惹かれ惹かれ
-
- 1 : 2014/11/09(日) 13:41:57 :
- お久しぶりです、スー君です。
もしかしたら、初めましてかも・・・。
息抜きの短編です。アニエレ(?)です。
作者否定したから、とかそう言うメタ発言はお控えください。
多少シリアスかも知れないです。
アニのキャラが多少違うかも・・・・・・
独白調の作品です。
では!
-
- 2 : 2014/11/09(日) 13:49:39 :
- 名前、アニ・レオンハート。
特徴、巨人になれる。
だから何だ?
そう訊かれると、何も答えられない。
巨人になれるから、何だというのだろうか?
巨人になっても耐えられるように、確かに強くなりはした、かも知れない。
で、得られた物は? 私にとってのメリットは? デメリットは?
そもそも、巨人になれる意味って?
他の大人は、難しいことを言っていた。
だけど、その意味さえもわからない。
私に、この能力はいらない。欲しくもなかった。
でも、巨人になれる以外に、私には何があるのだろう? 父さんが教えてくれた、素舞い?
わからない。
わからない。
わからない。
私は何者だ? 私は人間か?
いくら自問しても、やはりわからないままだった。
私の心は、私の意志は、ドコにあるの?
-
- 3 : 2014/11/09(日) 13:57:59 :
- 1つの方向性を与えてくれたのは、エレン・イェーガーと言う1人の男だった。
巨人を駆逐する、と公言する、危険な男。
早くも確定した、確実な敵。
ライナーとベルトルトは、彼のことをどうとらえているのだろう?
ライナーは情に厚いというか、人間よりの性格だから、もしかするとエレンに同調してしまうかも知れない。
ベルトルトは・・・・・・心配するだけ無駄か。
彼は、心を殺す術を知っている。
私は、あまり関わることもないから良いか。
・・・・・・そう思っていた。
「もし良かったら、教えてやろうか?」
だったか? 何を口走ってしまったのだろうか?
少し、私の特技を認めてもらったからと言って、あれは踏み込みすぎたのかも知れない。
反省しなければ。
でも、悪い気はしなかった。
ほめられるのが嬉しいなんて、何年ぶりの感覚だろうか?
-
- 4 : 2014/11/09(日) 14:11:03 :
- 意志の強い奴は、嫌いじゃない。
むしろ好感が持てる。
目標が何であれ、強い意志の持ち主は、その人間性がぶれることは、ほとんど無い。
エレン・イェーガー。
あの男もその1人だ。
訓練兵団に入ってから、1年が過ぎた。
私と彼の実力は、ほぼ互角。
いや、まだ私の方がやや上回っている。辛うじて、だが。
経験の差は偉大だ。
だけど、それすらも、強い意志の前ではやはり劣勢だ。
意志あるところに路は拓ける。
あの男は、拓かれるのを待つこともせず自分で、無理矢理こじ開けていっている。
・・・・・・なんて素敵なんだろう。
なんて強かで、なんて盲目さなんだろう。
私には技術的な強さがある。
使命という名の、それらしい意志の後ろ盾もある。
でも、全部他人に用意されたものだ。
自分で望んで手にした物など、何もない。
・・・・・・素舞いは・・・もしかすると、私の意志かも知れない。
私の物って、凄く少ないらしい。
エレン・イェーガー。
私は、あの男の強さが羨ましい。
-
- 5 : 2014/11/09(日) 14:18:05 :
- あぁ、疲れた~_(_^_)_
少し休みます。
コメントとくれると、凄く嬉しいっす!
(つまり、コメント下さいってことですw)
-
- 6 : 2014/11/09(日) 20:17:52 :
- あれ、悲しい(T-T)
まぁ、良いかっ!
続き投稿していきます。
-
- 7 : 2014/11/09(日) 20:26:10 :
- 私にとって、使命は、私の存在を保証するものであり、私を確立するものだ。
使命がなければ、私は私でいられない。
私がこの世界で生き続けるために、私はこの与えられた使命を全うしなければならない。
そう、与えられた。
私の目的は、他人から与えられた。
自分で考えた末に手にしたものではない。
なんて無力なんだろう。
なんて、弱いんだろう。
私には、本当の意味で自分の意志がない。
何がしたいのかわからない。
何をするべきなのかも、見当が付かない。
他人に与えられすぎたせいか、私は自分1人では何も考えられないし、手にも入れられない。
まるで操り人形だ。
でも、こうやって考えることはできる。人形は、まず考えることすらできない。そう考えると、私は相当タチが悪い。
人形じゃないのに、限りなく人形に近づかされた人間もどき。
人間もどきが求める物は何か?
人間もどきが夢見る物は何か?
それは。
人間になることだ。
-
- 8 : 2014/11/09(日) 20:31:18 :
- でも、どうやって?
わからない。
でも、人間になりたい。
強くなりたい。
どうしたらいいの?
いや、待って。
私は、人間になってはいけない。
どうして?
私は人間じゃないから。
自己矛盾。
悩む。
悩む。
悩む。
どうしたらいいの?
誰か、教えてよ。
お願いだから。
-
- 9 : 2014/11/09(日) 20:36:30 :
- あぁ、エレン、貴方に憧れる。
意志の強い男。
全てを自分の意志でもぎ取っていける、たくましい男。
私も、貴方みたいになりたい。
でも、なれない。
理由は分かり切っている。
私は、貴方と、貴方達の敵。
敵に憧れてはいけない。
でも、やっはり、私は強くなりたい。
私の意志を持ちたい。
私の物を持ちたい。
私の手で、勝ち取る力が欲しい。
どうしたらいいの?
どうやればいいの?
・・・・・・そうだ。
エレン、彼を見続けよう。
彼に感化されない程度に、彼に近づこう。
そうしたら、何かわかるかも知れない。
そう考えたのは、兵団に入ってから2年目の秋頃だった。
-
- 10 : 2014/11/09(日) 20:49:03 :
- そう考えるようになってから、エレンを見続けている。
できるだけ関わるようにもしている。
主に、対人格闘のときとか。
彼を見続けてわかったこと。
彼の行動力、その根元は私たち巨人に対する、盲目的な復讐心。そして、壁の外へ行くという、途方もない夢。
彼の強さの根元は、そこにあった。
なるほど、私が強くなれないわけだ。
技術はある。
だが、あるだけであって、それだけだ。
だが、彼は違う。
そこにある技術を、自分の物にしていっている。
その違いは何か?
強くなるための意志だ。
私には、それがかけていた。
向上心がまるでない。
技術は、あるだけではただ、そこにおいてあるか偶然手にしているだけの道具だ。だが、技術は自分の肉体に取り込める。
そうして、初めて技術はその真価を示す。
運良く、私には素舞いが、それにあたる。
でも、彼はどうだ?
対人格闘も、立体機動も、対巨人戦闘術も、全部、朧気ながら自分の物にしていっている。
私では、とうていかなわない。
私も、追いつきたい。
彼のように、強くなりたい。
!
強くなりたい。
強く。
強く。
私の目標が見つかった。
強くなろう。
今よりも。
-
- 11 : 2014/11/09(日) 20:51:45 :
- 明日学校なんで、ここらヘんで寝ます。
お休みっ!
て言うか、皆読んでくれてる?
-
- 12 : 2014/11/09(日) 22:04:01 :
- お休みなさい。
読んでますよ\(´ω` )/
-
- 13 : 2014/11/10(月) 00:29:40 :
- 読んでますよー!!期待です!!!!
-
- 14 : 2014/11/10(月) 19:54:03 :
- そして、避けられない物にぶち当たってしまった。
世の中には、限界という物がある。
それは、例えば自分の肉体の最大スペックに至った時。
例えばその身に消えないハンデを負った時。
そして、例えば、性差。
どうしようもない壁が、確かにある。
私の場合、性差と、恐らく身体の最大スペックが見えたこと。
私は、兵団内でも上位成績者になっている。
恐らく、エレンと互角。
確実に、ミカサという女やライナー、ベルトルトには引けを取っている。
もっと、強くなりたい。
この壁をどうにかしたい。
どうすればいい?
考えろ。
考えろ。
考えろ。
・・・・・・わからない。
でも、どうにかしなければならない。
私が、この壁を越えるには。
エレンなら知っているかも知れない。
だけど、その一線は越えてはならない。
私と、彼の距離は、常にやや親しい仲間でなければならない。
じゃないと、使命に差し支えてしまう、可能性、がある。
でも、強くはなりたい。
私は、エレン、貴方の強さに近付きたい。
どうしても。
どうしても。
どうしても。
人間になれないのなら、せめて人間であるエレン、貴方の強さにだけでも近付きたいの。
それが、私の、今の生き甲斐。
私が手にした、生きる目的。
私は、どうしたらいい?
私の心は、ここから進めない。
-
- 15 : 2014/11/10(月) 20:10:37 :
- ある晩、夢を見た。
血に塗れた両手、焼けるように熱い体、ぼやける五感。
そして、破壊衝動。
あぁ、私は巨人になっている時の夢を見ていたのか。
慌てて飛び起きた割に、随分と冷めた思考回路で、そう考える。
全く、気分が悪い。
そう言えば、あの夢の内容は、私の経験のフラッシュバックじゃなかった。
私は、まだ人を殺めたことはない。
運が良い。
あの2人は既に、多くの人を殺めた。
後悔もしていた。
でも、心が壊れていない。
いや、ライナーは結構危ないかも知れない。
私だけは、まだそれをしていない。
多分、私は、怖いのだ。
自分で、自分の手で人を殺す、その瞬間が来るのを。ただ、怖がっているのだ。
本当に、気分が悪い。
まるで、知らない誰かに、体中をまさぐられているかのような、不快とも言うべき、感覚。
そうだ、この部屋をこっそり出て、外に出てみよう。
星が見たい。
何故か、無性に星空が見たくて、見たくて、たまらない。
この苦しさを、気持ち悪さを、早く流したい。
星なら、そうしてくれるかも知れない。
-
- 16 : 2014/11/10(月) 20:42:18 :
- 外に出ると、少しばかり寒かった。
そう言えば、もう冬が近かったな。
パジャマの上に、パーカーだけと言うのはいささかキツい。
でも、今夜は良く星が見える。
今まで、何度か部屋を抜け出してこうして夜空を見上げたことはあったけど、今日ほど綺麗に見えた日はなかった。
もう少し見ていたい。
そう思った時だった。
彼の姿を見つけた。
エレン。
彼の目は、強くいびつな光を伴って、星空の、恐らく最も暗い部分をずっと睨みつけていた。
その瞳を見た瞬間、綿の鼓動が少し跳ねた。
苦しい。
でも、苦痛ではない。
何と言うのだろう、これは。
・・・・・・甘い苦しさ?
わからない。
でも、心地よさは感じた。
寒くない。
私は、彼の近くへと歩み寄った。
「・・・眠れないの?」
一番無難な言葉を探り出して、口にする。
すると、彼はギョッとしたような顔をしてこちらに視線を素早く移した。
相手も、私だと認識した瞬間、警戒を解いた。
甘いわね。
まぁ、今はそんなことどうでも良いか。
「お、お前こそ。何でこんな時間に、こんな所で」
「・・・少し、気分の悪い夢を見てね」
「・・・・・・そうか」
大抵、さっきみたいな返し方をしたら、男でも女でも掘り下げたがるのに、この男はそれをしない。
有り難いと言えば、有り難い。
必要以上に訊きたがる人間も、私は苦手だ。
私自身、話すのが苦手だから。
「・・・例えば」
私は唐突に切り出した。
「何だよ?」
「・・・今、貴方の隣にいる女が、将来、近い将来。貴方の敵になるとして、エレン、アンタは私をどうする?」
「だから何だよ? 訳分かんねぇこと訊くな」
「・・・私が見た夢が、そんな内容だったのよ。人を殺しまくって悦んでるような、猟奇的な夢」
「・・・・・・分かんねぇよ」
「・・・アンタ、優しいのね」
「殺すのは巨人だけで充分なんだよ。人なんて、殺したくもねぇ」
そう言ったきり、彼は黙ってしまった。
私は、彼の隣、とはいっても人1人分の距離を開けてだが、そこに座り込んだ。
それからどれくらい過ぎたのだろうか?
月の位置が変わったとわかるくらいに移動した頃、彼が無言で立ち上がった。
「・・・もう戻るのかい?」
「あぁ」
「・・・お休みなさい」
「お休み」
彼が、黙って、少し大きくなった背中をこちらに向けて、去っていく。
待って。
私は、無意識にそう感じた。
そして、動揺する。
自分の動揺を抑えようとしていると、彼が不意に足を止めて、こちらを振り返った。
「アニ」
「・・・何?」
いぶかしむような声で返してしまう。
彼は、そこには気にせずに、少し考え込むようにうつむいて、また顔を上げた。
「お前は、人を殺したりしねぇよ。でも、もしそんな時が来るとしたら、俺がお前を殺してでもそれを止めさせてやる」
真面目な、そして、さっきよりもずっと純粋な光を宿した強い眼で私を見ながら、彼はそう言った。
本当に、貴方は強いんだね。
私は、クスリと笑って、こう返した。
「あぁ、じゃあ、そのときはよろしく殺して。アンタに殺されるなら、文句ないし」
すると、
「バカ言ってんじゃねぇよ! じゃあまた明日な。風邪引くなよっ!」
と、ぶっきらぼうな口調でそうまくし立てて、今度こそ寮に戻っていった。
1人、取り残された、私。
でも、悪い気はしない。
気分がいい。
今なら、今の私なら、もっと強くなれるかも知れない。
私は、少し雲がかってきた星空を眺めた。
-
- 17 : 2014/11/10(月) 20:44:35 :
- 少し休憩入れまーす
コメントお願い!
-
- 18 : 2014/11/11(火) 00:06:34 :
- 今日は、曇り。
でも、曇天というよりかは、青空に真っ白な分厚い雲がかかったような感じ。
日差しは暖かく、吹く風は冷たい。
今日の教練内容。
午前、対人格闘教練、馬術教練、立体機動教練。昼休みを挟んで、午後からは集団対巨人戦闘教練、装備点検、座学、5㎞集団走。
普段と変わらない、それなりにキツいメニューだ。
そして、今日は何だか、そのメニューが苦痛でない。
珍しく、ワクワクしている。
今日なら、エレンに近付けるかも知れない。
強くなれる予感がする。
なぜだか分からないけど、私の直感がそう言っているのだ。
そして、対人格闘教練が始まった。
相手は、もちろんエレンだ。
「・・・今日は少し調子がいいみたいなんだ」
ぼそりと、嬉しげに呟く。
久方ぶりの、胸の高鳴り。
身体の感覚が、全て自分の支配下に降りてきている、その快感。
最高だ。
対峙するエレンは、どうにも私の事情が理解できていないみたいだ。
まぁ、理解されるようなことでもないし、いい。
エレンが、使い古した木製の短刀を順手で構えた。
「ん? そうなのか? まぁ、いい。それじゃ・・・行くぞっ」
鍛え抜かれ、洗練された肉体が織りなす、ネコ科動物のような、攻撃的な間合いの詰め方。
自分より小柄な相手の懐に潜り込むために手に入れた、身体の柔軟性と鞭のようなしなり。
その、全てが冷静に、認識、判断、そして対処ができる。
「・・・シッ、ハッ!」
這うような体勢から繰り出す上段への突き上げを、手刀で打ち落としつつ牽制とし、そしてカウンターの膝蹴りを打ち込む。
手応え、薄い。
「・・・早くなったわね」
「痛いのは嫌いなんだよ」
最近まで忘れていた、余裕のある会話。
相手の目を見て、先を読むという術。
1秒を、可能な限り切り刻む。
認識、対処の選択肢を生む。
エレンが、砂利を蹴り上げ眼眩ましを仕掛け、比較的隙の大きい左下段に身体を滑り込ませる。
差し込んだ右前足に体重を乗せ、引いてくる左足と共に私のわき腹に刺突を狙う。
だが、そこは小柄な私にとっては足技の範囲。
彼の手首を蹴り上げて、いなす。ナイフが手から落ちる。その隙を逃さず、腕をとり関節を極めつつ体制が崩れたところで、一気に投げる。
腕ひしぎ。
まだ暴れる元気があるみたいだから、もう少しキツく入れる。
「いってぇ! 参った!」
やった!
極まった!
「ごめん、少し強くやりすぎた」
「いや、別にいいんだけどさ。それより、アニ。今日は、やけに動きがいいよな」
右肘をさすりながら、エレンがそう言った。
「言ったでしょ、今日は調子がいいって」
「なるほどな」
今まで、互角か、やや防戦の傾向があったのが、今日は勝てた。
私は、昨日の私を越えられた。
強くなれた。
嬉しい。
凄く。
「何笑ってんだ?」
不思議そうな声で、エレンが訪ねた。
笑っていたのには、全く気が付いていなかった。そうか、笑ってしまうほどに嬉しかったみたいだ。
「いや、何でもないよ。ほら、次は私が襲う番だね」
足下にはたき落とした木製のナイフを取り、逆手に構える。
今日は、コッチでもコイツに勝てそうだ。
-
- 19 : 2014/11/11(火) 00:08:14 :
- お休みですっ!
読んでくれてる皆、ありがとう!
-
- 20 : 2014/11/11(火) 10:59:28 :
- 期待です。
-
- 21 : 2014/11/11(火) 22:01:34 :
- 人の温みをまだ少し残した、木製の柄。
逆手構えは、振り幅が小さく抑えられ、かつ小回りの利く動きを可能にするから、小柄な私にとっても、一番ハンデが少ない。
ハッキリとわかる、研ぎ澄まされた私の五感。
眼が、冴える。
耳が、冴える。
全てが澄み渡ったかのような、錯覚。
だけど、それは、私にとっては都合の良い状態だといえる。
息を沈め、気配を殺す。
相手の眼を、見逃さない。
・・・・・・今。
素早く踏み込み、エレンの軸足の膝を外側から
蹴り落とす。
引き身をとられるが、さらに追撃の蹴り込み。
まだナイフは使わない。
エレンの反撃、上段面突き。よけつつ、懐に入り込み腹部に膝蹴りを2発叩き込む。
「ぐふぅっ!!」
上体が前傾に折れた。
その隙を逃さず、腕をとり拘束術の要領で背中へ回してねじり上げる。重心がぶれた瞬間、さらに自分の身体と一緒に巻き込み、組み伏せる。
腎臓部にナイフをあてがい、2回つつく。
「・・・参った、さっきので死んだ」
私の下から、エレンの降参の声が聞こえた。
私は、拘束を解いて立ち上がり、まだ地面に座り込んでいるエレンに手を差し伸べた。
「・・・私の勝ち、ね?」
「・・・おう、サンキュな」
少年と言うには似つかわしくない、節くれ立ったたくましい手が、私の手を握る。
久々に、この男から勝利をもぎ取った。
嬉しい、凄く。
「・・・・・・」
エレンが、意外な物を見るような眼で私を見つめている。
何だろう?
訊いてみる。
「・・・何?」
「・・・そんな風に笑ってたら、お前も女の子らしく見えるのにな」
なっ・・・!
笑ってた!? お、女の子らしい!?
激しく、動揺。
動揺のあまり、エレンの腕をとり肘を極つつ、足を蹴り払ってしまった。
無惨な姿のエレンが、私のすぐ横にできあがった。
-
- 22 : 2014/11/11(火) 22:24:23 :
- 読んで下さっている皆様、ありがとうございます。凄く嬉しいです。
明日早いんで、すみませんが、ここらヘんで失礼しますm(_ _)m
では、また明日~
-
- 23 : 2014/11/15(土) 00:00:02 :
- 体調崩しました
少しばかり休ませていただきます。
ご迷惑おかけします
-
- 24 : 2014/11/16(日) 22:22:43 :
- 大丈夫ですか?
ゆっくり休んでください。
-
- 25 : 2014/11/28(金) 22:29:28 :
- 最近はインフル流行ってるんで、気をつけてくださいね^ ^
期待ですd(^_^o)
-
- 26 : 2015/01/02(金) 06:37:24 :
今まで、私が女であることを殊に自覚したことは、ほとんど無い。
ほとんどと自分で言うだけあって、そういった機会も無かった訳ではない。
ただそれは、胸が大きくなり始めた頃や、初めて生理を経験した時くらいか?
自分で思い出しておいて何だが・・・・・・やけに生々しい。
そういった面で、自覚してはいた。
だが。
初めて、身体面以外でそれを自覚する機会が訪れた。
唐突に。
斜め後ろから。
『・・・そんな風に笑ってたら、お前も女の子らしく見えるのにな』
エレンの、恐らく考え無しの一言。
だけど、それが私の心に深く突き刺さった。
何かが壊れた。何かが芽生えた。
芽生えた物は、恐らく恋。
私の女としての側面が、あの男を、エレンを認めた。
欲しいとすら思っている。
あの一言を思い出す度に、心臓が締め上げられるような感覚に襲われる。
だけど、それは甘い苦しみ。
苦しいのだけれど、不快ではない。
方向性は全く違うが、単なる疲労と運動後の疲労感の違いだろうか?
うまく言えない。
もどかしい。
けど、今の私の、この感情は本物だ。
認めよう。
私は、エレンが好きだ。
-
- 27 : 2015/01/02(金) 06:40:33 :
- イングランドより、年越し一発目の投稿ですw
去年は、インフル煩ってしばらくなりを潜めてて、潜め続けたせいでぐだってしまいました。
ゴメンナサイm(_ _)m
では、今年もよろしくお願いします!!
では!
-
- 28 : 2015/01/02(金) 08:42:49 :
- アニの心情は複雑ですごく書きにくいとおもいますが、スー君さん(呼び名はこれでいいですかね?)はとても丁寧に書いていて、すごいと思いました。
アニの恋心と使命の残酷さの矛盾がどう発展していくのか楽しみです。
期待しています!
-
- 29 : 2015/01/07(水) 03:57:52 :
- 片思いを始めてしまうと、どうしても避けられない考えが出てくる。
“アイツは私のことをどう思っているんだろう?”
恋愛経験がない私でも、この考えに至ってしまうあたり、本当に恋をしてしまったのだな、と感慨深くなってみたり、複雑な気分になってしまったり。
理性では分かっているのだ。
戦士として、越えてはならない一線を、その真上を踏みつけているのだ、と言うことは。
だが、私の想いの方が、理性を上回り気味なのだ。
それは、私がどう足掻いてもいかんともしがたきもので。
だから、やはり同じ疑問と葛藤のループにはまりこんでしまう。
ライナーやベルトルトには相談できない。
・・・いや、ライナーならいけるかも知れない。
だが、それはしない。
こんな状態になっていてなお、私は戦士として最低限の絆を感じている。
全く、都合の良い思考回路だ。
嫌気がさす。
守るべき大前提を破っているくせに、仲間を裏切っているくせに、それでも私は皆の仲間のつもりなのだ。
・・・・・・自己嫌悪。
エレン・・・・・・私はあなたが好き。
あなたはどうなの? 少なくとも、女の子として認識してくれてる?
-
- 30 : 2015/01/07(水) 04:00:51 :
- >>28さん、ありがとう御座います!
スー君でも、スー君さんでも構いませんよ!
ご期待に応えられるように頑張ります。
応援よろです!
-
- 31 : 2015/01/10(土) 17:33:58 :
- 今日は雨だ。
ポツポツ、ポツポツ。
兵舎の中からだと、近くの水たまりを注視しないと分からないくらいに、弱い雨。
きっと、外にでてみると、むしろ不快になるくらいの微妙な加減の雨だろう。
かと言って、兵舎の中が快適かと言えば、そうでもない。
湿度は高いし、地味に暑いし。
あと、少しかび臭い。
104期分の人間を育ててきただけはあって、建物の方にも相当年季が入っているのだろう。
窓際にある私のベッドの上で、窓の外の景色をぼんやりと眺める。
雨の日は嫌いだ。
憂鬱になるし、何のかんので髪の毛がバサバサになる。
今日が休日でよかった。
もし今日が、通常業務の日だったら、私はきっと髪の毛の手入れで、悪戦苦闘していただろう。
今でこそ、髪の毛を下ろしているが、結い上げるとなるとやはり面倒くさいのだ。
特に、最近は髪の手入れは念入りにしている。
肌の手入れも、欠かさなくなった。
・・・・・・女々しくなったものだ。
今までほとんど気にかけていなかったのに、心一つでこんなにも変わるとは。
私の悶々とした気分と、今の雨。
まるで・・・・・・
・・・・・・女々しくなったどころか、センチメンタリズムまで目覚めたか?
-
- 32 : 2015/01/13(火) 14:29:33 :
- こんにちは!
自動車学校通い出して、
時間がとりにくくなりました故、
更新が今まで以上に
カタツムリになりそうです(泣)
大変申し訳ありませんm(_ _)m
時間があるときに投稿していきます。
それでは。
-
- 33 : 2015/01/16(金) 07:40:47 :
- それこそ、ボーッとしながら外を眺め続けていたら。
訓練用グランドの端の方に、“何か”があることに気付いた。
目を細めて、その“何か”を注視する。
距離は、およそ200m。
雨の、と言うより湿度のせいだが、それのせいで正確な距離は測れない。
何だろう、アレは。
それは、一本の木下にいる。黒くて、小さい。
さらに、注意深く、それを観察する。
「・・・・・・?」
そして、それがいきなり小さく揺れた。
まるで、くしゃみでもするかのように。
あ!
私は唐突に、それの正体を悟った。
「・・・・・・子猫だ」
それと気付いた瞬間、私の体は勝手に起きあがり部屋の外へ足を運んでいた。
-
- 34 : 2015/01/16(金) 19:27:03 :
- 外は、意外とぬるかった。
そう言えば、冬とか寒い時期の雨の日って、たいがいぬるいものだと聞いたことがある。
聞いたときは、よく分からなかったが、いざ体験してみると、なるほどだ。
食堂へと続く渡り廊下に出て、子猫らしき物がいた方向を見る。
目印は、あの木だ。
・・・・・・いた。
黒くて、小さい。
部屋よりも離れたところから見ているから、なお小さく見える。
訓練用ではない、簡素な編み上げ靴のまま、私はグランドに足を踏み入れた。
いきなりぬかるみを踏んで、足を取られそうになる。
が、気合いで踏ん張る。
やはり、少しイラッとくる加減の雨だ。
パーカーのフードを深めにかぶり、私は子猫のもとへ歩き出した。
-
- 35 : 2015/01/16(金) 20:35:02 :
- それなりに濡れながら歩いて、そして子猫のもとにたどり着いた。
木の根本で小さく、ちょこんと座り込んでいたのは、やはり真っ黒な子猫だった。
「・・・・・・どうしたんだい?」
子猫の横にしゃがみながら、私はそう訊いた。
動物に話しかけるなんて、それこそ少女みたいなマネを私がするとは。
でも、悪い感じはしない。
何というか、少し嬉しい感じと似ている。
子猫が私を見上げる。
「・・・・・・あんた、どうしてこんなところに?」
無意識に手を伸ばして、子猫の頭を優しく撫でる。
毛並みに対して、触り心地は少しペタッとしていた。
本来の毛並みはサラサラなんだろう、と私は推察した。
まるで私の毛質のようだ。
普段ならばサラサラ、湿気た瞬間にバサバサになる。
しばらく撫でていると、腕がむずがゆくなってきた。
「・・・・・・っ」
分かっている。ノミだ。
こんなところにいる猫が、まともに人間に手入れをされているわけがない。
ノミやダニが付いていても、何らおかしくはない。
そして、近付いたときからずっとしていた獣臭さ。
「・・・・・・」
私は、少し考え込んで。
「おいで」
子猫を抱き上げた。
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- 36 : 2015/01/16(金) 23:22:56 :
- ほんと不定期かつ、カタツムリで
申し訳ありませんm(_ _)m
読んでくれてると、凄く嬉しいです。
では、今日はここらヘんで失礼します
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- 37 : 2015/01/17(土) 09:35:28 :
- 子猫を抱いたまま、また渡り廊下まで戻ってきた。
抱き上げたは良い。
保護欲を刺激された分も、まぁ仕方ない。
が、その次を考えていなかった。
・・・どうしよう?
混乱に近い思考になりつつある頭で、必死に次の行動を考える。
まず、この子を洗わなきゃいけない。
抱き上げたとき分かったが、この子、かなり汚れている。
それに、ご飯も食べさせなければ。
あまりにも、軽いのだ。しかも、軽いだけにおさまらず、ガリガリで。
腹水がたまっていないのが、まだ救いだ。
けど、何にせよ、このままにしておくとこの子はすぐに死んでしまうだろう。
ノミやダニがついている間はまだ良い。
健康の証みたいなものだ。
だからこそ、今のうちに何とかしなきゃ、と焦り、思考の無限ループにはまりこんでしまう。
まず、リアルタイムで温かいお湯が確保できる場所だ。
となると・・・・・・
!
あそこしかない。
私は、頭の中に思い浮かんだ“その場所”へ足を運んだ。
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- 38 : 2015/01/22(木) 22:59:15 :
- 私が思い浮かべた場所。
それは、厩舎だった。
私は、入り口のすぐ横にある廃棄される予定の毛布に子猫を載せて、奥へ進んだ。
向かう先は、馬の手入れをするときに必ず立ち寄る温水水道。
「・・・・・・お湯は出せる」
専用の水道からお湯が出ることを確認した私は、すぐに私の馬専用の装具セットの中からバケツを引っ張り出してお湯をため始める。
その間に、何か使えそうなもの、例えば石鹸とかを適当に拝借する。
バケツの半分より少し多めにお湯がたまったところで、蛇口の栓を閉める。
そして、子猫のところまで戻り、抱き上げてまたバケツのもとへと歩く。
忙しい。
私は、子猫を脇から抱き上げる形に抱き直して、慎重にバケツの中に入れていく。
しっぽの先が少し水面にかすった瞬間、子猫の身体がピクッと揺れた。
ビックリしたんだろう。
まぁ、馬の手入れ用のお湯の温度なんて、ぬるま湯よりも少しぬるいくらいだ。
それほどの刺激にはならないはずだ。
しっぽの先からさらにお湯につけていき、そして完全にバケツの中に入った。
プルプルと震えながら、子猫がミーと可愛らしく鳴く。
でも、その声は弱々しくて。
私は、微笑むよりも、保護欲に近い感情に駆られる方が先立った。
「ブラシとかないから・・・・・・手洗いになるけれど」
私はそういいながら、子猫の身体全体をお湯で濡らしていく。
そして、人間用の石鹸を手に取り、少しだけ削り取り泡立てる。
その泡ををもって、子猫の身体を洗っていく。
─つもりだった。
「・・・・・・? 泡が消える」
何故だろう、と考えを巡らせる。
あ。
なるほど、そう言うことか。
「・・・こんなになるまで汚れてたんだね」
喉の奥と、眼の奥が熱くなるのを感じながら、私はもう一度石鹸を手に取った。
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- 39 : 2015/01/24(土) 10:48:38 :
- 「・・・・・・まだ少し湿気てる」
洗い終わった子猫を拭き上げながら、そう呟いた。
もう少し撫で・・・・・・拭き上げる。
ちゃんと泡立つまでに、三回くらい洗うことになった。
その回数が、いかに子猫が汚れていたかを、いかに子猫が痩せ細っていたのかを、物語っている。
「・・・・・・ノミは・・・多分落ちたよね」
拭き終わって、頭を軽く撫でる。
毛並みは、やはり予想したとおりサラサラしていた。
眼の色は、まだ子猫だからだろう。はっきりとしない、灰色。
多分、成長したら青色になりそうだ。
そんなことを考えながら、何度も何度も、子猫を撫で回す。
そんなことをしながら、ふと感じることがあった。
何で、この子を放っておけないんだろう?
これだ。
何でだろうか?
何で、放っておけないんだろう?
どうして、気付いた?
分からない。
分からない。
分からない。
私は、いったい、この子に何を見たの?
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