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七夕の空に願いを込めて―調査兵の願い事―
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- 1 : 2014/07/02(水) 11:27:01 :
- もうすぐ七夕ですね
そんな七夕にちなんで、調査兵団の面々がさまざまな想い、願を、短冊に込めていきます
それぞれの決意、想いを短編でお伝えしていきたいと思います
今のところ、リヴァイ、ミカサ、ジャン、コニー、サシャ、ハンジ、モブリット、エルヴィン、べるとるさんを予定していますが、このキャラの願い事書いて欲しいな、というのがもしありましたら、教えて下さい(*´∀`)
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- 2 : 2014/07/02(水) 11:27:19 :
- サラサラサラ・・・
初夏の夜に爽やかな風
そんな風にのって耳に心地よい音が伝わる
調査兵団の修練場の片隅にひっそりと立てられている大きな笹
一年に一度、夜空を彩る天の川を、織姫と彦星が渡る逢瀬の時
人々は願いを込めて、笹に飾りをつけていく
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- 3 : 2014/07/02(水) 11:27:37 :
- ≪リヴァイ編≫
「笹飾りか」
リヴァイは手に小さな笹飾りと、短冊、と呼ばれた願い事を書く紙を持っていた
「願い事が叶う・・・わけがねえ。そんな夢物語は、子どものころから信じちゃいなかった」
リヴァイはぼそっと呟いた
目の前の、自分の身長をはるかに超える笹を見上げる
そのはるか上には
夜空を彩るたくさんの星たちが、きらきらと瞬いていた
「・・・願い事なんかねえんだ。だから俺は」
その星の中から何かを探し出す様に、目を皿の様にするリヴァイ
ある一方向に輝く、4つ並んだ星を見つけて、今度は目を細める
「お前らはそこに、いるんだな」
そうつぶやくと、リヴァイは短冊にさらさらと、文字を書いた
「お前ら、元気でやってろよ。俺がそっちへ行くまでな」
リヴァイはそう言うと、文字を書いた短冊と、天の川を模した金銀の吹き流しを、背の届く場所に結びつけた
そして、もう一度夜空を見上げる
「紅茶を、用意しておいてくれよな」
4つの星は、より一層、光を増して瞬いた様に見えた
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- 4 : 2014/07/02(水) 11:28:17 :
- リヴァイの短冊
『オルオ、天の川ではしゃぎすぎて溺れんなよ?エルド、彼女を置いていったからといって、浮気すんじゃねえぞ。グンタ、俺が行くまでリヴァイ班を頼んだぞ、お前が頼りだ。ペトラ・・・オルオと仲良くな』
夜空の星は、リヴァイの身体に温かな光を注ぐ
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- 8 : 2014/07/02(水) 14:56:09 :
- 《ミカサ編》
「…願い事…」
ミカサは静かな夜に一人、笹の前で立っていた
笹飾りのなすびと、短冊を手に、視線を夜空へ向ける
「私の願いは…ただ一つ」
ミカサはさらさらと、短冊にペンを走らせた
それを笹に括り付けようと、笹に手を伸ばした時、ふと一枚の短冊が目に入った
「私より先に、誰かが付けた…あっ」
その短冊が風でひらりと揺れた、その瞬間、短冊に書いてある名前が目に飛び込んできた
「兵長の、願い事…?」
ミカサはごくり、と唾を飲み込んだ
あの兵長が、短冊に願い事?
笑ってしまう
どうせ、身長が伸びます様にとか書いているに違いない
ミカサはくっ、と小さく笑って、意を決してリヴァイの短冊に手を伸ばした
その短冊を見たミカサは、目を見開き、小さく呟く
「…ち…兵長…」
そして夜空を見上げる
「皆、上に、いるのかな…」
ミカサは手を振ってみた
星がきらきらと、強く瞬いた、そんな気がした
「私の願い…」
ミカサは、短冊と、飾りのなすをリヴァイより上に括り付けた
「届くといい…ううん、届く、はず」
ミカサは夜空に向かって頷いた
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- 9 : 2014/07/02(水) 14:56:57 :
- ミカサの短冊
『私にエレンを守る力を下さい。そして、エレンが幸せになれますように。私の命に代えても…』
夜空の星は、ミカサに更なる力を与えるかの様に、強い光をミカサに注ぐ
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- 10 : 2014/07/02(水) 15:17:52 :
- 《ジャン編》
「短冊とか、笹飾りとか、七夕とか…普段散々血生臭ぇ事やってる俺たちが、なにやってるんだろうな」
ジャンはへっ、と自嘲気味に笑いながら、笹の前にいた
「こんなもんに願い事書いたからって、叶ったことなんて一度もねえんだよ。ったくよ」
吐き捨てるように言葉を発した
「…でもよ、今年は…お前が上に、いるよな…?だとしたら、どの辺にいるんだろうな」
ジャンは呟いて、夜空へ視線を向けた
「お前はソバカスだらけの顔だったからな。きっとぶつぶつのある星だろ。見つけやすいはずじゃねえか、なあ」
ジャンは必死に夜空へ目を凝らす
「…よく、見えねえよ…遠すぎて…見えねえ」
ジャンは、ぼそっと呟き肩を落とした
視線を手にもった短冊に向ける
「…俺はよ…感傷に浸ってる暇がねえ。お前の分まで、死ぬ気で…いや、死んだらだめか…必死で抗ってみせるさ」
ジャンはそう言うと、短冊にペンを走らせた
「願い事なんかじゃねえ。これは、宣言だ。見とけよ、マルコ…俺は…」
ジャンは短冊を握りしめ、視線を夜空へ向けた
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- 11 : 2014/07/02(水) 15:18:47 :
ジャンの短冊
『俺は諦めねえ。必ず、この世界を平和にしてみせる。マルコ、見ててくれよな』
一つの小さな星が、目映いばかりに輝く
そして、ジャンの背中により遠くまで飛べる、光の翼を与えた
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- 12 : 2014/07/02(水) 16:32:52 :
- 《ベルトルト編》
「七夕…かあ」
長身の青年は、自分よりも遥かに背が高い笹に目をやりながら呟いた
さらさらさら…心地よい音が風と共に鳴る
そして、その心地よい音を出す笹の葉が、青年…ベルトルトの頬をそっと撫でた
「わっ…」
ベルトルトはその感触に一瞬ブルッと身を震わせた
背がいくら高くなろうとも、意気地の無い性格は変わらない
相変わらずの怖がりだ
「願い事かあ…僕なんかが、僕みたいな殺人鬼が、こんな神聖な祭りに参加していいわけないじゃないか…でも…」
ベルトルトは、手に持った短冊にちらりと目をやった
「…でも、僕だって…」
ベルトルトは目を閉じた
成さねばならぬ事の重大さ、荷の重さに潰れそうな自分の心
励ましてくれた同郷の仲間
そして、苦楽を共にするうち、情が芽生えてしまった、同期達
「どれも大切なのに、どれかを切り捨てなければ…生きていけない…僕はどうすれば、いい…?」
ベルトルトは夜空へ視線を向けた
星がきらきらと、瞬いていた
「沢山、殺した。許されるはずは、無いんだ。仕方がない事だろうが、何だろうが…」
ベルトルトは自然と、夜空に頭を下げた
「…ごめんなさい、でも僕は、僕の与えられた責務を…果たさなきゃいけない」
ベルトルトは、短冊にペンを走らせた
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- 13 : 2014/07/02(水) 16:33:27 :
ベルトルトの短冊
『僕が戦士として、責任を果たせます様に。そしていつか、故郷へアニと…仲間と…帰れます様に」
星は、殊更ゆっくり、柔らかな光を放っていた
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- 18 : 2014/07/02(水) 18:20:55 :
- 《コニー編》
「おおーっ!!でっけえなあ!!竹!!じゃなかった。笹、だ!!」
コニーは笹の見上げながら叫んだ
「この紙に願い事を書いたら、叶うんだったよな~、確か」
コニーは手に持った短冊に目をやりながら頷いた
「何を書こうかな…って、まあ俺は決めてるけどな、へへ」
コニーは鼻の下を掻いた
短冊にペンを走らせたコニーは、夜空を見上げる
「星が綺麗だなあ。いくつあるんだろうな。いち、に、さん、し…って数えきれねえ!!」
コニーは首を振った
「人って死んだらよ…星になるっつうけど…俺も死んだら、なれるのかなあ」
コニーは夜空の星を眺めながら呟いた
「…でもよ…まだ俺、死ねねえんだ。俺にはやらなきゃならねえ事があるからな…へへ、なんか偉そうだな、俺」
コニーは頭をポリポリと掻いた
そして、笹に視線を移すと、背伸びをして、短冊を笹に括り付けた
「俺は…何処までやれっかな…いや、んな事を考えるのは俺らしくねえよな!!ん?なんかあの星、笑った気がしたぞ…失礼な星だな!うはは」
コニーは星を見ながら、愉しげに笑った
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- 19 : 2014/07/02(水) 18:22:03 :
- コニーの短冊
『かあちゃんが、元に戻れます様に』
星は、このどん底の世界の中で、尚も輝き続ける小柄で陽気な青年に
おどけたような、リズミカルな光を送った
青年の勇気を後押しするかの様に…
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- 20 : 2014/07/02(水) 20:06:25 :
- 《サシャ編》
「笹の葉さ~らさら~♪なんて歌っても、お腹は一杯にはなりませんよね~」
サシャは大きな笹の前で、七夕の歌を歌っていた
だが、すぐに腹の虫が警報を鳴らしはじめ、断念したのだった
「ふぅ、お腹がすきましたねえ…でもその前に、短冊を飾らなきゃ」
サシャは夜空へ視線を向けた
「あの星と、あの星…繋げていくと、肉の塊に見えてきますよ…あ、あそこには魚のフライ…鶏肉…玉子焼き…ああ、夜空って罪です…見てたら余計にお腹が空いてきました…」
サシャは情けない顔をしながら、腹を押さえた
「…短冊に願い事…私は…うん、これに決めた」
サシャは短冊にペンを走らせた
「お腹いっぱい、食べたい。誰にも後ろ指なんか刺されずに…お星さまもそう思いますよね」
サシャはお腹を押さえながら、夜空に向かって微笑みかけた
「私も、願い事が叶うように、頑張らなきゃですね!!」
サシャは拳を空に向かって突き上げた
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- 21 : 2014/07/02(水) 20:06:42 :
サシャの短冊
『いろんな物を死ぬほど、好きなだけ、食べられる世界になりますように』
星は、一斉に光り輝き、サシャの願いを後押しする
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- 30 : 2014/07/04(金) 14:38:25 :
- 《ユミル編》
サラサラサラ…笹の音が風に乗って、心地よい音を鳴らす
「ちぇっ…なんか辛気くさい音だよなあ…」
ユミルはそばかすの目立つ顔をしかめた
「結構飾りがついてんなぁ。お、兵長の願い事だな…背が低いから、上の方に括れないんだろうな…はは」
普段は絶対に本人には言わないような事を、ユミルは口走った
「願い事なあ…私なんかに願い事書く資格なんてあるのかね?」
ユミルは首を傾げた
「まあ、書いてもいいってんなら、書くけどさ…叶わないだろうなあ」
ユミルはそう言うと、短冊にペンを走らせた
「クリスタは、何を願うんだろうな…」
ユミルは星空に視線を向けて、呟いた
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- 31 : 2014/07/04(金) 14:38:44 :
- ユミルの短冊
『クリスタを、守りたい』
夜空の星は、ユミルとクリスタの間を取り持つ様に、長い尾を引いたような光を、二人の間に流したのだった
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- 32 : 2014/07/05(土) 16:40:19 :
- 《クリスタ編》
「綺麗な、音色…」
クリスタは、目を閉じて、笹の葉の音を聴いていた
何だか落ち着くその音は、幼い頃よく遊んだ、藁の音に似ていた
目を開けると、背の高い笹が、まるで夜空に両手を広げている様に見えた
自分の幼き頃の思い出の中で、唯一優しい笑みを自分に向けてくれた、女性
名前を思い出せないその人は、確かにいつも、私の側にいてくれた
両親にも、祖父母にも突き放されて独りぼっちだった自分に、唯一愛をくれた女性
読み書きを教えてくれた女性
生き方を教えてくれた女性
クリスタはなぜか、笹を見て、その女性の事を思い出した
そして、今、その女性とは違ったやりかただけど、無償と言える愛をくれる人
「私には何もない…私にあるのは、思い出の中の人と、ユミルだけ。私は何も望まない…だけど…」
クリスタは、短冊にペンを走らせた
「これくらいは、お願いするくらい、いいよね…」
クリスタは、短冊を笹にくくりつけた
そして星に願いを込めるべく、祈りを捧げるのであった
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- 33 : 2014/07/05(土) 16:41:08 :
クリスタの短冊
『あの人にもう一度会いたい、そして、ユミルが自分の幸せをつかみます様に』
夜空の星は、優しい光をクリスタに注いだ
寂しかった幼少時代の思い出を癒すように
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- 34 : 2014/07/05(土) 16:55:45 :
- 《ライナー編》
「願い事…」
ライナーは笹を眺めながら呟いた
「俺の願いはただ一つだ」
ライナーは、戦士の目をしていた
「最初から、一つだった」
ライナーの戦士の目が、少し鋭さを緩めた
「…だが、それが二つになり、三つになった」
ライナーは息をついた
「俺は、戦士なのか…それとも兵士なのか」
「大切なものが沢山ある、やりたいことも、沢山できた」
ライナーは項垂れた
普段人には決して見せない、表情だった
「俺は、戦士にならなきゃいけない」
ライナーは拳を握りしめた
そして、ペンを短冊に走らせる
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- 35 : 2014/07/05(土) 16:56:04 :
ライナーの短冊
『故郷に必ず帰る。仲間と共に』
夜空の星は、どことなく寂しげに光っていた
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- 36 : 2014/07/05(土) 20:30:12 :
- 《ニファ編》
「さ~さ~の~は~さ~らさら~♪」
ニファは笹の葉を指でさらさらと掬いながら、歌を歌っていた
「…そ~ら~か~ら~み~て~る~♪」
二番まできっちり、可愛らしい歌声で、七夕の歌を歌いきった
「ふぅ、何気なく口ずさんだけど、いい歌よね~。お星様は、空から私たちを見てるんだよね!!」
ニファは夜空の星を見上げながら、そう言った
「沢山の、友人が逝ったよ。私はまだ生きてる、けど…」
ニファはそこで言葉を止めた
「けど、調査兵団にいたら、いつどうなっても、おかしくないよね」
ニファは憂いを帯びた表情を空に向けた
「…私は、生きている間に、いろんな事をしたいな。恋もしたい、けど…一番の願いはね…」
ニファはさらさらと、短冊にペンを走らせた
「私も、もし死んだら…お星様になって、あの人を見守るよ」
ニファは、夜空の星に向かって手を振った
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- 37 : 2014/07/05(土) 20:30:34 :
ニファの短冊
『ハンジさんの目指す道が、明るく照らされますように』
夜空の星は、心が暖まる様な、優しい光で、ニファを包み込んだ
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- 40 : 2014/07/05(土) 20:43:44 :
- 《モブリット編》
「沢山、短冊が飾られたなあ」
手に持った笹飾りをバランスよく飾り付けながら、モブリットは呟いた
「…皆、普段言えない事でも、短冊になら書いていそうだよな」
リヴァイの短冊や、ミカサの短冊…皆の短冊を見るともなしに見ながらそう言った
「俺が書く事は、毎年同じなんだけど…今の所、願いが叶っているな」
一枚の短冊を手に、モブリットは夜空を見上げた
星が、いつになく近くに見えた
「…ありがとう」
モブリットは小さな声でそう言って、手を伸ばした
届くはずはないのだが、何故か心が暖まった気がした
「今年も…よろしく頼むよ。いつも無茶ばかりするから、大変だとは思うけど…俺も、できる限りの事はするから…」
そう言って、モブリットは短冊にペンを走らせた
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- 41 : 2014/07/05(土) 20:44:23 :
- モブリットの短冊
「ハンジさんの命を、お守り下さい」
モブリットの数年にわたる想いは、確かに星に届いていた
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- 43 : 2014/07/05(土) 20:59:58 :
- 《ケイジ編》
「七夕…って、空の上で織姫と彦星が逢い引きする日…だよな。羨ましい限りだよ」
ケイジは夜空の星に目をやって、にやりと笑った
「一年に一度だ…さぞや燃えるだろうな…しかし、一年も待ってられる彦星が凄いな」
ケイジは顎に手をやって頷いた
「俺も死ぬまでにもう一度恋がしたいなあ…まあ、そんな暇ないんだけどな。何せ我らが分隊長殿は、落ち着くって言葉を知らないしな…はは」
楽しげに笑うケイジは、短冊をそっと握った
「…あの人の下についてから、確かに大変だし、振り回されるし、散々だった…でもな」
ケイジは短冊にペンを走らせた
「俺の居場所は、あそこしか無い。あの人を助けて、歴史を動かす、力になりたい」
ケイジは夜空の星に力強い目を向けた
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- 44 : 2014/07/05(土) 21:00:39 :
ケイジの短冊
「ハンジさんの道に自由と幸あれ」
夜空の星は、ケイジの願いを乗せて、きらきら輝く光をハンジに注ぐ
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- 45 : 2014/07/05(土) 21:46:48 :
- 《ハンジ編》
「さ~さ~の~は~さ~らさら~♪最近ニファがずっと口ずさんでて、耳から離れなくなったよ」
ハンジは笹を見上げながら言った
「ニファはいつも楽しそうだよね、班の、ムードメーカーだ。しかも可愛らしい。何で男がいないのか」
ハンジは笹に飾られた飾りを見て、目を細めた
「モブリットがさっき、沢山笹飾りを持ってたよね。一生懸命飾ってたんだろうなあ。モブリットは、真面目で常識人で、つっこみ名人。信頼出来る男だよ。彼にも女がいないよね、何でなんだろ」
ハンジは眉をひそめた
「そういえば、ケイジもいい男なのに彼女がいないよ…ねえ、もしかして私のせい…?私が振り回してるから…?私の班全滅だもんね、異性関係。私も含めて…ははは」
ハンジは楽しそうに笑った
「あれ、三人の願い事が仲良く飾ってあるよ。内容見ちゃお」
ハンジはいたずらっぽい笑みを浮かべながら、部下三人が書いた願い事を見た
「……………君たちは…」
ハンジは絶句した
両手で顔を覆って、膝を折った
背中が震えていた
「皆、愛してるよ…本当に」
ハンジは顔をあげて、夜空を見上げた
その顔は涙で濡れていた
だがその瞳は、力強く輝いていた
ハンジは短冊にペンを走らせた
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- 46 : 2014/07/05(土) 21:47:38 :
- ハンジの短冊
『私は必ず、成し遂げる』
ハンジの力強い瞳のように、星の瞬きが、また一段とまばゆい光を放つ
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- 47 : 2014/07/06(日) 08:48:14 :
- 《エルヴィン編》
満天の星が輝く夜空の下、エルヴィンは沢山の短冊が飾られた笹を、じっと見つめていた
その表情は憂いを帯び、いつもは厳しい光を宿す青い瞳も、今は何処と無くやるせない様な、物悲しい感情の色を映し出していた
「沢山の、願い」
エルヴィンは良く通る、命令をし慣れた声を、極力落として言葉を発した
「この殆どを、叶えてやる事は、出来ないんだろう…」
沢山の兵士を、自分がたて、実行に移した作戦で喪った
何度も何度もそれを繰り返す中、そんな状況に慣れてしまいそうになる、自分がいた
兵士を駒としか考えられなくなる自分
その事実に慄然とする
だが、実際割りきらなければ、今まで乗り越えてこれなかっただろうし、少しずつ、解決の糸口が見え始める事も、無かっただろう
だからと言って、人類の未来のために逝った兵士達を、今後逝くかもしれない兵士達を、忘れてはならない
エルヴィンは目を閉じる
今年喪った兵士達の顔と、名前を思い浮かべる
エルヴィンは、入れ替わりの激しい調査兵団員全ての顔と、名前を覚えていた
それが、自分の出来る、せめてもの償いにもならない…だが、そうせずにはいられなかった
喪った兵士達の名前を頭で思い浮かべ、また目を開く
夜空に視線を向けると、星がきらきらと輝いていた
「お前たちも、ちゃんとそこに行けたか?俺も…近いうち逝くだろうが、お前達と肩を並べて、夜空で光る事は、許されんだろうな」
エルヴィンは、寂しげに呟いた
「もし、空で会えたなら、その時は…出来なかった話を、沢山したいものだな」
そう言って、微笑んだ
青い瞳は優しげな光を宿していた
そして、短冊にペンを走らせた
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- 48 : 2014/07/06(日) 08:48:32 :
- エルヴィンの短冊
『皆の犠牲を、無駄にはしない。必ず、成し遂げる』
夜空に輝く満天の星が、美しく眩い光を放ち、エルヴィンの背にある今にも手折れそうな自由の翼に、羽ばたく力を与える
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- 49 : 2014/07/06(日) 08:51:40 :
- 一年に一度の七夕の日
沢山の兵士達の願いを乗せた笹は、満天の夜空に凛と佇む
その願いを星に届けるように
真っ直ぐ空に、手を広げて
―完―
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- 58 : 2014/07/07(月) 21:28:27 :
- 執筆お疲れ様でした!
最後の団長のお願い、格好良かったです!さすが団長!!
ハンジ班のみんなもさすがハンジ(大好き!)班でしたね!みんな素敵すぎる。
みんなのお願いが叶いますように……。
素敵なお話ありがとうございました。
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- 59 : 2014/07/08(火) 10:51:17 :
- 初めまして^_^
実はコソコソ作品読んでましたが初コメです♪すごくジーンときました、心に響きました!願いは叶えるのは難しいけど、尚更調査兵団だと…でもみんなの願いが叶いますように!!
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- 60 : 2014/07/08(火) 11:04:25 :
- >旦那の性格がリヴァイさん☆
初めまして^^コメントと、いつも読んでくださってありがとうございます♪
ジーンと来ていただけて、感激しております!
調査兵の願い事、一つでも多く叶うといいですよね・・・!
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- 61 : 2014/07/08(火) 16:27:21 :
- 素敵なお話でした!
個人的にミカサのところはとても好きなのですが、クリスタがクリスタで良かった、と温かい気持ちになっています。
それぞれの表情がとてもはっきりと思い浮かびましたよ!brilliant !!
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- 62 : 2014/07/08(火) 16:35:05 :
- >Billさん☆
(❀ฺ´∀`❀ฺ)ノこっちも読んでくれてありがとうございます゜゜(´O`)°゜
そうだ、あなたはミカサが好きだったよね!!
ミカサの話沢山書くので、また遊びに来てね♪
本当にありがとう…゜゜(´O`)°゜
-
- 63 : 2014/07/08(火) 16:43:08 :
- そうです、僕は相変わらずミカサ好きですよ!(笑)
読むのが大変ゆっくりですみませんでした、でも昔から変わらず応援していますよ!
また他のお話にもコメントしに日々しつこくチェックしに行きますね!
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- 64 : 2014/07/08(火) 16:46:35 :
- >Billさん☆
あああ゜゜(´O`)°゜
嬉しいよ…゜゜(´O`)°゜
読んでくれてるだけでも嬉しいのに、コメントも、本当にありがとう…
頑張って書いてて良かったよ゜゜(´O`)°゜
相変わらずミカサ好きで良かったw
いつものあなたに久々に会えて嬉しいよ!!
また応援よろしくね♪
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- 65 : 2014/07/08(火) 22:52:35 :
- みんな言ってることが素敵過ぎる…
-
- 66 : 2014/07/08(火) 23:08:28 :
- >コバルトさん☆
読んで頂きありがとうございました!!
コメント間でいただいて、感謝です♪
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- 67 : 2014/07/18(金) 16:30:02 :
- 泣けた・・・めずらしく泣けた・・・
偶にはシリアスもいいな~
弟の誕生日が7月7日なんだよねwww
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- 68 : 2014/07/18(金) 17:31:06 :
- >薊の花さん☆
読んで頂きありがとうございます(*´∀`)
弟さん素敵なお誕生日ですね♪
なんてロマンチック!!
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- 69 : 2014/08/28(木) 19:16:48 :
- すごいすてきなSSでした!
感動して目から水が・・・・・・
私なら、
『皆が、いつまでもいつまでも、幸せに暮らせますように』
ってかきます(^-^)
ホント感動です (涙)
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- 70 : 2014/08/28(木) 19:20:44 :
- >にじいろえんぴつさん☆
読んで頂きありがとうございます!!
目から水…ふきふき
いい願い事ですね♪
お名前もとても素敵!!
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