調査兵団の冬【リヴァハン】
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- 1 : 2014/11/20(木) 21:41:55 :
- 今年も冬が来た。
そう。冬が。
最も寒いこの季節が来た。
「寒……」
一人の女性兵士が呟いた。
寒いのは当たり前だろう。
不自然ではない。
「よし、暖まってこよう!」
そう言うとガタン、と音をたてて椅子から立ち上がると彼女は部屋を出て行った。
× × ×
綺麗に整頓された塵一つない部屋。
調査兵団にここまで部屋を綺麗にしておくような人は一人しかいないだろう。
人類最強の兵士と言われているリヴァイだ。
彼はかなり高度の潔癖性で元々地下街にいたなんて信じられないだろう。
今の生活を見ればよくあんな汚い所にいたな、と誰もが思うだろう。
しかし好きでそんな所で暮らす人がいるはずがない。
何か理由があるからそこで暮らすのだ。その何かが何なのかは彼の口から聞き出すことはほぼ不可能に近いだろう。
「……よし。」
そう呟くと同時に彼はベッドに倒れこんだ。かなり珍しいことだがそれほど疲れていたのだろう。
しかしいくら人類最強だからといって風邪を引かないなどということがあるわけがない。人間であることに変わりはないのだから。
真冬に窓を開けたままシャツの袖を捲っている状態で寝てしまったら体調を崩してもおかしくない。
むしろ崩さないほうがおかしいだろう。
だが彼の部屋に滅多に人は来ない。
仕事の用事で調査兵団団長のエルヴィン・スミスが来るときか、もしくは…
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- 2 : 2014/11/20(木) 21:52:44 :
- コンコン
彼の部屋のドアが叩かれる。
しかし彼……リヴァイはすでに夢の中だ。
コンコン!
先程よりも強めに叩かれる。
一体どれだけ疲れていたのか、起きる気配はない。
「もう、入るからね!」
ドアを開け入ってきたのはハンジ・ゾエだ。
彼が密かに好意を寄せている人物だ。
「リヴァイ?寝てるの?」
そう言いながら彼女はベッドに歩み寄る。
「風邪引くよ?あ、珍しい。窓開けっぱなしじゃん。」
バタン、とわざと大きな音をたてて窓を閉めるがやはり起きない。
「リーヴァーイッ!」
動く気配さえもない。
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- 3 : 2014/11/20(木) 22:21:24 :
- 「もう!風邪引かれたらこっちも困るんだから!」
と叫んだ時だった。
「ハンジ分隊長!」
扉を勢い良く開け、新兵のアルミン・アルレルトが入ってきたのは。
「ぁ……ごめんなさい!」
「大丈夫。リヴァイはぐっすり眠ってる。全然起きないよ!」
と満面の笑みで答えるとアルミンの表情は少し緩んだ。
「布団…掛けたほうがいいですよね?」
「あぁ!そうか!うわあぁ…」
ハンジは私が馬鹿だった、と言いたげな表情のままその場に座り込んだのだった。
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- 4 : 2014/11/20(木) 22:27:22 :
- 期待!
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- 5 : 2014/11/20(木) 22:30:49 :
- 自由こそ正義さん。
期待ありがとうございます。がんばります。
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- 6 : 2014/11/20(木) 22:44:15 :
- 期待です!
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- 7 : 2014/11/21(金) 07:41:35 :
- 96猫さん。
ありがとうございます。頑張って書きます。
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- 8 : 2014/11/21(金) 07:47:02 :
- 「………。」
彼が眠っているときに他の人物がこの部屋に居るだなんて普通はありえないことだ。今を除いて。
「ねぇアルミン……この部屋寒くない?」
「そうですね…」
上官と新兵が雑談を交わすなんて上官がハンジじゃないかぎり珍しいことだといえる。
「あ…!あそこ、穴が空いています!」
「え!?」
指差された方向を見ると確かにそこには穴が空いていた。かなり大きいようだ。
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- 9 : 2014/11/21(金) 16:15:18 :
- 「修理完了~♪」
「これで兵長も風邪引きませんね。」
とアルミンは口にしてしまったのだった。もうこのあとどうなるかは想像できる気がする。もうすぐ壁外調査という時期ではなかったのは良かったが…
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- 10 : 2014/11/21(金) 16:26:51 :
- 翌日。
今日は清々しい朝だ!と言いたいところだがとてもそんな朝ではない。
空は暗く、いくら雪が降っていても綺麗だなんて言えるような天気ではなかった。そんな中…
「リーヴァイッ!」
いつもより大きめの声で部屋に飛び込んだハンジだったが………
「なっ!?馬鹿!ノックぐらいしろ!」
「あっ!?ごめん!今すぐ出る!」
タイミングが悪かった。
× × ×
「もう!もう!もぉうっ!」
「落ち着けハンジ。」
「落ち着けないよ~!」
「うるせぇ…」
「リヴァイの馬鹿っ!」
勢いよく振り抜かれたハンジの拳はあっさりと受け止められた。
「馬鹿。」
「お前は黙ってられないのか…。」
「ふーんだっ!リヴァイなんて嫌いだーっ!」
と言いつつリヴァイの肩に体重をかけるハンジと僅かながらに微笑んだリヴァイを見ていたのは……
「早速噂を流すか…」
誰だったのだろうか?
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- 11 : 2014/11/21(金) 20:14:18 :
- ここから先はリヴァイ目線になります。
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- 12 : 2014/11/21(金) 20:20:16 :
- ー次の日ー
俺は今日もベッドから抜け出して着替えを済ませ、食堂へ向かう。
廊下を歩いているといつもにも増して見られているような気がした。
「………。」
だが俺はそんなことは気にしない。
…はずだった。
自分でも何故かはわからないが、どうしても知りたい…いや、知らないといけない気がしたんだ。
「……オイ。」
「うわっ!?は、はいっ!」
つい、いつもの調子で話し掛けてしまったがこの驚き方は少し異常だ。
何か良くないことでも話していたのか?
「…何話してやがる。」
「い、いえ!何も!」
…やっぱりな。
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- 13 : 2014/11/21(金) 22:52:13 :
- 「……。」
どうしても言わないなら仕方がない。
エルヴィンが何か知ってるだろう。
……腹が減った。
そうだ。食堂に向かう所だった。
……………。
ー食堂ー
「ねぇリヴァイ、食べないの?」
「……いや…」
いつもの調子でハンジが聞いてくる。
腹は減っている。いつもにも増してだ。だが…一体何なんだ?食欲がない…というか……とにかくおかしい。
結局朝食は食べなかった。
後でこれを後悔することになるとも知らずに…。
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- 14 : 2014/11/21(金) 22:57:24 :
- ー訓練場ー
ザシュッ!という音と共に金属音がなり響いた。どうも今日の訓練は調子が出ない。
傷も浅い上にブレードがすぐ駄目になる。
……何かがおかしい。
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- 15 : 2014/11/22(土) 07:57:48 :
- 期待!
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- 16 : 2014/11/22(土) 12:05:24 :
- 名無しさんさん!
期待ありがとうございます!
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- 17 : 2014/11/22(土) 12:12:55 :
- 「ねーねーリヴァイ!すごいでしょ!私が開発した『冬に雪が降っても支障なく訓練ができるような環境にする装置』!」
「……。」
「あれっ…リヴァイ?」
「あぁ…何だ?」
おかしい……。
何かがおかしい……。
だが、何がおかしいんだ?
「顔色良くないよ?訓練休んだら?」
「…いや、大丈___」
「あ、危ないっ!」
キィンッ!
金属音がなり響いて…………
後は分からない。
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- 18 : 2014/11/22(土) 12:23:02 :
- ____イ!
___ヴァイ!
「リヴァイ!」
「ッ!?」
ハンジの声で俺は目を覚ました。
外はもう暗い。あれからかなり時間が経ったようだ。
「ねぇ大丈夫!?自分の名前は?ここがどこか分かる?」
「…………は?」
いきなり何を聞くんだ、と言いそうになったがすぐ気づいた。
俺の頭に包帯が巻かれている………なんとなくだが何があったのかわかる。
「…大丈夫だ。心配するな。…ッ!」
「リヴァイ!?」
「大丈夫だ…ちょっと頭痛が…しただけだ…。」
嘘だよ。すまないなハンジ。嘘だ。
少しどころじゃない。
今まで経験したことのない痛みだ。
吐き気もする。意識も正直にいうとはっきりしない。
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- 19 : 2014/11/22(土) 13:55:01 :
- 「……うん。嘘だね。」
「…!」
こいつを甘く見ていた。
そうだ。こいつは…ハンジは…
こういうのにすぐ気づくんだった。
「無理しないでよ!悪化されたらこっちだって困るの!ほら、大変なことになる前に休んで!」
「………。」
「リヴァイ?」
言うか…言わないか…今日は……
言ってみるのもいいかもしれない。
「ハンジ。」
「何?」
「休んでやってもいい。ただ条件がある。」
「なんかおかしい気がするけど…何?」
「俺が休んでいる間、俺の部屋に入るのを許すのはお前だけだ。他は誰であろうと入れさせない。それが例えエルヴィンでも。」
……と間接的に面倒はお前が見ろよ、と言ってやったんだが……どんな反応をするか……
「えっ?えっ?やっぱりリヴァイおかしいよ!?風邪引いてるんだよね?そのせいだよね!リリリ、リヴァイがこんなこと言う訳ないもん!」
「……。」
これが本心なんだが………。
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- 20 : 2014/11/23(日) 11:10:28 :
- ハンジ目線になります
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- 21 : 2014/11/23(日) 11:15:23 :
- はい。私は今リヴァイの部屋にいます。で、苦しそうなリヴァイを眺めている訳なんです。
ひどくない!?
結局リヴァイはあのあと熱出してしかもエルヴィンが
「今日は忙しいからリヴァイの世話は頼むよ。」ニッコォォ…
だなんて!
うわあああああん……
誰か……変わって…モブリットォ…
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- 22 : 2014/11/23(日) 17:07:47 :
- 「熱い……」
彼の額に触れ、思わず当たり前のことを口に出してしまった。
それにしてもリヴァイが風邪なんて信じられない。
「あ…そろそろ時間だ。」
時計を見た私は間もなく夕食の時間だと気づき、食堂へと向かった。
私とリヴァイの食事を取りに。
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- 23 : 2014/11/23(日) 21:49:20 :
- 「リヴァイ!食事持ってきたよ!」
寝ているのを知っているからわざと大きな声を出す。
「あぁ。」
「起きてたの!?いつから!?」
「お前が部屋から出てったとき。」
まあ起きてたからって別に……ね?
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- 24 : 2014/11/23(日) 23:06:25 :
- これは期待ってやつです!!
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- 25 : 2014/11/23(日) 23:31:45 :
- ワクワク…
期待です!
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- 26 : 2014/11/24(月) 08:04:00 :
- ハンジもどきさん。
期待ってやつをされたのでがんばります。
96猫さん。
ワクワクしていただけるなんて光栄です。がんばります。
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- 27 : 2014/11/24(月) 08:17:11 :
- ん?あれ?今リヴァイが悪魔に見えたんだけど……気のせいってことにしておこう。
「ほら、リヴァイ。体起こして!」
「体が重い。起き上がれない。から食事はいらない。」
と、少し棒読みっぽく返された訳ですよ。棒読みなのは絶対わざとだ。すげー腹立つ!
「もう!ほらっ!」
私はリヴァイを抱えるようにして無理に起こした。逆だよね。普通これって男性が抱えるもんだよね!?
まあ、これくらいなら許せますよ。
「熱い。」
「え?何が?」
「スープだ。」
「え?嘘だ!貸してよ!」
飲んでみたが全く熱くない。むしろ冷たいくらいだ。ふざけてやがる!
「えっちょっ!?むぐっ!」
何こいつ!?私に無理矢理スープ飲ませて………えっ!?いやちょ……人の頭掴むな!てか乱暴すぎ!髪が乱れる!……………え……………………?
「……んん!……ん~!」
「………。」
何この人!?人の口にスープ入れたかと思ったらそれを自分の口に移して…………移して……………………。
いやああああああああっ!
「うぅっ……///」
「何顔赤くしてやがる。」
そう言ったリヴァイは不敵な笑みを浮かべていた。やばい。何これクッソ腹立つし恥ずかしすぎるよ……。
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- 28 : 2014/11/24(月) 23:18:22 :
- ヤバい!!!(σ≧▽≦)σ
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- 29 : 2014/11/27(木) 20:16:23 :
- 「り、りばいの風邪がうつったんだあ!りばいのせいだあああああ!」
「うるせぇ。」
「りばいのばかぁー!うああああん!」
「泣くな。うるせぇ。」
ガチャ!
「やあ、元気かな?」
そういって入ってきたのはエルヴィンだった。
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