわからないよ?』
女「…………」
女(私は…後ろを振り向いた)
-
- 13 : 2014/11/22(土) 21:55:54 :
女「男…くん?」
女(窓が見える)
女(窓を通して空が見える)
女「きれい…」
女(私は今まで……こんなきれいなものを見ようとしていなかったんだ)
女「もっと…」
女「もっと沢山みたい……!!」
男「よくできました」
女「!!」
-
- 14 : 2014/11/22(土) 22:03:55 :
女「男くん…!ちゃんと…いたんだね!」
男「うん」
女「私、ずっと自分の殻の中に閉じこもっていた」
女「世界はこんなにも広いのに…自分の中でしか物事をみていなかった」
男「うん」
男「…まだ怖い?」
女「怖い」
女「けど、視野を広げて」
女「色々な角度からこの世界を見てみたい」
男「そうだね」
男「そうすれば、僕の想いにも気づくかもしれないね」
女「想い…?」
男「………」
女「……?」
男(まだ、気づかないか)ハァ
男(それじゃあこの子がこの気持ちに気づくために)
男「これから…2人で沢山色々なものをみにいこう?」
男「視野を広げるためにもね」
女「うん!」
男(まあ徐々に、徐々に……ね?)
おしまい
-
- 15 : 2014/11/23(日) 03:39:21 :
- 良作でした
-
- 16 : 2020/09/28(月) 21:35:14 :
- 高身長イケメン偏差値70代の生まれた時からnote民とは格が違って、黒帯で力も強くて身体能力も高いが、noteに個人情報を公開して引退まで追い込まれたラーメンマンの冒険
http://www.ssnote.net/archives/80410
恋中騒動 提督 みかぱん 絶賛恋仲 神威団
http://www.ssnote.net/archives/86931
害悪ユーザーカグラ
http://www.ssnote.net/archives/78041
害悪ユーザースルメ わたあめ
http://www.ssnote.net/archives/78042
害悪ユーザーエルドカエサル (カエサル)
http://www.ssnote.net/archives/80906
害悪ユーザー提督、にゃる、墓場
http://www.ssnote.net/archives/81672
害悪ユーザー墓場、提督の別アカ
http://www.ssnote.net/archives/81774
害悪ユーザー筋力
http://www.ssnote.net/archives/84057
害悪ユーザースルメ、カグラ、提督謝罪
http://www.ssnote.net/archives/85091
害悪ユーザー空山
http://www.ssnote.net/archives/81038
【キャロル様教団】
http://www.ssnote.net/archives/86972
何故、登録ユーザーは自演をするのだろうか??
コソコソ隠れて見てるのも知ってるぞ?
http://www.ssnote.net/archives/86986
- 「男・女」カテゴリの最新記事
- 「男・女」SSの交流広場
- 男・女 交流広場