『孤独の王様』(リヴァハン)
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- 1 : 2014/07/19(土) 12:10:00 :
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こんにちはっ♪
今回は、リヴァハンのssを執筆していこうと思いますっ。
この二人の関係について上手く書いていきたいですね、はいっ(笑)
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執筆が終了したら、コメント欄は解放しますね~
超亀さん更新ですが、暖かい目で見守ってくださいm(__)m
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- 2 : 2014/07/19(土) 12:57:30 :
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ーだから、嫌いなんだ。アイツなんて……
ふと、目を覚ますと辺りは薄暗く否応なしに静かだった。
ひんやりとした冷気を含む風が何日間もお風呂に入っていない乾燥した私の肌を撫でる。
窓から僅かに朝日の光が注いでいることで、まだ早朝なのだと気づく。
季節はもう冬に差し掛かったところだ。
寝間着のような薄い服を着たまま、机で寝落ちしたらしい私は少し体が重たい。
何か……喉に痛みもあり、体の内側が熱いし、ぼんやりとするよう気がしてならない。
もしかして、風邪でも引いたのだろうか?
あぁ…やっちゃったなと、ふと思う。
まだ提出する重要な書類にも手をつけておらず、仕事が溜まっている。
残念なことに私の有能な副官は実家に帰省中だし、班の皆はまだ寝ている時間だろう。
誰か通りがかってくれないかなぁ……自室に戻れないし。
ハンジ「どうしようっかな……」
此処は、兵団の食堂か……。
どうして、食堂なんかに私いるんだろう。
仕事する時は自室でしっかりやるって、決めてるのに。
頭がジンジンと鈍く痛い。
重たい思考をゆっくりと回しながら考えるが、昨日から何をしていたかまったく覚えていない。
仕事に追われていたぐらいしか……。
ハンジ「まぁ、いいや。少しだけ寝ようっと…」
風邪を引いて体調が悪い時は寝るに限る。
ふわふわの柔らかくて暖かい自室のベットで寝たいとこだが、体を動かそうとすると上手く力が入らない。
一人で自室まで行くのは難しい。
ーそういえば、アイツ何処にいるんだろう……?
微睡んでいく意識の中、アイツのウザい声が聞こえた気がした。
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- 3 : 2014/07/21(月) 16:32:08 :
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ー消えていく。跡形もなく、散っていく……。
この壁外の世界は、私達人類にとってひどく無力で、また心が震えるほどに美しい場所だ。
未知の世界を冒険するようなそんな感覚。
実際、"巨人" が闊歩する壁外の世界では、そんな呑気なことを言っていられないのだが。
気を抜けば、すぐ#ぬ。
どんな実力者だって、何が起こるか分からない……そんなところだ。
その分、世界は私達の知らない表情を見せてくれる。
壁外の世界は好きだ。けど……
同じ意思を志した者達……彼らが次々と消えていく、そんな世界を私は好きだなんて言えるのだろうか?
血の雨に濡れて、彼らのその呆気ない終わりを見て、彼らとの思い出を引きずって、親しい者達の哀しみに暮れる姿を見て……私がそんなこと言える訳がない。
"巨人" がいるから……、だから、こうなる。
なら、駆逐すればいい。
彼らの命を奪った憎き忌々しい "巨人" を駆逐すればいい。
私が壁外の世界を好きと言えるような、そんな世界を作り上げればいい。
簡単なことなのに、上手く行かないのが現状だけど。
絶対にやってやるさ。
ー見てろよ、巨人共め……。
*
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- 4 : 2014/07/23(水) 13:20:46 :
*
視界が暗転、廻った。
ハンジ「……ハッ!!!!?」
目が覚めたのと同時に、自分の上体にかけられていた物を蹴飛ばした。
その物は……ふ、布団?
しかも、私がいつも使っている布団、何で?
???「……起きたか、クソメガネ」
不機嫌そうな低い声が、私を(私のアダ名らしい)呼んだ。
その声は、顔を見なくても聞いただけで分かるほどに憎たらしい奴の声だ。
一応、顔を上げるとそこには、目付きが悪くて、機嫌も悪くて、言動も悪くて、顔はそこそこ良い……クソチビのアイツ、リヴァイが仁王立ちして私を見下ろしていた。
ハンジ「うわ~っ、寝覚め最悪……」
リヴァイ「誰がテメェのこのクソ汚ぇ部屋までお前を運んでやったと思ってんだ……、クソが」
吐き捨てるようにそう言ったリヴァイは、私の私物を踏みつけながら、椅子にどっしりと腰を下ろした。
暴君め!
ハンジ「まぁ、それに関してはお礼を言うよ。ありがとう」
珍しく素直な自分に驚きつつ、お礼を言った。が!!!!
リヴァイはますます不機嫌に拍車がかかったようで……
リヴァイ「……気持ち悪ぃ」
と私の真正面を向いて一言呟き、そっぽを向いた。
うわっ、相変わらず嫌な奴だなぁ……。
何が気に入らないんだろう、はっきりしろつっーの。
ハンジ「ところでさ、今何時?」
リヴァイ「5時ぐらいだ」
ハンジ「あ~、やっちゃった。半日も寝てたなんて……」
仕事終わらせないとなぁ、有能な副官の雷が落ちてしまう。
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- 5 : 2014/07/23(水) 16:08:52 :
リヴァイ「随分とうなされてたな……。見苦しかった」
ハンジ「……ん、まぁ、悪夢だよ」
服は、汗でびっしょりと濡れていた。
まだ自分でも、呼吸が荒いのがよく分かる。
何で風邪とかひいたこのタイミング悪い時に、こんな悪夢見るんだろう。
ハンジ「っていうか、服変わってるんだけど……もしかしてリヴァイ、私に何したのさ!!!
半分、冗談なのだが……不機嫌さがさらに増した声が耳に障った。
リヴァイ「俺は何もしてねぇ……。着替えはペトラがやった」
あぁ、そういうこと。
ハンジ「なら、後でお礼言っとかないとね」
当たり前だ、といつにも増して無愛想に呟いたリヴァイを横目でチラリと見る。
足を組んで、まるで王様のように椅子に鎮座している。
……クソチビのくせして、座高高いなぁ。
端整に整った顔。
仲間への気遣いが篤い優しさ。
この世界では無類の強さを持つ頼もしさ。……クソチビは、案外モテる。モテまくりだ。
兵団内でも、兵団外でも、貴族でも、クソチビを狙っている奴は多いらしい。
クソチビの本性を知らないで、よくもまぁ、ぬけぬけと釣られちゃって、可哀想に。
本当のクソチビは……チビだし、細かすぎるほどに潔癖だし、言動は粗暴で横暴で暴君で、口を開けば「クソ」しか言わないような下品だし、リヴァイ様々な態度で、周りに人なんて、当然近付かない。
ーそう、まるで……『孤独の王様』。
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- 6 : 2014/07/23(水) 22:10:37 :
リヴァイ「何、見てやがる……」
横目で盗み見していたのが、バレたみたいだ。
勘の鋭い奴め……。
ハンジ「え、えーっと……いつまで此処にいるのかな?って」
リヴァイ「あぁん、いちゃ悪ぃのかよ」
こ、怖えええええええええええええっ!!!!!?
め、めめ、目付き!?
私、聞いただけ……聞いただけだってば!
ハンジ「もしかしてさ……昼間から、此処にいたの?」
さすがにそれは、ないだろう……このゴミが散らかっている埃まみれの部屋に長い時間いようだなんて……ましてや、潔癖性のクソチビだ。
リヴァイ「んな訳ねぇだろ!!!昼間から此処にいる馬鹿が何処にいる。俺はただでさえ、仕事溜まってんだ。今さっき来てばっかりだ。つーか、こんな汚ぇ部屋に俺が長時間いられるとでも思ってんのか!?」
おお……良かった。良かった。
さすがにそこまでは狂ってなかった。
そんな事があった日には、天と地がひっくり返って人類滅亡の日になるだろう。
ハンジ「いや、無理だろうね!」
リヴァイ「チッ……!」
少しキレ気味らしいリヴァイは、盛大な舌打ちをした。
怒ってる、怒ってる。
その姿を私はクソチビにバレないように、喉でくっくっと堪えながら笑った。
……いつもどおりのクソチビだ。少し不機嫌だけど。
カルシウム、もっと摂ればいいのに……。とは口に出さないが、そう思った。
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- 7 : 2014/07/23(水) 22:37:20 :
リヴァイ「笑ってんじゃねぇ……」
ハンジ「い、いや……ごめんって」
いい加減怒られるのは、勘弁なので謝っておく。
あぁ、面白い見世物だった。
リヴァイ「つーか、クソメガネ。そんなに喋る余裕あるなら寝とけ。病人だろ」
まぁ、病人だけど……。
意識はぼんやりとしているし、頭痛もひどい。
喉は少し痛くて、私の声だという感覚がない。
なによりも……悪寒が激しく、冬なら尚更体調が悪化していく。
ハンジ「そうだね、寝ようっと」
でも何だか怖いなぁ……何でだろう。
もう考えるのもおっくうだ。
寒い、怖い……風邪を引いたときに出る症状か何かか???
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- 8 : 2014/07/23(水) 22:46:39 :
リヴァイ「なら、俺は仕事に戻る。じゃあな」
ハンジ「待って……クソチビ。い、行かないで」
えっ……?
私、今何て……何て言った?
風邪だからでは、済まないような事を口走ったような……というか、口走った。
それと、何この手は。
布団からやっとのことで伸ばした手が、リヴァイの腕を掴んでいる。
私は呆気にとられつつも、揺れる視界の中リヴァイの表情を窺うと……何が起きたのか分からない、そんな怪訝な顔をした。
リヴァイ「……」
お互い黙り込み、相手を見つめる。
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- 9 : 2014/07/23(水) 23:11:06 :
先に口を開いたのは、リヴァイの方だった。
リヴァイ「……テメェ、"クソチビ"って、もしかしてもしかしなくても俺の事言ってんのか?」
ハンジ「う~ん、うん」
あぁ、ヤバい……いよいよ意識おかしくなってきた。
何かクソチビも怒ってる???
ハンジ「い、嫌ぁ……行かないでっ!」
リヴァイ「……」
その時、私よりも少し大きいがっしりとした手が私の手を握った。
それがリヴァイの手であることに、反応が遅れた。
……温かい。
"行かないで"。
私は確かに、そう言った。
手を握ってくれなんて、一言も言った覚えはない。
私が横たわるベットの上にリヴァイはゆっくりと静かに座った。
リヴァイの方を見上げるが表情は読み取れない。
何だか、おかしいや。
ー『孤独の王様』のクセして……何で、そんなに優しいの?
孤独だから、誰かと一緒に居たいの?それとも……ただの気まぐれ?
リヴァイは答えない。
どちらにしろ今の私には、どうでもいい事だった。
だって……居心地が良いから。
ーそういえば、クソチビと初めて会った時も……
握られた手は、ゆっくりと指を絡めていた。
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- 10 : 2014/07/24(木) 22:24:54 :
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ー思えば、クソチビとの出会いは最悪だった……。
私が『人類に心臓を捧げる兵士』として、調査兵団に入団してから早四ヶ月経ったころだ。
私は新兵ながらも討伐数を着実に延ばし、稀に見ない逸材として名を馳せていた。
変人奇人、ハンジとしての名が有名になったのは丁度その頃からだ。
そう……その頃だ。
何の予告もなく、クソチビが私達の目の前に現れたのは。
訓練兵団にも所属していなく卒業もしていないが、その強さは並みの兵士以上で、超イレギュラーの逸材、秘蔵っ子……と、限りなく根も葉もない噂は、その日調査兵団全体に回った。
兵士達の目の前で初めてその逸材とやらを見たときは、頬が引きつった。
まず、……チビ!!!!!!!
身長は明らかに私よりも低いし、目付きも悪いし、何か無愛想だし、怖いし……。
本当にこんな奴が兵士なのか?
確か、調査兵団の兵士達ほとんどが私と同意見の感想を述べていた。
……本っ当に驚いたが何よりも、クソチビは敬礼の仕方すらも知らないような奴だった。
『兵士』としての心構えすらない、所詮、幾ら強くてもそんな奴。
ハンジ「気に入らない……」
今よりも精神年齢がかなり幼かった私だ。
それは、もう敏感にクソチビのことなんて気に入らなかったし、嫌いだったし、ムカついた。
当時、青臭い理想を掲げていた私は、クソチビのその態度が腹に立って仕方なかった。
気に入らなくて仕方ない程に私が暴れていた時期だ……丁度、私とクソチビが初めて接触した、最悪の出会いがあったのは……。
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