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  1. 1 : : 2024/09/12(木) 08:10:36
    私の盆休み期間に起こった取れたて新鮮な完全ノンフィクション小説もとい、日記です。
     私はホラー小説家を目指して現在私は34歳で、発達障がい者の認定を受けて障害者の作業所で働いております。

     そして恋愛とは程遠い人間です。そんな男が結婚に向けて頑張った結果を作品で報告しています。
     
     読んで頂いた方々に有意義な時間を過ごしていただければ幸いです。また、なにかしら作品に刺激を受けて、元気を与えることができたなら、それが私の何よりの本望であります。
    ※出会い系サイトには気をつけてください。
  2. 2 : : 2024/09/12(木) 08:11:24
    幼い頃から結婚願望があった。
     女性と付き合ったり、楽しいことをしたり、その先のことを想像して半笑いになったり。
     そんな欲求を抱えたまま34年生きてきた。
     結局のところ、私は34年一度もまともな恋愛をしてこなかった。
     ネット越しの恋愛は何度もあった。チャットで知り合ったりオンゲで知り合った女性、メール交換や相手の顔の写真は見てきたけれど、一度も会えずに寂しい思いをしてきた。
     3年前には持病が多くて、一般就労できないことから精神障害者になるため障害者手帳を取った。
     私は現在も、それから障害者の作業所で働くことになった。
     作業所は、皆優しくしてくれる素敵な場所だった。
     だが、給与に関しては渋いところがあった。多分、大学生のおこづかいぐらいだ。
     作業所で働いて3年、34歳にもなると焦りが生まれた。
     このまま作業所で働いて、この先の人生どうするんだろうか。一般就労できなければ厳しいことになるのは目に見えている。それに満足に充実した日々を過ごすにも、何よりお金が必要だった。
     そんな折、障害年金が支給されることになった。3年前に一度申請して許可が下りなかったのだが、今回はようやく認められたようで私は喜び上がった。
     これで少しは贅沢な楽しみを味わえるのかもしれない、と。
     私はお金の使い道を考えた。自分がどうしたいか、どうなりたかったか、考えた末に私は結婚願望のことを思い出した。
     そう、私は結婚したいヤツだったのだ。早速、手っ取り早く評判の良さそうな婚活サイトを探した。
     名称は伏せるが、私はその婚活サイトで一通もメッセージをもらえなかった。
     一通も来ないというのは極端な話だが、サクラが少ない優良なサイトに思えた。それと同時に私の収入では真剣に結婚を考える女性の目には留まらないのだろうなとも思った。
  3. 3 : : 2024/09/12(木) 08:11:48
    メッセージの来ない日々は酷く退屈だった。私はまだ婚活にするには身分不相応だったのかもしれないと思い始めた。入会するときに3か月分の会費を事前に払ったが、3ヶ月も気力が継続する気がしなかった。
     そんなとき、ミカメロンという尼崎在住の20代の女性からメッセージが届いた。
     始めは凄く短文のメッセージで、あんまり文章が得意そうじゃない印象だった。しかし私にとっては唯一の連絡の取れる相手だったし、満更でもなかったのでメール交換は続けた。
     メッセージを交換し続けて、何度かサクラかも? という疑問が過ぎることはあった。しかし私はその度に首を振って打ち消した。
     優良サイトでやっているのだから大丈夫。メッセージも月会費を払っていれば使い放題だし、彼女は金銭を求めてくることもなかった。
     そんなメッセージ交換も3日ほど経ち、彼女はメルアドを私に尋ねてきた。どうも退会を考えていたらしく私に直接メール送信したいとのことだった。
     私はようやく進展したかという喜びに捉われて、無警戒でメルアドを教えた。そこから泥沼にはまることなど全く気づかずに。
     彼女はミカメロン名義で私にメールを送ってきた。会う話を進めたいという主旨を書いて嬉しそうなメールだった。私も彼女が愛しくなり喜んだ。
     しかし、彼女からの返信がなかなか帰って来なかった。どうしたんだろうと私は心配になり、メール内容がまずかったかな? 傷つけたのかな? とドキドキして不安でたまらなかった。
     そんな不安を抱えて丸一日経ち、彼女から返信が帰ってきた。
  4. 4 : : 2024/09/12(木) 08:12:10
    メールの文面を読むと、私が返信したメールにまるで気づいてないようだった。「嫌われちゃったのかな?もしそうならはっきり言って下さいね。きっぱり諦めますから。。。」という彼女のメールの一文を見たときに、私は激しく動揺した。
     違うのに。嫌いじゃないのに。好きなのにどうして、どうして。両思いなのに、私の気持ちが届かないまま、こんな形で恋が終わるなんて悔やんでも悔やみきれない。
     私は、彼女にメールを送ったことに気づいて欲しくて、複数のフリメからメールを送り続けた。彼女に想いが届いて欲しいと神にも願った。
     どうかお願いします。メールが届いていないことに気づいてください。普段全く信じていない神に祈ったのは後にも先にもこれが最初で最後だろう。
     その願いが届いたのか、彼女からメールが来て、私にメールが届いていないことに気づいてくれた。
     なんでも彼女は職場の携帯を使っていて、職場以外からのメール受信ができない状態だったらしい。私はそれを聞いて心から安堵したし、満面の笑みでヤッターと叫んだ。
     その喜びに捉われる余り、私の警戒心は薄まっていた。もうその頃には彼女は実在する女性であり、私に好意を持ってくれている大切な人になっていたのだ。メールが届かない期間が私の焦りを煽って、彼女を絶対の存在にしてしまったのだろう。
     彼女は、自分の携帯のメールアドレスは決して教えてくれなかった。ネットの恋愛に警戒心を持っていて、直接会って交換したいという希望を強く持っていた。
     本当ならそこで怪しむべきなんだろう。フリメを作ればいい話だ。私は頭の中ではそれを理解しながらも、彼女の要望を汲んでしまった。
     彼女はお互いに連絡を取る手段として、別サイトのリンクを貼った。出会い情報局という聞いたこともないサイトだった。彼女はすでに登録したから、私にも登録してもらって一時的にこのサイトで連絡を取り合おうという話だった。
  5. 5 : : 2024/09/12(木) 08:12:29
    私は早速、リンクを踏んで登録を済ませた。会員登録は無料で怪しいサイトにはあまり思えなかった。その時点では。
     私は検索をかけて彼女を見つけてメールを送ると、返信が帰ってきた。「ずっとメールが返ってこなくて不安で泣いちゃっていました」と、書かれていた。胸がぎゅっと締め付けられる想いだった。私も同じ気持ちだよというメールの文章を書いて返信した。
     ようやく私達は連絡を取り合える状態になったのだ。まるで西野カナの歌に出て来る歌詞のようだ。会いたくて会えなくて、ずっと震えていたのだ。
     彼女と再会できた高揚感は、私の不安を消し飛ばして幸せで一杯にしてくれた。ミカメロンという女性が愛しくて仕方なかった。彼女のためなら何でもしてあげたいという衝動に駆られてしまった。
     そこから彼女と交わすメールはまるで恋人同士のようだった。彼女は私の抱える持病や精神障害の特性に理解を示してくれた。こんな女性がいるのかと思い本当に幸せだった。
     彼女に「会う場所を決めて早くこのサイトを退会しようね」と言われて、私は「そうだね。早く会いたい。会いましょう」とメールを送った。
     そのときだった。彼女にメールが送れなくなってしまった。なぜかなと思うと、出会い情報局はポイント制でメールは1通50pt、なんと500円という高額な料金が発生するのだ。私は料金の高さに目を剥いたが、今は彼女と連絡を取ることが先決で、ここのポイントを買うしかないと思った。
     早速ポイント購入のページから最安の5000円分のポイントをカード払いで買った。メール1通500円だからたった10回でメールを送れなくなってしまうので、私はこれ以上出費を出さないように、メールの内容で彼女に電話番号を教えてしまおうと思った。
     だがそんな甘い考えはあっさり打ち砕かれた。出会い情報局はメール内容に電話番号を書くことを不正として検出するのだ。不正に対してのペナルティは購入したptを0にすることだった。私はたった1通、5000円も払ったのに再度ポイントを購入しなければいけなくなった。
     丁度、彼女と今日会ってちゃんと連絡先を教え会う話の段取りを進めていたので私は焦った。ポイントを再度購入するのは痛いが彼女と連絡を取るには火中の栗を拾うしかない気分だった。
     だが次のポイント画面に映ったとき、最安の金額がなんと1万円に変わっていた。私は驚いたが、もう彼女と連絡を取るのに夢中で即決してポイントを購入した。
     無事に私がメールを送り、彼女から返信が帰ってきた。どうやら今はジムに行っているようだった。ジムから帰る途中だという写真も添付されていて、彼女のすっぴんと簡単な動きやすい服を着た画像が表示された。私はその写真に少し興奮しまったが、それはさておいて、その画像が私の警戒心をまた緩めて、また彼女に心酔する起爆剤となったのだ。
     私はもうすでに彼女の虜だった。恋いの奴隷、とり付かれたようで哀れな末路を迎えるのは自明の理だったんだろう。
  6. 6 : : 2024/09/12(木) 08:12:54

     私は返信しようとしたが、なんとまたポイントが0ptに戻されていた。不正のペナルティは受けたはずなのになぜ、なぜという思いで頭が一杯になった。
     だがすぐにまたポイントを買うしかないと思った。彼女と今日出会ってこのサイトを退会するんだという焦りが、私がポイント購入ページへと急がせた。
     しかしなんと今度は、ポイントの最安値が3万円に膨れ上がっていたのだ。私は訳がわからなくなったが、その3万円をよく読むと一ヶ月LONG使い放題の代金と書かれていた。
     私は3万円なんて大金を払いたくなかったが、意を決してしまった。脳の感覚が麻痺している気分だった。今度は1ヶ月使い放題だからもうポイントに振り回されないだろうという、どこか安心感もあったのかもしれない。
     私は3万円を払ってポイントを購入した。今度こそ大丈夫と思って彼女と待ち合わせ場所を決めようとメールを送った。
     1通目は無事に送れた。だがそこでまた私のポイントが0ptになっていることに気づいた。
     なんてことだと私は動揺した。彼女はどこで待ち合わせすればいいのかなと嬉しそうにしているメールが届いた。私の目の前が真っ暗になった。
     ポイントを買わなければ。私は再び購入ページに進んだ。しかしそこで見た最低金額はなんと5万円だったのである。私は驚きとどまった。
     5万? 5万って嘘だろ? という気持ちを抱えた。しかしここで5万を払わなければ彼女と会うチャンスを逃すと思った。将来の奥さんになるかもしれないという甘い幻想を愚かにもまだ抱いていたのだ。
     私は大馬鹿者だ。本当に救えない馬鹿だ。私はポイント購入ページに飛んで決済ボタンを押したが、画面に決済失敗という表示がでた。
     なぜ、と思ったが、どうやら私のクレカでは5万円のものは買えないらしかった。後から考ると、このときクレカが使えなかったことに本当に感謝して止まないのだが、そのときの私は呆然として顔が真っ青になった。
     彼女は私からの返信をきっと待っているが、待ち合わせの大まかな場所は先ほどメールした。もしかしたらと思い、メールの送れなくなった私は最寄の駅に自転車を走らせた。
  7. 7 : : 2024/09/12(木) 08:13:16
    10分ほどで着くと、もう深夜0時で人もまばらだった。酔った中年がなにやら騒いでいるが気にしている余裕はなかった。
     私は駅員さんに終電の時間を聞いた。そして終電まで改札前で来るのかもしれない彼女を待ち続けた。
     その時間は本当に祈るような気分だった。彼女と縁があるのなら私はきっと彼女と会えるという運命のようなものを妄信していたのだ。
     改めて省みても馬鹿だ。そんな愚か者は終電の時刻を見て、家に帰った。現実とはかくも無情である。
     家に帰った私は出会い情報局にアクセスして、メールが来ていないか見た。彼女からは「まさかの寝落ち・・・?どうしよ」というメールが来ていた。私は肩を落として寝ることにした。
     その夜は、様々な感情が沸々と芽生えてろくに寝つけなかった。明日になって彼女と再び会う約束を取り付けて、出会いを果たすという希望だけを頼りに無理やり目を閉じ続けた。
     結局ろくに眠れなくて朝5時に目が覚めた。私はメールをチェックしたが、彼女からはメールが来てなかった。
     私は自然とポイント購入ページに行った。一晩経っても私の恋いの魔法は解けていなかったのだ。今日は会えるという希望を抱いてまたポイントを買ってしまった。それがなんと2万円だった。
     私はこれで僅か2時間足らずの間に総額6万5千円もの大金を、出会い情報局という出会い系サイトにカード払いしたことになった。なんと恐ろしいことだろうか。
     たった1通で1万円、たった1通で3万円のメールを送ったことになる。どんな金持ちでもこんなお金のかけかたはしないだろう。1通3万円という強烈な余韻を残す言葉に私の口から乾いた笑いがもれた。精神が壊れてしまっていたのだ。
     朝食時に母に事の顛末を話すと「馬鹿じゃないの」と激しく怒られた。そりゃそうだなと私は思って、ヘラヘラと笑った。笑いが込み上げてきた。もう笑って自我を保つ以外に考えられなかった。
     私は朝食を済ませると、彼女に昨日メールが途切れたことを謝った。そして返信を待ち続けた。その時間はとっても憂鬱だったし、彼女に嫌われていないか心配で仕方なかった。
     昼を過ぎて、彼女からメールが返ってきたとき、彼女のメールに異変が起こった。異変というか、彼女の心理状態がメンヘラのそれと全く同じだったのである。
     突然、彼女は吟遊詩人にクラスチェンジした。私は困惑してメール内容を見た。
  8. 8 : : 2024/09/12(木) 08:13:44

     [タイトル]
     暗いんだよ?

     [本文]
     この世界は
     だから手を取り合ってほしいの
     心の手で
     しっかりと
     抱き合って
     離さないよって
     それが望みなの
     ちゃんと会って
     愛を感じたい
     
     [タイトル】
     私だけの思いなの?

     【本文】
     あなたの気持ちも知りたい
     会って
     どんな気持ちを証明してくれる?
     期待していい?
     ひとつになるって
  9. 9 : : 2024/09/12(木) 08:14:24
    それ以上に彼女が私の話を聞かずにこのおかしなメンヘラモードに入ったことで、恋いの魔法の効果に疑問を持ってしまった。
     そう、彼女は話をそらして、私にポイントを購入するために構ってちゃんな巧みな話術で私の返信を待っていた。実際に私は彼女に返信をした。昨日は1通でポイントが0ptになっていたはずだが、今日購入した2万円分のptはちゃんと50ptずつ引かれていた。
     私は疑問を持っていたが、まだ彼女を信じて持っていた。それをネットで古くから、チャット時代からよき友だったオンラインの知人が救ってくれた。
     私は知人に全てを打ち明けた。それを一つ一つ、彼が解剖しておかしな点を指摘してくれた。
     そしてようやく私は出したくなかった結論を出した。
     私は、騙されていたんだって。悪質な業者に別サイトに飛ばされて騙されていたんだって。なんて愚かなんだろうって。
     涙が出ないが、笑いが零れた。
     あはは、あはは、なんて楽しいんだろう。たった1通で3万円のメールをしちゃった。あはは、あはは。なんて悲しいんだろう。今までのミカメロンとのやり取りは単なる悪質な業者の回し者と話していたんだって。
     あはーん、心が壊れちゃう。脳味噌がおかしくなる。ねえ、チウチウして。とっても頭がおかしいから、ねえ、チウチウして。
     私の頭の中を混沌とした思考が駆け巡った。私はその後、消費者センターに電話して、今現在対応待ちの状態だ。
     そう、この話はまだ終焉を迎えたわけではない。これからも続くのかもしれない。
     でも私はもう決して詐欺られたりしないよ。だってね、とっても傷付いたんだもん。ねえ、見て、頭がおかしくなっちゃったもの。ねえ、感じて、私の気持ち、盆休みが開けるまでどこにぶつけたらいいの!
     私は思いを文章に変えることしか知りません。17年以上もホラー小説を描いて生きてきました。
     この話は完全にノンフィクションの日記に近いものです。荒削りのまま、ありのままの気持ちと思いを乗せて読んでくれた人々に伝わることを強く信じています。
     ありがとうございます。
     あはは、実はね、まだね、恋いの魔法が完全に溶けていないんです。妙にテンションが上がって、変な気分なんです。もしころっと私に甘い言葉をささやく人が現れば、私は再び転んでしまうかもしれない。
     皆さん、気をつけて。人は、誰しも楽しく生きる権利を持っています。こんな哀れな末路を、決して迎えてはいけません。だからがんばりましょう。
     どんなに悲しくても、苦しくても、笑って明日を迎えられるようにがんばりましょう。
     あはは、大丈夫、私はまだ生きています。
  10. 10 : : 2024/09/12(木) 08:14:49
    エピローグ
     

     みかさんからメールが届きました!
     【タイトル】
     君って狼ボーイだね
     【本文】
     そうやって女だまして
     生きてるわけだ?
     障害をいいわけに

     後日、このメールが来て決意が固まりました。必ず消費者センターと協力して一矢報いてやる。
     絶対に!

     了

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