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下書き投稿用(アサヒさん)

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  1. 1 : : 2014/04/25(金) 01:51:33
    ここで、下書き投稿しましょう!
  2. 2 : : 2014/05/03(土) 11:33:35
    エルヴィン・スミス団長を先頭にカラネス区の壁外へ繋がる門の前には血気盛んな
    調査兵団の兵士たちがそれぞれの愛馬にまたがり、開門は今か興奮が先走るが
    後からついてくる恐怖もない交ぜになる。
    まだ本当の恐怖を味わう前の兵士たちの背中で自由の翼は風に踊っている。
    エルヴィンの広い背中の眺めるミケ・ザカリアス、ハンジ・ゾエ、リヴァイ。壁外へ広がる何度も見て地平線が広がる大地はなじみがある。
    だが、エルヴィンの自由の翼のマントが風になびいても
    肩で息を何度もしている様子が伺える。ミケは何度も死線を共に生き抜いてきたエルヴィンが『大丈夫か』と思いごくりと息を飲む。
    壁上で勤しむ駐屯兵団の兵士が壁前の巨人を遠ざける作業の最中、
    エルヴィンは目を閉じて、エレンが調査兵団に託されたことを思い返していた。

    「君に敬意を…エレン、これからもよろしくな」

    「はい!」

    審議所の控え室のソファーに座るエレン・イェーガーに視線を合わせその身を屈め、
    エルヴィンは笑みを交え握手を求める。エレンは憧れの調査兵団の入団が決まり
    そして上官であるエルヴィンの期待にこたえるようにはちきれんばかりの笑顔で
    エルヴィンの手を握り返す。エレンは巨人の能力の影響か、リヴァイに
    足蹴りにされた全身の傷はほとんど治りつつある。
    念のためハンジと共に医務室に向うことになった。
    控え室は西日が射し、窓から外を眺めていたミケの顔はうっすらオレンジに染まる。
    エレンを見送ったエルヴィンはエレンが座っていたソファに腰を下ろす。
    もちろん、となりにはリヴァイは座ったまま。
  3. 3 : : 2014/05/03(土) 11:33:47
    「エルヴィン、おまえの言うとおり、効果的なタイミングとやらでカードが切れて…
    あれだけの啖呵を切った。今回の壁外調査、あいつは本当に役に立つのか…?」

    リヴァイはエレンを足蹴にしてる最中、例えその身体は固定されているとはいえ、
    エレンから強さは感じなかった。人間に潜む巨人の力は未知数、
    それなりの年齢の少年を殴っている感覚しかなかった。

    「まぁ…いつも出たところで勝負の我々が調査兵団だ…だが、エレンを
    伴えば、毎度の結果よりも期待は出来るかもしれないが…」
  4. 4 : : 2014/05/03(土) 11:34:35
    エルヴィンは両膝に肘をつき、両手指先を重ねると、その上にあごを乗せた。
    遠くを見つめるが、思惑顔に気づいたミケは木製の椅子を取り出し、
    背もたれを手前にしてまたがる。背もたれに両肘を乗せながら、重たそうに口を開く。

    「エルヴィン、今回の壁外調査…これまでとは何か重大な秘密でもあるのか?
    エレン以外で…?」

    「まぁ…まだなんとも…」

    ミケは鼻をすするが、エルヴィンの相変わらずの思惑顔に何かあるだろうと踏む。
    だが、秘密はあるだろうが、まだその確信まで迫っていない、というのならまだ
    聞くタイミングではないと判断する。

    「俺は…これから、エレンを面倒を見る兵士を集め新たに班を作る。
    それでいいだろ?エルヴィン…これから、何があろうと、太刀打ちできる班を作る」

    リヴァイは審議所の派手なパフォーマンスを演じた責任を取る、ということでなく
    エレンを生かすのも殺すこともできない、監督としての責任を果たす役目は
    自分しかいないと確信している。その目は鋭く、だがほんの少し温かさも滲んでいた。

    「そうだな…その場合はあの旧本部の古城を使え。もう目星はついているんだろ?リヴァイ」

    「ちょっと待て、あの古城は何も使っていないだろう?」

    「あぁ…だが、何かあったときのエレンを拘束できる地下室を備えている…」

    リヴァイは掃除が大変なのが簡単に想像できると、舌打ちする。

    「まぁ…立体起動装置をたやすく操る奴等ばかりだ…そいつらに任せれば
    古城も輝きを取り戻すだろう」

    「とにかく、班の兵士はおまえにまかせる。もう行くぞ…」

    エルヴィンは重い腰を上げるようにソファから離れると、控え室の扉に手を伸ばす。
    ミケが後に続くと、リヴァイも何か今回の壁外調査でエルヴィンが抱える得たいの知れない
    何か考えると眉間に力が入る。組んでいた足を元に戻し、立ち上がると、控え室の扉を
    閉めていた。
  5. 5 : : 2014/05/03(土) 11:35:15
    翌日、エルヴィンは執務室で来る壁外調査で必要な『長距離索敵陣形』を作成のため、
    デスクで定規を使い図面を引いていた。

    ・・・…この陣形で今までどれだけの仲間を死に追いやったのか

    エルヴィンは眉をしかめ、図面をペン先でつつく。自分の作戦で多くの仲間や部下を
    巨人に食わせてしまった罪悪感がのしかかる。
    また来る壁外調査で特に索敵の兵の負担を考えると頭を抱える。
    それぞれの人生をこの作戦で終わらせるかもしれない。
    それでもエルヴィンは父への思いを馳せるとペンを走らせるしかなかった。
    ・・・父さん、俺は…あの仮説を証明したいがために、また新たに命を捧げることになる――

    エルヴィンは父親が壁外に巨人がいながら、壁内で生き残る人類について
    仮説を立てたことがあった。それが彼の不注意で憲兵に知られると、
    父親を死に追いやってしまった。これまでの人生でそれを忘れることはなかった。
    墓石の父の名前を目の当たりにしたとき、いつか、この世界の真相を明らかにしてやる、
    そしてここにその報告に来る、そう誓って以来、エルヴィンは父の墓へ行くことはない。
    もちろん、それは彼にとって不本意だが今でも続いている。
    ペンを走らせずに、左肘をデスクで支え、左手の甲であごを支えているときだった。
  6. 6 : : 2014/05/03(土) 11:35:55
    「エルヴィン、俺だ」

    「ミケか…入れ」

    ノックと共にドアの向こうから聞こえたミケの声に反応すると、エルヴィンは
    勘の鋭いミケに覚られないようにペンを再び走らせることにした。
    ミケは何も言わず、エルヴィンの後ろ側の窓際に立つと、ハンジが捕らえた
    巨人の実験場を眺めていた。

    ・・・こいつ、やはり何か感付いたな――

    長い付き合いでエルヴィンはミケが執務室に入ってきて、ただでさえ無口な
    彼が最初から何も話さない場合、何か嗅ぎ付けたと確信し鼻を鳴らすと、
    ミケが何かを発するまで、そのままペンを走らせることにした。

    「30日後に拠点作りの壁外調査…それも今期卒業の新兵を交える」

    「入団する心配がいれば――」

    エルヴィンは何食わぬ顔で定規を手に取る。淡々としたミケとの受け答えに
    ミケは俺にも建前をつくのか、と眼差し鋭く問う。
    時期が来れば話す、と返事をする頃、再び執務室のドアが開かれた。
    リヴァイが『リヴァイ班の兵士』を連れてやってきていた。

    「エルヴィン、こいつらが俺の班だ――」

    エルヴィンのデスクの前にエルド・ジン、グンタ・シュルツ、オルオ・ボサド、
    そしてペトラ・ラルが心臓を捧げる敬礼をする。
    リヴァイが一人ずつ紹介するなかで、エルヴィンはペトラが紹介するときの
    彼がいつもの冷めたまなざしの中にも熱がこもっているような気がする。
    いつも冷静なリヴァイのため、あえて気にせずにいた。
    エルヴィンがリヴァイ班の本来の目的である、エレンを死守するということを
    伝えると、皆は顔を強張らせる。エルヴィンの思惑顔した三白眼に見つめられると、
    特にグンタは何かを感付く。だが、今回の壁外調査は団長にはすぐには明かせない
    何かがあるかもしれない、と感じると、
    あえて質問をせずエルヴィンの命令に全身全霊で挑もうと誓っていた。
    リヴァイは班員に翌朝には古城の旧本部へ移動できるよう準備するよう促すと
    再び心臓を捧げる敬礼をすると、皆は執務室を後にした。
  7. 7 : : 2014/05/03(土) 11:36:21
    リヴァイは最後のペトラがドアを閉めることを確認すると、舌打ちしては
    エルヴィンのデスクに軽く腰掛ける。左足で身体を支え右足は浮いている。

    「おい…てめー何考えてやがる?」

    「何って…エレンを守りながら、壁外調査へ――」

    「そうじゃないだろ?」

    リヴァイはエルヴィンに突っかかるように話しかける。もともとリヴァイは誰に対しても
    高圧的な態度だが、この時ばかりはいつも以上の上官への態度とは思えないほどの
    威嚇だ。
    「エルヴィン、話す時期は…今でいいんじゃないのか?」

    ミケもエルヴィンの何かを隠すような態度に感じている。それ故にリヴァイの態度を
    見ながら、ついで、というと悪いと感じながら、彼の威嚇の波に乗ることにする。

    「まぁ…まだ、推測の段階…とだけ、先に付け加える」

    5年前の超大型巨人が出現した後、鎧の巨人がウォールマリアの内門を壊した。
    だが、今回は鎧は現れなかった。あの巨人が二人一組で行動するのが常だった場合、
    それは今回はなかった。それは偶然だったといえばそれまでだ。だが、もし二人一組での
    行動の場合、なぜ、鎧が現れなかったのか。エレンが巨人に変身した可能性が高いだろう。
    なおかつ巨人に立ち向かう巨人が現れた。我々にとっても驚くべきことだったが、
    敵にとっても、予想外の事態だったのだろう。だが、だが、あくまでも仮定。
    それを証明できるのは、壁外調査、の可能性が高い。二人一組で行動するのなら、
    もう一体の鎧が現れる可能性も拭いきれない、ということだ。
  8. 8 : : 2014/05/03(土) 11:37:18
    「あくまでも…推測ってこと…そんな推測にどうして部下の命を晒さないといけないんだ?」

    「トロスト区鎧が現れなかった理由…
    それは壁内でエレンを見ていた、ってことだったら…どう思う?」

    「まさか、スパイでもいたってことか?」

    「そうとしか…考えられない」

    エルヴィンは眉をしかめ答える。

    「そのスパイは見当がついているのか…?」

    ミケはエルヴィンの背後から額に汗して質問する。

    「いや…それはまだ…だた、これだけは言える。超大型と鎧の巨人が5年前に
    現れたそれ以前の100年、そいつらは現れていない」

    「まさか、その後…ってことか?」

    ミケは目を見開く。

    「さすがミケだ、察しがよくて助かる。
    5年前、あの二体の巨人とともに壁内で何事もないように…
    もしかして被害者面して…のうのうとスパイは暮らしているかもしれない…」

    リヴァイの涼しい眼差しは変わらないままだが、鋭さそのままにエルヴィンに聞く。

    「俺の班にもそれを伝えた方が」

    エルヴィンはさえぎるように言う。

    「いや、おまえの班でさえ、調査兵になって5年未満だ。精鋭とはいえども…」

    リヴァイは舌打ちしてエルヴィンを睨む。

    「ペトラを…危険な目にあわせたくないとでも言いたいのか?」

    エルヴィンは両肘をデスクについて両手の指を絡ませその上にあごを乗せる。
    その目は遠くを見て、リヴァイを責めているわけではない。

    「何を…あいつだけじゃない、俺の班、全員だ」

    「まぁ…いいだろう、おまえがらしくなくペトラを熱っぽく見つめていた…ってのは俺の勘違いだろう」

    鋭い眼差しのままリヴァイは言い放つ。

    「てめーはいいよな…惚れていたとかいう、マリーって女…薄ら髭の野郎が守ってるからな」

    エルヴィンは鼻で笑い、リヴァイを見るが、これ以上何も語らない。
    リヴァイは何度かエルヴィンと王都に行ったとき、人には興味を示さないエルヴィンが
    珍しく人を目で追っていることに気づいた。馬車で通るそのルート上で
    ある屋敷の前を取ったとき、憲兵団師団長のナイル・ドークが出てきた。
    リヴァイはナイルを見ているのかと思ったが、目が釣りあがったため、目的は彼じゃないと
    気づく。だがあるとき、その家から子供連れの若い女性が出来きた。
    その子たちの母親でナイルの妻であろうとリヴァイは想像する。
    女性を見たときのエルヴィンは安心しきったような表情でかすかに笑みを浮べている。
    その女性は調査兵団の馬車と気づいたのか、馬車の中を食い入るように見ていた。
    目が合った気がしたエルヴィンは『マリー』と小さく名前をつぶやく。リヴァイはそれ以来
    ナイルとその女性とエルヴィンとの間で何かあったのだろうと勘ぐっていた。
  9. 9 : : 2014/05/03(土) 11:38:16
    「だがな、エルヴィン…巨人が壁内で現れれば、その女もどうなるか――」

    「まぁ…あくまでも壁外調査で現れると予想ができる。壁内の巨人…スパイは
    もちろん我々と同じ人間の姿だろう。それを線引きする基準、今のところ
    5年未満の兵士…ってことだ」

    リヴァイは到底納得できるわけがない。だが、今まで作戦立案で知恵を搾り出し
    死亡率が下がっていることを目の当たりにしている。
    エルヴィンを信用している以上、同意せざるを得なかった。
    ミケも口を開く。

    「エルヴィン、その鎧が現れた場合、どうするんだ?」

    「捕獲するしかないだろう…」

    「巨人を? どうやって?」

    ミケは驚きで早口で問う。

    「まぁ…それはハンジの分野だろう。彼女と共に鎧を捕獲する方法を…考えてもらう」

    その時のエルヴィンは現れるであろう巨人は鎧だと踏んでいた。

    「そいつが現れたら…どれだけ部下が死ぬだろうな」

    リヴァイは上の空だが、眼差し鋭くエヴィンに聞く。

    「かつての大打撃は…一度の壁外調査で半分の兵が死んだという報告がある。
    おそらく…それ以上だろう」

    「多くの命を落として…そいつを捕まえて…それが何か意味を成すのか?」

    「人類滅亡を死守する…それまでだ」

    「ほう…」

    リヴァイはエルヴィンが絡める両指が震えていることに気づく。

    「命を投げ打つ覚悟でみなに挑んでもらう…俺も含め…いつも以上の
    覚悟が必要だ…」

    息を飲み手のひらを見つめる。

    「この俺が…震えるとはな――」


  10. 10 : : 2014/05/03(土) 11:39:19
    自嘲の笑みを浮かべると、エルヴィンはリヴァイ班が遂行すべき作戦を伝え
    ミケには5年以上調査兵団に属する兵士たちを呼ぶように伝えた。
    その日、5年以上属する兵士たちには現れるであろう巨人の捕獲作戦を
    伝えるが、極秘の為、口外しないよう、かん口令を敷く。
    ただその兵たちがエルヴィンがやろうとする『博打』を、
    信用する団長の作戦だからと皆は心臓を捧げる覚悟を決める。

    壁外調査の前日、エルヴィンは人知れず兵団本部を抜けると、
    何十年ぶりに父親の墓にきていた。墓標は汚れ、人が来た形跡は何年もないだろうと
    安易に想像できた。父親の名前を指先でなぞり、祈る。

    ・・・父さん、長い間、すまなかった…明日はあのときの無念が晴らせそうだが…
    その引き換えに俺も近いうち、そっちにいくかもしれない。今日は前もっての挨拶だ…

    再び父の名前をなぞると拳を強く握り、振り返らずそのまま本部に戻る。
    彼なりの覚悟であるが、今回の尋常では緊張感に左胸の鼓動は
    強く鳴り響く。だが眼差しは弱々しかった。
    壁外調査当日の早朝。エルヴィンを先頭に多くの調査兵たちが開門を今か遅しと
    待ちわびる。エルヴィンの背中の翼は命の重みを背負う。背筋を伸ばしても
    重そうに見える。涼しい顔をしていても手綱を持つ手に力が入る。
    リヴァイ、エルヴィンの後姿を見ながら、さすがにこいつでも緊張するのか
    と鼻で笑う。リヴァイ、見送る住人の顔と顔の隙間から、エルヴィンを心配そうな眼差しを
    送る女性がいることに気づく。何気なく見てもその女性はリヴァイには気づかない。
    その女性こそマリーだった。リヴァイ、エルヴィンにそっと近づく。

    「エルヴィン…てめーの位置から南西方向…ナイルの女が熱い眼差しで見ている…」

    エルヴィンは手綱を持つ力にさらに力が入る。顔を少し動かしリヴァイいう方向に
    視線を落とすと、愛しむような眼差しでエルヴィンを見つめるマリーに気づく。

    ・・・子供の頃、父さんが貸してくれた本に書いてあった…
    確か、昔の兵士は戦いの前に一輪の花を見て心を落ち着かせ戦場に向うと…。
    俺も一輪の花を見つけたようだよ、マリー――

    正面を見据え右口角に笑みがこぼれると、壁上の駐屯兵から開門の準備が整った
    との合図が届く。エルヴィンは覚悟を決め、幕開けのようなゆっくりと開く重い門が
    開くと、顔を上げる。マリーに送っていた優しい眼差しが険しさに変る。

    「第57回、壁外調査を開始する。前進せよーー!」

    命を削る怒号のような号令を上げながら、愛馬と共に勢いよく駆け出す。
    壁外のどこまでも広がる開放感が溢れる空気を包んだ青空に
    エルヴィンの自由の翼のマントがなびく。
    多くの命を背負った翼は重みがあり、簡単には羽ばたけない。
    だが、一度翼を広げると、真の自由を求め大空高く、力強くどこまでも飛び立っていった。
  11. 11 : : 2014/05/03(土) 12:23:11

    長いので、削ったり、あと、自分なりの表現に
    変ええても大丈夫ですよ!
  12. 12 : : 2014/05/05(月) 13:31:53
    大丈夫だと思うけど「6」に間違いありw

    「入団する心配がいれば――」

    もちろん、新兵が正しいです!

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作成者情報
tearscandy

泪飴

@tearscandy

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