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閑話 【ヨロイ】

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  1. 1 : : 2014/06/11(水) 13:11:38

    ちょっと思いついたので短い閑話を書いてみました

    12巻までのネタバレありで、今までの作品とは全く無関係です

    需要があるテーマじゃない事は分かってるのですが、自己満足です(笑)

    短いのでサクッと終わります
  2. 2 : : 2014/06/11(水) 13:12:55


    むかしむかし……と言ってもそんなに昔じゃないむかし


    ある山奥に一匹のごりらの子がおりました


    彼はものごころつく前からおりの中に入れられて、そこで強いごりらになるための訓練を受けていました


    おりの中にはごりらの他に2人の子どもがいました


    ごりらは臆病で慎重な性格です


    でも彼らは寂しがり屋だったので、3人はすぐに仲良くなりました


  3. 3 : : 2014/06/11(水) 13:13:43


    ある日王様が3人のところにやって来ました


    「お前たち『戦士』として働いてもらうよ。あと、これはエサ」


    王様はいつもこんな口調です

    威厳はありませんが、魔法が使えるので王様になったらしいです


    そうそう、彼の名前は『ヨロイ』と言います

    あとの2人は『オオガタ』と『マルセル』

    オオガタの本当の名前は『チョウオオガタコシギンチャク』というのですが、あまりに長くて覚えにくいのであだ名で呼ばれています


    「とりあえずお前たち、とっとと食っちゃって」


    食えと言われても、目の前に食事なんかありません

    泣きそうな顔をしているおじさんが3人いるだけです


    ヨロイたちが戸惑っていると、王様が指を鳴らして3人に魔法をかけました




    それから先のことはよく覚えていません


  4. 4 : : 2014/06/11(水) 13:14:38


    気がついた時には『羊牧場』というところを目指すハメになっていました


    出る前になんだか難しいことを色々言われましたが、ヨロイはひとつのことしか覚えられません


    『ちゃんとお仕事しないとお家に帰れない』


    これだけを覚えて羊牧場へ向かいました






    途中マルセルが大きな魔女に食べられてしまいました


    泣き虫のオオガタは、めそめそといつまでも泣いています

    少しだけお兄さんのヨロイは、オオガタを抱きしめて慰めるのでした


    ちなみにごりらはホモセクシャルが多いそうです

    ホモセクシャルがなんなのか分からない良い子は、大人になったら分かります


    さて、羊牧場の壁が見えて来たころ、メガちゃんというかわいい女の子がなかまに入りました


    3人は協力して羊牧場の壁を壊すと、羊のふりをして中に入り込みました


    何をすればいいのか、はっきり分かっているわけではありませんでしたが、とりあえず羊牧場の中の『ふれあい動物園』に行くことにしました





    そこには実にさまざまな動物たちがいました


    上から目線のウマや、心臓が右にあるサル、家畜以下のブタ……


    3人は動物園の中で3年間過ごしました


  5. 5 : : 2014/06/11(水) 13:15:37


    ヨロイにとって不思議だったのは、彼は普通のことをしているだけなのに、みんなが自分をとても慕ってくれる、ということでした


    ヨロイは強いです

    強くなるための訓練を子ごりらの時からしてましたし、ごりらの握力は400kg以上ありますから

    生まれつき恵まれているんです


    ヨロイはケンカを止めるのが上手でした

    弱っているなかまを助けてあげるのも、わけないことでした

    なかまの八つ当たりにも身体を張って付き合ってあげました



    あたりまえです


    ごりらは元々そういう生き物なのです





    一匹だと不安でいつも群れを作っている羊は、群れているくせに小さなケンカを良くします


    もこもことかたまった羊たちは、一匹一匹が自分のことしか考えていません

    自分が美味しい草を食べられればそれでいいのです


    でもごりらは違います

    ごりらは『なかま』の中が上手く行くことを最優先に考えます

    自分の欲は二の次です


    ごりらは心が優しいなかま思いの生き物なのです



  6. 6 : : 2014/06/11(水) 13:17:51

    ヨロイは『なかま』のためにがんばってお仕事をしました


    でも動物園のみんなが仲良くしてくれるのが嬉しくて

    たくさんの動物たちとのふれあいが楽しくて

    羊や動物園の『なかま』のためにもがんばりました





    そのうち……



    ヨロイの心はふたつに分かれてしまいました



    言い忘れていましたが、ごりらはとても神経質でストレスに弱いんです




    そしてヨロイは自分が何のために羊牧場に来たのか、すっかり忘れてしまいました


    どちらの『なかま』のためにがんばればいいのか、全くわからなくなってしまいました



    でも自分の名前と

    『ちゃんとお仕事しないとお家に帰れない』

    ということは覚えていたので、仲良しになった羊につい言ってしまいました





    「俺がヨロイの巨人でこいつはチョウオオガタ巨人ってやつだ」





    ーーーその時



    ごりらの天敵である黒ヒョウの目が鋭く光ったことに、ヨロイはまだ気がついていませんでした






    ーーーーー
  7. 7 : : 2014/06/11(水) 13:18:43

    ーーーーー



    「おわり?」


    「今日はここまで」


    「ヨロイ、ヒョウに食べられちゃう?」




    「どうかな……?続きはまた明日ね」










    fin

  8. 8 : : 2014/06/11(水) 13:19:35


    以上です

    ごりらに関する記述は、リアルゴリラの生態です

    これであなたもプチゴリラ通

    このお話がハッピーエンドかどうかは原作次第です

    ハッピーエンドを心から祈っています

    最後までお付き合い頂きありがとうございました

  9. 9 : : 2014/06/11(水) 14:15:34
    ゴリラの生態通になれました(笑)

    チョウオオガタコシギンチャクとか笑っちゃう表現がありつつ、物語の根幹を深く捉えた問題作だと思います。

    さすがです。
    月子さんの作品を応援しています!
  10. 10 : : 2014/06/11(水) 16:17:40

    なすたまさん、その知識を使う場面がいつかきっとあるはずです(笑)
    このシーンから10巻の最後までは、原作を読んで唯一号泣してしまったところなので、これくらいオブラートに包んでいないと書けませんでした(´・_・`)
    いつも暖かい励ましありがとうございます。
  11. 11 : : 2014/06/12(木) 12:57:46
    ごりら(笑)

    やっぱり彼の血液型はB型なのでしょうか?


    表現はコミカルですが、10巻のあらすじを思うと、考えさせられます。


    ごりらが羊や馬と仲良く暮らせる未来があって欲しいけど、ごりらのしたことを思うと、そこまで単純な話じゃなくて…。

    さすが月子さん、面白く読ませていただきました。
  12. 12 : : 2014/06/12(木) 18:18:35

    ありゃりゃぎさん、ありがとうございます♪
    そして彼がB型だということを知ってらしたんですね…流石です(笑)
    愛されキャラのメガちゃんに比べて、彼は取り上げられる事が少ないので自分で書いてみました。
    テーマ自体は重いので、結果は原作に丸投げですが…少しでも救いのある結末を願ってます。


  13. 13 : : 2014/06/16(月) 20:39:57
    執筆お疲れ様でした。
    ゴリラの生態に絡めてお話を進めていく手腕と言いますか、物語の構築力と言いますか…本当に流石の一言に尽きます。
    月子さんのおっしゃるとおり、原作で彼らに救いがあるよう願わずにはいられませんね。
    素敵な作品をありがとうございました。
  14. 14 : : 2014/06/16(月) 23:00:37

    submarinさん、ありがとうございます。
    これは…やったもん勝ちの作品だと思います(笑)ストーリーもごりらの生態も、そのままですから。
    私が創ったのは子供時代の部分だけです(^_^;)
    それだけ原作が素晴らしいって事ですねぇ♪



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Tukiko_moon

月子

@Tukiko_moon

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