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エレン「鼓動」

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  1. 1 : : 2014/03/27(木) 21:06:36

    現パロ
    エレアニの予定です

  2. 2 : : 2014/03/27(木) 21:07:06

    「(この世にはお金ではどうしようもない事ばかりだ)」


    「(あんな紙切れじゃ何も出来ない)」


    「(だから私はお金が嫌い)」


    「(いや、正確にはお金にしか頭にない大人か…)」




    ある病院の一室。


    窓際のベットにもたれ掛かっている少女は身動き一つせず外を眺めながら


    ふと、そんな事を思う


    そこからは病院の中庭が見える


    中庭には大きい噴水を中心に中庭全体に、色鮮やかな花が植えられている



    まるでここが、病院という「少女の牢屋」である事を忘れさせてしまいそうな程、綺麗だった


    噴水の近くのベンチには、ここの患者であろう男女二人が仲良く座っていた


    「(私も…あんな風になりたかった)」


    少女は自分らしくないと言わんばかりに窓のカーテンを閉めた


    少女は目を瞑り、暫くして浅い眠りについた



    アニ レオンハート。
    彼女が医者に宣告された余命はー


    あと、一年たらずだった
  3. 3 : : 2014/03/28(金) 20:36:40

    レオンハートコーポレーション。


    世界有数の大企業だ


    その社長の一人娘、アニレオンハート

    それが私だったーー



    小さい頃から周りの大人たちから優遇された


    小中学校では先生さえ私を特別扱いし、そんな私に親しい友人は居なかった


    周りの子供たちの親も私を良い子良い子して、うわべっ面の優しさを精一杯ふるまった


    私はそれが大嫌いだった


    誰も本心から私に関わろうとしなかった


    私に居場所なんてなかった…


    ……いや、私に関わって来た奴が


    一人いた。


    バカが一人だけ。


    遠い記憶、あまり覚えていないが小学校低学年だったと思う


    そいつは親の仕事の都合とかで一週間だけ転校して来た



    「綺麗な髪だな」



    空気の読めないそいつは、真っ先に私に声をかけてくれた


    私は唖然した


    びっくりして何も言えなかった



    「(私の事まだ知らないのかな…なら、知って欲しくないな…)」



    「お前一人か?俺と一緒だな」



    笑ながらそいつは言った


    全く…お前なんて初めて言われたよ


    私たちはすぐに打ち解けた


    私の事を知らないとしても嬉しかった


    初めて本当の友だちと言える存在だったから。


    なんでも心を許して言い合える存在だったから。


    今となってはそいつの顔は勿論、名前すら覚えていない


    もはや、どうでもいい事に過ぎない


    けど…


    そいつと過ごした一週間は楽しかった事だけ覚えている…
  4. 4 : : 2014/03/28(金) 20:55:36
    (T_T)ヤバい、最初でも泣く。
  5. 5 : : 2014/03/28(金) 21:09:55


    ユミル「アニ、検査の時間だ」


    アニ「…」


    この人は私を担当している先生だ


    ユミル「結果はっと…よし!目立った異常はないな!」


    アニ「…こんな事したって、どーせ私は死ぬんでしょ?」


    ユミル「ッ!」


    アニ「あんたらも大変だね、意味のない “作業”をして…まぁお金のためじゃ仕方が無いね」


    ユミル「…なぁアニ」


    ユミル「お前の言う通りだよ、今の医学じゃお前は助からない」


    ユミル「だけど後、一年以内にすげぇ医者がお前を治すかもしれない。そしたら私の行動は意味あるものになるな」ニヤッ


    アニ「フン、あんたが見つけてくれるわけじゃないだろう?」


    ユミル「おいおい、私はすげー医者だぞ!」ハハハッ


    アニ「笑えないね、用がすんだなら早くどこかに行ってよ」


    ユミル「たくっ、かわいくねぇガキだな、おい」


    アニ「…もしあんたが私を治してくれたら、いくらでも笑ってやるよ」


    ユミル「…」


    この人が一番知ってるはずだ


    名前を覚えるのも、めんどくさい私の病気は


    ここら数年で治療法が発見される代物でない事を


    先生はワザとらしく“あっ!そうだ”と言って話しを変える


    ニヤニヤしながら(殴りたいこの笑顔)目の前の看守は


    “この病室にもう一人患者を入れる事になった。お前と年の近い男だぞ!喜べ!”


    ーーなどと言って私の意見は聞きたくないと言わんばかりに、さっさと背を向けてどっかへ行ってしまった


    まぁ元々、この病室は四人分のベッドならふつうにはいる広さなので


    なにもおかしくはないのだが…


    なにもおかしくはないのだが、


    明らかにさっきの看守が仕組んだ事だろう


    つまりこの牢屋に可哀想な囚人が一人増えると言う事だ


    …やれやれ

  6. 6 : : 2014/03/28(金) 21:14:53
    まさか…
  7. 7 : : 2014/03/29(土) 05:16:12
    ん? この展開はもしかして…?

    期待だな。
  8. 8 : : 2014/03/29(土) 07:05:14


    白くて清潔感のある病院の長い廊下


    ここで何百人もの人が亡くなったとは思えない


    そして、今から死んでいく人がいるとも思えない


    病気とは残酷なものだ


    なにもしてないのに、それは突然やってきて体を蝕んでいく


    そんな理不尽が許せなくて彼女は医者になった


    それなのに…


    白衣を着た一人の医者はバン!と壁に左手を握りしめて殴った


    自分はなにが医者だ


    患者も、患者の心も助けられずになにが医者だ


    自分の無力さがこんなにイラつくとはこの職に就くまで知らなかった


    彼女はなにも出来ずに、目の前で亡くなっていった患者を今までごまんと見てきた


    目の前で人が死ぬのはいつまで経っても慣れるものではない


    ユミル「ちくしょう…また私は誰も救えないのかよ…」


    自然と目頭が熱くなってしまう


    こんな思いはもうしたくない、そう思って努力しても、それは私について来てはくれない


    「先生…大丈夫ですか?」


    立ち止まっていた彼女の前に一人の患者が心配そうに声をかけて来た


    彼女は慌ててなにもなかったかのように明るい顔で頭を上げた


    ユミル「おう!お前か、どうした?」


    「いや…先生こそどうしたんですか?こんなところで立ち止まって」


    ユミル「あ、ああ!少し考え事してたんだ!」


    「そうでしたか、てっきり体調が悪いのかと」


    ユミル「なんだ?心配してくれんのか!さてはお前…私の事好きだろ」ニヤニヤ


    「?はい、好きですけど?」


    ユミル「うぉい、そんなストレートに言われたらびっくりするだろ…」


    「?きっと皆先生の事好きですよ」


    ユミル「…あね、てめっ少し恥ずかしいじゃねぇか//」


    「はぁ、」


    ユミル「…まぁ、きっとそれはねぇな」


    私はおそらく、ほとんどの患者に嫌われているだろう


    病気を治せないわたしを…



    アニ「…どーせ私は死ぬんでしょ?」



    さっきの言葉が耳から離れない


    あいつから見たら私は牢獄の看守にでも見えているのかもしれない


    「そんなこと、ありませんよ」


    「もしそうだとしても、俺は先生の事好きですよ」


    そいつは笑顔のままそう言ってくれた


    ユミル「…ありがとよ」


    そうだ、落ち込んでいる場合じゃない


    こんな奴のためにも私はここの人間を助けなくてはいけないんだ
  9. 9 : : 2014/03/29(土) 20:02:59


    病院の廊下を歩いていると知っている人が壁に寄り添っていた


    この人は俺を担当してくれる人だ


    「先生…大丈夫ですか?」


    ユミル「おう!お前か、どうした?」


    俺はこの先生がいい人って事を知ってる


    「いや…先生こそどうしたんですか?こんなところで立ち止まって」


    ユミル「あ、ああ!少し考え事してたんだ!」


    「そうでしたか、てっきり体調が悪いのかと」


    ほら、現に今まで泣いてたくせにそれを隠して明るく振舞ってくれる


    患者である俺に心配かけたくないのか


    泣いているのを見られるのが嫌なだけかは、わからないけど…


    ユミル「なんだ?心配してくれんのか!さてはお前…私の事好きだろ」ニヤニヤ


    「?はい、好きですけど?」


    ユミル「うぉい、そんなストレートに言われたらびっくりするだろ…」


    「?きっと皆先生の事好きですよ」


    ユミル「…あね、てめっ少し恥ずかしいじゃねぇか//」


    「はぁ、」


    なんで顔を赤くしてんだ?
    うーん、変な人だ


    ユミル「…まぁ、きっとそれはねぇな」


    先生は急に顔色を変えて意味深な事言い出した


    俺は先生がなにか抱えてる事くらいすぐに分かった


    だからと言って俺が力になれる事なんてないけど…


    「そんなこと、ありませんよ」


    「もしそうだとしても、俺は先生の事好きですよ」


    だから俺は出来るだけ励ましたつもりだ


    ユミル「…ありがとよ」


    俺は一礼して先生と別れた


    ここに用事があったから


    用事っていってもただの挨拶だが


    俺はアニレオンハートと書かれた名札しかない病室をゆっくり開ける


    開けた瞬間、外の明るい光で少し目が眩んでしまう


    それと同時に心地よい風が、俺の間を通り抜けていった


    目が光に慣れてくると




    そこには一人の美しい少女がいた




    「…」


    おもわず見とれてしまった


    その少女は俺の事をじっと見ている


    やばい…目をあわせられない


    それでも少女の視線が俺の肌をつっついてくる


    俺の頭はフル回転真っ只中


    えっ?なにこれ?
    ちょいちょい、心の準備出来てませんよ?


    なんか顔が熱いんですけど


    はい。俺の脳みそオーバーヒート


    あぁ、やべ、頭がパンクした


    頭ん中なんもねぇや、ハハハ…


    アニ「…ねぇ」


    少女の声におもわずビクッと体が反応してしまう


    恥ずかしい…


    アニ「入るんだったら入ってよ、ドアを開けっ放しにされたら寒いんだけど」


    「あっ、ご、ごめん」


    そういって俺はドアを閉めて中へ入る


    完全に声裏返ったし


    もぉやだ、泣きたい


    そして嫌というほどわかった


    自分はこの少女に一目惚れしてしまったのだ
  10. 10 : : 2014/03/30(日) 06:44:02

    私は半分くらいまで窓を開けて気持ちの良い風を感じていた


    そいつは私の大事な時間をぶち壊しノックもしないでドアを開けた


    なんて常識のない奴だ


    そいつは光で目が眩んだのか、目を細めた


    少しして目を開けるとまるで幽霊を見るように目を見開き、そして目を逸らした


    なんだいこいつは…全く、傷つくね


    私からしたら、気持ちよく風を感じていたら突然ドア開けた奴が私を幽霊扱いしている…という状況なのだが


    ハァ……仕方がないから声をかけてやった


    アニ「…ねぇ」


    すると目の前の少年はビクッと体を震わせた


    あぁ…そうかいそうかい、私がそんなに怖いか


    こいつのせいで良い気分だったのがぶち壊しだ


    アニ「入るんだったら入ってよ、ドアを開けっ放しにされたら寒いんだけど」


    「あっ、ご、ごめん」


    あ、声裏返った


    フフッ…おもしろい奴だな
    今ので少し落ち着いてきた


    アニ「…ところであんたが新しいここの住人かい?」


    「あ、ああ!そうなんだ!今日は挨拶にと思ってお邪魔したんだ!」


    顔を上げたこいつは何故か顔が赤かった


    しかしまぁ、良い奴そうじゃないか


    アニ「私はアニレオンハート」


    アニ「…よろしく」


    「あっ!俺はエレンイェーガーです」


    エレン「明日からここに来る事になってるから、よろしく」


    そういうと少年は黙り込んだ


    私をジッと見つめてくる


    黙り込んだかと思うと、少年の口からビックリするような言葉が聞こえた



    「その…綺麗な髪だな」



    少年は"言わなきゃ良かった"という感じでリンゴのような顔を下に向けた



    そんな事より私は驚いてしばらく頭が真っ白になった


    あのバカと全く同じ台詞だったから


    私にとっては特別な言葉だったから


    少年はそんな私の隙を狙ったように“じゃ、じゃあまた明日”と言って逃げるように病室から出ていった


    少年が出ていってしまうと何故か少し淋しくなった


    もしかしてあのバカなのだろうか…


    …まさか、そんな事あり得ないよ


    もう、あいつとは会えない


    そんなのわかってる事じゃないか


    それでも…


    期待してしまう私がいる


    アニ「…エレン…か…」


    耳触りの良い名前だ


    なんだか私はこの名前が好きみたい


    そしてエレンとあのバカの姿を重ねてしまう


    こんな気持ちいつぶりだろう


    早く明日にならないかな…
  11. 11 : : 2014/03/31(月) 19:38:28
    期待!!
  12. 12 : : 2014/04/01(火) 16:17:53

    一人の少年はある病室から屋上まで駆け上がっていた


    屋上のドアを開けると、目の前には綺麗な夕日がちょうど沈み始めていた


    エレン「ハァハァ……ふぅ」


    エレン「あー、やっちまった…」


    エレン「(なにを考えて俺はあんなこと…)」



    …いや、仕方なかった


    彼女のあの髪を見たらいつの間にか口が開いていた


    窓から差し込む夕日が彼女を照らして


    その姿はまるで上品などこかのお姫様に見えるぐらいだったのだから


    エレン「…アニ…か…」


    彼女にぴったりな美しい名前だと思う


    明日から一緒にいられると思うと、なんかこう…胸からなにか溢れる感じがする


    きっと今鏡を見たら俺はひいてしまうくらい、にやけてるだろう


    …まだ彼女の声が耳に残っている


    俺は夕日が沈むまで屋上で佇んでいた

  13. 13 : : 2014/04/01(火) 16:24:13
    期待ですねぇー
  14. 14 : : 2014/04/02(水) 00:30:13

    カーテンの隙間から入り込む朝日と雀の鳴き声で目が覚めた


    どうも朝は憂鬱だ


    朝に弱いのもあるがこっちのほうが原因は大きいだろう


    コンコン


    アニ「…はい」


    ガチャ


    朝の八時


    ノックと共に病室入って来たのはエレン…ではなく


    身長が高く病院では似合わない黒スーツを着た初老の男性であった

    「おはようございますお嬢様」


    アニ「…おはよ」


    彼はベルトルトフーバー


    レオンハートコーポレーション社長の秘書かつ、彼女の世話役である


    彼は決まってこの時間に彼女と面会している


    それは個人的感情ではなく、世話役という"仕事"でだ


    ベルトルト「お嬢様、ご主人様より伝言を預かっております」


    アニ「…」


    ベルトルト「…今週も会えそうにない、すまないとのことでした」


    アニ「…父さんは……仕事で忙しいの?」


    ベルトルト「はい。今週は海外の社長様との契約を決める大事な面会がありますので」


    アニ「…そう」


    アニ「…いつもいつも仕事…」


    アニ「そんなにお金が大事なんだね…」


    ベルトルト「ご主人はとてもお嬢様に会いたがっております」


    アニ「…最後に来たのはもう二ヶ月前だよ」


    アニ「死ぬ娘より金が大事なそんな奴の顔なんか見たくない…」


    アニ「もうあんたらの言葉は信用出来ないね」


    アニ「鬱陶しいからさっさと帰りな!」


    そう叫んで彼女は彼に枕を投げつけた


    彼は避けようともせず、そんな彼には枕と数多い暴言が飛びかかる


    それでも顔色一つ変えずに


    ベルトルト「かしこまりましたお嬢様」


    そういって黒服の男は深々と頭を下げ病室を後にした


    彼の行動全てが機械であるといっても間違いないだろう


    彼女は小さい頃からあの黒服の男が苦手だった


    彼のやる事する事全てが父によってインプットされた機械にしか見えなかったから

  15. 15 : : 2014/04/02(水) 11:48:42
    ベルトルトのスーツ姿似合う気がする
    期待!!!
  16. 16 : : 2014/04/02(水) 12:08:57
    アニ・・・可愛そう
  17. 17 : : 2014/04/03(木) 17:35:51
    今私の目の前には


    ダイエット食品と言ってもおかしくない食事が並べられている


    黒服のせいでただでさえ味気のない病院の朝食がさらに不味く感じる


    どうせ死ぬのだからもっと美味しいものを食べさせて欲しい


    そんなささやかな願いも叶うわけないか…


    そんな私の気持ちも知らずに


    隣のベットの男は嫌な顔一つせずに食べている


    いや、むしろ…


    エレン「うわっ、これうまっ!」バクバク


    エレン「ん!こっちもおいしい!」ガツガツ


    アニ「…」


    アニ「…あんたこんな味気のないもんよく食べれるね」


    エレン「そうか?普通にうまいけど…」


    エレン「アニもしっかり食べないと腹減るぞ?」


    アニ「…はぁ」


    それが事実なので仕方がない


    私は少しずつ口に運ぶ


    …やっぱりおいしくない


    これじゃ本当に牢獄と変わらないね


    結局半分以上残してしまった


    ガラガラ


    ユミル「よう、お二人さん」


    エレン「おはようございます先生」


    アニ「…」


    ユミル「おいおいアニ、飯食わねぇとぶっ倒れるぞ」


    アニ「おいしくない」


    エレン「ちょ、アニ…」


    ユミル「あはは!即答だなお前!」


    アニ「…」


    エレン「お、俺はおいしかったですよ」


    ユミル「いいっていいって、病院食なんだからおいしくないのは当たり前だっつの」


    エレン「(いや、普通においしかったんだけど…)」


    アニ「私は病院食を食べる必要ないでしょ?」


    ユミル「そうだが…親父さんの要望だからな」


    アニ「またあいつか…」チッ


    ユミル「…よし!お昼は私がなんか奢ってやろう!」


    アニ「…ほんと?」


    ユミル「おう!寿司行こうぜ寿司!」


    エレン「せ、先生、そんなことして良いんですか!?」


    ユミル「知らん」


    エレン「ええー!」


    アニ「細かい事気にしない」


    ユミル「そうだぞ?病院食じゃ寿司なんて絶対でないぜ?」


    エレン「でも…」


    ユミル「じゃあエレンはいらないな」ニヤッ


    エレン「寿司、食べたいっす」キリッ


    アニ「フフッ」




    ユミル「…」


    アニは本当は表情豊かな人間だ


    こいつから笑顔を奪ってるのは


    病気と、こいつの環境だろう


    病気を治せない私たちにできる事は数少ない


    だけど私はこの一年に治療法を見つけ出してやる!


    絶対にだ!


    ……しかし…現状は厳しい


    私は最後の最後まで諦めない…それでも…


    見つからない可能性が高いだろう


    もしそんな最悪の事になったら…


    アニは幸せを知らずに行ってしまう事になる


    だから私はまずアニを幸せにすると決めた


    病院の奴らが、周りがなんと言おうが私はこいつに尽くすと決めた
  18. 18 : : 2014/04/03(木) 20:32:55
    ユミル先生頑張れ!
    期待!!
  19. 19 : : 2014/04/03(木) 23:17:55
    ガラガラ


    ユミル「よし、二人ともこれに着替えろ」


    エレン「ちょ、先生!これ女ものの服じゃないですか!」


    ユミル「当たり前だろ?私は女だ」ニヤニヤ


    アニ「ほら、早く着なよ」クスクス


    エレン「わざとだ…絶対わざと持ってきやがったな…」


    ユミル「ほら、早くしないと置いてくぞ?」ニヤニヤ


    エレン「俺は間違ってた…この人は良い人じゃねぇ…鬼だ」


    ユミル「ヘェ〜お前は行かないんだなエレン」


    エレン「着替えます!一分で着替えます!」



    一分後



    アニ「可愛いよエレン」クスクス


    ユミル「おう!似合ってるぞ」ケラケラ


    エレン「…そりゃどうも…(スカートじゃないだけまだましだ…)」グスン



    ー駐車場ー


    ユミル「ほら、見つかる前に乗れ」


    エレン「寿司かぁ…久しぶりだな」ウズウズ


    アニ「あんたは落ち着きがないね」フフッ


    ユミル「…」ニコ


    アニが笑うなんて今日が初めてだった


    エレンを同じ病室にしたのは間違ってなかったな…


    ユミル「よし、行くぞ!」


    アニ「…ねぇ」


    ユミル「ん?なんだ?」


    アニ「ありがとね」ニコ


    ユミル「…おう」


    なぜだろう


    アニが幸せになるのを望んだのに


    こいつが笑うのを見ると


    辛くなってしまう


    きっとこれからアニを幸せに出来ても


    私はアニの笑顔を見る度に辛くなってしまうだろう


    その先になにが待ち構えているのか想像してしまうから


    私は最低だな…


    でも一番それを感じているのはアニ自身だ


    ……結局は私はなにも出来ない


    この子から不安を取り除く事は


    私には病気を治す事以外にないのだ




    でもきっとエレンは違う


    こいつなら…


    こいつならアニを孤独から救ってくれる


    私はそう信じる


    こいつもアニほどではないが


    孤独の辛さを知っているから



    アニ「病院の外なんて何ヶ月ぶりだろ…」


    ユミル「…」


    それでもアニが喜んでくれるのは嬉しいな




    そしてやっぱ…


    ユミル「勝手に抜け出したのは不味かったかな…」


    うん。よく考えたらヤバイな


    絶対院長に怒られるわ


    そんで問題になって医師免許剥奪とかあり得んじゃん


    うっわやっべ


    そんな私の心配を後ろの二人が吹き飛ばしてくれた


    「「なにを今更」」


    ユミル「…ですよね」




    小さな車の中では温かい三人の笑い声が響いた


    いつまでもこんな時間が続けば良いのに…


    そう思っているのは一人ではなかった


    そして続くはずもなかった
  20. 20 : : 2014/04/05(土) 08:29:21
    うぅ悲しい(ノД`)・゜・。
    そして期待!
  21. 21 : : 2014/04/06(日) 10:34:22

    外は雨が降っている


    もう梅雨の季節に入っただろう


    私は窓の外を眺める事が少なくなった


    エレンと私はある程度話をする仲になったからだ


    誰かとこんなに話す仲になったのはあいつ以来だろう…


    エレンが私と似た境遇だったのも理由の一つかもしれない


    エレンから聞いた話こいつは家族と離れて暮らしているらしい


    エレンの母は小さい頃に亡くなられて父は海外へ仕事に行ってるらしい


    もう二年も会ってないそうだ


    初めて聞いた時は驚いた


    私も母はいない事、親が仕事ばかりの事を話すと


    「似たもの同士だな」


    といって笑ってくれた


    嬉しかった


    何かを語り合える存在とは素晴らしいものだ


    けどエレンはまだ私が令嬢である事を知らない


    私の病気のことも…


    知ったらこいつはどんな反応をするだろう


    私が死ぬ事を悲しんでくれるだろうか


    それともいつもみたいに…


    そんなことを考えていると


    「なぁ…お互いここを退院したら」


    「一緒に色んなところへ行こうぜ」


    私はいきなりなにを言い出すのかと思った


    そんな約束叶うわけないだろう


    私は死ぬのだから


    …そういえばまだこいつの病気も知らないな


    まぁ話の流れ的にそんな重い病気では無さそうだ


    私はなんで?と聞いた


    するとこいつは


    「なんとなく」


    だそうだ


    気ままな奴め…フフッ


    私はこいつと約束した


    いつか退院して二人の好きなところに行こうと


    叶わない約束を。


    その一週間後


    エレンは胸を押さえながら倒れた


    嫌な機械音が響き渡る中、エレンは別の病室へ移され


    私はまた窓を眺める生活が戻った
  22. 22 : : 2014/04/06(日) 21:20:16
    気ままな奴めぇ…グスっ
  23. 23 : : 2014/04/11(金) 20:58:31
    まだかな…
    期待!!!
  24. 24 : : 2014/04/12(土) 22:59:49
    すいません^^;
    今書いてる作品を終わらしてから書くつもりです
    どーか暖かい目で見守ってください( ´ ▽ ` )ノ
  25. 25 : : 2014/04/14(月) 20:21:23
    了解です!!頑張って下さい!!
  26. 26 : : 2014/05/02(金) 20:42:39
    今日から再開します!
  27. 27 : : 2014/05/02(金) 20:46:30

    “緊急治療室”


    そう書かれた病室に酸素マスクをはめていながらも息の苦しそうな少年がいた


    彼は体の中心に爆弾を背負っている


    本来それは生きていくための機動力だ


    しかし彼の場合違う


    彼を苦しめるもの、それは…




    心臓。



    気づいた時には彼の心臓はもう取り返しのつかないものだった


    ドナーを待つしかない


    医者にはそう言われた


    ドナーがきみに届けば手術ができる


    成功率20%の手術が出来るとこの少年は言われたのだ


    問題はもう一つあった


    彼の血液は特別で何万人に一人という血液型なのだ


    なんて残酷な事だろう


    生き抜くにはあまりにも苛酷な世界に少年はいた


    それでも少年は弱さを表にはださなかった


    普通なら生きる希望を失ってもおかしくないのに、


    生きる事を諦めてもおかしくないのに、


    少年は諦めなかった


    少しも弱音を吐かなかった


    それどころか一人の少女を孤独から連れ出していた


    私はこいつがすごいと思う


    私には到底真似出来ないと尊敬する


    心の奥底から


    そんな奴が…


    そんな奴が!いま!


    ……死にかけているのだ…


    一命はとりとめた


    しかしいつまた発作が起きてもおかしくない状態


    崖っぷち一歩手前の状態なのだ



    ユミル「…生きろよ…お前を必要としているにんげんがまだいるんだ…」


    そんな呼びかけに応えるように少年は意識を取り戻す


    エレン「……ううっ…」


    ユミル「!?エレン!」


    ほっ、と胸をなで下ろす


    このまま目を覚まさなくてもおかしくなかったから


    意識を失って五時間くらいだろうか


    少年はこんな中でも私を驚かしてくる


    エレン「…あ……アニには…」


    ユミル「なんだ!アニがどうした!」


    エレン「ない…しょにして、ください…心配、かけたく……ない」


    ユミル「…!」


    信じられるだろうか


    胸が痛くて苦しくて仕方がないはずなのに


    他の人を想えるなんて


    一体誰が出来ようか


    ユミル「…わかった約束だ」


    それを聞くと少年は静かに寝息をたてはじめた


    死んだと思ってしまうほどに
  28. 28 : : 2014/05/05(月) 06:20:51

    ここ数日ずっと雨が降っている


    梅雨だから仕方がないが少し憂鬱になる


    コンコン


    アニ「…どうぞ」


    ガラッ


    ベルトルト「失礼します」


    アニ「…」


    ベルトルト「おはようございますお嬢様」


    アニ「おはよ」


    ベルトルト「ご主人様からの…」


    アニ「ねぇ」


    ベルトルト「…はい、なんでございましょう?」


    アニ「最近よく雨降るね」


    ベルトルト「…?、そうでございますね」


    ベルトルト「しかし梅雨なので仕方がないかと」


    アニ「まぁね、あんたは雨好き?」


    ベルトルト「私にございますか?私は…どちらでもありません」


    アニ「フフッ、あんたらしいね」


    ベルトルト「……」


    アニ「あら、私が笑うとおかしい?」


    ベルトルト「いえ…そのような事はありません。だだ…」


    アニ「ただ?」


    ベルトルト「今日はよくお話になられるのですね」


    アニ「うん…なんでだろ、話相手が居なくて寂しいのかな…」

     
    ベルトルト「…いつも隣に居られたイェーガー様はどちらに?」


    アニ「倒れて運ばれちゃった…まだこの病院にいるかもわかんない…」


    ベルトルト「そうでございましたか」


    アニ「……」


    ベルトルト「……私は」


    アニ「…?」


    ベルトルト「不器用で身長だけが取り柄のつまらない男にございます」


    アニ「ど、どうしたの急に?」


    アニ「いやまぁそうだけど」


    ベルトルト「………」


    ベルトルト「それでも私はお嬢様の世話役にございます」


    ベルトルト「こんな私で良ければいつでも、何時間でもお話相手になりましょう」ニコッ


    アニ「…無理だよ…あんたには仕事が…」


    ベルトルト「先ほど申し上げたように」


    ベルトルト「私の仕事はお嬢様のお世話でございます」ニコッ


    アニ「…フフッ、私はお世話されるような人間じゃないよ」


    ベルトルト「それは間違いでおられます」


    ベルトルト「お嬢様は小さい頃からおっちょこちょいで目を離すと、すぐにおケガをされるので大変にございました」


    アニ「なっ!そ、それは子供頃の話で…」


    ベルトルト「私からしたらお嬢様もまだガキにございます」


    アニ「……えっ?」


    ベルトルト「はい、なんでしょう?」ニヤリ


    アニ「あんた今…私の事ガキって…」


    ベルトルト「いえ、申し上げてございません。きっと何かの聞き間違いでございましょう。私がお嬢様に対してそのような失礼なお言葉を発する訳がございません。ああ、考えただけで恐ろしい…ですから…」


    アニ「わかった!わかったから!」


    ベルトルト「左様でございますか」ニコッ


    アニ「……」


    ベルトルト「どうされましたお嬢様?」ニコニコ


    アニ「あんたって毒舌なんだね、初めて本当のあんたと話した感じだよ…」ハァ


    ベルトルト「私もにございます」


    アニ「…フフッ」


    アニ「ああ…エレンに会いたいなぁ」


    ……


    お嬢様はまだお若い


    人生まだこれからのはず


    そのようなお方がこんなにも悲しいお顔をされている


    なんて世界だ


    私はなにもできない


    それどころか今までお嬢様と向き合う事さえ逃げてきた


    卑怯者だ


    ベルトルト「…お許しくださいお嬢様」ボソッ


    アニ「ん?なんか言った?」


    ベルトルト「いえ、なにも…」


    お嬢様の死期は確実に近づいておられる


    ほんと…まだガキのくせに
  29. 29 : : 2014/05/06(火) 20:05:18

    ー緊急治療室ー


    ……ピッ……ピッ……


    ユミル「脈に異常なし…っと、だいぶ落ち着いてきたなエレン」


    エレン「それじゃあ…」


    ユミル「ああ、今日の夕方くらいには病室に戻れるだろ」


    エレン「本当ですか!」


    ユミル「…それまでゆっくり休めよ」


    エレン「はい!」


    ガチャ、バタン



    ユミル「…ふぅ、ったく心配させやがって」


    ユミル「…ん?」


    ベルトルト「…」ペコッ


    ユミル「(あれは確か…アニの付き人…)」ペコッ


    ベルトルト「私、アニお嬢様の世話役のベルトルトと申します」


    ユミル「あっ…これはどうもご丁寧に。担当医のユミルです」


    ユミル「なにか御用でしょうか?」


    ベルトルト「はい、イェーガー様の事で」


    ユミル「エレンがどうかしましたか?」


    ベルトルト「イェーガー様はいつ病室に戻られるのでしょうか?」


    ユミル「ああ、それなら今日の夕方には戻れますよ」


    ベルトルト「そうですか、それはよかった…」


    ユミル「失礼ですが何故エレンの事を…」


    ベルトルト「……お嬢様が不憫で仕方がないからでございます」


    ベルトルト「お嬢様はイェーガー様の事をとても好いておいででございました」


    ベルトルト「今回の件でお嬢様がとても落ち込んでいらっしゃったので詳細をと…」


    ユミル「そうでしたか」


    ユミル「(意外だな…この人はそういう事を考えない人だと思っていたのに)」


    ベルトルト「失礼ながら…」


    ユミル「はい?」


    ベルトルト「イェーガー様はどのようなご病気なのでしょうか?」


    ユミル「申し訳ありませんがそのような事はお教え出来ません」


    ベルトルト「左様でございますか…」


    ユミル「すみません」


    ベルトルト「いえ、当然の事です。厚かましくて申し訳ございません」


    ユミル「私からも一ついいですか?」


    ベルトルト「はい」


    ユミル「私なんかが首を突っ込む事ではない事くらいわかっていますが…」


    ユミル「アニの保護者の…その…お父様にお願いがありまして、是非お見舞いに来てアニを支えて欲しいのですが…」


    ベルトルト「ご主人様はお忙しい方でおいでです。ご主人様も来たいのは山々にございます」


    ユミル「しかし…アニからしたら…」


    ベルトルト「ご主人様の代わりに私が伝言を伝えているので心配ありません」


    ユミル「…!私はそういう事を言ってんじゃ!」


    ガラガラ


    エレン「…逃げてるだけなんじゃないですか?」


    ユミル「!?エレン!」


    ベルトルト「あなたが…あいさつ申し遅れました。アニお嬢様の世話役にございます、ベルトルトと…」ペコッ


    エレン「そんなこと聞いてない」ザワッ…


    ベルトルト「…!」ビクッ


    エレン「アニから逃げてるだけじゃないんですか?」


    エレン「アニの父さんも…」


    エレン「あんたも」


    ベルトルト「……」


    ユミル「お、おい!エレン!」


    エレン「俺からアニの父さんに伝言を伝えて下さい。会って話がしたいって」


    ベルトルト「……かしこまりました。では、今日のところはこの辺で…」


    ベルトルト「…図々しいですがどうか…お嬢様の事をよろしくお願いします」ペコッ




    エレン「……」


    ユミル「…言い過ぎだったんじゃねぇか?あの人結構アニの事思ってたぞ」


    エレン「だったらなおさら…アニと向き合わないと」


    エレン「じゃないと……後悔するかもしれない」ギリッ


    ユミル「お前…知ってたのか、アニの病気のこと…」


    エレン「…あとどのくらいなんですか?」


    ユミル「…」


    エレン「アニの生命はあと…」


    ユミル「言うな、私が死なせねぇよ」ポン


    エレン「……一年もたないかもしれないんでしょ?」


    ユミル「……チッ」


    エレン「だったら!やっぱり後悔する前に!」


    ユミル「…私が後悔なんてさせねぇよ、ぜってー治してやる」


    エレン「…はい……」





    ベルトルト「……」


    コツコツ…


    「(逃げてるだけじゃないんですか?)」


    ピタッ…


    「(アニの父さんも…)」


    ベルトルト「……」




    「(あんたも)」




    ベルトルト「…くっ!」ギリッ

  30. 30 : : 2014/05/10(土) 17:26:51
    あいつが倒れてからまだ一日も経ってないのにすごく長い時間が過ぎたように思える


    あいつは私の事を知らない気ままな奴だと思ってた


    私とは違ってきっとこれからの希望溢れる未来が待っている奴かと思ってた


    けど、それは間違いで


    そんなバカな事を考えていた私こそ、自分勝手で気ままな人間だと思い知った


    あいつはなにを抱えているのだろう


    私はなにも知らない


    ガラガラ


    ユミル「よぉ、一人は寂しいか?」


    アニ「……うん」


    ユミル「ははっ!エレンが来る前じゃ考えられない様子だな」


    アニ「…エレンはまだこの病院にいる?他の病院に移されてない?」


    ユミル「安心しろ、もう少しでまたこの病室に戻って来るよ」


    アニ「ほんと!?」


    ユミル「ああ、本当だ」


    アニ「エレンは!エレンはもうだいじょうぶなの?」


    ユミル「いまじゃ大分落ち着いてるよ」


    ユミル「(お前の世話役に喧嘩を売る程にな…)」ハァ


    アニ「そう…よかった…」


    ユミル「……(こいつも随分変わったな、少し前まで外しか眺めてなかった奴がこんなにも他人を心配してるんだからな)」


    ユミル「(いや、もう他人じゃねぇか…)」


    アニ「ねぇ」


    ユミル「どうした?」


    アニ「エレンが倒れた時、私…すごく怖かった」


    ユミル「そりゃ、いきなり倒れたからな…無理もないだろ」


    アニ「それもだけど…それだけじゃないよ」


    アニ「あいつ一週間位前に私に言ったんだ」


    アニ「退院したら一緒に色んなところに行こうって」


    ユミル「……!(そんなことを…エレン…)」


    アニ「それ聞いて私は少しほっとしたんだ」


    アニ「ああ、こいつは私と違っていつか無事退院できるんだって」


    アニ「私とは違うんだって」


    ユミル「…」


    アニ「エレンはこれから普通に幸せな人生が遅れるんだ、だったら私の分まで生きてもらおうって…」


    アニ「勝手に思ってた」


    ユミル「アニ…」


    アニ「でもそれは間違いで」


    アニ「あいつも…重い病気を抱えているんでしょ?」


    ユミル「…いや、そんなことない。エレンは無事退院できる」


    アニ「そんなの嘘だってことくらい…わかるよ」


    アニ「だって倒れるとこ間近で見てたから」


    アニ「あいつのあの苦しそうな顔を見たら…抱えているものの大きさくらい私にだってわかるよ」


    ユミル「……」


    アニ「エレンも私みたいに死んじゃうの?」


    ユミル「っっッ!!ふざけるなっッッ!!!」


    アニ「っ!」ビクッ


    ユミル「お前は…お前はまだそんなことを……」


    アニ「…だって本当の事でしょ」


    ユミル「エレンはな!お前の病気の事を知ってたんだよ!」


    アニ「!?」


    ユミル「エレンはお前に生きる希望を持って欲しかったんだ!」


    アニ「うそ…」


    ユミル「本当だ!」


    アニ「知ってたらなんであんなこと……退院してからのことなんか…」


    ユミル「エレンはお前に絶望しながら活きるのをやめて欲しかったんだ!伝えたかったんだよ!」


    ユミル「この世界にもまだ希望があるってことを!」


    ユミル「諦めなければきっとまだ、なんとかなる方法があるってことを!」


    アニ「…」


    ユミル「私が二人とも助ける!!助けて見せる!」


    ユミル「なにがあっても!どうなろうとも!お前たち二人は私が救ってやる!」


    ユミル「だから…だからもう…死ぬなんて言わないでくれよ…」


    アニ「…だったら」


    アニ「だったらなおさら私はエレンの事知らなきゃ」


    アニ「エレンだけ一人で全部抱えるなんて…ずるいよ……」


    ユミル「アニ…」


    アニ「教えて、エレンの病気はなに?」


    ユミル「それは…」


    (アニには内緒にしておいて下さい)


    アニ「…」ジッ


    ユミル「…(…悪いなエレン、こんな真剣なアニは初めてだ)」


    ユミル「(こんな奴に…隠し事なんて私には出来ねぇよ)」
  31. 31 : : 2014/05/10(土) 17:30:33
    ユミル「…心臓だ」


    アニ「えっ?…」


    ユミル「あいつはもう自分の心臓じゃ生きていけない」


    ユミル「今はかろうじて動いているがいつ止まってもおかしくない状態だ」


    アニ「そんな…治せないの?」


    ユミル「…無理だ、発見されるのが遅すぎた…」


    ユミル「(また…この感覚か…私は病気を治せないと言うために医者になったんじゃないのに…)」


    アニ「それでも!ドナーが見つかれば移植が…」


    ユミル「ああ、助かる」


    アニ「そう、良かった…まだエレンは助かるんだ」


    ユミル「(…血液型の事は黙っとくか)」


    アニ「…ドナーは見つからないの?」


    ユミル「…エレンの父さんが海外にまで行って探してはいるんだが…」


    アニ「!(…エレンの父さんは仕事でエレンをほっといたんじゃなかったんだ…)」


    アニ「そっか…」


    ユミル「(こいつ…自分の事みたいに喜びやがって…)」


    コツコツコツ…ピタッ


    廊下を歩く音がこの病室の前で止まる


    ユミル「フン、ようやく王子様の登場か」


    アニ「…エレン?」


    ガラガラ


    エレン「…どーもー……」
  32. 32 : : 2014/05/11(日) 10:17:57

    アニ「エレン!」


    エレン「その…心配かけたな」


    アニ「ばか!急に倒れて驚いたんだから!」


    エレン「…ごめん」


    ユミル「(おっ、これはお邪魔かな?)」ソッ


    アニ「エレンが死んじゃうと思った…そしたら私…私……」ボロボロ


    エレン「アニ…な、泣くなよ」オロオロ


    アニ「エレンっ!」ギュッ


    エレン「ちょ!///アニ!///」カァァ


    アニ「もう…急にいなくならないでね…」ギュッ…


    アニ「私にはあんたしかいないから…」


    エレン「…おう、わかった」ポン


    アニ「…約束だよ」グス


    エレン「約束する」ギュッ


    アニ「…フフッ//」


    アニ「…おかえり///」ニコッ


    エレン「ただいま」ニカッ


    アニ「エヘへ…エレーン///」ギュー


    エレン「あ、アニ///その…いつまで抱きついてるつもりだ///」カァァ


    アニ「なにさ、さっきはエレンからも抱きしめてくれたくせに///」


    エレン「それは…///」


    アニ「それとも私の事…嫌い?」ウルウル


    エレン「なっ!そんな事ねぇよ!」


    アニ「じゃあ後もう少しだけこのままがいい///」ギュー


    エレン「お、おう///(アニのいい匂いがする///)」ドキドキ


    アニ「(エレンすごい心臓バクバクいってる///)」クス


    エレン「(ヤバイ!俺の心臓がもたねぇ///でもまだアニを抱きしめていたい///)」


    エレン「(耐えろ!耐えるんだ!俺の心臓おおおぉぉ!!!)」


    ー廊下ー


    ユミル「(こいつまた発作起こすんじゃねぇよな……)」
  33. 33 : : 2014/05/11(日) 11:20:43
    >>4です!フォロー、ありがとうございます!期待です!
  34. 34 : : 2014/05/11(日) 22:12:25
    >>33ありがとうございます(^^)
    こちらこそフォロー嬉しいです!
    亀更新ですがよろしくお願いします!




    街は人で賑わっていた


    あたりを見渡してもビルやアスファルトといった人工物がほとんどだ


    高いビルが並ぶ街の中、飛び抜けて高いビルがある


    レオンハートコーポレーションの本社である


    街の外とは変わってビルの中は入りづらいほど静かだった


    そんなビルの最上階へと足を運ぶ長身の黒服を身に纏った男がいた


    彼はまるでロボットの様に同じテンポで階段を上がる


    やがて最上階へ着くと彼は社長室と書かれた部屋の前で足を止めた


    コンコン


    ベルトルト「ご主人様、ベルトルトにございます」


    「入りなさい」


    ベルトルト「失礼いたします」


    ガチャ


    黒服がドアを開けると…


    そこには髪をオールバックにしている金髪の男がいた


    きっちりとしたスーツを着ていてどこか近寄り難い雰囲気だ


    年は30後半から40前半くらいなのだろうが整った顔立ちから若く見える


    彼こそレオンハートコーポレーション社長であり


    実のアニの父親であった


    アニ父「いつもすまないなベルトルト。私の代わりに病院へ足を運ばせて」


    ベルトルト「滅相もございません」


    アニ父「そうか…それでアニは今日も不機嫌だったか?」


    ベルトルト「いえ…お嬢様は落ち込んでおられました」


    アニ父「なに!なにかあったのか!?」


    ベルトルト「はい。同室の方が倒れてしまい緊急治療室へと運ばれたのでございます」


    アニ父「それでか…」


    ベルトルト「しかし担当医にお聞きしたところその同室の方は命に別状はなかったそうです」


    ベルトルト「今頃はすでにお嬢様と同じ病室へ戻られているでしょう」


    アニ父「それは良かった…アニは昔から友達が居なくてな、寂しい思いをしていただろう…」


    アニ父「それは私のせいだったから気になって仕方なかった」


    ベルトルト「その様な事は…」


    アニ父「いい、事実なのだから。だからこそ私は今アニに友達が居ると思うと嬉しくて仕方がないのだよ」ニコ


    ベルトルト「ご主人様…」


    アニ父「アニと仲良くしてくれる人はこれで二人目だな…」


    ベルトルト「たしか初めてのお嬢様の御友人は転校されましたね」


    アニ父「なんという名前だったか…ベルトルトは覚えているか?」


    ベルトルト「いえ、恥ずかしながら覚えておりません」


    アニ父「そうか…結局一回も会えなかったからな…今のアニの友達とは会ってみたいものだ」


    ベルトルト「……」


    (逃げてるだけじゃないんですか?)


    (アニの父さんも、あんたも)


    ベルトルト「……」ギリッ


    (伝えて下さい。会って話がしたいって)


    ベルトルト「……ご主人様…」
  35. 35 : : 2014/05/11(日) 22:38:10
    期待です
  36. 36 : : 2014/05/14(水) 19:33:54

    アニ父「どうした?深刻そうな顔して」


    ベルトルト「…実はお嬢様の御友人から伝言を預かっているのです」


    アニ父「ほう、なんだ?」


    ベルトルト「はい、会って話がしたいとのことです」


    アニ父「私とか?」


    ベルトルト「左様でございます」


    アニ父「そうか…」


    ベルトルト「……」ギリッ


    アニ父「…なにがあった?」


    ベルトルト「っ!……失礼ながらなぜ…そのようなご質問を?」


    アニ父「肩に力が入りすぎた、お前らしくもない」ハァ


    ベルトルト「これは……申し訳ございません」


    アニ父「なにかあったのだな?」


    ベルトルト「やはり…ご主人様に隠し事は出来そうにないでございますね」フフッ


    アニ父「当たり前だ、それで…なにがあった?」


    ベルトルト「はい、説教をくらったのにございます」キッパリ


    アニ父「………は?」


    ベルトルト「お嬢様の御友人に説教もとい、ご指導して頂きました」


    アニ父「説教?」


    ベルトルト「はい」


    アニ父「アニの友達が?」


    ベルトルト「はい」


    アニ父「お前にか?」


    ベルトルト「その通りにございます」


    アニ父「フ……フフッ…フハハハ!!」


    ベルトルト「…」


    アニ父「クッ…お前に説教するなど…ククッ、面白い奴だ」


    ベルトルト「そうでございましょうか?」


    アニ父「ああ、お前と向き合って話をする奴などそうそうおらんからな」


    ベルトルト「…」


    (逃げてるだけじゃないんですか?)


    ベルトルト「(向き合うだなんてそのような事…)」


    アニ父「…それで?」


    ベルトルト「……それでとおっしゃいますと?」


    アニ父「お前をここまで感情的にしたんだ、そいつはお前になんて言った」


    ベルトルト「…ご主人様にお嬢様と会って欲しいとのことでした」


    アニ父「アニの友達が私にそのような事を…」


    ベルトルト「はい…」


    アニ父「…それだけか?お前が感情的になる程だ、まだあるのだろう?」


    ベルトルト「……」


    ベルトルト「…私が……」


    (アニの父さんも、あんたも)


    ベルトルト「…いえ、ご主人様と私が……」ギリッ


    ベルトルト「お嬢様から逃げていると、そう言われました」


    アニ父「そうか…」


    アニ父「………その者はなんという名前なのだ?」


    ベルトルト「エレン イェーガー様にございます」


    アニ父「エレンか…良い名だ」


    アニ父「きっとその少年は優しいのだろうな…」


    ベルトルト「…優しい…ですか?」


    アニ父「お前にはわからんか?彼の優しさ故のこの言葉が…」


    ベルトルト「…理解出来そうにありません」


    アニ父「そうか、残念だ……ベルトルトよ」


    ベルトルト「はい」


    アニ父「そのエレンという少年に伝えてくれ」


    アニ父「いつでも会いにきなさいと」


    ベルトルト「…かしこまりましたご主人様」


    黒服はそれだけ言うと深々と一礼し、社長室を後にした


    ベルトルト「(…優しい…)」


    ベルトルト「(…やはり私には理解できません)」


    ベルトルト「(ご主人様の悲しそうな顔を見てしまったら…そのような事…)」


    彼は暗い階段を下りていく


    階段を上がる時とは裏腹に


    その歩調は少し乱れていた
  37. 37 : : 2014/05/17(土) 07:07:37

    カーテンの隙間から差し込む朝日が一人の少女を起こす


    アニ「ん…もう朝か…」


    大きく伸びをして眠そうな目をこする


    ふと隣を見るとまだ、少年は気持ち良さそうに寝ていた


    こいつが重い病気を抱えていることを


    未だに私は受け止めることが出来ていない


    アニ「大切な人が死ぬかもしれないってなると……こんなに悲しくなるんだね……」


    アニ「……エレンは…」


    私の事を…大切に思ってくれているのだろうか?


    こんなことを思うのは自惚れているのかもしれないけど…


    もし…もし、そうだとしたら……


    ちょっぴりうれしい


    でもそしたら私は


    死んでしまう私はエレンを悲しませていることになるから


    なんだか複雑な気持ち


    アニ「ほんと…ただのうぬぼれだけど」フフッ


    こいつは私の病気のことを知っていた


    知った時こいつはなにを思っただろう…


    エレン「ん…ふわぁ…」パチ


    アニ「おはようエレン」


    エレン「ん…おはよ…」ボケー


    アニ「フフッ」


    アニ「……」


    (ユミル「エレンの心臓はいつ止まってもおかしくない」)


    エレンは私がそのことを知っているのを知らない


    エレン「…どうかした?」


    アニ「んーん、なんでもない」ニコ


    私に明日はもういらない


    今日がずっと続けばいいのに


    今日が何回も繰り返されたら


    私はきっと幸せでいられるのに


    コンコン


    ベルトルト「失礼いたします」


    アニ「おはよ」


    ベルトルト「おはようございますお嬢様」


    ベルトルト「……イェーガー様」


    エレン「……おはようございます」
  38. 38 : : 2014/05/17(土) 20:50:27
    アニ「二人ともどうしたのさ?怖い顔して」


    ベルトルト「いえ、そのようなことは…」


    ベルトルト「(お嬢様に余計な心配をかけさせたくはない)」チラッ


    アニ「そう?」


    エレン「(アニにこの件がバレたくないのはお互い様みたいだな)」コクン


    ベルトルト「イェーガー様、無事病室にお戻り出来てなによりで」


    エレン「そりゃどうも」


    ベルトルト「そういえば担当医の方からイェーガー様にロビーへ来るように伝言を頼まれました」


    エレン「…そうですか、わざわざありがとうございます」


    アニ「ユミルが?どーかしたのかな?」


    エレン「わかんないけどちょっと行ってくるよ」ニコ


    アニ「うん、いってらっしゃい!」


    エレン「…おう」ニカッ


    ガラガラ バタン


    ベルトルト「では、私もこの辺で失礼いたします」


    アニ「そっか、またね」


    ベルトルト「」ペコッ


    ガラガラ バタン


    アニ「…なんか変な二人」



    ー廊下ー


    ベルトルト「今回の件はお嬢様にはご内密にお願いします」


    ベルトルト「お嬢様に心配をかけさせたくはございません」


    エレン「それは俺も一緒です」


    ベルトルト「ご理解ありがとうございます」


    エレン「…ってことは会えるんですね?」


    エレン「アニの父さんと」


    ベルトルト「ご主人様もあなた様に会いたがっておられました」


    ベルトルト「今から本社へ向かうつもりですがよろしいですか?」


    エレン「もちろん、俺もそのつもりです」


    ベルトルト「ではさっそく、車はこちらです」


    エレン「(……アニの父さんに言いたいこと全部言ってやる)」


    エレン「アニのかわりに」ボソッ


    ベルトルト「あ、その前にこれに着替えて下さい」スッ


    エレン「…これは?」


    ベルトルト「スーツです、ご主人様に失礼がないようにお願いします」


    エレン「はぁ、」


    ベルトルト「先に言っておきますがご主人様はとても怖いお方ですので」


    エレン「そんなことで俺がビビるとでも?」


    ベルトルト「いえ、決してそういうわけでは……私はあなた様の為にご注意を申し上げただけにございます」


    エレン「…心遣いどうも」


    エレン「ではトイレで着替えてきます」


    エレン「洗って返しますので」


    ベルトルト「あぁ、その必要はございません。そのスーツは差し上げます」


    エレン「……(すげぇこのスーツ高そうなんだが…)」


    エレン「(それを簡単に差し上げますだなんて…思った以上にすごい会社なんじゃ…)」


    ベルトルト「どうかなさいましたか?」


    エレン「いえ…なにも…」


    ー十分後ー


    ベルトルト「(…………)」


    ベルトルト「(…………)」


    ベルトルト「(…………)」


    ベルトルト「(遅い)」


    ベルトルト「(着替えてるのに何分かかってんだ…)」


    ベルトルト「お嬢様に嘘がバレる前に出発したいんだが…」


    ートイレー


    エレン「(………)」


    エレン「(ネクタイ結べねぇぇ!!)」


    エレン「なんだよこれ!なんで紐なんか首に巻かなくちゃいけないんだ!」


    ベルトルト「まだですか?」


    エレン「あっ!はい、今行きます!」


    エレン「(…ネクタイ…いいや)」


    ベルトルト「急いで、早く行きますよ」


    そういって車まで案内されると


    エレンの想像していた五倍は高そうな車が置いてあった


    エレン「(黒光りやべぇ…)」


    エレン「(……俺って凄いとこにケンカ売りに行こうとしてんのか?)」


    エレン「…まさかな…」ハハッ


    全くもってその通りである


    ベルトルト「では、行きましょうか」


    エレン「…おしっ!」
  39. 39 : : 2014/05/18(日) 22:00:20

    エレン イェーガーは長い階段を登っていた


    これから大切な人が抱えている悩みの種を取り除くために


    彼はそこにいた


    エレン「……」


    彼の三歩ほど先で黒服の男が階段をペースを落とす様子もなくたんたんと登ってゆく


    そんな彼にエレンはやっとのおもいでついて行き、ふと思う


    おそらくこの黒服の男は毎日ここを登り降りしているのだろう


    だとしたら……


    エレン「(…この人はどういう想いでこの階段を登っているんだろ?)」


    父と子供の連絡係として


    お互いの様子を一番理解していて


    なにを思っているのか……エレンにはわからなかった


    わからなかった事といえばもう一つ


    エレン「(なんでエレベーターつけないんだ……)」ハァ


    階段はあまりにも長かった


    どう考えても非効率と言っていいほどに


    階段を登りきった時にはすでにエレンの足はクタクタだった


    そんな気も知らずに黒服はさらに奥へと足を運ぶ


    黒服の男が足を止めた目の前には社長室立ちはだかる


    エレン「(…ついに来た)」


    ベルトルト「ご主人様、イェーガー様をお連れいたしました」


    アニ父「入りなさい」


    ベルトルト「失礼します」


    ギイイィィィ……


    開いたドアの先には一人の男が立っていた


    アニ父「君が…エレン君かね?」


    エレン「…はい、俺が」ゴクッ



    エレン「エレン イェーガーです」
  40. 40 : : 2014/08/10(日) 00:07:10


    ベルトルト「では、私はこれで…」


    アニ父「良い、居なさい」


    ベルトルト「…はい」



    アニ父「君の事は家の者から色々聞かせてもらってるよ」


    エレン「だったら話は早いですね、俺がここへ来た理由は一つです」


    アニ父「フッ、私を病院に連れて行くか?悪いが無理な相談だね」


    エレン「なぜです!」ギリッ


    アニ父「私が仕事を放棄すれば何千何万という私の部下の生活まで影響する」


    アニ父「そのほとんどが家庭を持っているだろう」


    アニ父「私1人の感情で簡単に仕事を放棄できんよ…
    エレン「だったらアニの想いはどうでもいいってのか!」



    ベルトルト「おやめください!誰に向かってものを言ってるのですか!」



    エレン「こいつがなんだろうが関係ねぇ!!」



    ベルトルト「!!」ビクッ



    エレン「あんたらは臆病なだけだっ!現実と向き合うのが怖いだけ!」


    アニ父「……」


    エレン「部下だの社長だの言ってる前にあんたは1人の父親だろうが!」


    アニ父「……!」


    エレン「アニにとって父親はあんたしかいねぇんだ!あんたにしか出来ねぇことが、たくさんあんだよ!!」


    エレン「いいか…俺はアニを救ってみせる」


    エレン「いくら無理だと言われても助けてみせる」


    エレン「俺は約束したんだ!一緒に退院するって!」



    ベルトルト「!……(確かイェーガー様も重い病気を抱えているはず…)」


    エレン「アニを助けるためだったら、俺はあんたにだってケンカふっかけてやるよ」


    アニ父「お前は…そんなくだらない事を言いにわざわざ来たのか?」


    エレン「くだらない……だと?」ギリッ


    アニ父「そうだ!聞こえなかったのか!貴様は何故ここにいる!」


    エレン「ふざけんなよ、俺は…」ギリッ


    エレン「俺はなぁ!アニを救う為にここにいんだよっ!」


    エレン「あんたらとは違う!真っ正面からアニと向き合って……」ギリッ


    アニ父「もういい…出て行きなさい」


    エレン「ッ!……」バッ


    アニ父「……なんの真似だ」


    エレン「お願いしますっ!一回!一回だけでもアニに会いに!」


    ベルトルト「イェーガー様…」


    アニ父「土下座しても無駄だ。フロントに言えば病院まで送ってくれるだろう」


    エレン「お願いします!」


    アニ父「…君と話せて良かったよ、では」


    ベルトルト「お待ちください!ご主人様っ!」



    ギィィ…バタン



    エレン「くっ……、っそ…」


    エレン「くそおぉぉぉぉ!!!!」





    その声は2人にも聞こえていた


    アニ父「…良い子だった」


    ベルトルト「…失礼ですが、でしたら何故あのようなことを…」


    アニ父「私がエレン君に言ったことかね」


    ベルトルト「はい」


    アニ父「あの子を見て私は思ったよ、あの子がいてくれればアニは幸せだ」


    アニ父「あんなにもアニの事を想ってくれている」


    アニ父「アニが幸せでさえ居てくれたら私は悪者でも構わないよ」


    ベルトルト「ご主人様…」


    アニ父「それに私はやはりアニに顔を合わせそうに出来ないのでね」


    ベルトルト「……」ギリッ


    私は知ってる


    ご主人様は本当は優しい方で


    一番お嬢様の事を思っていることを


    本当はすぐにでも会いに行きたいのに


    お互いを想うあまりにお互い遠ざかってしまっている


    だから私は



    ベルトルト「私は…」


    アニ父「…?」


    ベルトルト「私はもう逃げません!」


    アニ父「…というと?」


    ベルトルト「ご主人様を病院へ連れて行きます」


    アニ父「………勝手にしろ」フン


    アニ父「それでも私は行かない」


    ベルトルト「……はい」




    アニ父「……」


    "アニにとって父親はあんたしかいねぇんだ!あんたにしか出来ねぇことが、たくさんあんだよ!!"



    アニ父「(私にしかできないこと……)」



    "俺はなぁ!アニを救う為にここにいんだよっ!"



    アニ父「……」


    アニ父「…ありがとうエレン君」
  41. 41 : : 2014/08/13(水) 19:51:15
    期待
  42. 42 : : 2014/08/25(月) 21:42:35
    あら?もう終わり?

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