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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品は執筆を終了しています。

枯れ草

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  1. 1 : : 2014/08/19(火) 23:46:28

    短編です。
    ※キャラ崩壊注意
    ※その他諸々注意
  2. 2 : : 2014/08/19(火) 23:57:54

    モノクマ「新入生の皆さん、入学おめでとうございます!」


    舞園「かわいいぬいぐるみさんですね」

    苗木「あはは、そうだね…」





    それから、モノクマを先頭に僕らは校内を巡る。





    モノクマ「こちらがみなさんが生活する寄宿舎です!」

    モノクマ「こちらは大浴場となってます!」

    モノクマ「ここ2階には図書室があります!本を読むのは大事だよ〜」


    十神「ほう…ありがたく使わせていただこう」


    モノクマ「3階には娯楽室があります!マナーを守って遊んでね!」

    セレス「あら、ちゃんと暇つぶしもありますの」






    何やかんやで学校説明は終わり、各自自由行動となった。















































    舞園「ミュージシャン…ですか?」

    桑田「そ!ミュージシャン!俺の夢なんよ〜」

    舞園「ですが、あなたには野球の才能が…」

    桑田「あ〜ナシナシ!俺ってば夢に向かって一直線ストレート状態だからさ〜」

    苗木「あはは」





    桑田「あ、もぉこんな時間じゃん、部屋戻らねーと」

    舞園「そうですね、おやすみなさい、苗木君」

    苗木「うん、おやすみ」
  3. 3 : : 2014/08/20(水) 00:24:37

    翌日




    石丸「おはよう苗木くん!」

    苗木「ふあぁ…おはよう」


    大和田「うぃっす…石丸朝から元気だな」

    石丸「当然だ!おはよう十神くん!」


    十神「ああ、おはよう。…読書していたらいつの間にか寝てしまっていた」

    朝日奈「あは、なんか十神らしくないねー」


    桑田「…ちぃっす、苗木」

    苗木「おはよう。元気ないね?」

    桑田「あぁ…悪い夢見ちまったんだ」

    朝日奈「え?なになにー?」







    桑田「…俺が、舞園ちゃんを殺しちまった夢」

    苗木「え?」

    桑田「ああ、いや、違うんだ。取っ組み合いになってさ、舞園ちゃんの持ってた包丁がそのまま彼女に刺さったんだよ」

    朝日奈「えぇ〜怖いね」





    山田「おはようごぜぇます!」


    石丸「遅いぞ山田くん!2分遅刻してるではないか!」

    江ノ島「まあまあ、大目に見てやろーよ」

    山田「拙者で最後ですかな…」








    十神「ん?いや、舞園が来てないぞ」








    苗・桑「え?」

    江ノ島「偶然寝坊しちゃったんじゃね?先に食っちゃおーよ」

    石丸「うむ…そうしようか」









    15分後








    山田「拙者少し量が足りませんな…」

    セレス「ところで、舞園さんはまだ来ないようですが?」

    朝日奈「様子見てくるね」






    5分後









    朝日奈「たいへん!舞園ちゃんがいないよ!!」

    桑田「え!?」





    こうして僕らは校内を探し回った。
    モノクマの力も借りたが、舞園さんは見つからなかった。
    おまけに、江ノ島さんも行方がわからなくなった。




    そして、夜がきた。






    大神「どういうことだ…2人も行方が分からなくなるとは…」

    葉隠「か、神隠し…とかじゃねーよな?」

    腐川「な…なんでそーなんのよ…」

    十神「これだけ探しても見つからないとは…おかしいぞ。皆、今夜は用心しろ」





    桑田「………」















    舞園ちゃん…どこ行ったんだよ?
  4. 4 : : 2014/08/20(水) 01:12:16

    部屋に戻ると、途端に眠気がする。



    桑田「まぁ、明日には帰ってくるよな…?」

    桑田「……寝よ」











    眠り始めて、30分は経っただろうか。












    ガチャガチャッガチャッ










    桑田「…おん?」










    ガチャガチャッ









    誰かがドアノブを回そうとしている。

    鍵がかかってるんだ。回らなくて当然だろう。

















    ガチャ















    桑田「!!?」





    ドアは、開いた。
    何故。鍵をかけている筈だ。

    誰なんだ?
    暗くてよく見えない。


    その影は、近づいてくる。










    桑田「…舞園ちゃん?」


    桑田「舞園ちゃん!何処行ってたんだよ?みんな心配し……



    心配…して…探して……」






    桑田は、目の前の光景に、その恐ろしさに、声が出なかった。



    目の前にいる舞園さやかは、右手が異常な方向に曲がり、口から血を吐き、腹部の傷から血を流し、臓物を垂らしていた。



    それと同時に桑田の頭の中に、ある映像が浮かぶ。












    夢だと思っていた『それ』は、真実だったのだ。


















    舞園「桑田クン……アナタ…死ンデ…イタダキマス…」


    桑田「ま……待ってくれよ…あ、あれは…その…こ、殺す気はなかったんだよ!取っ組み合いになって…仕方なくさぁ…」


    舞園「ワタシハ……ココカラ…出ル…タ…メニィィィィ!!!」








    反応ができなかった。

    舞園の左手の包丁で腹部を刺される。






    桑田「うあっ!!」

    桑田は痛みでその場に倒れこんでしまった。

    舞園「許サナイ…私ハアナタヲ…許サナイィィィィィ」






    舞園が振り下ろした包丁は桑田の手を貫通する。






    桑田「がぁぁぁぁ!!!!」


    舞園「死ネ」


    腕を、足を傷つけられる。













    舞園「死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ」






    桑田「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ!!!!!!!!!!!」
  5. 5 : : 2014/08/20(水) 01:31:44
    うわぁ、怖い。期待です。
  6. 6 : : 2014/08/20(水) 15:53:31

    苗木「ふあぁ…おはよう」


    石丸「おはよう!」
    朝日奈「おはよ〜」


    セレス「珍しいですわね、苗木君が遅いなんて」



    大神「無理もないだろう。昨日、あのようなことがあったんだ」

    霧切「して、あれから舞園さんと江ノ島さんを見た人は?」





    誰も何も言わなかった。







    葉隠「ま、まさか本当に神隠しに…」

    大和田「桑田と腐川にも聞いてみねーとな。 …お、噂をすれば」

    苗木「腐川さん、舞園さん見かけた?」

    腐川「い、いなくなったんでしょう?見かけたわけないじゃない…」

    大和田「桑田は見たか?」

    腐川「桑田?見てないわよ」








    ………………………。










    山田「な、何やら嫌な予感がするのですが…」

    苗木「様子を見てこよう」

    石丸「では、僕も同行しよう」






    桑田部屋前








    苗木「あれ?」
    石丸「どうしたのかね?」


    苗木「か、鍵が開いてるんだけど」


    石丸「全く無用心な……桑田くん、起きたまえ!」ガチャ























    石丸「うわああああああ!!!!」
    苗木「石丸クン!?何が…」




    桑田の部屋、その光景に、思わず悲鳴をあげてしまった。







    苗木「あああああああ!!?」








    …身体中を切り刻まれ、無惨な姿になった桑田が倒れていた。
  7. 7 : : 2014/08/20(水) 19:57:30

    それから、全員が集まった。





    大神「く、桑田……!」

    十神「どうなっているんだ…」

    霧切「もしかしたら…」




    霧切「舞園さんと江ノ島さんもこのようになったのかもしれないわね」





    朝日奈「ええぇ!?」

    腐川「だ、誰よ…誰が殺ったのよ!!」

    大和田「俺ら全員食堂にいたぜ!?」

    霧切「朝よりも前に殺されたようね」

    セレス「どうして解りますの?」



    霧切「血が乾いてるわ。誰かが殺したとしたらきっと、昨日の夜ね」



    葉隠「昨日…十神っちが用心しとけっつーから鍵かけて布団に包まってたべ」

    山田「拙者も同じですぞ」





    それから僕らは話し合ったが、誰も名乗り出ず、捜査しても何の手がかりも得られなかった。

    また、その後はいなくなった2人を捜索したが、やはりどこにもいない。




    不安に不安が重なり、部屋にずっと篭ってる人もいる。







    朝日奈「さ、さくらちゃん…」

    大神「心配するな、朝日奈。何かあれば我が必ず守る」


    十神「各部屋に刺股を用意した。何があってもいいようにベッドの横にでも置いておけ」






    苗木「………」







    桑田クンの死体は、モノクマに頼んで冷凍保存してもらうことにした。

    それから僕らは解散した。
    何人かは桑田クンの部屋に花を置きに行っている。





    苗木(なんだか疲れたなぁ…)


    苗木(…おやすみ)

































    翌日、不二咲さんが姿を消した。
  8. 9 : : 2014/08/21(木) 20:52:14

    石丸「不二咲くんまで…何処に行ったんだ」

    セレス「桑田君も謎の死を遂げていて、3人が行方不明…この学園に一体なにが…」

    山田「ま…まさか、学園を彷徨うゴーストの仕業では…」

    葉隠「オカルトは信じねーんだ!」




    大和田「今日は探すのか?探すんならモノクマにも手伝ってもらおうぜ」

    大神「もし何かの悪ふざけで隠れているのであれば、何人かで各階の道を塞ごう」





    霧切「そんなことよりも、私はひとつ気になってることがあるんだけど」


    苗木「うん、僕もだ」

    十神「奇遇だな、俺もだ」





    苗・十・霧「「「いつから窓に鉄板がついたんだ?」」」
  9. 11 : : 2014/08/23(土) 13:14:15

    大和田「鉄板?そんなんあったか?」

    セレス「ありましたわ。いつの間にか私の部屋にも打ち付けてありました」

    大神「試しに本気で殴ってみたのだが…傷一つつかなかった」

    葉隠「オーガっちがそう言うならもうどうしようもねぇべ…」

    石丸「生活に支障は無いが、目的は何なのだ」

    腐川「そ、そういえば玄関も変なことに…」

    朝日奈「え?」

    山田「ええ…まるで軍の施設のようになってましたぞ」







    いつの間に?


    この学園に何が?


    答えは出ないまま、僕らは解散した。













    大和田「あー…」





    大和田紋土は少しイライラしていた。


    いつの間にか打ち付けられてた鉄板。

    いつの間にか変わっていた玄関。

    それに、モノクマも微妙におかしくなっている。

    ブッ壊れたのだろうか。




    大和田「…筋トレでもするか」





    大和田は学ランの上着を脱いでタオルを持って部屋を出た。









    大和田「ふぅー…何か鍛えんの自体久々だな」



    ダンベルを片手に、なるべく昨日今日の不可思議な現象のことを考えずにトレーニングに集中する。











    ガチャ











    ん?



    石丸か?苗木か?
    葉隠か?
    十神や山田はこんなところに来ない。


    振り向くと、それは意外な人物だった。



























    大和田「不二咲!?」
  10. 12 : : 2014/08/23(土) 14:29:53

    大和田はダンベルをその場に捨てて不二咲に駆け寄る。


    頭を怪我しているようだ。





    大和田「不二咲、お前どこに行ってたんだよ?つーかその怪我、早く保健室で治して…」






    不二咲「僕、強クナリタイナァ」







    大和田「あ…?強く…?ま、まぁ、いつかなれるだろ。それよりも!お前その怪我大丈夫か?痛いだろ、早く治…」











    ゴンッ













    そこまで言ったところで、大和田は倒れた。
    頭に物凄い衝撃が走ったのだ。


    不二咲の手には、血のついたダンベルが握られていた。













    不二咲「僕、強クナリタイナァ」










    ゴッ










    ガンッ










    不二咲「強クナリタイナァ」







    ゴンッ










    ガンッ









    ガンッ





















    ああ、思い出した。







    俺は……


    俺はここで、不二咲を……
















    不二咲「ドウシタラ強クナレルノカナァ」












    ガンッ

    ガンッ

    ガンッ

    ガンッ

    ガンッ

    ガンッ

    ガンッ





















    ガンッ
  11. 13 : : 2014/08/26(火) 03:00:07

    苗木誠は、2階のトイレで嘔吐していた。





    石丸「苗木くん、治まったかね?」

    苗木「…なんとか」

    石丸「朝日奈くんと腐川くんは、大神くんが保健室へ連れて行ったぞ」


    苗木「…そっか」






    朝日奈さんと腐川さんはあの場で気絶したようだ。
    無理もない。













    ………あんなものを見たのだから………


















    ごく普通の朝だった。

    一緒に過ごしてきた仲間が突然姿を消すという現象が起こっている以外は。

    しかし、朝の時点で誰もが気づいた。




    大和田紋土がいないこと。





    その時点で彼がまだこの世に存在してるかどうかは、なんとなくわかってた。



    問題は、その彼の姿。

    大和田紋土の死体は、扉が開きっぱなしの男子更衣室にあった。


    ……桑田怜恩以上に無惨な姿で。










    鈍器か何かで滅多打ちにされたのだろう、
    彼の首から上はほとんど形が無かった。


    頭蓋も脳も皮膚も髪の毛も眼球も筋肉も歯も舌も、何もかもがぐちゃぐちゃになっており、赤黒く染まっていた。










    苗木(どうして……あんなことに………)












    朝日奈さんと腐川さんは失神、セレスさんと葉隠クンと山田クンは具合を悪くし、僕は嘔吐、十神クンも更衣室の外で休んでいる。
    普段は無表情の霧切さんも少し青ざめていた。






    苗木「石丸クンは…大丈夫なの?」

    石丸「大丈夫なわけがないではないか……だが、今の状況に目を背けるわけにはいかないだろう…」






    何度呼んでもモノクマは現れないので、死体は僕らで処理することになってしまった。






    大神「誰か…棺桶の代わりになる何かを持ってきてはくれぬか。大和田の死体を入れ、我が生物室まで運ぶ」

    セレス「でしたら…私の部屋にあります」








    大和田クンの死体が冷凍保存される。

    僕は大神さんについて行き、その様子を見ていた。









    大神「舞園と江ノ島、不二咲が行方を眩まし…桑田が死に…大和田が死した……モノクマも機能していない。一体、何が起こっているのだ…?」


    苗木「僕にも…わからない。けど…何か、とんでもないことが起きる前触れな気がするんだ」

    大神「…そうかもしれぬな。霧切もそう言っていた」







    それから、僕らはそれぞれの部屋で休んでいた。

    朝日奈さんと腐川さんには状況を伝えた。

    朝日奈さんは大神さんの部屋に2人でいる。
    腐川さんも十神クンと同行しているようだ。






    一体、何が起きているのか。
    全てが謎すぎる。

    疲れもあって、夜時間が来ると共に僕は眠りについた。
  12. 14 : : 2014/08/27(水) 03:01:26

    ここは、どこだ?


    みんなが、円になっている。


    モノクマは偉そうな椅子に座っている。









    腐川さんが狂気に満ちた顔になっている。


    石丸クンと大和田クンが涙を流している。


    冷たい態度をとる十神クン。


    なんだここは?










    大和田「モノクマ…始めてくれ……投票タイムってヤツをよ……」









    投票タイム?


    何それ?


    石丸「や、やめろ!!待て!!」


    石丸クンが取り乱している。


    どうやら『投票タイム』は悪いことらしい。


    僕は誰に投票すればいいんだろう。


    大和田クンに投票したらいいの?







    投票の結果、選ばれたのは大和田クンだった。









    モノクマ「ひゃっほ〜!大正解!今回不二咲千尋さんを殺したクロは大和田紋土君でした〜!」









    大和田クンが不二咲さんを殺した?


    何のためにそんなことを?


    大和田「すまねぇ…兄弟。すまねぇ…兄貴。すまねぇ……、みんな…。

    …すまねぇ…、不二咲…、…。」






    そこで僕の意識は途切れ、僕は現実世界に戻ってきた。












    苗木「………夢?」


    苗木「……何だったんだろう、今の」
























    その日、石丸クンと山田クンは朝食会に来なかった。
  13. 15 : : 2014/08/31(日) 01:01:31

    朝日奈「石丸までいなくなるなんて…」

    葉隠「ま…マジでどうなってんだべ?」

    セレス「行方不明になった方々、殺害された2人…何か、共通点があるのでは?」

    十神「行方不明になったのは皆女、そして殺害されたのはどちらも男……と昨日までは考えていた」

    大神「我もだ…だが、今日で何もかもが振り出しに戻ってしまった」



    苗木「………。」













    昨日見た夢…

    あれがもし、今起きている事態に何か関係してるとしたら……








    十神「おい苗木、お前はどう思う?」




    え、どうしよう。
    夢の話…言うか?言わないか?

    あ…夢といえば、桑田クンは舞園さんを殺す夢を見たって…




    苗木「あの…」
    霧切「大変なことが起きたわ」





    上の階を探索しに行った霧切さんと腐川さんが戻ってきた。





    セレス「大変なことというのは?」

    霧切「…4階に上がる階段が封鎖されていたわ」



    葉隠「はい!?」
    十神「なんだと…?」

    腐川「シャ、シャッターで封鎖されてて…しかも天井にはマシンガンが…」


    セレス「…私たちも行ってみましょう」









    3階に登ると、本当にシャッターが降りていた。
    おまけに、いつの間にか3階だけでなく、至るところに監視カメラがついている。





    …どういうことなんだ?




    …そういえば、夢でみたあの部屋にも監視カメラがついていたような……
  14. 16 : : 2014/09/02(火) 12:53:51

    大神「ぬんっ!!!」




    大神さんがシャッターを思いっきり殴る。
    だが、ビクともしなかった。
    まるで頑丈な鉄格子のようだ。







    大神「だめか…」


    葉隠「オーガっちの全力パンチが効かない物体がこの世に存在するんだな…」


    十神「とにかく…ここは引き下がるしかないようだな」







    それから僕らは食堂に戻ってきた。








    大神「どうなってしまったのだ…この学園は」

    腐川「ま、まさか大きな組織に乗っ取られたとか…」

    葉隠「そ、そりゃねーべ…」



    十神「とにかく…何か異変が起きているのは確かだ。」



    セレス「異変…ですか。もしかしたら、外の世界も何かマズイことになっているのでは? …あ、紅茶淹れてきますわ」

    霧切「その可能性もあるかもしれないわね…」



    セレスが食堂から出て行った。




    朝日奈「でも、そんなのどうやって?」


    十神「…それが解ったら苦労はしないさ」


    葉隠「い、いや、それは可能性の話だべ?」

    苗木「まぁ…そうだよね」

    霧切「でも安心してる場合でもないわ。こうしてる間にも…」




    霧切さんが何か言いかけたその時だった。



















    「きゃああ゛あ゛ぁ゛あ゛あぁぁああああぁあああ!!!!!!!」
















    恐ろしいほど響く悲鳴。


    全員がその方向を向く。

    ドタドタと走る音。

    それがだんだん近くなる。



    苗木「ひっ………!!!」




    苗木だけではない。全員が驚いただろう。
























    火だるまになったセレスが食堂に駆け込んできた。
  15. 17 : : 2014/09/07(日) 02:44:39

    十神「セレス!!!」



    セレスは苗木達の前で倒れこんだ。





    葉隠「な、なななななんじゃこりゃあああ!!!」

    苗木「セレスさん…!!!」




    僕は制服の上着を脱いで、炎をはたいた。

    だが、それだけで消えるはずはない。




    大神「皆の者、離れるのだ!!!」




    大神さんが消化器を振りまいた。















    朝日奈「セ、セレスちゃん…?」


    服は燃え尽きてはいないが、全身を火傷していて、見ていられるような状態ではなかった。






    霧切「……死んでいるわ」



    炎は完全に消したのだが、既に彼女は息絶えていたのだ…。







    葉隠「も、もう何がどうなってんだ!?何なんだよコレェェ!!!」


    泣き崩れる朝日奈、朝日奈を抱き寄せる大神、頭を抱えだす葉隠、腐川。


    十神「……はっ! 厨房にまだ犯人がいるかもしれない!追うぞ!!」



    十神は走り出した。
    苗木も十神に続く。


    苗木「十神クン!」




    何だ?
    十神クンは厨房の前で立ちつくしている。






    十神「……苗木、信じられるか…?」





    十神が見たものは……






    苗木「え……!?」

















    顔の中心に深く包丁が刺さった山田一二三の死体だった。
  16. 19 : : 2014/09/09(火) 14:41:07

    苗木「ど、どうなってるの…」


    十神「行方不明だった山田が帰ってきた上に、殺されていた。一体何が…」


    霧切「こ、これは……どういうことなの…?」




    駆けつけた霧切。
    突然姿を消したと思えば死体になって帰ってきた山田を見て、さすがに冷静ではいられないだろう。




    十神「俺たちにもわからない。だが…セレスを火だるまにしたのはおそらく山田だ」

    苗木「や、山田クンが?」


    霧切「…一旦、食堂に戻りましょう」







    セレスの死体は全身に包帯を巻いて彼女の部屋に持って行った。

    山田の死体は顔に包帯を巻き、同じようにした。





    葉隠「なぁ…マジでどうなってんだ!?みんないなくなるし死ぬし焼けるし…何が起きてんだべ!?」


    大神「本当に…何が起きているのだ」


    腐川「も、もう終わりよ!!アタシたちは全員死ぬのよ!!」


    朝日奈「えぇ!!?」


    苗木「お、落ち着いて。これからどうするかを考えなきゃ…」

    十神「…その通りだ。死にたくなかったら、今生きている俺たちのことを一番に考えるべきだろう」











    霧切「私たちの中に、殺人鬼がいる…」


    一同「「「!?」」」










    霧切「…あくまで推測よ。けど、あり得なくはないでしょう?」

    十神「もしくは、突然いなくなったうちの誰かだな」




    大神「や、やめないか。我らは互いに疑いあってはならん…このような時こそ皆で心を合わせるべきだろう」

    葉隠「そ、そうだべ…」

    苗木「そうだよね…これ以上誰かが犠牲になるのは、見てられないよ…」

    苗木「それに…僕らはみんな食堂にいたんだ。セレスさんを殺すことも山田クンを殺すこともできないよ」







    それからしばらく話し合ったが結論は出ず、夜時間も近くなったので各自部屋に戻ることにした。









    苗木「僕らの中に殺人鬼が…」










    考えたくない。

    けど…疑ってしまう。







    苗木「…ん?」


    ベルが鳴る。




















    葉隠「な、苗木っち〜…」


    葉隠クンが力の無い声で控えめにドアを開けた。


    苗木「ど、どうしたの?」
    葉隠「た、頼む〜!部屋に泊めてくれ〜!!」

    苗木「…へ?」






    必死に懇願している。

    あのセレスさんまで犠牲になって、ついに耐えられなくなったのだろう。







    苗木「う、うん。まぁ…いいよ」

    葉隠「ほ、ホントか〜!ありがとな〜!」
  17. 24 : : 2014/10/08(水) 13:28:07

    僕はまた、夢の中にいた。


    みんなが円を描いて、何か話し合ってる。


    セレスさんが自分の夢について語ってる。


    将来設計についての話し合いだろうか?





    モノクマ「では、張り切っていきましょう!」






    張り切る?何を?







    セレス「それでは皆様、また来世でお会いしましょう」








    え?ちょっと、




    セレスさん?どこ行くの?








    そこで僕の意識は途切れた。



















    苗木「ふぁあ…朝か。 あっ」

    苗木「葉隠クン、朝だよ」

    葉隠「ん、おお、朝か…よかった、何も起きてないべ」




    僕も葉隠クンも特に変わったことはない。


    僕と葉隠クンは。








    〜食堂〜

    霧切「朝日奈さん、落ち着いて。4階が解放されていたから、そっちに…」


    朝日奈「4階も探したの!!!」


    朝日奈「なのに…どこにもいないんだよぉ…」





    朝日奈さんが泣き崩れている。






    苗木「ど、どうしたの?」


    十神「大神が…いなくなった」


    苗木「えぇ!?」


    葉隠「ああぁぁ…やべぇべ」






    大神さんまでいなくなるなんて…どうしてなんだ?

    何か、共通点は無いのか?







    苗木「………夢?」





    もし、僕が見たあの夢が関係してるならば…




    議論に議論を重ねるが、答えは出ない。
    そうしてるうちに、また一日の終わりが近づいてくる。







    葉隠「もう嫌だぁ!!俺ァ耐えらんねぇべ!!」



    苗木「僕だって耐えられないよ…だからこそなるべく複数人で居ようって言ったんじゃないか」



    朝日奈さんは霧切さんの部屋にいる。
    十神クンと腐川さんが一緒にいる。



    苗木「…もう夜時間か、そろそろ寝ようか」

    葉隠「だべ。 …もう何も起きないでくれぇ…」
























    夜時間に入ってもうだいぶ経つか。


    葉隠「んんん…くっそ…」


    葉隠康比呂は目が覚めてしまった。


    葉隠「トイレ行くか…」





    ゆっくり部屋から出て、廊下を歩く。






    葉隠「一体…どうなってんだ。舞園っちがいなくなった日から立て続けだべ」

    葉隠「あ、そーいえば…」







    葉隠は妙な夢を見たのだ。


    それは、この希望ヶ峰学園の体育館での出来事。


    モノクマが現れて、大神を裏切者だと言った。


    裏切ったって、何を?


    何がなんだかよくわからないまま目が覚めて今に至るのだ。


    鏡を覗くと、やはり少しやつれている。
    精神的に参っているのだろう。










    その時だった。


    バン、と廊下側から扉を開く音がした。





    葉隠「え?」






    振り向いた葉隠は、驚いた。
    それと同時に、ある記憶が蘇った。







    葉隠「あ…あああああ!!!」



    大神「葉隠よ…すまない」









    頭から血を流す大神さくら。










    葉隠「あ…あれは…し、しし仕方なかったんだ!あれは、その、」


    大神「我は…全てを許そう」


    葉隠「く、来るな、来るなぁぁぁ!!!」






    狭いトイレの中逃げる葉隠。

    だが、どのトイレも個室が開かない。

    まるで壁に描かれた扉の絵であるかのように全く動かない。








    葉隠「な、何でだ!!何でだよ!?」


    大神「葉隠よ…」


    葉隠「がっ…あっ…」








    首を掴まれ、持ち上げられる。

    必死にもがくも無意味。









    葉隠「ゆ、許してくれ…た、頼む…」


    大神「我は…全てを許そう…」



    大神「そして……すまぬ、葉隠…」














    葉隠康比呂の首は大きな音を立てて異常な方向に曲がった。
  18. 25 : : 2014/10/14(火) 03:50:34



    ーーー大神さんの自殺だったんだーーー


    それは、僕の声だった。


    大神さんは自殺?科学室の毒を飲んで?


    そもそも、僕は一体何を喋ってるんだ?


    心とは反対に口が勝手に動く。


    あ、珍しく十神クンが驚いてる。


    あれ?あのパソコンは何だ?


    ディスプレイに不二咲さんが映っている。


    あ、壊された。



    …ていうか、


    ここ、どこ?
























    苗木「ん…」

    夢から覚めた。




    苗木「あれ、葉隠クン?」

    葉隠クンがいない。
    もう食堂行ったのかな?











    ドアを開けると、十神クンが物凄い形相で立っていた。












    十神「な、苗木…腐川を見なかったか!?」


    苗木「腐川さん?いや見てないけど…」


    十神「あいつが…いなくなったんだ」


    苗木「え…」


    十神「あいつは…確かに、俺の身体に纏わり付いて寝ていた。だが…俺が1時間ほど仮眠をとっていて、起きたら消えていたんだ…」



    そんな遅い時間まで起きてたのは、自分が消えることを恐れてか、腐川さんのことを心配してか。





    苗木「僕も探すよ!葉隠クンも見つけたら協力して…」

    十神「…? 葉隠はお前の部屋にいるんじゃないのか?」

    苗木「…」

    十神「…」







    苗木「……葉隠クンも消えたの…?」


    十神「くそ…何がどうなっている!!!」





    それから霧切さん達を起こしに行って、皆で葉隠クンと腐川さんを探した。
















    葉隠クンは男子トイレに、腐川さんは3階の娯楽室にいた。


    2人とも、死体で。
  19. 26 : : 2014/10/17(金) 04:59:18

    〜娯楽室〜


    十神「腐川!!」



    鈍器で頭を殴打されたようだ。




    朝日奈「腐川ちゃんと葉隠…あとはアタシたち……」

    朝日奈「ど、どうなっちゃうの…?」


    苗木「希望を捨てちゃダメだ!何か…」






    苗木「……夢と違った?何で」






    朝日奈「苗木?」
    霧切「苗木君、心当たりがあるの?」





    苗木「やっぱり……あの夢だ…でも何で2人が…」








    十神「おい苗木、聞いているのか!」

    苗木「夢だ」

    十神「何?」






    苗木「僕は最近ずっと奇妙な夢を見てるんだ。
    狭い部屋で、みんなが円を描いて立って、モノクマもいる。
    それで…どんどんいなくなっていくんだ。始めは大和田クンが死んだあの日の夜、大和田クンが不二咲さんを殺した」



    朝日奈「お、大和田が不二咲ちゃんを?」


    苗木「うん。その日の朝に石丸クンたちが…」

    霧切「いなくなった」

    苗木「うん。セレスさんと山田クンが死んだ日、また同じ夢を見た。山田クンを殺したって…」



    十神「昨日も夢を?」

    苗木「うん。また同じ場所。大神さんが自殺したって…夢の中で僕が言ってた」

    朝日奈「さくらちゃんが自殺!?」

    苗木「僕は…この夢と今起きていることは何か関係があるんじゃないかって思うんだ」





    霧切「舞園さんや桑田君のことは、何かわからない?」

    苗木「それは…わからない。けど舞園さんがいなくなったあの日、桑田クンは彼女を殺す夢を見たって言ってた」


    朝日奈「あっ…確かに…」




    霧切「あなたの夢で容疑者だった人が、現実では被害者になっている……」

    十神「そのようだが、葉隠と腐川は…どうなんだ?」



    苗木「わからない…夢自体が断片的すぎて…」

    霧切「…そうね。その方はまた明日報告してちょうだい」

    苗木「…わかった」







    結局何の解決も無いまま時間だけが過ぎた。

    その日も同じ夢を見るだろうと、僕はそう思っていた。










    夢の中で、僕はナイフを手にしていた。

    僕の意思とは反対に足が勝手に動き、部屋を出た。





    こんなもの持ってどこにいくのかと思ったら、隣の霧切さんの部屋だった。

    ドアノブをひねり、ドアを引く。





    霧切さんは驚いた顔をしている。





    僕は持っていたナイフを前に突き出した。

    霧切さんは僕から必死に逃げる。

    こんなに焦る霧切さんは二度と見られないだろう。




    勝手に動く僕が霧切さんを部屋の隅に追い詰めた。

    霧切さんはそんな僕を見て、恐怖に引きつった顔をする。

    殺される。怯え、僕に許しを乞う。









    ────お、落ち着いて、あれは…あなたを助けるために────










    それについて僕には全く覚えがない。
    それでも身体はナイフを構えて彼女に一歩ずつ近づいていく。





    ナイフが、ついに霧切さんの喉を掻っ切った。

    僕を見て口をパクパクさせ、喉をヒューと鳴らし、涙を流している。

    切る。何度も切りつける。

    彼女は悲鳴をあげる。けど……僕はといえば、笑っていた。







    切りつけ、痛めつけながら、僕は笑っている。











    ふと、身体の痛みに気付く。


    自分の手を見ると、皮膚も骨も潰されたようにぐちゃぐちゃだ。


    よく見ると、足も同じだ。
    立っていられるのが不思議なくらい。








    上から頭に衝撃を受け、僕は夢の中で死んだ。







    苗木「ああああ!!!」

    目を覚ましたのは、6時を少し過ぎた時だった。



    苗木「霧切さん!!」

    僕はベッドから飛び出した。
    勢いよくドアを開けて廊下に飛び出すと、何かにぶつかった。







    霧切「……」


    霧切さんの腹に思いっきりタックルしてしまったようだ…。




    霧切「何をそんな急い……苗木君?何泣いてるの?」

    苗木「…良かった」

    霧切「?」






    苗木「霧切さんが…無事だった…」
  20. 27 : : 2014/10/22(水) 22:35:09

    霧切「私は生きてるけど?」

    苗木「よかった…あれは夢だった…」

    霧切「夢?」



    僕は昨夜の夢の話をした。



    霧切「そう…そんなことが」

    苗木「起きたら…びっくりして…」

    十神「何してるんだ?」

    朝日奈「苗木?なんか顔色悪いよ?」



    僕はまた夢の話をした。



    十神「なんだそれは…」

    苗木「僕も…不思議でならないよ」

    朝日奈「でも霧切ちゃんはちゃんといるよ?」

    苗木「何か…僕の思い過ごしだったのかな?」




    偶然あんな夢を見てただけ?




    苗木「何だろう…まぁいいや、食堂行こっか」






























    〜情報処理室〜


    十神「おい」

    苗木「うん」


    十神「食堂に行くんじゃないのか」

    苗木「うん、僕もそう思ったけどさ」



    みんな分かっているのだ。

    自分達が無意識にここまで足を運んだことを。

    何かに導かれるように全員無言で4階まで上がってきた。


    情報処理室のドアを開けて、最初に目に入ったものに全員が驚いた。



    何に驚いたのか。
    その有様か?それがつい最近まで定期的に出てきたものだからか?それとも、あまりにも意外だったから?





    サバイバルナイフで全身をズタズタに切り裂かれた江ノ島盾子の死体がだらしなく倒れていた。
  21. 28 : : 2014/10/26(日) 16:11:04
    すごくおもしろいです!!
    期待です!
  22. 29 : : 2014/11/03(月) 00:03:40

    苗木「うっ!?」



    突然の頭痛。

    僕だけじゃない。十神クンも霧切さんも朝日奈さんも。



    それは、頭に流れてきたわけじゃない。

    単純に、僕らが忘れていただけ。






    超高校級の絶望を名乗る女との戦い。

    僕らが見つけた希望。

    蘇った記憶の断片たち。







    苗木「……みんな」

    十神「…ああ」



    みんなが頷く。



    十神「…そうだった。俺達は…気づかないうちに幻想の中にいたのかもな。」



    十神クンが江ノ島盾子の死体に近づく。

    死体の手に持ったそれは、玄関の起動ボタンで間違いないだろう。




    霧切「既に…全部終わっていた、ということかしら」

    十神「さぁ…どうだかな」






    江ノ島盾子は死に、記憶は僕らの中にある。












    …………ただ、何か大事なことを思い出せないような。
  23. 30 : : 2014/11/03(月) 00:45:07

    霧切「苗木君?」

    苗木「え?」

    霧切「何してるのよ?行くわよ」

    苗木「ああ、うん」







    ………妙だ。

    何かを忘れているような。


    僕の記憶が正しければ、葉隠クンと腐川さんも一緒にここから…




    何か、腑に落ちない。




    僕らは本当に思い出したその記憶通りに生きているのだろうか?

    記憶とは別に新しい未来を生きてる?





    朝日奈「苗木?置いてくよー?」

    苗木「あ、今行くよ!」







    〜玄関ホール〜



    十神「さて、ここたら出たらさぞ大変だろうな」

    朝日奈「ドーナツ屋さん行きたいな…」

    十神「あるわけないじゃないか」

    朝日奈「自分で作るもん!」



    十神「そうか…それしかないだろうしな。全て片付いたら俺も手伝ってやるよ」

    霧切「フッ……そうね」






    十神クンがボタンを押すと、音を立てて鉄の門が開き始める。



    何かを思い出せない気もするけど、それはきっとみんなで協力していくうちに思い出せるだろう。



    みんなが歩き始める。


    僕も歩き始める。












































    その時、僕は何かに足を掴まれた。



    苗木「?」




    振り向く間もなく僕は前に倒された。




    苗木「うわぁ!」




    首だけを傾けて何とか振り返る。

    途端に僕は戦慄した。




































    僕を押し倒したのは、白目を剥き、歯も骨もボロボロに砕けた、全身痣だらけの桑田怜恩。


    僕の足を掴もうと必死で近づくのは、全身がドロドロに溶けた大和田紋土。


    目を真っ赤に染めて僕の身体にしがみ付こうとする、爛れた皮膚をボロボロ落としながらフラフラと歩くセレス。


    全身がぐちゃぐちゃになり、笑い声とも呻き声とも言えない叫びをあげながら自分の身体を引きずる江ノ島盾子。














    桑田「しカタ……なカッたンダ…オれは…オレハ……」


    大和田「スマネェ……すマネェ…スマネェ……オレハよワい……」


    セレス「ワタしの…ユメガ…わたワタシのゆユメガがあァァぁァァ!!!」


    江ノ島「ゼツボウシロ……ぜつボうしろ……ゼつボゥしロ……!!」








    苗木「うわ、うわああああああ!!!!」








    振り払っても振り払ってもしがみ付いて離さない。

    身体がドロドロの大和田でさえも必死に僕を抑えようとする。





    苗木「うぐっ」




    桑田怜恩のボロボロになった手で顎を上に上げられる。















    セレスさんが僕の喉に喰らいついた。















    声が出ない。


    視界が霞む。


    口の周りを赤黒く染めたセレスさんが掠れた声で高らかに笑っているのが聞こえる。










    ああ……思い出した。





















    『君の名前だよね。桑田怜恩君…』




    『そうだよね?大和田紋土君!』




    『一人だけ名前を明かしていないセレスさん!!』

















    僕はいつだって、誰かを救う代わりに誰かをその声で犠牲にしてきた。







    視界が赤く染まる。

    声も聞こえなくなる。

    痛みを感じなくなる。







    意識が………完全に切れた。

































































    ツケが自分にまわってきた。








    …………それだけの話。




    END
  24. 32 : : 2014/11/03(月) 10:51:22
    お疲れ様です!
  25. 34 : : 2014/11/18(火) 22:22:08
    せつなすぎだってばよ…
    引き込まれました!! 乙です!!
  26. 41 : : 2017/06/05(月) 09:11:05
    世界観と言うか文の魅力が凄かったです!
    お疲れ様です

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