このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。
この作品は執筆を終了しています。
BAD END of 左右田
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- 1 : 2014/11/15(土) 15:59:37 :
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『BAD END of 日向』の派生というかシリーズというか、そんな感じです。
※キャラ崩壊注意
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- 2 : 2014/11/15(土) 16:17:37 :
その男は、教室の自分の机に自作のボイスレコーダーを仕掛けていた。
放課後になると回収し、トイレに篭る振りをして『結果』を聞く。
はじまりは、鏡で自分を確認したあの時。
少し、派手過ぎやしないかと。
そこにやってきたクラスメイト。
普通ならそこで会話を交わすのだが、何故か彼は咄嗟にトイレの個室に隠れた。
生徒A「今日早く終わんだよな?終わったらどっか行かね?」
生徒B「だなー。CとDも連れてく?」
A「いや、D今日委員会で仕事あるんだと。」
B「マジか、3人ってハンパじゃね?」
A「あ、じゃ左右田は?」
ドキッとした。
AもBも、普段から行動を共にしている生徒ではない。
同じクラスだから名前が挙がるといえば挙がるだろうが、最初に自分の名前が出てきたことに少し安心していた。
この瞬間までは。
B「左右田…ってあの、左右田?」
A「それ以外に誰が居んだよ」
B「あいつは…」
B「あいつは…いいや。なんかさぁ…なぁ?」
A「まあ…言いたいことは何となくわかるっつーか…」
B「高校デビューしすぎだよな…あれは無いわ」
A「派手過ぎっつーか…それなのに別に大した器が感じられないってか…」
B「言っちゃ悪いけどさ…存在感無いってか、」
B「いてもいなくても変わらないよな、あいつ」
あの日、俺の心は音もなく崩れ去った。
どれだけ派手に染髪しても、ピアス開けても、結局のところ俺は俺。
厚い鎧を身につけただけ。それを脱ぎ捨てると、何一つ持たない、あの頃の俺のまま。
クラスメイトが去った後の鏡は、派手な自分ではなく、情けない自分の顔を映していた。
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- 3 : 2014/11/21(金) 03:02:14 :
それから俺は人が信用できなくなった。
席が隣のアイツも、機械のことを頼ってくれる彼らも、一緒に昼食をとるこいつらも、わからないところがあれば教えてくれるお前も。
いつしか俺は愛想笑いすらできなくなっていた。
周りは変わらないのに、だんだん人が俺から離れていってるような気がした。
…そっちの方がいいのかもしれないが。
人と会話すると、必ずその言葉一つひとつに裏があるんじゃないかと思うようになった。
実際そうだったのかもしれない。
自殺を考えたこともあった。
自殺する度胸なんてないが。
自己嫌悪がどんどん激しくなっていった。
俺は、いらない。
俺は、必要ない。
俺は、産まれてくるべきではなかった。
お前はいらない。
お前は必要ない。
お前なんか産まれてこなければよかった。
ーーーお前なんていてもいなくても変わらない。
左右田「ああああああああ!!!!」
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- 4 : 2014/11/21(金) 03:27:17 :
カーテンの隙間から、朝日が射し込んでくる。
左右田「…夢か」
ベッド横のミニテーブルには4日前の手紙が置いてある。
左右田「…ああ、そーだった」
そう。この手紙だ。
『希望ヶ峰学園』の招待状。
俺は今日から、希望ヶ峰学園の生徒になる。
もう不安な日々を過ごすことはない。
もうあんな奴らと同じ空間にいなくていい。
…嫌なことは全部忘れていい。
これからの世を支える希望として、胸張って生きていい。
とりあえず在籍していた学校の制服を着用する。
……本来ならばこんなものは早く脱ぎ捨て、燃やし尽くし、あの学校での全ての思い出と共に忘れ去り、希望ヶ峰学園の制服に身を包みたいところなのだが、入学までの最期の我慢だ。
家を出て、駅へ向かう。
???「…やぁ」
電車を待っていると、後ろから吐息混じりの声が俺を呼んだ。
振り返ると、それは細く背の高い男だった。
白髪のようにみえるが、まだ若い。20過ぎたか過ぎないかといったくらいか?
暗い色のロングコートを羽織り、今時珍しい、チェーンの付いたズボンをそのまま着用している。
左右田「な、何の用だ?」
???「君、左右田和一クンだよね?」
左右田「お、おう、そーだけどよ」
???「ああ、よかったよかった…同じ場所へ向かう仲間に会えて。いや、僕なんかが希望の象徴である君たちと仲間だなんて云々」
驚いた。
少し年上に見えたその男は、これから学園生活を共にする高校生だったのだ。
???「僕は、狛枝凪斗だよ。よろしくね」
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- 5 : 2014/11/21(金) 17:26:15 :
- 期待です!!
左右田…すでにバッドエンド確定!?
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- 6 : 2014/11/22(土) 12:12:44 :
>>5
ありがとうございます!!
狛枝と名乗る男。
彼は何らかの才能があって希望ヶ峰学園に招待されたわけではなく、毎年一般の高校生から選ばれる『超高校級の幸運』として招待されたらしい。
それ故か、かなりマイナス思考というか、謙遜している。
狛枝「ふーっ、さぁ、着いたね」
左右田「ああ」
都会の中心にそびえ立つ大きな校舎。
俺たちは希望の門をくぐった。
少し時間が早かった気もするが、中にはもう何人かの生徒がいた。
???「あ、あの…」
???「何だよ?」
???「あ、あなたも、この学園の…」
???「おう!細けェこたァよくわかんねーけど、何か呼ばれたんだよなー!」
2人の女子生徒が会話している。
どちらも目を奪われるようなボディを…いやこれ以上はやめておこう。
次々に集まって、15人が揃ったところでガタイのいい太った男の提案で自己紹介になった。
この男は十神白夜。
巨大財閥の御曹司。贅沢な生活をしてきたのだろう。
先ほど会話していた女はオドオドした罪木蜜柑と、脳筋の終里赤音。
異様な雰囲気を纏った長身の男、田中眼蛇夢。
放置してるとスライムのように溶けてしまいそうな小柄な女、七海千秋。
カメラをかけた真面目な女、小泉真昼。
少し性格がきつい。個人的に。
内蔵まで筋肉で構成されてるかと思うほどの巨漢、弐大猫丸。
ドエロい小柄な男、花村輝々。
人懐っこい派手な女、澪田唯吹。
鷹のような鋭い目の女、辺古山ペコ。
同じく鋭い目をした小柄な男、九頭龍冬彦。
あまり仲良くできなさそうに見える。
口の悪いチビ、西園寺日寄子。
花村もだが、一応俺たちと同い年だそうだ。
そして……
その容姿、その瞳、その仕草。
俺は一瞬で虜になった。
なんでも、『超高校級の王女』としてヨーロッパの小国から来たのだという。
名はソニア・ネヴァーマインド。
太陽のような、笑顔の眩しい女性。
あとは、俺と狛枝で15人だ。
全員の自己紹介が終わって丁度良い時間となったようで、俺たちは体育館に向かった。
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- 7 : 2014/11/25(火) 11:27:43 :
夢のような学園生活だ。
世の中からは希望として支えられ、一人ひとり個室付きで、そのうえ王女とお話できるなんて。
世の中も幸運の女神も俺の味方だ。
俺のことを見下してた奴らも、この俺を崇拝せざるを得ないだろう。
俺は一日の中で、なるべくソニアさんと話す時間を多めにとっていた。
王女という身ともなると、今まで本音ぶつけ合うような友人はいなかっただろう。
まぁそれは十神や九頭龍も同じだが。
日本文化に興味津々なようで、話のタネには困らなかった。
多少勘違いしてはいるが。
彼女に一歩ずつ近づき、最終的には…
いや、これ以上は夢みたいなこと言わないでおこう。
〜自室〜
左右田「はぁ…薔薇色の人生だぜ」
狛枝「確かに生活には困らないし、僕も輝かしい人生を歩めそうだよ」
左右田「はぁ〜こんな生活が永遠に続けばいいのになァ… まさに希望だぜ」
狛枝「左右田クンの希望って?」
左右田「ん、そーだな…この学園で薔薇色の学園生活送って…ゆくゆくは…その、ソニアさんと……えーっと……」
狛枝「ふぅん?ソニアさんねぇ…」
不敵な笑みを浮かべる狛枝
左右田「何だ?」
狛枝「いや、何も。 …あ、僕洗濯してこなきゃ」
そう言って狛枝は部屋を後にした。
左右田「はぁ〜…ソニアさん…」
〜ランドリー〜
狛枝「いかんねぇ」
溜め息。ただそれだけ。
狛枝「希望がなってない」
もうひとつ溜め息。
狛枝「お、さすが最新鋭の洗濯機だ」
速攻で綺麗になった洗濯物を取り出す。
ん?
これは……
狛枝「うーん……」
狛枝「…うん、よし」
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- 8 : 2014/11/26(水) 14:50:07 :
- 狛枝!何をする⁇
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- 9 : 2014/11/28(金) 04:21:43 :
俺の朝はソニアさんの隣で朝食をとるところから始まる。
俺の昼はソニアさんとのティータイムから始まる。
たまに女子グループに先を越されるが。
左右田「にしても、ここの生活はなかなかのモンですね!
ソニアさんは故郷の方ではどのような暮らしを?」
ソニア「ほとんど敷地内での暮らしでしたね…皆さんとこうして和気藹々とした生活ができることにめたんこ感謝してます!」
左右田「それはまた…寂しさもあったでしょう。
みんないい奴ですよね!」
ソニア「はい!田中さん素敵ですよねっ!」
左右田「たn…」
ソニア「? どうされたのですか?」
左右田「あ、いえ!えーと田中ですか…あいつは…そのー…やっぱ飼育委員なだけあって、その、動物の扱いが素晴らしい…ですね」
…今日のティータイムは女子連中に先越されてた方が幸せだったかもしれないな。
左右田「予備学科?」
弐大「知らんかったか?大金払えば一般の生徒を入学させるっちゅうシステムだ」
九頭龍「大方、資金目当てだろーよ。誰でも希望の象徴になれる、だなんて誑かして金持ちのおぼっちゃま共を買収してんだよ」
左右田「うお…知らなかったな」
別校舎には予備学科と呼ばれる連中が集まっているらしい。
…そういえば、狛枝がそれっぽいこと言ってた気がするな。
あいつ予備学科の連中を毛嫌いしてたけど、何かあったのか?
……あぁ、予備学科の奴らに『幸運で入っただけの一般人』とか陰口叩かれたりとかはありそうだな。
いかにもそんな奴らが集まってそうだし。
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- 10 : 2014/12/05(金) 14:35:35 :
- 期待です!
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- 11 : 2014/12/11(木) 22:28:25 :
授業はいたって普通だ。
特に大学レベルの高度な数式をやるとか、一級レベルの慣用句を学ぶとか、そういうものはない。
さて、次の授業が始まった。
この学園には教え方が上手い先生が多くて助かる。
………ん?
教材を出そうとしたとき。
あまりふれない材質の何か…
それを目で確認した俺は、戦慄した。
何故…何故俺の机の中に『こんなもの』が…!?
狛枝「左右田クン?どうしt…………そ、左右田クン!?」
ば、馬鹿野郎……!!
そう、俺の机に入っていた『それ』は、間違いなく女性用の下着だった。
小泉「ちょ、あ、あんた、な、何よコレ!!」
授業中であるにも関わらず、怒声を上げた小泉がすかさず俺の手首を掴む。
豚神「そ、左右田、お前…!?」
辺古山「左右田、お前…何を…」
終里「何してんだテメェ!」
澪田「うげげげ!!和一ちゃん!?」
西園寺「キモッッッ!!死ね!!!」
左右田「ち、違、お、俺は…っ、!」
ソニア「あの………私の下着が一枚無くなっていたのですが、それはもしかして……」
空気が一瞬で凍りついた。
俺の中に走る戦慄と絶望感。
花村「そ、左右田君、いくらなんでも盗むのは…ちょっと…」
左右田「ち、違ぇって!俺は」
弐大「なら何ゆえお前さんの机から出てきたんじゃ?」
狛枝「左右田クン………君は……ソニアさんに」
言いかけた狛枝に掴みかかる。
狛枝「わっ、ちょっ!」
左右田「だからッ、俺は何もしてねェっつってんだろッッ!!!!」
瞬間。
俺の左頬に平手打ちが入った。
小泉「……最低。」
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- 12 : 2014/12/18(木) 13:21:33 :
授業どころではなく、俺は先生に呼ばれ、それから誰も俺に話しかけたりしなくなった。
何故こうなった?
夢のようだった俺の生活は一気にどん底へと堕ちた。
ソニアさん?
勿論、目さえ合わせてくれない。
豚神や澪田でさえ若干俺を避けている。
クソが…。
教師「左右田、すまないが、予備学科の教師のところにこれ渡しておいてくれ」
左右田「…うっス」
予備学科ねぇ…実際に行くのは始めてだな。
きたねぇ。
なんだこりゃ。
なんと汚れた校舎だろうか。
刑務所かよ。
生徒A「あれ、あいつ、本校舎の…」
生徒B「一体何の用だ…?」
なんだ。
何見てやがる。
クソどもの分際でこの俺を見てんじゃねぇよ。
クソが…!
プリントの山をその場に置くと、
俺はそいつらに殴りかかった。
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- 13 : 2014/12/21(日) 02:17:32 :
生徒A「ごはっ!!」
生徒B「な、なんだお前!!」
左右田「うるせぇ……学園の金づるの分際でガン飛ばしてんじゃねぇ!!!」
もう一発。さらにもう一発顔に入れる。
野次馬共が集まってくるが、気にしない。
集まってきたところで、何もできやしないからだ。
予備学科が本科の生徒に手を出したらどうなるか?
こいつらが一番わかってるはず。
左右田「ケッ……」
左右田の拳が血に染まる。
相手は2人ともボコボコだ。
左右田はプリントの山を片方の顔の横に置く。
左右田「てめぇらのモンだ…これはてめぇらでなんとかしろ。
……何見てんだ野次馬共!!失せろッ!!!」
相手は、自分に逆らえない。
まるで自分が番長のような、王様のような気分。
左右田は、とてもスカッとしていた。
勿論、本科に戻ると誰も声をかけない誰も俺を見ない。
ただ西園寺日寄子の罵声が飛んでくるだけ。
授業が終わると、俺は予備学科の通る渡り廊下へ行く。
そして、ブン殴る。
そうすれば、スカッとするから。
それくらいでしかストレス発散できないから。
ある日は校舎裏に連れて行ってボコボコにした。
ある日は、少し頭をひねって考えた。
大金を要する予備学科は、それはそれは金持ちのぼっちゃんが集まっているのではないかと。
左右田「おら、金…」
生徒「…はい」
左右田「へぇ…結構あるな…。さすが金持ちのぼっちゃん達だぜ」
ほぼ毎日。
ほぼ毎日続けた。
そうすることでしか、自分を癒せなかったから。
予備学科の奴らは俺に恐怖し、俺に金を献上する。
まるで殿と農民だ。
今日もスカッとしたぜ。
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- 14 : 2014/12/21(日) 21:22:46 :
今日も同じだ。
左右田「早くしろよ。持ってんだろ?」
生徒「は、はい…」
生徒B「おい、お前!!」
…あ?
何だよ。
予備学科の生徒だった。
短髪に長身、どこにでもいそうな奴だ。
生徒B「お前、本科のやつだな?最近ずっとこうやって…」
左右田「だから、何だよ?あぁ!?」
生徒B「ぐおっ、」
腹に一発。
予備学科の連中ならば、躊躇うことはない。
生徒「お、おい日向!」
生徒B「何してんだ…今のうちに…がっ!!」
蹴り一発。
生徒B「ふざけるな…」
左右田「あぁ?」
生徒B「本科だからといって…調子に乗るなよ……俺たちは…、お前の奴隷じゃない!!」
左右田「てめぇ…痛い目見なきゃわかんねぇようだな」
九頭龍「へぇー、お前、毎日毎日こんなところにいたんだな」
なっ…!?
現れた二つの影。
生徒B「?」
九頭龍「しかも何してんのかと思えばよォ、弱いものイジメに没頭中とはなぁ?」
田中「貴様…人の命を何だと思っている」
左右田「ち、違…」
違わなかった。
俺は、自分に逆らえないのをいいことにカツアゲしていたのだから。
九頭龍「コイツらは本科の生徒にゃ逆らえねぇからな。それをいいことに予備学科に構ってちゃんして、挙句の果てにゃサンドバッグ扱いか?シブいねぇ」
……っ!!
何よりも左右田を動かしたのは、全て予備学科の生徒に聞かれているということだった。
左右田「うるせぇぇぇ!!!」
小柄な九頭龍に殴りかかる。
が、あっさり躱され、鳩尾に拳を喰らう。
しかもかなり威力が強い。
左右田「がっっ………っ!!」
九頭龍「…調子に乗るなよ、粕野郎」
2人が背を向けて本科へ帰っていく。
左右田はその場に倒れこみなかなか起き上がれなかった。
田中「…天罰だ。慎んで受けるがいい」
九頭龍「小泉の奴に言っとかなきゃな。左右田和一君が不良ごっこに勤しんでるってよォ」
左右田「クソ……が……」
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- 15 : 2014/12/22(月) 00:26:28 :
小泉「ちょっとアンタ!!」
当然、こうなる。
左右田「…なんだよ」
小泉「何だよじゃないでしょ!!アンタ、予備学科の生徒に暴力振るったんだって!?」
左右田「…そーだよ……って、うわ!?」
胸ぐらを掴まれて強引に引きずられていく。
小泉「何処のどいつよ!?謝りに行くよ!!」
左右田「離せッ!!!!」
無理矢理手を払う。
西園寺「おいコラてめぇ!!おねぇに何すんだよ!!」
左右田「うっせぇ!!部外者は黙ってろ!!!」
左右田「いいじゃねぇかよ…別にどうなろうがよ……おめぇ、予備学科の奴らのことなんか1ミリたりとも考えたことねぇだろ?」
小泉「そりゃ、そうだけど…」
左右田「そんな奴らが何だってんだ!?どうなろうが知ったこっちゃねぇ!!あいつらだって自分が学校の金蔓だってわかってんだよ!!希望なんかにゃなれねぇってわかってんだよ!!」
叫び終えたその瞬間、一瞬フラつくほど強いビンタ。
小泉「今の…取り消しなさい!!!人を何だと思ってんのよ!!!!」
なんでだよ?
何だなんだ何なんだよ?
お前の大好きな西園寺は予備学科を悪く言って、何で俺は同じこと言ったらビンタ受けなきゃいけねぇんだよ?
なんでこの俺があんなカス共に頭下げに行かなきゃねぇんだよ?
…ぶざけんな
ふざけんな。
巫山戯んなフザケンナFUZAKENNAふざけんなふざけんなふざけんなぶざけんなふさけんあふざけあふさけあ
左右田「ふ ざ け ん じ ゃ ね ぇ ! ! ! ! ! ! !」
腰に提げたレンチ。
左右田和一は、考えることができなかった。
今の彼にあるのは、怒りと勢いだけ。
強振。ホームランばりのフルスイングだった。
思いっきり小泉真昼の頭にレンチを叩きつけた。
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- 16 : 2014/12/24(水) 02:48:56 :
自分の目の前で、バタンと響く音。
目の前でだらしなく倒れる小泉。
頭から血を流している。
西園寺「きゃあああああああああああああああああ!!!!!!!!!」
辺古山「何だ、今の音!!??」
弐大「何じゃ!!誰の悲鳴じゃあ!?」
鈍い音と西園寺の悲鳴を聞いて駆けつける2人。
弐大「ぬわあああ!!小泉ぃぃぃ!!!」
西園寺「こ、こいつが、こいつが小泉おねぇを鈍器で!!!」
辺古山「なんだと…!?貴様……!!」
左右田「お、俺は…俺は……」
辺古山「今ここで粛清してやる!!」
辺古山はいつも竹刀を背負っている。
本人曰く、何があってもいいようにらしい。
だが、左右田は辺古山が取り出したそれを見て、青ざめずにはいられなかった。
辺古山は今なんと、本物の日本刀をこちらに向けているのだ。
脳にまで響くような鈍い音、さらには西園寺のただならぬ悲鳴を聞いて咄嗟に用意したのだろう。
左右田「お、俺は…」
辺古山「遺言はそれでいいのか?」
狛枝「こ、これは、な、何だこれは!!!」
花村「あんぎゃあああ!!!小泉さん!?」
弐大「とにかく運ぶぞ!!西園寺、罪木を保健室へ呼べ!応急手当ができる用意もさせるんじゃ!!」
一瞬。
一瞬だった。
狛枝、花村が駆けつけて、辺古山がそちらへ目をそらした一瞬。
左右田「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! ! ! ! ! !」
彼は辺古山に背を向けて走った。
ここは二階の教室。その先は……窓。
左右田は窓を割って飛び出し、転がりながら着地、すぐさま態勢を整えて、なんと学園の外へと逃走した。
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- 17 : 2014/12/24(水) 03:12:39 :
………
………。
小泉「………?」
罪木「小泉さぁん!!よかった目が覚めたんですねぇ!!」
小泉「蜜柑ちゃ…あいだだだだ…」
頭に激痛が走る。
罪木「はわわわわ!!寝たままで大丈夫ですぅ!今は安静にしてくださぁい!」
七海「うん、まだ寝てた方がいい…と思う」
ソニア「小泉さん!大丈夫ですか?」
田中「…覚醒したか」
弐大「無事…というわけには行かないようじゃな」
九頭龍「何があったか覚えてるか?」
小泉「何が…えーっと…」
狛枝「小泉さん、頭から血を流して倒れてたんだよ。僕と弐大クンと花村クンと辺古山さんで運んだんだ」
小泉「そっか……ありがとうね」
保健室の扉が乱暴に開く。
西園寺「おねえ!!」
唯吹「真昼ちゃーん!生きてますかァ!?」
小泉「日寄子ちゃん…唯吹ちゃん…ペコちゃん」
辺古山「…起きたか」
九頭龍「ペコ、左右田の野郎は?」
左右田。
その名前を聞いた瞬間、全員が静まり返る。
辺古山「…いなかった。奴め、どこまで行ったんだ」
終里「うぃっす」
外からの声。
窓からこちらに身を乗り出している。
終里「お!小泉目ェ覚めたのか!よかったなー!」
辺古山「終里、あいつは…」
終里「あー、それがよぉ、全然いねぇんだよ。あいつ、隣の隣の隣の街くらいまで行ってんじゃねぇの?」
辺古山「そうか……。だが、奴は必ず戻ってくる。時を待つことにしよう」
西園寺、澪田、罪木、辺古山を残して保健室を去る仲間達。
小泉「あの…」
豚神「どうした?」
小泉「…あれから、アタシ達みんな左右田の相手しなくなって、あいつもきっとストレス溜まってたんだよ…アタシも言い過ぎたかもしれないし。
だから…あいつが帰ってきても、あんまり責めないであげて。」
田中「フッ…珍しいな。お前の口からそのような言葉が出るとは…」
七海「うん、今は小泉さんの言う通りにしようよ。左右田君も、私達の仲間なんだし」
小泉「…ありがとう」
-
- 18 : 2014/12/24(水) 16:04:54 :
ここは、どこだろうか。
普通の街のようだが、俺はこの街を知らない。
豚神「あいつも俺たちのメンバーだ。例え過ちを犯したのであっても、俺はあいつを導かねばならない」
花村「うん、そうだね。お互いにちゃんと話せば何とかなるよ」
豚神「予備学科の連中には話をつけておいた。奴らが復讐にくるようなことはないだろう」
飛び出したときに身体を打ったようで、ズキズキと痛む。
歩くことさえままならぬ身体を引きずりながら、何処へ向かうわけでもなく、ただただ『学園』から遠ざかる。
豚神「もういいんだ。誰にだって過ちはある。奴は、度が過ぎただけなんだ」
七海「ソニアさんも、もう気を落ち着かせよう?」
ソニア「……はい」
……ソニアさん。
二度と、届かないだろうな。
届かないほどに、亀裂ができてしまった。
七海「…だから今は……いつでも帰って来られる環境を作ろう?」
七海「ここは……みんなの場所なんだから」
もう、戻れねぇよな。
俺はもう、行くことはできない。
…希望?
…はははは。
俺には…希望なんて、最初から無かったんだ。
どれだけ努力しても、環境を変えても、結局のところ俺は俺。
厚い鎧を身につけただけ。
結局、その鎧が無くなれば、何一つ持たない、あの頃の俺のまま。
俺は…もう、疲れたよ。
ここは、どこだろうか。
どこでも…関係ないか。
…眠い。
俺はもう、眠いんだ。
…………おやすみ。
一週間後。
黄色い作業着姿の男が、林の中に遺体で見つかった。
…残念でならない。
彼ならば、超えられると、立ち向かえると思っていた。
けれども、それはできなかった。
できなければ、道行く人々と変わらない。
そんなものは、希望ではない。
……でも、これでよかったのかもしれないね。
………だってさ、
狛枝「いてもいなくても変わらないじゃない、彼」
END
-
- 19 : 2014/12/24(水) 23:04:47 :
- すごいですどんどん引き込まれました!!機会があったら他の人のも読みたいです!
-
- 22 : 2014/12/25(木) 12:38:14 :
- 面白かったですっ
左右田……かわい左右田
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- 29 : 2014/12/30(火) 19:51:49 :
- 小泉さんのオカン部分が見れたというのに・・・
-
- 32 : 2016/09/12(月) 07:11:46 :
- 左右田ァァァ…
-
- 33 : 2016/09/16(金) 00:08:10 :
- だいたい狛枝のせい
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