ひまわりと海
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- 1 : 2013/10/20(日) 14:08:19 :
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アニ「もうすぐ夏だ」
アニ「ひまわりが育ってる」
アニ「このひまわりが全部咲いたら」
アニ「きれいなんだろうな」
アニ「・・・」
アニ「向こうには海が見える」
アニ「きれいな蒼色だ」
アニ「見上げれば空もある」
アニ「きれいだ」
アニ「・・・」
アニ「ねえ」
アニ「あんたは言ってくれたよね」
アニ「僕らの髪はひまわりみたいだねって」
アニ「君の目は空の色」
アニ「僕の目は海の色」
アニ「そういってくれたよね」
アニ「あんたとこの景色を見ることができていたなら」
アニ「私はこんなにさびしくなかったのかな」
アニ「ねえ」
アニ「アルミン」
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- 2 : 2013/10/20(日) 14:21:21 :
エレン「アニ!もう一回いくぜ!」
アニ「はぁ・・・あんたも懲りないね」
そういってアニは構える。準備ができたとばかりに飛び込んでくるエレンの動きを見切り、その右足を払う。踏込足を失ったエレンの体はそのまま地面にたたきつけられる。そうしてアニは倒れこんでいるエレンを見下ろした。
エレン「くっそ~!なんで勝てないんだよ」
アニ「何回やっても同じさ。学習能力がないんじゃあね」
エレン「ちくしょう!」
アニ「体動かす前に頭で考えな」
アニはそうってエレンの腕を引き、エレンを起こす。
エレン「さんきゅ」
エレンはそういって自分の体についた砂を払う。アニも足についた砂埃を払おうとした。その時、背後から鋭い視線を感じた。
アニ(またか・・・)
誰の視線かは嫌というほどわかっている。
まったく・・・過保護なものだ。格闘訓練なんだから倒すのは当たり前だろう。
そう思っている間に、視線の主は傍まで来ていた。
「アニ、エレンにけがをさせてはいけない」
ミカサの言葉に、アニは面倒臭そうに振り返る。
アニ「格闘訓練なんだからしょうがないだろう。そもそも投げられにやってきてるのはこいつのほうだよ」
ミカサ「ぐっ・・・それを別にしてもエレンに色目使いをするのはいただけない」
・・・まったく。いつ私がこんな死に急ぎ野郎に色目を使ったっていうんだい。こっちが教えてほしいよ。
エレン「訓練中くらい集中しろよミカサ」
エレンの言葉にミカサも悔しそうに踵を返す
ミカサ「分かった・・・しかしその女狐に何かされたらすぐ私を呼んでほしい」
エレン「何かってなんだよ」
あんたは相変わらず鈍感すぎるんだよ。そもそも何かされるのはか弱い乙女の私のほうじゃないのかい?
アニはため息をつきながら立ち去るミカサを眺めていた。
すると、いつも通りの彼がやってきた。
「ね、ミカサ、訓練中だし早く戻ろうよ!」
苦笑いをしながら黒髪腹筋女をなだめる金髪の男。女の事言われてもしょうがないくらいの見た目と体の細さ。エレンやミカサの面倒を見ているのはいつもこいつだ。苦労性とはこのことを言うんだな。
アニはアルミン・アルレルトを見ながらそう思った。
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- 3 : 2013/10/20(日) 14:30:29 :
訓練所の食事はお世辞にもおいしいとは言えない。
そんな食事でも訓練兵にとっては貴重な食料元だ。
ただ、こんな食事でも目をぎらつかせてほおばる輩もいる。
「今日のパァンはおいしいです!!」
サシャ・ブラウス。おそらく彼女は、食えと言われれば人間以外の動物や植物を食い尽くしてしまうだろう。どこから出てくるのかと聞きたくなるような食欲に身を任せ彼女は食べ物を口に運んでいた。
「ちょっとサシャ!そんなに一気に食べたらのどに詰まらせるよ!」
そんなサシャに救いの手を差し伸べるのは、我らが天使のクリスタだ。彼女は誰にでも優しい。それに容姿端麗である。彼女に想いを寄せる男子訓練兵は少なくないと聞く。同じ女子としてはうらやましい限りだ。
「ほっとけよそんな芋女」
クリスタの横で不機嫌そうに水を飲んでいた黒髪の女子が言った。ユミル。何とも不思議な空気を持つ女だ。アニはいつもそう思っていた。クリスタ以外の者には興味を示さず、しかも潜在能力は極めて高そうなのにそれを発揮しようとしない。なにかわけがあるのだろうか。
アニ(ま、いいか。興味ないし)
アニはそうして終えた食事のお盆を持ち、食器を返しに行った。そして、一人で食堂から出て歩き出した。
どこ行こうかも特には考えていなかったが、今日は昼から訓練が休みなのでどこかで昼寝でもしようと思っていた。
アニ(今日はいい天気だ)
彼女は訓練で使われる林のほうに歩いていった。
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- 4 : 2013/10/20(日) 14:37:31 :
- 期待シマスル
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- 5 : 2013/10/20(日) 14:55:04 :
アニ(へぇ~なかなかいいところもあるもんだね)
アニは林の中の開けた場所に来ていた。
アニ(こんなところがあるなんて知らなかったよ)
アニはあたりを見渡した。
アニが立っている場所は、木がなく、地面には原っぱのような草が生えていて座っても汚れることはなさそうだった。
アニ(どうしてこんなものができたんだろう)
アニはそう思った。アニの立ってる周りの半径10メートルほどにそのような草が生えていて、木は生えていなかった。周りの林の木はなかなかに高く、見上げると空にぽっかり穴が開いたように丸く空が切り取られていた。そこから斜めに差し込む光が少し林のほうに入り、線になっているのも見える。地面にはところどころきれいな花も生えていた。
アニ(ここはよく昼寝ができそうだ)
アニはそう思って木陰の大きな気に寄りかかって目を閉じた。
どれくらいたっただろうか、人の歩いてくる音でアニは目を覚ました。
アニ(だれだろ)
アニは薄目を開けて周りを見渡した。
アニから5メートルくらい離れた木に向かって林の中から人が歩いてくる。誰かはわからなかった。
アニ(ここは影だし、気づかれないか)
アニはそう思ってまた目を閉じた。
足音はこの円形の場所に入ってきたらしい。そして、立ち止まったらしい。
アニ(何してるんだろ)
アニはもう一度薄目を開けた。そこには小さな体で木に登ろうとしているアルミンの姿が見えた。片手には本を持っている。あいつが本を好きというのは訓練兵の誰もが知ってい。木に登って読書をしようとでもいうのか。
アニ(まったく・・・頭がいいのか馬鹿なのか)
アニは目をこすって立ち上がり、木に登ろうとしているアルミンのほうへ近づいていった。アルミンは木に登るのに集中しているらしく、アニには気づいていなかった。
アニ(なんか・・・かわいいな)
必死で木登りをしているアルミンを見ながらアニはそう思った。もともと腕力はないらしく、ふーふー言いながら枝を握るアルミンはとても幼く見えた。
アニ「アルミン」
アニはアルミンを呼んだ。
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- 6 : 2013/10/20(日) 14:55:12 :
アルミン「わああ!!!」
アルミンは誰かが見ているとは思っていなかったらしく、驚いて枝から手を放した。木に登っている者が木から手を放したのだ。サルでも木から落ちるに決まってる。
アルミンはそのまま木から落ちた。幸い、高くに登っていなかったので、アルミンは地面に大の字に倒れこむだけで済んだ。
アニ「あんたも馬鹿だね」
アニは屈んでアルミンの顔を覗き込んだ。アニから見るとさかさまになっているアルミンの顔が驚きの色をしていた。
アルミン「な!なんでアニがここにいるの!?」
アニ「別にいてもいいじゃないか」
アルミン「そうだけどさ・・・普通に声かけてよ。びっくりしたじゃないか」
口をとがらせて言うアルミンは愛らしく見えた。
私がこいつの親だったら、絶対に夜遊びは認めないな
アニはそう思った。
アルミン「ここって素敵な場所だろう?この前見つけたんだ」
体についた土を払って起き上がったアルミンは言った。
アニ「そうだね。私もさっき見つけたよ」
アニは言った。せっかく一人で誰にも見られず昼寝できる場所を見つけたと思ったのに、先客がいたとは・・・
アニは内心ため息をついた。こいつが知ってるんだったらあのミカサやエレンも知っているだろう。そんな場所で昼寝なんかできるわけがないじゃないか。
そう思っていると
アルミン「ここにいると一人で落ち着けるんだ。アニには見つかっちゃったんだけど」
お前は超能力者か。
アニ「そう・・・悪かったね」
アニはわざと機嫌の悪そうな声を出す。実際そんなによくはないのだが
アニ「そ、そんな意味で言ったんじゃないよ!」
アルミンはあわてて否定する。
アルミン「アニもこの場所を見つけたんだからここは2人の場所だ」
アルミンはそういった。
ん?2人の場所?
アニ「エレンやミカサは知らないの?」
アニは訪ねた。
アルミン「うん。まあね・・・」
決まりが悪そうに頭を掻く。悪かったアニの虫の居所が徐々に良くなってきた。アルミンと私しか知らないのなら、まだ十分昼寝場所として使える。アニは内心ガッツポーズをした。
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- 7 : 2013/10/20(日) 14:59:13 :
- >>6
アニ「そ、そんな意味で言ったんじゃないよ」
って アルミン??
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- 8 : 2013/10/20(日) 15:00:11 :
- 期待
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- 9 : 2013/10/20(日) 15:06:08 :
- >>7
アニ神さん、その通りです(-_-)
すいませんでした。
アニ「ところであんたは何をしようとしてたの」
アニはアルミンに尋ねた。
アルミン「えっ?えっと、その・・・」
途端にアルミンはうつむいて頭をかく。
どうした。何かわけありなのか。
少しの沈黙のあろ、アルミンは小さな声で言った。
アルミン「笑わないでね・・・木に登って読書しようと思ったんだ。いつもより高いところで読む本ってどんな感じなんだろうって」
思っていた通りじゃないか。アニは思わず噴き出した。
アルミン「わ、笑わないでって言ったじゃないか」
アルミンは恨めしそうにアニを見る。
アルミンの目はきれいな青色だった。そんな目でにらまれても特に怖くもなんともない。
アニ「ごめん。ただ、あまりにも思った通りでさ」
アニは言った。
アルミンはちょっと悔しそうな顔をした。
アルミン「アニは何してたの?」
アニ「私は昼寝してただけだよ。ここらへん、ぽかぽかしてて気持ちよかったからね」
アルミン「ふーん。アニらしいね」
そういってアルミンは微笑んだ。
クリスタといい勝負なんじゃないか?ライナーに襲われるよ
アルミン「じゃあ、僕は当初の予定どうり木に登ろうかな」
アルミンは再び木に手をかけた。そして、そのまま地面にしりもちをついた。
アルミン「いてて・・・」
なんだ、私が声かけなくても落ちてるじゃないか
アルミンも木から落ちる・・・いや、アルミンだから木から落ちるって言ったとこだね
アニはしりもちをついているアルミンを見ながらそう思った。
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- 10 : 2013/10/20(日) 15:10:32 :
- >>9 少し沈黙の あろ になってます
期待っっ!!
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- 11 : 2013/10/20(日) 15:19:50 :
- >>10
タイピングには自信ないんですω
お手柔らかにおねがいしまする☆
アニ「あんたはドジだね」
アニはアルミンに近づいた。
アルミン「いてて・・・やだなぁもう。こんなとこアニに見られちゃうなんて」
アニ「私に見られたってどうってことないでしょ」
アルミン「あるよ!きれいな女の子にこんなとこ見られたら恥ずかしいって誰でも思うよ」
アルミンはつぶやきながら、座り込んだ。
アニはアルミンが今言ったことを反芻していた。
私って女の子として見られてるんだ・・・
たいていの、いや、ほとんどの男子訓練兵はアニを女の子として見ることはなかった。すましたような雰囲気、男子顔負けの強さ。そういったことで、アニはここで女の子扱いされることに慣れていなかった。
し、しかもきれい?って、どういうつもりで言ったのかな
アニだって女の子だ。きれい、かわいいと言われればうれしくないわけがない。しかも、そんなことを言われたことがない身にとってその言葉はとても新鮮に感じた。
アルミン「やっぱり、木登りはあきらめよっかなぁ」
そうつぶやいたアルミンにアニは言った。
アニ「しょうがないね・・・私が本を持っといてやるから、あんた登りなよ」
アルミン「え?でも、アニに迷惑だし、本が読めなくなっちゃう・・・」
アニ「だから、私があとから本を持って登ればいい話でしょ?」
アルミン「そんな!アニも木から落ちたらどうするの!」
アニ「私はあんたより体動かすのは得意なんだ。木から落ちるわけがないじゃないか」
アニは少し意地悪く言った。思った通り、目の前のアルミンはまた悔しそうな顔をしている。しかし、頭の中では女の子に頼るのが情けない気持ちと、本を読みたい気持ちが戦っているようだった。
しばらくの格闘の後、アルミンは言った。
アルミン「じゃあ・・・悔しいけど、お言葉に甘えさせてもらうよ」
アルミンはそういってアニに本を渡した。
アルミンは木に手をかけ、登ろうとした。途端にまたふらついた。とっさにアニはアルミンの太ももを支え、押してやった。
アルミン「あ、アニ!!」
アルミンはあたふたしながらアニを見下ろした。
アニ「いいからさっさと上りな。私が登れないじゃないか」
アニはそういって、アルミンを押し上げた。
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- 12 : 2013/10/20(日) 15:35:42 :
木の上は心地よかった。
柔らかな葉が日傘代わりとなって、木に影を落としていた。
アルミン「あ、ありがと」
アニ「どういたしまして」
2人の上った木は、枝が太くたくさんあったので、2人が座るには申し分ないだけのスペースがあった。少し太い枝が絡まっているところもあって、アニはいいハンモックだと思った。
アルミン「でも、なんか悔しいな。僕があれだけ苦労したのに、アニったらものの10秒で登っちゃうんだもの」
アニ「あんたに腕力がなさすぎるだけだよ」
アニは言った。ここから見下ろす景色もいいものだ。円形の草原の全部を見下ろすことができる。ところどころに座るのによさそうな岩もあった。
アルミン「あと、支えてもらってありがとう」
アルミンはまた口を開いた。支えると言っても、アルミンの体重が軽すぎたのか、アニはあまり重さを感じなかった。
まったくあんたは本当に男なのかい
そう思ってアルミンを見ると、アルミンは照れたように目をそらしている。
アニ「どうしたの」
そんなアルミンの様子が気になってアニは聞いた。
アルミン「い、いや・・・アニの体ってやわらかいんだなって思って・・・それに、いい匂いがしたし」
相変わらず赤い顔で答える。
やわらかい?そんなに触った覚えはないよ?
そう思いながら思い出してみると、はっと気づいた。
そうだったね。私があんたの足支えたとき、抱き込んだ感じだったから胸が当たっちゃったんだね。それだけで顔を真っ赤にしちゃうなんて、あんたもあの死に急ぎ野郎に負け劣らず純粋じゃないか
アニ「・・・変態」
アニはそうつぶやいた。アルミンはあわてて謝る
アニ「ま、わざとじゃないし気にしないよ」
アニはそういってアルミンを制した。しかし、それでもアルミンは申し訳なさそうな顔をしていた。
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- 13 : 2013/10/20(日) 16:00:55 :
- 期待
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- 14 : 2013/10/20(日) 19:31:57 :
アニ「ところであんたは何の本を読もうと思ったの」
アルミン「ちょっと物語が読みたくなってね」
アルミンは本を見せた。日に焼けたようで古びた本はアニの興味を引いた。
アニ「それって、図書室にあったの?」
アルミン「いいや、この前外出した時に古本屋さんで見つけてきたんだ」
アルミンは本を開いた。そして読み始めた。
アニはしばらく木の上に寝転がっていたが、本を読んでいるアルミンを見ると、なぜだか気になって眠ることができなかった。
アニ「ねぇ」
アルミン「・・・」
アニ「ねぇってば」
アルミン「・・・」
アニ「ねぇ、聞いてる?」
アルミン「!?っごめん!聞いてなかった」
アニ「あんたって本を読むときはすごく集中するんだね」
アニはため息をつきながらアルミンを見た。アルミンといえばアニの声に気付かなかったことに申し訳なく思っているようだった。
アニ「あのさ、頼みがあるんだけど」
アルミン「なんだい?」
アルミンは恐る恐るアニを見た。アルミンは自分が何かしたんじゃないかとあたふたしているように見えた。そんなアルミンをおかしく思いながらアニは口を開いた。
アニ「その本・・・私も気になるからさ。読み聞かせしてよ」
アルミンは驚いたような顔をした。何か怖いことが待受けていると思ったのに、本を読んでほしいなんて・・・
しかしアルミンはアニの頼みを断るのも悪いと思ったし、何よりアルミン自身が本を好きだったので
アルミン「もちろん!」
と、答えた。アニがこの本に興味を持ってくれたらアニも喜んでくれるんじゃないか。その思いでアルミンは読み始めた。
アルミン「むかしむかしあるところに・・・」
アルミンの読み方は聞く者をその世界に引き込むかのようだった。聞いているアニは主人公と一緒に山を登ったり、獣と戦っているように感じた。知らず知らずのうちにアニは物語に引き込まれていた。
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- 15 : 2013/10/20(日) 19:46:31 :
アルミン「・・・おしまい」
アルミンは読み終わり、アニを見た。
アニは目を伏せて動かなかった。
アルミン(も、もしかして面白くなかった!?)
アルミンは動揺した。興味のないアニにひたすら読み聞かせを続けたなんて、失礼にもほどがあるじゃないか!
アルミン(ど、どうしよう)
アルミン「あ、アニ!ご、ごめ・・・」
アニ「すごい」
アルミン「夢中になっちゃって・・・え?」
アニ「すごい面白かった!!」
アニは目をキラキラさせてアルミンの肩を握った。アルミンはびっくりして木から落ちそうになった。
アニ「アルミンが読むとこんなに面白くなるんだね」
アニは相変わらず輝いた目でこちらを見る。アルミンはほっとした。
アルミン「よ、よかった。てっきりアニは興味がないのかと・・・」
アルミンは言った。
アニ「あんまり本は読んだことなかったけど、悪いもんじゃないね」
アニは満足げに言った。
なにはともあれアニに気に入ってもらえたのなら・・・と、アルミンは心の中でガッツポーズをした。
アニ「また、本読んでよ」
アニの言葉にアルミンは再び驚いた。
アルミン「ぼ、僕なんかでいいの?」
アニ「アルミンが読んでるのを聞くと、何かわくわくするみたいでさ」
アニの言葉にアルミンはほほを染めた。
アルミン「もちろん。喜んで」
アルミンは答えた。アニはその言葉を聞くと嬉しそうに小声で「やった」といった。
アルミンはその笑顔に見とれてしまった。
氷の女
鉄面皮のアニ
そんなあだ名からは想像もできないほど、かわいらしく、少女なアニがそこにいた。
アニ「どうしたの?」
アニがアルミンの顔を覗き込んでいた。
アルミン「な、何でもないよ」
アルミンはあわてて目をそらした。どうやらこれからの楽しみが増えるのはアニだけじゃなさそうだ。アルミンはそう思った。
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- 16 : 2013/10/21(月) 00:06:59 :
- 超期待
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- 17 : 2013/10/21(月) 19:50:52 :
女子寮に帰るとアニはすぐにベッドにもぐりこんだ。
これから夕食と風呂なのだが、さっき聞いた物語の興奮が冷めやらぬままだったので、とりあえずは落ち着こうと思ったのだった。
アニ(ほんとに面白かったな)
アニ(これからもまた読んでくれるって・・・うれしい)
幼いころから父親との格闘訓練に明け暮れたアニにとって、小さな子供のように本を読んでもらうということは新鮮だった。周りから見ると幼稚にみられるだろうが、今のアニにとってはどっちでもよかった。
アニ(アルミンて、意外といいところあるんだな)
アニは毛布にくるまったままそう思った。運動が苦手。力もなく、苦労性。そんな風にしか見ていなかった彼の新たな一面を見た気がした。
アニ(今度からもっと話しかけてみるかな・・・)
ミーナ「アニー?食堂行こう」
ミーナに呼ばれながらアニはそう考えた。そして、いつものパーカーを羽織り、ベッドから降りた。
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- 18 : 2013/10/21(月) 22:09:39 :
- 期待期待期待期待期待期待期待期待期待期待期待期待期待期待期待期待
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- 19 : 2013/10/21(月) 22:15:39 :
- これは神作だへ。
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- 20 : 2013/10/21(月) 22:37:15 :
- やべぇw
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- 21 : 2013/10/22(火) 19:33:45 :
- 亀進行すまぬ
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- 22 : 2013/10/22(火) 19:42:14 :
「どうしたんだアルミン?」
部屋へ戻るとすぐに声をかけられた。
「え?何が?」
「お前、すごくうれしそうな顔してたぞ」
「そ、そうかな・・・」
さすがは僕の親友。僕の表情見ただけで何考えてるかわかるなんて。いや、それともそんなに僕が分かりやすい顔をしてたのかな・・・
エレンは興味ありげな顔でアルミンの顔を見る。アルミンはあわてて目をそらす。
エレン「何があったんだ?」
アルミン「何でもない。ヒミツ」
アルミンはそういって自分のベッドに転がった。布団に顔をうずめひそかにニヤついた。
アニが僕の話に興味を持ってくれるなんて・・・。しかも、また本を読んでってお願いされた!うれしいなぁ
アルミンは転がりながらそんなことを考える。
アニって、怖いと思ってたけど案外優しいところもあるんだな。それに、顔だって整ってて美人だし・・・かっ体もやわらかかったな。
あれは・・・うん。胸の中にしまっとこう。
転がり続けていたアルミンはベッドから転落した。
アルミン「痛ぁ!!!」
エレン「大丈夫か?ベルトルトみたいな寝相の悪さだな」
エレンはおかしそうに笑った。
アルミン「寝てないよ。しかもベルトルトじゃないし」
ベルトルト「そんなに否定しなくてもいいじゃないか・・・」
恨めしげに言うベルトルトをスルーして、アルミンは立ち上がった。
アルミン「そろそろ夕食だね」
ライナー「じゃあ、おれたちも行くか」
みんなの兄貴が腰を上げる。それに続いて、部屋のいろいろなところにいた男子たちも立ち上がる。それぞれが伸びをしたりあくびをしたりしながら、部屋を出て行った。
-
- 23 : 2013/10/22(火) 20:05:00 :
食堂というのは訓練以外で男子訓練兵と女子訓練兵が顔を合わせる数少ない場所である。それゆえ、座る場所から食べる姿まで気を使うものも少なくはなかった。ことさら、気になる異性がいる者はその傾向が大きいものだった。
「パァン!!」
例外もいるようだが。
「エレン!」
黒髪の長身の女子がエレンに駆け寄ってくる。104期訓練兵団トップのミカサ・アッカーマンである。
まったく君はうらやましいよ。こんな大衆の面前で抱き着くことができるなんて。まあ、彼女に目をつけられれば骨まで残らないということは、いつもライナーを襲う暴力を見れば明らかだったので誰も言わないだけかもしれないが。
「おい、抱き着くなよミカサ」
エレンも特に恥ずかしいという感情を抱かないタイプのようで、こうやってあしらうのは毎度のことだった。
ミカサ「席はとってある」
そういってミカサはエレンの前に立って歩き出した。ミカサが歩いていった先には2人が腰かける机を挟んで4人が腰かけられる席があった。
エレン「ありがとな」
アルミン「ありがとうミカサ」
そういってエレンとアルミンは席に着いた。
ミカサ「待ってて。今、2人の食事を持ってくる」
ミカサがそういって踵を返したが、お前一人じゃ持てねえだろとエレンも立ち上がって食事をとりに行った。
エレン「悪いなアルミン。待っててくれ」
アルミンは両肘を机について腕に頭を乗せた。特に何も考えずに食堂を見渡すと彼女と目があった。
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- 24 : 2013/10/22(火) 20:16:20 :
ミーナの話を聞きながらふと、食堂の端を見るとあいつと目があった。一瞬驚いたようだったが、にっこり笑って控えめに手を振ってくる姿はかわいらしかった。
アニも、ミーナに気づかれないように手を少し振り返した。
ミーナ「それでさぁ・・・アニ?誰に手を振ってるの?」
しまった。ばれてしまった。
急いで手をしまったが、ミーナのにやにやとした表情が『もう手遅れよ』ということを何よりもたしかに示していた。
ミーナ「アニィ・・・アルミンが気になるの?」
アニ「そ、そんなんじゃ」
ミーナ「行ってきなよ!あそこ席空いてるみたいだし!」
アニ「そんなことしたらミーナが・・・」
ミーナ「トーマスー。そっち行っていい?」
アニ「・・・」
アニは仕方なくお盆をもってアルミンのほうへ歩いていった。
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- 25 : 2013/10/22(火) 23:55:38 :
- すごくいい!
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- 26 : 2013/10/23(水) 20:46:16 :
アルミン「やあ、アニ」
アニ「あんたが手を振ってきたからミーナに誤解されたじゃないか」
アルミン「誤解って、何の?」ニコニコ
アニ「っ!」
こいつ・・・!にこにこしながら案外腹黒いやつだな。
アニはそう感じた。
アルミン「立ってても仕方がないからさ。とりあえず座りなよ」
アルミンはそういって彼の隣の席を指した。アニはアルミンの横に渋々ながら腰を下ろした。
2人の間にはしばらく沈黙が流れた。
アニ(なんか、さっきの事があったし・・・)
アルミン(2人きりで、しかも隣同士なんて・・・)
アルアニ(気まずい)
アルミンは今しがた自分がアニに言ったことを考え直し、急に恥ずかしくなった。一方アニも、アルミンの言葉に取り乱しかけた自分に少し恥ずかしくなった。
アニは人と話すことが得意ではない。アルミンもそれを簡単にできる彼の親友ほど、人と話すことに慣れていなかった。2人は、目のやり場を探すように周りを見渡した。
ふと、目があった。
アルアニ(あ・・・)
気まずい。
やはり、沈黙は続いたままだった。
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- 27 : 2013/10/23(水) 20:53:36 :
エレン「おーい。持ってきたぞアルミン!」
エレンの声がして、アルミンは救われたように目をあげた。
そんなに私といるのが嫌だったみたいな態度をとらなくてもいいじゃないか・・・。少し傷つくよ。
ミカサ「待たせた、アルミン・・・アニ?どうしたの?」
後からやってきたミカサが不思議そうにアニを見る。
どうしたって言っても、食事をしているとしか言いようがないのだが。
ミカサの頭の中で何かがひらめいたらしく、はっ!っとした表情がミカサの顔に浮かんだ。そして
「エレンは渡さない」
熊でさえ気絶しそうな殺気を放ち、ミカサが唸る。
まったく、そんな気は毛頭ないのに・・・
そう思った矢先
アルミン「ち、違うよミカサ!僕がアニを呼んだんだ」
アルミンが口を開いた。アニは驚いてアルミンを見た
ミカサ「そう、悪かった。誤解していた」
ミカサは殺気をおさめ、エレンとともに席に着いた。
こいつ、今私を庇ってくれたのかな?まあ、こいつに呼ばれたこと自体は嘘じゃないんだけどさ。まあ、なんていうか、悪い気はしないね。
アニは隣でパンを口に運ぶ金髪の少年を見て思った。
-
- 28 : 2013/10/23(水) 22:41:36 :
- あんたたち
よ、読んでくれなきゃ嫌だからね
'" `
/ ,.-、 ヽ \
/ />'"⌒ヽ ∨ ` 、 ヽ /!, ィ__
. / / ‘, V ―-- \ヽ Y/ //
/ / ', ∨_ ___ \| /⌒Y
/ ,′ ._ -‐| |i___ ___ >. :<≧j ',
,′ :| /ィ 二ニj 1\__/ ,ヘ∨ / i::/ i| } }
| i ;f= 、 f^弋_ソ}:i | (; ji | / / ,i/ン /
| i k弋リ - r'`|;ハ | リ / / /!_/
i i |ハ‐′ j | ! ,′ /:i |
. ', ! | | .|:/ r::〈 / ノ|i:从
. ', |.ハ ` |′ / ∨ ./j_ノり
. ', i .: : ヘ r-― j ノ ∨
:ハ: : | |\ ´ / |_,. -― 、
乂ヾl. ∨|\ ,. < ,. '" ̄ Y
\! |::i:r`‐く ,. '" |
り:!_,. ヘ/ 、 |
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/ /,.-――- 、 _,.―― 、 \
| / ,:イ / 冫 ̄ ̄`Y\ ヽ
. | / /i| / / ̄ ̄ ̄ ` 、 ` 、 ',
. |/ /::i| / / \ \ i
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- 29 : 2013/10/23(水) 23:04:23 :
- 読んでるよ!
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- 30 : 2013/10/23(水) 23:52:50 :
- 読んでます!
-
- 31 : 2013/10/24(木) 20:05:47 :
エレン「なあアニ!明日も格闘訓練よろしく頼むよ!」
アニ「いいよ。組んであげる」
ミカサ「エレン。食べ物を口に含んだまましゃべるのはよくない。お下品」
ミカサの言葉にエレンはぼやきながら、口に含んだ食べ物を水とともに飲みこんだ。そして今度は飲み込んだ食べ物が胸に詰まったらしく、むせていた。ミカサがその背中をたたくのだが、その力の強いことといったら、エレンの座っていた椅子がきしむほどだった。
エレン「うえっ、手加減してくれよミカサ」
ミカサ「悪かった。次は気を付ける」
2人のやり取りをアルミンは笑顔で見守る。エレンとは対照的に行儀よく食べるアルミンはなんだかちぐはぐに見えた。そんなアルミンを見てアニは少しからかいたくなった
アニ「アルミン。明日はあんたにも稽古つけてあげるよ」
アニの言葉にアルミンもむせかえる。
アニはその背中を撫でてやる。見た目よりはちゃんと筋肉がついているらしい。その辺は訓練兵なのだろう。それならば何の苦も無く木に登れてもいいだろうに。アニは思った。
アルミンの背中は広く、暖かかった。
アルミン「ぼ、僕とアニが?」
そう言ったアルミンの目には涙が光っていた。怖いとかそういう感情じゃなくて、単に食べ物を詰まらせてむせかえったために出たのだろう。
アルミン「僕なんかじゃアニの相手にならないよ・・・」
アルミンは言った。その言葉を畳み掛けるようにアニは
アニ「私とやるのは嫌なの?」
と、少し意地悪く聞き返した。
アルミンは「うっ」っと言葉に詰まったようだったが、その前にアニは
アニ「嘘。冗談だよ。少しからかってみただけ」
といった。アルミンの目には確かに安堵したような感情が現れていたが
アルミン「でも、僕だって男だからね。今度相手してよ」
と言った。
あんたがそんなこと言うなんてね、アニはおかしく思いながらスープをすすった。
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- 32 : 2013/12/17(火) 22:20:53 :
- 期待(о´∀`о)
ヤバいこの話漫画で描きたい(°Д°)
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