このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。
この作品は執筆を終了しています。
とある少年の物語「3」
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- 1 : 2014/02/05(水) 19:04:50 :
- 皆さん、今晩は!
リュウオウコクです。
前回は旅パートで、あんまり「ここが面白い!」ていうところが少なかったと思います。
しかし、今回は違います。
戦闘シーンとオリキャラが多く有りますし、出ます!
さて、前回で予言されたエレン、クリスタ、アルミン三人は一体、ここでどう動かされるのか、ご期待下さい!
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- 2 : 2014/02/05(水) 19:10:50 :
- という事で更新したいと思ったのですが、急に体調が崩れたので、投下は今日は難しいです。
申し訳ないです。
それから、明日、明後日と塾が有りますので、土曜日の更新となります。
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- 3 : 2014/02/05(水) 21:08:27 :
- 少し回復したので投下します。
お待たせしてしまい、すいませんでした。
再開します。
エレン達は今、三つの巨大王国の内、最初の王国、『ヒュライズ・マレード』を目指していた。
その途中、幾つかの小国を通り、物を売った。
そして、エレン、クリスタ、アルミンが旅商人グループに加入したあの日から、三日が過ぎた。
その事について、エレン達は会話していた。
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- 4 : 2014/02/05(水) 21:16:06 :
- 「アルミンが大好きだった、旅商人になって、もう三日目か〜」
エレンはそう感慨深く言う。
アルミンはそれに対して、
「うん、でも…まだまだ、商売はさせてもらえないけどね…」
と「まあ仕方ない」といった感じで呟く。
その言葉を聞いたライナーは
「はは、あったりまえだ〜。入ったばかりの素人に任せられっかよ」
とアルミンの額を痛く程度に小突いた。
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- 5 : 2014/02/05(水) 21:21:07 :
- そして、ベルトルトが「ところで」とクリスタを見て、
「あえて、聞かなかったけど…あのお婆さんが言っていた通り、君には何か不思議な力が有るのかい…?答えたくないなら別に…答えなくてもいいけど…」
と聞いた。それも、強制ではなく、促すといった、彼なりの配慮を加えて。
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- 6 : 2014/02/05(水) 21:36:13 :
- クリスタはそう聞かれて、最初は無言だったが、少したってから、ポツリポツリと話し始めた。
「……あんまり、覚えてませんが…確かにお婆さんが言っていた通り、光を操る?力を邪神龍に襲われた時に何故か勝手に使えたような気がします」
ベルトルトは
「そうか…じゃああの光は君の物か」
と呟いた。
クリスタは言い続ける。
「そして、その力を使った直後、何故か…とても、暗くて寒い闇に放り込まれたみたいな感覚に襲われて…う、グスッ…」
そこまで言うと、彼女は泣いてしまった。あの時の恐怖を思い出してしまったからだろう。
エレンは
「クリスタ…もういい…。言わなくてもういいよ」
と言いながら、軽く抱きしめた。
アルミンはそれを見て、
チッ
と舌打ちした。
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- 7 : 2014/02/05(水) 21:38:59 :
- 今日はここまでにします。
更新は先ほど申し上げましたように、土曜日となります。
それと、コメントと下さい!
見てくれる人はいるんですけど、何かさみしいので…。
では、お休みなさいです。
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- 8 : 2014/02/05(水) 21:40:48 :
- と、訂正です。
「コメントと下さい!」ではなく、「コメント下さい!」です。
すいません。
では、改めてお休みなさいです。
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- 9 : 2014/02/05(水) 22:00:49 :
- 俺はファンタジー物語は結構好きなので頑張ってほしいです
期待です
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- 10 : 2014/02/06(木) 06:57:55 :
- 紅蓮の巨人さん!
コメントありがとう!
少し安価です!
エレンはもう少しで「刃の真星」の力を与えられます。
その力の名をお願いします!
物語上で採用ができそうな物をお願いします!
期限は土曜日の昼ごろまでです!
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- 11 : 2014/02/06(木) 15:40:43 :
- 刃真星?
(ばしんせい)
↑そのままでごめんなさい
期待です
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- 12 : 2014/02/06(木) 18:19:03 :
- 紅蓮の巨人さん毎度ありがとうございます!
補足です。
例えば、
僕の好きな
fateのセイバーの「約束された勝利の剣(エクスカリバー)」といった横文字やナルトの「螺旋丸」やはたまた、今回の「聖魔道」といったものにしてください!
それか、マギの「ハルハール・ラサース」や「王に選ばれた人の極大魔法」みたいなどが、この物語の世界間に合いますね。
多くの人に楽しんで読んでもらいたく思ってますので、もう一こえした物をお待ちしてます!
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- 13 : 2014/02/06(木) 20:14:51 :
- ゾロの刀とかいいんじゃないんですか?
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- 14 : 2014/02/06(木) 21:01:25 :
- 新世紀の巨人さんアイディアありがとう!
はい、そうですね。いかにもエレンもゾロの刀合いそうですもんね。(顔何か特に東洋人っぽいですし…。)
他には有りませんか〜?
ドシドシ、アイディア下さい!
エレンに合いそうで、この物語の世界観に合いそうな物をお願いします!
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- 15 : 2014/02/06(木) 21:04:56 :
- と、「奇妙な」が抜けていました…。
せっかく、案を考えてもらいましたのに…ホンット、申し訳ないです!
ごめんなさい!
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- 16 : 2014/02/07(金) 04:46:45 :
- 皆さん、お知らせです!
今日、何か早めに起きれちゃったので、この「とある少年の物語」をシリーズ化しました!
今後もよろしくお願いします!
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- 17 : 2014/02/07(金) 16:38:37 :
- ブリーチの斬魄刀とかどうですか?
無理でもいいのでできたら強くなれば能力が変わるみたいな設定をつけて欲しいです。
期待です!
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- 18 : 2014/02/07(金) 17:38:38 :
- おお!名もなき巨人さんアイディアありがとう!
うーん、そうですね…。他にも多数のアイディアがきたら少し難しいですが…。
でも、僕もそういった設定にしようとは思っています。
現段階では…。
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- 19 : 2014/02/07(金) 20:57:37 :
- 適当でした
すいません
期待です
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- 20 : 2014/02/07(金) 21:08:12 :
- 19
いえいえ、構いませんよ。
いつもご期待下さってありがとうございます!
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- 21 : 2014/02/07(金) 21:34:46 :
- 名前書きにくかったら、省略してください。
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- 22 : 2014/02/07(金) 22:16:37 :
- あ、はい!
すいません。…次からは「新世紀さん」と書かせていただきます。
よろしくお願いします。
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- 23 : 2014/02/07(金) 22:40:52 :
- 刀は、何本の予定ですか?
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- 24 : 2014/02/07(金) 22:46:21 :
- 新世紀さん、
今のところ、考えているのは一本です。
まあ、最初ですし…。
でも、物語の都合上、後、もう一本追加するかも…。
と言う訳で、合計二本の予定です。
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- 25 : 2014/02/07(金) 22:47:59 :
- ゾロの刀は、三本ですがどれ使うんですか?
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- 26 : 2014/02/07(金) 22:51:32 :
- 一番強い「秋水」ですね。
でも、名前は変えさせてもらいます。
性質の方も変わりますね。
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- 27 : 2014/02/07(金) 22:52:24 :
- わっかりましたー
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- 28 : 2014/02/07(金) 22:56:55 :
- 新世紀さん、
ありがとうございます。
ちょっと、僕の望んでいるものが見えてきましたから。
明日の午後一時に採用結果発表と、名の説明をします。
皆さんも、読んで下さいね!
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- 29 : 2014/02/08(土) 00:33:14 :
- 頑張れ!
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- 30 : 2014/02/08(土) 06:41:46 :
- 29
ありがとう!
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- 31 : 2014/02/08(土) 13:00:11 :
- タイムアップです!
紅蓮の巨人さん、新世紀さん、名無しの巨人さんアイディアありがとうございました!
他にもアイディアを考えて下さって投稿しようと思っていた方がたは申し訳ない…。
また次の時に…。
では、「刃の真星」の力の名の発表です。
「陽刀・空星(ようとう・くうせい)」…です!
うーん、ネーミングセンスがないと言われそうですが…その名の説明をしましょう。
まず、「陽」ですが、光の他、明るさ…つまり、太陽の様な橙色(主に握る柄とその刀から発せられる気の色です)の事です。
それから、「刀」はそのままの刀の形状の事を指し(一番硬度が高いと云われる黒刀です)「空」は原作エレンのあの底なしの探究心から考えました。
そして、「星」は「刃の真星」の真星の事を指します。
と言う訳で、名の説明は終わりました。(アイディアを下さった三人のアイディアを組み合わせたつもりです。)
皆さんに納得のいく説明になったかは不安ですが、その刀の持つ能力の設定の説明は今から投稿します物語に出てきます。
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- 32 : 2014/02/08(土) 13:07:09 :
- と、名もなき巨人さんでした…。
すいません…。
再開します!
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- 33 : 2014/02/08(土) 13:19:07 :
- 少しして、クリスタはエレンの顔を見上げ、
「もう、大丈夫…ありがと、エレン」
と涙を自分の手の甲でふきつつ、微笑み、言った。
エレンは
「そうか…それなら良かった…」
と安堵しつつ、クリスタから離れた。
アルミンはそれを見て、
く…いい感じになっちゃてさ〜
と心の中で愚痴った。
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- 34 : 2014/02/08(土) 13:27:22 :
- ベルトルトは
「うん、ごめん…無理して言わせたみたいで…」
とばつが悪い顔をした。
そして、アルミンがエレンの手を見て、何かに気付いたのか、エレンの顔に視線を移し、
「ねえ、エレン。一回、拳を見せてくれないかな?…あの時砕けた方の…」
とエレンに問いかけた。
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- 35 : 2014/02/08(土) 13:36:00 :
- エレンは
「あ、ああ…、分かった。」
すっと、前に砕けた方の拳をアルミンに見える様に出すと…。
アルミンは
「え?…何でもう…拳の傷がふさがってきてるんだ?…形状も少し複雑になっていた筈なのに…」
と呟いた。
そう、エレンの拳は完全とまではいかないが治りかけていた。
アルミンは思考する。
何故だ?…あの時の傷は全治一ヶ月はかかりそうなものだったはずだ…それが何故?
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- 36 : 2014/02/08(土) 13:48:49 :
- そう、考えているとエレンが
「もういいか…?」
と聞いたので、
「あ、うん。いいよ。」
とアルミンは返した。
エレンはライナーのもとに行き、『ヒュライズ・マレード』とはどんなところか聞くと、
「ああ、あそこは前に大陸の各地にいる最強の剣士を戦わせたコロシアムがある国さ。…今では数百万はくだらない賞金のために賞金稼ぎ達が集まって、それを狙って戦っているらしい。」
とライナーは言った。
その後、
「そんなものをやるくらいなら、他の国に物資を送ったりすればいいのに…。」
と呟いた。
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- 37 : 2014/02/08(土) 13:50:25 :
- 少し、ストーリー展開を考えます。
再開は一時間後です。
すいません
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- 38 : 2014/02/08(土) 14:06:50 :
- そこで、刀を抜くのかな?
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- 39 : 2014/02/08(土) 14:42:01 :
- 38
今のところはそうですね。
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- 40 : 2014/02/08(土) 14:49:48 :
- ストーリー展開が整ったので、再開します!
エレンは
「え、数百万の賞金って、どっから来るんだ?」
とライナーに聞くと、
「……王国だから王政府からだ…。本当にイラっとくる…。」
と返した。
ベルトルトがそれを聞いて、
「本当にそうだね…あそこには奴隷商人が多く居るんだ」
と言った。
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- 41 : 2014/02/08(土) 14:55:17 :
- エレンは
「奴隷商人って…あの…?」
エレンは彼らが悲しげな顔をしつつ、言うのを聞いて、問う。
「ああ、旅商人もあの国に根をはって住んで、その商人になってしまった人たちも居るんだ。…正直、そういう奴らとは関わりたくないよ…。」
とベルトルトはエレンの問いかけに答えた。
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- 42 : 2014/02/08(土) 15:00:55 :
- と、アニが彼らに声をかけた。
「もう少しで関所だ。皆、身支度を整えて…」
アニの言葉の通り、前方に王都が見えてきた。
エレン達はあまりに大き過ぎる王都に言葉をなくす。
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- 43 : 2014/02/08(土) 15:11:39 :
- 数分後、クリスタが感動しながら言った。
「うわあ、すごく大きな国!」
エレンとアルミンもそれに頷いて同意した。
そして、王都の関所に辿り着き、エレンが荷馬車から降りようとした時、
ザザッと、視界が大きく揺らいだ。
「つ…⁉」
エレンは頭を抑えた。
同時に体が熱くなる、重くなる
「え?…何で…急に…」
沈む…。
エレンはそのまま、地に倒れ、気を失った。
その時、アニ達が声をかけたが全く気づかなった。
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- 44 : 2014/02/08(土) 15:14:36 :
- 訂正です。
「気づかなった。」ではなく、「気づかなかった。」
すいません。
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- 45 : 2014/02/08(土) 15:26:52 :
- 夢の中、エレンは荒地の真ん中に立っていた。
空は嵐の様で、幾重にも雲が重なり、黒ずみ、其処から強い雨を降らし、雷がたて続けに落ち、その音が鳴り響く。
そのエレンの体は満身創痍で、今にも倒れそうな程酷い。
暗い、痛い…でも、でも、
「前にいるあいつだけは救ってやりたいんだ!」
と叫んだ。
すると、最初エレン一人だった世界にとある一人の青年が現れ、
「ごめん、エレン。俺は…」
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- 46 : 2014/02/08(土) 15:35:49 :
- 「…は⁉」
そこで目が覚めた。
「ここは?」
周りを見渡す。
灰色の壁に、自分の寝ている白く整ったベッド。
そこまで見て、何処かの宿舎の中なのだろうと考え付き、エレンは状態を起こした。
すると、額のあたりから、真っ白い物が落ちた。
それを拾うと…。
「濡れたタオル…?」
「あ、やっと起きた!」
エレンが起きるのを待っていたアルミンとクリスタ二人は彼に近付き、声をかけた。
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- 47 : 2014/02/08(土) 15:47:48 :
- クリスタは
「エレン…良かった〜。痛いところはない?苦しさとか感じない?…えーと、えーと」
と早口でエレンに彼自身の容体を捲し立てる様に聞く。
「ちょ…そんなに問われてこまる…」
エレンはその問いかけに困り、そう言った。
クリスタはシュンと肩を落とし、
「ごめん、一度に聞きすぎた…。」
と言った。
アルミンは
「じゃあ、エレン。もう、大丈夫?」
と聞くと、エレンは
「ああ。」
と頷き、
「あ、そう言えば、アニ達は…?」
とアルミンに聞いた。
すると、アルミンは
「えーと、アニさん達は君をここに運んでくれた人にお礼しに行ったよ。ここは二階だから、一階にいるかな」
と答えた。
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- 48 : 2014/02/08(土) 15:55:11 :
- 「一階か…あ、ところで、…俺はどれくらいの間気を失っていた?」
エレンがそう言うと、二人は黙り込み、少ししてクリスタが言った。
「ここまであの人が来て、ここに運ぶまでかかった時間は…一時間だから、せいぜい、一時間弱だと思う…」
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- 49 : 2014/02/08(土) 15:58:37 :
- 訂正です…。
46の「状態を〜」を「上体を〜」に変えて読んで下さい。
また、間違えた…。
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- 50 : 2014/02/08(土) 16:04:48 :
- 行きます。
エレンはその言葉に、
「ま、マジか…俺、そんなに寝てたのかよ…」
と返した。
「うん、本当に心配だったんだよ…?」
クリスタの今にも泣きそうな顔にエレンは少し狼狽え、
「ご、ごめん。今度は気をつけるからさ…」
と言った。
どうやって?と自分が言った事に疑問を感じたが。
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- 51 : 2014/02/08(土) 16:12:46 :
- そして、クリスタが言う。
「うん、本当にそうしてね?」
その言葉に続いて、
「エレン、うなされてたんだよ?」
と言う言葉がきた。
エレンはその言葉に
俺が?…あ…。
と思い、あの事を話すべきかと考え、
「なあ、クリスタ、アルミン。二人に聞いて欲しい事がある。…俺が気を失っている間に見た夢の話だ」
アルミンは
「え、夢?」
と聞き返した。
エレンは「ああ…」と言い、自分の見た夢の話をし始めた。
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- 52 : 2014/02/08(土) 16:16:43 :
- …と、目に痛みが走ったので、一度休憩します。
更新はいつになるか分かりません…。
すいません…。
あ、ところで、ちょっとストーリー展開が急でしたかね?
どう思います?
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- 53 : 2014/02/08(土) 16:20:19 :
- 急過ぎたら、すいませんでした…
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- 54 : 2014/02/08(土) 17:36:45 :
- いや全員の能力が出てくるまで早めで良いと思います。
後名前は言いにくかったら巨人でも名無しでもなんでも良いんで
頑張ってください
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- 55 : 2014/02/08(土) 18:51:57 :
- クイナの刀は、出るのかな?
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- 56 : 2014/02/08(土) 20:32:45 :
- 54
あ、はい!
分かりました、ありがとうございます!
55
うーん、それは次の安価のお楽しみって事で…。
皆さん、更新は午後10時から再開します。
ただ、エレン「光を求めて」の更新もしなければならないので、30分で切ります。
そこのところ、よろしくお願いします。
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- 57 : 2014/02/08(土) 22:07:08 :
- 再開します。
数分自分の見た夢の事をクリスタ達に話し、
「…と言う夢なんだ。なんか…現実味が感じられないんだけど…なぜか気になってしょうがないんだ。…特にあの青年が…」
とエレンが自分の口元に手を添え、考えていると、アルミンが口を挟んだ。
「その青年はどんな格好をしていた?…思い出せないなら…無理して言わなくていいよ」
エレンは「確か」と呟き、言う。
「……確か、青い服に、右手に剣を持っていたような気がする…」
アルミンは
「青い服に、剣…?…一体誰?…あ、ああ⁉」
突然、何かに気付いた様で叫んだ。
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- 58 : 2014/02/08(土) 22:18:20 :
- 「え?…どうしたんだよ、アルミン?」
エレンは突然叫んだアルミンに怪訝な顔で聞く。
すると、今度はクリスタも突然叫んだ。
「あ、…あの人だ!」
「いや、だから…どうした?…てか、あの人って誰?」
エレンはクリスタとアルミンの顔を交互に見て、彼らに聞く。
アルミンは
「誰って、エレン、君を運んでくれた人の隣にもう一人居たんだよ!その人が君の言ってた『青い服に、剣を帯剣』してる青年だったんだ!」
とアルミンはエレンの左腕を掴み、
「会いに行こう、エレン、クリスタ!まだアニさん達がここに来ないって事は下でまだ話してるって事だ!」
グッと引っ張って無理矢理起こして、
「あ、おい、アルミン…待てっておい、俺の話を聞いてくれ〜⁉」
エレンの叫びを無視して、クリスタと共に扉を開けて、一階へとおりて行った。
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- 59 : 2014/02/08(土) 22:25:03 :
- と、ここで補足です。
この宿舎は二階建てで二階が宿泊できる階で、一階は酒場になっています。
もっと分かりやすく言うとなると、
ドラゴンクエストXのルッカでしたっけ?
の宿屋みたいなところだと思って下さい。
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- 60 : 2014/02/08(土) 22:29:58 :
- 一階の酒場におりると、ガヤガヤと人で賑わっていた。
その中のエレン達から右側の奥にアニ達と青年と…黒猫?が木造の机を挟む様に向かいあって座っている。
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- 61 : 2014/02/08(土) 22:33:41 :
- 時間になりましたの一旦切ります。
ここで安価です!
青年剣士の名前と黒猫(雌)の名前をお願いします!
そうですね、締め切りは明日の午後一時までです!
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- 62 : 2014/02/08(土) 22:35:50 :
- たくさんの名前をお待ちしてます!
あ、補足です。
剣士「」、黒猫「」
といった風にしてください。
そうでないと分かりにくいですから…。
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- 63 : 2014/02/08(土) 22:37:20 :
- 書くのはやいねー
剣士「陸孫」、黒猫「ケイ」
キタイデエス
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- 64 : 2014/02/08(土) 23:12:18 :
- 紅蓮の巨人さん、ありがとう!
書くのは…他の人と比べれば遅い方ですよ…あはは…。
それから、皆さん!
まだまだ、時間があるのでたくさんの投稿待ってます!
同じ方も何回も投稿していいですよ〜。
とても嬉しいのに変わりはないですから。
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- 65 : 2014/02/09(日) 13:00:52 :
- タイムアップです!
紅蓮の巨人さんの考えて下さった名前を使わせてもらいます。
他にも考えて下さった方はすいません、また次の機会に…。
それと、今日は早めに切りあげますね。
今週の火曜日に模擬試験があるのでその勉強をしなければならないので…。
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- 66 : 2014/02/09(日) 13:10:10 :
- では、更新します。
エレン達は会話しているアニ達に近付き、すると、ライナーが気付いた様でエレンに言った。
「よう、意識戻ったか…?」
エレンは
「ああ、おかげさまで…、と、…んで、誰が俺を運んでくれたんだ…?まさか…その猫じゃ…」
と壁に両刃直剣を鞘におさめた形でたてかけている青年剣士と彼の左隣にちょこんと椅子に座っている黒猫を一瞥してライナーに聞いた。
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- 67 : 2014/02/09(日) 13:22:40 :
- とそのエレンの言葉を聞いて、その猫が「ニャフフ」と笑いながら、
「…うん、あたしで〜す!」
と「喋った」。
アルミンはそれに驚き、
「ウソォ⁉…ね、猫が喋った!」
黒猫は「頬を膨らませ」て、
「むー、酷いな〜。そんなに驚く事じゃないじゃん!」
クリスタはその仕草を見て、目を輝かせながら、
「うわーっ、可愛い!」
とその猫に意識を奪われていた。
すると、そこで青年剣士が自己紹介した。
「俺は…陸孫、こちらはケイ。俺の実の『妹』なんだ。」
「ええ⁉じ、じゃあ、あんたも猫なのか⁉」
エレンはそう驚きつつ、陸孫に聞く。
彼は苦笑しつつ、
「いや、ケイは魔術師なんだ。それで、得意なのが動物に変身する『変身魔法』さ…だから、れっきとした人間だよ」
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- 68 : 2014/02/09(日) 13:38:07 :
- と言った。
クリスタは
「へえー、魔術師なんですか〜。すっごく可愛いです!」
と黒猫の頭を撫でながら言った。
ケイは
「ニャフフ、…ありがと!…と、ちょっとごめんね。もう2、3歩下がってくれないかな〜?変身を解除するから…」
クリスタはその言葉に名残惜しさを感じながら、もう一撫でして、下がった。
そして、ケイはこう唱えた。
「フレイ、フレイ、フレイ(回れ、回れ、回れ…)、イーゼルタークス、グレイデュラ(御身を糧に、異形の物へ)」
すると、彼女の身体はボオウと虹色に輝き、次の瞬間。
ボンッ‼
一際大きく煙が舞い上がり、その煙が去ると、
「ハロー!こちらが人間時で〜す!」
と紫色の魔術師ぜんとしたローブに黒色のとんがり帽子を被った女の子が手を振りながら、そこに立っていた。
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- 69 : 2014/02/09(日) 13:42:12 :
- エレンはポカンと口を開け、その彼女を見る。
クリスタは笑みをなぜか消し、真剣に彼女を見ていた。
アルミンはそのクリスタの表情に
どう…したんだろう…?
と疑問を浮かべた。
-
- 70 : 2014/02/09(日) 13:54:46 :
- と、ここで陸孫は口を開き、
「ところで、よっと…俺はこの剣を持っている通り、剣士なんだ」
と机に剣を横にして置いて言った。
続いて彼が言う。
「俺は…ここで三日後に開催される、『第十回ゼアル大陸決闘大会』と言われるコロシアムでの大会に出るんだ」
エレンはその言葉を聞き、
「ああ〜、ようは賞金狙い何だろ?」
とさも興味をなくした様に言った。
クリスタはその言葉を聞き、
「ちょっと、エレン!…そんなの失礼…「違う‼」…え?」
とエレンの軽口に注意をしようとすると、その途中で陸孫がすごい気迫でエレンを睨み、叫んだ。
その叫びで、酒場の客全員の注目が集まる。
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- 71 : 2014/02/09(日) 13:58:23 :
- 「何だ、何だ?剣士様がお怒りだぜ?」
「はは、喧嘩だ!やれ、喧嘩だ!」
と様々な野次馬が飛び交う。
それに対して陸孫はブチ切れ、
「うるせえ‼…てめえらはこのクソ鬱陶しい王政を何とも思わねえのか‼」
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- 72 : 2014/02/09(日) 14:07:32 :
- とありったけの大声で叫んだ。
その叫びはその空間全体に響き渡る。
「あ…陸孫…。それはまずいよ…王家に使える兵士か、使用人がいたら…」
ケイは突然、怒り出した彼の口から飛び出た王政を忌み嫌う言葉を恐る恐る注意する。
「あいつ、馬鹿だろ…いくら剣士だからって、この国の王政にケチつけるのは…」
「やべえ、王家の人間がここにいたら、俺ら…処刑されちまう…!」
客は「処刑」の恐怖に怯え、酒場の店員までもが、入口から外に出ていった。
-
- 73 : 2014/02/09(日) 14:18:43 :
- そして、つい先程まで賑やかだった酒場はエレン達と陸孫達を残し、ひっそりとした静かで、重い空気を醸し出した。
アニは息を切らして歯を食いしばっている陸孫に聞いた。
その聞き方はすごく業務上で使うようなものだった。
「陸孫、あなたに何があったのか教えてはもらえないだろうか?…出来れば、その『クソ鬱陶しい王政』の事も…、そして、あなたがなぜ、三日後に開催される大会に出なければならないのか…どうか…教えて欲しい。」
彼女の裏の見えない瞳に彼は気圧され、話し始めた。
-
- 74 : 2014/02/09(日) 14:20:44 :
- 「あ、ああ…話します…。旅商人さん…あれは…」
丁度二年前の事だった。
-
- 75 : 2014/02/09(日) 14:24:43 :
- ここで一旦落ちますね。
勉強してから、陸孫とケイの回想シーンを組み立てますので、だいぶ時間はかかります。
そこのところ、よろしくお願いします。
-
- 76 : 2014/02/09(日) 17:53:11 :
- すいません、今日の投稿は無理になりそうです…。
火曜日の模擬試験が終わったら、すごく遅いですが更新して行きます。
もうあと三週間ほど後に期末試験が控えてますので…。
申し訳ないです…。
-
- 77 : 2014/02/09(日) 20:14:42 :
- 気にしません 模擬と期末頑張ってください!
期待です
-
- 78 : 2014/02/10(月) 17:48:01 :
- 服装は、ゾロですか?
-
- 79 : 2014/02/10(月) 18:16:19 :
- 77
ありがとうございます!
頑張ります!
78
うーん、西洋の剣士ですので和服ではないですね…。
-
- 80 : 2014/02/11(火) 22:04:08 :
- 少しだけ更新します。
ほんの最初だけですが投下。
-
- 81 : 2014/02/11(火) 22:09:18 :
- 俺の親父はクソ野郎だった…。
俺と妹「ケイ」の生まれ故郷はここ、王国『ヒュライズ・マレード』だ。
生活に関しては全くといっていいほど可もなく不可もない至って普通の生活だった。
-
- 82 : 2014/02/11(火) 22:15:38 :
- ある日の昼、俺はその「男」に聞いた。
「ねえ父さん。父さんって一体なんの仕事をしてるの?…いつも帰りが遅いからさ」
その男は一瞬焦った顔をして、
「あ、ああ、た“ただの”商人だよ。最近繁盛していてね…大変だろ?」
と言い、その後、
「お前にはまだ早い…」
とても低く、そう呟いた。
俺はその言葉に疑問を抱いた。
-
- 83 : 2014/02/11(火) 22:20:06 :
- よし、続きは土曜日ですね。
これから、どっとシリアス展開になります。
もう、先を予測している方もいるかもしれないですが…その先は果たして当たりなのか…模索するのもファンタジーの醍醐味の一つでしょう。
では、一度切ります。
お休みなさいです。
-
- 84 : 2014/02/11(火) 22:33:10 :
- ああ、そうだ。
またまた安価です。
クリスタに教えるとしたらどんな魔術がいいですか?
1、攻撃魔法系統
2、支援魔法系統
番号で多かった方を投票数で決めます。
締め切りは金曜日の午後9時までです。
-
- 85 : 2014/02/11(火) 22:40:08 :
- クリスタ優しいから、2かな。
-
- 86 : 2014/02/13(木) 16:50:00 :
- 85
おお、毎度ありがとう!
-
- 87 : 2014/02/14(金) 16:53:47 :
- 今日の午後9時に締め切りますよ〜
参加したい方はお早めに‼
-
- 88 : 2014/02/14(金) 20:58:11 :
- 二分ほど早いですが、タイムアップです!
では、2の方針で行きますね。
ただ、まだ課題が売るほど残っているので今日の更新は無理です。
明日の夜には更新します。
-
- 89 : 2014/02/14(金) 22:05:37 :
- 期待
-
- 90 : 2014/02/15(土) 17:42:27 :
- 期待です くそ、出遅れた!
-
- 91 : 2014/02/15(土) 21:33:43 :
- 89、90
ありがとう!
90
すいません、締め切りが早すぎたようですね。
いや〜、今日は利き手が腫れる程ぶっ続けで課題終わらせてました。正直、すんごく疲れた…。
でも、ひと段落ついたので、書けるのでラッキーですかね。
では、再開します!
-
- 92 : 2014/02/15(土) 21:37:42 :
- 翌日、俺は男について行ってしまった。
そう、たんなる好奇心。
たったそれだけでついて行ってしまったのが間違いだった。
…俺はただ、自分の父親がやっている仕事っていうのを見たかっただけだったのに…。
-
- 93 : 2014/02/15(土) 21:49:43 :
- 男が入って行ったのは裏路地に佇むまだ新築なのだろう、他の建築物よりも綺麗な色をしている建物だった。
そして、俺は当然中に入ろうとしてその建物の扉の取っ手に手をかける。
すると、
「ひ、ひい…!嫌だ…こんな…こんな奴に売られたくねえ!」
まだ若い男の声が扉の向こうから聞こえた。
と同時に、
「うるせえ、売り物のくせに調子ぶっこいてんじゃねえよ…」
聞き覚えのある声が人を罵倒する声となり俺の耳に届いた。
俺は力が抜けるのを感じた。
自分の取っ手を握る手がずり落ち、垂れ下がっても俺はただ、呆然と中の声を聞いていた…いや、内容は覚えてないから何も耳に入らなかったんだろうな…。
-
- 94 : 2014/02/15(土) 22:00:25 :
- だけど、そんな俺が我に帰ったのが皮肉にもガチャリと中から鍵が開く時だったんだよ。
俺は咄嗟に扉から離れ、物陰に隠れ、建物内から出てくる人物が誰か見ていた。
すると、
金ぴかの如何にも高価そうな首飾りを首にかけ、この場に不釣合いな男が…とても醜く太っていたが…出てきた。
その後ろには鎖に繋がれた麻の服に身を包んだ男がいた。
彼の顔は…ことごとく暴力を振るわれたのだろう…無残にも腫れていた。
俺はその人を連れて悠々と歩く金ぴかの首飾りをした男に激しい怒りを覚えた。
それと同時に…あの連れて行かれた男に暴力を振るったのであろう父親に恐怖を感じた。
-
- 95 : 2014/02/15(土) 22:04:35 :
- この時、俺はここにとどまって様子を見続けるか、母さんに話すべく、直ぐにここから離れるかという葛藤に襲われた。
そして、俺が下した決断は…。
「この場でとどまるのではなく、中に入って父の悪行を突き止める」
だった。
-
- 96 : 2014/02/15(土) 22:09:50 :
- 俺は直ぐに実行に移した。
絶対に中の人間に見つからないように、迅速に移動し、且つ、音をたてないように。
それだけを考え、扉を静かに開け、素早く中に入り、扉を閉めた。
中は薄暗く、その上、血と汗の臭いが漂っていた。
俺は当然激しい吐き気にみまわれた。…何とか大丈夫だったけど…。
-
- 97 : 2014/02/15(土) 22:13:59 :
- 中がどうなっていたか…簡単さ…。
牢が真ん中の通路を開けて両側に奥まで有ったのさ。
つまり、俺の父親は「奴隷商人」っていう商人だったんだよ。
…ああ、あいつはいなかったな。通路奥に扉があったからその中にいたんじゃないか?
-
- 98 : 2014/02/15(土) 22:18:24 :
- 俺はでもこの時、まだ信じられなかった。
頭じゃ理解出来てる筈なのに、心では完全には理解できなかった。いや、信じようと、理解しようとするのを無意識の内に俺自身が拒んでたんだろうな…。
-
- 99 : 2014/02/15(土) 22:25:15 :
- 俺は奥の扉に引き込まれるかのように歩き続け、その途中で声をかけられた。
低い男特有の独特な響きのある声だった。
俺は…場所が場所だったんで、腰を抜かしちまった…。
緊張してたんだろうな。
俺は恐る恐るそちらの方を見ると、牢の奥に碧い服を着て、厳重に鎖で封印されている剣を眺めて座っている男がいた。
-
- 100 : 2014/02/15(土) 22:33:50 :
- 期待!
-
- 101 : 2014/02/15(土) 22:35:20 :
- 「よう、…ここはガキが来るような所じゃねえぜ?」
俺は
「あ、貴方は…?」
とその男に聞いた。彼はちょいちょいと手招きした。
俺はその言葉に従って近付くと、彼は小声で、
「俺は元…『王国剣士』だった…でも、何か間違ったんかな〜?王様に『用無しだ貴様は…うん、存在が気に入らんので、…おーい、誰かこいつを売って来い!』とか言われてさ…何やかんやでここにいるんだ。…んで、ハルトって言うのさ。…お前は?」
と簡単に自己紹介し、俺に名を聞いた。
-
- 102 : 2014/02/15(土) 22:36:22 :
- ここでか〜
-
- 103 : 2014/02/15(土) 22:38:20 :
- 100、ありがとうございます!
102、もう少しすると王政の闇が見えてきますよ…。
-
- 104 : 2014/02/15(土) 22:57:00 :
- 俺は極力声を抑えて、
「陸孫って言います…」
と俺自身も自己紹介した。
彼は笑って、
「はは、いい名前じゃねえか…!」
といい、次には真顔に戻って、
「…なら、なおさらだ。早くここから出ろ…そうしねえとお前まで売られちまうぞ?」
と言った。
俺は、
「あ、はい…!すいません…」
と立ち上がろうとしたその時、俺は彼に向かってこう言っていた。
「次も…来ますね…。貴方と何故でしょうか、聞きたいことや、話したいと思うんです…だから…」
彼は苦笑して、
「…仕方ねえガキだな…たくっ…」
そうして、こう言った。
「奴隷商人があの扉から出てこない時間は俺の頭の中で、…午前中だと1時から2時。午後は比較的出てこない…。でも、さっきのみたいな貴族や他の客来ていたら、ここで品定めをするから無理だな」
「ありがとうございます…」
俺は頭を下げ、立ち上がり、扉を開けて外に出ると、振り返って建物を見ると、踵を返して家に帰った。
-
- 105 : 2014/02/15(土) 22:59:39 :
- あれ?
これ、エレンじゃなかったんだ。
-
- 106 : 2014/02/15(土) 23:00:32 :
- 俺は結局、その日の出来事を家に帰っても母に話さなかった。
何故…?
わからない…。
何故かそうした方がいいとおもったからだ。
-
- 107 : 2014/02/15(土) 23:02:56 :
- 105、今はまだ、陸孫の回想シーンです。
回想シーンが終わるのは比較的早いですが…ただ、これが伏線になるのは間違いないです。
-
- 108 : 2014/02/15(土) 23:18:09 :
- 自分の部屋に戻った俺は内心、すごくワクワクしていた。
彼は王国剣士だった人…。
その人と喋れる。
そう思うだけで天にも昇る気持ちになれた。
翌日、俺は朝飯を食べ、ソワソワしつつ、指定された時を待って、彼に会いに行った。
彼は昨日と同じで封印された剣を眺めていた。
俺はハルトに声をかけた。
「こんにちは、陸孫です」
「ああ、…よう。よく来たな」
彼は俺に振り向き、微笑んだ。
俺は早速聞いた。
「あの、ハルトさんは剣士だったんですよね?」
「ああ、そうだ。」
彼は首を傾げる。
「俺に剣術を指南して下さいませんか?」
俺は突然そう彼に教えをこうた。
ハルトは突然の事に、
「げほ、ごほ…!お、おまえ、急過ぎ…昨日初めて会ったばかりじゃねえか…」
と咳き込んでしまった。
俺は真剣だった。
「お願いです!…憧れてたんです…剣士に…」
-
- 109 : 2014/02/15(土) 23:22:00 :
- 彼は首を縦に振らず、代わりにこう言った。
「悪いな…この状態で指南つっても無理な相談だよ…それともう一つ、剣士に憧れてるって言ったよな?…お前の夢を潰すようで悪いが…王政の闇について知っているか…?」
-
- 110 : 2014/02/15(土) 23:24:33 :
- ここで一旦切ります。
もう夜遅いですし…。
では、お休みなさいです。
それと、少し長引いちゃってますね…回想…申し訳ない…。
-
- 111 : 2014/02/16(日) 06:34:17 :
- 少し書きますね。
俺は彼に聞き返した。
「王政の闇…ですか?」
「ああ…」
彼は頷き、話した。
「この国の成り立ちは初代の王による魔法だと言われているがそうではなく、他の国の兵士を奴隷の様にこき使って成り立ったのだ。」
-
- 112 : 2014/02/16(日) 06:41:28 :
- 「こき使って…」
俺はこの時、ハルトの言っている事が少しも理解出来なかった。
「そして、今は…王が行っているのはただのお遊び…金をばら撒き、それに対してよって集るのは肥えた貴族共ばかり…俺はそれを注意した。…やめろ、こんなのは政治でも何でもない。…と」
-
- 113 : 2014/02/16(日) 06:44:47 :
- 彼は俯き、
「それでも無駄だった…王は首を縦に振らず、そのまま王国剣士の号を剥奪且つ、ここに売ったのさ…。…でも、コロシアムは良かったな…いいライバルがたくさんいた」
-
- 114 : 2014/02/16(日) 06:45:40 :
- ここでもう一度止めます。
続きは夜で。
-
- 115 : 2014/02/16(日) 06:46:20 :
- あれ?連結した…。
-
- 116 : 2014/02/16(日) 18:54:27 :
- 期待と支援
-
- 117 : 2014/02/16(日) 19:43:07 :
- 新世紀さんありがとうございます!
再開します。
そして、俺を見てハルトは
「…それでも、まだ剣士になりたいのか…?」
と聞いた。
「……なりたいよ…。なりたいですよ。夢だったんだ…憧れてたんだ。…だから…貴方がそのままで俺に教えれる事だけでも…」
俺は…今思えば、彼には本当にはた迷惑だったんだろうが、必死に頼んだ。
そして、ハルトはため息を吐いて、
「…ああ、ああ、分かった…。教えてやらー。そこに座りやがれ…」
面倒臭そうに言った。
俺は其れを聞いて、
「やった…!」
と小さく拳を握った。
-
- 118 : 2014/02/16(日) 19:44:20 :
- と、風呂に入って来ますね。
-
- 119 : 2014/02/16(日) 20:34:22 :
- 再開します。
「まず、この世界に存在する全ての人間には全員『魔力』と言われる、いわゆる精神力…つまり、不思議な現象を引き起こすものを持っている」
ハルトはそう言って、少し肩の力を抜くと、
「んで、お前はその人間には幾つかの役職が有るのは知っているか…?」
と俺に聞いた。
-
- 120 : 2014/02/16(日) 20:39:38 :
- 「役職…?」
俺は首を傾げた。
「ああ、…役職っていうのは、その人の魔力がどれだけ量、持てるか、…簡単に言えば、器…かな」
「器…。」
「俺は剣士だから、あまり多くの魔力は持っていない…だけど、剣士特有の『魔法』が有るのさ…本職の魔術師にはかなわないけどね…」
とハルトは言う。
-
- 121 : 2014/02/16(日) 20:44:24 :
- 俺は直ぐに
「それを教えて下さい!」
と頼んだ。
「ああ、見せるつもりだ。…なんせ武器なしでも発動可能だしな。」
と言って、
「加速(アクセル)…!」
と呟いた。
するとそれが発動開始コマンドだったのだろう、彼の体から無色のオーラが迸り出した。
-
- 122 : 2014/02/16(日) 20:46:50 :
- ハルトは
「これは加速魔法(アクセルマジック)って言ってな…今、この俺の状態が開始状態で、周囲から逸脱した力を発揮出来るんだ」
-
- 123 : 2014/02/16(日) 20:50:58 :
- と言った。
それに続いて、
「んで、この加速魔法にも種類が有ってな、この状態から発動出来る形態が『衝』、『撃』、『斬』の三つ存在する。で、俺が得意なのが、『衝』なんだが、音が出ちまうんでやめとくよ…」
と言って、その状態を解除した。
-
- 124 : 2014/02/16(日) 20:56:07 :
- 俺は
「俺にも…それ出来るかな…?」
と彼に聞いた。
「…多分な。お前の役職が違ったものの方が都合が良いなら、そっちを選んだ方がいい。…まあ、魔術師でも近接戦闘が好みの奴はそっちもやってるからな…まあ、出来るんじゃねえ?」
とハルトは確証はないが、そう言った。
-
- 125 : 2014/02/16(日) 21:02:15 :
- 俺はその言葉を聞いて、
「良し、…頑張るぞ!」
と小声で叫び、
「ありがとうございます!…俺、マスターしてきますね!」
とそこから立ち、出口に向かおうとすると、
「ちょっと待った…。発動開始コマンドを言うだけじゃ発動しない…そうだな、見えない鎧を着ることを意識したらどうだ?」
と彼はアドバイスした。
そして、俺はもう一度礼を言って、そこから出た。
-
- 126 : 2014/02/16(日) 21:12:09 :
- 帰って食事、風呂、就寝の時以外は加速魔法の事を考えていた。
それから、やり始めて一週間後(その間、ハルトの所に行って、たわいない話を交わしていたが…)
「やった!…出来た!」
俺の体から無色のオーラが放出される。
「うーん、ハルトさんは…『衝』が得意っかー、俺は三つ内、どれなんだろう…」
と考えていると、何処からか烏の鳴き声が聞こえてきた。
空を見上げれば、もう日が陰ってきていた。
「ああ⁉忘れてた…今日、ケイを連れて行く約束をしていたんだった!」
俺は慌てて自宅に帰り、椅子に座って本を読んでいる妹に声をかけた。
-
- 127 : 2014/02/16(日) 21:15:34 :
- 「ごめん、少し遅れた!…行こう、案内するよ」
ケイは
「あ、うん!…楽しみしてたんだ!」
と俺に着いてきた。
-
- 128 : 2014/02/16(日) 21:16:34 :
- だけど、この日、あんな事が起きる事になろうとは思いもしなかったんだ…。
-
- 129 : 2014/02/16(日) 21:16:56 :
- 少し休憩します。
-
- 130 : 2014/02/16(日) 21:46:15 :
- すいません…今日は、何故か調子が悪くなったので、明日書きます…申し訳ない…。
-
- 131 : 2014/02/16(日) 22:24:59 :
- 気をつけて、下さいね。
-
- 132 : 2014/02/17(月) 23:05:10 :
- 新世紀さん、ありがとう!
今日中に過去編終わるといいな〜。
再開します。
俺たちがその建物に入るため、扉の取っ手に手をかけた時、ガタン、ゴトン、ゴス、バキ、と何かを倒す音と何かを殴りつける音が聞こえた。
-
- 133 : 2014/02/17(月) 23:10:32 :
- ケイはカタカタと小刻みに震え、怖いのだろう…俺の服の裾を握った。
扉を開け、中に入る。
モワッ…。
今日はいつもより…血の臭いが濃かった。
そして、…。
「誰だ…⁉」
金切り声に近い男の声が遠くの方で聞こえた。
-
- 134 : 2014/02/17(月) 23:14:40 :
- 見ると、男が数人いて一人の男性を取り囲んでいるようだ。
その男性は…。
「ハルトさん…!」
ハルトだった。
しかし、彼の顔は暴行を受けたのだろう、醜く腫れていた。
口元にも血糊が張り付いている事がわかる程だ。
-
- 135 : 2014/02/17(月) 23:19:25 :
- 「と、父さん…」
ケイが見ていたのは違う人物…つまり、取り囲んでいる人達の一人、あいつだった。
あいつは言う。
「何で、…来た?…まあ、いいや。どうせ、もう少しで彼の王がやって来る。…特別措置をこの俺にしてくれるらしい!」
そう言う奴の目は狂乱に近かった。
-
- 136 : 2014/02/17(月) 23:23:19 :
- 俺はそんなあいつに恐怖を感じ、震えながら、
「ふ、ふざけんじゃねえ…!何だよその特別措置って…⁉」
と叫んだ。
すると、あいつは直ぐに答えた。
「王のもとで、王から与えられた女性と共に生を謳歌できるのだ…!」
-
- 137 : 2014/02/17(月) 23:28:10 :
- 「は…?」
俺は意味が分からなかった。
ケイも頭が追いついていかないらしい。
ハルトはそう言ったあいつを睨んだ。
あいつは続けて言う。
「そのために王に献上するこの犯罪者であった奴隷を調教しているのさ」
こうやってね…と蹴りつける。
その足が腹に命中し、ハルトは激しく咳き込む。
-
- 138 : 2014/02/17(月) 23:32:24 :
- 「やめろ…!」
俺の制止など蹴り続けるあいつとその仲間たち。
「ね、ねえ…私たちは見ることしか出来ないの…?」
ケイはハルトの来るんじゃねえといった目によって今直ぐに殴り込みたいと心を抑えている俺の精神に聞いた。
-
- 139 : 2014/02/17(月) 23:41:29 :
- 俺は…。
「助けたいに決まってる…でも、ハルトさんは助けて欲しくないようだ…。」
と歯を食いしばりながらそう言った。
そして、三十分後、一つの終わりがやって来た。
王族の来店といった非常に最悪な事によって。
ハルトはその後、一言も喋らず、その王族に着いて行った。
あいつも…。
俺たちは母と共にあいつに捨てられた。
それから三日後、ハルトの公開処刑が行われ、今の代の王に笑われながら、彼は死んだ。
俺は決意したよ。
王国剣士にだけはなるものかと。
だから、フリーの剣士になった。
ケイは勉強が好きだったからな…魔術学院に受かり、魔術師の号を手に入れたんだ。
-
- 140 : 2014/02/17(月) 23:42:50 :
- 復活しましたね。
-
- 141 : 2014/02/17(月) 23:46:43 :
- 現在…。
「そして、今に至るわけさ。…分かっただろ?今の政治が如何に腐ってるか」
「ああ、分かった。…それで、どうすんだ?どうせ、優勝した後、王が出てきて賞金を授与する時に受け取る代わりに斬り殺すんだろ?」
エレンはそう陸孫に聞いた。
それは的をいたようで、
「ああ、…そうだ」
と頷いた。
-
- 142 : 2014/02/17(月) 23:48:47 :
- 140、…あはは。
おかげさまで…。
と、ここで一旦切りますね?
もう遅いので。
いやー、やっと過去編が終わって本編が書ける…。
-
- 143 : 2014/02/18(火) 06:36:56 :
- 少し書きまーす。
ケイはアニを見て、
「でも、最初は説得しようと言う話だったのですが、…この国の王が奴隷の売買を激励しているとの事とコロシアムのみに財を全力投球しているとの事で…」
と言った。
クリスタは
「…でも、人の命を奪うなんてそんな…」
と悲しんだ。
すると、エレンが
「…分かった。俺もその大会に出る!」
と告げた。
アルミン達は
「ええっ⁉」
と衝撃のあまり驚きの声をあげた。
-
- 144 : 2014/02/18(火) 06:41:18 :
- エレンは陸孫を見ると、
「…お前と全力で戦いたい、だけど俺には力がない…だから……」
「「俺に加速魔法を教えてくれ!」…だろ?」
陸孫はエレンが頼むことを解っていたようで頼み方をハモらせた。
-
- 145 : 2014/02/18(火) 06:47:43 :
- 「いいぜ、…教えてやるよ。」
陸孫は不敵に笑い、
「敵に塩を送るってのも悪くねえ…」
と言った。
そして、ケイはクリスタを見て、
「んじゃ、私は貴女に魔法を教えるよ…」
と言うと、
「え?…何で、別に…」
クリスタは突然の事で上手く言えない。
ケイは
「え?…ってだって貴女、真剣に私の変身魔法見てたじゃん。…これは興味が有るって思ってもいいでしょ?」
と聞く。
-
- 146 : 2014/02/18(火) 06:50:06 :
- こうしてエレンは大会の出るために、クリスタは自分の『力』の理解、そして、他の魔法も使えるようになるため、修行することになった。
-
- 147 : 2014/02/18(火) 06:52:48 :
- と言う事でエレンは大会に出る事になり、クリスタは自分の力を自分で扱えるよう、ケイと魔術学について勉強することになりました。
ここで一旦に切りまして、続きは夜に書きまーす!
-
- 148 : 2014/02/18(火) 07:19:29 :
- ああ、クリスタが覚える事になる支援系統の魔法名を募集します!
締め切りは早いですが、午後の9時までです。
-
- 149 : 2014/02/18(火) 19:13:36 :
- ドラクエの魔法は、どうですか?
-
- 150 : 2014/02/18(火) 21:00:05 :
- タイムアップ‼
新世紀さん、ありがとう!
と言う訳でドラクエの魔法を一つか二つ使いまーす。
では紹介。
「バイシオン(闘気を)」…攻撃力増加。ここでは戦うための勇気を付与する。(ちょっと変えました)
「スクルト(防衛の加護を)」…防御力増加。ここでも同じ。多量の光子が魔法を受けた側が受けた攻撃のダメージを軽減する。
後のは全てオリジナルで行きまーす。
魔法名のみ紹介。
「インラーク(乱界空間設置魔法)」
勉強が済むのが10時半ですのでそこから投下します!
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- 151 : 2014/02/19(水) 00:29:27 :
- ああ、ちょっと寝るつもりだったのに…もう過ぎちまった…。
ちくしょう‼
今日の午前六時半から書き始めます。
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- 152 : 2014/02/19(水) 05:57:46 :
- 少し再開。
人気があまりない駐車場。
「よーし、エレン…だっけか、始めようぜ」
陸孫は言いつつ懐から短刀をエレンに投げ渡す。
「おっと…んで、どうやるんだっけ?」
エレンは短刀の柄を掴み、陸孫に聞いた。
「ああ、まずお前はそのまま構えてろ。俺が手本を見せる」
彼はそう言いつつ、背にある剣を抜き、構えた。
そして、
「加速(アクセル)…!」
発動開始コマンドを言う。
すると、彼の体から無色のオーラが放出された。
「よし、構えてろよ…『衝』!」
そのまま剣の切っ先を前に高速で打ち出す。
すると、バンと言う音と共に一陣の風が吹き荒れ、エレンを後ろに吹き飛ばした。
-
- 153 : 2014/02/19(水) 06:03:25 :
- そのままエレンは青草の生えた壁に激突して、咳き込んだ。
「つ、げほ、ごほ‼…陸孫…てめ…殺す気か…⁉」
エレンはフラフラと立ち上がり、態勢を整える。
「いや、これでも抑えた方だ…それに、喰らった方がどう放出し、どうそのオーラをまとめて打ち出すか分かりやすくなるだろ?」
と陸孫は言った。
-
- 154 : 2014/02/19(水) 06:15:45 :
- 「マジかよ…確かにそうかもしれないけど…」
エレンは眼を閉じ、深呼吸する。
確か…あいつは自分の過去話をしている時、ヒントを言ったはず…それは…。
「見えない鎧を着ること!」
エレンは自分の体に軽い鎧を着込む事を意識する。
すると、
ギイン…と何か音が耳元で聞こえ、次に眼を開けると、エレンは体に無色のオーラを纏っていた。
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- 155 : 2014/02/19(水) 06:39:55 :
- 「す…げえ、力が溢れる。何でもできそうな気がしてくる…」
エレンは高揚感で満ちている自分の体を見て、呟いた。
陸孫は
やべえな…まだここにきて数分しか経ってねえのにもう…開始状態になってやがる…こりゃ、相当な逸材だぞ…気を引き締めねえとこいつに敗れかねない…
と冷や汗をかいていた。
-
- 156 : 2014/02/19(水) 06:49:38 :
- 「え、えーと、エレン?…今日は終わりにs…「次、形態魔法教えてくれ‼…何でもできそうな気がするんだ‼」…あ〜、くそ!分かったよ、バーカ!」
エレンにやめようかと提案しようとした最中にエレンに「次行こうぜ」と言われたため、陸孫はもうどうとでもなれといった投げやりになってしまった。
エレンはその陸孫に首を傾げた。
陸孫は少し経ってから、
「よし、次はさっき俺がエレン、お前に放った『衝』って奴を教える。…まず、『衝』っていうのは、遠近距離つまり、遠距離でも近距離でも攻撃が可能な形態魔法だ。…OK?」
と説明する。
エレンは頷く。
-
- 157 : 2014/02/19(水) 07:04:58 :
- 続いて、
「んで、『衝』の真価はどっちかつうと、どっちだと思う?…因みに、『衝』は『衝撃』の衝だ」
と聞くと、エレンは
「衝撃…だから、近接?」
と言った。
「その通り、近接だ。近距離攻撃の方が攻撃力も命中率も高い。…まあ、でも近距離戦闘なんて、正直あまり当てにならない…なぜか分かるか?」
エレンは少し考えてから口を開いた。
「敵の動きが不規則で、フィールドを動き回るから?」
「お、分かってんじゃん!…そうだぜ、相手はあくまで自分と同じ人間、もしくは魔物だ。遠距離、近距離使い分けるのが鉄則…そこで、…実践してみようか…ほら、来い!」
と彼はパンパンと手を叩き、急に走り出した。
走り周りながら彼はアドバイスする。
「おーい、『衝』とかそう言う形態魔法は剣を持ってる腕に風を纏うようにオーラを纏わせろ!」
エレンは陸孫を目で追いつつ、
「く、おおお!」
剣を持つ方の腕にオーラを纏わせる。
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- 158 : 2014/02/19(水) 07:05:58 :
- ここで、一旦落ちまーす。
続きは夜です。
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- 159 : 2014/02/19(水) 22:36:27 :
- 再開します。
ただ、勉強の時間も考えると更新は少ないです。
ご了承ください。
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- 160 : 2014/02/19(水) 22:48:27 :
- そして、エレンは『風』を感じ、
「つう、おおおおお‼」
遠くから思いっきり、走り回ってる陸孫目掛けて短刀の切っ先を突く。
ドゴオオオン‼っと爆弾の爆発音を遥かに凌駕する衝撃音を響かせ、殆ど砲弾に近い真っ白な風の弾がその短刀から放出された。
そして、その風の弾は一直線に陸孫の所に着弾する…
「…おいおいおい⁉…マジかよ、軽く殺人出来るぜ⁉…つ、おああっ‼…『斬』‼」
と思った時、オーラを剣状にとどめ、斬撃の威力を上げた形態魔法で陸孫は対処し、…
ズドオオン‼
煙が巻き上がり、去った時には何事もなかったかのように彼は平然と立っていた。
-
- 161 : 2014/02/19(水) 22:59:26 :
- エレンはその光景にポカンと口を開き、
「すげ…え、これが本当の剣士か…」
と感動していた。
陸孫は
あああ、くそ!本当に死ぬかと思った…
と内心少しビビっていた。
そして、陸孫はエレンを見ると、
「よし、次はこれ…『斬』について教えてやら〜。まあ、『撃』はさっきのワンパターン上のと捉えてもらえば実戦で使えれるはずだ。…んで、『斬』は、メリットは斬撃の威力が上がるうえにリーチが増えるって事と、デメリットががっぽり魔力を喰われるうえに近接戦闘向けだけって事だな」
と近付きながら説明する。
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- 162 : 2014/02/19(水) 23:06:55 :
- 「んで、これの発動の仕方だが、『ここでとどめる!』っていう形状の維持の感覚を掴む事が大事なのさ。…んで、形状の維持に必要なのが大量の魔力なんだよ…まあ、習うより慣れろ、だ。ほら、やってみろ」
と続けてアドバイスした。
エレンは
「…OK。一番難しい修行って奴か…」
呟き、ニヤリと笑う。
そして、
「…やってやる‼」
最後の形態魔法の修行が幕を開けた。
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- 163 : 2014/02/19(水) 23:13:44 :
- 同時刻、二階のとある一室。
机の上に魔道書と言われる書物を積み上げ、ケイがクリスタに寄り添う形で魔法の論理を教えていた。
魔法の論理、つまり、「魔法の原点」である。
これを知ることで深く魔法の真理に踏み入る事が可能となり、より高度な知識を元により多くの魔法を覚える事が出来るのだ。
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- 164 : 2014/02/19(水) 23:19:38 :
- よし、ここで切ります。
うーん、自分で書いてて思ったんですけど今回、ちょっと難しいですね、『魔法の原点』とか…。
明日と明後日は塾が有るので休止して、また土曜日から書きまーす。
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- 165 : 2014/02/20(木) 07:25:59 :
- 僕も、明日、スキーなんでコメント出来ませんので、お見知り置きを
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- 166 : 2014/02/20(木) 15:50:12 :
- もしテストとかあったらそっちを優先して構いませんよ気長に待つんで 期待です
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- 167 : 2014/02/21(金) 18:24:31 :
- 期待です!
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- 168 : 2014/02/22(土) 06:33:23 :
- 皆さん、ありがとうございます‼
午後10時から再開しまーす。
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- 169 : 2014/02/22(土) 22:08:06 :
- 再開します。
「いい?このように魔法とは単なる現象ではないの…」
ケイはそう言いつつ、指で差し示す。
「ね…?ここにあるように、魔法とは世界そのモノなの。そして、もう一つは真理…。だから、その魔法を知る、覚える、事は世界自体を知ることに同じなんだよ…」
「すごいですね…なにか、突拍子もない話でまだにわかには信じらませんが、自分がこれから教えてもらう『魔法』の理屈はなんとなく理解(わか)りました」
クリスタはそう言いながら、これなんか面白い表現ですね、と指差す。
「ああ、魔力とはその真理に辿り着くための回路であり、糧である、…っか。うん、これは魔法を理解し、その魔法自体にある一つ一つの公式を理解すれば、この事も簡単に解釈できるはずだよ…あ、それで、ここを読んでもらいたいんだけど…」
とケイは魔道書を1ページめくり、その一つの文章を読む。
-
- 170 : 2014/02/22(土) 22:29:35 :
- 「『魔法は下記のように三形態の種類に分けることが可能だ。
1、干渉型波形魔法…これは使用者が指定した空間、範囲、距離、動植物に対して「干渉」するものである。主に支援(パフ)効果のある魔法が多いが、上位魔法となると空間に作用し、時空間移動などといった魔法もある。
2、流線型拡円性魔法…主に他を攻撃する為にある魔法。一帯を消しとばす程の威力のあるものや精神を操り、情報を抜き出す魔法もその形態に属する。
3、古代帝王魔法…この形態の魔法は一つしか存在せず、また、現在使われていない「古代ゼアル帝国」の言語を用いている、非常に謎めいた形態の魔法だ。一説によれば、その魔法を使える者は千年に一人だと云われている。
…3番目の形態の魔法の名は、下に書いてあるけど、…」
ケイは静かにその名を告げた。
「…闇を唯一打ち払うことのできる、絶対的の光の魔法。その名は……
聖魔道…」
「…っ⁉」
クリスタはその言葉に反応し、肩を大きく揺らした。
-
- 171 : 2014/02/22(土) 22:46:09 :
- 「その聖魔道とかいう魔法さ、噂ではそれを扱える者がそれを戦闘で使うとね、その時の緊張感とか、恐怖心とか、そう言うのを全て引っ括めて、その使用者の精神に戦闘の後に落とし込むんだって。…何せ、負の感情の塊だよ?そんなの精神の中に落とし込まれたらたまったものじゃないよ…ね?そう思わない?」
とケイが「良くわかんない魔法は不思議で面白いだけど、ちょっと怖いからな〜」と苦笑し、クリスタに聞いた。
クリスタはその笑いに、痛みがある笑顔でかえした。
私はその良くわからなくて精神を喰われる魔法を「持ってる」んです…、本当に、怖いな…この魔法…。
「この人には…信用してない訳じゃないけど、やっぱり、話さずに自分自身で解決したい」と思い、
「はい、そうですね」
と言った。
そして、ケイは言った。
「じゃ、魔法のお勉強タイムと行こうか!」
「はい!」
こうして、魔法における数式も理解しながらの勉強が始まった。
-
- 172 : 2014/02/22(土) 22:56:23 :
- 「じゃ、新人さんにはこちら!」
空中に何か指で文字を書く。
そして、ケイは詠唱を破棄した魔法名を唱えた。
「リュースト(結晶)!」
すると、ケイの先ほど描いた空間がパキパキと透明な結晶になっていき、
『これやってみよう‼』
と言う文字になり、数秒空中に漂っていたが、その後、重力によって下に落ち、破砕し、四散した。
-
- 173 : 2014/02/22(土) 23:19:51 :
- とここでケイがアドバイスした。
「魔力を放出する時は、常に天を仰いでいる気でいれば、すぐにできるよ。…あとは、この数式を暗記、或いは自分で作り出してその魔力にのせるの。…あとはコマンド(発声)かな…。」
「はい!分かりました!」
クリスタは「貴女はまだ新人さんだから、詠唱を破棄せずにやると失敗しないよ」との重ねてのアドバイスを聞き、
数式は…こうで、後は詠唱…
「サキハエル、ニヘイド(空間は一式、先を煎じるのは一方)、ヘイド(繋げ)、エト(結べ)、…リュースト(結晶)‼」
カッ!と頭上が光り、コツンと硬質の物体がクリスタの頭に当たり、ガシャンと床に落ちて割れた。
「うーん、本当は目の前に出したかったんですけど…」
クリスタは少し落ちこんでしまった。
ケイはそれを見て、
「大丈夫、大丈夫‼…最初は展開の場所を特定する式なんて上手くいかないものだって!練習に練習を重ねれば何とかなるよ!」
とクリスタの肩を優しく叩き、慰めた。すると、
「うん、ありがとう!」
と希望と未知なる物に憧れ、追い求める探究心による晴れやかな笑顔をクリスタは浮かべた。
-
- 174 : 2014/02/22(土) 23:21:00 :
- よし、今日はここで止めます。
続きは明日でよろしくお願いします。
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- 175 : 2014/02/23(日) 21:40:40 :
- 試験勉強に精を出さなければならなくなったので、今日はやめておきます。
出来れば、明日の夜に書けるといいな〜
-
- 176 : 2014/02/23(日) 22:58:30 :
- 帰ったぞ〜
後、期待
-
- 177 : 2014/02/24(月) 20:20:00 :
- 上は、僕です。
-
- 178 : 2014/02/24(月) 23:21:38 :
- 新世紀さん、ありがとう!
少し投下です。
「よし、もう一度やってみようか」
ケイは促す。
クリスタは頷き、目を閉じ、詠唱を破棄せずに唱え、すると、今度は数式の魔力への搭載も完璧にこなし、最後に魔法名を声高らかに叫んだ。
前に現れて…!
「リュースト(結晶)!」
バキン!
目先の方で何かが凝固し、物体ができる音が聞こえた。
彼女が恐る恐る目を開けると…。
「やった!場所の特定が上手くできた!」
-
- 179 : 2014/02/24(月) 23:24:41 :
- 透明な結晶体が空中に有った。
物体の創造、場所の特定、繊細な魔力操作、全てにおいて、クリスタは完璧にこなすことができたのだ。
-
- 180 : 2014/02/24(月) 23:33:04 :
- 「良かったねクリスタ!」
と言って抱きついてきたケイに照れながらクリスタは、
「はい!」
と笑って答えた。
「よーし、それじゃあ、じゃんじゃん覚えていこう!」
ケイはそう言って、クリスタから離れ、右手を天井に突き上げた。
クリスタはまた
「はい!」
と返した。
その後、彼女は提示された魔法も直ぐに覚える事ができ、数種の支援魔法を完璧に詠唱破棄はなしにしても一晩で覚える事ができた。
-
- 181 : 2014/02/24(月) 23:34:18 :
- それでは、また明日!
お休みなさいです。
-
- 182 : 2014/02/25(火) 21:48:37 :
- 期待
-
- 183 : 2014/02/26(水) 00:51:41 :
- 期待
-
- 184 : 2014/02/26(水) 02:00:10 :
- 書けなかった…。
ちょろっと寝るだけなのにな〜、何でかな…。
申し訳ない…。
今日の夜書きます。
-
- 185 : 2014/02/26(水) 22:53:14 :
- 少し投下です。
翌日…人気のない駐車場。
バシュウ…
「くそっ!…形まで持ってこれたのに維持が保てねえ…!」
エレンは昨日からぶっとうしで加速魔法の形態魔法「斬」の修行をしていた。
昨日から寝ていない事と疲労でエレンの体は今にも倒れそうなほど限界の状態だった。
「おーい、エレン?もう今はやめとけって。疲労感半端ねえんだろ?…休むのも修行の一つだ」
と陸孫は欠伸しながら、エレンに言う。
-
- 186 : 2014/02/26(水) 23:06:22 :
- エレンはもう一度発動させ、
「ぐ…つおお…!俺は…諦めたくない!…こっから先は俺一人でもできる!…陸孫、お前は先に…酒場戻ってろ!」
と荒ぶる魔力とオーラを短刀より纏わせ、長身の剣に形態を維持させるが…
「あのなあ…そんなん言ってもお前の修行見るの俺なんだからな?…それぐらいわきまえ…おい、バカ⁉力入れすぎんなって言ったろ⁉」
と陸孫がエレンより発せられるオーラを異変に気づき、駆け寄ろうとするが、
バシュウ…ドパアッ!
オーラと魔力が無理矢理の力に耐えきれなくなり、爆散した。
「ぐあっ⁉」
エレンはその衝撃で横薙ぎに吹っ飛ばされ、荷馬車に当たりそうになったところで、陸孫に止められた。
「…は、…はあ…、死ぬかと思った…。」
エレンは胸を撫で下ろした。
-
- 187 : 2014/02/26(水) 23:13:29 :
- 「バッカヤロー…気をつけやがれってんだよ…バーカ」
陸孫は安堵し、エレンを軽く小突いた。
「痛え⁉」
「はっ!…これだけで勘弁してやっから、明日にしな。…今日は中央街『へルネスブルグ」に行って、そこのコロシアムの受付でお前と俺のエントリーを済ませる。…分かったかよ?」
と陸孫はニヤッと笑いつつ、エレンに言った。
-
- 188 : 2014/02/26(水) 23:25:14 :
- エレンはそれを聞いて不敵に笑い、
「遂にか…俺…剣士にデビューするんだな…」
「ああ、そうだ。とは言っても新人だから俺とは別枠になる可能性もある」
「は?」
陸孫は説明する。
「俺の経験上、あれの開催方式は、全部で二つ。…一つ目は勝ち上がりタイプ。…オーソドックスな形式だな。…んで、丁度、去年の形式が人枠ずつで、そいつの戦いでの技量を判定するタイプ。…これは、二つとも最初は十組なんだが、二つ目の方は第三者の目によるもので、勝ち上がり式じゃないから、一勝負で終了なのさ」
「うーむ…分かった…かな?」
エレンの分かったような分かってないような顔に呆れ、
「まあ、司会者が説明してくれるから」
と少し笑いつつ、言った。
-
- 189 : 2014/02/26(水) 23:26:03 :
- では、ここで切りまーす。
お休みなさいです。
-
- 190 : 2014/02/27(木) 22:15:22 :
- 明日ラストの期末なので、今日はやめておきまーす。
申し訳ないですが、明日書きますね。
-
- 191 : 2014/02/27(木) 23:29:22 :
- 期待
-
- 192 : 2014/02/28(金) 15:39:28 :
- 新世紀さん、いつもありがとう!
いや〜、試験が終わって晴れ晴れです。
とは言っても、疲れが取れない!
休憩しがてら書いていきます。
その合間に安価するかも…。
では、再開です!
-
- 193 : 2014/02/28(金) 15:44:47 :
- その言葉にエレンは
「……分かった」
と呟き、「痛て…」と腰に手を当てつつ、立ち上がると、陸孫に振り返り、
「んじゃ、酒場戻ろうか」
と笑い、言った。
「…ああ」
陸孫は頷き、エレンと共に酒場に戻って行った。
-
- 194 : 2014/02/28(金) 15:49:23 :
- 酒場…。
陸孫とエレンが戻った時には全員、一つの机を囲って、椅子に座って待っていた。
クリスタは扉から入って来たエレン達に、
「あ、お帰り!」
と手を振った。
エレンは微笑み、
「ああ、ただいま」
と彼女に聞こえるよう、返した。
-
- 195 : 2014/02/28(金) 15:56:42 :
- エレン、陸孫が席に着くと、ケイはクリスタの勉強の成果のことを話した。
「クリスタ、凄いんだよ〜!何てったって、支援効果付加魔法に、低ランク支援魔法数種類、上位支援魔法をなんと三つ一晩で覚えたの!…ね?凄くない?」
とまるで自分の事のように自慢気に話す彼女に、普段表情を表に出さないアニまでもが苦笑いをしていた。
-
- 196 : 2014/02/28(金) 16:05:23 :
- 数分後、ケイが話し終えると陸孫がエレンの修行状況について話した。
「エレンは飲み込みがはやい上に現出させる速度も俺よりもはやい。…ただ、力量が強すぎてその力に振り回されっぱなしなんだよな」
「…うぐ」
痛いところを突かれ、エレンは俯く。
「でも、その力を操れれば、俺より断然強くなるし、『頂点』も狙えるはずだ。…ま、そう簡単に負ける気はねえけどよ」
ニヤッと笑い、エレンを見る。
-
- 197 : 2014/02/28(金) 16:13:00 :
- 「…、それはここまでにして、アニさん達、宜しければ今日ご一緒にコロシアムまで行きたいのですが…」
陸孫はアニにそう聞くと、アニは
「…ああ、あそこまで遠いから…『足』か。…ふん、構わないよ。…じゃ、今直ぐ行こうか」
アニはそう答え、席を立つと出口に向かって歩き出した。
陸孫は
「申し訳ない、…利用する形になってしまって」
と頭を下げ、ライナーとベルトルトに謝罪した。
ライナーとベルトルトは互いに
「気にすんな」
と言って、彼の肩を叩いた。
-
- 198 : 2014/02/28(金) 16:27:10 :
- そして、エレン達、陸孫達は荷馬車に乗り込み、中央街『へルネスブルグ』に向かった。
彼らがいた街は南街『フランヴェルツェ』という名の街で、主に観光客やここの国の住人を対象とした住宅街であり、所々に宿泊施設や酒場がある。
そして、彼らが向かっている中央街『へルネスブルグ』は王宮。つまり、その一帯が王宮庭園であるのだ。
そして、その中にコロシアムがあると言う。
つまり、陸孫が語るには「王の権威を強調させるためにコロシアムを王宮近くに建てた」…そうだ。
-
- 199 : 2014/02/28(金) 16:33:08 :
- 数時間経ち、夕刻となると辺りは静かになり、前方には巨大な石門があり、そこを二人の衛兵がその石門を守るよう矛を交差させて立っていた。
「…あれか」
エレンは荷馬車の中から呟く。
「凄いディティール凝ってんな〜。何をモチーフにあの石門の扉の絵、描いたんだ?」
-
- 200 : 2014/02/28(金) 16:40:27 :
- 石門の扉には双頭の龍ととある一人の騎士が戦っている絵が描かれていた。
すると、陸孫が
「…ああ、あれは『暴落の戦い』って云う名の絵らしい。…ちょっと小耳に挟んだんで名だけは知ってる」
とエレンに言った。
「へえ、『暴落の戦い』…か…。なんか、暗い感じの名だな」
エレンは石門の扉に描かれた絵を見つつ、そう呟いた。
-
- 201 : 2014/02/28(金) 16:44:13 :
- と言う訳で、一度休憩です。
続きは午後十時を目処にして再開する予定です。
-
- 202 : 2014/02/28(金) 21:47:23 :
- 陸孫って何歳なんですか?
後、陸孫これなんと読むんですか?
-
- 203 : 2014/02/28(金) 22:16:08 :
- 202、「りくそん」
ですね。
エレン、クリスタ、アルミンより二歳ほど年上の設定です。
-
- 204 : 2014/02/28(金) 22:26:19 :
- 再開します。
十分石門の扉に近付くと、衛兵の一人がエレン達に言った。
「そこの荷馬車止まれ」
アニは馬の手綱を引き、停まらせる。
衛兵はアニの直ぐ隣に来ると、
「ここは王宮庭園前の石門だ。何しにここに来た?」
と訊いた。
アニは簡潔に答えた。うん、スッパリといった音とが聞こえそうなぐらい、素っ気なく、
「私の連れ内、二人がここのコロシアムに出たいらしい。通行を許可願いたい」
「あ…ああ、分かった。通って宜しい…おい、開門準備!」
衛兵はそそくさと門前に戻り、懐からホイッスルを取り出し、
ピイイイイッ‼と鳥もビックリの甲高い音を鳴らした。
すると、ガコ、ギイイイッと重く軋む音と共に石門が開き始めた。
-
- 205 : 2014/02/28(金) 22:41:07 :
- アニ達はそれに合わせて中に入る。
すると、飛び込んできた光景は…。
「す…げえ…どんだけ広い敷地何だよ…」
南街を容易く超える圧倒的な広さだった。
まず、見渡す限り緑の原。
少し歩くと、巨大な噴水の後ろに西洋に近い設計の宮があった。
その宮が王宮なのだろう。
肝心のコロシアムは、と言うと、東に目を向けると半透明なドームがあり、そこに列が出来ていた。
-
- 206 : 2014/02/28(金) 22:47:30 :
- アニ達はその列の最後尾に並んだ。
見たところ、一時間弱はかかりそうだ。
エレンは一息吐いて、自分の前の人物を見やる。
その人物は実に可笑しな格好をしていた。
コロシアムなのにまさに紳士と言うべき黒のスーツ。
背にはバイオリンを入れているのであろうケース。
そして、腰に長身の剣を帯剣していた。
-
- 207 : 2014/02/28(金) 22:50:22 :
- 「…何だ、あいつ…。ここに演奏会でもしに来たのか?でも剣を腰に帯びてるし、エントリーすんのか?にしても…ああ、くそ!わっけ分かんねえっ‼」
とエレンはこんがらがって頭を抱えた。
-
- 208 : 2014/02/28(金) 23:00:51 :
- エレンがそうやって頭を抱えている時、アルミン達は陸孫達と会話していた。
「ねえ、エントリーってどうやるの?」
「ああ、受付の指示に従って提示される書類に自分の名と与えられたエントリー番号を記入して、所有している武器を使うか、借りれる武器を使うかどっちか選べるんだ。まあ、それらを明記するだけ」
「へえ、そうなんですか。…あ、あの人、女の人なのに男性みたいな服着てる」
クリスタは数人前にいる中、その女性を指差した。
その女性は如何にも歌劇団が着ていそうな赤色の軍服を着ていて、背には交差させた「槌」があった。
ずっと見てると何かその女性がポウッと光ったように思え、クリスタは目をこすり、もう一度見るとそれは思い違いであると認識した。
-
- 209 : 2014/02/28(金) 23:09:11 :
- 「うーん、光ったように思えたんだけど、思い違いかな?」
と首を傾げていたが。
数分後、列は動き出した。
ドームに次々と人々が入っていく。
と共に、何かカードを持った人達が出てきた。
「エントリーする人の他にも『応援団』をやりたい人もいるみたいだ。…目を凝らせば分かると思うけど、ほら、若干色が違うだろ?…紅がエントリーする人で黄色が応援団の人だ。…今回はほとんどが応援団の人達みたいだな」
-
- 210 : 2014/02/28(金) 23:16:01 :
- と陸孫は解釈した。
そして、もう数分後に「荷馬車と馬から降りて」と声が聞こえた。
アニは馬から降りて、右に退くと
「私たちの番だよ」
と言った。
俺と陸孫は荷馬車から降りてドーム内に入って行った。
中は比較的広く、数百人は入れそうな空間だった。
と、入ると直ぐにカウンターが見えた。
高そうな木のテーブルの奥に二人の女性が立っている。
エレン達はそこに向かい、受付係の女性に声をかけた。
「すいません、エントリー…したいんですけど」
-
- 211 : 2014/02/28(金) 23:23:19 :
- 女性達は流暢な動きで、
「エントリー用紙です。今回の形式はトーナメント方式でございます。…書類に書かれた注意書きを良く読み、下記の欄にお書き下さい」
書類とペンを二人に渡した。
エレン達は受け取り、理解した上で、
エレンは、
「俺の番号は20…か。悪くはないな…。陸孫、お前は?」
「ああ、俺?…俺は15さ。こっちもそうそう悪くねえ」
と陸孫は返した。
-
- 212 : 2014/02/28(金) 23:28:55 :
- エレン達は書き終わった用紙をテーブルに置く。
すると、受付の女性は
「お二人とも共に所有している武器で宜しいのですね?」
と確認してきた。
エレン達は互いに
「ああ」
「おう」
と頷く。
そして、
「これを二日後の大会時に持参してきて下さい。」
と二人別々にエントリー番号が書かれたカードを手渡した。
-
- 213 : 2014/02/28(金) 23:35:16 :
- そして、終わったようなので、エレン達はその場から出て、馬の手綱を摑んで待っているアニの方に向かった。
着くと、荷馬車に乗り込んだ。
しかし、クリスタとケイが不在のようだ。
エレンはライナーに聞いた。
「なあ、クリスタとケイは?」
「ああ、トイ…「アホか!」…ゲボア!…用をたしに行ってる…、クッソ痛えぞ、コラ⁉ベルトルト!」
ライナーが答えた時、言い方がそぐわなかったのだろう、ベルトルトがライナーを殴って言い方を正した。
-
- 214 : 2014/02/28(金) 23:44:42 :
- その茶番にエレン、アルミン、陸孫は声をあげて笑った。
その頃、用をたしに行った彼女達は手洗い場で顔を合わせた。
「ヤッホー、案外少なくて良かったね、クリスタ!」
「あ、はい」
クリスタは何かケイに違和感を感じていた。
あれ?…少し雰囲気が変わったような気が…
「じゃ、戻ろっか!」
いや、気のせいか。…うん、きっと気のせい。
そう言い聞かせ、クリスタは彼女の背を追いかけた。
しかし、クリスタの感は当たっていた。
だけど、いや、だからこそ気づかなかったのだ。…ケイのその彼女に向ける「笑み」がこれまでと違う事に…。
-
- 215 : 2014/02/28(金) 23:46:39 :
- という訳で、今日は終わりです。
続きはまた明日という事で。
お休みなさいです。
いや〜、トーナメントか…。
うん、難しいな。
頑張って書いて行きます。
-
- 216 : 2014/03/01(土) 08:26:11 :
- あ、そうだ。
安価していいですか?
二つの「槌」を持った女性(役職「鬼技師」)の名とエレンが見かけた演奏者の男(役職「魔響師」)の名を募集します。
続きは…今日用事が多いので、午後8時くらいを目処に書いて行きます。
-
- 217 : 2014/03/01(土) 08:47:24 :
- 補足です。
女性「」、男「」
といった風でお願いします。
-
- 218 : 2014/03/01(土) 15:28:45 :
- 女性「サクヤ」 男「ラマーン」
期待
-
- 219 : 2014/03/01(土) 19:45:32 :
- 218、ありがとうございます!
8時15分くらいですかね?それくらいから再開します。
-
- 220 : 2014/03/01(土) 19:49:20 :
- 女性「ハマー・レッド」男「ヴァイオ・ロッド」
-
- 221 : 2014/03/01(土) 19:50:28 :
- 一歩遅かったか
-
- 222 : 2014/03/01(土) 20:15:14 :
- いえ、名無しさんには本当、申し訳ないですが、新世紀さんの方に惹かれたので、使わせていただきます。
では、再開します。
-
- 223 : 2014/03/01(土) 20:24:50 :
- クリスタ、ケイがアニ達と合流して、荷馬車に乗り込むとアニは馬を石門の方面に進ませた。
石門をくぐり、南街を目指す。
南街の先に宿泊していた宿舎の前に到着する頃には、すっかり夜になり、天を見上げれば、星空が広がっていた。
-
- 224 : 2014/03/01(土) 20:32:07 :
- 荷馬車を降り、酒場内に入る。
中には、賑やかではないが酒を飲んでいる人々がいて、多少、酒臭かった。
「おい、アニ。俺らまだ食ってないだろ?俺らはいいかもしれねえが、エレン達は食わせてやった方がいい」
といったライナーの言葉で食事をすることになった。
-
- 225 : 2014/03/01(土) 20:37:24 :
- 席に座り、接客をしている定員に手をあげて呼び、手渡されたメニュー欄から何かしら料理をオーダーする。
エレン達はキラキラと目を輝かせて選んでいた。
結局、彼らが選んだのは、黒毛和牛のステーキにライムのジュースだった。
-
- 226 : 2014/03/01(土) 20:43:00 :
- アニ達はこの王国で有名なフェアリーブランド産のワインとちょっとしたつまみをオーダーした。
すると、一度オーダーしたものを確認してから店員は調理場に消え、数分後に厚いステーキにジュースを持ってきて、机の上に並べ、さがった。
-
- 227 : 2014/03/01(土) 20:51:50 :
- その後、アニ達が頼んだワインとつまみも机の上に並べられ、一段落ついた。
そして、彼らは食べ始めた。
途中、陸孫が言った。
「エレン、明日もう一度見てやるから、頑張れよ」
「おう、ぜってえ、完璧に使いこなしてやる」
エレンはステーキを食べつつ、宣言する。
「じゃあ、クリスタは一緒に魔法の勉強の続きだね。…まあ、頑張ってこう」
ケイはクリスタにそう言って笑いかけた。
クリスタは
「…はい」
と返した。
時間が経ち、食事を終えると上の階にあがり、そこで解散となった。
-
- 228 : 2014/03/01(土) 21:00:47 :
- エレン、クリスタ、アルミンは自分らの部屋に入り、各々のベッドに腰かけた。
すると突然、
「うあ〜、疲れた〜。今日」
エレンは伸びをして、そのままベッドに仰向けに倒れ込んだ。
「俺、昨日から徹夜して修行してたから今日すっげえ眠くて怠いんだ。…正直、辛い…」
「じゃ、じゃあ、もう寝なよ。僕も寝るから。…クリスタ、ごめん。君の方がスイッチに近いから、消灯をお願いできるかい?」
アルミンは拝むように手を合わせ、クリスタに申し訳なさそうに頼んだ。
クリスタは
「あ、うん。分かった」
と立って、消灯した。
翌日…。
-
- 229 : 2014/03/01(土) 21:08:29 :
- 朝食の後、エレンは陸孫と共に前日と同じように駐車場で修行をしていた。
修行内容は前日と同じく、形態魔法「斬」。
エレンは加速魔法の発動開始コマンドを口にし、
「加速(アクセル)…『斬』!」
オーラを構えている短刀に凝縮させ、魔力で強引に抑え込んで剣の形状で維持させる。
しかし、力みすぎているためにオーラがぎこちなく波打っている。
-
- 230 : 2014/03/01(土) 21:17:07 :
- 結果、
バシュウ…。
拡散してオーラが消え失せた。
「だっは…くそっ、ちくしょう‼あと、二日しか時間がねえのに…」
エレンはギリっと歯ぎしりをする。
見兼ねた陸孫はエレンに
「エレン、…焦んな。…焦ったらロクな事が起こった試しがねえ。…なるべく、心を落ちつかせろ」
と助言した。
「焦るな…か。分かった」
エレンは頷き、スー、ハーと深く呼吸をしてからトライする。
すると、今度は長めに形状の維持が保てた。
「…よっしゃ!」
-
- 231 : 2014/03/01(土) 21:28:37 :
- 「おお!出来てんじゃねえか。んじゃ、それの強度がどれくらいか、はかってみようぜ。…加速(アクセル)!…『斬』!」
言いつつ、陸孫は加速魔法を発動させ、剣を抜き払い、同時にエレンの短刀目掛けて振り下ろす。
エレンは反射的に短刀で防御した。
ザリリッとオーラ同士が火花を散らす。
数秒後、エレンのオーラの方が勢いを落とし、徐々に力を失っていった。
陸孫は剣を離して、左右に振り払い、背にある鞘におさめた。
そして、エレンの「斬」の持続時間を正確に言った。
「お前の形態魔法『斬』の持続時間は目測で三十秒前後。…初心者にしては大分長めに維持ができてる」
「お、マジか!」
エレンは嬉しくなって拳を握る。
-
- 232 : 2014/03/01(土) 21:29:31 :
- 少し休憩します。
再開は一時間後で。
-
- 233 : 2014/03/01(土) 21:32:43 :
- 俺は気にしないっす
期待
-
- 234 : 2014/03/01(土) 22:35:29 :
- 233、すいません、ありがとうございます。
では、再開します。
続けて陸孫はいう。
「まあ、後は実践する中であげていけばいい。…よし、行くぜ!」
「OK!…どっからでもかかって来やがれ!」
短刀と剣の剣戟の音が高く響いた。
-
- 235 : 2014/03/01(土) 22:45:26 :
- 昼頃になり、一通り、修行を終えるとエレン達は酒場に戻った。
そして、クリスタ達と共に昼飯を食べ、午後、全てを兼ね揃えた「実戦練習」を行った。
本数は全部で十本。
極力、手加減すると言っていた陸孫は押され始めた時に焦って、実際の「衝」を発動してしまい、若干冷や汗をかいていたが、驚いた事に、エレンは無傷で回避していた。
-
- 236 : 2014/03/01(土) 22:57:56 :
- そして、夜となり、酒場に戻ると、
「んじゃ、今日は俺、先に上行くわ」
とエレンはクリスタ達と一緒に二階にのぼって行った。
陸孫も
「まあ、俺も疲れたし…戻るか」
と決め、上にあがろうとした時、後ろから「殺気」のような異様な気を感じた。
彼は咄嗟に振り返ると、
「ど、どうしたの?」
ケイがいた。
振り返ったと同時に殺気も消え失せた。
ケイの顔を見ると少し怪訝な顔をしている。
「…と、悪い」
多少、緊張し過ぎたのだろう。顔の緊張を緩めた。
さっきのは…気のせいか?…やけに粘っこい殺気だったが…。
彼はそう思いつつ、彼女に背を向けた。
その刹那…彼女はニタリと嗤い、手に魔術の刃を宿し、…そのまま、陸孫に突き刺した。
-
- 237 : 2014/03/01(土) 23:17:01 :
- と、周りは思うだろう。
間一髪、陸孫はその手首を握って、自己防衛していた。
「てめえ、一体、…何者だ…?」
彼はケイの姿をした誰かに睨みつけながら、問う。
その誰かは…。
「誰って…くく、あはははははっ!人間ってほんっと馬鹿ばっか。…この子だって、その『ケイ』っていう、女の子なのよ?…そんないたいけな少女の手を握り潰さんばかりに摑んでどうすんの?」
誰かは狂った様に嗤い、陸孫に言う。
陸孫はその事実に…
「いや…違え!…あいつはそんな狂った様に笑わねえし、殺気だって放たねえ!…ケイな訳あるか!」
と首を横に振って、主張した。
誰かは
「あれえ?…この子魔術師でしょー?…じゃあ、教えてもらってるよねえ?…どんなサイクルこうなっているのかは…ふふ」
くくく、と嗤いながら。
「まさ…か…そんな…」
陸孫は気付いた。
思い出した記憶の中でケイが言ったその魔術の類い。
それは…。
「干渉型波形魔法…その類いの精神に作用する魔術…」
彼は心の中で激情に焦がされながも、静かに告げた。
「せいかーい、大当たり〜」
誰かは棒読みで拍手し、
「正解だけど、まあ、違うかな?」
と言った。
「あ?」
彼は激情を徐々に表情に表していく自分と懸命に闘っていた。
-
- 238 : 2014/03/01(土) 23:23:39 :
- 「じゃあ、てめえは一体…「魔界より使われし、ハイレベル魔界軍『四障風壁』の一人…エヴィル・プロスネイト。…この世界では『魂憑き(たまつき)』と呼ばれてる…」…な…に…魔界軍…だと⁉」
誰なんだよ…という前に誰かは答えた。しかし、そんなことよりも、「魔界軍」という単語に彼は引っかかった。
-
- 239 : 2014/03/01(土) 23:34:32 :
- 「その通り〜、魔界軍だよ。人間なんて所詮クズどもばっかり!…取り憑いて使いまくって遊ん(コロシ)ちゃおうかな…なんて、思ってたら丁度この子がいたんで、取り憑いちゃった。…でも、あら〜?この子取り戻したいの?」
彼女は意地悪く彼を見やり、問う。
陸孫は
「当たり…前だろ…。この下衆が…」
ともう激情を隠さず「どうこいつをケイから引き剥がすか」を真剣にプラン建てていた。
と、この時、『ケイ』は嗤い、人差し指を立て、
「なら、条件が一つ」
と言った。
「なに?」
彼は警戒を解かない。
彼女は告げた。
「絶対に今大会で優勝し、王に謁見すること」
「は?」
彼は時が止まるのを肌に感じた。
-
- 240 : 2014/03/01(土) 23:37:55 :
- そもそも、そのつもりだった。
それに、自分が王に謁見してこいつに何のメリットが有るのか。
彼は疑問を浮かべ、『ケイ』を怪訝な表情で見た。
-
- 241 : 2014/03/01(土) 23:48:15 :
- そして、裏を暴こうとするが、表情を一切変えない彼女を観ていても何も分からなかった。
彼は彼女に言う。
「…で、その条件にはもう一つ有るんだろ?…第二の条件みたいなのが…」
察するべき条件、つまり、…
「…そう。あんたの仲間に何があっても私の正体を伏せる事。…これが守れなかった場合、有無を言わさず、この子を殺す。…飲んでくれるかしら?…この条件も」
「当たり前だ…もう一度言うが、てめえ、本当に下衆だな」
陸孫は握っていた手を離し、
「…て、言うかさ。第一条件は必ず、俺の望みでもあるから。…てめえに言われなくても優勝してやるよ」
と彼女に背を向け、階段をあがりつつ、告げた。
-
- 242 : 2014/03/01(土) 23:50:54 :
- 「…へえ。じゃあ、期待しないで望んでるよ」
との声が陸孫の脳裏に響き、刻み込まれた。
独特な感じの声だったからだろうか?
-
- 243 : 2014/03/01(土) 23:56:31 :
- そして、様々な思いを抱えつつ、翌日となり、大会前日となった。
この日、修行を終えた後、アルミンとクリスタが誰かと話していた。
その誰かは黒装束のマントを羽織り、ダガーを腰にはめていた。
つまり、
「どうも、速攻剣士のツイン・ソーラーと申します。…二つ目の王国より今大会に参加するべく、ここに推参しました」
エントリーした挑戦者だった。
-
- 244 : 2014/03/02(日) 00:02:35 :
- ここで、切りまーす。
さて、遅くなりましたが、明日(まあ、今日なんですけど…)から怒涛の「第十回ゼアル大陸決闘大会」の幕開けでございます。
これから忙しくなるぞ〜。ひえ〜。
さて、大会前に陸孫に前に現れた魔物真の目的とは何か、優勝は誰が手にするのか、ご期待下さい。
では、長文失礼しました。
お休みなさいです。
-
- 245 : 2014/03/02(日) 11:23:24 :
- 再開します。
「二つ目の王国…と言うと、機械と魔術が盛んな王国、『ゼアル』か?」
ライナーが確認すると、
「ええ、そうです。…でも、私はそんな、魔術が使える訳ではないです…」
と自嘲する様に笑い、後頭部をかいた。
-
- 246 : 2014/03/02(日) 11:34:59 :
- 「…と、そんな事より、貴方達は著名な旅商人グループ『UNIT』なんですよね?…販売して頂きたい物があるのですが、宜しいでしょうか?」
彼はアニを見て、言う。
アニは
「分かった。…では、こちらに…」
とソーラーを連れて外に出て行った。
「…で、どんな話ししてたの?」
とエレンがクリスタに聞くと、アルミンが代わりに答えた。
「…ああ、自己紹介とソーラーさんのゼアル王国の歴史についてさ。…凄い興味深い歴史の流れだったよ…えーと、要約すると、最初が今から千年前の古代ゼアル帝国の生い立ちから、現在の王国までの王政の縮小までさ」
「…へえ、そうなんだ」
エレンはそう頷いて、アニ達が出て行った出口に視線を移した。
-
- 247 : 2014/03/02(日) 11:35:57 :
- と、昼飯に呼ばれたの一旦切りまーす。
再開は午後二時前後で。
-
- 248 : 2014/03/02(日) 14:13:19 :
- では、再開します。
すると、ケイが陸孫を手招きして、呼んだ。
陸孫は何か思っているのか、険しい表情になって、彼女に連いて行った。
エレン達はそれを不思議そうに見送っていた。
階段裏…。
「んで、何だ?…ここに呼び出して」
陸孫は『ケイ』を睨み、多少怒気を含めた低い声で聞いた。
「…ん?…ちゃんと条件守ってるかな〜、てね」
ふふふ、と嗤いつつ、彼女は答える。
「ああ、守ってる。…修行中もつい口が滑らないようにケイや昨日の話題を持ち出さなかったしな」
と彼は言う。
「そう?なら、良かった…じゃ、それだけだから」
彼女は彼を一瞥して身を翻すと、酒場の方に歩いて行った。
「本当にあいつは…何が狙いなんだ?」
陸孫は去り行く彼女の背を眺め、呟いた。
-
- 249 : 2014/03/02(日) 14:20:30 :
- 少し経って、アニとソーラー、ケイ、遅れて陸孫がエレン達のもとに戻ってきた。
ソーラーは片手に何か草を抱えていた。
クリスタがそれについて聞くと、ソーラーは
「えーと、これは…私の弟がちょっと病気を患っててさ。それを治すための薬草なんだ」
と顔を伏せ、答えた。
アニはその彼の行動に違和感を感じたが、あえて言及しないようにした。
-
- 250 : 2014/03/02(日) 14:39:40 :
- エレン達はその後も話し込み、夕方になると、酒場で大会前の前夜祭という名の宴会を開いた。
ライナー、ベルトルトが主催し、彼らがいることによってエレン、クリスタ、アルミンは彼らの知っている踊り、歌を覚える事ができ、楽しむ事ができた。
そして、当日…。
王宮庭園のクリスタルコロシアム内
観客席が全てうまり、賑わっている中、千人は入れそうな空間の中にとある一人の少女がマイクを持ち、立っていた。
彼女は息を大きく吸い込むと、
「レディースエン、ジェントルメン‼…今日は今大会、『第十回ゼアル大陸決闘大会』を観戦しに来られた方、エントリーしに来られた方、応援しに来られた方…まっことにありがとうございます‼…実況はこの私…、アカネが担当しまーす‼」
と言い、
「では、早速行くぜ〜‼出てきやがれ、第一回戦の挑戦者はこいつらだ〜っ‼」
と続けると、両側の鉄門がガラガラと鎖によって巻き上げられ、二人が入場した。
-
- 251 : 2014/03/02(日) 14:54:07 :
- 「東門!…鬼技師、ハマー・レッド!」
南西の応援団グループが演奏隊と共に何か曲を演奏しだした。
砂埃が去り、二つの槌を背にした赤い女性が現れる。
すると、歓声が上がった。
「きゃーっ、レッド様〜!」
「今日も素敵です!」
レッドはその歓声に目もくれず、西門を睨んでいた。
そして、
「西門!速攻剣士、ソーラー!」
相変わらずの黒装束で彼は参上した。
そして、アカネが避難場所に走り、
「レディー、…ファイッ!」
ガウン!と号砲がなった。
-
- 252 : 2014/03/02(日) 15:06:32 :
- 「君が…私の初戦の相手か…。で、どうする?二択選ばせてあげよう」
レッドは槌の柄に手を掛け、言う。
「一つ、この場で直ぐに降参する」
ソーラーはダガーに手を掛け、彼女との間合いを探る。
「二つ目、貴様は私の奥義二つの内、貴様の『速攻』の名をボロボロに打ち砕かれる」
彼女は一向に返事を返さない彼に笑いかけ、
「…では、一気に決めるとしようかっ!…冥府の鬼(タルタロス)!」
槌を抜き払い、叫んだ。
すると、天が暗く染まり、次の瞬間。
ズドオオオオンッ‼と紫の大きな雷の柱が彼女に向かって降り注いだ。
-
- 253 : 2014/03/02(日) 15:13:28 :
- 「行くぞ…剣士…っ!」
通常ならその雷の熱量で溶けて死んでいるはずなのに、声が聞こえた。
ソーラーは彼女の並ならぬ尋常ではない力に思わず、後ずさった。
「な…何だよ…こいつ…人間じゃ…な…ぐあああああああっ⁉」
ダガーを構えようとした束の間、疾駆の如く飛来し、自分の脇腹にめり込んだ槌によって彼は大きく横に吹き飛んだ。
-
- 254 : 2014/03/02(日) 15:20:15 :
- 彼はそのまま、壁に直撃し、
「ゲホッ!…ガホッ!」
咳き込み、血を吐く。
ソーラーは激痛で暫く寝た状態にいたが、壁に手をつき、フラフラと立ち上がった。
しかし、ダガーを握ろうとする手に力が入らない。
並ならぬ雷を浴びたからだろうか?
並ならぬ力で吹き飛ばされたからだろうか?
否
彼がその彼女の鬼神の如き姿に恐怖していたからだ。
-
- 255 : 2014/03/02(日) 15:27:55 :
- 何でだよ…。何でだよ!…死んだ弟のために何かしてやろうと…生前、何も弟に何も与えられなかったから…せめて、供え物だけでも優勝を伝えると共に買ってやろうと思って、麻痺毒を成分に含む薬草まで買ったのになんで………、
あいつが怖いんだ…!
彼は心の中で頭を抱え、蹲っていた。
そして、…。
「チェックメイトだ…。『速攻』の名は私がもらう!」
真っ白な稲妻を放つ槌が彼に振り下ろされた。
-
- 256 : 2014/03/02(日) 15:34:45 :
- 「やべえ、逃げろ!…ソーラー!」
エレンは席を立ち、大声で叫ぶ。
だが、…。
彼は右腕を潰されただけだった。
「ぐう、お、あああっ…ぐう…はあ、はあ…何故だ?何故殺さない?」
彼は潰され、血がその箇所から溢れ出るのを左手で抑え、紫雷に揺らめく彼女に問うた。
彼女は凛とした表情で…、
「貴様には…仲間がすでにいるのだろう?」
と言った。
-
- 257 : 2014/03/02(日) 15:44:29 :
- 「…つう…クソっ…。カッコつけやがって…」
彼は零れた涙を流しながら、笑い、天を仰いだ。
「あいつに…伝えたかった。私が…優勝したと…」
やがて、戦闘終了の曲が流れ、アカネが実況する。
「戦闘終了です!…健闘をした彼と見事一回戦を突破したハマー・レッドに拍手を!」
「きゃーっ、レッド様〜!素敵〜、かっこ良かったです〜‼」
「さすが、レッド様!」
相変わらずの歓声と
「良くやったぜ、剣士!」
「良くやった!」
などといったソーラーの健闘を讃える声も上がった。
-
- 258 : 2014/03/02(日) 15:50:05 :
- ソーラーは駆けつけた医療班に連れられ、西門に帰り、レッドは東門に戻っていった。
「さーて、次は第二回戦だ!…盛り上がって行こうぜ〜っ‼」
「「ウオオオオオオッ‼」」
アカネの喝采に観客席は歓声をあげる。
-
- 259 : 2014/03/02(日) 15:55:20 :
- 「二回戦の挑戦者、出てきやがれ‼」
彼女はまた定位置に戻る。
すると、東西二つの門から二人が入場してきた。
東門、盗賊フラスト・バレット。
西門、拳銃使いラーマンズ・ロスト。
戦闘が開始され、勝利を摑んだのは…拳銃使いラーマンズ・ロストだった。
-
- 260 : 2014/03/02(日) 16:01:02 :
- 彼は相手が先手を取ろうと後ろに高速で回り、斬り殺れる直前に、相手を一切見ずに、しかも一撃で撃ち落としたのだった。
さて、彼らが退場すると、エレンが一人の衛兵に呼ばれた。
「次はエレンさん、貴方だ。東門に移動してください」
「あ、はい」
エレンは席を立ち、短刀を握りしめ、衛兵について行った。
その際、
「エレン!」
クリスタが席を立ち、心配そうに彼を見ていた。
-
- 261 : 2014/03/02(日) 16:05:40 :
- エレンはそんなクリスタに
「大丈夫…安心して?俺は絶対、勝ってみせるから」
と笑いかけると、
ライナー、ベルトルト、アルミンが席を立ち、
「「かまして来い、エレン!」」
と拳を突き出した。
エレンは
「おうっ!」
と頷き、身を翻すと不敵に笑い、
「ああ、先ずは初戦だ!…修行の成果…特と見せてやる!」
と言いつつ、歩き去って行った。
-
- 262 : 2014/03/02(日) 16:08:20 :
- 「大丈夫…。エレンならきっと勝てるよ」
アルミンはまだ心配しているクリスタに、その心配をとかすため、彼女の肩に手を置いた。
その手は緊張してるせいか、少し汗ばんでいた。
-
- 263 : 2014/03/02(日) 16:10:29 :
- ここで一旦止めまーす。
続きは午後五時半を予定しております。
いや〜、これでやっと、エレンの初戦闘がかける!
-
- 264 : 2014/03/02(日) 16:56:48 :
- すいません、予定時刻の変更です。
午後7時に投下します。
申し訳ない…。
-
- 265 : 2014/03/02(日) 19:12:16 :
- では、再開します。
暗がりの中、エレンは鉄門より会場を睨む。
緊張、興奮、焦り、恐怖、そして、高揚感。
全ての思いが錯綜する中、エレンはたった一つの思いに手を伸ばす。
勝ちたい、と。
すると、気持ちが自然と落ち着いた。
まわりの音も全て遮断され、視界がクリアになる。
「…いける。…俺は戦える!」
何故かそう思えた。
そう確信できた。
そして、…。
「第三回戦の始まりだ!…東門、新人剣士エレン!」
鉄門がガラガラと音をたてて上がっていく。
エレンは会場に踊り出た。
会場はワッと騒ぎ出す。
「どんなやつなんだろ?」
エレンの疑問に答えるよう、アカネが言う。
「西門、魔響師、ヴァイオ・ロッド!」
西門から黒い影が現れた。
それは、
「…あ!…あいつ!」
そう、最初に見かけた場違いの演奏者の格好をしたヴァイオリンを持った男だった。
彼は
「よろしくお願いします」
と会釈した。
-
- 266 : 2014/03/02(日) 19:20:43 :
- エレンは「はい?」と思いつつ、ぎこちなく頭を下げた。
そして、
「さて、戦闘開始だ!」
との合図があったのだが、ロッドが口にした言葉は…。
「まず、一曲。如何ですか?」
と聞きつつ、彼はケースから木製のヴァイオリンを取り出し、いつでも演奏できるようにする。
エレンは、
…何だこいつ。ここは演奏会じゃねえんだぞ。
と呆れ、
「ああ、いいよ。一曲だけな…って、弓は?」
エレンはロッドが弓を持っていない事に気付き、聞いた。
「ええ。大丈夫です」
彼はにっこりと微笑み、腰にかけている長身の剣を抜き出すと、弦に当てがった。
-
- 267 : 2014/03/02(日) 19:21:49 :
- エレンはここで、自分の致命的な選択の間違いに気付く事になる。
-
- 268 : 2014/03/02(日) 19:23:34 :
- 誰か見てますか?
と、母に呼ばれたので、また止めます。
申し訳ない。
-
- 269 : 2014/03/02(日) 20:17:33 :
- 期待。
ところで、鬼技師って他にどんなの持ってんの?
-
- 270 : 2014/03/02(日) 21:02:12 :
- 煉獄の鬼(パーガトリー)です。
詳細はおいおい紹介して行きます。
-
- 271 : 2014/03/02(日) 21:09:27 :
- グループ作成しました。
雑談スレをそこにたてたので、今作品について疑問があればそこに書いて行ってください。
一回、通常のでたてたら注意された…。
まあ、注意事項にあったんだし当然か…。
-
- 272 : 2014/03/02(日) 21:55:14 :
- グループURLです。
http://www.ssnote.net/groups/202/archives/1
で合ってるのかな?
多分、これで、正式な雑談スレが開けると思います。
よろしければ参加願います。
-
- 273 : 2014/03/02(日) 22:05:39 :
- 再開します。
それは、まずただの音から始まった。
その音はその男を中心に半円状に広がり、…。
荒々しく、弓を引き始めたとたん、エレンの耳に強烈な痛みが走った。
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- 274 : 2014/03/02(日) 22:16:03 :
- 「な…に…、ぐああっ…耳が…」
耳を抑えると、ネトリと粘っこく、生温かい液体が付着した。
手を離し、それを凝視する。
…すると。
真っ赤な…つまり、血が掌にべっとりとついていた。
「…まさか、これがあいつの攻撃?」
もう片方の耳からは音が聞き取り辛くなっていた。
エレンは聴覚の生きている耳を短刀で切り取った服の切れ端を突っ込んで封じ、一切の音を通さないように工夫した。
「これで、音は鼓膜を破る事はねえはずだ…」
エレンは鈍痛に耐え、
「加速(アクセル)…!」
加速魔法の発動開始コマンドを叫ぶ。
ブオンっと空気が振動する音とともにエレンの体から無色のオーラが発動される。
-
- 275 : 2014/03/02(日) 22:32:10 :
- エレンは演奏している男から距離を取るため、大きく後ろに跳んだ。
と、その時、
「違う、エレン!それは罠だっ‼」
不意にアルミンの声が聞こえた気がした。
エレンは
「え?」
次の瞬間、水月にハンマーでかち割られたかのような痛みと衝撃が走った。
「が…はっ…、なん…で?」
何故急に痛みが走った?
何故遠くにいるのに攻撃ができた?
何故衝撃が自分の急所に当たったのか?
そんな疑問が脳を埋め尽くし、エレンはオーバーヒートしそうになっていた。
-
- 276 : 2014/03/02(日) 22:34:36 :
- すいません、明日、卒業式にでなければならないため、今日は早めに切らせていただきます。
明日は…えーと、午後三時くらいが丁度いいかと。
それくらいからまた再開します。
-
- 277 : 2014/03/03(月) 12:36:05 :
- 今更ながら、訂正です。
237の魔法の形態に陸孫が気付く場面が有りますよね?
それを「流線型拡円性魔法」に変換してください。
気付くのが遅すぎました。
すいません。
-
- 278 : 2014/03/03(月) 12:38:07 :
- 午後三時にまた再開します
-
- 279 : 2014/03/03(月) 15:40:38 :
- 遅れましたが投下します。
-
- 280 : 2014/03/03(月) 15:46:50 :
- 何故?何故?何故?
頭痛がしてくる。
最初の全くといっていい程の何でもできる感は淀み、濁り、濁流のまま心を汚すように自身の中で暴れ狂う。
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- 281 : 2014/03/03(月) 15:50:37 :
- エレンは正直、戦いと言うものがなんなのか、まだ分かっていなかったのだ。
と言うより、「真の戦いとは、一体何だ」と聞かれたら、誰もが直ぐに答えられないようなものなのだが、エレンは、それを必死に考えていた。
-
- 282 : 2014/03/03(月) 15:57:51 :
- そして、様々な思いが錯綜していて心の中で彷徨っているエレンに追い討ちをかけるかのようにロッドは「音」の攻撃を繰り返す。
そして、エレンの耳から耳栓が地面に落ちると、ロッドはエレンに自らの「能力」をカミングアウトした。
「私の能力は、音…ではなく、振動を操ること。そして、それを操るきっかけになるのが、このヴァイオリンなのです。…私の能力の核と言っても過言ではないでしょう。」
-
- 283 : 2014/03/03(月) 16:04:53 :
- そして、彼は微笑み、
「ですので、私の攻撃からは逃れられませんよ。…耳栓しようが、狙うのが違う場所なら意味がないですしね」
やがて、ロッドは
「では、死んでください。…狂饗曲第三章鎮魂歌!」
死の旋律をロッドは奏で始めた。
エレンは見えない攻撃にタコ殴りにされる。
-
- 284 : 2014/03/03(月) 16:12:28 :
- 手も足も出ず、ただやられ続けるエレン。
俺は…こんなにも弱いのか?
脳裏にはアルミン、クリスタの笑顔が輝く。
何のために修行したんだ?
………。
目を閉じる。
暗闇。
しかし、果てに光が見えた。
エレンは手を伸ばす。
何か熱くて、…でも、焦げる程の熱ではなくて、何か…柔らかいものを掴んだ気がする。
そして、……。
「…う、おおおおおおおおおおっ‼」
それは、ほんの僅かな力の発現でしかない。
しかし、「それ」は遥かに常軌を逸していた!
-
- 285 : 2014/03/03(月) 16:21:49 :
- 目を開けると、手にしていたのは短刀ではなく、電磁波のように光っては消えそうな光で出来た長身の刀で、驚くほど軽かった。
エレンはこの時、目の前を見ておらず、ただ、その刀を見ていた。
力が…溢れる。
自然と足が前に出る。
エレンはただ駆けた。
咆哮し、後先を考えず、その刀に全てを任せて。
「…うおおおおっ‼」
そして、…エレンは。
「…『斬』!」
ロッドとすれ違い様に形態魔法を発動し、ロッドの胸をその刃で抉った。
-
- 286 : 2014/03/03(月) 16:26:35 :
- 振り切った状態のままエレンは荒い息を吐き、ロッドが仰向けに崩れ落ちた時に、地面に手を着いた。
そして、刀の重量が消滅したのに気付いた時には、もう、その刀は跡形もなく消えていた。
-
- 287 : 2014/03/03(月) 16:27:33 :
- 犬の散歩行って来ます。
-
- 288 : 2014/03/03(月) 17:31:38 :
- 再開します。
そして、ふと右手を見ると、その手の甲に
『Estrella 』と文字が刻印されていた。
その刻印は蜃気楼のようにゆらゆらと揺れており、実態がないかのように見えた。
そして、戦闘終了の曲と共にアカネの声が空間中に響くが、エレンはそこで気を失った。
-
- 289 : 2014/03/03(月) 17:39:01 :
- 夢の中…。
エレンは傷だらけで何かを叫んでいる自分の姿を見ていた。
天は相変わらずの荒れ模様で地はもう、荒地と化している。
数分後、空が光った気がした。
違う。
気がしたのではなく、光ったのだ。
その光の色はまるで「流星」のよう。
碧き光から、紅き光まで、そして、……天から一つのオレンジ色の「流星」が降ってきた。
そして、……陸孫に当たる…直前に目が覚めた。
-
- 290 : 2014/03/03(月) 17:47:36 :
- 目が覚め、ボウッとした頭のままあたりを見渡すと自分が今居る場所を把握することが出来た。
見渡す限り、白い空間。
自分は少し固いベッドに横になっているのだろう、腰が少し痛い…。
視線を横にずらすと陸孫、クリスタ、アルミンがいた。
アニ達はいなかった。
エレンはゆっくりと上半身だけ起こすと陸孫に聞いた。
「勝敗は…?」
陸孫はエレンの頭を軽く撫で、
「お前の勝ちだ…」
と言った。
-
- 291 : 2014/03/03(月) 17:53:40 :
- エレンはホッと一息つき、
「良かった」
と呟き、自嘲するかのように笑った。
「…それで、今は何戦目?」
と訊くと、アルミンが
「七回戦目だよ。…陸孫さんがさっき衛兵に呼ばれたから後、もうちょっとで八回戦目になるかな」
と答えた。
-
- 292 : 2014/03/03(月) 18:02:13 :
- 「…そうか。…なあ、陸孫。俺のさっきの力…一体何だったんだ?」
エレンは陸孫に訊く。
「分かる訳ないだろ…」
陸孫はその質問にそう返した。
「…だよな。…はあ」
エレンはため息を吐く。
アルミンはアハハと笑い、エレンに
「どうする?…七回戦見に行く?…もうちょっとで陸孫さんの戦いになるし。…でも、休みたいなら…「いや、行く」…OK。…じゃ、行こうか」
エレンは差し出されたアルミンの手を握り、床に立つ。
そして、観戦しに会場に戻って行った。
-
- 293 : 2014/03/03(月) 18:03:19 :
- 期待
-
- 294 : 2014/03/03(月) 18:07:09 :
- 会場…。
「フレイマー(焔よ!)」
ボウッ!と握る剣に炎が灯る。
「行くぜ…エセ、旅人野郎!」
そう叫び、炎を操る剣士は炎剣を振り上げる。
旅人は
「チェック…!」
手にしたダーツを剣士の目めがけて撃ち放った。
-
- 295 : 2014/03/03(月) 18:09:39 :
- しかし、…。
「遅え!」
剣士は剣の柄で防御し、そのまま…
「燃えろ!」
ザンっと上から下に振り下ろし、旅人を断ち切った。
-
- 296 : 2014/03/03(月) 18:10:16 :
- 新世紀さん、ありがとう!
-
- 297 : 2014/03/03(月) 18:15:49 :
- 切った痕から鮮血…は流れず、焼け焦げた臭いが漂った。
「ううっ…」
クリスタはその光景に口を抑える。
勝ったのは当然、炎剣士の方だった。
そして、…
「陸孫さん。次ですよ…もういいですか?」
との衛兵の通告があり、陸孫は席を立ち、着いて行った。
-
- 298 : 2014/03/03(月) 18:22:20 :
- 陸孫の対戦相手は、召喚師という特殊な魔術師だった。
召喚師とはその名の通り、自分と契約を結んだ魔物、幻獣、天界の生物といった聞けば架空の物と思える生物を召喚する力を持った者達である。
しかし、その召喚師になるための修練はとても厳しく、並大抵の精神力ではその役職に就くのは難しいのだ。
-
- 299 : 2014/03/03(月) 18:35:32 :
- なので、珍しいのが来たな…と思いつつ、陸孫はその召喚師を見ていた。
その召喚師の名はルーン・カインスと言うらしく、陸孫から見て、如何にもインテリそうな風貌をした青年だった。
戦闘開始の号砲が鳴り響くと共に、その青年は詠唱を始めた。
陸孫はそれを興味深そうに眺める。
「レイズフォウインシグラル、ケルス、インバータ(時空に門を開け。幻、魔、天、三世より現界せよ!)…幻獣シュゼイン!」
彼の頭上が七色に神々しく輝く。
すると、バチバチと音をたてつつ、獅子に角と真赤な翼を生やした生物が出現した。
-
- 300 : 2014/03/03(月) 18:38:42 :
- シュゼインは
「グオオオガアアアアッ‼」
咆哮する。
すると、数十もの竜巻、雹の雨が例の如く陸孫に降り注いだ。
-
- 301 : 2014/03/03(月) 18:39:57 :
- ここで一度止めます。
続きは一時間後で。
-
- 302 : 2014/03/03(月) 19:43:13 :
- 再開します。
陸孫は特に動揺する様子も無く、ただ…
「……へえ、面白えじゃん…」
と笑い、
「エレン…見てろよ。これが本当の俺の『衝』だ!…加速(アクセル)!…『衝』!」
発動開始から形態魔法『衝』を撃ち出す、その間、僅か数十秒。彼は高速でそれらをこなした。
そして、撃ち出された風の砲弾は竜巻と同化、しかし、威力を緩めず、『全て』打ち返した。
-
- 303 : 2014/03/03(月) 19:50:54 :
- 「う、嘘だろ…⁉…そんな…シュゼインの攻撃を容易く…!」
カインスは陸孫の強さに呆然とする。
「あのさあ、俺をぶった押すんなら、もうすっこし、複数召喚でもしたら?」
陸孫は手品のショーを見るかのように、カインスに促した。
カインスは
「は…ははは、はははははっ‼………後悔…するなよ?」
は腹を抱えて笑った後、宿敵を見るような敵意の籠った笑みを浮かべた。
「来いってんだ。…ほら」
陸孫は剣の柄を握り直し、タイミングを図る。
-
- 304 : 2014/03/03(月) 19:52:28 :
- …と、ここで止めます。
風呂入ってきます。
-
- 305 : 2014/03/03(月) 20:48:17 :
- よーし、再開します。
今日中に第一選考終わると良いな。
カインスは詠唱を始める。
「レイズフォウインシグラル、ケルス、インバータ(時空に門を開け。幻、魔、天、三世より現界せよ!)…天生オウガ!…魔獣セイレーン!」
彼を中心に二つの光球が出現し、それから殻を破るように生物が現界する。
一体は氷の様に冷やかな蒼色の肌の半魔の人間で、もう一体が黒く体に凄く悪そうな水の膜を纏った人魚だった。
-
- 306 : 2014/03/03(月) 20:59:42 :
- 「…おお。んで、どうするんだ?…同時攻撃…するんだろ?」
陸孫は挑戦的な態度で相手の大きな攻撃を煽る。
カインスは
「そんなに受けたければ、食らわせてやる!…術式、星法血(星来たる時)!」
ドクン‼
鼓動音が大きく彼らから発せられ、空間中に響き渡り、
三体が咆哮、悲鳴、絶叫それぞれすると彼らがいる場所に亀裂が入り、
致死量の膨大な魔力で出来た光線が放たれた。
-
- 307 : 2014/03/03(月) 21:14:48 :
- 「…よっしゃ。ありがとな。見事に引っかかってくれて」
カインスが気付いた時には、もう陸孫は彼の後ろに立って首に剣先を当てていた。
-
- 308 : 2014/03/03(月) 21:20:00 :
- 「お前…どうやって、移動した?」
カインスは目だけ動かし、そう訊いた。
「ああ、簡単さ。魔法が発動する直前に上に跳んで、後は、高速移動でここまでやって来たのさ」
さも当然の様に語る陸孫に
「…普通の人間はそんな芸当できやしねえよ」
と呟いた。
-
- 309 : 2014/03/03(月) 21:26:46 :
- 「……で、どうする?リザインするなら、剣を引くけど」
陸孫が剣をちらつかせると
「…分かった。…リザイン‼」
カインスは両手をあげ、降参の意思を表明した。
結果、勝者は陸孫となった。
-
- 310 : 2014/03/03(月) 21:45:20 :
- 九回戦目、歴戦の侍(つまり、優勝候補)、獅皇戀と狼男が戦い、獅皇戀が勝利。
十回戦、「ラスト」と言う名の『Heiaus
Bloods』との刻印された仮面を被った男と少年剣士が戦っている。
最初、多少押され気味だったラストは時間が経つにつれて、押し返して行った。
最後には、あっけなく少年剣士は負けた。
その男は魔法も剣技も使わず、相手の攻撃をいなすだけで勝ったかのように見えた。
-
- 311 : 2014/03/03(月) 21:57:35 :
- 「さーて、皆さん!これで第一選考突破を成し遂げた十名の方に熱い拍手を‼
続いて、第二選考の戦闘形式を発表するぜ!」
アカネは衛兵から手渡された紙を広げ、
「十名のエントリー者はこの会場の空間のみ用い、存分に戦いあって下さい!…脱落は大怪我、リザイン、医療班が継続不可と思われたもののみとします!…戦闘開始は一時間後です!」
と読み上げた。
そして、一時間後、第二選考が始まる…。
-
- 312 : 2014/03/03(月) 22:02:16 :
- と言うところで一旦切ります。
第二選考のみ、混戦の形式にしてみました。
二人残す予定です。
では、ここでアンケートを取りたいと思います。
物語中で出てきた勝利者の中で誰が第三選考(決勝)に進んで欲しいですか?
物語に反映ができたらしたいな〜っと思っています。
-
- 313 : 2014/03/03(月) 22:03:31 :
- アンケートの締め切りは明日の午後10時までとします。
早いですが、ご了承ください。
-
- 314 : 2014/03/04(火) 07:22:18 :
- 決勝進出予定の人数の変更です。
三人
です。
申し訳ない。
-
- 315 : 2014/03/04(火) 16:14:34 :
- 俺はエレン、陸孫、レッドかな?
期待だぜ!
-
- 316 : 2014/03/04(火) 18:31:01 :
- 陸孫と優勝候補とレッド
それで、エレンが負けてしまい特訓やり直し
-
- 317 : 2014/03/04(火) 20:59:06 :
- ヴァイオリンの人とエレンと陸孫
-
- 318 : 2014/03/04(火) 21:55:28 :
- 陸孫が多いですねw!
はい、…皆さん、どうもアンケートに参加して下さり、ありがとうございます!
では、第二選考の戦闘場面を組み立てますので、もうしばらくお待ち下さい。
-
- 319 : 2014/03/04(火) 22:19:49 :
- では、再開します。
-
- 320 : 2014/03/04(火) 22:26:38 :
- 円を描くようにエントリー者達は立ち、睨み合う。
剣、槌、小刀、拳銃、刀…それぞれ各々の武器を片手に、または両手に持ち、構える。
張り詰めた緊張感が漂う、静寂の空間の中、…、
アカネが戦闘開始を告げる号砲を鳴らした。
第二選考の火蓋が切って落とされた。
-
- 321 : 2014/03/04(火) 22:34:19 :
- …と同時に優勝候補である獅皇戀が動いた。
「天カラ鳴リ響キ、轟音ト共ニ神ノ鉄槌の如ク敵ヲ穿テ…神疾風(カミハヤテ)!」
まさに疾風迅雷の如く。
一瞬で移動、且つ衝撃波を生み出した彼は一気にその衝撃波を操り、全体攻撃をした。
-
- 322 : 2014/03/04(火) 22:41:49 :
- 「ぐっ…⁉」
エレンはその衝撃波に吹き飛ばされそうになり、足を踏ん張り、態勢を整える。
しかし、十人の内、一気にその半分が吹き飛ばされ、
これでラーマンズ・ロスト、ハマー・レッド、エレン、陸孫、…全体攻撃を行った張本人、獅皇戀が残り、戦い合う事になる。
-
- 323 : 2014/03/04(火) 22:46:47 :
- レッドは、チイッと舌打ちし、
「奴から片付ける!」
槌を振り上げ、獅皇戀目掛けて叩きおろした。
しかし、その時には既に居らず、
「がはっ!」
背後を取られ、刀の刃で斬られていた。
-
- 324 : 2014/03/04(火) 22:51:13 :
- 「…つ!…くくっ…、優勝候補の名は伊達じゃないな…去年も優勝したのだろう?」
レッドは苦しい笑みを浮かべ、後ろにいる獅皇戀を見る。
彼は。
「……ああ。…そうだ。…危険因子を先に潰して置きたくてね」
と冷ややかな視線で彼女を見返した。
-
- 325 : 2014/03/04(火) 22:56:33 :
- 「…へえ、それじゃあ、貴様は臆病者なのかい?…それだと、私の見込み違いだったな…貴様はもっと『強き者』だと思っていた!」
彼女は枷を解き放つ。
本当は誰よりも、自分よりも優れた『心』を持った者と相対した時に使うはずだった『もう一つの奥義』を発動させる!
-
- 326 : 2014/03/04(火) 23:05:55 :
- 「…『煉獄の鬼(パーガトリー)』!…地獄の炎を超越し、天界の氷河を越える程の絶対的な自然(ちから)。…特と喰らうが良い…」
氷結、業火を掛け合わせ、雷電を限界まで威力を増大させた最強の『奥義』。
本当は自分がこいつになら…、と認めた相手に使いたくなかった『奥義』。
では、何故。
その自分のプライドを自らの手でへし折る様な真似をしたのか。
……それは。
即座に自分の視界からこの臆病者を消し去りたかったからだ。
-
- 327 : 2014/03/04(火) 23:12:25 :
- 会場にズンッ!と重い振動が起こったかと思えば、彼女は深い碧色…、つまり、サファイアの様に肌の色が豹変していた。
彼女は息を吸い、
「行くぞ!」
氷点下の稲妻とマグマを越える温度の稲妻を纏い、獅皇戀に向かって突っ込む。
-
- 328 : 2014/03/04(火) 23:28:25 :
- 獅皇戀は笑った。
何に対して?
自分に『臆病者』と吐き捨てた彼女に?
圧倒的な力を身に纏い、自分に迫る彼女に?
どれも違う。
では、何なのか。
彼女の強き意志に対してだ。
「ここまで自己に自信を持っている者は始めてだ…。…感謝するよ。…だが、負けるつもりはもっとうない!」
彼は抜き身の刀を鞘におさめ、抜刀術の態勢を取る。
私を…迎い討つ気か!
レッドは恐れる事なく彼の脇腹に空気に触れるごとに轟音を響かせる槌を叩き込む。
同時に。
「天神楽!」
彼が音速を越える速度で抜刀した刀の刃と公差した。
そして…。
ドゴオオオオオオオンッ‼と天地を揺るがす程の爆発音とも衝撃音とも言える槌と刀がぶつかり合う音が響いた。
勝ったのは…。
ハマー・レッドだった。
-
- 329 : 2014/03/04(火) 23:34:19 :
- よし、ここで切ります。
ラストは当初の予定ではリザインする予定だったのですが、吹っ飛ばされる役になってもらいました。
さて、ハマー・レッドが優勝候補である獅皇戀に見事勝利をおさめました。
優勝候補の残りを希望されていた方は、申し訳ないです。
そして、次はエレン達の番ですね。
すっごく書くのが待ち遠しいです!
では、もう遅いのでお休みなさいです。
-
- 330 : 2014/03/05(水) 17:40:12 :
- お知らせです。
課題がびっくりする程あるため、今日の投稿は難しくなります。
できたら再開する予定ですが、それでも時間は夜遅くとなります。
あらかじめご了承ください。
-
- 331 : 2014/03/05(水) 22:42:47 :
- 僕も、明日から卒業試験なのでコメント出来ません。
-
- 332 : 2014/03/06(木) 00:32:56 :
- 新世紀さん、
分かりました。…コメントありがとうございます。
試験、頑張ってください!
-
- 333 : 2014/03/06(木) 22:27:05 :
- 少し休憩して、十一時になったら投下します。
-
- 334 : 2014/03/07(金) 03:32:58 :
- また…できなかった…。
今日は学校がないのでコロシアム編をもう終わらせるつもりです。
-
- 335 : 2014/03/07(金) 03:51:52 :
- では、行くぜ!
レッドは獅皇戀と対峙した後、会話していた。
「レッド…だったか?…君は、始めてこの私に勝利した者だ。…誇ってくれ」
槌を思いっきり叩きつけたため、呼吸をすると血が混じる。
「誇れ…って、お前は私の目指す者ではなかった。…だから速攻で叩き潰しただけのこと。…誇ることはないさ」
レッドは苦笑し、言った。
-
- 336 : 2014/03/07(金) 03:54:59 :
- 流石に寝ましょうよwwwwww期待
-
- 337 : 2014/03/07(金) 04:00:35 :
- 「くく…ふはははっ…言ってくれる……つ⁉まずい、避けろ!…死ぬぞ!」
獅皇戀は笑う途中、「危機」を察知し、彼女に忠告した。
「…⁉…チイッ!」
舌打ちと共に大きく上に跳ぶと、「遠距離射撃」の凶弾を避け、
「…あいつか」
エレン、陸孫に猛攻を続ける拳銃両手持ちの銃士を睨み、標的とした。
-
- 338 : 2014/03/07(金) 04:01:54 :
- 336さん、
ありがとうございます!
眠気は覚めちゃいまして…あはは
-
- 339 : 2014/03/07(金) 04:10:28 :
- そして、エレン、陸孫はと言うと、加速魔法の発動開始状態のままロストの連続射撃による猛攻に苦戦しつつも、避け続けていた。
陸孫は
「…ああ、うぜえっ!」
遂にしびれを切らし、
「…『撃』!」
Χを描くかのような斬撃を剣の先に迸らせ、…、
「…っおらああああっ‼」
一思いにその斬撃をロストに向かい、飛ばす。
-
- 340 : 2014/03/07(金) 04:17:28 :
- 「…つ⁉…脱落して…たまるかああああっ!」
彼は威力が自分でも一番高いとされる、「空弾(エア・バレッド)」を放つ。
「空弾」とは人間の体に本来生まれながらにして流れている気を弾として放つもので、熟練者でないと放った後、強烈な痛みに襲われる。
-
- 341 : 2014/03/07(金) 04:25:20 :
- しかし、彼は師匠クラスだ。
熟練の熟練者。
放つ気は全部で二つ。
一つは感知、追跡用。
二つ目は先に述べた攻撃用。
彼はその全てを使い分ける事が出来る。
そして、空弾と斬撃が衝突し、双方の力が均衡し、その場で爆発した後、消滅した。
-
- 342 : 2014/03/07(金) 04:35:24 :
- 同時にレッドは雷電を体に纏わせながら、ロストに突っ込む。
しかし、それは空振りに終わった。
ロストはもう、陸孫と戦っていた。
ロストは歯軋りする。
「クソッ!…お前さえ邪魔しなければあんな訳わからん奴を脱落される事が出来たのに!」
「…あ〜、悪いね。…こいつは俺と闘いたいらしくてさ。…本当悪いんだけど……」
陸孫は嗤い、
「……脱落してくれないか?」
一層密度が濃い「斬」を剣に纏い、それを斬り下ろした。
-
- 343 : 2014/03/07(金) 04:41:52 :
- 「……ぐ⁉…げはあっ!」
斬られた衝撃で空中に吹き飛ばされ、地面に転がる頃には、全く体が動かなくなっていた。
「クソッ!…クソォッ!」
悔しさのあまり、涙が零れ、流れ落ちる。
ロストはこの日、三度目の第二選考脱落となった。
-
- 344 : 2014/03/07(金) 04:49:41 :
- レッドは
「最後!…貴様を、貴様だけは倒す!」
より一層雷光で光り輝く槌を振り上げ、陸孫に叩き下ろそうとしたところで、
「戦闘終了です!…双方、武器をおろしてください!」
アカネの宣告が空間中に響いた。
レッドはここで違反行為で脱落する訳にもいかず、手を引いた。
-
- 345 : 2014/03/07(金) 05:04:45 :
- 「今大会で第三選考に進めるのは、陸孫、エレン、ハマー・レッドの三人だ!」
アカネが告げると観客席はざわめく。
「…嘘だろ?……獅皇戀が負けるなんて…てか、あの新人剣士。…避けてただけじゃん」
エレンは耳に違和感を感じながら、東門に戻っていた。
…思ったより聴覚が上手く作用しねえ。まずいな。…とにかく、決勝に進めたのはいいんだけど…。
ロッドに鼓膜を破られた方の耳が劈くように痛い。
そして、それと逆の方は音を聴き取りにくくなっていた。
こんな状態で決勝に出ても、せいぜい感覚だけで戦うのがセオリー。
しかも、短期戦闘でなくてはならない。
不安がつのるなか、観客席に戻るとアルミン、クリスタが温かく出迎えてくれた。
「「お帰り、エレン!…決勝進出おめでとう!」」
-
- 346 : 2014/03/07(金) 05:06:40 :
- 一旦切ります。
続きはいつ頃だろ?
えーと、昼頃に再開して書きます。
-
- 347 : 2014/03/07(金) 11:21:53 :
- 少し再開します。
エレンはその温かい出迎えに
「…ああ。…ありがとう!…頑張るよ!」
と顔をほころばせ、返した。
本当に素直に嬉しかった。
第三選考の開始時刻は今から二時間後。
そのため、休憩が多く取れる。
エレンは自分の席に座り、一先ず寝た。
その頃、クリスタルコロシアムの入り口にラストは立っていた。
あのエレンと言う少年、あいつは…面白い。
思わず笑みが零れる。
「くっくくくく、ふはははははははっ!」
その笑い声は謎めいた彼を一層不気味にさせた。
「…もうすぐ、『闇』の宴が始まる。…少年よ、どう…足掻く?」
彼のその言葉は静かな紅く燃え立つ夕陽と異なり、時間が経つにつれ、暗くなって行く空と同じくらい、静かに響いた。
-
- 348 : 2014/03/07(金) 11:23:05 :
- ここで一旦切ります。
続きは昼頃で。
-
- 349 : 2014/03/07(金) 14:19:38 :
- よーし、再開します!
2時間後…会場内。
「今大会第二選考突破は陸孫、エレン、ハマー・レッドの三人です!…これで決勝となり、もう今大会も大詰め!…これまで以上に熱い闘いになることでしょう!…さーて、決勝を制し、優勝を勝ち取る事が出来るのは一人のみ!…さあ、戦え!…第三選考の始まりだ〜!」
アカネの宣告と共にエレン、陸孫、レッドは入場する。
それと同時に客席の歓声も一段と大きくなっていく。
エレン、陸孫、レッドは三人共に笑っていた。
「……これで、最後か…」
エレンは感慨深く言う。
「ああ、そうだな。…まあ、エレンとそこの鬼技師には絶対勝つけどね」
陸孫は相槌を打つと同時にエレンとレッドに告げる。
「…ふん。第二選考の時、貴様を倒す事ができなかったからな…、貴様から先に倒してやる」
レッドは背にある槌に手をかける。
-
- 350 : 2014/03/07(金) 14:34:20 :
- そして、
「レディー…ファイ!」
号砲がなる。
エレン、レッドは共に動いた。
「加速(アクセル)…『衝』!」
「冥府の鬼(タルタロス)…!」
風の砲弾と蒼き稲妻。
双方、致死量の威力がある。
しかし、
「……ごめん。エレン。一瞬でお前から片付ける」
陸孫は自分に着弾する前に上に跳んでいた。
「お前も…その様子だと…そっちの方が良いんだろうな」
「…っ⁉」
エレンは自身の不調に気づかれ、体の動きを止めてしまう。
「…残念だ。…修行中は俺に勝てるとばかり思っていたのに」
そう言いながら、エレンの直ぐ前に着地する。
「…うるせえ!」
エレンは自分の短刀を振り回すが、そんな単調な攻撃が陸孫に当たる訳もなく、
ザン…
と何かを斬る音が聞こえた。
-
- 351 : 2014/03/07(金) 14:43:58 :
- 「ごふ…⁉」
エレンは多量の血を吐く。
そして、胸から流血と共にうつ伏せに崩れ落ちた。
レッドは
「お前、その少年…お前の弟子ではないのか?」
と多少怒気を含め、陸孫に聞く。
「……ああ。…だからこそですよ。…師弟対決に容赦は無用だと思いますが?」
陸孫はニヤリと笑みを浮かべ、言った。
-
- 352 : 2014/03/07(金) 14:56:08 :
- 「陸孫…お前は…一体何を…っ⁉」
ギインッ‼
陸孫の斬撃が突然、放たれたため、レッドは即座に槌で防御する。
「……いきなりだな、貴様」
ユラア…と彼女の体がゆっくりと傾く。
「……行くぞ。…覚悟は良いか?」
「ああ。…来いよ。…お前の攻撃を全ていなして…優勝はこの俺がもらう!」
陸孫は剣に「斬」を纏わせ、彼女が突進してくる間合いに入った。
一撃で決める!
双方がそう心の中で宣言した時、レッドが動いた。
-
- 353 : 2014/03/07(金) 15:03:56 :
- 「いや、優勝はこの私のものだ‼」
音速を超え、光速を超え放たれる一撃。
それには彼女の全てがかかっていた。
しかし、それを嘲笑うかのように…。
「が…はっ…⁉」
陸孫は短刀を懐から取り出し、彼女に向かって投擲した。
ズッ…
音もたてずにその短刀の刀身全てが彼女の左胸に突き刺さった。
-
- 354 : 2014/03/07(金) 15:15:31 :
- 「…き…さま…、そんな…ひきょ…うな…」
血が流れる左胸を抑え、激痛のせいで滲む視界で陸孫を見るレッド。
彼女は「奥義」を多用しているため、限界だった。
流血にしても刀身が心臓に至ってはいないため、ドクドクと流れ出ていた。
「意識が朦朧としているのか?…まあ、俺には絶対に優勝しなければならない理由がある。…だから、自らの手が汚れてでも、勝たなければならないんだ!」
ドカッ!
陸孫は剣を彼女に叩きつけ、仰向けに倒れさせた。
「……優勝は…陸孫だ!」
戦闘終了を告げるアカネの声と共に第三選考の幕は閉ざされた。
-
- 355 : 2014/03/07(金) 15:24:53 :
- 医療班が駆けつけ、エレン、レッドを運んで行く。
陸孫は観客席を見上げていた。
「やったぞ…ケイ。…俺は…お前を助ける事が出来る!…後は、王に謁見するだけだ」
ケイを救いたい。
しかし、ただそれだけで挑んだ訳ではない。
自分は王に謁見し、その王に本当の事実を話してもらいたい。
それで、腐った事実を口にした時は、自分の手にかける。
それが彼のケイの救済の前にずっと望んでいたものだった。
-
- 356 : 2014/03/07(金) 15:26:02 :
- 少し休憩します。
-
- 357 : 2014/03/07(金) 16:20:34 :
- 再開します。
陸孫は中央観客席、つまり、王家の者達が観戦していた場所に衛兵に誘導され、その玉座のように大きな椅子に腰をかけ、醜く、歪んだ顔をした貴族らに酒をつがせているこの国の王がいた。
貴族らは…見たまんまだ。…本当に醜い顔をしている…。
嫌悪感を抱きつつも、王を見据える。
すると、王は言う。
「今日は良く、優勝を手にしたな。…陸孫。…どうだ?…我が王家に仕えないか?…報酬ははず…「……いらねえ‼」…な、に…貴様…⁉」
陸孫は「金」で人を釣ろうとする王に怒号を飛ばした。
-
- 358 : 2014/03/07(金) 16:31:15 :
- 「…貴様!」
「無礼な…⁉」
貴族ら、衛兵らが陸孫を睨む。
それでも陸孫は王に問う。
「お前が…やってきたことはなんだ。…「……誰が貴様何かに」…話せ!…王政のこと、奴隷の売買を激励していること!…全て!…ハアハア…」
「良いだろう、話してやる」
「王様」は話し始めた。
税として集めた金は己の権威を象徴させるため、「楽しく」宴会をするために使った事。
政治は全部自分ではなく、側近に丸投げだったこと。
そして、王の下で働く貴族以外の人間すべてが奴隷商人から買った奴隷であり、これからも人数を増やすために激励をしたということ。
-
- 359 : 2014/03/07(金) 16:45:59 :
- 陸孫は段々と心が「憎悪」という闇に支配されていくのを感じた。
「…ふざけんなよ。…何だ…、相変わらずのクズ野郎だったじゃねえか…俺の、俺の師匠を…殺した…張本人、だもんなあ!」
陸孫は背にある剣の柄を握り、一思いに引き抜いた。
しかし、振り上げたところで衛兵らに取り押さえられてしまう。
「離せ!…俺はこいつを!…「クスッ…待ってたよ。…ありがとう。…これで随分と陸孫、あなたを乗っ取りやすくなった」…え?」
時が止まる。
ケイの声が聞こえた。
いや、彼女ではなく…。
「エヴィル・プロスネイト…⁉」
ニタア…。
彼女の口が大きく歪み、
「その憎悪、私が引き受けよう」
言いつつ、陸孫の手を握った。
「ダメ!…陸孫さん、早く手を離して!」
クリスタは妙な恐怖を感じ、言うが時すでに遅し、
「…プロスネイト(魂、捕まえた)」
ドクンッ!
自分の体から鼓動音が響く。
-
- 360 : 2014/03/07(金) 16:53:44 :
- 意識が…遠のいて…行く。
彼はそこで意識を失った。
そして、…。
「く…ふふふふふ、あははははははははっ‼…やっとだ!…やっとだ!…手にいれたぞ、この国を崩壊させうる程の技術を持つ器を!…さあて、…」
狂い、嗤い、王の顔を見る。
「死に狂え!…一国の王よ!」
「な…に…?」
そして、『陸孫』が剣を振る。
これによって、
コロシアムから東の街までが半壊した。
-
- 361 : 2014/03/07(金) 16:55:49 :
- コロシアム編はここまでです!
では、触りだけ、次レスで書いて、午後九時半あたりからこの続きを書いて行きます。
-
- 362 : 2014/03/08(土) 18:12:03 :
- 試験終わりました〜
-
- 363 : 2014/03/08(土) 18:41:55 :
- 新世紀さん、お疲れ様です!
とある少年の物語「4」
もよろしくお願いします!
-
- 364 : 2014/03/09(日) 15:55:46 :
- URL貼っておきますね→http://www.ssnote.net/archives/11606
-
- 365 : 2014/03/09(日) 16:04:59 :
- ありがとうございます!
いやあ、すいません。
お手数かけました。
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