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【僕の嫁がこんなに奇行種なわけがない】~in駐屯兵団 後編~
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- 1 : 2014/04/27(日) 13:43:47 :
- こんにちは。執筆を始めさせていただきます。
前回までのあらすじ…
かくれんぼの罰ゲームで、ピクシス司令を口説こうと駐屯兵団に乗り込んだハンジ。
追いかけたモブリットは、突然のハプニングにより、アンカを押し倒しているところを、ハンジに目撃されてしまい、
2人は気まずい雰囲気になってしまう。
2人の想いは、どうなってしまうのか…
…さて今回は、色々なキャラクターの視点で物語を進めていくため、不明な点がでてくるかもしれません。
その際はお手数ですが、コメントにてお寄せください。お願いします。
では、どうぞ…
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- 2 : 2014/04/27(日) 13:53:00 :
- ※モブリット視点から始めます
その後もハンジさんは、いつもと変わらぬ様子で仕事をこなしていた。
…うわべから見れば、そうだった。
僕は、こんな寂しさと悲しみを抱えたまま壁外に出て
そしていつか…死ぬのだろうか…。
それだけは嫌だ。絶対に。
僕は以前から考えていた、ある作戦を実行に移すことにした。
そのためには、たくさんの人間の協力が必要になる。
僕は思い付いた。
毒をもって毒を制す。アンカさんに協力をお願いしてみることにした。
数日後、僕がアンカさん宛に出した手紙の返事がきた。
※{ }内は、アンカから届いた手紙の文面です
{お手紙、拝見いたしました。ピクシス司令もノリノリで協力すると意気込んでいます。
もちろん私も大賛成です。計画の成功をお祈りしています。頑張りましょうね。}
よし。善は急げだ。
僕はさっそく休日を利用し、駐屯兵団へと向かった。
ハンジさんの痛~い視線を背中に浴びながら…。
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- 3 : 2014/04/27(日) 14:00:23 :
- ※ここからはハンジ視点になります
モブリットの…バカ。
モブリットの…バカバカバカァッ!!!
モブリットは、あのアンカって子に手紙を出したらしい。
そして今日は休日。モブリットは朝早くからどこかに出掛けていった。
どう思う?ひどくない?ひどいよね、ひでぇっ!
私…こんな気持ちで壁外に出て
そしていつか…死んじゃうのかな…。
いや。私は分隊長。班員の皆を無事に帰す責任がある。
どっかの誰かみたいに、フィアンセを放っておいて他の女に走るバカとはちがう…なんて…。
モブリット…私の心は、君のそばにずっといるよ…。
信じたい、君を。信じてるからね…。
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- 4 : 2014/04/27(日) 14:08:36 :
- 次の日の夕刻、私はなんと、ピクシス司令から手紙で呼び出しをうけた。
なんでも、駐屯兵団の訓練の様子を視察に来てほしい…
もとい、また一緒に酒を飲みたい、とのことだった。
その手紙の文面を目にしたとき、私はにやりとした。
口説き落としたことにはならなかったみたいだけど、気に入られてはいるようだ。
この私の実力、あとでリヴァイに報告しなくちゃ。
そう意気込んで次の文に目を通したとき、私の顔から笑顔が消えた。※以下、{ }内はピクシスの手紙の文面です
{ぜひ、副官のモブリットと一緒に来るように。}
げ。
…モブリットを誘うのか…
…誘わなきゃダメなのか…
そんな私の思いを見透かすような、次の文。
{モブリットが来ないなら、ハンジ、お前も来なくてよいぞ。}
はいはい。
誘うよ。
私はため息をつくと、モブリットの自室へと向かった。
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- 5 : 2014/04/27(日) 14:22:30 :
- ※ここからはモブリット視点です
僕は、押し潰されそうな寂しさを紛らわすように、仕事に没頭した。
要は書類整理だ。
あの駐屯兵団の1件以来、ハンジさんはいつもと変わらぬ様子で仕事をこなしていた。
いや、いつも以上にこなそうとしていた。今の僕みたいに。
見ていて…辛かった…
コンコン。
ドアがノックされる。誰だろう。
「…どうぞ?」
扉が開き、訪問者の顔を見て、僕は胸を締めつけられる思いがした。
「…ハンジ…さん…」
「…うん…」
「ハンジさん…いつもなら、ノックなんてしないじゃないですか。」
「…そうだっけ?」
「モブリット~ねぇ、聞いてって言って…僕が着替えてようが何してようが、元気に入ってきてたじゃないですか。」
「…そうだっけ…」
「僕…あの時は怒りましたけど…本当は…」
僕は、口をつぐんだ。
代わりにハンジさんが口を開いた。うつむいたままで。
「駐屯兵団…」
「はい?」
「駐屯兵団に…行こうかなって…」
「…どうぞ。」
ハンジさんは上目遣いに僕を見つめ、
「…一緒に行こうかなって…」
可愛いな、おい。
いやいや。…素が出てしまった。落ち着け、自分。
「はあ…別にいいですけど…」
本当は嬉しいくせに、僕は素っ気ない態度で応じた。
ハンジさんが、ほっとした様子で息をついたのが分かった。
本当は抱きしめたいくせに、僕は手を後ろに組んで、ハンジさんから目をそらした。
ハンジさんは笑ったのだろう…多分。
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- 7 : 2014/04/27(日) 15:25:37 :
- 僕たちは一緒に駐屯兵団へと向かった。
この時も、僕らは会話を交わさなかった。
移動中の馬の上で、僕は今回の“作戦”の経緯を思い返していた。
<モブリット回想 駐屯兵団にて>
おずおずと訪ねてきた僕を、アンカさんとピクシス司令は、にこにこと出迎えてくれた。
「あの…すみません…こんなことを頼んでしまって…」
「いえ。他人の幸せのお手伝いをするって、素敵な事だと思います…ね、司令?」
アンカさんの言葉に、ピクシス司令もうなずいて
「うむ。人間、戦いのことばかり考えておっても、仕方ないしの。まあ、納得のいかない頑固者もおるが…」
「無理強いはしません。本当に協力してくださる方だけで結構ですので…」
「ま、主も男じゃ。一度腹を決めたんなら、堂々とやれ。」
ピクシス司令にドンと背中を叩かれ、僕はよろめいた。
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- 8 : 2014/04/27(日) 15:37:11 :
- ※ここからはハンネス視点です
「全くふざけてる!」
そう言い放ち、壁をドンと殴るのは、班長を務める、リコ.ブレチェンスカだった。
リコは続ける。
「私たちは兵士ですよ!?他人の色恋沙汰に手を貸す暇などないはずです。それをするのは…人類が巨人に打ち勝ったあとからです…聞いてますか、隊長!?」
俺は壁にもたれかかり、腕を組み目をつぶっていたため、彼女は声を上げた。
「…聞いてるさ。まあ、そうカッカするな。」
上官にそうたしなめられ、彼女も冷静さを取り戻す。
「…すみません…上官に向かって声を上げてしまって…」
「いや、そんなことは気にすんな。それに絶対やらなきゃいけないことじゃないしな。」
「隊長は…参加するおつもりなんですか?」
俺は組んでいる腕をほどいた。
「まあな。」
「…申し訳ありませんが、自分には理解できません。」
「いいさ。じゃ、練習に行ってくるかな。」
俺は、うつむくリコを残して、中庭へと向かった。
恋、か…。ずいぶんと忘れていた感情だった。
あの…兵士になったガキ共も、いつか一丁前に恋なんてするようになるんだろうな…。
今日や明日じゃない。だが、そう遠くない未来。
俺はその時も、見守ってやることができるだろうか…。
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- 9 : 2014/04/27(日) 15:52:10 :
- ※ここからは、モブリット視点です
色々なことを思い巡らすうちに、駐屯兵団へと到着した。
「おお、ハンジ。よく来たの。」
ピクシス司令が、おだやかに出迎える。
「…約束通り、モブリットも連れてきたよ。」
ハンジさんの言葉に、ピクシス司令は意味ありげな笑みを僕に向けた。僕はかすかにうなずいた。
「さ、どうぞ中へ…」
アンカさんに促され、僕らは中庭へと入っていった。
たくさんの兵士たちが、訓練に励んでいる。
作戦は順調に進んでいる。僕もしっかりしないと…。
「…にしてもさぁ…」
突然ハンジさんが口を開く。
「は、はい?」
僕はドキリとして声が裏返ったが、ハンジさんは構わず続ける。
「こういう事って普通…エルヴィンがやるもんなんじゃないの?」
そうなのだ。今回の作戦には、エルヴィン団長にも協力していただいている。
僕とハンジさんの、休暇と外出許可を出してくれた。団長、感謝です!
「さ…さぁ…団長もお忙しいでしょうし…」
僕の返事に、ハンジさんはため息をつく。
「はぁ…エルヴィンも、めんどくさい役目は部下に押しつけるってわけか。」
「分隊長…そういうセリフを、あまり大きな声で言うべきでは…」
周りの兵士たちは、威勢の良いかけ声と共に、対人格闘術や、立体機動の訓練に余念がない。
日はすっかり落ちて、頼りになる明かりは、松明の炎のみだ。
そんな松明の炎が突然…消えた。
さあ、いよいよだ。
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- 10 : 2014/04/27(日) 16:06:01 :
- ※ここからは、ハンジ視点です
えっ…えええっ!?
真っ暗だよぉ…もう日も落ちて、月も雲に隠れてるから、なにも分からない…早く松明に火をつけないと…
「分隊長…落ち着いて。」
モブリットの声が聞こえ、なぜか首周りがこそばゆい。
いや、そんなことより、早く火を…
「あっ…」
松明の火が再び灯される。視界が戻り、私はほっとした。
訓練も、何事もなかったかのように、再開される。
「予想外の出来事に冷静に対処する意味でも、夜間での訓練も必要ですね。」
「うん…そうだね。うちの兵団でも、取り入れようか。」
そんな会話を交わしつつ、訓練を視察していると、突然、リズミカルな音楽が流れ始めた。
「ん!?今度はな…なに!?」
戸惑う私を尻目に、今度は今まで訓練していた兵士たちが…ダンスを始めた!!なんだよ、この展開は!?
周りの兵士たちが、次々とリズミカルなダンスを踊り始め…モブリットまで、踊り始めちゃった!!
なっ…なになになに?私も踊れってこと?
意を決してステップを踏もうとしたとき、台車に乗せられて、布を被せられた何か大きなものが、私のすぐ目の前まで運ばれてくる。
兵士たちは、踊りながら、その運ばれたものの周りに集まり始める。
そして音楽が鳴り止んだと同時に、被せられていた布が、勢いよく取り外された。
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- 11 : 2014/04/27(日) 16:19:39 :
- …これは…鏡?全身を映し出す、大きな鏡だ。
兵士たちはというと…何事もなかったかのように、訓練へと戻ってゆく。
う~ん…鏡を見ろってことなのか…
「…えっ…」
私は一瞬目を疑った。
けど、間違いない。
私の首で光輝くもの…
「…これ…あの時の…」
あの時は…ショーウインドウの中で輝いていた。
あの、ダイヤのネックレス…
すると、私の肩を、モブリットが後ろから抱き、ささやいた。
「…似合いますよ、ハンジさん。」
「あの…これ…モブリットが…」
「他に誰が贈るっていうんですか…」
涙が溢れた。胸に秘めた想いと一緒に、溢れて止まらない。
「…モブリット…」
「…はい…」
私は抱きしめていた。世界で一番、愛しい人を。
「大好き…」
彼の両腕が、私の想いに応えた。
「僕もです…ハンジ…」
いつの間にか、兵士たちも訓練の手を止め、皆、私たちに拍手を送ってくれた。
私たちは笑顔で応えた。
私はそのままモブリットにお姫様抱っこをされる。
私はモブリットの胸に顔をうずめ、瞳を閉じていた…。
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- 12 : 2014/04/27(日) 16:30:39 :
- ※ここからは、ハンネス視点です
俺は少し離れたところから、幸せなカップルに拍手を送っていた。
隣には、少し不機嫌顔で、同じように拍手をする兵士がいる。
「…結局、駐屯兵団の兵士全員参加だったな、リコ。」
「私は…兵団同士の結び付きを強めておけば、いざというとき、頼もしい戦力になると思ったまでです。」
「頼もしい戦力、ね…」
「それに…」
リコは俺の顔に視線を移した。
「隊長のダンスは…その…怪しげな宗教の様で、見てられなくて…」
その言葉に、俺は肩を落とした。
「俺はどうも…ダンスの才能は無ぇらしい…」
「私もそう思います。」
俺は、そんな部下の言葉にため息をつきながらも、松明の炎に照らされる幸せな2人の笑顔を、見守っていた。
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- 13 : 2014/04/27(日) 16:42:22 :
- ※ここからは、ピクシス視点です
わしは、このめでたい席での祝杯を楽しみつつ、年寄りの気まぐれからか、離れた場所に生い茂る、1本の木に話しかけた。
「そろそろ…降りてきたらどうかのう。」
「…気づいてたのか、じいさん…」
木の上から返事が聞こえた。声の主は確か…
「そんな所で見てないで、共に祝杯を楽しもうじゃないか、リヴァイ…」
「…今は…飲む気分じゃねぇよ…」
リヴァイの言葉に、わしは肩をすくめた。
「幾日振りかのう…他人の幸せを…幸せと思い、共に分かち合うのは…」
リヴァイの返事が聞こえるのに、少し時間を要した。
「じいさんは、酒飲んでりゃ幸せって口だろうが…」
わしは笑った。
「まあ…確かにな。」
わしらはしばらく無言になった。
「…良かったのう。2人が、幸せになって…」
見ると、ちょうどハンジとモブリットは、周りにはやし立てられて、照れくさそうにキスを交わしているところだった。
「…まぁ…悪くない。」
カサリ、と木の揺れる音が聞こえた後、もう何の返事も聞こえてくることはなかった。
わしは1人、もうしばらく目を細めて、幸せな2人を眺めていることにした。
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- 14 : 2014/04/27(日) 16:51:09 :
- 以上で、終了とさせていただきます。
今回、モブリットが仕組んだ作戦…
うまく表現できたでしょうか(^_^;)
フラッシュモブです。
モブリット、だけにwww…いやいや、サプライズ演出の定番かと思いまして。
今、ハンジとモブリットは幸せです。これからも、皆さんで見守ってあげてください。
それに…罰ゲームがまだ残ってますしね。
ナイル…どうしてやろうか…くふふ←怪しいやつ(^_^;)
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
次回がどんな作品になるかは未定ですが、またよろしくお願いします。
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