この作品は執筆を終了しています。
アニ「記憶からの脱獄犯」
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- 1 : 2013/10/27(日) 07:41:07 :
- すみません、 改行がめちゃくちゃで見づらいと思ったので立て直しました。
週末(WEEKEND)になったので、SSを投稿します。前回はくだらないSSだったので、今回は真面目なものを書きます。
現代転生もので、高校1年生の設定です。
ライナーが主人公で、同郷トリオ(ライナー、ベルトルト、アニ)メインです。
ベルトルトの口数が、原作よりも多いです。
ライナーとベルトルトがアニを探しているところから始まります。
おかしな点
日本なのに外国の名前
読んでもらえると嬉しいです。
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- 2 : 2013/10/27(日) 07:44:59 :
1 アニ・レオンハート捜索の夏休み
夏休みのある日、ライナー・ブラウンの部屋には親友のベルトルト・フーバーが来ていた。真夏にも関わらず、空は鉛色の雲に覆われていた。
こうしてベルトルトが午後にライナーの部屋に来るのは、もはや日常になっていた。夏休みもすでに3週間が過ぎたが、ライナーは特別どこに行ったりもしていなかった。
「はい、どうぞ」
優しくて愛想の良いライナーの母が、ライナーとベルトルトにお茶を出してくれた。ライナーの母もベルトルトがいて当たり前、という感じだった。
「ありがとうございます。いつもすみません」
ベルトルトが申し訳なさそうに言った。ライナーの母がお茶を出してくれるのはいつものことであったが、それでもベルトルトは常に礼儀をわきまえていた。だからライナーの母も、ベルトルトのことをとてもよく思っていた。
「いいえ、ゆっくりしていってね」
ライナーの母は愛想の良い笑顔を見せた後、部屋を出て階段を下りて行った。
ライナーとベルトルトはさっそく冷たいお茶を飲んだ。曇っているとはいえ、気温は30度を上回っていた。そんな中、冷たいお茶は乾いたのどを潤した。
「今日の天気はパッとしないな。夏だってのに」
ライナーがコップをテーブルに戻した後、窓の外に視線を移した。
「そうだね、帰りに雨が降ってないといいけど…」
ベルトルトも窓の外の怪しげな空を見て、帰路の心配をした。
「まあ大丈夫だ。雨が降ってたら、母さんに車を出してもらうように頼む」
ライナーは事もなげにそう言った。
「そんなの悪いよ、それに僕は自転車で来てる」
ベルトルトがライナーの方へ視線を移して言った。
「ああ、そうだったな。すまん」
そのことに気が付いたライナーが詫びた。
「まあ、自転車でパパッと帰ればそこまで濡れないさ」
ベルトルトはそう言って立ち上がり、部屋の棚から10冊程の電話帳を取り出し、お茶の置かれたテーブルの上に置いた。それを見たライナーは、もう一度お茶を飲んでから言った。
「よし、じゃあやるか。今日は雲行きも怪しいし、1時間ぐらいにしようと思うが、それでいいか?」
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- 3 : 2013/10/27(日) 07:49:23 :
- 「うん、そうしよう。今日はライナーはどうやって探すんだい?」
ベルトルトが電話帳のページをパラパラめくりながら聞いた。ライナーは少し答えに困ったが、立ち上がって机の上からパソコンをテーブルの上に移動させて言った。
「う~ん…正直、もうパソコンで探すのも限界に近付いてきた…」
「パソコンでも見つからないとなると、もうお手上げだよ。自分らの足で探したら僕らはもう今年中には学校にいけないよ」
ベルトルトがテーブルに突っ伏して嘆いた。
「今、僕がどこを探してるか知ってる?」
「いや…」
ライナーが首を振った。
「東浜町だよ。ここからバスで1時間40分もかかる。そこまで範囲を広げているのに見つからないなんて…」
ベルトルトが言った。ベルトルトはこの夏休み、電話帳を狂ったように読み、探したが、全く見つかる気配が無かった。
「しかし…探偵に依頼する金も無い」
ライナーがパソコンを起動させて言った。
「いないかも知れないのに探偵なんかに頼めないよ」
ベルトルトが上体を起こして言った。
「今更いないかもしれないなんて悲しいこと言うなよ。夏休み前にどーしても会いたいって言って俺を説得したのは誰だ?」
ライナーはパソコンに文字を打ちながら言った。
「確かに…でもライナーだって会いたいだろ?」
ベルトルトが求めるようにライナーに聞いた。
「だから、夏休み前に言っただろ。俺だってもちろん会いたい。しかし、俺らが会うことで、あいつをさらに苦しめやしないかって。だけどお前の、どーしても会いたい、会うべきだって言う熱意に打たれたから、俺は探すことに賛成したんだ」
ライナーも当然会いたかった。だからこうしてインターネットなどで必死に探していた。
「そうだね、やるしか無いか…」
ベルトルトはその後、何も話さずに電話帳とにらめっこしていた。ライナーも負けじとパソコンと格闘していた。静かな部屋の中に、セミの声が響いていた。
ライナーとベルトルトが、夏休みの午後を返上してまで必死になって探しているのは、アニ・レオンハートだった。しかし、アニがこの世界に必ず存在しているという保証はなく、当然会ったことも無かった。
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- 4 : 2013/10/27(日) 07:53:49 :
- ライナーとベルトルトは、同じ西華条高校に通う1年生で、勉強、部活、友達といった高校生活を楽しむありふれた高校生だった。
ただ、ライナーとベルトルトがほかの高校生と違うのは、前世の記憶を持っているということだった。
2人が持つ前世の記憶の中では、人を食らう「巨人」という生物が存在していた。人類は巨人から逃れるために3重の巨大な壁の中で生活していた。ライナー、ベルトルト、アニの3人は壁を破壊する側の勢力であり、諜報員として壁内の兵士になっていた。
そして、3人は巨人化することができ、壁を壊したり、「座標」を手に入れようとしたり、目的のために「戦士」として戦っていた。ライナーとベルトルトには、その記憶が鮮明に残っていた。さらに、西華条高校にはエレン、ミカサ、アルミン、ジャン、コニー、サシャ、クリスタ、ユミルもいた。全員が前世の記憶を持っていた。
しかし、いくら過去の歴史を調べても、巨人がいた、などということは一切無く、この世界の人々は巨人のことなど微塵も知らなかった。どうやらこの世界は巨人がいた世界とは違う世界(パラレルワールド)らしい。つまり、前世の記憶は現世とは何の関係もないもので、忘れてしまっても良いものだった。
ライナーが前世の記憶を思い出したのは11才、小学5年生の時だった。ある日、いつも通り学校から家に帰っていたライナーは、家から200mほど手前の角を曲がった時、突然前世の記憶を思い出した。
その後、中学に入るまでのライナーは、前世の記憶に必要以上に悩まされた。自分の人格がよく分からなくなったり、急にヒステリーになって物を壊したりしたり、一人で泣いていたりした。
その時、何よりもつらかったのは、誰に話しても分かってくれない、誰にも話せない、ということだった。そのことは、小学生だったライナーをなおさら苦しめた。
ベルトルトは12才、小学6年生の時に前世の記憶を思い出した。ライナーは自然と思い出したが、ベルトルトには思い出したきっかけがはっきりとあった。家族で旅行に行った時、ベルトルトは高い塔に上がった。そこから見える壮大な景色は、ベルトルトに自分が超大型巨人であったことを思い出させた。
ベルトルトはライナーのようにヒステリーを起こしたりはしなかったが、やはり中学に入るまでは、前世の記憶について悩み、苦しみ、人を避けるようになっていた。
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- 5 : 2013/10/27(日) 07:55:29 :
- そんな2人が、中学に入り再会した。2人は前世のことについてとことん話し合った。そして、「前世の自分たちと、今の自分たちは違う。だから、今この人生を全力で、悔いの無いように生きよう。前世のことなんて忘れてしまおう」という結論を出した。
今では2人は同じ高校に通っている。陸上部に入り、友達や仲間との生活を楽しみ、現世を幸せに生きている。ライナーとベルトルトは、普段は前世のことは忘れ、親友として一緒にいた。
今までライナーは、自分たちがアニに会うとアニをさらに苦し
めてしまう、と考えアニを探さずにいた。しかし、夏休み前にベルトルトに説得され、2人でアニを探すことになった。
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- 6 : 2013/10/27(日) 08:13:44 :
- 部屋の時計の針が3時を指した時、ベルトルトが口を開いた。
「今日はここまでにしよう。いつもより短いけど」
「そうするか、今日も何の手がかりも無しか…」
ライナーがパソコンを閉じてため息混じりに言った。
「夏休みもあと1週間くらいだね」
ベルトルトがカレンダーの方を見て言った。カレンダーには、アニ捜索の大まかな予定が書きこまれており、約3週間分のバツ印が付けられていた。
「もう期間がない、夏休みが終わってしまえばこんなに時間は無いからな」
ライナーは深刻そうに言った。
「夏休み中に見つけないとね。今日もバツ…と」
ベルトルトがカレンダーに今日の分のバツを書き込んだ。このバツ印が増えていくごとに、アニを見つけられる可能性が低くなっていく気がした。
「じゃあ僕帰るよ、勉強も少しはしないといけないし」
「おう、また明日な。気を付けろよ雨に」
ライナーが言った。
「どうやって気を付けるんだい…じゃあね」
ベルトルトはそう言って部屋を出て帰っていった。
ライナーは外の雲を見た。本当にアニはいるのだろうか?ライナーはそう思った。
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- 7 : 2013/10/27(日) 08:15:35 :
- 読んでくれている人がいたら、コメントもらえると嬉しいです。
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- 8 : 2013/10/27(日) 08:33:56 :
2 進展
その後4日間は、同じように過ぎていった。ライナーは午前中は部活で汗を流し、午後はベルトルトと一緒にアニを探した。しかし、アニの影はいっこうに見えなかった。
ついに夏休みも残すところあと数日となったが、暑さは日に日に増していくようだった。ライナーの家の庭にあるひまわりも、暑さに負けて頭を垂れていた。
そんな日、灼熱のコンクリートの上をベルトルトがすごいスピードで自転車をこぎ、ライナーの家へと急いでいた。
ライナーは昼食を終えて、部屋で勉強をしていた。社会のワークが終わったので、次は何をしようかと思っていた時、玄関のチャイムが聞こえた。ベルトルトが来るには早すぎるので、宅配便か何かだろうと思い、ライナーは理科のワークに手を付けた。しかし、すぐにドタドタと階段を上がる音が聞こえたので、宅配便ではないとわかった。
「ライナー!」
部屋のドアが勢いよく開けられ、ベルトルトが入ってきた。額には大粒の汗があり、肩で呼吸をしていた。
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- 9 : 2013/10/27(日) 08:37:30 :
- 続きは今日の夜に書きます。
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- 10 : 2013/10/27(日) 08:55:56 :
- 早く続きが見たい!
!!!支援!!!
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- 11 : 2013/10/27(日) 09:04:32 :
- ZELDAさん、コメントありがとうございます!
頑張って書きます
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- 12 : 2013/10/27(日) 14:31:05 :
- 夜って言いましたがやっぱり書きます
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- 13 : 2013/10/27(日) 14:47:09 :
- 「どうしたベルトルト?いつもよりずいぶんと早いな」
ライナーがベルトルトの方を向いて言った。
「アニが見つかったんだ!」
ベルトルトが興奮して叫んだ。
「ええ!本当かよ!」
ライナーも思わず立ち上がって叫んだ。
「どこにいるんだ?今?」
「上栄水町だよ」
ベルトルトはまだ息を切らしていた。
「上栄水町?ここからバスで30分もかからないじゃないか!そんな近くにいたのかよ」
「ハハハッ、僕らの苦労は何だったんだろうね」
ベルトルトが笑いながら言った。ライナーも、嬉しさとバカバカしさから笑いがこぼれた。
「で、どこで知ったんだよ」
徐々に落ち着いてきたライナーがベルトルトに聞いた。
「昼に、陸上で知り合った数人にラインで聞いてみたんだ。そしたらジャスティンが、俺のクラスにいるよ、だってさ。それで今日アニを呼んで公園で待っててくれるって」
ベルトルトが嬉しそうに言った。
「そいつには本当に感謝するぜ。ただ、そのジャスティンさんにはもう少し早く教えてほしかったな」
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- 14 : 2013/10/27(日) 15:19:19 :
2人は急いでバスに飛び乗り、上栄水町へ向かった。ライナーもベルトルトも、アニに会えるのが嬉しくてしょうがなかった。
「アニの奴、俺たちを見たら泣くんじゃないか?」
バスの中でライナーがニヤッと笑った。
「そうかもね」
ベルトルトもくすくす笑いながら言った。2人とも嬉しさでかなりテンションが高かった。外は風はなく、バスから見える青い空は少しずつ鉛色の雲に隠されてきていた。
ライナーとベルトルトは待ち合わせの公園へと急いだ。妙にウキウキした高校生が2人走っている姿は、はたから見れば、何事かと思われたことだろう。
バス停から走り始めて10分ほどたった時、待ち合わせの公園が見えた。
「あれだよ!」
公園を指さしてベルトルトが言った。
「よしっ!」
2人とも走ってきたので息は乱れていたが、疲れは感じていなかった。公園の門に差し掛かった時、アニとジャスティンの姿が見えた。
「おーい!ジャスティン!アニ!」
公園に入り、ベルトルトが2人を呼んだ。
「よおベルトルト、1か月ぶりくらいか?」
ジャスティンは黒髪の長髪で、少しチャライ恰好をしていた。確かに大会で見たことがあったかも、とライナーは思った。
「そのくらいだね、今日はわざわざありがとうジャスティン」
「いやあ、なんてこと無いさ。俺もアニもここから家が近いから」
ジャスティンが軽く言った。
アニは何も変わっていないようだった。白く透き通った肌、きれいなブロンドヘアを後ろで束ねた髪型、そして澄んだ青色をした目。しかし、その目にはかつてのような悲しさは無かった。
「アニ!めちゃくちゃ探したんだぞ」
「会えて本当に嬉しいよアニ」
ライナーとベルトルトは、久しぶりに会った仲間に当たり前のように話しかけた。しかし、アニは反応に困ったように言った。
「え……?あんた達…誰?」
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- 15 : 2013/10/27(日) 15:21:37 :
- 次の週末にまた書きます
コメントがあればぜひお願いします!
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- 16 : 2013/10/27(日) 19:15:15 :
- 支援!
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- 17 : 2013/10/27(日) 19:22:24 :
- 支援
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- 18 : 2013/11/03(日) 08:13:41 :
- ブッセが食べたいコッペパンさん、アニマックスハートさん、ありがとうございます 頑張って書きます
それでは書き始めます
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- 19 : 2013/11/03(日) 08:30:48 :
ライナーとベルトルトの時間が一瞬止まった。いや、2人がアニの言ったことを完全に理解するまでに数秒かかった。
「え…!?」
ベルトルトは愕然としていた。
「まさか…」
ライナーも目を丸くしていた。
「ジャスティン…なんであんたは今日私を呼んだの?」
アニは怪しげに見ていたライナーとベルトルトから、ジャスティンに視線を移した。
「いや…こいつがアニに会いたいって言うから…昔の友達とかじゃなかったのか?俺はてっきりお互いに知ってるもんだと…」
「いや、知り合いじゃないよ。あんたら見たことないけど他校かい?」
アニがライナーとベルトルトに聞いた。
「ああ…そうだ」
ライナーが深刻そうな表情をして言った。
「せっかく会えたのに…」
ベルトルトが独り言のように呟いた。
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- 20 : 2013/11/03(日) 08:54:27 :
- アニがベルトルトの顔を見た。ベルトルトは複雑な表情をしてうつむいていた。
「…あんたら新手のナンパかい?昔の知り合いだとか言う」
アニは2人を見上げて言った。どことなくうさんくさそうに、怪しげに見ていた。ライナーとベルトルトはそれが悲しかった。まるで何かに裏切られたかのようだった。
「まあでも…ナンパなら私みたいなのじゃなくて、もっとマシな女の子にするんだね…」
アニが言った。
「いや…そうか?アニはナンパされてもおかしくないと思うけどな…」
ジャスティンが少し口ごもりながら言った。
「は…?何言ってんのあんた…」
アニに冷たくそう言われると、ジャスティンはすぐに謝った。
「すいません…」
「で、あんたらは誰なの?」
アニが2人に質問した。かつての仲間に、そう聞かれるのは寂しかった。少し間が空いてからベルトルトが答えようとしたが、ライナーがベルトルトの足を踏んで止めた。ライナーもベルトルトも、アニより身長が大幅に高く、アニが2人を見上げていたため、それはアニには見えなかった。
「時間をとって悪かったな、上栄水町にかわいい子がいるっていうから一目見たかっただけだ。じゃあ…元気でな」
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- 21 : 2013/11/03(日) 09:15:16 :
- ライナーがそう言ってベルトルトの腕を引っ張って歩き始めた。
「え…?ライナー、どうして…?」
ベルトルトは戸惑ったが、ライナーが小声で言った。
「いいから早く!」
ライナーがベルトルトを引っ張って公園を出ていった。アニとジャスティンは公園の中で、何がなんだかさっぱり分からないという表情をしていた。
ライナーとベルトルトは、公園からずいぶん離れたところまで歩いた。ライナーが歩を止めたので、ベルトルトが口を開いた。
「どうしたんだいライナー?」
「…会ってわかったとおり、アニには前世の記憶が無かった。しかし、俺たちが関わると記憶を思い出すかも知れないだろ…前世の記憶なんか思い出さない方がアニは幸せに生きられる」
ライナーは真剣に言った。
「……」
ベルトルトは黙って考え込んだ。
「もう…俺たちはアニに会わない方がいいと思う…」
ライナーが下を向いて言った。ベルトルトの返事はしばらくしてから返ってきた。
「ごめん…ちょっと今、頭と心の整理ができてない…」
「まあ、俺もだ。ひとまず今日は帰ろう」
その後、2人はとぼとぼ歩いてバス停まで行き、バスで自分らの町へ帰った。その間、2人の間に会話は無かった。
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- 22 : 2013/11/03(日) 09:46:36 :
- 続きは明日書きます コメントがあったらお願いします
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- 23 : 2013/11/04(月) 08:55:52 :
- では書き始めます
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- 24 : 2013/11/04(月) 09:21:26 :
3 前世と仲間
次の日、ライナーは8時半に家を出て、部活の練習場へ向かった。連日の暑さにより、ライナーの家のひまわりは干からびて無残な姿になっていた。
練習場に向かう途中、ライナーが信号で止まっている時に、自転車に乗ったエレンがやってきた。
「おはようライナー」
「おう、おはよう」
ライナーがそう答えた時に信号が青に変わった。ライナーとエレンは一緒に練習場へと向かった。
「もう宿題終わったか?俺なんてあと半分くらいある」
エレンがライナーに言った。
「それはまずくないか…?俺はもう終わったぞ」
ライナーはエレンの質問に答えた後、アニのことを考えていた。そのことにエレンは気付いたらしく、ライナーに声をかけた。
「ライナー、何か元気ないな。大丈夫か?」
「ああ、大丈夫だ。すまん」
その後すぐに練習場に着き、2人は自転車を止めた。夏休みはあと3日間あったが、陸上部の夏休みの練習は今日で最後だった。最後の追い込みということで、かなりきつい練習だったが、1年生のライナー、ベルトルト、エレンの3人は何とか先輩についていった。
練習も終わり、先生や先輩は先に帰り、道具の片付けは1年生に任された。いつものことだった。道具片付けが終わった時、ライナーが話し始めた。
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- 25 : 2013/11/04(月) 09:22:51 :
- ワクワク…
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- 26 : 2013/11/04(月) 09:26:00 :
- コメントありがとうございますアニ神さん!
あと、進行が遅くてすみません
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- 27 : 2013/11/04(月) 09:43:13 :
- 「ベルトルト、昨日のことなんだか、やはりこれ以上は会ったり関わったりしないほうがいいと思うんだ。あいつのために…」
「そうかな…」
ベルトルトが少し異論がある、という言い方で言った。
「ん?何の話だよ?」
エレンが2人に聞いた。
「…エレンには言ってもいいよね、ライナー」
ベルトルトがライナーにそう聞くと、ライナーはうなづいた。
「昨日…僕らは上栄水町でアニに会ったんだ」
ベルトルトがエレンに説明した。
「アニが!?現世にいたのか!」
「でも…アニは記憶を持っていなかったんだ…」
ベルトルトが少し悲しそうに言った。エレンはそれを聞いて驚いたようだった。
「記憶が?変だな、みんな持ってるのに」
「それでライナーは、僕らがこれ以上会ったりすると記憶を思い出させてしまうかも知れないから、もうアニとは関わらない方がいいって言うんだ」
ベルトルトがライナーの方をチラッと見た。
「じゃあお前はどうすればいいと思うんだよ」
ライナーが少し声を荒げて言った。
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- 28 : 2013/11/04(月) 10:02:11 :
- 「僕は…別に会わないべきだとは思わない。アニは大切な仲間なんだよ?そんなに簡単に決別できるの!?」
ベルトルトの声もだんだんと大きくなっていた。
「お前はそれで――――」
ライナーが大声で何かを言いかけたが、横で気まずい顔をしているエレンの方を見てとどまった。
「エレン…すまんが先に帰っててくれるか?これは俺たちの問題なんだ。本当にすまない…」
「ああ…俺もそうした方がいいなって思ってたところだ…じゃあな」
エレンはそう言って自転車に股がり、そそくさと練習場から離れていった。ライナーが話を続けた。
「お前はそれでいいかも知れんが、アニのことを考えろ。せっかく思い出さずにすんでいるのに…」
「アニがどう考えるかなんて――――」
ベルトルトの言葉を遮ってライナーが言った。
「今のアニは前世のアニじゃないんだぞ!アニからすれば今の俺たちは他人だ。かつてのような仲間意識や絆はない」
「ライナー、本当にそう思っているの!?」
ベルトルトが「本当に」を強調して言った。
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- 29 : 2013/11/04(月) 10:33:33 :
- 「どういう意味だ!?」
2人の話はもうケンカになっていた。
「今のアニは仲間じゃないだって?確かに、前世の僕ら3人は特別な関係で結ばれた仲間だった。だけどそれが無ければ、記憶が無ければ仲間じゃないのかい?僕らは「戦士」だったから仲間だったの?僕ら3人が仲間であることに、前世も現世も関係ないよ!」
ベルトルトが本音をぶつけた。
「そういう話じゃないだろ!」
ライナーが怒声を発した。
「ライナー、例えば大切な仲間が記憶を失ったとしよう。そうしたらその人はもう仲間じゃないのかい?人を「仲間」としてつなぐものは過去じゃない!今いるその人が自分にとって大切な「仲間」であるかどうかだ!」
「……!」
ライナーは少しの間、言葉を失ったが、ムキになって言い返した。
「…その「仲間」ってのがアニを不幸にするかもしれないだろ!」
「3年前、前世のことなんて関係ないって2人で決めたじゃないか!」
ベルトルトが言った。
「だからそれとこれとは…」
ライナーがうんざりするように言った。ベルトルトはその言い方にカチンときた。
「もういいよ!ライナーにとっては、僕ら3人の「仲間」ってそんなものだったんだね!」
ベルトルトはその言葉を最後に、練習場を去っていった。
熱くなった2人の言い合いには矛盾も多かった。2人とも、心の奥底では「前世の記憶」という牢に囚われたままだった。
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- 30 : 2013/11/04(月) 10:38:09 :
- キリがいいんでここで終わります。次に書くのは土曜になると思います。 コメントがあったらお願いします!
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- 31 : 2013/11/08(金) 07:46:47 :
- 明日書きます
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- 32 : 2013/11/09(土) 08:14:56 :
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4 現世の友情
長かった夏休みも終わり、西華条高校の生徒も新学期を迎えることとなった。夏の暑さも少しずつ弱まり、過ごしやすくなってきていた。
新学期初日、午前中の授業が終わり、ライナーは同じ1―Bのエレン、アルミン、ジャンの3人と教室で昼食を食べていた。ライナーは何度かベルトルトを見かけたが、まだ話してはいなかった。
「ちくしょう、なんで今日に限って売り切れなんだよ」
ジャンが机の上の牛乳を見て嘆いた。どうやらジャンの家の炊飯器が壊れて、米が炊けなかったらしい。ジャンは購買のパンを買いに行ったが、今日に限ってパンは売り切れだった。
「おかずと牛乳だけで主食なしか、辛いね」
アルミンが自分の弁当の卵焼きを食べながら言った。
「ついてねえよまったく」
ジャンがボヤいた。
「仕方ねえな、おにぎり一つやるよジャン」
エレンが自分のおにぎりを一つジャンの机の上に置いた。
「いいのかエレン!」
ジャンは少し戸惑いつつも、嬉しそうに言った。
「ああ、今日は部活が無いから大丈夫だ。でももうこれっきりだぞ、早く炊飯器直しておけよ」
「すまんエレン、恩に着るぜ」
ジャンが早速もらったおにぎりのアルミホイルを剥がした。
「そういえば、ライナー何だか元気ないね。どうかしたの?」
アルミンがあまり喋っていないライナーを気にして言った。
「いや…まあ、ベルトルトとちょっとケンカしちまってな…」
ライナーは少し落ち込んでいた。
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- 33 : 2013/11/09(土) 08:19:18 :
- 「ああ、あの日か。というかまだ仲直りしてなかったのか?」
エレンが夏休みの最後の部活を思い出して言った。
「あれから話してもいない」
ライナーが言った。
「そうなんだ…」
アルミンがそう言った後、すぐにジャンがライナーに聞いた。
「おいおい、お前らがケンカ?何があったんだよ?」
ジャンはエレンからもらったおにぎりを食べていた。
「あー、簡単に言うと、あることについて俺たち2人の意見が分かれたんだ。それで言い合いになって、お互いムキになったんだ」
ライナーがジャンに説明した。エレンは、あることが何かわかっていたので黙っていた。
「へー、で、あることって何だよ?」
ジャンがライナーに更に聞いた。ライナーはその質問に、少し考えてから答えた。
「う~ん、みんなに言うべきかどうかも迷ったんだが…上栄水町にアニがいたんだ」
ジャンとアルミンは驚いた。
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- 34 : 2013/11/09(土) 08:24:02 :
- 「アニの奴いたのか!で、記憶について悩んでるとかそんな感じか?」
ジャンが言った。エレンがライナーの方を見た。
「いや…ジャン、ライナーとベルトルトがケンカしたってことと、話の流れから考えるに、おそらくアニは前世の記憶を持っていないんじゃないかな」
アルミンが考えながら言った。
「…そうだ、アニには記憶が無かったんだ…よくわかったなアルミン」
ライナーはアルミンの洞察力に改めて驚いた。
「ああ、そうだったのか…思い出すきっかけが無かったのかもな」
ジャンが少し考えながら言った。
「俺はきっかけとか無くて、自然と思い出したけどな」
エレンがジャンの言葉に反応した。
「まあ、自然にしろ、きっかけがあったにしろ、みんな記憶を思い出してる。アニも今後、記憶を思い出す可能性はあると思う」
アルミンが言った。
「う~ん、それは思い出さない方がいいんじゃないか?俺たちはみんな一時的にそれに苦しめられたからな…まあ、今はみんなそのことで深く悩んだりはしてないだろうけどな」
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- 35 : 2013/11/09(土) 08:25:00 :
- エ、エネルギーが切れてきた
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- 36 : 2013/11/09(土) 09:16:34 :
- が、頑張れ
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- 37 : 2013/11/09(土) 09:17:20 :
- ありがとうございます…
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- 38 : 2013/11/09(土) 09:23:32 :
- 終わりまで話はできてるんですが、打つのに疲れてきました…
明日書きます
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- 39 : 2013/11/09(土) 09:53:13 :
- お疲れー明日も頑張れー
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- 40 : 2013/11/10(日) 09:46:48 :
- >>39 力になります。 ひょんなことからまるるるんさんと知り合えて良かったです。
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- 41 : 2013/11/10(日) 10:06:38 :
- ジャンが意見を言った。それにエレンが同意した。
「俺も思い出さないほうがいいと思う。アニの周りに記憶を持ってる奴はいないんだろうから、誰にも話せずに一人で抱えちまうんじゃないかな」
「そうなんだよ。俺もそう思うんだが、それが元でベルトルトとケンカになっちまったんだ」
ライナーが眉間にしわを寄せた。
「ベルトルトは記憶を思い出させた方がいいって言ってるの?」
アルミンがライナーに聞いた。
「いや、あいつもそうは思ってないと思うんだが…アニが大事な仲間であることに、記憶や前世、現世は関係ない、今後も会うべきだって言ったんだ。で、俺は会ったりしたら記憶を思い出させてしまうかも知れないから会わないべきだって言った。そこからケンカになった」
ライナーがケンカの詳しい原因を説明した。
「確かにそれは難しい話だな。アニだけ一人にしておくってのもあれだしな…」
ジャンが考え込んだ。
「あー…でも仮にアニが記憶を思い出した時に、お前ら2人がそばにいてやらないとまずくないか?」
エレンがライナーに言った。
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- 42 : 2013/11/10(日) 10:31:59 :
- 「う~ん、確かにそうかも知れん…」
ライナーが天井を見て考えた。
「とにかく、もう一度ベルトルトと話してみる」
「それがいいよ。この件はライナーとベルトルトに任せるよ」
アルミンがそう言うと、ライナーはまた考え込んだ。もうすぐ昼休みも終わるので、エレン、アルミン、ジャンは急いで残っている昼食を食べ始めた。ライナーがふと、3人に言った。
「なあ…お前ら…まだ俺たち3人のことを恨んでいるか…?」
この質問にはジャンが間発入れずに答えた。
「はあ!?何言ってんだよライナー、そんなわけねえだろ。アニを含めた俺たち11人は今に生きてるんだ。前世なんて関係ないってみんなわかってる。今のお前らに罪なんて何にもありゃしねぇ」
ライナーはジャンの言葉を聞いて目頭が熱くなってきた。しかし、昼休みに教室で涙を見せるわけにはいかないので、ライナーは必死でこらえた。
「俺は前世のライナー・ブラウンなんて知らねえし、何をしたかも知らねえ。俺が知っているのは今ここにいるライナー・ブラウンだけだ」
ジャンが更に言った。
-
- 43 : 2013/11/10(日) 11:59:16 :
- 次の週末に続き書きます。あと5分の2くらいかな
進行が遅くてすみません
-
- 44 : 2013/11/10(日) 12:54:57 :
- お疲れさん
面白いよ焦らずに頑張れー
-
- 45 : 2013/11/10(日) 18:20:19 :
- >>44 ありがとうございます!
-
- 46 : 2013/11/14(木) 14:22:17 :
- 今日は埼玉県民の日で休みー^ ^
頑張れ
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- 47 : 2013/11/15(金) 22:37:28 :
- 支援!
-
- 48 : 2013/11/16(土) 08:51:47 :
- >>46 そうなんですか、いいですねー
頑張って書きます ありがとうございます!
-
- 49 : 2013/11/16(土) 08:53:32 :
- >>47 あにきちさん、支援どーも! 明日書きます
-
- 50 : 2013/11/17(日) 14:16:33 :
- 「そうだよライナー、ジャンの言うとおりだよ」
アルミンが同意した。
「ジャンのくせにいいこと言うな」
エレンがジャンに言った。
「クッ、今日はおにぎりもらったから何も言い返せねえ…」
「ライナー?どうしたの?」
アルミンがライナーを見て心配した。ライナーは目を押さえて机に伏せていた。
「目が…目が痛えんだよ。目が痛い、目が痛い」
3人は顔を見合わせてクスクス笑った。
-
- 51 : 2013/11/17(日) 14:45:07 :
5 レーズン
その日の放課後、ライナーはベルトルトと話すために1-Aの教室の前で待っていた。ジャンたちと話して、ライナーの考えも徐々に変わってきていた。
10分近く待ったが、ホームルームが長引いているようで、まだ教室からは先生の声が聞こえていた。他のクラスの生徒はどんどん階段を下りて、生徒玄関へと向かっていた。ケンカした後の会話なので、ライナーは少し緊張していた。待つ時間が妙に長く感じた。
1-Aのホームルームが終わり、教室内は雑談でにぎやかになった。いくつかの集団がぞろぞろと廊下に出てきて、階段を下りていった。ちょうどライナーがその集団から教室の方へと視線を戻したとき、ベルトルトが1人で教室から出てきた。ベルトルトはライナーに気が付き、少し黙ってから口を開いた。
「ライナー…その、あの日のことなんだけどさ、僕の個人的な感情ばかり言ってムキになっちゃって…ごめん」
それを聞いたライナーが慌てて言った。ライナーも当然謝ろうと思っていた。
「い、いや…俺の方こそ悪かった。随分とお前の考えを否定するようなこと言っちまってすまなかった」
ライナーはここ数日間胸につかえていたものがスーッと消えていくような感じがした。
「いや、いいんだよライナー。あの時はお互いムキになりすぎていたんだよ」
ベルトルトが首を振って申し訳なさそうに言った。
「そうだな…じゃあ、これで仲直りってことでいいか?」
ライナーはズボンで右手を拭った後、ベルトルトに握手を求めた。ライナーの手はいつもより汗ばんでいた。
「もちろんだよ」
-
- 52 : 2013/11/17(日) 15:34:44 :
- ライナーとベルトルトは握手をした。何か深い安心感が戻ってきた気がした。
「まったく、お前とケンカしちまうなんてな」
ライナーが言った。
「そうだね…それでアニのことは…」
ベルトルトが言いにくそうに言った。
「ああ、俺も色々と考えたんだが…やっぱりアニに会おうと思う。会うべきか、会わないべきか、それは分からない…しかし、俺もお前もアニに会いたいと思っている。それなら会おう、会った方がいい。もしアニが記憶を思い出した時には、俺たち2人が支えになってやればいい」
ライナーが自分の考えを言った。
「うん、僕もそれでいいと思うよ」
ベルトルトが同意した。
「おう、そしたらいつアニに会おうか」
「じゃあ今日会わない?アニとジャスティンの高校はまだ明日まで夏休みなんだ。ジャスティンが言ってた」
ベルトルトがそう言った時、1-Aの先生がもう下校するようにと、まだ残っている生徒たちに言ったので、2人は階段へと向かった。
「で、まだ夏休みだって?アニと連絡は取れるのか?」
ライナーが歩きながら、すぐに話を続けた。
「うん、ジャスティン経由だけどね。アニの都合が良かったら今日行かない?」
ベルトルトがライナーに聞いた。
「そうだな、いきなりだけど…まあいいか。アニの都合が良ければな」
ライナーはアニの自分たちに対する反応が少し心配だった。先日に上栄水町で一度会ったが、向こうからすれば何がなんだかさっぱり分からなかっただろう。
-
- 53 : 2013/11/17(日) 15:35:37 :
- 今日はここまでにします コメントあったらお願いします
-
- 54 : 2013/11/17(日) 23:01:02 :
- 読ませていただきました!
See you next week!
-
- 55 : 2013/11/17(日) 23:04:38 :
- アニー僕だー結婚してくれー
-
- 56 : 2013/11/17(日) 23:29:46 :
- 素晴らしい作品だ
頑張ってください!
-
- 57 : 2013/11/17(日) 23:30:18 :
- >>55
いや俺が結婚する!
-
- 58 : 2013/11/23(土) 08:14:13 :
- >>54 読んでくれてありがとうございます! 今日の午後に書きます
-
- 59 : 2013/11/23(土) 08:18:46 :
- >>56 さよなライナーさん、もったいないお言葉…
頑張って書きます!
-
- 61 : 2013/11/23(土) 13:15:08 :
- 「それじゃあ、僕がジャスティンを経由してアニに連絡を取って、アニの都合が良かったらライナーに連絡するね」
階段を下り終わった時、ベルトルトが言った。
「ああ、じゃあそれで頼む」
家に帰ってきたライナーは、部屋でベルトルトからの連絡を待っていた。午後の授業は1時間しかなかったので、まだ3時すぎだった。
ライナーがトイレに行こうと立ち上がった時に、ベルトルトからの連絡がきた。ライナーは急いでスマホを見ると、アニの都合は大丈夫だったので、バス停にすぐ来て欲しい、という内容だった。
ライナーは急いでバス停に向かい、ライナーが着いてちょっとしてから、息を切らしたベルトルトが来た。ベルトルトは何か買ってから来たようで、レジ袋を手にしていた。2人はバスに乗り、再び上栄水町へと向かった。夏も終わりかけてきたというのに、空には雲一つ無く、太陽の日差しがギラギラと眩しかった。
待ち合わせ場所はまた同じ公園だったので、ライナーとベルトルトは先日と同じ道のりをまた走った。決して短い距離ではなかったが、やっぱり長くは感じなかった。ベルトルトも別に苦ではないようで、楽しそうに走っていた。
-
- 62 : 2013/11/23(土) 13:43:46 :
- 2人は息切れしながら公園に着いた。以前来た時にはそれどころではなくて気が付かなかったが、この公園は結構広く、芝がきれいに刈り揃えられたなかなかの公園だった。
アニとジャスティンは公園の端のベンチに座っていた。普通に考えれば、女の子1人で知らない男2人に会うのは危ない。ジャスティンは念のためのボディーガードだろう。
ライナーとベルトルトはベンチの方へ行った。
「やあ、ジャスティンとアニ」
ベルトルトは息切れしながらそう言ったので少しむせ込んだ。
「なあベルトルト、むせてるとこ悪いんだが何でそんなにアニに会いたいんだ?」
ジャスティンが笑いながらベルトルトに聞いた。
「あと…ライナーだったよな、ライナーもアニに会いたくて来たのか?」
ジャスティンが付け加えて聞いた。ライナーとジャスティンはあまり面識がなかった。
「んーまあそうだな、ジャスティンとアニの2人ともと仲良くなりたいんだ」
ライナーがジャスティンに言った。
-
- 63 : 2013/11/23(土) 13:44:56 :
- めっちゃ今更ですが、ジャスティンはオリジナルキャラです
-
- 64 : 2013/11/23(土) 15:49:36 :
- すみません! 明日は頑張ってもっと進めます!
コメントあったらお願いします
-
- 65 : 2013/11/23(土) 20:49:42 :
- 続き楽しみにしてます!
-
- 66 : 2013/11/24(日) 09:04:59 :
- >>65 そう言ってくれる人がいると嬉しいです
今日は雑談とかしないで集中して進めます!
-
- 67 : 2013/11/24(日) 09:22:20 :
- 「そうか、じゃあよろしくなライナー。お互い陸上やってることだし」
「ああ、こちらこそよろしく頼む」
ライナーが改めて言った。
「ねえ、あんたたち何か勘違いしてるかも知れないけど、私は別にジャスティンと特別仲がいいわけじゃないよ」
アニが冷静にライナーとベルトルトに言った。
「そんなひどいこと言うなよアニ…これから4人で仲良くやろうぜ」
ジャスティンがアニに言った。ライナーは、初めてジャスティンに会った時は、チャラチャラしてる奴だと思ったが、2度会って、普通にいい奴だなと思った。
「陸上仲間の男3人の中に、なんで私が加わるわけ?」
アニはこの状況がよく分からない、というように言った。
「アニ…そんなんだからあんまり友達がいないんだそ。もっとオープンに色んな人と付き合わなきゃ」
ジャスティンがそう言ったのを聞いて、ベルトルトがクスクス笑った。アニも少し顔を赤くしたように見えた。
-
- 68 : 2013/11/24(日) 09:23:30 :
- ジャスティンいいやつだな
-
- 69 : 2013/11/24(日) 09:45:02 :
- 「まあ…あんたら3人とも変な目的で私に近づいてきてるわけでもなさそうだし…」
アニがライナーとベルトルトを見て言った。
「え?俺のことを今までそういう風に見てたの?それにこの2人はそんな奴じゃないから」
ジャスティンが心外だ、というように驚いた。
「まあ、俺たちもそう思われても仕方無いよな」
ライナーが笑いながら言った。ベルトルトはホッとしていたが、思い出したようにバックの中からレジ袋を取り出した。
「あのさアニ、ジャスティンがアニはレーズンが好きだって言ってたから2人でレーズンを買ってきたんだ。アニにあげるよ」
ライナーは全く知らなかったが、ベルトルトは2人で買ってきたと言った。
「あんたらなかなか気が利くね。遠慮なくもらうよ」
アニがレーズンを受け取った。どうやらカリフォルニア産らしかった。
「全部食べたら太るぞ」
ジャスティンがアニをからかった。これにはライナーとベルトルトも笑った。
「…あんた本当にうるさいね。そんなに蹴られたい?」
アニがジャスティンを睨んだ。ジャスティンも笑いながら謝った。
「いやごめんごめん!うそうそ、アニは元々細いから大丈夫」
「まったく…女の子との話し方がなってないよ」
その後4人は、公園のベンチに座って話した。話の内容は大したものではなかったが、4人は大いに盛り上がって話した。しかし、明るくてノリのいいジャスティンがいなかったら、こんなに楽しく話はできなかっただろう。ライナーとベルトルトはジャスティンに感謝した。
-
- 70 : 2013/11/24(日) 09:47:48 :
- >>68 最初は、こんなにジャスティンが出る予定じゃなかったんですよw
ちょっと出る脇役のつもりでした
-
- 71 : 2013/11/24(日) 10:03:41 :
-
時間はあっという間に過ぎ、もうすぐ6時半だった。アニが結局レーズンを全部食べてしまったことにベルトルトが気づいて笑っていた時、ライナーが時計を見ていった。
「おっ、もうこんな時間か」
まだ日が長いので、たいして暗くなってはいなかったが、太陽は西から色鮮やかなオレンジ色の光を放っていた。
「そろそろ帰らないといけないね」
ベルトルトが夕日を見て言った。
「よし、じゃあ帰るか。時間とって悪かったな2人とも」
ライナーもまだ話していたかったが、ベンチから腰を上げた。
「いやいや、楽しかったよ。ライナーもLINEやってるよな、ID教えてくれるか?」
ジャスティンがライナーに言った。
「おう、もちろんいいぞ。えーとっな…」
ライナーとジャスティンがLINEのIDを教え合っている時、ベルトルトがアニに言った。
「アニのも教えてくれないかな?」
「いいよ、今日あんたたちと話しててけっこう楽しかったから」
アニは少し微笑んだ。その微笑み方は、前世と何ら変わらず、不思議なくらいだった。
「ありがとうアニ!」
-
- 72 : 2013/11/24(日) 10:14:00 :
- ベルトルトが嬉しそうに言った。
その後ライナーとベルトルトは、アニのLINEのIDを教えてもらい、アニとジャスティンと別れてバス停へと向かった。流石に疲れたようで、2人とも走ろうとはしなかった。しばらく歩いてバス停が見えた時、ライナーが言った。
「なあベルトルト、俺たちは…少し考え過ぎていたのかもな」
ベルトルトは、アニの微笑んだ顔を思い出しながら答えた。
「そうだね、本当に僕らは考え過ぎていたんだ…」
山々に沈もうとする太陽は、雲に囚われることなく、この街を澄んだ赤色に照らしていた。
-
- 73 : 2013/11/24(日) 10:21:02 :
- よし、進んだ! キリがいいんでここで終わります
前に「あと5分の2くらいかな」なんて言いましたが、大うそでしたw
まだ続きます また週末に
-
- 74 : 2013/11/24(日) 10:25:16 :
- 待ってるよ
-
- 75 : 2013/11/24(日) 11:13:07 :
- >>74 ありがとうございます
-
- 76 : 2013/11/25(月) 00:32:49 :
- 楽しみにしてまーす!
-
- 77 : 2013/11/30(土) 14:35:52 :
- >>76 どうもです
-
- 78 : 2013/11/30(土) 15:09:57 :
6 久しぶり
ライナーとベルトルトが上栄水町に行って、アニと改めて知り合ってから4週間ほどたった。ライナー、ベルトルト、アニ、ジャスティンの4人はかなり仲良くなっていて、この4週間でライナーとベルトルトは2回もアニとジャスティンに会いに行っていた。
「ライナー、ちょっといい?」
昼休みにベルトルトが廊下から、弁当を食べ終えてのんびりしていたライナーに声をかけた。
「…どうした?入ってこい」
窓からの日差しが暖かく、ライナーは眠気に襲われている状態だった。1-B教室の他のみんなも同じ感じで、アルミンもウトウトしており、エレンにいたっては完全に寝ていた。ベルトルトが教室に入ってきて言った。
「アニが明日会って話したいって言ってるんだ」
それを聞いたジャンがベルトルトをからかった。
「ベルトルトの好きな人が何だって?」
ライナーは少し笑ったが、ベルトルトは顔を赤らめて動揺した。
「え…!?やめてよジャン!そんなんじゃないよ!」
「そうだよなベルトルさん、好きな人どころじゃないよな。愛しの人だもんな」
ユミルがさらにからかった。ユミルはいつの間にか、ライナーたちの近くの席に座っていた。
「いやちょっと待て!お前いつから居た!?」
ジャンがユミルを見て、驚いて言った。
「さっきから居たよ」
ユミルはスカートだというのに、男のように股を開いて座っていた。
「まったく気が付かなかった…」
ライナーが手で目をこすりながら言った。
-
- 79 : 2013/12/01(日) 16:09:52 :
- 支援〜^o^
-
- 80 : 2013/12/01(日) 19:21:48 :
- >>79 どうもです 今日で終わらせます
-
- 81 : 2013/12/01(日) 19:24:47 :
- 「それりゃあライナー、あんたはさっきからこっくりこっくりしてたからな」
ユミルがライナーの真似をして左右にフラフラと揺れた。ライナーのとなりでアルミンが完全にダウンしていた。
「みんなしてひどいよ…」
ベルトルトが悲しそうに言った。
「お前さんがとっとと告らねえから悪いんだろ!」
ユミルがベルトルトに怒った。
「知り合って4週間で告白しろって言うの?」
ベルトルトが反論すると、ユミルは納得したように言った。
「あー、アニからすりゃそうなるか…」
「で、何の用だったんだベルトルト?」
ライナーがベルトルトに言った。
「え?言ったじゃないか、アニが明日会いたいって言ってるって」
ベルトルトはキョトンとした。
「寝ぼけすぎなんだよライナー」
ジャンが言った。
「す、すまん。本当に眠くてだな…」
ライナーが今度は両手で顔をこすった。
「明日は土曜…だよな。部活が終わった午後から行くか?」
ライナーが言った。
-
- 82 : 2013/12/01(日) 19:29:59 :
- 「そうしよう」
そう言って、ベルトルトはスマホを打ち出した。
「アニに何か打ってるぞ」
ジャンがライナーとユミルに小声で言った。
「女々しいな、直接電話しろってんだ。あ、そうだライナー、明日じゃなくていいからさ、今度私らにもアニに会わせてくれよ。クリスタも会いたいって言ってんだ」
ユミルがライナーに頼んだ。
「おう、わかった。アニに言っとく」
「まあ、アニは私らのことわかんないだろうけどな…」
ユミルがそう言った後、ベルトルトの方を向くと、ベルトルトはもう1-Aに戻ったようでそこにはいなかった。
「あ、ベルトルさんの奴勝手に戻りやがった。じゃあ私もA組に戻るかな、そろそろ時間だし。じゃあな」
「じゃあな」
ライナーが言った。
「ミカサによろしくなー」
ジャンがユミルにそう言ったが、ユミルはそれを無視して教室を出ていった。
「無視しやがって…俺だって愛しのミカサなんだぞ、ちくしょう」
ライナーはそれに対する言葉が見つからなかったので、同じように無視した。
次の日、部活が終わったライナーとベルトルトは、いつものようにバスで上栄水町へと向かった。バスの中でベルトルトはライナーに言った。
「アニ、昨日学校休んでたらしいよ」
「え…?LINEしてたのにか?どうしたんだ?」
ライナーが聞いた。
「うーん、僕も聞いてみたけど教えてくれなかった」
「そうか……」
その後2人は上栄水町に着き、バスを降りてまた走った。2度目に来た時とは違い、空には絶え間ない雲が居座っていた。
2人が公園に着くと、アニが1人でいつものベンチに座っていた。ベルトルトがアニに声をかけた。
「やあアニ、今日はジャスティンはいないのかい?」
アニは下を向いたまま静かに答えた。
-
- 83 : 2013/12/01(日) 19:33:35 :
- 「今日はジャスティンは呼んでないよ…」
「そうか…どうしたアニ…?元気なさそうだな」
ライナーがアニに言った。アニはしばらく黙っていたが、2人の方を見て言った。
「久しぶりだね……ライナー、ベルトルト…」
ライナーとベルトルトはその言葉の意味がすぐにわかった。お互い口にはしなかったが、アニが記憶を思い出すかも知れないと思っていたからだ。ライナーがベルトルトの方を見ると、さっきまでの微笑みは消え、静かにアニを見つめていた。
「もちろんあんたらは記憶があるんでしょ?初めて会った時のあの反応を見るにね…」
黙っていた2人にアニが言った。
「ああ、ある…お前はいつ思い出したんだ?ここ数日の間か?」
ライナーが言った。
「一昨日だよ、今でも何がなんだか…まったくわからないよ…」
アニは頭を抱えてうなだれた。それを見たベルトルトが慌ててアニに言った。
「ごめんよアニ…やっぱり僕らに出会ったから…」
「いや…もしあんたらに出会ってなくても、いつかは思い出しただろうさ…この記憶からは逃れられないんだ…」
アニが話を続けた。ライナーとベルトルトは立ったまま黙って聞いていた。
「今、気が変になりそうなんだよ…次々と記憶が溢れてきて、人の顔が浮かぶんだ…頭がおかしくなりそうで、もう何がなんだかわからないよ!」
-
- 84 : 2013/12/01(日) 19:43:28 :
- アニはだんだんとヒステリー気味になり、目からは涙が溢れていた。それを見たライナーとベルトルトも、胸が痛くなった。ライナーは泣いているアニの左どなりに座り、アニの肩にポンと手を置いて言った。
「大丈夫だアニ、全部わかってるから、わかってるから」
ライナーは何度もうなずいた。ライナーも目頭が熱くなってきていた。アニは両手で目を押さえて、唇を噛んだ。ベルトルトもアニの右どなりに座って、アニに言った。
「いいんだよアニ、泣きたい時は思いっきり泣いても。もう1人にしたりしないから、僕らがいるから」
それを聞いたアニは、貯めていたものが溢れたように声を上げて思いっきり泣き始めた。
「うっ、ううっうあああ!!ライナーああ!!ベルトルトおおお!!」
その後アニは、20分ほど泣き続けた。その間ライナーとベルトルトは、一歩も離れず、黙ったままアニのとなりに座っていた。アニが徐々に落ち着いてきた時、ライナーが口を開いた。
「なあアニ、もう前世のことなんて関係ないんだ。前世の自分と今の自分は別人だ。だから忘れていい。俺たちは今を生きるべきなんだ」
「あんたらは……平気なの…?」
アニは目を真っ赤に腫らして、グスグスと鼻水をすすっていた。
「思い出した時は平気じゃなかったさ」
ベルトルトが答えた。
「だけど、今はみんな前世のことなんて全然気にしてないよ」
「み、みんな…?」
アニがベルトルトに聞き返した。アニの表情は不安そうだった。
「うん、エレンとかアルミンとかジャンとか、みんな僕らの学校にいるよ」
ベルトルトが言った。それを聞いたアニはもっと不安な表情をして言った。
「きっと…みんな私のことを恨んでる…あんなことしたんだから、裏切ったんだから…」
「だから、そんなことは決してない。みんなそんなことは思ってない」
ライナーが否定した。アニが黙ったので、ベルトルトが言った。
「やっぱり、そう簡単には忘れられないよ。時間をかけて心の整理をするしかない…時間がかかることなんだ」
「そうだな、焦ることはないな…」
ライナーが言った。
「私…あいつらに会って謝りたい。謝って許されるようなことじゃないけど、謝っておきたい…」
アニが呟いた。
-
- 85 : 2013/12/01(日) 19:49:39 :
- 「だから…」
ライナーが何か言いかけたが、ベルトルトがそれを遮った。
「いや、ライナー、会わせよう。説明するより会った方が早い。みんなに会えばアニにもわかるさ」
「そう…だな、そうしよう。よし、今から行こう」
ライナーが立ち上がった。
「い、今から?」
ベルトルトが驚いた。
「そうだ、これ以上アニに深く悩ませない方がいい」
「…わかったよ、行こう。みんなの都合が合うかわからないけど」
ベルトルトがアニの手を取って立ち上がった。
「みんな…空気を読んでくれるはずさ…」
ベルトルトがライナーに言った。ライナーは少し間を空けて答えた。
「多分な…」
「行こうアニ」
ベルトルトがアニに優しく言った。アニは2人について行った。
7 初めまして
ライナーとベルトルトは、アニを連れてバスに乗り、自分らの町へ向かった。ベルトルトはまた連絡役を任され、8人と連絡を取った。奇跡的に全員の都合が合い、ライナーの部屋に集まることになった。8人には、アニが前世の記憶を思い出したということを伝えておいた。バスの中でライナーがベルトルトに言った。
「もっと気の利いた場所は無かったのか。俺の部屋に11人も入るのか?」
「大丈夫、ライナーの部屋は広いから」
ベルトルトが言った。アニは黙っていて話さなかった。
「……アニ、大丈夫だって」
ライナーがアニを励ました。
「…いざ会うとなったら、何て謝っていいかわからない…」
アニが元気のない声で言った。
「謝る必要は無いと思うけどな…」
ベルトルトがそう言うと、アニは無言で首を横に振った。
自分らの町に着き、3人はライナーの家へと歩いた。アニがとぼとぼ歩いたので、いつも以上に時間がかかった。途中、2人は何度もアニを励ましたり、不安を和らげようとしたが、アニは不安な顔をしたままだった。
ライナーの家に着くと、そこには何台もの自転車がきれいに並べてあった。
「家にこんなに大勢来るなんて…」
-
- 86 : 2013/12/01(日) 19:56:17 :
- ライナーが自転車を見て言った。
「いいじゃないか、アニのためなんだから」
ベルトルトがライナーに言った。
「それはもちろんだが…俺の部屋がどうなることやら」
ライナーがそう言って玄関のドアを開けた。ライナーが家に入り、ベルトルトも入ろうとしたが、少し後ろで立ち止まっているアニに気が付いた。
「…ライナー、先に行って8人のおもてなしをしてて。僕らもすぐ行くから」
ベルトルトが、靴を脱いでいたライナーに言った。
「わかった」
ライナーは2階に上がっていった。ベルトルトは閉めたドアを背に、アニと向き合った。
「ねえ、アニ」
「何…?」
アニが答えた。
「僕もね、昔はよく思ってたんだ。何で自分はみんなと一緒に生まれ変わったんだろうって。しかも前世の記憶を持って。でも、みんな僕らを恨んだりはしていなかった。みんないい人だ…」
アニは黙ってベルトルトの話を聞いていた。
「僕らはみんなを裏切った。そしてまた現世でみんなと出会った。何でだと思う?今は僕はこう思っているんだ。神様が僕らにみんなとやり直すチャンスをくれたんじゃないかって。少なくとも、前世のことで苦しむために生まれ変わったんじゃないよ。みんな記憶は残ってる。でも、みんなそんなことは気にせず、今を全力で生きているんだよ。みんなで楽しくね」
ベルトルトが言った。
「…すぐにはそうはなれないかも知れないけど、何も悩むことも苦しむことも無いよ。僕は、アニが前世のことなんて忘れて、また素敵な笑顔を見せてくれる日を待っているよ」
ベルトルトがアニに優しく言った。
「ベルトルト……ありがとう…」
アニの目にはまた涙が浮かんでいた。
「ほらほら、みんなに会うんだよ。悲しい顔しないで」
ベルトルトはそう言ったが、アニは泣いていた。
「一緒に行こう、さあ」
ベルトルトがドアを開けて言った。アニはうなづいてから必死に涙を拭いた。ベルトルトはライナーの母にあいさつをして、アニと2人で2階へ上がった。
ライナーの部屋からはにぎやかな声が聞こえていた。ベルトルトがドアを開け、2人は中に入った。部屋の中にはライナー、エレン、アルミン、ミカサ、ジャン、コニー、サシャ、クリスタ、ユミルがいた。8人がライナーの部屋を荒らしたようで、部屋は散らかっていた。ライナーが床のものを片付けていた。
-
- 87 : 2013/12/01(日) 20:00:24 :
- 「うわっ、すごいことになってるね」
ベルトルトが部屋を見て言った。アニが恐る恐るドアを閉め、みんなに話しかけた。
「あんたら…あ、あのさ…」
しかし、アニの言葉は途中でクリスタに遮られた。
「初めまして!私クリスタっていうの。これからよろしくね」
クリスタがアニの前に来て言った。アニは少し戸惑ったようだった。
「え…?は、初めまして…?」
「へえー、アニっていうのか、けっこうかわいいな。俺はジャン、よろしくな」
ジャンがそう言うと、エレンがジャンに言った。
「ミカサから乗り換えか?ジャン」
「かわいいなって言っただけだろ!」
ジャンとエレンは、そのまま2人でごちゃごちゃと言い合いを始めたが、みんなは無視してアニと話した。
「私はユミルな、あとこっちはコニーとサシャだ」
ユミルがアニに言った。
「自分で言わせろよな」
コニーがユミルに文句を言った。
「全くです」
サシャがアンパンを食べながらコニーに続いて言った。
「初めまして、アルミンっていうんだ。あそこでジャンと言い合ってるのがエレン」
「私はミカサ、あなたのことまだ知らないけど、仲良くなれそうな気がする」
アルミンとミカサがアニに自己紹介した。
「え……?」
アニはこの状況がよくわかっていないようだった。ライナーがベルトルトに小声で言った。
「俺は何も打ち合わせとかしてないぞ」
「みんなわかってるんだよ」
ベルトルトがニコッと笑って言った。
「じゃあ、アニからも自己紹介してもらうとしよう」
ユミルがアニに言った。アニはやっとみんなの真意を汲み取ったようだった。
「…上栄水高校の…アニ・レオンハートです。みんな…これからよろしく」
アニは目にうれし涙を溜めながらニッコリと笑った。ライナーとベルトルトも顔を見合わせて嬉しそうに笑った。
終わり
-
- 88 : 2013/12/01(日) 20:04:26 :
- これで終わりです。読んでくれた方、コメントをくれた方、ありがとうございました。
書き終わるまでに1ヶ月以上かかってしまい、本当に申し訳ありませんでした。
今後のSSも見ていただけると嬉しいです。
-
- 89 : 2013/12/01(日) 20:20:01 :
- お疲れ様でした
同郷組のハッピーエンド…よかったです
-
- 90 : 2013/12/01(日) 20:22:36 :
- >>89 あにきちさん、ありがとうございます!
今後もどうぞよろしく
-
- 91 : 2013/12/01(日) 21:22:37 :
- こちらこそ。
See you next week!
-
- 92 : 2013/12/04(水) 23:04:11 :
- めっちゃよかったです!
-
- 93 : 2013/12/07(土) 15:46:21 :
- >>92 さよなライナーさん、ありがとうございます
今後のSSも良かったら見てください
-
- 94 : 2013/12/14(土) 11:03:59 :
- 面白かった!
-
- 95 : 2013/12/14(土) 15:05:20 :
- >>94 どうもです!
-
- 96 : 2013/12/14(土) 17:26:39 :
- 間違って自分でお気に入り登録していた…
-
- 97 : 2014/01/03(金) 00:58:22 :
- WEEKENDさんの作品が好きでちょくちょく読んでいます。
出来ればアカウントは消さないでいただきたいです…
-
- 98 : 2014/01/03(金) 12:20:42 :
- >>97 わかりました アカウントは消さないでおきます
あにきちさん、今まで僕の拙いSSを読んでくれてありがとうございました
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