この作品はオリジナルキャラクターを含みます。
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密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの否応』
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- 1 : 2014/02/15(土) 10:58:25 :
- 密めき隠れる恋の翼たち~『エルヴィン・スミス暗殺計画』
(http://www.ssnote.net/archives/2247)
密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスとの1週間』
(http://www.ssnote.net/archives/4960)
密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの苦悩』
(http://www.ssnote.net/archives/6022)
密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィンスミスの審判』
(http://www.ssnote.net/archives/7972)
巨人に右腕を喰われたエルヴィンと
最愛のミケを失うが、
エルヴィンに仕えることになった
隠密のイブキの新たなる関係の続編。
『進撃の巨人』の最新話に私の想像(妄想)を書き足した
オリジナルストーリー(短編)です。 オリジナル・キャラクター
*イブキ
かつてイヴと名乗っていた
エルヴィンの命を狙っていた隠密の調査兵
生前のミケ・ザカリアスと深く愛し合っていた。
ミカサ・アッカーマンの年の近い叔母。
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- 2 : 2014/02/15(土) 11:06:07 :
- 調査兵団団長のエルヴィン・スミスがどの兵団にも属さない
神殿のような怪しげな施設に覚悟を決め突き進む後姿を
イブキは遠くから見守っていた。
イブキは少し離れた建物の影からその様子を伺っていると、
隠密の存在を感じていた。策略家でもあるエルヴィンが
密かに皆を裏切るようなことがないか、そう考えるとイブキは無意識に
胸元に隠す隠密としての武器のクナイを強く握っていた――
そして目を細め怪しげなその施設を隈なく観察していると、
今では敵となった懐かしい仲間たちも見える。当時はイブキ自身の生い立ちに
ついて罵る奴らばかりだった。
しかし、今となっては懐かしくも感じても、仲間に戻る気持ち微塵も持ち合わせてない。
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- 3 : 2014/02/15(土) 11:07:09 :
- ・・・私が今、信用できるのは…エルヴィン、ミカサ、ハンジ、リヴァイ…
ミケは心の中で私を助けてくれる…でも、私は愛するあなたを裏切った――
イブキは心の中で愛するミケ・ザカリアスを思い出すと、
エルヴィンの唇が触れた自分の唇に
指先を添えると心臓の鼓動の速さを感じた。
そしてその時、馬車が再びあの施設の前に停まった。しかし馬を操る御者が
異なる為、エルヴィンが乗っていた馬車とは違うと気づいた。
・・・また馬車が…えっ…
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- 4 : 2014/02/15(土) 11:08:01 :
- エルヴィンがその施設から出てきて、何食わぬ顔で改めて馬車に乗り込んだ。イブキが再び王都の屋根から屋根を誰にも見つからないように伝うと、
その道順に驚かされていた。
・・・この方向って…本部に戻るんじゃ…?
イブキが訝しげな眼差しで馬車を追いかけていると、
そのまま調査兵団本部の前で馬車は停まり、エルヴィンは自らドアを開け
本部内にいつもの鋭い眼差しのまま本部内に吸い込まれていった。
・・・エルヴィン、どうして…?あの施設に行ったかと思うと、すぐ本部に戻るなんて――
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- 5 : 2014/02/15(土) 11:09:48 :
- イブキは本部に到着したエルヴィンに対してあの施設の滞在時間が短く
そして理由がわからないため、不信感を募らせていた。
そのためイブキ自身も本部内に戻っても、顔を合わせられないが、
クナイを胸元に隠し、その位置に触れることを何度もしていた。
イブキの自室の窓から見える大空の大部分が茜色に変わり、
変りゆく空の色で夕方の時間えあると実感した頃、
彼女は忍装束から普段着のシャツと黒いパンツに着替えていた。
そしてだいぶ兵士が減った本部内でハンジ・ゾエが足早にエルヴィンの執務室へ向うことを目撃した。ハンジはエルヴィンに対して彼が新リヴァイ班へ指示した作戦の途中経過を報告にきていた――
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- 6 : 2014/02/15(土) 11:11:45 :
- イブキは普段着に着替えても、黒い細身のパンツの後ろポケットにはクナイを
忍ばせていた。
執務室のドアの前に近づき、二人に気づかれないように聞き耳を立てていると、
作戦は予定通り遂行中、そしてエレン・イェーガーとヒストリア・レイスに扮した、
アルミン・アルレルトとジャン・キリシュタインが捕まっていた。
後は敵をおびき出すだけ、と報告していた。
そして細心の注意を払うように、と最後はエルヴィンに促されていた。
ドアの前まで足音が聞こえてきたため、イブキは気配を消すと
そのままハンジが何事もなかったようにドアを開け
エルヴィンの執務室を後にした。
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- 7 : 2014/02/15(土) 11:12:29 :
- 「エルヴィンは何を考えているのだろう…」
イブキは再び自分の部屋に戻ると、何を考えているか読めないエルヴィンに
戸惑っていた。そして作戦遂行中のヒストリアに変装したアルミンが心配で
何かされたのではないかと想像すると身震いがして自分の腕を抱きしめていた。
時間がいたずらに過ぎると、気がつけば部屋が真っ暗になっていた。
その夜は月も顔を出していない。そのためイブキは目を凝らしながら部屋の中で
ランプを見つけ火を灯すと、格子のドアの向こうに人影が見えた。
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- 8 : 2014/02/15(土) 11:13:27 :
- 手元の明かりを頼りにさらに目がなれていくと、視界がハッキリしたときそれが
エルヴィンの姿とすぐにわかった。イブキはクナイをそばに置き話しかけた。
「エルヴィン…どうしたの? あなたがここに来るのは珍しい」
イブキがランプをテーブルに置くとそのまま格子のドアを開け
彼女の目の前の椅子に座った。イブキはベッドに座ったままだったが、
今から何をされるか、というよりも
早い時間に目的を伏せたまま、あの怪しげな施設に行ったことが
気がかりだった。そして不信感が募ることに変りはない。
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- 9 : 2014/02/15(土) 11:14:34 :
- 「君は…ハンジが途中経過を報告にきたとき、執務室の前で聞き耳を
立てていたね…?」
「さすが…エルヴィン、気がついていたんだ――」
イブキは冷ややかな眼差しを送ると、作戦の経過について改めて話し出した。
「――本当の敵は…王政府の可能性が高い」
「えっ…」
イブキはエルヴィンの話を目を見開き聞いていた。
かつて王政府を邪魔する輩を暗殺していたイブキは、これからは
それに歯向かう立場になるのかと考えると躊躇した。
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- 10 : 2014/02/15(土) 11:16:02 :
- そして自分を育ててくれた頭や
かつての仲間たちが本当の敵になるのかと想像すると
調査兵になったのだから、自分に言い聞かせ、
振り向かずに前に進むことを考えることを努めることが
最善だと感じていた。
・・・ミケも…精鋭だったし…この作戦に参加できたらよかったのに――
イブキはミケのことが想うと心が痛む。
しかし、調査兵として力強く歩むと決めていた。ミケのためにも。
「エルヴィン…私に何ができる…?」
イブキがエルヴィンに問うと、彼の左が伸びるとイブキを抱きしめていた。
そのとき、クナイがベッドから落ちて金属音が部屋の中で響いていた。
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- 11 : 2014/02/15(土) 11:18:29 :
- 「どうして…?」
エルヴィンは武器を隠し持っていたイブキに冷めた眼差しを送るが
抱きしめる力は強く 彼女に問う声は弱々しく悲しげささやかれた。
「あなたが…皆を裏切ることがあれば、私の手であなたを――」
イブキは『再び手にかける』とは最後まで言えなかった。イブキに芽生えた
気持ちが『ふしだら』だと実感しながら、ミケのことも忘れていなかった。
「――だが、理由はどうであれ、君の手に堕ちるなら本望だ」
「あなたを暗殺するため…それで私たちは出会った…それなのに、また私に…?」
イブキはエルヴィンにイタズラっぽく言い放った。
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- 12 : 2014/02/15(土) 11:19:42 :
- 「あのときと…今の気持ちは違う。再びこうして君の温もりを触れると、
生きているという実感もあれば、このまま堕ちてもかまわない命を感じる」
「何それ…」
イブキは苦笑してエルヴィンの話に耳を傾けていた。
「君と一緒にいると…命の煌き、生きながら死を受け入れられる、
そんな気がするんだよ――」
「どうしたの? エルヴィン、変だよ?」
イブキはエルヴィンがまとまりのない話を続ける為に訝しげな眼差しを
彼に注いだ。
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- 13 : 2014/02/15(土) 11:20:49 :
- 「あぁ…変だな…そうさせたのは君だ」
エルヴィンはイブキの顔と同じ高さにすると、自分の額を密着させた。
その眼差しの中に苦しみを彼女は見出していた。
「…イブキ…ミケの声は聞こえるか?」
エルヴィンは力はないが、甘い声でイブキの耳元でささやいた。
「聞こえない…」
いつも身の危険を感じると、心で湧き上がるミケの声をエルヴィンは
確かめ、それが聞こえないと告げられると、イブキはそのまま後ろに位置する
ベッドにゆっくりと押し倒されていた。
イブキは抵抗はしなかった。それよりもエルヴィンが失った右腕の傷口が
気になっていた。
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- 14 : 2014/02/15(土) 11:21:47 :
- 「ここのドアは…格子だから、外から覗かれる…誰かに見られるよ」
「いや…この本部はだいぶ人が減った…この近くには兵士はいない…」
少し前まで甘い声でささやいていたが、その口が悲しげにつぶやいた。
ベッドの上でイブキと添いながら横になると、左腕で身体が抱きしめられていた。
温かいランプの光が灯る暗がりの部屋の中で
エルヴィンの青い目がイブキの目の前に近づいてきた。
・・・ミケ…ごめん…
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- 15 : 2014/02/15(土) 11:23:00 :
- イブキはミケに心の中で謝った。そして再び二人は互いの唇を求め合った。
唇と舌が互いにまとわりつくと、しばらく離さなかった。
イブキの心にはまだミケが存在するために罪悪感から涙がほほをつたった。
そしてエルヴィンがイブキの胸に触れようとしたとき、涙に気がついた。
「どうした…?」
「私は…ミケに抱かれた女よ…」
「それは承知の上だ…」
「私は…彼を、ミケを失ったばかりなのに…あなたを求める…最低な女よね」
イブキが涙ながらに言うとエルヴィンの頬に手のひらを沿えた。
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- 16 : 2014/02/15(土) 11:24:04 :
- 「――亡き親友の愛した女に手を出す俺も最低だ」
涙を浮かべるイブキを見つめるエルヴィンは再び唇を重ねていた。
「今夜はこのままで…今の俺は君がそばにいないと、寝られない――」
エルヴィンの左腕で優しく抱きしめられながら、イブキは胸に寄り添っていた。
翌朝、イブキはエルヴィンの胸の中で目が覚めた。服に乱れがないために
本当に何もない、と感じると安堵感に浸った。
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- 17 : 2014/02/15(土) 11:24:57 :
- 目を閉じるエルヴィンを見ると互いに生きて朝を向かえることができる
幸せを教えてもらったような気がしていた。
またミケとも違う形の女の幸せを感じると胸が痛いが、
鼓動は早鐘のように身体の中で鳴り響いていた。
「おはよう…何見ている…?」
エルヴィンが目が覚めると、イブキの視線をすぐに感じると
鼻で笑っていた。
「何でもないよ…」
イブキがエルヴィンを見ながら笑みを浮かべるとそのまま左腕で
強く抱きしめられていた。
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- 18 : 2014/02/15(土) 11:25:54 :
- 「今朝は…リヴァイからあの作戦の最終報告がある。あいつのことだから、
早く到着しているかもれない――」
「執務室で…?」
「あぁ、そうだ…イブキ、一緒に来て欲しい」
エルヴィンがイブキを連れ自身の執務室に入ると
早朝にも関わらず、すでにリヴァイがソファーに
どかっとすわり脚を組んで待っていた。
リヴァイが二人同時に現われたことで舌打ちした。
「――おい、おまえら、もうそんな関係なのかよ」
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- 19 : 2014/02/15(土) 11:27:40 :
- 冷ややかな眼差しと共に嫌味をこめて毒づかれると
エルヴィンは正面を見据えそのまま自分のデスクに座るが、
イブキはリヴァイから目を逸らしていた。
「リヴァイ、まずは報告が先だ――」
エルヴィンは作戦が成功し
リーブス商会が条件を飲んだ報告書を読むと
怪訝な表情をリヴァイに向けた。
「エレンとヒストリアを引き渡す条件は…2つだけのはずだ。
3つめの嗜好品を調査兵団に回すとは…どういうことだ?」
エルヴィンは冷ややかな表情をのままリヴァイを見つめていた。
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- 20 : 2014/02/15(土) 11:28:59 :
- 「あぁ…3つ目は俺の提案だ。
だが、それが決めてで交渉成立した――」
「俺の許可なしに、勝手に決めるな」
リヴァイはエルヴィンのその一言に舌打ちし
さらにイブキに鋭い眼差しを注ぐ。
「てめーだって、この女といい思いをしているだろう?
俺の班も人間相手にしている。
そいつらからの恩恵を受けてもいいだろうよ…」
エルヴィンは相変わらずのリヴァイの姿に何も言わず
そのまま受け流していた。
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- 21 : 2014/02/15(土) 11:29:53 :
- 「これから…ハンジとまだやることはあるだろう…
ムリはするな」
「まぁ…俺たちは問題ないが、相手にとってはムリだろうよ――」
リヴァイは中央憲兵ののサネスを口を割らせる『作業』があるため
足早に執務室を出ようとすると、再びイブキに毒づく。
「てめーの腕は認めてやるよ…だが、そんな尻軽だっとはな…
まぁ、今のエルヴィンは必要らしいな」
イブキは言われても仕方ないことと、理解していたが、
堪えて息を飲み言い放った。
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- 22 : 2014/02/15(土) 11:30:42 :
- 「ねぇ、リヴァイ、アルミンはどうなったの…?」
冷めた眼差しでリヴァイはイブキの問いに答え始めた。
「あぁ…あいつは災難だな…初めて巨人を目の当たりにしたときは
飲み込まれそうになるは…今回は男に…まぁ、気になるなら
自分の目で確かめるんだな…今は新しいアジトにいる――」
イブキはリヴァイから嫌味を重ね重ね言われていたが、
それよりもアルミンのことを聞くと驚きのあまり口を開けたまま
新しい場所をリヴァイから聞いていた。
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- 23 : 2014/02/15(土) 11:31:57 :
- 「俺は…駐屯兵団のピクシス司令に今回の作戦の報告に行かねばならない」
エルヴィンはドット・ピクシスに会いに行くため支度を始めると、
イブキもそのまま新しいリヴァイ班のアジトへ向うことにした。
「エルヴィン、一人で…大丈夫なの?」
「あぁ…それは問題ない…君も皆を頼む――」
イブキはエルヴィンに抱きしめられると、耳元でささやかれた。
「新リヴァイ班は…まだ年齢的にまだまだ子供だ…イブキ、よろしくな」
イブキはエルヴィンに笑みを残すと、リヴァイから教えてもらった
アジトの場所に向った。
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- 24 : 2014/02/15(土) 11:33:55 :
- エルヴィンは駐屯兵団のピクシス司令の執務室に通されると、
いち早く報告するよう促されていた。
「このまま、王の暴徒を許してはなりません。
このまま訳のわからぬまま…
人類滅亡の日を迎えるわけにはいかないのです」
ピクシスは腕を組みながら、エルヴィンに強い眼差しを
注いでいたが、話しが進むにつれ目を閉じ、伏目がちになっていた。
「…我々の力で王政を打倒し、我々がこの壁に残された
人類すべての実権を握るのです――」
エルヴィンは力強く、王政を打倒すべきことを言い放った。
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- 25 : 2014/02/15(土) 11:36:34 :
- そしてピクシスが息を飲み、報告の内容を理解した上で
エルヴィンに自分の意見を言い始めた。
「…訳のわからぬまま…わしもさすがにそれは嫌いだ。
なりふり構わず、ということになるかのう…」
「はい、ピクシス司令、おっしゃるとおりです」
「スミス団長、君のところにいるあの黒髪の兵士、イブキといったかね?
あの確か王に仕えていたと聞いたが?」
「はい、だが今は立派な調査兵で――」
エルヴィンが正面を見据えイブキの経歴に説明しようとすると
ピクシスがさえぎった。
「もし、必要ならば、あの兵も王政府に忍ばせ…帰ってこない覚悟で
情報収集させることもできるのだな?」
ピクシスのしわの多い鋭い眼差しで
エルヴィンに詰め寄るように問いただした。
「…出来ます、人類滅亡を阻止するためなら――」
エルヴィンがピクシスの目を見据え、
否応なしに答えるが、彼は見抜かれていた。
その眼差しには調査兵団団長としての
冷静で燃え滾る力強さが宿ってないことを――
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- 26 : 2014/02/15(土) 11:37:45 :
- ★あとがき★
最近、毎月のように短編を描いていますが、
いつもエルヴィン中心に描いているために
今回の最新話はエルヴィンのシーンが少ないためにストーリー(妄想)が
降りてくるのにかなり時間がかかりました。
今回のエルヴィンはクールに仕上げましたが、
イブキとの今後関係はどうなるのでしょうか…。
それから、オリンピックのフィギュアの中継が始まり、
羽生選手の金メダル確定しが頃には書き上げていました。
個人的にはこのSSを見るたびに冬のオリンピックを
思い出すかもしれません。
短時間で仕上げたため、誤字脱字を何度もチェックして
相変わらず多いかもしれません。読みにくい点、表現が
あれば申し訳ありません。
お読み頂いてありがとうございます。これからも
どうぞよろしくお願いします。
- このスレッドは書き込みが制限されています。
- スレッド作成者が書き込みを許可していないため、書き込むことができません。
- 著者情報
- この作品はシリーズ作品です
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密めき隠れる恋の翼たち~ シリーズ
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