狩人が残すは恋心
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- 1 : 2017/09/10(日) 03:18:12 :
- 本作品はある作者の作品をアレンジした作品です
グループで書く理由はスレを立てるまでもねぇなと思ったからのと、自分流に変えたとしてもSSにした三作とは異なって大きな違いが出せないのに気付いたから
元となった作品→http://www.ssnote.net/archives/25482
〜仲間へ宛てた手紙と心からの言葉〜
元となった作品から察せるようにシリアス
この作品での雑談は大歓迎です
ーーこの世界は何処までも残酷だ
綺麗に澄み渡った青空を見ながら、過去に彼女が言った言葉を思い出していた。
感情の起伏が乏しい彼女は今の俺のように無表情で空を見上げて呟いた。
記憶が正しかったら訓令兵時代、俺の成績が伸び悩んだ頃にミカサの言葉。
ーーどれだけ努力に努力を重ねても身につくわけではない。多くの場合が努力が無駄に終わる。
ーー俺の努力が無駄だって言いたいのか?
あの時の俺は復讐に呪われたように訓練に明け暮れ、しかし伸びない実力に憤りを感じていた。
それをジャンに笑われて、衝突をするのが日常だった。
アルミンも祖父を巨人の餌にされた痛みを知っているからこそ、俺が身体を酷使しようが忠告を零すが咎めることはしない。
しかし、彼女は俺の痛みを知ってか知らずか、それを咎める。
そんな彼女を俺は疎ましく、何時しか避けるまでになっていた。
ーーそれは分からない。
ーー分からない?
しかし、彼女は怒らない。
俺が理不尽に怒鳴られようが、どれだけ的外れな嫌味を言われようが怒らない。
けれど、俺の危険な行動には叱咤する。
この時も確か、酷く危険な行動を取った後だった気がする。
また、小言かよと思った矢先に意味の分からない言葉を言われたのが印象的で覚えている。
ーーエレンの努力が無駄になるかは実戦にならないと分からない。
ーーお前は何が言いたいんだよ⋯⋯。
ーーこの世は残酷だ。しかし、美しくもある。
彼女は普段から読めないが、この日は一段と読めなかった。
何を言いたいのか、何を伝えたいのか、何を考えてるのかが一切会話から理解出来ない。
ーーつまり、エレンの努力は間違いではない。
ーーはぁ?
ーーエレンが誰よりも努力しているのは何時か結果として出る。いや、もう出ている。
ーーエレンが昨夜にジャンに行使した格闘技術が貴方の努力の正しさを物語っている。
ーーので、悩む必要はない。
そこまで言われてやっと理解した。
彼女は慰めようとしているのだと。
慰め慣れていない彼女なりの精一杯を言葉にして、思い悩む俺を励まそうとしてくれているのだと。
ーーくくっ。
ーーどうして笑っているの?
ーーいやぁ、下手な慰めだと思ってな。
彼女のお陰で悩んでいるのが馬鹿馬鹿しく思えて、久しぶりに笑みが溢れた。
そうだ、この日に俺は決めたんだ。
拙い言葉で、慣れない言葉で慰めようとしてくれた彼女を必ず守ろうと。
それが家族である俺の役目だと思って。
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- 2 : 2017/09/10(日) 10:13:31 :
- 期待
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- 3 : 2024/07/01(月) 23:11:38 :
- あれから7年
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