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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品は執筆を終了しています。

進みすぎた技術は時に牙を剥く ※ホラー エレアニ有

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  1. 1 : : 2014/06/14(土) 21:33:47
    アテンションプリーズ!!

    ちょいグロとホラー要素が含まれます。

    またエレアニ、ジャンミカ入りますのでご注意を。

    このCP苦手というかたはご覧にならないようお願いいたします。

    また『エレアニ多すぎ』というその人個人の感想は聞いてませんしどーでもいいのでご遠慮ください。見つけ次第非表示にします。

    めっちゃ亀更新です。

    現パロですので多少のキャラ崩壊にあーだこーだ言うのは野暮ですぜ。

    ※8月13日追記

    このssは一部『進撃14巻』までのネタバレを含みます。閲覧にはご注意を。

    ※さらに追記

    たいたい毎晩11時〜12時ころ書き始めます。場合によっては1時くらいからの時もありますが・・・

    また、レスの節約のために一回に書き込む量は多めです。一回一回時間かかってますが許して下せい!

    完結までコメントはできませんのでご理解のほうお願いします。

    執筆中の感想、質問はこちらで受け付けています↓
    http://www.ssnote.net/groups/45/archives/5
  2. 7 : : 2014/06/14(土) 23:14:02
    アルミン『おはよーエレン』

    エレン『おう、アルミンか おはよーさん!』

    俺はエレン・イェーガー。

    今年から高校生になる。

    つい先月末に中学校を卒業したばかりだ。

    高校生活に期待をしているただのガキ。

    アルミン『げんきだねー相変わらず』クスクス

    アニ『それがエレンだから』クスクス

    アルミンとアニ。

    アルミンは幼馴染で今でも親友。アニは中学からの俺の彼女だ。

    容姿端麗、成績優秀。

    何故俺に惚れてくれたのか正直分からない。

    あ、なんか言ってて悲しくなってきた。

    ミカサ『その通り』ヌッ

    ジャン『うるさいくらいだけどな』

    こいつらはジャンとミカサ。俺たちと同じく中学からのカップルだ。

    アルミン『ここにいると自分が情けなくなってくるよ・・・』

    ミカサ『何も気にしなくていい』

    アルミン『いや、気になるのは僕だし、無反応ではいられないよ』

    アルミン『彼女欲しいなあ・・・』

    そんなわけで俺たちは同じ高校に通う。

    ーーー

    ーー



    入学式後 クラスにて

    エルヴィン『・・・で、私が担任のエルヴィンだ よろしくな』

    エルヴィン『では早速自己紹介を・・・』

    こうして俺たちのごく普通の高校生活が幕を開けた。
  3. 8 : : 2014/06/14(土) 23:25:44
    ライナー『俺はライナー・ブラウン!肉が好きだ!』

    ベルトルト『ベルトルト・フーバーです 名前ちゃんと覚えて下さいホント』

    クリスタ『クリスタ・レンズです!みなさんよろしく!』

    ユミル『公式発表ないからとりあえずユミルだ うん』

    サシャ『サシャ・ブラウスです!食べることが好きです!!』

    コニー『コニー・スプリンガー!みんなが言うほど馬鹿じゃないぞ!』

    とまあ愉快そうな仲間が多いクラスだ。

    コミュ障では無かったため、クラスに馴染むのに時間は必要なかった。

    ライナー『エレンとアニは付き合ってるのか!』

    ベルトルト『羨ましいなあ・・・』

    ユミル『でもあんたも顔はいいんだからモテそうだよな』

    ユミル『私は好みじゃないけど』

    ベルトルト『最後が余計すぎますよ姐さん』

    クリスタ『でも楽しそうなクラスでよかったよー』

    エレン『ホントだな!』

    アルミン『これからが楽しみだよ!』

    アニ『これからよろしくね』



    ミカサ、ジャンとはクラスが離れてしまったが向こうもなんとかなるだろう。
  4. 10 : : 2014/06/14(土) 23:45:27
    ーーしばらく後

    エルヴィン『と、いうわけで今日はこれで終わりだ』

    エルヴィン『そして早速宿題を出すぞ!!』

    エエー!!とクラス中に悲鳴が上がる。

    高校初日で宿題がでるなんて思ってもいなかったのだから当然と言えば当然の反応だ。

    エルヴィン『そんな難しいことじゃないぞ!』

    エルヴィン『最近気になったニュースをまとめてくるだけでいい』

    エレン『めんどくせえな・・・』

    アルミン『それが宿題ってものでしょ?』

    エレン『なーんか顔が生き生きしてるな』

    アルミン『実は少し楽しみ』

    エレン『だと思ったぜ』ハハ

    アニ『さすがアルミンだね』

    エレン『なら今日この後3人で集まって題材探さないか?』

    アルミン『いいね そうしよう!』

    アニ『どこでやるの?』

    アルミン『僕の家でいいよ』

    エレン『決まりな』

    エルヴイン『提出はとりあえず明後日な!では解散!!』

    まあそのあとはすぐには帰れずLINEの友達追加などで忙しく。

    アルミンの家に着いたのはそれから一時間後くらいだった。

    ピーンポーン

    アルミン『いらっしゃい2人とも ささ、上がって』

    お邪魔しますと言って上がるとアルミンの部屋に直行した。

    ドサッ

    エレン『気になるニュースかあ・・・』

    アニ『アルミンは何かあるの?』

    アルミン『それがあんまりないんだよねー』

    アルミン『ネットで調べてみよっか』

    エレン『あるかねぇ・・・』

    そしてしばらく見ているとアルミンが声を上げた。

    アルミン『あっこれなんてどうかな!?』

    やや興奮気味に指差す記事には・・・

    エレン『失った器官を完全修復する魔法の粉?』

    アニ『怪しい・・・』

    アルミン『巨人の温厚派の協力で巨人の治癒能力を研究してたチームが開発したんだって』

    アルミン『例えば腕なら自分の腕が生えるから拒絶反応も絶対に起こらない!』

    アルミン『医療技術もここまできたんだねえ』

    エレン『じゃ、それでいこうぜ!』

    アニ『面白そうだね』

    アルミン『よーし決定!!まとめよう!』
  5. 11 : : 2014/06/15(日) 00:36:18
    ーー2時間後

    アルミン『こんなもんかな』コトッ

    走りっぱなしだったペンがようやくアルミンの手から離れる。

    エレン『すげー集中してたな・・・』

    アニ『疲れた・・・』

    アルミン『ってもうこんな時間か どうする?』

    エレン『明日も学校だから帰るわ』

    アルミン『わかった』

    アニ『じゃあね』

    アルミン『うん、バイバイ』

    ーーー

    ーー




    エレン『あんな技術があるなんてなあ』

    アニ『腕一本まるまる生やせるなんてね』

    俺たちが見た記事は事故で肘から先がない人の腕を生やした、というものだった。

    にわかには信じがたいが、紛れもない事実である。

    エレン『巨人かあ・・・』

    アニ『・・・どうしたの?』

    エレン『いや、純粋にスゴイなと思ってよ』

    アニ『技術の進歩ってホントにスゴイよね』

    エレン『もう人間にできないことなんてなくなるかもな』
  6. 14 : : 2014/06/15(日) 07:20:17
    ーー次の日

    ガラガラっ

    エレアニ『『おはよー』』

    サシャ『おはようございますっ!!』

    アルミン『おはよう2人とも』

    ライナー『おう!おはようエレン!アニ!』

    エレン『宿題進んだか?』

    ライナー『なーんにも』ハハハ!

    ベルトルト『少しはやる努力をしなよ・・』

    コニー『俺は終わったぜ!!』

    ライナー『嘘だろ!?題材は!!?』

    コニー『教えねーよー』

    クリスタ『エレンとアニは何にした?』

    エレン『俺たちはあの腕生やす粉ってやつ』

    ユミル『あーあれか 確かに話題になってるな』

    ベルトルト『アルミンと同じだね』

    アルミン『昨日一緒にやったからねー』

    アニ『ユミルはもうやった?』

    ユミル『テキトーに鯖味噌工場の経営破綻についてやった』

    ライナー『鯖味噌かー 美味いよなアレ』

    ユミル『お、鯖味噌の良さが分かるのかオイ!嬉しいねえ』

    エレン『さて、そろそろ席につこうぜ』

    アニ『そうだね 時間もアレだし』

    エルヴィン『席につけー ホームルーム始めるぞー』

    ーーー

    ーー



    エルヴィン『ーーあと何か連絡あったかな』

    エルヴィン『ああ!そうだ 昨日配布した1ヶ月の予定に修正があるんだった』

    エルヴィン『適当にメモっといてくれ 尿検査が先延ばしになるかもしれん』

    アルミン『(尿検査なんていつやっても同じじゃ・・・)』

    エルヴィン『それくらいだ 一時間目の準備しろー』

    しかし授業が始まるとその疑問も薄れていった。
  7. 15 : : 2014/06/15(日) 07:31:37
    ーーさらに次の日

    エルヴィン『さ、課題の提出だ 出してくれ』

    ワラワラと先生に生徒たちがプリントを提出する。

    中には忘れた者や、まだやってない者もいるようだが。

    エルヴィン『これで全部か? 忘れた者や、まだの者は明日必ず提出するように』

    エルヴィン『はいホームルーム終わりだ』

    エレン『結局やってないのかよライナー・・・』

    ライナー『おう!でも完成してないだけでもうすぐ終わるぞ』

    アニ『題材は何にしたの?』

    ライナー『お前らの題材の魔法の粉が実用化されたってことだ』

    アルミン『そうだったの!?』ヒョコッ

    ライナー『今朝のニュースでな もう第1患者は完治したらしいぞ』

    ベルトルト『速報性はいいけど提出期限は守ろうよ・・・』

    ライナー『いいんだよー』

    ーーー

    ーー



    ガチャッ

    エレン『ただいまー』

    カルラ『おかえりなさい』

    そのまま荷物をその辺に投げ捨てるように置く。

    流れるようにソファーに座りテレビをつけるとライナーが言っていたようにその粉について番組が組まれていた。

    ーー世界を救う粉!その効果は!!ーー

    エレン『巨人の治癒能力を取り入れた粉』

    エレン『副作用もなく、スグに生えてくる、か』

    エレン『すげー世の中になったなホント』
  8. 16 : : 2014/06/15(日) 07:41:45
    キャスター『すごいですね!副作用がないとは!』

    学者『そうなんです それに巨人にはまだ不明なこともたくさんです』

    学者『しかし研究が進めば死者の蘇生も可能になるかもしれません』

    キャスター『し、死者の蘇生!それは生物界のタブーでありますが人類の夢ですよね!』

    学者『実はそれももう試作段階には入っているんです』

    学者『遺伝子情報を使えばその人を生き返らせることも・・・』

    アルミン『大丈夫なのかな・・・』

    アルミン『生物界の絶対的な掟として全ての生き物は与えられた天命で生きるのに』

    アルミン『進みすぎた技術は・・・いつか人間に牙を剥く』

    アルミン『入っちゃいけない領域に人類は入ろうとしているのかもしれないな・・・』
  9. 27 : : 2014/06/15(日) 23:11:13
    ーーそれから一週間

    エルヴィン『 ーーで、先延ばしになってた尿検査だが明日実施する』

    エレン『随分急だな』

    アルミン『そうだよね・・・正直忘れかけてたよ』

    エルヴィン『グズグズ言うなー 忘れるなよ?』

    アルミン『・・・』

    ーーHR後

    ライナー『尿検査って抵抗あるよな』

    エレン『自分のを意識的に見なきゃいけないからな』

    コニー『女子もやっぱそうなのk

    コニーのデリカシーのカケラもない発言に蹴りが飛ぶ。

    その足の持ち主はもちろんアニ。

    コニー『いって!スネはダメよスネは!!』

    アニ『女の子に聞いて良いことじゃないでしょ』

    ベルトルト『今のはコニーが悪い』

    コニー『ベルトルトまで!そんなダメだったか?』

    エレン『ダメだろさすがに』ハハハ

    アルミン『・・・』

    エレン『そういやさっきから考え込んでどうしたんだアルミン?』

    アルミン『ん?あ、いや、やっぱ急すぎる気がしてね』

    エレン『尿検査がか?まあ結果が変わるわけじゃないし別に良くね?』

    アルミン『・・・それもそうだよね』

    しかしその後もアルミンは何かを考えていたがその理由は分からなかった。
  10. 28 : : 2014/06/15(日) 23:23:47
    ーーさらに次の日

    家にて

    エレン『んん・・・あートイレトイレっと』ドタドタ

    バタン

    エレン『ふう・・・』

    そのままいつものように便器の前で構える。

    さあだそう、と力を抜いた瞬間思い出す。

    あ、尿検査。

    エレン『やっべ!!ダメだ出しちゃ!!』

    しかし抜いた力はなかなか戻らず。

    出しもしないのにずっと便器の前で立ちすくむ。

    エレン『やべえ!早く早く閉まれ俺の尿道!!』

    無事検査一式を取りにいったのは1分ほど後だった。

    エレン『あ、危ねえ・・・』

    ーーー

    ーー




    エレン『・・・てことがあった』

    アルミン『まあ良くあるよね』

    エレン『すぐ忘れちまうんだよなー』

    ライナー『だよな!』

    ライナー『・・・実は大きい声では言えんが俺は出してしまってな』

    エレン『先にか?』

    ライナー『どうにもならんかったからペットのを提出した』

    エレン『オイオイ』プフフ

    アルミン『・・・』

    アルミン『・・・さすがにまずいんじゃない?』クスクス

    ライナー『大丈夫だろ』ハハハ

    ベルトルト『大丈夫ではないよ絶対』クスクス

    ーーー

    ーー



    その後も普通に授業を受けた。

    いたって普通だ。

    そして3時間目の時、物理の時間だったのだが・・・

    グンタ『えー今日は物理とは全く関係のない映像を見ます』

    エレン『え?』

    グンタ『スゴイニュースだ 知ってる奴はまだ少ないとっておきの情報だぞ!』

    先生のテンションもやや高めだ。

    何か理科的な大発見でもあったのだろうか。

    ついた電子黒板を見ていると見覚えのある学者がキャスターと話していた。

  11. 29 : : 2014/06/15(日) 23:35:17
    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    学者『ーーそして私たちは死者の蘇生を可能にしたのです!』

    キャスター『では詳細を教えていただけますか?』

    学者『ええ』

    学者『私たちの言う死者の蘇生とは、一般に考えられているものとは少し違います』

    学者『遺伝子情報』

    学者『コレを元に死んでない状態の亡くなった方を再び作り出すのです』

    キャスター『つ、つまりクローンですか?』

    学者『まあ八割はそうです』

    キャスター『八割?』

    学者『脳バンクをご存知ですか?』

    キャスター『確か未来に技術が進歩して亡くなった方の脳を使ってその方を再び・・・ということは!』

    学者『それを使います』

    学者『先日発表されたあの粉、ほんの少しでもその方の一部があれば全て肉体を完全な状態に戻せます』

    学者『しかしそれでは中身のない人形です』

    学者『それに人間性を書き込む・・・つまりヒトとしての記憶を埋めこむことで完全に蘇らせる!』

    学者『先日テストを行い、蘇生が完全なものだと証明されました』

    キャスター『では!』

    学者『ええ!身体のカケラ、遺伝子情報、脳が揃えば!』

    キャスター『す、すごいです!』

    学者『もし突然の事故で亡くなったとしても遺伝子情報さえ残していれば必ず生き返ることが出来るわけで・・・』

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


    グンタ『すごいだろう!?ついに人間は生死も制したワケだ!』

    一同『『『『(寒っ・・・)』』』』
  12. 30 : : 2014/06/15(日) 23:50:35
    エレン『へえ・・・すげえな』

    アルミン『遺伝子情報・・・』

    アニ『・・・』

    ライナー『死者の蘇生かー それも副作用もなく記憶も引き継げるときた』

    クリスタ『す、すごい・・・!』キラキラ

    ユミル『んな夢みてえなことあるわけねえだろ・・・』ハア

    コニー『とにかくスゴイってことだな!』

    サシャ『そうですよ!』

    グンタ『このままこの壁内の人間はこの遺伝子提供を義務付けるらしい』

    グンタ『まあ誰でも死は怖いから王政府も反対はしないだろうな!』

    ーーー

    ーー



    下校中

    アニ『・・・』

    エレン『・・・なあ、どうしたんだアニ?元気ないな?』

    アニ『・・・いや、お母さんの遺伝子と脳が残ってればお母さんも帰ってきたのかなって思って・・・』

    エレン『・・・!』

    そうだ・・・こいつは昔事故で母親を・・・

    エレン『・・・ゴメン』

    アニ『エレンが謝ることじゃないでしょ・・・?』

    エレン『でもさ、その・・・聞いちまったからよ』

    エレン『お前の苦しみは俺には完全には分からない』

    エレン『でも・・・少しくらい力にはなるから』

    エレン『力に・・・なりたいから』

    アニ『ありがと・・・でもホントに大丈夫だから』

    俺は知ってるぞ、アニ。

    女の子の言う大丈夫は

    その真逆を意味するってことくらい。

    我慢してるってことくらい。

    だから・・・

    エレン『・・・』ギュッ

    アニ『エ、エレン・・・?』

    エレン『俺の前くらい・・・我慢すんなよ』

    エレン『辛い時ならお互いに苦しめばいい』

    エレン『そして苦しみを共有すればいい』

    エレン『辛い時は泣けばいいんだ』

    エレン『それが・・・恋人ってもんだろ?』

    アニ『・・・ッ』

    エレン『な?ホントに大丈夫なら突き放せばいいさ』

    エレン『でも・・・そんな肩を震わせてるお前をほっとけるかよ』

    アニ『・・・ゴメン、甘える』ヒック・・・

    エレン『・・・』ポンポン
  13. 31 : : 2014/06/15(日) 23:58:40
    ーー数分後

    アニ『ありがと・・・落ち着いた』

    エレン『よかった』二カッ

    エレン『なんかあったらすぐ言えよ!』

    アニ『・・・ありがとう』

    エレン『こんくらい当然だろ!じゃあな!』

    アニ『うん』

    アニ『・・・幸せだな、私』ボソッ

    ーーー

    ーー




    ガチャッ

    エレン『ただいまー』

    カルラ『おかえりなさい』

    エレン『ん?腕の絆創膏みたいなのどうしたんだ?』

    カルラ『ああコレ?あの例の研究の遺伝子提供』

    カルラ『ホントスゴイわよね〜』

    エレン『・・・そうだな』

    エレン『(母さんがいる、か・・・)』

    カルラ『ん?どうかした?』

    エレン『いや、なんでもない』

    エレン『・・・ありがとう』

    カルラ『何よ急に』クスクス

    カルラ『でもこっちもありがとう』

    エレン『あ、ああ・・・』

  14. 32 : : 2014/06/16(月) 00:12:26
    数日後、王政府から壁内の人間全てに遺伝子の提供、脳バンクへの脳の預け入れを義務化した法が出された。

    壁内の学校は尿検査で血液の代替するそうだ。

    その結果、一週間で壁内のほぼ全ての人間は遺伝子の提供を完了。

    遺伝子サンプルは粉を開発した研究所監督のもと、王政府が作った保管庫に厳重に保管されることとなった。

    アルミン『・・・ねえ、変だと思わない?』

    エレン『ん?何がだ?』

    アルミン『だって一つの研究で王政府が動くんだよ?』

    エレン『それだけ大きい発見だったってことじゃねえの?』

    アルミン『そりゃそうだけどさ、ワザワザ法にまでするかな?』

    エレン『まあ確かに大規模すぎる気もするけど』

    エレン『でも俺たちにはデメリットは無いんだ 別に良くね?』

    アルミン『うーん・・・』

    ライナー『でもよく考えりゃ人口増加しつづけちまうよな?』

    ユミル『そうだな 減ることがなくなるからな』

    クリスタ『ひょっとしてアルミンが心配してるのってそれのこと?』

    アルミン『それもあるけど・・・』

    ガラガラッ

    アニ『遅れちゃった・・・おはよう』

    一同『『『おはよー!』』』

    エレン『この話は終わりな』ボソッ

    ライナー『お?お、おう』

    ベルトルト『う、うん』

    ユミル『おはよーさん、アニ』

    クリスタ『おはよー!』

    エレン『おはようアニ!』

    アルミン『おはよう』

  15. 35 : : 2014/06/16(月) 00:26:48
    ーーー

    ーー



    時はたってまたまた3時間目

    エレン『眠い』

    アニ『がんばってよ』

    グンタ『今日も何か研究のニュースあるかなあ♪』

    アルミン『っていうか・・・』

    ユミル『そろそろ最初から物理やれよ』

    あれからというもの物理の時間の最初はニュースを見ることから始まる。

    何もなければそのまま始まるが研究に関するニュースがあるとそのことについての雑談で一時間つぶれる。

    まあ面白いから生徒からはそれも歓迎されているようだが。

    グンタ『ないかぁ・・・』

    結局無かったようでそのまま電子黒板を消そうとすると、

    キャスター『こ、ここで速報です』

    グンタ『んお?』

    キャスター『死者の蘇生を研究し、前日この番組にも出演してくださった学者のK氏が・・・亡くなったという発表がありました』

    グンタ『へあ!?』

    ザワザワと教室がどよめく。

    そのまま、いや、やや焦った表情でニュースを告げる。

    キャスター『この情報は研究所からのものですが手書きであり、字も酷く崩れているため解読が難しく・・・』

    そう言いながらその文書と思われる髪を出す。

    ファックスなのかコピーなのか白黒の文が見える。

    見れば確かにグチャグチャで読むのは難しい。

    グンタ『マジかよ・・・』

    エレン『第一人者が、か・・・』

    アルミン『猟奇・・・的殺され・・アシ、ウデ、バラバラ・・・喰われタ 俺、シヌ、クワレル・・・』

    エレン『ア、アルミン、読めたのか!?』

    アルミン『ここまではね・・・』

    アルミン『猟奇的殺人かもね・・・気になる言葉もあるし・・・』
  16. 45 : : 2014/06/17(火) 23:10:34
    グンタ『どうなってんだこりゃあ・・・』

    エレン『とにかくただ事じゃないってことだな』

    アルミン『そうだね・・・』

    アルミン『(やっぱり人類は進み過ぎてしまったのか・・・)』

    クリスタ『何があったんだろ・・・』

    ユミル『・・・大方なにか事故でもあったんだろ 心配すんな』

    コニー『やべーユミル超イケメン』

    アルミン『(きっとこのままでは済まないな)』

    ーーー

    ーー



    アニ『驚いたね、あのニュース』

    エレン『・・・そうだな』

    エレン『でもまあ大丈夫だろ ユミルが言ってたみたいにきっと事故だ』

    アニ『・・・いや、あの紙見たらそうは言えない気がするよ』

    エレン『相当焦ってたんだろ 人間って追い込まれると当たり前のこと程できなくなるからさ』

    アニ『そりゃそうだけど・・・』

    サシャ『心配しすぎですよアニ!きっと大丈夫です!』

    アニ『・・・そう、だよね』

  17. 46 : : 2014/06/17(火) 23:20:39
    それから何日たった。

    あの報道からずっと粉や研究所に関するニュースはすっかり無くなった。

    どこからか圧力がかかっているのは容易に想像できる。

    しかし、ある日突然事態は動き出した。

    悪い方向へ・・・

    ーーとある日の休み時間

    エレン『おーい、何見てんだアルミン?エロ動画か?』

    アルミン『そんなわけないでしょ』

    アルミン『ニュースだよニュース』

    エレン『まーたあのことか?もう何もねえだろ』

    アルミン『何か胸騒ぎがしてね・・・』

    ライナー『アルミンは気にしすぎだ もっと気楽に過ごそうぜ!』

    アルミン『そうだね 授業も始まるし』

    そう言ってスマホの電源を落とす。

    その瞬間、キャスターが言った一言をアルミン達は誰一人聞いていなかった。

    キャスター『緊急速報です』
  18. 49 : : 2014/06/17(火) 23:43:24
    しかし、それからすぐ彼らは速報の内容を知ることとなる。

    授業を始めようと号令をかけたとき、電子黒板の電源が勝手につく。

    一同『『『!?』』』

    教室中がざわめく。

    緊急速報など生まれて初めてというのが主な理由だろう。

    と、いうより緊急速報自体が初めてなので先生もなだめながらも落ち着きがない。

    キャスター『・・り返します。研究所の実験に使われていた巨人が抜け出し市街地を襲っています!』

    アルミン『なっ!?』

    キャスター『対象は現在ウォールシーナ内の市街地の住民を・・・』

    そこでしばらくのタメが入る。というよりキャスターが絶句しているように見えた。

    しかしすぐに放心状態から戻り続きを告げた。

    キャスター『人を・・・喰らっています』

    一同『『『・・・?』』』

    最初は意味が分からなかった。

    でも現地の映像をみて戦慄した。

    憲兵の設置した監視カメラの映像だ。

    そこに映っていたのは逃げ惑う人、そして大きな足音 更に血。

    だんだんとなにが起こってるか理解できたのか騒ぎ始める。

    あるものは大きな声をだし、

    あるものは絶句し、

    あるものはすすり泣いていた。

    アルミン『これは・・・』

    エレン『一体どうして・・・!』

    アニ『これは・・・』

    クリスタ『こ・・・怖いよ・・・!』

    ユミル『落ち着け 大丈夫だから』

    サシャ『大丈夫じゃないでしょ!これはただ事じゃないですよ!』

    コニー『サシャ落ち着け!騒ぎ立てたらダメってことくらい俺でも分かるぞ!!』

    阿鼻叫喚。

    その言葉が似合う状況であるのはウォールシーナ内もここも同じだった。

    しばらくすると大きな人が映る。

    大きな体型で、張り付いたような笑顔。

    そして口周りの血。

    一瞬でクラスがその不気味な姿に静まり返る。

    いや、言葉が出てこないと言ったところか。

    その巨人は動かない。

    クラスの人も誰一人動かない。

    それがどのくらいの間続いただろうか。

    突然巨人の腹が膨れ上がる。

    クリスタ『な、なにあれ・・・!』

    そのまま膨らみ続け、次の瞬間

    バヂャッッッ!!!

    不快な音と共に爆ぜた。

    女子は悲鳴を上げ、男子は絶句。

    エレン『うわっ・・・!』

    そして肉片や血を飛び散らせる。

    が、それとおかしな物も出ていた。それも大量に。

    アルミン『あれは・・・ガス?』
  19. 50 : : 2014/06/17(火) 23:53:23
    ライナー『り、リアルタイムだとしたら今・・・!』

    ベルトルト『そういうことになるね・・・』

    キャスター『・・・ご、ご覧いただいたのは紛れもなく現在のウォールシーナ内の様子です』

    キャスター『巨人は突如爆発し

    そこで何故か画面が暗くなった。

    そしていつまでたってもつくことはなかった。

    アルミン『な、何で突然切れたんだ!?』

    ベルトルト『電子黒板の電源はついてる・・・ということは』

    アルミン『向こうから切られた・・・のか?』

    ーー???

    ???『余計な物を流しおって・・・』

    ???『い、いかがいたしましょう?この状況では・・・』

    ???『壁内の者たちはほっとけ 漏れてしまってはもう誰も助からん』
  20. 51 : : 2014/06/18(水) 00:03:48

    次の日からはテレビ番組が完全に消えた。

    テレビ類をつけても全て砂嵐だ。

    ラジオやネットといった情報を得る手段はことごとく潰された。

    もう僕たちに、今の状況を知る手段はなかった。

    この非常事態に学校はもちろん休校。

    自宅待機となっていたが当然落ち着いてはいられずとにかくみんなが僕の家に来た。

    エレン『全く・・・どうなってんだよ』

    アニ『スマホも全く役に立たないね・・・』

    ライナー『こりゃいよいよまずいんじゃ・・・』

    ベルトルト『やめてよ・・・』

    ガチャッ

    アルミン『あれ?誰だろ』

    そこに来たのは・・・

    アルミン『ジャン!ミカサ!』

    ジャン『ここにいるってミカサから聞いてな』

    ミカサ『エレンならここへ来ると思った』

    エレン『お、おう』

    アルミン『とりあえず今はみんな大丈夫だね・・・』

    クリスタ『家だと不安になっちゃうからみんなといた方がいい気がするよ・・・』

    ユミル『・・・そうかもな』

    アルミン『とりあえずこれるときはいつでも来てね 僕は少なくともここにはいるから』

    一同『『『わかった』』』

    アルミン『でも・・・』

    アルミン『内地は・・・どうなってるんだろうね・・・』
  21. 59 : : 2014/06/18(水) 23:20:46
    エレン『さて、これから俺たちはどうすべきなんだ』

    アルミン『今は安全だけどここだってもしかしたら・・・』

    ユミル『あんまり不安になることは言いたかねえが今回はそうも言ってられねえな』

    ミカサ『逃げてたら何も変わらない』

    アニ『そうは言ってもミカサ・・・』

    ミカサ『ここで弱気になったら士気が下がって、負の螺旋に入ってしまう』

    ミカサ『そうなるくらいならバカみたいな話をしてたほうがいい』

    そうは言ってもこの状況ではそんな話はできるはずもなく。

    結局その日はそこまでだった。

    ーー次の日

    昨日はアルミンの家から帰った後風呂に入ってそのまま寝てしまった。

    疲れていたのもあってこの状況の割に快眠だった。

    学校!と一瞬焦るが休校だったのを思い出し軽く息を吐く。

    そのままややダルそうに起き上がり顔を洗おうと洗面所にいくが・・

    キュキュッ キュッ

    エレン『あれ・・・』

    エレン『ウソ・・・だろ』

    蛇口をいくら捻っても水は一滴も出てこない。

    何故なのかは大体予想がつく。

    エレン『水道が・・・止まってる』
  22. 60 : : 2014/06/18(水) 23:32:29
    エレン『どうなってんだよ・・・くそッ!』

    思わず蛇口を叩くが、虚しく2滴ほど水滴が落ちただけだった。

    家にいても仕方ないのでとりあえずアルミンの家に行くことにする。

    親に会うと面倒なのでこっそり抜け出そうとするが、

    ここで異変に気付いた。

    エレン『母さんたち・・・いないのか?』

    ーーー

    ーー



    とりあえずラッキーであるのには変わりないということで。

    アルミンの家には既に先客がいた。

    エレン『クリスタ』

    クリスタ『あ、エレン!』

    アルミン『いらっしゃい』

    エレン『家の水道止まってたんだが、アルミンとクリスタの家もそうか?』

    アルミン『うん・・・』

    クリスタ『同じく止まってたよ・・・』

    エレン『そっか・・・あと親は?』

    アルミン『・・・それが昨日から帰って来てないんだ』

    クリスタ『私の家もだよ・・・』

    エレン『やっぱりか・・・』

    アルミン『てことはエレンも・・・』

    エレン『ああ・・・朝には誰もいなかった』

    アルミン『・・・状況を整理しよう まず水道が止まった』

    アルミン『そして親の失踪・・・』

    アルミン『分かってるのはコレだけ』

    エレン『どこの親もいないのはおかしいよな』

    アルミン『そうだね・・・』

    アルミン『そして電気もいずれ・・・』

    アルミン『念のためスマホを充電しとこう なにがあるかわからないからね』

    エレクリ『『わかった』』
  23. 80 : : 2014/06/22(日) 00:37:04
    エレン『んで、これからどうする?』

    アルミン『どうするっていっても何に対して何をすればイイかわからないからなぁ』

    クリスタ『今何が起こってるかが分かればね・・・』

    しかし何か事件が起こった後でこうすれば良かったというのは虫がよすぎる話だ。

    現に異常な事態が起こっている今もそれは同じだ。

    アルミン『考えてみよう 多分あの巨人の爆発自体には人は巻き込まれてない』

    エレン『どうして分かるんだ?』

    アルミン『映像に映ってた限り巻き込まれた人は確認出来なかったし』

    アルミン『なによりあれだけ腹が膨張してたんだ 離れないほうがおかしいよ』

    クリスタ『ふむふむ』

    エレン『なんだ なら別に何も心配は

    アルミン『問題はそのあとだよ』

    アルミン『よく思い出して見てよ 爆発の後、何かガスっぽいのが出てたでしょ?』

    クリスタ『そういえば・・・』

    アルミン『巨人は研究されてたんだ』

    アルミン『温厚派とはいえ巨人は巨人だ』

    アルミン『もともと人を喰べる者たちなんだ 映像にもあったよね』

    アルミン『つまりその“食欲”を抑え込まれてた可能性が高い』

    エレン『・・・』ゴクッ

    エレン『つ、つまり・・・?』

    アルミン『人工的に作られたものが巨人の体内にあったということさ』

    アルミン『それが人間にとって無害かどうか分からない』

    クリスタ『でも・・・きっとまだ内地の人たちは』

    アルミン『正直今言ったことは多分実際に起きてる』

    エレクリ『『え!?』』
  24. 81 : : 2014/06/22(日) 00:41:57
    エレン『ど、どうしてそんなことが言えるんだよ』

    アルミン『水道が止まった』

    アルミン『水道は高度の高い位置・・・つまり内地にある水源の水をつかってる』

    アルミン『どの家でも水道が止まってるということはその根本から絶たれてるということだ』

    エレン『そういえば水道管理の支部は内地に集約してて・・・』

    アルミン『そこがダメになったとしたらこの状況にも説明がつく』

    アルミン『そしてその水を使った水力発電が電気のほとんどを供給してる』

    クリスタ『アルミンが電気が使えなくなるっていったのはそういうことだったのね・・・』

    アルミン『うん』



  25. 85 : : 2014/06/22(日) 10:45:18
    アルミン『でもあの爆発で水源がダメになったとは考えにくい』

    そのままアルミンは続ける。

    エレン『まあ実際水源があるとこじゃなさそうな市街地だったしな』

    クリスタ『じゃあどうして・・・』

    アルミン『多分水の供給を請け負っている所がダメになったということだろう』

    エレン『ダメになった?』

    アルミン『例えばそう・・・支部の水道供給所の職員が全員死んだとか』

    クリスタ『そんなこと・・・!だって巨人は!』

    アルミン『分からないし違うかもしれない』

    アルミン『でもあのガスのようなもの・・・』

    アルミン『それが人間に作用しているとすれば』

    エレン『でも爆発でそのガス?が巻かれたのはあの市街地周辺だけだろ?』

    アルミン『それなんだよね・・それがよくわからない』

    クリスタ『でも、つまり、どうであれ・・・』

    クリスタ『内地は壊滅的状況なのには変わりない・・・』

    一同『『『・・・』』』
  26. 86 : : 2014/06/22(日) 10:57:25
    その日はそのまま帰った。

    何もない。

    とてもそうは言えない。

    ここがいつアルミンの言ったような内地のようになるかも分からない。

    そんなことを思いながら電気をつける。

    しかし、スイッチを押しても全く反応なし。

    エレン『ウソだろ・・・?』

    カチッ!カチッ!!

    エレン『電気の供給も止まったのか・・・』

    確かシガンシナの電気の供給はウォールローゼの末端にあるところが担当しているはずだ。

    エレン『水道管理の支部と同じ理由で供給が止まってるなら・・・』

    エレン『もう・・・そこまできてるのか』

    そう考えると身震いが止まらない。

    とりあえずキッチンの椅子に座る。

    ダメだ考えては。不安になるばかりだ。

    不安になる・・・

    エレン『・・・アニ、大丈夫かな』

    1人ではきっと心細いだろう。

    エレン『・・・行くか』

    そうして立ち上がると一つの紙が落ちた。

    朝は隠れて出ようとしたから気づかなかったのだろう。

    エレン『・・・?』

    見ると母さんの字であることが書かれていた。

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    王政の命で状況調査作戦に行ってきます。

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    横には王政からのであろう招集令状がある。

    エレン『・・・ッ』
  27. 87 : : 2014/06/22(日) 11:04:16
    その後、アニの家に走った。

    全速力で着いた頃には息も絶え絶えになっていた。

    死ぬ気で走るとはこういうことなのだろう、と思いながらドアを叩く。

    エレン『ハア・・・ハア・・・アニ!俺だ、エレンだ!!』ドンドン

    すると中からトトトトッと足音が聞こえた。

    無事だとわかりひとまず安心した。

    ガチャッ

    アニ『エレン、大丈夫だった!?』

    エレン『そりゃこっちのセリフ・・・』

    エレン『でも無事でよかった』

    アニ『不安だった・・電気つかないしお父さんも朝から帰ってこないしで・・・』

    エレン『・・・そうか』

    アニの家も俺と全く変わらない状況だ。

    エレン『その・・・なんだ 赤い紙とかオヤジさんからの置き手紙とかないのか?』

    アニ『全くないよ・・・どこにいるんだか・・・』

    エレン『そうか・・・』

    エレンは直感した。

    ここにはもう・・・大人はいない。

  28. 97 : : 2014/06/24(火) 23:40:00
    エレン『とにかく無事でなによりだ』

    アニ『うん・・・』

    エレン『じゃあ・・・』

    アニ『・・・待って』

    エレン『ん?』

    アニ『その・・・もう少しいてもらってもイイ・・・?』

    エレン『・・・いいのか?』

    アニ『どうせ誰もいないし・・・』

    エレン『・・・そう、だな』

    エレン『よろしく頼むよ』ニッ

    できるだけ心配させないように笑顔を向けた。

    でも今はしっかりとした笑顔になってるか自信がなかった。

    自分の不安な気持ちが顔に出てなければいいが・・・

    その後は2人で普通に話をした。

    そのままの流れで飯を食べようということになったが。

    アニ『・・・あ』

    冷蔵庫を開けて呆然とする。

    電気が通ってないことをすっかり忘れていた。

    つまり、冷蔵庫は全く意味をなしていない。

    アニ『ほとんどダメになっちゃってるね・・』

    エレン『なんかありそうか?』

    アニ『インスタント麺ならあるけど・・・』

    しかしインスタントにはお湯が必要だ。

    しかし水道は止まっているのでお湯は作れず、

    また電気が通ってないので電気ケトルも使えない。

    エレン『水と電気ないとやっぱ不便だな・・・』

    今使えるとすればアルミンの家で充電したスマホくらいだ。

    エレン『・・・これじゃどうにもならねえな』

  29. 98 : : 2014/06/24(火) 23:57:08
    アニ『・・・あんまり良くないとは思うけど』

    アニ『お菓子くらいならあるよ』

    エレン『この際しょうがねえだろ』

    エレン『それ食おうぜ!俺もあるだけ持ってくる!』

    そう言ってアニの家を飛び出し、家中の菓子や保存食をありったけ持って行く。

    雨がパラパラと降り出していたがこの際気にしてはいられない。

    十分ほど経った後、再びアニの家に入る。

    エレン『とりあえずこんだけあった』

    ドサドサッと大量の菓子やらパンやら避難時の食料を出す。

    濡れた上着を干させてもらいながら言う。

    アニ『今はたくさんあるからいいけど今後のこと考えるとたくさん食べるワケにはいかないよね・・・』

    エレン『程々にしとこう』

    そう言ってとりあえずパンを食べる。

    正直あまりお腹が減ってるわけでは無いので量が少ないても苦ではなかった。

    それはアニも同じようで

    アニ『もういいや』

    一切れ食べて終わった。

    一応それだけでいいのか、と聞いたがホントに良さそうなのでそれ以上は何も言わなかった。

    その後またまた問題発生。

    風呂だ。

    エレン『参ったな・・・』

    アニ『これは結構マズイよね・・・』

    火を起こせばどうにかなりそうだが、

    ドラム缶風呂なんて屋内では無理だ。かといって外でやるのもいろいろとマズイ。

    エレン『・・・とりあえずタオルで我慢だな』

    そう言って食料と一緒に持ってきた簡易携帯水濾過器を使う。

    雨に濡れた上着を絞って水をだす。

    エレン『あんまり衛生的じゃねえけど飲むわけじゃないしいいよな』

    でも今後はそうも言ってられないだろう。

    非常用の水があるとはいえ、無限ではない。

    いつか水が底を尽きるときが来るだろう。

    アニ『そのためにも雨水貯めておこ・・・』

    外を見ると雨は先ほどより激しくなっていた。

    アニ『これなら結構たまりそうだね』

    エレン『雨でよかったよ・・・』

    身体を拭き終わったエレンが言う。

    とりあえずほとんど機能を失った脱衣所でアニも身体を拭く。

    風呂に入ったときほどではなくても、そこそこ気持ちよかった。

    エレン『・・・あいつら大丈夫かな』

  30. 99 : : 2014/06/25(水) 00:13:57
    でも今心配したところでどうにもならない。

    あいつらなら大丈夫と自分に言い聞かせる。

    ちょうどアニも身体を拭き終わり脱衣所から出てきた。

    電池が入っている時計はまだ動いているので時間は確認できる。

    示している時刻は10時半。

    エレン『雨ひでえなあ・・・泊めてもらっていいか?』

    普段ならなかなか言えないこともすんなり言えた。

    いつもは俺チキンだな、などと自分に苦笑しながら聞く。

    アニ『うん、いいよ』


    こちらもすんなりとOKしてくれた。

    少し嬉しそうに見えたのは気のせいではないだろう、と思いたい。

    エレン『じゃ、俺ソファで寝させてもらうわ』

    アニ『そ、そう・・・』

    エレン『何かあったら言ってくれよ?すぐ行くから』

    アニ『・・・エレンが嫌じゃなきゃ、私は一緒の布団でも・・・』

    何ですかこのあまーい雰囲気。

    とちょっと舞い上がるがとりあえず冷静になる。

    エレン『そ、そりゃ願ったり叶ったりだけどよ』

    エレン『その・・・俺だって男だしさ・・・』

    アニ『いいから、お願い!』

    なんて言われたら断れるはずもなく。

    内心めっさウキウキして布団に入る。

    もちろんアンナ事やコンナ事も考える。

    が、それも次のアニの一言で収まった。

    アニ『エレンが来てくれて・・・嬉しかった』

    アニ『ありがとね』

    エレン『当然だろ?』

    エレン『でももっと早くに行けばよかったよな・・・ゴメン』

    謝りながら発情しかけてたさっきの自分を殴る。想像の中で。

    アニ『いいよ こうして・・一緒に・・・』

    そのまま眠気に呑まれたのか、最後まで言わずに寝てしまった。

    エレンはそれを穏やかな笑顔で見ながら言った。

    エレン『おやすみ、アニ・・・』

    そうして自身も眠ろうとした。

    その時はまだ気づいてなかった。

    遠く、遥か遠くからとある声が上がっていたことを。
  31. 100 : : 2014/06/25(水) 00:24:23
    それに気づいたのは午前2時頃。

    エレンはゆっくり布団から起き上がる。

    エレン『・・・なんの声だ?』

    遠くから確かに何か聞こえる。

    アー・・アー・・・と微かな声だ。

    不気味に思い、寝てしまいたいと思ったが、万が一アニに何かあってはいけないのでそのまま起きていることにした。

    アニは未だに静かに寝息をたてて寝ている。

    それをみて少し安心する。

    が、警戒は怠らなかった。

    ーーー

    ーー



    それから声は絶えず、心なしかだんだん近づいてきている気がした。

    何か来る。

    そう思い警戒していたが、日が昇って来るとだんだん声は小さくなり、ついには聞こえなくなった。

    あの声の正体はなんだったのだろうか。

    きっとアルミン達にも聞こえているはずだ。今日この後アニと一緒に行こう。

    そう思っているとアニが布団から起き上がる。

    少しの間ボーッとしていたが、だんだん目も覚めたらしく。

    アニ『おはよ・・・』

    エレン『おはようアニ』

    挨拶をしてそのまま朝を食べようかと思ったが腹が減ってないのもあってやめた。

    声のことはアニが不安になるのを恐れて黙っておいた。

    とりあえずアルミンの家に行こう、と言い一緒に外へ出る。

    何も変わらない、いつもの道。

    でも何か違う。

    外見は全く変わらないのだが。

    アニ『ねえ・・・』

    エレン『・・・ああ』

    エレン『ちょっと・・・匂うな』

    鼻につく匂いが微かにする。

    まるで食品がヒドく腐っているような臭いだ。

    その正体がなんなのか、この時は想像できなかった。
  32. 110 : : 2014/06/29(日) 05:43:48
    アニ『何?この臭い・・・』

    エレン『やっぱアニも臭うか?』

    アニ『薄いけど何かが腐ってるみたいな臭いだね・・・』

    エレン『急ぐぞ!気分悪くてかなわん!!』

    そのままアルミンの家に駆け出した。

    ーーー

    ーー



    バタン

    アルミン『そんな臭いが・・・』

    エレン『どこ行ってもそうなんだ』

    エレン『夜は変なうめき声みたいなのが聞こえるしもう最悪だな』

    アニ『声?』

    アルミン『そういえば・・・』

    エレン『アニは寝てたから気づかなかったかもな』

    エレン『朝になるまでずっと声みたいなのが聞こえてたんだわ』

    アニ『え・・』

    アルミン『不安にさせたいわけじゃないけどさ』

    アルミン『だんだん声が近づいてきてたよね・・・』

    エレン『一体何が・・・』

    タッタッタッタッ・・・

    そこで外から足音が聞こえる。

    随分急いでいるのか、かなりペースが早い。

    アルミン『あれ?なんか近づいてきて

    バタン!!!

    ドアを突然開けたのは

    ユミル『はあ・・・はあ・・・!』

    エレン『お、おいユミル!どうしたんだよ?』

    ユミル『誰か・・・クリスタ見てねえか・・・!?』
  33. 111 : : 2014/06/29(日) 06:10:21
    アルミン『クリスタがどうかしたの・・・?』

    ユミル『いや、厳密には他の奴らも探してんだけどな・・・』

    ユミル『どうもおかしいんだよ』

    ユミル『どこの家行っても誰もいやしねえ』

    ユミル『ここに来るまでに5軒回ったけど誰もいねえんだよ・・・』

    アルミン『だ、誰がいなかったの!?』

    ユミル『え、えっと・・・』

    ユミル『確かコニー、サシャ・・ライナー、あとベルトルトにクリスタだ』

    アルミン『五人・・・』

    アニ『朝早いのにそんなにいないのはおかしいよね・・・』

    エレン『どうなってんだ・・・』

    アルミン『みんな僕たちとは違う中学通ってるよね・・・?』

    アニ『!』

    エレン『ユ、ユミルはその見つからねえ奴とは違う中学だったか!?』

    ユミル『み、皆とは違うな』

    ユミル『私の学校からあの高校には私しかいってないからな・・』

    それを聞くとアルミンが驚いた表情と納得の表情が入り混じった顔をする。

    どうしたのだろうか。

    アルミン『そうか・・・ゆ、ユミル?』

    ユミル『な、何だよ』

    アルミン『いなくなった皆の家ってこの家より壁寄りだった・・・?』

    ユミル『えーと・・・そう・・・だな』

    アルミン『まさか・・・』

    エレン『ち、ちげえよ多分!』

    エレン『俺たちみてえに何処かの家にでも集まってんだよ!』

    アニ『そうだよ・・・ね』

    ユミル『そ、そうだよな・・クソ、こんなことなら昨日クリスタの家に行っていれば・・・』

    アルミン『昨日はどこにいたの?』

    ユミル『コンビニで飯の調達して寝てた』

    ユミル『持てるだけは持ってきてるぞ 食う?』

    アルミン『いまはいいや・・・それに賢いねユミル』

    アニ『そうか・・・大人がいないから・・・』

    ユミル『取りに行くならいそげよ?もうどこも少ないからな』

    ユミル『私みたいな連中はあちこちにいた』
  34. 112 : : 2014/06/29(日) 06:20:13
    アルミン『普段じゃ犯罪だけど今なら仕方ないよね』

    ユミル『ああ 食いもんの生産自体は止まっちまってるからな』

    ユミル『いくらあってもこの状況が続くならかなり問題だからな・・』

    ゴーン、ゴーン・・・

    遠くから鐘の音が聞こえてきた。

    昔、巨人と戦争をしていた頃。

    壁外へ行く際鳴らす鐘らしい。

    通称、“解放の鐘(リバティ・ベル)”

    らしい、というのも今までその音を聞いたことがないからだ。

    しかし、聞こえるのは内側の壁の方。

    つまりウォール・ローゼの方からだ。

    アルミン『一体どういうことだ・・・?』

    するとその鐘の音と共に今度はギャギャギャという何かが擦れる音が小さく聞こえた。

    ユミル『な、なんだってんだ・・・?』

    アニ『あの鐘が鳴ってるってことは・・・』

    エレン『まさか・・・門が開いてるのか・・・?』
  35. 113 : : 2014/06/29(日) 06:57:35
    アルミン『なんでこんなときに門が

    そこまでいってアルミンの声は鐘の音とも、擦れる音とも違う

    何かの声ににかき消された。

    ウォオオオオオオオオオオオオオ!!!!


    アニ『な、何・・・?』

    叫び声というよりまるで咆哮だ。

    また足音のような地響きも起きている。

    まだ遠いが確実にこっちに向かっている。

    エレン『一体何が・・・』

    アルミン『こっちに・・・』

    ユミル『下手に動かない方が良さそうだな・・・』

    アルミン『そうだね・・・』

    しかしここにいるから安全という保証は無い。

    どうしようと思っていたそのとき、またドアが突然開いた。

    バタン!!!

    アルミン『無断で上がる人が多いな今日は・・・』

    玄関に行くと・・・

    クリスタ『ユミルいる!?』

    ユミル『ク、クリスタじゃねえか!!』

    ライナー『俺たちもいるぞ!!』

    ベルトルト『よかったね・・・』

    サシャ『探したんですよ!』

    コニー『上がるぞアルミン!』

    アルミン『うん、いいよ』

    アルミン『それよりみんな何処にいたの?』

    クリスタ『もともと今日は朝からアルミンの家に行くことになってて』

    ライナー『でも夜中に変な声してただろ?』

    サシャ『不安になったので早朝に私とコニー、クリスタでライナーの家に行ったら』

    ベルトルト『僕と会って』

    ライナー『みんなが俺の家に来たんだ』

    クリスタ『でもユミルが家にいなくて・・・』

    ユミル『あー・・昨日から飯漁ってたからな』

    ユミル『入れ違いになっただけか よかった』

    アルミン『とりあえず今後どうするかを決めよう』
  36. 128 : : 2014/07/05(土) 13:26:51
    アルミン『とりあえず皆食べ物は?』

    クリスタ『私の家なら割とまだたくさん・・・』

    ライナー『俺の家も大丈夫だな 当分は』

    ベル『僕はあんまりない・・・』

    エレン『俺とアニはちょっと少ないかもしれないぞ』

    ユミル『かっぱらってきたから余裕だな』

    アルミン『僕の家もたくさんはないんだよね・・・』

    アルミン『とりあえずミカサとジャンにも聞こう』

    ライナー『んじゃ迎えにいってくるわ』

    アルミン『あー1人で大丈夫?』

    ライナー『大丈夫だって 心配いらねえよ』

    クリスタ『でも・・・』

    ライナー『大丈夫だからよ じゃ行ってくる』

    アルミン『気をつけてね』

    そうして、ドアの閉まる音がした。

    ライナーのような屈強な体格の持ち主ならまず問題はないと思うが

    あの咆哮といいなんといい、不安は拭いきれなかった。
  37. 129 : : 2014/07/05(土) 22:06:32
    アルミン『・・・とりあえず食料はしばらくは問題無いと思うけど』

    ユミル『でもこの人数で共有するとなると』

    クリスタ『ちょっと心もとないよね・・・』

    大量にあるように見える食料も、10人近くいる自分たちではすぐに消費してしまうだろう。

    もって一週間かそれより少ないだろう。

    アルミン『とりあえず食料はいいとして・・・』

    アルミン『問題は水だ』

    エレン『これはかなり重要だよな・・・』

    アルミン『雨水や川の水はちょっと不安があるし』

    サシャ『とりあえず非常用パックの水持ってきませんか?』

    コニー『おお!それなら大丈夫だろ!』

    アルミン『それが最善策だね』

    クリスタ『でもどうやって取りに行くの・・・?』

    エレン『どうって・・・普通に・・・』

    そう言いかけたが、皆あることに気づいた。

    遠くから聞こえていた声がさらに近づいていると。

    その時。

    バタン!!!

    アルミン『ん?』

    ライナー『おい!お前ら!!早く逃げるぞ!』

    ライナーの言葉の意味が分からず、場が一瞬で静まる。

    アルミン『え、え?どういう

    ライナー『逃げてる時に話す!ミカサとジャンもいる!早く来い!!』

    しかし、ライナーが適当なことを言っているとは思えず、取り敢えず外へ出た。
  38. 130 : : 2014/07/05(土) 22:26:09
    ーー外

    エレン『で、どういうことだよ?』

    何処に向かっているかも決まっていないまま、走りながら聞いた。

    アルミン『あの声と関係が?』

    ミカサ『ええ』

    ジャン『その声の持ち主から今逃げてんだよ!』

    何とかミカサ、ジャンと合流できたことを安心する間も無いままこうして逃げているのだ。

    ジャンの言葉の意味も分からず、率直な疑問を持つ。

    アニ『で、声の正体は何なの・・・?』

    ライナー『ミカサたちを迎えにいって、またアルミンの家に向かってた時だ』

    そして、ライナーは話だした。

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

    ドンドン!

    “どちら様?”

    ライナー『俺だ、エレンのクラスのライナーだ 開けてくれるか?』

    するとすんなりとドアを開ける。

    ミカサ『エレンは無事?』

    ライナー『おう!クラスの奴らと一緒だ』

    ライナー『とりあえずお前とジャンを迎えに来た』

    ミカサ『ジャンならここにいる ちょうどよかった』

    ミカサがジャンを呼ぶと奥からジャンが出てきた。

    ジャン『ーそうか、じゃあ行こうぜ』

    ミカサ『それよりさっきから声といい足音といい、気になる音がする』

    ジャン『だんだん大きくなってる気がするし、急ごうぜ』

    ライナー『そうだな』

    そうしてアルミンの家に戻ろうとすると・・・

    ライナー『・・・あれ?遠くに人がいるぞ?』

    ジャン『子供じゃねえな・・・大人か!?』

    ここ数日大人の姿は見ていないので、気になった。

    声をかけようと近づこうとするが

    ミカサ『待って 様子がおかしい』

    確かに力なくヨタヨタとよろけながら歩いており、怪しさ満点だ。

    ライナー『でも・・・』

    ミカサ『とりあえずアルミンのところに行こう それからでも遅くないハズ』

    ジャン『・・・そうだな アレが今回の事態に関係があるとしたら危険だろ』

    ライナー『分かった』

    そうしてそのままアルミンの家の方へ歩き出した。

    すると・・・

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

    ライナー『突然走り出して来やがったんだ』

    ジャン『遠くから聞こえた奇声と同じような、な』

    ミカサ『だからこうして逃げている』

    コニー『でももう追って来てないんじゃ無いか?』

    サシャ『甘いですよコニー 見えなくなったからと言って必ず安全というわけでは無いです』

    アルミン『そいつのスピードはどのくらだった?』

    ライナー『人並みだ 俺たちの方が早かった』
  39. 132 : : 2014/07/05(土) 22:35:15
    アルミン『なら大丈夫でしょ』

    そうしてスピードを落として小走り程度で進む。

    するとそこには

    ユミル『ショッピングモールか・・・』

    クリスタ『ここなら色々ありそうだね』

    アルミン『入ろう』

    しかし・・・

    アルミン『無い』

    エレン『無いな』

    アニ『無いね』

    ユミル『すっからかんだな』

    誰かに荒らされた後なのか、ほとんど役に立つものは残ってなかった。

    アルミン『考えることは皆同じだよねそりゃ・・』

    クリスタ『でも、水ならあったよ!』

    そう、幸いにも水はたくさんあり、問題ない量あった。

    ユミル『これはありがたいな』

    ベルトルト『でもこの後どうするの?』

    アルミン『とりあえず外の様子を見れるところに行こう』

    ベルトルト『じゃあ屋上?』

    アニ『上にいったら何かあった時動きにくくなるんじゃない?』

    エレン『とすると出口が近くにあって、さらにそれが多いところ・・・』

    アルミン『どの道いっぺんに出口を塞がれることになったらアウトでしょ』

    アルミン『なら商品の搬入口にいこう いざとなったら車で逃げれるし』

    ジャン『無免許運転か 名案だな』

    苦笑しながらもとりあえず搬入口へ向かう。
  40. 133 : : 2014/07/05(土) 22:47:32
    その時だった。

    バタン!と音がしたかと思うと数人の人が倒れこむように入ってきた。

    アルミン『?』

    いや、1人は何かから逃げているのだろうか、そのまま這いつくばるようになおも動こうとする。

    それを後ろにいた数人の大人たちは逃がさない。

    スグに肩を掴み、押し倒した。

    ユミル『こんなとこで盛るなよな・・・』

    その声も若干強張っている。

    するとその逃げていたと思われる人が声を上げる。

    『たすけてくれえぇえ!死にたくない!!イヤだ!!』

    ジャン『は・・・?』

    すると大人の1人が口を大きく開けて・・・

    ガブっ!

    脇腹の辺りに噛み付いた。

    コニー『な、何してんだ!?あいつ!!』

    アルミン『逃げよう・・・』

    サシャ『え?』

    アルミン『逃げるよ!早く!!』

    そうして駆け出した。

    とりあえずアルミンについて行くように急いで搬入口へ向かう。

    なおも喚く男の声。

    『イヤだああああああ!!!』

    そして

    ブチブチッ!!!

    不快な音が響き、男の悲鳴が聞こえる。

    その後もその音が断続的に続き、ついに男の悲鳴は聞こえなくなった。

    さらにグジュッ・・・ブチュウッと何かが引きちぎれるような音がしたかと思うとそれも止んだ。

    クリスタ『い、今の何!?』

    ユミル『クリスタ、絶対後ろを見るなよ
    いいな!?』

    ジャン『いや・・・まさか・・・』

    その音がなくなり少し安堵すると・・・

    ドドドッとさらに大人たちがなだれ込むようにショッピングモールに入ってきた。

    何かに引きつけられるように・・・

    そしてあの、家で聞いた咆哮と足音が至近距離で迫ってくる。

    アルミン『早く!!』
  41. 143 : : 2014/07/10(木) 18:37:56
    必死で走っているうちに搬入口に到着した。

    幸いにもトラックがまだ何台かあった。

    どういうわけかカギも開けっ放しですぐに入り込む。

    今考えると鍵かかってたらどうするつもりだったんだろうと無計画さに呆れるが、今はそんな場合ではない。

    アルミン『だすよ!』

    エレン『運転できんのかお前!?』

    アルミン『大体わかるよ!多分!!』

    ジャン『何処へ向かうんだ?』

    アルミン『・・・』

    ミカサ『ア、アルミン?』

    アルミン『・・・とりあえず走らせるよ!』

    ユミル『大丈夫かよ・・』

    そう言ってあまり無い車についての知識を総動員させて動かす。

    エンジンをかけて、なんとか搬入口から出すことができた。

    アルミン『なんとかなりそうだ!』

    コニー『スゲーなお前!!』

    アルミン『とりあえず走り回ろう!』

    クリスタ『街どうなってるんだろう・・・』

    ユミル『無事・・・では無いだろうな』
  42. 154 : : 2014/07/15(火) 23:37:53
    ジャン『しかしなんだったんだ・・・』

    ユミル『大人だったな 内地の奴らか?』

    アニ『普通の人を襲ってたよね・・・』

    ジャン『ああ・・・』

    ミカサ『でもあの音は・・・きっと・・・』

    そのままみんな黙ってしまった。

    その後に何を言われるかわかっていたから。

    しかし、次に口を開いたのはミカサではなかった。

    アルミン『・・・巨人は本来、何も食べなくても生きていける』

    アルミン『でも人類には関心を抱き、何故か捕食を繰り返していた』

    クリスタ『ど、どうしたの?』

    エレン『何が言いたいんだ?』

    アルミン『その意思が人に反映されてるんじゃないかな、って思ってさ』

    アルミン『きっとあの粉と今回の事は無関係じゃないよ』

    ライナー『は?』

    アルミン『まずあれだけの治癒力をもつ粉がノーリスクで使えるとは考えにくいし』

    アルミン『もともと巨人の物質から作られてるんだ』

    アルミン『いくら温厚派でも巨人は巨人』

    アルミン『根底に人を喰らう本能が残ってるとしたら』

    アルミン『粉をつかった人にその意思が反映されてもおかしくないかも』

    一同『『・・・』』
  43. 155 : : 2014/07/15(火) 23:51:26
    エレン『でもまだその粉を使った治療は値が張っててそう沢山の人が使ってはいないんじゃ・・・』

    アルミン『ここまで規模が大きくなってるとするとどうもそれだけが原因じゃないね』

    アルミン『理由はどうであれここまで広がってる

    アルミン『政府の発表があっても聞く手段がない』

    アルミン『逃げることでしか助からないよ』

    ベルトルト『てことは内地はここより酷いことに・・・』

    アルミン『もう・・・だめだろうね』

    ジャン『なら早く内地から離れなきゃ

    コニー『なんでだよ?』

    ジャン『は?話聞いてたかコニー』

    コニー『もうウォールマリアより外側に俺たちが生きれる場所なんてねえだろ?』

    ジャン『そ、それは』

    コニー『それに王様たちが管理してたんなら王様に言えばなんとかしてくれるんじゃねえの?』

    エレン『そりゃそうだけどよ・・・』

    そういった瞬間、大きく身体が跳ねた。

    アルミン『くっ!!』

    ハンドルを握っていたアルミンが顔を歪める。

    それからも前からの衝撃が断続して続いた。

    サシャ『なんですか!?この揺れ!』

    ユミル『さっきまでは安定してたんだ 事故でないとすりゃ・・・』

    すると運転席からある声が漏れる。

    アルミン『ごめんなさい・・・!』

    クリスタ『・・・』ブルブル

    外からは絶えず断末魔のような叫びが聞こえていた。
  44. 156 : : 2014/07/16(水) 00:05:15
    そして衝撃と、グシャッグジュッッという不快な音な止むとアルミンは息が荒くなっていた。

    アルミン『ハアっ・・・ハアっ・・!』

    ライナー『大丈夫かよアルミン・・・?』

    アルミン『・・・大丈夫だよ ありがとう』

    とは言うもののアルミンの額からは汗が出ており、大丈夫には見えない。

    しかし、運転できるのはアルミンだけなので、彼に頼る他ない。

    みんながアルミンの負担を軽減できないことに歯痒さを覚えていると、

    アルミン『着いたよ・・・船着場だ』

    壁の外から内側へ行く方法は二つ。

    壁の内側にあるたった一つの門から入るか、

    船で連絡水路を通って行くか、だ。

    もっとも、門は恐らくあの狂った大人たちがシガンシナへ入ろうとごった返しだろう。

    船はこんな時に動いているはずもなく。

    結局方法は連絡水路を自力で通っていくしかなさそうだ。

    アルミン『とりあえずトラックで水路に沿って走るよ』

    アルミン『いけるところまで行って、そこからは自力だね・・・』

    文句を垂れても仕方ないので、全員が渋々ではあるがその案に賛成した。
  45. 158 : : 2014/07/20(日) 20:51:19
    絶対皆さんに引かれること言います〜

    ムラムラします(=゚ω゚)ノ

    と、言うわけで今書いてるのが一段落したらまたあっち系の話書きますね
    (ムフフ

    原作準拠だとどーも幸せになれる未来が見えませんし、学パロの予定。

    早く書きたいので今日はここ書きますよ!11時頃から!
  46. 161 : : 2014/07/20(日) 23:23:01
    走り続けること数十分。

    アルミン『車はここまでだね・・・』

    エレン『割と近くまで来れたな・・・』

    後はくくるだけのところまでトラックで来ることが出来たので内地へはサクッと行けそうだ。

    水路も整備用であろう人の通れる通路があったのは嬉しい事だ。

    アニ『でも内地はここより・・・』

    ユミル『仕方ねえよ 解決策があるとすりゃ内地しかないだろうしな』

    ミカサ『とにかく行こう』

    そう言ってジメジメした通路を通る。

    足音が妙に響いている気がして不安を掻き立てる。

    ジャン『それより内地に入ったらどうやって移動する気だよ?』

    アルミン『内地なら外の方より色々優遇されてるからその辺で車でも拝借しようかと』

    サシャ『これではまるで犯罪者ですね・・・』

    コニー『なんかワクワクするけどな!』
  47. 163 : : 2014/07/20(日) 23:39:13
    水路を抜け、ハシゴで地上へあがる。

    しかし、そこは・・・

    アニ『うっ・・・』

    ベルトルト『これは・・・』

    周りには人が転がっており、血だまりがいくつもある。

    そして漂う異臭。

    腐ったモノのようなその臭いの濃さは食べ物が腐った時に出るそれとは比べものにならないほどだ。

    アルミン『かなり前からこの状態なんだろうね・・・』

    生存者は期待出来そうにない。

    長居をしていては二次災害による被害も被るかもしれない。

    それに・・・

    ジャン『おいでなすったぜ・・・』

    つい先ほども見た人を喰らう大人たち。

    だが、その中には子どもも混ざっていた。

    ミカサ『やはり被害はこっちのほうが・・・

    ライナー『早く逃げるぞ!!』

    しかし、数がシガンシナの比ではない。

    アルミン『このままじゃ数で押し寄せられる!』

    コニー『どうすんだよ!?』

    エレン『乗り物とかその辺にねえか!?』

    ベルトルト『全部壊れてて使い物にならない!』

    ことごとく車やバイクなどの乗り物は火に襲われたように黒く焦げていた。

    クリスタ『建物に入るのはどう?』

    走りながらクリスタが聞く。

    アルミン『安全が完全に保障できるとこならいいけど・・・』

    アニ『そんなとこはないね・・・』

    アルミン『いや、待って!!あるよ!』

    ジャン『何処だよ!?』

    アルミン『内地の人たちは災害時の為のシェルターを持ってる人が多い』

    アルミン『ウォールローゼだとシーナに比べれば少ないけど・・・』

    アルミン『避難の為にシェルターからシーナはシェルター内で直通なんだ!』

    ライナー『それで行くぞ!』
  48. 164 : : 2014/07/21(月) 00:09:38
    極力人を喰らうバケモノと化した大人たちには見つからぬよう移動する。

    しかし数が多すぎてそんなことは不可能だった。

    煙を上げて、人間のものとは思えない咆哮をあげて迫って来る様は

    まさに以前映像で見た巨人のようだ。

    サシャ『ひいっ・・・!』

    ライナー『で、どこだよそのシェルター!』

    アルミン『お金かかってそうな家ある!?』

    エレン『俺たちからしてみりゃ何処もかしこも豪邸だよ!』

    ユミル『そういや、クリスタはもともと内地の出身だろ?』

    ユミル『分かるか?』

    クリスタ『えーと・・・きっとあの家なら!』

    クリスタが指差す方向を見る。

    他の家と何が違うのか分からないがクリスタが言っているのだ。

    間違いはないだろう。

    アルミン『じゃあそこにいくよ!』

    ーーー

    ーー



    大人たちを振り切りなんとかそこに到着する。

    アルミン『あった!さすがクリスタ!』

    入り口はすぐに見つかり、いそいで入る。

    エレン『でもここからシーナまでは何百キロとあるんだぞ?』

    クリスタ『大丈夫だよ』

    不安を口にするとクリスタが言う。

    クリスタ『ここからシーナに避難する為の簡単な乗り物があるの』

    クリスタ『歩くよりはかなり早いはずだよ』

    ミカサ『何人まで一度に動ける?』

    クリスタ『この人数なら一回で大丈夫だと思うけど・・・』

    ジャン『ちょっと待て 今って電気が止まってんだろ?』

    アルミン『ああ、それなら心配いらないよ』

    エレン『どういうことだよ?』
  49. 166 : : 2014/07/21(月) 06:05:43
    アルミン『実は

    そう言おうとしたその時。

    自分達が入ってきたシャッターがこじ開けられる音と叫び声が聞こえた。

    シェルターの厳重なロックも奴らの数の前では大した意味を持たなかったのだろう。

    アルミン『乗りながら教えるから!早く!!』

    そういって全員乗るとクリスタがスイッチを押す。

    するとそれはレールの上を走りだし、徐々にスピードを上げる。

    この速さなら追いつけないだろ。

    そう思い動いた理由を聞く。

    アルミン『非常用の乗り物は基本的に王政が管理している供給所で電気が供給されるんだ』

    アルミン『きっとそこはまだ無事なんだ』

    ミカサ『なるほど』

  50. 171 : : 2014/07/25(金) 01:16:09
    エレン『で、まあなんとかシーナの中まではたどり着けるだろうけどよ』

    エレン『問題はどれだけ時間がかかるかだよな・・・』

    アルミン『この距離を今の速さでずっと走り続けるとして・・・』

    アルミン『あと8時間もあれば・・・多分』

    コニー『そんなにかかんのかよ!?』

    ユミル『マジか・・・』

    ジャン『まああのバケモノたちは追いつかねえんだ 気楽に行こうぜ』

    アルミン『(正直この長い時間の移動は危険だ・・・)』

    この状況でさらに逃げ道はない。

    カーゴのなかはまだスペースが空いているとはいえ、十分な余裕はない。

    混乱を招き、全てが崩れ去るきっかけがあれば崩壊は必至だ。

    やがてそれは現実となる。

    ライナー『・・・なあ俺たち、何の為にこんなことしてんだ?』

    アルミン『・・・』

    ミカサ『どうしたの?』

    ライナー『だってなんでわざわざ危ないほうに行くんだよ・・・』

    アルミン『(マズイ・・・)』

    ジャン『そりゃお前・・・』

    ライナー『・・・もう意味がわからん 降りるぞ俺は!』

    ベルトルト『お、落ち着きなよ!こんなとこで

    コニー『言われてみりゃそうだよな こんなコト・・・母さんも・・・』

    アニ『ま、待ってよ 気持ちはわかるけど

    コニー『落ち着いていられるわけないだろ!』ドンッ!

    アニ『きゃっ・・!』

    エレン『おいコニー!落ち着け!アニに当たるな!!』

    さらに

    ユミル『バカ!お前何してんだ!!?』

    ユミルの焦った声に振り向くと

    ライナー『アルミンにはもう任せておけねえ・・・』

    護身用に持って来たナイフをアルミンに突きつけていた。

    アルミン『・・!』
  51. 172 : : 2014/07/25(金) 07:48:52
    ライナー『頼むアルミン・・・俺は助かりてえんだよ・・・』

    ライナー『死ぬなら俺たちを巻き込まずに死んでくれよ・・・』

    ミカサ『やめなさい!』

    そのままアルミンの喉を掻き切ろうと右腕を振りかぶる。

    防げない。

    そのとき、何かが上からライナーに飛んできた。

    いや、飛びついて来た。

    ライナー『ぐあっ!!?』

    アルミン『!?』

    それはあの狂った大人のようだ。

    そしてすぐさま鋭く尖った牙で腕にかぶりつくとそのまま引きちぎり

    ナイフを握ったままのその腕を宙に飛ばした。

    ライナー『うあああああああ!!』

    傷口からは血が噴き出続け、そこにいた者は全員動けない。

    そのままあちこちを牙で引っ掻き回し、その度にライナーは悶えた。

    もみくちゃになり、そのままカーゴから落ちる。

    其の間もカーゴは進み続ける。

    遠くになったライナーの方から一度だけ大きな不快音がするとそのままライナーの悲鳴は聞こえなくなった。

    そのバケモノは手に何かバスケットボールほどの大きさの球状のものを持って通気口へ姿を消した。


    何も喋れなくなる一同。そして、

    ベルトルト『ラ、ライナー・・・』

    コニー『あ・・・うわ・・・』

    クリスタ『や、やだよ・・・こんなの・・・!』

    エレン『・・・クソッ!』

    ミカサ『・・・ッ 大丈夫?アルミン』

    アルミン『ぼ、僕は大丈夫・・・』

    ジャン『・・・』

    アニ『うう・・』

    サシャ『なんか・・・気持ち悪く・・・!』

    コニー『・・・やっぱり、嫌だ』
  52. 184 : : 2014/07/28(月) 01:52:14
    期待!
  53. 199 : : 2014/07/28(月) 23:45:14
    コニー『結局俺たちは危ないトコに向かってるだけだ!』

    エレン『いい加減にしろよ!皆辛いのは同じなんだ!』

    コニー『ふざけんなよ!?ライナーがあんな目に遭ったのは全部アルミンの判断の所為だろうが!』

    アルミン『!!』

    ジャン『アルミン・・・』

    クリスタ『やめなよコニー!』

    ユミル『・・・確かにな』

    クリスタ『ユミル!?』

    ユミル『クリスタも分かってるだろ?』

    ユミル『アルミンが内地に行かなければライナーは死ななかったかもしれない』

    ミカサ『あのままあそこにいれば死んでたかもしれない』

    ミカサ『アルミンの判断は正しかった!』

    ユミル『どうかねぇ?見る限り奴らは本能で動いている』

    ユミル『隠れてれば生き延びることは容易だったはずだ!』

    サシャ『・・・』

    コニー『大体なんでアルミンはそんな落ち着いてんだ!!オカシイだろこんな状況で!』

    アニ『でも冷静な判断は必要でしょ!アルミンがいなかったらきっとここまで

    ユミル『何故そんなにアルミンを庇うんだよ』

    エレン『は・・・?』

    ユミル『アルミンも怪しいがお前らも怪しいんだよ』

    コニー『お前らがこれの犯人じゃねえのか!!?』

    アニ『そんなわけないでしょ!大体高校生にそんなこと出来るわけない!』

    ユミル『お前らの言うアルミンの“冷静な頭脳”なら出来るんじゃねえか、って言ってんだよ!』

    クリスタ『お願いやめて!!』
  54. 203 : : 2014/07/29(火) 00:02:48
    ユミル『クリスタ、そいつらから離れろ』

    クリスタ『え・・・でも・・・!』

    アルミン『僕がそんなことするわけ

    ユミル『ライナーを殺したのはアルミン、お前だよ』

    アルミン『・・・!!』

    エレン『違う!あれは誰も悪くねえ!!』

    ジャン『そうだ!だから落ち着いてくれ!!』

    ユミル『こっちは正常だお前らの方がオカシイんだよ!!』

    ベルトルト『よくもライナーを・・・』

    アルミン『(下手に刺激するともっとマズイことに・・・)』

    その後も言い合いは続いた。

    一度冷静さを失えば繋がりは途切れる。

    お互い体力を消耗しているので、暴力沙汰にならなかったのが救いだが。


    エレン『はあ・・クソッ・・・』

    エレン『アルミン疑うなんてどうかしてる』

    このままでは埒が明かないと踏み、お互いに見張りを一人ずつだし、他が寝ている時だった。

    ユミル『あ?こっちはお前ら殺してでもこいつを止めて外の方へ戻る覚悟は出来てんだぜ?』

    エレン『少しは落ち着いたかと思ったら全然だな・・・』

    ユミル『1000人いりゃ999人は私の判断が正しいって言うだろうよ』

    ユミル『壁内の人間滅ぼしかけてる殺人鬼様と一緒にいられるかってんだ』

    ユミル『お前ら殺す口実は幾らでもあるんだぜ・・・?』

    ユミル『なんなら今からやってみるかい?』

  55. 205 : : 2014/07/29(火) 00:14:25
    エレン『よせっつってるだろが!』

    アルミン『・・・』

    アニ『・・・』

    ジャン『・・・』

    ミカサ『・・・』

    ユミル『簡単だぜ?ここから叩き落とせばいいだけだからなあ』

    ベルトルト『・・・』

    サシャ『・・・』

    クリスタ『・・・』

    コニー『・・・』

    ーーー

    ーー



    ???『こちらに一本、緊急避難用カーゴが向かっていますが』

    ???『こちらのモニターに写せ』

    ???『・・・子供にも関わらず大したものですね』

    ???『・・・』

    ???『い、いかがなされました?』

    ???『言ったハズだ 生存者など必要ない』

    ???『見る限りどのグループも既に内部で分裂しかけている』

    ???『決定打を打ち込めばたやすく崩壊するような脆い繋がりだ』

    ???『ラジオに流せ』

    ???『い、一体何を?』

    ???『あの男だ あの目は・・・最も厄介な者の目だ』

    ???『アレは・・・エレン・イェーガーという者だそうで』

    ???『・・・そんなことはどうでもいい』

    ???『で、どのようなことを流せと?』

    ???『ーーー。』
  56. 207 : : 2014/07/29(火) 00:32:24
    ーーカーゴ

    睨み合いの中

    ガガガ・・ピー

    持って来ていたラジオが何かの電波を受信したようだ。

    今までうんともすんとも言わなかったそのラジオ。

    無事なのは中央の王政府くらいだろう。

    つまり王政府から直接放送されるということだ。

    『王政府より直々の放送 繰り返す王政府より直々の放送だ』

    エレン『・・・?』

    ユミル『救援の放送か!!?』

    『生存者全員に告ぐ この地獄を生き延びる方法だ』

    ユミル『・・・』

    『現在、全生存者の中にこの事件の犯人がいる』

    エレン『・・・』

    ガコン。

    カーゴが止まる。

    どうやらウォールシーナ内に到着したようだ。

    しかし、二人とも、誰も動かない。

    『人類史上最悪の大犯罪者に制裁を加えるべく、あることを要求する』

    エレン『・・・起きてくれ、みんな』

    ユミル『起きろお前ら』

    『生死は問わない 今から伝えるその大犯罪者を我らの元へ連れて来て欲しい』

    エレン『・・・』ジリッ

    ユミル『・・・』

    双方地面を踏みしめる。

    『其の者の名は・・・エレン・イェーガーだ!!』

    エレン『!!』ダッ!!

    ユミル『少々見誤ったが、お前 が・・・!』

    『エレン・イェーガーの首をもってこい!成した者をこの地獄より救い出す!』

    エレン『俺なわけねえだろっ!!何考えてんだ王政府は!!』

    カーゴから飛び降り、ウォールシーナ内に飛び込む。

    アルミン『どうして・・どうしてエレンが!!?』

    ミカサ『考えてる暇はない・・・今捕まったら確実にユミル達に殺される』

    アニ『今すべきことはエレンを守ること!』

    ジャン『くそ・・・でもシーナの中は化け物だらけ』

    ジャン『オマケに今まで仲間だった奴らの半分に追われるんだ』

    ジャン『泣けるぜクソッ!!』
  57. 209 : : 2014/07/29(火) 00:37:15
    すぐさまその後ろを走るは

    ユミル『完璧な口実が出来たな』

    コニー『あいつら・・・!』

    クリスタ『や、やっぱり・・・!』

    ベルトルト『殺す・・・!』

    ユミル『必ず生き延びてやる・・・!』

    ユミル『ライナーの仇、とってみんなで助かるぞ!!』

    一同『『『おおお!!!』』』
  58. 225 : : 2014/08/02(土) 23:45:20
    ーーエレン一行

    エレン『んで、この先どうすんだよ?』

    アルミン『・・・』

    エレン『アルミン?』

    アルミン『あ、ゴメン』

    エレン『いや、この先どうすりゃいいんだよ』

    アニ『エレンを狙ってる理由は分からないけど』

    ミカサ『少なくとも王政府は私たちを快くは思っていないハズ』

    ジャン『・・・』

    エレン『つかなんで俺なんだよ・・・』

    アルミン『個人的な感情が関わってるとか?』

    エレン『少なくとも助けたいとは思ってなさそうだよな・・・』

    ミカサ『生死問わず、最終的に殺したいというのは間違いなさそう』

    ジャン『今は考えるのは後だろ!少しでも気抜いたら奴らの晩飯になるぞ!』

    そう聞いて空を一瞬見上げる。

    もう暗くなっており、太陽の半分ほどが沈んでいる。

    アルミン『夜休憩するのは危険だ 寝込みを襲われる』

    エレン『寝れないのかよ!?』

    アニ『その点は見張りを交代ですれば・・・』

    アルミン『うん 問題はユミル達だよ』

    ウガアアアアア!

    再びあちこちから飛びかかってくる。

    とにかく今は逃げるしかない。

    アルミン『(武器も必要だな・・・)』
  59. 226 : : 2014/08/03(日) 00:01:33
    しかしここで異変に気づく。

    エレン『あ・・・?』

    ミカサ『動きが・・・』

    ジャン『ハッ!疲れてんのか!そんなんじゃ俺たちは捕らえられねえぞ!』

    そう、獣たちの動きが鈍かった。

    シガンシナやウォールローゼでみたもの達より明らかに動きが遅い。


    アニ『・・・?』

    アルミン『・・・ひょっとして』

    アルミン『とにかく隠れられるところを!』

    ジャン『貴族様の領域だ そこらじゅうにあるぞ』

    アニ『あの家でどう?』

    とりあえず敵を巻くように角を適当に何度も曲がる。

    勢いそのままに適当な家・・・屋敷に入り込む。

    自分たちをおっていた集団の不規則でたくさんの足音が通り過ぎ、ほっと息をついた。

    アルミン『今日はここで夜を過ごそう』

    ジャン『そうだな・・・』

    ジャン『・・・くそッ』

    ミカサ『・・・』

    アニ『・・・ハア』

    エレン『・・・どうにかなっちまいそうだな』

    ーーーユミル一行

    ユミル達もバケモノ達に身を追われている。

    そして、その動きが遅いことにもすぐに気づいた。

    とりあえず適当なところに潜り込み、落ち着くことにした。

    ユミル『あいつらだってそんなに遠くには行ってない』

    ユミル『すぐに見つけてズタズタにしてやる』

    コニー『ふざけやがってエレンの野郎・・・』

    ベルトルト『殺す・・・殺してやる・・・』

    クリスタ『・・・』

    サシャ『どうしてこんな・・・』

    ユミル『嘆いても仕方ねえだろ これが真実さ』

    ユミル『殺人鬼を嬲り殺して地獄を見せてやる・・・』

    ユミル『どうやらこの屋敷の元主は相当すごかったらしいな』

    ユミル『武器庫がある バケモンと殺人鬼、どっちにも通用するもんを持ってこう』

    サシャ『今日はここで泊まりましょうよ・・・』

    サシャ『ヘトヘトです・・・』
  60. 235 : : 2014/08/06(水) 23:40:29
    ーーエレン一行

    エレン『・・・』

    アニ『エレン・・・?』

    アルミン『どうかしたの・・・?』

    エレン『あいつらに俺の首差し出せば皆助かるんだよな・・・』

    ミカサ『エレン!』

    アニ『な、何考えてるの!?』

    ジャン『・・・そうだよな』

    ミカサ『ジャン!!』

    ジャン『あの時お前が殺されれば皆助かってたんだよ』

    アニ『ちょっとアンタ!』

    エレン『・・・』

    ジャン『でもお前はここまで逃げたんだ』

    ジャン『俺は正直この先コイツをかくまっていられる自信がねえ』

    ミカサ『ジャン、いくら貴方でも

    ジャン『だってそうだろ?』

    ジャン『コイツを差し出せば必ず助かるとしたら殺して首持って行くのが1番確実だ』

    ジャン『時が過ぎて行けばドンドンおかしくなっちまうよ・・・』

    アルミン『・・・そうだよね』

    アニ『アルミンアンタまで!』

    アルミン『ライナーを見たでしょ?このまま正気を保っていられる方がおかしいよ』

    ジャン『・・・だから俺はこのグループから抜けさせてもらう』

    エレン『!!』

    ミカサ『貴方1人で外に出て行こうというの!?』

    ジャン『さあな・・・ 1人で野たれ死ぬかもしれねえし、ユミル達と行動するかもしれねえ』

    ジャン『でも・・・仲間だと思える内にエレンを殺してまで助かるのは死んでもゴメンだ』

    アニ『・・・』

    アルミン『・・・僕は残るよ』

    アニ『私ももちろん残る』

    エレン『お前ら・・・』

    ミカサ『・・・私はジャンと行く』

    アニ『ミカサ・・・』

    ミカサ『私はエレンを殺すことなんてしない 100%断言できる』

    ミカサ『だからユミル達の好きにはさせない』

    ミカサ『・・・それにジャンとなら何処へだって行ける』

    ジャン『・・・嬉しいこと言ってくれるじゃねえか』

    ミカサ『じゃあ・・・』

    エレン『い、今から出て行く気かよ!?襲われたらどうすんだ!』

    ジャン『・・・気づいてねえのか?』

    エレン『は?』
  61. 236 : : 2014/08/06(水) 23:51:24
    ーーユミル一行

    ユミル『今から奇襲かけんぞ』

    一同『『『!?』』』

    サシャ『そ、そんな!』

    コニー『あの変な奴らに襲われるぞ!?』

    ユミル『じゃあ聞くが今、あいつらの足音するか?』

    サシャ『え?』

    ユミル『声聞こえるか?』

    コニー『・・・いや』

    ユミル『推測だが、あいつらは夜は行動出来ないようだ』

    ユミル『それに向こうだってギリギリの精神状態のハズだ』

    ユミル『私達よりも疲弊してるのは確実』

    ユミル『今しかねえだろ?』

    一同『『『・・・』』』ゴクッ

    そこにいる全員が息を飲む。

    そして覚悟を決めたように各々武器を持って立ち上がった。


    ーーエレン一行

    エレン『ーーもしそうだとしてもだ!』

    エレン『確実じゃねえだろ!人がいないから大人しくなっただけかも

    ジャン『ビビってたらいつまでたっても行動出来ねえだろが』

    アルミン『・・・本で見ただけだけど』

    アニ『?』

    アルミン『巨人の活動に必要なのは食事でも、水分でもない』

    アルミン『日光だって・・・』

    アルミン『あいつらがもし人を食べたいという欲求・・いや、巨人の本能で動いているとしたら』

    アルミン『その巨人の弱点も・・・日光に対する脆弱性も引き継がれてるのかも』

    エレン『・・・』

    ジャン『もうイイだろ?俺たちは行く』

    ミカサ『絶対に捕まらないで・・・』

    ミカサ『アルミン、アニ、エレンをお願い』

    アルミン、アニは静かに、それでいて力強く頷いた。

    それを見たジャンとミカサは静かに家を出て行った。
  62. 237 : : 2014/08/07(木) 00:12:55
    エレン『・・・』

    アニ『・・・私達は絶対裏切らないから』

    アニ『だからエレンも・・・変な気起こさないでよ・・・?』

    エレン『・・・ああ ありがとな』

    アルミン『これからどうする? 屋敷の中だから外よりは確実に安全だけど』

    アニ『とりあえずこのままの方が良くない?』

    アニ『下手に動いてユミル達に見つかるとマズイし・・・』

    エレン『なら見張りをつけて休憩した方が良くねえか?』

    エレン『俺が見張りをすりゃ襲われる心配もねえだろ』

    アニ『でも・・・』

    エレン『こんくらいさせてくれよ お前らの負担と比べりゃ安いもんだ』

    アルミン『・・・分かった でも無理になったら僕に言ってよ?』

    エレン『はいよ』

    アルミン『あー・・アニ?』

    アニ『ん?』

    アルミン『その、アニは女の子だから本来一緒に寝るのはあまりよろしくないんだけどさ』

    アルミン『危ないからさ・・・三人で固まっておいて、そこで寝るのがいいんだけど』

    アニ『あー・・・いいよ、こんな時にそんなこと気にしてられないし』

    アルミン『まあ僕は少し離れてるからエレン、アニよろしくね』

    エレン『変な気回さなくていいのによ・・・』ハハ・・

    アニ『じゃ、お言葉に甘えて・・』ソソ

    アニ『お休み・・・』

    アルミン『お休み エレン、何かあったらすぐに起こしてね』

    エレン『おう、任せとけ』
  63. 238 : : 2014/08/07(木) 00:32:20
    ーーユミル一行

    クリスタ『もうイヤ・・・』

    ユミル『あ?』

    クリスタ『やっぱり辞めようよ・・・』

    クリスタ『友達殺してまで助かりたくなんかないよ!』

    ユミル『・・・あのなあクリスタ』

    ゴッ!

    顔を近づけて頭突きをかます。

    強くはないが、思わずよろけた。

    クリスタ『痛っ・・・!』

    ユミル『お前カーゴの中で何を見た?』

    ベルトルト『アルミンのせいでライナーは死んだんだぞ!』

    クリスタ『それはライナーがアルミンを刺そうとして・・・』

    クリスタ『それにエレンは何も悪くないでしょ!』

    ユミル『・・・皆仲良く死にてえのか?』

    ユミル『生きたいだろ?』

    クリスタ『だから!』

    ユミル『そもそも皆で生き残ろうなんてバカの考えることだ』

    ユミル『このままじゃどのみち私達もあいつらも死ぬ』

    ユミル『エレンには英霊になってもらう他ないのさ』

    クリスタ『じゃあエレンは何もしてないのに殺さなきゃならないの!?』

    ユミル『いい加減にしろよ』

    急にドスの効いた声でクリスタに迫った。

    その迫力に思わずひるむ。

    それでも負けじと

    クリスタ『お、おかしいよユミル!どうしちゃったの!?』

    ユミル『んなことはとうの昔に知ってるさ』

    ユミル『狂うしかねえだろ?助かる可能性が0だったんだからよ!』

    ユミル『アルミンに当たる他なかったんだよ!』

    ユミル『だがそこに救いの糸が垂れて来た』

    ユミル『エレンを殺せば助かる』

    ユミル『だったら殺すしかねえだろ?』

    ユミル『助かるためなら王政府の手のひらで踊ってやるさ』

    ユミル『結局欲しかったのはこいつらと団結するきっかけさ』

    そう言って一瞬後ろのベルトルト達を見る。

    皆周りを警戒しているようで視線には気づかないようだ。

    そしてすぐに視線を戻す。

    ユミル『だからあいつらには悪者になってもらった』

    ユミル『狂った奴同士ならちょっとしたことで団結力が生まれる』

    ユミル『目標完遂までの短くて切れやすい団結の糸かもしれねえ』

    ユミル『でも人殺すにゃそんな安い団結の糸でも十分さ』

    狂気。

    その言葉がもっとも似合う様子のユミルにクリスタは何も言葉が出なかった。

    恐怖。そして、芽生えてはいけない感情が芽生えつつあった。
  64. 239 : : 2014/08/07(木) 00:53:17
    ーージャン一行

    ジャン『・・・俺と来てよかったのかよ』

    ミカサ『ええ これでいいの』

    ミカサ『私はもうエレンとともに行動する資格がない』

    ジャン『は?』

    ミカサ『1度だけ・・・一瞬だったけれど』

    ミカサ『考えてはいけないこと・・・それを考えてしまった』

    ミカサ『私はもう・・・エレンとはいれない』

    ミカサ『きっとアニはあんなコト考えない』

    何を考えたのかは言わなかった。

    だがジャンにはそれが何なのかが分かっていた。

    ジャン『・・・それが人間だろ』

    ジャン『なんだかんだ言って助かるためなら手段を選ばない汚い生き物だ』

    ジャン『いつだってそうだ 他の命を蹂躙してまでのうのうと生き延びてきた』

    ジャン『しまいにゃ命を創りだそうとしてこんなコトになっちまった』

    ジャン『神様は見てたんだな・・・やっぱ』

    ミカサ『・・・もう、普通の時には戻れない』

    ジャン『・・・そうだな』

    ーーエレン一行

    エレン『・・・』

    アルミン『・・・エレン?』ボソッ

    エレン『ん?どした?』

    アルミン『シーッ!』

    エレン『あっ悪りい』ボソボソ

    そう言ってそばにいるアニを見る。

    起こしていないようだと分かり一安心する。

    エレン『で、何だよ?』

    アルミン『生への執念より怖いものって、なんだと思う?』

    エレン『は?』

    一瞬なんのコトか分からなかった。

    しかし、今までの事を思い返すと

    エレン『・・・ユミル達のコトか?』

    アルミン『うん でもそれよりも怖いものがある』

    エレン『あのバケモノ達のコトか?』

    アルミン『違う違う』

    エレン『じゃあ何だよ?』

    アルミン『生きるコトを諦めた人だよ』

    エレン『は?』

    アルミン『人っていうのはね、何が何でも生きようとしている』

    アルミン『いわばそれが"普通の人間"だ』

    アルミン『他人を蹴落としてでも生きようとする汚い生き物だ』

    アルミン『でもそれはまだ完全な状態じゃない』

    エレン『わからねえな 何が言いたいんだよ?』

    アルミン『"火事場の馬鹿力"って知ってる?』

    エレン『あ、ああ』

    アルミン『人は必要以上の力が出て身体を壊さないようにリミッターをかけてる』

    アルミン『そのリミッターの正体・・・それが"死への恐怖"』

    アルミン『生命的な危機を感じると人は通常とは比にならない程の力を出す』

    アルミン『つまり死への恐怖がなくなればその力が常時出せるコトになるんだ』

    アルミン『つまり』

    エレン『死への恐れが無い人・・・』

    アルミン『本当に怖いのはユミルじゃない』

    アルミン『恐らく周りに常に気を配り過ぎていて壊れやすい人』

    アルミン『向こうのグループの中で最も危険なのは・・・』
  65. 249 : : 2014/08/08(金) 22:27:54
    ーーユミル一行

    ユミル『・・・ったくふざけやがって』

    ユミル『こうも豪邸ばっかりじゃなかなか見つけられそうにねえな』

    コニー『でもそう遠くには行けないよな?』

    ベルトルト『もと来た道を戻ってるとかは?』

    ユミル『いや、ありえねえ ライナーの死体があるんだぜ?』

    ユミル『それに基本的に非常カーゴの経路内には監視カメラがある』

    ユミル『王政府がエレンを狙ってんだ ワザワザ見つかるような馬鹿な真似はしねえだろ』

    サシャ『それより酷い臭いです・・・』

    ユミル『死体や血が転がってんだ 腐臭漂うのは当然だろ』

    ユミル『それより急がねえとな・・こんだけ死体があると伝染病が蔓延する可能性がある』

    ユミル『片付けるヤツがいねえとなるとそれも時間の問題だ』

    ユミル『医療機関もねえんだ 感染したら終わりだと思え』

    サシャ『うっ・・・』

    クリスタ『・・・』

    ーーエレン一行

    エレン『・・・そう、か』

    アルミン『うん・・・』

    アルミン『・・・エレン』

    アルミン『もし僕がそうなったら、君が殺してくれよ?』

    エレン『は・・・?』

    アルミン『僕だって人間だ』

    アルミン『生きる事への執着が暴走するかもしれないし』

    アルミン『生きるコトを諦めて暴走するかもしれない』

    アルミン『だから エレン『ふざけんな』

    エレン『狂わせてなんかたまるかよ』

    エレン『アルミンはアルミンだ』

    エレン『それに、アルミン、アニ達のためなら俺は

    ギュッ

    突然服が何かに引っかかったような感覚がする。

    エレン『・・・?』

    よく見るとアニの手がエレンの服をつかんでいた。

    エレン『悪い、起こしちまったか?』

    アニ『・・・』

    返事は無い。それでも手は離れない。

    アニ『・・・』

    アニ『・・・バカ』

    ポツンと呟かれたその言葉はあまりにも重く、深いものだった。
  66. 250 : : 2014/08/08(金) 22:37:05
    ーー数時間後

    なかなか寝付けなかったらしいアルミン、アニも眠り、エレンは1人外を見る。

    エレン『・・・』

    さっき言おうとした自分の言葉を思い出す。

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

    エレン『アルミン、アニ達のためなら俺は・・・』

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

    エレン『・・・』

    エレン『(俺は本気だからな・・・?)』

    きっと何を言おうとしていたかわかっている二人に心の中で問いかける。

    エレン『・・・?』

    真っ暗闇の中、わずかに物音がする。

    ザッ・・ザッ・・・

    静かに、それでいて素早く身をかがめる。

    よく見ると松明だろうか。ぼうっとした明かりも見えた。

    エレン『(・・・ユミルたちか?)』

    そのまま豪邸の前を通り過ぎて行く。

    フッと小さく息を吐き、緊張を緩める。

    エレン『ったく、なんで人間からも逃げなきゃならねえんだよ・・・』

    ーーー

    ーー

  67. 251 : : 2014/08/08(金) 22:51:57
    ーー明朝

    結局あれからも警戒をし、一睡もしなかった。

    疲労が溜まっているのは自分でもわかっている。

    本来なら安全なはずの夜もユミル達のコトで無防備になるわけにはいかなかった。

    そのうち外のあちこちでザッザッという足音がし始め、徐々に音が大きくなってきた。

    エレン『動き出したのか・・・』

    するとアルミンは素早く起きる。

    アルミン『今何時?』

    エレンが確認するより早く此処にある柱時計を見る。

    アルミン『5時半・・・意外と早いね』

    するとむくりとアニも起き上がる。

    朝に弱いアニはまだ意識がはっきりしていない。

    アニ『・・・』ボー

    エレン『大丈夫か?アニ』

    アニ『ん・・』

    何やら気持ち悪そうに身体を動かす。

    エレン『そうか・・・そういや風呂に入れてねえな』

    アルミン『水は貴重だからね・・・入れたとしても水風呂だね』

    だんだん意識がはっきりしてきたアニも気を引き締めて息を吐く。

    アニ『・・・フゥッ』

    アルミン『いつでも動ける?』

    アニ『大丈夫』

    エレン『でもどうすんだ?これからどんどん奴らの数増えるだろ』

    アルミン『少しずつ動くしかないね 内地の方に行けば水源もあるし風呂もなんとかなるかも』

    アルミン『・・・まあその水が汚染されてなければだけど』
  68. 252 : : 2014/08/08(金) 23:00:20
    アルミン『護身の為にも武器は欲しいから・・・』

    そう言って身を低くしながら何処かへ向かう。

    戻って来た時には手に斧を持っていた。

    アルミン『十分じゃないけど、無いよりましだと思う』

    アニ『コレは・・・?』

    アルミン『見たとおり斧だよ』

    アルミン『観賞用というかコレクション用途だろうね』

    アルミン『切れはしないけど鈍器としてなら使える・・・かも』

    エレン『マスケット銃の一丁や二丁ねえのかよ・・・』

    アルミン『治安は内地の方が当然いいからね・・・趣味として狩をする人くらいしか実用的なものは持ってないんだ』

    エレン『そうか・・・』

    とりあえず1人一丁ずつ斧をもっていくことになった。

    アルミン『大きな隙ができたら行くよ』

    エレアニ『『分かった』』
  69. 253 : : 2014/08/08(金) 23:23:26
    ーーユミル一行

    ユミル達は昨夜のエレン捜索の後、再びあの豪邸に戻っていた。

    ユミル『まあ一発でみつかるたあ思ってなかったしな』

    コニー『早く見つけねえと逆に俺たちが危ねえよな』

    ユミル『ああ、きっとあいつらは私たちを逆恨みしてるだろうからな』

    ユミル『生活リズムを完全夜型に移行した方がいいな』

    サシャ『と言うと?』

    ユミル『夜ならあの化け物どもに襲われる心配は無いから自由に動ける』

    ユミル『だから日中に休憩、夜に捜索だ』

    サシャ『でも休憩中にあの変な人たちに襲われたら・・・』

    ユミル『交代で見張りをつければいい』

    ユミル『私、クリスタ、サシャ、コニー、ベルトルトの五人』

    ユミル『日照時間を12時間とすると1人2時間ちょい見張りをすりゃいい』

    ユミル『後の約10時間はゆっくりできるんだ どうだ?』

    ベルトルト『それでいこう』

    ユミル『あいつらもおそらく夜に動くはずだ 心配はいらねえ』

    クリスタ『・・・』

    ユミル『まあ常に武器はスグに手に取れるとこに置いとけよ』

    ーーエレン一行

    アニ『でも日中に動くのは危険じゃ無い?』

    エレン『そうだな・・・ユミル達のコトもあるし・・・』

    アルミン『ユミルは自分に得なコトしかしないはず』

    アルミン『つまりリスクは侵さない 確実な方法を選びとるはず』

    アルミン『リスクを避けるとなると夜に行動するだろう』

    アルミン『それに今は夏だから日照時間が長いんだ 夜よりもたくさん動ける』

    アルミン『いくらか日中のほうが慎重にならざるをえないけど追いかけっこになれば追いつかれる可能性は低いはずでしょ』

    エレン『なるほどな・・・』

    アニ『じゃ、早めに行動に移った方がいいね』

    アルミン『エレンは大丈夫?』

    エレン『夜までなら持つと思う 多分』

    アルミン『じゃ、持ってきた乾パン食べたらできるだけスグ行くよ』
  70. 256 : : 2014/08/10(日) 11:34:09
    ーージャン一行

    ーーャン、ジャン

    ジャン『んあ・・・?』

    ミカサ『日が昇った 起きないと危ない』

    ジャン『ああ・・・そうだな・・・』

    そう言ってむくりと起き上がる。

    何回か首をコキコキとほぐしたあと、顔をパシッと叩いて気を引き締める。

    ジャン『よし』

    ミカサ『この後どうする?』

    ジャン『昼に動き回るのは危ねえよな・・・』

    ミカサ『しかし夜も夜でユミル達がいる』

    ミカサ『エレンの仲間と思われているとすると命が狙われてるかも・・・』

    ジャン『ユミル達も行動は夜にするはずだ』

    ジャン『追いつかれるコトはねえだろ』

    ミカサ『だといいけど・・・』

    ーーエレン一行

    エレン達は少し移動して待機 隙ができたらまた移動を繰り返していた。

    エレン『クッソ・・・全然動けねえな・・・』

    アルミン『仕方ないよ それにまだ早朝だから奴らの数が少ないんだ これから増えてくる・・・』

    アニ『今以上に動けなくなるってこと・・なの?』

    アルミン『・・・必要になれば強行突破もあり得るよ・・・コレで』

    そう言って持ってきた斧をちらつかせる。

    2人は緊張した面持ちで自分の得物を確かめた。

    アルミン『よし、次は彼処の建物の影に行くよ』

    ーーユミル一行

    結局見張りはユミル、クリスタ、コニー、サシャ、ベルトルトの順で決まった。

    ユミル『・・・』

    一同『『『・・・』』』

    ユミル『(さて・・・これからどうする?)』

    ユミル『(あいつらにはアルミンがいる)』

    ユミル『(奴は危険だ 見つけたらエレンよりアルミンを先に狙うか)』

    ユミル『(恨みの対象はアルミンの方が大きい 躊躇なく殺れるだろう)』

    ユミル『(夜に全員に話しとくかな)』
  71. 258 : : 2014/08/10(日) 12:07:07
    ーーエレン一行

    エレン『暑いな・・・』

    アルミン『だいぶ日が高くなって来たね・・・』

    アニ『夏だからね・・・辛い』

    そんなことはお構いなしに奴らは活発に活動している。

    動きは機敏になり、なおかつ数も動き始めた頃の何倍もいる。

    いくら建物が多いここでも見つかるのは時間の問題だろう。

    アルミン『(本能だけで動いてるなら連帯行動は取れないだろうけど・・)』

    厄介なのは奴らの目的が"人を喰う"コトだ。

    こうも皆の目的が同じだと何万人もの連携が取られているのと変わらない。

    アルミン『(それに王政府の中枢は何百キロも先だ)』

    アルミン『(どんなに速く行っても3、4日はかかる・・・)』

    アルミン『(そんなに長い間このウォールシーナ内で生きていられない・・・)』

    アルミン『(そもそも王のところにまで辿り着いてもエレンを連れて行ってしまっては結局エレンは・・・)』

    アルミン『(・・・今はよそう 夜にじっくり考えればいい)』
  72. 259 : : 2014/08/10(日) 12:35:19
    その時。

    ヴォウ!

    なんの音かと振り向く。

    もともと建物の中にいたのだろうか、いつの間にか後ろに奴らの1人であろう者がいた。

    エレン『逃げるぞ!』

    アルミン『夜まで走りっぱなしになるよ』

    アニ『覚悟してたコトでしょ?』

    アルミン『逞しいね・・・』

    アルミンはもう一つ危惧していたコトがあった。

    自分の体力だ。

    勉強はできる方だと自負している。

    しかし、運動に関してはてんでダメだ。

    そもそも王のところまでたどり着けるかもわからない。

    さらに夜まで走りっぱなしとなるとするとぶっ倒れてもおかしくない。

    とりあえずそとに飛び出す。

    やはりあちこちにいる。

    スグに奴らは反応し、追ってくる。

    次第に後ろの声も足音も大きくなって来ている。

    さらに危険が迫っていた・・・



    ーーユミル一行

    ガアアアア!!

    コニー『向こうの方が騒がしいな・・・』

    ユミル『・・・フッ』

    サシャ『ど、どうしたんですか?』

    ユミル『この壁の中で生きてるのは私たちとあいつらだけだ』

    ユミル『あの数で追われてるとすりゃ日が落ちるまで追われ続けることになる』

    ベルトルト『ということは・・・』

    ユミル『あいつらは今追われてる』

    ユミル『声を追ってきゃ位置なんてすぐわかる』

    サシャ『でもあの人たちがエレン達を追えるのは夕方までですよね?』

    ユミル『日中にエレンたちが動いてるコトは分かってるよな?』

    ベルトルト『今追われてるからね』

    ユミル『夜になりゃ疲れはててまともには動けないはず』

    ユミル『最後に声が聞こえた辺りを探しゃスグ見つけられるさ』
  73. 265 : : 2014/08/12(火) 22:27:37
    ーーエレン一行

    逃げる先に奴らが湧いて出て来て逃げ切れる気がしない。

    それでも生きる為に走る。

    ウォールシーナ内はシガンシナとくらべて入り組んでおり、方向を見失うコトは無いにしろ、行き止まりに当たったらアウトだ。

    エレン『クッソ・・・本当多いな』

    アニ『殆どイジメ状態の鬼ごっこだね・・・!』

    運動神経がいい2人はまだ軽口を言えるほどの余裕がある。

    が、アルミンはそうはいかない。

    アルミン『ハア・・・ハア・・・!』

    エレン『大丈夫かアルミン?』

    アルミン『大、丈夫荷物には、ならないよ!』

    走りはじめてまだ十分もたっていないだろう。

    それでも足は既に悲鳴をあげている。

    アルミン『(人数が少ないうちに仕留められてれば・・・)』

    そもそも弱点が普通の人間と同じでは無いだろう。

    動きのレベル自体は普通の人間と変わらない。

    疲弊すると速度も落ちる。

    が、

    エレン『振り切っても振り切ってもどんどんくる!』

    アルミン『勝負を、かけよう』ハッハッ

    アニ『どうするの?』

    アルミン『全力で走って路地に入り込む』

    アルミン『建物に入り込んで、隠れる
    中に奴らがいれば・・・』

    一瞬ためらい、

    アルミン『殺す』

    エレン『!』

    アルミン『建物の中にいる、数なんてたかが知れてる』

    アルミン『このまま、数時間走り続けても捕まるしか無い、よ』

    アニ『・・・分かった』

    エレン『あ、あいつらって倒せるのか?』

    アルミン『弱点を探す為にも、殺るしかない』
  74. 266 : : 2014/08/12(火) 22:44:17
    アルミン『あの角まで走ろう』

    そう言って数十、数百メートル先の角を指す。

    エレン『・・・分かった』

    アニ『・・・大丈夫?』

    アルミン『死ぬ気になればどうにでもなるさ』

    アニ『よし・・・行くよ!』

    そう言って全力で走り出す。

    アルミンも何とかついて来れているようだ。

    後ろのグループとの距離が開いていく。

    目標の角に着くとスグに曲がりデタラメに曲がっていく。

    ついて来れていないのを確認すると適当な屋敷に飛び込み鍵をかけた。

    あの人数で押し寄せられたらドアなんて一発で壊されて終わりだろう。

    耳を澄ませて奴らのなかの数人だろうか、その足音が通り過ぎて行くのを確認して一息つく。

    エレン『フウ・・・』

    アニ『まだ、安心するのは早い、でしょ?』

    アルミン『・・・探すよ』

    そう言って斧を握りしめる。

    アルミン『本来なら手分けして探したいとこだけど・・・』

    エレン『どう考えても危ねえよな・・・』

    エレン『一緒に行動した方がいいだろ』

    アニ『賛成 じゃないとどうにかなりそう』


    アルミン『そうだね・・・じゃ、皆で探すよ』

    息を整えて中を捜索するコトにした。

  75. 267 : : 2014/08/12(火) 22:55:21
    3人で三角形を作るように動く。

    前、後ろ、左右。

    全ての面において安全を確認する為の簡単なフォーメーションだ。

    敵が現れ次第散開、囲みこんで誰かに引きつけられたら足の腱と腕の筋を叩き斬って動きを封じ、そこから調査だ。

    調査はエレンとアルミン、アニは見張りで他の個体が出ないかの確認。

    これが作戦だ。

    元が人間なら腱を断てばほとんど動けなくなるが、念には念を入れる。

    痛覚が無いとしたら他の部位が動き回るコトもありえるのでそれも踏まえて筋肉も叩き斬る。

    アルミン『・・・』ゴクッ

    ゆっくりと屋敷の中の扉を開けて行く。

    広すぎる上にゆっくりとした作業。精神も削られる。

    エレン『フウ・・・』

    アニ『こりゃ時間がかかるね・・・』

    アルミン『まだかなりあるね・・・部屋』
  76. 268 : : 2014/08/12(火) 23:21:00
    ーーユミル達

    ユミル『・・・チッ』

    ユミル『(声が止みやがった・・・)』

    ユミル『(襲われたのか捲いたのか・・・)』

    ユミル『(いや、あの人数相手で捲けるのか・・・?)』

    ーーエレン一行

    アルミン『・・・ふう』

    アレから約一時間。

    未だに見つからず。

    地下のところにまで来ていた。

    アルミン『暗いね・・・』

    アニ『ここを行くのは危険すぎない・・・?』

    僅かに身震いする。

    エレン『あ』

    そう言って何かを取り出す。

    エレン『スマホのライト使えばいいんじゃね?』

    エレン『充電は前アルミンの家で済ませてきてるから満タンだぞ』

    アルミン『奴らが夜動けないならこの暗闇の中にはいないと思うけど・・』

    エレン『なら1人でいいな 俺が行くよ』

    アニ『え・・・?』

    エレン『中に3人入れるか分からねえからな 大人数だとマズイだろ』

    エレン『それに最悪襲われても1人で済むからな』

    アニ『や、やめてよ・・・!』

    エレン『アルミンがいねえって言うなら大丈夫だ』

    アルミン『でも確定じゃ無いんだよ!?』

    エレン『そんくらいのリスクは負わなきゃこれから生きてくコトなんて出来ねえよ』

    アニ『でも!』

    エレン『大丈夫だって アルミン、アニを頼むぞ』

    アルミン『・・・何かあったらすぐ戻ってくるんだ いいね?』

    エレン『言われなくてもそうするさ』

    そういってライトをつけ、木製のドアを開けて暗闇へ入っていく。

    アニ『エレン・・・』

    アルミン『・・・エレンなら大丈夫さ』

    ーー暗闇の中

    エレン『(うわー 勢いで来ちゃったけどやっぱ怖いな・・・)』

    エレン『(いや、アルミンがいねえっつったんだ 大丈夫大丈夫)』

    エレン『(それにしてもここは何だ?地下で貴族だから・・・ワイン庫とか?)』

    エレン『(保存食があるとありがてえんだけどなー)』

    そのまま少しずつ進む。すると、

    ガタッ

    エレン『(んお、机か)』

    エレン『(電気がありゃ全貌も分かるんだろうけど)』

    そのまま机を照らす。

    すると妙な形をした何かがある。

    エレン『(銃か?コリャ)』

    エレン『(でも銃身が短けえな・・・つかほとんど木で出来てるな)』

    ハンマーの部分と申し訳程度の装飾は鉱物から作られているようだが、それ以外は木。

    エレン『(お?こりゃまたなんだ?)』

    そのまま近くにあった銃弾がそのまま大きくなったような物体に注目する。

    エレン『(ひょっとして・・・)』

    片手でどうにかそれを銃のような何かにはめようとすると

    カチャン!

    エレン『おお』
  77. 269 : : 2014/08/12(火) 23:35:35
    いい感じにはまった。

    思わず声がでてしまう。

    エレン『(いけねいけね)』

    何かアレば身を守ってくれるかもしれない。

    とりあえずハンマーを下ろす。

    そのまま周りを見てみると何かのマークが目に付く。

    エレン『(なんだコリャ?)』

    白と黒の片翼が重なったような謎のマークだ。

    見たコトがない。

    エレン『(何かのグループのマークか?)』

    その時。

    ガシャン!

    何かが落ちたような音がする。

    エレン『うおっ!!?』

    とっさに音がした方へ銃口を向け・・・

    パシュウウウウウウゥゥゥゥ!!!

    ーー待機中の2人

    突然の音に驚き、僅かに体が跳ねる。

    アニ『!』

    アルミン『エレン!!』

    すると遠くから

    『大丈夫だ〜心配いらねえよ あとちょっと来てくれ』

    と小さく聞こえた。

    スグに向かう。

    ーー再びエレン

    エレン『ビックリした・・・』

    撃った先には倒れたマスケット銃が転がっていた。

    引き金を引くと火薬の僅かな光の直後、先ほど填めた弾丸が飛んで行った。

    強烈な光と共に。

    そのまま壁に当たると床に落ちて、そのまま光を放ち続ける。

    エレン『発光弾だったのか・・・』

    そこへ

    アニ『エレン!大丈夫!?』

    アニが駆け寄る。

    アルミン『何があったの?』

    アルミンも来てひとまず合流。

    アルミン『あとこの光は何?』

    先ほどまで暗かったそこが完全に明るくなっているのだ。

    エレン『スゲえな・・・』

    周りを見るとそこは部屋一つだけらしく、出入り口以外に穴はない。

    そして奴らもいないようだ。

    安全を確認してエレンは経緯を話した。
  78. 271 : : 2014/08/12(火) 23:58:15
    アルミン『へえ・・・こんな発光弾が・・・』

    発光源は明るすぎて直視出来ないレベルだ。

    とりあえず机の上を見る。

    幾つか箱があり、中にはたんまりと巨大な弾丸が入っていた。

    アルミン『赤星・・白星・・・黒星・・・?』

    アルミン『音っていうのもあるね・・・一発一発が使い捨てなのか』

    アルミン『これは使えるかも・・・!』

    アニ『それよりエレン』

    僅かに瞳を潤ませて向き合う。

    エレン『な、何だ?』

    アニ『お願いだから無茶しないで・・・』

    アニ『エレンに何かあったら私、どうすれば・・・』

    エレン『・・・ゴメン もうしねえよ 怖かったし』

    エレン『暗闇はもうゴメンだ』

    アニ『約束して』

    エレン『・・・ああ、約束だ』

    アルミン『アニにもコレ、はい』

    その後アニにも木製の銃が渡される。

    アルミン『弾は持てるだけ持って行こう
    どれがどんな弾なのか分からないけど』

    エレン『大丈夫なのかよ?』

    アルミン『無いよりいいでしょ?』

    アルミン『とりあえずあの発光弾の発光時間とそれが何て言う弾なのかを調べよう』
  79. 272 : : 2014/08/13(水) 00:24:51
    ーー10分後

    だんだんと光が弱くなり再び部屋が暗くなり始める。

    アルミン『発光弾の部類としては十分すぎるほど優秀だね』

    そういって転がっている弾を回収すると

    アルミン『もういいでしょ 出よう』

    2人は頷き、エレンはそのままスマホをしまった。

    その後も奴らがいるか調べたが結局見つからず。

    屋敷にしては少々古くて汚いがそれでも安心して過ごせるのはイイ。

    そのままウトウトしてしまう。

    それに気づいたのか

    アニ『寝なよ ずっと寝てないでしょ?』

    心配そうな顔でエレンに言う。

    アルミンも

    アルミン『これからも増えてくるからね・・やっぱ日中動くのは厳しいか・・・』

    アニ『私たちが見張ってるから』

    エレン『じゃ、お言葉に甘えて・・・』

    限界に近かったのもあって、横になってスグ瞼を閉じ、意識はブラックアウトした。

    アニ『・・・』

    アルミン『・・・』

    アニ『・・・私は』

    アルミン『・・・ん?』

    アニ『エレンを絶対王政府なんかには差し出さない』

    アルミン『・・うん』

    アニ『友達を殺してまで助かろうとするのはオカシイと思うし、正しいとは思えない』

    アニ『・・・それでもエレンは私たちの為なら死ぬ覚悟も出来てるんだ』

    アルミン『・・・やっぱりあの時起きてたんだ』

    アニ『・・・エレンはさ、他人の為に平気で無茶をするから』

    アニ『この先が心配で・・・』

    アルミン『・・・アニも分かってると思うけど』

    アニ『王の元へたどり着いたとしてもエレンを渡すコトになる、でしょ?』

    アニ『分かってる・・分かってるけど・・・』

    アニ『私は・・・』

    アルミン『・・・』

    アルミン『アニ、君は今まで僕について来てくれたけどそれが正しいのか、迷ってる?』

    アニ『・・・迷ったコトなんて一度もないよ』

    アニ『エレンがアンタを信じてる だったら私も信じるよ』

    アルミン『・・・2人とも似てるね』

    アニ『え?』

    アルミン『とんだお人好しだよ 人を簡単に信じるなんて・・・』

    アルミン『もし僕だけが生き残る為にエレンを逃がすように見せかけて殺そうとしてるとしたら?』

    アニ『・・・そんなこと、アンタはしない』

    アニ『アンタとエレンを見てれば分かるよ』

    アルミン『エレンはともかく僕ってそんなに顔に出やすいかな?』

    アニ『実際出てるよ 人の良さが』

    アルミン『・・・ありがとう』
  80. 276 : : 2014/08/13(水) 21:55:30

    ーーユミル達

    ユミル『(・・・エレン達が死んだとするとマズイよな)』

    ユミル『(奴の首が欲しい・・・首でなくとも奴を殺したという証拠が)』

    ユミル『(本当に喰われるとしても、身体の一部は残るだろ)』

    ユミル『(それを見つけなきゃな・・・)』

    ーージャン一行

    こちらも集団の声を聞き、それが止んだコトについて考えていた。

    ジャン『・・・声が止んでから一時間だ 捕まっちまったのか、逃げ切ったのか』

    ミカサ『エレン達は大丈夫 きっと逃げ延びたんだと思う』

    ジャン『・・・だといいな』

    ミカサ『・・・そろそろ昼 何か食べておこう』

    そういって分配してあった乾いた携帯食料をかじる。

    ジャン『・・・美味くはねえな』

    ミカサ『我慢しなきゃダメ 贅沢なんて言ってられない』

    ジャン『だよな・・・あー肉が恋しいねえ』
  81. 277 : : 2014/08/13(水) 22:10:27
    ーーエレン一行

    こちらも昼食タイム。

    バリッ!!

    アニ『んん・・・』

    アルミン『んー・・・』

    静かに食べなければならない。それでも

    アニアル『『・・・マズイ』』

    栄養価は高いものだが、味は伴っていない。

    パサパサで喉が渇く。

    まあ、今まで全力で動いたコトもあるのだろうが。

    アルミン『・・・今のうちにエレンも食べた方がいいね』

    アニ『エレン、ゴメン起きて』

    そういって肩を揺らす。

    エレン『んん・・・ん?』

    ゆっくりと起き上がる。

    アルミン『寝てたのに起こしてゴメンね 今のうちにコレ、食べといて』

    そういって携帯食料を渡す。

    エレン『うーい』

    意識があまりはっきりしないままそれを受け取り口に放る。

    エレン『・・・マズ』

    アニ『ハイ、水』

    そこにショッピングセンターでかっぱらってきた水を渡すと控えめに飲んだ。

    エレン『ううー・・・』

    アルミン『食べたら寝ていいからがんばって』

    そういうアルミンはもう食べ終わっており、水を少し飲んでいた。

    エレン『寝起きにこれは辛いな・・・』

    それでも何とか胃に押し込むと、再び横になる。

    エレン『行儀悪いな・・・俺』

    アニ『いいんじゃない?それでも』

    アルミン『それに行儀が悪いのはいつもだし』

    エレン『失礼だなお前ら・・』

    そこでわずかに笑いを漏らす。

    友達と笑い合うのは久しぶりな気がする。

    ・・・ユミルたちとはもう笑いあえるコトはないだろうけど。

    エレン『じゃ、3時間後に起こして・・・』

    アルミン『そんな時間でいいの?』

    エレン『ああ、十分だ』

    アルミン『分かった アニも休んでなよ』

    アニ『でも・・・』

    アルミン『いいって 女の子が無理しちゃいけません』

    アニ『・・・ありがとね』

    そう言ってアニも横になる。

    そして眠りについた。

    アルミン『・・・』

    窓にゆっくり、背を低くして近づいて外を見る。

    空は灰色に染まり、厚い雲が流れてきている。

    アルミン『(・・・一雨きそうだな)』
  82. 279 : : 2014/08/13(水) 22:51:54
    ポツポツ・・

    それから数分後、雨が降り始める。

    アルミン『(降ってきた・・・)』

    ーーユミル達

    ユミル『降ってきやがった・・・』

    クリスタ『ん・・・』ムクッ

    ユミル『お、交代する気になったか?』

    ユミル『んじゃよろしくな』

    クリスタ『・・・うん』

    ーーまたまたエレン達

    寝始めて二時間。

    外をちょくちょく見てみるが、奴らの動きはほとんどなくなっていた。

    見かけてもその動きは鈍重だった。

    アルミン『(やっぱりあいつらの行動に必要なのは日光か)』

    アルミン『(雲で陽の光が隠れさえすれば動きは遅くなる)』

    アルミン『(夏の雨は長引きやすいから明日はもう少し動けるね)』

    それを確認し、外から見えないようにしゃがみこんだ時。


    ふっと黒い影が窓越しに横切る。

    アルミン『!?』バッ

    見られていたとしたらアウトだ。

    しかし周りに早く動けるような奴はいなかった。

    じゃあ横切ったのは・・・普通の人?

    ーーユミル達

    サシャ『んん・・・ううん』

    伸びをしながら起き上がる。

    時計を見ると、まだ自分の担当の時間ではない。

    もう一度横になろうとした時、あるコトに気づく。

    サシャ『あれ・・クリスタは・・・?』
  83. 281 : : 2014/08/13(水) 23:08:29
    ーーエレン達

    その人影は結局戻ってくるコトはなく。

    それからまた一時間経過した。

    アルミン『エレン、3時間経ったよ』

    エレン『ん・・・分かった ありがとな』

    アニ『ううん・・・』

    アルミン『あ、アニも起こしちゃったか』

    アニ『いや、いいの』

    エレン『もう俺は大丈夫だ アルミン休んどけ』

    アルミン『でも』

    アルミン『・・・いや、そうさせてもらおうかな』

    と、そこで思い出す。

    アルミン『あ、でも気をつけて さっき窓の前を人影が横切った』

    エレン『奴らじゃねえのか?』

    アルミン『違うと思う この曇天の中普通のスピードで走って行ったもん』

    アニ『じゃあユミル達のうちの誰かだね・・・』

    アルミン『気をつけてね・・・』

    アルミン『あ、あとでタオル濡らして身体拭こう 久々にさっぱりできるから』

    エレン『そいつはいいな 夜までふってくれっかな』

    アルミン『この時期なら大丈夫だと思う』

    アルミン『ゲリラ豪雨も多いし』

    アルミン『じゃ・・・』

    エレン『おう』

    懐にしっかり銃とその弾があることを確認して横になる。

    ただし、意識は持ったまま。
  84. 282 : : 2014/08/13(水) 23:33:35
    それから数十分、二人は黙って並んでいた。

    エレン『・・・』

    アニ『・・・』

    その沈黙をアニが小さな声で破る。

    アニ『・・・やっぱり、厳しいよね』

    自分達が持ってきた荷物を確認する。

    3人ならまだ一週間くらいは切り詰めていけば何とかなりそうだ。

    だが、1日にそうたくさんは動けないことを考えると足りる気がしない。

    一週間で数百キロを徒歩で移動できるのだろうか。

    エレン『何とかなるさ』

    それでもキッパリ言う。

    エレン『何とかなる』

    アニに言うというより自分に言い聞かせるよう二回言う。

    アニ『・・・やっぱり、エレンはエレンだね』

    エレン『え?』

    アニ『私もしっかりしなきゃ』パシン

    自分の頬を小さく叩いて気合を入れる。

    1番大変で精神削ってるはずのエレンがこうもしっかりしているのだ。

    自分がへこたれるわけにはいかない。

    アニ『ありがとう』

    エレン『何で俺にお礼なんてするんだ?』

    エレン『本当は俺からすべきだろ』

    エレン『ありがとな 俺を守ってくれて』

    アニ『え?私は何も・・・』

    エレン『俺は守られてばっかだよ』

    エレン『化け物から、ユミル達から、王政府からも守ってもらってる』

    エレン『情けねえな・・・俺ァ』

    アニ『エレン・・・』
  85. 284 : : 2014/08/14(木) 00:07:12
    ーーユミル達

    サシャ『ユミル、起きてください!』

    ユミル『・・・なんだよ』

    サシャ『クリスタが居ないんです!何処にもムグウ!

    ユミル『大きい声出すな 奴らに気取られたらどうすんだ』

    サシャ『す、すみません でも本当に居なくなっちゃったんですよ』

    ユミル『いつからだ?』

    サシャ『私が起きたのは今から十分ほど前です』

    サシャ『その時にはもう・・・』

    ユミル『(この雨の中を出て行ったのか?)』

    ユミル『まあ待ってようぜ
    あいつだって死にたかねえはずだからな』

    ーーエレン達

    あれから2時間。

    雲越しに見えていた光も無くなり始め、辺りが暗くなる。

    雨は降り続け、勢いは増す一方だ。

    外の奴らの動きは完全に無くなったらしい。

    エレン『そろそろいいだろ タオル濡らしてくるわ』

    アニ『あ、うん』

    エレン『アルミン、そろそろ起きろ』ペチペチ

    アルミン『・・・もう夜かい?』

    エレン『ああ、外の動きもなくなったぞ タオル濡らして身体拭こうぜ』

    アルミン『そうだね 汗が気持ち悪いし』

    エレン『俺が濡らしてくるから待っててくれ』

    そう言って慎重にではあるが、外へ行った。

    しばらくすると肩をわずかに濡らしながら戻ってきた。

    エレン『思ったよりひどかったぞ』

    アルミン『だろうね』

    エレン『あ・・・』

    エレン『アルミン、俺ちょっと後で拭くわ』

    アルミン『え?せっかく濡らしたのに?』

    見るとアルミンはもう上の服を脱ぎ始めていた。

    エレン『お前そういうとこは鈍いのな・・・』

    アルミン『?』

    エレン『何でもねえ 先拭いててくれ』

    その後アニの耳元で

    エレン『悪いな 見張っててやるから何処かの影で拭いてもらえるか?』

    アニ『わ、分かった・・・』

    わずかに顔を赤らめながらタオルを持って離れすぎてはおらず、身体全体が隠れる場所へ行く。

    アルミン『あー・・・なるほど』

    エレン『全部一気に濡らした俺も悪いけどよ・・・』

    エレン『普通女子の前で堂々と脱ぐか?』

    アルミン『でもそんなこといちいち気にしてちゃダメでしょ』

    エレン『女子に対する最低限の配慮はいつだってするもんだ』

    アルミン『な、なんか・・・ゴメン』

    まさかエレンに女の子の扱い方を諭されるとは思ってもいなかった。

    ちょっと反省しつつ全身を拭きおわり、エレンも拭くよう促す。

    エレン『もっかい濡らしてくる』

    そのままタオルをもう一度濡らしに行って、戻ってくると拭き始めた。

    ゆっくりもしてられないので急ぎ目で拭く。

    そのまま乾いたタオルで拭き取ると

    アニ『ゴメン、乾いたタオルある・・・?』

    向こうの方から小さい声が聞こえる。

    アルミン『はい、エレンよろしく』

    エレン『お、おう』

    少し緊張しつつも何とか乾いたタオルをアニの身体を見ないよう渡す。

    変なところで変に緊張したりしたせいで結局全員が身体を拭き終わるまでおよそ30分もかかってしまった。
  86. 285 : : 2014/08/14(木) 00:24:15
    ーーユミル達

    結局予定通りにローテーションができず、夜になってしまった。

    ユミル『そろそろ行くか・・・』

    コニー『つかあいつら生きてんのか?』

    ユミル『さあな・・・声が止んだとこに血溜まりがありゃそうだろうな』

    『生きてるよ』

    一同『『『!?』』』

    後ろの声に驚いて振り向くと、

    サシャ『ク、クリスタ!』

    ユミル『何処いってたんだよ』

    クリスタ『忘れ物』

    ユミル『はあ・・・?』

    見れば何やらゴツイケースを持っている。

    コニー『なんだよそれ?』

    触れようとすると、

    バシッ!!

    クリスタ『気安く触らないで』

    コニー『な、何すんだ!』

    クリスタ『コレは私達のモノなの』

    ユミル『(私"達"・・・?)』

    ベルトルト『それよりユミル』

    横から急に話しかけてくる。

    ユミル『なんだよ』

    ベルトルト『その・・・エレンとアルミンを殺るのは賛成だよ』

    ベルトルト『助かる為には必要なことだと思う』

    ベルトルト『でもアニとかは・・・出方次第で助けてあげてもいいんじゃない?』

    ユミル『何だよ、奴らの仲間なら消した方がいいに決まってんだろ』

    ベルトルト『でも・・・女だし』

    ユミル『なんだよ溜まってんのか?だったら殺さなくても腰が立たない位に傷つけりゃいいだろ』

    ベルトルト『え・・・それって』

    ユミル『犯りゃいいんだ』

    ユミル『お前の性欲も満たせて一石二鳥だしな』

    ベルトルト『そんな!』

    ユミル『女を傷つけるならそれが確実だろ』ニヤッ

    ベルトルト『う・・・』
  87. 286 : : 2014/08/14(木) 00:47:50
    ユミル『とにかく個人的な感情は捨てろ』

    ユミル『生かせておけるだけまだ人道的だろ?』

    ユミル『文句はねえな?』

    ベルトルト『・・・分かった』

    ユミル『で、クリスタ 場所は分かるのか?』

    クリスタ『分かる ついて来て』

    そのまま明かりを持ち、ダッシュで市街地を駆け抜けて行く。

    ーーエレン達

    アルミン『・・・まだ動ける?』

    エレン『ああ・・・俺は大丈夫だ』

    アニ『私もまだ大丈夫』

    アルミン『やっぱりあの時の影が怖い』

    アルミン『夜のうちにもう少し内地の方へ移動しよう』

    アニ『確かにここを知られてるとしたら長居は危険だね・・・』

    アルミン『少し窓を開けるよ・・・』

    その時、アルミンが一瞬固まる。

    そして

    アルミン『二階に逃げるよ!明かりが迫ってる!』

    電気の付いてない屋敷内は暗いが、昼間に探索したお陰で屋敷内の構造は大体分かる。

    すぐに階段の方へ向かう。

    しかしアルミンはそこを通り過ぎ裏口の方へ向かった。

    エレン『アルミン!?』小さい声で呼ぶ。



    その時。

    ガチャッ!

    エレン『!』

    アニ『!』

    玄関から1度ドアを開こうとする音がする。

    驚いたがとりあえず二階へ登る。

    後ろを見ると裏口の方からアルミンが戻って来ていた。

    アニ『何してたの!?』

    アルミン『念には念を入れてちょっと、ね』

    そのまま音を立てぬよう静かに進もうとしたそのとき玄関の方から

    『鍵が掛かってますよ!』

    『間違いねえ、いるぞ』

    『下がってろ!おれが開けてやる!』

    アルミン『急ぐよ!』ボソッ

    アルミンが言い終わると同時に

    パアンッッッ!!

    ガシャッッ!!!

    一発の銃声と何かが壊れる音がした。


    恐らく銃で鍵を破壊してドアを蹴破り侵入してきたのだろう。

    続いてドドドッと何人か入ってくる音がする。

    今日進んだ距離はあっという間に詰められてしまったようだ。
  88. 293 : : 2014/08/16(土) 00:58:12
    アニ『窓から逃げるの?』

    アルミン『そうなるね』

    エレン『明かり下手につけれないだろ』

    アルミン『ライトを手で覆いながら進むしかないよ』

    アルミン『音を立てないようにゆっくりね・・・』

    そして窓枠に脚をかけ、屋根に移る。

    アルミン『エレン、ライト』

    エレン『うっす』

    ポケットからスマホを取り出し、光が漏れないよう手で覆う。

    アルミン『万が一を考えて手は軽く繋ぐようにしよう』

    アルミン『エレン、先頭よろしく』

    わかったと頷くとそのまま進み始める。

    アニがその次に、アルミンは最後尾だ。

    屋敷は所狭しと並んでいるので屋根と屋根の隙間も小さい。

    しっかりと音を立てぬよう窓を閉めた。

    なんとか進めそうだ。

    ーーユミル達

    ユミル『感づいて逃げたのか?』

    サシャ『まだ濡れたタオルがありますよ!』

    サシャ『最近まで居たと思います』

    ユミル『と、するとまだ何処かに隠れてるかもしれん 捜せ!』

    コニー『よし!』

    ベルトルト『分かった』

    クリスタ『うん』

    そういって散らばり、エレン達を捜す。

    しかし明かりが無い中での屋敷の中の捜索は困難を極めた。

    ユミル『構造が分からねえ以上、松明が持つとは思えねえ』

    ユミル『居たとしても見つからないかもしれねえな』

    その時奥からベルトルトの声がする。

    ユミル『どしたー?』

    ベルトルト『裏口が空いてる!外に逃げたみたいだ!!』

    ユミル『チッ 時間の無駄遣いだったか』

    ユミル『奴らは外だ!走って捜す!』

    ーーエレン達

    エレン『そいやさっき裏口で何したんだ?』

    アルミン『裏口開けてきただけだよ』

    アニ『なんで?』

    アルミン『もともと屋根の上を逃げるなんてなかなか思わないはずでしょ?』

    アルミン『さらに裏口開ければそこから逃げたと思って上には目もくれないハズだ』

    アルミン『ただそれだけだよ』

    ーーユミル達

    ユミル『くっそ・・・早く全員集まれ!』

    奥深くまで捜していた者がいたせいで屋敷からなかなか出れない。

    ユミル『どんどん遠くなってっちまうじゃねえか・・・』

    クリスタ『待ってユミル』
  89. 294 : : 2014/08/16(土) 01:11:46
    ユミル『何だよ』

    クリスタ『アルミンは普通の行動なんてしないと思う』

    クリスタ『常に私たちの一手先を読んでる』

    ユミル『そうだな』

    クリスタ『というコトはその裏口もフェイクの可能性が高い』

    クリスタ『裏口を開ければ地上を逃げてると思わせるコトが出来る』

    ユミル『つまり・・・』

    クリスタ『地上じゃないところを逃げてると思うよ』



    クリスタ『例えば・・・屋根の上とか』

    ーーエレン達

    アルミン『(さて、何処で降りようか・・・)』

    先ほどまで居た屋敷から数百メートルは離れた。

    この距離なら相手が屋敷から銃で狙っていても射程範囲外。

    後は降りるタイミングと場所だ。

    いや、いっそのことこれから移動は屋根の上の方がいいかもしれない。

    地上はバケモノ共で溢れかえっている。

    上の方がどう考えても安全だ。

    アルミン『提案なんだけどコレからは

    と言いかけると

    『見つけました!あそこに小さい光が見えます! やや右前方です!』

    『任せろ!』

    エレアニアル『『!?』』
  90. 302 : : 2014/08/16(土) 23:44:13
    アルミン『今の声・・・サシャとコニーだ!』

    エレン『気づかれたのか!?』

    アニ『このままじゃ!』

    周りを見回すも、身を隠せるような場所は無い。

    出来るコトといったらとにかく逃げて、銃の射程範囲に入らないコトだ。

    マスケット銃はどんなに環境が良くても殺傷射撃範囲は80メートル。

    そして何より

    アルミン『連発してこないコトを考えると相当古い型の銃だね』

    アルミン『前装弾型だとするとどんなにがんばっても1分に2発が限界だ』

    アルミン『静止してようやくまともに弾がこめられるから一発で仕留めようとするハズ』

    アニ『ならとりあえず一発撃たせて』

    エレン『一気に突き放すってことか・・・』

    アルミン『あの距離で手から漏れる小さな光を見抜いたんだ 目がいいね』

    アニ『そういえばサシャの出身はダウパー村・・・数少ない狩猟民族が住む土地だよ』

    アルミン『てことは銃の扱いも慣れてるだろうね・・・』

    まずは煙突など身を隠せるところを探す。

    目が暗闇に慣れ、月明かりも出てきたおかげで多少は見えるようにはなってきた。

    進んで行くと煙突やベランダなどが沢山あるところに着く。

    アルミン『エレン、ライト切って あの煙突の後ろに回り込んで』

    アルミン『アニもエレンと同じとこに』

    アニ『う、うん』

    アルミン『僕は向こうのベランダにいる』

    アルミン『僕が何とか一発撃たせるから銃声の後、高地へ走って!』

    エレン『お前はどうすんだよ!?』

    アルミン『一発撃たせればどうにでもなる!すぐ追いつくよ!!』

    エレン『わ、分かった 無茶はやめろよ!』

    そう言って二手に分かれた。
  91. 303 : : 2014/08/17(日) 00:19:09
    ーーコニー、サシャ

    サシャ『いいですかコニー、脇を締めてしっかり腰を落として撃つんですよ』

    コニー『で、でもよ 俺銃なんて撃ったことねえし当たるわけねえよ』

    サシャ『大丈夫です コニーの一発でいぶりだして私の一発で仕留めます』

    サシャ『ただし、ちゃんとエレン達がいるところを撃たなければ意味がありません』

    サシャ『この銃の弾に殺傷能力がある距離はせいぜい50メートルです』

    サシャ『光が途絶えたのを見ると恐らく煙突などの影に隠れたと見ます』

    サシャ『恐らく、あの辺ですね』

    そう言って目星を付けた煙突を指す。

    コニー『お前、ホントにサシャか?』

    サシャ『狙った獲物は逃がさない主義なんです』


    そのまま距離を詰めていく。

    サシャ『移動した音もしてない 近くに居ますよ』

    アルミン『・・・』

    エレン『・・・』ゴクッ

    カチャン

    サシャ『あのベランダです!』

    アニ『!』

    コニー『影確認!』

    そう言って思い切り踏ん張り・・・

    ダアアァァァン!!!

    静かな街に銃声が響く。

    ビシイッ!と銃弾が壁にめり込む。

    その音を聞いて、アルミンがベランダの影から飛び出す。

    それと同時にエレン達も煙突の影から飛び出した。

    一瞬エレン達の方を見て、距離が離れているのに気づき、狙いをアルミンに絞る。

    サシャ『・・・』

    落ち着いて狙いを定めるが、アルミンが

    アルミン『うらっ!!』

    右手で何かを投げつけてくる。

    よく見えないが、体を右横に飛ばしながら投げたのだ。

    どうやっても狙いは右にズレる。

    サシャも自身を右に移動して

    サシャ『(身体を宙に浮かせるのは自殺行為ですよ アルミン)』

    素早く照準を合わせると、あるコトに気づく。

    左手にも何かを持っている。

    それをいち早く撃ち抜こうかとも考えたが弾は一発だ。

    思い直している時にアルミンの右足が地面・・・というか屋根につく。

    そのまましゃがみこんだかと思うとこちらに構えてきた。

    サシャ『あれは銃・・・?』

    だとしたら早撃ち勝負だ。

    ドッッ!!

    わずかにアルミンが早く発砲する。

    そのままの勢いで引き金を引く。

    パァン!!!

    だが妙な音が一瞬聞こえた。

    パシュゥゥゥウウウ・・・

    すると

    金属がぶつかる音が僅かに聞こえ、そこから黒い煙が一気に出てきた。

    サシャ『煙幕!?』

    煙を吸い込みむせている間にアルミンのであろう足音が遠くなっていくのが聞こえた。
  92. 304 : : 2014/08/17(日) 01:07:17
    アルミン『ハア・・・ハア・・・』

    アルミン『(思ったより弾速遅くて焦った・・・)』

    自分の手の中の銃をみて苦笑する。

    しかし、

    突然自分の横から何かが飛び出てくる。

    とっさに止まるがそれでも足りず、思いっきり仰け反って避ける。

    鼻先が切れて赤い血が垂れてきていた。

    アルミン『(刃物・・・?)』

    『私がいるのを忘れたか?』

    暗い闇から姿を現したのは

    アルミン『ユミル・・・!』

    ユミル『そんな逃げ回るなよ エレンとアニはどこに逃げたんだ?』

    アルミン『君に教える義務は無いよ』

    ユミル『硬いコト言うなよ どうせみんな死ぬんだ 教えてくれてもいいだろ』

    アルミン『やだね それに答えるにしてもそっちのコトも聞かせてもらうよ』

    ユミル『・・・お前に教える義務は無いね』

    アルミン『言うね さすがここまで皆を引っ張ってただけはあるよ』

    今度は背中に細い筒状のモノが押し付けられる。

    この大きな気配はベルトルトだろう。

    ユミル『どうすんのよ?挟み撃ちじゃあどうにもならないだろ』

    アルミン『・・・よくテレビドラマとかでは脅す時に背中に銃口突きつけるけど』

    アルミン『それはやめといた方がいいよ』

    すると即座に手を背中に回し、銃身を掴む。

    ベルトルト『!?』

    ユミル『なっ・・!』

    そのままひねり上げて手を離させて振り下ろし、銃床をベルトルトの脛に打ちつける。

    ベルトルト『いっ・・・!』

    あまりの速さと突然の痛みに膝を折る。

    そのまま後ろに回り込んで頸に再び銃床を打ちつけてベルトルトは動かなくなった。

    アルミン『銃口を押しつけると見なくても何処に銃があるかなんてすぐわかる』

    アルミン『また一対一だね こっちは盾有りだけど』

    ユミル『お前護身術でも習ってたのか?』

    アルミン『見よう見まねさ さあ、僕をおとなしく逃がしてくれないかな』

    ユミル『うへぇ 天才ってのは怖いねえ』

    アルミン『人質兼盾役がこっちにはいるんだ 見逃して』

    変わらず長い剣をこちらに向けるユミルに言う。

    ユミル『・・・アルミン、お前ならわかるだろ?』

    ユミル『人質ってのは生かしておくから意味があるんだ』

    アルミン『・・・?』

    すると剣を構えて突っ込んでくる。

    アルミン『!』

    とっさに後ろに飛び退く。が、

    ブシュウウウウウ!!!

    ユミルの剣がベルトルトを貫いた。

    ベルトルト『うう・・・うあ・・!?』

    目が覚めたらしく、少しずつ反応する。

    チッ!

    剣先が横腹をかする。

    アルミン『うっ・・・!』

    さらにユミルから距離を取る。

    ユミル『はなからコイツなんて必要ねえ』

    ユミル『こんな状況で殺しを躊躇するようなやつ、目障りでしかねえからなぁ』

    ベルトルトの腹に突き刺さっている剣を引き抜く。

    血と肉片が辺りに飛び散る。

    ベルトルト『ゆ、ユミル・・・どうし、て』

    ユミル『今までご苦労さん 迷わず逝け』

    そのまま剣を横に振り、首を掻き切るとベルトルトは完全に動かなくなった。

    アルミン『・・・驚いたよ 君も僕に負けず劣らず非情らしい』

    ユミル『今の私にゃ最高の褒め言葉だなぁ』
  93. 307 : : 2014/08/17(日) 11:39:32
    そのまま睨み合う。

    いくらベルトルトを盾にするといってもあの長い剣ではまたベルトルトごと貫かれるだろう。

    しかしユミルもベルトルトの銃が奪われたことで容易には動けない。

    ベランダのほうへジリジリと移動する。

    どちらの目にも殺気が宿っている。

    アルミン『・・・』

    ユミル『・・・』

    すると頭上を何かが通り抜ける。

    謎の蒸気音と共に。

    アルミン『!?』

    ユミル『!』

    2人ともとっさに身を下げる。

    ドオッ!!

    轟音が頭上で一度だけしたかと思うとベランダにビシビシッ!という音があちこちで響く。

    ユミル『(散弾銃か!?)』

    アルミン『(今のは・・・?)』

    そのまま蒸気音は遠くへいく。

    しかしなんという威力だろう。ベランダが木材で構成されてるとはいえ、風穴が空くほどだ。



    アルミン『・・・!』ハッ

    そしてあることに気づく。

    そのまま地面に狙いを付けて

    ダァァアンッッ!!

    ユミル『うおっ!!』

    ユミルの右足をギリギリかすめるところを撃ち抜く。

    ビシッと音がした後、ユミルは思わず右足を上げる。

    僅かによろけた身体を元に戻すために地面に右足を打ちつけると

    バキバキッ!!

    散弾とアルミンの銃の弾で脆くなった床の木材は崩壊した。

    そのままユミルは地上へ落下する。

    ユミル『うぁああああ!』

    とっさに剣を投げるもアルミンには擦りもしなかった。

    アルミン『(・・・結局殺せなかった)』

    最後に地面に落とす程度で済ませたのは自分の甘さゆえか。

    自分たちと彼女達の友情感覚は明らかに違ったというのに。

    アルミン『(・・・とんだ甘ちゃんだよ 僕は)』
  94. 308 : : 2014/08/17(日) 23:33:36
    ーーエレン達

    逃げてから数分。

    アルミンがどうなったのかは分からない。

    アルミンの持っている銃の発砲音も聞こえた気がするが・・・

    とにかく屋根の上を走り続ける。

    すると一度だけ遠くで大きな音がしたかと思うと蒸気の音が近づいてきた。

    エレン『(何の音だ・・・?)』

    アニ『(・・・?)』

    一度立ち止まって周囲を見渡す。

    暗くてよく見えないが、自分たちが来た方から何かが飛んでくる。

    エレン『(何だアレ・・・?)』

    エレン『アニ、とりあえず逃げるぞ』

    アニ『う、うん』

    そうして動き出したその時。

    さっきまでとどまっていた辺りの壁にビシッと何かが刺さる音がする。

    エレン『!?』

    そのままギャリギャリという金属音と蒸気音が一気にこちらに迫ってくる。

    アニ『な、何なの!?』

    エレン『とにかく動き回るぞ!』

    すると

    ドオッ!!


    ドオッ!!

    と先程向こうで一度だけ聞こえた大きな音がすぐ近くでする。

    そしてあちこちで起こる小さな爆発音。

    アニ『榴弾・・・?』

    エレン『わからねえが・・・当たったらやべえのは確実だ』

    エレン『二手にいったん別れよう 2人じゃ的がでかくなっちまう』

    アニ『分かった!』

    『そうはさせないよ』


    突然横から声がする。

    エレン『ッ!!』

    とっさに横に身を投げる。

    すぐ横を何かがかすめた。

    さらにかなりの速さで影が通り過ぎる。

    エレン『その声、クリスタだな!』

    しかし、返事は無くかわりに蒸気音だけがあちこちで飛び回る。

    夜なのもあってほとんど視界に捉えられない。

    エレン『クソ、アニ!無事か!?』

    返事が無い。

    何処にいるのかもわからない。

    とりあえず何か使えるものは無いか。

    近くの屋敷の二階のが空いているのを確認し、素早く入り込む。

    そこは寝室のようだ。

    外ではカーンッと何かが地面に落ちる音がしたかと思うと再び銃声・・・というより砲声が響く。

    これだけの轟音なのに連発出来るのが不思議で仕方ない。

    それにあのクリスタが撃っていると考えれば尚更だ。

    下手に中に入り込むと出れなくなる可能性があるのでとりあえずシーツを腰に縛りつける。

    ロープ代わりにはなるだろう。

    そのまま砲声を耳で追う。

  95. 309 : : 2014/08/17(日) 23:45:34
    全く規則性・・・というか同じ場所からは砲声は聞こえない。

    一発一発が恐ろしく離れている。

    それも上下左右、三次元的だ。

    エレン『(空でも飛んでるのか!?)』

    エレン『(それよりアニだ 何処にいるんだ!)』

    外に出ると近くに足音が聞こえる。

    砲声が遠くで聞こえるということはクリスタでは無いようだ。

    危険だが小さい声で『アニか?』と聞くと、『エレン?』と帰ってくる。

    エレン『よ、よかった・・・怪我してねえか?』

    アニ『大丈夫 破片か何かで頬をちょっと切ったくらい』

    エレン『そうか・・・ どうする?』

    アニ『クリスタが持ってるの、危険すぎるよ・・・』

    エレン『・・・殺るしかねえか』

    アニ『う、うん・・・』

    エレン『・・・俺だって同級生殺すなんて嫌だ』

    エレン『でも・・・アニが死ぬのだけは死んでもゴメンだから、さ』

    エレン『ゴメンな・・・』

    アニ『い、いいよ 私だって・・・エレンが死ぬのは絶対イヤだから・・・』

    エレン『ありがとな・・・』
  96. 310 : : 2014/08/18(月) 00:03:06
    エレン『でもどうやって・・』

    しかし、自分の腰に巻いてあるものをみて閃く。

    エレン『そうだ・・・』



    ーーー

    ーー



    数分後。

    クリスタは狙ったりはせず、乱射しているようだ。

    向こうはこちらの動きを完全に掌握しきっていない。

    つまりほとんど音を頼りに動いているはずだ。

    静かに隠れながら2人で移動する。

    砲声が遠くなったのを把握すると、自分たちから後ろの時計台に向けて斧を投げた。

    時計台の壁に当たったそれは小気味いい音を立てて屋根の上に落ちる。

    『そこね』

    すると時計台に再び何かが刺さる音がした。

    さらに迫る蒸気音。

    そこで屋根に広くおいた巨大なシーツを2人で持つ。

    そのまま限界まで広げ、前方へ走る。

    『!?』

    突然の声に驚いたか、すぐに両手に持った何かを構えたらしい。

    しかし、撃つことは叶わず

    ボフッ!!

    シーツに飛び込んだ。

    エレン『つーかまえた』

    そのままシーツで縛りつけようとすると腕を振り回し、あちこちに乱射し始める。

    アニ『きゃっ!!』

    エレン『うおっ!!』

    さらに大きなボンッ!という蒸気音がしたかと思うと、そのまま地上へシーツごと落ちていった。

    エレン『クソ・・・』

    アニ『逃がしちゃったね・・・』

    エレン『ったく・・・まともに休めやしねえ・・・』
  97. 315 : : 2014/08/19(火) 00:25:17
    ーーしばらく後

    なんとかアルミンと合流を果たし、互いの無事を確認する。

    アルミン『2人とも無事で良かったよ 大きい銃声が何度も聞こえてたけど』

    エレン『アルミンは?怪我はしてねえか?』

    アルミン『大丈・・・あ』

    先程ユミルの剣が腹に掠ったことを思い出し

    アルミン『ちょっと刃物が掠ったよ でもなんともない』

    エレン『そうか・・・ならいいけど』

    アルミン『で、あの大きい銃声とも言えないような銃声は何?』

    エレン『俺たちにも分からん ありゃなんだったんだ?』

    アルミン『僕がみた弾痕から推測すると限り散弾銃だと思う』

    アニ『でも声からするとあれ撃ったのはクリスタだった』

    アルミン『クリスタ!?』

    アルミン『なら尚更変だよね・・・』

    エレン『とにかく逃げねえか?し、信じられねえと思うけど・・・』

    エレン『クリスタ・・空、飛んでたっぽいんだ』

    アルミン『え?』

    思わず聞き返す。

    当然だ。人が空を飛んでると聞いてはいそうですか逃げましょう、とはならないだろう。

    エレン『とにかく落ち着いたら話すから』

    アルミン『う、うん・・・』

    アルミン『(人が・・・空を飛ぶ?)』

    とにかく出来るだけこの場所から遠くへ、内地に向けて屋根の上を走る。

    ユミルは自分が屋根から落としたから追いつけないだろう。

    しかしクリスタがホントに飛ぶとしたら追いつかれるかもしれない。

    だが、後ろから何かが迫ってくることは無かった。

    ーーー

    ーー



    アルミン『この辺までくれば大丈夫じゃない?』ゼエゼエ

    息を切らしながら問いかける。

    エレン『そうだな・・・』フウ・・

    アニ『だといいけど・・・』ハア・・・

    さすがのエレンとアニもあまり休めないまま動き続け、命を狙われた状況から逃げてきたのだ。

    疲弊しているのは明らかである。

    アルミン『それで、クリスタが、空を飛ぶってどういうこと?』

    エレン『ああ・・・ええっと・・・』

    そして今に至る経緯、分かったことを話していく。

    エレン『・・・こんなもんか』

    アルミン『蒸気の音は僕も聞いたよ そういえば頭の上通り過ぎていったっけ・・・』

    アニ『それに蒸気の音の前に必ず何か撃ってた』

    アルミン『銃じゃなくて?』

    アニ『鋭い何かを壁に撃ち込んでたんだよね・・・』

    アルミン『仮に空を飛ぶ道具か何かがあったといてもそれだけのもの同時に制御するなんて無理じゃない?』

    アルミン『それにあの暗闇でそんな飛び回れるとも思えないし・・・』

    エレン『それに何で俺たちの居場所がばれたんだ?』

    アルミン『やっぱり僕が見たとき向こうにもばれてたんじゃ・・・』

    アニ『だとしたらその場で襲いかかることもできたんじゃない?』

    アニ『今回は遠くからの襲撃だったからなんとかなったけど、近距離であんな凶悪な兵器で襲われたら・・・』

    アルミン『じゃあ僕たちの居場所は別の何かで把握されてる・・・?』

    一同『『『・・・』』』
  98. 316 : : 2014/08/19(火) 00:39:15
    ーーユミル達

    ユミル『痛えなクソ・・・』

    サシャ『大丈夫ですか!?ユミル!』

    コニー『結構高いトコから落ちたよな!?』

    上から見つけたのか、明かりを持って地上へ降りてきたのだろう。

    ユミル『ああ、問題ねえよ』

    サシャ『屋根から突き落とされたんですか?』

    ユミル『アルミンにな・・・つーか私とアルミンが対峙してたの見えなかったか?』

    サシャ『アルミンの撃った弾からすごい量の煙が出て動けませんでしたから・・』

    ユミル『そうか』

    コニー『それより見たか?ベルトルトが・・・』

    ユミル『ああ・・・』

    ユミル『・・・アルミンが殺りやがったんだよ』

    ユミル『止めようとしたけどもう遅かったよ』

    サシャ『・・・許しません 絶対』

    コニー『ベルトルトの仇とってやるぞ!』

    これでまた奴らへの殺意を掻き立てるコトができたと内心ほくそ笑む。

    サシャ『それよりクリスタは何処でしょうか?』

    コニー『アイツまたいなくなったのかよ』

    すると何処からか蒸気の音が聞こえる。

    そして、

    クリスタが空から降りてきた。

    コニー『!?』

    サシャ『え?』

    ユミル『お前・・・一体』

    クリスタ『エレン達を追ってたけど、私も屋根から落とされちゃって』

    クリスタ『もう少しでエレンの顔も、アニの顔も抉り取れるところだったのに・・・惜しかったなぁ』

    ユミル『お前・・・お前が身につけてるのは何だよ』

    ユミル『いや・・・それよりお前、誰だよ』

    サシャ『クリスタ・・・ですよね?』

    クリスタ『クリスタ?』

    すると突然笑い出す。

    クリスタ『フフフフフ!クリスタ・レンズなんてこの世に存在なんてしない』

    クリスタ『あなた達みたいな下等な者たちに偽名とはいえ呼び捨てされるなんて・・・』

    クリスタ?『虫唾が走るわ』ゴオッ
  99. 318 : : 2014/08/19(火) 01:03:18
    コニー『どういう意味だよソレ!』

    クリスタ?『バカなあなた達には分からないでしょうから説明しても無駄ね』

    クリスタ?『もうあなた達と行動するのはムリ これからは私一人でやる』

    ユミル『貴族出身ってのはここまでプライドが高いんだな』

    クリスタ?『この壁の中に住んでるから貴族貴族と威張り散らすバカどもと一緒にしないで欲しいわ』

    ユミル『相当高等身分だったらしいな 名乗れよ』

    クリスタ?『・・・今まで一緒にいた馴染みだからね それだけは教えてあげる』

    ヒストリア『私はヒストリア・レイス
    じゃあね』


    するとそのまま何かを建物の壁に撃ち込むと謎の蒸気音とともに闇へと消えた。

    サシャ『・・・よくわかりませんけど、クリスタは偽りの人だったというコトはわかりました』

    コニー『なんだよヒストリア・・・レイスなんて初めて聞いたぞ』

    サシャ『レイス・・・聞いたコトありませんね』

    ユミル『・・・王家だよ』

    サシャコニ『『は?』』

    サシャ『な、何いってるんですか?確か王家はフリッツ家で

    ユミル『・・・フリッツ家は代理なんだよ 本物はレイス家だ』

    ユミル『跡取りの問題で変わったって聞いたが、まだ血は残ってたってことか』


    ーーミカサ達

    ミカサ『・・・向こうが騒がしい』

    ジャン『エレン達と接触・・・というより対峙したんだろ』

    ミカサ『!なら援護しなければ!』

    ジャン『無理だろ・・・聞こえたろ?砲声』

    ジャン『並大抵の武器じゃ太刀打ちできねえよ』

    ジャン『それに静かになったんだ どんな形であれ、決着はついたんだろ』

    ミカサ『う・・・』

    ジャン『・・・追うぞ』

    ミカサ『・・・ジャンはすごい』

    ジャン『は?』

    ミカサ『この状況でそこまで冷静でいられる』

    ミカサ『アルミンみたいに、とても頼りになる』

    ジャン『へっ 一旦死を覚悟すりゃ肝も座るからな』

    ジャン『・・・それに』

    ミカサ『それに?』

    ジャン『・・・いや、なんでもねえ』

    ミカサ『気になる 聞かせて』

    ジャン『(お前がいるからなんて、柄にもねえこと言えるかよ・・・)』
  100. 327 : : 2014/08/19(火) 12:14:06
    ーーユミル達

    サシャ『クリスタは王家の人間・・・』

    コニー『でもなんでクリスタはあんな壁の外側にいたんだ?』

    ユミル『妾の子、とか?』

    サシャ『・・・王家ですよ?』

    ユミル『珍しい話でも無いんじゃねえの?愛人ならいくらでもいそうだしな』

    ユミル『レイス家の跡継ぎ血が何らかの原因で絶えたことで王位はフリッツ家に譲られた』

    ユミル『でも実はレイス家の子を孕んだ女がその子を産んでいた』

    ユミル『フリッツ家としたらその血をもった子など邪魔でしかない 王位をまた奪われる可能性があるからな』

    ユミル『でも元とはいえ王家の人間なわけだ 殺すことは難しい』

    ユミル『だから身分を偽って、ウォールシーナから遠く離れた私たちの学校まで飛ばされた』

    ユミル『そんなとこだろ』

    サシャコニ『『・・・?』』

    ユミル『あー・・・まあ、分からねえよな』

    ユミル『とにかくあいつの目的も王家にあるんだろ エレンを殺したがってるのは変わってねえようだしな』

    ユミル『考えられる目的はフリッツ家への復讐』

    ユミル『あの妙な道具も大方王政の裏で動いてた暗躍機関のモノだろうな』

    サシャコニ『『???』』
  101. 333 : : 2014/08/20(水) 23:53:10
    ーーエレン達

    エレン『・・・朝からも動くのか?』

    アルミン『いや、やめよう 今晩はいろいろありすぎた』

    アニ『もう昨晩だけどね・・・』

    見ると既に日が建物の隙間から少しだけ顔を出していた。

    エレン『夜通し逃げて闘ってたのか・・・俺たち』

    アルミン『そうだね・・・』

    肉体は限界を超えてるだろう。疲れがどっとやってくる。

    アニ『諦めてはくれないだろうからきっと・・・』

    アルミン『・・・今度は確実に殺らなきゃ殺られるよ』

    アニ『・・・分かってる でも』

    アルミン『エレンの為だ やるしかないよ』

    エレン『・・・ゴメンな 俺なんかの為に』

    エレン『極力お前の手は汚させない
    でも俺のコトより自分のコトを優先してくれよ』

    アニ『エレン・・・』

    エレン『アルミンもだ』

    アルミン『・・・』

    エレン『お前らが生きるには俺が必要だ』

    エレン『で、俺が生きるにはお前らが必要だ』

    エレン『アニがいりゃ俺はどうにでもなれるしアルミンがいりゃ今の王政を破壊できる』

    エレン『誰一人欠けさせねえ 生きてみんなで王政叩きのめすぞ』

    一同『『よし!!』』
  102. 337 : : 2014/08/21(木) 00:24:26
    ーー???

    ???『ーーどうだ?』

    ???『やはり奴のアレは今もなお通信中 リアルタイムで情報を更新しております』

    ???『あの3人以外の端末で電池が生きているのはあるのか?』

    ???『あのソバカスと金髪の女の端末も通信中で電池にも余裕があります』

    ???『送れ』

    ???『御意』

    ーーユミル達

    ユミル達は再び適当な屋敷に入り、集団をやり過ごす。

    ユミル『やっぱ多いな あいつら』

    サシャ『入ってこないのが救いですよね』

    コニー『バカだよな』

    ユミル『ホントに本能だけで動いてるんだろうな 知性のカケラもねえ』

    サシャ『でも100%じゃないですからね 警戒は怠らないようにしましょう』

    コニー『人数も3人になっちまったしな』

    ユミル『一人頭4時間くらいか ちょいと辛いが耐えろよお前ら』

    ユミル『最初は私、次はコニーでいいか?』

    コニー『おう、まかせろ』

    サシャ『で最後は私ですね』

    サシャ『あ、でもまたエレン達を捜してたら時間経っちゃいますよ?』

    サシャ『夜しか動けないなら時間はできるだけ使いたくありませんよね?』

    ユミル『それは問題ねえ』

    コニー『なんでだよ?』

    ユミル『こいつだよ』

    そう言ってスマホを見せる。

    一つの矢印が表示されてる地図の中の建物の屋根を示していた。

    コニー『これは・・・?』

    ユミル『王政府からのプレゼントだ』

    そういってニヤリと笑みを浮かべた。
  103. 348 : : 2014/08/22(金) 00:36:05
    ーーエレン達

    エレン達は順調に進んでいた。

    屋根の上は地上に比べるとはるかに安全だ。

    屋根まで上がってくる者もいたが、数は少ないので簡単に振り切れる。

    2時間ほど進んだ後、休憩を挟む。

    エレン『これならいけそうだな』

    アニ『屋根の上ってだけでこんなにかわるんだね』

    アルミン『そ、そうだね・・・』ゼーゼー

    アルミンはやはり少し苦しそうだが前の死ぬ寸前だ、というような様子はない。

    全員がボトルの水を少しずつ飲み、また再スタートだ。

    今の季節心配なのは熱中症、日射病だ。

    暑い太陽の下を運動するのは辛いし、長時間続けるのは良くない。

    ましてや屋根の上だ。

    日光を遮るものがほとんどない。

    水分をこまめに取るべきだがその度に沢山消費することができないので節約する。

    アルミン『・・・辛いなあ』

    ーーユミル達

    サシャ『この矢印がエレン達なんですか?』

    ユミル『ああ これならどこにいても距離をつめてすぐ襲えるな』

    ユミル『だからゆっくり寝てりゃいいんだよ』

    コニー『なんであいつらの位置が分かるんだ?』

    ユミル『知るかよ 内地の技術ってやつじゃねえの?』

  104. 349 : : 2014/08/22(金) 01:06:16
    ユミル『しかし、このペースだとかなり離れちまうな』

    ユミル『やっぱ1人監視二時間で四時間休憩だ』

    コニー『あ?真ん中の俺がしんどいじゃねえかよ!』

    ユミル『夜に何十キロも走んのと昼と夜数キロずつ走るのならどっちがいいよ』

    コニー『う・・・そんな離れるのかよ』

    ユミル『我慢しろ』

    コニー『わ、わかった』




    ーーエレン達

    その後エレン達は相当距離を走る。

    数十キロという距離だ。

    そう簡単には追いつけないはずだ。

    太陽も殆ど傾いて見えなくなりつつあり、辺りも暗くなってきた。

    アルミン『今日は、これくらいで、いいと思う』

    エレン『そうだな・・・あー、疲れた・・・』

    そのままゴロンと屋根に寝転がる。

    アニ『屋根の上は、危ないから、適当な、家に入ろ』

    アルミン『そう、だね』

    のそりと立ち上がり、近くの屋敷の窓の前に立つ。

    窓の鍵の部分のガラスに穴を開け、手を突っ込み鍵を開けた。

    アニ『慣れてるね』

    アルミン『ハハハ・・・』

    鍵を開けて中に入った。

    エレン『早く横になりてえ・・・』

    アルミン『そうだね・・・早く休もう』

    アニ『でも見張り・・・』

    アルミン『あー・・・どうする?誰が最初にする?』

    エレン『アルミンは昨日あんま休めてなかったろ 俺が最初でいいぞ』

    アニ『なら私が

    エレン『いいからいいから 俺は見張り終わってから爆睡させてもらうからな』

    アルミン『ホントに? じゃ、失礼します・・・』

    そのままベッドの上に寝転がる。

    自分の家では考えられないほど大きいベッドだ。

    大人二人でも少し余る程だろう。

    エレン『ほら、アニも横になっとけ』

    アニ『・・・いや、私も起きてる』

    エレン『なーにいってんだよ 俺が見張りの意味ねえじゃん 俺が寝ちまうぞ』

    アニ『・・・』

    ムッとした表情をする。

    ちょっと焦ったエレンは

    エレン『じょ、冗談だよ 怒んなって』

    アニ『こんな時に・・・』

    エレン『でもとにかく寝ろよ 起きてたいならいいけど無理はすんなよ?』

    アニ『・・・あんたには言われたくないね』

    エレン『へ?』

    アニ『お休み』

    エレン『?お、お休み』

    それから意味を考えるも全く分からず。

    無理なんかしてないんだけどな、などと思いながら数時間が過ぎた。

    ーーー

    ーー



    夜十時くらい、だろうか。

    流石にキツくなってきたエレンはアルミンを起こす。

    エレン『アルミン悪い もう無理だ眠すぎる』

    アルミン『ん・・・わかった 変わるよ』

    エレン『よろしく』
  105. 350 : : 2014/08/22(金) 01:42:31
    それからまた数時間後。

    どのくらい経ったのだろうか。

    アニは変わるよとだけ言ってアルミンと交代した。

    しかし、アルミンがもう一度寝ようと横になった時、昨夜の蒸気音が再び近づいてきた。

    それが止むと今度は足音がだんだんと近づいてくる。

    コツ、コツ、コツ

    自分たちなりに複雑なところまで入りそこの屋敷隠れたつもりだ。

    なのに何故か確実にこちらの方へ来る。

    バレてる。

    でもどうして?

    続けて複数人の足音も近づいてきていた。

    これ以上近づかれる前に移動した方がいいだろう。

    エレンを叩き起こし、下の階へ降りて地上を逃げようとすると今度は下の方へ蒸気音が聞こえてきた。

    どうなってるんだ。何故下へ降りようとしてると分かるんだ。

    意味が分からない。

    アルミン『どうして・・・』

    上にも下にも逃げられない。

    試しに裏口へ逃げようとしてみると、それに伴って蒸気音も裏口の方へ向かっていく。

    しかし発信機をつけられた覚えはない。

    自分たちの位置情報がバレることなんて・・

    位置情報・・・

    ・・・



    エレン『くそ・・・どうして

    アルミン『エレン』

    エレン『は?』

    アルミン『もしかして・・・いや、今はイイや』

    アルミン『スマホ貸して』

    エレン『い、いいけど』

    そう言って玄関近くでスマホを受け取るとアルミンは裏口の方へスマホを滑らせる。

    エレン『え?』

    その一瞬後蒸気の音が裏口の方へ移動する。

    アルミン『出るよ!』

    それと同時にアルミン達は外へ飛び出した。

    エレン『もしかしてあいつら俺のスマホの場所を割り出して追ってたのか?』

    走りながらエレンは聞く。

    アルミン『そうだよ』

    アルミン『エレン、この自体に陥ってから君はスマホの設定いじった?』

    エレン『いや、そのままだけど・・』

    アニ『!モバイルデータ通信・・・』

    アルミン『そう そのうちの位置情報サービスだよ』

    アルミン『壁内の測位システム・・・位置情報を提供する衛星との通信が切れてなかったんだ』

    アルミン『それを辿ってきた』

    アルミン『王政府がその位置情報を他の端末に撒いたんだ』

    アルミン『問題なのはあの時スマホを充電してたのは僕とエレンだけじゃないってことだよ』

    エレン『クリスタ・・・!』

    アニ『で、でもユミル達も来てるみたいだったけどそれは?』

    エレン『だよな 普通あの状況で急いで充電しようなんて思わねえだろ』

    アルミン『もしかしたら僕たちみたいに充電してたのかもしれない』

    アルミン『それにユミルはコンビニを漁ってたんだ』

    アルミン『その時に乾電池を使うモバイルバッテリーを使えば充電できるさ』
  106. 351 : : 2014/08/24(日) 00:30:14
    そう話しているうちにまた蒸気の音が近づいてくる。

    エレン『マズイまたクリスタが!』

    アルミン『覚悟はできてるね?』

    アニ『・・・ウン』

    エレン『あ、ああ』

    アルミン『迷いは捨てて 極限状態での迷いは死に一直線だよ』

    エレン『・・・フゥー』

    一度大きく息を吐く。

    エレン『・・・よし、大丈夫だ』

    アルミン『いいかい?後ろからはユミル達も来てるんだ』

    アルミン『長時間戦う暇はない』

    アルミン『スムーズに確実に殺るんだ』

    アニ『でもこっちに遠距離から高速で人を倒す武器なんて・・・』

    アルミン『あるじゃないか この銃が』

    エレン『でもそいつは弾速が遅いし、殺傷能力のある弾丸はねえだろ?』

    アルミン『これ自体に殺傷能力は無くてもそれで呼び起こせるモノがある』

    アルミン『・・・賭けだけどね』

    エレン『は・・・?』

    アルミン『とはいえ弾速はカバーしなきゃならない』

    アルミン『三方向に展開 エレン右、アニ左、僕は斜め前方の影

    アルミン『アニとエレンが同時に黒星を発射して僕が仕留める』

    エレン『二人離れたところにいて同時になんて撃てるわけねえだろ!』

    アルミン『できるさ 君たち2人なら』

    エレン『!』

    アニ『やってみせるよ』

    アルミン『向こうはまだ完全にはこっちを捕捉してないだろうけど、どうせすぐ追いつかれる』

    アルミン『展開!』

    エレン『お、おう』

    アニ『分かった』

    それぞれが得物をもって散開。

    持ち場につき、すぐにエレンとアニは黒と書かれた弾をセットし、ハンマーを起こす。

    お互いが何処に入ったかは分かっているので同士討ちは無いだろう。

    が、問題は撃つタイミングだ。

    必死に考える。

    相方ならどのタイミングで撃つだろうか。

    そして自分ならどのタイミングで撃つだろうか。

    エレン『(俺なら・・・)』

    アニ『(私は・・・)』

    更に蒸気の音が近づいてくる。

    どうする。

    ーー誰も死なせたくないーー

    ーー 三人は絶対死なないーー

    この策で最も危ないのはアルミンだ。

    自分たちの攻撃で気を前から逸らさなければここを突破され、前方のアルミンが撃たれるだろう。

    なら突破されなければいい。

    そこで思い出す。

    蒸気音の前には必ず何かを壁に撃ち込んでいた。

    ほぼ一定感覚で。

    仮に空を飛んでいるとして、その作業が必須ならば

    それをさせなければいい。

    エレン『!』

    音が近づく中でリズムを聞く。

    さらに近づき、再び近くの何かが壁を突く。

    一定の長さの蒸気音が途切れた瞬間。

    エレアニ『『(ここだ・・・!)』』

    パァン!!! パァン!!!!

    二つの銃声が別々の場所から長い通りに響いた。
  107. 352 : : 2014/08/24(日) 00:45:46
    銃声が響いた直後に何かを発射したらしいが壁に刺さる音はせず。

    カーンッ!

    と弾かれたらしい。

    ドサッと地面に落ち、凄い勢いで転がって行く。

    すぐに止まるが、それでもダメージは深刻らしく、うう・・・といううめき声を上げるだけでそこで丸まったまま。

    アルミン『エレン、アニ!早くこっちに!』

    スグにアルミンのいる方へ走る。

    エレン『どうすんだ

    アルミン『目を手で覆って』ボソッ

    聞こえるか聞こえないか分からないくらいの声でいったかと思うと、何かを発射した。

    自分たちが撃った黒星とはまた違う音。

    しかしエレンは一度聞いたことがある音だ。

    エレン『(これは・・・!)』

    とっさに目をかばい、瞼も閉じる。

    すると瞼の裏から強烈な光を感じる。

    クリスタは直視したらしく、声にならない悲鳴をあげている。

    アルミン『光の無い方に逃げるよ!』

    それを聞いて再び薄目で走る。

    背中の方はかなり明るい。

    しかし

    アニ『アレってタダの発光弾じゃ・・・』

    アルミン『そうだよ』

    アニ『じゃあただの足止め?』

    すると自分たちでも、勿論クリスタのでもない足音が聞こえる。

    エレン『ユミル達来やがったか?』

    アニ『いや、それにしては数が多すぎるような・・・』

    アルミン『かかった』

    エレン『は?』

    さらに横からも前からも謎の足音が聞こえる。

    が、それでもエレン達を通り過ぎ、背中の方へ一直線だ。

    エレン『光の方へ・・・!』

    アルミン『日光に限らず、光があれば活動できるらしいね』

    アニ『てことはクリスタは・・・』

    アルミン『活動に必要なものは与えたんだ』

    アルミン『あとは食欲を満たすだけさ』フッ

    エレン『ア、アルミン・・・お前』
  108. 353 : : 2014/08/24(日) 17:21:22
    アニ『・・・つまり あいつらにクリスタを食べさせるってこと?』

    アルミン『そういうことになるね』

    エレン『アルミン・・・』

    アルミン『早く行くよ 巻き込まれたくないでしょ?』

    エレン『いくらなんでも・・・』

    アルミン『ハア・・・』

    アルミン『彼女は君を殺そうとしてるんだよ?』

    アルミン『それに友達を殺す覚悟はできてたんじゃなかったの?』

    アニ『・・・』

    エレン『う・・・』

    アルミン『言ったはずだよ 極限状態では少しでも迷った奴から死んでいく』

    エレン『お前・・・誰だよ?』

    何時もの彼との違いに少し距離を取りながら問いかける。

    アルミン『・・・何を言ってるんだい?僕はアルミンだよ』

    三人並んで走りながら受け答えをする。



    エレン『アニ、逃げるぞ』

    アニ『え?』

    エレン『このアルミンは偽物だ!』

    アニ『な、え?ど、どういうこと!?』

    そのまま横の路地に急にターンをして進路を変える。

    アルミン『チッ・・・』

    アルミン『(もう少しユミル達から突き放してアレを確保するつもりだったけど・・・)』

    しばらく走り、いくらか先にある倉庫に着くと中からケースを出し、何かを身に纏う。

    アルミン『(・・・旧型か 対人に比べると少々劣るな)』
  109. 355 : : 2014/08/31(日) 23:15:43
    ーーエレンとアニ

    アニ『ねえ、どうなってるの!?何でアルミンが・・・』

    エレン『さあ・・・』

    アニ『それにあのアルミンが偽物だっていう証拠は?』

    エレン『それなら確実な証拠がある』

    アニ『え?』

    エレン『アルミンは走りながら喋るなんてコトできないんだよ』

    アニ『あ・・・・!』

    エレン『覚えてるだろ?逃げてる時は息も絶え絶えだったのにあの時は息一つ切らさず喋ってた』

    エレン『それにあいつはすんなり人を殺せるような奴じゃない』

    エレン『そんな奴じゃないはずなんだ・・・!』

    アニ『エレン・・・』

    信じているのだ。

    確かに言われてみれば不自然なところがある。

    多重人格などの可能性もあるが、偽物といったのも彼でないと信じたかったからなのかもしれない。

    アニ『私たちが別れたのはあそこの通りだよね・・・』

    エレン『ああ・・・それまでは普通のアルミンだったはすだ』

    そう、もしまだアルミンがいるとしたらその近く。

    戻らなければならないのだ。クリスタの、バケモノのいるところへ・・・
  110. 356 : : 2014/08/31(日) 23:15:57
    エレン『問題は・・・』

    アニ『どうやってそいつらを避けてアルミンを奪取するか・・・』

    エレン『それにクリスタをやっつけ切れてない可能性もあるな』

    その時、再び謎の発射音と蒸気の音がする。

    アニ『やっぱりまだ・・・!』

    エレン『いや、違う・・さっき俺たちが走って行ったほうからだ!』

    その音はそのまま頭上を通り過ぎていってしまう。

    クリスタではないのだろうか。

    どういうコトか理解し切らぬまま別の通りを走る。

    そして一つ向こうのところから小さな光を見つけた。

    発光弾だ。

    時間が経ったのもあり、かなり小さくなっていて、バケモノもクリスタもいなくなっていた。

    エレン『(間に合わなかったのか・・!?)』

    アニ『(アルミン・・・)』
  111. 357 : : 2014/09/06(土) 00:57:38
    その時、通りの角の奥の方から変なうめき声が聞こえる。

    ンー!ンンー!!

    エレン『な、なんの声だ・・・?』

    アニ『ひょっとしてアルミンじゃ・・・!』

    スグに向かいたいところだが、クリスタがどうなったか分からない。

    故に下手に動くわけにはいかなかった。

    エレン『(急いでるのによ・・!)』

    警戒しながら進んでいく。

    クリスタに出会うコト無く、声の発生源にたどり着いた。

    奥の影には・・・

    エレン『アルミン!!』

    アルミン『んん!んんー!』

    アニ『無事でよかった・・・!』

    縄で縛られており、腕から血が滴っている。

    それ以外に怪我はなさそうだが、そこの傷はヒドイ。

    縄で縛られ、簡易な猿轡をはめられておりまともに喋れなかったようだ。

    とりあえずその二つを外してやる。

    アルミン『プホァ!』

    エレン『大丈夫かよ?つかアルミンだよな?』

    アルミン『ハア・・・ハア・・当然でしょ』

    口の端から少し垂れている唾液を拭いながら言う。

    アニ『何があったの?別れる前までは一緒だった・・・よね』

    アルミン『僕もよく分からないんだよ・・・』

    アルミン『気づいたら縛られて腕をざっくり切られて・・・ウウ』

    エレン『随分深くやられてるな・・・』

    切りつけられたというより小さく肉を抉り取られたような傷だ。

    出血もひどい。

    アニ『とにかく血を止めるよ・・・』
  112. 358 : : 2014/09/06(土) 01:19:14
    持参した水で傷口を洗う。

    アルミン『うっ・・・』

    アニ『痛いだろうけど我慢してよ』

    その時にエレンは服の袖を少し裂き、簡単な布切れを作る。

    エレン『衛生的には良くねえけどな・・・悪い』

    アルミン『十分すぎるほどだよ・・・』

    微笑を浮かべてそう言う。

    強すぎない力で抑え、腕で布を結びつける。

    アニ『これで一応大丈夫だと思う』

    アルミン『ありがとう・・・』

    一通り処置が終わったところでアルミンはエレンに気になっていたコトを問う。

    アルミン『さっきのアルミンだよな、ってどういうこと?』

    エレン『あ、ああ じつはさっきな・・・』

    そうしてさきほど偽物のアルミンと行動していたことを話す。

    それを聞いてアルミンは驚く。

    アルミン『僕がもう一人・・・』

    アルミン『もう僕のクローンが出来ているのか!?』

    アニ『そういえば前のあの粉・・・』

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

    身体の一部があれば肉体を完全に修復することができ・・・

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

    エレン『じゃあアルミンに傷つけたのは・・・』

    アルミン『王家の人間・・・』

    皮膚を抉り取りそこから身体を複製したのだろうか。

    エレン『でも確か脳がなきゃクローンなんて作れないはずじゃ・・・』

    アルミン『脳のはたらきは記憶をとっておくメモリー機能だけじゃない』

    アルミン『身体の各所に指令を出したり、五感を制御したり、多くの機能を持ってるんだ』

    アルミン『でもそれらを電気信号に変換して機械でも代用できる技術があるにはあるんだ』

    アニ『でも私たちのことを認識してた・・・!』

    アルミン『記憶も後付けで埋め込んだんだ』

    アルミン『つまり僕たちを知ってる人物が僕の複製を送り込んだんだ・・・!』
  113. 359 : : 2014/09/09(火) 21:43:31
    しかしやはり気になるのはあのコピーの作成速度だ。

    届けるまでにもかなりかかるであろうに、ものの数十分でできているのだから。

    アルミン『どんなに早くても僕の身体の一部をあの時間で中央へ運ぶのは不可能だよ』

    エレン『人間ならそうだろうけどアイツらならどうだ?』

    アニ『夜間は動けないんだよ?あり得ない』

    アルミン『とすると運んだのは人間・・・』

    アルミン『隠し通路があれば短時間で行けるのかも・・・』

    エレン『いや、待てよ・・・?』

    そこでよく思い出す。

    まだユミル達と行動していた時・・

    カーゴに乗っていて

    ライナーが襲われて・・・

    エレン『カーゴに乗ってたところって
    暗かったよな・・・?』

    アニ『そりゃ太陽の光がまともに入らない地下にあって・・・』

    エレン『ライナー襲われたのもそこだよな?』

    アルミン『・・・!』

    エレン『ライナー襲ったのって人間じゃなかったよな・・・?』

    アニ『ということは夜にも動けるヤツがいる・・・?』

    アルミン『同じやつなのか同じ種類の別のヤツかは分からないけど』

    アルミン『そのどちらかだね・・・運動精度も普通の奴の比じゃない』

    エレン『てことはやっぱり隠し通路がある・・・!』
  114. 360 : : 2014/09/11(木) 21:57:25
    アルミン『どちらにしろやることは決まってる』

    そう言って立ち上がる。

    血もとりあえず勢い良く噴き出すコトはなさそうだ。

    しかし後ろからユミル達の足音も聞こえてきた。

    発光弾のところにいるようだがこちらには気づいていない。

    とりあえずおとなしくしてやり過ごすコトにした。

    ーーー

    ーー



    数分後

    エレン『・・・行ったな』

    ユミル達をやり過ごし、隠し通路なるものを探すコトにした。

    エレン『(隠し通路・・・)』

    エレン『(あるのかどうか定かじゃないモノを探すのは気が滅入るな)』

    これだけ入り組んだ内地で地理も良くわかっていない。

    離れると合流するのが難しい為3人で同時に行動。

    声かけ不能。

    これほど不自由ではまともに探せない。

    アルミン『(何かを持ってすぐに消えたんだよね・・・) 』

    アルミン『(通路は地下なんだから排気口か何かから行ったはず)』

    どちらにせよ地下に行かなくてはならないのだ。

    アルミン『(でも・・・マンホールとかそういう類は無いな・・・)』

    そもそも見つけていたらとっくに地下で行動していただろう。

    屋根の上で行動していた為に見つけられなかったのもあるだろうが、

    それでも地下に行く手段は見当たらなかった。

    途方に暮れる3人。

    それを上方向から見る影がいた。

    ???『さっきはよくも・・・』

    得物を握り直し、構えた。
  115. 361 : : 2014/09/11(木) 22:12:48
    しかし火を吹いたのはその者の武器では無く、

    下の建物の影から覗く銃口だった。

    ミカサ『捉えたッ・・・!』

    ガチャンッとやや重い廃莢の音がしたかと思うと続けざまに発砲する。

    その音はもちろんエレン達の耳にも届き

    エレン『!?』

    アニ『今のは・・・!?』

    エレン『とりあえず音のあったほうから離れて

    アルミン『違う・・・!』

    弾が掠る気配は全くしない。


    夜間の狙撃は目標の目視が困難な為難しい。

    威嚇射撃の線もあるが自分たち以外に生きている者はいないハズ。

    威嚇する目的もない。

    と、すると狙いは自分たちでは無い。

    暗視ゴーグルか何かで捕捉しているのか・・・

    驚異的な視力で夜間の狙撃を可能にしているのか。
  116. 362 : : 2014/09/11(木) 22:35:39
    アルミン『銃声のほうに走るよ!!』

    しかし、屋根の上からも前に聞いた巨大な音が鳴り始める。

    地面にビシビシと弾丸が撃ち込まれる。

    エレン『上にクリスタが・・・!』

    加え先ほど通り過ぎたユミル達も音を聞いて戻ってくるだろう。

    アニ『それにしても一体誰が・・・』

    その答えはすぐに出た。

    エレン達を護ってくれる人は今は2人しかあり得ない。

    アルミン『ミカサ、ジャン!!』

    少し遠くのほうで小さく、瞬間的な光が見える。

    『弾込めた?』

    『10発 これでラストだ』

    そして小さな声の会話も聞こえた。

    走り寄って光が見えたその建物のなかに転がり込む。

    エレン『お前ら!』

    ジャン『まだ生きてたかよ』

    アニ『助かったよ・・・ありがとう』

    ミカサ『三人とも無事で何より』

    アルミン『最初に撃ったのはミカサ?よくクリスタが見えたね』

    ミカサ『変な蒸気の音が聞こえたしアルミンが光る何かを撃ったのが見えた』

    ミカサ『その中の物質がクリスタの服についたらしくてその光を追って撃っただけ』

    エレン『しれっと言ってるけどスゲえな・・・』

    横ではジャンが断続的に発砲を続けている。

    が、さっきのやりとりから察するに弾はもう尽きかけているのだろう。

    だいぶ消費を抑えているようだ。

    向こうからの発砲音は続いているが、こっちに弾は一つも飛んで来なくなった。

    加えて小さい音ではあるが、金属同士の打ち合いも聞こえる。

    エレン『どうしたんだ・・・?』
  117. 363 : : 2014/09/14(日) 00:17:11
    ーー屋根の上

    ヒストリア『・・・アルミン、貴方もソレを使えるの?』

    屋根の上にあるヒストリア以外のもう一つの影。

    それは・・・

    アルミン(コピー)『追いついたよ ヒストリア』

    ヒストリア『・・・何を言ってるの?私はクリスタ・レンズ』

    アルミン(コピー)『ヒストリア・レイス
    素性は割れてるから無駄な問答は無しにしようよ』

    ヒストリア『・・・ここまで頭が切れて、バカだとは思わなかった』

    再び銃を構える。

    アルミン(コピー)『対人立体機動装置』

    ヒストリア『・・・!』

    アルミン(コピー)『人の殺傷を目的とした立体機動装置だよね?』

    背中にボンベ、装置が着いており、ヒストリアの小柄な体格には似合わない。

    が、それを用いて空を飛んでいたのも事実だ。

    アルミン(コピー)『何処で手に入れたの?ソレ』

    ヒストリア『貴方には関係ない』

    すぐさま撃つがその瞬間突然アルミンが消える。

    ヒストリア『!?』

    突然でわずかにたじろぐ。

    その一瞬を狙って横から細い板のようなもの飛んでくるが、ギリギリのところで顔を傾けて避ける。

    チッ!

    ヒストリア『くっ!』

    頬に掠める。

    刃物なのだろう。横に赤い線が引かれ血液が滴る。

    それを確かめる間も無く今度は後ろから何かが飛んでくる。

    身を返してそれも避けるがバランスを崩してふらつく。

    その瞬間、アルミンという男がどんな奴なのかを考えると

    ヒストリア『(・・・まさかふらつかせる為の布石?)』

    狙ったようにふらついた先に向かってアルミンが猛スピードで迫って来た。

    ヒストリア『ッ!!』

    アルミン(コピー)『フッ!!!』

    両方の手に持った刀を振り下ろす。

    避けるのは無理だと判断しとっさに銃でそれを受ける。

    ガキンッ!!

    ギチギチと金属がこすれる音がする。

    アルミンといえど男だ。

    腕力の差は否定できず、だんだんと押されている。

    ヒストリア『うう・・・!』
  118. 364 : : 2014/09/14(日) 00:27:44
    素早く銃を下に振り、地面に叩きつける。

    しかしすぐに連撃に持ちこまれ、捌ききれずだんだんと後退する。

    アルミン(コピー)『・・・』

    ヒストリア『(余裕が・・精神的にもキツイ・・!)』

    しかし激しく打ち込んでいたせいか刃こぼれしたらしく、あっけなく刃が折れた。

    ヒストリア『(しめたっ!)』

    ところがまともに構えるコトすら叶わず。

    柄の部分を振り上げつつ銃身に叩きつけられる。

    銃口は上を向き、上空に向けて弾が飛んでいった。

    さらにアルミンはもう片方の柄を自身の腿のあたりにある箱に叩きつけたかと

    それをヒストリアの右腕に向けて薙いだ。

    ズパッ・・・!
  119. 365 : : 2014/09/14(日) 00:48:20
    ヒストリア『うあっ・・・!』

    筋を絶たれ、腕が動かなくなる。

    アルミン(コピー)『哀れな王政の奴隷犬・・・』


    そのまま左の腕の筋も切り裂き、だらりと垂れ下がる。

    ヒストリア『あああ・・・!』

    アルミン(コピー)『これでもう空は飛べないし、銃も撃てない』

    アルミン(コピー)『観念して質問に答えて』

    ヒストリア『くう・・・!』

    ーーー

    ーー



    ーーエレン達

    エレン『・・・』

    アニ『銃声が・・・止んだ、ね・・・』

    アルミン『上で何が・・・』

    ジャン『んなことはどーだっていい』

    ジャン『お前ら王政府のほうへ行くんだろ?』

    エレン『あ、ああ』

    ジャン『なら早く行け もともと俺たちはこれから合わないために別れたんだろ?』

    ミカサ『あと100キロくらいあるハズ 私たちは1日空けてでるから』

    アニ『わかった』

    ジャン『最後に言っとくぞエレン
    お前はアニ、アルミン、ミカサに生かされてるんだ』

    ジャン『生きることを望むお前の為に尽くしてる』

    ジャン『だからお前は

    しかしジャンの言葉が最後まで紡がれることはなかった。

    一発の銃声に遮られたのだ。

    ミカサ『ジャン!!!』

    エレン『お、おい!?』

    そして出て来たのは・・・

    ユミル『1人死んだ 後四人だなぁ』ニヤッ
  120. 366 : : 2014/09/16(火) 19:14:24
    エレン『ユミルてめえ・・・!』

    ミカサ『ジャン・・・!』

    そしてユミルを睨みつける。

    しかし意に介さず

    ユミル『んなコエー顔するなよ』

    ユミル『ソイツを護ろうとするからこうなるんだよ』

    ミカサ『・・・許さない』

    アニ『ミカサ!落ち着いて!』

    アルミン『ミカサ!』

    ミカサ『早く行って!!!』

    ユミル『させねえよ』

    排莢を済ませ、すぐに構える。

    が、ミカサはユミルが引き金をひくより早くに銃を投げつけた。

    ユミル『うおっ』

    若干怯むが落ち着いて銃を弾く。

    其の間にミカサは間合いを詰めインファイトに持ち込んだ。

    ミカサの運動神経は高校生のそれの常識を逸脱している。

    戦闘に関するセンスもズバ抜けているだろう。

    ただしそれは、自分と同じように戦闘の素人の場合だ。

    加えて

    ユミル『落ち着きを失ったお前に負ける気はしねえな』

    相当内側から抉りこむように放つ拳も蹴りも紙一重で避けられる。

    ミカサ『はあっ・・!ハアっ!!』

    避けられ続け体力を消耗したのもあり、一発ごとの隙が大きくなり始める。

    それをユミルは見逃さなかった。

    ユミル『ほいっと』

    銃床をミカサの肩に叩き込む。

    ミカサ『ぐうっ・・!?』

    ユミル『感情の乱れで攻撃が単調になってんだよ』

    その後も何度も関節に攻撃を集中させる。

    ミカサが動けなくなるのはそれからそれほど時間は掛からなかった。

    ユミル『フウ・・・』
  121. 367 : : 2014/09/21(日) 00:30:19
    エレン『ミカサ!!』

    アニ『!』

    そのまま反射的にミカサの元へ戻ろうとする。

    アルミン『エレン!!アニ!!』

    しかしアルミンがそうさせなかった。

    ユミル『これであと3人』

    倒れているミカサの頭に銃口を向ける。

    そしてそのままミカサの頭をまっすぐ後ろから撃ち抜いた。

    さてエレン達を、と振り向いたときにはもう遠くに行っていたがそれでも慌てることはなく

    ユミル『敵と対峙したときに真っ先に考えなきゃならねえのは敵が複数いる可能性ってことを知らねえのかねぇ』

    『・・・全くだ、な!』

    ユミル『!』

    影からナイフが飛んでくる。

    突然で投げてきた人物に驚き、避けることができず、額に刃が直撃した。

    そのまま重力に従って床へと身体が吸い込まれてどさっと倒れこむ。

    ジャン『・・・でもお前も敵が本当に死んでるかを確かめることを学ぶべきだったな』
  122. 368 : : 2014/09/21(日) 00:39:19
    どうやら胸に一発撃ちこまれたが即死には至らなかったようだ。

    ジャン『(それでももう長くねえが・・・)』

    ジャン『ミ、カサ・・・』

    全く動かなくなったミカサの元へ這いずる。

    ジャン『ゴメンな・・・』

    後頭部に穴を開けられてはいるが貫通はしていない。

    手のひらでゆっくり瞼を下ろす。

    ジャン『ゴメンな・・・』

    もう一度謝る。

    しかし

    ユミル『懺悔はあの世でいくらでもするがいいさ』

    ジャン『!』

    そこには額から煙を出しながら立つユミルの姿があった。

    ジャン『お前・・・一体・・・!』

    ユミル『さっきのお前の言葉、そのまま返すわ』

    ユミル『向こうでミカサによろしく言っといてくれ』

    ジャン『ッ!!』

    最期の力を振り絞って落ちているもう一本のナイフを持ち上げるが、それがユミルに届くことはなく

    再びナイフは地面に落ちた。

    ユミル『・・・』
  123. 369 : : 2014/09/21(日) 03:25:33
    ーーヒストリアとアルミン

    アルミン(コピー)『まず質問1 何が目的なの?』

    ヒストリア『・・・』

    アルミン(コピー)『答えてよ 君に拒否権はないから』

    アルミン(コピー)『また痛い目にあいたいのかな?』

    そう言って再びブレードを振り上げる。

    ヒストリア『・・・好きにすれば』

    アルミン(コピー)『そうまでして守りたい秘密でもあるのかい?』

    アルミン『(こりゃあいくらやっても口割りそうにないな)』

    アルミン(コピー)『んじゃとりあえず質問2 王族は何が目的なの?』

    ヒストリア『私が知ってるわけないでしょ』

    アルミン(コピー)『それもそうか じゃ最後の質問』

    アルミン(コピー)『君は人間じゃないよね?』

    ヒストリア『・・・質問の意味が分からない』

    アルミン(コピー)『とぼけても無駄だよ』

    アルミン(コピー)『普通の娘に対人立体機動装置なんて使いこなせるワケがないからね』

    アルミン(コピー)『君も僕と同じコピーでしょ?』

    ヒストリア『・・・』

    アルミン(コピー)『普通に考えれば産まれてはならない王族の血をもつ妾の子だろうけど』

    アルミン(コピー)『母親と一緒に君のオリジナルはフリッツ家に殺された』

    アルミン(コピー)『でも仮にもレイス家の血を持つ者を殺したのをレイス家の人間に知られては闇の中でフリッツ家の者も皆殺しだろう』

    アルミン(コピー)『だから君が"作られて"レイス家にとって世間から隠したい君を外側へ送った』

    アルミン(コピー)『大方の筋書きはこうでしょ?』

    ヒストリア『・・・』

    アルミン(コピー)『まあでもレイス家によって君は守られてたワケだけど』

    アルミン(コピー)『やっぱり君はレイス家の道具だったんだね』

    ヒストリア『!』

    アルミン(コピー)『いざとなったら君を連れ戻してレイス家に王族の座を戻せるし』

    ヒストリア『やめなさい・・・』


    アルミン(コピー)『そうなれば君の代わりに親や側近が国を動かせるからね』

    ヒストリア『やめなさい・・・!』

    アルミン(コピー)『結局君はいつ何処にいても、いたとしても』

    アルミン(コピー)『レイス家とフリッツ家に踊らされるただの都合のいい人形だったということさ』

    ヒストリア『やめろ!!!』

    先ほど斬ったところから蒸気が吹き出す。

    みるみる瘡蓋のようなものが傷口に形成されて治癒されていった。

    アルミン(コピー)『これで確定』

    再び装置で逃げようと動き出すヒストリアを見逃さず、

    すぐにうつ伏せになるように押し倒した。

    ヒストリア『ぐっ!』

    アルミン(コピー)『今までお疲れ様』

    そのまま首の後ろ、うなじの部分を二つの刃で削ぎ落とすとヒストリアの身体は蒸気に包まれる。

    そのまま夜空へと溶けていった。

    アルミン(コピー)『・・・』

    上へと立ち上る蒸気を眺めた後、内地の方へ飛び始めた。
  124. 370 : : 2014/09/23(火) 00:00:58
    ーーエレン達

    アニ『ミカサ達、大丈夫だよね』

    エレン『当たり前だろ 下手な大人よりよっぽどコエーからな!』

    エレン『な?アルミン』

    アルミン『う、うん そうだね・・・』

    エレン『?どうしたんだ?』

    アニ『そういえばサシャとコニーが見当たらなかったけど・・・』

    アルミン『!』

    引っかかっていたことがたった今分かった。

    『見つけました』

    物陰で小さな物音がする。

    とっさにそちらに注意を向けたが

    弾丸が飛んできたのは反対の方向からだった。

    ダァンッッ!!

    エレン『ぐうっっ!!!』

    アニ『エレン!』

    すると先ほど物音がした影からコニーが飛び出す。

    コニー『サシャ!動きを止めたぞ!』

    サシャ『止めたのは私です!』

    銃声がした方からはサシャが飛び出してきた。

    エレン『(コニーの物音は注意を引くための囮か・・・!)』

    すぐさまアルミンが黒星を撃つ。

    が、サシャに同じ手は二度通じなかった。

    黒星は発煙弾としての役割が大きく、対人においてはほとんど意味を成さない。

    加えて遅い弾速である。

    サシャのカンと故郷で培ってきた経験からすると止まって見えるほどであろう。

    銃をバットのように振り弾を弾いて横へ飛ばす。

    アルミン『クッ!』

    煙幕の役割を成さず、逃走の時間は稼げそうにない。

    エレン『クソォ・・・』

    まだ反撃の可能性があるのは白星くらいだろう。

    しかしエレンがまともに動けない以上下手に撃って喰人をおびき寄せるワケにはいかない。

    打つ手がない。

    アニ『(どうすれば・・・!)』
  125. 371 : : 2014/09/25(木) 20:43:06
    しかしアルミンは白星が自殺行為だとわかっているはずなのにその弾を装填する。

    アニ『アルミン!?』

    サシャ『そうはさせませんよ!』

    再び銃を構え、アルミンの銃を撃つ。

    が、装填が終わるとすぐにアルミンは

    アルミン『アニ!』

    アニ『!』

    銃を投げてよこしたのだった。

    アルミン『撃って!』

    アルミンの動きで今は狙いをエレンから外している。

    サシャ『!』

    迷っていては自分もエレンもアルミンも撃たれるだろう。

    半ばヤケになりつつもサシャたちに向けて白星を放った。

    パシュゥゥウウウウウ!

    3人は咄嗟に目を庇う。が、その動きもサシャは見逃さない。

    サシャ『目を閉じて手で庇って下さいコニー!』

    コニー『お?お、おう!』



  126. 372 : : 2014/09/25(木) 20:57:48
    荒廃しかけている街をまばゆい光が照らす。

    もっとも、サシャ達の視覚を奪うことはできなかったが。

    その光に導かれるように奴等の足音がどこからともなく迫る。

    サシャ『あの変な人たち・・・?』

    たくさんの足音を聞いてわずかにたじろいだ。

    早く動き始めていたアルミンはエレンを半分引きずるようにしてその場を離れる。

    アニもそれに続いて運ぶのを手伝った。

    サシャ『!待って下さい!!』

    コニー『もう大丈夫か?』

    サシャ『早く目を開けて下さい!』

    コニー『お、おう、すまん!』

    ーー王政府

    ???『・・・遅い』

    ???『この分ではヒストリア・レイスのコピーも殺られたようですな』

    ???『対人立体機動装置をつけていたのだろう?』

    ???『しかしそうでなければここまで遅くなることはないでしょう』

    ???『欠陥品めが オリジナルもゴミならコピーもゴミというわけか』

    ???『・・・そのようですな』

    ???『しかしあの童共の行動には釈迦も閻魔も呆れようて』

    ???『この世界の王となる私に逆らったことを後悔させてやる』

    ???『如何様に?』

    ???『最後の被験体の巨人を使え 奴らとて敵うはずは無い』

    ???『・・・御意』
  127. 373 : : 2014/09/28(日) 00:19:39
    ーーエレン達

    エレン『ハア・・・ハア・・・!』

    アニ『エレン・・・!』

    エレン『大丈夫・・・大丈夫だ、から』

    アルミン『とにかく

    サシャ『いい加減に・・・』

    カチャッ

    排莢の後再び発砲する。

    エレンは前に体重をかけてアニたちを伏せさせた。

    倒れこむように地面に伏せる。

    が、すぐさま次の弾は飛んできて・・・

    ビッッ!!

    エレン『うぐっっ!』

    腰のあたりに命中した。

    アルミン『完全にエレンを殺りにきてる・・・』

    動きを止めて確実に殺すつもりらしい。

    しかし次の弾はなかなか来ない。

    というのも弾切れらしく、込めるのに時間がかかっているようだ。

    その隙に再び白星を撃つ。

    サシャ達のいる地面に向けて放った。

    弾を込めていることを考えると弾くのは不可能だろう。

    コニー『うおっ!』

    見込み通り白星は地面に着弾し、光を放った。
  128. 374 : : 2014/09/28(日) 00:38:27
    しかしそこから想定外の出来事が起きた。

    聞いたこともないような大きな足音が聞こえ始めたのだ。

    アルミン『!?』

    アニ『何・・・?』

    バキバキと何かを壊しながらまっすぐこちらへ向かってくる。

    視力が回復したであろうサシャ達も辺りを見回して警戒する。

    すると側にいたコニーが突然姿を消した。

    サシャ『コニー!?』

    上空の方でクチャクチャという不快な音が聞こえてきた。

    四人はほぼ同時に素早く顔を上げる。

    そこにいたのは

    アルミン『きょ・・・!』

    アニサシャ『『巨人・・・・!』』

    発光弾の光で周りは昼のような明るさだ。

    そのはたらきで巨大な手で摘まれているコニーの身体も確認できた。

    頭を持たれており、ジタバタと暴れている。

    が、指に力が入りパキッと小さい音がなったかと思うと何度か痙攣したようにピクピク動いてついには動かなくなった。

    アニ『うっ・・・!』

    血と共にドロッとした何かが地面に滴り落ちる。

    潰された箇所を考えればそれが何なのかは簡単に理解できるが。

    エレン『うわ・・・』

    終いには口をモゴモゴと動かし、器用に頭蓋だけを吐き出した。

    ものすごい勢いでそれは地面にぶつかり、原型はとどめてはいない。

    全体が巨人の唾液まみれでところどころ溶け、表情は読み取れない。

    が、穴という穴から色々なモノが垂れ流しになっている。

    それを見て満足したように笑みを浮かべた顔をこちらに向けた。

    張り付いたような笑顔は自身の身体を震わせる。

    しかし



    サシャ『よくもコニーを・・・!』

    サシャにはエレン達が見えていなかった。

    アルミンはエレンを背負うとまたとおくへ離れる。

    それにアニも従った。


  129. 375 : : 2014/09/28(日) 05:56:46
    その後何発か銃声がしたかと思ったが一度爆発音が響くとそれは止んだ。

    先ほどの場所からはだいぶ離れたはずだが銃声が止んでしばらくするとこちらへまた足音が向かってくる。

    目測だがおよそ10メートルの巨体だ。

    視点が高いため、少し離れた程度ではすぐ見つかってしまうのだろう。

    アルミン『こっちだ!』

    アルミンはとりあえずそばにあった地下道へと入り込む。

    すぐさま追いつかれるが、普通の人2人が並んで一杯になるような通路だ。

    巨人が入るのは到底不可能である。

    案の定巨大な手が入り口から捕まえようと入ってくるが最初の曲がり角でそれ以上進まない。

    しかし諦めたのか手を引っ込める・・のではなくそのまま上に引き上げ天井を破壊した。

    アニ『なんて滅茶苦茶な・・・!』

    さらに、立ち上がったかと思うと突然前の天井から巨大な足が落ちてきた。

    アルミン『天井を・・・踏み抜いた・・・!』

    適当にやっているのか前の方をどんどん踏み抜いていく。

    腕を無理やり天井を壊しながら引き上げたせいで瓦礫で通路が埋もれ引き返すこともできず、逃げ道は無い。

    前の方へならまだ進めそうで、道の分岐もある。

    逃げ切れるとしたら進むしかないだろう。
  130. 376 : : 2014/09/28(日) 10:23:05
    その間にも足は天井を砕き、此処に留まっていてはいずれ潰されてしまうだろう。

    エレンを背負いながらも持てる力すべてを使って瓦礫を越え、駆けていく。

    少し進むと2つの道があった。

    巨人は人間ほど高い知能は持ち合わせていないはずだ。

    近い方の通路を潰しにかかると考え、巨人から見て奥になる通路を選び進んでいく。

    狙い通りドカンドカンと瓦礫を作り出す爆発音は遠くへ離れていった。

    ーーー

    ーー



    どのくらい走ったのだろうか。

    ペースは最初に比べると極端に落ちている。

    しかし小さい足音は聞こえこそするが、かなり遠くの方へいったようだ。

    運動ができないアルミンにしては相当頑張った方だ。

    背中のエレンもぐったりしてはいるが意識は保っている。

    アニ『!出口・・・!』

    アルミン『やった・・・!』

    再びペースを上げる。

    久々の地上だ。
  131. 377 : : 2014/09/28(日) 10:35:23
    階段を駆け上がり、外へ出る。

    が、

    アルミン『しまった・・・』

    アニ『あ・・・』

    どうやら時間がかかりすぎたらしい。

    つまり・・

    アルミン『もう陽が昇ってる・・・』

    さらに登ってくるのを待っていたかのように出口のまわりには大量の人喰い。

    アルミン『分かりやすく絶体絶命だね・・・』

    加えて

    『ヴォォォオオオオオオオオ!!』

    遠方から咆哮が聞こえたかと思うと足音が近づいてくる。

    広い広場のようになっているこの場所は高所からも見えやすくなっていたのだろうか。

    わずかに人喰いたちもそれに反応するがすぐさまこちらに向き直る。

    ジリジリと距離を詰めてきた。

    数にして数百人だ。逃げることは不可能。

    ー死ぬ。

    アニ『くっ・・・!』

    アルミン『ちくしょう・・・!』

    カチッ

    エレン『・・・アルミン、アニ 耳、塞げ』

    アルミン『え?』

    アニ『・・・?』

    腰から出してきた何かを人喰い達に向ける。

    それが何なのかを理解した二人はすぐに耳を塞いだ。

    エレンも腕全体で耳を覆い込み、構えている方の腕でもう一方の耳を覆ってそれを撃った。

    白星、黒星と一緒に置いてあった弾。

    音響弾だ。

    キィィィィイイイイインッッ!!!
  132. 378 : : 2014/10/03(金) 23:43:16
    耳をつんざくような甲高い音が町中に響き渡る。

    あまりの音量に驚いたのか、それともその音が弱点なのかは分からないが人喰い達は動きを完全に止める。

    エレン『今だ・・!』

    そうしてアルミン達は再び動きだし、包囲網を突破した。

    しかし、巨人には音は聞こえていないようで歩みを止めない。

    アニ『アイツには効かないの・・・!?』

    アルミン『元人間、とかじゃないから、聴覚がもともと無いのかも・・・』

    エレン『・・・降ろしてくれ』

    アニ『エレン!』

    エレン『俺が降りりゃ意識を俺に集中させれんだろ・・・』

    アルミン『そんな勝手な真似、させられるわけ、ないだろ・・・!』

    エレン『人1人背負って逃げられるような奴じゃねえだろ』

    そうこうしているうちに巨人はすぐ後ろにまで迫ってしまった。

    腕を目一杯伸ばせば届いてしまいそうだ。

    現に一度横に腕を振られ、危うく叩かれそうになった。

    エレン『早く!』

    それでもアルミンはエレンを降ろそうとはしなかった。

    絶対に降ろされないと判断したエレンはアルミンの背中を蹴り飛ばし、

    地面に転がった。

    アルミン『バカっ・・・!』

    アニ『エレン!!』

    エレンの狙い通り巨人はエレンに狙いを定め、歩みを止め腕を伸ばす。

    まともに動けないエレンはあっけなくその手に捕まり、口へと運ばれた。

    アルミン『ああ・・・』

    アニ『そんな・・・嫌だよ・・・こんなの・・!』

    握る力が強いせいで身体のあちこちからボキボキと音がなる。

    苦痛で顔が歪むのは言うまでもない。

    今にも口に入る。その時、





    ーーエレンを握る巨人の指が全て空を飛んだ。
  133. 379 : : 2014/10/03(金) 23:53:28
    突然圧力から解放されたが其処は地上10メートル。

    重力に従って地面へと身体が吸い込まれるが、空中で蒸気音にキャッチされる。

    それでもスピードはあまり落ちず、怪我をしている者への配慮はほとんどなかった。

    やや乱暴に地面へ送られ、その時の衝撃で意識が飛びそうになる。

    エレン『ううっ!』

    その時には蒸気音は既に再び上空へと舞っていた。

    後ろから首筋の方へワイヤーのようなモノを撃ち込み、急激に加速して巨人に接近する。

    アルミン『人間・・・!?』

    どうやら空を飛んでいるのは人間のようだ。

    にわかには信じられないが。

    巨人もただでは接近を許そうとはせず、手を後ろへ闇雲に振る。

    しかし既に振り回しても無駄なほどの距離にまで接近したその人はギラリと光る二本のブレードを構え、

    うなじの部分を削ぎ落とした。

    地上の三人はそれをぼーっと見ていることしかできなかった。

    『ふう・・・』

    壁にアンカーを刺してその人物が地面へと戻ってくる。

    エレン『あ・・・』

    アニ『ア・・・!』

    アルミン『ぼ、僕!?』
  134. 381 : : 2014/10/10(金) 20:10:55
    アルミン(コピー)『まだここにいたの?』

    そう言ってこちらを一瞥すると、エレンに視点を合わせる。

    アルミン(コピー)『・・・人間にやられたね』

    すると懐をごそごそと探り、小瓶を取り出した。

    中に入っているのは白い粉。

    それが何なのかはスグに分かった。

    アルミン『それって・・・!』

    アルミン(コピー)『もちろん全ての元凶の粉だよ』

    アニ『そんなもの使ったらエレンもあいつらみたいになるんでしょ!?』

    アルミン(コピー)『そうだね』

    アニ『そんなの・・・!』

    アルミン(コピー)『だからエレン、君に選ばせるよ』

    エレン『・・・』

    アルミン(コピー)『満足な治療は出来てない以上、これからは衰弱していくだけだ』

    アルミン『道端でゴミのように死ぬか、王政府に一泡吹かせて死ぬか、どうする?』

    目の前に小瓶をちらつかせ問いかける。

    エレン『・・・使わせてくれ』

    アルミン『!』

    アニ『エレン!?』

    エレン『死んだ理由が友達だった奴らなんて、それこそ奴らの旨い話になるだけだ』

    エレン『そんなのは御免だね・・・』

    アルミン(コピー)『分かった』

    そうして傷口に粉をサラサラとかけていく。

    すぐにモワモワと煙が上がり、傷口には瘡蓋のようなものが形成されていった。

    1分もかからずに傷の修復が完了するとエレンは立ち上がった。

    アニ『大丈夫・・・なの?』

    傷があったところを抓ったり圧迫したりして確かめる。

    エレン『・・・バッチリだ!』

    エレン『行くぞ!』

    アルミン『・・うん!』

    アニ『無理はしないでよ・・・?』

    アルミン(コピー)『僕はあのソバカスを殺してくるよ』

    アニ『!・・・ユミルのこと?』

    アルミン(コピー)『そうだよ じゃ、気をつけてね エレンに』

    アルミン『エレンに・・・?』
  135. 382 : : 2014/10/21(火) 18:17:31
    身体が元に戻ったエレンは今まで以上に良く動けていた。

    ドーピングの効果もあるのだろうか。

    とにかく今は何も問題なさそうだ。

    だが・・・

    アニ『アレを使って大丈夫なワケないでしょ・・・』

    アニは気が気でないようだ。

    エレンは巨人の治癒能力によって身体を回復しているに過ぎない。

    身体への負担は当然大きいだろう。

    治癒を続ければきっと壊れてしまう。

    つまり、これ以上怪我をさせるわけにはいかないのだ。

    王政府まであと・・・50キロ程だろうか。


  136. 383 : : 2014/10/23(木) 22:51:05
    食料ももうほとんど残ってない。

    しかしあと1日あれば十分にたどり着ける距離だ。

    しかし登り坂に差し掛かり、中央部まで続いている。

    アルミン『しかしあの僕は・・・』

    アニ『さっきのコピーのこと、だよね』

    アルミン『うん』

    アルミン『何だろう・・・ぼくなんだろうけど・・・』

    アルミン『肝が座ってたというか、怖いくらい冷静だったよね・・・』

    アニ『・・・うん』

    アルミン『それにあの巨人を倒してた

    エレン『おい!また奴らきてるぞ!』

    エレンの声でとっさに振り向くと遠くからいくつか影が登ってきていた。

    アルミン『はあ・・・はあ・・・!』

    アルミンはばて始めており、足がまともに動かない。

    アニ『頑張ってアルミン!』

    アルミン『言われ、なくても、必死・・・!』

    するとアルミンの方へ向かう影が。

    アルミン『ば、バカッ!!』

    アニ『エ・・・』

    アニアル『『エレン!!』』

    先頭を走って来る者に突進していく。

    狙われた喰人もエレンに向かいスピードを上げていく。

    が、当然向こうは坂を登るわけで速度は大したことない。

    エレンはフェイントで身体を揺らし、反対方向へ回り込むと、腕を思い切り振りかぶり、


    敵の首を殴りつけた。


    あっさりとソイツの首は血飛沫と肉片を撒き散らし坂の下の方へと弾け飛ぶ。

    後続の敵の集団に当たり、そいつらをよろめかせることにも成功した。

    エレン『・・・クヒッ』

    それでもまだ首が飛んだ喰人の胴体の方は動いている。

    どころか首の部分から蒸気を出し、再生しようとしていた。

    足を掛けて転ばせるとうなじの部分を踏み潰す。

    すると完全にソイツは動かなくなった。
  137. 384 : : 2014/10/23(木) 23:02:08
    後続の敵に向けて黒星を撃ち込み、再びアルミン達に合流する。

    アニ『無茶するなって言ったでしょ!!』

    合流して第一声がこれ。

    エレン『・・・いいだろ殺せたんだし』

    アニ『だけど!』

    エレン『奴らやっぱりうなじが弱点なんだな』

    アルミン『・・・どうしてそんなことが?』

    エレン『アルミンのコピーがデカブツ倒すとき見てたからな』

    エレン『削ぎ落とさなくてもグチャグチャに潰してやればあいつらは殺

    アニ『エレン!!』

    エレン『・・・何だよ』

    アニはエレンの前に立つと腕を上げて・・・

    そのまま下ろした。

    アニ『エレンは、エレンだから・・・』


    アニ『絶対あいつらと一緒になんかさせないから・・・!』

    エレン『・・・悪かった』

    エレン『でもアルミンを放っておけなかったんだ』


    アルミン『ゴメン・・僕が足引っ張ったから』

    エレン『気にすんな・・・いざとなったら追っかけてきた奴らを皆殺しに・・』

    エレン『・・・!』

    アニの怯えるような視線に気づく。

    そして自分も自分が怖くなった。

    今は違えど元は人間だった者を殺したのだ。

    それによって快感すら芽生えつつあった。

    ー自分は、巨人に近づいている。
  138. 385 : : 2014/10/23(木) 23:13:31
    ふと自分の腕を見る。

    血管は浮き出て、筋肉もどうやらいつもより一回り付いている気がする。

    アニを、アルミンを護りたい。

    そしてその意思の下、奥深くにはまた別の意思があった。

    ー殺したい。

    ー奴らを、殺シタイ。

    ーミナゴロシ。

    あの粉の効力の強さ、時間は未知数だ。

    粉にいつ自分が呑まれてしまうかもわからない。

    ーいつまで自分は人間でいられるのだろうか。

    アルミン『エレン・・・?』

    エレン『!』

    エレン『い、行くぞ・・・』

    エレン『・・・アニ、その、今は大丈夫だから』

    エレン『その・・・ゴメンな』

    アニ『・・・お願い、だから』

    アニ『エレンまで遠くに行ったりしないでよ・・・』

    エレン『・・・ああ』

    ドクン・・・。

    エレン『・・・行かねえさ』

    そうして再び進み出す。

    そこで忘れかけていた欲求が目を覚ました。

    それもかつてないほどの、だ。

    エレン『(腹、減っタナ・・・)』
  139. 386 : : 2014/10/31(金) 19:58:56
    うっすらと見えている大きな建造物。

    高い場所にそびえ立つそれは壁の中の中枢にふさわしい姿だ。

    いや、姿だったと言った方が正しいだろうか。

    遠目でははっきりとはわからないが、まだエレンたちが普通の高校生として生活を送れていた頃、

    その頃のニュースで見た時の姿と比べて壁は汚れ、まわりの花、植物は枯れ果てている。

    ーー王政府

    ???『・・・外が騒がしい』

    ???『あの者たちがすぐそこに近づいているようですな』

    ???『どうされますか?』

    ???『エレン・イェーガーを確認できたら入れろ』

    ???『・・・一つよろしいですかな?』

    ???『・・・何?』

    ???『なぜ貴方はそこまでエレン・イェーガーに固執を

    ???『黙れ』

    ???『貴様は私の為に尽くしていれば良いのだ』

    ???『代わりならいくらでも効くからな 何なら今すぐ貴様を殺してやってもいいんだぞ』

    ???『・・・ご無礼をお許しください』

    ???『まあ良い 早急に確認しろ




    グリシャよ』
  140. 387 : : 2014/10/31(金) 20:17:10
    ーーエレン一行

    エレンが反撃してからは一行は逃げ続けていた。

    坂道を登り続けている。

    足は張り、一度停まってしまえばもう走れないだろう。

    それでも限界を超えて走る。

    走り続ける。

    エレンだけは余裕なのか、時折アニとアルミンを励ましていた。

    奴らは執拗なまでに追いかけてくる。

    太陽はやや西へと傾いてはいるがまだまだ高い位置で地面を照らしている。

    この明るさでは白星を撃っても注意はひきつけられない。

    水分など取れるはずもなく、食料もないと同然。

    加え休息をずっとまともにとっていないのだ。

    人間の三大欲求を全て満たせていない。

    パフォーマンスは当然低下し、普段の自分たちが早歩きする程度のスピードしか出ていない気がする。

    向こうが疲弊知らずだったらと考える余裕もない。

    エレンも疲れたのか途中から言葉をかけて来ない。

    とにかく逃げ続けた。


    ーーー

    ーー



    最後の黒星を大衆に放つ。

    心なしかだんだん数が増えている気がする。

    巻き込まれたら少しずつ肉を千切られ、骨までしゃぶり尽くされるのだろう。

    アルミン『はあ・・・ァア・・・』

    アニ『ハア・・・ッ!ハアッ・・・!』

    エレン『ヴウヴヴ・・・!』

    突然恐ろしい声を上げ始めるエレン。

    アニ『エ、エレン・・・!』

    エレン『ク・・・ウウグヴッでヤァる・・・!』

    エレン『いっビギィ・・残らズ・・・』

    そして弾かれたように逆走を再び始めた。
  141. 388 : : 2014/10/31(金) 20:28:21
    アニとアルミンは振り向く力すら残っていなかった。

    エレンを信じ、進み続ける。

    声をかけることもできない。

    気にかけてもやれない。

    何よりエレンが巨人のようになっていくのを見ていることしかできない。

    悔しさのあまりアニの目には涙がたまっていた。

    アルミン『ハア・・・ハア・・・』

    それを見たアルミンは残り僅かな力を振り絞り、少しだけ先を行くアニに追いつく。

    そして、声をかけた。

    アルミン『エレンなら、必ず、戻ってくる、さ・・・!』

    アニ『・・・!』

    アルミン『だから、信じよう、よ』

    アルミン『だから今は、エレンを、君の恋人を、僕の親友を、信じる、僕を信じてくれ・・・!』

    アニ『・・・分かっ、た・・!』

    いくら芯が強くても女の子だ。

    今までだって相当ムリをしていたはずだ。

    それでも曲がることなくエレンを守ってきた。

    彼を想う気持ちはきっと彼自身が一番知っているだろう。

    また会える。

    いや

    必ず、また会う。
  142. 389 : : 2014/10/31(金) 20:42:56
    しかし無理も祟って足がもつれる。

    まるで肺が焼け爛れているような感覚だ。

    横腹には突き刺すような痛みがある。

    何より絶望感が身体を地面に縛り付ける。

    ーもうダメだー

    アニもアルミンが転んだことでその場で止まってしまう。

    そして崩れ落ちるように膝が曲がり、地面に座り込んでしまう。

    このまま追いつかれて食べられてしまう。

    すぐそこに目的地が見えているのに、手が届かなかった。

    ーエレンは、どうなってしまったのだろうか。

    知能が残っており、弱点を知っている分奴等一体一体よりは強いだろう。

    それでも数の力というのは大きい。

    恐る恐る振り向くとアルミンは思わず目を見張った。

    大衆の中で、大量の血液が飛び続けている。

    そして上がる蒸気の量は尋常ではない。

    熱の働きもあって周辺には陽炎が立っている。

    その煙の中、暴れまわるように動く一つの影。

    この世のものとは思えない叫び声を上げ、腕を、足を、頭を振るう。

    エレン『グォォオアアアアアアア!!』

    あちこちに肉片や血が飛び散り、地面や建物の壁を赤く染めていく。

    その光景を黙って見ているしかなかった。

    ーまた逃げ始めねば。

    エレンが自我を失って、または興味が目の前の敵から逸れ、自分達に向いたら一巻の終わりだ。

    脳は警告を続けているが身体はついていかなかった。

    その中であることに気づく。

    敵の数が・・・少しではあるが減っているようなのだ。
  143. 390 : : 2014/11/02(日) 22:44:49
    アルミン『(あれ程の数を・・・?)』

    もうもうと上がる蒸気の中、己も煙を出しながら歪んだ笑みを浮かべるエレン。

    今までに見たことがない。

    自我はもう無いかもしれない。

    そう思えるほど欲望のままに動いている。

    アルミンの恐怖はエレンにも向き始めた。

    奴らから感じる狂気、それに対する恐怖


    それと全く同じ恐怖をエレンに感じていたのだ。

    アルミンのボロボロの身体を動かす原動力としてはその恐怖心は十分すぎるほどだった。

    アルミン『アニ!!』

    しばらく座って休んだおかげか身体は思っていたほどノロノロとは動かなかった。

    アニ『!』

    呼びかけの声に肩をビクッと揺らす。

    アルミン『もう動ける?早くここから逃げるんだ!』

    アニ『で、でもエレンが・・・!』

    アルミン『いいから逃げるんだ!』

    アニ『さ、三人揃って王政府に一矢報いるって約束したでしょ!!』

    普段のアニからは想像できないほどの声で反論する。

    確かに約束した。

    しかし

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

    『アルミン、アニ達の為なら俺は・・・』

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

    ギリッ

    アルミン『エレンが一番望んでくれてたのは王政府への仕返しなんかじゃない』

    言ってはいけない。

    アニ『なにを・・・』

    アルミン『聞いてただろ?・・・エレンは僕たちの為なら命は惜しくないと言った』

    言ったらアニを傷つけてしまう。

    アニ『止めて・・・』

    アルミン『今の彼は死を恐れてない だから奴らを食い止めることができているんだ』

    ダメだ、止めろ。

    これ以上言ってはエレンの言ってくれた事を都合よく解釈することになってしまう。

    アニ『それは!』

    でも、彼は何よりアニを大切にしていたんだ。

    彼を護れない、護ってあげられないのなら彼の大切なものを護らなくてはならない。

    それが・・・親友としての務めだ。

    アルミン『アニ!!!』

    アニ『!!』ビクッ

    それを護る為なら、憎まれ役にだって進んでなってやる。

    ー許してくれ、アニ。

    アルミン『もうエレンは・・・人じゃないんだよ』

    アニ『・・!』

    アルミン『奴らと同じだ もう戻っては来てくれない』

    プルプルと拳が震えている。

    アルミン『彼の為にも僕たちにできることは、王政府に刃を突き刺すことだ』

    キッとこちらを睨みつける目には涙が浮かんでいる。

    いつだったかエレンに女の子を泣かせるなんて最低だとか言ったっけ。

    人のこと言えないな・・・

    そんなことを思いながらも、もう止められない。

    ー止まるわけにはいかない。

    アルミン『エレン・イェーガーは・・・もう死んだ』
  144. 391 : : 2014/11/02(日) 23:31:58
    その言葉を聞いて、怒りと悔しさのあまり手を振り上げる。

    その時突然エレンのいる方から轟音が聞こえた。

    先ほどまで通りに面して立っていた建物がなくなり、瓦礫が山のように積みあがっている。

    奴らの蒸気とは違う、土ほこりが舞っていた。


    アニ『・・・!』

    その後もいくつもの建物をその手、足で崩壊させて大規模なバリケードを作り上げる。

    その後走り寄ってくる1人の影。

    エレン『・・・聞こえテタぞ アルミン』

    身体からは絶えず蒸気が噴き出し、傷を覆っていく。

    しかしエレンの表情に怒りは無かった。

    アニ『エレン・・!』

    よろよろとエレンに近づくアニ。

    それをアルミンは止めた。

    アニ『何を・・・!』

    エレン『それでいい』

    アニ『!』

    エレン『分かるだろ?アニ 俺はもう人には戻れない』

    エレン『ギリギリの状態なんだよ』

    アニ『そんなの・・・だって今は!』

    エレン『今だって俺は殺したイ・・・いや、

    肉が・・・喰イタイんだよ』

    エレン『一緒にいたら、お前らラを・・・喰っちまいそうだ・・・』

    アニはハッと口を手で覆う。

    そして涙が頬を伝い、地面に落ちた。

    エレン『ダカラ、今のうちに言っとく、ぞ』

    後ろの瓦礫は崩れ始めている。あの数では数分留めるので精一杯のようだ。

    エレン『お前ら二会えて・・・護ってモラエテ・・・』

    エレン『本トウに・・ヨカッダ』

    エレン『ダカラ・・・必ズ・・・』

    そう言うエレンは曇り一つない笑みを浮かべて

    エレン『王政府に3発かましてくれよ』

    そして自分の口の中を強く噛みながらアルミンとアニの元へ向かい、服を掴むと二人を坂の上まで優しく投げた。

    その後すぐに近くの建物に走り寄って

    アニ『ダメ・・・ダメだよ・・・』

    アニ『止めてっっ!!!』

    再び坂を駆け下りようとするアニ。

    ガラガラっ!!

    それを建物だった瓦礫が妨げた。

    先ほど作ったバリケードなどよりも高く、重く積み重なった瓦礫。

    それはもう"壁"といったほうがふさわしい程の防御板だった。


    アニ『待ってよ!まだ私は何も返せてない!!』

    その壁を壊すことなど不可能だとわかっていながらその壁を叩く。

    アニ『苦しみを共有するのが恋人なんでしょう!?』

    アニ『エレンばっかり背負って、私は何もしてあげられてないでしよ!!』

    アニ『お願い・・・いかないでよ・・・』

    アニ『置いて・・・いかないで・・・』

    アニ『エレンにまで置いていかれたら・・・私は・・・』

    壁の向こうからは何も聞こえない。

    何かが崩れた音がすると奇声が上がる。

    恐らくバリケードが破られてしまったのだろう。

    するとギリギリ聞こえるような声が聞こえてきた。

    ー約束だぞー
  145. 392 : : 2014/11/06(木) 17:36:29
    ー王政府

    すぐ近くの轟音に図らずも一瞬ビクついた自分を忌々しく思いながらその男は問いかけた。

    ???『・・・なんの音だ』

    薄汚れている窓の外を眺めると近くでは巨大な土埃が舞っている。

    そして瓦礫の山。



    グリシャ『・・・クローン達を食い止める為に建物を破壊しバリケードにしたものと思われます』

    ???『建物を?』

    声に少しだけ驚きの感情が籠っている。

    グリシャ『この場所からすぐのところに2人、見えますな』

    ???『では1人でその所業を成したというのか』

    ???『いや、彼奴らにそんな力はない ただの人間だぞ』

    グリシャ『例の粉を使い身体能力を底上げしたのではないかと』

    グリシャ『加えここから見えるのは金髪のみ』

    グリシャ『・・・食い止めたのはエレン・イェーガーと思われます』

    ???『・・・そうか』

    ???『ア・・・いや、奴らがここに辿り着くまであとどのくらいだ』

    グリシャ『すぐ来ます』

    ???『なら門を開けて迎え入れよ』

    グリシャ『・・・御意』
  146. 393 : : 2014/11/09(日) 10:37:41
    ーーー

    ーー



    エレンと別れてから王政府の門まではさほど時間はかからなかった。

    門はつい先ほど開けられたのか所々でまだギシギシと音が鳴っている。


    アルミン『ようやく・・・』

    アニ『ハア・・ハア・・・ッ!』


    二人ともそのまま座り込んでしまいそうな自分の膝を叩き、前へと進む。

    エレンがいないのはもう知られているだろう。

    にもかかわらず何故門が開いているのか。

    何故迎えてくれるのか。

    そんな疑問を思う余裕はもう無かった。

    吸い込まれるようにして門をくぐる。

    中枢へと導かれるように開けられた通路をよろよろと進んでいった。

    ーーー

    ーー



    グリシャ『2名、入りました』

    ???『分かった』

    グリシャ『・・・これで良かったのですか?』

    ???『・・・何を今更 もう後になど引けない』

    ???『全て創りなおす その為の技術だろう』

    グリシャ『その事ではありません』

    ???『・・・何が言いたい?』

    グリシャ『貴方は今ここに来る2人が誰なのかご存

    その声は扉が開く音で掻き消された。

    そして転がり込むように入る人間。

    息も絶え絶えだ。

    膝をつき、下を向いて肩を上下させており顔は確認できない。

    しかしボサボサの金髪2人だ。先ほど確認した2人とみて間違いない。

    グリシャ『とうとう・・・』
  147. 394 : : 2014/11/09(日) 10:51:24
    アルミン『つ・・・着いた・・・』

    アニ『ここが・・・!』

    顔を上げると2人分の影。

    あの化け物たちとは違い、しっかりと立って、今の外の状況、アニとアルミンの状態からは考えられないほど綺麗な格好だ。

    そして周りには巨大な機械、巨大なカプセル、モニターがいくつか並んでいる。

    モニターにも大量の巨大な試験管のようなものが数えられないほど並んでいる場所が映っている

    アルミン『これ・・・は・・・』

    ???『よくも壁の端からここまできたものだ・・・』

    アルミン『・・・!?』

    聞き覚えのある声がする。

    なぜこんなところでそんな声が聞こえるのだろうか。

    アニの方を見るとやはり少し驚いた表情をしている。

    アルミン『そんな・・・どうして・・』

    アニ『どうして・・・先生が・・・!』

    エルヴィン『久しぶりだな アニ・レオンハート、アルミン・アルレルト』

    アルミン『どうして先生がここに・・・?』

    エルヴィンの後ろにはこれまた見覚えのある顔だ。

    アルミン『エ、エレンのお父さん・・!』

    アルミンもアニも数回しか見たことがない顔だが、頭の片隅には残っていた。

    アルミン『てことは・・・ここには大人がみんないるのか!?』

    アニ『・・・!』

    エルヴィン『残念だがそうじゃない』


    淡い希望のこもった疑問は無情にも砕かれる。

    エルヴィン『この男はクローンだ』

    アルミン『・・・!』

    エルヴィン『私の計画には此奴のオリジナルの頭脳が必要だったのでね』

    それから彼は語り出した。
  148. 395 : : 2014/11/09(日) 11:08:52
    アルミン『計画・・・?』

    エルヴィン『そうだ どうせ皆入れ替わるのだ 話してやろう』

    エルヴィン『私はこの世界を全てやり直すべくこの計画を立てた』

    アルミン『世界を・・・やり直す?』

    エルヴィン『多くの者が生物界のタブーとして触れようともしなかった禁忌の研究 クローン』

    エルヴィン『それを完成させるべく私はこの壁の中のエリートを集った』

    エルヴィン『死者の蘇生を完全なものにする、という名目でね』

    エルヴィン『もともと研究は進んでいたのだが決め手に欠けていた』

    エルヴィン『そこで巨人の食欲を人工的に封じ込め、研究を重ねた』

    エルヴィン『その末人体の一部から完全な肉体まで形成させることが可能になったのだ』

    アニ『あの粉・・・!』

    エルヴィン『そして優秀な科学者共が解決し、脳バンクとの連携で記憶回路の復元も可能になった』

    エルヴィン『遺伝子情報の回収もその優秀な部下達から行い、法まで制定、施行させた』

    エルヴィン『これで口実は完成だ』

    アルミン『・・・』

    エルヴィン『しかしまだ本当の目的は完遂出来ていない』

    エルヴィン『その第一歩が現段階で存在する人類の殲滅だ』

    アニ『!?』

    エルヴィン『これが出来なければ研究などすべて無意味だ』
  149. 396 : : 2014/11/09(日) 11:41:23
    エルヴィン『研究の指揮をとっていた者が死んだのだ』

    アルミン『それって確か・・・』

    エルヴィン『公には事故だとなっているがお前達もあのニュース映像を見ただろう』

    エルヴィン『あれは殺されたのではない』

    アルミン『・・・?』

    エルヴィン『巨人の食欲を抑えるのに用いた薬品』

    エルヴィン『それに耐性がついたのか被験体の巨人に効かなくなりつつあった』

    エルヴィン『薬品と拘束具の一部が弾け飛んでその研究者を負傷させ、薬品が体内に入り込んだらしい』

    エルヴィン『被験体はその後大人しくなったがその薬品の所為か、もしくは恐怖心からか滅茶苦茶な文章を書いた後そこで息絶えたそうだ』

    エルヴィン『その後様子を見に行った者がそれをその場で報告したがその者は戻ってはこなかった』

    エルヴィン『その後何人か調査させたが誰も戻ってはこない』

    エルヴィン『その場に行ったものは必ず死ぬのではないか』

    エルヴィン『そう思って隔絶されていたその場所を遠隔操作で開放してみればその研究所は完全に壊滅した』

    エルヴィン『確信したよ これは使えると』

    アルミン『つまり・・・研究所を開放したら・・・』

    エルヴィン『今回の事態が起こったわけだ』

    エルヴィン『異常な程の凶暴化、そして人に対する食欲』

    エルヴィン『加え治癒能力の粉の元があるのだ』

    アルミン『しばらく前にあの被験体の巨人が街中に出てきたのは・・・』

    エルヴィン『あの巨人の体内にはたまりにたまった食欲封じの薬品が入っていたいわば"歩く感染源"』

    エルヴィン『いざという時始末するための体内の爆弾を爆発させたら狙い通りばら撒いてくれたよ』

    アニ『・・・ッ!!』

    エルヴィン『アレは感染者に接触することで感染する』

    エルヴィン『"死なぬ奴隷"となった奴らは人を襲い、数を増やし、壁の中全体を覆い尽くした』

    エルヴィン『完璧だと思っていたがそれに抗う者も居た』

    エルヴィン『大半は数の力に負け、ここまで生き残ったのはお前達だけだ』

    アルミン『・・・一つ、聞いてもいいですか?』

    エルヴィン『なんだ?』

    アルミン『貴方の目的は人類を一度滅ぼすこと』

    アルミン『幾度となく僕たちを殺そうとしてきたのにどうして此処にはあっさり入れたんですか・・?』
  150. 397 : : 2014/11/09(日) 20:07:10
    エルヴィン『可能性を、感じたからだ』

    アルミン『可能性・・・?』

    エルヴィン『学校が始まってからすぐの宿題のレポートだ』

    アニ『・・・!』

    そうだ。

    あの時自分たちは今回の粉について取り扱った。

    エルヴィン『それに書かれていた考察が目を惹いた』

    エルヴィン『しかし同じようなことを3人、書いていたのだ』

    アルミン『(確かあの時は3人で協力して宿題をしたっけ・・・)』

    エルヴィン『だからその中の一人、エレン・イェーガーを狙わせた』

    アニ『・・・どうしてエレンだったんですか』

    アニの拳はふるふると震えている。

    エルヴィン『お前たちの3人なら誰でも良かった』

    エルヴィン『今回のような事態を危惧する内容だったからな』

    エルヴィン『その考えに達した者たちは危険であるが意見も参考になるだろうと思った 』

    エルヴィン『ただそれだけだ ここまでたどり着けないのならそれはそれで構わない』

    エルヴィン『たどり着けたのなら少々意見を聞いてみようと思ってね』

    アルミン『どうも何も・・・』

    アニ『・・・ふざけないでよ』
  151. 398 : : 2014/11/09(日) 20:23:53
    アニ『意見を聞いてみようと思った・・・?』

    アニ『世界をやり直す・・・?』

    アニ『そんな絵空事の実現のために皆は・・・エレンは死んだっていうの・・?』

    アルミン『・・・とりあえず落ち着いて

    アニ『友達も、家族も、大事な人も普通の生活も失って、それが目の前の男のせいで・・』

    アニ『それで落ち着けだって・・!?無理に決まってるでしょ・・・!』

    アルミン『アニ・・・』

    その言葉を聞いて、必死に抑え込んでいた目の前の男に対する憎悪が増す。

    それでも拳を握りしめ、必死に耐える。

    エルヴィンを見るが、彼は何も表情を変えはしない。

    後ろのエレンの父親のクローンは横の方を向いてしまっている。

    アルミン『・・・どう思うも何も、まず貴方は何者なんですか』

    アルミン『壁の外側の高校の一教師がここまで政府を動かせるわけがない』

    アルミン『資金だって莫大なハズ・・・』

    エルヴィン『私が聞いているのは今回の計画についてだ そんな事はどうでもいい』

    アルミン『・・・どうも何も、貴方の計画には欠陥があると思います』

    エルヴィン『ほう』

    アルミン『人類が完全に滅亡したとしても壁の中は酷い状態だ』

    アルミン『それをどうするつもりですか』

    エルヴィン『簡単なことさ 全てクローンに始末をさせる』

    エルヴィン『変えは幾らでも効くからな
    何が起ころうと反抗心の欠片もない奴隷を使えばいい』

    アルミン『という事はハナから記憶を戻してやろうとは思っていないんですね・・・?』

    エルヴィン『必要ないがクローンでも身体を動かす命令を出す脳は不可欠だ』

    エルヴィン『命令を出す中枢があれば記憶など必要無い』

    アルミン『それでも全くオリジナルと同じ人間・・・いや、クローンを作ることはできるんですよね』

    エルヴィン『無論だ 作る機会など無いがな』
  152. 399 : : 2014/11/09(日) 20:34:51
    アニ『・・・どうして世界をやり直すなんて馬鹿げたことを

    エルヴィン『馬鹿げた?』

    初めてエルヴィンは表情を変える。

    エルヴィン『この計画が馬鹿げていると?』

    アニ『・・・』

    お互い睨み合う。

    エルヴィン『この世界は腐っている』

    エルヴィン『犯罪が溢れかえり、非行の低年齢化』

    エルヴィン『若い者たちは時間があるのにそれを有効に使おうともしない』

    エルヴィン『技術は発展してもそれは中枢の愚かで、醜い貴族共の為だけに使われる』

    エルヴィン『これが許されていいのか?』

    エルヴィン『中枢のクズも壁の隅のクズも変わらん』

    エルヴィン『必要なのは少数の優秀な人間だけだ』

    エルヴィン『だからその者たちを集い、この事態を起こした』

    エルヴィン『私は今一度この世界を再生させる』

    エルヴィン『その為には今存在する人類は滅びなければならない!!』

    エルヴィン『完璧な人間達だけの世界・・・素晴らしいとは思わないかね?』

    アルミン『・・・』
  153. 400 : : 2014/11/09(日) 20:44:11
    エルヴィン『返す言葉もない、か』

    エルヴィン『ならお前たちももう必要ない』

    エルヴィン『有用な意見の一つも出ないとは・・期待外れだ』

    エルヴィン『やはりお前達もクズ達の一員だったということか』

    アルミン『最後に・・・一つお願いがあります』

    エルヴィン『・・・なんだ?』

    アルミン『誰でも、遺伝子情報を提出していれば蘇らせる・・・』

    アルミン『いや、クローンを作り出せるんですよね?』

    エルヴィン『無論』

    アルミン『なら・・・会わせてほしい人がいます』

    エルヴィン『・・・まあ最期だ クズの割には頑張った方だ』

    エルヴィン『言ってみろ』

    エルヴィン『家族か?それとも友達か?』

    エルヴィン『それともエレン・イェーガーか?』

    アルミン『友達です』

    エルヴィン『グリシャ、用意せよ』

    グリシャ『・・・よろしいのですか?』

    小さい声で尋ねる。

    エルヴィン『あやつらはその友人に殺されるのだ それも一興だろう』

    エルヴィン『で、名は?』

    アニ『・・・?』

    アルミン『ライナー・・・ライナー・ブラウン』
  154. 401 : : 2014/11/09(日) 21:05:35
    エルヴィン『あの金髪のガタイのいい奴か・・・』

    エルヴィン『しかし肉体の回収は

    グリシャ『こちらで肉体、脳共に回収しております』

    エルヴィン『・・・何故だ?』

    グリシャ『貴方は完全に世界をやり直すと仰った』

    グリシャ『であれば、彼も必要となるでしょう』

    グリシャ『頭ごと回収したので肉も脳も保管されています』

    アルミン『(ライナーが襲われた時に奴らが持って行ったのはライナーの頭蓋・・・!)』

    アニ『うっ・・・』

    エルヴィン『・・・まあ良い用意せよ』

    アルミン『(先生は・・・それを知らなかったのか?)』

    すると2人は機械の方へ向かい、少し見にくいところまで行った。

    アニ『人を・・・モノみたいに・・・』

    アルミン『どうなるかは分からないけど一矢報いれるかもしれない』

    アニ『え・・・?』

    アルミン『ライナー実は・・・』

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
    ライナー『どうにもならんかったからペットのを提出した』

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


    アニ『・・・てことは』

    アルミン『もしかしたら・・と思って』

    その時、赤いランプが点灯し、警告音が鳴る。

    アナウンス『警告 肉体と遺伝子情報が一致しません 正常に生成できない可能性があります』

    エルヴィン『・・どういうことだ』

    グリシャ『どうやら提出された遺伝子が本人のものでは無いようで』

    エルヴィン『・・・頭蓋の血液から遺伝子を回収しやり直せ』

    グリシャ『遺伝子の回収はここでは出来ませんな』

    エルヴィン『研究所から持ってきていないのか?』

    グリシャ『クローンを作るために必要なあらかじめ回収した遺伝子、肉体の一部しかありません』

    エルヴィン『・・・作成を中止しろ』

    グリシャ『・・・ハイ』

    カチッ



    アナウンス『クローン生成まで残り1分』

    エルヴィン『!?』
  155. 402 : : 2014/11/09(日) 21:21:14
    エルヴィン『どういうつもりだ?』

    グリシャ『・・・分からない』

    エルヴィン『何?』

    グリシャ『何が正しいのかがもう私には私には分からない』

    グリシャ『こんな小さな可能性に賭ける理由も・・・何もわからない』

    エルヴィン『・・・貴様もゴミか まあ良いどの道もう貴様も必要ない』

    アナウンス『まもなく生成完了 記憶回路の接続、復元に移行します』

    グリシャ『・・・彼らを助けることになる 貴方を、貴様を裏切る事になるのに』

    グリシャ『何故だか、とても清々しい気分だ』

    悪戯に成功したようにはにかみながら言う。

    それがエルヴィンの逆鱗に触れた。

    エルヴィン『貴様・・・!』

    懐の小銃を出し、グリシャに向ける。

    グリシャ『殺したいのなら殺すがいい』

    グリシャ『だが、もう誰も貴様の思い通りにはならんぞ 人間も・・・クローンもな』

    バリイン!!!

    突如機械の中央のガラスのカプセルが割れる。

    そして飛び出してきたのはライナーだった。

    アニ『ライナー・・・!』

    辺りを見回し、エルヴィンと目が合う。

    毛は逆立ち、爪は人間のそれとは比べ物にならないほど鋭い。

    グルルと口からはだらしなくヨダレを垂らしている。

    ー殺意。

    それを感じ取ったエルヴィンはライナーのクローンに小銃を構え直す。

    未だに動かず威嚇をするライナー。

    発砲されあっけなく眼球部分に銃弾が撃ち込まれる。

    エルヴィンは脳を狙ったようだが焦りから狙いがずれたようだ。

    わずかに怯んだ程度で向き直るとエルヴィンに向かってライナーは走りだす。

    エルヴィン『ヒッ!』

    2発目を撃つ前に鋭い爪に喉を掻き切られ、地面にうつ伏せに倒れこむ。

    息遣いは荒く、シューシューと呼吸するたびに息が漏れる音がする。

    エルヴィン『(私はまだ・・・!)』

    首の後ろの、うなじの部分をを牙で噛み砕かれ、動かなくなった。

  156. 403 : : 2014/11/09(日) 21:39:39
    アルミン『・・・』

    アニ『・・・少しは』

    アルミン『?』

    アニ『少しはエレンの怨み・・・晴れせたかな・・・』

    アルミン『・・・人が死んで解決したんじゃエレンはきっと喜ばないよ』

    アニ『私も・・・そう思うよ・・・』

    きっとエルヴィンが息絶えたのを確認したら殺意はこちらに向くだろう。

    最期は二人とも覚悟していた。

    こちらへゆっくりと振り向くライナー。

    しかしその表情はエルヴィンに向けられたものとは明らかに違った。

    ライナー(コピー)『ゴ・・・』

    アルミン『・・・?』

    アニ『・・?』

    ライナー(コピー)『ゴ・・・エん・・ア・・・』

    アニ『・・・!』

    ライナー(コピー)『グ、グオオお・・・ァア』

    苦しそうに地面に這いつくばる。

    鋭い爪で身体中を掻き毟り、血が吹き出していく。

    アルミン『ライナー・・・!』

    そのうち右手の爪を首に深く食い込ませると腕を横に振り、真横に切り裂いた。

    うずくまったまま事切れたようだ。

    アニ『ライナー・・・』

    グリシャ『・・・彼は犬の遺伝子を提出したようだな』

    アニアル『『・・・』』
  157. 404 : : 2014/11/09(日) 21:57:05
    アルミン『どうして貴方は・・・』

    グリシャ『・・・私自身、分かっていないんだ』

    グリシャ『どうして君達を助けるようなことをしたのか』

    グリシャ『彼奴を裏切るようなことをしたのか・・・』

    アニ『・・・どうしてエレンのお父さんがここに・・・』

    グリシャ『私の一番古い記憶は気付いたらここで研究をしていたということだ』

    グリシャ『エレンという少年との記憶は何もない』

    アルミン『てことは貴方は・・・』

    グリシャ『殺されたんだろうな』

    グリシャ『私のオリジナルは研究に協力していたのかどうかもわからない』

    グリシャ『しかし現にこうなっている訳だから恐らく研究を否定したか何かで殺され、脳を奪われたのだろう』

    グリシャ『都合の悪いことを記憶から抹消させて・・・いいように使われていた』

    グリシャ『人間性というものが分からなかったから私は疑問を持たず研究を続け、それは完成したが・・・』

    グリシャ『闇に気付いた時にはもう何もかも遅かった』

    グリシャ『それからだろう 死の恐怖を理解した』

    グリシャ『変えが効く 役に立たなければ棄てればいい』

    グリシャ『人間に近づけば近づくほど死も近づいていた』

    グリシャ『彼奴は人間を滅ぼすつもりだったのだ 人間になっていけば交換される』

    グリシャ『だから人間性を極力捨て、言いなりになってきた』

    グリシャ『変わったのは君達の抗う姿の影響かもしれんな・・・』
  158. 405 : : 2014/11/09(日) 22:20:35
    アルミン『・・・僕のコピーを作ったのも、貴方ですか?』

    グリシャ『そうだ』

    グリシャ『回収要員に向かわせて君の肉片を遺伝子情報ごと回収した』

    アニ『でも脳は・・・』

    グリシャ『電気信号で身体を動かして、人工知能を搭載した』

    グリシャ『半分機械のようなものだよ』

    グリシャ『それに情報を埋め込み、動きの中心となる命令を入れた』

    グリシャ『君達を守ってくれ、とね』

    グリシャ『ただ・・・不純物が混じったままの粉を持ち出してしまうのは計算外だった』

    グリシャ『結果的に君達の友人を奪ってしまうことになった責任はすべて私にある』

    僕たちより少し身長の高い彼は深々と頭を下げた。

    グリシャ『すまなかった・・・!』

    グリシャ『謝って済むことではないのは分かっている・・・だが、謝らせてくれ』

    グリシャ『本当に・・・申し訳ない・・・!!』

    アルミン『もう・・・いいです・・・』

    アニ『実際、貴方の助けがなかったら私たちは助かってなかった・・・』

    アルミン『それに・・・僕たちはもう・・・』

    ゆらりと視界が歪む。

    アニ『限・・界・・・』

    崩れ落ちるように2人は地面に突っ伏す。

    グリシャ『!!』

    気力だけでここまできたのだろう。

    もう死人のように顔は青ざめ、痩せこけている。

    それでもアルミン達はか細い声で言う。

    アルミン『貴方に・・・やって欲しいことが・・・あります』

    アルミン『貴方が・・・貴方が世界を、もう・・・1度

    ふわりと笑ったかと思うとアルミンは動かなくなる。

    アニ『アル、ミン・・・』

    グリシャ『ッ・・・』

    アニ『私からも・・・お願いします・・・』

    アニ『貴方はクローンなんかじゃ、ない』

    アニ『アイツより、私たちより・・・立派な、人間です・・・』

    グリシャ『必ず・・・やり直してみせる
    完璧な人間だけの世界じゃない』

    グリシャ『数ヶ月前まで確かにここにあった、ごく普通の生活に・・・!』

    アニ『あ・・・約束』

    よろよろと立ち上がるとグリシャの方へ向かう。

    グリシャ『・・・?』

    そのまま三回、弱くグリシャの頭を叩くと

    アニ『約束、です・・よ・・・』

    彼女もまた倒れながら微笑み、そのまま苦しそうだった呼吸を止めた。

    グリシャ『・・・』

    グリシャ『やはりまだ分からないことばかりだ・・・人間というものは』

    グリシャ『どうして・・・死ぬことは怖いはずなのに・・・』

    グリシャ『君達は笑える・・・?』

    グリシャ『その答えを知るまで・・・死ぬわけにはいかないな・・・』
  159. 406 : : 2014/11/09(日) 22:28:50
    ー記憶を作り直す。

    ー出来た・・・これで凶暴化した彼らを元に戻せる・・!

    ークローン・・・いや、人間を蘇らせるのだ。

    ー世界を・・・!

    ーここは・・・?

    ー目が覚めたか。もう少し待っていてくれ。この地下室のことを忘れてもらわなければ・・・

    ーどうして?

    ー・・・普通の世界では存在してはならない場所だからだ。

    ーふうん・・・あれ、この人・・・

    ーどうした?

    ー・・・何でもない。

    ーそうか・・ならいい。

    ー・・・いってらっしゃい。

    ーーー

    ーー



    エレン『ハッ!!』

    バサバサと鳥が木から飛び去る。

    辺りには花が広がっている。

    寝ていたのだろうか。

    ミカサ『ようやく目が覚めた?』

    エレン『あれ・・・お前髪伸びたか・・・?』

    ミカサ『そんなに寝ぼけるまで熟睡してたの?』

    エレン『いや・・なんか・・・長い夢を見ていた気がするんだけど』

    エレン『なんだっけ・・・思い出せねえな・・・』

    ミカサ『エレン・・?どうして泣いてるの?』

    エレン『え・・・?』

  160. 407 : : 2014/11/09(日) 22:35:48
    ーーー

    ーー



    エレン『言うなよ・・・俺が泣いてたとか』

    ミカサ『言わない・・・けど理由もなく涙を流すなんて、一度伯父さんに診てもらったら?』

    エレン『泣いてたなんて言えるわけないだろ!?』

    ハンネス『よぅエレン またミカサに怒られでもしたのか?』

    エレン『ハンネスさん・・・うっ酒臭っ!』

    エレン『また飲んでるのかよ・・・』

    ハンネス『今日は門兵だ 休憩用の物資に酒があったことは些細な問題に過ぎねえ』

    エレン『そんなことでいざって時に戦えるのか!?』

    ハンネス『いざって時って何だ?』

    エレン『決まってんだろ!奴らが・・巨人が壁を破って壁の中に入ってきた時だよ!』

    ハンネス『ぅう・・・大きい声出すなよ』

    エレン『父さんだってそうやって油断してる時が一番危ないって言ってたんだ!』

    ハンネス『・・・イェーガー先生か』

    ハンネス『確かにイェーガー先生には昔流行った疫病を治してくれた恩人だけどよ』

    エレン『えき・・・びょう?』

    ハンネス『ああ・・・確か・・・あれ?どんな病気だったっけな・・』

  161. 408 : : 2014/11/09(日) 22:43:54
    そのままハンネスさんとは別れ、家へと向かう。

    途中調査兵団の凱旋を見たときに誰かを殴ってミカサに説教された気もするが。

    いつも通りの光景だ。

    母さんは食事を用意してくれている。

    父さんがいるのはやや珍しいか。

    拾ったマキをしまって会話をするが、

    ミカサ『エレンが、調査兵団に入りたいって』

    エレン『!!』ギクッ!!

    エレン『ミ、ミカサ言うなって言っただろ!』

    カルラ『何を言っているのエレン!?』

    母さんと口論になる中父さんは全く反対しない。

    グリシャ『・・・どうして壁の外へ出たいんだ?』

    エレン『知りたいんだ!壁の外がどうなっているのか!』

    グリシャ『・・・そうか』

    それを聞くと父さんはそのまま内地の診療へと家を出る。

    カルラ『ちょっとあなた、エレンを説得して!』

    グリシャ『・・・"人間の"探求心は他人が抑え込めるものではないよ』

    諭すように母さんにそれを言うとこちらへ向き直って

    グリシャ『エレン』

    グリシャ『・・帰ったらずっと秘密にしてきた"地下室"を見せてやろう』
  162. 409 : : 2014/11/09(日) 22:47:58
    エレン『ホント!?』

    そんな約束をしたその日、奴らはやってきた。

    ただ見上げることしかできない。

    初めて見たはずなのに、記憶などではなく、本能的に体の奥底から眠っていたような恐怖がこみ上げてくる。

    そう、初めて見た。

    だが出てきた言葉はまるで1度その恐怖を味わったようなものだった。

    エレン『ヤツだ・・・』







    巨人だ








    ーFinー
  163. 410 : : 2014/11/09(日) 22:53:52
    はい、というわけでどうにか約半年という長期間かけて書き終わりました。

    だらだら続いてホント申し訳ありませんでした。

    ホラー系、初めて書いてみましたが難しいですね・・・

    絵ならパパッと描くだけで済むのに状況説明に何十文字と書かなければならない。

    シチュエーションが大切なので尚更ですね。

    そして改めてキャラ崩壊がまーすごいことすごいこと。

    自覚してます!反省はしてないど。

    もともとホラー系書きたいなっていう気持ちとただマスケット銃という言葉が書きたかっただけという気持ちで書きましたので・・

    専門知識は皆無ですのでここちげーよバーカ!てとこがあっても流してください。

    あと矛盾点もね(え

    あげたら絶対キリないんで(笑



    最後に、だらだら長かったにも関わらずたくさんのお気に入り、閲覧ありがとうございます!!

    これからも精進してまいりますのでどうか応援の方よろしくお願いします!

    それではまた新作でお会いしましょう!!

    ーエレアニジャスティス

    ※追伸

    次回作のアンケートをこちらでとっております。

    http://www.ssnote.net/groups/45/archives/4

    よろしければ意見下さい〜
  164. 411 : : 2014/11/09(日) 23:08:18
    質問ですがなぜユミルはジャンとの戦いで傷が治ったんですか?
    クローンだったんですか?
  165. 412 : : 2014/11/09(日) 23:11:54
    >>411そうですね。

    一応クリスタとユミルは作られたということになってます。

    ちなみにユミルはアルミンのクローンと相討ちになったということになってます。
  166. 413 : : 2014/11/10(月) 16:29:02
    乙です。
  167. 414 : : 2014/11/11(火) 18:28:43
    まさかISYM先生では…と疑ってしまうほどでした!乙でしたb
  168. 415 : : 2014/11/11(火) 20:12:19
    面白かったですよ
  169. 416 : : 2014/11/14(金) 16:10:05
    お疲れ様でした
  170. 417 : : 2014/11/20(木) 01:44:10
    おつかれさまです
  171. 418 : : 2014/11/26(水) 14:59:07
    とても面白かったです
    乙でした
  172. 419 : : 2014/11/26(水) 21:21:08
    ジャスティスさんはこういうのもかけるんですねぇ乙です!
  173. 420 : : 2014/12/08(月) 21:57:40
    乙ですとてもドキドキして面白かったです!
  174. 421 : : 2015/02/05(木) 16:00:21
    なんかとある科学の超電磁砲ぽかったけどイメージしたんですか?
    よくこんな世界観生み出せるなあ..ソンケーノマナザシ
    ホラーは怖い。私にはむりだ(-_-;)
  175. 422 : : 2015/02/05(木) 16:52:07
    >>421「とある科学の超電磁砲」は全く知らないですね・・・

    まったくの偶然だと思います^_^;
  176. 423 : : 2015/02/08(日) 21:53:35
    最後の最後に原作の最初と繋げたところにゾクっとしました!最初から最後までハラハラしながらぶっ通しで読んでましたww
    お疲れ様でした!!!
  177. 424 : : 2015/02/11(水) 20:26:30
    おもしろかったです!
    お疲れ様でした
  178. 425 : : 2015/07/08(水) 19:58:59
    面白かったです!お疲れ様でした!
  179. 426 : : 2015/07/21(火) 16:13:19
    最高な作品でした!感動しました!(泣)
  180. 427 : : 2015/08/17(月) 23:54:37
    凄いですね・・・いい作品でした!お疲れ様です‼
  181. 428 : : 2015/08/20(木) 19:42:11
    ライナー...良いやつだったな
  182. 429 : : 2015/11/03(火) 19:53:43
    お疲れ様でした。面白かったです!
  183. 430 : : 2016/05/11(水) 08:56:24
    ホラー苦手だから
    ずっと避けてたけど

    面白かったです
  184. 431 : : 2016/07/09(土) 23:07:24
    ジャスティスさんお久しぶりです。(会ったことないけど)僕前ジャスティスさんの作品よんで数あるssの中で一番好きな作者になりました!本当に文章能力があるって言うか、小説家になれるって言うか……とても素晴らしいです!これからも頑張って下さい!

    長文失礼しました〜(・ω・)ノシ
  185. 432 : : 2016/07/09(土) 23:09:26
    確かに超電磁砲と似てますね……
    ハイスクール・オブ・ザ・デッドとも多少似てるかもしれないですね

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monhanhityan

エレアニジャスティス

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