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アニ「泣かせて」

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  1. 1 : : 2014/03/11(火) 12:14:59
    「泣かせて」




    ーーー
    ーー



    寒い日だった。
    忘れもしない。
    アニが珍しく俺を呼び出したんだ。
  2. 2 : : 2014/03/11(火) 12:15:29
    あたりは夜の帳に包まれていた。

    真っ黒な世界 空は雲一つなく 星が輝いていた。


    宿舎の裏側、気温の低さに少し身を震わせながら アニを待っていた。

    エレン「自分から呼んだくせに……」


    なんて独り言を呟きながら。
  3. 3 : : 2014/03/11(火) 12:15:57
    やがて、アニが現れた


    アニ「ごめん、待たせちゃったね」

    エレン「おう、それで……何の用だ?」


    俺が聞きたいのはただこれだけだった
    こんな寒い中呼び出してまで、一体何の用だというのだろう。


    アニ「うん……あの……ね」


    いつになくアニの顔つきは曇っていた。
    自分の心の整理が出来ていないような様子だった。


    エレン「どうしたんだ? お前が俺を呼び出すなんて珍しいよな」


    アニは黙って頷いた。

    要件に関しては、まだ口には出さなかった。
  4. 4 : : 2014/03/11(火) 12:16:43
    エレン「……で?」

    アニ「なんて言ったらいいのかな……その……用事って用事は無いんだけどさ」

    エレン「?」

    アニ「……」


    しばらく無言が続いた。
    その場で立っているのもどうかと思い、


    エレン「……そこに座って話そうぜ」

    と言った。


    月の明かりが二人をうっすら照らしていた。
    少し眠い。
  5. 5 : : 2014/03/11(火) 12:17:29
    やがて、アニは何も言わずに俺に身を寄せてきた。


    エレン「!?」

    アニの小さな身体が、俺の身体に触れる。
    少し照れくさかった。


    エレン「な、なにやってるんだ?」

    アニ「……しばらくこのままでいいかな」

    小さい声で、俺の耳元に呟くアニ。

    エレン「あ、あぁ」

    アニ「ありがとう」

    驚くばかりだった。
    いつも見ないようなアニの態度に、ただただ驚いていたんだ。
  6. 6 : : 2014/03/11(火) 12:18:25
    アニ「……疲れた」

    エレン「?……何にだ?」

    アニ「……私自身に」


    アニは不意にこちらを向き、少し微笑んだが、その目には涙が滲んでいるように見えた。


    エレン「は?……どういう事だよ?」

    アニ「分からないよね あんたには分からない」

    エレン「……?」

    アニ「あんたさ」

    エレン「?」

    アニ「お母さんと会いたい?」


    急にこの話を振られてびっくりした。
    とっさに母さんの笑顔が脳裏に浮かんだ。
  7. 7 : : 2014/03/11(火) 12:19:08
    エレン「それは……勿論だ」

    アニ「悪いことをして」

    エレン「?」

    アニ「例えば……人を殺す」

    エレン「おい、なんの話してるん……

    アニ「聞いてて」

    重みのある声だった。
    恐怖さえ覚えた。


    アニ「人を殺したら、お母さんと一緒に暮らせる」

    エレン「!?」

    アニ「そう言われたとしたら、あんたなら……どっちを選ぶ?」

    エレン「そりゃあ……母さんには会いたいけどさ……」


    正直、迷っていたんだ。
    母さん。
    会いたいよ。
    本気で。
    他人を一人殺して会えるのなら、もしかしたら……俺は母さんを選ぶかもしれない。

    そう考えていた。
  8. 8 : : 2014/03/11(火) 12:24:14
    アニ「私だったら」

    エレン「……」

    アニ「お母さんを選ぶと思うよ」

    エレン「……そうか」

    アニ「最低だよね」

    エレン「……」

    アニ「人を殺して、自分が良くなっても 殺された人の家族は悲しむ」

    エレン「あぁ……そうだな」

    アニ「自分の欲のために、周りを苦しめるっていう訳だけど」


    アニがこんなに真剣に話すのは珍しい。
    すごく。
    ただでさえ物事に興味を持たないような性格なのに。
  9. 9 : : 2014/03/11(火) 12:30:23
    エレン「やっぱり……駄目……なんだろうな」

    アニ「……うん、それが正しいと思うよ」

    アニはにっこりと微笑んだ。
    可愛い笑顔だった。
    少し頬が火照ったのを感じた。


    アニ「ふふっ……ほっぺ、赤いよ?」

    アニはそう言うと俺の頬を優しく指で撫でた。
    信じられない。
    まるでアニがアニでないかのようだった。


    エレン「なっ……何を……」

    アニ「……イヤだった?」

    首を傾げて聞いてくるアニ。

    エレン「いや……別にいいけどさ」
  10. 10 : : 2014/03/11(火) 12:41:04
    アニ「……辛い」

    エレン「……」

    アニ「聞かないんだね」

    エレン「……あぁ」


    何が辛いのか、自分自身に疲れたとはどういう意味なのか。
    気になった、だけど アニの辛そうな顔を見ると 聞く気も失せるのだった。


    アニ「……ねぇ」

    エレン「ん?」

    アニ「エレンはさ」


    エレン。
    アニに名前を呼ばれたのは初めてだろうか?
    新鮮な感じがした。


    エレン「ん?」

    アニ「自分が、巨人だとか……化け物だとか言われて どう感じるの?」

    エレン「難しい質問だな……」

    アニは返事を待っているようだ。
    じっとこちらを見つめている。
    気になってなかなか考えがまとまらない。

    エレン「な、なぁ アニ?」

    アニ「?」

    エレン「ちょっと……顔が近くないか?」

    アニ「そう?……分かったよ」


    アニは静かに顔を遠ざけた。


    アニ「それで?」
  11. 11 : : 2014/03/11(火) 12:45:10
    エレン「あぁ……自分が人間と同じ扱いをされないのは嫌だ……な」



    「やっぱり、私と同じ」
    アニはそんなような事を呟いた気がした。


    アニ「ふぅん……そう」

    アニは大きく息を吐いた。


    アニ「……会いたい お父さんに」


    アニの声は震えていた。
    なるべく顔は見ないようにしたが、気になって横を向いてしまった。
  12. 12 : : 2014/03/11(火) 14:04:36
    アニは泣いていた。
    とても、とても辛そうな目だった。
    肩を震わせ、息が切れかかっている。


    エレン「ア、アニ……」

    アニ「……何?女の子の泣いてるところが、そんなに面白い?」

    エレン「いや……そんなつもりじゃ……」
  13. 13 : : 2014/03/11(火) 15:43:27
    す、素直に言おう…めっちゃ期待です!

    ハッピーエンドかな?
  14. 14 : : 2014/03/11(火) 15:54:20
    期待です!
  15. 15 : : 2014/03/11(火) 18:11:15
    >>13 >>14
    ありがとです、
    多分ハッピーな方面にしたいです
  16. 16 : : 2014/03/11(火) 18:27:13
    アニは黙ったまま、俺との距離を狭めた。
    アニの体温が伝わってくる。

    エレン「アニ……?」

    アニはずっと辛そうな表情をしている。
    俺は黙ってアニの背中を摩った。


    アニ「……優しい……ね あんたは」

    エレン「……」

    アニ「私も」

    エレン「?」

    アニ「たまにはね、こんな風に泣きたかったりするんだよ」

    エレン「あぁ……うん」

    アニ「
  17. 17 : : 2014/03/11(火) 18:27:46
    上の最後のアニ「 っての、ミスです。
    無視しちゃってください!
  18. 18 : : 2014/03/11(火) 18:33:46
    期待です!
  19. 19 : : 2014/03/11(火) 18:39:29
    エレン「アニはか弱い乙女だもんな?」

    少し笑いながら言った。
    するとアニも微笑んで、

    アニ「……そう」

    と小さく呟いた。


    アニ「今日は……ありがとう」

    エレン「?」

    アニ「わざわざ来てくれて」

    エレン「あ、あぁ! 当然だ」

    アニ「あんたみたいな……どこか抜けてるヤツには話しやすいからさ」

    エレン「一言余分だぞ!」

    アニ「あははっ……ごめんごめん」

    アニは俺が今まで見たことも無いような笑顔を浮かべた。

    エレン「!!」

    アニ「どうしたの?」

    エレン「いや……アニがそんなに幸せそうに笑ったの初めて見たから……」

    アニ「今、私 幸せだよ」

    エレン「!?」

    よく意味は分からなかったが、無性に照れくさくなった。


    アニ「あんたと話してると気が楽ってこと」

    エレン「あ、あぁ」

    アニ「なにその反応……もしかしてなんか変な事期待したの?」

    エレン「は、はぁ!? ……そんな訳」

    アニ「その割には顔が動揺してるよ」

    エレン「くっ……」

    アニはクスッと笑うと、

    アニ「あんたと話してると楽しい」

    そう言った。

  20. 20 : : 2014/03/11(火) 19:05:38
    やべぇ
    めっちゃ最高
  21. 21 : : 2014/03/11(火) 19:06:27
    期待です!!
  22. 22 : : 2014/03/11(火) 19:10:14
    >>20 >>21 どうもです。がんばる
  23. 23 : : 2014/03/11(火) 19:27:13
    エレン「そ、そうか……」

    アニ「がっかりしてるね」

    エレン「してないって!!」

    アニ「冗談、からかっただけだよ」


    どれくらいの時間が経ったのだろうか。
    何時間もこうしているような気がする。


    アニ「あんたはさ」

    エレン「……」

    アニ「仲間を思いやれることができて……」

    エレン「……」

    アニ「もし、誰かが困っていたら 助けてあげられる人間だと思う」

    エレン「?」

    アニ「……すごいことだと思うよ」

    エレン「何を……」

    アニはちらとこちらを向き、

    アニ「いつまでもそうであってね」

    と言った。
    アニの目は寂しそうにしていた。


    エレン「どういう事だ?」

    アニ「……ううん、気にしないで」

    エレン「??」


    今日のアニはなんだか変だ。
    よく喋る、とかそういうことじゃなくて。
  24. 24 : : 2014/03/11(火) 19:41:52
    その時、コンコンと朝を知らせる鐘が鳴り響く。


    アニ「エレン、最後にお願いがあるんだけど」

    エレン「何だ?」

    アニ「……スしていいかな」

    エレン「!?」

    はじめの方がよく聞こえなかったが、大体何を言ったのかは分かった。


    アニ「……」

    アニは真剣な瞳で俺を見つめている。
    真っ直ぐな眼差しだった。

    エレン「……いいけど

    言い切る前に、アニは俺の胸に飛び込んできた。
    そして、静かに目を閉じ 俺にそっと口づけをした。


    アニ「……ありがとう、本当に 今までずっと」



    何故かアニの台詞は
    もう二度と会えない相手へ言うような物だった。


    変な一日だった、あの頃の俺はそう思っていたんだ。


    アニの涙の理由、台詞の訳
    それが分かったのは……しばらく後になるのだった。



  25. 25 : : 2014/03/11(火) 19:49:53
    ーーー
    ーー




    アニ「これ」

    アニは自分の髪留めを外すと、俺に手渡した。

    エレン「?」

    アニ「……あげる」

    エレン「えっ……どういうこと

    アニ「私のこと、忘れないでね」


    アニは小走りに駆け出した。


    エレン「ア、アニ!? ちょっと待てよ……どういう意味……」


    アニ「エレン……ありがとう」



    アニはそれだけ言って、戻って行った。

    それ以来、遂に俺たちは二度と話すことはなかった。



    ーーー
    ーー


    今でもこの髪留めを見ると、アニの笑顔を思い出すんだ。

    忘れないで?

    忘れられないよ……

    確かに俺は巨人が憎い。
    本当の事を知った時、お前の事も憎いと思った。
    心底恨んだよ。


    だけど……
    やっぱりお前は 大切な仲間だから。

    いつかまた話したいな?
    俺はそう思ってる。

    いつになるか分かんないけどさ

    また、笑顔見せてくれよ。
  26. 26 : : 2014/03/11(火) 19:50:22
    ーENDー
  27. 27 : : 2014/03/11(火) 20:01:41
    良かったです~(涙腺崩壊寸前)
    お疲れ様でした!
  28. 28 : : 2014/03/11(火) 22:25:48
    距離感がすごく良かったです!感動
  29. 29 : : 2014/03/11(火) 22:37:07
    うわーん!
  30. 30 : : 2014/03/11(火) 23:43:37
    うわーん!パターン2

    続きを書いてくれ!
  31. 31 : : 2014/03/12(水) 13:23:18
    ヤバイな…すげぇ感動です!!!

    流石です!!
  32. 32 : : 2014/03/13(木) 21:12:18
    短いのに凄く完成されている話で感動しました。
    是非、アニには報われて欲しいですね、!
  33. 33 : : 2014/03/13(木) 21:52:40
    一回読み出したら引き込まれました。感動です。
  34. 34 : : 2014/03/14(金) 11:19:52
    感動しました。゚(゚´Д`゚)゚。
  35. 35 : : 2014/03/16(日) 20:28:25
    かんっどーしたぁっ!
  36. 36 : : 2014/05/11(日) 19:43:32
    もっと、書いて欲しいです!
  37. 37 : : 2014/05/11(日) 19:49:11
    ヤバいです!( ;∀;) カンドーシタ
    エンド2を書いて下さい!
    お願いします!
  38. 38 : : 2020/10/28(水) 13:32:43
    http://www.ssnote.net/users/homo
    ↑害悪登録ユーザー・提督のアカウント⚠️

    http://www.ssnote.net/groups/2536/archives/8
    ↑⚠️神威団・恋中騒動⚠️
    ⚠️提督とみかぱん謝罪⚠️

    ⚠️害悪登録ユーザー提督・にゃる・墓場⚠️
    ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️
    10 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:30:50 このユーザーのレスのみ表示する
    みかぱん氏に代わり私が謝罪させていただきます
    今回は誠にすみませんでした。


    13 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:59:46 このユーザーのレスのみ表示する
    >>12
    みかぱん氏がしくんだことに対しての謝罪でしたので
    現在みかぱん氏は謹慎中であり、代わりに謝罪をさせていただきました

    私自身の謝罪を忘れていました。すいません

    改めまして、今回は多大なるご迷惑をおかけし、誠にすみませんでした。
    今回の事に対し、カムイ団を解散したのも貴方への謝罪を含めてです
    あなたの心に深い傷を負わせてしまった事、本当にすみませんでした
    SS活動、頑張ってください。応援できるという立場ではございませんが、貴方のSSを陰ながら応援しています
    本当に今回はすみませんでした。




    ⚠️提督のサブ垢・墓場⚠️

    http://www.ssnote.net/users/taiyouakiyosi

    ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️

    56 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:53:40 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ごめんなさい。


    58 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:54:10 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ずっとここ見てました。
    怖くて怖くてたまらないんです。


    61 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:55:00 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    今までにしたことは謝りますし、近々このサイトからも消える予定なんです。
    お願いです、やめてください。


    65 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:56:26 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    元はといえば私の責任なんです。
    お願いです、許してください


    67 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    アカウントは消します。サブ垢もです。
    もう金輪際このサイトには関わりませんし、貴方に対しても何もいたしません。
    どうかお許しください…


    68 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:42 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    これは嘘じゃないです。
    本当にお願いします…



    79 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:01:54 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ホントにやめてください…お願いします…


    85 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:04:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    それに関しては本当に申し訳ありません。
    若気の至りで、謎の万能感がそのころにはあったんです。
    お願いですから今回だけはお慈悲をください


    89 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:05:34 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    もう二度としませんから…
    お願いです、許してください…

    5 : 墓場 : 2018/12/02(日) 10:28:43 このユーザーのレスのみ表示する
    ストレス発散とは言え、他ユーザーを巻き込みストレス発散に利用したこと、それに加えて荒らしをしてしまったこと、皆様にご迷惑をおかけししたことを謝罪します。
    本当に申し訳ございませんでした。
    元はと言えば、私が方々に火種を撒き散らしたのが原因であり、自制の効かない状態であったのは否定できません。
    私としましては、今後このようなことがないようにアカウントを消し、そのままこのnoteを去ろうと思います。
    今までご迷惑をおかけした皆様、改めまして誠に申し訳ございませんでした。

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