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ハンジ「THE Reluctant hero」/修正&再投稿版

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  1. 1 : : 2014/05/09(金) 19:47:41
    ※リヴァハンです

    主に2人が喋ってるだけの短い話
    タイトルは進撃サントラから
    ネタバレは多分ありませんが原作に寄った話です
  2. 2 : : 2014/05/09(金) 19:48:38


    その日、彼は眉根を寄せ、
    ひたすらに押し黙っていた。

    何処の誰から見ても、
    明らかに不機嫌そうな顔をしていたように思う。

    それは彼の上官、まぁつまるところ、我が兵団の団長殿から、
    “人類の英雄”は今回の作戦で直接の戦闘には参加せず、
    目立った行動を控えるように、との命を受けたからだ。

    ――もちろん、機嫌を損ねる気持ちは分かる。

    仲間が命を賭して戦おうとしているさなか、
    自分だけが何もせずじっと耐えていなければならないというのは
    心臓を捧げた兵士として、もどかしいことこの上ない。
  3. 3 : : 2014/05/09(金) 19:49:31


    だが、脚に負った怪我を治さなければ
    どうにもしようがない、ということも事実。

    つまり、本人の希望がどうあるにせよ、
    命令通りにしているしか無いのだ。

    そんな複雑に織り交ざった感情が彼の面様から顕著に見てとれ、
    他の者などは見ぬ振りをし、なるべく近づかないようにしていた。

    丁度、作戦を実行に移すための準備云々で
    誰にもそれほどの余裕が無かっただけなのかもしれないが。

    とにかく、彼はその日一人で、
    どうにも気が塞いでいるように見えたので
    作戦準備完了の報告がてら、彼の部屋を訪れることにした。

  4. 4 : : 2014/05/09(金) 19:50:19



    「何か用か」

    「不本意そうな顔してるね」

    「……何の話だ」

    「英雄って呼ばれることにだよ」

    「…………」

    「前は英雄といえば調査兵団そのものを指す言葉だったけど…」

    「今では、貴方を指す代名詞だ」

    「………」
  5. 5 : : 2014/05/09(金) 19:50:59


    「………英雄なら、」

    「うん?」

    「……こんなところで、引きこもってることなんて無いだろう」

    「あはは、まぁ英雄だって怪我もするさ」

    「………」

    「ショックだった?まさかエルヴィンに言われるなんてーって」

    「………そんなんじゃねぇよ」

    「へぇ?」
  6. 6 : : 2014/05/09(金) 19:51:32


    「誰が持ち上げようと…俺は権力を持った王政の人間でも無ければ、巨人でも無い」

    「人一人で出来る事なんて限られてるし、まして、死んだ仲間が帰るわけでも無いだろう」

    「…ま、確かにね」

    「…………だから、それについては気乗りしねぇだけだ」

    「ふーん」

    「……じゃあ、重いのかな?」

    「…重い?」

    「うん」
  7. 7 : : 2014/05/09(金) 19:52:19


    「貴方は、民衆からの期待も希望も、死んでいった仲間達が託していった願いも」

    「全てを背負い込もうとするでしょう」

    「………」

    「重圧に押しつぶされてしまわないか心配だよ」

    「………」

    「…だからね、貴方が怪我してちょっとほっとしてるんだ」

    「はぁ?」

    「きっとエルヴィンもそうだと思うよ」
  8. 8 : : 2014/05/09(金) 19:53:01


    「そりゃあ、人類の進撃には痛手だけどさ」

    「貴方には少し……休息が必要だと思うから」

    「………心臓を捧げた兵士とは思えねぇ発言だな」

    「あはは、口外禁止だからね」

    「………」

    「まっそんなわけだから、大人しくじっとしていてくれ」

    「………どうだろうな」

    「っちょ、ほんと勘弁してよ!?」
  9. 9 : : 2014/05/09(金) 19:53:30


    「…なら、見張っておけ」

    「……私分隊長だから、リヴァイのことだけ見てらんないんだけど?」

    「…だったら、可能になるよう知恵を絞れ」

    「無茶言うなぁ…」

    「………」

    「……もしかして、一人になるのが寂しいの?」

    「…………馬鹿言え」

    「ブフッ」
  10. 10 : : 2014/05/09(金) 19:54:13



    「…………あ、そうだ」

    「何だ」

    「じゃあ私が、貴方の英雄になってあげるよ!」

    「はぁ?」

    「貴方が辛い時は、出来うる限りで傍にいよう」

    「絶望の底にいたら、救い出して、希望の光を見せよう」

    「……」

    「唯一無二の貴方の、英雄にさ」
  11. 11 : : 2014/05/09(金) 19:55:49


    「どうかな?」

    「………告白か?」

    「ブフオォ」

    「…汚ぇな、唾飛ばすんじゃねぇよ」

    「ゲホッゴホッ……そんなんじゃねーっつーの」

    「…ほう、そうか?」

    「言っておくけど、貴方とどうこうなるつもりはないからね」

    「……」
  12. 12 : : 2014/05/09(金) 19:56:18


    「なに~期待させちゃった?」

    「……別に」

    「分かってるでしょ」

    「私達に選択肢なんて、無い」

    「………」

    「…今は、心臓を捧げて」

    「自分達に出来る事をやるだけだよ」

    「……あぁ」
  13. 13 : : 2014/05/09(金) 19:57:08



    「…ねぇリヴァイ」

    「何だ」

    「いつか…」

    「いつの日か、さ」

    「巨人が居なくなって、平和になって」

    「その時まで……生きていられたら」

    「……」

    「私だけの英雄になってよ」
  14. 14 : : 2014/05/09(金) 19:58:01


    「………告白か?」

    「うん」

    「……チッ」

    「舌打ち!?」

    「…………不本意だが、」

    「その時は要求を飲んでやる」

    「あっはは、かわいくねー」



    .
  15. 15 : : 2014/05/09(金) 19:58:57



    「そろそろ時間かな」

    「そうだな」

    「…必ず、女型を捕えてみせるよ」

    「………あぁ、頼む」




    ――じゃあ、行ってくる。




    終わり
  16. 16 : : 2014/05/09(金) 22:10:28
    良かったよ!
  17. 17 : : 2014/05/10(土) 00:24:57
    >>16
    読んでいただきありがとうございました!

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