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その恋に揺られて

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  1. 1 : : 2022/09/30(金) 00:57:01
    今回書くものは現代ものとなります。
    期待よろしくお願いします!
  2. 2 : : 2022/09/30(金) 02:09:39
    学校が嫌いだ
    こう思う人は少なからずクラスに5人程度はいるだろう
    私もその一人だ
    たが特別虐められているわけでもないし、友達も居ない訳でもない
    かといって多い訳でもないし虐められない訳でもない

    私は小さい頃からよく可愛がられていた
    小学校の頃は男女ともに友達も多く生徒会も多くつとめた
    中学生になると男の子に多く告白されるようになった
    もちろん全て断り、1度も付き合った事がない
    初恋と言われる人とも出会った事がない

    高校に入ると友達を作ろうと努力はしたが結局はできなかった。そのまま2ヶ月程度がすぎ、今の状態でいる
    クラスの人や学年の人には根暗と呼ばれ、あまり好印象では無い
    時には「私の好きな人とらないでよ」と喚いてこられたりもした。別に取るつもりで取った訳でもないのに理不尽にこう言われる

    親友である人からは生まれながらにもつ容姿のせいだと言う。私は自分の顔は好きじゃないし自分の家系も好きじゃない

    こんなつまらない学校来なきゃ良かったと思っている
    いっその事やめてやろうとも思った

    だけど

    先生 「...であるから、ここは」

    ガラガラ

    エレン 「遅れました」

    先生 「何回目だぁ全く。しっかりしろよ」

    エレン 「ちーっす」

    彼は私の席の隣のエレンイェーガーだ
    成績優秀、スポーツ万能、男女ともに友達も多く、学年が誇るイケメンである

    そんな彼だがよく遅刻、欠席を繰り返し先生からは呆れられている

    彼が席に着く時ふと目が合ってしまった
    すると彼は私にこう言った

    エレン 「ははっ怒られちまった」

    私はその彼の笑顔とその目にドキッとした
    もしかしたら人生で初めての恋というものをしたのかもしれない

    ユミル 「それは恋だな」

    ヒストリア 「こ、恋?」

    私の親友のユミルが言った
    ユミルとは隣のクラスの友達で小学校からの付き合いだ
    クラスが別なのが少し残念だけど休み時間こうやって話せるだけでも嬉しかった

    ユミル 「ああ、恋だ。逆にそれ以外考えられんだろ」

    ヒストリア 「う、うん、でもなぁ」

    ユミル 「ま、相手が相手だしな」

    エレンの事を好きな女子は多くいてその多くがエレンの顔と笑顔に惹かれたと言われている

    私もその1人なのかもしれないと思ったら
    すごく恥ずかしかった

    ユミル 「まぁ、頑張れよ隣の席なんだし、なんだってこのヒストリアなんだもんな」

    ヒストリア 「も、もう何それ」

    それからずっと彼のあの笑顔が顔から離れず四六時中頭によぎっていた。自分でもおかしいと思うくらいに彼の顔が頭に浮かんで離れなかった

    どこかで見た事があったのだろうかはたまたどこかで会ったことがあるのかどちらにせよそんな気がした。

    次の日から授業に集中出来なくなり、ノートを取る手も止まっていた。勉強にはそこそこ自信がある方で授業も真面目に聞いている。
    が、彼の事だけが頭に浮かんでそれどころではなかった
    どうしてこうこんなにも考えてしまうのだろう
    そんな時だった

    エレン 「なぁ、もし自分が過去に戻れたりしたら何をしたい?」

    彼は真剣な顔で真っ直ぐ黒板を見たまま話をかけてきた
    質問の意味こそ理解できなかったが彼が私に話をかけてきたことにびっくりしてしまって答えられなかった

    無言のままの状態が何分か続いた
    なにか答えた方がいいのか、相槌でもうつべきなのか
    考えているうちにまた彼が

    エレン 「あれは間違っていないと思ってる」

    また真っ直ぐ見つめたまま彼はこう言った
    その真っ直ぐな目にまた私は惹かれてしまった
    独り言なのか、私になにか質問をしていたのかよく分からなかったけど彼のあの真っ直ぐな目に何か深い意味があるかのようにも見えた

    それからよく彼は私に話をかけてくるようになった
    彼は歴史が好きなのか、昔の話をよくする
    時代の戦争風景だったり、偉大な人物だったり
    案外変わってる人なんだな思った

    私は彼の話を聞くのが面白かった
    楽しそうに、自分事のように語る歴史の話がとても面白かった
    だけど、話し終わったあと何故か悲しそうな顔をする
    その顔をやはりどこかで見た事があった

    ーーーー

    私は学校で1番好きな時間が彼の話を聞くことになっていた
    今まで学校に楽しさなど求めてなかった自分がこんなにも楽しめているなんて思いもしなかった

    こんなふうに思えるのも彼のおかげだ
    彼のおかげで学校が楽しく思えた

    私は彼の事が好きなのだと確信をした
    初恋であった
    だけど、恋愛はそう簡単ではなかった
    私と彼が話しているところを見た女子が私に色々言ってきたり、釣り合わないだとか裏で言われるようになった

    これも彼が人気でモテるからだと実感した。
  3. 4 : : 2022/10/19(水) 00:11:59
    ???「ねぇ、聞いてるの?最近のあんたちょっと調子乗りすぎ」

    昼休みに屋上に呼び出されてこれか
    彼女の名前はミーナ。最近私がエレンと喋っていることが気に食わないらしい。
    確かにここ最近エレンと休み時間でも放課後でも喋ることが多くなり、自分自身周りの目も気になっていた。
    そんなことを考えていた矢先にこの出来事が起こったのだ

    正直、エレンはミーナと付き合っては無さそうだし別に誰がエレンと喋ろうと関係ない と言いたいところだけど色々めんどうな事になりそうなのでその事は伏せておく事にした。

    ヒストリア 「ご、ごめんなさい。そんなつもりじゃ...」

    ミーナ 「大体あんた陰キャの癖に、生意気なのよね。エレンにベタベタくっついて、イモムシかって」

    ヒストリア 「うぅ...」

    私は言われるだけで何も言い返せなかった。いいや、言い返せる力は持っている。だけどエレンにも迷惑をかけそうで何も言うことができない。それにミーナとは一応小学校からの付き合いだし、言い返すのもなんだか申し訳なくなってしまった。

    どうして私はこんなにも言われてしまうのだろう
    小学校、中学校と何一つ不自由のない学校生活を送ってきた私には分からなかった。

    ??? 「なにやってんの?」

    聞き覚えのある声だった
    どうしてここにいるか、そんな事はどうだっていい。救いの手がさし伸ばされた気がした。だけどそれと同時に巻き込んでしまったという罪悪感も同時に生まれた。

    ミーナ 「い、いや、ほらぁヒストリア最近調子乗ってるなぁって思って。エレンもそう思わない?」

    エレンが私を見た
    まさかエレンも私が調子乗ってると思ってるのかな?
    そう思っていると思うと急に心臓の鼓動が激しくなった
    確かに最近はエレンと話すようになった。話す中で素の私もたまに出てしまうことがある。そういう部分を見られていると思い返すと、傍から見て調子に乗っていると思っても仕方がないことだと思った。

    実際エレンと喋って少しうきうきしてしまっている部分もあった。調子に乗っているという、あながち間違いでは無い行動はした。だから余計に自分の行いがいかに恥ずかしいものか知ったのである。

    エレン 「...」

    エレン 「お前らヒストリアを見て調子に乗ってるとでも思ってたのか?」

    ミーナ 「わ、私は少なくとも思ってた」

    エレン 「ふーん、気が合わなくて残念だよ。とりあえずうせて?」

    ミーナ 「う、うん...」

    私は少しほっとした。
    「気が合わなくて残念だ」少なくともエレンは私が調子に乗っていると思ってなかったみたいだった。でもこう問題になってくると後々、ミーナとエレンの関係とかが悪化してしまうと考えるとやっぱり巻き込んでしまった罪悪感がある。

    エレン 「大丈夫か?」

    ヒストリア 「う、うん大丈夫」

    少し冷たい返事だか、内心もっとありがとうと感謝を伝えたかった。私は恋というのをしてしまうとこうも自分を隠すようになるのだと思い心の中で苦笑した。

    エレンは私に声をかけると格子に腕をつき屋上から街を見下ろした。風に前髪が揺られて額が見える。凛とした顔つきと深い眼差し。そのどれもが私にはかっこよく見えた

    エレン 「なぁ、このまま5限2人でサボろうぜ?」

    ヒストリア 「えっ?」

    意外な発言から私は変な声を出してしまった。5限は確か古典だったかな?あの先生ならサボっても大丈夫そう。
    そんな事考えていた私は自分に腹がたった。
    でも、ちょっとくらいサボるのもいいよね

    ヒストリア 「...分かった」

    エレン 「ははっ問題児だな」

    ヒストリア 「そ、そんなんじゃないもん」

    私はからかわれ恥ずかしながらもエレンに反抗した。どんな顔で反抗したのかも分からないけれど、それ以前にエレンとこのような会話ができたことに喜悦の声を心にあげた。

    少ししてエレンが突然言葉を発した

    エレン 「...なぁ、ヒストリア。この街を見てどう思う?」

    少し不思議な質問だった。突然この街どう?などと言われてすぐに答えが出る訳じゃない。だけど私は質問されてすぐに頭の中にこんなイメージが沸いた。

    ヒストリア 「...悲しそう」

    エレンは私の発言にびっくりしたのか街に向けていた視線が私の方に移った。その向けられた顔の表情は私の思「悲しそう」というものに似ていた。

    エレン 「...そっか」

    そういうとまた街に視線を戻し少し笑っていた。
    質問の意図こそ分からないがエレンの表情は読み取る事ができた。

    なぜこの場面で街の話なのか、なぜその質問を私にしたのか、まだまだ謎の多いエレンだが今日だけでなんだかとても親しい関係になれたと思った。
  4. 9 : : 2024/10/05(土) 01:52:20
    あの出来事から2週間
    特にエレンとは進展もなく普通の日常が過ぎていった。
    別にその普通の日常が嫌なわけでなく、ただエレンと度々話して、でも距離が縮まる訳でもなく、そんなただ本当に普通の日常だった。

    そもそも好きだと確信したのはいいけど恋愛をしてこなかったためどうやったらエレンとの距離が縮まるか、どうやったらもっと話せるようになるか分からないままであった。

    ーお昼休みー

    ヒストリア 「はぁ...」

    ユミル 「なんだよ」

    ヒストリア 「...別に何も無いんだけどさ」

    ユミル 「珍しいじゃねぇかヒストリアがお悩みとは」

    ヒストリア 「私だって悩み事くらいあるよ!! あっ...」

    ユミル 「ぼろを出したな」

    ヒストリア 「むっ」

    別に隠していたわけでもない。恋愛という自分が今までやってこなかったことに対して自分の考えや行いが上手くまとまらず悩むことしか出来なかった。それゆえ、周りにどう相談したらいいのかも分からず、ただ自分の思いのままに任せ、その時その時の状況に応じて私はここまでやってきた。

    だけど、その行いが悪いんだとしたらエレンとはこれからも距離は縮まらないし話せなくなるのかもしれない。やっぱり人に相談するのもありなのかもしれない。

    ヒストリア 「ユミルさん悩みがあります」

    ユミル 「そうきたか、どんとこい」

    ヒストリア 「エレンとの距離があまり上手く縮まりません」

    ユミル 「...ええっと、まじで恋してた系?」

    驚きの顔をあげ、固まっていた。確かにユミルにはちゃんとエレンの事が好きだと伝えた訳でもないし。そもそもこの相談自体が恋愛関係だとユミルは予想がつかなかったと思う。
    "悩み事くらいある"っと聞き全ての人が恋愛の方向にむくとは限らない。ストレートに大雑把に言いすぎたのかもしれない

    ヒストリア 「そ、そうだよ」

    ユミル 「...ま、まぁあれだろ?隣の席で色々話しちゃって落ちちゃった的な?」

    ヒストリア 「それも...あるけど1番は安心かな?」

    ユミル 「安心?」

    ユミルにこの前の屋上での出来事を全て話した。
    私は虐められた訳では無いと自分でもそう思う。ただ女子の身勝手に巻き込まれ一方的に嫌われ一方的に罵られ、全て私が悪いような出来事。理不尽と思いつつも私は揉め事が嫌いで誰ともそんな関係を保ちたくないがために我慢して言い返さずにいた。
    自分にもっと反抗できる力があったり言い合える力が欲しいと強く痛感した出来事であった。

    そんな出来事を引っ括めるようにエレンは私を救ってくれた。かっこいい言葉をなげかけたわけでもなくただ救いの手を私に差し伸べ安らぎを与えてくれた。サボったのもいい思い出だし、何よりその時間少しの間だけど話すことも出来たし私には幸せな時間だった。

    ユミル 「そんな出来事あったんだな」

    ヒストリア 「うんうん!その機会がもう一度あればなぁ」

    ユミル 「...ベタ惚れなんだなあいつに」

    ヒストリア 「べ、別にそういうのじゃないよ///私にはとても勇敢で頼もしいって思ったの!」

    ユミル 「それをベタ惚れっていうんだろ?」

    どうやら私はエレンにベタ惚れらしい。それも客観的に見られての判断だ。否定はしないけどベタ惚れっていう概念が分からないから答えようがない。つまりこの恋愛自体分からないことだらけであること、それも発展もなきゃ進むこともできない。

    ヒストリア 「やっぱり難しいかな...」

    ユミル 「まぁ、そもそもあいつと喋ってる時点でお前は少なくともエレンにとっては対象内だろ」

    ヒストリア 「対象とか、分かるの?」

    ユミル 「あいつがほかの女と喋ってるのまじでほとんど見た事ないぞ?」

    それを聞いて安心した。安心?なのかなんなのか分からない。何故か周りの女子に勝った気がした。私は悪い女の子だ。とにかくこれでエレンとの距離も今後自分が沢山話しをすることで縮まると思うしこの調子で続けて行こうと思った。

    ヒストリア 「なんか元気出た。ユミルありがとう」

    ユミル 「ま、別にエレンより私にしといたらって思うがな」

    ヒストリア 「もう、ユミルってば」

    ??? 「俺がどうかしたか?」


    えっっ?

    ユミルと2人して同じ声がでた。この声には私は聞き覚えがある。安心する声で私の好きな声でどこか落ちついた声。
    頭の中が真っ白になった。全部聞かれていたのだろうか、はたまた名前が上がってこちらに寄ってきたのだろうか様々な憶測が飛び交う脳内。もはやその脳内すらも回転することを忘れしばらく考えることが出来なかった。

    ヒストリア 「...エレン?いつからいたの?」

    ユミル 「」

    エレン 「いや、お前の隣俺の席なんだけど?」

    今日のお昼休みはもはや休みではなくなってしまった。

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