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「巨人狩りを始めよう」

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  1. 1 : : 2017/03/07(火) 05:40:12
    マイペース更新です。
    スターウォーズの設定が少し混ざりますが基本的な世界観は変わらないです。




    847年
    ウォールローゼ―――南部訓練兵団養成所

    キース「…」ザクザク

    104期一同「…」

    キース「只今より!第104期訓練兵団の入団式を行う!私が運悪く貴様らを監督することになった、キース・シャーディスだ!貴様らを歓迎する気は毛頭ない!今の貴様らは、せいぜい巨人の餌になるしかないただの家畜、家畜以下の存在だ!そんな糞の役にも立たん貴様らを我々が三年かけて鍛え上げる!巨人と戦う術を叩き込んでやる。三年後貴様らが巨人の前に立った時ただの餌のままか、あるいは王を守る名誉ある壁となるか、または巨人を駆逐する栄光ある人類の騎士か、貴様らが決めろ!」

    ミカサ(…やってやる…必ず!)

    キース「…」ザクザク

    アルミン「…」

    キース「おい!貴様!貴様は何者だ!」

    アルミン「ハッ!シガンシナ区出身アルミン・アルレルトです!」

    キース「そうか!バカみてぇな名前だな!!親がつけたのか!?」

    アルミン「祖父がつけてくれました!」

    キース「アルレルト!貴様は何しにここに来た!?」

    アルミン「人類の勝利の役に立つためです!!」

    キース「それは素晴らしいな!!貴様は巨人の餌になってもらおう!」

    アルミン「…!!」

    キース「3列目後ろを向け!」グイッ
  2. 2 : : 2017/03/07(火) 05:41:38
    キサマハナニモノダ!! ハッ!

    眼鏡教官「やってるな…」

    眼鏡教官「お前も初っ端からあれだったろ?」

    教官「懐かしいです」

    教官「でも…あの恫喝には何の意味が…?」

    眼鏡教官「通過儀礼だ」

    眼鏡教官「それまでの自分を否定して真っさらな状態から兵士に適した人材を育てるためには必要な過程だ」

    教官「?…何も言われてない子がいるようですが」

    眼鏡教官「あぁ…すでに通過儀礼を終えた者には必要ない」

    眼鏡教官「おそらく2年前の地獄を見てきた者達だ面構えが違
    う」

    キース「貴様は何者だ!」

    ジャン「トロスト区出身!ジャン・キルシュタインです!」

    キース「何のためにここに来た!?」

    ジャン「…憲兵団に入って内地で暮らすためです」

    キース「そうか!貴様は内地に行きたいのか?」

    ジャン「はい!」

    キース「ふん!」ゴン

    ジャン「んが!!」ヨロッ

    キース「オイ!誰が座っていいと言った!!こんな所でへこたれ
    る者が憲兵団になどなれるものか!!」

    キース「貴様は何だ!!」

    マルコ「ウォールローゼ南区ジナエ町出身!マルコ・ボットです!」

    キース「何しにここに来た!」

    マルコ「憲兵団に入り!王にこの身を捧げるためです!!」

    キース「……そうか…それは結構なことだ目指すといい…だが王はきっとお前の体なんぞ欲しくないぞ」

    キース「次!!貴様だ!!貴様は何者だ」

    コニー「ウォールローゼ南区ラガコ村出身!コニー・スプリンガーです!」ドン

    キース「逆だ…コニー・スプリンガー」グワシ

    コニー「あがが…首が…!!」

    キース「最初に教わったハズだこの敬礼の意味は[公に心臓を捧げる]決意を表すものだと…」

    コニー「んおッ! とッとれる!首がとれるぅ!!」ミシミシ

    キース「貴様の心臓は右にあるのか スプリンガー? ―――!」
    ドサ
    コニー「あだだ・・・」


    キース「・・・貴様の名は?!」

    ???「ウォールマリア北部出身,シディアスであります!」

    キース「貴様は何故ここへ来た?」

    シディアス「なんとなくここへ来ればいいと思ったからであります!」

    キース「ならばそれは貴様の思い違いだ・・・今からそれを正してやr」

    ――――――サクッ――――――


    キース「!?」
    シディアス「」
    訓練兵’s「」

    モグモグ

    キース「オ…イ…貴様は何をやっている?」

    サシャ「!?」モグモグ

    サシャ「?」ムシャリ

    キース「なっ!?貴様だ!貴様に言っている!貴様…何者なんだ!?」

    サシャ「!?ウォールローゼ南区ダウパー村出身!!サシャ・ブラウスです!」キッパリ

    キース「サシャ・ブラウス…貴様が右手に持っているの物は何だ?」

    サシャ「[蒸かした芋]です!調理場に丁度頃合いの物があったので!つい!」

    キース「貴様…盗んだのか…なぜだ…なぜ今…芋を食べ出した?」

    サシャ「……冷めてしまっては元も子もないので…今食べるべきだと判断しました」

    キース「…!?イヤ…わからないな なぜ貴様は芋を食べた?」

    サシャ「…?それは[何故 人は芋を食べるのか?]という話でしょうか?」

    ――――――――――

    サシャ「あ!……チッ 半分…どうぞ…」ズワッ
    キース「は…半…分…?」

    サシャ「フー」ドヤ






    サシャ「ぜぇ,ぜぇ,ぜぇ」

    シディアス「ったく,なんで俺まで・・・」



    コニー「あの二人まだ走ってるぞ」

    アルミン「すごいね5時間もちゃんと走ってるなんて」

    マルコ「お?君たちは?…僕はマルコ・ボット」

    アルミン「僕はアルミンこっちはミカサよろしくねマルコ」

    コニー「俺はコニーだよろしく!」

    アルミン「ハハッよろしくね」

    コニー「確かアルミンってシガンシナ出身だよな?」

    アルミン「え?…うん…そうだけど」

    コニー「・・・てことはよ,居たよなその時も!」

    マルコ「お、おいよせよ」

    コニー「見たよな?超大型巨人!」




    ―――――
    ―――

  3. 3 : : 2017/03/07(火) 05:44:24


    ガヤガヤ
    アルミン「だから見たってば…」

    オオー
    コニー「どん位大きいんだ?」
    アルミン「壁から顔を出すくらいだよ…」

    ガチャ
    シディアス「ふーっ,やっと飯にありつける・・・ん?

    なんだあの人だかりは」

    ??「ああ,シガンシナ区出身のやつがいただろ?みんな超大型巨人のことを聞きたがってるのさ」

    シディアス「なにも飯の時間に訊いてやることもねえだろうに・・・あんたは?」

    トーマス「おれはトーマス。トーマス・ワグナーだ。お前はシディアスで合ってたか?」

    シディアス「ああ,よろしく」

    トーマス「ところであっちの芋女はまだ走ってるけど,お前はもう良いのか?」

    シディアス「俺は走れと言われただけで飯抜きはくらってねえよ」


    コニー「俺は壁をまたいだって聞いたぞ!」
    ミーナ「私の村でもそう聞いた!」

    アルミン「流石にそこまで大きくはないよ…」

    モブ「じゃあウォールマリアを破った鎧の巨人は?」

    アルミン「皆はそう呼んでるけど僕には普通の巨人に見えたよ」

    コニー「じゃ、じゃあ普通の巨人は?」
    アルミン「…!!…うっ…」カラン

    ―――――シン――――


    マルコ「も、もう質問はよそう。思い出したくないこともあるだろ」

    コニー「す、すまねぇ…いろいろと思い出させちまって…」

    アルミン「いや…気にしなくていいよ」

    「あんな奴らはただのデカい害虫」

    コニー「え?」
    アルミン「ミカサ・・・」

    ミカサ「巨人なんて大したことない、私が立体機動を使いこなせれば、あんなの敵じゃない」
     
    ミカサ「石拾いや草むしりじゃなくてやっと兵士として訓練できる。あいつらの殺し方を学んだら,必ず報いを受けさせてやる」

    マルコ「そ、そうか…」

    アルミン「そ,そうだね調査兵団に入って…この世から巨人共を駆逐するんだ。そして…「オイオイ正気か?」

    ジャン「今お前 調査兵団に入るって言ったのか?」

    アルミン「あぁ…そうだよ」

    ミカサ「あなたは確か…憲兵団に入って楽したいていう人?」

    ジャン「俺は正直者なんでね…心底怯えながらも勇敢気取ってやがる奴より よっぽどさわやかだと思うがな」

    アルミン「・・・」「それは私のこと?」

    ジャン「?!」

    ジャン(透き通るような黒い瞳・・・物憂げな面差し・・・カラスの濡れ羽のような黒髪)

    ミカサ「今の言葉は・・・私とアルミンに向けたもの・・・?」

    ジャン「あ,あーすまない!」

    アルミカ「?」

    ジャン「正直なのは俺の悪いクセだ! 気ぃ悪くさせるつもりも無いんだ!」

    カン カン カン

    ジャン「・・・あんたの考えを否定したいんじゃないどう生きようと人の勝手だと思うからな」カチャカチャ

    ミカサ「わかった 私も喧嘩腰だった」

    ジャン「あぁ これで手打ちにしよう」

    アルミン「・・・」ポン

    ミカサ「―――」スタスタ

    ジャン「! な、なぁアンタ!」

    ミカサ「?」

    ジャン「あぁ……えっと……見慣れない顔立ちだと思ってな……つい……」

    ジャン「すまない……とても綺麗な黒髪だ……」

    ミカサ「どうも」

    スタスタ...

    ジャン「」ドキドキ

  4. 4 : : 2017/03/07(火) 05:44:47

    ―――――
    ―――


    シディアス「ったく,飯食うところで口げんかすんじゃねえよ。ゆっくり食えねえじゃねえか」


    ハァハァハァ ゼーゼー

    シディアス「ん?」

    サシャ「わ、わたし もう限界です…」フラフラ

    シディアス「うわ・・・まだ走ってたのかよお前。」

    サシャ「ゼーゼー・・・・あ,あのう・・・」

    シディアス「あん?」

    サシャ「し,食堂・・・連れて行ってくれますか?」ゼーゼー

    シディアス「もうみんな食っちまったぞ?つーかお前飯抜き宣告されてたじゃねえか。残ってねえと思うぞ」

    サシャ「ぞ・・・そうですか すみま,せぇん・・・(ドサ」ゼーゼー

    シディアス「おい・・・こんなとこに倒れられたら邪魔だぞ・・・・・・」

    サシャ「」ゼーゼー

    シディアス(ハァ・・・)

    グイ
    サシャ「ふぇ?」

    シディアス「よっと」

    サシャ(お姫様抱っこ)「な,なにするんですいきなり!?」

    シディアス「井戸まで運んでやるよ。」

    「せめて喉くらい潤しておけ。乾燥して炎症起こしたらどうする」

    サシャ「あ・・・どうも・・・・で,でも今私,汗だくで・・・ソノ・・・」ドキドキ

    シディアス「あ?走ってりゃ汗ぐらい掻くだろ」

    サシャ「そ・・・そういう事をいいたいんじゃなくて」アセアセ

    シディアス「じゃなんだよ?」

    サシャ「・・・・もういいです」ハァ



    「あの~」

    シディアス「あ?」

    「パンと水・・・」

    サシャ「!パンんんんんんんん!!!」バッ

    シディアス「おっと」

    クリスタ「きゃっ!」

    サシャ「モグモグ…ん?…これは…パァン!?」

    エレン「いきなり元気になった…」

    クリスタ「…うん。あ、先に水を飲んだ方が…」

    サシャ「ありがとうごz…はっ!…神様?」

    クリスタ「え?何を言って…」

    サシャ「あなたが神ですか!」

    クリスタ「ちょっ、そんなわけ…」

    サシャ「神ぃぃぃぃぃぃぃ!」

    クリスタ「えぇぇ…」


    サシャ「」モグモグ

    エレン「で,お前何してるんだ?」

    クリスタ「え?」

    エレン「お前じゃない。そこに隠れてる奴に言ってんだ。」

    ガサガサ
    クリスタ「!」

    「・・・なんでわかった・・・」

    エレン「感」

    「そうかい」

    「まぁいい、ほら水を持ってきてやったから飲め、芋女」

    サシャ「ありがとうございます、神様!」

    エレン「じゃぁ、俺は先に戻るからそいつは任せたぞ」

    クリスタ「?・・・・ッ!まって!!」

    エレン「ん?」

    クリスタ「あなた・・・名前なんて言うの?」

    シディアス「シディアスだが?」

    クリスタ「・・・名字は?」

    シディアス「・・・ねえけど?」

    クリスタ「あの・・・イェーg 


     ・・・ごめんなさい,気の所為だった」

    クリスタ「あ・・・クリスタ・レンズ、よろしくね」

    ユミル「ユミルだ」

    エレン「・・・ふ~ん・・・・・・あ、そいつはやく運んどいてやれよ。本当に死ぬぞ。」

    サシャ「」

    クリスタ「うん,ここからは私が運んでおくよ」

    シディアス「じゃ~な~」スタスタ

    クリスタ「・・・」
  5. 5 : : 2017/03/07(火) 05:50:49

    ユミル「ところで・・・お前いいことしようとしてるだろう」
    クリスタ「え?」
    ―――――――
    ―――
    ――



    シディアス「まったく,なんなんだあいつら?」

    「ちょっと」

    シディアス「ん?俺か?」

    ミカサ「ええ。あなた,通過儀礼で名前しか名乗って無かったと思うけど,ファミリーネームはなんというの?」

    シディアス「名前をヒトに尋ねるならまず自分からだろ?」

    ミカサ「失礼した・・・ミカサ・アッカーマン,シガンシナ区出身」

    シディアス「シディアス,マリアの北出身だ。ファミリーネームはねえよ」

    ミカサ「...」

    シディアス「・・・どうかしたか?」

    ミカサ「あなた…フードをかぶってたから気付かなかったけど,髪が白いのね」

    シディアス「生まれつき色素が欠乏してるみたいでな・・・陽射しが嫌いなんだ」

    ミカサ「そう・・・野暮なことを聞いてすまなかった」

    シディアス「別に気にはしねえよ。野暮ついでに俺もひとつ聞きたいことがある」

    ミカサ「何?」

    シディアス「お前,随分巨人が憎いようだが,身内を殺されたか?」


    ミカサ「―――」


    シディアス「・・・訊いちゃ悪かったか?」

    ミカサ「・・・私は家族を2度失った 一度は人間に,2度目は巨人に。」

    シディアス「・・・」

    ミカサ「最初に家族を失った時,私に手を差し伸べて,家族になってくれた人がいた」

    ミカサ「私とアルミンはその人とある夢を約束し合った。仇を討って,その人との約束を果たすためにここに来た。」



    ジャン「・・・あのミカサって子,もう寮に帰っちまったか・・・」

    「ああ…ちくしょう,ミスった。」

    「いきなり挑発したせいで気まずくなっちまった・・・自分の正直さが今は恨めしい

    ・・・ん?」

    ミカサ「~~~~~~、~~~・・・

    ジャン「あれはミカサじゃねえか・・・!( そうだ,寝る前にさりげなく挨拶しておこう!)」

    タッタッタッタッタ

    ミカサ「~~~~~

    ジャン「(落ち着け俺あくまで偶然通りがかったんだ挨拶くらい普通のことだ何もやましいことなどn)」 

    ミカサ「~~~~~

    シディアス「~~~~~


    ジャン「」ピタ

    ジャン「(・・・・・・なんであいつら楽しそうに会話してんだ!?)」

    ~~~~~~

    シディアス「・・・それが調査兵団を目指す動機か」

    ミカサ「・・・正直分らない。」

    シディアス「はぁ?」

    シディアス「そいつの仇を討ちたいんじゃないのか? それとも・・・同じところへ行きたいのか?」

    ミカサ「巨人を憎んではいる・・・でも心のどこかで彼のいないこの世界に絶望している。この残酷な世界に生きていることが煩わしい自分がいる」

    ミカサ「目の前で彼が巨人に食われてから,私は何をすればいいか分らない」

    「何をしたいのかわからない」


    シディアス「・・・」

    シディアス「なんで俺にそんなことまで話すんだ? 今あったばかりの俺になんでお前の胸の内を明かす?」

    ミカサ「・・・私もここまで話す気は無かった,付き合わせてしまってすまない・・・」

    ミカサ「・・・あなたを見てたら何となく彼を思い出して,知らないうちに話してた。」

    シディアス「・・・そうかい」

    シディアス「俺は寝るぜ・・・明日の適性検査に落ちねえよう休まねえといけないからな」

    ミカサ「そうしよう。互いに合格出来るよう願っている。さよなら」

    シディアス「おう。」


    ジャン「」




  6. 6 : : 2017/03/07(火) 06:42:46

    男子寮
    ガチャ

    ????「お。ようやく来たな,お前が最後だ。教官が見回りに来る前に部屋に来てなかったら連帯責任になるとこだったぞ?」

    シディアス「そいつは済まなかったな」

    ?????「えっと・・・シディアス,で合ってるかい?」

    シディアス「ああ」

    アルミン「せっかくだし自己紹介しよう。僕の名は「アルミン・アルレルトで合ってるだろ?」

    ライナー「おれはライナー・ブラウン,こっちはベルトルト・フーバー。マリアの東出身で同郷だ」

    ベルトルト「よろしくね。君は教官に洗礼を受けたときはどうしてフルネームを言わなかったんだい?」

    アルミン「そういえば,君,ファミリーネームはなんていうんだい?」

    シディアス「同じ質問をお前の馴染みにされたとこだよ。んで,ファミリーネームはない。」

    アルミン「そっか・・・よろしくねシディアス」

    シディアス「よろしくアルレルト」

    アルミン「アルミンでいいよ」

    シディアス「会ったばかりの人間をファーストネームで呼ぶのは慣れないんでな。そっちの2人も慣れるまで好きに呼ばせてもらうぜ」

    ライナー「構わねえさ。」

    アルミン「そういえばさっき僕の馴染みと話したって言ったけど,ミカサと逢ったの?」

    シディアス「ああ。」

    ベルトルト「ミカサって・・・さっき食堂でアルミンと調査兵団に入るって言ってた娘だよね?」

    アルミン「うん・・・」

    ライナー「・・・訳ありみたいだからその話はもう良いだろ?なぁ,ベルトルト」

    ベルトルト「うん,そうだね ごめんね・・・」

    アルミン「いいんだ。気を遣わせちゃってこっちもゴメン」

    シディアス「―――明日は適性検査があるんだろ。休んどいた方がいいんじゃないのか?」

    ライナー「そうだな。寝るか!」

    アルミン「うん。明日の検査,みんな合格できると良いね」

    ベルトルト「じゃ,寝ようか。灯り消すよ」

    ――――――
    ―――




    翌日
    シディアス「さてと,顔洗ってくるか」

    井戸
    シディアス「ふう・・・ん?」

    ジャン「よぉ・・・随分早えじゃねえか」

    シディアス「早起きが性分なんでな・・・えっと確か,ジョン・ホルスタインだったか?」

    ジャン「ジャン・キルシュタインだ!ケンカ売ってんのかてめえ!?」

    シディアス「すまん,うろ覚えだったもんでな・・・悪かったよ」

    ジャン「ッチ・・・まあいい。ところでお前,初日から随分オモてになってるじゃねえか。良い身分だぜ,全くよ。」

    シディアス「? 何のことだ?」

    ジャン「別に惚けなくったっていいじゃねえか・・・寮に戻る途中ずいぶん楽しげにおしゃべりしてただろが?」

    シディアス「?(芋女,ユミル,レンズ,アッカーマン...誰の事を言ってるんだ?)」

    ジャン「っけ,余裕ぶりやがって。 大方,適性検査が通るか心配で眠れなかったんじゃねえのか?」

    シディアス「いや?別に」

    ジャン「・・・まぁいいさ。憲兵団入りは大勢狙ってんだからな・・・足元掬われねえよう気を付けるんだな」

    シディアス「別に俺は憲兵の待遇にも内地の暮らしにも興味はない」

    ジャン「はあ?」

    シディアス「俺は兵士の身分が欲しいだけだ。立体起動が使えるようになれさえすればいい」

    「だからそんなに不安がるなよ」

    ジャン「てめえ・・・“俺より上”みたいな言い方しやがって!俺が不安がってる様に見るか!? 見下してんじゃねえ!!」

    シディアス「別に見下してるわけじゃ・・・・お前の誤解を解きたかっただけだ」

    ジャン「こいつッ!」

    シディアス「じゃあ,もう行く。」スタスタ

    ジャン「(見てやがれ・・・今にてめえの上に立ってミカサを・・・!)」



  7. 7 : : 2017/03/07(火) 09:39:44
    期待
  8. 8 : : 2017/03/07(火) 16:22:36

    適性検査

    キース「まずは貴様らの適性を見る!」

    キース「両側の腰にロープを繋いでぶら下がるだけだ!!
    全身のベルトで体のバランスを取れ!」

    キース「これができない奴は囮にも使えん!
    開拓地に移ってもらう!」

    メガネ「これはまだ初歩の初歩だが、この段階から立体機動の素質は見てとれる」
    「ん……見ろ…あの子だ」
     「まったくブレが無い…」

    ミカサ「……」プラ-ン

    メガネ「何をどうすればいいのかすべてわかるのだろう…素質とはそういうものだ」
    ライナー「・・・」プラーン
    ベルトルト「・・・」プラーン
    アルミン「~~~っく!」ギシッギシッ
    サシャ「~~♪」ギーコーギーコー
    クリスタ「うぅ・・・!」プルプル
    ジャン「っと・・・」 ギッ

    メガネ「んん…今期はできる者が多いようだ」

    教官「あの…彼は…」

    メガネ「…素質というものだろう。 人並み以上にできることがあれば…」

    シディアス「・・・」ダラーン

    メガネ「人並み以上にできないこともある」

    キース「何をやってるシディアス!!上体を起こせ!!」

    シディアス(あれ?……おいおいウソだろ?)

    シディアス「・・・フンッ!!!」グルン

    キース「そうだ!そのまま姿勢を保て!!」

    シディアス「~~~~~~~ッ!」ギ ギシィ

    シディアス「うぉわ!!」グルン!

    モブ「おいおいさっそく脱落者か・・・」
    モブ「あんな簡単な検査も出来ねえようじゃな・・・」
    ジャン「プハッ……みっともねえwww・・・(ミカサもこれであいつに愛想を尽かしただろうなw)」

    シディアス「・・・あの~~教官?」

    キース「なんだ?」

    シディアス「このままだとやっぱ俺は・・・」

    キース「・・・開拓地送りだな。 次の組が控えている,さっさと降りろ!!」

    シディアス「・・・は!」

    キース「今日合格した者は明日より立体起動の訓練に移る!
    なお,不合格のものには明日の昼に再検査の機会が与えられる!
      言うまでもないと思うが・・・再検査にも通らない奴はここには要らん!問答無用で開拓地へ送る!受けるものはせいぜいそれまでにコツを掴め。解散!」


    ミカサ「基本通りにやればできるはず。上手くやろうとか考えなくていい」

    アルミン「上半身の筋肉は固く、下半身は柔らかく。
    前後のバランスにだけ気を付けて、腰巻きと足裏のベルトにゆっくりと体重を乗せるんだ。 落ち着いてやればできる。運動苦手な僕だってできた」

    シディアス「…わかった。上げてくれアッカーマン!」

    ミカサ「わかった」キリキリキリ

    シディアス「ウッ」ブン

    ミカサ「あ!?」
    アルミン「えっ!?」

    シディアス「」ドガッ アタマニチョクゲキ


    「何とか受かったぜ」ヤレヤレ
    「おいおい,あんなのパスして当然だろ」
    「おい・・・あいつ見ろよ」
    「ん?ああ,逆さになってた奴か・・・結局あのあと一度も安定しなかったんだよな」
    「それがあの初歩の姿勢制御訓練で既に死にかけたんだと」
    「本当かよ…あんなこともできねぇ奴がいるのか…」
    「ま,気の毒だけど開拓地送りは確定だな」
    「俺たちとしちゃ,憲兵団入りの候補が一人減ってラッキーだがな」
    「違いない」
    ハハハハ


  9. 9 : : 2017/03/07(火) 16:24:35

    検査後―――
    ジャン「…あーあー情けねぇなぁ!あんだけ大口叩いてたのによぉ!」

    マルコ「ちょっと、ジャン!」

    ジャン「憲兵なんかどうでもいい?兵士の身分があればいい?それも、"立体機動を使えれば"だよな?」ケラケラ

    シディアス「ハァ・・・笑いたきゃ笑ってろ」

    ジャン「ああ!大いに笑ってやるよ!ざまあねぇなぁ!」ゲラゲラ

    マルコ「おい!ジャン!!」
    ゲラゲラゲラゲラ

    シディアス「(しかし・・・なんで出来なかった?バランス感覚は常人よりは良かったと思ったんだが)」

    シディアス「(最悪,開拓地行きになったとして,抜け出すことは造作もないが・・・それじゃだいぶ遠回りになっちまう)」

    シディアス「あ~~,ついてねえあぁ・・・」

    アルミン「シディアス,ジャンの言うことなんか気にしなくて良いよ。就寝時間までまだ少しあるから,練習しておいた方がいい。」

    シディアス「うん? ああ・・・そうだな。いまさら諦めて開拓地に行くのも嫌だしな」

    ミカサ「私も時間までなら付き合う。何か力になる事があれば手伝うから心配しなくていい」

    シディアス「・・・・・・ありがとよ。 んじゃ,行くか。」スタスタ



    ジャン「・・・・・・ちくしょう,ミカサはなんであんな奴の肩を持つんだ?」チナミダ

    マルコ「僻むなよジャン・・・」



    夕食前―――――
    ミカサ「気にしても仕方ない。明日出来るようになればいい。それよりちゃんと食べて今日失った血を取り戻すべき」

    シディアス「あーあ・・・・・・明日できなかったら・・・・・・労働者に逆戻りか」

    アルミン「今は悩んでも仕方ないよ・・・」

    シディアス「つーかさ・・・今さらな質問だが,なんでお前ら二人とも俺に手を貸してくれるんだ?普通会ったばかりでよく知りもしねえ人間にここまで親身にはならねえよ。」

    ミカサ「・・・・・」
    アルミン「・・・・・・」

    シディアス「別に企みを疑ってるわけじゃねえ。 お前らが俺に入れ込む理由が知りてえだけだ」

    アルミン「・・・ミカサ,構わないかい?」

    ミカサ「良い・・・もう私は話したから」

    アルミン「ならいいかな・・・。 僕たちがシガンシナにいたころの話なんだけどね

    ―――――
    ―――
    ――
  10. 10 : : 2017/03/07(火) 16:34:19

    ウォールローゼ南区―――森林地


    ミカサ「(寒い・・・・冷たい・・・)」


    人攫い1「ちっ!なんで母親の方を殺すんだよ!」

    人攫い2「仕方ないだろ!!いきなり掴みかかってきたもんでついやっちまったんだよ!」

    人攫い3「それよりコイツ売れるのか?」

    人攫い1「それなら問題ない。そいつは東洋人っていう種族で
    マニアに売ればめちゃくちゃ高く売れるぜ。」

    人攫い2「でも父親は違うだろ?こいつは混血だぜ?」

    人攫い1「ああそうさ!! 本当に価値があったのは母親だったんだよ!てめえが焦って殺したせいで儲けが半分以上損だ!!」

    人攫い2「だからすまなかったって・・・」

    人攫い3「けっ!ちょっと外行ってくる・・」スタスタ

    ガチャン

    ミカサ「(お母さんが殺されてお父さんも殺された・・・・・・もう生きてても意味がない・・・・)」

    ガチャ
    人攫い1・2「!」

    エレン「」ダッ

    人攫い1・2「!」

    エレン「うおおおおおおおおお!!!!!!!」グサッ

    人攫い1「ぐふっっ・・・・・・・」ベチャ

    エレン「おらっ!死ね!!」ザクザク

    人攫い2「こ、このガキ!!!!!」スッ

    ガシッ

    エレン「くっ!」

    人攫い2「コイツ!!」ギュッ

    エレン「!」ガブッ!!!!

    人攫い2「ぎゃっ!!!!イテェ・・・」
    ザクッ

    エレン「くたばれええ!!!」ザクザク

    人攫い2「ぐぇッ! やめ・・・ギャアアア!! ・・・ッ!!――――

    ミカサ「・・・・・」

    エレン「ハァ・・・ハァ・・・・」

    ミカサ「・・・・・誰」

    エレン「」スタスタ

    ブツ―――

    ミカサ「」スッ

    エレン「もう大丈夫だ・・・お前,ミカサだろ?」
       「俺はエレンだ・・・医者のイェーガーの息子の・・・」

    ミカサ「・・・・・」

    エレン「?どうした?」

    ミカサ「・・・・・三人いたはず」

    エレン「!」

    ガチャンッ


    エレン・ミカサ「!」

    人攫い3「!」

    エレン「」ビシュウッ!!

    少年が男に向かって投げつけたナイフが,肩に突き刺さった
    ドス

    人攫い3「ぐっ! このガキ!!お前がやったのか!!!」ズブ

    刺さったナイフを引き抜いて少年の首を攫み上げる
    ガシィ

    エレン「ぐ・・・・ぐっ・・・・」

    人攫い3「信じられねえ・・・・お前がやったのか!!!」

    エレン「あ・・・グガァ・・・・」

    人攫い3「殺してやる・・・・・」

    ――――――――――――――――――――――「ハナシヤガレ・・・」ゴゴゴゴゴゴ

    小屋の中の家具 ガタッ ガタタタ! グラグラグラ

    ミカサ「え?・・・・」

    少年の声が聞こえた瞬間 部屋の空気が重くなった・・・鉛が肩に載せられたかのように

    心の底から寒気がした・・・先ほど家族を失ったことに絶望していた時以上に,体の芯が凍ったかのように寒かった

    ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴコ

    エレン「死ね・・・死んじまえ!」ギロ

    人攫い3「ヒ,ヒイ!!」アオザメ

    ミカサ「あ・・・あ・・・・」ゾク

    ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

    エレン「お前なんか・・・・・・くたばれ!!!」ビリビリ

    人攫い3「あ,ああああああああ!!」

    少年の睨みに竦んだ人攫いは少年に突きつけたナイフを

    ガス ザク ブシャアアアア!!
    自分の喉に突きたて,そのまま切り裂いた


    人攫い3「」ガク ドサ

    ミカサ「」ガタガタ  

    ミカサ「・・・・・・ああああああああああああああああ!!!!」


    ――――――――――




    グリシャ「エレン!お前はなんてことをした!!」

    エレン「人の姿をした害獣を殺した!!それだけだ!!」

    グリシャ「そんなことを言ってるんじゃない!なぜ勝手に助けに行った!今回はお前が無事だからよかったものの!」

    エレン「だ・・・だって・・・・・・・・・・早く助けてやりたかったんだ・・・・」

    グリシャ「・・・」




  11. 11 : : 2017/03/07(火) 16:39:30
    憲兵1「これをあの子供がやったのか・・・」

    憲兵2「世も末だなこりゃ・・・まぁ,どうせ死んだのは屑どもだ,親には注意勧告だけで済ましとけ」

    憲兵1「それにしても,しかし・・・」チラ

    人攫い3「」

    「(なんだってこいつは自分で自分の喉を掻っ切りやがったんだ?)」





    ミカサ「・・・」

    グリシャ「ミカサだね・・・」

    イェーガー先生・・・以前会ったことがある まだお父さんとお母さんが”居た時の“私の家で


    ミカサ「・・・・先生・・・・」

    グリシャ「ん?」

    ミカサ「私・・・・どうすればいいですか・・・・」

    グリシャ「・・・」

    ミカサ「私には何もありません・・・・・失ってしまいました・・・・」

    グリシャ「」
    エレン「」

    ミカサ「寒い・・・」

    バッ
    ミカサ「!」

    エレン「これ・・・やるよ。暖かいだろ・・・」クルクル マフラー

    ミカサ「・・・あったかい」

    エレン「帰る場所がないならウチに来いよ。」

    ミカサ「・・・・」ポロ

    グリシャ「そうだミカサ。うちに来なさい。君には食事と休息が必要だ・・・」

    ミカサ「・・・」


    エレン「ほら帰ろうぜ。俺たちの家に」スッ←手



    ミカサ「うん・・・」ポロポロ

    その日から エレンの傍が私の居場所になった 天国だろうと地獄だろうと 彼の隣にいられるならどこでも良かった


  12. 12 : : 2017/03/07(火) 17:07:18
    シガンシナ区

    アルミン「・・・グス・・・グス」

    アルミン祖父「・・・気の済むまで泣いておきなさい。 あの二人はまことに哀れじゃったのう・・・」

    アルミン「うぅ・・・」メソメソ


    ドン ドン

    アルミン祖父「誰か来たようじゃな」ス

    ガチャ

    「「アルミン!!」」

    アルミン「エレン・・・みがさぁ・・・うぁあああん!」ギュ

    エレン「大丈夫か,アルミン?」肩ポンポン

    ミカサ「お父さんとお母さん,可哀想だったね・・・」ナデナデ

    アルミン祖父「イェーガー先生の子だね・・・すまないがアルミンの傍にいてくれんかね?」

    ミカサ「お爺さん」

    アルミン祖父「うん?」

    ミカサ「これ・・・カルラおばさんトグリシャおじさんから」ツツミサシダス

    アルミン祖父「・・・鍋か。おお,中身はシチューじゃな。カルラさんのシチューは美味しいそうじゃな,アルミンから聞いておるよ」

    ミカサ「・・・お爺さん。無理はしないで」

    アルミン祖父「・・・すまんのう御嬢ちゃん。イェーガー先生達に感謝しますと伝えてくれるかのう」

    ミカサ「」コクン

    アルミン祖父「どれ・・・早速火にかけて温めるとしよう」
    バタン


    アルミン「・・・グス・・・グスン」

    エレン「・・・なぁアルミン」

    アルミン「・・・自由を求めただけなのに」ポツリ

    アルミン「父さんと母さんは壁の向こうの世界を知ろうとしただけなのに・・・」ギリィ

    エレン「・・・なぁ,アルミン。 ・・・俺は調査兵団に入る。 」

    ミカサ「エレン?」

    エレン「調査兵団に入って,巨人を倒しまくって,いつかおじさん達の仇をとってやる!」

    エレン「それで巨人を駆逐し終わったら,皆で探検に行くんだ!お前やおじさんとおばさんが言っていたことは間違ってないって,俺たちで証明するんだ! だからもう泣くな!!」

    アルミン「エレン・・・」ヒグ

    ミカサ「アルミン・・・私たちは何時も一緒。アルミンもエレンも,私の家族。おじさん達の代わりに私がアルミンを守る」

    アルミン「ミカサ・・・エレン・・・ありがとう」グス






  13. 13 : : 2017/03/07(火) 23:29:51
    ―――――
    ―――


    アルミン「そして・・・2年前の襲撃でその幼馴染が巨人に殺されて・・・ 僕らはここへ来たんだ」

    アルミン「君がその彼によく似てるから,ちょっと懐かしくなって・・・」

    シディアス「・・・・なるほど,そう言う訳かい。」

    アルミン「だから君のことが何となく他人に思えなかった。それで力になりたくてさ・・・」

    ミカサ「でも,貴方にとってお節介だったなら・・・謝る。」

    シディアス「そんな必要ねえよ。 俺の方こそ悪かった,そんな事を話させちまってよ・・・」

    アルミン「良いさ。 それより再検査をどう乗り切るかだよ!」


    「「あのう―――」」

    シディアス「ん?」
    アルミン「えっと・・・君たちは?(この金髪の娘,可愛い///)」
    ミカサ「・・・・・」

    サシャ「そちらのフードの方!昨日は助けて頂きありがとうございました!」

    シディアス「ん? ああお前,飯抜きにされてた芋女か。」

    サシャ「な!?芋女だなんて失礼な!私にはサシャという可憐な名前があるんですよ!」

    クリスタ「まぁまぁサシャ,落ち着いて。 ね?」

    ユミル「あだ名に関しちゃ,100%お前の自業自得じゃねえか・・・」


    シディアス「で? 明日には仲間じゃなくなるかもしれない俺に何か用か?」

    サシャ「そうですそれです。コホン このサシャ・ブラウス!命の恩人のピンチと聞き,僭越ながらお力になるべく来ました!」

    クリスタ「私も落ちるかどうかどうかギリギリだったけど,何かアドバイスでもできないかと思って・・・・・・」

    ユミル「私個人としてはお前の進退なんぞ関係ねえが,女神さまたってのお願いだからな」

    アルミン「・・・・・シディアスって随分もてるんだね・・・・」

    シディアス「?・・・・何がだ? あー,折角来てくれて済まないけど,もう飯の時間だろ?食い終ったらまたこの二人と練習すっからよ,助言だけもらえるか?」

    サシャ「水臭いですねえ。 ん~・・・こういうのはどうでしょう!ブーツの中に砂を仕込むんです。そうすれば足が重くなって起き上がるはずです!完璧です!」ドヤァ

    シディアス「いや・・・コツが聞きてぇんだ。 検査は通れても立体起動のやり方を身に着けられなきゃ意味がねえ・・・」

    サシャ「うぅ~~・・・やっぱり説明しにくいです。ぶら下がるだけだったので意識してどうこうはしなかったんです」ガクッ

    クリスタ「私も・・・ぶら下がりながらバランスをとる,くらいしか言えないかな・・・・・」シュン

    ユミル「私も大体同じだ,悪いな。 だが・・・そっちのミカサ以外にも上手いやつが何人かいたはずだ。 コツを聞きたいならそっちのがいいかもな」

    シディアス「そうか じゃあそいつ等の名前とか知ってたら教えてくれ」

    クリスタ「うん。 確か・・・―――――――

  14. 14 : : 2017/03/07(火) 23:35:34

    夕食後―――

    ~寮~
    コニー「コツだって?悪りぃけど俺…天才だからさぁ。感じろとしか言えん」ドヤ

    ジャン「オレは逆に教えてほしい。
    あんな無様な姿晒しておいて正気を保っていられる秘訣とかをよぉ…」ニタ

    シディアス「・・・人がこうして頭下げて頼んでるのに・・・そこまで言うか」

    マルコ「まぁまぁ」

    マルコ「コニーとジャンの他にも上手いって言われてたのはあっちにいる二人だよ。」

    シディアス「ああ,ブラウンとフーバーだろ。ブラウスやレンズも上手いって言っていたしな。訊いてくる。邪魔したな」スタスタ






    ベルトルト「うーん姿勢制御のコツか…」

    シディアス「どうか頼む。二人とも上手だって聞いたんだ。ブラウン、フーバー」

    ライナー「とは言っても,ぶら下がるだけでコツが必要とは思えんし・・・すまないが何とも言えないな」

    シディアス「そうか・・・いよいよ手詰まりか。ちくしょう」

    ベルトルト「ねぇ、君達はマリア出身で,特にアルミンはシガンシナ区の産まれだよね」

    アルミン「うん・・・。巨人なら見たよ」

    ベルトルト「うん。実際に巨人を見て、その恐ろしさも知ってるのに……」

    ベルトルト「君達はどうして兵士を目指すの?」

    シディアス「俺は…実際に見たわけじゃない。」

    アルミン「僕は・・・・親友が巨人に殺されて,上からの理不尽な命令で おじいちゃんと両親が殺されて……」

    アルミン「…人類が自由になるために…死んだみんなのために出来ることをしたくて…」

    ベルトルト「そうか……君は?」

    シディアス「俺の一番古い記憶はローゼの北の難民避難所だった。」

    「周りの人達はマリアの北から逃げてきたって言ってたから,自分もそうだってことに していたが・・・それ以前の事は覚えていないから,本当かわからねえ」

    「両親がどんな人たちなのか,兄弟がいたのか・・・・そいつ等が生きてるか死んでるかも分らねえんだ。」

    ベルトルト「そうか・・・・・・」

    シディアス「だから兵士になれれば,自分のことを調べられるんじゃないかと思って、ここへ来たんだ。」

    ライナー「巨人と戦うことへの恐怖とかは無かったのか?」

    アルミン「怖いさ・・・でも,脅えて何もできないままなんて納得できないから・・・」

    シディアス「・・・ぶっちゃけ俺は自分が何者なのかさえ分れば今はどうでもいい

    王政に対する忠誠なんざねえし,人類が滅びようとどうだっていい。 今まで生きてきて義理を感じるようなこともなかったからな。 その時が来たら死なないようにトンズラするだけだ

    見損なっただろ?こんなやつが兵士を目指そうなんてな・・・・・軽蔑してくれて構わねえよ」

    ベルトルト「見損なわないし軽蔑もしないさ。君にとってはそれが生きる理由なんだろ?」

    ライナー「ああ…俺達だってそう変わらねえ。

    俺は帰れなくなった故郷を取り戻すためにここへ来た。務めを果たして,絶対に故郷へ戻りたい。心臓を捧げる兵士だなんて高潔な理由じゃない,自分の願いのためにいるんだ。それだけは譲れない。

    どうだ?俺達だってこんだけ私情が混ざってんだ。呆れるだろ?」

    アルミン「そんな事はないさ。その気持ち,痛いほどわかるよ」

    シディアス「ああ・・・そうだな。 俺は俺の目的のためにもここで終わるわけにはいかねえ」

    ベルトルト「うん。君ならきっと出来るさ。」

    ライナー「もう一度装備を徹底的にチェックしてみろ。・・・・きっとお前ならやれるさ」

    シディアス「ああ,早速やってみる!すまねえ,ライナー,ベルトルト。恩に着る!」

    ライナー「お、おう……」

    ベルトルト「ライナー……今 彼,僕たちを名前で呼ばなかった?」

    ライナー「ん?そうか?」



  15. 15 : : 2017/03/07(火) 23:43:48

    翌日―――――

    キース「シディアス候補兵。覚悟はいいか?」

    キース「立体機動装置を操ることは兵士の最低条件だ。できなければ開拓地へ戻ってもら
    う…いいな?」

    シディアス「は!」
    シディアス(装備は徹底的に点検した・・・)

    キース「始めろ」

    シディアス(後は理屈なんか知らん。 出来る・出来ないなんざ関係ない!)


    やるだけだ!


    シディアス「~~~~くッ!」ギシギシ

    ミカサ「(シディアス!)」
    アルミン(やった…何とかできた!)

    シディアス「!?うわ!」グルン

    キース「・・・・」

    シディアス「」ダラーン

    サシャ「そ,そんな――――」
    クリスタ「シディアス・・・・・・」
    ライナー「・・・・(―――駄目か !?)」
    ベルトルト「・・・・・・ッ!」
    ジャン「へっ・・・・・・やっぱりな」ニヤニヤ


    キース「・・・・・はやくおろせ,ワグナー」

    トーマス「・・・ッ,は「――――――まだだ!!!」

    シディアス「・・・まだだぜ,ワグナー・・・・フンンンンンッッ!!!」ギシイ

    オオオ!!
    ザワザワ

    キース「!」

    シディアス「もっ,持ち直しました!!」グラグラグラ

    シディアス「どうですッ! こ,これなら」


    ――――ベキン!!!!―――――
    ゴス!! ガキン ゴン!



    キース「・・・」

    シディアス「」ダラーン



    シディアス「―――――――はぁ~~~。 ・・・・・ここまでか・・・・・」ボーゼン

    シディアス「(終わったな・・・・俺・・・・)」



    キース「・・・・ワグナー、シディアスとベルトの交換をしろ」

    シディアス「え?」
    トーマス「!? ハッ・・・」カチャカチャ

    キース「どうした?はやく身につけろ!」

    シディアス「ヘ? は!」カチャカチャ

    キース「もう一度やってみろ・・・・・」




    シディアス(あれ?できたぞ急に)プラーン

    シディアス「これは一体…」

    キース「貴様が使用していたベルトの金具が破損していたのだ。正常であれば頭が地面にぶつかるなどあり得ん。 ここが破損するなど聞いたことはないが新に整備項目に加える必要がある」

    シディアス「は・・・破損?」ボーゼン

    キース「貴様・・・この状態でどうやって姿勢を保った?」

    シディアス「どうやってと言われましても・・・・」

    キース「普通は破損した状態で姿勢を保つなど不可能だ。 ましてや,崩れた姿勢から立て直すなど」

    ザワザワ

    ジャア アイツコショウシタソウビデフンバッタノカヨ? ウソダロ・・・
    アリエネエヨ イチドハオキアガッタヨナ?

    シディアス「では,適性判断は・・・」

    キース「問題ない・・・訓練に励め」

    シディアス「ハ!ありがとうございます!」

    キース「ワグナー,下ろせ」

    スト
    シディアス(ハァ~~・・・道理で出来なかったわけだ)ガック

    ライナー「何とかなったようだな…」

    アルミン「良かった・・・」フゥ

    ベルトルト「冷や冷やしたね・・・」

    ジャン「・・・・チッ」

    サシャ「凄いです!流石は神様!!」

    クリスタ「おめでとう,ホントに良かったね!」

    ユミル「・・・・・」

    「「シディアス!」」

    シディアス「んお?よう!お二人さん。 おかげで何とか凌げたぜ・・・」

    アルミン「良かった・・・本当に」
    ミカサ「ええ。おめでとう」

    ワイワイ

    キース「(ベルトの金具の補助なしで一時的にとはいえバランス
    を保ち,あまつさえ姿勢を立て直せるものが果たして存在しえるだろうか・・・・・)」

    シディアス・・・やはりお前は・・・・
  16. 16 : : 2017/03/07(火) 23:50:36

    キース「検査を通過したものは正式に訓練兵として登録され,本格的な訓練に移る!
    知ってのとおり,訓練は毎年死者を出す程苛酷な内容だ。
    例え検査を通過したものでも生半可な心構えで卒団できると思うな! 解散!!」




    食堂―――――
    ガヤガヤガヤ
    コニー「よおシディアス,やるじゃねえかお前!
    まぁ天才の俺様のアドバイスがもたらした奇跡ってやつだな!」

    マルコ「感じろとしか言ってないくせによく言うよ・・・・でもホントにすごいな,君。」

    サシャ「ホントに凄かったです,流石は神様!」

    ミーナ「もう駄目かと思ったけど,持ち直したのを見たときは少し感動しちゃったよ?」

    ライナー「だから言ったろ?お前ならやれるってよ」

    シディアス「おいおい,流石に持ち上げすぎだ。
    要は装備さえまともなら誰だってできるってことだろ?」

    トーマス「でもさ,あの後お前のベルトで試してみたけど,
    一回も姿勢を保てなかったんだぜ?やっぱすげえよ」

    コニー「本当かよ?なぁ,後で俺にもやらせてみてくれよ!」

    ワイワイワイワイ



    アルミン「一躍注目の的だね・・・」

    ミカサ「 私もあのベルトを借りてやってみたけど,
    あれは並大抵のバランス感覚では出来ないと思う」



    ジャン「・・・・・ッチ,開拓地に送られちまえばよかったんだ!」



    シディアス「おっと忘れるとこだった」

    スタスタスタ

    ジャン「・・・・なんの用だ?」イライラ

    シディアス「おいおい忘れたのかよ?ほれ」つベルト

    ジャン「あ?コイツがどうかしたかよ?」

    シディアス「お前が教えてほしいといったんじゃねえか・・・・ほれ。
    “ 無様な姿晒しておいて正気を保っていられる秘訣”だ」

    ドッ アハハハハハハ
    クスクス

    ジャン「てめー・・・やっぱり喧嘩売ってんだろ!?」バン

    シディアス「何だよ?折角教官に頼んで借りてきてやったんだ。
    感謝すれこそど,怒るこたぁねえじゃねえか」

    ジャン「チ・・・検査を通過した程度でいい気になってんじゃねえぞ。
    こん中から憲兵になって内地に行けんのは上位10名だけだ!
    余裕でいられんのも今のうちだぞ!」

    シディアス「前にも言ったがな・・・俺は憲兵の待遇にも内地にも興味はねえ。
    お前の邪魔をする気はねえししてもいねえ。」

    「だから仲良くしようぜ?」

    ミカサ「・・・・」ガタ・・・
    アルミン「ミカサ?」

    ジャン「邪魔していねえだと・・・?」ワナワナ
    ジャン「テメーのその見透かしたような言い方,むかつくんだよォ!!」ブン

    シディアス「お?」サッ

    ガシ

    「止めなさい――――」ギリ
    ジャン「ミ,ミカサ!?」

    ザワザワ

    ミカサ「ジャン・・・貴方は憲兵団に入りたいと言っていたはず・・・
    下らないことで問題を起こして評価を下げたいの・・・?」

    マルコ「そ,そうだよジャン!一旦落ち着けよ,な?」

    ジャン「・・・・クソッ」ス

    ジャン「よかったなおい!
    そうやってミカサの影に隠れてりゃ痛い目に合わずに済むんだからよ」

    マルコ「ジャン!! いい加減に・・・」

    シディアス「ん? ああそうだった! 止めてくれてありがとな,アッカーマン。
    助かったぜ」

    ミカサ「別にいい・・・それより怪我をしなくてよかった。」

    シディアス「おかげさんでな。 気遣い痛み入る」

    ナンダヨヤラネーノカヨ ビックリシタネー

    ジャン「~~~~~ッ! 」イライライラ
    ジャン「・・・・・やってられるか! あばよ!」 バタン

    シディアス「やれやれ・・・・いったい何が不満なんだ?
    俺,キルシュタインに何か恨まれるようなことをしたか?」クビカシゲ

    ミカサ「世の中にはいろんな人がいる・・・深く考える必要はないとおもう」

    シディアス「そうだな・・・ま,いいか。 それより飯だ飯!」



    ライナー「・・・なぁ,ジャンがシディアスを嫌う理由って・・・」

    アルミン「うん。 多分だけど・・・・ミカサだろね・・・・・」

    ベルトルト「ああ,やっぱり」

    こうして検査を終えた100余名は104期訓練兵団に加わることとなった

  17. 17 : : 2017/03/08(水) 00:01:30

    就寝前―――

    ザッ ザッ ザッ

    アルミン「じゃ,明日から改めてよろしくね」

    シディアス「こっちこそな」

    ミカサ「よろしく」

    アルミン「早く寮に戻ろう。明日からはいよいよ訓練だ!」

    ミカサ「アルミン,焦ったらダメ。

    アルミンは根性はあるけどまず体力をつけないと」

    アルミン「う・・・わかっているさ」

    シディアス「んじゃ,俺らはここだから,また明日な」

    アルミン「おやすみ,ミカサ」


    ミカサ「おやすみ」


    ザ ザ ザ

    「オイ,アッカーマン」

    ミカサ「? 何か用?シディアス」フリムキ

    シディアス「お前,前に自分が今何をすればいいかわからねえと。そう俺にいったな」

    ミカサ「・・・ええ」


    シディアス「アルレルトやお前たちのその幼馴染との約束のために生きればいいじゃねえか」

    ミカサ「・・・」

    シディアス「巨人に復讐すんのは別に悪いと思わねえ。

    けど,アルレルトは両親や友達を失っても自分の夢を諦めていねえ。

    前ばっかみてやがる。 お前もあいつを見習って,これからのことだけを考えればいい」

    ミカサ「これからの・・・?」

    シディアス「ああ。それとこいつは俺の勝手な思い込みだがよ・・・

    もし俺がお前の死んだ幼馴染の立場なら,お前が無茶やって巨人に殺されたり,
    復讐のことばっか考えて生きてたら, 怒ると思うぜ」

    ミカサ「怒る・・・?」

    シディアス「そいつはお前の家族なんだろ?

    家族なら,生きている間を幸せに暮らしてほしいと思うだろ?

    ―――死に急いで自分の命の価値を見誤るなよ?」

    シディアス「とまぁ,お節介をいってみた」

    ミカサ「・・・本当,まったくお節介」

    シディアス「・・・キッパリいうんだな,お前」

    ミカサ「シディアス」

    シディアス「うん?」

    ミカサ「ありがとう,少しだけ気が楽になった」

    シディアス「オウ! そりゃ何よりだ。んじゃな!」スタスタ



    ミカサ(不思議な人・・・心を見透かされているようで落ち着かない)




    ―――でも,嫌な気がしない―――






  18. 18 : : 2017/03/08(水) 00:25:17

    キース「これより、対人格闘訓練を行う!」

    キース「毎年、点数にならないからという理由でこの訓練を甘く見る者が多い!」

    しかし、憲兵団を目指すならば、仕事柄、必要になってくる!全員、心して励め!


    「「「「ハッ!」」」」



    ジャン(対人格闘なんざ、点数にならねぇならやる気起きねぇよ…)




    シディアス「さーて,誰と組むか・・・」


    ライナー「よお。空いてるんなら組まねえか?」


    シディアス「ブラウンか。いいぜ。組もう。」


    ライナー「いい加減名前で呼ぶのに慣れたらどうだ?」


    シディアス「性分ってのは簡単に変えられねえもんだ,始めよう」




    アルミン「・・・ミカサ,もう一回頼む」


    ミカサ「わかった。でも少し休んだ方がいい。」


    アルミン「うん,付き合わせてゴメン」


    ミカサ「気にしていない―――――・・・?」


    ザワザワザワ




    ライナー「ハァハァハァ」 ゼーゼー


    シディアス「―――」ジリ



    ミカサ「ねぇ,あのふたり何をしているの?」


    ミーナ「あ,ミカサ。あのね,今シディアスが暴漢を取り押さえる役なんだけどさ―――」



    ライナー「ッ―――らあッ!!」ビュ


    シディアス「」ヒョイ


    ブン――ヒョイ―――
    ブン――ヒョイ―――



    ミーナ「さっきからライナーの攻撃が全然当たってないのよ」


    ミカサ「・・・」



    ライナー「だぁーッ!いつまで避ける気だ!?木剣を取り上げるまで終わらねえんだぞ?」


    シディアス「だからこうやって待ってるんじゃねえか」


    ライナー「待ってる?一体何をだ?」


    シディアス「そりゃあこうして―――」ス

    ヒュッ!

    「――――木剣を取り上げるタイミングだ」スチャ



    ライナー「!?!? おまえいつの間にッ!!」


    オオー!!

    ナンダイマノ?

    イツノマニカボッケンガライナーノテカラキエタゾ!?




    シディアス「こうしてお前を消耗させて,気を抜いたときに仕掛ければ楽に取り上げられるだろ?」


    ライナー「お前汚えぞ!」


    シディアス「何とでも言いな。さて,今度は俺が襲う番だな?」ジリ


    ライナー「こいつ・・・兵士たるもの,あえて困難に挑むのみだ!こい!」





    ブウン スカ ガシ

    ライナー(なんだ?一体何が起きた?)


    シディアス「降伏しろ・・・これが本物ならお前の喉はパックリだ」ツツー


    ライナー「あ,ああ…」ゾク




    ライナー「全く恐れ入ったよ,まさか俺の攻撃を全部避けて懐に入るなんてな」


    シディアス「お前はガタイがいい分自分の力任せなとこがあるからな。

    拳で突くならスピードを重視した方がいいぜ。力みすぎるとかえって速さを殺しちまう」


    ライナー「ありがとよ。だがな,避けてばっかりじゃあ撃たれ弱くなるぞ。

    いざという時頼りになるのは自分の拳だけだ。違うか?」


    シディアス「・・・実際問題,得物持った奴に素手で立ち向かうなんざ,

    よっぽどの達人か無鉄砲なバカしかやらねえよ。」


    シディアス「相手がナイフならこっちはピストルを使う」

    向こうがピストル持ったらこっちは散弾銃。散弾銃を持った奴にはライフルだ。

    こんな格闘術・・上手くいった所でそりゃ運が良かっただけだ」ナイフチラッ


    シディアス「実際は上手くいかずに終わるのがほとんど・・・ガキの戯れとは違う・・・」


    シディアス「あえて自分に不利な状況で戦うなんざ馬鹿げてるぜ。

    ましてやお前の相手はナイフも銃も大砲も通じねえ化けモンだ。

    こんな訓練が役に立つのか?」


    ライナー「・・・」




  19. 19 : : 2017/03/08(水) 00:28:07

    ライナー「お前の言いたいことはわかった。でもなぁそれじゃぁやっぱり無責任だと思うぞ」

    ライナー「俺達は曲がりなりにも兵士だろ?」


    シディアス「・・・・・」 


    ライナー「いくら不利な状況でも逃げてはいけない時がある」

    「俺達にはそれぞれの理由があるとしても,税金で食わせてもらう身として,

    果たすべき義務がある。守る対象が脅威に晒された時

    その間に入って盾にならなければならない」


    ライナー「相手が何であろうとだ。

    俺達は大砲でも格闘術でも使いこなして力をつけなきゃならん・・・」

    「それが・・・」

    「兵士としての責任だと思う・・・俺は」


    シディアス「はっ・・・お前はクソがつくほど真面目だな。反論する気にもならねえ」


    ライナー「うぁ・・偉そうに説教なんかしちまった・・・」


    シディアス「お前くらいだぜ。そうやって真剣に考えてんのは」


    ライナー「・・・そうでもないようだぜ」ユビサシ


    シディアス「ん?」


    ミカサ「アルミン,行くよ」

    アルミン「うん!来い!」
    ドカ ゲシ ヒュン グフウ!!


    シディアス「・・・・・・」


    ライナー「恵まれてない体格のあいつでも,目的を果たすためにああやって鍛えているんだ」

    シディアス「(まるっきりガキだな・・・俺は)」


    ライナー「訓練に戻ろうぜ」


    シディアス「そうだな・・・(力を持つ責任か・・・考えたこともなかった)」



    ライナー「ん?」

    ライナー「おい・・・アイツ・・・」


    シディアス「ん?」チラッ



    アニ「」ウロウロ


    シディアス「あぁ・・・あの金髪のチビか・・・
    教官にバレないように上手いことサボってるな」


    ライナー「・・・」ジーッ


    ライナー「よーし,シディアス。あいつにも短刀の対処を教えてやるぞ」


    シディアス「は?」


    ライナー「あの不真面目な奴にも説教だ

    兵士はどうあるべきか・・・教えてやろうじゃないか」

         タッタッタッタッ



    ライナー「教官の頭突きは嫌か?」


    アニ「・・・・・」


    ライナー「それ以上身長を縮めたくなかったらここに来たときを思い出して真面目にやるんだな」


    シディアス「おいおい?なんだその言いぐさ・・・」チラッ


    アニ「・・・・・・」ジロリ


    シディアス「(うわっ!)」

    シディアス「(すげぇ怒ってる・・・いつも怖い顔してると思ったけど・・・

    本当に怒った顔は比じゃねぇな・・・」


    ライナー「・・・・・声に出てるぞ」

    シディアス「え?マジ? って・・・・」ハッ


    ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


    アニ「言ってくれんじゃん・・・・来な」ス


    ライナー「そういやぁさっき,金髪のチビ女っても言ってたなぁ?」スットボケ

    シディアス「何でこのタイミングで言った!? あ,あのさ・・・他意はねえんだy」アセアセ



    アニ「―――フッ」ザウン!



    シディアス「」ウツブセ



  20. 20 : : 2017/03/08(水) 00:32:01



    アニ「・・・もう行っていいかい?」


    ライナー「・・・あ,ああ「―――オイ」

    アニライ「「!」」


    「―――何て名前だ?」


    アニ「は?」


    「―――教えろよ」


    アニ「・・・・アニ・レオンハートだけど?」


    「アニ・レオンハート・・・・いい名前だ」


    「潰し甲斐がある!!」ブゥン!


    アニ「チッ・・・」サ!


    シディアス「フッ!」ヒュ パシ

    ザザッ


    アニ「こいつ,木剣を・・・!」


    シディアス「さぁーて・・・・・」ナイフクルクル スチャ

    「来いよ・・・」ス

    ア二「・・・・」スッ



    ジリ
    シディアス「行くぜえええ!!」ダッ


    アニ「ふっ!」ブンッ


    シディアス「オラァ!」スッ

    チリッ

    シディアス「(かすったか)いいぞレオンハート!!!」シュッ

    シディアス「さっきのお返しだ!フンッ!」ブンッ  シュッ  スッ  ヒョイ


    アニ「クッ!チィッ!」  ドンッ



    ライナー「すげえな・・・・互角かよ」


    ミカサ「・・・いえ、シディアスが優勢」


    ジャン「!」


    マルコ「でも・・・・」



    アニ「ふっ!」シュッ


    シディアス「ぐッ」バキッ

    シディアス「おらぁ!!!!」シュッ


    アニ「クッ!」バキッ


    シディアス「ハッハッハァッ!どうした!!」シュッ  グイッ


    アニ「フンッ!」グイッ


    シディアス「ソォラ!!」スッ


    バキッ!!!!!

    みんな「!」



    シディアス「ぐっ!カウンターだと・・・」クルッ


    ライナー「これはシディアスでも無理じゃないのか」


    アルミン「わからない」


    ユミル「よっしゃ!このままのしちまえ!」


    クリスタ「ユミル!そんなこと言っちゃダメだよ!」


    ベルトルト「どうするんだろ・・・シディアス」




    シディアス「ぐ!まだまだぁ!」ダッ


    アニ「」スッ


    シディアス「!」


    アニ「」ガシッ


    シディアス「ちっ!このっ!」スッ


    ア二「ふっ!」シュッ


    シディアス「っ!」


    ――――メキッ




    ライナー「・・・終わったか」



    「終わり?誰がだ?」ググ・・・


    アニ「!(バカな!死角を確実に突いた筈なのになんで!)」


    ライナー「(後頭部からの肘鉄を振り向くことなく掴まえた!?)」


    シディアス「今度はこっちから行くぜ!!!」ダッ


    アニ「!」

    ガキッ
    アニ「ぐっ!」


    シディアス「ほらよ!!!」ブンッ

    シディアスはアニを投げつけた


    ドサッ!!!


    ア二「くっ!」


    シディアス「」タタタタタ


    ア二「コイツ・・・・」スッ



    ジャン「てか、俺たちここで見てるだけでいいのか?」


    マルコ「でも、教官も・・・」ユビサシ


    キース「」ガン見


    ジャン「なるほどな」


    アルミン「・・・」




    シディアス「ハッハッハァ! やっぱ戦争は! 白兵でなきゃなぁ!!」タタタ


    ア二「(ピンポイントで一気に終わらせる・・・)」スッ


    シディアス「しゃッ!!」ドシュッ

    みんな「!」

    シディアスは木剣を投げつけた



    ア二「めくらましの心算か,甘いよ・・・・シッ!!」シュッ

    ガシッ

    ア二「!」

    シディアス「足もらい!」グイッ

    ア二「くっ!」ズルッ

    シディアス「ラァ!!」ブゥン


    ドサァ!!

    みんな「!」


    ア二「ぐ・・・・」


    「俺の勝ちだな」ガシッ


    ア二「!/////何処に乗ってんだい!」


    シディアスはア二の向かえ合わせになって、ア二の両手を手で掴みおさえた。

    アニに投げつけて弾かれた木剣を咥えて


    ア二「・・・どきな///」


    シディアス「おっと!悪い悪い。」ナイフプッ


    ア二「くっ・・・・」ムク


    シディアス「ほらよっ」ス


    ア二「は?」


    シディアス「立てよ。お前,そこそこ面白かったぜ」ニヤリ


    ア二「ッ!」パンッ


    シディアス「いて! 払うんならもっと優しく払えよ!」


    アニ「ふんッ!」


    ザッザッザ





  21. 21 : : 2017/03/08(水) 01:03:00



    シディアス「あーあ,調子に乗って怒らせちまったかなぁ?」クビカシゲ


    ライナー「いや・・・別に怒ってはいないと思うぞ。 ただな・・・」


    シディアス「? ただ,なんだ?」


    ライナー「気付いてないのか? お前に馬乗りされてから顔が真っ赤だったぜ?」ニヤ


    シディアス「あー―――やっぱそうなるよなぁ・・・」ハァ


    「いきなり男にのされたら流石に怖がっちまうよなぁ・・・まずったぜ」ガックリ




    コニー「やっぱすっげえなぁ~~シディアス!」


    アルミン「アニの格闘術も以外だったけど,それに競り合うなんて・・・」


    サシャ「・・・・」
    ミカサ「・・・・」
    クリスタ「・・・・」



    ユミル「オイ。どうしたクリスタ,あと芋女?」


    サシャ「まるで人が変わったみたいでした・・・」


    クリスタ「うん・・・なんだかいつものシディアスじゃないみたいだった」


    ユミル「あん? そういや,いつもは気だるそうにしてたのに,さっきのはずいぶん活き活きしてたな」


    ミカサ「・・・愉しんでいた」


    アルミン「ミカサ?」


    ミカサ「・・・普段のシディアスなら自分が傷つくことは避けてたのに」


    ミカサ「(あの目は・・・怪我をすることを怖れていなかった。

    むしろそれも含めて闘いを愉しんでいた。

    アニに木剣を投げ付けた時に感じたあの殺気・・・





    ―――――――昔どこかで―――――)」








  22. 22 : : 2017/03/08(水) 01:06:19


    ~兵站行進~
    ザッザッザッザッザッザッザッ

    キース「どうしたアルレルト!貴様だけ遅れているぞ!

    貴様には重いか!?貴様だけ装備を外すか!?」


    アルミン「ゼェ、 ハァ、 ゼェ、ハァ」タッタッタ


    ライナー「・・・・貸せ(ボソ」グイ タッタッタ


    アルミン「ライナー!? こんな事して,君も失格になったらどうするんだ!?」タッタッタ


    ライナー「ここでへばったら脱落して開拓地行きだ!幸い教官は先頭を見ていて気付いてない」


    アルミン「ライナー・・・・・ッ!」タッタッタ ガシ


    ライナー「おい!」


    アルミン「足手まといなんて御免だ・・・自分の面倒は自分で見るさ!」タッタッタ


    ライナー「・・・・ああ,その通りだな!」タッタッタ




    キース「(アルミン・アルレルト 体力こそ兵士の基準に達しないものの

    状況判断能力と知能が秀逸。特定の分野で自分の強みを活かせられれば

    あるいは・・・・)」


    キース「(ライナー・ブラウン 屈強な肉体と精神力を持つ 優秀な兵士の資質を備える。

    面倒見がよく,訓練兵たちの精神的支柱といえる)」





    ~立体機動訓練~


    プシュゥゥゥゥゥゥ ズバババン!

    ジャン「クソッ……またアニとベルトルトか……!」シュゥゥゥゥ



    アニ「…」シュゥゥゥゥゥ


    ベルトルト「悪いね…」シュゥゥゥゥ




    キース「(アニ・レオンハート 斬撃の進入角度に非の打ち所がない)」

    「(性格は孤立気味で連帯行動に不安がある)」


    キース「(ベルトルト・フーバー あらゆる技術をそつなくこなし高い潜在性を感じさせる)」

    「(しかし、周りに流されやすく,集団内ではあまり目立った主張をしない)」




    ジャン「先に的を見つけて点数を稼ぐしかねぇ!憲兵団になるのはオレだ!」プシュゥゥゥゥゥ!


    キース「(ジャン・キルシュタイン 立体機動装置の理解が深く性能を引き出す能力に優れる)」

    「(しかし一方で抜き身すぎる性格により軋轢を生みやすい)」




    コニー「お前の後を追って正解だったぜ!」シュゥゥゥ


    ジャン「!?」シュゥゥゥ


    コニー「オラァ!」ズバッ

    サシャ「いやっほーーい!!」シュゥゥゥ


    ジャン「てめえら!!俺が先に見つけたんだぞ!?ちったぁ遠慮しやがれ」


    サシャ「甘いですねジャン!狩りをするのに礼儀作法などありませんよ!!」

    コニー「そういうこった!」

    サシャ「むむ?・・・・コニー,シディアス!3時の方向に巨人2体発見です!」

    コニー「なにィ?!よっしゃあ! どんどんいくぜえ!!」ピュウウウウウ・・・


    ジャン「クソッ・・・・おい白髪野郎!下手糞ならせめてこっちに迷惑掛けさせんな!!」


    シディアス「・・・」プシュ シュタ シュタタ バシュウウウ


    キース「(コニー・スプリンガー 小回りの効く機動が得意

    しかし頭が鈍く作戦内容の伝達や座学などに不安が残る)」


    キース「(サシャ・ブラウス 素早い身のこなしと型破りな勘の良さがある

    しかし常識外の行動がおおく集団行動には不向き)」


    シャアアアアアア・・・


    ミカサ「フッ!」シュン

    ズバァ! ズババ!

    キース「(ミカサ・アッカーマン 高い目的意識に加え,あらゆる難解な科目を期待以上に

    こなす能力がある。 今期で最も優秀と目されるほどの逸材…)」


  23. 23 : : 2017/03/08(水) 01:10:17

    ~射撃訓練場~

    ドォン・・・ ダン・・・ ダンダァン・・・ 

    コニー「くっそ~・・・何で当たらねえんだ?銃身が曲がってんじゃねえのか?」ジュウコウノゾキ


    マルコ「おい!銃口を覗くなコニー!死にたいのか!?」


    サシャ「私も弓矢なら自信があるんですが・・・」シュン



    ダンダァン

    アルミン「流石はミカサだね。 的に7割も当てるなんてすごいよ」


    ミカサ「ありがとう・・・でもまだまだ。 私よりもっと上の人がいる」


    ダンダンダン

    ジャン「よしッ!!8割超えたぜ!(見てるかミカサ!この調子でもっと・・・)」


    ミカサ「・・・」ジィー


    ジャン「(はっ! ミカサが俺の射撃の腕に注目してる!? チャンス!) よ,よおミカサ!

    的に当てるコツが知りたいなら俺の姿勢をよく見ておくと――――――――――

    ズキュウゥン ズキュゥゥン ズキュウゥゥン…

    ガシャ バラバラバラ チャッチャッ ジャキ


    シディアス「ス―――――フ―――――!」

    ズキュウゥゥゥゥン ズキュウゥゥゥン ズキュウゥゥゥン



    採点官「ぜ,全弾・・・ゼロインに命中・・・・・」ボーゼン




    ミカサ「あれを超えられる人間がいるとは思えない」ジィー


    アルミン「僕たちの的の倍は離れてるよね・・・」


    ジャン「」


    ベルトルト「すごいな・・・70mも離れて着弾が全部真ん中に集中してる」


    ライナー「弾痕も殆どぶれてない・・・いったいどんな視力してやがるんだ?」


    サシャ「私,弓でもあんな風に中てられません・・・」


    コニー「すっげえええ!!」キラキラ




    キース「(シディアス 立体起動で密林を高速で移動する等,反射神経が並外れて優れるが,

    肝心の斬撃でミスが目立つ事から評価は平均をやや上回る程度。

    しかし射撃・対人格闘に抜群の適性があり,特に射撃は常にトップの成績を保持する。)」




    シディアス「フゥ~,次は100mまで伸ばしてみるか・・・・とッ!」ジャキ

    ガキュゥゥゥゥゥン・・・・・


    採点官「シディアス!貴様どこを狙って撃って―――― 」

    ドサドサ ギャアギャア!


    シディアス「あっちゃぁ~, 的を撃とうとしたらミスって鴨に当たっちゃったかぁ~(棒

    貴重な弾薬を無駄撃ちして申し訳ありません教官!始末書を書いたら走ってきます!」


    採点官「う,うむ・・・そうしろ。 あ~本日の給仕係! 撃たれたカモを回収しておけ。

    食糧難の時勢だ,無駄にするな! 」

    ヨッシャアア! オニクゥゥゥ!



    キース「(また一部を除き訓練兵との人間関係はおおむね良好 )」




  24. 24 : : 2017/03/08(水) 06:30:36

    晩―――
    ワイワイ ガヤガヤ

    コニー「いやー,毎度のことだが弾丸一発で何羽も落とすなんて神業だなおい!」モグモグ


    サシャ「おかげで毎週お肉にありつけます! 正に神様のお恵みですよ!(食糧庫に忍び込む回数も減らせますし)」ムシャムシャ


    クリスタ「あれ?今何か聞捨てならない事が聞こえたような・・・」


    ユミル「そもそも盗むんじゃねえっての・・・」ブチ モグモグ


    トーマス「でも,ホントすごいなお前。 いったいどこで習ったんだよ?」


    シディアス「なぁに,うっかり的を外しちまったら運悪く俺の射線上に

    鴨の編隊が滑り込んじまったってだけだ」ヘラ


    ドッ アハハハハ

    ライナー「とは言っても,週一でも肉が食えんのはありがたい」


    ベルトルト「これがないとパンとスープしかないもんね・・・」


    アルミン「本人はああいってるけどさ,1発の弾丸で5,6羽も落とすなんて偶然のさらに

    まぐれな話だけど,こう毎回続くと狙ってやってますと言ってるもんだよね?」


    マルコ「しかも教官への言い訳がね――――

    シディアス『え?そんなの狙ってやれる訳ないじゃないですか~。 偶々ですって偶々!

    何処の世界に散弾じゃなく徹甲弾で鴨の群れを落とすハンターがいるんですか?

    ヒヨッコの訓練兵に過ぎない俺にそんな曲芸じみた真似できませんよ~』ヘラヘラ

    ―――あれじゃあ教官も何も言えないよ」


    ジャン「けっ!・・・ああやって自分を売り込むなんざ,つくづく姑息な野郎だ」ブチブチ


    アルミン「(完全にブーメランだよそれ)」


    ライナー「(お前がそれを言うかお前が)」


    マルコ「ハァ・・・いい加減素直に感謝すればいいのに。

    なんやかんやで結局ジャンも肉を食ってるだろ?」


    ジャン「はっ!俺は出された夕食を食ってるだけだ!好き好んで白髪野郎の施しを

    恵んでもらってるんじゃねえよ!」ガツガツ


    サシャ「え!!ジャンお肉嫌いなんですか!?じゃあ代わりに私が処理して差し上げますね!」サッ


    ジャン「テメエ芋女!!何勝手に人の飯を食ってやがる!?返せ!!!!」ガタガタ

    ワーワー スキデタベテルンジャナイッテイッタジャナイデスカ! ドタドタ ヤカマシイ!マチヤガレ!


  25. 25 : : 2017/03/08(水) 06:50:01
    めっちゃ面白いです!期待です
  26. 26 : : 2017/03/08(水) 06:53:36


    ミーナ「サシャは相変わらず食事の時は元気ね・・・」モグモグ


    ユミル「単に意地汚ねえだけだろ。 呆れるぜ全く」


    クリスタ「でもこれが出るか出ないかだと随分違うよね・・・

    初日にパンとスープだけ出された時は皆元気なかったもん。 」


    ミカサ「ハードな訓練の中で肉を食べられるのは正直ありがたい。

    特にアルミンやクリスタ,ついでにアニは今のうちにタンパク質をとれないと

    将来背が伸びない」


    アニ「・・・あたしに関しては余計なお世話だよ(イラ」モグモグ


    クリスタ「わ,私だってきっと大きくなるもん!」


    ユミル「おーおーそりゃ楽しみだな。

    でもおまえは私の腕の中に収まるくらいがちょうどいいぜ?」ギュー ワシワシ


    クリスタ「もうユミル!私は縫いぐるみじゃないよ!」





  27. 27 : : 2017/03/08(水) 06:59:30

    ドタドタドタ

    ジャン「待ちやがれってんだ!!この芋女!!!」


    サシャ「芋女なんて知りません!私にはサシャという可愛らしい名前が――――」


    ――――――――――「待て!!!!」ビリ



    サシャ「ワウン!!??」ビク


    シディアス「ったく人の食いもんを盗るなって何べんも言ってるだろうが・・・」ヒョイ


    サシャ「へ? あれ!? 私のお肉が!!」


    ジャン「俺のだろうが!」


    シディアス「飯くらい落ち着いて食えよ・・・。ほらよ,お前のだキルシュタイン」ス


    ジャン「チッ・・・ おい白髪野郎!班員の躾ぐらいしとけ!


    お前んとこのバカコンビのせいでこっちはいつも迷惑をこうむってんだ!!」


    シディアス「おいおい・・・動物やペットみたいに言ってやるなよ。 」


    コニー「そうだそうだ!あとサシャはバカだけどシディアスはバカじゃねえ!訂正しろ!」


    シディアス「いや,どうみてもお前とサシャだろ」

    ドッ アハハハハ


    ジャン「ッチ・・・いいか? 俺は真面目に訓練してんだ!

    底辺で満足するようなてめえと違てな!

    まともに的を削げねえ足手まといにしかならねえなら,

    せめて他に迷惑がかからねえように馬鹿共の面倒を見てやがれ!!」


    サシャ「な!? ジャン!聞き捨てなりませんよ!

    シディアスの成績なんて今は関係ないじゃないですか!?」ム


    ミカサ「・・・・・・」


    アニ「・・・・・・」


    ジャン「へっ・・・おいおい何をムキになってんだ?ああそうかそうか。

    悪かったよ,お前の旦那を貶したりして・・・苗字ができてよかったな白髪野郎!

    今度からちゃーんとシディアス・ブラウスって呼んでやっからよ!」


    サシャ「ちょっとジャン! へ,変なこと言ってシディアスを困らせないで下さいよ!」///

    「私たちはそういう仲じゃありませんってば!」アセアセ


    シディアス「(あー・・・そういう意味ね。)」

    シディアス「そーいやさ・・・今度飯盗んだらお仕置きだって言ったよなあ、サシャ?」肩グイ


    サシャ「ヒャ! え,ちょっ,シディ,アス?///」


    ザワ・・・


    シディアス「一体どうすりゃこの食い意地の張ったお口を塞げるんだ?」アゴクイ


    サシャ「あ,あうぅ・・・やめてくださいよ///」


    シディアス「ああそうだ。

    こうやって俺の口で塞いじまえば・・・・なんにも食えなくなっちまうなぁ?」スゥ


    ミカサ「!」


    アニ「―――」





    クリスタ「・・・・・・」


    サシャ「ひぇ! 待ってくださ・・・ちょ! 近いです!こんなとこじゃ駄目です!!

    駄目やって!ほんまにあかんて!堪忍してやぁ!!」ブンブン

  28. 28 : : 2017/03/08(水) 09:38:52

    シディアス「なーんつってな」パ


    サシャ「ほへ?」


    シディアス「あんまり人前で誤解される様なこと言うんじゃねえぞ?

    さもねえと・・・マジで食っちまうぜ?(ボソ」


    サシャ「な,ななな何言うとるんやあんたは!?」アセアセ

    「からかわんといてやああああ!」ダダダダ バタン


    シディアス「おーい,もう食わねえのかぁ~?」

    シディアス「やれやれ,ちょいとからかいすぎたか・・・というわけで,

    生憎俺たちはそんな色気のある関係じゃねえんだ。 あんまり囃し立ててやるなよ~?」

    スタスタ ホラ、メシノツヅキダ オ、オウ ガヤガヤ


    ジャン「・・・くそ!(いつも悟ったような態度しやがって・・・ちくしょう!)」ドサ




    ガヤガヤ

    ミーナ「ビックリしたねえ~」


    ユミル「まさかあの芋女が赤面するとは・・・なかなか面白いもんが見れたな。

    な,クリスタ?」ニヤニヤ


    クリスタ「・・・・・・」


    ユミル「・・・おい,クリスタ?」ユサユサ


    クリスタ「へ!? な,なに?」ハッ


    ユミル「おいおい,あんなので呆けちゃうなんてクリスタは初心だなぁ?

    さすがは私の天使」ナデクリナデクリ


    クリスタ「もう・・・私は天使じゃないよ」


    アニ「・・・・・・」


    ミーナ「あれ?なんだか機嫌悪そうだね,アニ?」


    アニ「・・・別に」モグモグ






  29. 29 : : 2017/03/08(水) 15:53:49

    ライナー「やれやれ。お前はたまに冗談なのか本気で言っているのかわからなくなるな」


    シディアス「あんなのはちょっとした御挨拶だろ?
    単なるユーモアだよ,それぐらい解せよ」モグモグ


    コニー「え?なんだ,サシャとは親戚じゃねえのか?」クビカシゲ


    シディアス「お前はユーモアの前に状況を解せ」ゴクゴク


    アルミン「あはは・・・でもサシャにはちゃんと誤解を解いておいた方がいいよ?」


    シディアス「・・・?  誤解なら解いたじゃねえか。

    そういう仲じゃねえってちゃんと皆の前で説明してやっただろ?」クビカシゲ


    アルミン「君・・・何故サシャが食事の途中にも関わらず食堂を飛び出したのか分らないの?」


    ミカサ「・・・サシャに何を耳打ちしたの?」スゥ


    ベルトルト「うわッ!」ガタン


    アルライコニ「(何時移動したんだ?)」


    シディアス「何って・・・ちょっとした冗談だよ」


    ミカサ「サシャはその冗談を真に受けたかもしれない。

    前から思っていたけどあなたはもう少し女性に対する言葉を選ぶべき。

    あなたは他愛ないと思っていても,言われる側には影響が強すぎることもある。

    そもそもシディアスは~~~~~~~~」クドクド


  30. 30 : : 2017/03/08(水) 15:55:05


    5分後――――

    シディアス「」ゲッソリ


    シディアス「・・・・・なぁ,アルレルト・・・


    アッカーマンって怒らせると面倒な奴だったんだな・・・」


    アルミン「ちゃんと反省しなよ」


    シディアス「してるよ・・・もうアッカーマンの前では冗談は言わねえぞ・・・・」グッタリ


    アルミン(呆れ顔)「・・・・君は後5分は説教されるべきだったと思うよ」




  31. 31 : : 2017/03/08(水) 16:15:33
    なんかタイトルダサい
  32. 32 : : 2017/03/08(水) 16:42:51


    ―――――対人格闘訓練

    アニ「ク・・・」ゼェ・・・ゼェ・・・


    シディアス「なぁレオンハート・・・いい加減もう諦めたらどうだ?」つナイフ


    アニ「冗談・・・フッ!!」ダッ クミワザ


    シディアス「おっと・・・」

    スカ

    アニ「(こいつの足運びや体捌きは全くの素人・・・無駄が多いし隙だらけ)・・・シッ」マワシゲリ


    シディアス「危ね!」ステップ

    スカ

    アニ「(なのにこっちの手の内を読まれてる・・・・

    技を仕掛けてもギリギリで距離をとられて逃げられる・・・なんなんだコイツ!!)」ハーハー


    シディアス「それにしてもお前の格闘術って変わってるなぁ・・・合理的で無駄がない。

    こん中じゃ,張り合えんのはアッカーマンくらいだと思うぜ。俺には効かないけど」ケロリ


    アニ「」ブチ


    アニ「終わらせたいなら・・・いい加減襲ってきなよ。ならず者さん」スゥ―――――


    シディアス「んじゃ・・・そうさせて貰う―――よッ!!」シュ


    アニ「(防御なんかいい・・・敢えて木剣を食らってカウンターをたたき込んでやる!!)」ジリ

    ガス

    アニ「くう・・・!」


    シディアス「あ・・・わりいわりい。

    思ったより胸ががら空きだったんで強く突きすg――「ガキ」―――あれ?」ドゴオ



    アニ「」ヒザゲリ

    シディアス(腹抱え)「~~~!!―――て,てめえ・・・きたねえぞ」ヨロ・・・


    アニ「何とでも言いなよ――(コイツ・・・咄嗟に地面を蹴って威力を殺しやがった・・・でも!!)」ザッ!!


    アニ「フン!!」ガシイ


    シディアス「首を・・・!(マズイ)」ゾク

    ドサァ

    ギリギリギリ
    アニ「・・・ようやく捕まえたよ,煙野郎。いい加減躱され続けてうんざりしてたよ」ギリイ


    シディアス(クビシメラレ)「グェ・・・こ,降伏する!参った!!」


    アニ「木剣を手放してないじゃない・・・騙し討ちでもする気かい?」グググ・・・


    シディアス(ウデヒシギ)「腕がッ・・・かッ,体の下敷きで手放せねえんだよ!!」


    アニ「手放す気はないんだ・・・なら,このまま落とさせてもらうよ・・・」ギリィィィ


    シディアス「あががッ・・・ぐおおお!!!!」


    シディアス「(何とか抜け出さねえと・・・何か策は!?―――――!!)」ハ

  33. 33 : : 2017/03/08(水) 16:51:37

    シディアス「ア,アニ!!」


    アニ「何だい?木剣を手放さないなら降参は認めn―――「お前って何かいい匂いがするな!」


    アニ「――――――――は?」ピタ



    訓練兵「「「「「―――」」」」」ピタ




    アニ「な,ななな何を言って―――は!?」


    シディアス「(止まった!)―――隙あり!!」グルン

    スカ

    アニ(しまった!体勢を―――)

    ガシイ


    シディアス「―――形勢逆転だな」つナイフ


    アニ(オシタオサレ)「・・・」





  34. 35 : : 2017/03/08(水) 17:09:25


    シディアス「詰めが甘かったなぁ?

    所詮お前も女・・・身だしなみをつい気にしちまう心理からは逃れられねえ!

    ゆっくり絞め落とすんじゃなく気絶させるべきだった――――って?」


    アニ「~~~~!!!!」プルプルプルプル


    シディアス「お,おい? 何も泣くことはn―――」アセアセ

    ゴス

    シディアス(ハナオサエ)「いってええ!!!」



    アニ「」ガバ

    スタスタスタ



    シディアス「あのアマぁ・・・頭突きなんかしやがって!」サスリサスリ



  35. 36 : : 2017/03/08(水) 18:01:43
    オリキャラ設定をした方がよろしいのでは?規定違反になるんじゃないかと
  36. 37 : : 2017/03/08(水) 20:36:45
    >>36
    ご忠告ありがとうございます。
  37. 38 : : 2017/03/08(水) 22:00:50

    ザ ザ ザ

    ライナー「全くお前という奴は・・・」


    ベルトルト「・・・・・」


    シディアス「あん? よぉブラウン,フーバー。次の相手はお前らか?

    わりいけど鼻冷やすからちょっと待ってろ」サスサス


    ベルトルト「ならこれを使うといいよ。はい,水袋」サシダシ


    シディアス「すまねえな。 あーイテテ。」



    ドヨドヨ ザワザワ

    ライナー「やれやれ・・・お前のさっきの発言で皆訓練どころじゃなくなったぞ。

    少しは発言に気を付けたらどうだ?」


    シディアス「しょうがねーだろ? あいつ俺のギブアップを無視して絞め落そうとしたんだぜ? 命の危機を感じたぞ。」


    ベルトルト「・・・でも流石にあれは言いすぎだよ。アニ,顔を真っ赤にして行っちゃったよ?」

    ベルトルト「大勢の前であんな恥ずかしくさせることもなかったんじゃないかな・・・」


    シディアス「―――分った分かった。 俺が悪かったよ!

    ・・・だからそう見つめるな。」


    ベルトルト「うん。後でアニにも謝った方がいいよ」


    ライナー「話は済んだな。じゃあそろそろ訓練を再開しよう」


    ベルトルト「あっちに草場があるからそこでしようよ」





    シディアス「―――ところでよ,フーバー」


    ベルトルト「ん? 何だい?」


    シディアス「お前,いつもは無口なのに,今はずいぶん喋るな」


    ベルトルト「・・・・・・・・・」


    シディアス「――――」ジー


    ライナー(あれ・・・なんだこの空気)


    ベルトルト「・・・・・せめて」


    シディアス「ん?」


    ベルトルト「さり気なく逃がしてあげようと努力したんだけど・・・」ユビサシ


    シディアス「ん?」フリムキ



    ミカサ「・・・・・・」ジィー
    サシャ「・・・・・・」ジィー




    シディアス「うげ・・・・」



    ベルトルト「・・・御愁傷様」スタスタ
    ライナー「じゃあ俺達は向こうでやってるか」スタスタ





  38. 39 : : 2017/03/09(木) 06:35:54

    ―――昼

    シディアス「」ゲッソリ


    アルミン「今回は何分絞られたの?」モグモグ


    シディアス「10分超えてからは数えていない・・・」モソモソ


    シディアス「アルレルト・・・アッカーマンのやつ,近頃馴れ馴れし過ぎだろ!

    最近あいつが口うるさい母親みたいに見えてきたぞ!?」


    アルミン「両親の記憶がないのに喩えられるんだ?」


    シディアス「概念くらい知ってるよ・・・いや,それはいい。

    俺もお前たちとそれなりに仲が良くなったとは思っているけどよ,

    あいつは度を越してないか? 流石に気を許しすぎだ。お節介にも程があるだろ?」


    アルミン「・・・もともとミカサはああいう性格だよ。シガンシナにいた時は

    いつも何かと僕たちの世話を焼こうとしていたんだ」


    シディアス「・・・・・・・俺とそのお前たちの幼馴染とやらは別の人間だ。

    重ねられてもそのうち失望させるだけだぞ」


    アルミン「弁えているつもりだよ,少なくとも僕は。

    でも・・・・・・・・・・・・・・僕には〝エレン″の代りは務まらなかったんだ。」



    ――――――エレン?―――――



    シディアス「」


    アルミン「・・・シディアス?」

    ハッ
    シディアス「―――――――ん? ああ,スマン。 何だ?」


    アルミン「大丈夫? 急に固まっちゃったから心配したよ?」


    シディアス「ああ・・・・気にすんな。説教のされ過ぎで頭がパンクしたみたいだ。

    何故か途中でブラウスのやつも加わって両脇からあれこれ言ってきやがったからな」


  39. 40 : : 2017/03/09(木) 11:58:18
    おもろいなー
    期待!
  40. 41 : : 2017/03/09(木) 21:37:30
    期待
  41. 42 : : 2017/03/09(木) 22:03:13

    サシャ「お灸は効いているみたいですねえ」ヒョコ


    アルミン「」サ
    シディアス「」ササ


    サシャ「ちょっと二人とも,何でお昼ご飯を隠すんです!?何も取りませんよ!」


    アルミン「で,何か用かい?お説教ならもう堪忍してあげたら?」


    サシャ「もうそれはいいんです。

    それより,シディアスもいい加減私たちを名前で呼んだらどうです?」


    シディアス「・・・・・・」


    サシャ「私,何時まで経ってもシディアスが名字でしか呼んでくれないのでちょっと寂しいです・・・

    以前私をからかったとき,私を一度だけ名前で呼んでくれたじゃないですか・・・」

    サシャ「そりゃからかわれて食事を食べ損ねたのは赦せませんでしたけど」


    アルミン(他はもう赦したんだ)


    サシャ「私のことを名前で呼んだ時,やっと友達になれた気がして嬉しかったんです・・・

    なのに次の日にはブラウスに戻って,本当はシディアスにとっては,

    私は友達なんかじゃないのかもって思ってしまうんです・・・」


    シディアス「・・・・・・」


    サシャ「コニーもライナーもミカサも,それにアルミンだって,

    シディアスのことは大切な仲間だと思っているハズです。

    もっと自分たちを信頼してほしいと思ってますよ」


    シディアス「・・・・・・」


    サシャ「それに,さっきアニと訓練してた時,咄嗟にアニの名前を呼んでいました・・・

    本当はシディアスだって名前で呼び合いたいんじゃないですか?」


    シディアス「・・・・・・」


    サシャ「・・・・・その,と,とにかく!

    私のことを名字で呼ばれると,ライナーと似ていて紛らわしいんです!

    〝サシャ″のほうが短くて言い易いんですし,ちょっと考えてみてください!」

    サシャ「じゃ,私はここらで失礼しますね!」タッタッタッタ





  42. 43 : : 2017/03/09(木) 22:11:47

    シディアス「・・・・」


    アルミン「・・・ええと,要するにサシャは君に名前で呼んでほしいんだよ!

    この機会に呼んでみたら?」


    シディアス「・・・次の科目は座学だったか,もう移動しようぜ」スク


    アルミン「うん・・・・(やっぱりまだ難しいかな・・・・)」ス

    スタスタスタ


    「――――アルミン」

    アルミン「え!?」ドキ


    シディアス「お前の名字は長いし言い難くて疲れる。

    今度からは名前で呼んでいいか?」


    アルミン「・・・うん!もちろんいいよ!」


    シディアス「それじゃあ行こうぜ!

    この前出された課題,自身がねえからお前の回答で確かめてえんだ。見せてくれねえか?」


    アルミン「うん,僕でよければ分からないところがあったら答えるよ!」






    ―――正直,シディアスのことは謎だらけで未だによく解からないけど・・・・

    この日,少しだけ,でも確かに,僕たちの距離が近づいたと思った―――




  43. 44 : : 2017/03/09(木) 23:56:01

    ――――夜 食堂
    ガヤガヤ

    マルコ「それにしても,アルミンはすごいな。座学の成績では未だに負けなしなんだから」


    アルミン「僕は体力も技術もみんなに劣っているからね・・・自分の頭で少しでも補わないと・・・」







    ジャン「オイオイ,頭で巨人に勝てんのかよ?よくそれで調査兵団に入るなんて言えるなぁ?」


    アルミン「ジャン・・・」


    マルコ「おいジャン・・・よせよ」


    ジャン「本当のことを言ってるだけだろ?

    座学一位様なら,そんな実力で壁外に出たらどうなるかぐらい分かんだろ。

    兵団一の精鋭と謂われる調査兵団ですら,毎回死人がわんさか出てんだ。

    あまつさえお前みてぇなのが行ったって,それこそ巨人の餌以外の何になるんだ?」


    マルコ「幾らなんでも言いすぎだよ!アルミンだって努力し「いや―――ジャンの言ってることは正しい」


    ジャン「あん?」


    アルミン「確かに僕は君や上位のみんなから見たらあまりにも非力だよ・・・」

    アルミン「巨人を殺す技術が低いのに巨人を倒せるわけがない・・・自分でもそれはわかっているさ」

    アルミン「でも君みたいに高い実力を持つ人が憲兵になって,

    弱い人たちを前線に置いて内地に行って,それで人類が生き残れるの?」


    アルミン「マリアが破られて,次にローゼやシーナは破られないって,誰に言えるのさ?

    今度ローゼが破られれば,マリアを失った時の比じゃない難民が出て,

    あっという間に壁内の資源は尽きる。

    巨人に食われるまでもなく,人類は餓えて死に絶えるんだ!」


    シン―――

    ミカサ「・・・・・・」
    コニー「・・・・・・」
    サシャ「・・・・・・」
    ライナー「・・・・・・」


    ジャン「―――なら土地奪還のために命を懸けて戦えってか? 2年前のウォールマリア奪還作戦の結末は知ってんだろ」

    ジャン「土地奪還のために25万人が出撃して,そのまま巨人の腹の中へ直行だ。

    もう皆判り切ってんだよ・・・人類は巨人に勝てない。

    だったら少しでも巨人から離れて静かに最期を迎えたいと思って何が悪い?」


    ミカサ「アルミン・・・もういい,座ろう。」


    アルミン「うん・・・ジャン,君がどう思おうと僕は自分の道を曲げる気はないよ」


    ジャン「へ・・・お勉強だけじゃなく,現実も理解した方がいいぜ。少なくとも俺は現実を見てる」


    「―――それはどうかな」


    ミカアル「!」




    シディアス「俺にはお前に現実が見えているとは思えないぜ?」


    アルミン「シディアス・・・」





  44. 45 : : 2017/03/10(金) 00:32:48

    ザワ・・・ マタアノフタリカ・・ザワ・・・

    ジャン「てめえ・・・今のはどういう意味だ?」


    シディアス「そのままの意味さ。ウォールマリア奪還作戦で投入された戦力のほとんどは,

    満足に訓練を受けていない難民や失業者だった。土地奪還を目的としていたなら,

    何故王政は兵団の戦力を最低限しか動員しなかった?」


    ジャン「そんなもん,端から敗けると判ってたからせめて口減らしの口実にしたんだろ。」


    シディアス「つまり・・・王政や内地の貴族連中は,

    難民のために土地や財産,既得権益手放したくなかったと認めているんだな?」


    ジャン「そんなの当たり前だろ。口にはしねえが誰でも知っている。何が言いてえんだ?」


    シディアス「お前が切り捨てられる側じゃないと何故言える?」



    シン――――

    ジャン「・・・」
    訓練兵「「「・・・・」」」




    シディアス「確か・・・お前はトロスト区の出身だったな? なら今超大型巨人とやらがローゼを破ったら,

    真っ先に駆り出される口減らしには当然お前の家族も含まれるよな?」


    ジャン「・・・・ああ,そうだ。だから内地に移ろうと死に物狂いで憲兵を目指してんだろが!」


    シディアス「じゃあ・・・残されたその他大勢はまた奪還作戦をやるといわれて素直に応じると思うか?

    そんな状況で王政の権威や命令に何の意味がある?

    アルミンが言ったように,人類は巨人に食われるまでもなく死に絶えるだろう。




    ―――――――――飢えなんかじゃ無く内戦によってな――――――――――――」



    ジャン「・・・!」




  45. 46 : : 2017/03/10(金) 06:19:11

    ――――シーン

    シディアス「・・・まぁ,その方が俺としてはヤり易いんだがな」


    ジャン「――――やり易いって・・・何がだよ?」


    シディアス「人間は頭か心臓を撃てば死ぬ。15mも飛んでうなじを削がなくてもいいんだから,楽だろ?」ニヤリ


    ジャン(――――!!)ゾク


    シディアス「たとえ王様だろうと兵士だろうとな――――」


    ガタ

    マルコ「お前・・・冗談もいい加減にしろよ!僕等は公に心臓をささげた兵士だろ!?

    王政を否定することばかり言って,反逆者と見做されたらどうするんだ!?」


    シディアス「・・・で?その王政はささげた心臓に見合うだけのモンを保障してくれんのか?

    搾り取った税金で優雅に暮らしていながら,難民に領地も解放せず,

    壁外に放り出すようなエゴイストどもがよぉ?」


    アルミン「―――!」


    シディアス「俺は対価を求めているんだよ。たとえ奴らがこの味のうすいスープやパンであっても,

    俺の腹を満たしてくれている間は・・・・まあ,忠誠を誓ってやるさ」


    シディアス「だがボット・・・お前が忠誠を誓う王様に,本当にそれだけの価値があるか,

    値踏みくらいはした方がいいぜ?」


    マルコ「ぼ,僕は・・・」


    シディアス「俺は,俺の命は自分のために使う・・・たとえ巨人だろうと王政だろうと,強盗だろうと




    ――――俺を殺そうとするやつは殺す」





    シディアス「値切ろうとしても俺はきっちり取り立てるぜ。何せ命の価値は平等なんだ。

    王様だろうと乞食だろうとな・・・」



    ――――シディアス」

    ミカサ「もうそのへんでやめなさい。そういう事は思っていても口に出すものではない」


    シディアス「んお? あぁ,ついしゃべり過ぎたな,飯が冷めちまった。早く食わねえと」スト


    ミカサ「ジャンもマルコも,――――もう話はいいわね?」ジロ


    マルコ「あ,ああ・・・・・・」


    ジャン「ク・・・・・」スト






  46. 47 : : 2017/03/10(金) 09:56:03
    とても面白いです

    期待
  47. 48 : : 2017/03/10(金) 20:27:17

    カチャ・・・カチャ・・・ヒソヒソ・・・

    サシャ「急に雰囲気が重くなりましたね・・・」


    ユミル「あのバカ・・・アルミンやミカサ以上の死に急ぎ野郎かよ・・・・・・」


    クリスタ「・・・・・・・」


    ユミル「・・・? おい,クリスタ。何を考え込んでるんだよ?」


    クリスタ「怖くないのかな・・・」


    ユミル「はぁ?」


    クリスタ「王政に逆らうってことは,人類全部が自分の敵になるんだよ・・・」

    クリスタ「シディアスはどうして平気そうにしていられるの?」


    ユミル「おおかた,単に強がってるだけなんじゃねえか?

    いや,アイツたまに本気でイカレてる時もあるからな・・・

    ひょっとしたらマジで言ってるかもなー」ケラケラ


    アニ「・・・・・・・・・」



    クリスタ(私には出来ない・・・・・どうして・・・・そんなふうに生きられるの?




    ――――――――――どうして?――――――――――



  48. 49 : : 2017/03/10(金) 20:30:56

    ライナー「・・・なぁ,流石に今のは冗談だよな?」


    ベルトルト「君,本当にいつか捕まっちゃうんじゃないかと思うよ・・・」


    シディアス「しょうがねえだろ?ダチを貶されて黙っていられるほど俺は行儀よくないんだよ」



    ミカサ「シディアス・・・こんな話をわざわざ皆の前でする必要もなかったハズ」ジト


    シディアス「う・・・悪かったよミカサ。つい口が緩んだだけだって」


    ミカサ「アルミンの前ではなるべく王政や奪還作戦の話はしないでと前にも―――?」

    ライベルコニ(―――ん?)


    シディアス「ん?どうした?」


    ミカサ「・・・今,なんて言ったの?」


    シディアス「だから,つい口が緩んだだけだって・・・「その前!」


    シディアス「・・・・・〝悪かったよミカサ″?」


    ミカサ「・・・・・・」


    シディアス「・・・オーイ,ミカサさん?」


    ミカサ「い,いつの間に私を名前で呼ぶようになったの?」オロオロ


    シディアス「いやさ,名前で呼んだ方が名字で呼ぶよりより短いし楽だから。

    あーもし嫌だったら今まで通りアッk「ミカサでいい!むしろミカサじゃなきゃ嫌だ!」

    ―――お,おう・・・・」


    ライナー「なんだなんだ?ついに名前で呼ぶ気になったか。いったいどういう心境の変化だ?」


    シディアス「別に・・・お節介な誰かさんが,名字で呼ぶとお前と似てて

    紛らわしいっていうもんでな・・・」チラ



    サシャ「!!」ドキッ




    シディアス「―――で,ライナーは気にするか?」


    ライナー「いや・・・そう呼んでくれ。その方が気が楽だ。」


    シディアス「そうかい,宜しくな。ベルトルトは?」


    ベルトルト「う,うん・・・それで構わないよ」


    シディアス「・・・・お前の名前言い難い!やっぱお前は引き続きフーバーな!」


    フーバー「そんな!!?」


    ドッ―――― アハハハハハ!!!!

    アンマリダヨ! ヒデー ナンダヨソレ

    ベルベルトカワイソー! ダハハハハ



  49. 50 : : 2017/03/10(金) 20:48:25

    ガヤガヤ ワイワイ



    マルコ「一瞬で皆の気分を持ち直すなんて・・・やっぱり凄いな,シディアスは・・・・・・」


    アルミン「マルコ,シディアスの言ったことは僕の・・・その・・・・・」


    マルコ「・・・・アルミンの家族のことは,知ってたよ」


    アルミン「・・・え?」


    マルコ「前にミカサとシディアスが話しているのを偶然聞いちゃったんだ。」

    「―――正直,自分にもジャンのような動機がないと言ったらウソになる。

    僕も心のどこかで巨人から遠ざかりたいと思っていた。王に仕えるためと言い聞かせて,

    自分を正当化していたと思う。それを,今ようやく自覚したよ。」


    アルミン「マルコ・・・」


    マルコ「王政のやってきたことの中には,納得できないものだってある。

    それでも,人類存続のためには仕方がなかった,そうやって自分を無理やり納得させてきた。

    でも,犠牲にされる側は〝しかたがない″の一言だけで納得できるはずがないんだって,君たちを見ていて思ったんだ。」

    マルコ「だから今は,王のためじゃなく,君の言う人類の自由のために憲兵を目指してる。

    少しでも良いから,壁の中の理不尽な現実っていうのを変えられたらって思ってね・・・」


    アルミン「・・・マルコなら良い憲兵になれそうな気がするよ」


    マルコ「巨人に立ち向かう勇気がないだけさ・・・アルミンの方がよっぽど勇気があるよ」

    「少なくとも,僕はアルミンを弱いなんて思わないよ。ジャンもそうだろ?」




  50. 51 : : 2017/03/11(土) 12:18:22

    ジャン「けっ・・・俺はお前らと違って自分の身が一番かわいいんでね!

    人類なんて掴みどころのねえもんを気にする余裕はないんだよ!



    アルミン「―――僕だって同じさ」


    ジャン「あぁ?」



    アルミン「僕だって人類が生き残る為とか,偉そうなことを言ったけど,

    僕が調査兵団を目指すのはそんな大層な理由なんかじゃないよ」

    「僕の望みは,壁外に広がる,壁の中にない世界をこの目で見ることだよ。

    ―――昔,まだ壁が破られる前,僕はミカサと,そしてもう一人の親友に外の世界を描いた本を見せて言ったんだ。

    陸地よりも広い塩の湖や,氷の平原,炎を吹く山・・・そんな誰も見たことのないすごいものが

    壁外にはあって,なのに僕らは他の人類と同じく,巨人を恐れて壁の中に閉じ込められて,

    そんな景色を見られないまま一生を終えるんだ」


    「そしたらその親友が言ったんだ。



    ―――本に書いてることが本当かなんてわからねえよ。

    ・・・・・だから直接見て確かめてこようぜ―――


    「僕の両親が禁書を所持していたことが発覚して,壁外に追放されたとき,僕は夢を諦めかけた。

    でも,彼は諦めなかった。巨人に勝って,自由を手にして,本当の〝世界″を確めようって言ってくれた」


    アルミン「だから僕は調査兵団に入るんだ・・・両親の無念を晴らすためと,親友との約束のために」




  51. 52 : : 2017/03/11(土) 15:05:54

    ―――夕食後

    トーマス「そういや来週に騎馬・兵站訓練があったな。」


    コニー「マジか?俺馬に乗るとケツが痛くなんだよな~」


    ライナー「4日かけて往復するんだったな。その間の食糧は自力で確保しなければいけないらしいぜ」


    マルコ「サシャは却って張り切りそうだね」


    アルミン「あははは,目に浮かぶよ」


    ライナー「出来ることなら女神と一緒の班になりたい」ウットリ


    ベルトルト「馬術と言ったら彼女だもんね」


    ライナー「バカもん!上手いことユミルと女神がバラけてくれれば,女神を近くで拝めるんだぞ?」


    アルミン「そうなると野宿になるから,もし寝顔とか観れたら正に行幸だね・・・」

    「「「「(女神の寝顔・・・・)」」」」ポー





  52. 53 : : 2017/03/11(土) 15:16:56

    シディアス「・・・? なあコニー,女神って何のことだ?」


    コニー「女の神様のことだろ? 俺よりバカになっちまったのかシディアス」


    アルミン「ほら,女子で金髪で背の小さい,馬術でトップの可愛い娘がいるだろ?」


    シディアス「・・・レオンハートの馬術の成績はそこまで高くないだろ?

    それにアイツは可愛いってタイプじゃねえだろ?」



    アルミン(呆れ顔)「・・・アニじゃないよ」

    ライナー「オイオイ,あんな無愛想で怖い顔とクリスタを一緒にするなよ・・・」

    他「「「ウンウン」」」


    シディアス「ひどい言われようだな,アイツ・・・・・・ん? クリスタって,レンズのことか?」


    アルミン「そうそう。そういえばシディアスも初日の適性検査の後で逢ってたじゃないか?」


    シディアス「あ――・・・そういやそうだったな。あんときもサシャに飯を与えてたな・・・」


    ライナー「なに!? お前クリスタと話したのか!?」クワ


    シディアス「お,おう・・・」


    トーマス「どうやって近づいたんだ?教えてくれよ!!」

    モブ「そうだ,女神と何を話した!?答えろよ!!」

    「「「「そうだそうだ!」」」」


    シディアス(ヒキッ)「どうやってっていわれても・・・・・・飯の後に寮に行く途中,

    サシャがぶっ倒れてんのに出くわして運ぼうとしたら,あいつがパンと水を持ってきた」



    全員「「「「(―――女神様・・・)」」」」



    シディアス「あと,翌日の適性検査の後にコツを教えてくれるって言ってきたんで,ライナーたちのことを聞いたんだ」



    トーマス「・・・やっぱりクリスタは優しいな(天使だ)」

    コニー「だからサシャのやつ,クリスタのことは神って言ってんだな」ナルホド

    アルミン「そういう切っ掛けがあったんだね(女神・・・)」

    マルコ「ユミルやサシャ以外の女子からも人望に厚いしね」

    ライナー「ああ,美人で仲間思いでおまけに馬からも好かれる,完璧だな(結婚したい)」

    ジャン「ミカサには及ばねえが,あいつもまあレベル高えからな」


  53. 54 : : 2017/03/11(土) 15:28:39

    シディアス「女神様,ねぇ・・・」

    シディアス(・・・ん?)チラ



    アニ「・・・・」スタスタ




    シディアス「・・・・・埋め合わせくらいはするか」ポソ・・・


    アルミン「ん? どうかした?」


    シディアス「何でもねえ。 明日の午後は射撃訓練だったな」


    コニー「おお! 今度は10羽ぐらい落としてくれよ!」


    シディアス「俺が落としてんじゃねえ,向こうが勝手に射線に入ってきただけだっつーの」


    ワイワイ



    ベルトルト「もう150mは達成したんだっけ・・・」


    ライナー「訓練のたびに的の距離が離れて行ってるからな・・・」


    アルミン「もう肉眼で照準を合わせられる距離じゃないよ・・・」






  54. 55 : : 2017/03/11(土) 15:46:21

    ―――女子寮 寝室



    アニ(今日もまた敗けた―――)



    アニ(まるで素人のあいつに翻弄されて無様な姿を晒して―――)




    アニ(最近・・・あいつに負ける事ばかりが頭をよぎる―――)




    アニ(お父さんの格闘技を・・・アイツに苦も無くあしらわれて―――)




    アニ(自分で無意味と言いながらそれに固執してる・・・情けない―――)




    アニ(いつから私はこうなった?)




    アニ(なんでこうも掻き乱される―――?)








    『お前って何かいい匂いがするな!』









    アニ(・・・・・・!!)バサ



    アニ「・・・・・・・・ねむれない,歩くか」








    リーン リーン リーン
    サアアアア…



    ザク ザク サグ ザク




    アニ(今日は満月か・・・)

    (演習場の小屋まで行ってみるか)



    ザク ザク ザク―――ピタ



    アニ「あんた・・・こんな遅くに何やってんの?」ジリ・・・


    シディアス(屋根)「見ての通りお月見さ。お前は?」


    アニ「別に・・・眠れないから散歩してるだけ」


    シディアス「ふーん・・・じゃあ上がってこいよ。一緒に見ようぜ?」


    アニ「・・・あんたさ、時々どういう意味で話してんのかわからなくなるね。誘ってんの?」


    シディアス「?・・・だから一緒に見ようって誘ってるじゃねえか。意味なんて他にあるか?」


    アニ「ハァ・・・もういいよ。生憎あたしはそこまで届かないし―――つーかあんた、どうやってそこに上ったのさ?」


    シディアス「―――ちょっと手ぇ貸せよ」スッ


    アニ「・・・なんで?」


    シディアス「良いから良いから」チョイチョイ


    アニ「・・・」ジッ


    シディアス「なんだ?別に変なことはしねえよ。心配すんな」


    アニ「・・・ほら,これでいい?」ス




    ―――ギュ―――


    シディアス「ヨっと」グイ



    フワ・・・




    アニ「きゃッ!!!」


    シディアス「はいお待ち」スト


    アニ「あ,あんた!今いったい何をしたのさ!?」ドキドキ


    シディアス「? 届かないっていうから引っ張ってやっただけだが?」


    アニ「だけって・・・今わたしの体が浮いて・・・・・・」ドキドキ


    シディアス「んなもん手品だ手品。 そんなことより・・・

    お前見かけによらず意外とカワイイ声も出すんだな?」ニヤ


    アニ「(ドキ)は? 声? 何の事だかさっぱりだね・・・」


    シディアス「”キャ!”ってよ・・・ププッ,普段のお前じゃ全く想像もつかn(ゲシ


    アニ「それ以上言ったら・・・」ギロ


    シディアス「オレハナニモミテナイキイテナイ」


    アニ「フン・・・」スタ スタ




    シディアス「おいおい,せっかく上ったんだから見てけよ。 今日は中々いい月が出てるぜ」ゴロ・・


    アニ「・・・」ピタ


    シディアス「眠れないときは月を見るに限るぜ。 気持ちも落ち着くし,何より悩み事も気にならなくなる」



    (―――――――――)



    ストン ゴロン

    アニ「!―――こうして寝そべると,いい具合に月が見えるんだね・・・」


    シディアス「だろ?俺のお気に入りの場所なんだ。 皆には内緒にしとけよ?」





  55. 56 : : 2017/03/11(土) 20:50:25
    久々にいいss!
    期待です
  56. 57 : : 2017/03/11(土) 23:24:11

    シディアス「・・・・昼のことは悪かったよ,謝る」


    アニ「・・・全く,公衆の面前で繊細な乙女に恥かかせておいてそれで済ます気?」


    シディアス「う・・・それじゃあ乙女のレオンハート様はどうされれば満足されるんで?」


    アニ「それじゃあ・・・・・ぜひとも教えてほしいね」


    シディアス「何をだ?」






    アニ「あんたの能力の事さ」









    ヒュオオオ・・・ サアアアア


    シディアス「・・・能力? さっきの手品のタネか? 教えたらせっかくの手品の意味がないだろ「動揺してるね?」―――ッ」




    アニ「あんたにのされてからずっとあんたを観察してきた」

    アニ「気づいて無かったようだし,一回くらいなら誤魔化せると踏んだようだけど・・・

    さっきので確信に変わったよ」

    アニ「あんたは普通の人間とは違う・・・いったい何者なんだい?」



    シディアス「・・・いつ気が付いた?」


    アニ「最初の疑念は対人格闘の時。

    私はあんたと組んだとき,いくつかの技を死角から放った。

    相応の修業を積んでも避けるのが難しいのに,あんたはことごとく躱してのけた。

    どう見ても格闘技を齧ったこともないような素人の動き方をするあんたがね・・・」



    「2つ目は立体起動訓練で・・・

    初めて森林地で訓練した時からあんたの班は唯一障害物や危険なポイントを徹底的に避けていた。

    同じ班のサシャやコニーに訊いたら,事前にあんたが指示を出してそれに従っているらしいじゃないか?」

    「そして射撃訓練で鴨を撃ち落としたとき,あんたが撃った鴨たちは胴体じゃなく翼に被弾してた。

    狙ってやったにせよ,羽ばたいてる翼を揃えて打ち抜くなんてありえない。

    〝銃弾の軌道が変化しないかぎり″はね・・・」

    アニ「そしてさっき私を持ち上げるときに使った妙な〝能力″」


    アニ「少なくともあんたは未来を先読みし,体を使わずに物を動かしたりできる・・・違う?」





    シディアス「・・・やれやれ,お前のことは割と高く評価してたつもりだが・・・




    まだ見くびっていたようだ・・・―――当たらずとも遠からずだ,よく気が付いたな?」ニヤリ


    シディアス「それで?―――俺のことを知ってどうする気だ?
    お前の返事次第では・・・・




    ――――――――俺も対応を変えなきゃあならないんでな――――――――」ゴゴゴゴゴ


    アニ「・・・・・」ゾク



  57. 60 : : 2017/03/12(日) 13:24:33

    アニ「・・・別にあんたが何者だろうと私には関係無いし,邪魔をするようなつもりはないよ・・・」


    アニ「ただ・・・これまで積み重ねてきたものを否定されたようで,やり切れなかった。

    だから確認したかっただけさ・・・あんたのは結局,カンニングだったわけだしね。」


    シディアス「何だ・・・そんなにあの格闘術に拘りがあったのか?そいつは悪いことをしたな。

    まぁ,あれは常人相手にはかなり有効だからな・・・」


    シディアス「いったい誰に仕込まれたんだ? 何時だったか,

    ライナーをぶちのめしたのは衝撃だったぜ。」



    アニ「・・・・・私の父にね」


    シディアス「そうか・・・お前であれほどなんだから,お前の親父さんは相当の達人みてえだな」


    アニ「・・・所詮巨人にはなんの役にも立たない無意味なものさ。

    その無意味な物のために私はこれまでの生涯の大半を浪費してしまった。

    私の父は現実離れした理想ばかり追いかけていた。私はそれを実現するための手段として,

    その馬鹿げた理想とともに押し付けられたのがこの格闘術さ・・・・・・」

    アニ「あんたみたいな能力を持った奴には到底縁のない話さ」



    シディアス「でもよ・・・・・・お前が必死に俺の能力の正体を暴くほどには,お前は矜持を持っているだろ?

    自分でもそれなりに気に入っているんじゃないのか?」



    アニ「・・・切り捨てられないのさ,簡単には。

    こんなんでも,私の今までの人生と引き換えて手にした物だからね・・・

    自分で分かっていても,たとえそうしたくても,自分の歩んだ人生を否定するのは難しいんだよ」


  58. 61 : : 2017/03/12(日) 21:14:27

    シディアス「そうかい・・・・・・それでも俺はうらやましいと思うがな」



    アニ「なにがさ?」



    シディアス「――――どんな形でも,お前には家族の絆があるじゃねえか」



    アニ「・・・・・・・・」






    シディアス「俺にあるのは,シディアスという名前とこの能力だけだ。

    誰が与えて,何の意味があって,何の為にあるのか分からない・・・。

    さっき俺は自分の命を自分のために使うと言ったが,

    実のところ,自分以外の誰かのために使うのが思い浮かばねえだけだ」


    シディアス「お前にとっては納得出来ないような絆でも,それが俺には羨ましい。

    お前は自分以外との絆を知っているんだからな」





    アニ「―――――――――そう。

    あんた,憲兵団には興味ないって言ってたけど,卒団した後はどうする気?」



    シディアス「さぁな・・・テキトーに駐屯兵団辺りでやってくんじゃねえの? お前は?」



    アニ「憲兵団・・・」



    シディアス「じゃあもしかしたら格闘術も活かせるかもな!

    大概の悪党どもじゃお前には手も足も出せねえよ! お前に向いてると思うぜ!」



    アニ「・・・あんたは王政が嫌いなんじゃないの? 憲兵は王政側だよ?」



    シディアス「・・・? 別にお前がどの道を選んだってお前の勝手だろ?


    それに俺は王族や貴族の豚共と,それに集る蠅は嫌いだが,お前のことは結構好きだぞ?」




    アニ「―――ッ!? だからッ,そういう事を軽々しく言うんじゃないよ!!」カァ



    シディアス「俺・・・なんかおかしいこと言ってるか?」



    アニ「あんたの言うことはいちいち心臓に悪いよ・・・自覚してない分余計たちが悪い」



    シディアス「・・・まぁ,気を付ける。やっぱお前も内地に行きてぇのか?」





  59. 62 : : 2017/03/12(日) 21:49:34

    アニ「私は・・・この煩わしい現実から少しでも遠ざかりたいだけさ。

    そういう意味じゃジャンと同じかもしれないけど。

    ただ・・・私はあんたやアルミンみたいに流れに逆らって行けるほど強い人間じゃないんだよ。

    流れに身を任せている方が楽だからさ」



    シディアス「・・・・腕っぷしに関してはお前は弱いとは思えねえけどな?」



    アニ「・・・あんたは正直だから本気で言ってるんだろうけど,こっちはか弱い乙女なんだ。

    自分より弱い女の子を気遣う姿勢くらいみにつけなよ」



    シディアス「散々負かしといて言うのもなんだが,お前の格闘術は惚れ惚れするぜ?

    まぁ・・・憲兵になれたら存分に奮えよ,活躍を楽しみにしてるからさ!」



    アニ「はぁ・・・期待するだけ無駄だったね・・・・・・・・そんなに私の技,気に入ってるんだ?」フ…



    シディアス「・・・? おう!」



    アニ「それなら教えてやってもいいけど?」



    シディアス「は?」




    アニ「・・・・・・・」
    シディアス「・・・・・・」








    アニ「―――なんでもない,忘れて」フイ

    シディアス「イヤイヤイヤ,是非教えてくれよ!」キラキラ



    アニ「へ?」



    シディアス「実は前から便利だと思ってたんだよ! やっぱ動きを読んでも食らっちまう技もあるしさ!」キラキラ



    アニ「え・・・いや,あの[――ガシ――]・・・・・ちょ!?」ドキッ


    シディアス「それじゃあさっそく明日から頼む! カンニングは封じるからさ,」アクシュ

    ブンブン

    アニ「わ,分かった! 分かったから手を放しな!!」



    シディアス「お? わりいわりい! いやぁまさかこうすんなり教われるとはな~。

    前から頼もうと思ってたんだけど,お前いつも怖い顔してっから―――ッハ」


    アニ「・・・・・明日の格闘訓練は覚悟してなよ,徹底的に教えたげるから」ジロ…





    シディアス「は,ははは・・・・じゃあ俺そろそろ寝るわ」ダ


    アニ「ちょっと!? 私を屋根に晒したままおいていく気!!?」ガタ


    シディアス「あっと,悪い悪い・・・・」ポリポリ




    アニ「全く・・・[ガシ―――]・・・って!?」


    シディアス「ヨッと」フワリ


    アニ「ひゃ!!!?」スタン




    アニ「だからッ! いきなりするのはやめな!」ドキドキ



    シディアス「悪い悪い。けど,どうせお前にバレた時点で隠しても無意味だしさ,定期的に使わねえと鈍るしよ」ヘラヘラ



    アニ「全く・・・」


  60. 63 : : 2017/03/12(日) 21:54:24

    ――――――――寮への帰り

    アニ「・・・そういえば,あんたのその能力まだよく聞いていなかったけど,教えてもらえるのかい?」


    シディアス「生憎ネタばれすんのはここまでだ・・・・・・でもまぁ,名前くらいは教えてやるよ。







    ―――――――――この能力の名は,理力〔フォース〕だ―――――――――――





    アニ「フォース・・・」






    シディアス「っと,着いたな・・・それじゃあな,アニ!

    見回りが来る前に速く寮に戻れよ~?」タタタタ…



    ヒュォォォ… サァアア…・・・



    アニ「・・・・・・・」





    (――――――――――どうやら散歩に出たのは正解だったらしい)


    アニ「・・・・・・・・・変な奴」クス…


    アニ「寝よう・・・」ザ ザ ザ



  61. 64 : : 2017/03/13(月) 13:35:35

    ―――――女子寮 寝室

    ―――カチャ

    アニ「・・・」ス…


    ボス ン―――

    アニ「フウ・・・」




    「―――なんだか嬉しそうだね?」ポソ…




    アニ「ッ!――――――――あんたかい,クリスタ」ヒソ



    クリスタ「お散歩は気持ちよかった?」ヒソ



    アニ「・・・気づいてたの」ヒソ



    クリスタ「お水を飲みにいったら外を歩いてるのを見かけちゃったの。

    出て行く前よりなんだか機嫌良さそうだったから・・・」ヒソ



    アニ「別に・・・眠くなるまで歩いて来ただけさ。もう寝るよ,おやすみ」バサ



    クリスタ「うん・・・おやすみ・・・・・・」ポス




    ス――― ス――― パァン… モゴモゴ




    クリスタ(・・・・・・わたしも・・・・・歩いて来れば良かったかな・・・・・・・・・)




  62. 65 : : 2017/03/13(月) 20:22:47

    ――――翌朝

    男子寮

    コニー「ファ~・・・朝飯朝飯っと」ボリボリ



    アルミン「んん・・・・・今日は確か,午前が座学と対人格闘,午後は射撃と馬術か・・・

    ――――――あれ?」




    シディアス「グ―――・・・ スピ――――・・・」スヤスヤ





    ライナー「なんだ? シディアスのやつ,珍しく遅起きか?」



    ベルトルト「いつもは一番早起きなのに,どうしたんだろう?」



    ジャン「ほっときゃいいだろそんな奴・・・。 それより飯だ,早くいかねえと芋女に盗られちまう」キガエ



    マルコ「そうもいかないよ・・・・・おい,シディアス! 起床時間だよ!」トントン



    コニー「おいおい・・・お前には俺たちの今週分の肉が掛かってんだぞ! 起きろよ!」ユサユサ



    シディアス「んん・・・・んぅん? ・・・・・・なんだコニー,もう朝か?」目コスリ



    アルミン「もうすぐ朝ごはんだよ,早くしないと食べられなくなるよ?」



    シディアス「あ―・・・昨日はちょっと興奮しすぎたな・・・・・」セノビ



    マルコ「興奮って・・・寝る前に何かしてたの?」



    シディアス「ちょっとな・・・」キガエ





    ライナー「まぁ・・・この年にはままある事だ,あまり突っ込まないでいてやろうぜ?」

    ベルトルト「う,うん・・・(あ,察し)」



    シディアス「・・・? 何か誤解されたような空気が・・・」


    マルコ「じゃ,じゃあ先に行ってるよ! 急いだ方がいいよ!」

    バタン



    シディアス「・・・? なんだあいつら・・・・・・って,もう鐘が鳴ってやがる!やべえ」ゴソゴソ





  63. 66 : : 2017/03/13(月) 21:14:21


    ――――食堂

    ワイワイ ガヤガヤ

    ミカサ「アルミン,おはよう。 ・・・・・シディアスは?」



    アルミン「おはようミカサ。シディアスは遅れてる。寝不足みたい。」



    ジャン「よ, ようミカサ! いい朝「シディアスが寝坊とは珍しい・・・

    もうすぐ配膳が終わる,アルミンもとって来た方がいい」


    アルミン「あ,ああ。 そうするよ・・・」スタスタ





    ジャン「――――」


    ミカサ「・・・? 何をしているの,ジャン?」



    ジャン「―――ハッ, いや,別に・・・」



    ミカサ「そう・・・シディアスはどうかしたの?」



    ジャン「い,いやあ俺には分からないなぁ・・・。

    全くだらしねえ奴だよあいt「分かった,もういい」――――ア,ソウスカ・・・」

    トボトボ






    ガヤガヤ

    サシャ「皆さんお早うございます,パン下さい!」シュバ


    ジャン「・・・・やらねーよ,こっち来んな芋女!」



    サシャ「――――あれ? シディアスはどうしたんです?」キョロキョロ



    コニー「シディアスなら寝坊して遅れてるぜ? 起きるのが遅くて先に来ちまった」



    サシャ「それは珍しいですね。アニみたいに散歩でもしてたんでしょうか?」



    ベルトルト「アニがどうかしたかい?」



    サシャ「昨日消灯後に眠れなくて散歩に行ってたらしいです。クリスタが言ってましたよ」




    ベルトルト「・・・・偶然かな」


    ライナー「・・・・まさかな」





    ・・・・・・ バタ バタ バタ―――バタン!

    シディアス「おい,飯はまだ残ってるか!?」



    サシャ「あ,おはようございます,シディアス」



    アルミン「もう遅いよ。 配膳係が片付けちゃったよ・・・」



    シディアス「マジでか!? あ――・・・ しくじった・・・朝から飯抜きかよ」ガッカリ




    ジャン「―――へ,ざまあねえな 」






    アルミン「しょうがないなぁ・・・ちょっと僕の分をあげるよ」



    ミカサ「空腹だと集中力が乱れて危ない・・・私のも分けるよう」



    シディアス「すまねえ・・・2人とも」






    ジャン「ッチ」イライラ









    サシャ「あのう―――」



    シディアス「ん? どうしたサシャ?」



    サシャ「シ, シディアスが欲しいのでしたら,私のパァンも」プルプルプル



    シディアス「・・・いや,気持ちだけ受け取っとく。ありがとな」ニガワライ







  64. 67 : : 2017/03/13(月) 21:29:44

    ミーナ「最近シディアスとあの三人,仲がいいねえ」



    ユミル「芋女が飯を譲るたぁ,たまげたな。明日は雪でも降るのか?」



    クリスタ「・・・・・」ガタ


    ユミル「おい,クリスタ?」


    クリスタ(私の分もあげよう―――)トテトテ




    クリスタ「ねえシディ「ちょっと」




    シディアス「ん・・・? よおアニ! おはよう! 昨日は眠れたか?」テ フリフリ



    アニ「おかげ様でね・・・・ これ,あんたの分」ス・・・


    ―――――――ザワ!!――――――――



    シディアス「え!? まさか・・・ 取っといてくれたのか!?」



    アニ「今日は私が当番だったから,あんたが取りに来てなかったのに気づいてね・・・

    今日から教えてやるって言ったろ? フラフラの状態でやって怪我されたらこっちも困るんだよ」



    シディアス「すまねえ・・・恩に着るよ! ありがとな!」



    アニ「別に・・・」





    シディアス「まぁ・・・そんなわけで3人とも,無事に飯にありつけるようなんで安心してくれ」



    アルミン「う,うん・・・・・(まさかあのアニが・・・)」



    サシャ「良かったですね,一日の食事は朝が一番肝心なんですよ?」



    ミカサ「そう・・・・・・アニ」



    アニ「なに?」



    ミカサ「シディアスが迷惑をかけた・・・でも次からはちゃんと注意させるので心配いらないから」

    シディアス「だから,なんでお前はいちいち俺の面倒を見たがる?」



    アニ「・・・そうかい。邪魔したね」クル



    シディアス「あ―――おいアニ! 格闘訓練はよろしくな! また後でな!」



    アニ「フン, さっさと食いなよ・・・・」スタスタ






  65. 68 : : 2017/03/15(水) 10:17:51
    期待
  66. 69 : : 2017/03/15(水) 18:34:31

    シディアス「さーて,早く食わねえとな!」ガタ


    アルミン「ねえシディアス,昨日もしかしてアニと逢ってたの・・・?」


    シディアス「うん? まぁな。」モグモグ


    ライナー「いったい何があったんだ? あいつが人に世話を焼くなんて初めて見たぞ?」


    シディアス「まぁ色々とな。 いやぁ,あいつ思ったよりも良い奴だったんでついつい話しすぎちまってよ~」ゴクゴク


    ベルトルト(・・・最近格闘訓練でアニと組んでた時は,お世辞にも言い雰囲気じゃなかったのに,どうしたんだろ?)











    スタスタ

    クリスタ「・・・・・」ガタン


    ユミル「・・・・・そんなにあいつのことが気になるのか?」


    クリスタ「ッ! 別に,そんなんじゃないよ・・・」アセ


    ユミル「はぁ・・・パンを口実にしなくたって,堂々と話しかけりゃいいじゃねえか?

    腹立たしい限りだが,いつもにこにこ笑って挨拶するみてえに話しかけりゃ小躍りするだろうさ・・・」ケッ

    ユミル「それにしても・・・・まさか私の天使があんな女たらしの毒牙に・・・・・・」イジイジ


    クリスタ「だから,ユミルが考えているようなことはないってば・・・」









    ガヤガヤ

    ミカサ「・・・・・・」ジー


    サシャ「おや ミカサ,食が進んでいませんね?なんなら手伝いますよ?」モゴモゴ







    シディアス「それでよ,今日から「シディアス」――――ッ! ・・・・やな予感。なんだミカサ?」


    ミカサ「―――――今日寝坊したのは昨日の夜にアニと逢っていたから?」ジッ



  67. 70 : : 2017/03/16(木) 00:39:44
    きたい!
  68. 71 : : 2017/03/16(木) 06:12:42

    シディアス「・・・そうだけど? それがどうした?」



    ミカサ「消灯後に出歩いて教官に見つかったら罰則を受ける。

    ましてや女子と一緒なんて・・・間違いでも起きたら兵団を追い出されかねない。

    今度から止めるべき」



    シディアス「バレてねえんだから良いじゃねえか・・・」



    ミカサ「良くはない。今回バレなかったとしても次にそうならないとも限らない。

    第一今日みたいに寝坊して訓練に支障がでたらあなただって困るはず。」




    シディアス「・・・・・」イラ



    ミカサ「それに「あのさぁ・・・・」



    シディアス「お前にいちいち行動を制限される謂れはねえんだよ。

    どうしようが俺の勝手じゃねえか!」



    ミカサ「わ,私は友達としてあなたのために・・・」オロオロ



    シディアス「友達ならもっと距離感ていうのを考えろよ!

    俺達は他人だ,他人に私生活に口出しされてりゃ息が詰まるんだよ!」



    ミカサ「私はそんなつもりは「なぁミカサ・・・」






    シディアス「俺はお前やアルミンの幼馴染とやらとは違うんだよ・・・・

    俺を替わりにされても困るんだ・・・・俺はシディアスだ。





    ―――いい加減俺とそいつを重ねて見るのは止めろ」


    アルミン「・・・・・」




    ツゥ―――

    ミカサ「・・・・・・・・・・・・・・・・そうだった,ごめんなさい・・・・」ポロポロ

    ミカサ「・・・・・・先に行ってる」ガタ

    タ タ タ タ



  69. 72 : : 2017/03/16(木) 06:14:13

    シン――――

    シディアス「はぁ・・・・ほらさっさと食うぞ」




    マルコ「・・・ミカサが泣くなんて,初めて見るよ」


    ジャン「――――ッ! おい白髪野郎・・・ テメエなにミカサを泣かせてんだ!? ふざけんな!!」ガタン



    シディアス「ハァ―― いい加減ゆっくり飯を食わせてくれよ・・・」



    ジャン「うるせぇ!! 飯なんかどうでもいいだろ! 一発殴らせろ!」グイ



    シディアス「おまえは何が不満なんだ? 俺はただ忠告しただけだ・・・・・

    いつまでも俺にベタベタしてりゃ,お互いのためにならねえだろが・・・・」ムナグラツカマレ



    ジャン「・・・・なんだと?」ギリ



    シディアス「なんならお前が味わってみろよ。

    四六時中行動を監視されて,隣から口出しされてりゃ,流石に我慢にも限界があんだよ・・・」



    ジャン「~~~~~!!!」プルプル

    ジャン「なんだそりゃ!!? 羨まし過ぎだろが!!!!」ブン



    シディアス「・・・・・・」イラ

    シディアス(――――――試してみるか)ケリ


    ゲシ! ガタンッ!!

    ジャン「うぐえ!!」






    アニ「―――! (あれは・・・)」





    ガシ

    シディアス「周りに当り散らすのはやめろよ・・・見ていて見苦しいぞ」ウデヒシギ


    ジャン「ぐああ!!」ギリギリ


    シディアス「お前が何に不満があるのか知らねえが・・・はっきりいって迷惑だ」ギシイ



    ジャン「あがぁあああ!!」






  70. 73 : : 2017/03/16(木) 06:24:45


    シディアス「・・・・・・・止めだ」パ


    ジャン「かは ――――ッ!!」




    ジャン「ゼェ――, ゼェ――……てめえ・・・今何しやがった!?」



    シディアス「お前が適当に流している間に,自分で痛い思いをして身に着けた格闘術だ。

    残念だったなぁ,今俺が暴漢でお前が憲兵だったなら,2階級は特進出来てたのによ?」



    ジャン「てめえ―――ッ!」グ…




    「――――感情任せに動いていて,兵士が務まるのか?」


    シディアス「自分の今の実力も弁えず,無駄に噛み付いて・・・・現実を見ているとまだ言えるのか?」











    ガチャ

    訓練兵「「「「「「――――!!」」」」」




    キィイ・・・





    キース「――――今しがた大きな音が聞こえたが・・・・何かあったのか?」




    シーン




    シディアス(挙手)「キルシュタインが喉に飯を詰まらせたので吐き出させてた音です」ス


    ジャン「な!・・・てめえッ」




    キース「貴様か・・・少しは落着きを身に着けろ」

    キィイイ・・・ガチャン




  71. 74 : : 2017/03/16(木) 20:48:38
    シディアスちょっときついな
    さすがにミカサかわいそう
  72. 75 : : 2017/03/17(金) 00:12:33

    ガタ
    シディアス「・・・さて,最初は座学だったな。早く食っちまわねえと」モグモグ




    マルコ「ジャン・・・もういいだろ。早く食事を済まそう」


    ジャン「ッ!―――ああ・・・分かったよ」スタスタ




    シディアス「・・・・」モグモグ


    アルミン「・・・・」






    シディアス「・・・・・・言い過ぎたのは認める」


    アルミン「・・・シディアスの言ったことは間違っていないよ,いつか折り合いをつけなきゃ,

    ミカサはきっとダメになっていたと思うから・・・・・・納得はしていないけどね」





    アルミン「きっとミカサにとってエレンは,失った居場所を与えてくれた最後の砦だったんだ・・・・



    ――――目の前でエレンを失うまでは―――」










    ――――洗面所

    ミカサ「グス… グスン…」


    (彼の言うとおりだ・・・・・・・私はシディアスじゃなく,エレンの影しか見てなかった・・・・・)



    (シディアスをあなたの替わりにして・・・・忘れようとしてた)



    (もう逃げないと決めたのに・・・・・また逃げようとしてた)



    ――――――
    ――――
    ――

  73. 76 : : 2017/03/17(金) 01:14:06

    ―――――――845年 シガンシナ区

    グリシャ「―――それじゃあ行ってくる。ミカサ,エレン,ちゃんと母さんの言うことを聞くんだぞ?」



    ミカサ「はい,おじさん」



    エレン「約束だからな父さん! 帰ったら絶対に地下室を見せてくれよ!?」



    グリシャ「・・・・・・ああ,約束だ」

    バタン


    ――――台所

    ジャー ガチャガチャ
    カルラ「・・・エレン? さっき言ってた調査兵団の話,母さんは認めていないからね。
    自分から壁の外へ出て,無意味に死ぬなんて・・・」ブツブツ



    エレン「―――じゃあアルミンのおじさんたちが死んだのも無意味だっていうのかよ・・・」



    カルラ「―――そうじゃない,これとアルレルトさんたちのこととは関係な「同じことだろ!!」



    エレン「巨人を怖がって,こんな狭い壁の中で家畜みたいな一生を過ごして,

    それが普通のことなら俺は普通なんて嫌だ! どうして不自由でいることが普通なのさ!?」



    エレン「自由を求めて巨人に立ち向かって巨人に立ち向かう事が,何で間違ってるっていうのさ!?」ガタン



    カルラ「どこへいくの,エレン!」



    エレン「アルミンのとこ!」バタン タッタッタ…










    ミカサ「・・・・」ガタ


  74. 77 : : 2017/03/17(金) 01:20:05

    カルラ「ミカサ?」



    ミカサ「晩御飯までにエレンを連れてきます」



    カルラ「ミカサ・・・・もしものことがあった時はエレンと一緒にいてあげてね?」



    ミカサ「・・・・? うん」



    カルラ「あの子は向う見ずなところがあるから,

    ミカサが隣で見ていてくれればおばさんも安心だから。 おねがいね?」ス…



    ミカサ「はい,おばさん。エレンは私が守るから」ユビキリ







    「約束よ」

















    ――――――――そんな・・・あの壁は50mだぞ!?――――――――――

    ―――――――――――速く逃げろ! 巨人が入ってくる!!

    ―――――まさか・・・・あっちの方向は!?―――――――――

    「待って! エレン!」











    ―――――――――速く逃げるのよ! ミカサ! エレン!

    ――――嫌だ! 母さんを置いていくもんか!!

    「おばさん! もう少しだから!」












    ―――――――――ハンネスさん,2人を連れて逃げて!

    生き延びるのよエレン! ミカサ,約束よ! エレンをお願い―――――――――





  75. 78 : : 2017/03/17(金) 01:24:08

    ズシン





    「やめて・・・」ゾク




    ガシ





    「もう奪わないで・・・・・」



    ―――――――やめろぉ!!!――――――――――



    「・・・・・・お母さ [ガブリ]




















    ――――――――放せ!! はなせええええええええええええええ!!!―――――――

    ―――――――――――よせエレン! 暴れるな!――――――――――

    ――――――――――ころしてやる!!!!!―――――








    ――――――――――――エレン!! 行くな!!戻ってこい!!!!―――――――――

    ―――――――駆逐してやる!!ぶっ殺してやる!!!!―――――――

    「やだ・・・・行っちゃダメ!」
























    ――――――――――くたばr[ボゴォ!!!!!]

    ―――――――――――エレェェエエエン!!!!!!――――――――

    「いや・・・・・」























    ――――――――ミカサ,このまま真っすぐ走るんだ!! 待ってろエレン!!―――――

    「やだ・・・エレンが・・・・・・・」

    ガシ

    ―――――――くそぉ!! そいつを返しやがれえ!!!――――――――

















    ――――――――よせ!! やめろおおおおお!!!!―――――



















    ガブゥ!! ボトボト
















    ハンネス「―――済まねえミカサ・・・・弱い俺を,赦してくれ・・・・・」ブルブル



    ミカサ(アオザメ)「・・・これは,なに?」



    ハンネス「たったこれだけしか,連れてきてやれなかったんだ・・・」ガク








    ゴト…




    ミカサ「・・・・約束,したの・・・・・守るって,おばさんとゆびきりして・・・・・」ガタガタ



    ハンネス「くそぉ・・・・・・

    ――――――――――――――――――クソオオオオオオオオ!!!!!!!!!!」



















    ―――――――避難船

    ミカサ「――――」

    ハンネス「・・・・・・・・」



    ワー ワー


    「ミカサ!ハンネスさん!」




    アルミン「良かった,避難してたんだね―――――――ッ!

    ・・・・・ミカサ・・・・その手・・・・・・・」



    アルミン(アオザメ)「ハンネスさん・・・・エレンは・・・・・・? 一緒に逃げてきたんでしょ?」



    ハンネス「・・・・・・・・・アルミン」






    アルミン「まさか・・・・・これがエレンなの?」ガク…



    ハンネス「―――――――ッ! ・・・面目ねえ・・・・・・・めんぼくねえぇェェ・・・・・・・・」シクシク









    ミカサ「・・・・私がエレンを守らなかった所為だ」

    「私がエレンとおばさんを置いて逃げたから,エレンは居なくなった」

    「私が逃げたせいで,おばさんとの約束を守れなかった」


  76. 79 : : 2017/03/17(金) 01:51:32

    ――――――ウォールマリア ゲート付近

    ハンネス「――――」

    ミカサ「――――」

    アルミン「――――」





    ドォオオン… ゴロゴロ…



    ハンネス「ッ!! 何だ!?」バッ

    アルミン「・・・雷?」

    ミカサ「・・・・」




    ドン… ドン… ドォン! ドドォン!

    「なんだコイツ!? 固定砲が効かないぞ!!」

    「まずい! 城門をすぐに閉鎖しろ!!」

    「うわぁああ!! 退避! 退避ッ―――




    ゴガォオォォオォオン…







    アルミン「・・・・あれは」

    ミカサ「―――――」






    鎧の巨人「コォオォォオ」ズゥン… ズゥン…






    ハンネス「マリアが破られた・・・・」


    難民「もうお終いだ・・・・」


    難民「食われる・・・ 人類は奴らに食い尽くされるんだ」

    ウワァアアアアア! キャアアア!









    ――――――――これ・・・やるよ。暖かいだろ・・・―――――――

    ―――――――ほら帰ろうぜ。俺たちの家に—―――――――

    ―――――――――駆逐してやるッ!!――――――――



    ミカサ(・・・・・・この世界は残酷なんだ)

    (お母さんもお父さんも死んだ・・・・・カルラおばさんも死んだ・・・・・エレンもいなくなった)

    (逃げても逃げても,この世界は私の大切なものを奪おうと追いかけてくる)




  77. 80 : : 2017/03/17(金) 21:06:07

    ミカサ「―――逃げるもんか」




    アルミン「・・・・ミカサ?」




    ミカサ「もう,逃げるもんか・・・・・・今度は私がお前達から全て奪い尽くしてやる 」ギリィ…







    ミカサ「私が・・・・・必ず報いを受けさせてやる・・・・・・・・・」ミシィ…





    ―――――――――
    ―――――
    ――




    アルミン「・・・・・ミカサはあの時,本当に絶望しきってた。


    それほどエレンはミカサの心の拠り所だったんだと思う・・・


    巨人への憎しみに支えられてなければ,きっとここまでやって来れなかった・・・」





    アルミン「みんなはミカサを,何でもできる強い人だと思っているけど・・・・・そうじゃないんだ


    本当は人一倍孤独に弱い娘なんだ。 それを無理に抑え込んでいるだけで・・・・・

    でも,このままじゃ,きっといつか擦り切れて壊れてしまう」






    アルミン「君にミカサを受け入れてくれ,なんて言うつもりはないよ・・・

    でも,少しでもいいからミカサを理解していてほしいんだ。




    君の中のエレンの面影に縋ってしまうほどに,ミカサは追い詰められていたんだ」






  78. 81 : : 2017/03/18(土) 11:41:01




    シディアス「――――たとえまやかしに過ぎない物でも,縋らずにはいられないことがある・・・・か」


    シディアス「ハァ・・・・全く難儀な友人を持ったもんだな,俺も・・・」






    シディアス「何度も言ってるが・・・俺はシディアスだ。エレンじゃない」



    アルミン「ああ・・・・分かってるよ」



    シディアス「あいつの家族や幼馴染の真似事なんざ出来やしないし,それをする積もりもねえ。」



    アルミン「・・・・そうだね」







    シディアス「――――だから俺は俺のやり方でしか,あいつを助けてやれねえ。」


    アルミン「え?」



    シディアス「面倒くせえけど,女の子を泣かせちまったままほっとくのは,

    何とも罪悪感が苦しいからな。ご機嫌取りくらいするさ。」



    アルミン「シディアス・・・・」




  79. 82 : : 2017/03/18(土) 21:55:47


    ――――座学

    教官「~~~~~,~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~~~」







    ミカサ「・・・・・・・」ガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリ



    シディアス「(とは言ったものの・・・・)」カキカキ















    座席
    窓|| ミカサ サシャ クリスタ ユミル >>>>>>> アルミン シディアス ||壁






    アルミン「・・・・・(ミカサの方から距離を取ってくるなんて・・・よっぽど堪えたんだろな)」


    サシャ「・・・・・(ミカサから漂ってくる重い空気のせいで話が解からないのに眠くなれません)」


    クリスタ「・・・・・(どうしよう,何か言ってあげたほうがいいかな・・・)」


    ユミル「・・・・・(あの白髪野郎に突き放されてから,ミカサがこっちに来てやがる)」









    カーン カーン カーン

    教官「今日はここまでだ。信煙弾の種類と伝達内容について復習しておくように,解散!」



    訓練兵「「「「「「ハッ!」」」」」」」

    ガタ ガタタ…




    ザワザワ ガヤガヤ

    ミカサ「・・・・」スタスタ



    シディアス「おい! ミカサ!」




    ミカサ「」ピタ


    シディアス「さっきの「ごめんなさい,次の準備がある」

    スタスタスタスタ



    シディアス「・・・・・」






    シディアス「・・・あいつもしかして怒ってるのか?」



    アルミン「顔を合わせづらいのかも・・・・夕方まで時間をおいてみたら?

    僕もミカサと組んでフォオローしてみるからさ・・・」



    シディアス「・・・頼む」




    ―――――対人格闘訓練

    シディアス(ま・・・夕方まではとりあえず訓練に集中してるか・・・・・・)








  80. 83 : : 2017/03/19(日) 11:54:44


    シディアス「それじゃあアニ,宜しくな!」



    アニ「じゃ・・・始めるよ。 最初はあんたがならず者役ね」



    シディアス「なんだ? 技を教えてくれるんじゃないのか?」



    アニ「こういうのはまず自分で喰らってみて効果を実感した方がいい。

    さっきあんたがジャンに仕掛けた技,私が掛けたのを再現してみたんだろ?

    あんたには実践形式のがいいと思ってね・・・」



    シディアス「ふーん,そうか・・・そういやさっきの技見てたんだろ?

    見よう見まねだけどどうだった? 上手く極まっただろ?」



    アニ「まぁ,筋は悪くなかった。でも,あの程度で満足するようじゃまだまだだね」



    シディアス「そいつぁ手厳しい・・・んじゃ,始めるか!」ザッ…



    アニ「カンニングはやめときなよ・・・・・教える意味がないから」ジリ…




    ―――――――――




    シディアス「――――――ッ」ダッ ブン

    アニ「・・・・」スス…





    ―――――ガシ






    シディアス「・・・・・・」



    アニ「こうやって相手が得物で突いて来たら,利き足の反対を斜めに出して体軸をずらすんだ・・・

    そうすればこっちが動くまでもなく懐に入り込める」



    シディアス「なるほど・・・合理的だ――――な!!」グン!

    ガキ!

    シディアス「――――ッ, ・・・やっぱダメだったか」



    アニ「・・・・・ここまで接近したら得物に頼るのはあきらめな。

    こうやってくっついていればあんたの次の手くらい,力の入り方で簡単に読める・・・・・・・・・

    ――――――――カンニングに頼るまでもなく,ね・・・・・」ボソ


    グウン!

    シディアス「うぉ!」


    アニ「フン!」




    ドサァ!




    アニ「・・・・だからこうやって体勢を崩して倒す方が無難だよ」ガシ

    ナイフ→喉元




    シディアス(仰向け)「・・・・・・・・・よーく理解できたぜ」



    アニ「じゃ・・・次はあんたが取り押さえる番だ」





  81. 84 : : 2017/03/20(月) 00:18:14

    サシャ「むむ? 珍しくシディアスが倒されてますね・・・・」



    コニー「お? 本当だ! なんか今日はアニのやつも楽しそうだな!」








    ユミル「はぁ・・・・昨日までだったらクリスタに抱き着いて撫で回せてたのによ~~・・・」



    アルミン「・・・・・・」



    ユミル「あの女たらし白髪野郎のせいで,

    クリスタがミカサに付きっきりだ・・・・・この鬱憤を何処にぶつければいいと思う?




    ―――――――なぁ? 教えてくれよ,アルミン・・・・」指ポキパキ



    アルミン (ミカサの前に僕が擦り切れちゃう・・・・・・女神様・・・・)






    クリスタ「えい! 」つ木剣

    ミカサ「・・・・」スカ グン!

    ドサ…

    クリスタ「また負けちゃった・・・」



    ミカサ「クリスタは急所ばかり狙いすぎ・・・・ワンパターンな戦法では私でなくても見破られる」



    クリスタ「そっか・・・じゃあ攻め方を変えてみるね! 次はミカサがならず者役をお願い」



    ミカサ「分かった」










    ドサァ!

    マルコ「グフ!」



    ジャン「ハァ, ハァ, 次の奴はどいつだ!? かかってこい!」キッ



    マルコ「ジャン・・・飛ばしすぎだよ,少しペースを落とそうよ」



    ジャン「これぐらいで音を上げてられっか!? トーマス! さっさときやがれ!!」



    トーマス「お,おう! いくぞぉ!!」ゲシ!

    ジャン「ク! ・・・・・・まだまだぁ!!」ガス! ガシィ!




    ジャン(ふざけやがって! 自分がどれだけ想われてるかも解からねえクセに,

    何でもお見通しなツラしやがる!!)









    ――――――2時間前 朝食後

    ジャン(ミカサは確かこっちに来たはず・・・・・)キョロキョロ


    スン―――スン―――…


    ジャン(――――居た!)



    ジャン「よ,よぉ・・・・奇遇だな,ミカサ・・・・・」



    ミカサ「・・・・・・ジャン?」グスン…



    ジャン「次は座学だ,遅れないうちに移動した方がいいぜ?(別に変なセリフじゃないよな?)」



    ミカサ「そう・・・わざわざありがとう。もう行く」目ゴシゴシ





    ジャン「(言え! 今こそ言うんだ俺!) あのさぁミカサ! も,もし辛いなら・・・


    ――――いつだって俺が胸を貸すぜ?」


    ジャン(言えた!)



  82. 85 : : 2017/03/23(木) 22:39:15

    ミカサ「・・・・・・・・・」




    ジャン(・・・・)ドキドキ




    ミカサ「ジャン――――





    私は誰にも縋る気はない・・・・気遣いは受け取っておく」




    ジャン「・・・・・何でだよ」




    ミカサ「じゃ,もういく」スタスタ






    ジャン「逃げたっていいじゃねえか! 誰だって自分だけでやっていけねえ時くらいあるだろ!? 」




    ミカサ「・・・・・・・・」ピタ




    ジャン「俺はお前を支えてやれる! アイツみたいに鬱陶しがってお前を突き放したりはしねえ!」


    ジャン「あんな奴に突き放されたくらいで,意固地にならなくたって良いだろ!?


    もっと楽になったっていいじゃねえか!


    俺を・・・頼ってくれよ・・・・・」






    ミカサ「―――」






    ジャン「・・・あんな奴じゃなくて・・・俺をさ・・・・・」






    ミカサ「あなたが何故彼を嫌うのか理解はできないけど,これだけ言わせてもらう。

    彼の言ったことは間違っていないし,私もそれに納得している」





    ミカサ「私は大切な人に縋ってばかりいたせいで,結局その人を失ってしまった・・・・・・

    そして今度はシディアスに縋って彼を失うところだったかもしれない」






    ミカサ「大切な人を失わないためには,縋っていてはいけない・・・・

    シディアスが言った通り,私は今まで彼を通して別の人の影を追って,縋ろうとしていた。



    でも,さっき彼が言ってくれたおかげでそれに気付けた」






    ジャン「・・・・・・・」






    ミカサ「私に必要なのは強くなることで,逃げ場所じゃない。

    あなたが私のために力になりたいというのなら―――


    私のことで彼を責めたりしないでほしい」クル






    ザ ザ ザ…






    ジャン「―――」







  83. 86 : : 2017/03/23(木) 22:44:26

    ――――――――
    ―――――-
    ―――



    ジャン(ああそうさ! 俺は気に入らねえからって当り散らしてばかりの餓鬼だ!

    お前と俺の実力差なんざ嫌というほど理解している!

    悔しいが・・・・ミカサの目はアイツばかり見ていて,

    俺のことなんか鼻にも掛けちゃくれねえ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・けどな!!)






    ジャン「オラアア!!」ブウン



    トーマス「ゴフウ!」ドシャア!







    ジャン(惚れた女の子を泣かせるようなやつなんかに,引き下がってたまるか!!!)







  84. 87 : : 2017/03/27(月) 08:22:18


    ツギダ! モット ツヨイヤツハイネエカ!? ~~~~~~ ~~~~




    シディアス「・・・・・なんだアイツ?

    いつもサボってたくせに今日はやけに真面目だな・・・マルコみたいに自覚を持ちはじめたのか?」



    アニ「・・・・・・別に訓練に真面目になったわけじゃない,あんたに一泡吹かせてやるためにやってるんだ」



    シディアス「ほぉ~・・・。わざわざ実験台になってくれるとは・・・こっちもしっかり技を覚えねえとな」



    アニ「・・・・ところで,さっきミカサとずいぶん険悪だったみたいだけど?」



    シディアス「ああ・・・ちょっと気まずくなっててな・・・・そのうち仲直りするから,まぁ気にしないでくれ」



    アニ「・・・・・・・」



    シディアス「それより,また練習してくれ。 今度はさっきより上手く掛けてやるからよ!」



    アニ「フ・・・・・じゃあ来なよ」ス





  85. 88 : : 2017/03/27(月) 09:33:42

    イクゾォッ! ガシ ガキ ウワア! ドサ クソ、 マダマダァ!





    ミカサ「・・・・・・」ジー






    クリスタ「・・・ミカサ? 大丈夫?」



    ミカサ「―――ハッ」



    ミカサ「なんでもない・・・・ちょっと気が散っていた。 続けよう」



    クリスタ「うん・・・・・」








    ――――昼休憩

    クリスタ「・・・結局一本も取れなかった」



    ミカサ「クリスタは力比べには向いていないと思う。 スピードや技で攻める方が合っていると思う」



    クリスタ「うーん・・・アニやシディアスに習ってみようかな?」



    ミカサ「・・・それもいいと思う」



    ザッ ザッ ザッ

    「――――――おいミカサ」




    ミカサ「・・・・・・」



    クリスタ「あ・・・」







    シディアス「・・・・いい加減仲直りしようぜ」



    ミカサ「・・・・・」



    シディアス「朝のことは俺の方も言い過ぎたと思う。すまなかった。

    だからいい加減俺を避けるのはやめろ」



    ミカサ「・・・・・」



    シディアス「距離感を考えろとは言ったけどな,だからって絶縁することはねえだろ?

    アルミンにも気を遣わせっぱなしだし,ここらで終わりにしようぜ」



    ミカサ「・・・・・」


    ミカサ「朝のことは・・・・・私があなたに馴れ馴れしくし過ぎたのが原因。

    むしろ私があなたに謝って然るべきだ」




    シディアス「だったら「ので―――」





    ミカサ「・・・しばらく距離を置かせてもらう」



    シディアス「・・・・仲直りする気はねえと?」



    ミカサ「そうではない・・・・そうしないと私のためにならないから,今は近くにいない方がいい」

    「仲直りはする・・・・けど,これとそれは別の問題なのでシディアスは気にしないでほしい」




    シディアス「・・・・・・」

    ミカサ「・・・・・」




    シディアス「――――そうかい,そいつはお邪魔だったな」

    ザッ ザッ ザッ







    クリスタ「・・・・・ ミカサ,いいの?」



    ミカサ「いい・・・・でないと,私はまた失ってしまうから」






  86. 89 : : 2017/03/27(月) 19:42:05


    ザッ ザッ ザッ

    シディアス「よっこらせ」スワリ



    アルミン「・・・どうだった?」



    シディアス「とりあえず仲直りはした・・・のか?」



    アルミン「のか?って・・・・謝ったんでしょ? ミカサはなんて言ったの?」



    シディアス「仲直りとは別に,しばらく俺と距離を置きたいってさ。

    向こうがそう言ってきたんだし,引き下がったよ」



    アルミン「そっか・・・・ミカサなりに自分で整理しようとしているのかもしれない・・・・」



    シディアス「整理? ・・・・そうえば,馴れ馴れしくし過ぎたとか自分のためにならないとか言ってたな」



    アルミン「・・・・・訓練所に来る前,ミカサはエレンを失った悲しみを

    巨人への憎しみで打ち消そうとしていたけど・・・・僕には分かっていた。

    ミカサはただ上書きして表に出そうとしなかっただけで,本当は,ずっと・・・・・」



    シディアス「・・・・・」



    アルミン「夜になるといつもうなされていた・・・・

    寝言でエレンやカルラおばさんを呼びながら泣いて・・・・・僕にもどうにもできなくて・・・・」



    シディアス「そこまでか・・・・」



    アルミン「僕も今までミカサを支えようとしてきたし,これからもそうする。

    けど・・・・・ミカサを本当に救えたのは,エレンだけだったんだ。

    そして彼はもういない」



    シディアス「・・・・・」



    アルミン「それでもいつかはそれに向き合って,折り合いをつけなければいけない。

    ミカサはそれを今しようとしているんじゃないかな・・・・・」






    シディアス(今のあいつが,果たしてそれに耐えられるのかね・・・・・)







  87. 90 : : 2017/03/27(月) 22:45:45


    ―――――射撃訓練

    ダァン… ダァン… ダァン…




    シディアス「フ――――…」ガチャ バラバラ







    ライナー「相変わらずスゲーな・・・・もう俺には的のクロスが視えないぞ?」



    シディアス「よう。お前もまあまあじゃねえか。それだけ当てられりゃ,許容範囲内だと思うぜ」



    ライナー「俺とおまえの的の距離,少なく見ても5倍はあるように見えるが・・・」



    シディアス「まあな。けど,所詮それまでさ。巨人は大砲でも殺せねえらしいじゃねえか。

    こんなライフルで撃ったところで,それこそ豆鉄砲に過ぎねえよ。

    アニの言うところの,無意味なもんさ」

    チャッ チャッ チャッ ジャキ



    ライナー「皆はわりと感謝しているがな。特にサシャあたりはな・・・」






    シディアス「・・・・なぁ,ライナー。」スチャ





    ライナー「ん? なんだ?」





    シディアス「お前はもし,自分の大事なものを失くしちまって,

    それがもう二度と手に入らない物だったとして,どうやって乗り越える?」





    ライナー「なんだ? ミカサとは仲直りしたんじゃないのか?」





    シディアス「これとそれは関係ねえよ・・・・で,どうなんだ?

    お前ならどうやってその現実と折り合いをつける?」





    ライナー「そうだな・・・・・・・・・・・・・・

    ――――――自分にとって価値のある別のものを見つける,かな?」





    シディアス「代わりになる物をか? それで納得できるのか?」





    ライナー「代わりと思うから駄目なんじゃないか?

    無くしたものが気にならなくなるくらい素晴らしいものが,この世にないとも限らないだろ?

    そりゃあ,この世に同じものなんて二つとねえから,誰だって何かを失うと悲しむ」







    ライナー「けどな,そこで立ち止まるわけにもいかないだろ?」


    シディアス「・・・・・」







    ライナー「今は辛くても,このさき生きていけば,きっと失った悲しみを癒してくれる存在と出会える。

    そう信じれば力もわいてくる。皆そうして耐えていけるんじゃないかと・・・・・俺はそう信じる。」




    シディアス「・・・・そうか」











    ライナー「・・・もっとも,俺はすでにそれを見つけたからな。 単純に今のは経験則だ」


  88. 91 : : 2017/03/27(月) 23:03:11

    シディアス「はぁ? ・・・・またお前の”女神様”とやらか?」





    ライナー「もちろんだ!

    クリスタを見たとき・・・俺の今までの人生は全て,彼女と出会うために在ったんだ,と確信した・・・・」ウットリ






    シディアス「お前・・・将来ロリコンとかになるんじゃねえぞ?」ヒキ






    ライナー「何を言う!? 俺がクリスタにそんな邪な考えを持つわけないだろう!

    彼女はいうなれば,そう天使! 何人も手を触れてはいけない神聖にして侵されざるものだ!!」






    ???「そのとおりだ!」



    シディアス「お?」

    ザッザッザッ





    ユミル「初めてお前に同意してやるよ,ライナー・・・」



    ライナー「ユミルか・・・」



    シディアス「お前から話しかけるなんて珍しいな・・・」






    ユミル「クリスタはこの世に降り立った私だけの天使だ・・・・

    何人たりとも汚ねえ手で触れさせはしねえ・・・・・特に身の程知らずのケダモノごときにはな・・・」ジロ…





    ライナー(こいつめ・・・同性という立場を利用して俺の女神に好き放題するうらやまけしからん女・・・・

    だがクリスタにレズなどという不毛な道を歩ませはしないぞ!)





    シディアス「―――それで,いつも一緒の女神さんはどうした?」





    ユミル「私のクリスタならミカサに着きっきりだよ・・・

    私のクリスタは泣いてる人をほっとけないイイ子なんでね。

    おかげで私はこうして独り寂しく訓練する羽目になっちまった」






    ライナー「そいつは残念だな。同情はする」



    シディアス「その,なんだ・・・まぁそのうちいい事があるさ」






    ユミル「惨めな私を慰めてくれるか・・・? そうかそうか,優しい仲間を持って幸せだ・・・・・









    ・・・・・・・・・・・・だからよぉ」スゥ…









    シディアス(嫌な予感がする・・・)


    ライナー(とばっちりに遭う前に逃げよう)ススス…





  89. 92 : : 2017/03/27(月) 23:12:39

    ユミル「クリスタを奪われた理不尽に対する私のこの憤りを解消するには・・・・









    ――――――こうなった原因をどうにかするべきじゃないかと思うんだ・・・」ゴゴゴゴゴ


    ――――――ジャキ――――――





    シディアス「ユミルさん? 訓練中に銃を人に向けるのは御法度だぞ?」





    ユミル「心配すんな・・・・・暴徒鎮圧用の木製弾だからよ。

    せいぜい骨が折れるだけで済むと思うから」ゴゴゴゴ





    シディアス「骨が折れたら”せいぜい”って問題では済まないとおもうぞ?」





    ユミル「うるせえ! この女たらし白髪野郎!!

    いい加減ミカサから私のクリスタを引き離させろ!!!」ドォン!




    シディアス「うぉわ!!」チューン…




    シディアス「本気で撃つやつがいるかバカ!!!」




    ユミル「やかましい!! ミカサや芋女ならまだしも,私のクリスタにまでッ! いっぺん死ね!!」ジャキ!




    シディアス「だから死ぬって! マジでやめろ!!」









  90. 93 : : 2017/03/28(火) 20:02:58

    ミカサ「・・・・・・」ジー




    ワー ワー ドォン… ギャー キャー ニゲンジャネエ! ソンナムチャナ!? ダレカユミルヲトメロオ!


    ミカサ「―――騒がしい」ゴト…





    クリスタ「あははは・・・・(ユミルったら・・・もう!)」





    サシャ「・・・・・・ミカサ,無理しない方がいいですよ?」





    ミカサ「無理などしていない。 自分のすべき事をしているだけ」





    サシャ「・・・・私にとってはミカサもシディアスも大切な友達ですから,

    出来ることがあれば何でも言ってくださいね?」





    ミカサ「・・・・・・・ありがとうサシャ」





  91. 94 : : 2017/03/29(水) 00:11:55

    ―――――馬術訓練

    教官「本日は4人一組で班を組み,訓練所から森林地帯までを往復する!

    本日から馬術訓練と立体起動を並行し,森林地帯に到着後,各班は所定の地点に集合後,

    立体起動に移行,森の中に隠されたチェッカーフラッグを班員分回収し,日没までに訓練所に帰還しろ!

    なお,日没までに訓練所に戻れなかった場合,その班はペナルティとして夕食を半分に減らす! 心してかかれ! 」





    ライナー班
    ライナー サシャ コニー アルミン

    ミカサ班
    ミカサ アニ シディアス ジャン

    マルコ班
    マルコ ベルトルト ユミル クリスタ 






    ライナー「俺の班はお前たちか」


    コニー「よろしくな!」


    サシャ「夕食が掛かっているんです!絶対に勝ちますよ!」


    アルミン「足手まといにならないよう頑張るよ」





    マルコ「僕とベルトルトで前列,ユミルとクリスタで後列の二列縦隊で移動,

    立体起動もこの組み合わせで行こうと思う。異存はない?」


    ベルトルト「成績を考えたら僕とマルコが一緒だと偏らないかい?」


    マルコ「僕もそう思ったけど,ユミルをクリスタから引き離すともっと危ないと思ってね」


    ユミル「良く解かってるじゃねーか」


    クリスタ「もう・・・ユミル,真面目に訓練してね!」


    ユミル「お前が傍にいてくれるなら私はいつだって大真面目でやるさ。ああ~・・・ようやく癒される」ギュー ワシャワシャ











    ミカサ「・・・・・」





    シディアス「よお! アニも同じ班だったのか。 よろしくな」



    アニ「ああ」





    ジャン「・・・・・ケッ(よりによってこいつとかよ・・・胸糞悪い)」




    ミカサ「・・・それじゃあ陣形を決めよう。希望はある?」




    ジャン「提案があるんだが,二人一組のペアを作ってやるのはどうだ?

    固まったりバラけ過ぎたりしたら却って動きづれーしよ」




    アニ「私はそれでいい」



    シディアス「俺も異議なしだ」




    ジャン「よし! (後はどうやってミカサと組むか「それじゃあ私とジャン,

    アニとシディアスで組もう」―――――へ?」



    ミカサ「この中では立体起動の実力は私が一番,次がジャンだ」


    ミカサ「―――ので,私とジャンで多めにフラッグを集めて保険にすれば,リスクは少ない」


    ミカサ「アニとシディアスは自分たちのペースで探している方がいいと思う」




    アニ「・・・あんたがそれでいいなら,私もその方が楽だし,構わないよ」




    シディアス「俺もだ。どうせ組むなら実力の近い同士の方がやり易いしな」




    ミカサ「ジャンは? 不満はある?」




    ジャン「いや,俺もそれでいい! よろしくな,ミカサ!!」




    ミカサ「よろしく」




    ジャン「(ヨッシャヨッシャ! 棚ボタとはいえまさかミカサの方から組んでくれるとは!!)」チラ



    シディアス「・・・ん?」





    ジャン「それじゃあお二人さん,逸れねえようにしっかりくっ付いてた方がいいぜ?」ニヤニヤ


    ジャン(お前はその強面女とよろしくやってな!)




    シディアス「? ・・・ああ,そうする」



    アニ「・・・・」





    ミカサ「・・・・・それじゃあ準備を始めよう」


  92. 95 : : 2017/03/29(水) 09:05:21

    ――――街道

    ドドドドド



    シディアス「あの二人,こっちのことはお構いなしだな・・・・・・・アニは疲れてないか?」



    アニ「平気だよ。あんたは?」



    シディアス「まだまだ余裕さ。でも森まで行ったらこいつ等を休ませないとな」サスサス

    馬「ブルル・・・」



    アニ「あんた,馬術も初日から割と上手にこなしてたけど,それもフォースとやらのおかげ?」



    シディアス「さーてね・・・なんのことやら分からんな」



    アニ「・・・初端から馬に乗れたのはあんたの他はミカサとクリスタくらいだった。

    あんたは動物とも話せるの?」



    シディアス「ネタバレはもう無しだって言っただろ。・・・まぁ,多少説得はしたがな。

    結局最後にものをいうのは誠意だよ誠意!」







    アニ「――――良かったのかい?」



    シディアス「何が?」



    アニ「私じゃなくミカサと組みたかったんじゃないの?」



    シディアス「・・・・向こうから距離を置きたいって言ってきたんだ,

    それでも食い下がるのは野暮だろ?」



    アニ「・・・じゃあ,私と組むのは渋々だったと?」ジロ



    シディアス「嫌だなんて一言も言ってねえだろ・・・・お前ってそんな面倒な奴だったか?」



    アニ「フ・・・・からかっただけさ。あんたが動揺するのが面白くてね」



    シディアス「・・・なんか意外だな。お前でもからかったりとかするんだな」



    アニ「あんたはもう少し女の子について勉強しな・・・あんたのトラブルの原因は大概そればかりだよ」



    シディアス「忠告ありがとよ・・・」








    ミカサ「・・・・・・」パカラ パカラ

  93. 96 : : 2017/04/01(土) 23:22:24




    ジャン「・・・・・・・・・」パカラ パカラ


    ジャン(一緒になったはいいが・・・会話が全然ねえ)


    ジャン(考えてみりゃ,さっき一度フラれた様なもんだからなあ・・・・

    だがこうして傍にい続けてりゃ,いつかミカサも心を開いてくれるかもしれないしな)チラ





    ミカサ馬「ブルル, ゴフゥー,ゴフゥー, ブルヒン」ゼェ ゼェ


    ジャン「・・・って,おいミカサ! 馬がへばり始めてるぞ!?」



    ミカサ「ハッ――――!!」



    ジャン「ちょっとペースを落とそうぜ? まだ森まで10km近く残ってるしよ・・・」



    ミカサ「ク・・・分かった」グイ



    ミカサ馬「ブルルル・・・ヒィーン!」フゥー フゥー







    ミカサ「・・・・・・」パカラ パカラ

    ジャン「・・・・・・」パカラ パカラ




    ジャン「め,珍しいこともあるもんだな。いつもは馬を疲れさすようなことはしねえのに・・・」



    ミカサ「・・・早く森につきたくて馬を気に掛けていなかった。すまない・・・」



    ジャン「まぁ,焦ってもしょうがねえよ。

    帰り道を考えても,日没まで十分あるんだ。気楽に行こうぜ」


    ―――――
    ―――
    ――



    ミカサ「・・・・・」パカラ パカラ

    チラ




    シディアス「~~~~~」

    アニ「~~~~~~、~~~~~~~」
    ・・・・
    ・・



  94. 97 : : 2017/04/01(土) 23:25:41

    ジャン「・・・・・白髪野郎が気になるのか?」



    ミカサ「ッ――――別に気にしていない!」



    ジャン「そうかよ・・・・」






    ジャン(我ながらみっともねえな・・・未練がましく袖にされた女に近づいて,

    他の男に焼もち焼くのを見せつけられて,まるっきり道化じゃねえか・・・)

    ジャン(惨めになるだけってわかってるのに,ミカサと組むってだけで一喜一憂して・・・




    ―――――『自分の今の実力も弁えず,無駄に噛み付いて・・・・現実を見ているとまだ言えるのか?』



    ギリ…

    (お前の言うとおり,俺は自分の身の程も知らずにミカサに手を伸ばそうとしてるだけだよ・・・

    成績でミカサに敵わず,腕っぷしではお前にやられっぱなしで,それを受け入れられずに噛み付いてきた。

    それでもよ・・・・・・





    ――――――――『私のことで彼を責めたりしないでほしい』―――――――――




    ジャン(俺はお前なんか認めねえ・・・

    これだけミカサに想われていながらそれに気付かず,知ろうともしねえお前なんか!)








    ――――――――ミカサを支えるのは俺だ!!――――――――――


  95. 98 : : 2017/04/02(日) 15:02:18

    ――――森林地帯

    教官「ようやく来たか。何をチンタラしていた?アッカーマン達はとっくに森へ入っているぞ!

    チェッカーフラッグは木の上などに隠してある!馬で探すも,立体起動で探すも自由だ!

    人数分を集めればペナルティは無しだ!ただしガスの補給は一切ない!

    捜索と回収は手持ちの分で賄え!」







    アニ「馬で捜索したいところだけど,大分疲労しているから始めは休ませておいて,

    その間に徒歩で行けるところから探すのはどう?」



    シディアス「その方がいいな・・・・」


    ブルルル… ヒヒィイイン


    シディアス「よーしよし。すぐ戻るけど,しっかり休んでるんだぞ~?

    ―――さて,ミカサはああ言ったが,やっぱ自分の分位は探さねえとな。

    採点官が森ん中で監視してるかもしれんしな」



    アニ「そろそろ行くよ・・・・私らの班はオレンジ色のチェッカーフラッグだったはず」



    シディアス「そうだったな。さて,ど・こ・か・ら・探すかな~?


    キョロキョロ――――――ピタ


    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・とりあえずあっちに行ってみるか。附いて来いよ,アニ!」



    アニ「ちょっと,普通こういう時は手分けして探すもんでしょ?」



    シディアス「あっちの方行くとなんかよさげな感じがするんだ,つべこべいわずに来いって!」スタスタ



    アニ「・・・・・・・まさか」スタスタ




  96. 99 : : 2017/04/02(日) 15:05:09

    ―――――10分後

    シディアス「お! あの木の上にある旗,オレンジだな! よし,取って来いよアニ!」ユビサシ



    アニ(見上げ)「・・・・いや,何となく予想はしてたけど」





    オレンジフラッグ【木の上・約20m】




    アニ「・・・これもフォースとやらの御利益?」



    シディアス「何を言ってるのかわからんな・・・それより取らねえの?

    俺は向こうの岩場辺りに何かありそうだから探しに行こうと思ってんだが?」



    アニ「・・・・それじゃ,お言葉に甘えるとするよ」カチ

    バシュ! ギュィイイイイ…

    ・・・・・・・・
    ・・・・・・
    ・・・



    ―――――スタ!

    シディアス「よぉ! 取れたか?」



    アニ「おかげ様でね・・・」つチェッカーフラッグ



    アニ「・・・一応お礼は言っておくよ―――――ありがと」



    シディアス「おう! それじゃあ先に戻っていいぞ。俺はあの岩場を見て来っからよ」



    アニ「いや,一緒に行く」



    シディアス「は? ここからだと結構あるから別に無理して付き合わなくたっていいんだぜ?

    お前の分は確保したんだしさ」



    アニ「今,私らはペアを組んで行動しているんだ。これはそういう時に備えての訓練じゃないの?」



    シディアス「・・・まぁそうだけどさ。

    お前がそう言うなんて珍しいな・・・いつもは疲れるようなことを敢えてする奴じゃなかっただろ?

    どういう風の吹き回しだ?」



    アニ「・・・・別に,今はたまたまそういう気分なだけだよ。 さあ行くよ,日没も近いんだから」ザッザッ…



    シディアス「・・・・ま,別にいいか」







  97. 100 : : 2017/04/11(火) 20:29:18
    ――――15分後

    シディアス「なるほど・・・相手の重心を軸に崩しを仕掛けるのか~」スタスタ


    アニ「相手を地面に伏せさせる時はそうするといいよ」スタスタ


    シディアス「おう! 早速今度の格闘訓練で試してみるぜ。

    さ~て,そろそろこの辺にありそうな予感が・・・――――――





    ~~~~~~~~~~ ~~~~~~~~ ~~





    ―――――・・・なんだ?」ピタ


    アニ「・・・・? 何も言ってないけど・・・?」

    シディアス「いや・・・・お前じゃない。 ―――――こっちからジャンの声が聞こえる」ユビサシ

    アニ「? ・・・・何も聞こえないけど? 」



    シディアス「――――――――――――――――アニ・・・ついて来い! 嫌な予感がする!」ダッ



    アニ「ちょッ・・・・何なのさ!?」ダッ







  98. 101 : : 2017/04/13(木) 21:45:20

    ――――――10分前

    バシュ… バシュウウ…
    ジャン「はぁっ はぁっ・・・・・・クソっ, 全然追いつけねえ!!」


    ミカサ「・・・・・(あと一つで全員分のチェッカーフラッグが揃うのに・・・日没までおそらく2時間もない)」プシュウウウ

    ミカサ(シディアス達は確保できただろうか・・・)バシュ




    オ―――イ! ミカサァ――――!!




    ミカサ「ッ! ジャン,どうしたの!? 見つけた!?」ザザッ


    パシュ パシュ――――――スタ!


    ジャン「ゼェ、 ゼェ・・・ おいミカサ,もっとペースを合わせてくれよ。

    速すぎて追いかけるのもやっとだったんだぞ?」


    ミカサ「ッ・・・・すまなかった」



    ジャン「・・・・・・・・・・急ぐのはわかるけどよ,焦っていたら旗を見落とすかもしれねえだろ。

    もっと肩の力を抜けよ」



    ミカサ「・・・・そのとおりだった。申し訳ない」ペコリ



    ジャン「ま,まぁ別に気にしちゃいねえよ! 次から気を付けてくれりゃいいからさ!」



    ミカサ「提案がある」



    ジャン「おお,なんだ?」



    ミカサ「それぞれ二手に分かれて探し,5分おきに合流して確認し合うのはどう?」



    ジャン「ああ・・・・ 俺は構わねえよ」



    ミカサ「それじゃあ5分たったら,もしくは捜索が終わったらあそこの岩場に集合。

    旗を見つけたら赤の信煙弾で報せる。 それで捜索は終了,良い?」



    ジャン「・・・・・了解だ」


    ミカサ「それじゃあ・・・また後で」バシュ プシュウウ…








    ジャン「くそ・・・俺は足手纏いにしかなれねえのかよ?」バシュ



    パシュ ギュイイイイイ・・・・



    ジャン「ミカサのやつ,もうあんなとこまで・・・・」プシュウウ


    ジャン(悔しいが,あいつの成績は単に努力や目的意識だけのものじゃねえ・・・・

    何をすればいいのか,全て分かってるかのようだ。ああいうのを神童っていうんだろな・・・・)


    ジャン「あいつと組んでると,マルコ達に自分をひけらかしていたのが恥ずかしくなる・・・

    やっぱお前はすげえよ,ミカサ・・・・」パシュ












    ――――――バキィ! ガササアア ドシャ・・・




    ジャン「! なんだ!?」ギュイン





  99. 102 : : 2017/04/13(木) 21:50:05








    ミカサ「ぐッ・・・・・・・・・・」ウツブセ

    ミカサ(身体をもろにぶつけた・・・・内臓が痛む・・・それに,呼吸も苦しい)








    スタッ


    ジャン「おい! どうしたミカサ!?」


    ミカサ「ちょっとミスっただけッ,何でも・・・・ない」ググ…







    < ―――ズキン――― >








    ―――――うあッ!!?」ガク


    ジャン「何でもねえわけねえだろ! どう見ても木にぶつかって地面に叩き付けられたんだろ!? 」




    ミカサ「ぐ・・・・カフッ」ビチャ…




    ジャン「おい・・・・なんだよそれ? なんで血ィ吐いてんだよ!!?」ガシ




    ミカサ「・・・・・・」グッタリ




    ジャン「ミカサ・・・? おい! しっかりしろ!!」ユサユサ






    ミカサ「」





    ジャン「止めろよ・・・冗談だろ? 目を開けろよ・・・・」ユサ…








    ミカサ「」





    ジャン「―――――――ッ, おぉぉい!! 怪我人だッ!!! 誰か来てくれえエエエ!!!!」







  100. 103 : : 2017/04/13(木) 22:09:30

    パシュ パシュ シュタッ タタタタ パシュウ


    オォォォーーイ・・・ ダレカイナイカァアア・・・


    シディアス「こっちだ! 近いぞアニ!」プシュウウ・・・



    パシュ パシュ


    アニ「クッ・・・あんた速すぎるよ!? ちょっと落としなよ!!」シュウウウウ・・・



    ガサァ! シュタ ギュイイイ!! シュタ バシュン



    アニ(ガスの噴射だけじゃない・・・樹の幹を蹴りながらスピードを上げてるんだ!)



    バシュン ギュウウン スタン



    アニ(しかもアンカーを敢えて細い木に打ち込んでしなりを利用して跳躍に反動をつけてる!

    こんな茂った森の中をあんな速度で・・・・・・・どういう反射神経だよ!?)











    シディアス「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・見つけた!」ギュウウウン…






    シディアス「降りるぞアニ!!」ヒュン



    アニ「ああ!」ギュイン


  101. 104 : : 2017/04/14(金) 05:49:58

    ジャン「ゼェ、 ゼェ、 ゼェ・・・・」

    ジャン(ちくしょう・・・どうすりゃいいんだ? このままじゃミカサが・・・)チラ




    ミカサ「ヒュー… ヒュー… 」グッタリ





    ジャン「・・・なんで俺は何も出来ねえんだ? くそ! くそ!!」


    ジャン「さっき支えるって誓ったばかりだろ!? いつだって俺は口ばっかだ!!

    大事な女ひとり助けられねえ!! この, 役立たず!!!」ガッ ガッ



    ジャン「神様・・・・・・・・・・・・・・頼むから・・・・・・・・・・どうかミカサを助けてくれ・・・・・・・・」







    「祈ったところで神は何もしてくれないぞ?」





    ヒュウウウウン スタン










    シディアス「何かを変えられるのは人だけだ・・・・」ザッ



  102. 105 : : 2017/04/14(金) 07:38:13

    シュタ

    アニ「・・・・・どうやら本当に面倒事が起きてたみたいだね」



    ジャン「シディアス・・・アニ・・・・・・ お前ら,なんで・・・・」



    シディアス「誰かさんのみっともねえ泣き言が森中にコダマしてたからな。

    仕方なく来てやったんだよ」ザッ ザッ ザッ ピタ


    シディアス「・・・・・」ジ…



    ミカサ「ヒュー… ヒュー…」




    シディアス「オイオイ,どういう事故り方した? 早く応急処置しないと命に関わるぞ!

    アニ,今すぐ入り口に戻って採点官と馬を連れてこい!あと搬送できる荷台か何かも!

    ジャン! 俺のワイヤーと上着をやるから,木の枝を集めて担架を組め!」



    アニ「分かった!」 ダッ パシュン シュウウウウ…




    シディアス「さて・・・ミカサ,死ぬんじゃないぞ」ス…




    シディアス「・・・・・・・・右肩が脱臼,側頭部に打ち身,右足が損傷・・・恐らく骨折か

    胴体の方は・・・・」ガシ



    ジャン「おい! てめえどこに触ろうとしてんだ!?」



    シディアス「見て分らないか? 服を脱がせて損傷個所を把握してんだ!

    ミカサを救いたいなら早く担架を組め!!」



    ジャン「ク・・・妙な真似すんじゃねえぞ!?」ダッ





    シディアス「さて・・・堪忍しろよ,ミカサ―――――――ッ!」



    バリッ ビリイ!







    シディアス「・・・まずいな,肋骨が折れて肺を圧迫してる。幸い刺さってはいないが・・・

    打撲が複数・・・ 内出血多数・・・おそらく衝撃で内臓が圧迫されて損傷,肝臓に特にダメージ・・・」



    シディアス(・・・・・・・このままじゃ医務官が診るまで持たない)

    シディアス(いや・・・・・・・・・・・万が一持ったとしても,此処の技術じゃ間違いなく後遺症が遺る)

    シディアス(どうすればいい?)








    「―――――――ハッ」







    「どうすればいいかって? んなもん判り切ったことじゃねえか。

    どうせこのまま放っときゃコイツはくたばるんだ・・・・なら,解かるだろ?」






    シディアス「ああ・・・解かってるとも」





    シディアス「・・・・・・まだ試したことはないが,やるしかないな」

    シディアス(上手くいくかは五分・・・・ちょっとでも間違えたらこいつの一生が失われる・・・

    賭けだな)チラ




    ミカサ「う・・・くぅッ・・・・」ヒュー… ヒュー…




    ~~~~~~~~~~~~~


    『いつかアルミンと一緒に海を見たい・・・・

    エレンの分まで――――取りあえずは,それを目的に生きていこうと思う』


    『ふぅーん・・・ま,いいんじゃねえの?』



    『シディアスは・・・何を目的に生きるの?』




    ~~~~~~~~~~~~




    シディアス「―――――――ミカサ・・・もう少しだけ踏ん張れよ」ナデ









    ミカサ「・・・・・・・・・・うん」ヒュー… ヒュー…

















  103. 106 : : 2017/04/15(土) 00:17:51

    ※読者の皆様,タイトルを変更しました。 作者より







    ――――10分後


    ――――――――――こっちです! あそこにアッカーマン訓練兵が!!」

    ガサ

    アニ「教官を連れてきたよ,シディアス! 」





    ザッ

    教官「怪我人だそうだな?状況を説明しろ!」



    シディアス「ハ! アッカーマン訓練兵が立体起動で移動中に木にぶつかり負傷しましたが,

    既に出来る限りの応急処置を済ませました!至急,医務官の元へ運ぶべきと具申します!」



    教官「なんだと?貴様が一人でやったのか?」



    シディアス「ハ!」



    教官「・・・・・・まぁいい。 ここまで馬は連れてこれない。200m先の林道に待機させている。

    運べるか?」



    シディアス「それでしたら大丈夫です」




    ガサガサ

    ジャン「おい! 担架を組んだぞ,ミカサは無事か!?」




    シディアス「彼と自分で運べます」




    ジャン「おい! ミカサはどうなったんだ!?」



    教官「落ち着け,キルシュタイン!」



    ジャン「教官!? し,失礼しました!」バッ



    教官「今から貴様と私でアッカーマンを運ぶ! シディアス,レオンハート両名は

    アッカーマンとキルシュタインの立体起動装置を回収してから訓練所へ帰投せよ!」



    アニ「ハ!」

    シディアス「教官!? 自分は・・・」


    教官「貴様は疲労がたまっている,後から来い」


    シディアス「へ? 何故・・・」


    教官「返事はどうした!!!?」


    シディアス「は,ハイ!了解しました!」バッ





  104. 107 : : 2017/04/15(土) 06:08:01

    教官「キルシュタイン,後ろを持て!」


    ジャン「りょ,了解!」



    ザッ ザッ ザッ …















    アニ「それじゃあ私たちも行こうか?」




    シディアス「あ,ああ・・・」フラ




    アニ「・・・あんた,ふらついてるよ。 大丈夫なの?」




    シディアス「・・・ちょっと疲れた。馬まで肩貸してくれねえか?」




    アニ「・・・・・・・別にいいけど」





  105. 108 : : 2017/04/16(日) 14:04:23

    ザ ザ ザ ザ



    アニ「あんたさ・・・ミカサを手当てしたくらいで疲れるなんて,いつからそんな貧弱になったんだい?」




    シディアス「・・・・・手当てぐらいでこんなへばるかよ・・・・・・・・ちょっと貧血になっただけだ」




    アニ「貧血って・・・まさか輸血でもしたんじゃ・・・・・・」




    シディアス「馬鹿言え・・・・輸血しようにもあいつとは血液型が違うだろ・・・」




    アニ「じゃあなんで貧血なんかになるのさ?」







    シディアス「フ・・・・知りたいか?」ニヤリ




    アニ「・・・・・ああ,知りたいね」






    アニ(こいつのフォースという能力・・・・まさか治療にも使えるのか?)







    シディアス「じゃあ耳貸せよ・・・教えてやるから」




    アニ「・・・ん」ス






    ボソボソ


  106. 109 : : 2017/04/16(日) 14:05:33

















    シディアス『治療の時にミカサのオッパイ触ってたら鼻血出ちまった』




    ――――――――ドゴォ…






  107. 110 : : 2017/04/16(日) 21:14:19
    シディアス何してんだよ笑
    期待です!
  108. 111 : : 2017/04/17(月) 19:59:40
    ~~~~~~~~~~~~~~
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~







    ―――――ただいま,ミカサ。 ちゃんとお母さんの言うことを聞いていたかい?




    「うん!おかえりなさい,お父さん!」 




    ――――お帰りなさい,あなた。今日の獲物は何?




    ――――喜べ,今日は御馳走だ! 鴨が2羽にウサギが1羽だぞー!




    ――――まぁ凄い,大猟だったわねえ!




    「わぁい! お母さん,私シチューが食べたい!」




    ――――任せなさい,支度するからお野菜を洗っておいてね?




    ――――それじゃあお父さんは処理するから,ミカサは先に水を組んできてくれ




    「うん!」







    ―――小川

    ザプ…

    ミカサ「よいしょ、よいしょ」ジャプン ジャプン






    ピィー… ピィー







    ミカサ「―――あれ?」




    子鴨「ピィー,ピィー」ウロウロ




    ミカサ「鴨の赤ちゃんだぁ! 可愛い!」




    子鴨「ピィー! ピィー!」キョロキョロ




    ミカサ「迷子なの? こっちは私のお家だよ? お池は向こうよ?」




    子鴨「ピィー,ピィー…」ウロウロ




    ミカサ「お母さんは? 他の兄弟はどうしたの?」




    ――――――ミカサ,どうしたんだい?




    ミカサ「お父さん! 迷子の子鴨がいるよ!」




    ―――――うん? ・・・・・・・・ああ,そうか。




    ミカサ「この子,お母さんや兄弟と逸れちゃったのかな?」




    ―――――・・・・・ミカサ,きっとこの子の親は――――――――



















    ???『おいミカサ! 母さんが晩ごはんの支度手伝えってさ』




    「エレン・・・今日は食べたくないの」




    エレン『何でだよ!? 今日はせっかく潰した雌鶏でパイを作るんだぞ!?』




    「・・・・雌鶏は,ひよこさんのお母さんでしょ?」




    エレン『・・・・それがどうした?』




    「ひよこさんたちがお母さんを食べられたと知ったら,きっと悲しいと思う。だから食べたくない」




    エレン『・・・・・』




    「・・・だからカルラおばさんには今日はご飯はいらないって伝えて?」


  109. 112 : : 2017/04/17(月) 20:09:10


    エレン『・・・・支度は手伝わなくていいから,晩ごはんくらい食べろよ』




    「いらない」フルフル




    エレン『あのなぁ,ミカサ・・・・お前がいつも食べてるパンや野菜や食べ物だって命なんだ。

    生物は他の命を貰わなければ生きられないんだ』




    ミカサ「・・・・・・・」




    エレン『命を奪うのがいやだからって何も食わないで生きられるわけないだろ?』




    ミカサ「・・・なら今日から何も食べない」




    エレン『はぁ?』




    ミカサ「わたしが食べなければ助かる命が増えるんでしょ? ならわたしも――――」




    エレン『・・・・・てい!』ゴツン




    ミカサ「痛い!」アタマオサエ




    エレン『あのな,ミカサ・・・・誰だって命に支えられて生きているって言ったよな?

    今までお前が生きてこれたのは誰のおかげだ?』




    ミカサ「・・・・?」

  110. 113 : : 2017/04/17(月) 20:21:16

    エレン『お前のおじさんやおばさんがご飯を作って,命を張って育ててくれたからだろ!?

    2人が死んだときだって,きっとお前が幸せに生きることを祈ってた!』




    ミカサ「!!」ハッ




    エレン『お前は,お前を守ってくれたお父さんとお母さんの命を背負っているんだ!!』




    ミカサ「命を・・・・背負って・・・・・?」




    エレン『だから生きろ! 2人の分もちゃんと生きろよ!!』




    ミカサ「・・・・・・・」ポロポロ




    エレン『ほら・・・早くご飯の手伝いに行こうぜ? お前は野菜を洗うのでいいからさ』ス…




    ミカサ「・・・・うん・・・・・・」グスン






  111. 114 : : 2017/04/17(月) 20:29:50


    ミカサ「今行く」ギュ…




    ~~~~~~~~~~~~
    ~~~~~~
    ~~~



    ミカサ「」パチ
  112. 115 : : 2017/04/17(月) 20:51:10
    ――――――医務室


    ミカサ「・・・・・・・・・」





    夢を見ていたらしい。

    虚空に伸ばしていた手を下ろすと,体が少し痛む。

    いつのまに訓練所の医務室に運ばれたのか・・・・外はもう夜のようだ。







    コツコツ…

    医務官「おや? もう目が覚めたのか・・・・気分はどうだね?」




    ミカサ「眠たいですが・・・・悪くはないです」




    医務官「それは結構。肩の脱臼と全身打撲を負っているので,鎮痛剤だけ処方しておいた。

    眠気はそのせいだろう」







    脱臼と打撲だけ・・・?

    おかしい・・・・肺や内臓に鋭い痛みがあったのに

    それに確かに脚の骨が折れた感触があったはず・・・・







    医務官「どれ・・・眼を見せなさい。このろうそくの炎をよくみつめて・・・・」カチャ


    ユラ… ユラ…


    医務官「――――――瞳孔も正常,頭の方にも問題はないようだ。

    それじゃあ私はシャーディス教官に報告してくる。枕元に水と鎮痛剤を置いておくから,

    痛み出したら一錠ずつ飲んでおくこと。いいね?」






    ミカサ「はい・・・・」







    医務官「それと―――――――

    もし彼が目を覚ましたらさっさと寮へ戻るよう言っておいてくれ。」ユビサシ






    ミカサ「彼・・・・・?」フリカエリ

















    【反対のベッド】

    シディアス「zzz…」

  113. 116 : : 2017/04/17(月) 20:54:14


    医務官「まったく,重傷の君よりも長く眠っていい気なものだ・・・しかも原因はただの疲労と来ている。

    シャーディス教官もなんだってベッドの使用を許可したのか・・・それじゃあ行ってくる」



    ツカ ツカ ―――――――バタン







    ミカサ「・・・・・・」ムクリ

    ―――――ズキ――――――



    ミカサ「----ッツ!!」











    ――――――――まだ寝てろよ」








  114. 117 : : 2017/04/17(月) 21:07:03

    ミカサ「! ・・・・起きてたの」




    シディアス「まだ医務官には黙ってろ。 背中を打付けて痛えんだ・・・・」




    ミカサ「・・・・あなたも怪我をしたの?」




    シディアス「ちょっとな・・・・まったくアニのやつ,冗談ごときにマジになりやがって・・・・」ゴロン




    シディアス「あ゙あ゙~~~・・・・・・・寮に比べて医務室はいいな・・・・なにせベッドが柔らけえ・・・・・・・・・」ヌクヌク










  115. 118 : : 2017/04/17(月) 21:25:23


    ミカサ「・・・・・・・あなたが私を治してくれたの?」




    シディアス「何のことだ? 俺は添え木を当てて止血しただけだ・・・・治すなんてもんじゃねえよ」




    ミカサ「それでも処置してくれたのは感謝している。ありがとう」




    シディアス「へーへーどういたしまして。身体は大事にしろよ」




    ミカサ「・・・・・・・」





















    シディアス「・・・・・ムクドリの巣なら無事だったぜ」





    ミカサ「―――ッ! 気づいてたの・・・・」





    シディアス「まったく,鳥のために死にかけるなんざ,酔狂にもほどがあるだろ・・・・」


    ――-
    ――――――
    ―――――――――




    パシュ ギュイイイ・・・





    ミカサ(旗は殆ど高い木の枝にあった・・・・ならこの辺りの高木にあるかも・・・・・)

    プシュウウウ








    ――――――――ッ!――――――――









    ミカサ「―――――――見つけた!」キュウウウン


    パシュ パシュ


    ミカサ(これで4つ揃った!)ギュオオオ…




    ガサ――――




    ミカサ「!!!!」







    【木の枝の巣】

    ヒナ「「「ピィー,ピィー」」」











    ミカサ「くッ!!!」グルン








    ―――――バシィ!!


    バキバキ ズザァアア ドシャ…



    ―――――――――
    ――――――
    ―――





  116. 119 : : 2017/04/17(月) 22:06:35





    シディアス「今期最高の逸材サマが3羽のヒナのために心臓を捧げたなんざ,

    洒落にもならねーよ・・・・・・・・・・」






    ミカサ「・・・・・・・」









    シディアス「―――――――――自分を重ねちまったか?」





    ミカサ「・・・・・・そんなのじゃない。

    自分のために何かを犠牲にしたくなかった,それだけ。




    ―――――――――私が今まで生きてこられたのは,いつも誰かが犠牲になったから。




    お父さんも・・・お母さんも・・・カルラおばさんも・・・・・・エレンも・・・・・・・・・・・

    私が縋っていた人たちみんなが,私のための犠牲になった」





    シディアス「・・・・・・」





    ミカサ「・・・・・だからもう誰も犠牲にしたくない。

    誰にも縋らない。頼らない。私は誰よりも強くならないといけない。

    誰にも縋らなくていいように,誰も犠牲にならなくていいように・・・・・

    この残酷な世界で生きられるのは圧倒的な強者だけだから














    ――――――なのに・・・・・・・・また私は縋ろうとしていた」


  117. 120 : : 2017/04/17(月) 22:24:41


    シディアス「・・・・・・・・・・・」





    ミカサ「エレンを失った隙間を違う人で埋めようとした・・・・・・・

    あなたはエレンじゃない。姿が似てるだけの,別の人だと,自分でも解かってる!

    けど・・・・・・・・・








    ―――――――私の心が認めてくれないの」ポロポロ









    ミカサ「あなたをエレンの代わりにして,彼を失った現実を忘れようと願っている・・・・

    そんなのエレンとあなたへの裏切りだ・・・・・

    友達の心を無視して,私の都合のいい虚像を押し付けようとしている・・・・

    そんな自分の弱い心が情けない・・・・卑しいッ!・・・・・汚らわしいッッ!!」ギリ





    シディアス「・・・・・・・・・・・」





    ミカサ「ねえ・・・教えて・・・・私はどうすればいいの?」ポロポロ





    ミカサ「私は生きなきゃいけない・・・・・犠牲になったみんなの分も・・・・・・・

    エレンのいないこの世界で・・・・・・・どうして生きなければいけないの・・・・・・・・?」




    ――――――――どこに向かって歩いたらいいの?――――――――――-





    ミカサ「教えてよ・・・・・」グスン グスン






  118. 121 : : 2017/04/17(月) 23:16:03


    シディアス「・・・・・・・なんで縋ったらいけない? なんで忘れちゃいけないんだよ?」




    ミカサ「もうだれも犠牲にしたくない・・・・忘れるのは皆への裏切りだから・・・・」




    シディアス「お前の犠牲になった奴らはお前が苦しむのを望んだか?

    自分の死の責め苦をお前に負わせて,それでそいつらが喜ぶのか?

    そんな残酷でみみっちい奴らがお前の家族なのか!?」





    ミカサ「違うッ!そんな人達じゃない!!」キッ





    シディアス「なら苦しむのはやめろ! そいつらが死んだのはお前のせいでも何でもない!

    お前は偶々辛いことが多過ぎた,それだけだ! その理由を自分に擦り付けているだけだ!」





    シディアス「お前が何のために生きるのか解からないなら教えてやる・・・・・・

    お前の為に死んだ奴らの分まで幸せに生きて,向こうに行くときに飽きるほど土産話を聞かせてやるためだ」




    ミカサ「グス・・・向こうへ,行くとき・・・?」




    シディアス「どうせ人間は必ず死ぬ定めだ・・・遅かれ早かれお前は死んだ後に

    家族と同じところに行けるんだ。そのときにお前はそいつらに何を話す?

    苦痛に満ちた身の上話ばっか聴かせて,死んだ後も重くて嫌な空気を共有するか?」



    シディアス「巨人を駆逐して世界を廻るなり,美味いもんをタラふく食うなり,

    金を稼いでデカいことやるなり,なんなら男を捕まえて存分にイチャコラやって,

    ガキこさえて幸せな家庭を築いたっていい!」



    シディアス「土産話を聴かせるなら辛気くせえ鬱話なんかより,そっちの方が何百倍も喜ぶぞ?」




    ミカサ「スン… スン… 本当に,そう思う?」グスン…




    シディアス「少なくとも俺なら,死んだ後にまで辛気くせえ鬱話なんか聴かされたら張り倒すぞ?」





    ミカサ「・・・・私はまたあなたに縋るかもしれない・・・・それでも赦してくれるの?」









    シディアス「・・・・・・・・・・・・・・たとえそれが幻と解かっていても,

    縋らずにいられない時ぐらいある・・・人間なら,誰だってな。」





    ミカサ「・・・・・・・」







  119. 122 : : 2017/04/17(月) 23:29:01


    シディアス「けどな,俺はシディアスだ・・・エレンじゃない。 そこはわきまえろ。」




    ミカサ「解かっている・・・・心がけは,する」




    シディアス「なら,それでいい。 あと,もう変に距離を取るのはやめろ。

    おかげでやり辛くてかなわねえんだよ・・・・」




    ミカサ「・・・・ごめんなさい」シュン




    シディアス「じゃ・・・明日からはいつもどおり宜しくな」ムクリ




    ミカサ「出ていくの?」




    シディアス「女の子と同室で寝てたら襲っちまうかもしれねえだろ?」




    ミカサ「・・・・・・・・・・




    ―――――――――――別に私はそれでもかまわない―――――――――――」










    シディアス「・・・・・・・・・・・」





    ミカサ「・・・・・・・・・・」ドッ ドッ ドッ













    シディアス「バカ言ってねえでさっさと寝ろ!怪我を長引かせて訓練が遅れたら,巨人を駆逐できねえぞ?」


    スタスタ ―――――――バタン

  120. 123 : : 2017/04/18(火) 05:56:52



    ミカサ「・・・・」ドキドキ







    ボフ…


    ミカサ「・・・・・・・・(なんであんなことを言ってしまったの?)」ドキドキ








    ミカサ(顔が熱い・・・・もう眠れない・・・・・・・・・・)ドキドキ










    ――――――――――――男を捕まえて存分にイチャコラやって,


    ガキこさえて幸せな家庭を築いたっていい!―――――――――――――






    ミカサ(いったい誰と・・・・・・・?)











  121. 124 : : 2017/04/18(火) 19:26:33


    ――――外



    ヒュウウウウ・・・・



    ザツ ザッ ザッ ガッ

    シディアス「おっと・・・」クラ…

    ガク

    シディアス(・・・・・思ったより疲労が激しい。多用するのは無理だな)








    ―――「そんなへぼい能力の使い方してたら宝の持ち腐れもいいところだなぁ?」










    シディアス「・・・・・解かってるさ,そんな事」




    ―――「解かってるならそこをどけよ。お前には過ぎた能力だ」




    シディアス「断る・・・・・どうせお前の使い道はろくなもんじゃない」




    ―――「はっ!! 人助けをしていっちょ前に善人気取りかぁ?」




    シディアス「気取ってなんかいない。俺はしたいようにしているだけだ」




    ―――「お優しいシディアス様は人助けが趣味ですってか?

    お前がここに来るまでにしでかしたことを知れば,皆はどう思うかなぁ?」











    シディアス「――――――――そのときはここを離れて独りに戻るさ」




    ―――「・・・・・・け。 つまんねえヤツ・・・・・・まぁいいさ,せいぜい取り繕った猫の皮を被ってな」









    シディアス「言われるまでもねえよ」




































    ――――――――――ねえ・・・・・・・なにしてんの?」

  122. 125 : : 2017/04/18(火) 19:46:15

    シディアス「ッ!!」バッ













    アニ「今,誰と話してたの?」




    シディアス「アニ・・・・・・別に,ただの独り言だ・・・・・」







    アニ「独り言ねえ・・・・」ジト






    シディアス「お前こそこんな時間にどうした?」






    アニ「誰かさんがふらついてたから様子を見に来たのさ」






    シディアス「そいつはどうも・・・・誰かさんにしこたまブン投げられたもんで,難儀してたとこだよ
  123. 126 : : 2017/04/20(木) 21:06:01

    アニ「・・・・まぁ自業自得だと思うんだね。 乙女にセクハラ働いた罰だよ」






    シディアス「あんだよ,セクハラって? ちょっとした冗談だろ。それくらい察しろよな」






    アニ「・・・・・ミカサの苦労がわかるよ。あんたは女の子への理解がなってない」






    シディアス「またそれかよ・・・・・」






    アニ「・・・・・・・・」






    シディアス「なんだ? まだなんかあるのか?」






    アニ「・・・・・・寮まで肩,貸そうか?」






    シディアス「・・・・は?」






    アニ「べ,別に大した意味はないよ。 ただ・・・自業自得とはいえ,

    私もあんたを病室に送った責任があるから,その・・・・・・・・・」アセ






    シディアス「・・・・・・・・」






    アニ「・・・・余計なおせっかいだったなら,私は別に・・・・」プイ






    シディアス「わりい・・・頼むわ」ス


  124. 128 : : 2017/04/24(月) 20:42:54


    ―――男子寮

    アニ「着いたよ。ここからは自分で歩けるだろ?」




    シディアス「ああ・・・・さんきゅー・・・・・」




    アニ「ゆっくり休んでおくんだね・・・あんただって成績を落としたくはないでしょ」




    シディアス「お気遣いどうも・・・・・お前も早く寝ろよ,ア
    ニ・・・・・」ヨロ…



























    アニ「―――――――――私が怪我しても,あんたはミカサと同じように手当してくれた?」







  125. 129 : : 2017/04/24(月) 20:43:46


    シディアス「・・・・・当たり前だろ。 誰だってそーするさ」




    アニ「そ・・・・・・・・・・・・おやすみ」




    シディアス「ああ・・・・」


    ザッ ザッ ザッ…





    シディアス「―――――――――さて,寝るか・・・」










    ――――寝室

    アルミン(腰掛)「・・・・・・・・・・・・」





    ライナー(チェス中)「・・・・・・・」つ駒

    コト…

    ベルトルト(チェス中)「・・・・・・・」





    コニー(寝そべり)「・・・・・・・」













    ――――ガチャ


    「「「「!!!」」」」バッ


  126. 130 : : 2017/04/24(月) 20:45:28

    シディアス「―――――よう。 まだ起きてんのか?」ヒョコ




    アルミン「シディアス!! もう大丈夫なの?」




    シディアス「まぁな・・・」




    ライナー「ミカサが怪我したって聞いて驚いてたら,お前まで医務室に送られたって報せが来てよ・・・」




    ベルトルト「皆心配してたよ・・・・まさかあの二人がってね・・・・」




    コニー「サシャなんてお前がぶっ倒れたって聞いて,晩飯を放って見舞いに行ったんだぜ!?

    なんかの前触れかと思ったくらいだ」




    シディアス「心配かけてすまねえ。けど大したことはねえからよ,安心しろ」

















    ジャン「・・・・よぉ」










    シディアス「あん? なんだ,お前も起きてたのか?」




    ジャン「・・・ミカサはどうだった?」




    シディアス「俺より先に目を覚ましてたよ。遺るような傷はないそうだ」




    ジャン「そうか・・・・」ホ…












    ジャン「・・・礼を言う」ペコ




    「「「「!!?」」」」


    シディアス「――――ハァ?」





    アルミン(ジャンが・・・・・シディアスに感謝した!?)





    コニー(見間違いか・・・? ジャンのやつ,シディアスにお辞儀したよな?)ヒソヒソ

    ベルトルト(サシャが食事を放って見舞いに行った時よりもビックリしたよ・・・)ヒソヒソ

    ライナー(いったい何があったんだ? まさかあいつがシディアスに頭を下げるとは・・・)ヒソヒソ





    マルコ(ジャン・・・・・君は・・・・・・・・)




  127. 131 : : 2017/04/24(月) 20:49:04


    シディアス「な・・・・なんだよいきなり・・・・」ボーゼン




    ジャン「・・・・お前が来てくれなかったら,ミカサはどうなっていたか分からねえ・・・・

    俺1人じゃ何もできなかった・・・・・・・・・・ミカサを助けてくれて,本当に感謝してる」





    シディアス「・・・・・・俺は応急処置しただけだ。助けたのは医務官とあいつ自身の力だ」





    ジャン「それでもだ・・・・・俺はミカサとペアを組んでた。制止することだって出来たのにしなかった。

    あいつが怪我したのには俺も責任がある」




    ――――――――――――




    シディアス「ハァ―――――――いい加減頭を上げろよ,やりづれえ・・・・・・・・」





    ジャン「・・・・・」スク







    シディアス「俺は誰かさんの必死な声を聴いて,ミカサの元へ辿り着けたよ・・・・・・

    お前だってあいつを助けた功労者だ・・・・・・・・・・役立たずなんかじゃねえよ」




    ジャン「・・・・・」




    シディアス「・・・・・・俺は疲れた。明日は病欠する。起こした奴は張り倒すんでよろしく」



    スタスタ バタン






    マルコ「・・・・・ジャン・・・?」







  128. 132 : : 2017/04/24(月) 20:50:07

    ジャン「――――――筋を通しただけだ」




    マルコ「え?」




    ジャン「世話になった相手には礼を言うのが筋だろ・・・・たとえ気に食わねえ奴でもな」


    ジャン(―――――――ああ,お前のことは気に食わねえ・・・・・・・・・)

    ジャン(けど,それ以上に何も出来ねえ自分が気に食わねえ・・・・・・・・)

    ジャン(俺はお前を認めたわけじゃねえ,負けを認める気なんざねえ・・・・・・けどな・・・・・・)







    ジャン(お前が強くて,俺は弱い――――――それだけは・・・・・認めてんだよ・・・・・・・・・)












    ジャン「俺ももう寝るぞ・・・・・明日の訓練に遅れたくねえからよ」










  129. 133 : : 2017/04/24(月) 20:51:16


    マルコ「ああ,そうだね。僕も寝るよ。 みんなおやすみ」



    スタスタ






    ライナー(ほう・・・・・・あいつ,随分マシな貌になったな)

    アルミン(ジャン・・・・・)

    ベルトルト(・・・・・・・・)










  130. 134 : : 2017/04/24(月) 20:53:19

    ―――――朝 食堂

    ガヤガヤ


    サシャ「・・・・・・・」モグモグ







    ユミル「・・・おいミーナ。サシャのやつやたらテンションが低くねえか?」


    ミーナ「ほら,サシャはミカサと同室だから・・・」


    クリスタ「きっとサシャはミカサとシディアスが怪我したから心配してるんだよ」












    コニー「よう,ここいいか?」




    マルコ「やあコニー。構わないよ」




    コニー「ありがとよ」ガタ…




    ジャン「今日は静かに飯が食えていいぜ・・・芋女が大人しいからな」ガツ ガツ




    アルミン「なんだか今日は食べっぷりがいいね,ジャン」




    マルコ「いつもなら二言目にはスープが薄いとか言ってるのに・・・」




    ジャン「このあとの訓練に備えて体力つけなきゃいけねえだろ。文句言ってる暇なんかねえよ」ゴクゴク




  131. 135 : : 2017/04/24(月) 20:59:13

    マルコ(あのジャンが,ね・・・・やっぱり君は凄いよ,シディアス・・・・・)




    ライナー「よう,ジャン。ようやくお前にも兵士の自覚が芽生えたか?」




    ジャン「別に・・・・・そんなんじゃねえよ」








    ―――ガチャ

    「おはよう」


    クリスタ「ミカサ! おはよ―――――――」


    ザワ――――





    ミカサ「? どうかした?」




    ユミル「どうかしたってお前・・・」




    サシャ「ミカサ,その頭・・・」




    ミカサ「・・・? 何か変?」




    クリスタ「変じゃないし,似合ってるよ・・・けど,印象が変わって誰かと思っちゃったよ!」




    サシャ「何か心境の変化でもあったんですか!?」

    ドヨドヨ… ガヤガヤ

    ――――ピク

    ジャン「―――グホッ! ゴフッ! ミカサが来たのか!?」ガタ




    マルコ「う,うん。落着きなよジャン」





    ジャン「ちょっと行ってくる!」タッタッタ…



  132. 136 : : 2017/04/24(月) 21:02:17

    ワイワイ

    クリスタ「へぇ~・・・自分でやったんだ・・・・どこも変じゃないよ」




    ミーナ「でも勿体ないねぇ~・・・私みたいに結えばいいのに」




    ミカサ「この方が楽だから・・・」








    ――――――――ミカサ!」








    ミカサ「あ・・・・ジャン。おはよう」



    ジャン「(落ち着け,俺。 怪我の具合を気にするのは普通のことだ,あくまで自然に・・・)

    ・・・・よぉミカサ! 昨日は――――――――――――――」




    ミカサ「ジャン,昨日は私が怪我をしたばかりに迷惑をかけた。ごめんなさい。

    ・・・・・・・・・・・・・・? どうかした?」クビカシゲ




    ジャン「――――な,な,なんで・・・・・・・その髪・・・・・・・・」プルプル









    ショートカットミカサ「髪のこと? 昨日のような事故に逢わないよう,

    短くしたのだけれど・・・・・・・・おかしかった?」




    ジャン(ぶっちゃけメチャメチャ似合うけどさ・・・・なんで切っちまうんだよぉおおおお!!!)

    ジャン「い,いや! おかしくねーし,すっげえ似合う! いい心がけだと思うぜ!」プルプル




    ミカサ「・・・・そう? 立体起動で邪魔になると思って,自分で切ってみた。」


    ワイワイ










    マルコ「ジャン,可哀想に・・・・」




    アルミン「ジャンって髪フェチだったの?」




    マルコ「いつもいつもミカサの黒髪がどうのこうのと聴かされてたからね・・・癒しなんだってさ」




    ライナー「まあ気持ちはわからんでもないがな・・・・しかしジャンは黒髪派か・・・・・

    俺は断然金髪派だがな。 お前もそうだろ,ベルトルト?」




    ベルトルト「え!? あ,まぁ・・・・」チラ





    ベルトルト(・・・・・あれ?)キョロキョロ





    コニー「? どうしたんだベルトルト? 探し物か?」




    ベルトルト「いや・・・別に何でもないよ」







    ベルトルト(どこ行ったんだろ?)






  133. 137 : : 2017/04/24(月) 21:04:33

    ―――――男子寮

    シディアス(あ゙あ゙~~~~・・・・・・しんどい・・・・・・)グデー

    シディアス(体力の消耗が激しい・・・・・メチャクチャだりい・・・・・・・)


    グゥ~~~~


    シディアス「せめて朝飯だけでも食っとくべきだった・・・・今頃サシャが大喜びで食ってんだろな・・・・」















    ―――――コンコン

    シディアス「・・・・入ってまぁ~す」


    ガチャ…



    ―――――入ってて当たり前でしょ。あんたの寝室でもあるんだから・・・」






    シディアス「―――――よぉ,またお前か・・・・・・・・・・アニ・・・・」







    アニ「邪魔するよ・・・・」






  134. 138 : : 2017/04/25(火) 06:13:48


    シディアス「・・・どうした? 俺は今日は病欠だ・・・」






    アニ「知ってるよ。コニーから聞いた。」


    アニ「はいこれ,あんたの分の朝食」ス






    シディアス「・・・・取っといてくれたのか? 昨日から世話になりっぱなしだな・・・・」ムク






    アニ「自分で食べれる?」






    シディアス「無理だって言ったら,あーんでもしてくれるか?」






    アニ「・・・・・・・」






    シディアス「・・・プクク,冗談に決まってるだろ!自分で食えるよ。お仕置きは勘弁してくれ」ケラケラ






    アニ「・・・・・・・・・・・・・・・・あんたがどうしてもっていうなら――――――――




    ―――――――――――――――――してあげようか?」













    ―――――――――――――――――――――










    アニ「クッ,クククク, 間抜け面さらしてないでさっさと食べなよ」クスクス






    シディアス「・・・・・・・・冗談で返してくるとは,お前もやるようになったな」






    アニ「フ・・・・でも一瞬,本気か疑っただろ?」






    シディアス「さあな・・・・」







    シディアス「・・・・・・・お前が笑うの,初めて見たな。そんなに俺の顔,面白かったか?」






    アニ「ああ,傑作だったよ・・・・・・それじゃあ,もういく。ゆっくり休んでおくんだね」







    シディアス「ああ・・・・・・なぁアニ」







    アニ「何だい?」







    シディアス「ありがとよ・・・・お前はいい女だな」






    アニ(呆れ顔)「――――――――――今頃気づいたのかい? あんたは見る目がないよ」ハァ





    ガチャ―――――



    シディアス「ん?」

    アニ「・・・・・・・」





    ミカサ「・・・・何故ここにいるの? アニ・・・」

  135. 139 : : 2017/04/28(金) 04:44:36

    ゴゴゴゴゴゴ

    アニ「・・・・・・・・・」

    ミカサ「・・・・・・・・・」




    シディアス(なんだ?急に空気が重くなった・・・・)




    ミカサ「男子寮に女子は入れないはず・・・何をしているの?」ジロ




    アニ「・・・・・・こいつが腹をすかしてるんじゃないかと思って,朝食を持ってきてやっただけだけど?

    教官に申し出た上でね。あんたこそ男子寮に何の用だい?」




    ミカサ「・・・・・」チラ




    シディアス「ん?」




    ミカサ「・・・・・・・・・・・お見舞いに来ただけ」




    アニ「そう・・・・私の用は済んだから御暇するよ。 邪魔したね,シディアス」

    スタスタ―――――バタン

  136. 140 : : 2017/04/28(金) 04:48:06

    ミカサ「・・・・・・・」




    シディアス「よぉ,思ったより元気そうだな・・・体の具合はどうだ?」




    ミカサ「おかげでもう良くなった。あなたの方こそ,ずいぶん疲れていそうだけど?」




    シディアス「ちょっとした過労だ。休めば良くなるから気にすんな。」




    ミカサ「・・・・・・・休息の邪魔になるからもう戻る。早く良くなることを祈ってる」




    シディアス「そっか・・・・わざわざ来てくれてありがとな。もう怪我すんなよ」





    ミカサ「・・・・うん」




















    ―――――座学

    メガネ教官「~~~~~~というわけで,通常種を相手に戦う場合,味方が複数で囮となり,

    攻撃主の為に隙を作ればこちらの損害を抑えられ得るわけだ―――――」





    アルミン「(後でシディアスにノート見せてあげよう)」カリカリ


    ライナー「(体重が軽く小回りの利く女は囮に向く,男は斬撃が深いから攻撃向き,っと・・・)」カキカキ


    コニー「(あれ? 俺とミカサが組むならどっちが攻撃役だ・・・・?)」


    サシャ「(今日の晩御飯はなんでしょう?)」


    ベルトルト「・・・・・・・・」カキカキ


    ジャン「・・・・・・」カキカキ


    マルコ「・・・・・・」カキカキ


    クリスタ「・・・・・・・・」カキカキ


    ユミル「・・・・・・・」カキカキ







    アニ「・・・・・・・・」カリカリカリ


    ミカサ「・・・・・・・・」カリカリカリ





    トーマス「(・・・・・なんかあの辺の空気が重い)」



  137. 141 : : 2017/04/28(金) 04:49:31

    メガネ教官「――――というわけで,市街地で巨人と戦う場合,索敵を怠らぬよう心掛けろ,以上だ」


    訓練兵「フー」


    メガネ教官「少々時間が余ったな・・・・ではおまけとして憲兵を目指す者たちのために

    昔話をしよう―――――――――切り裂きケニーの話だ」


    ザワザワ…


    メガネ教官「20年程前,王都を騒がせた連続憲兵殺しの事件だ。

    知ってのとおり他兵団に比べて,王政に携わる憲兵には様々な特権や待遇が保証される。

    その分,王政に反発する不穏分子や犯罪集団の標的になりやすく,

    切り裂きケニー事件では実に200名あまりの憲兵が犠牲となった。」




    ジャン「・・・・・・・」

    マルコ「・・・・・・・」




    メガネ教官「この事件の犯人はすでに中央憲兵によって逮捕され,処刑されたそうだ。

    しかし4年前のウォールマリア陥落後,同じように王都の憲兵が何者かによって

    殺害される事件が相次いで発生し,47名が犠牲になった。

    そのため当時,巷で切り裂きケニーの再来と囁かれていた。」




    クリスタ「・・・・・・・」



  138. 142 : : 2017/04/28(金) 04:50:57

    メガネ教官「しかしこの事件は切り裂きケニーの手口とは異なる例が多い。

    まず,殺害方法はまちまちで,ナイフに限らずライフルや散弾,撲殺,徒手等の例も多く,

    単独ではなく複数の犯人によるものと考えられたが,未だに容疑者を特定できずにいる。」




    ユミル「・・・・・・・・」




    メガネ教官「ただ,事件が発生したのはウォールマリア奪還作戦が実行された一週間後で

    あったことから,奪還作戦で身内が犠牲になった難民の犯行ではないかと憲兵団は

    推測している。」




    アルミン「・・・・・・・・」

    ミカサ「・・・・・・・」




    メガネ教官「憲兵を目指す者はこういった事態に対処できるよう,対人戦闘訓練を怠らぬことだ。

    さて,時間になったので座学は終了だ。次の訓練の用意をしろ,解散!」




  139. 143 : : 2017/04/30(日) 05:29:17

    ――――昼 食堂

    ザワザワ…

    マルコ「・・・・・・・」




    ジャン「なぁ・・・さっきから黙っててどうした?」




    マルコ「・・・以前ここでシディアスがジャンに言ったことを覚えているか?」




    ジャン「内戦がどうこう,ってやつか? それがどうした?」




    マルコ「もう始まっていたんだよ・・・・僕らが気付いていなかっただけで」




    ジャン「・・・・・・」




    マルコ「僕らはまだ前線に居なかったから,マリアからの難民の境遇も,奪還作戦の犠牲

    者の現実も実感がなかった・・・・・でも,憲兵殺し事件はもう単なる犯罪じゃない。

    内戦はとっくに起こっていたんだ・・・・・」




    ジャン「・・・おいおい,お前までアルミンや白髪野郎みたいなことを言うか?大袈裟すぎだろ?」




    マルコ「―――――――ジャンだって認めたくないだけで,本当は分かっているんだろ?」




    ジャン「・・・ッ」




    マルコ「僕だって,ジャンと同じで内地に住んで前線から離れたい気持ちもある・・・・」




    マルコ「けど,内地が戦いと無縁な安全な場所だなんて,只の思い込みでしかない・・・・」




    ジャン「・・・だったらどうするんだ? 憲兵をあきらめて前線に留まるのか?」




    マルコ「・・・・・・」




    ジャン「俺もお前も,巨人から逃げたいだけの臆病者さ。あいつ等とは違う・・・・」チラ






    アルミン「~~~~」
    ライナー「~~~~~~~」
    ミカサ「――――」





  140. 145 : : 2017/04/30(日) 05:36:18

    ジャン「ああ,お前の言うとおりアルミンは強い奴だよ。

    少なくとも俺なんかよりずっと強い・・・・そういう目に遭ってまだ巨人と戦おうとするんだ。

    ミカサやライナーみたいな実力という裏づけが無いのに出来ると信じてんだからな」


    ジャン「俺はあいつ等みたいにはなれない・・・・当然だろ?

    相手は俺たちを生きたまま食おうとするバケモノなんだぞ?逃げたくないわけない。

    自分が一番かわいいし,巨人が攻めてきたら人類なんかより

    自分や身内の安全を優占するだろな・・・・」




    ジャン「でもそれは可笑しいことか?」




    マルコ「・・・・・」




    ジャン「弱いやつに周りを気にかける余裕があるわけがねえ。

    自分のことで手いっぱいだってのによ・・・・俺は大局のために自分を犠牲に

    するような高潔な人間にはなれねえ・・・・・お前はどうか分かんねえけどな」







  141. 146 : : 2017/04/30(日) 20:49:43

    ジャン「俺は憲兵団に入るぜ・・・たとえ殺人鬼を相手にすることになろうがな。

    お前はどうする,マルコ。」




    マルコ「・・・・僕も同じだよ。絶対に入って見せる。

    自分のためにも,人類のためにも,憲兵になってこの現実を変えてやるさ」




    ジャン「お互い腹をくくったな・・・・・なぁに,お前は皆のことがよく見えてる。

    お前が憲兵の指揮官になれば殺人鬼だろうが強盗だろうがあっという間にお縄さ!

    よろしく頼むぜ? 未来の隊長さんよ!」




    マルコ「・・・・・・僕にはジャンのほうが指揮官役に向いてると思うけどな」




    ジャン「はぁ・・・? 冗談かそりゃ?」




    マルコ「怒らないで聞いてほしいんだけど,ミカサや他の上位者と違ってジャンは弱い人だ。

    僕と同じでね・・・・・・だからこそ命令を下す立場にふさわしいと思う。」




    ジャン「分かんねえな・・・・指揮官がこんなヘタレじゃあ,俺が部下でも不安になるぜ?」




    マルコ「本当に強い人なんて,兵士の中でもほんの一握りさ。そんな強い人には,

    大抵の弱い側の人たちの気持ちは解かりにくいと思う・・・・・でも,ジャンは自分が弱いと

    自覚しているから,きっと弱い人たちの目線で命令を出せると思う。

    僕が部下なら,そういう上官や隊長の命令になら,きっと納得して従えると思うんだ・・・・

    たとえその結果が,自分や仲間の戦死であっても・・・・・・・」




    ジャン「よせよ・・・・縁起でもねえこと言うな」




    マルコ「・・・・ジャンは普段から余計なひと言が多いし,捻くれてるし,喧嘩っ早くて,

    正直に言って好かれるような人間じゃない。」




    ジャン「おい,ヒドくね・・・? 泣いていいか?」




    マルコ「でも自分が何をすべきかをよく分かっている・・・・僕はジャンを誰より信頼してるよ」




  142. 147 : : 2017/05/03(水) 18:16:37

    ―――ガチャ

    「ファ~・・・」



    ザワ…

    「「「シディアス!」」」




    シディアス「よぉ・・・飯はまだ残ってるか?」




    ライナー「ようやく起きてきたか・・・もう大丈夫なのか?」




    シディアス「まーな・・・疲れただけだったから。午後からは参加する。」




    アルミン「そっか。元気になって良かったよ。午前中に座学があったんだ。

    ノートを 「「アルミン」」

    ああ~・・・・・僕のは急いでとったから見辛いかなぁ~・・・・」アセアセ




    シディアス「ん? よお,お前ら! さっきは見舞いに来てくれてありがとな!」




    ミカサ「当然のことをしたまで。元気そうで良かった」




    アニ「思ったより丈夫だね・・・・今日一日起きてこないと思ったのに」




    シディアス「そんなにヤワじゃねえよ,お世話さん。」




    アニミカ「「それとこれ」」ズズイ




    アニ「!!」

    ミカサ「!!」




    シディアス「ノート?」




    ミカサ「アニ・・・私はシディアスに助けてもらった恩返しがしたい。ので,ここは引っ込んでいて欲しいのだけど」ゴゴゴゴゴゴ

    アニ「私もここ数日の格闘訓練でちょっと疲れさせた責任があるんでね・・・あんたが引っ込めば?」ゴゴゴゴゴゴ




    シディアス(・・・・なんだこの空気?)




    サシャ「あのぉ~・・・」ヒョコ




  143. 148 : : 2017/05/03(水) 18:17:34

    シディアス「よおサシャ!お前も見舞いに来てくれたらしいな。悪いな,起きてなくて」




    サシャ「い,いえ! こっちが勝手にやったことですから・・・・・それはそうと,これどうぞ」ス




    シディアス「これ・・・昨日の干し肉か? とっておいたのか?」




    サシャ「シディアスは晩御飯無しだったので・・・・せめてこれだけでもと思って・・・・・

    こ,今回は遠慮する必要ないです! もともとこれはシディアスの分ですから!

    さぁどうぞ!」ズイ




    シディアス「・・・・・・」



    ポン



    サシャ「ほへ?」



    ナデナデ



    シディアス「ありがとな,サシャ。ありがたく食わせてもらうよ」サスサス




  144. 149 : : 2017/05/04(木) 14:31:49

    サシャ「あ・・・・・・・」///



    シディアス「今度は2切れ食えるくらい撃ち落してやっからな! 楽しみにしてろよ?」




    サシャ「ヒャ,ひゃい・・・・失礼します!」クル

    スタタタ…



    シディアス「さて,午後は格闘訓練と立体起動だったな・・・おいアニ!」




    アニ「――ハッ! な,なんだい?」

    ミカサ「・・・・」




    シディアス「ノートだけど,ミカサのを見せて貰うからさ,今回は遠慮する。

    済まねえな・・・・」




    アニ「そう・・・まぁ気にしなくていいよ。私が勝手にしたことだからさ・・・」




    シディアス「悪い。けど,このあとの格闘訓練はよろしく頼むぜ?」




    アニ「フ・・・・・へばらない様にしっかり食って体力つけなよ? じゃ・・・また後で」




    シディアス「おう! じゃ,ミカサ。ノート借りるぜ?」




    ミカサ「う,うん。・・・どうぞ///」ス




    シディアス「サンキュー」











    ジャン「けッ・・・・先に行くぜ。あとでな,マルコ」ガタ




    マルコ「うん,またね」




    マルコ(ミカサの事故の後から,ジャンもずいぶん変わったな・・・・君の影響かな,シディアス)チラ




    ワイワイ

    ミカサ「-------------,----------」
    シディアス「~~~~~~~,~~~~~~~~~~」
    アルミン「~~~~~~~~~~~~~~~」




    マルコ(ジャンだけじゃない・・・・ミカサやサシャ,アニやコニー達も・・・・・・

    君の周りにいる人たちの意識が少しずつ変わってきている―――




    ――――――君は一体,何者なんだい?)






  145. 150 : : 2017/05/04(木) 21:30:54

    サシャ「///」ボー




    ミーナ「ねえねえ,クリスタ。もしかしてサシャ,シディアスのことが・・・・」




    クリスタ「えと・・・・私にはちょっと分からない,かな・・・・」




    ミーナ「どう見たってホの字だよ!

    だってあのサシャが人に食べ物を分けようとするなんて,他に理由は考えられないよ!」




    ユミル「ま・・・食い意地張ったこいつが,唯一あいつにだけは飯を分け与えるからな。

    さっきあいつに撫でられてたときは笑えたな。芋女が蒸し芋女になるんだからよぉ?」ケラケラ




    ミーナ「でも,サシャも大変だね・・・シディアスの周りにはミカサとアニがいるもの」




    クリスタ「・・・・・・・シディアスのまわりはいつも賑やかだね」




    ユミル「・・・・クリスタ?」




    クリスタ「シディアスは皆をいい方向に引っ張るから,皆に必要とされてる・・・・」




    ミーナ「そういえば,シディアスと班が一緒になると何故か調子が良くなるんだよねぇ・・・

    訓練の点数が上がったり,怪我をしなくなったり・・・・・もしかして幸運の妖精さん?」




    ユミル「ま・・・私にはもう専用の幸運の女神さまがいるから間に合っているがな。

    なぁ,クリスタ!」ギュゥ~~ ワシワシ




    クリスタ「・・・・・・」ジ…







    シディアス「~~~~~~~~~,~~~~~」

    ドッ! アハハハハハ… ワイワイ






    ユミル「――――ったく!(面白くねえ・・・)」









  146. 151 : : 2017/05/04(木) 21:59:23



    3年に渡る訓練期間も終わりが近づき,成績優秀者の順位に変動が無くなりつつあった。
    そして104期訓練兵団は卒業試験を終え,解散式を迎えた―――――――――







    ――――――850年
    トロスト区

    カツ カツ カツ

    教官「総員,直れ!!」



    訓練兵「「「「」」」」ザッ





    教官「本日をもって,貴様ら104期兵の訓練課程は修了した!

    今この場にいる,卒業試験に合格した192名は,所属希望調査ののち,

    それぞれの希望する兵団の兵士として編入される!

    今この瞬間にも,あの超大型巨人が壁を破壊しに来てもおかしくはない。

    その時こそ諸君らは生産者に代わり,巨人という脅威に立ち向かうのだ!

    今より発表する,成績優秀者上位10名は前へ!」





    第1位,ミカサ・アッカーマン

    第2位 ライナー・ブラウン

    第3位 ベルトルト・フーバー

    第4位 アニ・レオンハート

    第5位 ジャン・キルシュタイン

    第6位 マルコ・ボット

    第7位 コニー・スプリンガー

    第8位 サシャ・ブラウス

    第9位 クリスタ・レンズ

    第10位 ユミル





    教官「以上10名は憲兵団へ入団する権利が与えられる。

    後日,配属兵科を問う。 これにて第104期訓練兵団解散式を終える・・・以上!」




  147. 152 : : 2017/05/04(木) 22:27:38

    ―――トロスト区

    ガヤガヤ

    モブ「いーよなお前らは。 10番以内に入れてよ!どーせ憲兵団に入るんだろ?」




    ジャン「はぁ?当たり前だろ・・・何のために10番内を目指したと思ってるんだ」ニヤリ




    マルコ「これで憲兵になれる・・・ここから人類存続のために働くんだ・・・」




    ジャン「相変わらずお前は真面目だな,マルコ・・・」ガシッ




    マルコ「ぶっ!」




    ジャン「やっとこのクッソ息苦しい最前線の街から脱出出来るんだぞ!」

    ジャン「もっと喜べよ!内地での安全で快適な暮らしがオレ達を待ってんだ!

    巨人や口減らしの心配と無縁の人生を手に入れたんだ・・・・」




    マルコ「おい,ジャン!」






    「「「「「「―――――――」」」」」」




    シディアス「・・・・(まーだ言ってら)」モグモグ







    ジャン「ああ,悪い悪い。そりゃあ上位になれなかった奴は喜べやしねえよな・・・・

    けど,どうせお前らの殆どは駐屯兵団希望だろ? 頑張って評価を上げてりゃ,

    そのうち憲兵団に転向出来るかもしれねえぜ?」


    ジャン「万が一にも,調査兵団なんかを選ぶような自殺願望を持った奴はいねえよな?」




    ・・・・・・・・・・・・




    ―――ガタ







    「なら,私は自殺願望があると言うことになる」







    ジャン「ミカサ・・・」







    ミカサ「もっとも,私は強いからたとえ願っていても死ねないだろうけど」





  148. 154 : : 2017/05/04(木) 23:04:03


    ジャン「お前がここにいる誰より強いってのは,よーく分かってるさ・・・・

    ―――――――けどな,毎度の壁外調査で半数以上が戦死してるんだ!

    今度の調査で出る犠牲者に,お前が含まれていないって保障はねえんだぞ!?」




    ミカサ「――――」

    アルミン「・・・・・・・」




    ジャン「なぁ・・・・・・・・何も死にに行く事はねえだろ?

    俺たちは安全な人生を手にするチャンスをつかんだ・・・・皆が欲しいと願っていても,

    殆んどが弾かれちまう門をくぐる資格だ・・・・・・」


    ジャン「なのにお前は非現実的な夢のために,それを捨てるのか?

    お前がこれから歩むはずの幸せを引き換えにする価値が,壁の外にはあるのか?」


    ジャン「どうせ人間はいつか死ぬんだ・・・・・それまで楽な生き方で過ごすのは悪いことか?

    お前ももっと楽になれよ。 それでよ―――――――

    一緒に内地に行って面白おかしく過ごそうぜ?」




    ミカサ「―――」




    ジャン「・・・・・・・」




    アルミン(・・・・・)

    104期兵「「「「・・・・・」」」」










    ミカサ「ジャンの言うことは,正しい・・・・憲兵団に入るのが,正解だと思う。」




    アルミン(ミカサ・・・・)




    ジャン「・・・・へへ,そうだろ? なら俺と一緒に「でも―――――」




    ミカサ「私は調査兵団に入る・・・・・たとえそれが間違った生き方であっても」



  149. 155 : : 2017/05/05(金) 05:54:52

    ジャン「何でだ・・・・何でそこまで調査兵団にこだわるんだよ!?」




    ミカサ「奪われたものを奪い返すのに理由はいらないはず」




    ジャン「ッ! ・・・・・いい加減目を覚ましてくれよ,ミカサ。

    巨人に食われて死んだ人間をどうやって取り返す? お前の家族だって,お前が死に急ぐの

    を望んではいなかったはずだ。

    無くなっちまったものはどんなに手を伸ばそうが取れねえんだ!」




    ミカサ「―――まだ手にできるものは残っている」







    ミカサ「この閉ざされた壁の向こうにある自由を取り戻し,今まで犠牲になった人々の

    死に意味を与えられる。」




    アルミン「・・・・」








    ミカサ「 巨人に食われた人たちの死は無意味? 彼らは無駄に死んでいった?

    貴方はそう決めつけているけど,彼らの死が無意味かどうかはまだ決まっていない」


    ミカサ「私たちが知りえた巨人の知識は,多くの犠牲と引き換えて得られた。

    その教訓を活かすこと無く,巨人から逃げるのなら,ジャンの言うとおり

    彼らの死に意味は無いだろう。」


    ミカサ「でも,今までの敗北のなかで得られた情報は確実に次の希望へ繋がる。

    マリアを奪還し,いつか人類が巨人を滅ぼせれば,彼らの犠牲は無意味ではなくなる。

    戦術の発達を放棄して自由を手放し,ただ巨人の被食者として脅えて生きるなど,

    私には耐えられない!」





  150. 156 : : 2017/05/05(金) 06:37:36

    アルミン「――――僕も調査兵団に入るよ」




    「「「「!!!」」」」ザワ…


    ミカサ「アルミン・・・・・」




    ジャン「はぁ? お前がか?」




    アルミン「僕はミカサのように強くないし,10位以内に入れる実力もないから,

    巨人のエサで終わるかもしれないけど・・・・」




    シディアス「・・・・・」




    アルミン「それでも僕は親友との約束を果たしたい・・・・壁の外にある,見たことのない

    世界を見られれば,僕らは誰よりも自由になれるんだ!」







    ライナー「なら,俺も自殺希望組だな・・・・」グビ




    アルミン「!!!」

    ジャン「ライナー!?」




    ベルトルト「・・・・」
    アニ「・・・・」
    サシャ「・・・・」
    コニー「・・・・」






  151. 157 : : 2017/05/05(金) 06:39:14


    アルミン「君はせっかく2位になれたんだぞ・・・・どうして・・・・?」




    ライナー「俺も譲れないものが壁外にはあるからな・・・・協力するぜ,アルミン。」




    アルミン「―――うん! 力を貸して欲しい!」





    ジャン「何なんだよ・・・・内地に行けるってのに,なんでお前はその権利を手放す!?

    どうかしてるぜ!?」












    「そんなに目くじら立てんなよ・・・・誰もお前が間違ってるなんて言ってないだろ?」

    ―――――シュボ





    「「「「―――!」」」」






    シディアス「スウゥゥ… フゥー…」モクモク


    シディアス「あ゙あ゙~~・・・やっぱ飲んだ後の一服は美味い・・・・」スパー…




  152. 158 : : 2017/05/05(金) 06:51:56

    サシャ「ゴホッ! ちょっとシディアス! 煙草なんて体に悪いです!

    まだ私たち未成年ですよ!?」





    シディアス「硬いこと言うなよ・・・・酒も振る舞われてんだから,一本くらい良いだろ?

    明日からは俺らも兵士の仲間入りだ・・・・ちょっとくらい羽目外したって構わねえさ」モクモク





    シディアス「・・・まぁ落ち着けよお前ら。別にお互いの言っていることは間違ってはいねえだろ?」





  153. 159 : : 2017/05/05(金) 07:04:55

    シディアス「人間,考え方や生き方は一人一人違う。主義主張が異なって当然だろ?

    そんなのにいちいち目くじら立てていたら不毛だ。」


    シディアス「それよりせっかくの門出だ,お互いの夢について語り合おうぜ?」




    ミカサ「・・・・その通りだ,私も冷静ではなかった。 ごめんなさい」スト…




    ジャン「・・・・チッ」イラ




  154. 160 : : 2017/05/05(金) 16:43:32
    ――――――
    ―――


    ガヤガヤ

    シディアス「それにしても,ライナーは調査兵団に入るのか・・・早死にすんじゃねえぞ?」




    ライナー「心配すんな。俺は簡単には死なねえよ」




    シディアス「それにしても,アルミンもったいねえな・・・

    お前,教官に技巧行けって薦められてたじゃねえか。無理に前線で戦わなくたって,

    自分の長所を生かして貢献することもできるんだぜ?」




    アルミン「・・・技巧に行っても壁外には行けないからね。大丈夫さ,きっと僕にもできることを見つけるよ!」




    シディアス「そっか・・・・ちゃんと帰って来いよ? 景気付けだ,やれよ!」トクトク




    アルミン「え!? ちょっと,僕弱いからそんなに注がなくていいよ!」




    シディアス「良いから呑めよ! 一度くらい二日酔いってのを味わってみろ!」




    アルミン「味わわなくていいよ!」



    ガハハハ ギャー ワイワイ













    ガチャ―――

    教官「シディアス新兵! 居るか?」
  155. 161 : : 2017/05/05(金) 16:45:08

    シディアス「ブフッ! ゴホ! ケホ!・・・・・ は! ここにおります!」







    教官「貴様に客だ・・・直ちに内門の詰所に行け!」

    バタン―――







    ザワザワ

    シディアス「客? 俺に?」




    ライナー「なんだ?どっかで女でもひっかけたのか?」




    シディアス「ちげーよ。 心当たりはねえけどな・・・・ちょっと行ってくる。済んだらまた飲もうぜ!」

    スタタタ―――バタン



    アルミン「お客って・・・誰だろね?」


    ライナー「俺は女だと思うぜ」


    サシャ「食糧庫を漁ってバレたんじゃないでしょうか?」


    ユミル「お前じゃねえんだ,芋女!」


    コニー「この前のジャンのかぁちゃんみたいに身内が来たんじゃねえのか?」


    ジャン「やめろ! 思い出させんな!!」


    アニ「・・・・・・・・・・・・・・あいつに家族はいないはずだよ」


    サシャ「!」





  156. 162 : : 2017/05/05(金) 16:46:22

    クリスタ「・・・・」


    ミーナ「え? なにそれ,初耳だけど?」


    ライナー「・・・・あいつは5年前の襲撃以前の事を覚えていないそうだ」


    トーマス「そうか・・・・それであいつ名字を名乗らなかったのか」


    ユミル「・・・・・・」











    ―――トロスト区内門

    シディアス「着いたか・・・・」

    (それにしても・・・・俺に訓練兵以外の知り合いなんて居なかったと思うんだが)

    ・・・・・まぁ,会ってみりゃわかるか――――――――――――――――ッ!!!!!」







    「馬車」×2





    シディアス「(何でここに憲兵団の馬車が・・・・・・しかもあの刻印,王都勤務の兵士用の

    馬車だ)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」チラ
  157. 163 : : 2017/05/05(金) 16:47:22


    ―――――――――



    シディアス「・・・・・・・・・(周囲には兵士の気配はない――――中で待機しているか・・・)」

    [拳銃] ス…

    シディアス「(無視して離れても,見当違いだったら後で命令違反を咎められるな・・・・)








    ――――――――――腹くくるしかねえな」ザ…








    ドンドン

  158. 164 : : 2017/05/05(金) 21:07:44
    ――――入りたまえ』



    ガチャ―――


    シディアス「失礼します。シディアス新兵,参りました!」





    「はじめまして,シディアス。

    私は中央第一憲兵の特務治安部隊のトラウテ・カーフェンだ。此方は私の上司で,

    治安部隊隊長のアッ「アルバートだ・・・よろしくな小僧」




    トラウテ「・・・・コホン,このような時に呼びつけてすまなかった。なにぶんこちらも

    多忙でね。 話の本題に入る前に君には一つの誓約をしてほしい」




    シディアス「誓約?・・・・と,言いますと?」




    トラウテ「――――今回我々がここに居るのは,王政の超法規的判断が下された為であり,混乱を避けるためにも一般市民はおろか,他兵団にもこの案件は内密にして貰わなければ
    ならない。そのための誓約だ・・・・」ス




    シディアス「・・・・・・・・・・」ピラ




    トラウテ「この書類の各項目を十分に理解した上で,了承して貰えるのならば署名をして欲しい」


    アルバート「要するに此方の話に乗ろうと乗るまいと,俺達が今日ここでお前さんと

    会ったことはねえってことだ・・・・・」




    シディアス「・・・・・なるほど。(俺を逮捕しに来たってわけじゃなさそうだな・・・)

    ・・・わざわざ足を運んで下さったのを,徒労に終わらせる訳にはいきませんね・・・」サラサラ




    シディアス「どうぞ」ペラ







    トラウテ「・・・・結構。それでは本題に入ろう。我々が今日ここへ来た目的は―――











    ―――君を中央憲兵へ勧誘する為だ」




  159. 165 : : 2017/05/05(金) 22:56:49

    シディアス「・・・・・・・・・・・」







    シディアス「ええっと・・・・・・・・・・人違いじゃありませんか?

    俺は成績上位10名どころか,ようやく20位台の新兵ですよ?」




    トラウテ「シディアス新兵・・・・生年月日出身地,家族構成等の記録は紛失。

    本人もシディアスという自称以外,845年以前の記憶を喪失している。

    847年4月にローゼ南方方面軍訓練兵団に入団。最終卒団順位21位。

    身体的特徴は白髪に翡眼。」



    トラウテ「確かに通常の兵団採用基準においても,本来であれば身元のはっきりしない君は

    憲兵団すら採用されることは不可能だった。成績順位も10位未満とあれば尚更だ。」



  160. 166 : : 2017/05/05(金) 23:15:48


    シディアス「なら・・・」





    「・・・だが,それらを差し引いても,君の訓練成績が示す実力を我々は高く評価している。」





    アルバート「――――」

    シディアス「・・・・・」




    トラウテ「現在の訓練兵団では,対巨人戦闘技能たる立体起動の成績が高く評価され,

    次いで馬術,砲科が重要視される。もちろん憲兵に採用される者もこの評価は適用される。

    だが,我々中央憲兵をはじめとする王都所属の兵士は,巨人以上に不穏分子や組織犯罪の

    脅威に対応する必要に迫られている。」




    シディアス「・・・・・」




    トラウテ「君の成績は立体起動が致命的に低いゆえにこの順位だが,射撃や対人格闘,

    砲科で極めて高い成績の保持者だ。しかも射撃の成績は全訓練兵団はおろか,

    憲兵団をはじめ全兵団の現役兵でさえ,君に匹敵する者がいない状況だ。

    弱点の立体起動においても,スコアとなる斬撃の失敗を除けばかなり高い技能を保持している。」



  161. 168 : : 2017/05/06(土) 17:42:36
    アルバート「・・・つまりおめえさんは対人間に関しちゃ,新兵の中で最高の戦力になるわけだ。

    それほどの逸材を巨人相手に使いつぶすよか,俺達の部隊で能力を活用しては,

    って話になったんで,こうしてスカウトしに来たわけだ・・・・破格の待遇でな」




    シディアス「・・・・話は分かりました。しかし自分は「オイ―――」




    アルバート「そのまどろっこしい取繕った敬語は止めろ。

    今この場でお前は誰とも会っていねえ・・・・・ならお前がここでどんな『独り言』を利こうが気にする奴なんざいやしねえ」










    シディアス「・・・・・・・・・・―――――――――――――







  162. 169 : : 2017/05/06(土) 17:48:33




    ――――――――ぶっちゃけると,俺はやんごとなき方々の気持ちを酌むのは苦手なんですよ。

    なんせ育ちが上品じゃないもんで。そんな奴らのご機嫌を伺って窮屈な暮らしをするくらいなら,

    前線でバカ共と騒いでる方が楽なんですよ・・・・・・・・」




    ――――――――
    ―――――――――――――――――




    アルバート「クッ,ククク・・・・ダハッ! ハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」ゲラゲラ




    シディアス「・・・・・・・・・・」




    アルバート「クククク,ふぅ――・・・・・



    ・・・・・・・・・・・気に入ったぜ,小僧――――――――――――全くもって同感だ」




    トラウテ「・・・・・・・」




    アルバート「腕っぷしも頭も劣る,着飾った豚の使いっぱしりなんざまっぴらだ。

    そういう奴らを見ると虫唾が走ってしょうがねえ・・・・・・・・・・お前もそうだろ?」ニヤリ




    シディアス「――――――かもしれませんね」ニヤ…







  163. 170 : : 2017/05/07(日) 02:34:51
    物凄く面白いです
    期待しています
  164. 172 : : 2017/05/07(日) 22:48:39

    アルバート「安心しろ小僧・・・・俺の部隊は御偉方の小間使いなんぞやらねえ・・・・

    なんせ俺が率いるんだからな・・・・取りあえず給料は弾む。通常の憲兵の6割増しだ。

    特別任務には別に手当もつける。

    後は此方で見当をつけた害虫を駆除するだけの簡単なお仕事だ。



    ――――まぁ,今この場で決めろなんて言うつもりはねえ・・・・・・

    その気になったら所属希望調査の前日までにこの書類にサインして詰所に持って来い。」ピッ




    シディアス「・・・・っと」パシ




    アルバート「酒の席で呼びだして悪かったな。こいつは迷惑料代わりだ,持って行け」ゴト




    シディアス「こいつはどうも・・・・アルバートさん,あんたは酒の趣味がいい。ありがたく頂きますよ。」ヒョイ




    アルバート「おめえさんの煙草の趣味もなかなかいい・・・・在庫を大事にするんだな」




    シディアス「――――――――ところでアルバートさん。

    俺みたいなガキに治安部隊なんかが務まると本気で思っているですか?

    いざって時に引鉄を引くのを躊躇するかもしれませんよ?」




    アルバート「しねえさ。」




    シディアス「何故?」




    アルバート「俺がそう思うからだ―――――――――









    ―――――――――――――――――――――――同類を見間違えるハズがねえだろ?」










    シディアス「・・・・・・・・・・それじゃ,期日までに検討はします。でも期待しないでくださいね?」ニコ



    アルバート「良い返事を待ってるぜ・・・・」ニカッ





    バタン―――



  165. 173 : : 2017/05/07(日) 23:10:14






    トラウテ「・・・・・・ずいぶんと気に入られたようですね,『アルバート隊長』?」




    アルバート「ククク…そう見えるか? カーフェン,奴の目を見たか?」




    トラウテ「―――? ・・・・・さぁ? どうかしたんですか?」




    アルバート「――――――――――猫の皮を剥ごうとして,得体の知れねえバケモノを見た気分だ。

    冷や汗掻いたぜ・・・・」




    トラウテ「――――もしも蹴った場合はどうします? 消しますか?」




    アルバート「様子見だな・・・・まぁ,返事を待つとしよう。

    ・・・・そんじゃ,俺らも戻るぜ。

    ――――おいお前ら! 引き揚げるぞ!」ドンドン



    ガチャ――――


    ゾロゾロ

    「やれやれ。俺たちは結局出番なしですか?」
    「隊長が完全装備で来いっていうからどんな奴かと思ったら,あんなガキだったとは・・・」




    トラウテ「隊長が自ら対人制圧部隊に勧誘するくらいだ,何か思う所がおありなのだろう。

    でしょう,ケニー?」










    ケニー「・・・・さぁな。――――――今日は付き合わせて悪かったな。俺が奢ってやる」





  166. 174 : : 2017/05/07(日) 23:20:37

    スタスタ

    シディアス(まさか煙草の残り香に気付かれるとは,俺も油断してたな・・・・

    ――――――あの男,俺を“同類”と呼んだ・・・・・・・気付いた上で誘った?

    それとも単にカマをかけたのか・・・・・・・・)




    シディアス「なんにせよ,厄介なのに目を付けられたな・・・・・・・」




  167. 175 : : 2017/05/09(火) 23:11:27

    ――――――今更驚くことかよ? あれだけの事をしでかしておいて,奴等がお前を放っておくかよ?」




    シディアス「・・・・・・・・・あれをやったのはお前だ,俺じゃない」




    「水クセえ事言うなよ・・・・俺達は一心同体だろ? 安心しろよ・・・・ヤバくなったら

    何時でも俺が助けてやる――――――――――あの時みたいにな」ニタ…




    シディアス「もういい・・・・・今日はお前と話したくはない」




    「へーへー,消えますともさ。 どうせ俺は,お前に都合のいい汚れ役さ―――――――――――――――












    ――――――――――――――――――――――――――お前の,純粋で騙され易い『仲間』達と同じでな」




    シディアス「違う,あいつ等は――――――――」













    「ねえ」





  168. 176 : : 2017/05/09(火) 23:50:29

    シディアス「ッ! ――――――――アニか。」




    アニ「また独り言? 癖なら早いうちに直さないと苦労するよ」




    シディアス「ああ・・・・・肝に銘じておく。 こんな所でどうした? まだお開きには早過ぎないか?」




    アニ「ちょっと酔い醒ましに夜風に当たりに出たんだよ。そしたらブツブツ独り言をいう不審者を見つけてね」




    シディアス「・・・・・・なら戻ろうぜ。今しがた良い酒を手に入れたんでな。帰ったら一緒に飲もう」ス




    アニ「・・・・・・あんたにこんな高い酒を仕入れるつてがあるとは思わなかったよ。誰に貰ったんだい? 食糧難のこの時世に・・・・・・」




    シディアス「別に誰だっていいだろ?」




    アニ「・・・・・・・」









  169. 177 : : 2017/05/09(火) 23:52:25

    アニ「・・・・・・私は5日後には憲兵になる。 もしこれが窃盗により得たものなら―――」




    シディアス「ちげーよ! 正当な取引の結果だ!」




    アニ「だったら隠すことないだろ? どの道こんな良い酒を持って帰ったら質問攻めにされるよ?

    言いなよ,こんなのを贈ってくれる良い人を・・・・・・・・・」




    シディアス「・・・・以前面倒見てもらってた酒場の店主からだ。訓練兵団に入る前に世話になってた,な。

    これは卒団のお祝いだ。――――――これでいいか?」




    アニ「・・・・・・」ジ…












    アニ「ま・・・・・それで納得してあげるよ」フゥ




    シディアス「お前,最近ミカサに似てきたな・・・・」




    アニ「なんか言ったかい?」ギロ




    シディアス「いいや何も?」




    アニ「こんなか弱い乙女をあんな猛獣と一緒にするなんて,あんたはつくづく進歩ないね」ハァ




    シディアス「お前,今俺より酷いこと言ってないか・・・・・・

    (お前もミカサも,カテゴリーは同じ女じゃねえか―――――)」ゴソゴソ


    シャッ シャッ…

    ――――――シュボ


    アニ「・・・・・」


    チリチリ


    シディアス「―――――――なんだよ?」フゥー…




    アニ「それ,訓練の間も吸ってたの?」




    シディアス「まぁな・・・・・・つっても月に一回だけだったがな。 お前も吸うか?一本やるぞ?」




    アニ「女の子にそんな身体に悪いものを勧めるなんて,マナーがなってないよ」




    シディアス「体に良い物ばっか摂ってるとモヤシになっちまうぜ?適度に毒も食っておくと薬になるもんさ。」モクモク




    アニ「だからって「スッキリ出来るぞ? ―――――今のお前には良いんじゃないかと思ってな」










  170. 178 : : 2017/05/10(水) 00:35:53

    ――――――――――――――――――――――――――




    シディアス「やたら口数が多いのは,酒の所為ってだけじゃねえんだろ?

    何を思いつめてるんだ? 俺でよけりゃ相談に乗るぞ?」




    アニ「・・・・・・・・」



    ―――――ペシ―――――





    シディアス「あ・・・・」




    アニ「・・・・・スゥウウ――――――――

    ―――――――ッ!!!




    アニ「 ゲホッ!! カホッ!! ゴホ,ゴホ!! 」




    シディアス「バカ,いっぺんに吸い込む奴があるかよ・・・・・・・」サスサス




    アニ(涙目)「けほ――――却って頭が痛くなったよ,こんな苦くて渋くて煙いだけのもの・・・」




    シディアス「わるいわるい。ちゃんと吸って味わえば良さがわかるぜ。」




    アニ「全く――――――」ス




    シディアス「―――ああっと捨てるな! この煙草は貴重なんだ!」




    アニ「棄てた方があんたのためになるとおもうよ。何処が良いんだよ,こんなの・・・・

    カッコつけて吸ってるだけなら止めた方がいいよ」




    シディアス「捨てるくらいなら売るわ! いくらすると思って―――おっと・・・・」






  171. 179 : : 2017/05/10(水) 00:43:04




    アニ「・・・・・ま,聴かなかったことにするよ・・・・・―――――――ねぇ」




    シディアス「ん?」




    アニ「・・・・・・あんたは大事な人が死ななければならない運命にあるとき,どうやってそれを受け入れる?」




    シディアス「・・・・?(友達が調査兵団にでも行くのか?)

    受け入れるのは前提か? 死なないように防げば良いじゃねえか」




    アニ「例えば・・・・ジャンはミカサに調査兵団に入って欲しくない様だけど,ミカサは絶対に聞き入れない」


    アニ「でもジャンもミカサを追って憲兵団を諦めるなんて出来ない・・・・・・いつかミカサが死んでしまうのは確実。

    ジャンはそれを分かっていてもミカサを口でも力尽くでも止められない。自分は見ている

    ことしかできない」


    アニ「―――――もしあんたがジャンの立場なら,どうやって折り合いをつける?」




    シディアス「・・・・・友人を置いて内地に一人だけ行くのが辛いのか?」




    アニ「・・・・・・・・・・・・まぁ,そう思ってくれていいよ」




    シディアス「止められないなら―――――――せめて最後を見届ければいい」




    アニ「・・・・・・・・」




    シディアス「もう自分の手で止められないなら,そいつが迎える最期を目に焼き付けて,

    忘れないでいてやる。それくらいしか思いつかないな」




    アニ「・・・・・・・・・・・あんたに相談したのは外れだったね。答えになってないじゃないか」




    シディアス「悪いな。こんなことしか言えなくてよ・・・・」




    アニ「・・・・・・・・あんたは駐屯兵団に入るの?」




    シディアス「そうなるかな・・・・アルミンみたいに壁外に興味があるわけでもねえし,

    憲兵団は順位がな――――――――――
















    アルバート『良い返事を待ってるぜ・・・・』






    シディアス「・・・・・・・まぁ駐屯兵団は憲兵団の下部組織みたいなもんだし,たまには会えるかもな! 」




    アニ「・・・・・・・・あんたに会いたいなんて言った覚えはないけど?」




    シディアス「こりゃ手厳しい・・・・」ポリポリ


















    アニ「フ・・・・・返すよ」ス



  172. 180 : : 2017/05/10(水) 00:50:23

    シディアス「おっと・・・」パク




    アニ「先に戻ってる。早く酒持ってきなよ」クル




    シディアス「おいおい,持ってくれねえのかよ・・・・」


    スタスタスタ…





    シディアス「行っちまった・・・・・・・あいつも色々あるんだな。」スパー…








  173. 181 : : 2017/05/10(水) 00:51:03

    テクテク

    シディアス「あ・・・・・・・・・」


    シディアス(この煙草,アニが咥えたやつ――――――






    ―――――――――――まぁいいか・・・」







  174. 182 : : 2017/05/11(木) 23:55:02

    ガヤガヤ

    トーマス「明日からはいよいよ正規の兵士か・・・・手当が出たら訓練所よりはマシなモンが食いたいな」


    ミーナ「あの薄いスープもぱさぱさで石みたいなパンも,もう食べることがないと思うと

    なんだか感慨があるね」


    ナック「シディアスが撃ち落した鴨が週一で出るのはマジで救いだったよな~」


    サシャ「・・・・・シディアスにはお世話になりっぱなしでしたね」


    コニー「あいつがいると何だか良いことばかり起きるもんな!」


    ミーナ「温泉を掘り当てた時はビックリしたよ!夏場なんかはほんとに助かったよねぇ~」


    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    ~~~~~~~~~~
    ~~~~

    ミーナ「はぁー・・・面倒くさいなぁ」チャガチャ



    シディアス「ようカロライナ。 何やってんだ?」


    ミーナ「あら,おはようシディアス。 実は当番で生ゴミを埋める穴を掘ってたんだけど,一緒のダズがへばっちゃったから一人でやることになっちゃったの」


    シディアス「あいつまた吐いたのか。 だらしのねえ野郎だなぁ・・・・」


    ミーナ「ホント,掃除の手伝いまでさせられて災難だったよ!
    あ~あ・・・・・・お風呂・・・入りたいなぁ・・・・・・」


    シディアス「今日の訓練終わるまで我慢しろよ。」


    ミーナ「水で体を洗うなんてお風呂じゃないよ。あったかいお湯に浸かりたいの!
    とっても気持ちいいんだよ~・・・・・・そんなの訓練所には無いけどね」


    シディアス「そんなに良い物なのか・・・・・・んー・・・」キョロキョロ


    ミーナ「シディアス? どうかしたの?」クビカシゲ


    シディアス「・・・よし。 丁度いい,俺も手伝ってやるよ」


    ミーナ「エ!? それは有難いけど,本当にいいの?」


    シディアス「何となく無性に穴掘りしてぇんだ」スコップヒョイ


    ミーナ「じゃあお願いするね」

    スタスタ







    シディアス「ん~と,ど・こ・が いいかねぇ~?」キョロキョロ


    ミーナ「ねぇ・・・いい加減あちこち歩いてないで掘りはじめようよ?」


    シディアス「もうちょいまってくれ。今見当つけてっからさ」トントン


    ミーナ「見当って・・・いったい何の?」


    シディアス「フンフン・・・よし!ここを掘ろう」


    ミーナ「ここって何があるのよ?」クビカシゲ


    シディアス「何となくここを掘るといいことありそうなんだよ。さ,やろうぜ」ザク ザク


    ミーナ「まぁ良いわ」ザク ザク





    一時間後

    ミーナ「ゼェ,ゼェ ねぇ~いい加減もういいんじゃないの?」グッタリ


    シディアス「まぁ待て。 もうすぐ終わりそうだからよ」ザクザク


    ミーナ「もう2m位は掘ったじゃないの・・・(疲れた~お風呂があればいいのになぁ~)」


    シディアス「こんなもんか・・・それじゃ仕上げと行くか」スゥ・・・






    グゴゴゴ




    ゴズン!!!




  175. 183 : : 2017/05/12(金) 00:06:46

    ミーナ「え!? 何? 今の音は?」


    ピシ ミシ ミシ


    シディアス「おーいカロライナ,離れるぞぉ~」スタスタ


    ゴボボゴボ


    ミーナ「シディアス!いったい何『ブシュウウウウウ!!!!』 ――キャー!?!?!?


    ゴボボボボボ! パラパラ

    シディアス「いやぁ~~ゴミ捨て穴掘ってて偶然温泉脈にぶち当たるなんて俺達ついてるな!
    なぁ,カロライナ!」


    ミーナ「」ボーゼン


    シディアス「早速教官に報告するか。 行こうぜカロライナ」スタスタ


    ミーナ「」


    ミーナ「エエエエエエエエ!?!?!?」



    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~
    ~~~~~~~~~~

    ミーナ「あれ以来女子はみんな大助かりだよ。」


    ライナー「すげえな・・・・サシャじゃねえけど,マジでアイツが幸運を運ぶ神様に見えてきた」


    ナック「正直,あいつのお蔭で死んだり脱落せずに済んだと思う。」


    コニー「怪我をした時の手当とかすげー上手だったよな。あいつホントは医者かなにかの息子じゃね?」


    ミカサ「・・・・・・・」




  176. 184 : : 2017/05/13(土) 23:18:48

    コニー「つーか,あいつが10位に入れないのが信じられねえよな・・・」


    アルミン「ライナーも頼りになってたけど,シディアスはなんだか居ると何か安心出来るよね」


    クリスタ「・・・・・・・・・・」









    「よせやい,照れるじゃねえか」







    サシャ「あ,おかえりなさい! 早かったですね!」


    シディアス「嬉しいことを言ってくれるじゃねえか?酒を追加するぜ」ゴト


    ライナー「おいおい・・・こんな高い酒どうやって手に入れたんだ?」


    シディアス「親切な知り合いがいてな・・・・卒団祝いにくれたんだ。 まぁ飲め。」


  177. 185 : : 2017/05/13(土) 23:19:54

    ワイワイ


    トーマス「お前らはどこを選ぶんだ?」


    ベルトルト「僕は憲兵団にするよ」


    アニ「・・・・・・・私も憲兵団」





    サシャ「・・・・・・」


    ミーナ「サシャ? どうしたの?」


    サシャ「いえ,なんでもないです・・・・」チラ









    シディアス「――――っと・・・・・ちょっと夜風にあたってくる」ヒック


    アルミン「一人で大丈夫かい?」


    ミカサ「肩を貸してもいいけど・・・」


    シディアス「心配ご無用! おれぁまだまだ呑まれていねえからな!」フラ…






    バタン―――――






  178. 186 : : 2017/05/13(土) 23:21:39

    ヒュウウ…

    シディアス「フゥ――――・・・・久々に飲んだな・・・・」ヒック









    ――――――ちょっと話せるか?」


    シディアス「今度はお前か・・・・何の用だ,ジャン」


    ジャン「・・・・お前に頼みてえことがある」


    シディアス「こいつは珍しい・・・・お前が俺に頼みごとか?
    今までお前だけは何があっても俺の力を借りようとしなかったのにな」


    ジャン「俺だってお前に頭下げるなんざ,出来ることなら二度としたくなかったよ・・・・
    ――――――ミカサの事以外ではな」


  179. 187 : : 2017/05/14(日) 05:35:49

    シディアス「お前はそればかりだな・・・・・ミカサがどうした?」


    ジャン「―――――お前から,ミカサに憲兵団になるよう説得して貰いてえんだ・・・」






    シディアス「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 無理だな」


    ジャン「――――」


    シディアス「こう答えるのを予想してた,って顔だな」


    ジャン「ああ・・・・無理を言ってるのは承知だ」


    シディアス「なら諦めろ。アイツみてえに優秀で頑固な奴はこうと決めたら他人の説得に応じはしねえよ。お前だろうと俺だろうと,アイツの生きる道を指図出来ないし,その権利もねえ。」


    ジャン「それでもお前の言葉にならミカサは応じる!アルミン以上に心を開いてるお前ならな!!
    ・・・・・だから頼む。あいつを・・・・・調査兵団に行かせないでくれ」


    シディアス「―――――――――なぜアイツの生き死にそこまで拘る?」









    ジャン「―――――――――――――――俺が,ミカサに惚れてるからだよ!」





  180. 188 : : 2017/05/14(日) 05:45:21


    シディアス「――――」


    ジャン「・・・・・・・」





    フ―――






    ククククク…く,ははははははははははははははははははははは!!!!!!

    だぁッはっはっはっはっはっはっはっはっは!!!!!!!!!!!!!!!」




    ジャン「・・・・・・」


    シディアス「ハァ――,ハァ――,ハァ――・・・・・・クッ!!――――――




    ・・・・・・・・・・・・・お前にジョークのセンスがあるとは知らなかったぜ,ジャン・・・・・
    惚れた女を死地に生かせないために,そいつと仲のいい別の男に口説くのを頼むか?」


    ジャン「ああ・・・・そうだ」


    シディアス「――――――存外情けない奴だな,お前・・・・そんなにあいつが好きなら自分で説得しろ。
    今みたいに愛の告白なり力づくで閉じ込めるなり,口説きたいなら自分で口説け。」





    ジャン「――――したさ・・・・この訓練期間中に何度もな。」



  181. 189 : : 2017/05/14(日) 06:13:26


    シディアス「分らんね・・・・それだけやって脈ナシならすっぱり諦めりゃいいものを・・・・
    よりによって俺に縋るとは・・・・矛盾してないか?」


    ジャン「俺もお前なんかにミカサのことで頼るなんざ屈辱だよ」


    シディアス「だったら―――」


    ジャン「ミカサが俺のものにならないならそれでいさ」






    ジャン「―――けどな,アイツが死ぬのだけは絶対に見たくねえ・・・・

    そのためなら土下座でも靴の裏を舐めるでもやってやる・・・・・・だから頼む。

    お前からミカサを説得してくれ!」







    シディアス「・・・・・・・・・・」ジ…





    シディアス(・・・・・・・本気だな)





  182. 190 : : 2017/05/14(日) 06:27:24





    シディアス「期待はするなよ・・・・・」


    ジャン「すまねえ・・・・恩に着る」


    シディアス「言っておくが,アイツの巨人への恨みや調査兵団への拘りは筋金入りだ。
    多分無理だろうが俺で駄目なら泣き付くなり噛み付くなりなりふり構わずぶつかる事だな・・・」クル


    ジャン「ああ・・・」


    ザッ ザッ ザッ ・・・ピタ




    シディアス「――――――ジャン」


    ジャン「・・・・なんだ」




    シディアス「訂正する。お前は中々善い男だ・・・・・情けないなんて言って悪かったな」




    ジャン「お,おう・・・・・」


    ザッ ザッ ザッ――――






    ジャン「ハァ――――…」ズリズリ ペタン


    ジャン「間違っちゃいねえよ・・・・・・ほんっとに情けねえな,俺・・・・・・・・・・・・・」




  183. 191 : : 2017/05/17(水) 22:40:56

    ――――ガヤガヤ

    ミカサ「・・・・・・・///」ボー


    アルミン「ミカサ,顔赤くなってるけど大丈夫?」


    ミカサ「・・・・少し飲みすぎたみたい」


    アルミン「水でも飲む?」


    ミカサ「大丈夫・・・・」


    アルミン「・・・さっきのミカサの話し方,まるでエレンみたいだったよ」


    ミカサ「そう・・・? なら嬉しい。」


    アルミン「・・・・嬉しいの?」





    ―――ガチャ


    シディアス「よう―――って,ミカサ・・・ずいぶん酔ってるな。」


    アルミン「どうも羽目を外しすぎちゃったみたい。」


    シディアス「酔い覚ましに夜風に当たりにいかねえか?気持ち良いぞ?」


    アルミン「いいね。ミカサ,どうする?」


    ミカサ「アルミン達が行くなら,私も行く・・・」ガタ


    ――ヨロ…フラフラ

    シディアス「危なっかしいな・・・・肩貸すか?」


    ミカサ「・・・・うん」ス…


    アルミン「・・・・・」




  184. 192 : : 2017/05/17(水) 22:42:08

    ―――街


    ザッ ザッ ザッ ザ

    シディアス「いよいよお前らともお別れか・・・・海,見つけられるといいな。」


    アルミン「絶対に見つけるさ! 出来ることなら・・・・君も一緒に見られれば良かったな・・・・・」


    シディアス「俺はのんびり暮らす方が好きなんでね・・・・お前らの凱旋まで壁を護っておくさ」


    ミカサ「私が巨人を駆逐した後なら・・・・見に行けるでしょう?」


    シディアス「・・・・・・そうだな」




    シディアス「――――――なぁ,ミカ 「ミカサ!」


    アルミン「ハンネスさんだ!」


    ミカサ「ハンネスさん?」ガバ




    ザッ ザッ ザ

    兵士「~~~~~~~~」
    ハンネス「~~~~~~,~~~~~―――!」

    ―――ザ!

    アルミン「」ケイレイ
    ミカサ「」ケイレイ

    ―――ス

    ハンネス「」ケイレイ





    ハンネス「では今日はここで解散!」

    兵士1「ハッ!」
    兵士2「ハッ!」




    ハンネス「・・・・・」スタスタ



    アルミン「」ケイレイ
    ミカサ「」ケイレイ



    ハンネス「あ―――直っていいぞ。 どうもお前らとは慣れねえ・・・・規律は承知なんだがな」



    アルミン「本当に慣れないよ・・・・あのハンネスさんが駐屯部隊長に出世するんだから・・・・」



    ハンネス「本当にでかくなったな,ミカサ。 アルミンは・・・・・ちょっとは伸びたか?」



    アルミン「う・・・・・気にしてるところを・・・・・・」





  185. 193 : : 2017/05/17(水) 22:44:56



    ミカサ「ハンネスさん・・・・もう,仕事中にお酒飲んだりしていない?」



    ハンネス「飲んでねえとも! もう二度とあんなことになってたまるか・・・・・」ギリ


    ミカサ「―――ごめんなさい」



    ハンネス「いや,謝ることはねえ・・・・お前の家族を護れなかったのは俺自身だ」



    アルミン「仕方なかったんだよ・・・・もうこの話は終わり,そう決めたでしょ?」



    ハンネス「イェーガー先生の行方も分らず仕舞い・・・・エレンとカルラさんの事も,

    何と言えばいいのか・・・・昔,流行病から家内を救ってくださった恩に何度も報いようと思ったのに―――――



    それが,今じゃこの様だ―――――――――――――――――――――――――――!!!?」ギョ!






    シディアス「・・・・・・・・? ―――――っと,失礼しました!!」ケイレイ





  186. 194 : : 2017/05/17(水) 22:50:02



    ハンネス「そんな,バカな・・・・・お前・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・エレンなのか!?」ガシ


    シディアス「うわ!!」


    ハンネス「無事だったのか!? どうやってあの巨人から!!」ブンブン


    シディアス「お,落ち着いてください,隊長殿!!」


    アルミン「ハンネスさん,違うんだ! エレンじゃない,別人だよ!!」


    ―――――ピタ

    ハンネス「・・・・・・・・・・・・・・・・別人?」




    ミカサ「彼の名前はシディアス・・・・・・・顔は似てるけれどエレンじゃない」


    シディアス「・・・・・・・・そんなに似てるかな?俺とその『エレン君』って・・・・?」ポリポリ


  187. 195 : : 2017/05/20(土) 21:49:23

    ハンネス「あ―――す,すまなかったな・・・・・」パ


    シディアス「いえ・・・気にしておりません,隊長殿」


    ハンネス「君は新兵か・・・・?」


    シディアス「は! 二人と同じ南部方面訓練兵団を卒団しました,シディアス新兵であります!」ザ!


    ハンネス「そうか・・・ミカサやアルミンと同期か。俺はハンネス。これでも駐屯兵団の前衛部隊長でな,この二人とはシガンシナ区からの付き合いなんだ。」


    シディアス「そうでありましたか・・・・自分にとっても二人は良い友人です」


    ハンネス「君は所属をもう決めたのか?」


    シディアス「自分は駐屯兵団を択ぶつもりです」


    ハンネス「そうか・・・・・入団したら同僚になるわけか。宜しくな,シディアス」ス


    シディアス「よろしくお願いします,ハンネス隊長。」ガシ




  188. 196 : : 2017/05/20(土) 21:50:24


    ハンネス「・・・・・・・・・アルミンとミカサは,やはり調査兵団へ行くのか?」


    ミカサ「ええ・・・・・」


    アルミン「・・・そのために訓練兵団に入ったんだからね」


    ハンネス「エレンのためにか・・・・・・・・?」


    「「・・・・・・」」






    ミカサ「始めはそうだったかもしれない・・・・・けど今はそれだけじゃない」


    ハンネス「・・・・・」

    シディアス「――――」




    アルミン「・・・エレンだったら,ミカサや僕が自分を理由に調査兵団を選んだら,きっと怒ると思う」


    ハンネス「ちげえねえ・・・・ミカサが世話焼いたり,後ろからくっ付いてくるたびに
    機嫌を悪くしてたもんな!」


    ミカサ「巨人に勝って自由を取り戻したら,エレンの見たかった世界を見に行きたい。
    自分の人生を終えたときに,エレンに教えられるように・・・・

    多分,それはずっとずっと先のことになるけど・・・・・・・」



    シディアス「・・・・・・・」




    ハンネス「―――――――そうか。
    なら,もう俺は何も言わねえ・・・・お前たちが自分で選んだ道だ。

    そのかわり,絶対に生きて戻ってこい!俺はもう,自分の倅を弔いたくねえからな・・・・・」



    アルミン「」コクリ
    ミカサ「」コクリ


    ハンネス「明日からは前線での任務になる・・・・お前ら,今日は早めに休んだ方がいいぞ?」


    アルミン「うん,おやすみなさい。ハンネスさん・・・」
    ミカサ「また明日・・・」

    シディアス「」ケイレイ



    ―――――――――――
    ―――――
    ―――


  189. 197 : : 2017/05/20(土) 21:51:16


    ハンネス(ミカサもアルミンも,本当にたくましくなっちまいやがった・・・・)

    ハンネス(カルラさん・・・・エレンも生きていたら,きっと・・・・・・・・・)





    ハンネス「シディアスか・・・・・似ていたな。」

    ハンネス(髪や眼の色こそ違うが,顔つきが驚くほどエレンに・・・カルラさんに生き写し
    だった・・・・・・・とはいえ――――




    「・・・・・・エレンと違ってアイツには壁内で生きることへの不満は無さそうだったな」




    ハンネス(それにしてもあの目は何だ・・・? 何だか底が知れない・・・・










    まるで深い水の中を見ているようだった・・・・・・・・・)







  190. 198 : : 2017/05/20(土) 22:18:19






    ミカサ「2人とも,おやすみ」




    アルミン「おやすみ。また明日ね」

    シディアス「じゃあな・・・」




    シディアス(結局話す機会はなかったな・・・・おまけにあいつの動機は・・・・

    正直,復讐や無念が動機なら説得の自信はあったが――――――)




    シディアス「めんどくせえなぁ・・・・」ハァ


    アルミン「え? どうかした?」


    シディアス「いや,なんでもねえ・・・」



    ――――2日後 トロスト区城門

    トーマス「今日は壁上の固定砲の整備で,これが終われば所属兵科を決めて,明日からはそれぞれの兵団か・・・・」


    ナック「皆はもう決めたのか?」


    コニー「俺は・・・・俺は調査兵団に入る!」


    ミーナ「え!?」


    ミリウス「お前10位以内に入れたんだろ!?憲兵団行けばいいじゃねえか!」


    サシャ「・・・・・・」




    シディアス「どういう風の吹き回しだ? 確かお前,憲兵になって村のみんなを見返すって,
    息巻いていたじゃねえか?」


    コニー「別に・・・・そ,そうだ! ジャンの奴と一緒の職場が嫌だからそうするだけだ!」


    ミーナ「それ,説明になってないよ?」




  191. 199 : : 2017/05/21(日) 05:43:30


    サムエル「もしかして・・・昨日のミカサの話に影響されたか?」


    コニー「・・・・さぁな」


    シディアス「人生を左右する決断だ・・・・安易に他人の意見に流されるのは良い判断とは言えないぞ?」


    コニー「分かってるさ・・・・俺だってジャンみたいに自分や家族を内地に連れて行きてぇさ。けど,もしローゼが破られたとき,家族が無事でも,村にいる他の連中までは内地に連れて行けねエからさ・・・・」


    コニー「だったらここで踏ん張って,やられるまえにこっちから叩いてやろうって思ってさ・・・・」


    ミーナ「コニー・・・」











    サシャ「あのぉ~・・・皆さん」


    シディアス「ん?」


  192. 200 : : 2017/05/21(日) 05:45:13


    サシャ「上官の食糧庫からお肉盗ってきました」


    「「「「!!?」」」」




    シディアス「お前・・・独房にぶち込まれてぇのか・・・?」


    トーマス「バカって怖ええ・・・・」


    サムエル「お前・・・・本当にバカなんだな」


    サシャ「後でみんなで分けましょう・・・スライスして,パンにはさんで・・・・」ムフフフ


    コニー「戻してこい!」


    ミーナ「そーだよ・・・・土地が減ってから肉なんてすごく貴重になったんだから・・・」


    サシャ「・・・・・」ス…

    サシャ「大丈夫ですよ」ガコ




    サシャ「土地を奪還して・・・・また牛や羊を増やせばいいんです」


    シディアス「・・・・」


    トーマス「なるほど・・・・ウォールマリア奪還の前祝いに頂こうってわけか・・・・」


    サムエル「・・・・食ったからには腹くくるしかねえもんな」


    コニー「トーマス・・・・まさかお前・・・・」


    トーマス「・・・・」ニィ



    サムエル「・・・・・」

    サムエル「俺もその肉食う!!」



    ミーナ「・・・ッ! わ,私も食べるから! 取っといてね!!」



    シディアス「やれやれ,食う時は見つからねえように気をつけろよ。あと俺の見てねえとこで食えよ」


    サシャ「何言ってるんです? シディアスも共犯ですよ?」


    シディアス「は?」


    サシャ「・・・・いつも射撃訓練で鴨を取ってくれてたお礼です。今はこれだけですけど
    土地を奪還したら,もっと沢山お返ししますから・・・・待っていてくださいね?」///


    シディアス「お前・・・・」


    トーマス「そーそー!お前の砲科の成績なら安心して俺らも出撃出来るからな・・・・」


    ミーナ「帰るまでちゃんと壁を護っておいてね!」


    サムエル「そういうわけで,お前も食え! それで腹括ってもらおうか」





    シディアス「・・・・ハ!しょうがねえな・・・・」




  193. 201 : : 2017/05/21(日) 05:54:59

    シディアス「・・・・・・・・」





    アルバート『良い返事を待ってるぜ』





    シディアス「・・・・・ま,別にいいか」


    ミーナ「え? 何が?」


    シディアス「なんでもねえ。早く整備を終わらせて肉を食おうぜ。 同士よ――――――








    ―――――――――――ゾク――――――――――――






    シディアス「―――――何だ・・・・・・・?」


    サシャ「どうしました?」



    ドクン



    コニー「おい・・・顔が真っ青だぜ?」



    ドクン



    サムエル「・・・・大丈夫か?先に休んでおいたほうがよくないか?」




    ドクン




    トーマス「おい,シディアス?」





    ミーナ「ねえったら――――「ドン!!」――――――え?」








    シディアス「皆飛び降りろ!!!!!!!!!!」























    ドォオオオオオオオオン!!!!!!!!!!






  194. 202 : : 2017/05/21(日) 06:24:56


    超大型巨人「・・・・・・・・・・」ズゥウウン






    ―――――壁面

    ヒュウウウウウウ


    サムエル「お,落ちるうう!!」

    ミーナ「きゃあああああ!!!」

    トーマス「皆,立体機動に移れ!!!」

    コニー「――――ッ!!」バシュ

    サシャ「くッ!!」ギシィ…


    コニー「無事か!?」

    トーマス「一体何が起きた!?!?」

    サシャ「―――はッ!?」キョロキョロ

    サシャ「シディアスは!?」




    ――――壁上

    超大型巨人「・・・・・・・・・・・」シュウウウウ

    シディアス「・・・・お前が,巨人か・・・――――――」


    ドクン――--


    ―――――――何だ?」



    ドクン――--


    ――――『そんな・・・・あの壁は50mだぞ・・・・』


    ドクン――--





    超大型巨人「・・・・・・」スゥ…





    ドクン――--


    ――――『---ァさんを置いて逃げなさい!!』


    ドクン――--





    サシャ「シディアス!! 無事ですか!?」




    超大型巨人「・・・!!」ブゥン!!!!!!




    サシャ「あ・・・・・・・・・・・・・」







    ズゴゴゴゴ!!!




    ドクン――--


    ―――――無事に生き延びるのよ――――――------


    ドクン――--












    サシャ(何これ・・・・? これが腕? 視界が腕で埋まってもうた―――――)







    サシャ(私,死ぬん・・・・・?)







    ―――せめて






    ―――――さっきのお肉を








    ――――――――シディアスに






    ザウン!!!!!!!!!











  195. 203 : : 2017/05/21(日) 06:28:58

    ―――――



    ―――――――



    ――――――――――――――――――ドシャア







    サシャ「え?」



















    ――――壁面


    コニー「――――――ッ!! 気をつけろ!何か落ちてきたぞ!!!!」

    トーマス「うわ!」






    バキバキ!ガシャアアン!



    ズズゥウウン!!!










    超大型巨人の腕「」シュウウウ…








    サムエル「何だありゃ・・・・・?」


    ミーナ「巨大な・・・・腕・・・・・・?」


  196. 204 : : 2017/05/24(水) 20:41:06


    超大型巨人「!!?」グラ…





    サシャ「あ・・・・・ああ・・・・・・・・・・」



    いつのまにか目の前を埋めつくした右腕が無くなり,バランスを崩した超大型巨人が残った腕を壁上に寄り掛けている。

    無くなった腕に気づいた巨人が驚愕の表情を浮かべた―――――












    「―――――――どうした?」














    シディアス「・・・・・・・そんなに無くなった自分の腕が気になるか?」



    超大型巨人「・・・・!!」



  197. 205 : : 2017/05/24(水) 20:42:48


    シディアス「おかしいな・・・・・・巨人は頭をつぶそうが手足を捥がれようがお構いなしに

    人間を追うって話なんだが・・・・・・・・?」



    シディアス「まあいい。 お前に会ったことはないはずなんだが,不思議だな・・・・・・・







    ――――――――悪いな,無性にお前のことが殺したくて仕方がねえ―――――」バシュ





    いつのまにか抜刀していたシディアスが,超大型巨人の残った腕をつたい,狂喜をにじませた笑みを浮かべて迫る




    シディアス「――――ハハッ!! ハハハハハハハハ!!!!」ダダダダ


    シディアス「たまらねえッ!! こんな気分は初めてだぁッッ!!」バシュ



    ギュイイイイイイイイイ!!!!!!!!!!!!




    シディアス「心の底からお前を切り刻んでやりてえ!!!!」ギュオ!!






    超大型「―――――ッ!!」ゾク…







    シディアス「うおらぁあッッッ!!!!!!!!!!!!」バシュ




    超大型「ッ!!」


    ―――――――――――ブチュ…


    超大型「~~~~~~~~~ッ,ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ッ!!!!」





    超大型巨人が顔をひねってシディアスをよけるも,眼を押さえて悶絶する

    シディアスのブレードに切り裂いた両目の組織がこびりついた





    シディアス「なんだ? お前達にも痛覚があるのか? そいつは結構!」ブン!


    ―――ピピッ


    シディアス「死にたくなるまでうなじは削がないでやる・・・・・

    削り取って,切り刻んでやるからよぉぉおおおお!!!!」ギュイン



  198. 206 : : 2017/05/24(水) 20:44:01


    ガシュ ザシュ ガリッ ザクザク



    サシャ「――――――」
    コニー「――――――」
    34班「「「―――――――」」」




    超大型巨人が抵抗できぬまま耳や鼻,突出部を削り取られていく―――――

    その場にいた者たちには,たった一人の新兵によって蹂躪される史上最大の巨人が
    見た目よりも小さく見えた







    シディアス「俺は削ぐのは下手でなぁ!! 楽に死ねると思うなよ!!!?」ガリッ ガリィ!




    ――――――ブツン!




    超大型「―――――ッ!」グラ…



    シディアスが残りの腕の手首を切り落とすと,支えを失った巨人は後ろへ体勢を崩す



    シディアス「次は脚を捥いで超大型のイモムシにしてやる!!」ギュウン




    超大型「―――――――――――――














    ガア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!!!!!!!!!!」ブゥン





    シディアス「ッ!!(しまった―――――ッ!!!!)」ザシィッ!








    次の一太刀を浴びせる刹那,超大型巨人は崩れた体をひねり――――――





    ゴズゥゥゥゥウウウン!!!!













    ―――――――トロスト区の外門を蹴破った






  199. 207 : : 2017/05/24(水) 21:18:33



    34班「「「「「!!!!!」」」」」


    シディアス「チィ!!」




    シディアス「野郎・・・・・・・・・・・(視界を奪ってやったのに門の位置を見失わなかった―――

    図体の割に良い神経してやがる)」









    シディアス「・・・・遊び過ぎたな,殺そう」パシュ





    ギュォォォオオオオオオ!!!





    シディアス(くたばれ)シュラン―――




    超大型「・・・・・・・・・・・ッ!!」














    ボシュウウウウウウウウウウ!!!!!!!!!!










    シディアス「ぶわッ!!!!」


    34班「「「「「―――!!!」」」」」














    シディアス「(水蒸気!? 目くらましの積もりか?)―――――だが遅せえ!!!!」キュイン













    シディアス(殺った――――――)ブゥン









    ――――――スカ





  200. 208 : : 2017/05/24(水) 21:19:57


    シディアス「!?!?」ボシュ―――





    キュイイイン! キュキュキュ!
















    シディアス「――――消えた!? 馬鹿な!!!!」





    ヒュウウウウ・・・・





    シディアス(確かに深手を負わせた・・・・・あの状態では逃げるどころか避けるのも無理だったハズ・・・・・・

    なのにいきなり消えやがった!?)














    キユイイイイ・・・

    コニー「おい! 超大型は!? どこ行ったんだ!!?」


    トーマス「まさか・・・・・・・お前がやっつけたのか・・・・・・・・?」


    シディアス「違う,取り逃がした!! いきなり煙みたいに消えちまったんだ!!」







    ―――城門前

    足跡「」シュウウウ…









    シディアス「くそ!! すまねえ・・・・トドメを刺しきれなかった」


    トーマス「何言ってるんだよ! お前はあの化け物を追い返したんだ!!」


    ミーナ「そうだよ!! 私なんて全然動けなかったのに・・・・」



  201. 209 : : 2017/05/25(木) 06:11:08


    サシャ「・・・・・・・・あの―――」オドオド


    シディアス「サシャ? どうした?」


    サシャ「変なことを聞いてすみません・・・・

    ――――――あなたは,シディアス・・・・ですよね?――――――――」



    シディアス「―――――


    サシャ「・・・・・・・・・」






    シディアス「当たり前だろ・・・・シディアス以外の誰だっていうんだ?」


    サシャ「ですよね・・・・すみません・・・・・・

    何だかさっきまでのシディアスが違う人に見えちゃって――――――――」





    駐屯兵「おい新兵!何をぼやぼやしている!? お前たちはさっさと報告に行け!! 」


    34班「「「「ハ!」」」」




    サムエル「行くぞ! 速くみんなにも知らせないと!」パシュ

    サシャ「」パシュ

    コニー「」ギュイン


    シディアス「」キュウウン…




















    ――――――ピキ――――――






    シディアス「・・・・・・・」チラ




    ブレード(刃毀れ)






    シディアス(拙いな・・・・抑え込めなくなってきたようだ)








  202. 210 : : 2017/05/30(火) 17:25:36

    ―――後衛

    上官「貴様ら新兵も訓練を終えた立派な兵士だ! トロスト区内の住民の避難が完了するまで,巨人の進攻を阻止しろ!」

    上官「貴様らに期待する!各々の使命を全うしろ!心臓をささげよ!」





    モブ「俺,ここで終わるのかな・・・」ブルブル

    モブ「イヤだ・・・・喰われたくないよ・・・・」ガタガタ

    モブ「うぷ・・・おぅぇえええ!」ビチャ



    ガチャガチャ


    ミカサ「」キョロキョロ





    アルミン「ハァ―――,ハァ―――」ガタガタ





    ミカサ「―――! アルミン! 大丈夫!?」



    アルミン「だ,大丈夫! こんな振え,すぐ収まるさ!」



    アルミン「でもッ,まずいぞ・・・トロスト区にあけられた穴を塞ぐ技術は現状では無い!

    大岩で塞いで栓をする作戦だって,結局岩を掘り返すことすらできなかった!

    この区を放棄しても・・・・鎧が中に侵入したらローゼも突破されておわりだ」カチャカチャ

    アルミン「分かっていたはずだ・・・僕らがどれだけが抵抗しようと,

    ・・・・奴らは人類なんか何時でも滅ぼすことができるんだ――!!」カタカタ




    ミカサ「アルミン・・・・」









    ―――――ミカサ,アルミン。 ここにいたか・・・・」

  203. 211 : : 2017/05/30(火) 17:26:42


    シディアス「アルミン,お前と俺は34班だ。あとの班員は・・・―――って,聴いてるのか?」





    アルミン「~~~~~~」ブツブツ








    シディアス「・・・・・・・・・ふん!!」ビシ



    アルミン「ッッ―――――かふ!!」ゴホンゴホン



    ミカサ「アルミン!! ・・・あなた,何をッ!?」







    シディアス「・・・・落ち着いたか?」



    アルミン「フゥ――ッ,フゥ――・・・・あ,ありがとう―――もう・・・・大丈夫・・・・・・」




  204. 212 : : 2017/05/30(火) 17:28:43

    ―――本部

    上官「前衛は駐屯兵団,中衛を我ら訓練兵団,後衛を精鋭が担う。
    我々はタダメシのツケを払うべく,住民の避難の完了までこのウォールローゼを
    死守しなければならない」

    上官「なお―――承知しているだろうが敵前逃亡は死罪に値する。皆心してその命を捧げよ――――――解散!!」



    訓練兵団「「「「「は!!」」」」」




    ジャン「――――ッ,ウォオオオ!!!」


    ジャン「くっそ!!

    明日から内地に行けたってのに,なんで今日なんだ!!?」










    シディアス「―――さて・・・」



    シディアス「34班のメンバーは・・・・俺とアルミン,トーマス,サムエル,ミーナ,ナックの六人か・・・・隊長は成績順に行くならサムエルか?」




    34班「「「「「―――――」」」」」







    シディアス(あーあ・・・・皆現実逃避してんな――・・・)




    「「シディアス!!」」







    シディアス「よぉ。お前らは別の班か。 頑張れよ」



    コニー「なんで今に限ってバラけんだろーな・・・・いつもなら俺らで1セットなのによ」



    サシャ「・・・・・」プルプル



    シディアス「・・・・・サシャ?」ポンポン



    サシャ「――――ハ,はい! 大丈夫です! シディアスも,・・・・気を付けてくださいね?」



    シディアス「ああ。 ・・・・・そうそう忘れてた!」ポン




    シディアス「おい皆!! さっきの肉は無事だぜ!こっそり拾って武器庫に隠したんだ。

    チャッチャと片付けて前祝いにしゃれ込もうぜ!!」パンパン





    「「「」」」ピク

  205. 213 : : 2017/05/30(火) 17:30:02


    アルミン「肉・・・? いったい何の話?」



    シディアス「さっきサシャがかっぱらった肉があるんだ。マリア奪還の前祝いにみんなで食うんだ,そうだろ!? みんな!!」



    ・・・・・・・

    サムエル「・・・・そうだったな。まだあの肉食ってないの,すっかり忘れてたぜ」スク

    トーマス「いっけねーな・・・危うく腐らすとこだったぜ」ムク

    ミーナ「そうね・・・・マリア奪還じゃないけど,トロスト区防衛のお祝いにしましょ!」

    ナック「ああ・・・・それじゃ,さっさと片付けて肉食わねえとな!」



    コニー「ちゃんと俺の分残しとけよ!? サシャが食わねえように見張っとけよな!!」



    サシャ「ちょっとコニー! あのお肉を取ってきたの私なんですからね!!」



    アルミン「どっちみち盗んできた肉じゃないか・・・・」




    ジャン「・・・・お前ら,のん気になにバカ話してやがんだ!?」

  206. 214 : : 2017/05/30(火) 18:48:06


    シディアス「よぉ。落ち着いたか,ジャン?」


    ジャン「落ち着いてられるかっ! お前に俺の気持ちがわかるか!? あと一日だったんだぞ!?
    たった一日の違いで死ぬ羽目になった俺の気持ちが!!解かるわきゃ無えよな!?

    お前は“安全な内地”にこれっぽっちも興味ねえもんな!!?」ギリ…


    シディアス「・・・・・そうだな,理解はしてやれねえよ。

    ・・・・けどな,お前は憲兵になれるくらい成績を上げたんだろ?」



    ジャン「・・・それがどうした?」



    シディアス「お前だけじゃない,皆は必死に訓練したんだ。きっと生き残れる! 






    ――――――――今日生き残って、明日内地に行くんだろ!?」







    ジャン「―――ッ,あ,あたりめーだ!!」










    サシャ「そうですよ!!」



  207. 215 : : 2017/05/31(水) 21:22:52


    サシャ「シディアスは超大型巨人を返り討ちにしたんです! 両腕を切り裂いて,あと少しでやっつけられたんです!! 私たちもきっと勝てます!!」


    ザワ―――

    ジャン「―――は? なんだよそりゃ・・・・? んな話信じられっかよ・・・・」

    ドヨドヨ… ホントカ? ヒトリデ? ムリニキマッテンダロ…



    コニー「本当だって! お前たちだって見ていただろ!?」


    サムエル「そ,そうだ!シディアスが一人で超大型を追い払ったんだ!!」


    ミーナ「うん! 両腕を切り落として顔もメッタ切りにしたの!私もその場で見てた!!」


    トーマス「俺もだ!あと少しのところで逃げられたけど・・・・」



    ドヨ… ドヨ…



    シディアス「(・・・・ッチ,やはり注目されるか)

    ・・・・・止めは刺せなかった。門を蹴破られちまったんじゃ,意味もねえよ・・・・」




    アルミン「・・・いや,大有りさ」




    ミカサ「・・・アルミン?」




    アルミン「・・・・10位に入らなかったシディアスさえ,超大型を退けられたんだ。

    僕らは皆卒団して一人前の兵士になれた,巨人にだって対抗できるはずだ!!」



    ザワ―――



    トーマス「ああそうさ! 俺たちはこの3年間遊んでたわけじゃねえ!!」

    サムエル「さぁ皆起て! さっさとやっつけに行くぞ!!」




    「「「「「「オオ!!」」」」」」




  208. 216 : : 2017/05/31(水) 22:01:20


    ガチャガチャ

    ヨビノブレードタリネエゾ!

    ガスヲツメルノワスレンナ!




    シディアス「やれやれ・・・・・あっという間に皆やる気を取り戻しやがった」

    シディアス(アルミンのやつ,人をプロパガンダに利用しやがって・・・・可愛い顔してとんだ狸だ)




    ミカサ「・・・・シディアス」




    シディアス「なんだ,ミカサ?」


    ミカサ「無理を承知でお願いがある・・・・アルミンが危なくなったら,あなたの出来る範囲でいいので助けてほしい」


    シディアス「おう。 努力はするぞ」


    ミカサ「・・・・それともうひとつ。 戦況が混乱したら,アルミンと一緒に私の元へ来て」


    シディアス「は?」


    ミカサ「・・・・・・怖いの」カタカタ

    ミカサ「戦いに出ることじゃない・・・・アルミンや貴方を失うのが,すごく怖い・・・・」フルフル




    ミカサ「だから無理をしないで私のところへ―――「ゴツン」―――

    ―――――――――痛い・・・・」アタマオサエ



    シディアス「あのなあミカサ,今の俺らは兵士だろ!? 個人の私的な都合なんかで動けるわけねえだろ!!」


    ミカサ(涙目)「で,でも・・・・

    若しアルミンや貴方まで失ったら,・・・・私は,もう・・・「――――死にはしねえよ」


    「俺が死なすわけねえだろ・・・・アルミンもだ。図体だけのイモムシ風情に

    負けやしねえよ・・・・分ったらさっさと自分の持ち場に着いてろ」



    ミカサ「――――分かった」









    駐屯兵「おい,アッカーマン!

  209. 217 : : 2017/05/31(水) 22:07:16


    駐屯兵「貴様は特別に後衛に回す。ついて来い!」




    ミカサ「―――!? ま,待ってください!」

    ミカサ「私の腕では足手まといになります!」



    駐屯兵「貴様の意見など聞いてはいない。 住民の避難が遅れている以上,一人でも精鋭が必要だ」



    ミカサ「しかし―――「おい」








    「さっきの俺の話を聞いてないのか―――?」ズズズ








    ミカサ「ッ!」ビク

    駐屯兵「うっ・・・!?」ゾク




    「人類の危機なんだろ・・・? なにテメエの勝手な都合を押し通してんだ? あぁん!?」ギロ

    ―――――――


    ミカサ「・・・・・・悪かった,まだ私は冷静じゃなかった」シュン




    「たく,大体お前は―――――――――――ッ!!」ガク




    ミカサ「シディアス!?」




    「~~~~~~~~~~~~~ッ,~~~~~~ッ!~~~ッ!!――――――――――


    ガクガクッ ピタ――――




    シディアス「―――――・・・大丈夫だ」ムク




    ミカサ「でも・・・」




    シディアス「いいからおまえはさっさと後衛に回れ!ほらほら!」グイグイ



    ミカサ「わ,分かったから,押さないで・・・・」




    シディアス「上官殿,お時間をお取りしてすみませんでした!」ザ




    駐屯兵「・・・・・・あ,ああ。・・・・行くぞ,アッカーマン」





    ミカサ「は。 ―――――――シディアス」





    シディアス「なんだ?」





    ミカサ「――――死なないで」





    シディアス「ああ・・・・お前も死ぬな」





    ミカサ「」コク








    ザッ ザッ ザッ…




  210. 218 : : 2017/06/01(木) 02:16:56
    とても面白いです

    期待してます!
  211. 219 : : 2017/06/01(木) 05:26:15


    シディアス「――――フゥ~~・・・・拙いな,引っ張られそうになる」

    シディアス(さっきの超大型との接触から,衝動がだんだん強くなってきた・・・・

    俺も余裕がないな・・・・・)









    サムエル「34班,準備はいいか?」

    「「「「「オオ!!」」」」」

    サムエル「これより中衛に向かう,行くぞ!」バシュ

    アルミン「」パシュウウ

    シディアス「」バシュ







    ―――中衛

    アルミン「・・・・・」

    トーマス「・・・・・・・なぁみんな,ここでたくさん巨人を倒せば,俺たちスピード出世確定だな?」

    アルミン「・・・ああ,まちがいない」ニヤ

    シディアス「――――」

    ミーナ「今期は調査兵団志願はいっぱいいるもんね,ここでアドバンテージを稼がない手はないよ!」

    サムエル「調査兵団に入る前の肩慣らしといくか」

    トーマス「さっきはシディアスに後れを取ったが,次は負けないぜ?」

    ナック「じゃあ勝負だ! 誰が巨人を多く倒せるか,な!」

    サムエル「34班,前進!」









    シディアス「・・・・・(さっきから嫌な予感しかしない)」ギュウウン


  212. 220 : : 2017/06/01(木) 05:27:36

    アルミン「―――!! あれは・・・」





    ―――前衛

    ズゥン… ズゥン…
    巨人「」ウロウロ
    ヒ、 タスケテ…イヤアアアア
    巨人「」ボリボリ
    ブチブチ ギャアアアア…
    巨人「」





    シディアス「俺たち中衛が,前衛に押し出されてやがる・・・・」

    ミーナ「もうあんなに巨人が入ってるなんて・・・」

    サムエル「くそ・・・普段威張り散らしている上官ども・・・・・何やってんだよ?」

    トーマス「こんな短時間で前衛が総崩れになるなんて・・・」

    アルミン「楽観視していたわけじゃないけど,この状況はあまりにも・・・・」


    ―――ゾワ

    シディアス「―――!! 前方から奇行種!避けろ!!」









    ―――ドォン ビタァ!!

    サムエル「―――ッ,無事か!?」ザザァ!

    アルミン「クッ・・・! トーマスは!!? 」




    ミーナ「み,みんな・・・・あれ・・・・」ガタガタ






    奇行種「」クル…

    「あが・・・み,みんな・・・・」





  213. 221 : : 2017/06/01(木) 05:49:23


    アルミン「トーマス・・・・ッ!」ゾク…



    トーマス「た―――助け「バキ バキン」 ぎゃああああ!!!!???」



    ――――ドクン

    シディアス「うぐ・・・・・!!」



    バシュウ!

    サムエル「待ってろ! 今助けに―――!!」




    奇行種2「ガァ」ビュン

    ―――ガチン


    サムエル「ぎゃあ――――――ッ!!?」





    ミーナ「下から!?」


    アルミン「ッ!! み,みんな,固まるな! 他にも来た!!」





    ズゥン… ズゥン…


    アルミン「くそ・・・・!? シディアス,どうした!?」





    シディアス「~~~~~~~ッ,ッ,~~~~~~~~~~ッッ!!!!」ブルブル

    ドクン―――





    アルミン「・・・ッ! しっかりして! ここで固まってたらやられる!!」

    アルミン「シディア――――――――・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


    ・・・・・・・・・・・・・
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


  214. 224 : : 2017/06/01(木) 08:59:17





    ―――暗い空間

    ――-アルミンはどこへ行った・・・?

    ――--静かだ・・・・・音が全く聴こえない







    シディアス「ッ! ・・・・ここは!?」キョロキョロ






    「よぉ―――」








    「ここに来たってことは・・・・どうやらもうお前は役に立たねえってことだな」



    シディアス「! お前・・・・」ジロ



    「おいおい,勘違いしてもらっちゃ困るぜ・・・?

    お前が不甲斐無い所為で俺まで迷惑を被るんだ・・・・だったらもう俺が動くしかねえだろ?」



    シディアス「よせ・・・・お前の手は借りな「だははははははは!!」



    「ク,くくく・・・・お前・・・・今まで俺の力に頼っといて今更“手は借りない”だぁ?」














    「もうおまえは引っ込んでろ・・・・邪魔だ」ギロ







    ス―――――
    ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ



    シディアス「ぐぅ・・・・!!!」ギシイ











    「しばらく間借りするぜ・・・・あばよ――――――――」スゥウウ















    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    ・・・・・・・・・・・・・・
    ・・・・・・・





  215. 225 : : 2017/06/01(木) 08:59:56


    ギリギリ…
    サムエル「ぐッ! おおああああああ~~~ッッ!!!!!」ギギギ

    サムエル(駄目だ・・・・方頬を切って噛み千切られずに済んだがもう逃げられない!!)

    サムエル(ここで死ぬのか!? この3年間は何だったんだ!? 俺は巨人に食われて死ぬために強くなったのか!!?)

    サムエル(まだ・・・・肉,食ってねえのに・・・・そんなのないよ・・・・・・)



    奇行種2「・・・・・・」シュウウウウ

    「あ~~む」ギチギチ



    サムエル「あああああああ!!!やめろぉおおおお!!!!!」バキ… メキ…




    ―――ブチン












    ドシャア!

    ―――ゴロン



    「よぉ・・・・生きてるかぁ?」ゲシ



  216. 226 : : 2017/06/01(木) 09:27:33


    サムエル「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


    (――――――――何が起こった・・・・?)」



    「あれ? 遅かったかな? 反応がない」



    サムエル「あ・・・? 俺,どうなったんだ・・・・?」



    「どうって・・・・巨人の口からぶら下がって俺と話してるが?」









    奇行種2(首から下)「」シュウウウ…

    奇行種だった肉塊「」ジュウウ…









    アルミン「・・・・何が・・・・・起こったんだ・・・・・?」

    ミーナ「・・・・・・・」

    ナック「・・・・・・・」






  217. 227 : : 2017/06/01(木) 09:53:53


    時間を少し遡る――――――

    トーマスとサムエルが巨人につかまり,残った僕たちが反撃しようとしたとき,シディアスが膝を着いて震えだした



    アルミン「・・・ッ! しっかりして! ここで固まってたらやられる!!」



    返事は無い―――体が小刻みに震えたまま視線も定まっていない

    シディアスも二人がやられてショックを受けたのだろう

    だが巨人が複数体迫ってきた――――固まりすぎた・・・・周りを囲まれている

    動かなくなった友達を引き起こそうと耳元で叫ぶ




    アルミン「シディアス!! 起きてよ!!!!」















    ―――――――うるせーな・・・・・起きてるよ――――――――」











    ビリ―――

    アルミン「・・・!? (何だ・・・? )」ゾク


    ズ ズ ズ ズ ズ ズ ズ ズ ズ ズ




    「ク・・・・ククククク・・・・・・







    ――――――――――――くッはははははははははははははははははははははははははは
    はははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは
    はははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは
    はははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは
    はははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは
    はぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」



    スク―――



    「やっと出てこれたぜ!!!! 久々の自由だあ!!!!!!!」


    ハハハハハハハハハハハハハハハ
    ハハハハハハハハハハハハ



    アルミン「・・・・・・シ,シディアス・・・・?」

    ミーナ「ちょっと!? どうしちゃったのシディアス!? しっかりして!!!」





    「――――――――しっかりしろだぁ?」



    「俺は今,この上なくしっかりしてるぜ?

    なんせこれで,思う存分芋虫どもをブチ殺せんだからよぉ!!!!!!!!!!!」ザ



    高笑いを上げるシディアスが右腕をトーマスを食っている巨人にかざす――――





    「返して貰うぜ?・・・・それ」ギュ…


    巨人「―――ッ」ビクン!




    右手で“何か”を抓む動作をするシディアス―――途端に,巨人が体を強張らせる




    「・・・・・・・・・・」ギュウウウウ


    巨人「―――ッ! ―――ッ!」
    ギチィ…グキグキッ




    何が起きているのか理解できない―――シディアスがかざした右腕を捻ると,
    巨人は自らの腕を頭に回し―――――――――――――――――




    巨人「~~~~~~~~~~~ッ!」
    ――――ゴキン ブチン




    ―――そのまま自分の頭をうなじごと引き千切った








    巨人の頭「」ゴロン

    巨人の身体「」グラ…



    ドシャア…




  218. 228 : : 2017/06/01(木) 10:10:03
    期待
  219. 229 : : 2017/06/01(木) 18:10:12


    ミーナ「」ボーゼン
    ナック「」ボーゼン





    「うむ・・・・・まだ本調子には及ばねえか・・・・」グー パー グー パー






    アルミン「――――シディアス・・・・? 君は今・・・何をしたんだ!?」




    「あぁん? 別に何もしてねえだろ?」



    アルミン「きッ,君が手をかざしたら, 巨人が! 巨人が頭を引き千切って!!?」



    「お前の見た通り,奴が自殺した・・・・それだけだろ?

    くくく・・・・・・・まさか勝手に自殺してくれるなんてなぁ!!

    “奇行種”ってだけある!!! マジで笑える!!!!

    はははははははは!! あッははははははははははははははははははははははははははは

    はははははははははははははははははははは!!!!!!!!!!!!!!!!」ゲラゲラ




    “彼”を除くその場にいた者たちは戦慄する――――目の前で高笑いをする人は,僕たちの知っているシディアスではなかった

    下品な笑い方

    野蛮で暴力的な話し方

    巨人を“自殺”させる恐ろしい力


    フードから覗く整った顔は狂喜と狂気で歪んだ笑顔を滲ませる

    皆声に出さずとも同じ疑問を抱く



    ――――――――――“彼”は何だ?―――――――――――











    サムエル『ぐッ! おおああああああ~~~ッッ!!!!!』









    「―――――っと, あいつも殺さねえとな・・・・」ガチャ


    シュラン――――





  220. 230 : : 2017/06/01(木) 18:12:10


    「―――ふん!!!!!!」ギュ…



    ヴヴゥン――――――ジジ… ヴァチ! ヴァチ、ヴァチ! バリ! バリバリバリ!!



    “彼”がブレードを抜いてグリップに力を込めた途端,耳を劈く音とともにブレードに閃光が迸る――――



    「行くぜ・・・・・」ザ…



    ――――――ダン!!!!!!!――――――

    ブシュウウ!!!


    屋根から飛び降りたと同時に勢いよくガスを蒸かし,立体起動でサムエルを捕えた巨人に迫る―――――発光したブレードが“彼”の軌道をなぞる光筋を見せる


    「どうだ美味いか? そのまま味わってなよぉおおおおおお!!!!!!!!!!!」

    ギュイイイイイン!!!!!



    ―――ブチン




    ブレードの光の筋が巨人の首を掠めた―――肉が断ち切られる鈍い音が聴こえた



    ドシャア!

    ―――ゴロン



    サムエルを咥えたまま,巨人の頭が地面に堕ち,転がる




    ゲシ―――

    体から離れた頭を足蹴に止め,茫然とするサムエルを覗きこむ




    「よぉ・・・・生きてるかぁ?」



    ―――――――――――――
    ――――――――――
    ――――――




  221. 231 : : 2017/06/01(木) 18:16:37





    サムエル「ガハッ! ハァ…ハァ…,・・・・・・・トーマスは・・・?」



    「・・・・・・・・・・」

    「悪いな・・・・体は取り返せたが,手遅れだった」チラ






    トーマス(嚙み痕)「」





    サムエル「・・・・・そうか。ちくしょう・・・・・!」




    「さっさとそこから出たらどうだ? 手伝ってやるよ・・・・」





    ガシ―――

    「ふん!!」





    奇行種2の頭「」ガコ…





    ズル… ドサ

    サムエル「ぐあ!!」ズキン



    「あーあー・・・股関節が外れたな。幸い何処も折れてねえな」ス…







    「サービスだ。治してやる」ス







    「・・・・」ギュウウウウ




    ググ―― ゴクン!!



    サムエル「うぐうぁああッ!!!!」










    「はい終わり・・・・」ニヤリ














    アルミン「巨人を・・・・殺した!?」

    ミーナ「あれ・・・・本当にシディアスなの・・・?」ゾ…

    ナック「―――は!? サムエル!!」ダッ



  222. 232 : : 2017/06/02(金) 07:36:35



    サムエル「うぐぅう~~~~~ッ!!」ジタバタ




    「大げさだなぁ・・・・まぁ心配いらねえよ。痛みはすぐ引く・・・・」




    サムエル「ハァ――,ハァ――,ハァ――・・・シディアス,お前今何をした!?」ガクガク




    「“シディアス”ってのは俺か? まぁいい・・・・お前の外れた股関節を入れ直してやったんだろが?」






    サムエル「なんだって・・・・・あれ?」ペタペタ



    サムエル「―――――痛くない・・・・?」




    ガチャガチャ…カラン

    「立体起動装置は壊れて使えねえか・・・・まぁいい,人並みに動いてくれりゃ問題ねえか・・・」



    プシュウウ…スタ―――

    ナック「サムエル,大丈夫か!?」




    サムエル「ああ・・・・何とかな・・・・・・・」


    シュタ シュタ

    ミーナ「トーマス! しっかりして!!」




    アルミン「・・・・・・・・」チラ








    奇行種2の頭「」シュウウウウ…









    アルミン(切り口がメスで切られたように奇麗だ・・・・・首の骨が筋肉もろとも断ち切られている)

    アルミン(うなじを削ぐだけでも負荷が掛かって折れたりするはずのブレードでこんな事,
    出来るはずが・・・・・・)






    パキン――― カラン





    「おっと・・・・やっぱ持たなかったか・・・・・」チラ


    ブレード(中折)








    ミーナ「トーマス! トーマス!」ユサユサ





    トーマス「」





    「そいつはもう逝っちまった・・・・・諦めろ」





    ミーナ「そんな・・・・・うっ,うう・・・・・・ヒグ・・・・エグ・・・・・」シクシク





    「さて・・・・早くも欠員が出たうえ,一人は装置がオシャカになってデッドウェイトになった・・・・」






    ドォン―― ドドォン――






    「そのうえ固定砲は効果なしで巨人がぞろぞろ入って来やがる」

    「アルミン・・・・・お前はどうするべきと考える?」



  223. 233 : : 2017/06/02(金) 18:57:15


    アルミン(・・・・・損害を防ぐなら,サムエルを補給所に連れて行って装置を交換するべきだけど)






    巨人「「「「「」」」」」ウロウロ







    アルミン「・・・・ガスの残量も少ない・・・・サムエルを背負いながらでは,この巨人たちを突破して補給所までたどり着けない・・・・」



    サムエル「・・・・・・・・・・・・・・俺を,置いていけばいいだろ?」ボソ



    ナック「―――ッ!」
    ミーナ「駄目よ!! 装備が万全ならまだ戦える! ここで諦めちゃだめだよ!」



    アルミン「・・・・・・・」チラ








    ―――壁上

    駐屯兵1「~~~~!!」
    駐屯兵2「―――ッ!」

    固定砲手「」 ドォンドォン!





    アルミン「―――壁上に上るしかない」




    アルミン「今僕たちは,ざっと見ただけで小型も含めて30体の巨人に囲まれて孤立状態だ。
    ここは壁寄りで補給所からは遠い・・・・」

    アルミン「シディアスとナックが突破口を開き,ミーナと僕がサムエルを壁上に運んで補給するしかない」



    ミーナ「・・・そうだよ! それがいい!!ここから壁までは200mもない・・・・すぐ行ける!」

    ナック「さっきシディアスが使った妙な力があれば行ける!!」



    アルミン「えっと・・・・シディアス?」





    「・・・・俺か? なんだ?」






    アルミン「・・・・さっき君がやったように,進路上の巨人を倒せるかい?」






    「――――――――――複数いっぺんには無理だ・・・・

    だが,動きを鈍らせるくらいはできるかもな」






    アルミン「それでもいい,僕らに力を貸してほしい! お願いだ!!」








    「・・・・・・・・・・いいだろう。 だがな,壁に着いた後は俺の好きにさせてもらう。お荷物にかまってやる気は無いからよぉ?」ニヤリ






    アルミン「・・・・・分かったよ」




  224. 234 : : 2017/06/02(金) 21:25:07

    建物の上―――

    ヒュウウウ…


    「さぁて,準備はいいな? 合図したら一気に壁に向かえ!!」ザッ



    「「「了解!」」」



    「・・・・・・・・・・・・・」ス…


    巨人「ガア~」ズシン
    巨人「アオゥ・・・・」ズゥン
    巨人「グブゥ~」 ガシガシ


    「―――――止まれ」ズ ズ ズ ズ ズ


    巨人「「「「「「―――ッ」」」」」」ビク…




    「今だッ, 抜けろ!!」




    ナック「ッ!」パシュ


    ミーナ「いくよ,アルミン,サムエル!!」
    サムエル「ああ!!」
    ミーアル「「3,2,1, GO!!」」パシュ




    巨人「「「「「「~~~~~~~~ッ!!」」」」」」ピクピクッ グググ…





    「焦んなよ・・・・あいつらが行ったらすぐにぶち殺してやるからよぉ・・・」ギュウウ







    ギュイイイイ…

    ナック「――――ッ,追って来ねえ!! シディアスがうまくやったぞ!」パシュ


    アルミン「油断するな! 中型以下が潜んでいるかもしれないぞ!」ギュイイイ
    サムエル「2人とも,すまねえ・・・」
    ミーナ「アルミン,もっとペースを合わせて! アンカーの飛距離が短すぎる!!」パシュン



    アルミン「・・・・・」シューー




    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    ・・・・・・・・・・・
    ・・・・・・







  225. 235 : : 2017/06/02(金) 21:26:25



    『――――,―――――~~~~あぁ? なんでんなことする必要があんだよ?』







    ミーナ『?』
    ナック『・・・?』

    アルミン『・・・・え? なんのこと?』



    『お前らに言ってねえ・・・・

    ―――, ―――- そんなの俺の知ったことかよ・・・・―――――,――――』ブツブツ

    ~~~~~~~~~,~~~~~~~~~~~~~…



    サムエル『さっきから何を独りで言ってんだ?』

    ミーナ『さぁ・・・?』





    『~~~~~~,~~~~~~~~~~~~~,―――――― ―――…・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いいだろう・・・・ただし条件がある』



    アルミン『条件・・・?』





    『お前たちはこれから俺が見せるものについて一切他言するな。

    もし誰かに言ったら・・・・・・・・・・・




    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あの巨人のように自分で自分の首を引き千切ることになる』



    ズ ズ ズ ズ ズ ズ ズ


    ナック『うぁあ!!』ガクン
    ミーナ『ヒッ!』ガタガタ
    サムエル『う・・・』ゾ…


    アルミン『・・・ッ!』ゾク…










    『約束するなら協力してやる・・・・・自分の命に誓えるか・・・?』ニヤ…




















  226. 236 : : 2017/06/02(金) 21:27:53
    ・・・・・・・・
    ・・・・・・・・・・・・・・・・
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




    アルミン「・・・・・・・」ギュイイイ







    ナック「・・・・ッ!! 不味い,前方から巨人2体!!」


    アルミン「なんだって!?」




    巨人1「ガァ~~~~」ズン ズン

    巨人2「ア゙ァ゙~~~~」ダダダダ




    ミーナ「嘘でしょ!?」ゾク
    アルミン「ミーナ!進路を右に!!」
    ミーナ「無理よ!前進するだけで精一杯なのに!!」


    サムエル「ッ,・・・・二人とも俺を下ろせ!! 抱えたままじゃ皆死ぬ!!」


    アルミン「駄目だ! ナック!横に逸れて一匹でもいいから惹きつけて!!」




    ナック「くそ・・・・ 分かった!」ギュイン


    ナック「おい!! こっちに来やがれ,マヌケづらあ!!」




    巨人「」ズンズンズン
    巨人「」ズンズンズン




    ナック「反応しねえ!? 奇行種か!!」キュキュキュ




    アルミン「駄目か!!?」ギュイイン

    ミーナ「もう終わりだわ・・・・」
















    ブオン――――――― ガス! ガス! ガス! ガス!


  227. 237 : : 2017/06/02(金) 21:31:34


    ズシイン…
    ドシャアアア…






    アルミン「え!?」





    巨人1「ア゙ァ゙アアアアアアアア!!」顔押さえ
    巨人2「グギイイイイ!!」目押さえ




    ミーナ「何!?」
    サムエル「巨人の目にブレードが!?」


    アルミン「!!! (シディアス・・・!)」チラ






    ヴヴヴ…

    「くそ・・・・今ので何体か拘束が解けた―――――(急げよアルミン・・・・)」ズ ズ ズ ズ








    ナック「壁だ!! 一気に吹かせえええ!!!!!」ガチン ブシュウウウウウ!!!


    アルミン「ミーナ!!!!」
    ミーナ「分かってる!! 行くよサムエル!!!!」ガチン
    サムエル「ッ!!」ギュ…




    ボシュウウウウウウウウウ!!!!! ギュイイイイイイイ!!!!






    アル・ミー((――――――――――あと少し!!!――――――――――))











  228. 238 : : 2017/06/02(金) 21:33:18

    壁上―――

    ヒュウウウウ…




    シュタ―






    ナック「つ,着いた・・・・」ゼェー ゼェー…






    ドサァ! ドサドサ! バキン ガシャアア…

    サムエル「ッ―――痛ッッてぇえええ・・・・・!!」モゾ





    ナック「3人とも,大丈夫か!?」タタタ






    アルミン「ゼェ――,ゼェ――,なッ, 何とか・・・・・・」ハァ ハァ

    ミーナ「いったぁあ・・・・擦り剥いちゃった・・・・・」ダラ…









    サムエル「は・・・ハハハ・・・・・信じられねえ・・・・生きてるよな,俺たち?」




    アルミン「ああ・・・・奇跡的にね・・・・・・」




    ミーナ「いつつ・・・・シディアスは・・・?」


  229. 239 : : 2017/06/03(土) 09:00:26



    ボゴン! ブチュ… ギギィィィ…ゴキン


    「歯応えが無さすぎ・・・・・やっぱ図体だけだな,お前ら」










    巨人だったもの「「「「「「」」」」」」シュウウウウ…








    ミーナ「すごい・・・・・・」

    ナック「たった一人であれだけの数の巨人を・・・・」

    サムエル「信じられん・・・・本当に人間か・・・?」




    アルミン「・・・・・・・」




    アルミン(―――――怖いな)

    アルミン(でも,これほどの力があれば・・・・鎧の出現する前に,トロスト区に空けられた穴を
    塞げるかもしれない・・・・・・・・もしも“彼”が協力してくれれば,だけど・・・・)








    「しかし数が多くてきりがない・・・・・無駄使いしないでそろそろ俺も上がるか・・・」パシュ


    ギュイイイイン パシュ パシュ




  230. 240 : : 2017/06/03(土) 09:01:17


    壁上――

    ブシュウウウウウ…




    スタン―――


    「よぉ・・・・無事みてぇだな」ザ ザ ザ




    アルミン「おかげ様でね・・・・ありがとう,助かったよ」



    「礼には及ばねえ・・・・しかし,ひでー有様だなこりゃ・・・・」チラ



    アルミン「・・・・・」チラ







    ズゥン ズゥン―――

    イヤダァアアア

    タ、タスケ… [バキバキ] アアアアア!!!








    アルミン「・・・・・・・・これが地獄絵図ってやつかな」





    ドォン… ドォン… ドンドン ドォン ドォン ドォン…



    「っち, 下手糞が・・・・・・」






    駐屯兵「おい! 貴様らは中衛だろ! なぜ勝手に壁上に上がった!!?」


    アルミン「・・・はッ! 申し訳ありません!班員が負傷して装置も破損したため,止む無く・・・」


    駐屯兵「言い訳はいい! 無事ならばさっさと降りて巨人を倒さぬか!!」


    駐屯兵2「今も多くの巨人がトロスト区に入り込んでいる!休んでるヒマがあれば闘え!!」






    ナック「くそ・・・・足止めにもならねえ無駄弾ばかり撃ってるくせに・・・・」


    ミーナ「静かに! 聴こえたら上官侮辱罪よ・・・」

















    「あのぉ~・・・・俺に固定砲台の指揮権を譲ってくれますか?」




  231. 241 : : 2017/06/03(土) 09:26:17


    駐屯兵「あ? 貴様・・・・今何と言った?」ザッ

    駐屯兵2「命令が聞こえなかったか? さっさと降りて巨人を殺せ!」

    駐屯兵3「新兵風情が・・・・ノリでほざいてんじゃねえ!」




    サムエル「おいおい,何やってんだシディアス!?」

    ミーナ「いくら砲科の成績がいいからって上官にあんなこと言ったら・・・」

    ナック(言いてえことは分るけどな・・・・)





    アルミン「も、申し訳ありません!! 彼は戦いのショックで気が動転しているんです!」


    駐屯兵「ッチ, さっさと中衛に戻れ! 命令違反と敵前逃亡罪で銃殺される前にな!」




    「あんたらの下手な砲撃じゃ,有っても無くても同じなんですよ・・・・そこを退いてくれませんかねえ?」


    ズ ズ ズ ズ



    アルミン「シディアス! ダメだ!!」




    駐屯兵「なるほど・・・・・・よーく分かった・・・・・・任務を放棄するわけだな?」

    ―――ジャキ―――


    駐屯兵2「三つ数え終わる前に中衛に戻れ・・・・さもなくば命令違反と上官侮辱罪で処刑する」

    駐屯兵3「脅しと思うな・・・・」ジャキ




    「別に与えられた任務を放棄するわけじゃありませんよ?ただ,あんたらがあまりに役立たずなもんで,自分で動くしかないなぁ~って思って・・・・・」


    駐屯兵「ヒトぉ―――つッ!!!!」


    ――カチリ――




    「やれやれ・・・・素直に話に応じていれば,屈辱的な思いをせずに済んだものを―――」ス…




    アルミン(マズイ!!)

    アルミン「やめろシディアス! 彼らは人だ! 巨人じゃない!!」




    「フタぁ―――っつッッ!!!!」





    「言ったはずだ・・・・俺を殺そうとするやつは巨人だろうと人間だろうと,容赦はしねえ・・・・」



    アルミン「・・・・・ッ!!」




    「ミィ~~~っつッッ!!!!!!」




    「時間切れはあんたらの方だ・・・・」ギュウウウ





    アルミン(目逸らし)「ッ! ―――クッ!!」ギュ














    ――――――――『俺に固定砲台の指揮権を譲渡して命令に従え』―――――――――


  232. 242 : : 2017/06/03(土) 11:47:36


    駐屯兵「「「――――」」」





    アルミン「・・・・・・あれ?」





    『俺に固定砲台の指揮権を譲渡して命令に従え』

    駐屯兵「「「――――固定砲台の指揮権を譲渡して命令に従う」」」



    『城門の上に弾薬と固定砲を集められるだけ集めろ』

    駐屯兵「「「城門の上に弾薬と固定砲を集められるだけ集める」」」



    『あと他の駐屯兵を俺のところへ連れてこい, 早く行け』

    駐屯兵「「「他の駐屯兵をあなたのところへ連れて来る, 早く行く」」」


    ザッザッザッ
    ザッザッザッ
    ザッザッザッ





    ナック「・・・・どうなってんだ? 急に言う事を聴き出したぞ?」

    ミーナ「でもなんだか上官たちの様子が変・・・」







    アルミン「シディアス・・・今のは一体・・・・・?」



    「軽~く説得しただけさ・・・・さて,これで手筈は整った・・・・・・」



    アルミン「手筈って一体,何をする気なんだ・・・・・・?」



    「んなもん決まってんだろーが・・・・・・さぁ――――――











    ――――――――――――巨人狩りを始めよう――――――――――――」







  233. 243 : : 2017/06/03(土) 19:45:32

    作者より

    もっと簡潔に終わらせる筈が長引き過ぎたので,一旦終了します。
    別タイトルで続編を書きますので後程投稿で通知します。
    読んでくださった皆さん,御目汚しして失礼しました。

    進撃の本編を見て巨人の天敵が欲しくなり,スターウォーズ好きなので

    ・フォースの概念
    ・シディアスの名前はシス卿ダース・シディアスから
    ・『嫌な予感がする』

    以上を設定に拝借しました。


  234. 245 : : 2017/06/04(日) 21:26:47
    作者です。
    続編が出来たので気になる方はどうぞ。

    「巨人と人類・・・・どっちが害だ?」
    http://www.ssnote.net/archives/53710

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