ssnote

x

新規登録する

作品にスターを付けるにはユーザー登録が必要です! 今ならすぐに登録可能!

この作品は執筆を終了しています。

とある精鋭班長の長い一日

    • Good
    • 7

loupe をクリックすると、その人の書き込みとそれに関連した書き込みだけが表示されます。

▼一番下へ

表示を元に戻す

  1. 1 : : 2014/08/31(日) 23:51:51
    ・・はい、お久しぶりです。




    この度雑談掲示板にてカンタさんより
    (現名・カンツォーネ さん)
    頂いたアイデアで一つ話を考えていたの
    ですが、とりあえず話のきっかけまでは
    思いついたので、こうして貼らせて
    頂こうと思いました所存にございます。

    こうして貼っていく事で自堕落な
    途中放棄癖を少しずつ緩和して
    行こうかと思います。


    お話のメインは進撃キャラ中随弐の
    眼鏡っ子!アニメに於いても
    サブに極めて近い準レギュラー勢に
    与しながら、“萌え発砲シーン”

    “人類一綺麗なランニングフォーム”

    “テレビ中最も美しい斬撃”と


    色々な意味で隠れた人気の多い、
    彼のリコ嬢にございます。
    眼鏡に太眉への字口と基本を押さえながら
    髪型もまあ素晴らしいですよね。


    折角アイデア頂けたところ悪いのですが、
    話の内容は至って平凡にございます。


    その上で創作設定非常に多めですので
    そういうの苦手な人って結構多いと
    思いますのでここで前もってお伝え
    しておこうと思います。すみません><;


    時系列はエレンらが未だ卒業する前
    ・・ということになっています。



    注意点


    ・深刻なキャラ崩壊


    ・メタなネタが豊富


    ・一部とてもふざける恐れ


    ・とても読み辛い


    ・原作・アニメ全話分のネタバレ


    ・設定無視
     (これについてはソシャゲなどの
      追加シナリオが怖いのでどうにも
      出来ませんが・・留意ください)


    また、SS NOTEの方針を則りまして、
    今回、 “試験的に” コメント機能の

    オフを行ってみたいと思います。
    何かありましたら、グループの方は
    認証なしでいけるはずなのでそちらに
    どうぞです。
  2. 2 : : 2014/08/31(日) 23:52:14


    彼女の名前はリコ。




    ――リコ・ブレツェンスカ




    駐屯兵団に所属する兵士であり
    一精鋭班を纏め上げる長でもある。



    身長156㎝ 体重52㎏  と
    特に兵士として恵まれた体格であるとも
    言えない彼女が・・如何にして日々を
    過ごし、そして班の長たる勤めを果たして
    居るのか、今日はそれを追っていきたい。





    ―――――――――




    ―早朝―

    ―トロスト区・駐屯兵団活動拠点周辺―


    彼女の一日は自主トレーニングも兼ねた
    ジョギングから始まる。


    リコ「っ・・・っ・・・っ」


    タッ タッ タッ タッ タッ タ


    毎朝軽装で行われる自主走行だが

    立体機動装置装備中でも彼女は
    その整ったフォームを一切崩さない。



    駐屯兵団中、もっとも姿勢の正された
    兵士。そう呼ばれる事も時折ある。




    背格好とは裏腹に非常に凛としたその姿と
    決して曲げない信念は・・・


    彼女の内に秘められた正義感、
    そして人類と壁の防衛に全てを
    賭ける情熱を表している様でもある。



    ピクシス「おお・・こんな早うから
         精が出るな・・・」



    リコ「・・・・!これは・・
       ピクシス司令・・!司令こそ
       この様なお時間からの職務、
       お疲れ様です」ババッ トン


    ピクシス「ほっほ・・相変わらず惚れ惚れ
         するほど整った見事な敬礼
         だのう・・主ほど平時に
         於いて芯まで射ぬかれた様な
         見事な敬礼をする兵士をワシは
         見た事が無い。」トン・・・


    リコ「お戯れを・・私などまだまだです。
       それではお時間を取らせて
       申し訳ありません・・!」ババッ


    タッ タッ タッ・・・・




    ピクシス「(溜息)・・折角の別嬪だと
         言うのに少し堅すぎるのが
         悔やまれるのう・・
         あの容姿なら引く手も数多
         じゃろうに・・」


    アンカ「兵士としては至極理想的と
        言えますが。私は彼女の
        姿勢に共感を覚えます。

        そもそも隊規の観点から見ても
        彼女の多忙さから言っても
        色恋に気を振っている暇など
        無いと思いますが」
        キマジメ

    ピクシス「そういうとこまで主と
         そっくりじゃのう・・・」
         (溜息)


  3. 3 : : 2014/08/31(日) 23:53:39


    ―駐屯兵舎―



    リコ「(走り込みはこれくらいにして
       今日は・・念入りに柔軟と・・
       装備の点検をしておくか・・)」



    その日彼女にはいつもとは違う
    訓練日程が特別に組み込まれていた。


    その名も、“対巨人防衛戦闘訓練”



    模擬戦などといった、張りぼてを使用した
    通常の訓練ではない。“実際の巨人”と
    交戦するれっきとした実戦訓練である。


    とはいえ、当然相応の危険が付きまとう上
    どれ程万全を期していようが死傷者が
    出てもおかしくない訓練内容である為、

    この訓練は志願制である。
    例外として班長クラスの兵士は
    志願の有無を問わず強制参加である。

    理由は明白。当訓練の最重要目的でもある
    “巨人に対する恐怖心の払拭”この
    訓練成果がもっとも必要とされるのが
    指揮系統に従事する者だからである。


    しかし、彼女は班長へと昇格する以前から
    この訓練に自主的な志願で以て欠かさず
    参加しており、参加資格を得てからと
    言うもの、皆勤賞を誇っている


    その上で挙げた戦果も中々に立派な
    ものである。それらは合同訓練であるため
    正式な討伐数、及び補佐数にカウントは
    されないが、数えるなら彼女はその手で
    実に6体近い巨人を討伐している事になる。


    調査兵のベテランに比べてこの数は
    相当少ないようにも見えるが・・


    壁の中に居ながらにして自ら
    巨人との戦闘訓練に臨もうとする
    人間がそもそも稀な現状において、


    この数は決して少ないとは
    言えないのである

  4. 4 : : 2014/08/31(日) 23:57:04



    ―午前8時―


    ―トロスト区開閉扉地点・壁上―


    イアン「それではこれより・・・
        第47回対巨人防衛戦の合同訓練を
        開始するッ・・・・!!!」
        ババッ  ドン

    心臓を捧げよ!!


    リコ「っ・・」ドン!

    ミタビ「っ」ドン!

    ハンネス「っ!」ドン!

    アンカ「・」ドン!

    グスタフ「・」ドン!


    ハンジ「~」ドン



    訓練概要は以下の通り。


    実戦経験豊富な調査兵団の一個分隊の
    随伴のもと、壁上から視察を行い、
    単体で壁際にいる巨人を見つけ次第、

    決められた順番で補佐、討伐の
    役割分担通りに巨人に攻撃を仕掛ける。


    基本的に随伴の調査兵の役割は
    訓練では無い為、あくまでアクシデント
    発生の際のバックアップである。
    今回のサポートにはハンジ分隊長率いる

    第四分隊が抜擢されている







    駐屯兵「おい・・これ前もって
        分隊の子細を確認できる
        書面とか配ってくれるワケに
        いかねえのか・・?」


    駐屯兵「俺も同意見だよ・・こっちは
        命賭けだってのに・・!“あの
        分隊長”が今日の監修だって
        知ってれば今回は出なかった」


    駐屯兵「前回なんか、巨人に脚掴まれて
        口の上まで持ってかれてる
        奴が居るのにあの分隊長、
        おかしなことを叫びながら
        巨人の顔の上で踊ってたって
        話だぜ」


    駐屯兵「俺まだ死にたくねえよ・・・!」





    ざわ・・・ざわ・・・



    ニファ「・・・大盛況ですね・・
        分隊長・・・!(涙)」
        ル―( ;ω;)―


    ハンジ「ん~・・チョイ前回は
        手抜きし過ぎたかな。
        もう少し今回は趣向を凝らして
        ・・・松明でも持って踊るか」



    モブリット「分隊長!あなた訓練の
          意味分かってやってますか!?」






    リコ「・・・・」





    私は彼らと同じような理由ではないが・・

    やはりアイツがどうしても苦手である
  5. 5 : : 2014/08/31(日) 23:59:50


    ハンジ「っお!リッコ~♪さっすが
        皆勤賞!今日も可愛い眼鏡っ子
        だな~!抱っこさせて!」

    ガバッ   ギュゥゥウウ



    リコ「・・・訓練中ですよハンジ分隊長。
       離してください。それとあなたも
       眼鏡です」


    ハンジ「相変わらず堅いなぁ~リコは。
        そんな気を遣って敬語とか
        いいよもう。」
        メガネジンコウ フヤソウゼ!




    リコ「・・(溜息)・・前回の訓練以来だな
       ・・元気か?ハンジ」トン




    ハンジ「おっ、そうそう、やれば出来る子
        さすがリコ。元気だよ!
        ご覧の通りね。」トン




    私とこいつでは身を置く兵団が違うと
    云えども当然階級差も年齢差もある。



    ・・・ただ、見ての通りの物腰と、
    繰り返しの訓練を通して育まれた
    交友関係から、公務の場以外ではこうして
    くだけた口調で話をするのが殆どだ。




    ハンジ「~~」
        ニッコヤカ~




    こいつは常にこんな調子ではあるが
    対巨人戦においては間違いなく
    ベテラン中のベテランであり、



    正式な数こそ知らされていないが、
    間違いなく補佐、討伐を全て合計すれば
    私の仕留めた数のゆうに10倍近い巨人に
    裁きの鉄槌を下しているとさえ
    噂されていて・・・現に調査兵団入団より
    今日に至るまで、正真正銘の地獄である
    壁外から遠征の度に無事生還している



    ハンジ「私の担当はリコと・・・
        そっちの」


    ハンネス「よろしく頼む・・分隊長さん」
         ドン



    ハンジ「アレ、そういや前もいたね!
        こうして自主的に頑張ろうって
        言う人が増えるのは正直
        喜ばしい事だよ!こっちこそ
        宜しく!」




    ハンネス「俺ぁ・・もう二度と巨人を
         前にして腰抜かすなんて事が
         あっちゃあならないんですよ。
         あんな思い・・もう2度と・・
         死んでも・・・!!」ギリッ・・


    リコ「・・・手筈通り、補佐を
       お願いします。ハンネス部隊長。
       私は討伐を行います。」
       ギュッ・・
       (力強い握手) 



    リコ「お互い頑張りましょう」キリッ




    ハンネス「ああ・・!宜しく頼む・・!」
         ギュッ
         (力強い握手)
        



    ハンジ「(本当に真っ直ぐな奴だなぁ・・
        こいつは。少し堅すぎるとこも
        あるけど・・根は結構優しいし)」
  6. 6 : : 2014/09/01(月) 00:01:42



    ハンジ「っし!じゃあ張り切って
        いってみよっか!
        張り切んないと今日が
        命日になっちゃうかも
        しれないからね!さあ
        頑張ろう!!」\コロンビア!/
        ババッ



    モブリット「分隊長!一言余計です!!」









    ―巨人捜索中―



    ハンジ「しかし前から思ってたんだけど
        さ――。リコ」


    リコ「・・何だ?」



    ハンジ「あんた本当は名前なんていうの
        !?名前はいいけど家名の
        表記揺れすっげえんだけど!」
        ブレツェンスカ!?プレツェンスカ!?
        ブレッツェンスカ!?プレッツェンスカ!!?
        プレチェンスカ!?ブレチェンスカ?!!



    リコ「今は最初ので合ってるって
       見解だな!!;あとメタな
       発言はできるだけ控えてくれ!;;」
       ブレツェンスカ!!



    ハンジ「そかそか・・いや、半濁音も
        それはそれで御菓子みたいな
        響きで可愛いかと思ったんだけど
        ・・まあ濁音の方が、お国柄・・
        しっくりくるよな・・・って、
        それは置いといて、本当に
        聞きたかったのはだね・・」




    リコ「??」




    ハンジ「あんた度胸も根性も凄いんだから
        すっごい向いてると思うん
        だけどな、調査兵。実戦となれば
        そりゃあ勝手が違うかも
        しれないけどさ、訓練戦績も
        いいじゃない。心変わり
        とか・・しない?」ネエネエ



    モブリット「ちょっ・・!分隊長!!」
          クウキヨンデ!



    リコ「・・・・・」


    リコは一息ついた後、呆れるでも、
    苛立つでもなく、落ち着いた口調で
    こう返した




    リコ「毎回そう言ってくれるのは
       気持ちとしては有難いんだがな・・
       それは無理な相談だ。私の信念は
       この壁を・・そしてそれに守られる
       人類を守る事だ。」






    ハンジ「・・・」

  7. 7 : : 2014/09/01(月) 00:03:04

    リコ「何も一部の否定的な意見を
       持つ者のように調査兵団を指して
       役立たずの金食い虫だの
       何だの言うつもりは無い。
       お前達はお前たちにしかできない
       やり方で心臓を掲げている。その
       事実に変わりはないんだからな」


    リコ「・・・だがな。
       4年前壁が壊された時もそう。
       アレは全くの偶然だったと思うし、
       そちらを責めるつもりも無い・・
       だが、ウォールマリアが陥落された
       のは調査兵団不在の頃合いだった。
       どんなに腕の立つ兵士がいても
       ・・・それが有事の際に居なければ
       話にならない」



    ハンジ「まあ・・それを言われると
        たしかに痛いかなぁ」
        ポリポリ



    リコ「私がこうしてローゼの紋を
       背負うと決めたのもそうした
       理由からだ。・・・だが正直な
       話を言うなら・・」


    ハンジ「うん?」



    リコ「訓練兵科から卒団する際・・
       調査兵への道を考えた事も
       あったんだ。憲兵は最初から
       眼中に無かったが」



    ハンジ「リコあんた上位組だったの?!」




    リコ「ああ。何せこの体格だからな、
       模擬戦闘試験は血の滲む
       様な自主練もこなしてやっとだった
       ・・それだけでは足りないと
       判断して、座学でも差を付けた。
       ・・その結果これが手放せない
       くらいに目が衰えたけどな」(苦笑)
       チャッ


    ハンジ「似合ってるからそれは
        イイよ。寧ろそれがなきゃ
        リコじゃない。」フン
       

    リコ「基本的に全ての兵団は・・
       いがみ合うとまでは行かないに
       しても・・一枚岩ではない。
       しかしそれでも目的は皆同じ筈だ。
       そして壁の外と・・壁の中心を
       繋ぐ真ん中の組織。それが
       この駐屯兵団であると・・
       私は思っている。」


    ハンジ「成程。リコらしい考え方だね。
        そこまで言われると・・
        是非ともゆくゆくはあんたが
        束ねる駐屯兵団ってのも・・
        見たくなってきたなぁ・・」



    リコ「それまでにお前が巨人の食糧に
       なってなければな(笑)」





    ハンジ「ん。出来うる限り努力しよう!」





    モブリット「分隊長!そこは全力で
          否定して下さいよ!?
          何ですか、
          出来うる限りって!」
  8. 8 : : 2014/09/01(月) 00:05:18







    ハンネス「長話のとこ悪いがリコ班長!
         ・・それに分隊長!!
         ・・・あれを・・!」




    ハンジ「ん・・・・??」




    壁から7~80メートルほど離れているか。
    障害物の無い場所に一体の巨人が
    居るのが見えた。10メートル級程度か。
    周囲に樹木などの障害物の類は
    一切見受けられない。



    モブリット「少し・・・遠いですね」




    ハンジ「ああ・・。それに立地条件も
        あまりよろしくない。
        けどそれよりも何よりも」




    そう・・・一同の目をくぎ付けにしたのは
    ・・その巨人の挙動であった。






    ―三点倒立。





    リコ「――――」


    ハンネス「――――」



    ハンジ「~~~~」ソワソワソワ♪
        (*‘∀‘)


    モブリット「―――――」





    変則的な、顔の側面でバランスを
    取るかのような三点倒立を
    している。オマケに顔も凄い事に
    なっている。




    ハンネス「・・・・・何だ・・?アレ;」





    リコ「いや・・私に聞かれても;;」




    ハンジ「奇行種だ――――ッ!!!」
        イヤッホォォォオオウ!!



    モブリット「分隊長!一々言わなくても
          あんなの誰だって見りゃ
          分かります!!」
  9. 9 : : 2014/09/01(月) 00:09:00





    ハンジ「んなまともな突っ込み入れてる
        場合か!!今こそお前の
        出番だろモブリット――ッ!!
        スケッチだ!!早くあの芸術的な
        倒立をスケッチするんだーッ!」
        ビシィ!!


    モブリット「筆記用具は記録分しか
          持ち合わせがありません!!
          あんな前頭部禿げ上がった
          気味の悪い奇行種を
          描く余剰スペース
          無いですよ!!!」



    ハンネス「ど・・どうするリコ班長・・
         近くに障害物が無いとはいえ
         ・・・ありゃどっから
         どう見てもうなじを削いで
         くれと言わんばかりの格好
         にしか・・・」バカナノ?アホナノ?



    リコ「・・・・・!;;」
       ダラダラ(;@_@)ダラダラ



    確かに・・言われてみればこの上なく
    奇妙であり・・信じがたい光景でもある。




    奇行種。





    その一言で片づけるのは容易だが・・
    あの姿勢でバランスを保てる耐久性も
    さることながら、いくら奇行種
    とはいえ・・これほどまでに
    弱点をもっとも削ぎやすい位置に
    晒して無防備をアピールしている
    個体など・・・今まで見た事がない。


    さらに追い打ちをかけるかのように、
    何故か腰から下、足にかけての
    下半身だけ・・黒一色に染まっている。


    泥浴びでもした後なのだろうか。



    その場に居合わせた調査兵にして、
    あまりの奇怪な光景に我を失うハンジを
    他所に、ただ一人だけ平静を保っていた
    モブリットは内心でそう冷静に分析
    していた。
  10. 10 : : 2014/09/01(月) 00:11:49


    モブリット「もしかしたら・・・!
          アレは非常に頭の回る
          奇行種で・・・あのポーズは
          我々をおびき寄せる罠
          なのかも・・しれません・・
          迂闊に近寄るべきではないと
          自分は判断します」


    リコ「確かに・・・!あの位置なら、
       我々が降り立って、アンカーの
       使えない位置まで来てからいきなり
       倒立を中断しても十分奇襲になる
       ・・・・!ここは副長の言う通り
       ・・・!」キマジメ!!




    ハンジ「よし!!接近して観察しよう!」
        ソワソワソワ
        (両手には松明)




    モブリット「分隊長!!あんた話
          聞いてましたか!?」
          オイィィィ!!!




    リコ「どっから出したんだその松明・・」




    ハンジ「だって見ろよ!!あんな格好の
        奇行種今までみたことあるか?!
        絶対に奴は何か今まで私達が
        見た事のない秘密を握ってる
        と思うんだ!!!」



    モブリット「確かに見た事は無いですが!
          あなたに危機感というものは
          無いのですか分隊長!!
          私はアレが正直怖くて
          仕方ありません!!!」



    ハンネス「なんで半身黒いんだ・・?;
         まるで何か履いてるように
         遠目からじゃ見えるな・・」



    ハンジ「!!?まさかついに衣服を自分で
        見繕う巨人が現れたって
        いうのか?!こうしちゃ
        いられねえーーッ!!おい!
        モブリット!私は先行ってる
        からな!!何かあったら頼む!」
        ババッ!!



    モブリット「あ、ちょっ!!分隊長!!」
          オネガイ マッテ!


    ハンネス「ちょっ・・!おお、おい!」


    リコ「(溜息)仕方ない・・行きましょう
       部隊長。幸い周囲にあれ以外
       巨人は見当たらない。何かあれば
       我々全員でかかるのが一番の
       安全牌だ。しかし用心だけは
       怠らない様。今一度装置の動作確認
       だけしてから壁を降下しましょう」
       キチキチ


    ハンネス「お・・・おう・・・。
         (本当にこの娘はブレないな・・
        大したもンだ・・・!)」
         カチャッ・・
  11. 11 : : 2014/09/01(月) 02:48:21

    ―壁外―



    キュウゥイイイッ・・
          ズザッ

    ダンッ・・    ドン・・



    リコ「言うまでも無いが・・全神経を
       集中させましょう。ここはもう
       壁の外。私達を護る物は何も
       無い。」ジャカッ・・
       チラリ・・



    リコ・抜剣。同時に刃先の確認。



    ハンネス「・・ああ・・・俺らが
         しくじった際の助け舟は
         ・・・あの有様だしな・・」



    ハンジ「久々の奇行種だ――ッ!!」
        YATTA!YATTA!



    リコ「・・・・」
      ( @_@)


    謎の奇行種を前に接近を試みる4人。



    いち早く接近を果たしたハンジを
    追う形でモブリットがそれに
    追いすがり、警戒しながらも

    その後を追う順番でリコ、ハンネスが
    その奇行種の背後に回り、
    20メートル程の余裕をもって
    恐る恐るその様子を伺う。



    流石のハンジもそこが壁外で
    立体機動装置を使用するにはこの上なく
    難儀する状況であるのを理解してか

    捕獲した巨人に接近した時の様には
    肉薄したりはしなかった。





    モブリット「分隊長ッ・・・!正気に
          戻って下さいッ・・・!!」
          グギギギ



    ハンジ「私はいつだって瘴気だぜ!!」
        ハッフーン!!(`@ω@)ノノ ジタバタ
        ギリギリギリ!!



    モブリット「字が違います!!!」
          コノヒト ビョウキダヨ!!




    ・・・・モブリットが辛うじて
    羽交い絞めでもってその場に
    抑えつけなければどうなっていたか
    分からないが。





    ―数分後―




    ハンネス「・・動かないな・・・・」




    リコ「・・ええ・・・」




    ハンジ「発見から10分余りの間
        倒立したまま静止・・と・・」
        サラサラ



    リコ「持ってるなら自分で描けば
       いいだろ・・・」



    モブリット「・・・・」ポン
         (肩叩き、無言で首振り)    





    リコ「ああ・・(察し)」
  12. 12 : : 2014/09/01(月) 02:50:20


    ハンジ「私が描くとねー。
        なんか人の形を模した
        クッキーみたいな輪郭に
        化けちゃうから。でもな、
        リヴァイはもっとへたっぴだぞ!
        あいつは私より絵心ないね!!」



    ハンネス「しかし・・アレ・・・
         本当に何がしたいんですかね」



    リコ「そもそも奇行種だという時点で、
       何かがしたい、という概念が
       あるとは考えない方がいい。
       ・・私はそう思う」


    ハンネス「じゃあ・・今のうちに
         削いじまうか・・?;」


    リコ「・・確かにあの姿勢は・・横に
       なっている状態よりも、即攻撃に
       移れない無防備な格好でありながら
       ・・しかも立体機動の力を使わず
       とも刃が届く・・・しかし・・;」



    モブリット「ええ・・・討伐に御誂え向き
          の条件を全て向うが揃えて
          いるというだけに・・・
          余計に不気味に感じます・・」



    ハンネス「それにさっき正面からちらっと
         見えたが・・凄ぇ顔してたぞ
         ・・・何がしたいんだ本当に
         ・・・」



    ハンジ「どうやらあの黒い下半身は
        泥の上で転がるかなんかして
        あそこだけああいう風になった
        みたいだけど・・だとすると
        随分器用に色がついてるな
        ・・・」


    モブリット「どうしたものか・・」
          ゥゥン・・


    ハンジ「なーモブリットー・・・
        あんたらが近寄りがたいと
        思うのはよく分かるよ。でも
        こんな風にしてても仕方無いと
        私は思うんだ。」(松明フリフリ)


    リコ「いいからお前は松明しまえ」



    モブリット「いいですか分隊長・・
          私とリコ班長は別に
         “近寄り難い”という見解で
          一致しているのでは
          有りません。
         “近寄りたくない”と
          言っているのです。
          それとこれでは全然
          意味合いが違いますよ・・」
          ハァ・・・↓↓


    リコ「確かにこれが罠でもなんでもない
       なら・・討伐はあっという間
       なんだろうが・・それでは訓練に
       ならないだろ・・・」


    ハンネス「しかし・・いつまであのまま
         居る気なんだ・・?
         全く以て意味不明だぞ・・」



    ハンジ「私の見立てでは・・
        現在の投稿時刻がカギだと
        思うんだが・・・・」
        コレマジデ





    リコ「言ったろ。メタなネタは止せ。」
          
  13. 13 : : 2014/09/01(月) 22:55:29


    ―静観する事更に数分―




    リコ「・・・もう止めにしないか?」
       (;´・ω・)


    ハンネス「・・・じゃあ・・・?」ジャキ


    リコ「いや・・そう・・じゃなくて・・
       これ・・別にこっちに襲い掛かって
       来ないのなら態々危険に手を
       突っ込むことも無いと思うんだが」


    モブリット「それが一番だと思います・・!」




    ハンジ「ええ―――ッ」
        (;´Д`)



    リコ「そもそも私達の目的は何だ・・?
       巨人の動きに対して有効な立ち回り
       を学ぶ事の筈だ・・・。こんな
       何がしたいのか分からない奴の
       うなじをただ地上からスッパリ
       削いだって何も得られるものは無い
       ・・・違うか」      




    モブリット「激しく同意します。
          それに適正な距離を取って
          いるとはいえこれだけの
          至近距離に4人もいて此方に
          目もくれないなんて、
          その時点でこれは無理に
          相手をする対象じゃ
          ありません。これが壁内で
          あるなら当然即刻討伐に
          移るのが常識ですが・・」





    ハンジ「じゃあこいつどうすんの」
        (;´・ω・)


  14. 14 : : 2014/09/01(月) 22:57:29


    リコ「副長・・私の記録書の裏を
       使って構いませんので、
       コレを模写してもらっても
       宜しいですか?流石に手出しまでは
       しないにしてもこんな事例は今まで
       無いはずなので・・何か貴重な
       情報の手掛かりになるかも
       しれません」




    モブリット「了承しました」サラサラ
         (警戒しつつ正面へ)




    ハンジ「私が頼んだら拒否ったのに!!
        リコはアッサリいいのかよ!!!
        モブリットのケチんぼ!!!」



    モブリット「ケチんぼじゃありません!
          分隊長の要求には正統性が
          有りませんでしたが、今
          この場合は違います!
          だからこうして見たくも無い
          こんな奇行種の顔を子細に
          ・・・!」ウワ、キワドイカオ・・
          



    ハンネス「どれどれ・・ってこりゃ・・
         気持ち悪さが余すところなく
         伝わってくる画力だな・・
         副長、あんた画家になった方が
         いいんじゃ・・」




    リコ「いや・・顔はそんなに重要じゃ
       無いと思うんだ・・」
       タイセイ トカネ;




    こうしてまずは一体の奇行種の
    ラフスケッチを手に入れた一向。


    ―壁上―


    リコ「やれやれだ・・。昇降分でガスを
       無駄遣いしてしまったな」コンコン



    ハンネス「アイツまだ逆さのままだぞ・・」
         (遠目に見つめ)


    モブリット「気にしたら負けですよ
          部隊長・・・!アレは
          きっと私達にこうして
          ガスを消費させる為だけに
          ああしていたに違いない」
          ウンウン;
  15. 15 : : 2014/09/01(月) 22:59:17

    ハンジ「ん~・・確かに良く描けている
        ・・・けどこれさ、ピクシス
        司令とかに見せたらどうなる
        と思う?」




    リコ「副長に無理強いして描かせといて
       なんだが・・多分それだけじゃ
       間違いなく処罰されると思う」







    モブリット「済みません・・・
          やっぱ今からでも削ぎに
          行っていいですか・・・!」ジャキ
          チキショウ・・・!!






    ハンジ「おいオイオイ!ガスが
        勿体ないだろ!折角上ったのに
        ・・・・止せって!w;」



    ハンネス「まあでも、この往復分
         ガスを消費して装置を稼働
         させた分の報告はせにゃ
         ならんのだから・・どっちに
         してもコレ、報告しない訳に
         行かないでしょう・・・」
         ウワー・・キモチワルイクライ ヨクカケテル


    リコ「心配ない。扉からおおよそ
       節目幾つ分の地点かもきちんと
       記録した。その絵だけでは確実に
       愚弄と受け取られるだろうが、
       あの地点を覚えておけば・・
       そこにアイツがいなくても、
       倒立の跡は数日残る筈だ・・」



    ハンジ「リコ・・・あんた本ッ当
        マジメな。でもちょっと
        カッコいいと思っちゃった。」
        エライゾ、ダッコシテヤル

    ギュゥッ



    リコ「離せ、窮屈だ」
        (;@_@)
  16. 16 : : 2014/09/01(月) 23:06:55
    ―そうして更に歩く事20分―



    モブリット「いましたよ!!今度は
          普通のです!!(溜息)」
          ヨカッタ!!



    ハンネス「普通に俺らを喰おうとしてる
         巨人を見つけてこんなに
         ホッとする事になるなんてな
         ・・・」




    目標の巨人は8メートル級程度と
    いったところか。先程よりやや
    小ぶりではあるが、しっかり此方を認識
    しており、壁際まで縋り付き、その両腕を
    壁面に叩き付けている。



    ハンジ「なーなー、子供の頃さ、
        よく、こ~やって落とし穴に
        嵌めた奴にツバ垂らして
        遊ばなかった??」( ゚Д゚)ァエ。
                   *|
                   ダ|
                  ラ |*
                  ン |




    モブリット「分隊長!!!!!!!#」
          ※マジギレ




    ハンジ「わわっ!そんな怒んなよ!;」



    リコ「いや、今のはお前が悪い」
       キッパリ



    ハンネス「あ・・・だが分隊長のよだれが
         片目に当たって目を擦ってる
         様子だぞ・・・!今なら
         降下して先手を打つのにも
         絶好の機会なんじゃ・・!」
         チャキッ




    ハンジ「見ろ!私の溶解液が奴に
        効いたんだ!!最初から
        狙ってたってのにもうモブリット
        ったら本気で怒鳴るんだもんな」
        ヤレヤレ



    モブリット「(舌打ち)っ・・じゃあ
          行きますか・・・」




    リコ「(溜息)」
  17. 17 : : 2014/09/07(日) 04:10:51



    ―壁外―





    対象は8メートル級。


    発見当初からそのままの状態で
    周囲に他の巨人の気配もなく、討伐訓練を
    行う対象としては絶好の状況でもあった。

    おまけに、最低限立体機動装置による
    移動が可能な具合に、周囲には4本ほど
    樹木が生えている。




    ハンジ「ほっ」


    バシュッ... キュキキ....!

    ダンッ



    ハンジ「さぁさぁお立ち会い!
        ハンジさんの巨人討伐講座だよ!
        注意して聞いててね~!
        良く聞かないと死にます!」
        パンパン!


    その中の一本に降り立ち、未だ
    壁面の、巨人の手が届かない程度の
    位置に一点牽引で待機する2人に
    説明を始めるハンジ。



    モブリットは壁面でも一番離れた位置で
    記録係を担当しつつ、何時でも
    連絡用の信煙弾を撃てるよう待機中。




    ハンネス「っき、緊張感ねぇぇ・・」
         ゲンナリ・・



    リコ「・・一応命に関わる事だ・・
       しっかり聞いておきましょう」
       キリッ



    モブリット「(この人ほんっと真面目だな)」




    しかし樹上とはいえそこは
    充分巨人の手が届く位置。
    ハンジが降下してきた事に反応を見せ、
    既に視界も回復した状態の8メートル級は、



    巨「ファフッ」
      ガサガサ  バキバキバキッ


    ハンジ「おっと」
        ヒョイ   ドンッ×2


    すぐさまハンジの立っていた木に
    飛びかかる。

    ・・が、それを飛び越え、
    8メートル級の頭の上に器用に飛び乗り、
    振り落とされぬよう頭上にアンカーを
    打ち込むハンジ。

  18. 18 : : 2014/09/07(日) 04:14:19


    ハンジ「はい、ゴメンよー、ちょっと
        チクっとするけど!」
        ジャジャキッ!!



    ザグッッ!!!


    巨「ッ~~!!」


    取り出したブレード2本を巨人の
    両目に深々と突き刺し、刃だけを
    刺突箇所に残し、早々と樹上へ
    移動する。




    ハンジ「え~、実戦の最中では作戦第一
        だし、生き死にかかってるから
        そんなセコいこと言ってらんない
        けどね。ブレードって結構
        貴重だから、こんな風に使い捨て
        ちゃイケないよ。

        コレは前遠征行った時のお古で
        もう既にナマクラだったから
        こうやって使っただけなので!!
        あまり皆さんは新品で
        真似をしないように!」



    両目を抑え、首を振りながら
    悶絶するような動作を繰り返す巨人を
    背に、尚も淡々と説明を続ける。



    ハンジ「それじゃあ、御二方!これで
        後数十秒時間稼ぎは出来ると
        思うから、早速樹に
        降りてみよっか!」
        イェーイ!!
        


    リコ「宜しく頼む」ドシュッ!
       ペコリ


    ハンネス「(平然と言ってるが、今、
         分隊長、物凄く自然に
         とんでもない事を・・)」
        ドンッ




    ハンジ「じゃ、まずは補佐のおっちゃん
        から行ってみようか!!
        大丈夫!眼にはまださっきの
        替刃が刺さったまんまだし
        落ち着いて行けば何も
        怖い事ないから!」


    ハンネス「ぅっ・・了解・・・!」
         ジャキッ・・


    視界はキッチリ潰れているはず・・
    だがしかし、当然じっとはしておらず、
    両の目を抑えながらもその場で
    喚きちらしている巨人。


    その様子は当然経験もそこまで
    豊富でないハンネスの恐怖心に
    揺さぶりをかける。


    ハンネス「(大丈夫だ・・・!俺は
         やれる・・!いや・・!
         やらなきゃいけねえ・・!
         これは訓練・・・!!
         何か大事なものが目の前で
         蹂躙されているという
         状況の実戦ですらねぇ・・!
         ここで動けずどうするって
         いうんだ・・!)」

    リコ「っ・・」


    ハンネス「行くぞっ・・・・!!!」
         チャッ・・・   ドシュッ!!


    スカッ

       ・・ガシュ!!



    ハンネス「っぅおっ・・!!」



    壁面から、巨人の足首を狙い
    放ったアンカーはあっけなく外れ、
    地面へと命中したものの、当然
    その刃を突き立てられず、ハンネスの
    手元へと戻ってくる
  19. 19 : : 2014/09/07(日) 04:18:52

    ハンネス「っす、済まねえ・・・!
         次こそは・・・!」
         アセアセ





    ハンジ「ん~・・ちょっとストップ!」
        タンマネ!



    ハンネス「なっ・・・!いや、
         待って下さいって!落ち着いて
         もう一発撃てば・・・!」



    ハンジ「いやいや・・相手の動けない
        時間を有効活用するのは
        大事だけどね。それは
        あくまでこっちが平静で
        居られたらの話だから。」




    リコ「・・・・!」




    ハンジ「今もやって見た通り・・・
        慣れていない者にとって、
        アンカーを狙い通りの場所に
        打ち込むってのは・・
        ぶっちゃけかなり
        難しいんだよね・・それが
        対象の手足とか面積の
        狭い部分なら尚更さ。」


    ハンジ「それは、私らみたいな遠征で
        何度も死線を跨いだ人間でも
        躊躇うほどに難しいんだよ。

        それでも必要に迫られれば
        今のアレを・・・移動中の
        馬上からでも一発で踝に
        命中させちゃう人が調査兵団には
        ちらほらいる。」


    ハンネス「(マジかよ・・・・!)」





    ハンジ「しかし結局は狙いを
        付けてるのは人間なんだ。
        心が揺れてれば当然狙いも
        定まらないし、手元も狂う。
        
        “外れたらどうしよう”と
        考える心と・・それから
        “その隙に掴まれでもしたら
         どうしよう”って心が・・・
        戦う者に働きかけるマイナス
        要素は・・案外大きい物だ」



    リコ「それは理解しているが・・
       仕方が無い事だろう。お前達の
       様に場数を踏んで克服するしかない
       ・・だから私達はこうしてこの場で
       訓練に従事している・・命懸けでな」



    ハンジ「・・まあそれはそうなんだけど
        ・・と言ってもやっぱりね、

        それをする前に、まず根本的に
        気持ちの持ちようから
        見つめ直すっていうのも・・
        実は結構大事だったりするんだ」


    カラッ   カラァン!!



    両目に刺さった刃も抜け落ち、
    徐々に回復していく8メートル級。



    ハンジ「リコも・・それからそっちの
        おっちゃんに関してもだけど。
        私のこの立ち居振る舞いを
        見ていて・・・どう思う?」



    ハンネス「・・??;」



    リコ「・・・・」

  20. 20 : : 2014/09/07(日) 04:22:51


    ハンジ「巨人を目の前にしても
        こんな調子を崩そうともせず、
        気楽に構えてる私を見て・・さ。
        大方・・普通じゃないとか、
        狂ってるだとか、浅慮だとか
        ・・」


    巨「っっ!」ブオンっ



    ハンジ「っと」バシュ
        ヒョイ



    半分ほど視界が回復した所でハンジめがけ
    腕を振り抜く巨人。しかしそれを
    あろうことか余所見しながら
    壁に放ったアンカーで躱すハンジ。


    ただ躱すだけでなく、巨人から離れすぎて
    樹上の二人へ巨人の注意が逸れるのを
    防ぐ、適正距離を保ちながらの回避行動。



    リコ「っ・・・・・!」



    飄々としながらもそういった所は
    抑えながら動くその意図を理解しつつ、
    リコは冷や汗を流す。   




    ハンジ「そんな風に思ってるんじゃ
        ないかなあって・・」



    ハンネス「(当然だろ・・!技術や胆力は
         認めるが・・この状況で
         余所見なんざ正気の沙汰
         じゃねえ・・・!)」



    ハンジ「答えを聞かずとも・・だね。
        まあそれで半分は正解さ。
        こんな恐怖心なんてね、
        半分どうでもいいやって
        くらいの気持ちでなきゃ
        やってらんないよ。」
        ブッチャケ。



    ハンジ「後の半分は・・・!」



    巨「ハッ・・!ハッ・・!」ズン・・ズンッ・・



    ガバッ!!


    ヒョイッ



    バシュッ!!    ズバッ!!



    向かってきた8メートル級を今度は
    立体機動装置にすら頼らず、
    サイドロールで躱し、
    前方に倒れ込みながら転倒した
    ところを狙い、両方の踝を深く抉り取る



    ハンジ「“捕まったらどうしよう”
         ではなくて・・・
        “どうしてくれようか”
        ・・と、こう考えるのさ。
        ウチの中でも出発前に
        平気で酒を呷って壁外遠征に
        赴く・・兵団屈指の命知らず
        がいるけど・・」



    巨「~~~!!~~!」
      ジタバタ・・


    ドスン・・・ズン・・




    ハンジ「そいつはね、巨人の・・手で
        掴みかかろうとするような
        動作や叩き落しに対して・・
        回避で対応しようって
        考え方をまるで持ってないんだ」


    ハンネス&リコ「・・・?!?」

  21. 21 : : 2014/09/07(日) 04:25:05


    ハンジ「おかしいと思うよね。
        相手はこんなでっかい化け物
        なのにさ。・・まあ、その
        対応にも当然相手の等級とか
        見ながらで、限度があるけど、
        それでも大体は、掴みかかる
        腕なんかに対して・・・
        強引な斬撃のカウンターで
        いっつも跳ねのけようとする。
        負傷とか刃の消耗なんて
        お構いなしにね。」



    ハンネス「(狂ってやがる・・!)」




    ハンジ「それでもそいつは何度も
        生き残ってる。いや・・ 
        だからこそ、なのかな。

        聞いてて分かる様に、そこまでの
        事が出来るようになると、
        当然恐怖心とかそういったものは
        格段に減ってだね・・・」


    ハンジ「しかしおまけに警戒心とか
        そう言ったものまで減って
        しまう。・・・・そこが
        この考え方のネックなとこかな。
        ほら・・、私はこれでも
        実際かなり気を付けてると
        自分では思ってるけど・・

        二人の目から見ればこんなの
        全然警戒してるように
        見えないでしょ・・?
        ここまで来ちゃうとちょっと
        考え物なのさ」



    リコ「・・・・・」


    ハンジ「つまりだね、私が何を
        言いたいのかというと、」


    ハンネス「・・・・・;!」



    ハンジ「お二人には是非とも、
        命を軽々に投げ打つ位の覚悟と、
        それと半分に分かつ位の
        比率で・・・今その心に
        抱いている“警戒心”を・・
        失わずに戦う事を覚えて欲しい」



    ハンネス「か・・簡単にいってくれるが
         分隊長・・・!アンタそれは
         どう考えても・・・!」



    リコ「まともに考えれば無茶苦茶だ。」



    ハンジ「そりゃ~そうさ、
        まともさの塊みたいなリコから
        すればもうこんなの参考にすら
        ならないと思うけど・・」


    巨「・・・・」ムクッ



    腱の回復が終わり、立ち上がる巨人




    ハンジ「生憎壁をめがけて攻め込んでくる
        のは、こういうむちゃくちゃな
        奴等だからね。そこだけは、
        例え調査兵と、駐屯兵って立場が
        違っても・・・戦う相手は同じ
        なんだから。何とかしなきゃ」
  22. 22 : : 2014/09/07(日) 04:27:25


    リコ「そうだな・・・」
       カチャ・・・・



    リコ「ハンネス部隊長!予定を
       変更しよう!私が腱を狙います!
       貴方に討伐をお願いしたい!!
       宜しいか!!」



    ハンネス「わ・・分かった・・!
         止めを請け負う・・・!」



    リコ「心配は要りません・・!
       必ず動きは封じて見せます。
       アイツがああも簡単にやって
       のけたんだ・・私がやってみせられ
       なければ・・・!」チャッ・・・!


    リコ「駐屯兵団の精鋭等と恥ずかしくて
       名乗りもできない!!」
       バシュッ!!×2





    ハンジ「おおう。」


    これだよ・・・リコには巨人に対して
    しっかりとした恐怖心も警戒心も
    生きてる。しかし・・意地と気合いで
    それらを塗りつぶす事が出来る気概も
    また・・同時に備わっている。
    あんな小さな体でも・・・気持ちで
    全く巨人に負けてない。



    リコ「っっぁああああ!!!」


    ザシュッ!!! ズバッ!!


    片足の腱が削がれ、バランスを崩す
    8メートル級巨人。残る片足の腱をも
    漏らさず削ぎに行く形で・・


    リコ「っっ!!!!」

    ドシュッ!!!!!


    踊るように斬りかかるリコの刃。



    ハンジ「(それにあいつの戦う姿って
        どうしてかこう・・
        華があるんだよね・・。
        さっきの声がけにしても
        そう。何というか・・味方を
        鼓舞する力もある。)」


    リコ「部隊長!!頼む!!」



    ハンネス「おうっ!!!」ドシュッ!!




    ハンジ「(つくづく・・ウチに欲しかった
        なあ・・・リコ・・・)」
       フゥ・・



    ハンネス「くたばれぇええええ!!」


    ッザン!!!




    モブリット「無事一体目を討伐・・と」
          サラサラ・・
  23. 23 : : 2014/09/09(火) 05:23:02
    ―壁上―



    ハンジ「イヤー、おめでとう!
        久々の討伐だったんじゃない
        おっちゃん!前も確か
        補佐だったでしょ。」



    ハンネス「ああ・・・前回も
         討伐を任せた相手が優秀
         過ぎて・・手を出す暇が
         無かった。成果らしい
         成果はこれが初めてかも
         しれねえ・・」


    リコ「・・・・」



    ハンジ「初討伐か!?」
        オッホ!?


    ハンネス「いや・・判定の怪しい
         削ぎ落としが何度か
         あったから何とも
         言えないが・・だが
         似たようなもんだな(苦笑)
         初めて“やってやった”!って
         気がしたぜ・・」



    ハンジ「やったじゃ~~ん!!
        この後飲みいかない!?」
        クイッ


    モブリット「あなたにそんな暇は
          有りません!分隊長!!」




    リコ「・・おい・・どうでもいいが
       何故さっきから私を抱きしめる」
       ギュゥゥ...



    ハンジ「え・・・?い、いや・・・」



    リコ「~・・?」
       ジトー・・・



    ハンジ「か、カワイイから?」
        アトナンカ イイニオイスルカラ



    リコ「(溜息)・・気が済んだら
       さっさと離してくれ。先程も
       言ったが窮屈だ。これでは
       もし万が一今この場で超大型
       巨人が目の前に現れても
       立体機動に移れないだろ・・」



    ハンジ「まったまたぁwリコってば
        冗談がお上手だな」
        ウリリウリウリ~♪(髪クシャ)



    リコ「冗談じゃないぞ」ムッ
       (クシャッ・・)



    ハンジ「っ」



    リコ「私はこれっぽちも
       冗談など言っていない。
       訓練中とはいえ私は今この時にも、
       超大型巨人が壁を破壊しに
       来たっておかしくないと常に
       考えている。」ジッ・・



    ハンジ「・・・」



    リコ「4年前の報告では超大型巨人が
       現れた時、それは壁の向うから
       覗き込むようにして現れたという。
       
       しかし開けられた大穴からの
       巨人共の流入を防ぐため壁上に
       上った兵士は口を揃えてこう
       証言している。


       “そんなに大きな足跡はその場に
        残されている2つのみで他に
        見当たりはしなかった”
       
       私がどう思っているのか、
       言わなくても分かるな。」




    ハンジ「やっぱり突然湧いて出たって
        事なのかなぁ・・」



    リコ「あまりに突飛と言われようと
       何であろうと、理屈が分からない
       以上、そう考えて然るべきだ。」



    リコ「我々は奴らの襲撃に対して
       備える事しかできない。
       自ら壁の外へ出向いて物資を
       設置しに行くお前らと違ってな。
       だから平時と言えども警戒は
       常に怠る訳にいかない」



    ハンジ「・・それなんだよねえ・・
        さっき私が言いたかった
        もう一つの事って。」


    モブリット「・・・」


    ハンジ「なあ・・巨人と戦う上で・・・
        最も不利な状況って・・なんだか
        分かる?」


    ハンネス「不利な状況・・?
         立体機動が使い物にならない
         ・・・とかか?」


    ハンジ「そういうのじゃないな・・。
        大袈裟な物のたとえだけど、
        大昔、未だ巨人の弱点も
        はっきりしていない頃、
        
        それこそ立体機動装置も無い
        時代だ・・我らが調査兵の偉大な
        先達は・・大砲でなく人力で
        巨人を仕留めた事があるって
        話も存在するくらいだし」



    ハンネス「・・・・・・」



    ハンジ「手っ取り早く言っちゃうとね、
        “倒しに行く”のと、
        “その場を護る”のでは
        圧倒的に後者が不利なんだよ。
        巨人相手に戦う場合、特にね。

        だから本来こうして・・私らが
        お二人に戦い方の何たるかを
        学んでもらおうとしても
        それはお門違いになって
        しまいそうな気がしてね」



    リコ「しかしそれが私の選んだ
       道でもある。文句を言っても
       奴らは待ってはくれないぞ」


        
        
    ハンジ「・・・まあ、そういうことかな。
        しかしこっちには壁の外と違って
        砲台という心強い援護も
        ある事だし、一概に不利だと
        言い切ることもできないけどね」



  24. 24 : : 2014/09/10(水) 02:35:41




    ―・・と、その時





    ハンネス「おっ・・おいアレ・・」



    モブリット「・・・・?!」




    遠方より上がる黒の煙弾。



    モブリット「・・我々が見つけた
          奴以外にも奇行種が
          見つかったって事ですかね;」



    ハンネス「いや・・アレが上がったって
         事は手こずってる時の援護要請
         の筈じゃなかったか・・?
         急いだ方がいいんじゃ」



    リコ「行きましょう。」タタッ・・・





    ハンネス「奇行種・・か・・・」
         ハァ・・





    ハンジ「おっ、じゃあ行こっか。
        モブリット、応答で一発
        撃ってあげて。緑がイイかな。」



    モブリット「了解です」チャキッ




    ボフンッ・・・!! 







    ―壁上・500メートルほど先―


    ズン・・・




    ズン・・・



    ハンネス「・・・・?!・・」



    ズン・・・



    その場に到達する前から聞こえては
    いたが・・



    ズン・・・



    モブリット「・・・・」



    ズン・・・


    等間隔の短いリズムで絶えずその場に
    響く足音は・・・


    ズン・・・


    リコ「・・・・・!!・・・」
       (;@Д@)


    ズン・・・



    ハンジ「・・・?!?!?」


    ズン・・・


    “奇行種好き”のハンジでさえも
    その場に固まらせる光景から
    打ち鳴らされているものであった・・・




  25. 25 : : 2014/09/10(水) 02:39:36





    キッツ「ぇえい・・・!救援要請など
        出しおって・・・!この程度
        の奇行種、各々で何とか
        出来んかったのか情けない!!」
        ギリギリ




    観察係「す、ッ済みません!!し、しかし」



    その場で激昂のオーラを身に
    纏っていたのは・・・・



    ハンジ「(おい!おい!みろモブリット!
        奇行種も珍しいがこりゃもっと
        面白いもんを見ちまった!彼の
        有名な駐屯兵団名物!!
        小鹿隊長だ!!
        
        話に聞いてたほど萎縮して
        無いけど?!顔もピエロの鼻
        みてぇな赤一色だぞ!!?(小声))」



    モブリット「(ちょっ・・!聞こえますよ!
          落ち着いて下さい!!
          分隊長!!(小声))」



    リコ達より煙弾を確認するのに
    近い位置にいたのか、先にその場に
    駆けつけたキッツ隊長であった。



    リコ「・・・隊長!!・・一体
       この状況は・・!」ババッ!


    キッツ「・・・リコか・・!どうもこうも
        無い・・!見ての通り、
        駐屯兵の恥晒しだ・・!
        この程度の障害も自己解決
        出来ぬとは・・・」



    状況はかいつまんで以下の通り。




    その場で救援要請の煙弾を上げた
    班の記録係兼監視係は・・・
    参加者多数であった今回、たまたま
    第四分隊でカバーできない分、
    駐屯兵の精鋭人員のみで構成されて
    いたが、探索開始後、暫くして
    現在目前に居る奇行種を発見。

    ―これを訓練討伐対象とみなし、
    補佐役から動きを封じる為
    順にかかろうとしたものの・・・



    ズン・・・!

    ズン・・・!

    ズン・・・!



    それまで静止していた当該個体は
    突如として落ち着きを無くし、
    暴れ出したという。アンカーの
    命中ヶ所は、突然動かれたことで
    背中へとズレてしまい、

    アンカーを打ち込んだ兵士は未だ
    その奇行種の背にぶら下がり続け、
    その身に揺られる恐怖でアンカーの
    収拾すらできずにいる状況。


  26. 26 : : 2014/09/10(水) 02:43:13

    更に絶えず激しい動きをしているため、
    討伐担当の兵士も、監視補佐役も
    手をこまねいている状態である。


    巨人の体高は15メートル級。
    背中でも割と高い位置に
    アンカーが突き刺さっており、
    この場で解除すれば、地面に着地
    した直後踏みつぶされると判断しての
    萎縮であったのだろう。そもそもその
    高さからも容易に身を投げる気には
    なれないが。




    駐屯兵士「だ、誰でもいい!!早くっ!
         たっ・・・!!助けて
         くれぇええ!!」


    ズン・・・!

    ズン・・・!!


    キッツ「~~~~!」
        イライライライライラ



    しかし、その場に居合わせた一同が、
    その緊迫した状況等よりも目を
    奪われたのは・・・



    ズン・・!

    ズン・・・!



    その奇行種の外見的特徴である



    見た目こそハンジたちが最初に遭遇した
    個体とは全く違えど・・・
    それと共通する点として・・・



    ハンネス「おい・・・あの泥で色ついてる
         部分・・・・!」



    モブリット「さっきのと同種か・・・!?
          いや・・・アレはどこから
          どう見ても・・・!」



    ハンジ「狙いすぎだろあの色付きは!!
        本当に偶然あそこだけ泥浴びで
        色が着いてんのか!?
        んなわけないって!!」
        m9(*´Д`)アッヒャッヒャッヒャッ!!!!!



    その巨人はまたしても・・股間部分
    限定でブーメランパンツのように
    非常に器用な形で泥を付着させていた



    ・・そしてその挙動。





    半身を前傾させるような、なんとも
    説明のし辛い体勢、右足で片足立ち
    しながらも、右半身は動かさず、
    満身の力を込めて振り下ろす左拳
    と共に延々と左足のみを・・・

    まるで地団太を踏むかのように
    地面に叩き付け続けていた。 



    そしてやはり顔がスゴいことに
    なっている。
  27. 27 : : 2014/09/10(水) 02:48:15


    ハンジ「はっ・・はっ・・・!!
        腹いてェ~~~!!」
        ケラケラ( ;∀;)ケラケラ


    あまりの珍妙な光景に腹を抱え、
    その場にうずくまるハンジ。




    キッツ「もう我慢ならん!!私がやる!!
        調査兵の手など借りて堪る
        ものか!!!!」ジャギッ




    リコ「たっ・・隊長!!私も援護を」
       アセアセ




    キッツ「私一人で充分だ!!」



    リコ「・・・・!;」
       タジ・・・


    ハンジ「おいおいおい、モブリット、
        どうするよ。うちらが
        駆けつけちゃった以上
        ここで加勢しなかったら
        コレ・・何かあった時責任を
        問われちゃったりすんじゃね?」
        (;´・ω・)

    モブリット「(それはもっともですが・・
          ヴェールマン隊長の援護
          拒否となればそういう訳に
          も行かないでしょう・・
          逆に手出しすれば何を
          言われるか分かりません
          (小声))」



    ハンジ「あ~・・・体裁めっちゃ
        気にするタイプらしいからな。
        ってか、本当に大丈夫か?
        
        前回壁を破られた時の事聞いた
        けど・・それによれば並の兵士
        100と等価のビビりだって
        話だぞ・・?あの隊長・・」



    モブリット「(っちょ・・!聞こえます
           って分隊長!(小声))」



    リコ「問題ない・・・!;
       この状況なら・・その必要は
       無い・・!何故ならあの人は・・」
  28. 28 : : 2014/09/10(水) 02:48:51






    キッツ「こンの・・・・・・・!
        面汚しめがぁァァアあ!!!!」




    ババッ


    ドシュドシュッ!!!


        ギュキキキキッ...!!!


        ギュァアアッ!!!!!


    ザギュッッ!!





    ハンジ「・・・・・!」
        ( ;゚Д゚)



    モブリット「・・?!」
         




         ―回転斬撃―




    体捌きと戦闘技術に優れる
    調査兵の中でも屈指の実力を持つ
    二人ですら・・その場で目を奪われる
    程の、鮮やかとしか言いようのない
    会心の斬撃が荒ぶる奇行種のうなじを
    一撃のもとに掻っ切る。



    リコ「あの人は・・!護らなければ
       いけないものとその背に圧し掛かる
       重圧が無い場合・・・・!
       鬼の様に強いからな・・・。
       そうでなければ警戒心と懐疑心
       だけであの地位に着けるものか」






    ズズ・・・ン・・・・!!



    バシュッ・・・  キュィィ・・・ズザッ






    キッツ「・・・・」チャキ・・・


    隊長はその斬撃後の滞空中、
    回転が緩んだ瞬間に淀みの無い
    操作でアンカーを樹木へと飛ばし、
    壁外に降り立った。


    動きがあまりにスムーズ過ぎて
    若干気味が悪い程である。


    一瞬の一撃であったが、狙ってやったのか
    偶々だったのか、挙動の体重移動から、
    上手いように正面へ重心が傾く姿勢で
    一撃が入った為、背中にぶら下がっていた
    兵士は無事潰されずに済んだ。


    ・・・もっともそのまま潰されたほうが
    彼にとって第二の恐怖を味合わずに
    済んだのかもしれないが・・・



    キッツ「#####」ピキピキ
       ゴゴゴゴゴゴゴ



    駐屯兵士「ひっ・・・!!!!」
         ガクガクブルブル




    ハンネス「ま・・・まあ何事も
         無くて良かったんじゃ
         無いか・・?(隊長って
         あんな強かったのか・・;)」


    ハンジ「・・・・だね」



    モブリット「・・・・」



    リコ「しかしこれで我々が見た奇行種も
       愚弄と受け取られずに済むな。
       アレはまさしく私達の見たのと
       同種だろ・・!よかった・・!」
       (;@ω@)ー3



    ハンジ「気にするとこそっち!!?」
        オイ!
  29. 29 : : 2014/09/13(土) 23:43:43






    対巨人防衛戦闘訓練は、午前中一杯
    行われた後・・・昼食を経て終了となる

    これは憲兵のみならず駐屯兵にあっても、
    壁の内側で片付けなければならない
    仕事は山積しているからでもあり、
    幾ら訓練とはいえやることが命懸けの
    戦闘である以上、丸一日続けるのは
    集中力の低下に繋がるから、という
    理由でもある。


    監視兼補佐、及び記録係として
    調査兵が毎回細心の注意を
    払っているため、現在のところ負傷者
    こそ出ていても、死者は出ていない。
    ・・・だからこそ行える訓練である
    ・・・のだが・・


    ―壁上・開閉扉直上地点―




    キッツ「~~!~!!!!~」###


    ガミガミガミガ(#゚皿゚)ノミガミガミ!!!!




    ハンジ「お~い!リコ!訓練お疲れ!
        って事でお昼一緒に・・
        ・・・あ。
        
        ・・まだやってるよ
        アレ・・・。」
        ホントウニ アキナイナ・・・


    リコ「あの人は敵前逃亡者と
       敗北主義者には一切容赦が無い。
       あの程度で済むならまだ幸運だよ」
       クシャ・・モグッ




    中にはそのまま巨人に喰われて
    死んだ方が幸せだったと口にする者も
    出てしまうらしい。必ずしも訓練結果が
    プラスに転じるとは限らないのだ





    ハンジ「ふーん・・怖いと思ったら
        逃げるのは当然だと思うけどね
        ・・勿論戦略的撤退って意味で。
        ・・・あ!リコお前!なんで
        私を差し置いて一人でそんな
        マズそうなモンぱくついて
        んだよ!!?

        私が折角食糧庫の
        貴重なハムを消費して2人分
        作ったバゲットサンドを喰わない
        気か・・・・!!?」
        キサマ・・・!



    リコ「私が私の分の食事を摂っている
       だけなのに何故そこまで
       目くじらを立てられなきゃ
       いけないんだ」マグマグ..ボロッ..
  30. 30 : : 2014/09/13(土) 23:48:20



    ハンジ「そんなもんばっか食ってるから
        大きくなれないんだぞ!
        精鋭班所属なら希望すりゃ
        肉くらい食えるだろ?
        それとも嫌いなの?」


    リコ「そんなものとは何だ。これも
       れっきとした支給品の食糧だ。
       地下街にはこれすら口にする事
       叶わず餓死していく人々が
       居るというのに兵士の私が
       そんな贅沢言ってられるか。
       
       ・・・それからこの身長は
       遺伝だ。父母は勿論祖父母にも
       長身の親族は居ない。」
       ムッ・・・


    ハンジ「諦めんなよ!諦めなきゃ
        何だってできるって!」
        never give up!



    リコ「いや・・・身長は流石に
       どうしようもないと思う。
       
       そもそもなんでお前が私の分まで
       用意してるんだ。私なんかじゃなく
       いつもお前の御守に尽力して
       くれている副長にご馳走して
       やれよ・・・;」



    ハンジ「モブの分は私と半分こだ!
        流石に同じ釜の飯とまで
        豪勢には行かないけどこういう
        分け合いの精神は兵士にとって
        何より大事だしね!!
        
        ほらモブ!!餌だぞ!!」
        ハンブンチギレ!! つ バゲットサンド


    モブリット「失礼して・・頂きます」
          (半分もぎり)モグモグ



    リコ「(理不尽な扱いに既に抵抗
        すら見せない・・完全に
        慣れきっている・・)」
       ボロッ・・モグ・・


    ハンジ「~~・・・ちょい漬かり
        過ぎたな!酸味が鼻に付く!」
        モグモグ




    モブリット「・・そうですか?私は
          ザワークラウトといえばこれくらい
          でないと食べ応え無いん
          ですが。」モグモグ


    ハンジ「マジか!!じゃ今漬けてんの
        みんなこんな塩梅だからさ!
        あとで瓶ごと全部やるから
        モブリット食ってくれよ!」
        ツクリナオスワ!


    モブリット「有難く頂戴致します」




    ハンジ「ほら、リコもなにやってんの!
        この一個はあんたの為に
        作ってきたんだ!早く食いなよ」
        つバゲットサンド




    リコ「・・・・お前が半分ずつ副長と
       分け合ってるのに私が丸々一個
       食べるのは抵抗あるだろ・・
       それにこれも結構腹に溜まるから
       一個は入らない」
       パサラパサラ・・モグ・・・


    ハンジ「じゃ、おっちゃんと分け合えば
        いいじゃん!今日のMVPだ!
        おっちゃん何処だ??おーい!
        ひろ・・じゃなかった!
        ハンネス部隊長!!部隊長は!!?」
        オゥイ!!


    ハンネス「・・・な、なんだ?
         何か用ですかハンジ分隊長・・」
         ワタワタ



    ハンジ「面倒くさいから敬語とか
        いいよもう!飲みにはいけない
        けど、折角だからコレ!
        食いなよ!」つ 半分



    ハンネス「お・・おう・・」ハシッ
  31. 31 : : 2014/09/13(土) 23:54:17

    ハンジ「立体機動はまだまだ練習した
        方がいいけど最後の一撃は見事
        だったぞっ!頑張って練習して
        カットバックドロップターンを
        マスターしような!!」バンバン!!


    ハンネス「(ゴフッ)・・カットバッ・・
         ・・な、なんだって??」
         イテッ


    モブリット「分隊長!その技名は
          造語らしいですよ。
          厳密にはそういった技は
          存在しないとか」


    ハンジ「・・マジか!今迄ずっと
        あると思ってた!!ほら!
        リコ!半分食え!!」ズイッ


    リコ「・・・頂戴する・・」
       モソッ..


    ハンジ「・・どう?美味い??」



    リコ「・・・・・おいしい。
       ただやっぱり少し
       酸っぱいな。キャベツが」
       モグモグ



    ハンジ「それはガマンしてくれって!
        次回はもっと浅漬けのを
        使って作るからさ」



    リコ「次回も持ってくるつもりか」



    ハンジ「勿論だろ。アレ・・?
        ひょっとして漬物嫌い??
        そっちの固形食糧の方が
        リコ的に好物だったか・・?」
        オロオロ



    リコ「いや・・・そうじゃないが」
       フイ



    ハンジ「??」



    リコ「今日はありがとうな。」
       イロイロト


    ハンジ「おう!どういたしまして!
        ってか今更そんなん気に
        スンナって!」

    モブリット「そうですよ。これが我々の
          職務なんですからそんな
          改まって頭を下げる事
          など・・・」

    ハンジ「馬っ鹿、そういうんじゃないよ!」
        ペシン!


    モブリット「いッっ」イタイ!

  32. 32 : : 2014/09/17(水) 02:50:52



    リコ「・・・・・」モグモグ

    まったく、監督係とはいえ
    仮にも命懸けの訓練の後にこの
    雰囲気で昼食を摂るか・・・

    いや・・こいつらにとっては
    この程度、朝飯前の体操にも
    なっていないのか。・・それはそうだ。
    壁外ではこうして食事を摂っている
    間にでも有視界距離ギリギリから
    巨人の大群が押し寄せてきても
    おかしくはないんだからな・・・
    そしてその状況を打破できるのは
    馬による遁走と・・・・己の力のみ。

    道理で肝も据わるし腕も立つわけだ。





    私が・・・もし私がそんな
    地獄の中に於いてもお前の隣に居たら。





    私もその自由の翼を背負っていたならば。






    今頃私はどんな顔でお前の隣に
    居たんだろうな・・・




    リコ「・・・・・」ゴクッ・・
       チャプン・・・



    ミタビ「おい!リコ!報告書見たぞ!
        そっちにも妙な奇行種が
        出たんだって?!」


    リコ「・・・・・ああ」




    しかし・・・私が選んだのはこの壁を
    死してでも守るという使命のもと、
    王や壁に守られる全ての民に
    心臓を捧げる・・この駐屯兵団だ。

    こうして共に戦う仲間も居る。
    そうならなかった場合の事を考えても・・
    仕方がないな。







    ミタビ「イアンの方にも出たらしくてな
        ・・・不覚にも取り逃がした 
        そうだが・・凄かったらしいぞ」


    リコ「・・?凄かった?等級がか?」




    ミタビ「大きさも15メートル級越え
        じゃないかって見立てだが、
        もっと凄かったのは特徴だ。」




    リコ「まさか・・・体に泥が
       付いてたのか・・?」



    ミタビ「・・?いや・・?足には
        付いていたかもしれないが、
        別段体に目立つ形で付着してた
        との情報は無い。」



    リコ「じゃあなにが凄かったって
       言うんだ?」




    ミタビ「お前のその反応・・お前の所
        までは聞こえなかったのか・・
        相当離れた位置にいたらしいな
        ・・俺の位置までは聞こえた
        んだが・・・いいか?
        信じられないかもしれないが
        覚悟して聞けよ・・?冗談じゃ
        ないからな。」



    リコ「勿体ぶるなよ・・・私も今日は
       お前たちに負けず劣らず
       信じ難いモノを見ている。
       今更何を聞いたところで
       驚きもしないぞ」
       イッテミロ
  33. 33 : : 2014/09/17(水) 02:53:20





    ミタビ「・・・・・・・・
        唄ってたらしい・・・」






    リコ「・・・は?」






    ミタビ「・・だから・・巨人が唄っていた
        っていうんだ。俺の所までその
        歌声は聞こえて来た。物凄ぇ
        歌唱力だったらしい。
        いや・・何を喋っているか
        分からなかったから厳密には
        歌っていたのでは無くただ
        喚き散らしていただけかも
        しれんが・・」



    リコ「いやいや・・・いや、ちょっと
       待ちなよ。喋る巨人すらまだ
       見つかってないってのに
       ・・唄ってただって?本当だと
       したらそりゃ物凄い大発見じゃ
       ないのか・・・?」



    ミタビ「だから言っただろう。
        言葉かどうか分からん以上
        本当に歌っているのかどうか
        調べる余地も無い。こっちに
        例の分隊長がいればさぞ
        お喜びになっただろうが
        ・・・そういやお前が
        同じ班だったそうじゃないか」




    リコ「こっちにもそこまでの
       変わり種じゃないが変なのが出た 
       からな・・・それなりには
       はしゃいでいたよ。だが一体目は
       制止状態から動こうとしなかった。
       故に無理に攻撃する必要は無いと
       判断して放置した。」




    ミタビ「そうか・・。まあイアンの方に
        現れた奴は咆哮が凄まじ過ぎて
        耳栓無しではとても手放しで
        接近できない程だったらしい。
        今もどっかをうろついて
        居るんだろうからいつか
        目撃するだろうな。」





    リコ「その・・唄っていたって
       奇行種は・・特徴とかは
       何か聞いてないのか?」



    ミタビ「詳しくは聞いてないが・・
        別に特徴って程の特徴は
        無いらしい。特筆するとすりゃ
        15メートルを超えるんじゃ
        ないかっていうその巨体と・・
        えらく短髪の女型だって話だ。
        歌唱中、そいつは何故かしきりに
        リバティ・ベルを指差して
        いたらしい」



    リコ「・・・意味が分からん」
  34. 34 : : 2014/09/17(水) 02:57:19


    ミタビ「何にせよこれで今回も
        無事に何事も無く終わったな」
        ヒトアンシンダ



    リコ「ああ。それが何よりだ。
       訓練で命を落としては
       元も子もないからな」


    ミタビ「まだお前は仕事が残ってるのか?」



    リコ「・・・・書類整理と報告書の
       提出がな。・・あとは私事だが
       やらねばならない事は幾らでも
       ある。食事の誘いなら悪いけど」



    ミタビ「いや、いいんだ。どうせ
        イアンの奴も忙しいんだしな。
        ・・俺もお前らみたいに
        かっちり予定を組んでおくべき
        だったか・・。どうも
        この訓練の後だと肩の力が
        抜けちまうから終わってから
        何かしようって気に成れん。」
       


    リコ「・・・しっかり休んで明日に
       備えるのも上に立つ者の務めだ。
       あんたがそうするべきだと
       思ったならそうした方がいい」
       フム・・



    ミタビ「リコ・・お前は本当に真面目な
        兵士だな。もっとこう、
        浮いた事の一つも無いのかお前。」



    リコ「人が気遣って労いの言葉を
       掛けてやったのにその返しは
       どうなんだろうと思うけど」
       ン・・・?




    ミタビ「(素で返された・・)いや・・
        スマン、何でもねえよ・・」
        トボトボ・・



    リコ「・・・・?」
       ヘンナヤツダナ




    そうして無事第47回対巨人防衛戦
    ・・その合同訓練という彼女のその日
    一番の大仕事が終わった。


    書類整理と報告書提出に要する時間は
    実のところ数時間もかかる量ではなく、
    手早く済ませれば先程の食事の誘いも
    時間的には合わせることのできた
    リコだったが・・



    リコ「(折角だし今日はゆっくりと汗を
       流しておきたい。ここの所
       忙しくて早々と水を被る
       のみだったからな・・
       今日は訓練参加の恩恵で哨戒の
       ローテーションからも外れている。
       これくらいの褒美はあっても
       いいはずだ)」



    どんなに多忙な身の上にあっても
    日々の水浴びを欠かさないというのは
    流石生真面目と言った所。



    こうして早々に片付けるべき仕事を
    消化したリコは単身、駐屯兵舎
    女性兵士用水浴び場へと足を向け、
    歩き出していた・・・が・・・




    ピタ...


    リコ「・・・・・」




    ふと、本当に突然の事だが、これから
    向かう場所を思い浮かべた際に・・



    その日のとある情景を思い出した
    リコは、その足の行く先に一か所の
    寄り道を追加する。




    リコ「あいつ・・今居るかな・・・」





  35. 35 : : 2014/09/17(水) 03:02:03

    ―調査兵団・女性兵宿舎・4号個室―


    コンコン



    ハンジ「はいはい~・・その
        ノックは誰だろ・・・当てたい
        けど分かんないから今開けるよ!」
        ドタドタ..

    ハンジ「ぅぐわっ」



    /ドタァン!!!!\




    リコ「・・・・」

    音と足元に伝わる衝撃だけで
    今扉の向うで起こっている事が
    子細に想像できる。奴が盛大に
    板の間に蹴躓き、叩き付けられた音だ




    ハンジ「~~~~!!!ぁぁあ~~~!!!
        いってぇえぇ!!!クソ痛ぇ!!!
        ハナとデコと膝をクリティカル
        にやっちッたぁぁああ!!!」
        ァァアアアァァア....!;



    リコ「・・・・おい、開いてるのか?
       開けるぞ」グッ




    ハンジ「何だリコか・・ってリコ!?」
        ガバッ!



    ガチャっ



    ハンジ「リッコ~↑!!どうしたんだお前
        こんな時間に!良い子はもう
        寝る時間だろ???」
        ドウシタドウシタ!



    部屋の中からカットシャツと
    3/4丈パンツという軽装で
    そいつは目を輝かせながら
    飛び出して来た。どうやらメガネは
    外していたらしく、ドアを開ける際に
    手早く顔に装着した様子だ




    リコ「いや・・まだ夕方になった
       ばかりだろ・・陽が短くなったから
       そう錯覚しているだけだ。」



    ハンジ「あ、そういやそうか。
        いや~季節の変わり目だね。
        もうこの丈もそろそろ肌寒く
        なって来るかな・・・」
        コロモガエカ・・・






    リコ「突然で悪いけど・・・・
       ・・・一ついいか・・・?」





    ハンジ「・・・・一つといわず
        何でもどうぞ?」ニコニコ




    リコ「・・じゃあ遠慮なく3つ程言わせて
       貰うけど・・・一つ目にお前、
       
       水浴び最近してないだろ??」





    ハンジ「」




    ハンジ「あ・・ごめん、ちょっと
        私、これから片付けなきゃ
        いけない しごと」ギクシャク...

    リコ「ないぞ。」



    ハンジ「・・・・え?」




    リコ「ここによる前にバーナー副長に
       聞いてきたが・・大まかな
       お前の仕事はもう今日の分全て
       片付いて・・残りの細かな雑務は
       全て自分に押し付けられたという
       折を確認済みだ」ゴゴゴゴ



    ハンジ「おのれぃ...!モブめ・・!
        謀りおったな!!!上官を
        売るとは何て奴ッ!!!」ギリギリ・・
        ササッ!!!

    グイッ・・


    そう言うが早いか、素早く踵を返し、
    自室へとその身を翻したかと思うと
    舞うような身のこなしで扉を
    閉じようとするハンジ。

  36. 36 : : 2014/09/17(水) 03:06:47


    ガッッ!!



    しかしその光速に等しい鮮やかな閉扉を
    更なるリコの神速のつま先による
    侵入が阻む。


    ハンジ「クッ!!このぅっ;!!!」

    グィグイ


    リコ「無駄だぞ。鉄芯入りだ」


    ハンジ「一昔前の査察官ドラマかよ!!」


    グググ・・・!!


    僅かに開いたその隙間から両の手を
    捩じ込み、某人型汎用決戦兵器のように
    隔壁をこじ開けんとするリコ。

    その曇りのないガラスレンズ越しに
    覗く、更に曇りのない瞳には
    憤りも、焦りも、蔑みの
    色も無く、ただ、単純に己の正しいと
    思う事を成し遂げるのみといった・・

    平時のままの彼女をそのまま現した
    色が湛えられていた。


    リコ「2つ目に・・・いつも一緒に
       傍で頑張ってくれる副長の
       為でもある。今すぐ一緒に
       水浴びに行くぞ・・」
       ググググ・・



    ハンジ「嫌だ!!!!」
        ヌァアアア・・↑↑



    リコ「・・な・・何故!?」グギギ・・




    ハンジ「・・だってこの時期まだ
        夏季から秋季への移り変わり
        の途中だから風呂釜焚いて
        無いんだもん!!水なんて
        浴びたら風邪ひく!!!」


    リコ「・・・・・」ピタ・・・




    リコ「・・・(溜息)」
       ハァ・・・



    リコ「3つ目だが・・普通にしてれば
       まあ気にはならないんだが・・
       流石に抱き付かれでもすれば
       気が付く奴は気が付くぞ。
       
       お前が私を抱きしめた時に
       石鹸の匂いがすると言ったのと
       同様にな。・・だからこれは
       私からの切実な願いだ。一緒に
       風呂に入ってくれ。頼む」
       ペコッ・・


    ハンジ「・・・・・・」パッ・・・




    ハンジ「そんな頼まれ方して断れる
        訳ないじゃん・・(溜息)
        ぅぅ・・・水・・水浴び
        かぁ・・・寒いだろこの時期・・
        っていうかまさかリコってさ、
        この時期も毎日陽が落ちた後も
        水浴びしてるの・・・?;」



    リコ「・・・・?当然だろ?」




    ハンジ「・・・・・・・・・?!」
       (信じられない物を見る目)
          ( ;゚Д゚)



    リコ「お前は・・まさか・・・」




    ハンジ「わっ・・!私だけじゃないぞ!?
        それに・・時期的な問題だよ!
        少し前の暑さなら陽が落ちた
        後でも水の冷たさが心地良い
        位だから良かったけど・・
        今の季節になるとそれも
        ちょっと・・・!;」



    リコ「・・・・・・」
  37. 37 : : 2014/09/18(木) 01:00:26




    リコ「お前・・仮にも女だろ・・」





    ハンジ「ひっでぇ!!;w;(涙)」




    リコ「何より自分で嫌じゃないか?
       汗でベタベタしてたら気になって
       眠れないぞ・・私なら」




    ハンジ「それはもっともな言い分だけど!
        リコに女としての自覚を問われる
        とは思わなかったよ!」



    リコ「今のは私としても不服な
       意見だな(訝)それはどういう
       意味で言っている言葉だ?」
       ジィィ・・



    ハンジ「何か、リコって女捨ててるっぽい
        じゃん!だからまさか“その”
        リコに女としての自覚を諭される
        なんて思ってもいなかった
        もんだからさ!;」



    リコ「しっ!失礼な!!捨てるもんか!
       大事に取っといてあるよ!!
       まっ・・まさかこの髪型の事を
       言ってるのか!?これは単に
       短い方が動きやすいし、視界の
       邪魔にならないからという
       理由でッ・・・!///」
       ッテイウカ オマエニ イワレタクナイ!!


    ハンジ「私はいつだって女子力
        復活できるようにこうやって
        束ねてるんだもんね。
        バッサリ切らずにキープ
        してんだもんね」フ、フフン;
        (フリフリ)


    リコ「うっ、自慢げに言うな!
       大体その女子力の象徴たる
       セミロングが、お前の横着のせいで
       重量感満点じゃないか!!
       とっとと洗い流しに行くぞ!!」
       テッカテカ ノ ピッカピカ ジャナイカ!


    グイグイ




    ハンジ「かっ!!髪型もそうだけど
        その仏頂面もだよ!!あんた、
        調査兵の一部でかつてなんて渾名
        ついてたか教えてあげようか!?
        “謎の村雨くん”だぞ!?」



    リコ「ネタが古いよ!!!それにそこまで
       似てるか!?似てないぞ絶対!」
       ナンダヨ "ナゾ" ッテ!!
  38. 38 : : 2014/09/18(木) 01:02:09



    ハンジ「わ、分かったから!!もう!
        着替えるから引っ張るなって!」



    リコ「着替えたら、眼鏡と髪留めを
       外せよ!」



    ハンジ「ええ~!なんで!!
        風呂入る前でいいじゃん!!
        これないと前見づらいよ!!」





    リコ「・・なんでもだ!あと下はスカート
       を履いてこい!持ってるだろ!」




    ハンジ「ぇええ~・・・どこ仕舞ったか
        探すのメンドいよ・・嘘予告で
        履いてそれっきりだもん・・!」




    リコ「探すくらいの時間は
       待っててやるから頼む・・!」



    ハンジ「・・・でもマジで何で?
        眼鏡と髪留めは分かるけど
        スカートの必要性ってなんだ?
        リコはスカートはいて
        無いのに??」ン~?アヤシイゾ...



    リコ「お前がな・・・そのままの格好で
       行くと良かれ悪かれ少々面倒な
       事になる・・だから何も言わず
       スカートを履いて髪を下ろせ」




    ハンジ「だからなんで!!説明しろよ
        気になるからさ~!!」
        ヤダヤダo(`ω´*)oオシエテ!!




    リコ「・・・・・・」
        (溜息)




    リコ「お前な、冗談抜きで
       駐屯兵団の女性兵中、半数近くの
       人間に・・・男だと思われてるぞ・・・・」




    ハンジ「・・・・(;; ゚Д゚)・・・・」





    ハンジ「・・・・マジで?」





    リコ「・・だから冗談じゃないと
       言ってるだろ。流石に
       髪下ろしてゴーグルも眼鏡も
       していなければ・・おまけに
       スカートまで履いているなら
       誰もお前を男だとは思わない
       筈だ」
  39. 39 : : 2014/09/18(木) 01:05:00




    ハンジ「何!?そんなに私の普段の
        スタイルって女捨てた
        形態だったのか!?!」ショック!



    リコ「っそ、そういう事じゃない!
       大体お前は女性兵にしては
       身長もそれなりだから
       余計そういう噂が先行して
       しまったんだろうな」ウ、ウン;



    ハンジ「でも、おかしいだろ!
        半分気づいてるなら間違った
        認識をただしてくれる奴とか
        いないのか?!」



    リコ「(“その間違った認識を持っている
       半数というのが・・何故お前を
       男だと思っているのか、その理由が
       問題なんだろ・・!”とはとても
       言えない・・・)」



    リコ「・・・さ、さぁな・・・。
       そこまでは私に聞かれても
       知った事じゃない」
       プイッ



    ハンジ「お前が誤解を解いてくれよ!!
        頼むからさ!!」ネエオネガイ!!



    リコ「~~!!そんなの一々特定
       しきれるか!!一体何人がお前に
       恋慕の感情を抱いてると思って
       ・・・・!!・・」Σ(; ゚Д゚)ハッ





    ハンジ「お、女にモテてるのか
        私は!!?(大泣)」
        ウワァアアアア!!!




    リコ「ええい泣くな泣くな!!
       もういいからとっとと支度
       してくれよ!!時間もそこまで
       余裕がある訳じゃないし、
       他に誰か居ても正直面倒な
       ことになる!」




    ハンジ「わ・・わかったよ・・」シブシブ・・
        グスッ・・・

  40. 40 : : 2014/09/18(木) 01:07:13


    ―駐屯兵舎周辺―



    リコ「意外とバレないもんだな・・」




    ハンジ「そもそも私駐屯兵団の
        兵舎周辺はあんまうろつかない
        から知らない人だってそりゃ
        いるでしょ」



    リコ「・・・まあ、別に隊規に反した
       事をしている訳じゃないから
       そこまで神経質になる事も
       ないんだけどな・・」



    ハンジ「なら態々履かなくったって
        良かったじゃん!スカート!」
        ナンダヨモウ~~↓↓



    リコ「お前が男だと思われてたら
       一緒に歩いてる私に変な
       噂が立つだろっ・・!!;」



    ハンジ「何何~?照れてんのかぁ?
        意外とそういう細かいとこは
        気にするんだなリコって」


    リコ「お前が気にしなさすぎるんだよ」





    ・・その時




    コッ・・コッ・・コッ・・



    ハンジ「(げぇっ!!!)」


    リコ「・・・・・!」



    2人の背筋に緊張が走る。
    前方から歩みを進めてきたのは・・




    ピクシス「おぉ・・今日は良く会うのぅ
         ・・・!どうだ、訓練の方は
         捗ったか・・?未だ全ての 
         報告書には目を通せては
         おらんでな・・・」


    リコ「ッ!ピクシス司令!お疲れ様です!!」
       バッ・・ トン


    ハンジ「っっ・・」
        トン


    アンカ「・・・・」
        トン



    リコ「それにつきましては非常に 
       奇異な個体の報告がありますので
       是非後ほどでもお手が空き次第
       私の報告書に目を通して頂けると
       助かります」


    ピクシス「・・美人の女型でも
         おったか・・・?!」



    リコ「・・それは残念ながら確認
       していませんが。」



    ピクシス「・・・そうか」
         (´・ω・)


    アンカ「司令。班長は真面目に
        報告しているのですから
        冗談半分でそのような事を
        聞くのはどうかと」


    ピクシス「儂は至ってマジメ
         なんじゃがの・・・」
         ショボーン・・


    リコ「・・・・^^;」




    ピクシス「しかし・・この時間から
         水浴びとはお主・・
         女子はあまり身体を冷やすもの
         ではないからしてあまり
         お薦めせんが・・ともあれ、
         感心するばかりよのう」
         チラッ




    ピクシス「・・・・・珍しいものも拝めて
         元気が出たわい・・では
         主らも気を付けてな・・」ヒラヒラ



    リコ「はっ!お疲れさまです!!」ババッ








    ハンジ「っ~~ぶはぁ・・・
        超~~息詰まった・・!
        でも何も突っ込まれなくて
        良かった!!」ウン!ヨカッタヨカッタ;



    リコ「おもいっきりバレてたけどな。
       司令には。」



    ハンジ「・・・マジで・・」
        (;´・ω・)


    リコ「あの人は奇特で変態性の
       強い人ではあるが妙な所で
       凄まじく鼻が利くからな。
       多分匂いとかでバレてるぞ」



    ハンジ「何か嫌なバレ方だな!
        そんなキャラ、ミケだけで
        充分だよ!!」



    リコ「ほら・・・そうこう言ううちに
       もう着くぞ。石鹸は持ってない
       んだよな。まあ、備え付けが
       あるから気にする事は無い。
       私もいつもそれを使っている」


    ハンジ「うう・・心臓が止まって
        死にませんように・・・!」
        ブルブル・・・




    リコ「奇行種相手に鼻息荒くして
       接近できる肝っ玉が今更
       何言ってるんだ。」





    ハンジ「熱いのはまあまあ
        耐えられるけど寒いの
        苦手なんだよ・・・・・」
  41. 41 : : 2014/09/19(金) 02:42:48




    ―脱衣所―




    ハンジ「~~・・・」スルスル・・



    リコ「なあ、一つ考えたんだが」



    ハンジ「何~・・・?何か
        私が寒い思いをせずに済む
        名案でも・・?」
        ジトリ...




    リコ「そんな目で見るなよ。まるで私が
       お前を苛めてるみたいじゃないか」



    ハンジ「・・・で?考えってのは?」コト
    (仕舞っていたゴーグルを脱衣籠の脇へ)


    リコ「そんなに寒いのが嫌なら
       少し体を動かして温まってから
       水を浴びるっていうのは
       どうだろう・・と。まだ今なら
       そこまで真っ暗じゃないからな」
       イッショニハシルカ?


    ハンジ「ヤだよ!面倒くさい!!」スルスル・・
        キッパリ!


    リコ「・・どうせそう言うだろうと
       思ってたよ・・・・ん?
       おい・・ハンジ、お前・・」



    ハンジ「何?」スルッ・・パサ




    リコ「それ・・・」
       イマホドイタヤツ・・・・!

  42. 42 : : 2014/09/19(金) 02:47:34

    ハンジ「ああ・・サラシって言うんだよ。
        ・・知らないの?ルーツを
        辿ると東洋人が持ち込んだ
        着衣の類らしいんだけど。
        
        包帯みたいで発想が
        変わってるよね。あれ・・でも
        流石にこれつけてるの私だけじゃ
        無い筈だぞ・・?リコ、コレ
        知らなかったのか・・?」




    リコ「おまっ・・!!サラシくらい
       見た事はあるが!!そんなので
       きつく締めてたらそりゃ
       胸のラインも出ないから当然
       誤解されるよ!!」モトモト オオクナイシ!!



    ハンジ「一言余計だぞ!リコだって
        並盛以下じゃないか!」
        コノ ミニ盛リメ!!w



    リコ「場面によって影が出てたり
       出てなかったりってのは
       そういう事だったのか・・!
       
       ・・私はそういう体型だから
       いいんだ!けどお前はどうだ?
       その身長体格で、胸のラインまで
       フラットにしてたら流石に
       誤解されても文句は言えないぞ」



    ハンジ「くぅっ・・・!!身長を
        盾にするか・・!私だって
        本来の姿ではこの体格に
        見合った立派なものが
        ぶら下がってた筈なんだ!!

        しかしアレは兵団に入る前
        だったか・・ある日夢に出て来た
        おぞましい扉に余剰していた
        胸周りの肉を“持っていかれ
        ちまった”んだよ・・・!」
        チキショウ・・・!
        ググ・・



    リコ「見え透いたウソをつくな。
       禁忌の人体錬成にでも
       成功したのかお前は。」ハァ・・・
       パサッ





    ハンジ「元々あんまり豊かじゃ無かった
        からな・・どうにかできない
        ものかと・・せめて夢の中で
        だけでもと欲張ったら・・」





    リコ「・・なら自業自得じゃないか」
       ハッ・・・↓




    ハンジ「女子なら少しは気にするだろ!
        さっきはリコが私に説教
        たれたくせに!」ムカァ



    リコ「・・同情の余地は無いな。
       ・・・さて、メタな冗談は
       そこまでにしてさっさと入るぞ」



    ハンジ「うぅ・・了解・・・;」トボトボ
  43. 43 : : 2014/09/19(金) 02:50:23
    ―駐屯兵舎・女性兵専用水浴び場―



    基本的に男女問わずに兵士の行水は
    水浴び場の浅井戸用ポンプから
    引き上げられた水をそのまま使って
    行われる。


    無論これは春季から夏季に掛けて
    温暖な気候の間だけで、気温が
    冷え込んでくるようになってようやく
    水浴び場の竈に数個分の金盥と薪が
    用意され、初めて湯が使えるようになる。


    ・・なので、ハンジの例に漏れず、
    この時期気温の変化に伴って、
    水浴びへの足取りが遠ざかる傾向は
    他の兵士にもよく見られるものである


    リコ「・・・良かったな。誰も居ないぞ」



    ハンジ「・・・」ブルブルブル



    リコ「・・・・さてと」
       カポン   ガコッ


    ザバッ・・バシャバシャ・・



    リコ「っ・・・!」ザッパァ・・!!
     (桶一杯の水を一気浴び)




    ハンジ「・・・!」
        (;´・ω・)



    リコ「・・・ふぅ・・」



    ハンジ「一切の躊躇なくいったな・・
        ・・寒くないの・・?」
        ガタガタ・・・


    リコ「・・寒いぞ、そりゃ。
       ・・しかしそれも一瞬だ。」
       フルフル


    リコ「一発浴びれば後は楽になる・・・
       ほら・・・」チャプッ・・



    ハンジ「ィっ!!!いい!いいって!
        心の準備がまだだ!!自分で
        いくから!!」
  44. 44 : : 2014/09/19(金) 02:52:28


    リコ「・・・・・」



    ハンジ「・・・・・」



    リコ「・・そんなに無理ならこっちを
       使うか・・?」ガコッ


    そう言いながらリコが持ち出したのは
    人一人膝を抱えて入れそうな金盥。



    ハンジ「何でだよ!!桶より大量の
        水を一気に被れって言うのか!?
        っつか重くて無理だよ!!」
        (;゚Д゚)


    リコ「違うよ・・・ホラ、水を浅く
       張るだろ、そして桶にこうして
       入って足だけ浸からせたら・・
       手拭いで水を少しずつ足から
       なじませて拭い落して行けばいい。
       心臓より遠いとこから冷やして
       行けばそう大きな負担はない筈だ」




    ハンジ「ぉ・・!な、なるほど・・!
        それなら・・まぁ・・・」
        チャプ・・




    リコ「・・・まあ、どっちにしても
       全身が水に慣れたら、最後
       頭だけはしっかり水を被って
       流さないと手拭じゃ油を
       落とせないけどな・・・
       慣れて来たら膝を抱えて
       座りながら水を掛けていくんだぞ」
       ワシャワシャ



    ハンジ「リコ頭いいな!!これなら
        なんとかイケそうだ!!!」
        ザプ・・チャポン




    リコ「そうか・・・お前がそう言って
       くれるなら態々誘った甲斐も
       あったというものだ。」
       ザバッ・・


    ハンジ「こんなやり方もあるなら
        早く来れば良かった・・・
        おかげで随分と濃厚な
        ダシが・・・!」オオゥ・・


    リコ「誰か来たら恥かくのはお前だぞ・・;
       凝視してないでとっとと捨てろ。
       そして何度か入れ替えた方がいい。
       ほら、入れてやるから貸せ。」



    ハンジ「へいへい。」ザバッ・・
  45. 45 : : 2014/09/19(金) 02:54:46


    リコ「実を言うと私も最初はかなり
       抵抗があってな。季節の
       変わり目にはよくそうやって
       寒さを凌いだものだ。夜に
       走り込みをするとそれはそれで
       哨戒中の兵に要らぬ警戒を
       させてしまうしな。」


    ハンジ「リコ・・あんた本当にそういう
        周りへの気遣い半端ないな・・
        時折ホント感心するよ・・・」




    リコ「兵士としては極当たり前の
       配慮だろ・・?時折といわず
       常に関心を持ってくれ。そして
       実行しろ。」ハァ・・;




    ハンジ「はいはい、もう・・
        モブリットですらあんたほど
        堅物じゃないよ・・」ザバッ・・

    ハンジ「ッひぃっ!!!やっぱまだ
        冷てぇ・・・!!!」ガタガタ



    リコ「副長はお前の性格を熟知している
       からこれ以上言っても無駄と
       いう分水嶺を超えないだけだ。
       そこまでの気遣いをしてくれる
       部下の為にもせめて身嗜みくらい
       しっかりしてやってあげなよ・・」



    ハンジ「わ・・わかったよもう・・!
        、3日にいっぺん位なら・・!」
        ワシャワシャ




    リコ「いや、毎日浴びなよ!!調査兵
       用の兵舎の方でいいけどさ!」




    ハンジ「せめてお湯が使えるように
        なれば・・ねえ・・?;」




    リコ「まだ数週くらいは準備されないと
       思うぞ・・薪だって貴重な
       物資なんだから・・」





    ハンジ「・・マジかぁ↓↓・・・」
        ゲンナリ・・・

  46. 46 : : 2014/09/19(金) 02:57:06



    ガチャッ・・・・





    リコ&ハンジ「!!??」

    ババッ



    アンカ「・・・おや」
    (桶抱え、手拭を肩にかけ)




    ハンジ「(おわっ!・・スタイル
        めっちゃいい!!)」マジマジ
        (;゚Д゚)....



    リコ「これは・・!ラインベルガー参謀!
       またお会いしました!
       今日は訓練もあって大変な
       一日でしたが・・お疲れ様です!」
       ババッ トンっ(フニッ)



    ハンジ「(今なんか愉快なSEが・・)」




    アンカ「こんな所でまでそんな体裁に
        気を遣うことありませんよ(微笑)
        ・・まあ、気持ちは分りますが
        ・・こちらこそ、お疲れ様です
        ・・リコ班長。」
        トンっ(ムニュ)



    ハンジ「(この人の笑うとこ初めてみた・・)」



    アンカ「・・・・・・」
        ザバッ・・・


    リコ「今回の合同訓練・・・
       どうも各所で見た事のない
       変わり種が頻出したそうですね。
       ・・・参謀の所にはそういった
       ことは何かありましたか?」





    アンカ「いえ・・・私の監督していた
        班ではそのような個体は
        発見しませんでしたね。
        望遠で見える範囲にも
        これといって・・特に
        変わった個体などは一体も。
        私も先程やっとあなたの班の
        報告書に目を通したのですが・・」
  47. 47 : : 2014/09/19(金) 03:00:26

    リコ「お目を通して頂けましたか・・!
       あれには我々もこの目を疑い
       ましたが・・・!しかしあの
       スケッチには一切の嘘偽りは
       ありませんので!

       それだけは念を押して
       説明せねばと思っていました・・
       故にこれで一安心です。因みに
       スケッチはモブリット・バーナー
       副分隊長の力作です」
       ヨクカケテイマスヨ


    アンカ「分かっていますよw
        仮にも貴女の班の報告を
        疑う筈もありません・・・」
        ニコッ
        

    ハンジ「(・・この人司令の隣に居る時と
        大分印象違うな・・・!
        ・・ってもそれは当たり前か)」



    人類活動領域の南側領土を実質
    統括していると言ってもいい司令官の
    隣に常に随伴している参謀。

    女性兵と言えどきっちりと正された
    その普段の身なりから放たれる
    模範兵士的オーラは・・見る者に
    対し、“彼女には人間的思考の大半が
    欠落しているのでは・・”と思わせるに
    充分なものがある。


    ハンジもその内の一人。

    なので、この場で初めて目の当りにする
    彼女の微かな笑みを信じられない
    といった様子で凝視する羽目になっている



    アンカ「それと・・あれ程
        変わった個体が現れたと
        あっては・・その、大分
        お喜びになっていたのでは
        ないですか・・・?その・・」



    リコ「・・・・?はぁ?」ジャプ・・




    アンカ「彼の分隊長は・・・//」




    ハンジ「」    リコ「」
      (;゚Д゚)   (@△@;)



    ・・・・・・・・・・


    アンカ「そ・・それはそうと先程から
        気になっていたのですが・・」


    アンカ「其方の方は・・どちらの
        班の所属でしたか・・・?
        先程も道すがらお会いした際
        気になって居たのですが・・
        私としたことがどうしても
        同じ方の居る班を思い出せず
        仕舞いで・・・よかったら
        御名前を・・・」




    ハンジ「・・・っぁ(ムグッ!!!?
    リコ「あっ・・!!アハハハハ!!
       ちょっと、その、コイツは
       無口な奴でして・・・!!その
       ・・アノ・・!!新兵ッ・・ !!」
       アタフタ アタフタ



    アンカ「いえ・・、ですから御名前を」
        アノ・・





    リコ「しっ・・・!!!失礼
       致します!!!!!」ビッ!!
       ホラ、デルゾ!!!  グィンッ




    ハンジ「むグゲッ・・・?!」
        Σグキリ





    そうして何かから逃げ出すように
    足早に水浴び場を後にしたリコと
    ハンジであった。




    合同訓練や所属を違える仲間との
    交遊等・・・多少平時と違う事は
    あったとしても・・彼女自身の
    調子は大していつもと変わりはしない・・






    これが・・彼女のとある長い一日の話。







    余談ではあるが慌てて2人が退散した際に
    脱衣所に忘れものとして放置された
    ハンジのゴーグルが、数日の日数を隔て、
    ようやく持ち主の手に舞い戻るその日、


    滅多に聞く事の出来ない程希少な
    アンカ・ラインベルガー参謀の
    叫びが駐屯兵舎に轟くことに
    なったという・・・・





    ―end―
  48. 48 : : 2014/09/19(金) 03:07:53

    あとがき的な何か



    ・・・はい、ヤマも無ければ
    オチも無し!意味も短絡的にすら
    感じ得ない当文章群・・・

    こんなどうしようもない
    物をここまでお目通し頂き、真に
    有難うございます!!しかし私自身は
    楽しんで書かせて頂けました!

    それは誓って本当ですので、
    アイデア下さったカンツォーネさんには
    心の底より溢れ出でる感謝の限り
    お礼を申し上げたいと思います。


    有難うございます_(_^_)_


    何せリコさんメインの話というのは
    書いてみようかな?と、言う段階まで
    いった時点で、周辺事情が詳しく
    分からないキャラであるという理由から
    一度は頓挫したわけですから、
    お話頂かなければこの話を書こうと
    思いもできなかった訳で・・。


    しかし
    結局リコさんメインを作ろうと
    してたらいつの間にかハン×リコ
    みたいな事になってましたが・・;



    ではではここまで他愛も無い話に
    これだけの日数お付き合いいただけた
    方には心よりのお礼を申し上げます!

    それにお気に入りまでこんなに頂けて!
    どう喜びを表現して良いのやら
        (*´ω`*)

    一応必要は無いと思いますがコメントの
    ロックは終了に際して外しておきます故




    また何処かで
    お会いしましょうね~!
    ('◇')ゞ

  49. 49 : : 2014/09/19(金) 07:41:47
    執筆お疲れ様です( ´ ▽ ` )ノ
    リクエストを採用して頂き本当にありがとうございました!!
    クールビューティーなリコさんとクレイジーファンキーなハンジさんを見れて超絶幸せです*\(^o^)/*
    飽きることなく最後までスラスラ読めたのもムーさんの素晴らしい文才あってのことだと思いますので、次作でも独特な切り口を存分に発揮してくださいませ

  50. 50 : : 2014/09/19(金) 08:45:27
    >>49
    私にとっては執筆行為というものに
    該当する事柄において疲労的な
    概念はほとんどありませんwシリアスぶった物を無理に書こうとすると
    少々息抜きが必要になりはしますが
    ε=ε=ε=ε=ε=ε=┌(; ̄◇ ̄)┘

    当方のハンジさんは住んでいる
    お脳の方が正常ではないので同様に
    少々ネジの吹っ飛んだ人格になって
    しまっていますが・・不快に思われなくて
    大いに安心しております(>人<;)


    文才などとは飛んでも無い!!
    そのようなお褒めの言葉は私には
    本当に過ぎた評価ですが・・
    こうしてコメントがいただける喜びに
    あってはそれすらどうでもよくなってしまう程です。
    此方こそリクエスト、ありがとうございました!
  51. 51 : : 2014/09/19(金) 09:55:34
    執筆とお仕事お疲れ様です!

    リコさん可愛い~。
    生真面目なリコと不真面目?なハンジが対照的で面白かったです。
    奇行種も(笑)あれぞ奇行種。

    あとキッツさんがまさかの回転斬りを披露してて驚きました。

    本当に原作のウラでありそうですね。合同訓練。
  52. 52 : : 2014/09/19(金) 13:41:47
    キミドリさん〜!
    感想有難うです!そうなんですよね・・
    幾ら毎日壁の上から眺めているとはいえ
    いざ目前に巨人が迫ってきたらはたして

    あんな奪還作戦の時みたいな大活躍が
    できるのか・・と思い、そう考えると
    どこかで実地訓練が行われている
    筈・・という思想に。でなくば、
    成果も何もなく精鋭班っていうのも
    変ですしね。


    リコさん可愛いですよね!
    もうデフォルトが可愛い生き物なので
    私のかこつけはいらないくらいの
    可愛さで書く方としては助かりますw

    奇行種はすこしふざけすぎましたw
  53. 53 : : 2015/01/13(火) 20:22:12
    奇行種ww
  54. 54 : : 2015/01/13(火) 21:17:34
    この様な遡ったものまでお読み下さいまして、感謝感激です(*_*)

    奇行種・・w
    ええ、奇行種ですが・・失礼ながら外見的特徴が、◯頭2:5◯分さん、
    小◯よし◯さん、
    そして紅白ネタで◯田アキ◯さん、
    となっております。

▲一番上へ

このスレッドは書き込みが制限されています。
スレッド作成者が書き込みを許可していないため、書き込むことができません。

著者情報
ne5716

夢馬

@ne5716

この作品はシリーズ作品です

EXTRA シリーズ

「進撃の巨人」カテゴリの人気記事
「進撃の巨人」カテゴリの最新記事
「進撃の巨人」SSの交流広場
進撃の巨人 交流広場