ssnote

x

新規登録する

作品にスターを付けるにはユーザー登録が必要です! 今ならすぐに登録可能!

この作品は執筆を終了しています。

愛しい君と最後の時を…※エレクリ 現パロ

    • Good
    • 10

loupe をクリックすると、その人の書き込みとそれに関連した書き込みだけが表示されます。

▼一番下へ

表示を元に戻す

  1. 1 : : 2014/04/06(日) 17:55:20
    目が覚めた


    時計の針は9時を指している







    「……………」








    どうやら夢ではないようだ


    その証拠として、彼女の髪留めが机の上に置いてあるから











    俺と一緒に3日間過ごした彼女は、彼女であって、彼女でない



    俺が今から話すことは、とても不思議で、誰も信じてくれないような、あり得ない出来事なんだが、確かに彼女はそこにいたんだ









    少し付き合ってくれるか?




  2. 2 : : 2014/04/06(日) 17:56:34

    ジリリリリリリリリ









    カチ









    目覚ましを止めた

    今日だけで何回鳴っているだろう







    「…やっべー…」








    わざわざ時計を見なくたってわかる

    寝坊した





    「………はぁ〜……」




    ため息を尽きながら重い腰を上げ、
    ノロノロとベットを降りる






    「あっ!!!」




    大事なことを思い出した


    普段の部活なら、遅れて行くことはしょっちゅうだか、今日という日に限って引退したばかりのリヴァイ先輩が来るのだ




    俺は焦った




    ジャージに着替え部屋を飛び出し、階段を駆け下りる

    リビングに入るとテーブルにトーストが用意してあった

    父さんが寝坊した俺のために作ってくれたのだろう










    「…っと、忘れるとこだった」







    隣の和室に入り仏壇の前に立つ











    「…母さん、行ってきます」








    そう言うと俺は家を出た






  3. 3 : : 2014/04/06(日) 17:57:42
    もう2年も前の話になるけど








    母さんは俺が中学3年の時に死んだんだ

    あれは幼馴染1家とキャンプに行く途中のことだった

    俺の父さんの車で行ったのだが、キャンプ場に向かう道を走っているとき、








    ドーン








    ってね

    正面からトラックがぶつかってきたんだよ





    俺は後部座席にいたから、骨折程度で済んだ

    正面衝突っても、父さんがとっさにハンドル切って避けたみたいで、怪我も、命に関わるようなことではなかった

    助手席にいた幼馴染のお父さんは即死だった

    そのことで父さんは責任を感じてるようだった





    母さんは俺の隣に座ってた

    俺の目の前で死んだ

    何も出来なかった

    ぐしゃぐしゃになって、本当にこれは母さんなのかと思った






    結局、俺と父さん以外は皆死んだんだ

    俺にとってはもう2度と思い出したくない出来事だな


  4. 4 : : 2014/04/06(日) 17:58:25

    チャリに乗って全速力



    家を出て100mほどにある公園に目をやる

    時計の針は9時20分過ぎを指していた





    ヤバい






    自分の家から学校まで、最短15分はかかる

    しかしそれはあくまで最短
    15分で着ける訳がない







    「…あ〜またリヴァイ先輩に怒られる〜」








    仕方なく俺は電話で部活の友人に遅れると連絡することにした








    「もしもーし!ジャン?」

    『あ?おいエレンてめーおせーよ!何してんだよ!』

    「こめん寝坊したわ!悪いけど監督に伝えといてー!じゃ頼んだわ!」

    『あ?!ちょっとまてやこら…』







    「うし、これでおっけー」









    ジャンは小学生のときからの友人だ

    最初は喧嘩ばっか売ってくるうざいやつだと思っていたけれど、事故の後、誰より支えてくれたのはこいつだった

    葬式のときは隣で一緒に泣いてくれた










    まぁ今でも喧嘩ばかりだけど、普通に仲良くやってる良い友達だ



  5. 5 : : 2014/04/06(日) 17:59:06

    そろそろ学校に着く

    後は学校前の踏み切りを通るだけだ



    踏み切り前は坂になっている

    足を広げ下ってく

    風を切る音がする








    「うひょー!気持ちー!」








    7月、それなりに暑い日だったから、肌に当たる風が心地良い












    そこであることに気付いた






















    ブレーキが効かない
















    「は?!…うそだろ…?!」










    一気に青ざめた

    ブレーキはカチカチというだけ

    スピードがどんどん上がってく









    踏み切りに飛び出した

    周りから叫び声が聞こえる

    なぜかその瞬間はゆっくりに感じた

    そして体に大きな衝撃が走った瞬間












    俺の意識は途絶えた



  6. 6 : : 2014/04/06(日) 18:00:20



    気付いた時、俺は学校の体育館の真ん中に立っていた









    「………は?………なんだこれ…」











    どうしてこんな所にいるんだ?

    確かに俺はさっき電車にはねられた

    瞬間移動でもしたのか?











    「…訳わかんねぇ…」














    すると入り口付近に人がいることに気づいた



    アルミン、コニー、ライナー、ベルトルト、マルコだ

    そしてなぜかジャンがいない













    「おっす!エレン!今日は遅刻してないみたいだな!」


    「とは言ってもギリギリだぞ?」





    ライナーとコニーが話しかけてきた











    「…あ…あぁ……それよりジャンはどこだ?まだ来てないのか?」











    全員の顔が強張った

    何か言ってはいけない事を言ってしまったような












    「何言ってるのエレン?」


    「平気?疲れてるのか?」
















    「ジャンは1年前に死んだじゃないか」







  7. 7 : : 2014/04/06(日) 18:01:36

    わからない



    この世界のことがわからないのは俺がバカだからじゃないよな?









    「悪りぃ…俺疲れてるみたいだ…今日はもう帰るな…」



    「お…おう…お大事にな…」






    そう言って体育館を出た






  8. 8 : : 2014/04/06(日) 18:02:22



    家に入る

    ちゃんと鍵は開く

    ただ家具の位置が少し違う気がする

    帰るまでにも違和感はあった

    公園があった場所にはアパートが建って、駄菓子屋があった場所は更地になっている



    自分の部屋に入り、ベットにダイブした

    うつ伏せになったまま今までのことを考える





    ジャンがいない訳がない


    さっきまで電話をしていたのだから



    1年前に死んだってどういうことだ?
















    ここはジャンが存在しない世界?















    「………あ………」












    パラレルワールド…………か……?




  9. 9 : : 2014/04/06(日) 18:03:21


    ある世界から分岐し、それに並行して存在する別の世界を指す。




    並行世界











    もしもここが、ジャンがどこかで『死んだ』世界だとしたら?







    事故の衝撃で、この世界に迷い込んだとしたら?












    「…マジか…」











    色々と考えている内に、自然と寝てしまったようだ

    目が覚めたとき、窓の外は夕焼け空だった





  10. 10 : : 2014/04/06(日) 18:04:09



    「あっ!そういや携帯………」












    ポケットの中に手を突っ込んだ

    スマホを取り出しLINEを見てみる

    ほとんどが知ってる人だが、知らない人も何人かいた

    ジャンの名前はない

    この携帯は多分、こっちの世界の俺の持ち物だろう

    画面を下にスクロールしていく

    ある名前の所で止めた













    クリスタ・レンズ












    自分の心臓の鼓動がはやくなるのがわかった


    それは紛れもなく幼馴染の名前だったから


    驚きと喜びが入り混じった不思議な感情になった


    まさか…











    いや…そんなはずはない











    でもそうだそしたら辻褄が合ってしまう

















    あの日クリスタが死ななかった世界?




  11. 11 : : 2014/04/06(日) 18:05:27

    7月

    とても暑い日のことだった










    「あっつーい…」






    そう言って彼女は俺のいる日陰まで走って来た

    長い髪をバレッタで留める







    「屋上に出てみたいって言ったのはお前だろーが」



    「だってエレンと一緒にいたかったんだもん」



    「それとこれとは関係ない」



    「むぅ…」









    中学1年の俺たち


    今日は1時間目をサボって屋上に来ている


    サボったは良いがやることがない













    「エレン見てー!うちのクラスサッカーやってるよー!」


    「あーそーだな、あんま柵によると見つかるからこっちこい、クリスタ」


    「うん!」










    クリスタとは幼馴染で、小さい頃からいつも隣にいた

    小学校に上がってからはクリスタを好きな男子にいじめられ、そのたび俺に泣きついてきた

    正直、クリスタを他の男子に取られたくなかったから、いじめられるたびにくっついてくることは嫌じゃなかった




    最初に会ったのが3歳の頃だったから、もう10年も片思いし続けてることになる












    ポツリ












    「あっ!雨?!」


    「空は明るいからすぐ止むよ」


    「はやく止まないかな〜」












    ザァァァァァァァァァァァ


    ーーーーーーーーーーポツリ











    「もう止むかな〜」



    「なぁクリスタ」



    「ん?」











    言ってしまおうか

    ここで













    好きだと
















    「虹出てるぞ、クリスタ」


    「え?!あっ!本当だ!」


    「すっごい大きいよ!エレン!」


    「好きだ」


    「………………へ…………?」













    自然と口から出ていた
















    「……うん……私も……エレンのことが好き」


    「付き合おう」


    「しょうがないなぁ」


    「生意気だぞ」


    「あはは」













    「これからよろしくね、エレン」














    その日からとにかく幸せで、もう何もいらないと思った

  12. 12 : : 2014/04/06(日) 18:06:27


    キキイィィィィィィィィ









    ドォン














    何が起きたかわからなかった




    気が付いたら右足が痛くて、母さんは突っ込んで来たトラックに潰されてた















    「…クリスタ…クリスタは…」















    「……え……エレン……」











    クリスタは車の外に投げ出されていた


    おそらく折れてるであろう右足を引きずって彼女の元に向かう












    「クリスタ……今……そっち行くぞ……」












    俺は倒れているクリスタの手を握った












    「…エレン……私……多分……死んじゃうんだね……」





    「……まだ……まだ死なねぇよ……一緒に………生きよう……」





    「……無理だよ……もう……眠いもん……」




    「……嫌だ……死なないでくれ……大好きだから………さぁ……」
















    「……死ぬのは…怖くないよ……」










    「……エレン……と……会えなくなる……のは……怖い……」















    「……クリスタ……大丈夫……だ……ずっと……一緒に……いるから……」





    「……そう言ってくれるだけで……嬉しいよ…………ありがとう…………でも………」


















    「…やっぱり死にたくないなぁ…」ポロポロ


















    「…クリスタ?……おいクリスタ……死なないでくれよ……おい!」














    クリスタは死んだ


    付き合ってから2年が経った、7月のことだった

  13. 13 : : 2014/04/06(日) 18:07:12


    数日後、葬式が行われた
















    「知ってる?イェーガーさん家のエレン君、レンズさん家のクリスタちゃんと恋人同士だったらしいわよ」










    泣くもんか












    「お母さんも同時に亡くなるなんて、可哀想ねぇ」












    泣くもんか













    「お父さんもお医者様で、あまり家に帰れないらしいわよ」












    「………うぅ………」




    「エレン」




    「……ジャンか……」



    「んだよ……笑いにきたのかよ…」



    「笑うわけねぇよ」



    「………」



    「…な…泣けよ……お……俺も泣くから」ポロポロ



    「………」









    「…う……ぁぁ…」ポロポロ




    「…ぁぁぁあ…うぁああぁ」ポロポロ












    その日、大切なものを失った

    泣いて泣いて、涙が出なくなるまで泣き腫らした

  14. 14 : : 2014/04/06(日) 18:07:30

    それから、もう二度と彼女はつくらないと決めた




    どうせ失うなら、作らないほうが良い
  15. 15 : : 2014/04/06(日) 18:26:01


    「…こんな時に、思い出すのは…」



    ふとつぶやいた




    携帯の写真を見ると、俺とクリスタのツーショットやあの日、キャンプに行った時のものもあった




    「……」




    その写真を見ると、なんだか泣けてきた



    こっちの俺は、幸せなんだなぁ…と思って













    ピンポーン









    玄関のチャイムが鳴った

    宅急便か何かかと思いドアを開けた



















    「エレン!」


















    彼女だ

    流石に2年も経つと見た目もだいぶ変わった

    とても綺麗になった

    相変わらずあのバレッタは着けている













    「…どうした?」













    なるべく平静を装った












    「部活終わった頃に迎え行ったら今日は体調不良って言うんだもん
    心配になって来ちゃった」












    クリスタだ…見た目は大人になったけど、俺の大好きなクリスタだ












    「あー…寝たら治ったわ」




    「そっか!じゃあご飯食べ行こうよ!」



    「おう」

  16. 16 : : 2014/04/06(日) 18:26:41

    その後、家から10分程のファミレスに入った


    俺はチーハン、彼女はスパゲッティを頼んだ

    彼女は俺にバレないようにハンバーグをつまんでた

    よく小さい頃にもやってたな

    その一挙一動、たわいない会話も俺の心につき刺さった

    食べてる途中、俺の顔をじっと見つめる時があった











    「俺の顔になんかついてる?」



    「…いや、相変わらず目力凄いなぁって」



    「喧嘩売ってんのか」



    「あはは!冗談だよ!」










    あーヤバい

    涙が出てくる

    ずっと堪えてたがもう限界だ











    「え?!どうしたの?!そんなにからかわれるの嫌だった?!」



    「嫌じゃねえよ!!」



    「じゃあなんで泣いてんの?!」



    「うるせぇぇぇえええ!!」



    「ええええええええ?!」













    本当にこいつは何にも変わんねぇ

    食べれる量少ないくせに俺のは取るし

    俺をからかうの好きだし











    改めて、俺こいつが大好きなんだなぁ



  17. 17 : : 2014/04/06(日) 18:27:11


    「ねぇ!明日は何の日でしょう!」


    「海の日?」


    「違うし!!エレンが私に告白した日だよ」


    「はぁ?よくそんなの覚えてるな…」


    「去年もやったじゃん!付き合って1年パーティ」


    「そうだった………な?」


    「なんで疑問形?とりあえず!明日はデートだからね!」


    「おう」


    「食べ終わったし!店出よっか」


    「そうだな」




  18. 18 : : 2014/04/06(日) 18:27:36

    「さっきはからかってごめんね?」



    店を出たら彼女はそう言った



    「あれは別に嫌じゃなかった」


    「でも泣いてたじゃん」


    「目にゴミが入った」


    「…そうか……ゴミか……あっ!そう言えばすっごく聞きたいことがあったんだ!」



    「なに?」

  19. 19 : : 2014/04/06(日) 18:28:21

    一瞬すごく焦った

    彼女の大きな瞳が、じっと俺を見つめていたから

    彼女は急に表情が真剣になり、声のトーンを下げて言った











    「どうして右手ばっかり使ってるの?」






    彼女は目に涙を浮かべ、震える声で俺に聞いた














    「エレン、1ヶ月前に右手骨折したよね?今だって治ってないはずだもん、そんなに動かせる訳ないよね?」











    何も言えなかった

    俺はこっちの世界の俺じゃないから











    彼女は泣き出した









    「おかしいよねぇ?顔も性格もエレンだけどエレンじゃないんだもん!記念日だって覚えてないし!
    ねぇ!ちゃんと説明して!
    もう…………訳わかんないよ………!」





    「ねぇ誰なの?」


    「エレンだよ」


    「エレンじゃない!似てるけど全然違う!」










    考えればわかることだった

    この世界で過ごしてきた俺と、違う世界で過ごしてきた俺とじゃ全くの別人だ

    彼女が不思議に思うのも無理はない

    でも、その言葉は俺にとって今までで一番辛いものだった
  20. 20 : : 2014/04/06(日) 18:29:00

    「わかった、全部説明する…信じられないかもしれないけど言うよ」


    「……………」











    とにかく俺は必死で説明した

    俺がいた世界のことを全部

    最後まで彼女は聞いてくれた

    涙を必死で堪えているようだった

    聞き終えた彼女は一言

    「信じられる訳がない」

    と言って走り去ってしまった

    全てが終わったと思った
  21. 21 : : 2014/04/06(日) 18:29:42

    そこからのことはよく覚えていない

    確か帰って、風呂に入って、ベットにダイブしたと思う

    俺は違う意味で、また恋人を失ってしまったのだろう












    この世界に来て2日目

    最悪の気分で目が覚めた

    俺はその日、もう一度電車に轢かれて元の世界へ戻ろうと考えていた










    コンコン











    ドアがノックされた

    多分父さんだろうと思ったけど

    入ってきたのは彼女だった







    俺を見るなり近づいてきて頭を下げた









    「ごめんなさい!最初は本当にふざけてると思った!でもそんなことなかった!エレンはエレンだった!」



    「確かに信じられない話だけど、信じてみようと思ったの!だってエレンじゃなきゃ、好物のチーハン食べないもんね!」






    チーハンの力はすごいと思った

    笑顔になった彼女を見て、俺は号泣した

    彼女も泣いた

    二人して泣いて面白いねって笑った

    この世界に来たことで、もう一度彼女に会えたことは、本当に幸せだった

    この幸せが永遠に続けは良いと思った

  22. 22 : : 2014/04/06(日) 18:30:13

    「なぁ、多分俺もう一回電車にぶつかれば戻れると思うんだよね」


    「え?本当?それって痛くない?」


    「衝撃はヤバいけど痛くはなかったな」


    「そっかぁ…」


    「どうした?彼氏戻ってくるかもしれないのに嬉しくないのか?」



    「いやそりゃー嬉しいけどさぁ…」



    「ここにいるエレンがいなくなったら、ちょっとさみしいなあって…」



    「…………」



    「んなこと言ってねぇで行くぞ!」



    「あっ!ちょっと!待ってよ〜」













    正直言うと、嬉しかった

    ここにいる俺は俺じゃないはずなのに、さみしいって言って貰えるんだから……

    でも、もうすぐお別れかな…

    あんまり長居すると向こうの俺が可哀想だから
  23. 23 : : 2014/04/06(日) 18:30:51


    「ほら、ここの踏み切りだよ」


    「……………」


    「ねぇ……本当に行っちゃうの?」


    「あぁ、さっさともどんねえと親が心配するしな」


    「……そっか」


    「お、ちょうど電車来たし」




    俺は棒の下をくぐって線路の上に立った

    今の時間は人も少ないようで、俺とクリスタ以外の人はいなかった











    「…じゃあな」


    「…うん…」


    「幸せになれよ」

  24. 24 : : 2014/04/06(日) 18:31:13


    もうすぐ電車が通る

    俺とクリスタはじっと見つめあっていた

    50m程電車が迫って来たとき、俺は彼女に言った












    「クリスタ……愛してるぞ」


  25. 25 : : 2014/04/06(日) 18:32:10


    そう言った瞬間、彼女が線路に飛び出して来た















    そのまま飛びつかれて、線路の横にころがった



    彼女は俺の胸に顔をうずめて泣いていた










    「…ごめんなさい…ごめんなさい…本当に…」


    「いいよ…また何回でも出来るし…」



    「…どんな理由でも、エレンがいなくなるのは悲しいし怖い」



    「大丈夫、もう少しいてやるから」



    「……えへへ」










    俺は彼女が笑ってくれたことが嬉しかった
  26. 26 : : 2014/04/06(日) 18:33:08
    それから俺たちは、クリスタの家に行くことになった

    クリスタの部屋は相変わらず綺麗で、とても女の子らしかった







    「…しっかし…こっちの俺は良いなぁ…クリスタのことを何度も好きって言えるし、何度もクリスタの笑顔を見れるんだから」



    「そんな恥ずかしいこと言わないでよ」



    「いや……本当にさ」







    そこまで言って急に泣きそうになった

    今日までで何回泣いてんだ俺は











    「じゃあ今言ってよ、今私を見てよ」



    「は?」



    「エレンがこっちにいる間は、私があっちの世界のクリスタになってあげる!」



    「……………」











    俺は今まで自分でもわかる程クリスタを見てなかったと思う

    だってそこにいるのは彼女であって彼女でないのだから



    しかしクリスタはクリスタだ

    俺にとっては何より大切で、何より愛おしい存在
  27. 27 : : 2014/04/06(日) 18:33:39

    俺は無意識に彼女に近づいて、軽くキスをした





    もう一度、今度は長めに







    彼女の顔が赤くなっている







    3回目のキス

    舌を入れる

    彼女から小さな喘ぎ声が聞こえる













    「…もうやめちゃうの?」



    「こっちの俺に申し訳ないからな」



    「優しいんだね」



    「そうか?」











    その日俺たちは、布団の中で抱き合って眠りについた

  28. 28 : : 2014/04/06(日) 18:34:10


    「…エレン…今日…帰っちゃうよね?」


    「あぁ、流石に3日は長い」


    「う〜さみしい!」


    「そんなこと言うなよ」












    彼女と過ごす、最後の時間

    俺たちは中学校の屋上に来ていた











    「懐かしいね〜!ここでエレンに告白されたんだもん!」



    「恥ずかしいから思い出させんな」



    「え〜?いいじゃん」



    「そういやあの後キース先生に見つかってさぁ〜」



    「めちゃめちゃ怒られたよね」



    「あぁ…怖かったわ」




    「……………ちょうど今くらいの時間だったよね、私たちが付き合ったの」



    「……5年前の昨日か」



    「うん………」
  29. 29 : : 2014/04/06(日) 18:35:21

    「あっ!そうだ!記念にこれあげるよ!」










    そう言うと彼女は髪を束ねていたバレッタをはずした











    「これ!」




    「ん、ありがと」



    「……このバレッタ、ずっと使ってるな、ちょっと汚れてきちゃってるし…新しいの買ってやろうか?」




    「…………え…………」











    そのとき彼女は、10年間1度も見せたことのないような、悲しそうな表情をした



    そしてその表情をみて、このバレッタは、彼女が中学校に上がるときにプレゼントしたものだということを思い出した




    彼女はとても喜んでくれたのに、俺はすっかり忘れてしまったようだ



    なんてひどいことをしてしまったのだろう











    「…あはは………5年も経てば…私のことなんて忘れちゃうよね……そんな小さな髪留めなんて………」










    必死に作り笑いをしてるのがわかった











    「っ///」タッ





    「あっ!ちょっと待てクリスタ!」






    「ごめん!1人にして!」

  30. 30 : : 2014/04/06(日) 18:35:52

    俺はバカか

    あいつは俺に貰った髪留めを5年間も大事にしてくれたのに










    「………」














    これは貰えない

    俺の家の机に置いといてやろう

    そして……












    今…帰ろう…


  31. 31 : : 2014/04/06(日) 18:36:22


    ゆっくり、ゆっくりと踏み切りへ向かう

    髪留めはしっかりこっちの俺に返しておいた

    後は俺が帰るだけだ












    前と同じように、人はいなかった

    ちょうど電車が来ていた

    俺はなんとなく、次の電車にしようと思った














    電車が俺の前を横切った

    線路の向こう側に誰かいる





  32. 32 : : 2014/04/06(日) 18:37:06











    「…クリスタ………!」












    無意識に俺は走り出していた


    クリスタも俺の方へ走って来る










    「エレン!!」











    俺たちは線路の上でキツく抱き合った














    「クリスタ…………ごめん………本当にごめん」





    「いいの………!私こそ意地になって………」






    俺はこのとき、今まで言えなかった言葉は全て吐き出した












    「クリスタ!ずっと好きだった!お前がいなくなってからもだ!
    愛してる!結婚しよう!」













    言い終わってから、結婚しようはまずかったと思ったが、今言わないと、もう二度と伝えることができないと思った






  33. 33 : : 2014/04/06(日) 18:37:31






    電車が来た

    あと数秒しかクリスタといれないだろう


    出来ることならもう離れたくない


    でもそれは叶わないから……





  34. 34 : : 2014/04/06(日) 18:38:12










    今…この瞬間を…





















    愛しい君と最後の時を…


























    「…クリスタ…愛してる…さようなら…」



    「エレ……」













    俺はクリスタを突き飛ばした















    そして最後に…

















    「…幸せになってくれ…」





  35. 35 : : 2014/04/06(日) 18:38:40











    瞬間、体に強い衝撃が走る

















    俺の意識はそこで途絶えた











  36. 36 : : 2014/04/06(日) 18:39:00


















  37. 37 : : 2014/04/06(日) 18:39:36
    目が覚めた


    時計の針は9時を指している







    「……………」








    どうやら夢ではないようだ


    その証拠として、恋人の髪留めが机の上に置いてあるから












    これは本当に、俺がさっきまで体験していたことだ

    信じられないかもしれないが、確かに彼女はそこにいた















    ほんの3日間、短い期間だったけど

    俺は最後に彼女に会えて良かった













    いや、最後じゃない

    いつかまた、彼女に会える日が来るだろう

    信じていれば、きっと

  38. 38 : : 2014/04/06(日) 18:40:11














    愛しい君と、もう一度……
























    END
  39. 39 : : 2014/04/06(日) 18:41:14
    これで終わりですが、改めて読み返すとひどい文www
    最後まで読んでくださった皆さん、ありがとうございました(*^^*)
  40. 40 : : 2014/04/06(日) 18:50:50
    泣けました               とても良かったです
  41. 41 : : 2014/04/06(日) 18:52:39
    ≪40ありがとうございます(*^o^*)
  42. 42 : : 2014/04/06(日) 23:29:25
    感動しました              素晴らしいかったです
  43. 43 : : 2014/04/06(日) 23:33:38
    ≪42ありがとうございます(*^^*)
    そう言って貰えると嬉しいです
  44. 44 : : 2014/04/06(日) 23:45:21
    凄くいい作品でした!
  45. 45 : : 2014/04/06(日) 23:46:13
    終わり方が............













    かっけぇ...
  46. 46 : : 2014/04/06(日) 23:51:48
    ≪44 45ありがとう!
  47. 47 : : 2014/04/12(土) 21:27:59
    良いですね…これ…
    素晴らしい作品ですね… 感動しました…
    最高です…
  48. 48 : : 2014/04/12(土) 21:35:30
    >>47そこまで言って貰えると本当に嬉しいですね(*^^*)
    ありがとうございます!
  49. 49 : : 2014/04/12(土) 22:20:02
    >>47
    同意。 稀に見る良作ですわ。
  50. 50 : : 2014/04/12(土) 22:21:53
    >>49まじですかΣ(゚д゚lll)
    ありがとうございます!
  51. 51 : : 2014/04/16(水) 01:18:15
    感動しました。良い作品でした(本当に泣いたなんて言えない)
  52. 52 : : 2014/04/16(水) 15:27:58
    >>51ありがとう(*^^*)
  53. 53 : : 2014/05/23(金) 18:09:06
    泣きました。俺の涙を返してください。
  54. 54 : : 2014/07/24(木) 21:58:31
    この後どぅなったか凄く気になる!!!
  55. 55 : : 2015/09/07(月) 02:54:00
    ん?

    クリスタが生きてる世界に髪留めを置いたのに?

    なんで元の世界にあるの?

    なんでそれが証拠なの?
  56. 56 : : 2015/09/29(火) 21:26:24
    えっとパラレルワールドで起こったことは現実に比例?するんだっけ
    まあなんやかんやで
    感動です(Ω△Ω)ぅぅぅ
  57. 57 : : 2016/05/23(月) 18:48:45
    イェーガー訓練兵とレンズ訓練兵はkうわあああああああん(T ^ T)
  58. 58 : : 2017/04/11(火) 19:05:07
    あれ、目から汗が・・・?
  59. 59 : : 2017/06/26(月) 18:13:37
    別に3回泣いた訳じゃねーからな

  60. 60 : : 2017/06/28(水) 00:41:18
    とてもいい話でした
  61. 61 : : 2017/07/05(水) 20:00:54
    ヤバい泣ける
    普段エレアニ派だけどエレクリもよいかも
    いい作品をありがとう
  62. 62 : : 2017/12/09(土) 12:13:30
    つ、続きをー
  63. 63 : : 2017/12/26(火) 21:31:21
    エレン「愛してる.........クリスタ....」
  64. 64 : : 2018/01/04(木) 17:09:06
    あれ?···目から汗が···
  65. 65 : : 2019/03/30(土) 01:26:32
    ええ話や (涙かっこ)
  66. 66 : : 2019/07/14(日) 23:29:02
    よし、本出そう
  67. 67 : : 2020/10/06(火) 14:01:25
    高身長イケメン偏差値70代の生まれた時からnote民とは格が違って、黒帯で力も強くて身体能力も高いが、noteに個人情報を公開して引退まで追い込まれたラーメンマンの冒険
    http://www.ssnote.net/archives/80410

    恋中騒動 提督 みかぱん 絶賛恋仲 神威団
    http://www.ssnote.net/archives/86931

    害悪ユーザーカグラ
    http://www.ssnote.net/archives/78041

    害悪ユーザースルメ わたあめ
    http://www.ssnote.net/archives/78042

    害悪ユーザーエルドカエサル (カエサル)
    http://www.ssnote.net/archives/80906

    害悪ユーザー提督、にゃる、墓場
    http://www.ssnote.net/archives/81672

    害悪ユーザー墓場、提督の別アカ
    http://www.ssnote.net/archives/81774

    害悪ユーザー筋力
    http://www.ssnote.net/archives/84057

    害悪ユーザースルメ、カグラ、提督謝罪
    http://www.ssnote.net/archives/85091

    害悪ユーザー空山
    http://www.ssnote.net/archives/81038

    【キャロル様教団】
    http://www.ssnote.net/archives/86972

    何故、登録ユーザーは自演をするのだろうか??
    コソコソ隠れて見てるのも知ってるぞ?
    http://www.ssnote.net/archives/86986

    http://www.ssnote.net/categories/%E9%80%B2%E6%92%83%E3%81%AE%E5%B7%A8%E4%BA%BA/populars?p=38

▲一番上へ

名前
#

名前は最大20文字までで、記号は([]_+-)が使えます。また、トリップを使用することができます。詳しくはガイドをご確認ください。
トリップを付けておくと、あなたの書き込みのみ表示などのオプションが有効になります。
執筆者の方は、偽防止のためにトリップを付けておくことを強くおすすめします。

本文

2000文字以内で投稿できます。

0

投稿時に確認ウィンドウを表示する

著者情報
rin_rin_titan

Satori

@rin_rin_titan

「進撃の巨人」カテゴリの最新記事
「進撃の巨人」SSの交流広場
進撃の巨人 交流広場