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私と彼女

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  1. 1 : : 2014/11/10(月) 23:02:34

    彼女と私のお話。

    きっともう消えてしまうだろうから、書いていきます。
  2. 2 : : 2014/11/10(月) 23:06:44
    期待
  3. 3 : : 2014/11/10(月) 23:07:25

    私と彼女が出会ったのは私が16歳の時。

    部活を終えた私は、置きっぱなしにしていた忘れ物を取りに教室へ行きました。 

    教室には誰もいないかと思いきや、窓辺に人影が。

    それが彼女でした。
  4. 4 : : 2014/11/10(月) 23:07:58
    期待です
  5. 5 : : 2014/11/10(月) 23:14:04

    夕日に照らされた彼女がヤケに神秘的に見えた事は忘れられません。

    彼女は私に気がついたようで、こちらに振り向きニコリと柔らかく笑いました。


    その笑顔に少し動揺してしまい、そそくさと忘れ物を取り逃げ帰りました。彼女には悪い事をしたなぁと思いつつも、見知らぬ人だったので仕方ないか、と私は帰路につきました。
  6. 6 : : 2014/11/10(月) 23:22:48
    >>2>>4
    ありがとうございます。拙い文章ですが頑張ります。

    次の日は部活が休みだったので早く帰りました。

    学校の都合でしたので、全ての部活が休みでした。勿論、教室もすぐに閉められました。

    明日また教室に行けば彼女と会えるかな?と淡い気持ちを抱いていた私にとっては少し残念な気分でした。

  7. 7 : : 2014/11/10(月) 23:40:57

    何故もう一度彼女に会いたいと思ったのかは分かりませんが、多分好奇心からだったのだと思います。

    午後5時頃、私は遊んでいた友達と別れ川沿い(ごくせんに出てくるようなあの川沿い?土手?)を歩いていました。

    桜がとても綺麗な時期で、川には桜の花びらと桜が写し出されていて夕日のオレンジ色と混ざってそれはなんとも例えがたい素晴らしい景色でした。

    そんな景色をボーッと見ていると川のすぐ近くに見覚えのある後ろ姿。
  8. 8 : : 2014/11/10(月) 23:50:10


    彼女でした。

    見覚えのある腰まで伸びた真っ黒な髪の毛と私の学校の制服。

    私の学校はやさぐれた人が多く、黒髪の毛の方が少ない為、彼女程の長さでの髪の毛はとても印象的でした。


    暗くなってきて誰もいないこの場所で何をしてるのだろう?と疑問に思い、見る事にしました。

    彼女は空を見上げると、すぐに目を川へもどし、足を川へと踏み入れました。

  9. 9 : : 2014/11/11(火) 00:05:43

    いきなりの行動に目を疑いました。

    浅い川ならともかく、その川はかなり大きい川で水深もかなりあり、入る行為自体危なかったからです。

    といっても、彼女が踏み入れた所はまだ浅い所でしたのでさほど焦る必要は無かったのでしょうが、その時私の目には彼女が自殺行為をしようとしてるように見えました。


    そして思わず彼女へ駆け寄り「危ないよ!!」と声を掛けました。

    彼女はこちらを見ると、何かを悟ったようで、「大丈夫だよ」と柔らかに笑いました。



  10. 10 : : 2014/11/11(火) 07:25:57

    彼女は川に目をもどし、「花びらを掬おうとしてたの」と言いました。

    何のために?と聞くと彼女は気分。と答えました。

    気分で危ない橋を渡ろうとするのか・・・と溜め息が出ました。

    彼女はそれを見透かした様に「びっくりさせちゃってごめんね」と、謝ってきました。


    彼女に会うのはまだ二回目だと言うのに、私は彼女に言い知れぬ懐かしさを感じました。


    その日からです。彼女と私の不思議な日々が始まったのは。
  11. 11 : : 2014/11/11(火) 07:32:13

    川で会ったその後はたわいもない話をしました。本当にささやかな事です。

    どこに住んでるのとか携帯持ってるのとか。

    一方的に私が質問したりしてるだけなのですが、彼女はうんうんと相槌を必ず打ってくれました。

    積極的じゃないはずの私が何故あんなに喋れたのかは分かりません。


    彼女はとても知的で博識でした。
    学校では習わないような専門的な知識に長けていました。学校で必ず習う知識は曖昧だったようですけれど。

    そんな彼女はかなりの変わり者でした。
  12. 12 : : 2014/11/11(火) 07:37:29

    好奇心。彼女がこんなにも博識なのはこの好奇心からなんだろうな、と分かる程に彼女は何事に対しても全てを知ろうとする姿勢を持っていました。

    私達が忘れてしまった気持ちを写し出すように彼女はいつも無邪気に私に質問を投げかけてきました。
    私も雑学は元から好きなので、どんな質問も来い来い!と最初は余裕綽々で構えていましたが、彼女の質問はハチャメチャなモノばかりでした。

  13. 13 : : 2014/11/11(火) 07:51:47

    何故空は青いの?とかならまだネットで調べれるでしょうから、楽なのでしょうけど彼女の話はそれ以上・・・いえ、規格外でした。

    「善悪の定義は?」「言葉ってなに?」「猫はなんであんなにしなやかで美しいの?」「心ってどこなの?」「私達は何のために生まれて、こんなに愚かになったの?」

    そういう質問ばかりでした。

    分かりようのない質問に「知らないよ」と言うと彼女は決まって「君の答えが知りたいんだ」と大きな瞳で見つめてきました。

    彼女は私の事を君と呼びました。何度も名前で呼んでと言ったのですが彼女は毎回嫌だと頑なに拒否しました。


    普通こんな面倒くさい子とは関わらないようにしてるのですが、何故か私から彼女に行ってしまうのです。

    彼女に会うのは決まって土手?です。
    彼女はずっと学校を休んでいました。

    よく留年とか退学にならないねと言うと、彼女は学校は忘れてしまったんだろうね。と言いました。

    彼女にどういう意味?と聞くと、君も時期わかるよ、と、笑ってはぐらかされました。
  14. 14 : : 2014/11/11(火) 07:56:46

    たまに土手以外の場所へも行きました。

    山とか公園とか私の家とか。

    どんな場所だって、彼女と話していると楽しくて時間を忘れました。

    彼女は携帯を持っていませんでしたから、遊ぶのは会った時から用事がある時間まで。
    すぐにおわってしまう時間に嫌気が指すほどに。
  15. 15 : : 2014/11/11(火) 17:25:35

    時間が立つのはとても早いもので、出会ってからいくつか立ち、季節は夏へ。

    私達は3日間の旅に出ました。小さい頃から貯金していたお金と親から借りたお金でいきました。


    1日目は海。

    電車に揺られて何時間かそこらでつきました。田舎生まれだった私は海を見て小学生の様にはしゃぎました。彼女もそれに合わせるかのように、はしゃぎました。

    持参した防水カメラで海の中の写真を撮ったり、彼女を撮ったり、フランクフルトを2人で食べる姿を撮ったり。

    まだ白いほうだった私の肌は真っ黒に焼けました。彼女は何故か白いままでした。

    特に気にも止めず、私達は海の宿でご飯を食べ、眠りにつきました。
  16. 16 : : 2014/11/11(火) 17:40:37

    二日目は海からまた離れた都会へ。

    かなり距離があり、朝9時に出たと言うのについた頃には昼の12時になっていました。

    かなりボロくて安い場所ですが、ホテルの予約はしてあったので、ホテルに鞄を置きブラブラする事にしました。

    色んな服屋さんがありましたがなるべくお金を使わないようにしていたため 買わずに見てまわりました。

    ふと立ち寄った香水や指輪やネックレスが置いてあるお店で、思い出の品としてお揃いのネックレスを買いました。
    私はそれ以外何も買いませんでしたが、彼女はお土産!と言ってなにかを買っていました。

    そして私達はホテルへ帰りご飯を食べてぐーすか眠りました。

  17. 17 : : 2014/11/11(火) 17:50:33

    3日間の朝、私達は朝早く起きて某ネズミランドへ行きました。
     
    やはり人が沢山いて、並ぶときの熱気が凄かったのを覚えています。

    ネズミ耳をつけ、じぇっとこーすたーやゆっくり走る乗り物にも乗りました。

    昼からは水のパレードがあり、持ってきた服に着替えて私達も参加しました。

    その日は2人ずぶ濡れになったのが印象的でした。


    その日で帰える予定でしたから午後5時すぎ位には帰りました。

    長旅でしたから彼女と私はフラフラになりながら帰りました。

    別れざま、彼女は「ありがとね」と私に言って笑いました。

    どういう意味か分からずに私もありがとう、と笑って返しました。


    次の日から彼女は消えました。
  18. 18 : : 2014/11/11(火) 17:54:05

    土手に行っても、毎日座っていたベンチにも、大きな木の下にも、初めて出会った土手にもいませんでした。


    その事をあざ笑うかのように、物も消えました。
  19. 19 : : 2014/11/11(火) 17:59:56

    2人で撮った写真も、防水カメラも、パレードで買った水鉄砲も、お揃いで買ったネックレスも次々に消えました。


    そして、彼女の名前まで。

    私はどうしても思い出せません。彼女の顔と髪の毛以外の特徴を。

    記憶は風化するものですからそれが普通なのでしょうけど、私にとって彼女は大切な存在でしたから名前まで忘れる訳がありません。


    全て変わってしまいました。 
    彼女とすごした日々は他の親しい人へと変わりました。一緒にすごした筈のない記憶を他の人が持っていました。

  20. 20 : : 2014/11/11(火) 18:01:21

    私も忘れていたのです。彼女の事を。

    数ヶ月前まで。

  21. 21 : : 2014/11/11(火) 18:05:06

    数ヶ月前、私に小包が届きました。送り主の名前は見覚えのないものでした。

    中身は香水でした。キャップは緑で可愛らしいピンクの香水でした。
    桜の香りらしくとてもいい匂いがします。

    それと一緒に手紙が入っていました。
  22. 22 : : 2014/11/11(火) 18:10:42

    手紙の内容はこうです。

    「輝ちゃんへ。
    お元気ですか?

    私が誰だか覚えていますか?

    きっと忘れてしまっているのでしょうね。
    おてんばな輝ちゃんの事です、忘れていても仕方ないでしょう。許します。

    あの日消えてしまってごめんね。でもあれはスタートだから仕方なかったの(笑)

    この香水は2人で行ったお店で買いました。いい香りでしょう?

    それが目印になるから、拓けてく道の目印になるから、大切に持っていてね。

    ありがとう。


    桜より」

  23. 23 : : 2014/11/11(火) 18:14:33

    その手紙を読んだ時は涙が止まりませんでした。
    何故かは分かりませんが、懐かしさが心からこみあがってきたのです。

    そして記憶が戻ってきました。
    人とは不思議なものです。なにかのきっかけで何か大切なものを思い出す。

  24. 24 : : 2014/11/11(火) 18:17:17

    私は今怖くて溜まりません。

    やっと戻ってきた記憶が、彼女と同じように消えてしまわないかが。


    だから今回、こうしてスレ立てをしてある限りの記憶書き込ませていただきました。

    忘れても思い出せるように、記憶の鍵をここに置いていきます。

  25. 25 : : 2014/11/11(火) 18:22:45


    私は今26歳ですが、めでたく妊娠しました。

    桜・・・いえ、彼女がくれた香水によって今の夫と結ばれました。

    詳細は恥ずかしくて話せませんが(笑)


    香水によって結ばれ産まれたこの子が、彼女のような気がして溜まりません。

    産まれてきたら彼女のような子になるように桜、と名づける事にしました。

    まだ妊娠1ヶ月で産まれるには程遠いですがね(笑)

  26. 26 : : 2014/11/11(火) 18:25:06

    最後に、ここまで読んでくれた人達に感謝です。

    実際観てる人がいるのか分かりませんが(笑)

    でも一応閲覧ありがとうございました、とだけ言っておきます。


    質問があるなら受け付けます。

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華桜

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