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ミカサ「サシャは私が嫌いだそう」

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  1. 1 : : 2014/02/20(木) 13:28:50
    【サシャ「私はミカサが嫌いです」】のミカサ目線からのお話です。前回の作品と重複する場面は部分的に省略してしまうので、できれば先にサシャ目線をお読み下さい(>人<;)


    http://www.ssnote.net/archives/6128

    ↑前作はこちらになります!

  2. 2 : : 2014/02/20(木) 13:29:40
    _____調査兵団に入団することを決定した日の夜。

    食事の席は静まり返り、皿とスプーンの奏でるさみしげな音だけが不定期に、不気味に響いていた。ミカサとアルミンは互いに向かい合いながら、沈黙にまぎれるような小さい声でボソボソと会話を続ける。


    アルミン「…なんだか、やっぱりすごく張り詰めた空気だね。こうなるのも、仕方ないけど…」


    ミカサ「…うん。やはりエレンがいないと静か」


    アルミン「え、エレン?いや、まぁそれもあるかもしれないね…。でも、場が静かなのはエレンとはまた別の件だと思うけど…」

    普段から表情をコロコロと変える人間ではないにしろ、ミカサの顔に張り付いた表情が今日以上に変化しないことがあっただろうか、とアルミンはふと考えた。自らの命の火を巨人によっていとも簡単に消される、その日はおそらく近い未来に訪れるだろう…そんな恐怖を滲ませながら食事をする104期の面々とは明らかに違う事に思考を巡らせるミカサの瞳は、スープを見つめながらスープを見ておらず、アルミンに目線を移しながら、アルミンではないものを見ているようだった。



    ミカサ「…アルミン、エレンは今どこにいると思う?大丈夫なのかな…」


    アルミン「…大丈夫だとは思うよ。きっと巨人化しても拘束しやすい地下室かなんかで生活してるんじゃないかな。リヴァイ兵長と一緒に。」
  3. 3 : : 2014/02/20(木) 13:31:49

    ………あのチビのもとで生活するなんて…。ザワザワと胸がざわつくのを消し去るように、私は目の前にある残り少ないスープを口に運んだ。おばさんが…エレンのお母さんが作ってくれたスープとは全く違う、サラッとした味の薄いスープ。訓練兵の頃からもう何年も飲んできたはずの味であるのに、今日だけは異様に味気なく感じた。

    イェーガー家に家族として迎えられた私に、おばさんが初めて作ってくれたスープはとても美味しかった…。ふと、幸せの象徴であるかのようなあの時の食事の場面が頭に浮かぶ。エレンがいて、おばさんがいて、イェーガー先生がいて…。しかし漠然と幸せだった気持ちを想起するだけで、ツキンとミカサの頭に痛みが走る。ふっと息が詰まるような感覚を覚え、いるはずのない人影を探した。

    エレン……エレン…………。頭がざわつき、体を悪寒が襲う。あぁ、寒い…。いてもたってもいられなくなった私は、目の前に残ったひとかけらのパンを隣に座るサシャの口に押し込め、せわしなく後片付けを始めた。食器を重ね、急いで席を立つ。

    ミカサ「………?」

    …サシャは言葉も発さず、無理矢理咥えさせられたパンに目を落としていた。明らかにいつもと様子が違う…。私は、何か悪いことをしてしまった…??


    アルミン「…どこに行くの、ミカサ?」

    はっとサシャの目が急に覚醒したように見開いた。そして目の前のパンにようやく思考が向いたのか、サシャがもぐもぐとパンを頬張り始める。その姿を見てホッと肩をなでおろした私は、幼馴染の心配そうな顔に目を向け、散歩に行くと伝えた。




    気をつけて、そう微笑むアルミンにコクンと頷いたあと、私は食器を片付けエレンの事を考えながら足早に外へ向かったのだった。
  4. 4 : : 2014/02/20(木) 13:33:55

    外に出てしばらく付近を散歩してみたものの、エレンに会えるはずもなく…。私は震える自分の体をギュッと抱きすくめ、背後にそびえ立っていた樹木に背中を預けた。



    …こうやってエレンがそばにいない日が続くと、どうしてもトロスト区に巨人が襲撃してきた時のことを思い出してしまう。マフラーに顔をうずめながら、ミカサは思考を巡らせた。エレンのいない世界で、我を失った私は…命を捨てようとした私は、本当に無責任だったと。

    …強いものが、勝つ。そして勝たなければ、守ることはできない。大切な人を守るためにも、私達は強くなければならない。

    そしておそらく強くあり続ける限り、おのずと兵士としての責任、そして義務が生じる。強くあればあるほど、それをより多くの、不特定多数の人類のために役立てなければならない。それは兵士としての使命が、強さに準じてより大きくなるということ。

    エレンも、…私も、その意味でいえば大きな使命を背負わなければならない立場にあるのだろう。

    …強さとは、使命、責任が伴ってはじめて意味を持つものなのだ。なのにあの時の私は、そんなこともわからずに私は強いから大丈夫だと皆を煽り、無責任な先導をして、ガスを無駄遣いしたあげく、絶体絶命の場面で命を放棄しようとした。兵士として最も恥ずべき行為だ。

    しかし、後悔ばかりをしていても前に進むことなどできない。眉をひそめながら小さくため息をついて、私は自分を責めることをやめるよう努めた。

    私はエレンを守る。アルミンを守る。…そして自分の力が及ぶ限り、みんなを守ろう。そのために、次に自分の命が濁流に飲まれたら、私は精一杯あがき、もがいてみせる。それがあの時の私の失敗を取り返せる、唯一の方法であるように思えた。

  5. 5 : : 2014/02/20(木) 13:34:56

    ジャン「おい。…ミカサ?」


    ミカサ「……………ジャン。」


    同期で、エレンといつも取っ組み合いをしているジャンを、実のところ私はあまり好ましく思っていなかった。エレンが怒るようなことをいつもエレンに対して言う。エレンもその挑発に乗ってしまうから、すぐ熱くなって喧嘩になる。…そういえば、ジャンは何故調査兵団にしたのだろう。彼は熱心な内地希望者という記憶しかないけれど…。


    ジャン「……………ミカサ、少し思い悩んでるか?…なんか顔が、いつもより少し…こわい、ような気がする。」


    ミカサ「…強さについて、考えていただけ。」


    ジャン「(…エレンのことじゃねぇのか…?)そっ、そっか。それで…どういうことを…、その、強さのどういう部分について、考えたんだ?」


    ミカサ「…強くあるということは、責任が伴うこと。それだけ。」



    ジャン「……………………責任か。それは、その…どういう責任だ?」


    ミカサ「……………………。」


    ジャン「(や…やべぇ、根掘り葉掘り聞き過ぎか?しつこい男と思われたかな?くそっ…)」


    ミカサ「…力を人類のために、人命のために役立てる責任。」


    ジャン「…………………………」


    ミカサ「……………じゃあ、また」


    ジャン「….、あ、ミカサ!!!」


    ミカサ「…………………?」



    ジャン「……わりぃ、なんでもないんだ。その…おやすみ。」


    ミカサ「おやすみなさい。」

  6. 6 : : 2014/02/20(木) 13:36:21

    ジャンは勉強熱心なのかサボり屋なのかわからない…。まるで私が投げ飛ばしやすいように格闘するかのような、遠慮の混じった会話を終えて、私は宿舎に戻るために歩を進めていた。まぁ彼は頭がいいから、きっと調査兵団でも活躍してくれるだろう。

    …そういえばなぜ調査兵団にしたのかを聞き忘れたけれど…追って聞くほどのことでもない。私はそう結論づけ、また歩き出した。

    マフラーを握りしめ、空を仰ぎながら息を吐く。息が白くなるほどの気温ではないことを理解しても、心臓が震えているような感覚を振り払うことはできなかった。



    月が綺麗だ。エレンもおなじ月を見てるだろうか。…いや、アルミンはエレンはきっと地下にいると言っていた。アルミンがそう言うなら、エレンはこの月も、この空も見れてはいないのだろう。


    ミカサ「………エレンが見るまで、この月がキレイに輝き続けますように…。…………………………………??」


    ふと帰路に目を向けると、視界に人影がはいる。…月の光があるとはいえ、夜中の深い暗闇のなかにぼんやりと浮かんでいるだけの黒い影。自分でもよくわかったなと感心するほど、それは視覚的には捉えにくいものだった。

    それでもミカサがその影を察知することができたのは、月と対照的に放たれているどす黒いオーラのおかげだった。悲壮な感情もあそこまで強くでると、まるで殺気のように感じられミカサの第六感に響いたのだ。


    ミカサ「いったい誰…?」

  7. 7 : : 2014/02/20(木) 13:39:11

    単純な好奇心と心からの心配。どちらが自分の中で優っていたかなど、どうでもいいことだ。とりあえず、顔が判別できる距離まで近づいてみる。


    ミカサ「…………………サシャ?」

    絶望という言葉で十分説明できるであろうその人影の正体。それは、その二文字とは最もかけ離れているような人格の持ち主である、サシャであった。


    みんなを守るということを胸に決めた直後だったからなのか…いつもならおそらく無視をしただろうけれど、何故か気がついたら彼女についていく形で、林の奥の方まで来てしまっていた。


    そして突然聞こえる、叫び声。


    サシャ「なにがしたいんかわからぁーーん!!もぉ!!…ヒッグ…………おいしいもの食べたいだけなんに…こんなとこ来てなんやの…ただのアホやんか……!」



    いったい、サシャはどうしたというのだろう。

    …そういえば、と自らの記憶を掘り起こしてみる。そして、いつも食事の席ではパンをねだってくるばかりのサシャが、口にパンが入っていることに気づかなかった先ほどの出来事が頭に浮かんだ。たしかにあの時のサシャは明らかにいつもとは違っていた…彼女の食べ物に対する執着心が薄れた瞬間など、これまでに私は見たことがなかった気がする。


    …あれ?



  8. 8 : : 2014/02/20(木) 13:40:13

    エレン『サシャってさ、ユミルとかクリスタにはなんか遠慮してる感じがするけど、ミカサには結構強気なんだな』


    ふと、訓練兵の頃にエレンに言われた言葉が脳裏を掠める。まだ訓練兵になりたての時で彼女も私も今よりずっと幼い少女だった頃に、サシャと私は今にして思えばとても些細な事が発端で、喧嘩をしたことがあったのだ。

    そうだ、思い起こしてみればあの時のサシャも…今日ほどではないけれど、食事があまり進んでいなかったんだっけ。




    私とサシャは、初めて会った時からあまりお互いを良く思っていなかった。というよりは、噛み合っていなかった。私はエレンとの時間を、エレンへの告白をあいつに邪魔されたことで…そして芋女はおそらく、私がパンをこれ見よがしに食べたことで…お互いの第一印象は明らかに良いものにはならなかった。



    そんな私たちが、口喧嘩?のようなことをしたのは…立体起動の訓練をしていた、とある昼下がりのことが発端であった。


    サシャ『ミカサー!ちょっと聞いて下さい!』


    ミカサ『???……何?』


    サシャ『今はまだ曇りですけど、雨の匂いがするんです!ミカサは心配ないと思いますけど、エレンが怪我しないように近くで見ていてあげて欲しいんです!』


    ミカサ『…………雨??雨の匂い?』

    サシャ『そうです!エレンは今朝ジャンと喧嘩してましたから、雨が降り始めてもジャンに負けまいと無理するような気がするんです!!!だから、頼みましたよ!!気をつけて下さいね!!』

    ミカサ『…………そう。わかった』



  9. 9 : : 2014/02/20(木) 13:41:24

    そのあと、確かにサシャの言ったとおり訓練中に私達は大雨に降られた。気配もなにもなく、突然降ってきた雨に訓練兵全員が驚き、その降水量は凄まじく…教官は立体起動をやめる合図として鐘を鳴らした。


    そしてエレンはその鐘を聞きながらも訓練を中止せず、そのせいでアンカーを滑らせて落下してしまったのだ。けれど、サシャの進言通り私はエレンのそばで彼を見ていたので大事には至らずに済み…。サシャの鋭い勘のおかげで彼を守れたと、私も感謝をしたのだった。

    ここまでは、良かった。良かったのだけれど…


    コニー『………おい、エレン!!ミカサ!!ちょっと来てくれるか?!』


    ミカサ『…それはできない。エレンは先程アンカーを滑らせて落ちかけた。早く医務室に運んで一応怪我がないか看てもらわないと…』


    エレン『だから、大丈夫だって言ってるだろ!!!コニー、どうしたんだ?!』


    コニー『エ、エレンもか…!いや、サシャも同じで…アンカー滑らせて落っこちたんだ…!!頭打ったみてぇでグッタリしてるし…!運ぶの手伝ってくれないか?!』


    ……なぜ、自分で雨がくることを予想しておいて…無理をしたら危ないとわかっていて…怪我をしてしまうのか…なぜできるのか…?

    心の中で頭を抱えながら、わかった、手伝うと言って私とエレンはコニーに付いてサシャの元へ向かい、意識のない彼女をできるだけ揺らさないよう注意しながら医務室へと運んだのだ。
  10. 10 : : 2014/02/20(木) 13:42:46

    エレンとコニーは医務室まで付き添ってくれたが、その後の処置は私に任せて2人とも宿舎の方へ先に戻っていった。
    パン…スープ…お肉…パン…。気味の悪いうわ言を繰り返すサシャに心底呆れながら、私は彼女の濡れて張り付いた服を脱がし、一通り体を拭いたのち、部屋から持って来た彼女の乾いてる服を着せた。



    じきに、医務室の主である教官が来るだろうと思い処置を終えたあと足早に部屋から出ようとすると、背後からうーんとサシャの唸る声がした。


    サシャ『………ここは…?あれ、ミカサ…??』


    …どうせなら私が出て行ってから目を覚ましてくれればいいのに、なんて心の中で悪態をつきながら、目の前で状況を把握できてない彼女を放置することもできないので、私はサシャの寝ているベッドの横に置いてある椅子に腰を掛けた。


    ミカサ『………サシャは、立体起動の訓練中に落下した。頭を強く打ったようなので、エレンとコニーと私でここに運んだ。じきに教官が来ると思うので、私はこれで。』

    サシャ『………あぁ、なるほど!ミカサ、どうもありがとうございました!どうせなら教官が来るまでここにいて下さいよ!』

    ミカサ『…なるほどって…。……わかった、そういうならここにいよう。特に面白いことは話せないけれど…』


    サシャ『ミカサとはちゃんと話したことないですからね!話したい事はたくさんありますよ!』

    ミカサ『そう。ならよかった。』



    サシャ『そうですねー、ミカサは、狩りとかやってました??その強さの源は、狩猟で食ってきたという家庭環境かと私は思うんですけど!』


    ミカサ『………父は、少しやっていたけれど私は…』


    サシャ『お父さんが?じゃあミカサは町育ちではないんですね?』


    ミカサ『まぁ…。エレンの家族に迎えられるまでは、山で暮らしていた。』


    サシャ『ふーーーん…。あ、じゃあ野菜作ってたってことですか??』


    ミカサ『…うん。命を育てる事はとても美しいこと』


    サシャ『へぇー。でも、野菜作るのって時間かかりますよねぇ。その過程がどうしても私のスタイルには合わなくてー、早い話があまり好きではないんですよねー。』


    ミカサ『…狩猟は、安定していない。野菜は、基本的には安定している。芋類は、保存もきく。野菜を育てることは、実は効率のいいことだらけ。』


    サシャ『……。私は芋も葉も果実も、食べれるものは好きです。けれど、育てるとなると…面倒だし…私には無理です。…狩猟やめたら、私じゃなくなるというか…』

    ミカサ『…狩猟にこだわるのは勝手だけれど…。壁の外に出られない限り、壁内の動物を狩ってばかりだといずれ食料難になる。巨人に壁を壊されて、今は尚更その傾向にあるのだから…もう少し柔軟に考えるべき』

    サシャ『…私はご先祖様に教えてもらった生き方を通してるだけです。野菜作りなんてつまらない作業で、生きていくつもりはないんです…!』

    ミカサ『…あなたに、私達家族の生活方法を否定される筋合いはない。野菜は作り手や環境によって形も味も変わってくる。とても面白いもの。やったことがないから、わからないだけだと思う。』


    サシャ『私だって、ミカサに狩猟生活を否定される筋合いなんてさらっさらないですよ!』

    ミカサ『……野菜をつくるには、状況を把握して野菜がすくすくと育つように日々根気よく見守れる能力が必要。たしかに、あなたのような状況をキチンと見て最善の行動をとれない人には向いていない』


    サシャ『…。じゃあ言わせてもらいますけど、狩猟はセンスなんです。視覚嗅覚聴覚を研ぎ澄ませ、獲物の位置を特定する。だから今日のような、天気だとかそういったことに、私は敏感に反応できます。センスがないミカサには、きっと狩猟は向かないでしょう!』


    ミカサ『…天気のことだけど…どうやったらあそこまで事を予測しておいて怪我をするなんて器用な事ができるの?すごいセンス。』


    サシャ『結果エレンは無事だったんだから!!素直にお礼のパンくらいくれてもいいのではないでしょうか?!』




    ミカサ『…………なんでそこでパンが出てくるのかわからない。』


    サシャ『この世は持ちつ持たれつですよ!!何がしかのお礼を頂きたいと思うのは当然のことかと!』


    ミカサ『………確かに、あなたの言ったことは正しかった。それは認めるし、感謝もしている。けれどあなたが立体起動でミスを起こしさえしなければ、私は今頃食堂でゆっくりできていた。これもまた事実。あなたのせいで私はここにいなければならない。』


    サシャ『…じゃあ、もう食堂戻っていいですよ!!!すみません!!』

  11. 11 : : 2014/02/20(木) 13:46:18

    なんなのだ、この芋め。耐えきれず私は彼女をギロリと睨んだ。ヒィと声を出して怯む彼女を置いてさっさとこの場から立ち去ろうと席を立つ。マフラーをさっと首に巻き直してから振り返ることなく足早に医務室のドアまで行き、迷いなくその扉を開けた。

    エレン『…………………よう』


    コニー『…お前ら、ちょっと落ち着け!今の会話はどう考えてもくだらねぇから!』



    ドアを開けると目の前には、立ち聞きしてしまった罪悪感からか罰の悪そうな顔をしているエレンと、明らかに面白がっている顔をしているコニーが立っていた。2人ともパンとスープをのせたおぼんを持っており、あぁ、私とサシャの分を持ってきてくれたのだと悟った。


    少々気まずい空気のなか、私達は彼らの好意を無駄にすることもできないので、しぶしぶと医務室で食事をとった。スープを口に運びながら何気無くサシャの方を見てみると、サシャは目の前に大好きな食べ物があるというのに、時々考え事をするように動きを静止させたりしていた。そしてその表情からは、どこか後悔を滲ませているような…そして私の方を見るのが怖いというような、そんな感情が読み取れた。なぜサシャが落ち込むのかわからなかったけれど、少なくともあのサシャが食事を味わっているように見えなかったのは訓練兵の頃に限定していえば後にも先にもこの瞬間だけだった。

    そんなその場で真っ先に空気を切ったエレンの言葉が、先程私の頭をよぎった『サシャってさ、ユミルとかクリスタにはなんか遠慮してる感じがするけど、ミカサには結構強気なんだな』だったのだ。




    ふふっ、と、つい笑ってしまう。今思えば、本当にくだらない。いくら当時12歳だったとはいえ、なぜあんなことで腹を立ててしまったのだろう。

    結局、その後もなにかとサシャには私自身つっかかってしまうことがあったけれど…。でもなぜだろう、私は彼女のことが人として好きであったし、大切な仲間であると認識している。単純に同期というだけではなにかが、そこにはあるのだと思う。


  12. 12 : : 2014/02/20(木) 13:47:29

    サシャ「うぉおおぁぁぁぁぁ!!……ヒッ…ヒック…………ぁぁぁぁぁぁぁ!!っヒッグ…。」



    猛獣のような叫び声に、我に帰る。そうだ、とりあえずあの野生動物に話しかけてみなければ。せっかくここまで来てしまったのだし…。慰めることはあまり得意ではないけれど、彼女のことを放ってはおけない。


    大丈夫??かな…いや、どう見てもあれは、大丈夫ではなさそうだし…。どうしたの?だと、どうもしてないと言われればそれで終わってしまうし…


    …………………………




    ミカサ「泣いてるの??」


    サシャ「ヒッッ!」






  13. 13 : : 2014/02/20(木) 13:48:13

    ーーーーーーーーーーーーーーー



    私は、キチンと慰めることができた…???頭まで布団をかぶった状態で、ズキズキと痛む胸を抑え、私は先程起こった出来事に思考を巡らせた。

    …嫌われていたとは、思わなかった。ツキン、と鋭く痛む胸を抑えながら、私はおもむろにマフラーをたぐりよせた。たしかに私は、彼女に対して少々いじわるな所があった。嫌いだと言われても、仕方のない事を何度もしてしまったかもしれない。しかし先程の言葉を聞く限り、彼女は私のすること為すこと、すべてが気に入らないようだった…なぜ、こんなに嫌われてしまっただろうか。

    …どうして私は友達を作るのが下手なのだろうか。

    周りに聞こえないように、本当に小さな小さな、しかし深いため息を吐いた。サシャとこれからどう接していけばいいのか…としばらく悩んだものの、その悩みに出口などないように思え、私は気がついたらその体勢のまま深い眠りに落ちていたのだった。




  14. 14 : : 2014/02/20(木) 13:50:40

    ________壁外遠征で、女型の巨人からエレンを連れ帰ってきた後



    無事、エレンを取り返すことができたけれど…冷静さを欠いた私の行動せいで、兵長は負傷をしてしまった。私は芋を剥く作業を頼まれそれをこなしながら、ただただあの時のことを後悔していた。

    なぜ、冷静になれなかったのか…。その理由は誰が見ても明らかだった。自分の精神的支柱がエレンである限り、エレンが絡むだけで私の精神は大きく乱れてしまうのだ。

    それはエレンが悪いのではない。私が、弱いから…。自分を抑えることが、できないからだ。


    なぜ自分はこんなに脆いのかと珍しく自己嫌悪に陥る私は、芋の皮をあらかた剥き終わるまで自身の失態を悔やみ続けていた。しかし、遠くにサシャの姿を見つけた瞬間に、壁外遠征の最中にサシャから忠告された事を思い出しハッとする。そういえば、サシャの勘は当たると知っていながら、私は彼女の気をつけろという警告を綺麗さっぱり無視してしまった。

    なぜ冷静になれなかったかと言われればたしかに、それはエレンが連れて行かれそうな状況だったからだ。だがそれは、私の心の強さの問題であり、これまでにエレンと過ごし乗り越えてきた年月が、そんな私を作り上げた。その私の精神的な課題は、一朝一夕でそう簡単に改善できることではない。では、このような失態を犯さないために今私がすぐに実践できることは???









    ーーー仲間の声に耳を傾けること。

  15. 15 : : 2014/02/20(木) 13:52:45

    『素直にお礼のパンくらいくれてもいいのではないでしょうか?!』

    …本当に、素直にお礼くらい、すればよかったのに。12歳の私はなんて恩知らずだったのだろう。私は剥き終わる前の芋を二つ手にして、その場から立ち上がる。そして先程支給された昼食を取りに行きパンを手にしてから、サシャの姿を探した。


    がむしゃらにエレンを、アルミンを、みんなを守る。冷静さを欠く場面は、これから先も多々起こるかもしれない。私はそのなかで私に声をかけてくれる人に耳を傾けよう。そうやって、少しずつ前に進めればいい。

    サシャ、あなたのおかげで私一人では気がつかない事にまで気付けた。ありがとう。この前は忠告してくれたのに、ごめんなさい。それから、あの時は…ムキになってごめんね。

    舌足らずな私の言語力では、この想いを全て彼女に伝えるのは難しい。だからパンと芋にのせて、私の気持ちが彼女に伝わる事を願う。




  16. 16 : : 2014/02/20(木) 13:53:05


    サシャ「私、ミカサのこと大好きですよ!!!!!!前に嫌いって言ったの、嘘ですからーーーーーーーーーー!!!!!!!!」






    …私も、サシャの事が大好き。この想いも、追加でパンにのせよう。







    おわり
  17. 17 : : 2014/02/20(木) 14:06:26

    ここまで読んで下さった方がいらっしゃるのならば、心からのお礼を。どうもありがとうございました。m(__)m

    リヴァミカが書きたくなってしまって、前作からこのミカサ編を書くまでにだいぶ間が空いてしまったのですが…(^∇^)やっとかけました。嬉しい。(自己満)
    最後駆け足で終わらせた感maxですが…本当にすみませんんんんんん…。

    サシャもミカサも、ちょっとしかでてないけどジャンも、大好きです。みなさんも、大好きです。ありがとうございました。なんかグダグダグダグダですいません。




  18. 18 : : 2014/02/20(木) 14:12:35
    乙乙!
    雰囲気が好きだ
  19. 19 : : 2014/02/20(木) 22:15:39
    >>18さん!

    ありがとうございます!
    本当にとっても嬉しいです!!
  20. 20 : : 2014/02/22(土) 19:33:48
    読ませていただきました!これからも頑張ってください!
  21. 21 : : 2014/02/24(月) 22:44:15
    >>20さん

    ありがとうございますm(_ _)m!
    コメントまでして下さって…感謝感激です(;_;)頑張ります!
  22. 22 : : 2014/03/24(月) 11:08:39
    乙でした!
  23. 23 : : 2023/07/09(日) 19:52:42
    http://www.ssnote.net/archives/90995
    ●トロのフリーアカウント(^ω^)●
    http://www.ssnote.net/archives/90991
    http://www.ssnote.net/groups/633/archives/3655
    http://www.ssnote.net/users/mikasaanti
    2 : 2021年11月6日 : 2021/10/31(日) 16:43:56 このユーザーのレスのみ表示する
    sex_shitai
    toyama3190

    oppai_jirou
    catlinlove

    sukebe_erotarou
    errenlove

    cherryboy
    momoyamanaoki
    16 : 2021年11月6日 : 2021/10/31(日) 19:01:59 このユーザーのレスのみ表示する
    ちょっと時間あったから3つだけ作った

    unko_chinchin
    shoheikingdom

    mikasatosex
    unko

    pantie_ero_sex
    unko

    http://www.ssnote.net/archives/90992
    アカウントの譲渡について
    http://www.ssnote.net/groups/633/archives/3654

    36 : 2021年11月6日 : 2021/10/13(水) 19:43:59 このユーザーのレスのみ表示する
    理想は登録ユーザーが20人ぐらい増えて、noteをカオスにしてくれて、管理人の手に負えなくなって最悪閉鎖に追い込まれたら嬉しいな

    22 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:37:51 このユーザーのレスのみ表示する
    以前未登録に垢あげた時は複数の他のユーザーに乗っ取られたりで面倒だったからね。

    46 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:45:59 このユーザーのレスのみ表示する
    ぶっちゃけグループ二個ぐらい潰した事あるからね

    52 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:48:34 このユーザーのレスのみ表示する
    一応、自分で名前つけてる未登録で、かつ「あ、コイツならもしかしたらnoteぶっ壊せるかも」て思った奴笑

    89 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 21:17:27 このユーザーのレスのみ表示する
    noteがよりカオスにって運営側の手に負えなくなって閉鎖されたら万々歳だからな、俺のning依存症を終わらせてくれ

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