この作品は執筆を終了しています。
ミカサ「あなたのコーヒーを飲みに来たんです」
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- 1 : 2014/03/21(金) 17:58:10 :
- こんにちは。
前作、前々作の「夕焼け」を見てくださった方、ありがとうございます。
この作品は、私が昔、あるテレビ番組で放送されていたものを元ネタにしたものです。(一部変更がありますが)
時代は現在、エレミカの予定ですが、クリ→エレ要素も入れようか考え中です。
夜から執筆予定です。
よろしくお願いします!
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- 7 : 2014/03/21(金) 22:32:31 :
ミカサ (人には、それぞれマイブームがあると思う。)
ミカサ (スポーツをすることや、編み物をすること、旅行に行くことや、好きな芸能人がいること、など様々だ。)
ミカサ(そして私にも、今到来しているマイブームがある。)
ミカサ (それは…)
ミカサ「コーヒーを、飲むこと。」
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- 8 : 2014/03/21(金) 22:56:26 :
シーナ州『株式会社 フライハイト』にて―
昼休み、ミカサ、クリスタ、サシャ、ユミルが、いつものように話に花を咲かせて、昼ご飯を食べていた時のこと。
どのような話の流れだったのかはもう分からないが、今の話題は「マイブーム」となっていた。
クリスタ「え、コーヒー?」
サシャ「意外ですねぇ。前まで全く飲んでなかったじゃないですか……ここ最近、オフィスで飲んでいるのをよく見かけますけど。」
クリスタ「うん、ミカサ、コーヒー苦手だって聞いてたから、私ちょっとびっくりしてたんだよね。」
ユミル「ってか、今更飲めるようになるとか、遅くねぇか?」
ミカサ「…そんなこと言われても、嫌いなことは嫌いだったの。」
クリスタ「そーだよユミル、そんなこと言わなくてもいいじゃないの!飲めない人なんてどこにでもいると思うし!」
ユミル「はいはい、すいませんでしたぁ。」
サシャ「……ところでミカサ、コーヒーは何で嫌いだったんですか?何かトラウマがあった、とか?」
ミカサ「えぇ、そう。小さい頃、確か幼稚園くらいの時、興味があってコーヒーを飲んだのだけれど…夕方に体調を崩してしまって。それ以来、コーヒーを見るたびにその事を思い出してしまっていた。」
クリスタ「あぁ、そういうの結構あるよねー」
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- 10 : 2014/03/21(金) 23:27:40 :
ミカサ「3人も知ってるように、コーヒー嫌いはつい最近まで続いていた。」
ミカサ「そして先週、幼馴染みのアルミンがうちに遊びに来てくれた時、アルミンがお土産にちまたで美味しいと評判のコーヒーを買ってきてくれた。」
ユミル「その、アルミンってやつは、ミカサがコーヒー苦手だって知っててそれを買ってきたのかよ?」
ミカサ「…まさか。アルミンは凄く優しい。今も、昔も。そんな酷い真似はしない。会ったのが久しぶりすぎて、アルミンが私の嫌いなものを把握できなかっただけのこと。」
ミカサ「折角買ってきてくれたものだし、一口くらいなら、と思って飲んだのだけれど……」
その時の事を思い出して、思わず身震いする。
ミカサ「…あんな美味しい飲み物があったのか、というくらい、本当に、美味しかった……!」
クリスタ「…ミカサ、いつもより表情が全然違う…
」
ユミル「どんだけ旨いんだよ、そのコーヒー。」
サシャ「もんの凄い高級とか、取り寄せないと手に入らないとか、そういうものなんじゃないですか?」
ミカサ「…確か、アルミンは、『ミカサの家にわりと近い、小さな喫茶店のコーヒー』だって言ってた。」
サシャ「喫茶店のなんですか?!…持ち帰りができる喫茶店なんて、なかなかありませんよね。」
クリスタ「そんな喫茶店がミカサの家の近くにあるなんて、羨ましいなぁ」
ミカサ「私も、アルミンに、言われるまで知らなかった。…あぁ、今までの人生、無駄にしてしまった…」
ユミル「そりゃ言い過ぎだろ」
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- 13 : 2014/03/22(土) 22:22:14 :
ミカサ「『良いコーヒーとは、悪魔のように黒く、地獄のように熱く、天使のように純粋で、そして恋のように甘い』……そのコーヒーはこの言葉にぴったり。ユミルも飲んでみれば分かる。」
クリスタ「うわぁお…」
サシャ「…それ、誰の言葉ですか?」
ミカサ「フランスの政治家の……たしか、シャルル=モーリス・ド・タレーラン=ペリーゴルさんという人が言ったもの、らしい。」
クリスタ「…ここ一週間ですっかりコーヒーマニアになったのね、ミカサ。」
ユミル「よくそんな長い名前覚えられたな、っていうか、本当にコーヒー今まで嫌いだったのかよ?」
ミカサ「えぇ、体が拒絶するほど。」
サシャ「…そのコーヒー、恐るべし。」
ミカサ「今週はずっと、残業があったのでなかなかその喫茶店に行けなかった。でも、今日はそれがなさそう、ので、帰りに行ってみようと思う。」
クリスタ「いいね、いってらっしゃい!」
サシャ「お店で飲むのと、家で飲むのと、雰囲気が違っていいかもしれないですね。感想をお待ちしてます!」
ユミル「……おい、そろそろ時間じゃねえか?」
クリスタ「あっ、本当だ!すっかり話し込んじゃったね」
サシャ「さぁて、オフィス戻りますか。」
ミカサ「…えぇ、そうね、戻りましょう。」
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- 14 : 2014/03/22(土) 22:50:30 :
午後6時頃―
ミカサ(あぁ、終わった……)
ミカサ(あのチ…いや、課長、ほんとまじ意味わかんない。あの量の仕事をクリスタに押し付けるなんて…)
ミカサ(…明日会ったら、削ぎ落としてやろうか)
???「…あれ?ミカサ?」
ミカサ「はい?」クルッ
ミカサ「あ…アルミン、」
アルミン「やぁ、先週はありがとうね。」
ミカサ「そんなことない。アルミンだって、私のコーヒー嫌いを克服してくれた。本当に今感謝している」
アルミン「あはは、…あそこのコーヒー、美味しかっただろ?うちの近所で今凄く流行っているんだ。…と、いうのも、流行らせたのは僕なんだけどね」
ミカサ「アルミンがその人達に教えたの?」
アルミン「うん。近所に友達が住んでいて、その人に会うときにコーヒーをお土産に持ってったんだ…、先週ミカサにしたようにね。そうしたら、その友達が美味しいって皆に伝えて…そっからもう、ぶわーっと広まっていったんだ」
ミカサ「コーヒーを受け付けていなかった私ですら飲めたもの。それは広まるにきまってる。」
ミカサ「…ところでアルミン、これからどこかに行くの?ここはあなたの家とは逆の方向、よね?」
アルミン「…今言ってたコーヒーの喫茶店に行くんだ。」
ミカサ「本当に?!私も今、行こうとしていたの」
アルミン「ははは、すっかり虜になっちゃったみたいだね。行くのは…?…そう、初めてか。じゃあ、道案内も含めて、そこまで一緒に行こうか。」
ミカサ「えぇ、ありがとう、アルミン」
アルミン「どういたしまして、ミカサ」ニコッ
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- 21 : 2014/03/23(日) 22:09:49 :
名無しさん、ありがとうございます!頑張ります。
アルミン「…………それで、そのハンジ准教授の話がすんごく長くって。僕も、周りの人も、本当いい迷惑がかかったよ」
ミカサ「…アルミンも大変ね。でも、研究者だなんて凄い…私には到底できない」
アルミン「あはは、ありがと。でも、ミカサも会社内で活躍してるんだろ?」
ミカサ「……そんな、お世辞を言わないで」
アルミン「お世辞なんかじゃないよ…、あった、ここの喫茶店だよ、ミカサ。」
看板には、
『純喫茶 プティボ・ヌール』
と書かれていた。
ミカサ「…結構私の家から近いのね」
アルミン「うん、てっきりミカサも知ってたのかと思ってたんだけど」
ミカサ「…早く、コーヒー飲みたい。」
アルミン「あはっ、僕もだよ。じゃ、早速、中にどーぞ」
アルミンが扉を開けると、
チリチリーン
玄関に取り付けられた鈴が涼しげに鳴った。
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- 22 : 2014/03/23(日) 22:29:14 :
アルミン「こんにちはー」
アルミンの後に続いて、ミカサも入る。
さして広くないフロアに、テーブル席が3、4席
とカウンター席があり、その内側はキッチンと
なっていた。
店内にはクラシック音楽が流れ、コーヒーの淡い
香りが鼻孔をくすぐる。
純喫茶というより、そのままズバリと「コーヒー
ショップ」という感じだ。
「あ、いらっしゃいませ。」
声がした方を向くと、ミカサとアルミンと同年代
くらいの男性がにこりと微笑みかけていた。
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- 24 : 2014/03/23(日) 23:04:33 :
アルミン「僕はいつもカウンター席に座っているんだけど…、ミカサはそこでいいかい?」
ミカサ「えぇ、もちろん。」
カウンター席に座ると、アルミンはにこりとあの男性に微笑んだ。
その男性は、エプロンを着けているところから、おそらく店員だと推測できた。
アルミン「こんにちは…いや、もう今晩は、か。」
「時間帯的にはそうですね。でも、今は夏ですから。このくらいの時間でもまだ明るいので、こんにちは、と言われても違和感がない」
アルミン「じゃあ、それでいいか」アハハ
ミカサは、アルミンとその店員さんは仲がいいんだな、なんてことをボーッと考えていた。
…というか、早くコーヒー飲みたい。
アルミン「…そう、今日は新たなお客様を連れて来ましたよ、…ほら、ミカサ」
いきなり肩をつつかれて、少しびっくりした。
アルミン「ミカサ、この人は店員さんの、エレンさん。エレンさん、こちらは僕の幼馴染みのミカサです。」
エレン「ミカサさん、初めまして。この、『純喫茶 プティボ・ヌール』の経営者、エレン・イェーガーと申します」
彼の、緑色の大きくて純粋な瞳に引き込まれそうになりながら、ミカサは言った
ミカサ「えと…、初めまして。ミカサ・アッカーマンです。先日、このお店のコーヒーをアルミンに持ってきてもらって、飲んでから私のコーヒー嫌いが克服されました。…感謝いたします」
エレン「あ、本当ですか?それはそれは、良かったです」
ふわり、とエレンが微笑むと、周りの空気が変わる。
穏やかな、気持ちになりながら、ミカサとアルミンはホットコーヒーを注文した。
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- 26 : 2014/03/23(日) 23:53:05 :
ミカサ「…エレンさんは、バリスタなんですか?」
てっきり、エレンさんは経営者と言っていたからバリスタは他にいるのか…と考えていたが、
コーヒー豆をまき、できたコーヒーをカップに注いでいる彼を見て、ふと疑問に思った。
エレン「…あぁ、すみません。先ほど申し上げるのを忘れていた。そうです、オーナー兼、当喫茶のバリスタも務めております。」
ミカサ「他に…、店員さんは雇ってないのでしょうか?」
エレン「はい、自分1人です。……なんだか寂しい話ですけどね」ハハハ
ミカサ「そう、なんですか」
エレン「えぇ…でも、1人でやるのも悪くないですよ」
コトッ
エレン「出来ました、どうぞ。」
ミカサは、待ってましたとばかりに、カップを手に持ち、ごくんと音を立てて一口飲んだ。
ミカサ「…?!!」
アルミン「ミ、ミカサ?!」
ミカサ「ゴホッゴホッ、ウェゴホッゴホッ、あ、熱いっ」
ミカサは、思わず親父みたいに女の子らしくなく咳き込んだ。
アルミン「そりゃあそうだろ、あんなに一気に飲んだんだから!よっぽど楽しみだったのは分かったから、次からは落ち着いて飲んで、いいね?」
ミカサ「…は、はい……」
エレン「お水…いります?」クスリ
ミカサ「……えぇ…、お願いします…」
舌が軽く火傷して、上手くしゃべれない。
お水を頂いて、今度は少しずつ、飲んでいった。
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- 28 : 2014/03/24(月) 17:54:19 :
- すいません…、訂正です。
コーヒーは、まくんじゃなくて、挽く(ひく)んですね…
読み方を完全に間違って覚えていました……(恥)
これ以外にも、誤っているところはありそうですが、脳内変換をお願いします。
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- 31 : 2014/03/24(月) 22:30:31 :
ミカサ (…口に入れた瞬間、鼻孔に広がる香ばしさ。)
ミカサ(苦いけれど、その中にもわずかに含まれている甘さ。)
ミカサ(そして…、後味を良くするこの絶妙な清涼感。)
ミカサ(やっぱり、何度飲んでも美味しいんだろうな。)
二口目を飲む。
ミカサ(それにしても…)
ミカサは、エレンの方をちらりと見た。
ミカサ(エレンさん、どうやったらこんなに美味しいコーヒーをいれられるんだろう)
ミカサ(嫌いなのが無くなってから、最近よく飲んでるけど…。同じコーヒーなのに、味がまるで違う)
ミカサ(……技術的なものも関係するんだろうけど、なんだろう……。エレンさんのコーヒーに対する何かの思いがこめられて…)
ミカサの視線に気づいたエレンは、
ミカサに向かってにこりと微笑んだ。
ミカサ「…?!///」
ミカサは思わず顔を反らす。
ミカサ(な、なによ、これ… やばい… なんだか、胸の鼓動が収まらない。こんなの、初めて……)
アルミン「…」
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- 32 : 2014/03/24(月) 22:32:31 :
- 訂正です。
エレンさんのコーヒーに対する何かの思いがこめられて
→エレンさんのコーヒーには何かの思いがこめられて
始めから申し訳ない…汗
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- 34 : 2014/03/24(月) 23:14:27 :
Coyoteさん、ありがとうございます!そう言って頂けると嬉しいです!
続きます↓
エレン「…?アルミンさん?どうしたんですか?」
アルミン「あぁ、いや、…前から気になっていたんだけど、この機械ってなんですか?」
アルミンは、キッチンに置かれている、ある機械を指差した。
エレン「あぁ、これは…エスプレッソマシンです。」
ミカサ「…エスプレッソ、マシン?」
エレン「はい。エスプレッソを抽出するための機械…そのまんまですけどね」ハハハ
エレン「これは、レバーピストン式、といって、手動で抽出を行うものです。」
アルミン「へぇ…」マジマジ
アルミン「…あ、あと、これは?」
エレン「こちらは、コーヒーミル、といって、コーヒー豆を挽くためのものです。こちらも手動です」
アルミン「このデザイン、いいですね」
エレン「そうでしょう?これは、“カリキ”という会社のミルでして、完全受注生産品なんです。他のミルよりも大きく、場所を取ってしまうんですが、僕もこのデザインが気に入って、買ってしまいました。」
アルミン「…へぇ、そうなんだ!じゃあ、次はこれについて、―」
ミカサ(まずい…。あのアルミンは、誰にも止められない……、それに、エレンさんもコーヒーの話になると結構熱くなってる。………これは長くなりそうだ)
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- 36 : 2014/03/24(月) 23:35:22 :
30分後……
アルミン「ふぅ…、結構話し込んじゃいましたね。ミカサ、待たせてごめんね」
ミカサ「いえ……、大丈夫。二人の話を聞くの、楽しかった」
エレン「…僕も熱くなりすぎました。でも、アルミンさんと話していて、すごく楽しかったです」
アルミン「僕もですよ。また、ゆっくり話しましょうね」
エレン「えぇ、もちろんです!」
アルミン「…さて、そろそろ帰ろうか、ミカサ」
ミカサ「えぇ、そうね…」
エレン「ご来店、ありがとうございました」
ミカサ「……こちらこそ、ありがとうございます…。コーヒー、すごく美味しかったです」
エレン「ありがとうございます、ミカサさん」ニコッ
ミカサ「い、いえ……//…また、来ますね」
アルミン「…僕も、また来ます」
エレン「はい、お二人のまたのご来店、心よりお待ちしております」
チリチリーン
玄関の鈴が鳴り、
バタン
とドアが音を立てて閉められた。
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- 38 : 2014/03/24(月) 23:45:11 :
アルミン「いやぁ、楽しかったなぁ~」
ミカサ「アルミン、凄く楽しそうに見えた」クスッ
アルミン「…研究者として、色々な細胞を調べるのも楽しいけど、コーヒーについて話を聞くのも楽しいなぁ。それに、エレンさんっておしゃべりが上手だから、話していて飽きないし。」
ミカサ(次に行ったら、もっとエレンさんと話したいな…)
アルミン「じゃあ、僕、こっちから帰るね。ミカサはあっちの方だろ?」
ミカサ「えぇ。今日はありがとう、アルミン」
アルミン「ううん、こちらこそ。…じゃあ、また会おうね、バイバイ!」フリフリ
ミカサ「…バイバイ」フリフリ
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- 39 : 2014/03/24(月) 23:57:32 :
家に着くと、ミカサは玄関の鍵を開けた。
ガチャッ
ミカサ「ただいまー」
ミカサ(……誰も、いないけど。)
ミカサ「ふぅー」
ミカサは、コートを脱いでソファーにどすりと腰かける。
ミカサ(……コーヒー、美味しかったな。また飲みにいこう。)
『あ、いらっしゃいませ』
『…お水、いります?』クスリ
『ありがとうございます、ミカサさん』ニコッ
ミカサ「…~っ///」ジタバタ
ミカサ(…あぁ、なんだかエレンさんの事を思うと、変な気持ちになる……)
ミカサ(このままだと次に会ったとき、まともに話せないかも…)ボーッ
ミカサ「……」
ミカサ「とりあえず、お風呂入ろう」
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- 42 : 2014/03/25(火) 00:45:07 :
- ぬぁぁあ、またミスがっ
夏設定なのに、ミカサ、コート着ちゃってました…orz
カーディガンに変換お願いします。
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- 48 : 2014/03/25(火) 22:44:58 :
数十分後…
ミカサ「ふぅ…、さっぱりした」
ミカサ(こんなにゆっくりお風呂入ったの、久しぶりだ…。最近は帰りが遅かったからなぁ)
と、その時
ギュルルルルルー
誰かさんのお腹の鳴る音が、部屋全体に響く。
ミカサ「…?!……あっ、」
ミカサ(そう言えば、まだ夕飯食べてなかった…。結構お腹すいたな)
ミカサ(いやぁ、我ながら、よくこんな大きなお腹の音が出たものだ)シミジミ
ミカサ「………この音、エレンさんに聞かれなくて良かった……………………って、は、はぁぁぁ?!///」
ミカサ(…な、なんだしっ!これっ、なんだしっ!//こんな気持ち、なんなんだしっ!…もう、エレンさんの事考えると、さっきからずっとこの調子…)
ミカサ(私のキャラ、やばい崩壊寸前…、ってかもうしてる……)
ミカサ「落ち着け、落ち着け……」スーハー、スーハー
ミカサ(明日も普通に仕事があるんだし、そろそろ大事なプレゼンがあるし、こんな事ばかり考えてはいけない。気を引き締めていかないと。)
ミカサ「…よし、夕飯食べて、歯を磨いて、今日は早めに寝よう。」
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- 51 : 2014/03/25(火) 23:28:26 :
翌朝-
ミカサ「…」ガチャッ
コツコツコツコツ
ミカサはいつものように家の鍵をかけて、アパートの階段を下り、会社への道を歩き始めた。
ミカサ(今日は、早く起きられたな。いくらか睡眠不足も改善された気がするし)
だんだん秋に近づいてきているこの頃、朝は割りと過ごしやすくなっていた。
ミカサは、空を見上げ、呟いた。
ミカサ「さて…、今日も頑張ろう。」
『株式会社 フライハイト』にて-
ミカサ「おはようございます」
「おはようございます!」
「おはよーっす」
「ちーっす、ミカサさん」
あちこちから、色んな声が聞こえる。
クリスタ「おはよ、ミカサ」ニコッ
ミカサ「おはよう、クリスタ」
ユミル「よぉ、ミカサ」
ミカサ「…ユミルも、おはよ」
ユミル「今日はなんだか早い、なぁ?」
ミカサ「昨日は、久しぶりに早く寝てしまったの」
クリスタ「…いいな、ミカサ。」ムスッ
ミカサ「……あっ、クリスタ、結局あれは全部終わったの?」
クリスタ「徹夜…した。」ハァー
ミカサ「…あのチビは調子に乗りすぎた。いつか私が、然るべき報いを……!」ゴゴゴゴゴ
ユミル「おーい、ミカサさーん。オーラ怖いよ、オーラが!」
クリスタ「…ミカサっ、私、そんな、大丈夫だよ?……それに…」チラッ
課長(リヴァイ)「……チッ」ジロリ
ユミル「課長も眉間に皺寄せてこっち見てらぁ。うぅ、お二人ともこわこわ」ハハハハハ
クリスタ「もうすっかり、この光景定番になってきたよね」
ユミル「…逆に、この二人がなかよく語らってるのなんて見たら、豚が空を飛ぶんじゃねぇか?」
クリスタ「……それ、否定できない、かも」
そう呟くと、ミカサはハイヒールの音を
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- 55 : 2014/03/26(水) 09:08:03 :
クリスタ「…そういえば、サシャが来てないね」
ユミル「はっ、どうせ蒸かした芋でも食ってるんだ
サシャ「あはおうおじゃいましゅ」モグモグ
クリスタ「うあっ、サシャ!いつ来たの?」
サシャ「…い、今でしょっ」モグ
ユミル「…」
サシャ「ゴクン ユミル、そんな冷たい目で見ないで下さいよ…、一応、風潮に乗ってみただけなのに
ユミル「それ、もう古くね?」
クリスタ「…うん、私、普通に聞いただけなんだけど。」
サシャ「」
ナ,ナンナンデスカー!!!!
マァマァ
チョットダケユウキダシテイッタノニィ
ミカサ「…」
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- 60 : 2014/03/31(月) 21:52:39 :
ミカサ「……ねぇ、いい加減仕事始めたら?」
ミカサ「周り、みんなもう、始めてる。」
ミカサ(チビからの視線も感じるけど…。分からないことにしておく。)
クリスタ「………あっ…本当だ…」
ユミル「ったく、サシャが変なこと言うから…」
サシャ「…わ、悪かったですねっ」
ミカサ「……全く…」ハァ
ミカサ(この光景、いつも見られるものだけれど)クスリ
ミカサ(微笑ましいんだか、煩いんだか…)
ー今日も、1日が始まろうとしていた。
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- 61 : 2014/03/31(月) 21:53:25 :
数週間後…
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- 62 : 2014/03/31(月) 22:26:35 :
チリチリーン
喫茶店『プティボ・ヌール』の玄関に取り付けられた鈴が鳴る。
ガチャッ
そして、ドアの開く音が店内に響いた。
ミカサ「こ、こんばんは」
エレン「あ、ミカサさん、いらっしゃいませ。いつもありがとうございます」
ミカサ「…お店の時間、まだ大丈夫でしょうか?」
エレン「えぇ、もちろん」
クリスタ「良かった!あ、こんばんは。初めまして」
ミカサ「私の同僚の、クリスタです」
エレン「先日話していらした、新しいお客様でしょうか?……何はともあれ、初めまして、ですね。私は、この店のオーナー兼バリスタを務めています、エレンと申します。」
クリスタ「ミカサから色々聞いてます。とても良い雰囲気のお店ですね!」
エレン「ありがとうございます」ニコッ
ミカサ「それじゃあ…ホットコーヒー2つ、お願いします」
エレン「かしこまりました。」
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- 63 : 2014/03/31(月) 22:47:19 :
コリコリコリ…
エレンがコーヒー豆を挽く音が店内に静かに響いている。
クリスタ「楽しみだなぁ、エレンさんのコーヒー!」
ミカサ「大丈夫、十分期待していてもそれを裏切らない位おいしいから。」
プレッシャーになりますね、と呟いて、エレンは口の端をかすかに上げた。
クリスタ「そういえば、ミカサ。」
ミカサ「ん?」
クリスタ「サシャとユミルって、何で行けなくなっちゃったのか分かる?…まぁ、多分サシャは食べ物関連の用事なんだろうけど」
ミカサ「あぁ…」
ミカサ「サシャは…クリスタの通り。ローゼホテルでやってる激安バイキングが、今日までだったらしく、そっちを優先させたい、と。」
クリスタ「…ほんっとにブレないよね」
ミカサ「ブレられるとこっちが困る。」
クリスタ「じゃあ、ユミルは?」
ミカサ「…ユミルは………」ニヤリ
クリスタ「?」
ミカサ「ユミルは…、デートだって。」
クリスタ「…………へ?」
クリスタ「で、デートぉぉぉお?!てか、ユミル彼氏いたの?!!」
ミカサ「えぇ、そうみたい。…私も最初聞いたときビックリした。あの人はそういうのは無縁だと思ってて」
クリスタ「…明日、楽しみだね」ニヤリ
ミカサ「…たくさん話、聞き出しましょう」ニヤリ
エレン「……あのぉ、……コーヒー、出来ました」
エレン(女の人同士って、よく喋るよな…)
ミカサ「あっ、ご、ごめんなさい。はい、クリスタ。」
クリスタ「ありがと。…ん~、良い香り!」
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- 64 : 2014/03/31(月) 22:57:38 :
クリスタ「じゃ…早速、頂きます!」
ズズズ
クリスタ「…うわぁ……本当美味しい!!こんな美味しいコーヒー、初めてだ!」
エレン「そう言って下さると嬉しいです」
ミカサ「そうでしょう?」
クリスタ「うん!ミカサの気持ちも分かるなぁ。だって、ミカサって最近昼休みに、いっつもこのコーヒーの話とか、エレンさんの話を
ミカサ「くくくく、く、くり、クリスタ!!!//」
エレン「…?」キョトン
クリスタ「あはは、ごめんったら」
クリスタ(エレンさん…今の、聞こえてないみたいだ。)
クリスタ(……結構、鈍感なのかな、なーんて)テヘ
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- 69 : 2014/04/01(火) 22:14:47 :
ミカサ「(この話題から何かに反らさないと…)そ、そういえば、エレンさん。そこに飾ってあるお花、綺麗ですね」
エレン「…あぁ、これですか。」
クリスタ「ほんとね、綺麗な、…花………!」
クリスタ(こ、これって…)
エレン「昨日、僕の幼なじみが押し付けるように渡してきたんです。…いらないって言ってるのに」
ミカサ「でも、綺麗ですよ。お店の雰囲気によく合ってると思います」
エレン「そうですか…、なら、いいですかね」ハハハ
ミカサ「…えぇ」フフフ
クリスタ「…」
クリスタ(ミカサ…)
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- 70 : 2014/04/01(火) 22:26:38 :
ミカサ「…ふぅ。ご馳走さまでした」
クリスタ「結構長居しちゃったね…」
ミカサ「…まぁ、でも、もうプレゼンは終わってるし…。少し位は、だらけても良いのでは?」
クリスタ「あはは…、そうだね」
ミカサ「…クリスタ?大丈夫?なんだかさっきから…」
クリスタ「ん?大丈夫だよ?…ちょっと眠いなぁ、って思ってたんだけどね」
ミカサ「じゃあ、もう帰ろう。クリスタが体壊したら大変。ユミルにも怒られそうだし。」
クリスタ「ユミルは大丈夫だよぉ。でも…今日は、お言葉に甘えて帰らせて貰おうかな」
ミカサ「…エレンさんも、すいません。こんなに夜遅くまで」
エレン「そんな、僕は大丈夫ですよ、全然。」
クリスタ「コーヒー、ありがとうございます。とても、とても、美味しかったです!」ニコッ
エレン「こちらこそ、ありがとうございます、クリスタさん」ニコッ
ミカサ「では、失礼します」
エレン「ご来店、ありがとうございます」
チリチリーン
チリチリーン
-
- 71 : 2014/04/01(火) 22:28:11 :
- うわ、鈴が2回鳴ってた…
下のは気にしないで下さい。
-
- 72 : 2014/04/01(火) 22:41:57 :
帰り道-
ミカサ「夏なのに、もう、こんなに暗い…」
ミカサ「クリスタ、遅くまで付き合わせてごめんなさい。」
クリスタ「んーん、大丈夫!ミカサと沢山お喋り出来て、楽しかったし!」
ミカサ「なら、良かった」
クリスタ「…ねぇ、ミカサって、エレンさんのこと………、好き?」
ミカサ「…///」コクン
クリスタ「そ、そっか……そうだよね!あんなに素敵な人だもの…。それに、ミカサ、エレンさんといると表情がすごく柔らかいしね」
ミカサ「そう…、なの?」
クリスタ「うん、すっっごいにやけてる」
ミカサ「に、にやけ顔になってるの?!」
クリスタ「うん」
ミカサ「ぎゃあ…//」
クリスタ「(激かわ…)ふふっ、冗談だよー」
ミカサ「…もう、クリスタ、私のことからかいすぎ」
クリスタ「だってぇ、ミカサ可愛いんだもーん」
ミカサ「それを言うなら、クリスタの方が…」
ーギロッ
ミカサ「…?!」ゾワッ
クルッ
クリスタ「…?ミカサ?大丈夫?」
ミカサ「だ、大丈夫、大丈夫、大丈夫だから…」スゥ、ハァ
ミカサ(今の、何…?鋭い視線を感じた……、……なんだか、怖い)
クリスタ「…うん、そっか」
-
- 76 : 2014/04/02(水) 22:17:01 :
翌日ー
昼休み、株式会社『フライハイト』にて
サシャ「えぇぇぇぇぇぇええ?!?!」
社員食堂には、サシャの悲鳴に近い驚きの声が響いていた。
サシャ「ユミル、彼氏いるんかい!!なんで教えてくれなかったん?!そんで昨日はデートぉぉぉぉぉお?!?!ありえんわ!!」
ミカサ「サシャ、落ち着いて。」
サシャ「そ、そう言われましても……。ユミルってそういうのに興味無さそうだし、疎そうだし」
ユミル「それ、軽く傷つくからやめろ」
クリスタ「でもでも!ミカサから聞いたときは、私もビックリしたよー」
ユミル「…ミカサだったのか……。てめぇ、それを言うなっていっただろぉぉぉぉお!!」
ミカサ「ごめんなさい、つい、流れで言ってしまった」フッ
ユミル「ったく…、余計なこと言いやがって……」
クリスタ「で、昨日のデートどうだった?」
ユミル「……どうもこうも、普通だよ。食事しただけだし」
クリスタ「もー、もうちょっと素直になりなよ、ユミルぅ。つまんなーい!」
ユミル「クリスタ、お前だって彼氏いるだろ」
クリスタ「…ま、まぁ、そうだけど?//」
ユミル「お前らのデート同じようなもんだ、以上、これ以上詮索するなっ!」
ミカサ「……」チェッ
ユミル「…おいミカサ、舌打ちすんじゃねーよ」
-
- 78 : 2014/04/03(木) 22:24:26 :
「あのぉ、ちょっといいかな?」
クリスタ「?……あ、ミーナ!どうしたの?」
ミーナ「お話の途中にごめんね。…あのさ、私も一緒にお昼食べていい?」
ミーナ「今日アニが休みだから、普段一緒に食べる相手いなくてさ。クリスタ達とも喋りたかったし……だめかな?」
クリスタ「そんなことないよ!もちろん、いいよ」
サシャ「どうぞ、どうぞ!」
ミカサ「…全然構わない。」
ユミル「クリスタを変な目で見なけりゃいいぜ」
ミカサ「ありがとう!じゃあ、お言葉に甘えて!」
ミーナ除く4人 ((((実は、ミーナと喋ったことないなんて、言えない……))))
クリスタ「」
-
- 79 : 2014/04/03(木) 22:25:25 :
- すいません、最後の文は気にしないでください。
-
- 80 : 2014/04/03(木) 22:46:35 :
ミーナ「そういえば、みんな。さっき、サシャの凄い叫び声が聞こえたんだけど、あれって何事だったの?」
ユミル「あぁ、あれは……」
ミカサ「ユミルに彼氏がいることを知って、絶叫したの」
ミーナ「えぇぇぇぇぇぇええ?!?!ユミル、彼氏いたんだぁ!!」
ユミル「またお前ミカサ、言ってくれるじゃねぇかよぉぉお!!てかミーナ、サシャと同じ反応すんじゃねぇ!!」
ミカサ「……ふっ」
ユミル「いや愛想笑いすんな」
ミーナ「へぇ、ユミル彼氏いたんだね、……ほへぇ~」マジマジ
サシャ「ところで、ミーナは彼氏いるんですか?」
ミーナ「彼氏ねぇ……。私はいないよー」
クリスタ「えぇー!ミーナ可愛いから、いると思ったなぁ」
ミーナ「やだ、いないいない!……でもね、」
ミーナ「………好きな人は、いるよ?」
クリスタ「うわぁ、いるんだ?いるんだ、ミーナ!」
ミーナ「う、うん。でも…その人、なかなか振り向いてくれない、ってゆーか」ハハ…
ミーナ「結構頑張ってるんだけどなぁ…」ガックシ
クリスタ「だぁいじょうぶだって!私、ミーナのこと応援するよ?」
サシャ「私も、応援しますよ~」ゴチソウサマデシタ
ユミル「クリスタが応援するなら、私も」
クリスタ「ユミル、もっと素直になりなよ!」
ミカサ「私も……応援、する。ので、頑張って」
ミーナ「みんな……、ありがとう!!」ニッコリ
ミカサ(ミーナとは話したこと無かったけど……すごくいい子。)
ミカサ(…また、ゆっくり話したい)
クリスタ「さて、そろそろ戻る?」
サシャ「そうですね…時間も時間ですし。」
ユミル「っし、じゃあ、行くか。」
-
- 81 : 2014/04/03(木) 22:52:26 :
数時間後ー
ミカサ「ふぅ……終わった。」
クリスタ「え、ミカサ終わったのー?いーなー」プゥ
ミカサ「そんな可愛い顔しても、仕事は終わらない。」クスッ
クリスタ「……はぁい、頑張りますぅ」
ミカサ「じゃあ、お先に」
「「お疲れ様でしたーー」」
テクテクテク
ミカサ(早く終わったとはいえ……結構時間は遅いな)
ミカサ(…エレンさんのとこ、寄りたいな……//)
ミカサ「……」
-
- 85 : 2014/04/04(金) 23:03:00 :
純喫茶『プティボ・ヌール』にてー
ザァァァァァア
エレン「…」
この店のオーナー、そしてバリスタでもあるエレンは、降りしきる雨をじっと見つめていた。
時折、雷の鳴る音が聞こえると、形の良い眉をキュッと寄せる。
エレン「………うわ、今のでかい。」
エレン(急に降ってきたな……。天気予報では何にも言ってなかったのに)
エレン(こんな雨じゃあ、お客さんもこないだろうな。)
そう思うと、身の回りのものを簡単に片付け始めた。
チリチリーン
エレン「へっ?お客さん?」
突然の来訪者に驚き、思わずくるりと扉の方へ体を向けると、そこにはー
ミカサ「はぁ……はぁ……」
エレン「ミ、ミカサさん!大丈夫ですか?!」
ミカサ「エ、エレンさん……」
ミカサの髪は濡れ、パンプスと服は泥で汚れていた。
そして、見るからに彼女は震えている。
エレン「待っていてください、今タオル持ってきますので!近くの椅子に座っていて下さい」タッタッタッ
ミカサ「…エレン、さん、あり…がとう……」
-
- 86 : 2014/04/04(金) 23:16:06 :
エレン「……はい、これ、どうぞ使ってください」
ミカサ「…ありがとうございます」
ゴロゴロゴロ
遠くで、雷の音が鳴る。
エレン「……」
ミカサ「……」フキフキ
エレン「………ミカサさん、こんな雨の中、わざわざ来て頂かなくても大丈夫ですよ。あなたの……あなたのお体の方が、大事なんですから」
ミカサ「あなたの……お店に来る途中に急に降り始めて…。そこから家に行くより、こちらの方が……近かったものですから。」フキフキ
エレン「そう、でしたか。」
ミカサ「…えぇ。」
エレン「…」
ミカサ「…」
ミカサ「あ、タオル、洗ってお返ししますね」
エレン「そ、そんな、いいですよ」
ミカサ「でも、このタオル、エレンさんのでしょう?」
エレン「はい、そうですけど……。ミカサさんにご迷惑がかかりますし…」
ミカサ「いいえ、そんなこと無いです。……洗って、返させて下さい。」
エレン「…そこまで言って下さるのなら、お願い、します。」
ミカサ「…」
エレン「…」
-
- 87 : 2014/04/04(金) 23:32:03 :
ミカサ(雷、怖い…………)
ミカサ(今、必死で我慢してるけど……。いつか悲鳴をあげてしまうかもしれない……)
ミカサ(…………やだ、やだ、やだ……!)ブルブル
と、その時ー
ガッシャーン!!!!!! ゴロゴロゴロゴロ……
店の電気が、一斉に消え、辺りは闇と化した。
エレン「うわっ、何だ、今の?!店に落ちたか?!」
ミカサ「い、ぃや、、、いやだ…………!」
ミカサは両手で耳を塞ぎ、震える声で呟いた。
エレン「…え……ミカサ……さん?」
いつも冷静なミカサとは違い、ただならぬ様子を感じ取ったエレンは、彼女に少し近づく。
ミカサ「雷……いや……いやだよぉ……」
次に発せられた言葉に、エレンは目を丸くさせた。
「お父さん……お母、さん……」
-
- 93 : 2014/04/06(日) 21:48:58 :
エレン(……一昨日アルミンさんが来たとき、確かアルミンさんはこう言ったんだ。)
アルミン『……エレンさん、最近、ミカサと結構仲が良いように見えるから、忠告しておきますけど……』
アルミン『ミカサに、ミカサの両親のことを聞くのは、タブーですよ。絶対止めてあげて下さい。』
エレン『へ?あ、はい……』
アルミン『…頼みますよ』ジロッ
エレン『うっ、わ、分かりました。』
エレン(あの時のアルミンさんの目は本気だった……。きっと、ご両親によっぽどの事があったんだ……。中高で鈍感野郎と呼ばれていた俺でも分かる。)
エレンは、ミカサに近づいて行き、
ミカサの手を包み込むように握った。
ミカサ「え………」
エレン「あの……僕、女性の慰め方とか、よく分からないんですけど……。」
エレン「その……、」
エレン「元気、出してください。」
エレン「僕、あなたと話してると凄い楽しいし、その…えっと……」
エレン「……」ポリポリ
エレン「と、とにかく、僕は、あなたが元気でいて下さるのが、良いです……」
-
- 94 : 2014/04/06(日) 22:04:35 :
ミカサ「……//」
ミカサは思わず俯いた。
ミカサ(エレンさんの手、温かい……)
ミカサ(…………あぁ、こんなことされたら、エレンさんをもっともっと、好きになっていく…)
ミカサ(…鈍感な所や、女性の扱い方も、含めて)
ミカサ(………エレンさんには、話せるかな……。)
ミカサ(…今まで誰にも打ち明けられなかった…、自分の両親のことを)
ミカサ(この人は、私が本当に尊敬して、信頼して、そして、……愛している人。)
ミカサ(エレンさんなら……きっと、受け止めてくれる、はず)
-
- 95 : 2014/04/06(日) 22:18:56 :
ミカサは、エレンの手に、自分の手を重ねた。
彼の目を、真っ直ぐに見つめて。
ミカサ「情けないところを見せてしまって、申し訳ないです……」
ミカサ「……私、あなたに話さなければならないことがあります。」
ミカサ「私の、両親の事です。」
エレンが息を飲むのが気配で分かった。
ミカサ「……今から、17年前の事です。」
ミカサ「かなり、今では有名な事件ですが…、『ローゼ州連続通り魔事件』が起こったのを、エレンさんも知っていると思います。」
エレン「あぁ……確かその事件の犯人、自分のことを『悪魔の末裔』って言ってて…………ま、まさか…!」
ミカサ「……えぇ、恐らく、ご察しの通り……」
ミカサ「……私の両親は、その事件に巻き込まれてしまったんです」
-
- 96 : 2014/04/06(日) 22:20:21 :
17年前ー
-
- 97 : 2014/04/06(日) 22:23:01 :
- 念のため、ですが……
悪魔の末裔だからと言って、このss内の事件の犯人は、アルミンではありません。
犯人は処刑された設定でお願いします。
-
- 101 : 2014/04/07(月) 22:13:33 :
学校帰りにてー
降りしきる雨の中、ミカサは友達のハンナと一緒に帰っていた。
ミカサ『え?、あやとり?』
ハンナ『うん……。フランツに、見せてあげたいんだぁ』
ハンナ『ミカサ、すごく上手って聞いたし…、教えてくれないかな?』
ミカサ『…うん、もちろん、いいよ!じゃあ、明日の休み時間に教えてあげる!』
ハンナ『わぁ、ありがとう、ミカサ!』
ミカサ『どういたしまして』
ミカサ『ハンナとフランツって、やっぱり好き同士なんだねぇ』
ハンナ『うん、私、フランツのこと、大好きだもん!』
ミカサ『見てて、すっごく仲いいのわかるし!』
ハンナ『えへへへ~///』
ハンナ『……じゃあ……、今日家に帰ったら、ミカサにお菓子あげにいく!』
ミカサ『えぇ?!そんな、いいよぉ』
ハンナ『いいの、いいの!ミカサにあやとりのお礼したいし……、それに、うち、和菓子屋だから、お菓子たくさんあるし!!』
ミカサ『ほんとに、いいの……?』
ハンナ『もちろん!だって、ミカサとお友達だもん!』
ミカサ『あはは、ありがとう!』
ハンナ『じゃあ、ミカサ、後で家に行くからね!』
ミカサ『うん、後でね!』
ミカサ『……』
ミカサ(雨で靴下がぬれてて、気持ちわるい……)
ミカサ『…早く帰って、靴下洗おう』ボソッ
ゴロゴロゴロ……
遠くの方で、雷が鳴った。
-
- 102 : 2014/04/07(月) 22:29:19 :
ガチャッ
ミカサ『お母さん、ただいまぁ……あ、今日はお父さんもいるんだった!お父さんも、ただいまぁ!』
シーン
ミカサ『……?』
ミカサ(いつもはお返事してくれるのに……)
ミカサ(お昼寝してるのかな……)
ミカサ『ねーぇー、おーきーてーよーー!!』
そう言いながら、ミカサが鍵を閉めようとしたとき、
キャァァァァァァァァァア!!!
ミカサ『ー?!』
ミカサ『今の……何……?………お母さんの、声?!』
ミカサ『おとーさん!!おかーさん!!?』
ミカサは、鍵を閉めずに廊下を走って、声がした方のリビングのドアを開けた。
ミカサ『─────────え……』
そこで見たものはー、
血だらけで横たわる、ミカサの両親と、血だらけのナイフを持っている、見知らぬ男の姿だった。
-
- 103 : 2014/04/07(月) 22:39:09 :
ガッシャーーーン!!!ゴロゴロゴロ……
近くに雷が落ち、その男の顔を青白く照らす。
ミカサ『…………うそ、でしょ……』
犯人『……!』ギロッ
犯人『お前……、見た、のか……?』
逃げろ
そう頭の中で警笛がなっているが、体が思うように動かない。
ミカサは、少しずつ後退りをした。
ーだが、男は狂ったようにこちらへ突進してくる。
ミカサ(刺される……!)
ミカサ(……私も、死ぬのかな…)
と、次の瞬間
グサッ
お腹に違和感を感じて、そこを見ると、
ナイフが刺さっていた。
ミカサ『……っ』
ミカサは、膝をつき、その場に倒れこむ。
───そこから、意識は、もう無くない。
-
- 104 : 2014/04/07(月) 22:52:18 :
ミカサ「……後から聞いた話だと、お菓子を渡しに来てくださった私の友達と、そのお母さんが、」
ミカサ「玄関のドアが開いていることに不審に思い、中に入ったら──」
ミカサ「リビングで、倒れている私達を見つけて、警察に通報してくださった、そうです……」
ミカサ「私は、刺されたのは一回だけだったので、こうやって助かりましたがー」
ミカサ「両親は、何度も刺されていたので、出血がひどく、病院に着くとすぐに亡くなりました……」
ミカサ「……」
ミカサ「……あ、あと、私が雷を嫌いな理由もこれに関連していて……」
ミカサ「その日も、雷を伴った激しい雨が降っていたからで─────。雷がある度に、この事件を思い出してしますんです」
ミカサ「……コーヒーが嫌いだった理由と、似ているんですが……」
ミカサ「…これは、克服できそうにないですね……」
エレン「……」
-
- 110 : 2014/04/08(火) 21:47:33 :
ミカサ「次の日の朝に、目が覚めたんですが……、事件のショックで口がしばらく利けなくなり、私は、感情を押し殺すようになりました……」
ミカサ「……だんだん、お腹の傷は、回復しているのですが、精神的には、まだ…回復できてないところもあるんです………」
ミカサ「ちょっとしたことに反応してしまいますし、独り暮らしをするのだって……本当は、怖いんです……」
ミカサ「…犯人は捕まり、刑は執行され、もうこの世にはいませんが……」
ミカサ「……やっぱり、またその犯人が来るんじゃないかと思ってしまっていて…………それが…怖くて……グズッ」
エレン「ミカサ、さん……」
ミカサ「私って、ヒッグ、凄く弱い人間で……グズッ」
ミカサ「みんなからは……グズッ、『ミカサって、なんでも出来るし、強い人だよね』って言われますけど……」
ミカサ「…それは、悲しさや寂しさが表に出ないだけで、本当は、子供みたいに、弱いんです……グズッ」
ミカサ「この話をしようにも、すごく、勇気がいるし……グズッ、それに……」
ミカサ「…みんなから……グズッ、…………みんなから、…『かわいそうな子』と見られるのが、嫌、だった……!」ポロポロ
ミカサ「エレン、さん……」
ミカサ「私のこと、……軽蔑、しますか……?」
エレン「…………っ」
-
- 112 : 2014/04/08(火) 22:19:28 :
エレンは、握っていたミカサの手を離すと、
正面から、優しく包み込むように抱き寄せた。
エレン「……軽蔑、なんて、する訳ない……」
エレン「あなたは、そんなに大きな思いを抱えて生きていたんですね……」
エレン「さぞ、辛かった、でしょう……」
それから、二人の間には沈黙が流れた。
ミカサの鼻をすする音が、店内に響く。
──どのくらい、経っただろうか
しばらくして、エレンは、おもむろに口を開いた。
エレン「……決めた。」
エレンはミカサを体から少し離し、そして……こう、言った。
エレン「ミカサさん……僕が、あなたを守ります。」
ミカサ「……!」
そう言い放った、彼の瞳───
奪われた、一瞬で
私の中の、何も、かも……全部…
ミカサ「エレン、さん……」ポロポロ
不覚にも、涙が止まらない。
ミカサ「うわあ…………ああぁぁ……………グズッ」
エレン「あなたは、一人でたくさんのものを抱え込みすぎている……」
エレン「困ったら……頼ってください。」
エレン「今みたいに、話、聞きますから……」
エレンは、ミカサに優しく微笑んだ
そして、もう一度抱き寄せる。
エレン「……あなたが落ち着くまで、こうしていますから…」
ミカサ「エレンさん……」
ミカサは、エレンの背中に腕を回した。
ミカサ「…………ありがとう……」
-
- 116 : 2014/04/08(火) 22:39:28 :
─────────
エレン「……落ち着きました?」
ミカサ「えぇ……ありがとうございます……」ニコリ
エレン「……」
エレン「……やっぱり、あなたは笑顔が一番似合う…………」ボソッ
ミカサ「……え?何か、言いましたか?」
エレン「へっ?あ、いや……別に……//」
ミカサ「……そう、ですか」
再び、沈黙が流れる────
ミカサ(え、ちょっと待て……)
ミカサ(さっき、私達、……)
先程の記憶が、ふつふつと蘇る。
ミカサ「~っ!///」
ミカサ(今、絶対、すっごい顔赤い……)
ミカサは、エレンの方をちらり、と見ると、
パチリ
そう、音が立てたように目が合った。
エレミカ「……!!」
二人は同時に顔を反らせる。
ミカサ「あ、あの……。私、帰り、ますね……。」
ミカサ「雨も、止んでるし……」
ミカサ「長居していても、エレンさんに迷惑掛けますし……」
エレン「……」
エレン「家まで、送りますね」
ミカサ「……」
ミカサ「……へっ?」
エレン「言ったでしょう?僕があなたを守る、って。」
エレン「深夜に、女性を一人で歩かせるなんて、タブーですよ」
ミカサ「は、はぁ……」
ミカサ「えと……お願い、します……」
ミカサ(送ってくれるのは、嬉しいけど……)
ミカサ(……心臓、もたない。)
-
- 123 : 2014/04/09(水) 22:09:50 :
ミカサ「……あ、私の家、ここです。」
エレン「ほぅ……アパートに、お住まいなんですね」
ミカサ「えぇ……」
ミカサ「ここまで送ってくださり、ありがとうございます」
ミカサ「へ、部屋には、一人で行きますので…//」
エレン「……そこまでは行きませんから、安心して下さい。」
エレン「何かあったら、連絡下さい。さっき渡した連絡先に、僕の携帯の番号が書いてありますので」
ミカサ「は、はい…」
ミカサ「おやすみなさい、エレンさん」
エレン「おやすみなさい」ニコリ
カンカンカン
と、音を立ててミカサは部屋までの階段を上った。
ミカサ「……」
先程渡されたエレンの名刺を見る。
ミカサ「……///」
思わず一人で微笑んだ。
-
- 125 : 2014/04/09(水) 22:37:38 :
次の日──
純喫茶『プティボ・ヌール』には、夕陽の暖かい光が窓から射し込んでいた。
エレン(今日は晴れたな……。昨日、あんなに降ってたんなんて思えないくらいだ)
エレン(……ミカサさん、来てくれるだろうか…………)
エレン(……って、何期待してんだよ…)
エレン(……)
エレン「あぁ、くそっ」
エレンは気持ちを紛らわすために、髪の毛をぐしゃりと掻き回した。
と、その時───
チリチリーン
玄関の鈴が鳴り、扉が開いた。
エレン「(ミカサさん、来てくれたのだろうか…)いらっしゃいま…………」
エレンの笑顔が、ひきつる。
??「…こんにちは」ニコッ
エレン「お前……っ」
??「仕事が早く終わったから……、来ちゃったわ」
??「あと……お前、とかじゃなくて名前で呼んでよ、エレン。昔みたいに…」
エレン「─ったく……。そーいや、前のあの花は何なんだよ、いきなり押し付けやがって」
??「いいじゃない、別に。このお店に合ってるでしょ?」
??「それに……、あの花には……」
エレン「あ?」
??「んーん、何でもない♪」
近づいてくる彼女に、エレンは小さく舌打ちを打つ。
エレン「……で、今日は何しに来たんだ?」
エレン「……ミーナ」
-
- 127 : 2014/04/09(水) 22:53:15 :
ミーナ「あら、嬉しい……!名前で呼んでくれた」
ミーナ「何しに来たって……、あなたに会いに来たのよ」
ミーナの雰囲気がいつもより違う。いつもより、甘い空気が彼女の回りに漂っていた。
ミーナ「ねぇ、エレン……?」
ミーナは、ずいっとエレンに近づく。
ミーナ「私……、いつでも待ってるからね?」
そう言うと、今度は顔を近づけた。
互いの息遣いが感じられるほど、近く。
ミーナ「あなたが、振り向いてくれるまで………」
エレン「おいっ……てめぇ、調子乗るんじゃねぇ……」
エレンは、ミーナとの距離を離そうと、彼女の肩に手をかけた─────
チリチリーン
ミカサ「エレンさん、あの、昨日のタオル、返しに来ま……し、た………………」
エレン「ミ、ミカサさん……」
ミーナ「……」
ミカサの表情は、見るからに青ざめていた。
-
- 132 : 2014/04/10(木) 22:03:27 :
今日は仕事がとても早く終わったので、エレンさんにすぐ会えると思っていた。
エレンさんとたくさん話せると思った。
エレンさんともっと仲良くなれると思った。
───────のに。
ミカサ「エレンさん、あの、昨日のタオル、返しに来ま……し、た…………」
店の扉を開けて目に飛び込んできたのは、
ミーナと、彼女の肩に手をかけたエレンさんの姿だった。
二人がそんな関係だっただなんて、思いもしなかった。
エレンさんに抱き寄せられて、
自分に少し気を持ってくれているのかなんて考えたけれど、
それは、単なる自惚れに過ぎなかったんだ。
エレン「ミ、ミカサさん……」
ミーナ「……」
ミカサ「……」
エレン「あの、これは
ミカサ「そういうご関係なら……、早く言ってくだされば良かったのに。」
ミカサは無表情でそう言い放つ。
ミカサ「……」
ミカサ(なによ……こんなの…………。)
ミカサ(昨日のあの時、エレンさんは私を守ってくれると……そう、言った。)
ミカサ(あの言葉は、そんなに軽いものだったの?)
ミカサ「……お取り込み中、お邪魔して申し訳ございませんでした。」
ミカサ「タオル……、ここに置いておくので。」
ミカサ「……失礼します。」
エレン「ミカサさん!待って下さい!」
エレンは、ミーナを軽く突き飛ばすと、ミカサの肩を掴んだ。
エレン「誤解です!ミーナと僕は、そんな関係じゃ
ミカサ「離して下さいよっ!!!」
ミカサはそう叫ぶと、キッとエレンを睨んだ。
エレン「……!」
ミカサ「もう、いい……。良いんです。」
ミカサ「私を、守って下さらなくても良いですから。」
ミカサ「……さようなら、エレンさん。」
チリチリーン
玄関の鈴が、静かに店内に響いた。
-
- 135 : 2014/04/10(木) 22:32:51 :
エレン「ミ、ミカサ、さん……」
長い沈黙の後、エレンは絞り出すように声を出した。
ミーナ「……ふっ」
エレン「おい、ミーナ……」ギロッ
エレンはミーナに近づき、胸ぐらを掴む。
エレン「てめぇ…………………、ふざっけんじゃねぇぇよ!!!」
エレン「お前のせいで…………、お前が変なことするせいで……、ミカサさんに……誤解させちまったじゃねぇぇか!!!」
ミーナ「……そんなの…」
エレン「あぁ?!」
ミーナ「そんなの、あなたが完全に信頼されてなかったからじゃないの?」
ミーナ「完全に信頼されてなかったから、簡単に誤解されちゃったんじゃないの?」
ミーナ「それに……」
ミーナ「好きな人を誘惑して、何が悪いの?」ニコリ
エレン「…………」
エレン「…何を言われようと……、お前を許さねぇからな。」
-
- 151 : 2014/04/13(日) 21:37:18 :
ミーナ「……そう」
ミーナ「それでも……私、あなたの事、好きだから。」
ミーナ「このこと、覚えといてよ?」
エレン「…ふんっ」
エレンは、ミーナの胸ぐらを掴む手を引いた。
エレン「本当は、お客にこんなことは言いたくねぇが……」
エレン「……帰れ。ミーナ。」ギロリ
ミーナ「……っ」
ミーナは何も言わず、店から出ていった。
チリチリーン
扉の鈴がいつものように鳴る。
バタン……
と静かに扉を閉めて、ミーナはその場にしゃがみこんだ。
ミーナ「私は……、私は、ただエレンに振り向いて欲しいだけなのに……」
ミーナ「私の、どこが駄目なのよ…………」
ミーナ「ミカサの方が、…そんなに魅力的なの?」
ミーナ「……エレン…………」
-
- 154 : 2014/04/14(月) 11:27:51 :
- 今後の展開に期待(・∀・)
-
- 156 : 2014/04/14(月) 21:44:04 :
次の日───
ミカサ(あぁ、怠い……)ハァ
ミカサ(この話、止めてくれないだろうか……)
昼休み、株式会社『フライハイト』にて───
ミカサ、クリスタ、サシャ、ユミル、そしてミーナは、社員食堂で昼御飯を食べていた。
クリスタ「それで、それで?!その彼とは、どこまで行ったの?!」ズイッ
ミーナ「ちょ、そんなに身を乗り出さないで!」アハハ
ミーナ「昨日ね、ちょっと誘惑じみたものはしてみたんだけど……、ダメだったんだぁ」
ミーナ「どーしたらいいんだか……」ニガワライ
クリスタ「どんな事したの?」
ミーナ「……か、顔を近づけたのっ!こんくらい」
そう言うと、ミーナはクリスタに顔を近づけた。
クリスタ「え、これ、近くない……?」
サシャ「色々すっ飛ばしてません?」
ミーナ「え、そうかな……//」
ユミル「積極的すぎんだろ。そいつドン引きしたんじゃねぇの?」
クリスタ「ユミル、それはミーナがその人を凄く好きだから!だから、つい積極的になっちゃうんだよ!ね、ミーナ?」
ミーナ「う、うん///」
クリスタ「私、応援してるからね!」
ミカサ「……」
-
- 157 : 2014/04/14(月) 22:04:56 :
ミカサ(ミーナとエレンさんの事なんて、聞きたくない……)
ミカサ(でも、ミーナの言う『彼』がエレンさんであるのは、誰も知らない。)
ミカサ(でもそれを言ったところで、色々面倒そうだし。)
ミカサ「…」
ミカサは話に参加せず、一人黙々と食事をしていた。
ミカサ(……そう、いえば。)
ミカサ(ミーナは、エレンを誘惑していたと言っていた。)
ミカサ(では……あの時のあれは、ミーナがエレンさんを誘惑していた光景、ということ?)
ミカサ(……)
ミカサ(……そうだとすると、いや、そうじゃなくてもだけど…………エレンさんには、酷いことしたんだな)
ミカサ(……睨んでしまったし、怒鳴ってしまったし、酷い事を言ってしまった。)
ミカサ(でも……)
ミカサ(『さよなら』なんて言ってしまった以上、なんだか……こちらから謝りに行きにくい…………)
ミカサ(……どーしよ……)
-
- 158 : 2014/04/14(月) 22:27:15 :
クリスタ「じゃあ……、それ以外には、何かやってない?その前のことでもいいから!」キラキラ
サシャ「クリスタの食いつきっぷり……」
ユミル「あぁ、あいつは高校の時から恋バナが好きだからな」
サシャ「なるほど、理解です。」
ミーナ「うーん、あの人は鈍感だから、微妙だったんだけど……」
ミーナ「お花を送ったことは、あるよ?」
ミーナ「アネモネってゆーやつで、赤と紫色の!」
クリスタ「……」
サシャ「へぇ、そーなんですかー」モグモグモグモグ
クリスタ「アネモネの花言葉は、赤色のが『君を愛する』、紫色のが『あなたを信じて待つ』……」
ユミル「なるほど?その花言葉に想いを込めた、っつー訳か。」
クリスタ「なかなかロマンチストだね、ミーナ」ニコッ
ミーナ「結局、その花言葉を知ることは無かったみたい、だけどね……」
ミーナ「でも、私、これからも頑張ってくから!」
ミーナ「みんな、応援してくれるんでしょ?」
ミーナは、わざとらしくミカサの方を見て笑った。
ミカサ「……」
ミカサは静かにそれを受け流す。
ミーナ「誰かさんになんて、負けないし。」ボソッ
ミーナの呟きは、ミカサにははっきりと聞こえた。
-
- 164 : 2014/04/15(火) 22:20:03 :
ミカサ「そろそろ時間、ので、オフィスに戻るべき」
クリスタ「あ、もうそんな時間なんだ?!」
ミーナ「……もうちょっと、話していたかったなぁ」
サシャ「まぁまぁ、そんなこと言っても、行かなきゃいけないですし…」
クリスタ「そうだね……、戻ろっか。」
──────そして、数時間後
ミカサ「ふぅ、終わった。」
クリスタ「えぇぇぇえ?!早いってばー」ムゥ
ミカサ「…………クリスタも、頑張ってね」
クリスタ「う、うん、ありがと、ミカサ!」
ミカサ「じゃあ、お先に。」
リヴァイ「……おい、ミカサ。」
ミカサ「なんでしょうか、チ……いや、課長」
リヴァイ「…………話がある。少し待っていろ」
ミカサ「……はぁ、分かりました。」
数分後…
リヴァイ「おい、ミカサ。……待たせたな。」
声のした方を見ると、リヴァイが書類を抱えてやってきた。
ミカサ「いえ……大丈夫です。」
リヴァイ「そうか。」
そう言うと、リヴァイはミカサにその書類を渡した。
ミカサ「……これは……?」
リヴァイ「お前は、極めて優秀な社員だ。」
突然、そう言ったリヴァイに、ミカサは驚いた。
ミカサ「え、は、はぁ、……どうも」
いつもの上司からは、考えられない言葉が出てきたからだ。
リヴァイ「……そこで、なんだが。」
リヴァイ「これからアメリカで行う、新プロジェクトチームを結成するつもりなのだが……」
リヴァイ「そこに、ぜひお前も入って欲しい、と思ってな」
リヴァイ「この事については、エルヴィン……いや、社長も快く賛成している。」
リヴァイ「それから、お前がこのプロジェクトチームに入り次第……俺達はアメリカに行く。」
ミカサ「……!」
ミカサ「アメ、リカ……行くんだ……」
リヴァイ「どうだ、ミカサ。悪い話ではないと思うがな。お前、アメリカに行きたがっていただろう?」
ミカサ「はい……、ぜひ、お願いします。」
リヴァイ「……ならいい。」
リヴァイ「詳細はそこの書類に書いてある。」
リヴァイ「アメリカ行きは、また近日中に連絡する。」
ミカサ「はい、承知しました。」
リヴァイ「俺からは以上だ。」
リヴァイはそそくさと戻っていく。
-
- 165 : 2014/04/15(火) 22:28:31 :
ミカサ「……」
アメリカ、行けるんだ。
いつか、アメリカで仕事をする
そのことは、ミカサの夢であった。
こんなにすぐに、叶うとは……
ミカサ(嬉しい、すごく嬉しい……)
ミカサ(……のに、)
ミカサ(なんだろう…………なぜか、寂しい……)
その時、脳裏に浮かんだ「それ」を振り払うように、ミカサは早歩きをして会社を出た。
-
- 170 : 2014/04/17(木) 21:14:51 :
それからというもの、ミカサはますます忙しくなっていった。
アメリカでの新プロジェクトを行うにあたり、
下準備、というものをしっかりとする必要があったからだ。
プロジェクトチーム、通称『リヴァイ班』と呼ばれるそれの社員たちは、誰もが優秀だった。
その中でも特に、ミカサはペトラと話す機会が増えた。
-
- 171 : 2014/04/17(木) 21:20:31 :
ペトラ「ミカサ、そろそろ終わってもいいからね?」
ミカサ「あっ、ありがとうございます…、そうさせて頂きます。」フゥー
ペトラ「はい、お疲れちゃん」
ペトラ「……ねぇ、もう少しミカサと話したいんだけど……付き合ってくれる?」
ミカサ「はい、もちろんです」
ペトラ「あら、ありがと。」ニコッ
ペトラ「じゃ、私、何か飲み物買ってくるよ」
ミカサ「そ、そんな。私が買ってきますよ!」
ペトラ「いいって、いいって!いっつもミカサに買ってもらってるし。」
ミカサ「し、しかし……!」
ペトラ「……ねぇ、たまには私を頼って?」
ミカサ「…………はい、ありがとうございます……」
-
- 172 : 2014/04/17(木) 21:29:10 :
ペトラ「はい、どうぞ。あ、お金は払わないで?」クスリ
ミカサ「……すみません、頂きます」
ペトラさんに手渡されたのは、
缶コーヒーだった。
ミカサ「……」
ペトラ「ん?コーヒー嫌い?」
ミカサ「い、いえ!大丈夫ですよ」
そう言うと、ミカサは缶のふたを開け、コーヒーを一気に飲み始めた。
ミカサ「……ゴクッ……ゴクッ……ゴクッ…………ぷはぁ……!うっ」
ミカサ(に、苦っ)
ペトラ「なーんでそんな一気飲みするのよ」アハハ
ミカサ「……いや、……まぁ……」
-
- 173 : 2014/04/17(木) 21:55:47 :
それから、
二人が他愛もない会話を続けて、しばらくして、
ペトラはふと思い出したように、こう切り出した。
ペトラ「……ミカサは、さ。」
ミカサ「はい?」
ペトラ「今回、アメリカに行くことになって───」
ペトラ「とは言っても、もう明後日には出発予定だけど……」
ペトラ「この人と離れたくないな、って思っている人とかいる?」
ミカサ「私が離れたくない人、ですか……?」
ペトラ「えぇ」
ミカサ(……そう、か……。もう、明後日なんだな……)
ミカサ「…」
ミカサ「……いません、特には。」
ミカサ「両親は、他界していますし。」
ミカサ「彼氏や、配偶者もいない、ので。」
ペトラ「……そう。」
ミカサ「逆に、ペトラさんにはいらっしゃるんですか?」
ペトラ「私は……いるよ。」
ミカサ「……誰、なんですか?」
ペトラ「……お父さん。」
ペトラ「ずっと、一緒に暮らしてきたから。」
ミカサ「そうなんですか……」
ペトラ「『別に、お父さんとなんて暮らさなくていい。』そんな風に思ったことは、何度もある。」
ペトラ「でも……アメリカに行くって決まってから、なんだか、無性に寂しくなって……」
ペトラ「離れたくない、って思うようになったの。」
ミカサ「……」
-
- 174 : 2014/04/18(金) 21:46:53 :
ペトラ「身近にいる人ほど、その大切さって気づきにくいもの。」
ペトラ「『失って初めて気づく』って言うように、その人と初めて気づく事って、あると思う。」
ペトラ「えっとね、何が言いたいかっていうと……」
ペトラ「……ミカサ、後悔しちゃだめだからね?」
ミカサ「え……?」
ペトラ「私、知ってるよ?」
ペトラ「本当は、離れたくない人、いるんでしょ?」
ミカサ「何を根拠に……そんなこと……」
ペトラ「女の勘を舐めちゃだめよ」
ミカサ「……」
ミカサ「………そんなの……」
ミカサ「いませんよ……」
ペトラ「……じゃあ、どーして……」
ペトラ「そんなに辛そうな表情をしているの……?」
ミカサ「……っ」
ミカサの頬に、一筋の涙がつたう。
ミカサ「すみません……、今日は、帰らせて頂きます……」
ミカサ「お疲れ様でした……」
そう言うと、ミカサは早々とオフィスを出た。
ペトラ「……」
ペトラ(ミカサ……)
-
- 175 : 2014/04/18(金) 21:57:17 :
ミカサ「……」テクテクテク
ミカサは薄暗い道を早足で歩いていた。
ミカサ(ペトラさん……なんであんな事聞くのよ……)
ミカサ「……っ」
ミカサ(それに、何故……)
ミカサ(何故、涙が出てくるの……?)ポロポロ
ミカサ(泣く理由なんて、ないのに……)
ミカサ(…………もう、あの人のことは、忘れようって。)
ミカサ(……もう、お店には何週間も行ってないから……)
ミカサ(向こうも、きっと私なんか忘れてる……)
ミカサは何故か溢れ出てくる涙を拭いながら、さらに歩調を速めた─
────その時
ドンッ
不良A「……ってーな」
不良B「おい、そこの女。こいつに謝りやがれ!
」
-
- 176 : 2014/04/18(金) 22:13:52 :
ミカサは、3人の柄の悪い男達に囲まれてしまった。
ミカサ「あ……ごめんなさい」
ミカサ(変な人とぶつかってしまった……)
不良C「あぁん?!なんつった?聞こえましぇーん」ケラケラ
ミカサ「……今さっき、謝罪の言葉を言った。」
ミカサ「そこを通して。」
不良A「おいおい……、自分から俺にぶつかっといてそりゃあねぇだろ。」
不良B「何か弁償してもらわないとなぁ……」
不良C「金出すか、土下座するか、それか……」
不良C「俺たちに少し付き合え。」ニヤリ
ミカサ「……は?」
不良B「顔立ちは……悪くねぇな。」
不良A「俺は金髪の方が好みだが……。まぁ、良いだろう。」
不良C「おらっ、さっさと行くぞ!」
不良のうちの一人が、ミカサの腕を掴んだ。
ミカサ(掴まれた、振り切らないと……)
ミカサ「ちょっと、離しなさい…………?!」
ミカサ(まずい!)
ミカサ(最近運動をしていなかったせいか、こいつの手を降りきれない……!)
ミカサ「くっ……」ギロリ
不良C「おい、抵抗すんな!」
ミカサ「このやろ……離しやが……」
不良B「うるっせぇぇえ!!」バキッ
ミカサ「!」
ミカサは思いっきり殴られる。
ミカサの殴られた頬は、早くも赤く腫れて、きている。
不良A「おいおい……、お前、なにやってんだよ!せっかくの美人さんが台無しになるだろ~」ハハハ
ミカサ「………………」
ミカサ「誰か……、」
ミカサ「助、けて……」
「何やってんだ」
─────と、その時、ミカサの腕を掴んでいた男の姿が、
一瞬にしてミカサの視界から消えた。
-
- 182 : 2014/04/20(日) 18:49:14 :
ミカサ「?!」
突然の事に、ミカサはひどく驚いた。
不良A「な………?!なん、だと…」
不良B「お、おい、あいつは……あいつは、前回の武道大会でベスト4に入ったバケモンだぜ……?!」
不良A「あぁ……あいつが簡単に投げ飛ばされるなんて…………」
不良A「くそっ、誰だっ?!お前、誰なんだよ?!」
「……」
その男は、不良二人との距離をじりじりと詰めていく。
不良達は、逆に距離を取ろうと少しずつ後ずさっていった。
不良B「……くっ………………」
不良A「う、うぉぉぉお!」
─と、不良の一人が意を決したように男に突っ込んでいった。
「…ふんっ」ドゴッ
だが、男によって殴り返されてしまう。
不良B「おい!……な、何無茶やってんだよ……」
「……」
「お前ら……よくも…………やらかしてくれたじゃねぇか……」
「……もう、こいつに手を出すな……」
不良B「あ、あぁ……」
「いいな?!」ギロリ
不良B「は、はい、すいませんでしたっ」
男の気迫に押され、
不良達は、すたこらと逃げていった。
-
- 183 : 2014/04/20(日) 19:02:44 :
ミカサ「……」
ミカサは、その男の大きな背中を暫く見ていた。
ミカサ(すごい……あの対人格闘術は……)
ミカサ(一体誰なんだろう……?)
ミカサ(……ま、まさか…………あの人が……?)
───と、
不意に、その男が振り返った。
「大丈夫?」
「ミカサ……」
秋の訪れを感じさせる涼しい風が吹き、
彼の金髪を揺らした。
ミカサ「アル、ミン……?」
-
- 184 : 2014/04/20(日) 19:31:55 :
アルミン「……エレンさんかと思った?」
ミカサ「…………うそ…………なんで……?」
ミカサとアルミンは、幼稚園が同じだった。
アルミンはいつも苛められており、そこをミカサが助ける、というのがセオリーだった。
ミカサ(まさか……立場が逆になろうとは……)
思いもしなかった。
アルミンがミカサの方へと近づいてくる。
アルミンの顔を見れば、
もう幼稚園の頃の彼の面影はほとんど無くなって、すっかり大人の顔立ちとなっているのを改めて感じさせる。
前、暑い夏の日に会った時よりも、大人びて見えるのは何故だろうか。
アルミン「……怪我はない?」
ミカサ「えぇ……」
ミカサ「助けてくれて、ありがとう……」
アルミン「どういたしまして。ミカサが無事で何よりだよ」ニコリ
ミカサ「ところで、あの格闘術、どこで覚えたの……?」
アルミン「あぁ、あれか……」
アルミン「あれはそんな、大したことないよ」アハハ
ミカサ「でも……最初に投げ飛ばしていた相手は、武道大会でベスト4に入ってたって……」
アルミン「……僕は、その武道大会で優勝した人に指導して貰ったんだ。」
アルミン「アニって名前なんだけど……、ミカサと同じ会社に入ってないかい?」
ミカサ「あ……、うん。でも、私はあまり話したことがない……。彼女が優勝したの?」
アルミン「うん。アニは僕のいとこでね。中高時代になんだけど、この格闘術を教えて貰ってたんだ。」
ミカサ「へぇ……」
-
- 185 : 2014/04/20(日) 21:30:01 :
ミカサ「……今日もまた、エレンさんのコーヒーを飲みに、こちらの方へと来たの?」
アルミン「あ、あぁ!そう……」
アルミン「いや…………、違うんだ……」
ミカサ「え……、違うの?」
アルミン「僕は……」
アルミン「ミ、ミカサに伝えたいことがあって……来たんだ。」
アルミン「ミカサ……、明後日、アメリカに行っちゃうって聞いて……。」
ミカサ「……」
アルミンの瞳は、真っ直ぐミカサの方を見ている。
その輝きに、思わず惹かれていると─
アルミン「ミカサ……僕、」
アルミン「ミカサのこと、好きだ。」
-
- 186 : 2014/04/20(日) 21:40:04 :
ミカサ「……え………」
アルミン「幼稚園の頃から……僕は…………」
アルミン「ミカサが好きだったんだ。」
アルミン「アニから格闘術を教えてもらったのだって……」
アルミン「ミカサに守ってもらうばかりじゃ、だめだって思ったからで…」
アルミン「だ、だから、えっと……」
アルミン「返事……、聞かせてくれないか……?」
-
- 187 : 2014/04/20(日) 21:59:07 :
長い沈黙が、二人の間に流れる───
ミカサ「……」
ミカサ「驚いた……」
その沈黙を破ったのは、ミカサだった。
ミカサ「アルミンが、そんな風に思ってたなんて……」
アルミン「……」
ミカサ「アルミンは、すごく、優しい……」
ミカサ「いつでも、私や皆に優しい笑顔を向けてくれて……でもそれでいて、頭が良くて、根性があって……」
ミカサ「私自身、アルミンには様々な場面で助けてもらった……」
アルミン「……」ギュッ
アルミンは、ミカサの手を握りしめた。
ミカサ「今日も、アルミンには救われた……」
ミカサ「だから……」
ミカサ「私にとって、アルミンは大切な存在なの……」
アルミン「…………ミカサ。」
アルミン「返事、ちゃんと聞かせて?」
ミカサ「私は…………」
-
- 193 : 2014/04/21(月) 22:41:10 :
純喫茶『プディボ・ヌール』にて、
エレン・イェーガーは一人コーヒーカップを拭いていた。
その目には光が無く、どこか動きもぎこちない。
店には、彼一人しかいなかった。
エレン「……はぁ…………」
エレン(最近溜め息しか出ないな……)
エレン(…ミカサさんが来なくなってからだ……)
エレン(仕方……ないさ。)
エレン(変な誤解、されちまったし……)
エレン(もう、ミカサさんは…………俺のこと、どーも思ってないんだろうな)
エレンがふと時計を見ると、
長針は、11を指していた。
エレン「もう、こんな時間か……」
エレン「店……閉めようかな……」
そう呟いたとき───
チリチリーン
エレン「え……?」
「まだ、開いてます?」
エレン「今閉めようと思っていたのですが……」
エレン「大丈夫ですよ……アルミンさん。」
-
- 199 : 2014/04/22(火) 22:22:37 :
アルミン「そうか……よかった。」
そう言って、アルミンは店に入ってくる───
エレン(え……?)
だが、その足取りはふらふらと落ち着かず、彼の顔はほんのりと赤くなっていた。
エレン(…お酒飲んできたんだな……)
エレン(でも、酔っぱらってるところなんて、初めて見たな……。)
エレン(実際、お酒は弱い方だって、前に言ってたし……)
エレン(何かあったのか……?)
アルミン「…………ホットコーヒー、一杯……」
エレン「……かしこまりました。」
エレンがコーヒーを淹れている間中、アルミンはずっと頭を抱えていた。
-
- 200 : 2014/04/22(火) 22:28:58 :
エレン「あの、アルミンさん。」
エレン「失礼ですけど……酔っぱらっていらっしゃいます?」
エレンはアルミンにコーヒーを出しながら聞いた。
アルミン「あ、はは………。やけ酒って、後が大変なんだね……」
アルミン「明日は、二日酔い確定だな……」
エレン「やけ酒って……」
エレン「……何か、あったんですか?」
アルミン「……」
アルミンはふぅ、と息を吐くと、少し声の調子を落として言った。
アルミン「振られ、たんだよ……」
アルミン「小さい頃からずっと好きだった女の子に、ね。」
エレン「そうだった、んですか……」
-
- 201 : 2014/04/22(火) 22:31:50 :
アルミン「ところで、エレンさん。」
すぐにいつもの声の調子に戻って、アルミンは聞いた。
エレン「へ?あ、はい。」
アルミン「ミカサとは……どう、なんですか?」
エレン「え…………」
-
- 204 : 2014/04/23(水) 21:43:32 :
エレン「ミカサ、さんとは……」
エレン「…最近、会ってなくて。」
エレン「この店に、来ていただいてないんです……」
アルミン「連絡とかは、取ってないんですか?」
アルミンは、ごくりと一口コーヒーを飲む。
エレン「少し前に電話をかけてみたんですが……」
エレン「出て、もらえなくて。」
エレン「ははっ……」
エレンは思わずうつむいた。
エレン「でも……、もう、いいんですよ……」
エレン「ある日、変な事で誤解されちまって……」
エレン「その事で気分を悪くされて、ここにいらっしゃらなくなったのは、重々承知していますし……」
エレン「だから…もう、ミカサさんとは……」
アルミン「エレンさん。」
エレンの言葉を遮るように、アルミンは言った。
エレン「……はい?」
アルミン「少しの間、僕のここを見てもらっていいですか?」
アルミンは、彼の鼻を指差した。
その表情は、少し微笑んでいる。
エレン「はぁ……」
──何だろう。
そう思いつつ、エレンは示された場所を見つめる。
───次の瞬間。
店いっぱいに響いた音と共に、
エレンの頬に強い痛みが走った。
思わず、自分のそれを押さえる。
口のなかで、鉄の味がわずかにした。
殴られた、ということを理解するのに、そう時間はかからなかった。
-
- 205 : 2014/04/23(水) 21:52:57 :
エレン「……いっ…………」
エレン「一体、何を……?!」
アルミン「……」
アルミン「エレンさん………いや、エレン!」
さっきの微笑んでいるような顔とはうって変わって、
アルミンは、彼の眉毛をきりりと吊り上げ、肩をわなわなと震わせて、そして鋭い目付きでエレンを睨んだ。
アルミン「君は…………君は…………っ!」
アルミン「君はっ、ほんとに大馬鹿野郎だっ!!」
エレン「な……っ」
アルミン「『ミカサとはもういい』って何なんだよ?!」
アルミン「『だから、もうミカサとは……』の続きは何だ?!」
アルミン「ミカサの事はもう忘れるとでも言いたいのか!!」
はぁ、はぁ、と肩で息をしながら、それでもアルミンはエレンを睨んでいる。
-
- 210 : 2014/04/26(土) 22:04:23 :
アルミン「ミカサは…」
アルミン「今までのミカサは、中々人に心を開こうとしなかった……」
アルミン「彼女の両親の死が、よほどショックだったんだ……」
アルミン「でも……でも……今は、違う。」
アルミン「少し、ほんの少しの変化だけど、僕には分かる。」
アルミン「……ミカサが、心を開き始めた、と。」
アルミン「彼女は、表情が少し豊かになった。」
アルミン「言葉の使い方が、少し変わった。」
アルミン「雰囲気が、少し柔らかくなった。」
アルミン「そしてなにより───笑うように、なった。」
アルミン「どれも、本当に小さな変化なんだ。でも、それらは今までのミカサには無かった……」
アルミン「そうなったのはきっと……エレン、君のお陰だよ。」
アルミン「……」
-
- 211 : 2014/04/26(土) 22:11:56 :
アルミン「僕は、先刻───ミカサに思いを伝えた……」
エレン「え……」
アルミン「結果はどうだ?!このザマだ!!」
アルミン「見事に振られたよ!!」
エレン「……」
アルミン「でも……」
アルミン「分かっては、いたんだ……」
アルミン「ミカサは、エレンと一緒にいると──別人のようになる。」
アルミン「とっても楽しそうに見えるんだ。」
アルミン「……それだけ、ミカサはエレンが好きなんだよ」
-
- 212 : 2014/04/26(土) 22:25:26 :
エレン「……でも………」
アルミン「……あのさぁ。」
アルミンは半ば呆れたように呟いた。
アルミン「……君、何のためにここまでやって来たわけ?」
アルミン「僕を含めた二人にしか分からない秘密をつくって──」
アルミン「何のために、ここまでしたんだよ?!」
アルミン「何のための『エレン・イェーガー』だよ?!」
アルミン「大体、君の目的はもう、達成されているだろう!?」
エレン「……!」
アルミン「……いくら鈍感な君でも、分かっているはずだ。」
アルミン「君が、ミカサを……」
アルミン「………愛しているということを。」
-
- 213 : 2014/04/26(土) 22:47:09 :
エレン「……」
あぁ、そうだ…
エレンの心は、憑き物が取れた如く、軽くなっていた。
エレン「……アルミン。」
アルミン「……」
エレン「俺……本来の目的を忘れていたのかもしれない。」
エレン「お前には、救われてばっかだな……」
アルミン「……正直、ミカサを君に取られるのは悔しいよ……」
アルミン「ずっと、想ってたし……」
アルミン「でも………、僕の親友の鈍感王子と、大好きな鈍感女王を、幸せにしてやりたいって気持ちも強いんだ。」
エレン「…………ありがとう……」
アルミン「……どういたしまして。」
アルミン「──さて、エレン。」
アルミン「これから何をすべきか──君にはもう、分かってるだろう?」
エレン「……おう。」
エレン「……ミカサさんに、全部話す。」
アルミン「………よし。」
アルミン「それでこそ、僕の親友、エレンだ。」
アルミン「……だけど…」
アルミン「ミカサは、明後日──早朝に、アメリカへと向かう。」
アルミン「だから、会ったらそれで最後だと思っていた方がいい……」
エレン「……」
エレン「そう、か………分かった。」
エレン「……そんなの、引き留めてやるよ」ニヤッ
アルミン「さすが、イェーガー、だね。」ニヤッ
アルミン「……話すにあたって………何か手伝うことはないかい?」
エレン「……ミカサさんを、呼び出してくれ。」
エレン「時間は、いつでもいい──。場所は──」
アルミン「うん、大丈夫だ。言われなくても分かってるよ」
エレン「あぁ、頼む。」
-
- 214 : 2014/04/26(土) 22:52:46 :
アルミン「じゃあ、僕はそろそろ行こうかな。」
アルミン「やることやったし──」
エレン「おう。」
アルミン「……頑張れよ、エレン。」
アルミン「まだ、心中複雑だけど……」
アルミン「ミカサ、泣かせたらハイキックしてあげるから。」
エレン「言われなくても分かってるっての。」
アルミン「ははは、そうだよね」
アルミン「じゃあね……また飲みに来るから、エレン。」
エレン「じゃあな……アルミン。」
エレン「……今度は、酒飲まないで普通に来いよ」
チリチリーン
-
- 215 : 2014/04/26(土) 22:59:46 :
──バタン
アルミン「ふぅ……」
アルミンは扉を閉めると、大きく息を吐いた。
ミーナ「……あんた、自分で泡(あぶく)を消してどーすんのよ」
アルミン「……ミーナ。」
アルミン「見てた、の?」
ミーナ「えぇ。最初から楽しませて頂きましたよ」
アルミン「………例え、泡を消してしまったとしても──」
アルミン「エレンとミカサに泡を作ることが出来たなら、僕はそれでもう十分だ。」
ミーナ「…おまけに私の泡も完全に消してくれたものね」ジロリ
アルミン「あ……そーだね」アハハ
ミーナ「あなたには邪魔されてばっかり……」ハァ
アルミン「でも……結果的に、良いんじゃないのかい?」
ミーナ「……ふんっ」
-
- 218 : 2014/04/27(日) 21:35:24 :
ミーナ「……エレンさんを説教するところ、なかなか良かったわよ、アルミン。」
アルミン「……味だよ。」
ミーナ「へ?」
アルミン「エレンの淹れたコーヒーの味が、落ちていたんだ。」
アルミン「いつからか──初めてエレンのコーヒーを飲んだとき、聞いたんだ…」
アルミン「『どうやって、こんなに美味しいコーヒーを淹れるんだい?』って。」
アルミン「そうしたら、エレンはこう言った───」
-
- 219 : 2014/04/27(日) 21:51:11 :
数年前──
エレン『そりゃあ……混じり気のない心で、コーヒーを淹れること、だろうな。』
アルミン『混じり気のない心?』
エレン『コーヒーを淹れる際に何かしらの不安や、迷いのようなものが心の中でわだかまっていると……』
エレン『抽出されるコーヒーもなぜか不純物が混じったみたいに、ごちゃっとした香りになったり、味の輪郭がぼやけてしまう。』
アルミン『……そんな違い、分かるのかい?』
エレン『いや、あるんだよ。』
エレン『俺のコーヒーを飲んだ人が喜んでくれているのがはっきり伝わった時のことを振り返ると、』
エレン『決まって、心が澄みきっている日だった。』
エレン『それに気づいた俺は、以来コーヒーを淹れるときは……』
エレン『ただ、美味しくなるように、と。最高の一杯を出してやろうと、そんな風に考えて淹れるようにしている。』
アルミン『……君は…』
アルミン『君は、コーヒーと結婚するべきだよ』クスッ
エレン『んなもんと結婚なんてするかよ!』
アルミン『でも、さ。それだけ、コーヒー好きなんだろ?』
エレン『…まぁ、な……』
エレン『取り敢えず、旨いコーヒー飲みたかったら、いつでも言え!』
エレン『いつでも淹れてやるよ。』
アルミン『…ありがと、エレン。』
-
- 220 : 2014/04/27(日) 21:58:26 :
アルミン「……だから、味が落ちてるって事は、何か問題抱えてるんだな、って思って、さ。」
アルミン「今まで、二人のぎくしゃくした前の関係事は微妙だった。」
アルミン「僕の考えすぎで、ほんとは普通の関係なんじゃないか、って思ってた。」
アルミン「でも、その味のお陰で、確信になったんだ。」
ミーナ「……へぇ」
ミーナ「そうだったの。」
アルミン「……あとは、二人次第だね」
アルミン「ここからどうやって復縁するか、ってゆーか」クスッ
ミーナ「……大丈夫でしょ。」
ミーナ「彼らの気持ちは、一緒なんだから……」
-
- 221 : 2014/04/27(日) 22:08:09 :
ミカサ「アルミン……、一体何を考えているの…?」
ミカサ(アメリカ行く前くらい休ませてよ……)
心の中でぼやきながら、ミカサは目の前にある大きな建物を見上げた。
──翌日 夕暮れ時。
ミカサに、突然アルミンから電話がかかってきた。
正直、アルミンと話すのは少し抵抗があった──昨日、あんな事があったからだ。
だが、電話に出たアルミンは普通だった。
いつもと同じように、ミカサと接した。
そして、こう言った。
アルミン『今日の午後5時、用事あるかい?』
ミカサ『いいえ……でも、どうして?』
アルミン『君に、話があるって言う人がいるからさ。』
アルミン『その人に、ちょっと付き合ってくれないか?』
ミカサ『……分かった。私はどこへ行けばいい?』
アルミン『場所は────』
ミカサは、思わず耳を疑った。
-
- 225 : 2014/04/29(火) 21:50:30 :
『レイスグループ』と言えば、金融、不動産、鉄道、電気、流通、及びミステリ出版などでその名を轟かせる巨大な複合企業だ。
今さっきミカサが乗ったこのタクシー内でも、ほら、レイスグループのCMが流れている。
そんな超大型企業と言うべきこのグループ、その総帥であるダリス・レイスの邸宅と言えば、もう豪邸の一言では表せない。
それはミカサの住んでいるローゼ州にあるのだが、ローゼ州ではかなり有名である。
───ミカサが呼び出されたのは、レイス邸だったのである。
-
- 226 : 2014/04/29(火) 22:14:41 :
ミカサ(レイス家と私の関係なんて、あったっけ……?)
ミカサ(でも確かに、アルミンはここに来るように言っていた……)
ミカサ(本当に、アルミンは何考えているのか分からない……)
ミカサ「取り敢えず、呼び鈴鳴らしてみよう。」
ピンポーン
ミカサ(あ、呼び鈴は普通だった)
『はい。どちら様でしょうか?』
ミカサ「あ……ミカサ・アッカーマンです。」
『ミカサさんですね。少々お待ち下さい。』
ミカサ「はぁ……」
間の抜けた返事をすると、ミカサは改めてレイス邸を見上げた。
庭は広いにも関わらず建物がとてつもなく大きく見えるということは、実際にはあの邸宅はもっと大きい訳で……
「お待たせいたしました。」
ミカサ「はっ、はい、全然平気です」
不意に声をかけられて、ミカサは飛び上がった。
目の前には、いかにも優しそうな、ミカサと同い年くらいのお手伝いさんがいる。
見ていて、何故か安心できる存在だ。
彼女はにこりと笑い、
「ご案内致します。」
-
- 231 : 2014/05/01(木) 21:53:40 :
まだ、屋敷まで着かないのか……。
元々運動不足気味だったミカサにとって、レイス邸までの道のりはとても長く感じた。
──とにかく庭が広いのだ。
ミカサ「あの……?」
「もう少し、ですよ」
ミカサ「はぁ……そうですか。」
ミカサ「このお屋敷の裏とかにも、まだ庭はあるんですか?」
「えぇ。お屋敷の裏には、プールがありますからね。」
プール…
ミカサ「はは、は…」
プールという存在は金持ちには“あるある”なのか、とミカサが貧富の差を感じていると、
「着きましたよ……こちらです。」
「これ、が……」
レイス邸。
あのレイスグループの、大邸宅。
こうしてみて、ミカサは何故ここに呼ばれたのか改めて疑問に思った。
──だがその謎も、すぐに解けることとなるのは、ミカサは思っていなかった。
-
- 232 : 2014/05/01(木) 22:04:03 :
これまた広い屋敷を案内され、着いたのはあるバルコニーの前だった。
「こちらです。向こうで、家の者が待っておりますので。」
では、私はこれで。
そう言うと、お手伝いさんはそそくさとどこかへ行ってしまった。
ミカサはあまり状況を飲み込めなかったが、取り敢えずバルコニーに行けば良いらしい、ことは分かる。
ミカサ(どんなことを言われるのだろうか……)
少し緊張したまま、ミカサはバルコニーへの扉を開いた。
キィィイ
と、音が少し響く。
ミカサ「……?あの……?あなたは……」
「ミカサさん。」
ミカサ「え……?」
ミカサの頭の中は真っ白になり、目の前の状況が分からなくなった。
「来て、くれたんですね。」
ミカサ「エレン……さん?」
-
- 233 : 2014/05/01(木) 22:12:21 :
エレン「はい……エレン、です。」クスッ
ミカサ「でも……どうしたんですか?その格好は……?」
そこに立っているのは、エプロン姿のエレンではなく、スーツを着て髪が整えられているエレンだった。
エレン「あぁ、これは……」
エレン「あなたに、伝えたいことがあって……」
エレン「いつもの姿では、話しづらかったから、ですよ」
ミカサ「……あと……どうして、レイス邸にいるんですか?」
エレン「……それは、」
エレン「ここが、僕の家だからですよ」
-
- 240 : 2014/05/02(金) 22:19:34 :
ミカサ「……え……?それは……どういう……?」
エレン「…そのまんまですよ、ミカサさん。」
エレン「これは、自分の家です、ってことです。」
────ミカサの目の前にいるエレンは、このレイス邸を我が物だと言っている。
つまり──
ミカサ「じゃあ、エレンさん、あなたは──!」
エレン「申し遅れました。僕の……」
エレン「いや、俺の名前は、エレン・レイス。純喫茶『プティボ・ヌール』のオーナー兼バリスタです。」
-
- 241 : 2014/05/02(金) 22:31:49 :
ミカサ「エレン・レイスって……」
ミカサ「じゃあ、『エレン・イェーガー』っていうのは……?」
エレン「はい、恐らくミカサさんもご察しの通り……エレン・イェーガーは偽名です。」
エレン「父親は、ダリス・レイス……レイスグループの総帥です。」
ミカサ「……」
ミカサは、思わずエレンから視線を反らし、バルコニーの外から見えるプールサイドを見つめた。
しばらくの間、沈黙が流れる。
ミカサには、少し頭の中を整理する時間が必要だった。
エレン「あの、ミカサさん……。今まで騙していて、申し訳ないです……」
ミカサ「……私、正直、この話に付いていけないです。」
ミカサ「まさか、あなたがあのレイスグループの御曹司だっただなんて……」
-
- 242 : 2014/05/02(金) 22:48:39 :
エレン「……この事を言ったの、あなたが初めてです。」
そうなんですか、と答えるミカサはどこか上の空だ。
──すると、ミカサに明かされた真実を整理していく中で、ある素朴な疑問が出てきた。
ミカサ「あの……エレンさん、」
ミカサ「そもそも、どうしてこんな真似したんですか?」
ミカサ「偽名を使って、自分の身分を隠して……」
ミカサ「……誰にも、言わずに…辛くなかったんですか?」
エレン「……俺の話、聞いてくれますか?」
エレン「少し、時間がかかるかもしれないけれど。
」
ミカサは、ちらりと自身の腕時計を見た。
時間には余裕がある。
ミカサ「えぇ……もちろんです。」
ミカサ「─いつだったか、エレンさんが私の話を聞いてくれた時もありましたよね」
エレン「えぇ……。そうですね……」
ミカサは、反らしていた視線をエレンに戻した。
エレンの瞳は、出会った時と同じく──いや、その時よりも、エメラルドの如く輝いている。
不思議と、その視線を再び反らす事が出来なかった。
-
- 245 : 2014/05/04(日) 20:58:53 :
エレン「俺はあなたと出会う前、付き合っていた女性がいました。」
エレン「丁度、一年間くらい、彼女とは付き合っていて……」
エレン「婚約を検討していた時期もあったんです。」
エレン「喜ぶ顔が見たくて、彼女が欲しいと言うものは何でも買い与えていました。」
エレン「レイスだという事は言いませんでしたが、俺が“某大企業”の御曹司であるとは伝えていたんです。」
エレン「…ところが、彼女の要求は段々エスカレートしていきました。」
エレン「最初は、指輪やブランド物のバッグ、少し高級な香水などだったのですが……」
エレン「次第に、車や家、そして最終的には、幼い頃からの夢であったというケーキ屋をつくるための費用まで請求されるまでになって……」
エレン「そして……」
エレン「ある日、突然、彼女は俺の前から姿を消しました。」
ミカサ「え……」
エレン「それから数週間経って、俺が意味もなく街を歩いていた時」
エレン「彼女の姿を見かけたんです。」
エレン「何故突然いなくなったのか、理由が知りたかったので直接尋ねようと思って近づいたら……」
すると、エレンは突然顔をしかめ、小さな声で言った。
エレン「…………に、……たんです」
ミカサ「……今なんて?」
エレン「知らない男と、腕を組んで歩いていることに、気がついたんですよ……!」
-
- 247 : 2014/05/04(日) 21:17:45 :
エレン「驚いて彼女に駆け寄り、どういう訳か問い詰めたら……」
エレン「『知らない』と……」
エレン「『あなたの事を、私は知りません。』そう、言われました」
ミカサ「そんな……。ひどい……っ」
エレン「はは……同情してくださって、ありがとうございます……」
エレン「それを言われたとき、俺、何にも考えられなくて……」
エレン「しばらく経ってから、気づきました。」
エレン「俺は、騙されていたんだと。」
エレン「彼女の目的は、俺じゃなく……金だったんです。」
-
- 249 : 2014/05/04(日) 21:37:41 :
エレン「……ちなみに、俺が問い詰めた人が、実は彼女と別人、というやわなオチはありません。」
エレン「かなり長い間付き合っていたので、顔を間違えるはずはないんです。」
エレン「……俺は……彼女に、」
エレン「…自分の気持ちを踏みにじり、金を巻き上げ、そして最後には『知らない』の一言で関係を終わらせた彼女の無責任さに、激しい憤りを覚えました。」
エレン「…………なので、その時決めたんです。」
エレン「身分を隠し、平民の振りをして……それでも自分を愛してくれる人を探そう、と。」
-
- 250 : 2014/05/04(日) 21:59:59 :
エレン「自分勝手な話ですけどね……」
エレン「それでも、俺はそうしたかったんです」
エレン「……人から愛されていると感じたことがなかったから。」
エレン「母親は俺を産んですぐに死んでしまいましたし、父親は仕事で忙しくて全く構ってくれなかったので……」
エレン「誰かから、愛されたかった。そう、感じたかった……」
ミカサ「……」
-
- 254 : 2014/05/05(月) 22:10:19 :
エレン「そして……あなたと出会った。」
エレン「あなたと話していると、時間を忘れてしまうくらい楽しかった」
エレン「あなたが美味しそうにコーヒーを飲む姿を見ていると、幸せな気持ちになりました」
エレン「あなたと過ごす時間が、とても有意義なものになっていて───」
エレン「……いつの間にか、あなたに惹かれていました。」
ミカサ「なっ……//」
エレン「ミカサさん。」
エレン「アルミンから、聞きました。明日、アメリカに行ってしまうんですよね……?」
ミカサ「えぇ……仕事で……」
エレン「その……前に、伝えておきたかった。」
エレンは大きく深呼吸をし、はっきりとした声で言った。
エレン「ミカサさん……好きです。」
-
- 255 : 2014/05/05(月) 22:32:25 :
エレンの顔は、夕日のせいなのかほんのり赤くなっている。
エレン「あぁ……らしくねぇな……」ニガワライ
ミカサ「……」
ミカサ「エレンさん……」
ミカサ「…わた……し……」
ミカサ「私は……」ポロポロ
エレン「…え?あ、いや、あの、ミカサさん?!」
エレン「大丈夫、ですか?」
ミカサ「……すみませんでした、エレンさん」
エレン「え……」
ミカサ「私…エレンさんとミーナのあの一件から、ずっと戸惑ってて。」
ミカサ「すぐ後に、あれはエレンさんの本心ではなかったと判ったんですけど……」
ミカサ「でも、それからお店に行くタイミングが分からずに、ずっとあなたに会えなかった。」
ミカサ「─それでも、私が連絡を断っても、あなたは私を……好きでいてくれた…」
ミカサ「はは……私……なんか、エレンさんに申し訳ないです」ポロポロ
ミカサ「お店に行かなくて、本当にごめんなさい……」
エレン「何言ってるんですか……。アメリカの事で忙しくて、行くタイミングが無かったんでしょう?」
エレン「そんなこと、気にしてたんですか?」
ミカサ「でも……でも……」
-
- 256 : 2014/05/05(月) 22:44:10 :
エレン「ミカサさん、」
エレン「告白の返事……聞かせてくれませんか?」
ミカサ「……エレンさん。」
ミカサ「あなたは……私の心の固く閉ざされた扉を蹴破って、私の中の色を取り戻してくれました。」
ミカサ「本当に、感謝しています。」
ミカサ「そして、私は───」
ミカサ「………初めてあった日から、あなたが、好きです。」ニコッ
エレン「──!!」
エレン「じゃあ……!」
ミカサ「……こんな私でいいなら、宜しくお願いします…//」
エレン「『こんな』じゃないです……。あなたは、十分魅力的な女性ですよ」
エレン「……では、ミカサさん…いや、ミカサ。」
エレンは、ミカサを優しく抱いた。
エレン「これから……よろしく、な?」
ミカサ「う……ん、よろしく、エレン……」ギュウ
ミカサ(あぁ、私はなんて幸せなのか……)
-
- 260 : 2014/05/07(水) 23:14:58 :
それから、数十分後──
ミカサは、エレンの部屋にいた。
エレンは先程のスーツ姿から、普段着に着替えている。
エレン「少し、待っててくれませ……いや、待っててくれないか?」
エレン「なかなか敬語が抜けないな……」ニガワライ
ミカサ「えぇ、もちろん、大丈夫よ?」クスッ
エレン「…ミカサに、是非飲んでほしいものがある。」
ミカサ「それって、コーヒー?」
エレン「あぁ。」
エレン「それも、最っ高に旨いやつだ、期待しておけよ?」
ミカサ「えぇ、待ってる。」
エレン「……お待たせいたしました。」ニコッ
ミカサ「ありがとう、エレンさん。」フフッ
ミカサ「……これは…、良い香りね…」
ミカサ「……いつものコーヒーもとても良い匂いだけれど。」
ミカサ「このコーヒーの種類は?」
エレン「それは……」
エレン「コピ・ルアックだ。」
ミカサ「……?!」
-
- 261 : 2014/05/07(水) 23:29:35 :
-
ミカサ「コピ・ルアックって……!」
ミカサ「た、確か、物凄く高級な…」
エレン「おう。」
エレン「イタチコーヒー、モンキーコーヒーと並ぶ、世界三大最高級コーヒーだ。」
ミカサ「こんな、高価なもの……いいの?」
エレン「もちろんだ。レイス家なめんなよ?」
ミカサ「ふふっ、じゃあ……頂きます」ズズッ
ミカサ「……うわっ!凄く美味しい!!」ホワァ
エレン「ははは、それは良かったよ」
エレン「……俺も初めて飲んだとき、凄い感動してさ、」
エレン「いつか大切な人が出来た時……そいつに飲ませたい、ってずっと思ってた」
ミカサ「……///」ズズッ
エレン「……」
エレン「なぁ…ミカサ……」
ミカサ「なに?」
エレン「アメリカ……明日、本当に行っちまうんだよな?」
ミカサ「うん……」
エレン「……アメリカなんて、行くな。」ギュウ
エレンは、優しくミカサの肩を抱いた。
エレン「折角、こういう関係になれて……なのにすぐに遠距離になるとか、辛いんだよ……」
ミカサ「エレン……」
-
- 262 : 2014/05/07(水) 23:37:44 :
-
ミカサ「ごめんなさい、エレン。」
ミカサ「私も……寂しいけれど、でも、アメリカで仕事をするのは、ずっと憧れていたことなの。」
ミカサ「…このチャンスを、無駄にしたくない。」
エレン「…」
ミカサ「それに…」
ミカサ「一生、会えないという訳じゃない。」
ミカサ「いつかまた、こっちに戻ってくるから……」
ミカサ「その時に……さ。たくさん会って、たくさん話して、たくさん……」
エレン「黙って。」
エレンは命じるように言うと、ミカサに顔を近づけた。
出てきたばかりの星が、二人を見守るように瞬いていた───
-
- 263 : 2014/05/07(水) 23:41:13 :
それから時が経ち、
3年後──
-
- 267 : 2014/05/08(木) 21:49:51 :
純喫茶『プティボ・ヌール』で、アルミンとミーナは、エレンと話に花を咲かせていた。
アルミン「そういえば、エレン。」
エレン「うん?」
アルミン「君、一週間前にトロスト区で催された『バリスタ選手権』で優勝したんだろ?!」
エレン「あぁ……まぁな」フフン
ミーナ「あぁ、去年から始まったんだっけ?」
エレン「おう。俺は去年も出たんだが2位だったからな、今年は本気でやろうって思って練習しまくったよ。」
エレン「…寝不足で、本番すっげー眠かった。」
エレン「まぁ、でも優勝出来たから結果オーライかな?」ハハハ
アルミン「そのお陰で、お店も凄く繁盛しているんだろう?この前、僕が読んだ雑誌にここが載ってたよ。」
エレン「そういや、最近、取材とかが多いよな……」
-
- 268 : 2014/05/08(木) 22:04:03 :
-
アルミン「お店の魅力は、コーヒーだけじゃなく、この美男《イケメン》オーナーもあるからねぇ」
アルミン「女性客多いだろ?……全く…これだからエレンは。」ジトッ
エレン「おい、変なこと言うなって!」
エレン「女性客が多いのは…否定しねぇけど……」
エレン「そういうアルミンだって、研究室の後輩からモッテモテって聞いたんだが?」
アルミン「……それ、誰からの情報?」
エレン「ミーナ。」
ミーナ「ふふふっ」
アルミン「ミーナぁぁぁ?!」
アルミン「デマ言うんじゃないよ!」
ミーナ「えー、だって、アルミンが沢山の後輩らしき女性と歩いてるの見ちゃったしぃ。」
アルミン「あ、あれは、その……」
エレン「事実じゃねぇか」ニヤッ
アルミン「うう、うるさいよっ、モッテモテのエレン君!!」
エレン「あぁ?そんなんじゃねぇって!」
アルミン「……まぁ、エレンはミカサに一途だもんね。」
エレン「…まぁ……な……」
ミーナ「いよっ、お熱いねぇ」ヒューヒュー
アルミン「連絡とかは取ってるのかい?」
エレン「いや……。最近、忙しいらしくてよ、取れてねぇんだ。」
エレン「最後に連絡したとき、今年の夏にはこっちに来るって言ってんだが……」
アルミン「え……もう夏どころか、秋になるじゃないか!!」
エレン「……そうなんだよ。」
-
- 269 : 2014/05/08(木) 22:12:09 :
チリチリーン
秋に近づいていても、鈴の音を聞くと夏を感じられた。
ミーナ「私も……ミカサに会って、謝りたいな。」
ミーナ「あの時から、心残りになってるから。」
ミーナ「あんな酷いことして……なんであんな事したんだろうね。」
アルミン「……」
エレン「……」
ミーナ「あは……ごめん、何か白けちゃった。」
アルミン「違うよ……。」
ミーナ「へ?」
「ミーナ…大丈夫、私はもう気にしていないから。」
「アルミン…お久しぶり。元気だった?」
「エレン…なかなか連絡出来ずにごめんなさい。……会いたかった」
エレン「ミカサっ!!!」
-
- 273 : 2014/05/12(月) 21:57:39 :
ミカサ「みなさん、お久しぶり」ニコッ
ミーナ「ミカサ……」
ミーナ「ミカサァ……!」ポロポロ
ミーナ「…グズッ、ミカサァァ!!」ガバッ
ミカサ「うわ?!」
ミカサ「どうしたの、いきなり抱きついてきて…」
ミーナ「ごめんなさい!!」
ミーナ「あの時のこと、ずっとずっと、直接謝りたくて……」
ミーナ「ミカサに、嫌な思いさせて……」
ミーナ「ごめんねぇ……」ポロポロ
ミカサ「……ミーナ。」
ミカサ「さっきも言ったけど、私は大丈夫だから。」
ミカサ「そんな、自分を責めないで?」ナデナデ
ミカサ「……女って怖い、とは改めて思ったけど」クスッ
ミーナ「……グズッ……ふふふ、ありがと…」
ミーナ「ねぇ……私達、やり直せる?」
ミカサ「もちろん。」
ミカサ「これからも宜しく、ミーナ?」
ミーナ「うん!」パァァ
-
- 274 : 2014/05/12(月) 22:02:09 :
アルミン「えー、ごほん。」
アルミン「二人の友情も、無事復活したところで……」
アルミン「僕達も話をしたいな、ミカサ。」ニコッ
ミカサ「えぇ……そうね。久しぶり、アルミン。」
アルミン「うん、久しぶり。向かうはどう?」
ミカサ「毎日大変、けれど、とても充実していて、楽しい。」
ミカサ「アメリカの友達も沢山できた。」
アルミン「そっか…良かった!」
アルミン「……で、エレンも何か話したさそうだよ?」
エレン「……」
-
- 275 : 2014/05/12(月) 22:14:21 :
エレン「なんなんだよ……」
ミカサ「へ…?」
エレン「何なんだよ!お前、こっちに戻って来るときにはメールでも寄越せよ!」
エレン「連絡無しによぉ……びっくりさせんな!」
エレン「それにもう……夏じゃ無くなっちまったじゃねぇか……」
ミカサ「……ごめんなさい。」
ミカサ「とても、忙しくて。なかなか連絡出来なかった……ごめんなさい、エレン。」
エレン「……プッ…」
エレン「ばぁか」
エレンはミカサを力強く引き寄せた。
-
- 276 : 2014/05/12(月) 22:23:47 :
ミカサ「な……え、あ、ちょっと……//」
エレン「お前、何しょけた顔してんだ。さっきのが俺の本心だと思ってんのか?」
ミカサ「うぅ……///」
エレン「ミカサ……お帰り。」ギュウ
ミカサ「ただいま、エレン……!」
ミーナ「あのぉ……?」
ミーナ「私達もいるんですけど……?」
アルミン「イチャイチャすんのは二人きりの時にやれ、このバカップル!」クスクス
ミカサ「あ……///」
エレン「わ、悪いな、ミカサ」パッ
ミカサ「いいえ…大丈夫、エレン…//」
-
- 277 : 2014/05/12(月) 22:27:34 :
エレン「そ、そういえばさ。」
エレン「お前、こっちには何日位居れるんだ?」
ミカサ「今日も入れて……6日の予定。」
ミーナ「ありゃ、あんま長くは居れないのね……」
ミカサ「えぇ。あのチビ……じゃなかった、リヴァイ課長に初めて頭下げて取った休みだから、延長とかも難しそう……。」
ミカサ「ので、そんなに長くは居られない。」
ミーナ「そっか……。」
-
- 279 : 2014/05/12(月) 22:35:33 :
-
アルミン「ところで、ミカサ。」
アルミン「ミカサも、エレンに伝えたいことがあるんじゃないのかい?」
ミカサ「?!どうして分かったの?」
アルミン「顔に書いてあるよ」クスッ
アルミン「早くそうしたい、ってね。」
ミカサ「そりゃあ……実際そうだもの……」フフフ
ミーナ「?」
エレン「?」
ミカサ「さて……エレン。」
エレン「お、おう。」
ミカサ「…充実したアメリカ生活の中でも、ふと何かが足りない、と感じる時があったの。」
ミカサ「何故そう思ったのか。分かるまでには、あまり時間がかからなかった。」
ミカサ「毎日のように“会って”いたから、“それ”が無くなって、寂しかったの。」
ミカサ「ずっと、ずっと、飲みたかった……」
-
- 281 : 2014/05/12(月) 22:38:34 :
ミカサ「私がここへ来たのは……」
ミカサ「そう……、エレン、」
ミカサ「あなたのコーヒーを飲みに来たんです」ニコッ
THE END
-
- 282 : 2014/05/12(月) 22:43:35 :
- ふぅ……終わった。
取り敢えず、本編は終了です。
最後の方、特にごたごたしてしまって申し訳ないです……
今まで期待、支援してくださった方々、そして、この作品にお気に入り登録してくださった方々、ありがとうございました!
ちなみに、これから後日談を少し書いていきたいと思っていますが……
結構時間が空くと思います。
感想なんか頂けると嬉しいです。
-
- 284 : 2014/05/16(金) 01:22:54 :
- 期待です!!
-
- 285 : 2014/05/28(水) 14:58:15 :
- このSSを見て更にミカサが好きになりました。期待です!
-
- 287 : 2014/05/28(水) 19:58:21 :
- ミカサもともと好きだったけどこの作品を見てもっと好きになりました。
いい感じのタイトル回収でしたね。
-
- 288 : 2014/05/28(水) 20:08:00 :
- 投稿数5と書いてあるのに実際に表示されてるのは2作品だけですね。
なぜでしょうか?
期待です
-
- 289 : 2014/05/28(水) 20:14:09 :
- 最後まで見てて面白かったです!
-
- 291 : 2014/06/03(火) 19:11:54 :
- 最高!
-
- 292 : 2014/06/03(火) 19:34:27 :
- >>291
ありがとうございます!
そう言って頂けて嬉しいです!
-
- 293 : 2014/07/04(金) 22:38:36 :
- これかなりいい!!
-
- 294 : 2014/07/04(金) 23:08:27 :
- >>293
閲覧ありがとうございます♪
そのように言って頂けるなんて・・・たくさんの時間をかけた甲斐がありました^ ^
-
- 295 : 2014/07/04(金) 23:50:55 :
- いろんな意味でごちそうさまでした!!
最高でした
-
- 296 : 2014/07/05(土) 13:08:58 :
- >>295
ありがとうございます、お粗末様です!
-
- 297 : 2014/07/13(日) 16:16:49 :
-
読みやすさ考慮のため、作品終了以前の皆様からのコメントを隠させて頂きましたので、ご了承下さい。m(__)m
-
- 298 : 2014/08/28(木) 10:19:41 :
- とってもいいSSでした!
タイトル回収がお上手ですね……
遅くなってしまいましたが、執筆お疲れ様です!
-
- 299 : 2014/08/31(日) 11:31:26 :
- >>298
利卯さん!な、なんだか結構昔の作品ですがw、ご覧頂きありがとうございました!
タイトル回収までの展開はそれなりに考えたので、そのように言って頂けて嬉しいです^ ^
私も利卯さんの作品を読もうと思います!
-
- 300 : 2014/12/25(木) 01:36:47 :
- すごすぎるううう!!
心にグッと来すぎて発狂しそうになったwww
神ssでした。
作者さまのこれからのご活躍とこのssに敬礼ッ(^-^ゞ
-
- 301 : 2015/10/30(金) 22:26:07 :
- ネギざくらさんはすごいです(≧∇≦) 私は、エレミカが大好きです(((o(*゚▽゚*)でも、ミカサがやつれた?うん、なんというか、こわれた感じのミカサを見て、嫌いになったんですけど、このSSを見て、ミカサが好きになりましたε-(´∀`; このSSを見させてくれてありがとうございます(≧∇≦)今までに、イッッッッッツツツツツツツツツツツツツチバン大好きです!!!!!!
-
- 302 : 2016/11/27(日) 10:42:00 :
- 大作通り越して神作じゃねぇかぁぁぁ!!!!!
続編希望です!!
本当に素晴らしいエレミカっぷりでした!
乙です!
-
- 303 : 2017/04/20(木) 02:04:40 :
- 最高!面白かったです!
-
- 304 : 2020/10/06(火) 10:41:28 :
- 高身長イケメン偏差値70代の生まれた時からnote民とは格が違って、黒帯で力も強くて身体能力も高いが、noteに個人情報を公開して引退まで追い込まれたラーメンマンの冒険
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害悪ユーザースルメ、カグラ、提督謝罪
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害悪ユーザー空山
http://www.ssnote.net/archives/81038
【キャロル様教団】
http://www.ssnote.net/archives/86972
何故、登録ユーザーは自演をするのだろうか??
コソコソ隠れて見てるのも知ってるぞ?
http://www.ssnote.net/archives/86986
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