苗木「超高校級の幸運に選ばれなかった」二章 ─仲直り─
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- 1 : 2014/05/05(月) 21:02:04 :
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苗木「超高校級の幸運に選ばれなかった」
http://www.ssnote.net/archives/9786
の続きです!
ネタバレあります
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- 2 : 2014/05/05(月) 21:07:50 :
【寄宿舎】
苗木「……」スッ
ピンポーン
夏休みが始まり、刻々とタイムリミットが迫る中
僕が最初に訪れたのは…
ガチャッ!
日向「ん?…苗木か、どうしたんだ?」
1つ上の先輩
苗木「あはは…実はさ、ちょっと相談があって」
日向創君の部屋だった
chapter 4 未来より大切なもの
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- 3 : 2014/05/05(月) 21:46:00 :
日向「そうか…まあとりあえず入れよ」
不穏な何かを察したのか、日向くんは僕を部屋招き入れた
苗木「うん。お邪魔します」スタスタ
靴を揃え、僕は日向くんの部屋に入った
僕が日向くんの元へ訪れたのは他でもない。
彼は数々の相談を請け負い、親身に話を聞き解決する。
別名、“超高校級の相談窓口”と言われているのだ!
日向「ところで…」
机を挟んで向き合う僕と日向くん
日向「今日はどうしたんだ?」
僕が腰を下ろすと彼はそう話を切り出した
苗木「あはは、……実はさ…ある人と仲直りしたいんだよね…」
日向「………」
一瞬の沈黙。
そして…
日向「……それって霧切のことか?」
苗木「!?」
あまりに虚を突かれた答え
当然僕はそれに対して過剰に反応してしまう
苗木「え?!なんでそれを!」
そんな問い…ただ当然の疑問。
それに日向くんは間を開けることなく簡潔にこう言った
日向「セレスから聞いた」
苗木「セレスさん口軽ッ!?」
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- 4 : 2014/05/05(月) 23:00:22 :
- 期待期待です!
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- 5 : 2014/05/06(火) 09:02:44 :
- 期待せざるを得ない・・・
頑張ってください!
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- 6 : 2014/05/06(火) 12:28:05 :
- 面白いですね
期待しています頑張って下さい
ゆっくりと自分のペースで
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- 8 : 2014/05/06(火) 20:09:13 :
そんな風に言う僕に対し
日向くんはたしなめるように口を開く
日向「まあまあ、アイツもお前のために思っていったんだと思うぞ?」
苗木「僕のことを…?」
日向「何故か俺が相談窓口だってこと78期生の方にも広まってるだろ?」
苗木「うん。…まあ」
有名だからこそ来たわけだけど、僕は狛枝君から聞いていたので曖昧な返事をした
何故なら、僕と彼女ら…78期生の皆とは入った時期が違う。
つまり、皆の常識を僕は完璧に理解していない。
だからこそ僕は曖昧な返事をするのだった
日向「セレスには分かってたんじゃないか?苗木が俺の所に来るって」
苗木「…かもね」
……そっか、あれはセレスさんなりの気遣いだったんだね…口が軽いとか言ったの悪かったな…
日向「そのついでにこうも言ってたぞ、『彼が全てを話したら私にも教えてくださいね。にこっ』だそうだ」
苗木「………」
…前言撤回だ
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- 9 : 2014/05/06(火) 22:47:00 :
- 早く早く!支援なう
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- 10 : 2014/05/06(火) 23:15:59 :
- 期待です!2スレ目も頑
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- 11 : 2014/05/06(火) 23:16:57 :
- ミスです!すいません!
期待です!2スレ目もガンバリンゴですよ!
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- 12 : 2014/05/06(火) 23:18:09 :
- うまいです!期待してますよ!
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- 14 : 2014/05/07(水) 20:19:10 :
日向「ま、まあ、冗談混じりだったし、当然言わないから安心しろ」
苗木「う、うん…あのね──」
一悶着あったけれどそれも終わりにし
若干の不安を残しつつ、僕は語り出す…
~~~~~~~~~~~
〈三十分後〉
苗木「……ってことなんだよね…」
日向「…なるほどな」
僕は日向くんに悩みをぶちまけた…
無論、過去のことは簿かしつつ話したが、彼はそこに追求することなく頷きながらそう言った
日向「要約すると、喧嘩別れした霧切と再会したが声を掛けられないってことか…」
苗木「いや、話しかけても逃げられると言うか…その…」
とりあえず、どうこう以前に30分程話したことをたった30字以下にまとめられたことに驚きを隠せない…
これは日向くんのまとめる能力を評価するのか、僕の説明の下手さをもとい回りくどさを認めるべきか。
いや、勿論認めると言っている時点で後者のわけだけども…
日向「あのさ…苗木…」
苗木「…何…かな?」
だけど、驚くべきはそこでは無かった
30分話したその“相談”は、またもたった30字以内で一蹴されたのだった
日向「お前は…そんな風に逃げる霧切に対して、何かしたのか?」
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- 15 : 2014/05/07(水) 20:31:11 :
苗木「──ッ!!」
痛いところを突かれた
素直な所そう思った…否。思ってしまった
苗木「何も…してないよ…」
僕は弱々しく…そう言った。
それに対し日向くんはキッっといつもより一層真面目な顔つきになり…そして口を開いた
日向「…そっか、ならよく聞け苗木。今の現状を変えたいなら───」
ピンポーーンっ!!
たが、日向くんが何かを言い終える前に、不運にもそれを遮るようにインターホンがなる
まるで漫画やアニメのお約束な展開
日向「…悪い、ちょっと待っててくれ」スッ
苗木「うん」
ドタドタ
日向「はーい!」ガチャッ
そんな風に言いながら彼はドアを開く…そして
「あのぉ…」
聞き覚えのある声が部屋に響く
日向「どうしたんだ不二咲」
苗木(あっ、やっぱり不二咲さんだったのか)
不二咲「じ、実は…相談があって………」
日向「そっか…でも今は先約が……」
不二咲「……そっかぁ…また今度来るねぇ」
明らかに悲しそうな声を出し、立ち去ろうとする彼女
そんな姿も見えない彼女に対し僕は…
苗木「不二咲さん!ちょっと待って!!」
そう声を掛けた
不二咲「あっ、その声は苗木君だぁ!」
帰ってきた返事は予想外だったけれど
声の主が僕ということに気付いてくれたらしい彼女
苗木「うん!そうだよ!」スタスタ
ちょっと嬉しいと思ったのは内緒だ
僕はそのまま玄関の方へ歩き出し、彼女の姿を見た
不二咲「昨日ぶりだね」ニコッ
彼女の名前は不二咲千尋。
超高校級のプログラマーで
その外見から小動物を思わせる女の子である
追記:僕ッ子だ
苗木「うん。昨日ぶりだね」
不二咲「そういえばさっき言ってた先約の人って苗木君だったんだね」
苗木「そうだよ。そういえば不二咲さんは今日どうかしたの?」
苗木(……あっ)
このとき僕は気付いた。
女の子が男の子の部屋に来てるのだ
何て空気の読めない男なんだ僕は……
不二咲「…実は……相談があって来たんだぁ」
苗木「だ、だよね!」
不二咲「?」
苗木「いや、気にしないで。」
不二咲「でも、先に苗木君がいるみたいだし邪魔しちゃ悪いから僕はここで…」
苗木「大丈夫だよ」
不二咲「…何が?」
苗木「僕の相談“は”、大したことじゃなかったし僕のことは気にしなくて大丈夫だよ」ニコッ
30分熱弁したことを大したことじゃないって断言するのは心に来るものがあるが…
悩みぬいた挙げ句に出来たであろう目のくまと
彼女の重苦しい顔を見て…僕は決心した
苗木「僕の相談は別にいつでも良いことだからさ、日向くんに相談して大丈夫だよ?」
不二咲「…良いの?」
苗木「うん!もちろん!」
日向「お、おい。話を勝手に進めるな」
そこで日向くんの制止がかかる
苗木「あ…ごめん…」
不二咲「あっもしかして日向くん…忙しかったの?ごめんねぇ…」ウルッ
日向「わわっ!悪いそう言う意味じゃないんだ、だから泣かないでくれ」
目を潤ませる不二咲さんに慌てふためく日向くん
苗木(それじゃあ…僕はこの辺で退出しようかな……)スッ
そんな微笑ましい光景に、僅かに口角を緩ませながら
部屋を出ようとする僕…
ガシッ!
不二咲「待って!」
苗木「ふ、不二咲さん?!」
そんな僕の手を──彼女が掴んだ
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- 16 : 2014/05/08(木) 19:33:35 :
- {期待をしなくてどうする!!}級に期待です!!
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- 17 : 2014/05/08(木) 19:35:55 :
- かなり早く更新されていますよ♪
面白いので楽しみです!
頑張って下さい
他の作品も面白かったです!
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- 18 : 2014/05/09(金) 12:05:12 :
- いいの!いいのー!
支援しまくりです。がんばってくりゃー!
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- 20 : 2014/05/10(土) 14:38:59 :
苗木「ど…どうしたの?」
突然の自体に僕は声を上ずらせながらそう言う
不二咲「出来れば…本当に出来れば何だけどね…」
苗木「うん…」
十分過ぎるほどの前置きを置いたのち
意を決したように彼女は言った
不二咲「苗木君にも…僕の相談に乗ってほしいんだぁ!」
苗木「…………えっ?」
それが素直な感想
苗木(何で…僕が?)
意味が分からない……これが本音である
苗木「何で…僕なのかな?」
不二咲「苗木君は強いし…その信用してるから…」
苗木「あはは、僕……強いのかな……」
不二咲「……ごめんね…いきなりこんなこと言って、迷惑だよねぇ…」ウルッ
頭をクエスチョンに多い尽くされている僕をよそに、またもや目に涙を溜める不二咲さん…
しかも上目遣いだ
苗木「…………っ」
そんな彼女を前に僕は……
……………………………
……………………
…………
……
不二咲「えっと…よろしくね」ニコッ
苗木「うん。よろしく」ニコッ
…断れなかった
あの状況で断れるのは、せいぜい痩せてる方の十神君くらいだろう
日向「それで…相談ってどうしたんだ?」
不二咲「うん…あのねぇ……僕、強くなりたいんだ!」
苗木(強くなりたい…か)
普通、女子の言う台詞では無い……よね。
例外がいるけれど…
日向「それで、強くなってどうするんだ?」
不二咲「…弱い自分を変えたいんだ!」
日向「そうか、…でもな不二咲」
不二咲さんの目をしっかりと見て彼はこう言った
日向「俺はお前のこと強いやつだと思ってるぞ?」
不二咲「ぼ、僕が強い?!」
不二咲さんは驚きを隠せずそんな反応をした
日向「ああ」
不二咲「どこがかなぁ?体も弱いし…すぐに泣いちゃうし…」
日向「肉体の強さは個人差があるからな…俺が言ってるのは内面の強さって所だな」
不二咲「えっ…それはどういう?」
日向「そこは苗木にでも聞け」
苗木「うん。そうだよ苗木君に……って、ええ?!僕ッ!?」
気を抜いていたわけでは無いが
ここでパスされるとは思っていなかった分
さっきのような過剰な反応をとってしまった!
苗木「ここで何で僕なの?」ヒソヒソ
日向「アイツがここにお前を留めた理由を考えろ…それに同年代のお前にしか分からないことがあるだろう?」ヒソヒソ
苗木(理由…僕にしか分からないこと…)
不二咲『信用してるから』
苗木(ああ、そうか………彼女は僕のことを信用してくれている。信じてくれている…)
苗木(……なら!!その信用に答えないとダメだよな!!!)
苗木「日向くん…僕に任せて」
日向「……おう!」
僕は意気揚々と彼にそう言った…
…これからは僕のターンだ
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- 21 : 2014/05/10(土) 19:04:47 :
苗木「不二咲さん」
僕は彼女と向き合い、彼女の名前を改めて呼ぶ
不二咲「どうしたの?」
そしてこんなことを聞いた
苗木「君はさ、どんな人が弱いと思う?」
不二咲「えっと……体が弱くて、なよなよしてて…すぐに泣いちゃって…」
ポツリポツリとそう答える彼女…。
まるで自己を否定をするかのように
苗木「そっか、じゃあさ僕の思う弱い人を聞いてもらって良いかな?」
不二咲「うん」
苗木「僕はね、人って言うのは元々弱いものだと思ってるんだ…一人じゃ生きられないしね」
不二咲「………」
苗木「そのうえで、自分の弱さに向き合えない人…それが僕の中で弱い人なんだよ」
不二咲「…………!!」
苗木「……でもさ…不二咲さんは違うでしょ?君は自分の弱さに向き合い変わろうとしている…それって凄いことだと思うんだ」
不二咲「……でも…僕は……変われないから結局弱いままだよぉ?」
苗木「あのさ不二咲さん…覚えてるかな、僕が初めて皆とあった日のこと」
不二咲「……えっと…黒板消しのこと…かな?」
苗木「うん。そうだよ。…あの時君が一番最初に僕の心配をしてくれたよね」
不二咲「……最初かどうかは覚えてないよぉ…」
苗木「そっか……あの時僕は凄く嬉しかったんだ」
不二咲「……嬉しかった?」
苗木「見ず知らずの僕を君は心配してくれたでしょ?」
苗木「君は…人の心配を心から出来る人間なんだ…それってあまり出来ることじゃないよ?」
一人じゃ弱い人間
そんな中で誰かを思いやれる彼女を弱い人間なんて僕は思わない
不二咲「…………でもね…」ポロポロ
その言葉を聞いて突如彼女は泣き始めた
苗木「不二咲さん!?」
不二咲「ぼ…僕は……ヒック……み…皆に……ヒック……嘘を…………」ポロポロ
目から大粒の涙を流しながら……そしてしゃくりあげながら彼女は言った……『嘘』と
……きっとその『嘘』が………彼女の弱さ…
苗木「う…嘘って……何?」
つい漏れた言葉に
不二咲「……ごめん…まだ言えない…ごめん…」ポロポロ
謝りながらに不二咲さんは、そう言う
まだ言えない。
つまり今言えないこと
苗木「で、でもさ!…い………」
不二咲「……?」ポロポロ
『言ったら楽になるよ…』……そう出掛けた言葉を僕は必死で抑えこんだ
何故ならそれはこちらの一方的な押し付けだからである
押し付け……つまり身勝手
僕なんかが身勝手を押し付けた所で
彼女に残るのは、せいぜい心の傷ぐらいだろう…
苗木「………………」
だから何も言わない…
否、何も言えないのだった…
不二咲「…ヒック………ヒック……」
そして…室内には彼女のしゃくり声だけが響く
日向「なあ、不二咲」
その時…日向くんが口を開いた
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- 22 : 2014/05/11(日) 05:09:46 :
不二咲「ヒック……何ぃ?」
日向「俺の友達に聞いた話なんだけどさ」
そんな前置きを置いた後
日向「嘘ってのは全然辛くないらしいぞ」
苗木(!!……日向くん…君は何を…)
不二咲「うう…やっぱり僕の考えすぎ……やっぱり僕が弱いから…」ポロポロ
日向「そんな自己嫌悪に陥るなよ。まあ最後まで聞け」
今だ大粒の涙を流す彼女とは対照的に
落ち着いて、そのうえ優しい口調で彼はこう続けた
日向「辛くない嘘が辛くなることがあるらしいんだ…どんな時だと思う?」
日向くんはよりいっそう優しい口調で不二咲さんにそう聞いた
不二咲「…………えぇっと……自分が弱いって思ったとき?」
日向くんの優しい口調に落ち着いたのか
ボロボロ流れる涙は目に貯まるようにして止まり
彼女はそう答えた……が
日向「いいや、違うぞ。」
不二咲「…………」
日向「さっきも言ったようにこれは友達から聞いた話だけど、そいつはこう言ったんだ…」
日向「辛くなるのは、嘘をつく相手と友達になってしまった時……だってな」
不二咲「!!」
日向「もう…俺の言いたいことは分かったか?」
不二咲「うん。」
日向「それじゃあ、さっきのは俺の友達の言葉だから次は俺の言葉だな」ゴホンッ
彼は1つ咳払いをしたのちこう言った
日向「不二咲…少なく見積もってお前のクラスメイト……そいつらはお前の友達か?」
不二咲「もちろんだよぉ!」
意味も意図も分からないその質問に彼女は力強くそう答えた
日向「じゃあ苗木。不二咲はお前の友達か?」
僕にもその質問が来た
苗木「当然だよ」
僕はそう答えた。そこに嘘偽りは無い
日向「じゃあ最後の質問だ」
不二咲「…うん」
日向「もしお前が『嘘』の内容を苗木に伝えたら、苗木は怒ったりお前を友達と言わなくなると思うか?」
不二咲「思わないよぉ…」
語尾に強気が無いものの彼女はそう即答した
日向「そうか…」ニッ
それを聞いて日向くんは嬉しそうにニッと笑いこう言った
日向「じゃあ俺からは最後の言葉だ…」
日向「一度しか言わないからよく聞いとけよ?」
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- 23 : 2014/05/11(日) 18:51:49 :
- 期待
-
- 24 : 2014/05/12(月) 02:27:55 :
- この投稿は削除されました。
-
- 25 : 2014/05/12(月) 06:52:55 :
- 日向イケメン
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- 27 : 2014/05/12(月) 21:51:01 :
不二咲「う、うん!」
既に涙のひいた彼女は両手を握り締めながらそう返事をした
日向「お前にも、嘘を受け入れてくれるやつ。そして嘘を待っててくれるやつが居る」
日向「まあ、この場合分かってるのは苗木だけだけど、お前の友達にお前の『嘘』を無理矢理言わせようとするやつがいるか?」
不二咲「いないよぉ…」
日向「だったらお前はこう思えば良い。嘘を隠して辛いんじゃなくて」
日向「自分には嘘を受け止めてくれる。そして待っていてくれる人がいる幸せものだってな!」
不二咲「…!!」
辛いの辛に一本棒を足せば幸せの幸になるように
物事は何事も紙一重なのかもしれない
不二咲さんにとってのその一本が。日向くんの相談というもので本当によかった
……僕はそう思った
だって、人の『嘘』に関わるのは辛いことだけれど
人が変われる所に立ち会えるのは…とても幸せなことだから
……………………………
…………………
…………
~~~~~~~~~~
不二咲「あのね…」
全てが一段落して不二咲さんが部屋を去る際
彼女はこう言った
不二咲「今度皆で海に行こう…!」
苗木「えっ」
プールの授業に一度も参加しなかった彼女がそんなことを言うことに一瞬驚いたが…
苗木「…うん!皆で行こうね!」
僕はそう【約束】した
不二咲「その時に…全部話すから……」ゴニョゴニョ
苗木「え?何か言った?」
よく聞き取れなかった
不二咲「ううん。何でもないよぉ…。またね!二人とも」タッ
苗木「うん。またね」ブンブン
日向「おう、じゃあな」ヒラヒラ
そう言って彼女は去って行っ……
不二咲「そうだ。」
……たと思ったら、ドアから顔をひょこっと出してこう言った
不二咲「改めて二人とも………本当にありがとう!」ニコッ
タッ!
苗木「……うん」
彼女の笑顔を見たとき、改めて彼女を救えた…
……僕はそう実感したのだった
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- 28 : 2014/05/12(月) 23:32:40 :
- 期待してます!
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- 29 : 2014/05/13(火) 21:40:13 :
- >>28
ありがとうございます!!
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- 30 : 2014/05/13(火) 21:40:36 :
-
……………………………
…………………
…………
【日向の部屋】
苗木「…まあ僕はオマケのようなものだったけれど」
日向「ん?何言ってるんだ?……あれはお前が居たから出来た解決法だぞ?」
苗木「あはは、そんなおだてなくていいよ」
日向「本心なんだけどな。…そういえば、苗木の言った弱いやつって誰だ?モデルがいるように思えたけど」ニヤニヤ
ニヤニヤしながらそう聞く日向くん
絶対に分かって聞いてる!!
苗木「えっと…その………僕だけど…」
日向「……だろうな」
やっぱりッ!!
日向「で、お前は弱さと向き合わない弱い人間のままでいるのか?」
苗木「…………」
そんなこと聞かれたって答えは1つしかないよね
苗木「ううん。僕はもう逃げないよ…過去から……そして彼女から」
日向「……そっか。じゃあ苗木の相談も無事解決だな」ニッ
苗木「え?」
日向「お前にはもう俺の言葉は必要ない」
苗木「でも…」
日向「苗木。さっきお前が言ったのは、お前が不二咲との会話で見つけたお前自身の答えだ……だから自信を持て」
苗木「!!……まさか君は…そのために僕に不二咲さんの相談を?!」
日向「まあ半分半分だな。言い方を悪くすると一石二鳥だ」
苗木「…あはは………本当に凄いや」
僕はそれしか言えなかった
人は本当に凄いと思うと笑うみたいだ
日向「いやいや、俺なんて大したことないぞ!?」
苗木「でも相談の答えも的確だったよ?」
日向「いや…あれは受け売りだしな」
日向くんはバツが悪そうに頭を掻く
苗木「それって、痩せてない方の十神君?」
日向「うお!よく分かったな!その通りだぞ」
日向「だからさ、さっきの件で凄いのは俺じゃなくて豚神(とがみ)なんだ。」
日向「結局は俺はアイツから……正確にはアイツらから教えてもらったことを人に話してるだけ、なのにいつの間にか相談窓口って呼ばれるようななってさ、ははっ笑っちまうだろ?」
苗木「…………」
日向「別に、俺じゃなくても良かったんだよ。俺にはなにもないから……俺は──苗木「それは違うよ!!」
僕は日向くんの言葉を遮るようにそう言った
日向「!?ど、どうしたそんな大きな声だして」
苗木「君は大きな勘違いをしているよ……君の言葉は確かに豚神くんの借り物だったのかもしれない…でも!!」
苗木「そんな彼の相談を聞いたのは君自身だ!!」
日向「!!」
苗木「きっと、君は数々の相談を受けて、それを親身に聞いて受け止めて!!そしてそんな彼らの言葉を自身に刻む!」
苗木「そんな君が何も持ってないわけない!!そして何も持ってない人に皆が相談するわけ無いだろう!!!」
僕は感情のままにそう怒鳴った
それに対し日向くんは…
日向「…………くくっ……ははっ…!」
そう笑った
苗木「日向くん!?」
日向「悪い…。でもあれだな!人って本当に凄いって思ったら笑うんだな!」ククッ
今だ笑いを堪えるのに必死な彼はそう言った
そして、笑い尽くした後。
彼は僕に向かってこう言った
日向「ありがとな苗木。なんか胸のモヤモヤがスッとした」
苗木「そんな!僕は何も!」
日向「いや、お前は俺の悩みを一蹴してくれたぞ」
苗木「僕はただ、思ったことを言っただけなんだけど…」
日向「だけどな──」
その後、しばらく水掛け論が続いた
〈五分後〉
日向「…あーもうどっちが相談しに来たか分かんないな!」
結論はそれだった
それ…というかそういうことになって、うやむやのままこの会話は終わった
-
- 31 : 2014/05/14(水) 19:32:07 :
- 面白いです!
頑張って下さい
-
- 32 : 2014/05/15(木) 08:58:50 :
- この投稿は削除されました。
-
- 34 : 2014/05/16(金) 01:54:47 :
- 久々に見たらめっちゃ進んでたΣ(・□・;)
苗木君、霧切さんと仲直り出来たらいいな!
ベータさん頑張って‼︎
期待♪
-
- 35 : 2014/05/16(金) 02:33:49 :
- 何か読んでて楽しいss見つけたー
続きが楽しみなので待機しておこう
-
- 37 : 2014/05/17(土) 22:47:43 :
~~~~~~~~
日向「なあ…」
相談も終わり。
他愛のない話をしていたとき、なんの脈絡もなく彼はこう告げた
苗木「な、なにかな?」
日向「お前の方が超高校級の相談窓口に向いてんじゃないのか?」ニヤッ
日向くんはニヤッと悪意のない顔で笑う
苗木「もう!冗談はやめてよ」クスッ
日向「割りと本気なんだけどな。まあ、俺の後続ということで……頼んだぞ」ポンッ
苗木「何そのポスト制!!」
日向「冗談だよ冗談だよ」ププッ
苗木「冗談に聞こえないのが日向くんの怖いところだよ…」
日向「それは褒められてるのか?」
苗木「ノーコメントで」
日向「ノーコメントって…せめて否定か肯定かはハッキリさせろよ」
──ったく、七海かよ。と彼は笑顔でそんなことを漏らしながらこう続けた
日向「…まあいいや、とりあえずさっさと仲直りしてこい」
仲直り……もちろん相手は彼女だ
苗木「うんそうだね、行ってくるよ…日向くんありがとう」
日向「おう。こっちこそありがとな……頑張れよ!」グッ!
苗木「もちろんだよ!」グッ!
古くさいかもしれないが、僕らはお互いに親指を突き立てあった
そして僕は彼の部屋を後にする。
そして向かう…彼女のもとへ
過去と向き合うために…
そして彼女自身と向き合うために!!!
……………………………
…………………
…………
ーーーーーーーーーー
【日向部屋】
日向「弱さに向き合うことはやっぱり大切だよな…」
日向「だから………俺は……」
日向は苗木の去った部屋で一人。
ポツリとそう呟いていた
ーーーーーーーーーー
-
- 38 : 2014/05/19(月) 02:48:16 :
- 日向.....?
期待♪
-
- 39 : 2014/05/19(月) 20:31:59 :
- 久しぶりに来ました!
やっぱり面白いです!
これからも頑張って下さい
-
- 40 : 2014/05/19(月) 23:13:20 :
- この投稿は削除されました。
-
- 42 : 2014/05/21(水) 23:23:12 :
【廊下】
苗木「……体が軽い…もう何も怖くない!」タッ!
そんな不吉なことを言いながら僕は廊下を走る
いや、そんな冗談を言えるようになったことを喜ぶべきなのかな?
そんな風に意気揚々と進めた足は
七海「やあやあ」
彼女によって止められた
彼女の名前は七海千秋。
超高校級のゲーマー
日向くんと一緒にイメージがある
身長が同じだ。(多分数ミリ負けている)
苗木「あれ七海さんどうしたの?」
七海「あのね、狛枝君と舞園さんが苗木君探してるようだったけど…会えたかな?」
苗木「えっ…会ってはないけど、…ちょっと待ってて」ピッ
『受信メール 三件』
苗木「……えっと」ピッピッ
三件。
それは各々別の人からだった
舞園さん、狛枝君、不二咲さんだ
内容は、舞園さんと狛枝君からのは、いつでも良いので話があるとのこと
不二咲さんは先程の件で改めて感謝のメールが送られてきた(律儀だなぁ)
苗木「あはは、メールが来てたよ。七海さんありがとう。明日にでも二人に会ってみるよ」
七海「うん。……それで苗木君」
苗木「な、何かな?」
七海「…頑張ってね」
苗木「え?」
七海「ううん。何でもないよ。いってらっしゃい」バイバイ
苗木「うん。ありがとう、行ってくるね」
この時、僕は彼女の言う『頑張ってね』の意味が分からなかった……【この時は】。
そして僕は再び駆け出し、彼女は先程まで僕が通っていた道(つまり日向くんの部屋)に向け歩きだしていった
~~~~~~~~~~
その後…
苗木「あっ、そうだ」ゴソゴソ
僕は自身の鞄の中を確認していた
決して、何かを盗まれたのかもしれないから確認しているわけではなく
苗木「よし、足りるな……おっと」
──チャリンッ
僕の手から硬貨がこぼれ落ちる…
……足りる。
そう。僕の確認したのは──財布の中身だった
……………………………
………………………
……………
……
そして。
苗木「よしっ」
僕は寄宿舎の一室の前に立ってそう言った
部屋にはネームプレートが立て掛けられており
そこに書いてある名前はもちろん…霧切響子の四文字だ
『また明日』そんな約束を僕が守れなかった相手
突如居なくなってしまった…彼女の名前
苗木「…いや、ナイーブになるのは僕らしくないよな」スッ
僕は一度大きく深呼吸したのち
ピンポーンっ
彼女の部屋のインターホンを鳴らした
-
- 43 : 2014/05/24(土) 17:36:24 :
扉『………』シーン
だが、返事や扉が開く様子もなかった
苗木「……あれ」
ピンポーン
扉『………』シーン
ピンポーン
扉『………』シーン
苗木「ん?…居ないのかな?」スッ
僕はついドアノブに手を伸ばす
ガチャ…
ドアノブはすんなりと動いた……つまり鍵が開いていると言うことだ…
苗木「…返事がなくて鍵が開いてる………まさかッ!」
最悪な『推理』が繋がる。
ミステリーなどではお決まりの展開
苗木「響子ちゃん!!!」
ガチャ!!
僕は勢いよく扉を開ける………いや開けてしまった
苗木「大丈………あれ?」
霧切「………」ホカホカ
苗木「………………あれ?」メヲゴシゴシ
霧切「………」ジトッ
目をごしごししても何も変わらなかった
目の前にいるのはジト目の彼女
いや、それだけなら良かった。否、それだけじゃなかった
絹のようなキレイな髪はやや濡れ、上は薄い白のTシャツ、下はレースの少し入った黒の下着をつけ、そこから覗くはスラッとした四肢。手には相変わらず手袋を着けており、そこにはスカートが握られていた
どうやらお風呂あがりのようだった
この格好から突然の来客(つまり僕)に慌て服を急いで来ている途中なのを窺(うかが)える
名推理だね!
そんな風に目と思考を凝らしていた僕に、彼女は敵意の目を向けながらこう言った
霧切「出てってくれないかしら?」ジトッ
苗木「う、うん!そうさせてもらうよ!!」
いらない描写をしている場合でも、ふざけている場合でも無かった!
バタンッ!!
僕は勢いよくドアを閉め、逃げるように部屋を出た
-
- 44 : 2014/05/25(日) 17:41:20 :
Now Loading
【寄宿舎】霧切ルーム前
苗木「びっくりしたな…」スッ
逃げるように…つまりは逃げてないわけで
僕は彼女の部屋の扉に背中を預けていた
そしてこう呟いた
苗木「なんか…あの日に戻ってきたみたいだな」フフッ
あの日
彼女と僕の初めての出会い
そんな過去の出来事と今をつい重ねてしまう
きっと次は彼女の凛ッとした声で
「入って良いわよ」
そう言ってもらえると思っていた──いや、そう願っていた…
………だけど現実は違った。そんなに甘くなかった
カチャっ
苗木「……え?」
僕が聞いたのは、彼女の声でも扉の開く音でも凛ッとした声でもなく…カチャっと鍵の閉まる…………無機質な音だけだった
-
- 45 : 2014/05/27(火) 18:23:54 :
- ついいっきに読んでしまいました!
最後までがんばって下さい(^O^)
-
- 46 : 2014/05/29(木) 18:06:03 :
- 面白いです
引き続き頑張って下さい
応援しています
-
- 48 : 2014/05/30(金) 18:29:02 :
予想外過ぎた
ここまで来て扉を隔て拒絶される
邪道な展開にも程がある
苗木「こんなのありかよ…」
……こんな終わり方ありかよ、とは言わなかった。
───だって僕はまだ諦めたわけじゃないから!!
苗木「霧切さん!」
僕は扉に向け話し掛ける
シーン…
返事は無い。が、完全防音では無いため僕の声は彼女に届いてるはずだ
だから僕はこう続けた
苗木「さっきは…ごめん…悪気は無かったんだよ…」
シーン…
先程の謝罪をしたがやはり返事は無く、そのため僕は一方的に話を続けることにした
苗木「僕はさ、君に謝りに来たんだ……そして君と仲直りをしに来た」
シーン…
返事は無かった……が、扉の隙間から紙が飛び出していた
苗木「……筆談ってことなのかな…」スッ
膝を曲げ紙を取る…そこにはこう書いてあった…
『貴方が謝ることではない。そして私は貴方と話すことは無い。帰ってちょうだい』
苗木「…………」
筆談での拒絶
これもまるで3年前のあの時みたいだ
苗木「……」スッ
僕は自身の鞄を漁る
そしてボロボロの封筒を取りだし扉の隙間に入れた
苗木「……………」
ガタッ!
しばらくすると扉の向こうでそんな音がした
僕が入れたのは、もちろんあの手紙。
120円の入った封筒である
-
- 49 : 2014/05/31(土) 08:19:36 :
- 仲直りはまだかな?
気長に待ちます
頑張って下さい
-
- 50 : 2014/06/01(日) 20:55:32 :
- 苗木.....健気やな。
期待♪
-
- 51 : 2014/06/03(火) 00:59:49 :
- 霧切さん♪
-
- 53 : 2014/06/05(木) 23:04:24 :
~~~~~~~~~~
当時中学2年にすらなって居なかった僕はそれを感情のまま破り捨てようとした
泣くことも怒ることもせず、笑って
目の前にある手紙を破り捨てて全てを無かったことにしようとした……
だけど、出来なかった。
破ろうと手に力を込めるたびに彼女と話した他愛のない話や、彼女のたまに見せる笑み
そして『またね』という約束を思い出して……
~~~~~~~~~~
苗木「……あはは、これはワガママだってことは重々承知なんだけどさ…」
僕は扉に手を当て、大きく息を吸い込み、口を開いた
苗木「……僕は君とまた前のように話したい。君と仲直りしたい。こんな文字だけで終わらせたくない!!」
霧切「…………」
苗木「…さよならの手紙は返したよ……だから、話そう?あの日みたいにさ」
霧切「無理よ…」
苗木「!!」
中から返事が返ってきた───とても、弱々しい声で。
霧切「私は…強くなくちゃいけないの、探偵だから…霧切家を背負っているから…」
苗木「……何で仲直りしないことが強さなのかな?」
霧切「貴方に話す義理は無いわ」
だけど、退くわけにはいかない!!
苗木「僕は君から逃げない…過去から逃げない!…だから君も逃げないでよ!!」
霧切「逃げてるんじゃないわ…さっきも言ったように…強くあるために…」
──強くなるために
大神さん辺りが使いそうな言葉だ
だけどこれは間違っている。
この強さのあり方は間違っている
苗木「弱さから逃げるのは強さじゃない…ただの臆病者だ!」
だから僕は…強い口調で、彼女の言葉を否定する
霧切「貴方に何が分かるのよ!」
その時初めて彼女は怒鳴った
感情を表に出した
苗木「分からないよ…何も分からない」
霧切「なら分かったような口を──」
苗木「分からないから知りたいんだ…君のことを、…だから僕はここに来たんだ」
霧切「…ッ!」
苗木「だから会って…そして向かい合って、ちゃんと話そう?」
霧切「…………」
苗木「…………」
霧切「…………」
続く沈黙。
ガチャリッ
そんな沈黙を破るように…
霧切「本当に…貴方は何も変わらないわね…」
そんなことを言いながら、彼女は扉を開いた
-
- 54 : 2014/06/06(金) 21:32:04 :
- お!?やっと苗木の努力が報われたかな!?
-
- 55 : 2014/06/06(金) 23:01:33 :
- 苗木の努力が報われました!
さて、このチャンスを苗木はどうするか
気になるので続き頑張って下さい
ちなみにこのSSは何章まで続きますか?
大体で良いので教えて下さい
続きお願いします!
-
- 56 : 2014/06/06(金) 23:08:41 :
- 期待です。
あっそれと、ゆらゆら~さんご免なさい。
-
- 57 : 2014/06/11(水) 01:08:52 :
- これに終わりはあるのだろうか…
期待です
-
- 59 : 2014/06/11(水) 01:31:07 :
苗木「きょ…霧切さん!」
気持ちの高ぶりで、響子ちゃんと呼びになるのをグッと堪え彼女の名前を呼ぶ
霧切「勘違いしないでほしいわ…誰が通るか分からない所であんな風なこと言われて、勘違いされるのが嫌なだけだから」
それに対し、彼女は無表情で淡々とそう言う
心も一緒に開いてくれたのかと思ったけど、あながち本心なのかもしれない…
苗木「おじゃまします」
そんなことを思いながら僕は彼女の部屋に入った
~Now Loading~
苗木「わぁ」
それが僕が彼女の部屋に入っての初めての発言だった
改めて見るととても殺風景な部屋だった。
備え付けの家具以外に必要最低限なものしか置いておらず、まるで女の子の部屋とは思えない部屋だった
正確には、生活感が全くない
霧切「吟味するように部屋を見渡されると何だか不快な気分になるのだけど…もしかして変態?」
苗木「そ、それはち、違うよ!」
霧切「………そう。さっきの一見があって否定するのね」
苗木「さっきの…………あっ」
そういえば着替え見ちゃってたね
正確には下着を
もっと言えば黒のレースを
苗木「その件は本当にごめん!!」
霧切「…別に怒ってないわ。所詮パンツよ、靴下の中身を見られたわけじゃない」
苗木「そっか…よかった」ニコッ
その理屈はおかしい!って指摘もしたくはあったけれど、彼女の気遣いかもしれないので甘んじて受け入れることにした
あれ…そういえば彼女、スカートを履く前に靴下を入ってなかったっけ…?
………気のせいだよね?
苗木「…ふふっ」ニコニコ
霧切「この流れで満面の笑みをするのはどうかと思うわ…それにさっきから口角が上がりっぱなしよ」
苗木「そ、そうかな」
とぼけるようにそう言うが、僕の口角は確かに上がりっぱなしかもしれない
だって…
霧切「……とりあえず、立ち話もなんだし座ったら」
苗木「うん!」
…また、こうして彼女と………霧切さんと話せるのが何よりも嬉しかったから
-
- 60 : 2014/06/11(水) 21:52:15 :
- とても面白いです!!
ぜひ頑張ってください!!!!!!
-
- 61 : 2014/06/17(火) 22:56:46 :
- >>60
期待ありがとうござます!
更新が遅くて申し訳ないです!
土曜日には必ず更新します!!
-
- 62 : 2014/06/21(土) 23:52:29 :
霧切「で?」
そんな風に彼女は切り出す
…たった一文字で
苗木「あ、えっと…」
改めて向き合うと言葉が出てこない
凄く情けない…
霧切「………苗木君」
そんな僕を見かねたのか、またも彼女は口を開く
会話を円滑に進めるため。沈黙を防ぐため
そんな言葉を彼女は───
霧切「帰る?」
──違った。
円滑でも沈黙を防ぐのではなく、会話を終わりにしないかという提案
苗木「いや帰らないよ!まだ帰らない!」
真顔のため冗談か分からない発言に僕は焦りながらそう返す。
それも即答だ
返答と言うのは案外直ぐに出来るものだ
もちろん………“後ろめたさ”が無ければだけど…
霧切「そう」
僕の必死の応答に対し彼女は興味なさげに返事を返した
苗木「…そっか」
霧切「………」
苗木「………」
無駄に見えたかもしれないこのやり取り
だけど、この短い時間でも、茶番のようなやり取りでも
………僕の緊張をほどくには十分過ぎるほどだった
苗木「…ねえ」
今度は僕から口を開く。僕から会話を切り出す
ずっと聞きたかった
ずっと答えを知りたかった
言ってしまえばただの疑問なんだけれど
僕は…それを口に出す
苗木「……1つ聞きたいんだけどさ…」
重々しそうに前置きを置いて
霧切「…何かしら?」
苗木「あの日約束した『またね』って、あれ嘘だったの?」
霧切「………………」
そして彼女は黙る
答えはYESかNOの2択なのに黙る。──即答しない
きっと彼女にとって後ろめたい何かがあるから
過去のことを胸に止めてくれているから
霧切「本当よ…」
そして彼女は答えた
弱々しく。イタズラがバレた子供が自分のしたことを認めるように
そしてこう続ける
霧切「嘘じゃ…嘘をつくつもりは無かった、私は………」
まるで自分自身に言い聞かせるようにそう呟く
苗木「………」
霧切「………」
そして…少しの沈黙が続いた後
霧切「……はぁ…………全て話すわ」
彼女はため息混じりにそう言った
-
- 63 : 2014/06/22(日) 20:00:49 :
苗木「ほ、本当!?」
彼女の中で何がどうなってそうなったか分からないが、棚からぼた餅な展開
僕は感情のまま問いかける
霧切「ええ。──でも…」
そんな僕とは対照的に落ち着いた口調で彼女はそう答えた。…反語も添えて
苗木「でも?」
霧切「でも、貴方と友好関係を築くつもりは無いわ。いえ、正確には貴方たちと…かしらね」
苗木「!!」
向かい合って話しても
僕の意思を伝えても
彼女の………霧切さんのスタンスは、何一つ変わっていなかった
-
- 64 : 2014/06/27(金) 23:26:09 :
- 何時も、楽しませてもらってます!
無理せず頑張ってください!
-
- 65 : 2014/07/04(金) 00:15:19 :
- >>64
テストを盾に書いてない自分にとって見に染みるほど嬉しい言葉です!
ありがとうございます!がんばります!
明日には必ず更新します!
次のスレから回想を入れるので少し読みにくくなります。…申し訳ないです!
-
- 66 : 2014/07/04(金) 11:22:52 :
- ベータさんがんばって!
期待です♪
-
- 67 : 2014/07/04(金) 23:52:25 :
- >>66
はい!少しでも更新のペース上げれるように頑張ります!!
-
- 68 : 2014/07/04(金) 23:52:32 :
-
そして。
さあ、何から話すべきかしら
そんなことを霧切さんは言った
それが、彼女の……響子ちゃんの過去を語るにおいての前置きだった
…………………………
…………………
…………
……
~~~~三年前~~~~
【病室】
響子「……………」
彼女は窓を見ていた、正確には窓の奥に映る空を
まるで、何にも目を向けないようにするために
コンコンっ
響子「………はい」
小刻みの効いたノック
それに霧切は無機質な返事をする
ガラガラっ
苗木父「やあ、おはよう」
響子「おはようございます、苗木先生」
苗木先生。…彼は霧切の担当医である
苗木父「…体調はどうかな?」
響子「別に…」
苗木父「…そんな某女優みたいな」
響子「?」
苗木父「いや、何でもない…忘れてくれ」
響子「はい。」
苗木父「……………」
響子「……………」
続く沈黙。
…それを破ったのは医者の方だった
苗木父「そ、そういえば君は今年の春から中学二年生になるんだね」
響子「ええ…」
苗木父「実は私の息子が君と丁度同い年でな、是非会ってみては──」
響子「結構です」
言い終える前に霧切はそう言う。…そう、即答する
苗木父「名前は誠って言うんだが──」
響子「結構です」
構わず話続ける彼に、霧切は少し怪訝そうな顔をしながらまたもそう言った
苗木父「お人好しな子でな、君の話し相手になると思うんだが…?」
響子「………結構です」
苗木父「そう言わずに、君も私のようなおっさんと話すより同年代の子と話した方が良いと思うんだけどね?」
響子「別に、先生とも大した会話をしていないので大丈夫です」
苗木父「まあまあ、そう言わないでくれ」ハハッ
響子「……………」
苗木父「ということで…どうだい?」
響子(……堂々巡りね)
響子「…分かりました…会うだけなら…」
ついに霧切は折れ、その案を承諾した。すると
苗木父「そうか!よかった………では、またね」
そう言い、彼は笑いながら部屋を去っていた
響子(どうせ…一日会うだけなのだから)
霧切はそんなことを思いながら、一人になった病室で窓越しに外の景色を眺めていた
-
- 69 : 2014/07/06(日) 09:51:53 :
- 色々とお疲れ様です
更新はベータさんの
ペースで良いので頑張って下さい
超期待!
-
- 70 : 2014/07/10(木) 23:33:12 :
- >>69
超までつけてくださって涙が出ます!
ありがとうございます!頑張ります!
-
- 71 : 2014/07/10(木) 23:33:20 :
〈次の日〉
『一日目』
響子「…………………」ヌギヌ…………ピタッ
苗木「…!//////」ポンッ
二人は出会う。
…最悪な形で
苗木「細く白い四肢、違和感のある手袋、強調性のない慎んだ胸…etc.」アワアワ
響子(…この少年は何を言っているのかしら?)
響子(………強調性なんて日本語は無いわ!)キリッ
そして少したった後、頭を冷やした少年は必死になりながら弁解を試みる
苗木「わっ!わっ!僕何も見てないから!!」ブンブン
響子(………あれほど語ったのに、今度は言い訳を始めたわ…。今さら何を言っても手遅れなのだけれど…)
響子(…でもまあとりあえず…)
そんな風に取り乱す彼に対し、霧切は至って冷静にこう言った
響子「…………………でてってくれない?」ジトッ
~~~~~~~~~~
……
……………
…………………
苗木「何今のクールな回想!三年前の僕凄く恥ずかしい!!」
霧切「…紛れのない真実だからしょうがないでしょう」ハァ
苗木「そんな…深いため息つかないでよ。…それにしてもいきなり印象最悪だね」
霧切「ええ。最悪だったわ」
苗木「うっ…僕が言い出しっぺだけど、言いきられるとかなり来るものがあるね……」
そりゃあジト目で睨まれるのもしょうがないよね…
僕に非があるのは分かりきってることだけれど……
苗木「あっ、そういえば何であの後部屋に入れてくれたの?」
霧切「貴方が部屋の前に佇んでることは足音で分かっていたし、そのまま立ち止まられても迷惑だから部屋に入れたのよ」
苗木「なるほど」
霧切「二度と私と関わりたくないって思わせるためにね。…うやむやで終わってまた来られるのが嫌だったから」
苗木「な、なるほど…」
苗木(……聞かなきゃ良かった!!)
霧切「まあ結論から言えばまた来たのだけれど」
苗木「来たね、それも次の日に」
霧切「嫌そうな雰囲気だしていることに気付いてなかったのかしら?」
苗木「いや、気付いてたけど…」
…雰囲気じゃなくて態度に出てたから
霧切「そう。だけどあの時、同時に不思議な気分だったわ…」
苗木「え?…それってどういう…」
霧切「……さあ?」
苗木「『さあ?』って何!?質問の答えになってないよ!?」
霧切「この事はあまり関係無いわ…それと苗木君」
苗木「な、何かな?」
霧切「話の腰を折らないでくれない?」
ちょっと嫌味な言い方で彼女は言った
いや、霧切さんもノリノリだったじゃん……とは言わない
だって僕は聞き手なのだから
苗木「ごめん、じゃあ話を続けて貰えるかな?」
霧切「…ええ。分かったわ」
そして彼女はどこか寂しそうにそう言った
そしてまた語りだす
彼女と僕の…過去を
-
- 72 : 2014/07/22(火) 10:00:17 :
- いま第一章からみてきました( ̄^ ̄)ゞ
とても面白いです‼︎
みていて楽しみ…♭
期待してますッψ(`∇´)ψ
-
- 73 : 2014/07/22(火) 23:31:47 :
- なんだか複雑な関係。
苗木君良い人すぎる!
この先も頑張って下さい!
苗霧可愛い
-
- 74 : 2014/07/23(水) 22:19:06 :
- 言っても仕方ないけど、日向君は予備学科だから校舎や宿舎も別だし、本来事前に本課との交流はあり得ないんだよな
-
- 75 : 2014/07/29(火) 10:45:55 :
- 始めに苗木が「超高校級の幸運に選ばれなかった」という『パラレルワールド』を前提としてるので、とても読みやすく入り込みやすくでとても面白いです!細かいことはあまり気にせずこれからも頑張ってください!
-
- 77 : 2014/07/30(水) 01:27:52 :
~~~~~~~~~~
…………………
……………
……
苗木と話す中で霧切は不思議な温かさを感じた
遠くない過去に捨てた…いや、無くしてしまったその温かさを……
だけど、彼女はこう言う
響子「帰ったら?そろそろ頃合いのいい頃だと思うけど…」
帰るように促す。
まるでその温かさを思い出さないようにするために…
苗木「うーん…そうだなぁ…」
それに対し苗木は顎に手を当て、しばしの長考を行おうとしたが…
響子「………」ジトー
苗木「…分かった──」
凍るような視線で自身を見つめる彼女に負けるようにして霧切の案を受け入れた
……帰るという案を
響子(そう…それで良い。これ以上仲を深める必要は無いもの……どうせ会うのは一日限りなのだから…)
苗木「──今日は帰るね」
響子(えっ?)
彼女は気付いた。
探偵であるが故にすぐさま言葉の意味に気付いた
そして驚きのためかそのままそれを口に出す
響子「……今日は?」
苗木「うん!また来るからね」
響子「……」ジトー
そしてまた霧切はジト目で苗木を見る
“来ないでいいと一蹴する”のではなく…ただ強く見つめるだけ
苗木「な、何?その嫌そうな顔…」
苗木にはそれが嫌そうな顔に見えた
響子(………)
それは結果的に言えば間違ってない解釈だが正しくも無かった
響子「そのままの意味よ。とりあえずさよならね」
いくら由緒正しき霧切家の娘と言えども中学一年生
苗木の意見を肯定しながらも“とりあえず”さよならね
などと、やや矛盾した返事を返す
苗木「……うん!またね!」タッ
苗木はその矛盾に無意識的に気付いたのか笑顔でそう返事をし、霧切に促されるようにして帰路につくため病室を出た……………………その後
響子「……『また』…か」ボソッ
霧切はそう呟いた
そして決して表情には出てはいないが
その顔は……どこか嬉しそうであった
-
- 78 : 2014/07/30(水) 08:44:49 :
- で、デレた・・・だと・・・。
苗木君、頑張れ。
ベータさんも頑張って下さい!
コメントをいつも返して頂きありがとうございます。
ペースはゆっくりで良いですよ♪
-
- 79 : 2014/07/30(水) 23:54:50 :
- デレ切キター
-
- 80 : 2014/08/08(金) 22:43:58 :
- 霧切さんが超かわいいよ~
続きを超期待だよ~
-
- 81 : 2014/09/04(木) 19:27:02 :
- 舞園「これは良SSですね!」
苗木「それは違うよ!」break!
苗木「これは良SS何かじゃない。
『 神 SS 』
何だよ!」
マジで期待です。(すいません調子乗りました(笑))
-
- 82 : 2014/10/02(木) 11:48:50 :
- 今更ながら期待
頑張ってください
-
- 83 : 2014/11/07(金) 21:09:59 :
- 頑張ってください!
-
- 84 : 2014/11/09(日) 18:40:51 :
- お願いします!続きを…
-
- 86 : 2014/12/01(月) 22:22:33 :
…………………………………………
〈二日目〉
彼はまた現れる
響子「…貴方もよっぽど暇なのね」
苗木「違うよ。僕は暇だからじゃなくて、君に会うためにここに来てるんだよ」ニコッ
響子「!」
彼女に会うために
そして、また他愛のない話をした
ただ、それだけなのに…
苗木「響子ちゃん。またね!」ブンブン
響子「ええ」ヒラヒラ
ガラガラ
響子「………」
響子(咄嗟だったから、またね…って言い返しそびれてしまったわね…)
〈三日目〉
苗木「差し入れだよ!」コトッ
差し出されたのは1つの缶コーヒー
響子「睡眠薬でも入ってるのかしら」
苗木「!?謂われのない疑いだよ!」
響子「…ふふっ冗談よ」ゴクッ
霧切はそんな風に苗木をからかいプルタブを開けコーヒーを口にする
以前の彼女なら決して受け取らないはずであろうそれを受け取り口にする
『霧切ちゃん』
……まるで、信頼している人から受け取ったもののように…
響子「ところで、貴方の持っているそれは…」
苗木「コーヒー牛乳だよ。実はコーヒー飲めないんだよね」キラキラ
響子「そんな嬉々として話すことじゃないと思うのだけど…」フフッ
そんな風な、どうでも良いような会話でさえも心地よかった
…………
…………………
……………………………
そして
響子「……またね」
苗木「ッ!」
霧切はそう言った。素直にまた話したいと。また会いたいと思ったから
響子「何よ…その反応」
苗木「今、『またね』って言ったよね?」
響子「……言ったわ」
苗木「本当の本当にだよね!?」
響子「ええ、言ったわよ!」
苗木「もう一回だけ言ってくれない?」
響子「…………またね…」
苗木「うん!また明日ね!!」
響子「明日も来るのね…」フフッ
霧切は嫌みのようなことを良いながら笑った
苗木は心からの笑みを浮かべた。
そしてお互いが、また明日顔を合わせることを確信して苗木は病室を後にした
-
- 87 : 2014/12/01(月) 22:23:29 :
ここからが、苗木の知り得なかった話。
彼女が苗木の前から姿を消す理由の話。
コンコンッ
律儀に病室を叩く音がする
響子(忘れ物かしら?……ついさっき、『またね』って言ってしまったからどんな顔で話せば良いのかしら…)
推理小説から視線を逸らし霧切はノックの主に対しこう返す
響子「どうぞ」
ガラガラっ
その言葉を言い終わって直ぐ扉が開かれる
そして、そこに現れたのは………
霧切不比等「体調はもう回復しているな」
響子「……お祖父…様」
現霧切家当主であり、彼女の祖父でもある男だった
-
- 88 : 2014/12/13(土) 03:47:11 :
- 久しぶりに続きを拝見でき感激です!
続きが気になるので頑張って下さい。
最近、寒いですね。
風邪を引かないよう、気を付けないと。
引き続きお願いします。
-
- 89 : 2014/12/17(水) 05:44:39 :
- 期待
-
- 90 : 2014/12/19(金) 20:15:47 :
- 無理をせずに頑張ってくださいね
-
- 92 : 2014/12/21(日) 22:55:22 :
不比等「急な話だが、明日の早朝。私と一緒にロンドンに行ってもらう。探偵の仕事だ」
部屋の扉を閉め、最初に不比等が言ったのはそんなことだった
響子「えっ!?」
不比等「突然で済まないな。だが、大丈夫だろう?」
響子「……いえ…その」
歯切れ悪く曖昧な返事を返す霧切。
それを見てか、元々見透かしていたのか不比等は溜め息を漏らしながらこう言う
不比等「あの少年かい?」
響子「…!」
不比等「答えなくて良い。もう分かった。表情には出てないが一瞬筋肉が機微した…それで十分だ」
響子「はい…」
不比等「私達は探偵だ。仕事に私情を持ち込むとどんな危険なことに合うか…もう十分すぎるほどに分かっているだろう」
不比等は、霧切の手袋に包まれた手を一瞬見ながらそう言う
響子「……」
不比等「霧切家の教えを忘れたか?」
響子「…親の死に目よりも、探偵活動を優先すること」
不比等「そうだ。それをまた、今度は会って間もない少年のために破ると言うのか?」
未だばつが悪そうにする彼女に対し、不比等は諭すようにそう言う
響子「それは…」
不比等「こういう言い方はしたくないが、あの少年は私達と関わると必ず不幸になるぞ…彼は平凡すぎる」
不比等「…それに探偵が私情を持ち込めば、それは周りに“も”飛び火する…」
響子「!!」
霧切には分かっている。不比等の観察眼の鋭さを
…彼の発言はまるで予知のように当たるということを
響子「………」
不比等「響子。…決心はついたか?」
響子「……分かったわ…。でも、一日だけ…待って」
霧切は絞り出すようにそう言う
不比等「辛くなるだけだぞ」
響子「それでも…約束したから…だから」
不比等「……分かった。明日、彼にきっぱりと別れを告げてロンドンに向かうんだぞ」
響子「はい。ありがとうございます」
不比等「それでは私はまだ仕事があるから戻るぞ」
響子「はい!」
不比等「…そうだ。何か食べたいものはあるか?梨とか?」
響子「いえ。それと梨の時期じゃないわ」
不比等「はっはっ…そうだな。また明日」ガラガラ
そんな風に笑いながら不比等は部屋を去った
霧切「そして、次の日貴方は来なかったから、私は置き手紙を託してお祖父様と一緒に日本をあとにした…これで全部よ」
そんな風に淡々と彼女は言った
-
- 93 : 2014/12/21(日) 23:04:28 :
-
苗木「……」
何だよ。守れてないのは僕だけじゃないか
センチメンタルに陥っていた僕がバカらしいよ
この場合僕がすることは
苗木「霧切さんごめん!」
誠意を込めた謝罪だ
それ以外することが思い浮かばなかった
霧切「別に謝らなくても良いわ。事実を話しただけなのだから」
苗木「でも、僕があの時交通事故なんかに合わなかったら!!」
言い訳のように聞こえるが事故のことを伝えるも…
霧切「貴方が交通事故にあったのはあの後知ったわ。あと、別に来なかったことに怒っているわけじゃないから」
霧切「だから、貴方が来たところで手紙の内容を直接伝えただけよ…私は、貴方との関係を断ち切るって決めていた」
苗木「……」
霧切「苗木君。こんな話を聞いてどう思ったかしら?今からでも帰っても──」
苗木「嬉しいよ」
霧切「…本気で言ってるの?」
正気を疑うかのように彼女はそう訪ねた
だけど、僕は正気だ。そして本気だ
苗木「君は僕を待っていてくれたんでしょ?…約束を守ってくれてたんでしょ?」
霧切「ええ。」
苗木「だから嬉しいんだよ。」ニコッ
霧切「貴方は…何も変わらないわね。本当に羨ましいわ…」
彼女は皮肉ではなくそう言った
まるで変わってしまった自分自身を責めるかのように
ここで、僕が彼女にかけるのは慰めでは無い
苗木「それは、違うよ」
否定の言葉だ
霧切「え?」
苗木「変わらないことなんてないよ…だってほら」ゴソゴソ
僕は自身の鞄に手を入れ、缶コーヒーを取り出す
勿論2本
先程買ったものだ
苗木「飲めるようになったんだ。あの時とは違ってね」
霧切「!…フフっ…フフフっ」
それを見て霧切さんが一瞬目を見開いて、数秒後笑い出す。
必死に堪えようとしているようだが、明らかに息が漏れている
…何で笑ってるの?
霧切「本当に…何も変わってないわ。あの時と同じ」
苗木「だから、コーヒーを──」
否定の言葉をかけようとも、彼女は構わず笑みを溢しながら続ける
霧切「でも、いや、きっとそんな貴方だからこそ心を許したんでしょうね…昔も…そして今も」
苗木「え?」
霧切「私の負けよ…いえ、こう言った方が良いのかしら、私と仲直りしてくれないかしら?」
苗木「…今、仲直りって言った?」
霧切「言ったわ」
苗木「もう一回言ってくれない?」
霧切「このやり取り昔もあったわ…。…私と仲直りしてくれないかしら…?」
苗木「あはは、こちらこそ」スッ
霧切「…喜んで」スっ
ギュッ…
こうして僕と彼女の苦い思い出は、皮肉にも苦い珈琲によって払拭されたわけだった…
霧切「綺麗にしめようとしてる所に割り込むようで悪いけれど、貴方の珈琲…よく見ると微糖よ」
…僕のほろ苦い思い出は、皮肉にもほろ苦い珈琲によって払拭されたのだった
最後くらいカッコ良く締めさせてよ…
chapter4 仲直り(未来より大切なもの)
end
-
- 94 : 2014/12/28(日) 00:10:52 :
- うおおおおおおおおおおおおお!
いつの間にか続いてるうううう!
うれしいよおおおおおおおおお!
年末ですね!ゆっくりでいいんでこれからも頑張ってください!
-
- 95 : 2014/12/30(火) 06:07:28 :
- >>94
はい!ゆっくり過ぎて顔覆い状態ですが頑張ります!
-
- 96 : 2015/01/04(日) 01:13:53 :
バタンッ
その後僕は、霧切さんの部屋で一夜を共に…何て石丸君の言葉を借りると不健全な行為をすること無く普通に部屋に戻った
そして…
ボスっ
苗木「ふぅ…」
ベッドに倒れ込み…喜びに頬を緩ませながら
僕は眠りについたのだった
………………………………………………………………
【次の日】
ピンポーンピンポーン
苗木「ん…?」
携帯のアラームではなく来訪を知らすインターホンの音によって僕は目を覚ます
ピンポーンピンポーン
時計を確認する間もないほどインターホンは鳴り続ける
苗木「は、はーい!今出るよ!」ダッ
ガチャッ
ドアを開くと、そこに居たのは
霧切「苗木君…ちょっと話があるわ」ゴゴゴ
明らかに険悪そうな表情を浮かべた霧切さんであった
苗木「え!?ど、どうしたの!?」
あれ?仲直りしたはずだよね?!それもつい昨日!!
霧切「取り合えず中で話させてもらうわ」
苗木「ど、どうぞ」
苗木(ダメ…とは言えないよなぁ)
霧切さんが文字通りズカズカと踏み行った後、開いた扉に反応したのか廊下を走る音、そして
「苗木君!!!」
聞くだけで癒されそうな声が部屋に響く
苗木「舞園さん!?どうしたの、そんなに慌てて」
舞園「あ、えっと昨日メールしたのに返信がなくて、朝も電話したんですが反応が無くて居てもたっても要られなくて…それで」
苗木「あ、また江ノ島さんが何かイタズラしたのかな、僕が死んだとか…」
苗木(それなら霧切さんの件も納得だよ…)
走った疲れのせいか、説明を上手くこなせない舞園さんの話を自分なりに解釈してみるも
霧切「不謹慎なことを言うのは止めなさい。それに彼女の嘘くらい見抜けるわ」
横から話を聞いていた彼女にズバッと指摘される
苗木「ご、ごめん。…って江ノ島さん関係ないの?!」
舞園「無いです。苗木君、はぐらかしてたりしてませんよね?」
まるで、子供を諭すように優しく言う彼女
だけど僕には本当に心当たりが無かった
苗木「えっと、はぐらかすって何のこと?」
舞園「私…知ってるんですよ」
苗木「…何を…?」
苗木(もしかして、小5までおねしょしてたこと…じゃないよね?)
そんな的外れなことを考える僕をよそに、舞園さんは絞り出すように、こう言った
舞園「苗木君が…あと少しで希望ヶ峰学園を止めてしまうかも知れないことです!!」
-
- 97 : 2015/01/04(日) 23:28:38 :
苗木「…あ……って何で知ってるの!?あのことは内密じゃ?」
様々なことがありすぎて頭の片隅に置いていた問題を、どうやら僕は忘れていたらしく間抜けな声を溢してしまった
霧切「元々は予備学科に噂として流れていたのよ。抑止力としたね」
苗木「でも、所詮は…噂だよね?」
霧切「ええ。でも貴方の反応で確信に変わったわ」ジトッ
苗木「うっ…(相変わらずのジト目…)」
舞園「私は…その……狛枝先輩から聞きました。」
苗木「え?」
予想外な人物の名前が出てきた……狛枝君?噂話じゃなかったの?
舞園「正確には、聞いた訳じゃないですけど」
苗木「ど、どういうこと?」
舞園「昨日。狛枝先輩とすれ違った人は分かるかも何ですけど…」
苗木「??」
歯切れが悪くよく分からないが、おそらく狛枝君が一枚噛んでるということなのだろうか…
霧切「実際に会ってみた方が良いんじゃないのかしら?」
僕の考えを見透かしたのか、霧切さんはそう促してくれる
苗木「う、うん。」
舞園「苗木君。私はそろそろお仕事に行かないといけないので…夜に話…ちゃんと聞かせてくださいね?」
一度腕時計を、チラリと見たのち彼女はそう言う
夏休みと言えど、No.1アイドルグループのセンターである彼女には仕事があるのだ
苗木「うん…分かった。その時は…皆に話すよ」
舞園「はい。約束ですよ」ニコッ
苗木「うん!約束だよ」
そして、舞園さんは手を振り。外に停めてあるであろう事務所の車へ向かった
霧切「じゃあ、私もここで」
苗木「あれ?霧切さんも行かないの?」
そんな問い掛けに対し、彼女は一瞬の沈黙の後
霧切「夜に皆に話すんでしょう?私もその時に聞くわ」
あっさりとした口調でそう言う
苗木「あはは、そっか」
霧切「私も行かないといけない所ができたし、丁度良かったわ」
苗木「?」
霧切「後で分かるわ。…またね」スタスタ
苗木「ああ、うん。またね」
苗木(またね…か。)
そんな言葉に喜びを持ちつつ、僕は狛枝君の部屋に向かった。
もちろん、顔を洗ったり一通りの身支度をして後に、だけど
-
- 98 : 2015/01/09(金) 14:01:37 :
- 期待です
-
- 99 : 2015/02/08(日) 14:00:38 :
- 追いつきました。
すごくおもしろいです。
ゆっくりでいいので、頑張って下さい。
超高校級の神ssに期待してます!
-
- 100 : 2015/02/08(日) 14:10:10 :
- 追いつきました。
すごくおもしろいです。
ゆっくりでいいので、頑張って下さい。
超高校級の神ss
に期待してます!
-
- 101 : 2015/02/08(日) 14:11:10 :
- 重複すいません!!!(T_T)
-
- 103 : 2015/02/13(金) 01:34:33 :
───────
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───────
────
──
【狛枝部屋前】
苗木「あれ?」
狛枝君の部屋の扉が半開きになってる
苗木「………流石に、霧切さんみたいなことはないよね?」
僕は少し悩んだすえ扉に手をかけ
苗木「えっと…」スッ
ピンポーン
一応インターホンを押して扉を開く
苗木「狛枝くん…いる?」
扉を開いた先には
狛枝「やあ、そろそろ来る頃だと思ってたよ」ニコッ
回転椅子を回し此方へ向く超高校級の幸運。
……普通に狛枝君が居た。と言うより待ってたと言うのが正しいのだろうか
まあ、彼の部屋なので当然なのだけれど
狛枝「ああ、立ち話もなんだし、入って入って」
苗木「あ、うん」スタスタ
そして僕は言われるがまま彼の部屋に入り、腰を下ろした
苗木「あのさ、タイムリミットのことなんだけど…」
別に警戒している訳ではないのだが、僕は尋ねるように聞いた
それに対する狛枝くんの返事は
狛枝「ああ、それ?実はさあ、僕が超高校級の幸運ってこともあって学園長から力になってあげてくれって相談されたんだよ。もちろん誰にも言わないようにって念を押されたけどね」ハハッ
予想の三倍軽いものだった
苗木「そうなんだ…って、何で舞園さんまで知ってるの!?」
内密の筈なのに
狛枝「それはね、これだよ」スッ
そう言うと彼は立ち上がり。僕に背中を向けた
そこには、大きな紙が貼られてありこう書かれていた
『苗木誠は、二番目であるが故、その幸運を示せなければ二週間以内にこの学園を去らねばならない。』
苗木「…は?」
狛枝「いやあ、言うなって言われたからね。少し考えただけだよ」
苗木「ヘリクツ…だよね?」
よく考えるとあの格好で外を歩き。僕への説明のためにその格好で待ってたと思うと、シュールだ
狛枝「まあまあ、多分苗木君も頭の片隅に置きすぎて案外忘れてたんじゃないの?」
苗木「忘れては…ないけれど…」
今朝のこともあり、歯切れよく返せないのが辛い
苗木「それは置いておいて、内密なことを言って良かったの?」
苗木(多分昨日七海さんに声をかけられたのもこのことがあってだよね…)
狛枝「その件は大丈夫だよ。学園長が知られたくない相手は生徒では無いから」
苗木「どういう…こと?」
狛枝「評議委員会…。まあ、このことは追々分かると思うよ……それよりさ」
あまり語りたくない部分なのか彼は話を濁しつつこう続ける
狛枝「君はどうやって幸運を示すつもりなの?」
苗木「幸運を示す…か」
そう。僕は自身が超高校級の幸運と示せなければこの学園を去ることになる
二番目だから。特例だったから
狛枝「ちょっと質問が漠然とし過ぎてたかな、ヒントをあげるよ」
苗木「ヒント?」
思い詰める僕を見兼ねてか彼はそう言った
狛枝「君は誰の二番目なのかな?」
苗木「僕の前の…超高校級の幸運の女の子だよね」
狛枝「そう、大正解!流石希望の象徴なだけあるよ」
苗木「あはは、おだてすぎだよ」
それに希望の象徴(仮)なので若干笑えない
狛枝「そして、そんな彼女は不幸の事故で死んでも超高校級の幸運と認知されている。だから後続として苗木君がこの学園に来た」
狛枝「苗木君…ここまで言えば、分かるよね?」ネットリ
苗木「……まさか、僕に彼女を越えろって言うの…?」
明らかに、誰かを意識した言い方をスルーしつつ僕はそう答える
狛枝「そのまさかだよ。逆にそれ以外あるのかな?」
苗木「でも、僕はその子のこと何も知らないし…越えろって言われても実感が沸かないよ」
僕は、そんな風に彼から目を背けながらそう言う
それを見越して…いや、正確には待っていたかのように狛枝君は口を開く
狛枝「…………じゃあ、そろそろ話そうかな…。」
苗木「…何を?」
狛枝「もちろん、君の前に居た超高校級の幸運について…ね。」
苗木「!」
タイムリミット 残り12日
chapter4.5 希望の象徴(故)
-
- 104 : 2015/02/19(木) 00:16:07 :
狛枝「何から話そうかな。…と言っても、僕なんかが今は亡き彼女を語るなんて烏滸がましいうえに死者への冒涜だよね…」
苗木「ええ!?何で開幕から萎えてるの!?」
狛枝「いやぁ、僕みたいなゴミクズが彼女を語ると、苗木君の中でゴミクズの話した彼女が定着しちゃうでしょ?」
狛枝「だからごめん。彼女自身じゃなくて彼女の幸運についてだけ…だけど良いかな?」
苗木「大丈夫だよ」
彼女を越えるために必要な情報はそれだけだと思うし
まあ、気にならないと言えば嘘になるけれど…
ゴミクズは毎度恒例なのでスルーだ
苗木(正直、最初の幸運の彼女の視点で話が進むと思ってた…とは言えないよね)
狛枝「…ねえ、苗木君。幸運って何だと思う?」
苗木「え?」
いきなりの質問。話を聞くだけだと思っていた僕は思わずそんな言葉をもらす
狛枝「いや別に難しく考えなくて良いよ。思うままに答えてみて」
苗木「…“幸運”…だから、幸せになるための運じゃないのかな」
狛枝「うん。模範解答だね!」ニコニコ
にこやかに模範解答と彼は言う
決め台詞のように大正解とは言わない
苗木「つまり、ハズレなのかな?」
狛枝「いいや、あってるよ?」
苗木「え?」
狛枝「幸運には種類がある。だから幸運の回答は一つじゃないんだよ」
苗木「それってどういう…」
-
- 105 : 2015/02/19(木) 00:18:09 :
狛枝「さっきも言ったように、それを今から話していくんだよ。僕の幸運と彼女の幸運。…そして苗木君、君の幸運について」
苗木「僕の…幸運?正直どちらかと言うと不運だと思うんだけど…」
狛枝「……そうだよね。やっぱり気付いてないよね。まっ、それを分かりやすく伝えるためには具体例が必要だよね」
狛枝「じゃあ、まずはゴミクズみたいな僕の才能から説明していこうかな」
苗木「よろしく」
狛枝君の才能はゴミクズじゃなくてチートだよ!
…なんて言うとグダッてしまうので心にしまう
そんな心の葛藤を知ってか知らずか狛枝君は嬉々として語り始める
狛枝「僕の幸運は…代償の狂運って言うのかな、不運が大きければ大きいほどのちに莫大な幸運が振りかかるっていう」
苗木「確かに狛枝君の幸運はそうだね。でも見た感じプラスマイナスで見るとプラスな気がするけど…」
狛枝「まあ、見えない所で色々あるんだよ。苗木君が来る少し前に小指をタンスの角にぶつけちゃってさ」ハハッ
苗木(地味に痛い)
狛枝「次に彼女の幸運…」
苦い顔をしている僕を他所に狛枝君は話を続ける
狛枝「彼女は自身の“莫大な幸運”を他人に貸し渡すことが出来るんだ!」
-
- 106 : 2015/02/19(木) 00:18:56 :
-
苗木「幸運を、貸す?」
狛枝「そうだよ。まあ、手渡しとかじゃなくて強く思った人に…らしいけどね」
狛枝「ああ、らしいっていうのは、未だ幸運ってあやふやな認識しかされてないんだよね。だから毎年募ってるみたいだし」
苗木「よく分からないけど、狛枝君並みにチートだと思ったよ」
狛枝「…そうとも限らないんだよね」
苗木「どういうこと?」
狛枝「彼女の幸運は、オートで発動する。そして環境に作用される。思う人…つまりは信頼出来る人が居れば居るほど彼女の幸運は散り散りになって…その結果不運になる」
狛枝「まっ、莫大に有ろうと、多くの人に貸せば乏しくなるのは当然だよね」
狛枝「全く、不幸になるほど幸運で、幸福になるほど不運になるなんて…皮肉にも程があるよ」
苗木「でも、その女の子は希望ヶ峰学園に選ばれたんだよね?」
狛枝「そうだね。莫大な幸運を持つからこそ彼女は希望ヶ峰学園に選ばれた…だって一人だったから。莫大な幸運を一人で抱えてたんだ、選ばれるに決まってるよ」
狛枝「不幸にも一人だったからこそ、彼女は幸運だった」
狛枝「…以上だよ」
彼は苦い顔をしながら、そう締め括った
-
- 107 : 2015/03/09(月) 02:08:23 :
狛枝「次は君の幸運の話だね。君の幸運は…」
苗木「……」ゴクリッ
狛枝「君と、君の周りの人を幸福にする幸運」
生唾を飲み込み身構えた僕の意表をつくかのようにスラッと彼は言う
苗木「??、僕と僕の周りにいる人が幸福になるための幸運?不運なのに?」
狛枝「幸運だからって、決して幸福とは限らないんだよ。不運だから不幸とは限らないようにね」
苗木「……?」
首を横に傾げる僕を気にも止めず、彼は続ける
狛枝「君は彼女とまるっきり逆の才能。…他人の不運を吸収する幸運を持っているんだよ」
苗木「よく分かんないけど、それ幸運じゃないよね!」
これがゲームの画面なら『論破!!』って出ていることだろう
狛枝「いや、幸運だよ。」
それ対し彼は真っ向から否定した
ただ、それは根拠のあるものだった
狛枝「君は他人の不運を吸収してもなお、平穏に、そして幸福に暮らしている」
狛枝「昔から色んなことに巻き込まれてきたみたいだけど、何か大事に至ったことはあった?」
苗木「………確かに言われてみればそうなのかもね」
語っていないことを含めると両手では足りない
狛枝「それが君の幸運。僕や彼女と本質から全く違う、君だけの幸運なんだ」
苗木「それが…………僕の幸運?」
狛枝「そうだよ。ね?君は超高校級の幸運でしょ?」
苗木「……」ドクンッ
-
- 108 : 2015/04/01(水) 11:38:22 :
幸運には種類があると彼は言った
そして僕は幸運は幸せになるための運だと答えた
確かにその通りだったのかもしれない
きっとこの幸運のお陰で僕はそんな考えに至るようになったんだと思う
僕の幸運と僕の思考
=(イコール)で結ばれた関係
だから、幸福になれば不運になる彼女のことを、少し知りたいと思ったのだけれど。
死人に口無し。それを知る術は無い
それがちょっと残念だった
狛枝「さあ、一応彼女と同じ土俵に立ったわけだけど、どうするの?」
苗木「…戦うよ」
狛枝「……」
苗木「僕は、僕の幸運で彼女を越えるよ」
僕は彼女を越える。僕自身の力で
具体的な目標が出来た今、少し体が軽くなった気がした
狛枝「うん。君ならきっと辿り着けるよ。彼女に」
苗木「狛枝君にそう言ってもらえると百人力かな」
狛枝「いや、ボクなんてグズは一人分の力も発揮できやしないよ、せいぜい僕は“希望の踏み台”だ」
苗木「そんなこと無いよ!」
狛枝「…いつか、分かるよ。君はボクみたいなグズと全く似てないけれど…それでもいつか、きっと気付く筈だよ」ネットリ
苗木「…っ」ゾクッ
君は一体何を見ているの?
不意に出そうになる言葉を紡ぐ
昔同じことがあった。
霧切さんとの病室での一件
僕を見ているようで違う何かを見ていた彼女
それと同じだった
彼は僕を見ているようで違う何かを見ている
一体何を?
だけど追求はしない。
追求することはトラウマに迫ることになるから
彼の心を土足で踏み荒らすようなものだから
狛枝「ああ、ごめん。怖がらせちゃったね」
-
- 109 : 2015/04/01(水) 11:40:16 :
-
苗木「狛枝君。僕は君が羨ましいよ」
狛枝「………えっ?」
脈絡の無い発言にか、内容に驚いてか、彼はそんな声を漏らす
苗木「何がとは言わない。ただ、僕は君が羨ましい」
狛枝「それは…隣の芝は青いってことじゃないのかな?」
苗木「そうかもしれないね。でも僕はこう思うよ」
苗木「自分の良い所は案外自分じゃ気付けない…ってね」
狛枝「………何が言いたいの?」
苗木「つまり、君は踏み台じゃない。君を含めた皆、誰も踏み台なんて要らない。皆、自分で前に進む力を持ってるよ」
狛枝「…」
狛枝「僕は乗客と実の両親の命を踏み台にした」
苗木「……!!」
脈絡の無さにも内容にも驚き、僕は声を漏らすことすら出来なかった
そんな僕に構わず彼は語る
狛枝「これは僕にとって償いのようなものなんだ」
狛枝「確かに希望の輝く瞬間を眺めたいのも事実だよ」
狛枝「両親は僕の希望(幸運)のために命を踏み台にした」
狛枝「だから、僕は希望の為なら命だって掛けれる」
苗木「それが…償いだから?」
狛枝「そうかもしれないね」ニコッ
苗木「…その背景は良く分からないんだけどさ、1つ質問して良い?」
狛枝「別に確認とらなくても大丈夫だよ」
重苦しく訊ねる僕とはまるで対照的に、彼はあっけカランとそう言う
苗木「君は、両親の命を踏み台って本気で思ってるの?」
狛枝「…そうだよ」
苗木「そう思わないと両親の死が無駄になると思ってるから?」
狛枝「……違うよ」
苗木「…嘘だね」
狛枝「ん?別に嘘じゃないよ?」ニコニコ
苗木「嘘だよ」
狛枝「嘘じゃないよ」
苗木「…じゃあ、…何でそんな悲しそうな顔をしているの?」
狛枝「…僕が悲しそう?嫌だなぁ。そんなわけないでしょ。何たって超高校級の幸運である君と話をしてるんだから」ニコッ
苗木「僕は所詮、仮の幸運だよ。狛枝君みたいな本物とは違う」
狛枝「…ねえ苗木君」
苗木「何?」
狛枝「隣の芝が青く見えるのはね。その芝の汚い所が見えてないからなんだよ」
彼はまるで悟ったようにそう言った
それは僕にはただの自虐に聞こえた
苗木「…きっと狛枝君の言ってることも正しいと思うよ。でも」
苗木「僕が尊敬している狛枝君をそんな風に卑下しないでほしい…踏み台なんて、そんな悲しいこと言わないでほしいんだ!!」
その言葉で彼は大きく目を見開いた
狛枝「………そっか」
狛枝「…ごめん」
そしてポツリと、溢すように言った
狛枝「でも、僕はこのあり方を変える気は無い」
苗木「そん──狛枝「だけど」
狛枝君は僕の言葉を遮り、続ける
狛枝「せめてそう言ってくれる君の前では…僕は尊敬できる先輩であろうと努力するよ」
苗木「狛枝君…」
彼はそう言うと、まるで憑き物が落ちたかのように微笑んだ
-
- 110 : 2015/04/03(金) 18:17:38 :
- 狛枝が先輩してるだと…
-
- 111 : 2015/05/23(土) 22:07:59 :
- 期待
-
- 112 : 2015/05/26(火) 17:38:10 :
- き
-
- 113 : 2015/05/26(火) 17:38:43 :
- たい
-
- 114 : 2015/06/06(土) 22:03:07 :
- 期待
-
- 115 : 2015/06/10(水) 18:23:53 :
- 更新期待!!!
-
- 116 : 2015/06/11(木) 22:50:24 :
- 希望は前に進むんだ‼︎と言うことで更新期待
-
- 117 : 2015/06/12(金) 22:35:55 :
- 期待ありがとうございます!
ルーターが壊れたり色々立て込んでて日曜には更新します!
-
- 118 : 2015/06/14(日) 15:24:17 :
ーーーーーーーーーーーー
苗木「じゃあ、日向くんたちへの説明はお願いして良いかな?」
会話も一段落し、帰る間際、狛枝君の提案を反復するように僕は言う
狛枝「大丈夫だよ。元々はボクの責任だしね」
苗木「ありがとう。じゃあ僕は行くね?」
狛枝「うん。頑張ってね」
苗木「また来るね!バイバイ!」
狛枝「またね」
バタンっ
狛枝「…………」
苗木の去った部屋
そこには一人の青年と静寂しかない
狛枝「……………」
ズルズル
狛枝「…………僕が羨ましい…か」
苗木が去り、一人になった部屋で狛枝は壁に項垂れるように座り、そう言葉を漏らす
狛枝「苗木君……僕は君が羨ましいよ」
狛枝「僕たちの幸運が君のような幸運だったら。僕らは幸福だったのかな?」
狛枝「いや、そんな風に思うことすら僕には烏滸がましいよね」ハハッ
狛枝は、わざとめいたようにそう言いながら、一人笑った
-
- 119 : 2015/06/14(日) 15:26:42 :
ーーーーーーーーーー
【食堂】
夜。
食堂には江ノ島さんを除く15名(僕含む)が揃っていた
戦刃「苗木君ごめん。盾子ちゃん気分悪くてどうしても部屋を出たくないって」
苗木「いや、気分悪いなら無理してほしくないし戦刃さんが謝ることじゃないよ」
戦刃「そうなのかな?」
苗木「謝るのは寧ろ呼んだ僕の方だしね」アハハ…
桑田「んで?話って何なんだ?」
苗木「ああ…うん」
霧切「……」
苗木「実は、…僕このままだと二週間も経たないうちに……」
朝日奈「…何か言いにくいことがあるの?」
大神「苗木よ。無理に言う必要も無いのだぞ?」
正直言いたくなかったが逃げるわけにもいかない。
苗木「いや、言うよ。言わなきゃ…ダメなんだ」
息を大きく吸い、吐き出すように僕は言う
苗木「僕は…このままだと……希望ヶ峰学園を…去らなくちゃいけないんだ…」
桑田「はぁ!?」
朝日奈「ええッ!!??」
不二咲「そんなぁ!!」
突然のカミングアウト
各々がこのようなアクションを取るなか
十神「…どういうことだ?」
先程まで興味なさげに本を読んでいた筈の彼は、既に本を閉じ此方を向いていた
-
- 120 : 2015/07/20(月) 22:48:38 :
苗木「僕が二番目で、それで抑止力らしくて」
十神「要約して説明しろ」
お粗末な説明にやや苛立つようにしながら彼は言う
苗木「えっと…その」
(…あれ?改めて思ったけれどどういうことだっけ?
確か、幸運を示せれなかった僕(凡人)が死ねば新たな凡人が超高校級の幸運として抽選されると勘違いした人達の暴動を防ぐためって聞いたのだけれど
何か腑に落ちない。
これ以降この代の超高校級の幸運の抽選はしないと断言すれば全て丸く収まったんじゃないのか?
それに幸運を示せなければ強制退学
おかしくないか?
超高校級の生徒たちを、後の日本を背負っていくための人間、つまり希望に育てる学園が、まるで幸運を見極めるための行為をしている
まるで、それが本来の目的のように
狛枝君は言っていた。
幸運とは、未だあやふやなものだと
それを、追い詰めることで無理矢理形付けさせようとしている?
一体何で?)
十神「おい!どういうことだと聞いている!」
苗木「っ!」
そこで僕の思考は止まる。どうやら黙り込んで居たようだ
苗木「あ、ごめん。ちょっと考え事してた…あはは…」
十神「『あはは』じゃないだろ、俺も暇じゃないんだ。手短に話せ」
苗木(て、言われても、改めて話すとなると何て話せば良いのか…)
霧切「ねぇ、その役目私が代わりに引き受けても良いかしら?」
そんな僕を見かねてか、霧切さんが横から声を掛けてきた
十神「フン、貴様に何が分かる?」
霧切「あら、私が超高校級の何か忘れたのかしら?少なくとも貴方よりこの件について詳しいわ」
十神「ほう、では話してみろ」
霧切「言われなくてもそうするわ」
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- 121 : 2015/07/20(月) 22:49:17 :
霧切「今日学園長の所へ行って聞いた話によると」
苗木(なるほど、霧切さんの言ってた予定は実の父(学園長)に話を聞くことだったんだね。…僕のことについて)
霧切「彼が、異例の二人目の幸運としてこの学園に入ったことで、一部の人間にある思想が芽生えかけてることがことの発端らしいわ」
葉隠「つまり、苗木っちの友達が恋しいって思ってることだな!俺の占いは三割当たる!」
石丸「葉隠君!発言は挙手してからしたまえ!!」
腐川「アンタら、黙って話も聞けないのかしら」グギギ
霧切「…続けるわね」
苗木「うん。お願い」
霧切「身近な人たちで言えば予備学科の人たちよ。希望ヶ峰学園に憧れる彼、彼女らはこう思うでしょうね」
霧切「“苗木誠が消えれば、幸運が再び再選出され、今度は自分が選ばれるんじゃないのか?”ってね」
不二咲「つまり、三番目の幸運になろうとする人物が現れかねないってことだね」
舞園「あの、それで苗木君が希望ヶ峰学園を辞めないといけないのは何でなんですか?!」
大和田「まさか苗木、オメェ予備学科の野郎に何かされてるんじゃねぇだろうな?」ポキポキ
不二咲「ぼ、暴力は、駄目だよぉ?」ウルウル
大和田「…おう。悪い」
霧切「……正確には何かされないように設けてるルールらしいわ。苗木君が超高校級の幸運であることを示さないと彼がこの学校から出ていかないといけないと言うね」
霧切「つまり、苗木君が凡人のままこの学園に滞在出来たら、次の幸運の枠を得るために苗木君に危害を加える輩があらわねかねないのよ」
十神「なるほど、逆に超高校級の幸運として太鼓判を押されてしまえば、凡人は手を出せないと言うことか…」
霧切「そ。手を出して選ばれたとしても、幸運じゃなければ退学なんて、ハイリスクノーリターンだわ」
霧切「そして、幸運認定されない状態で苗木君の身に何かあったら、この世代の超高校級の幸運は居ないとされる。つまり次のポストが無くなると言うことね」
葉隠「さっぱりわかんねぇけど、分かったべ!」
朝日奈「アンタねぇ…」
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- 122 : 2015/07/20(月) 22:52:34 :
霧切「そして最終的な合否を示すのは、……どうやら『評議委員』…らしいわ」
苗木(……評議委員って確か狛枝君の言ってた…)
戦刃「評議委員…。実質学園長よりも学園の実権を握ってる人たち…のことだよね?」
戦刃(盾子ちゃん情報だけど)
霧切「ええ。そうよ」
セレス「と言うことは、評議委員の殿方を納得させれば苗木君はこの学園に留まれる…っと言うことで宜しいのですか?」
霧切「概ねそうね。ただ1つ訂正するならば、苗木君を超高校級の幸運として、彼らに“認め”させないといけないのよ」
山田「ふぅむふぅむ、昨日の狛枝凪斗殿の背中の意味がやっと分かりましたぞ」
各々が納得や困惑の反応を示す中
桑田「……」
一人黙り込んでいる桑田くんの姿を僕は見た
苗木「あはは…、ごめん黙ってて。怒ってる?」
桑田「別に怒ってねぇよ。ただ…水クセぇんだよアホ!!」
苗木「ご、ごめん」
桑田「謝んな!残るんだろ!!そして俺と……野球すんだろうが。」
苗木「うん!!」
桑田「うっし!…くぅ舞園ちゃんが見てる前とはいえ、こんな台詞をさらっと言える俺、マキシマムかっけぇー!」
舞園「はい!最後のその台詞が無ければカッコ良かったですよ」ニコッ
桑田「…アポ?」
苗木(桑田君…僕の感動を返して…)
大神「だが、どうやって評議委員とやらを納得させるのだ?」
苗木「僕の前任者であった超高校級の彼女を越える。これが僕の見つけた答えだよ」
葉隠「死人と勝負か?そんなオカルト染みたこと無理だべ!」
霧切「おそらく、彼女が超高校級の幸運として築いたものを越える。という意味かしら?」
苗木「うん。そうだね」
舞園「…それは無理かもしれません」
苗木「…どういうこと?」
舞園「だって、彼女は…ある意味では超高校級の幸運として何も果たしてないからです!」
苗木「…え?」
不二咲「確かに…目立ったことはなかったね」
苗木「ええ?」
大和田「並み以上…てくらいか?良く分かんねぇけどよ」
桑田「ぶっちゃけ、ショボかったな」
苗木「……つまり?」
山田「要約すると特筆すべき点が無さすぎて、逆に越えられそうに無いと言うことですな」
苗木「ええええええ!!!???」break
え?え?前提が崩れたぞ
高い存在へ手を伸ばしてると思ったら、伸ばす先が無いという事実
宝くじで大当たりのような、そんな結果が伴うものが沢山あると思ってたのに。
完全に期待が空振りだった
だけどその状況で彼女は…超高校級のギャンブラーだけは不適に笑っていた
セレス「あら、お忘れですか?狛枝凪斗の存在を」
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- 123 : 2015/07/22(水) 15:37:34 :
- ま・・・まさか あのチート級の才能を越えろって言うのか?! たえk---
タエコ「・・・」ニコッ
俺「・・・すみm-」 バキィッ
俺「しぇぇぇん」。・゜゜(ノД`)
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- 124 : 2015/07/23(木) 22:44:42 :
- あははは、素晴らしいよ‼︎
僕みたいなゴミ屑を希望の象徴である苗木君が
超えるなんてなんて凄い希望何だ‼︎
ゾクゾクするよ‼︎ハァハァ
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- 126 : 2015/07/26(日) 22:49:03 :
- この待ち続けるという不運を乗り越えた後にどんな幸運が待っているのかと考えるだけでゾクゾクするよ‼︎
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- 127 : 2015/07/30(木) 07:56:04 :
- す、凄い…その最後まで諦めない心…それが希望なんだね…
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- 128 : 2015/07/30(木) 07:56:43 :
- by狛枝
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- 129 : 2015/08/01(土) 00:04:32 :
- 僕はエリートでもないし希望なんて言われる大それた存在でもないけどでも僕は諦めたりはしない、飽きたりはしない、捨てたりしない、絶望なんかしない、だって希望は前に進むんだ‼︎
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- 130 : 2015/09/30(水) 22:26:24 :
- 凄く面白です‼︎続き待ってます‼︎
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- 131 : 2016/02/06(土) 21:06:47 :
- モノクマ「僕の出番まだ!?ねえ!」
月「超高校級とかいう奴ウザいから
Deathnoteで『ピー』す」
伝説のあの人「ヤ ラ ナ イ カ 」
??「ザ・ワールド!」
俺「バレンタインか・・・
クッソおおおおおおおおお
。・゜・(ノД`)・゜・。」
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- 132 : 2016/02/06(土) 21:07:44 :
- 7ヶ月たった・・・
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- 133 : 2016/02/24(水) 15:22:22 :
- きたい
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- 134 : 2016/06/04(土) 22:43:27 :
- あ な た は 神 か
かわいいし面白いし引き込まれるしかわいいしかわいいし…
霧切さあああああん!
期待してます。。
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- 135 : 2016/08/09(火) 15:15:52 :
- そして一年がたった...
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- 136 : 2016/08/13(土) 20:34:41 :
- まちまち
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- 137 : 2016/08/16(火) 05:53:33 :
- ベータさん頑張れー!
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- 138 : 2016/08/26(金) 22:42:08 :
- 期待です!
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- 139 : 2016/10/16(日) 22:10:13 :
- まだー?
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- 140 : 2016/11/08(火) 19:52:46 :
- 凄い面白いです!!
期待してます(*・ω・*)wkwk
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- 141 : 2017/04/01(土) 20:46:00 :
- 更新まだかな?期待です!
それとこれは凡人の発想なのですが
前超高校級の幸運をこえたいなら彼女と同じ
状況で事故にあって生きていられれb(殴
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- 142 : 2017/06/19(月) 23:26:38 :
- 続き期待です!!
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- 143 : 2017/11/19(日) 05:25:42 :
- 続き待ってます!!
あの狛枝パイセンを越えるのか...
難易度高いな~
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- 144 : 2018/10/14(日) 20:47:36 :
- おーい
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- 145 : 2019/03/22(金) 21:53:57 :
- 期待してるうううううううううううううううううううううううああああああああああああああああああああああ!!更新まだああああああああああああああ!!早く読みたいよおおおおおおおおおおおお!
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- 146 : 2020/08/13(木) 22:50:17 :
- 失踪したのか。残念無念僕概念(失笑)
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