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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品は執筆を終了しています。

あなたの命のために──87祭り──

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  1. 1 : : 2014/08/05(火) 01:50:27
    8月7日  バーナー祭り開催

    http://www.ssnote.net/groups/553/archives/2


    こちらに参加の作品です。
  2. 2 : : 2014/08/05(火) 01:52:30




    朝、目を開け周りを見る。



    明かりがある。



    この生活が当たり前じゃない、そんな淵の仕事に就いている。



    後悔?そんなものあるわけないじゃないか。



    可愛い可愛い巨人と触れ合えるのだから。



  3. 3 : : 2014/08/05(火) 02:01:08



    朝のまた閉じそうな目をこじ開けるように外に出る。


    目の前が明るすぎて真っ白になる。


    「あ、分隊長。今日も早いですね!」


    声が聞こえた。この声は……モブリット。


    私に早いとか言いながら私より遅くに起きた試しがない。


    非常に忠実で優秀な部下だ。


    たまに私を止めるのが玉に瑕だが。


    「ああおはよう。何せ今日は壁外調査だからねっ。わくわくするよ」


    「少しは身の危険も感じたらどうですか……」


    呆れた目でこちらを見てくるモブリット。


    「ははっ、面白い冗談を言うようになったね」


    「笑い事じゃないですよ……」


    頭を抱えるモブリット。


    そう、私も頭では分かっている。


    自分がいかに危険で無謀であるか。


    でも、探究心は止められないから。


    だから、私はまた続ける。


    「さ、準備するかっ」


    雲一つない、どこまでと行けそうな澄み渡る青空を見上げ、明るく言った。


  4. 7 : : 2014/08/09(土) 00:03:06



    上を見上げる。すると、先ほど見た澄み渡る空を遮るものが目に入る。


    私達の生命線、ウォールローゼ。50mの壁だ。


    ベルトルト・フーバーとライナー・ブラウンと言う104期の訓練兵によりウォールマリアが突破された今、なんとしても死守しなくてはならない。


    開閉門の前に馬の上に乗った調査兵団員がずらりと並ぶ。


    「いいか、ここで我らが絶対領土を獲得するのだ!ここで進まなければこの調査の意味はない!!」


    「開門…始めぇぇっ!!」


    その一言で開閉門が開かれる。


    今、壁外調査が始まる──。


  5. 8 : : 2014/08/09(土) 00:20:09


    疾る風、揺れる木々──。



    壁内と同じことなのにどこか解放感に包まれている。


    巨人に会えるだけでなく、この澄んだ景色を味わえるのも好きなのだ。


    不意に腹の奥にずんと響くような音がする。


    信煙弾だ。


    「モブリット!」


    並走してる部下を大声で呼ぶ。


    「何ですか分隊長!?」


    向こうも叫び返して来る。風の音で遮られるからだ。


    「今回の記念すべき初巨人、会っ」


    「駄目です」


    「はやっ。良いでしょ?」


    「駄目です。あなたは分隊長の自覚を持って下さい!!!」


    ……言い返せない。


    「チッ」


    「今明らかに舌打ちしましたね!?」

  6. 9 : : 2014/08/09(土) 21:23:34



    「おいてめぇら」


    後ろから怠そうな声が聞こえる。


    「今ここが壁外だと分かっているのか?……うるせぇぞ」


    「あ、リヴァイ!そんなこと言わずに……」


    声の主、リヴァイを説得しようとしたその時。


  7. 10 : : 2014/08/09(土) 21:25:30

    またしても腹の底に響くような音──。


    しかし、今度は一発じゃない。


    二発、三発──。


    黒の煙弾が左の空を染めてゆく。


    「……今度は何だ?」


    イラついた顔で舌打ちするリヴァイ。


    ……こんな異常事態、歓迎出来るわけがない。
  8. 11 : : 2014/08/09(土) 23:00:04
    キースさん☆バーナー祭りにご参加ありがとうございます♪
    すっごく嬉しいです!!
    そして最初からとっても雰囲気が良くて、引き込まれました♪
    続き、まったり頑張って下さい(*´∀`)
  9. 12 : : 2014/08/10(日) 10:36:02
    ロメさん見ていただきありがとうございます。
    こんな駄作にお気に入りまで……すごく嬉しいです。
    遅くて申し訳ないのですが、頑張らせていただきます。
  10. 13 : : 2014/08/10(日) 10:46:45

    突然、左手から馬が駆けて来る音が聞こえる。


    「口頭伝達ですッ!左翼前方から15m級を筆頭にその他大勢の巨人が出現ッ!以上を右に回して下さいッ!」


    ……え?巨人……大勢…?


    唖然とした。


    そんなことがあって良いのだろうか……?


    「ハンジ」


    リヴァイの声で我に帰る。


    「あぁ、ごめんよ。モブリット、回してくれ」


    「承知しました」


    そう言い右に馬を向かわせる。


    「ハンジ。こうなったらアイツはどういう判断を切ると思う?」


    アイツとはエルヴィンのことだ。


    「さぁ……多分切り上げるんだろうとは思うけど……」


    「ふん、逃がしてくれねぇってか」


    「恐らくね」


    そう。退却しようと後ろに退いたところで追い掛けてくるだろうし、壁を見たら壊そうと思うのが普通だ。


    それなら、今は標的を少人数の調査兵団にさせた方がマシだ。


    ただ……。


    「左翼には、エレンが居たよな…?」


    非常事態に備え、敢えてエレンを中央ではなく左翼に置いていたのだ。


    裏目に出た。
  11. 14 : : 2014/08/10(日) 10:51:40


    「この状況でのアイツの判断は恐らく……囮を退却させるだろうな」


    「あぁ……だけど、その囮が見つからない上に、無駄死にさせるだけかもしれない」


    万事休す。こうなったら──。


    「……チッ、面倒くせぇな」


    そう言い、身を翻し左に向かう。


    「モブリット!!行くよ!!」


    「勿論です!」


    左翼に決死の覚悟で援護に行くしか、無い。


    相手は巨人──いや、巨人の皮を纏った人間だ。


    それでも構わない。


    こちらの邪魔をするからには、今だけでも危機を防がなければ……!
  12. 15 : : 2014/08/14(木) 12:48:43
    期待
  13. 16 : : 2014/08/19(火) 02:15:34

    凄惨。その一言に尽きる状態だった。


    大量の巨人が最後まで抵抗する見知った仲間たちを貪り食う。


    地面には血が滲み、肉片が落ちている。


    「チッ……ひでぇな」


    そう言い、リヴァイが馬から飛び立った。


    「あ、リヴァイ!?」


    慌てて追いかける。


    「分隊長!!」


    後ろからモブリットの声が聞こえた。


    「なんだい!?」


    大声で叫び返す。


    「ざっと見ただけでも巨人は10を優に超えてます!!さらに続々と来ている様ですし……今中心に飛んでは危険です!!」


    言われて周りを見渡す。


    リヴァイが一気に倒しているが、それでも間に合わない。


    見るところ巨人で埋め尽くされる。


    どこかで見たことがある。これは──。


    女型を保守しようとした時の光景だ。


    「──分かった。降りよう」
  14. 17 : : 2014/08/19(火) 02:21:48


    未だに闘っている仲間たちに声をかける。


    「みんな!!一旦距離を取る!!全員こちら側に回ってくれ!!」


    「ハッ!」












    ……上手く切り抜けられたみたいだ。


    とりあえず信煙弾を打ち上げる。撤退の色だ。


    そこから行動を考えても遅くはないはずだ。


    「分隊長」


    「んあ?」


    集中から一気に引き戻されたので思わず間抜けな声を上げてしまう。


    「エレンの身柄ですが……今、右前を進む15班に居る様子です。他の104期も全員そこだ、と」


    「分かった。ありがとう」


    そう告げ、馬を疾らせながら上を見上げる。


    行く時に何もなかった空は、どんどん翳りが増え、今にも雨が降りそうな重たくはち切れそうな色をしている。
  15. 18 : : 2014/08/19(火) 02:26:56


    そう言えば、何故左翼にエレンがいると……


    何故女型の時と違って誰も呼んでいないのにあんなに巨人が……


    「あっ」


    「分隊長どうしました?」


    「分かったよモブリット。何故あそこに巨人が集まったか、エレンは無事なのかも」


    そう、あんなに一杯巨人が向かってエレンが無事なことがおかしいのだ。


    これで全てのピースが埋まった。


    「15班を全員呼んでくれ。ここに」


    「え?でも……」


    「至急!!今すぐ!!」


    「は、はいッ」
  16. 19 : : 2014/08/19(火) 02:37:37


    疾りながら集まった15班に問い出す。


    「ミカサ」


    「はい」


    「巨人はそこに来なかったよね?」


    「ええ。だから退却の信煙弾が上がった時は少し驚きました」


    「……だろうね」


    やはりだ。だんだん見えてきた。


    「エレン」


    「はい」


    「君の地下室の鍵、どこにやった?」


    「えっ……」


    言葉をなくすエレン。


    ちらりと横を見やると唖然とした顔で胸元にぶら下げた紐を手で弄ぶかのように見ているエレンが目に入った。


    「やっぱり。君のその鍵、ある人に奪われたんだ」


    「今回左翼索敵を壊滅させたのは二つ理由があると考えられる。一つは、ベテランや有能な兵士を殺すこと。そしてもう一つは──」


    そこで一呼吸置き、続ける。


    「もう一つは、エレンから鍵を奪うこと」


    そう言い見渡す。


    やはり皆一様に唖然としている。


    「油断したよ。まだ巨人が居るとは思ってなかった」


    「ねえ、そうだろう?アルミン・アルレルト?」

  17. 21 : : 2014/08/19(火) 08:39:18
    期待です!
  18. 22 : : 2014/08/24(日) 11:59:05


    「………え?」


    アルミンは突然自分に振られて驚き、頭に疑問符が浮かぶ、という表現が似合う表情をしている。


    「え、ちょっとハンジさん!?アルミンがそんなことする訳ないじゃないですか!!俺は子供ん時から知ってるんですよ!?」


    エレンが食いつく様に言い返してくる。


    「ああ。知っている。"そっちの方"のアルミンはそうだろうな」


    「──ハンジ分隊長。言っていることがよく分からないけれど、アルミンを犯人に仕立て上げるつもりなら……」


    そう言いミカサがブレードを引き抜く。


    「ははっ、ちょっと待ってまだ言い終わってないからさ!!全部聞いてから私をどうするか決めてくれよ」


    「………分かりました」
  19. 23 : : 2014/08/24(日) 12:08:22


    「いいかアルミン。君には二つの人格が存在している。一つは今の君だ。そしてもう一つは……」


    反応を伺いながら一呼吸置く。まだ大丈夫だ。


    「もう一つは、エレンのお父さんに注射された時にできた人格だ」


    よし、まだ大丈夫。


    「そし──」


    「ちょっと待って下さい!俺の父さんはアルミンにも注射をしたって言うんですか!?」


    「そうだ。そして、その注射は、エレンほど真っ直ぐで強い心の持ち主なら耐えられた。でも、アルミンの様に心が弱い……言い方が悪いけど我慢してね……心が弱い人には、もう一つの人格を形成させるんだ」


    皆口をぽかんと開け、驚愕を表情に表している。


    「でだ。人格というのは恐らくライナーみたいな感じで無いと思う。多分だけど──もう一つの声に支配される、そんな感覚だと思う」


    「もう一つの……声…?」


    「そうだ。その声がアルミンの頭を支配して、アルミンは従っているんだと思う」


    アルミンを見据える。アルミンもこちらを見返せしてくる。死んだような目で。


    「どう?合ってた?」


    「流石はハンジ分隊長……ってとこかな。寸分も違わないよ」


    泣きそうな目で、しかししっかりと挑発するような口調で言ってくる。


    おそらく、喋っているのだけがもう一つの人格なのだろう。

  20. 24 : : 2014/08/24(日) 12:16:39


    「まあ、バレたんだからあんた達全員生かしておけねえわな。ここで死ね」


    そこで言葉を切ったかと思うと、耳をつんざく不快な音がした。アルミンが叫んだのだ。


    アニの時と同じように。


    「みんな、逃げろ!巨人が来るぞ!!」


    皆我に帰り、弾かれた様に馬を全速力で飛ばし始める。


    「分隊長!?」


    しかし尚も動かない自分を見てモブリットが声をかける。


    「考えてみなよ。今獲物が壁に戻ったら巨人が入ってくるよ。だから私は残るよ」


    「大丈夫、そんな顔しなくても、私は生きて帰る。約束するから、さ?」


    モブリットは口を結び下を向いている。


    そして怒鳴った。


    「あなたとの約束なんて何回破られたと思ってんですか!?」


    ……確かに。


    「それに、それに……死んだら困りますよ」


    「お、困ってくれるのかい?流石モブリ──」


    「そういう意味で言ったわけじゃないですよ」


    涙を浮かべた目できっと見つめてくる。


    「ハンジ分隊長、あなたは僕の心の支えです。あなたの下について僕は死ぬ様な経験を何回もしました。けれど、けれど──あなたが居たから頑張れました」







    「ハンジ分隊長、あなたが好きです」
  21. 25 : : 2014/08/24(日) 12:24:22


    顔が熱くなるのが自分でも分かる。


    「なッ……そ、そんなことッ……今ここでッ……」


    恥ずかしくて言う言葉ひとつ思い浮かばない。でも、すごく嬉しかった。自分と同じ想いを抱いてくれていたことに。


    「ありがとうモブリット。私も同じ想いだよ。絶対に生きて帰ろう」


    そう言いモブリットの口に自分の口を重ねる。




    その時。足音が響いてきた。


    「ようやく来たか」


    モブリットでも私でもない声がする。


    声がした後ろを振り向くと……


    「リヴァイ!?いつから!?」


    「お前が赤くなっている時からだな。今も真っ赤だがな。ふん、てめぇにもそんな感情があったとは驚きだ」


    「え、ちょっ……」


    「あと、見てたのは俺だけじゃねぇぜ」


    「え……?」


    リヴァイの視線を追う。


    「ちょ、アルミンまだ居たの!?ちょっともう……」


    一応アルミンは別人格だけど、恐らく記憶には残っているだろう。


    「じゃれ合いは終わりだ。行くぞ」


    そう言いリヴァイは巨人に向かって駆け出す。


    「ハンジ分隊長。もう無茶はしないで下さい。死にそうな時は呼んで下さい。いつでも駆けつけます」








    「──あなたの命のために。」
  22. 26 : : 2014/08/24(日) 12:24:42





















  23. 27 : : 2014/08/24(日) 12:27:35


    「ねえモブリット」


    「はいはい」


    「アルミンの研究結果が出たんだけど、やっぱり陽性だった」


    「陽性か……まだまだ先は長いですが、これを解決すれば人類にも光が差しますね。頑張りましょう」


    「ああ。アルミンのあの注射さえ分かればなんとかなると思う。だからうん。頑張ろう」


    そう言い見つめ合い、そして再び、今度はゆっくりと口を重ねた。
  24. 28 : : 2014/08/24(日) 12:28:01







    Fin.






  25. 29 : : 2014/08/24(日) 12:31:11
    ようやく終わりました。
    更新が遅くて申し訳ないです(汗
    そして原作にない設定を付け加えてしまいましたが、原作ではアルミンは注射されていません。いまのところ。


    あと、見やすさの為に途中のコメントを非表示にさせていただきました。

    きちんと読んでいます。コメントやお気に入りをもらえたので頑張れました(๑و•̀ω•́)وありがとうございました。


    少し設定ぐちゃっとなってしまいましたが、自分では良い感じかなぁとおもえます。

    閲覧、応援ありがとうございました!!
  26. 30 : : 2014/08/24(日) 12:37:44
    執筆お疲れ様でした!!
    アルミンの設定に衝撃を受けたと思ったら、モブリットの告白…
    息つく暇のない場面展開に、目が離せませんでした!

    とっても読みやすくて、ハンジやモブリットは勿論、アルミンもリヴァイも原作にあるような雰囲気そのままで、本当に私得なお話でした(〃ω〃)

    87祭りにご参加ありがとうございました♪
  27. 31 : : 2014/08/24(日) 12:40:10
    >>30
    そう言っていただけると書いた甲斐があったって思えます。
    ありがとございます!!

    ……本当に遅くなってすみません(汗
    87から二週間以上……orz
  28. 32 : : 2014/08/24(日) 12:44:11
    教官にお祭り参加頂けて、本当に嬉しかったんですよ~(〃ω〃)
    謝らないで下さい!!とってもいい作品を読ませてもらって、ありがとうございました♪
    これからも期待しています(^-^ゞ
  29. 33 : : 2014/08/24(日) 12:47:58
    そ、そんな嬉しいなんて!←

    そろそろ放置も仕上げなきゃと思ってるんで駄作ですけど読んでいただけたらいいな←宣伝
  30. 34 : : 2015/03/05(木) 20:41:46
    面白い
  31. 35 : : 2015/04/03(金) 09:24:45
    >>34
    あざす
  32. 36 : : 2018/03/26(月) 16:49:09
    わしに女紹介してくれ若いの。

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calpisoishiine

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