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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品は執筆を終了しています。

小町「お兄ちゃんはどんな姿になっても小町を愛してくれますか?」

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    • 3

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  1. 1 : : 2014/02/01(土) 22:12:39



    全部
    夢だったら
    よかったのに


    夢なら醒めて
    それで、おしまい

    なのに


    なんでこの夢は醒めてくれないの…?


    この悪夢が始まったのは
    私が高校に入学して間もない頃だった
  2. 2 : : 2014/02/01(土) 22:15:56



    総武高校からの帰り道




    八幡「どーだ学校は?少しは慣れたか?」


    小町「うん!みんな優しいし」

    八幡「そっか、それは良かった」


    小町「むしろ小町的にはお兄ちゃんの方が心配なんだけど…」


    八幡「お、俺の事はいいんだよ」
  3. 3 : : 2014/02/01(土) 22:18:19


    ドンッ

    小町「きゃ…っ」


    八幡「どうした小町!大丈夫か!?」

    小町「ごっ、ごめんなさい。私よそ見してて…」


    どうやら小町は話に夢中になってて前から歩いてきた女の人とぶつかってしまったようだ



    ぶつかった女の人は一言も発さず
    俺と小町をジッと見つめていた
  4. 4 : : 2014/02/01(土) 22:20:03

    不審に思ってこちらから話しかける


    八幡「あ…あの…?」


    ???「あなた達ここらへんの子?」

    八幡「あ、あぁ」


    ???「早く帰った方がいいわよ…。『赤い蝶』を見る前にね…」

    女はそれだけ言い残して歩いていった

    八幡「何だ?あのオバサン…」




    小町「ねぇお兄ちゃーん、小町喉渇いちゃった」

    八幡「ん、じゃあ飲み物でも買ってくるわ。小町はちょっと先の公園で待ってろ」

    小町「はーい」
  5. 5 : : 2014/02/01(土) 22:21:56





    八幡「うーん、まぁ無難にお茶でいいか」

    俺はお茶を選んでボタンを押す



    小町が総武高校に入学してもう一ヶ月か…
    なんだか早く感じるな


    でもまぁ学校生活も上手くいってるみたいだし
    一安心だな


    さてと、小町も待ってるだろうし
    早く小町の待ってる公園に向かうか

  6. 6 : : 2014/02/01(土) 22:48:24




    公園



    小町「お兄ちゃん遅いなぁ」ソワソワ


    小町「(迎えに行った方がいいのかな…
    どうしよう…でも行き違いとかになっちゃうとダメだし…)」


    フワッ…


    そんな時、目の前を何かが通り過ぎた


    小町「わぁ…大きな蝶!」

    それは見た事もないような大きな蝶で
    一匹だけでなく何匹も飛んでいた

    小町「すごくキレイ…こんなの見た事ないかも」
  7. 7 : : 2014/02/01(土) 22:52:09



    「ヴウゥ…」ガサッ


    蝶に気を取られていると
    後ろから物音がした


    小町「!」


    「ヴゥ…ウゥ…」ヨタ ヨタ


    振り向くとそこにはボロボロになっている犬がいた


    小町「犬…?やだ怪我してるじゃない」


    犬「ウゥ…」


    小町「え…と…待ってて今…」


    犬「ウゥー…ヴ」ブル ブル


    小町「ワンちゃん?」

    犬「ヴ…」


    小町「大丈…」

    !?

    その時私は気づいてしまった

    唸っていた犬の内蔵が飛び出し
    だんだんと形が変化していることに
  8. 8 : : 2014/02/01(土) 22:58:00


    小町「なにこれ…」


    犬が目の前でアニメでしか見たことが無いような化け物に変化していく


    この時、私の頭にさっきの女性の言葉が蘇った


    『早く帰った方がいいわよ 赤い蝶を見る前にね』


    小町「い…いや…っ」

    化け物が近づいてくる
    足がすくむ


    そして…





    ガシャンッッ






    ???「……あら…面倒な事になったわね…。だから早く帰りなさいって言ったのに…」
  9. 9 : : 2014/02/01(土) 23:00:04





    公園






    八幡「……小町…?」

    公園に着くと小町が倒れていた



    八幡「どうした小町!?小町っ」

    すぐに駆け寄って声をかける



    八幡「小町!!!」




  10. 10 : : 2014/02/01(土) 23:00:34




    小町「(…あれ…?ここは…どこ?真っ暗で何も見えない…)」


    私は暗闇の中で1人佇んでいた

    そして何故か手には熊のぬいぐるみを抱いていた


    小町「!…あ」

    よく見ると熊のぬいぐるみはボロボロだった

    小町「大変…中身飛び出しちゃった…」


    するとぬいぐるみが急にこちらをぐりんっと振り返り


    『それはアナタも一緒でしょ』

    小町「え…!?」


    そして目を覚ます
  11. 11 : : 2014/02/01(土) 23:08:46


    小町「(今のは…夢…?
    ここは…公園?
    そうだ…私…倒れて…)」


    辺りを見渡す


    小町「(…人が倒れてる…?
    そうだお兄ちゃん…私…お兄ちゃんを待ってて…)」


    お兄ちゃんが目に入る
  12. 12 : : 2014/02/01(土) 23:10:04


    小町「(お兄ちゃん…?
    どうしてそんな顔をしているのお兄ちゃん?)」


    …?


    自分の手を見る


    小町「(ナニコレ…
    コレ…私の手…?)」

    自分の手は血に染まり
    指は鋭利に尖り肉片がこびりついていた
  13. 13 : : 2014/02/01(土) 23:10:50



    八幡「こ…まち……」


    ドクン・・・ ドクン・・・

    何が起きてるのか分からない
    鼓動が激しくなる
    汗も止まらない


    小町「(何なの…コレ…
    私…今…どうなってるの?)」

    お兄ちゃんが怯えた目で私を見る


    小町「(これじゃあ…まるで…)」
  14. 14 : : 2014/02/01(土) 23:12:15


    「化け物!!!!」


    小町「!」ビクッ


    「なんだありゃ!!人を喰ってやがる!!ニーチャンも早く逃げねぇとあの化け物に喰われちまうぞ!!」


    自分に投げかけられた言葉が頭の中で何度も何度も蘇る


    化け物

    化け物!

    化け物!!

    バケモノ!!!



    バッ

    私はお兄ちゃんに背を向けて逃げた

  15. 15 : : 2014/02/01(土) 23:15:12

    八幡「小町…っ」


    小町を呼び止めたが
    振り向かずそのまま走り去ってしまった



    八幡「……」

    何が…どうなってんだ…?
  16. 16 : : 2014/02/01(土) 23:19:54

    お茶を買った後…
    俺は…公園に
    小町を迎えに来て…それで…


    倒れてる小町を見つけて…


    八幡「小町!?」

    駆け寄って

    八幡「どうした小町!?大丈夫か!?」

    八幡「…小町…?」



    それで…小町を抱きかかえたら
    急に小町の身体にヒビが入って、裂け始めて…


    メリ… メリ…

    ビギャッ!!!!!


    その裂け目から血と内蔵が噴き出して、小町の身体の中から何かが飛び出した…


    八幡「…え…」

    それはまるで蛹が蝶になるように



    目の前で妹が

    化け物に…
  17. 17 : : 2014/02/01(土) 23:20:46

    八幡「…っ
    クソ…俺は悪い夢でも見てんのか?」


    ???「あらあら、こんなに喰い散らかして…これは片付けるのが大変ね」


    八幡「!え…っ、あ…アンタ…は?」



    ???「ちょっといいかしら?あの化け物の事でお話が」


    女はそう言うと
    微笑みながら近づいて来た
  18. 18 : : 2014/02/02(日) 01:14:10
    支援!
  19. 19 : : 2014/02/02(日) 01:16:17

    八幡「あんたは…?」


    ???「私はマリア。研究者よ…。アナタは?」


    八幡「比企谷…八幡…」


    俺は周りの死体の山を見回した

    これを小町がやったのか…


    マリア「…ああ…心配ないわよ?」

    八幡「え?」
  20. 20 : : 2014/02/02(日) 01:18:07

    マリア「死体はこちらで処理しておくから、大きな騒ぎにはならないわ」

    八幡「…っ、そんな事じゃなくて!
    何なんだよさっきのアレ…っ」



    八幡「目の前で妹が人を襲った!!見た事もない姿になって!!答えろよ!お前何か知ってるんだろ!?」


    マリア「…そう…
    あれアナタの妹さんなの…
    気の毒だけど、妹さんの事は忘れてもらうしかないわね」


    八幡「テメェ…何ふざけた事言って…」

    ビュッ

    八幡「!!」

    マリアは俺の目の前にナイフを突きつけながら言った
  21. 21 : : 2014/02/02(日) 01:19:03

    マリア「別にふざけてなんていないわ…。その気になれば今アナタを始末する事も出来るのよ?」

    八幡「…」

    マリア「さぁ、良い子だから大人しく忘れてしまいなさい。妹さんは私達の方でちゃんと処理しておくわ」

    八幡「忘れろ…?」


    グチャッ

    八幡「忘れろ…だと?」

    俺はマリアの持っているナイフの刃を握りしめた
  22. 22 : : 2014/02/02(日) 01:20:33

    八幡「俺にとって小町はただの妹なんかじゃねぇ。何よりも大切な存在なんだよ!!」

    今までずっと
    2人で一緒に生きてきたんだ

    八幡「小町のいない世界なんてあり得ねぇ!!」


    マリア「分からず屋」

    つまらなそうにマリアは言い放った

    マリア「でも…面白い子ね。ふふ…」

    マリアは静かに笑う


    マリア「そんなに大事な妹さんなら、そうね…ひとつ『カケ』をしてみる?」


    八幡「賭け…?小町を元に戻せるのか!?」




    マリア「うまくいけば…ね。アナタがどれだけ妹さんを説得できるか…」


    マリア「果たして『お兄ちゃん』の声は妹さんに届くのか。結果が楽しみだわ」

  23. 23 : : 2014/02/02(日) 01:22:02




    ???


    夜の森を比企谷小町は走っていた



    どうしよう

    どうしようどうしよう
    どうしようどうしよう


    人を殺して
    喰らって


    オイシくて

    こんなバケモノになって



    どうしよう

    オイシイ
    オイシイ
    オイシイ



    どうしよう


    こんなのお兄ちゃんに見られたら…




    「小町」



    そんな比企谷小町の前に
    最愛の兄が現れる
  24. 24 : : 2014/02/02(日) 01:23:03

    小町「オ…オニイ…チャ…」


    八幡は走ってきたからだろう
    顔が赤く、少し息も切れていた


    八幡「小町…小町」

    八幡は妹の名前を呼びながら小町に一歩、また一歩と近づく


    しかし

    小町「来ナイデ!!」

    小町はそれを拒否した
  25. 25 : : 2014/02/02(日) 01:24:21


    小町「アタシ…コンナ姿ニ…コンナ…」

    小町は涙を流していた



    八幡「小町!落ち着け!良い子だから」


    グチャ

    説得するために近づいた八幡の足に何かを踏んだ感触が伝わる


    八幡「…っ、これは…」

    それは人の肉だった
  26. 26 : : 2014/02/02(日) 01:26:44

    小町「ネェ…オニイチャン…
    アタシ…バケモノミタイナノ…」

    小町が泣きながら言葉を続ける

    小町「アタシ…オ腹ガスイテ、イロンナモノヲ喰ベタ…
    トリ…ネコ…イヌ…ニンゲン…」


    小町「デモマダ足リナイ…足リナイノ…。コンナ醜イ姿…オニイチャンニハ見ラレタクナカッタ」


    お兄ちゃんに見捨てられたくない
    それが今の小町の唯一の願いだった

    小町は八幡に拒絶されるのが嫌でこんな森の中まで逃げたてきたのだ

    しかし見つかってしまった
    見られてしまった

    八幡に拒絶されると思うと小町は自然と涙がこぼれた
    そして八幡からの別れのセリフを覚悟した

    だが小町が愛した兄は、こんな状況でも変わらず小町の愛した兄のままだった
  27. 27 : : 2014/02/02(日) 01:29:52

    八幡「小町」

    八幡は微笑んだ


    何年も一緒にいた兄だから分かる
    今の妹の気持ちが、不安が

    ならそれを拭い去る一言も
    八幡には分かる

    だからこそ、その一言を八幡は小町に伝えた

    八幡「大丈夫だ」


    そして化け物になった小町にそっと手を伸ばす
  28. 28 : : 2014/02/02(日) 01:31:59

    小町「オニイ…チャ…」


    八幡「大丈夫…お前はちょっと悪い病気にかかっちゃっただけだ」

    小町「ダメ…ダ…メ」


    八幡「すぐに元の姿に戻れるよ。小町は化け物なんかじゃねぇよ」

    小町の額に自分の額をくっつける

    八幡「お前、変わらず俺の事『お兄ちゃん』て言ってくれるじゃねぇか」


    八幡「俺たちずっと一緒だったろ。小町は俺の大切な大切な妹なんだ。どんな姿でも」

    そして八幡は小町の1番望んでいる一言を投げかける

    八幡「小町は小町だよ」


    小町はこの時、心の底から八幡が兄で良かったと実感した
  29. 29 : : 2014/02/02(日) 01:32:45

    八幡「だからそんなに怖がんねーでいいんだよ。こんな所で隠れて動物喰わなくてもさ」

    そう言って八幡は小町の頭をなでる

    八幡「腹減ってんなら俺が小町の好きなモンたくさん作ってやるよ。小町がこれ以上変なモン喰わないように!」



    マリア「(驚いた…羽化しているにも関わらず理性を保っている)」

    木の影で見ていたマリアが驚きの色を見せる

    マリア「お兄さんの声が届いているのね…。これなら制御できるかも…」
  30. 30 : : 2014/02/02(日) 01:41:17


    八幡「さ、一緒に帰ろうぜ、小町」

    小町「ウ…ウ…ウ…ア……アァ」

    嬉しい…私…まだ
    お兄ちゃんの妹でいていいんだ…


    小町「オニイ…チャ…」

    嬉しい!!


    お兄ちゃ…



    ブシャァァァァッ

    その時、八幡の肩から血が噴き出した

    ビシャァッ





    マリア「はぁ…」

    マリアはため息をついた


    マリア「残念だったわね、『お兄ちゃん』」



    小町は、八幡の肩に牙を深く突き刺し
    その肉を喰らっていた
  31. 31 : : 2014/02/02(日) 01:56:02
    グロあるじゃん
  32. 32 : : 2014/02/02(日) 02:28:49
    忘れてました!
    編集しときました
  33. 33 : : 2014/02/02(日) 02:55:12
    期待です
  34. 34 : : 2014/02/02(日) 03:16:16
    頑張ります(^^)
  35. 35 : : 2014/02/02(日) 03:17:34



    比企谷小町は目の前に転がっている八幡を見つめ、愕然としていた


    横たわる八幡は血だらけで、所々肉がなくなっている

    これが本当に現実なのか、疑いたくなるような無惨な光景だった


    マリア「ほらほら、女の子がいつまでもそんな格好ではダメよ」


    そう言ってマリアが小町に服をそっと着せる


    マリア「もっとも…この状況じゃ無理もないけど」


    八幡の他にも至る所に死体が転がっている
  36. 36 : : 2014/02/02(日) 03:19:00

    マリア「それにしても、こんなにまぁ…随分派手に食べたこと」

    男「マリア様、処理班が到着致しました」

    マリア「そう、作業にかかって頂戴」


    小町「!?」

    処理班が八幡を担架に乗せ車に乗せようとする

    小町「お兄ちゃん…っ」

    マリア「大丈夫よ。お兄さんの死体は私達の方で然るべき処置をしておくわ」

    小町「死…体…」

    マリア「ええ、そうよ。死体」


    小町「うそ…」

    マリア「覚えてる?覚えてるわよね?アナタ…お兄さんを食べたのよ?」


    小町「…あ…っ」
  37. 37 : : 2014/02/02(日) 03:20:19

    マリア「化け物の姿でも妹だと言ってくれたお兄さんを食べちゃうなんて…ふふ、ゾクゾクしちゃった…」

    マリアは楽しそうに話し続けた

    マリア「良かったわね、元の姿に戻れて。死んだお兄さんもきっと喜んでいるわよ」

    小町「死ん…だ…死…」

    マリア「あぁ、正確に言うと『死んだ』じゃないわね」



    マリア「アナタが喰い殺した」

    小町「…っ」


    私が…殺した…

    私が…お兄ちゃんを…

    殺した


    小町「嫌だ…っ!やだよお兄ちゃん…!こんな…こんなの…っ!起きてよ!私…元の姿に戻ったよ…!」

    小町が泣きながら呼びかけても八幡から返事はない

    小町「ねぇ…っ、お兄ちゃん…」


    八幡はそのまま車に乗せられる


    小町「ああぁあぁあああぁあ!!!」

    小町はその場に泣き崩れた

    夜の森に悲痛な叫びだけが響いていた


  38. 38 : : 2014/02/02(日) 03:21:33



    数日後


    ピンポーン

    女子A「こんにちはー。小町ちゃーん、小町ちゃんいるー?」

    女子B「出ないね…大丈夫かな?小町ちゃんが無断欠席なんて…」

    女子A「サボって旅行とか?」

    女子C「それはアンタだけでしょ」


    「小町ちゃーん」ピンポーン


    その時小町は家で座り込んでいた
  39. 39 : : 2014/02/02(日) 03:23:08

    小町「(殺した…私が…)」


    嘘…嘘だよ
    怖い夢を見てるだけ

    夢から醒めれば
    きっとお兄ちゃんが隣にいて

    それで…



    『それでまた食べるの?』

    !?



    『小町ちゃん分かってるくせに。お兄ちゃんを殺…』

    「やめて!!!!」


    小町「…っあ…」

    女子C「小町ちゃんどうしたの!?」


    あれ…?私…どうしてこんな所に…


    そうだ…みんなが家に来てくれてそれで…
  40. 40 : : 2014/02/02(日) 03:24:01

    女子C「ホラ、小町ちゃんやっぱ疲れちゃってるじゃーん」

    女子A「えー?元気出すには騒ぐのが一番いいって!!」

    女子C「小町ちゃん大丈夫?ごめんねこの子が無理矢理連れ出しちゃって」

    女子A「私だけのせいにしないでよー」


    人を見てると無意識に
    お兄ちゃんを探してる…

    でもいない

    ここにはこんなに人がいるのに
    お兄ちゃんがいない

    お兄ちゃん…
  41. 41 : : 2014/02/02(日) 03:25:14

    ドクンッ

    小町「!?」ガクッ


    女子C「小町ちゃん!?」

    何…これ…

    小町「う…っ」

    女子B「小町ちゃん大丈夫!?小町ちゃん!?」


    どうしよう

    この感じ…あの時の…


    化け物になった時と同じ…

    女子A「小町ちゃん大丈夫!?歩ける?」

    小町「ダメ!来ないで…っ」

    女子A「…え?」


    小町「ごめん…私…大丈夫…だから…ごめん!」

    私は皆に謝ってその場から走って逃げた
  42. 42 : : 2014/02/02(日) 03:26:17

    嫌…嫌だ…もう嫌だ

    こんな事思いたくない
    思いたくないのに

    この身体が欲してる


    なんて浅ましい

    友達や道行く人を見て
    『美味しそう』と思うなんて…


    食べたくない
    でもおなかが空いて
    頭がおかしくなりそうで

    食べたい…ダメ…もうダメ

    もうガマンできない…
  43. 43 : : 2014/02/02(日) 03:27:31


    「小町!!」

    すべてを諦めようとしたその時、聞き覚えのある声が聞こえて
    その人は私をそっと抱きしめてくれた


    八幡「小町…っ!大丈夫か!?」

    そこにいたのは
    いるはずのない…私のお兄ちゃんだった

    小町「お兄ちゃん…どうして…っ」

    八幡「話は後だ!こっち来い!」

    小町「ちょ、お兄ちゃん!?」

    お兄ちゃんに手をひかれる
  44. 44 : : 2014/02/02(日) 03:31:16


    小町「お兄ちゃん…?本当にお兄ちゃんなの?私…まだ夢を見てる?」


    八幡「なんだよ信じられねぇか?よく見ろよこの腐った目を。どう見てもお前のお兄ちゃんだろ?」


    小町「お兄ちゃん…生きて」

    ドクンッ

    小町「だ…だめ、お兄ちゃん…っ!私…きっとまた化け物になっちゃう!」

    小町「早く私から離れて!」


    八幡「大丈夫だ、小町」

    小町「え?」


    八幡「小町は俺が守る、絶対に!」

    小町「お兄ちゃん…?」
  45. 45 : : 2014/02/02(日) 03:34:07

    私がお兄ちゃんに連れられてやって来たのは
    人が全くいない、使用禁止の看板がたてられたトイレだった



    そして私はそこでまたお兄ちゃんを…


    ぐちゃっ ぐちゃっ

    ガリッ

    小町「ゴメン…ゴメンね…お兄ちゃん…」

    ぐちゃ

    八幡「…っ…はぁ…こ…ま……ち…」

    小町「お兄ちゃ…」

    八幡「…いいんだ…小町…」

    お兄ちゃんは笑顔で私に手を伸ばしてくれた

    八幡「俺だって…もう化け物みたいなモンだから…」
  46. 46 : : 2014/02/03(月) 02:18:09
    続き気になります!
    支援!
  47. 47 : : 2014/02/03(月) 21:49:45
    期待!
  48. 48 : : 2014/02/03(月) 23:52:47




    2日後



    はぁ… は…っ は…


    バリッ ブチブチ

    八幡「……っ」


    小町「お兄ちゃん…おにく…美味し…」

    バリバリッ

    ゴキィッッ

    八幡「痛…っ!」

    ブチブチ

    八幡「ゔああぁ…っ」


    今日もまた八幡は小町に肉を屠られていた



    マリアはこの光景を
    八幡の家に仕掛けた小型カメラによって見ていた

  49. 49 : : 2014/02/03(月) 23:53:46

    マリア「八幡くんは頑張っているみたいね」


    研究員「マリア様、あの2人を帰して本当によかったんですか?」

    マリア「さぁ…どうかしらね」


    マリアは不気味に微笑む


    マリア「もしかしたら町中で化け物になっちゃったりしてね」

    研究員「そんな…!それではリスクが高すぎます!多くの一般人が被害に…」

    マリア「アラ、別にいいじゃない。研究に多少の犠牲はつきものよ」

    研究員「多少って…人の命がかかってるんですよ!?」

    マリア「だってしょうがないじゃない、これが彼が望んだ事なのだから」

    研究員「しかし…」


    マリア「特にあの時の八幡くん…。ふふ…思い出したらまたゾクゾクしてきちゃった…」
  50. 50 : : 2014/02/03(月) 23:55:12




    2日前

    ???




    マリア「比企谷小町はそのまま経過観察。何かあったらすぐ報告なさい。じゃあね」


    ピッ


    マリア「にしても八幡くんなら小町ちゃんを止められると思ったけれど…喰い殺されるなんて期待外れね…」

    八幡がもしあの時小町を制御できていたら
    小町を人間に戻す事も可能ではあった

    しかし八幡は無惨にも喰い殺された
    もう小町が人間に戻ることはない




    マリアは少し残念に思いながらも、回収された死体の処理をしようと死体が保管されている部屋に向かった
  51. 51 : : 2014/02/03(月) 23:56:30


    ピーッ


    カードキーを通し死体保管室に入る

    マリア「…!」


    マリアはそこで驚くべき光景を目にする


    マリア「アラ不思議!八幡くん」


    そう、そこには死んだはずの比企谷八幡が立っていた

    八幡「……」ギリッ

    八幡は奥歯を噛み締めていた


    マリア「アナタが生きているなんて驚きだわ。妹さんに喰い殺されてたはずなのに…」

    マリアは八幡に顔を近づけ


    マリア「どうしてかしら?」


    八幡「テメェ…俺に触んじゃねぇ!!」

    八幡は大きく腕を振るった
  52. 52 : : 2014/02/03(月) 23:58:09

    八幡「小町はどこだ!!小町に何をした!!」


    マリア「私は何もしてないわよ。私は…ね…」

    そう言うとマリアはいきなり近くにあったメスを手に取り


    シャッ


    八幡「ぐ…っ」

    八幡の腕を切りつけた



    八幡「…くそ…っ。テメェ…」


    マリア「やっぱりね…。ねぇアナタ、今切られた所を見てみなさいな」

    八幡「あ?」


    八幡が自分の腕に目を向けると

    シュルルルッ

    スーッ


    八幡「…っ?!傷が…消えた…!?」
  53. 53 : : 2014/02/03(月) 23:58:57

    マリア「これでようやくアナタが生きていた理由が分かったわ」

    八幡「なに…?」

    マリア「アナタ、感染してるわね」


    八幡「感染…?何に…。!」

    ふと八幡は気づく

    八幡「まさか…小町…も…」


    マリア「察しがいいわね。その通りよ、アナタ達は今未知のウイルスに感染しているの」


    八幡「未知の…ウイルス?」


    マリア「そう、『pupa【ピューパ】』」

    マリア「宿主に驚異の回復力を与える代わりに耐えがたい空腹感を苛ませる。
    やがてそれは宿主の細胞をも蝕み異形の姿へと変質させてしまう。妹さんみたいにね」


    八幡「…」
  54. 54 : : 2014/02/03(月) 23:59:55

    マリア「普通は感染した時点で死ぬんだけどね、ごく稀にいるのよねぇ…。ウイルスとシンクロして羽化しちゃう人が」

    八幡「羽化…」


    マリア「でも…それにも増して気になるのはアナタ…。pupaに感染しているのにどうして羽化しないのかしら?」


    マリア「アナタの体…面白そうね…」

    八幡「…!」


    研究員『マリア様!緊急事態です!』

    マリア「何があったの?」


    研究員『今そちらのモニターに映像を送ります』


    パッ


    モニターに映し出されたの苦悶に顔を歪めている小町だった
  55. 55 : : 2014/02/04(火) 00:00:45

    八幡「小町!!」


    研究員『極めて危険な状態です。このままでは再び羽化するのも時間の問題かと…っ』


    八幡「な…何だよ…これ…」


    マリア「しょうがないわね。1番近い部隊を呼んで捕獲するわ」


    八幡「ふざけんな!小町は俺の妹だ!お前等のオモチャになんかさせるかよ!!」


    マリア「…ふ……ふふ…」

    八幡「…?」


    マリア「そうだったわね、アナタ妹さんのためなら何でも出来るのよね。なら一つ提案をしましょうか」


    八幡「提案?」


    マリア「アナタ、妹さんの生き餌になれる?」
  56. 56 : : 2014/02/04(火) 00:03:00

    八幡「生き…餌…?」


    マリア「そう、生・き・餌♡」


    そう言ってマリアは小瓶を取り出す

    マリア「これ、私が作った薬。抗pupa薬」

    八幡「薬…」

    マリア「これね、一時的に羽化を抑える作用があるの」

    八幡「何だよ、そんな便利なモンあんのかよ!」

    マリア「ところがまだ開発段階でね。薬単体じゃ効果がないのよ。生きた人間の細胞と結びつけないと、ね」


    八幡「生き餌…人間の細胞…」


    マリア「これからずっと妹さんに喰われ続けられる?お兄ちゃん?」



    八幡「当たり前だろ」


    八幡は即答する



    八幡「ためらう事なんか何もねぇ。小町は俺が守る!!さっさと俺を小町のところへ連れていけ!!」


    マリア「ふふ、やっぱりアナタ面白いわ」


  57. 57 : : 2014/02/04(火) 00:03:46









    小町「…お兄ちゃん?」

    八幡「あ、あぁ」


    小町「大丈夫?ちゃんと傷…ふさがって…る…?痛く…ない…?」


    小町が心配そうに俺の身体を見る

    八幡「大丈夫だよ。あの女も言ってたろ?今の俺達ならどんな傷も瞬時に治っちまうって。だから心配いらねぇよ」

    小町「お兄ちゃん…」





  58. 58 : : 2014/02/04(火) 00:04:53







    マリア「いい?薬の効果は約72時間。八幡くんには3日に一度この薬を服用してもらうわ。そして妹さんの発作の度に生き餌になる事」


    マリアが俺に薬を手渡す


    マリア「というわけで3日毎にこっちに薬を取りにきてもらうけど…いいかしら?」


    八幡「あ?そんな回りくどい事しねーで一気によこせよ。俺らに首輪でもつけたつもりか?」

    マリア「保険よ、勝手なコトされないように…」


    マリア「…というのは冗談で正直一度に大量生産できる薬じゃなくてね。定期検診もしたいし」


    小町「お、お兄ちゃん。生き餌って…今日みたいな事をずっとやっていくの?お兄ちゃんはずっと私に食べられるの?」

    八幡「…」
  59. 59 : : 2014/02/04(火) 00:06:15

    小町「私のせいでお兄ちゃん…ずっと苦しむの?そんなのダメだよ…っ」

    八幡「小町…」


    小町が泣きそうな顔になる


    八幡「そりゃな、生きたまま喰われんだ、かなり痛いぜ」

    小町「…っ!」


    八幡「いやー、もう気がとびそうになるし痛いし、もう辛いのなんのって」


    小町「ご…ごめんなさ…」

    八幡「でもさ」



    八幡「やっぱ小町がいなくなる方が、もっと辛いんだよ」


    小町「お兄ちゃん…」


    小町を抱きしめながら心に誓った

    死んででも守ると


  60. 60 : : 2014/02/04(火) 00:11:36






    5日後




    小町「あ…あの…お兄ちゃん…」

    八幡「ん?」


    小町「私…学校行っていいのかな…」

    八幡「え?」


    小町「だって私…化け物だよ?人を食べるんだよ?…もし学校であんな事になったら…私…」


    八幡「小町…」



    小町「…な、なんてね!冗談だよ冗談!」



    八幡「…大丈夫だよ。最近は少し発作の間隔も延びてる気もするし、学校行ってる間くらいは大丈夫」


    小町「そ、そうだよね!お兄ちゃん信じる!」


    八幡「あぁ」

    小町「じゃあ私先に行ってるね!お兄ちゃんも後からちゃんと来るんだよ」

    八幡「分かってるって、あの女から薬貰ったらそのまま学校行くよ」

    小町「そっか!じゃあ行ってきまーす!」

    八幡「いってらー」
  61. 61 : : 2014/02/04(火) 00:13:02


    俺だって分かってる
    こんな状況で学校なんか行ってる場合じゃないって事くらい



    でも俺はこうして小町と普通の生活を過ごしておきたいと思ってしまった

    これは俺のわがままだ
    ゴメンな小町

    だけど、許してくれ


    せめて…




    せめて俺がいなくなるまでは…
  62. 62 : : 2014/02/04(火) 00:14:29





    俺は小町にまだ話していない事があった

    小町が人間に戻れる時
    それが俺が死ぬ時だという事を






    3日前





    マリア「アナタ、妹さんのためなら何でも出来ると言ったけど…本当に何でも出来る?」


    八幡「どういうことだ?」


    マリア「つまり、妹さんのために、死ねる?という意味よ」

    八幡「何…?」


    マリア「妹さんを人間に戻す方法が一つあるわ」

    八幡「本当か!?」
  63. 63 : : 2014/02/04(火) 00:14:58

    マリア「えぇ、その代わり、アナタは死ぬ事になるわ。アナタはそれを受け入れられる?」


    八幡「つまり、俺が死んで小町が生き延びる結末を受け入れられるか、ってことか?」


    マリア「えぇ」


    八幡「当たり前だ」

    マリア「また即答ね」


    八幡「あぁ、あいつは俺が守るって決めてるからな、俺が死んであいつが助かるなら喜んで死んでやるよ」


    マリア「…そう。ならこれを見て」

    マリアはまた小瓶を取り出した
  64. 64 : : 2014/02/04(火) 00:15:50

    八幡「抗pupa薬?」


    マリア「少し違うわ。抗pupa薬の濃度を10倍にしたものよ」


    八幡「10倍…」


    マリア「これを飲み続ければ、アナタはいずれpupaウイルスによる再生力がなくなるわ」

    八幡「ちょっと待てそれじゃ小町の生き餌になれないじゃねぇか!」

    マリア「落ち着いて」

    八幡「…っ」


    マリア「この薬も真の効果を発揮するには人の細胞と結びつけないといけないのよ」

    八幡「…」


    マリア「真の効果を発揮しなくてもアナタから回復力を奪うこの薬が、真の効果を発揮すればどうなるか、アナタなら分かるでしょ?」


    八幡「あ…っ」
  65. 65 : : 2014/02/04(火) 00:16:56

    マリア「そういうこと、この薬は原液を飲んだアナタより、アナタの妹さんに対して更なる効果を発揮するの」

    八幡「なるほど…な。そりゃ確かに俺の再生力がなくなる頃に小町が普通の人間に戻れても不思議じゃねぇわな」

    マリア「やっぱり物分りは良いわねアナタ」


    八幡「じゃあ俺はこれからそっちの薬を飲んで小町の生き餌になりゃいいんだな?」

    マリア「えぇ」


    八幡「本当にそれで、小町は人間に戻れてるんだろうな?これで俺が死んでも人間に戻れませんでしたじゃ話になんねぇぞ」


    マリア「その心配はないわ。一度だけ、アナタの前にそれを飲んで生き餌になった人がいたけど、無事生き餌を食べた方は人間に戻れたわ」


    八幡「…そうか。分かった…それで、俺はいつ頃から再生力を失い始める?」

    マリア「早ければ一週間もしない内に効果が出始めるわ。その場合完全に再生力を失うのは恐らく10日後くらいかしら」

    八幡「なるほど…な」



    マリア「これを飲めばアナタはあと二週間も生きられない。それでもいいの?」

    八幡「関係ねぇな。俺の答えは変わらない」

    マリア「…健闘を祈るわ」
  66. 66 : : 2014/02/04(火) 00:21:26



    自宅




    小町「おかえりお兄ちゃん!」


    八幡「おう、ただいま」


    小町「ちゃんと学校行った?」


    八幡「当たり前だろ」


    小町「そっか!お兄ちゃんえらーい!」


    八幡「だろ?」


    小町「それで、どんな…」

    ドクンッ


    小町「…っ」


    八幡「小町!」

    小町「お兄…ちゃ」

    俺は急いで服を脱ぎ捨て
    小町と浴槽へ向かう

    そして

  67. 67 : : 2014/02/04(火) 00:21:57

    ガリッ

    八幡「…っ」

    はぁ……は……ぁ…

    ゴリゴリッ

    八幡「ゔぁっ…」


    小町「お兄ちゃん…お兄ちゃん…」

    ブチッ ブチブチ

    八幡「がぁぁあ…っ」


    はぁっ……は…っ……

    小町「お兄…ちゃん…」

    八幡「大丈夫…だ…」

  68. 68 : : 2014/02/04(火) 00:22:34

    …おかしい、痛みがすぐにおさまらねぇ…?
    喰い千切られた部分も治ってきてはいるが
    今までみたく瞬時に治らない


    八幡「(これが…薬の効果か…)」


    なるほど、こりゃ劇薬だ
    3日でこれとか濃度10倍も馬鹿にできねぇな

    俺にこれだけ効果が出てるなら
    小町にも着実に効果は出てるはずだ

    もうすぐ、もうすぐ終わるからな小町

    お兄ちゃんが絶対助けるから

  69. 69 : : 2014/02/04(火) 00:23:35







    小町「ねぇ…お兄ちゃん…」

    八幡「どした?」


    小町「お兄ちゃん…なんでまだ腕の肉が…抉れてるの…?」

    八幡「あ、あぁ…なんでかな。小町が食欲旺盛だからじゃねぇか?お前俺の肉喰ってる時一心不乱だしよ」

    小町「でも…今までこんなこと…」

    八幡「でもほら、もう治ってるだろ?」

    小町「あ、本当だ」

    八幡「たまたま喰ったとこが集中してただけだよ」


    小町「そ、そっかぁ。良かったぁ」


    八幡「さてと、お前先シャワー浴びてこいよ」

    小町「うん!」





    八幡「(再生力が落ちるって予想以上につれぇな…まぁ、こんなんで音を上げるわけにもいかねぇ)」

  70. 70 : : 2014/02/04(火) 00:24:43





    それから一週間は本当にあっという間だった


    寝て起きて、小町と学校に行き
    授業も上の空だけど出て
    部活には行かず
    帰ってきて…

    頻度は下がったといえ
    たまに小町が発作を起こして
    生き餌になって


    それを繰り返しているとタイムリミットの一週間はすぐに訪れた


    今日で…終わる
    終わらせるんだ

  71. 71 : : 2014/02/04(火) 00:26:49

    マリアが言うには、pupaウイルスは死滅する直前に最後の食欲を爆発させるらしい

    そのタイミングで俺が喰われれば
    死滅直前のウイルスにトドメを刺す事ができ、小町が人間に戻れるとのことだ


    だからいつ発作が来ても良いように
    今日は小町には学校を休ませた



    小町「なんで今日私達学校休まなきゃいけなかったの?」


    八幡「さぁな、詳しい事は俺も知らん。ただマリアに休めって言われたんだから仕方ないだろ」

    小町「なんでなんだろうね?」


    八幡「マリアなりの考えがあるんだろうな」


    小町「ふーん、私達にも教え…」


    ドクンッ

    小町「あ…っ……う」

    来たか

    八幡「小町!」
  72. 72 : : 2014/02/04(火) 00:29:01


    いつものように浴槽へ連れていこうとしたが
    それよりも早く小町の歯が俺の胸に突き刺さる


    八幡「…っがあぁあああああぁぁああ!!!」

    八幡「(な、なんだこの痛みはっ!?まさか今までの痛みは再生力のおかげで軽減されたものだったってのか!?)」

    ブチブチ ブチブチ

    八幡「うああぁぁあぁぁあっっ!!」


    再生力が無いとここまで辛いもんなのかよ…

    痛い
    熱い
    めまいがする
    頭もクラクラして…

    意識が遠のく…
  73. 73 : : 2014/02/04(火) 02:04:51




    「お兄ちゃん…っ」



    しかし遠のいていく意識のなか
    俺を呼ぶ声が聞こえる


    八幡「…っ」


    意識を覚醒させる


    八幡「こま…ち…っ!」


    小町「お兄…ちゃん…っ」

    小町な泣きながら肉を屠っていた


    しかし途中で口を止めた
  74. 74 : : 2014/02/04(火) 02:05:56


    八幡「小町…っ?」


    小町「あ…あっ…お兄ちゃん…どうし……て?」


    小町は青ざめて


    小町「どうしてお兄ちゃん…傷が治って…ない…の…?」


    八幡「(気づかれた…っ!)」


    小町「お兄ちゃん…まさか……っあぁううっ…」


    ブチブチ

    八幡「ぐぁぁぁああっっ」

    どうやら小町が理性を取り戻したのは一時的なもののようだ


  75. 75 : : 2014/02/04(火) 02:08:51

    しかし一時的とはいえ理性を取り戻したのは十分すごい事だ
    マリアが言うにはウイルス暴走中は理性でなんとかできるレベルではないらしい


    それなのに小町が理性を取り戻したいうことは、それほどまでに小町が自分の事を心配してくれていたという事だろう


    素直に嬉しかった
    だからこそ



    だからこそそんな妹のためになら命を捨てられると
    命を捨ててでも助けたいと改めて思った



    八幡「お前が妹で本当に…良かったぜ小町」


    そして
    八幡の首に
    小町のトドメの歯が突き立てられ…



    ることはなかった


    小町の歯は
    八幡の首ギリギリのところで止められていた
  76. 76 : : 2014/02/04(火) 02:10:24

    八幡「…え?」


    小町「い…や……」


    小町は大粒の涙を流していた


    小町「お兄ちゃん…を…殺し…たく…ない…。喰べたく…ない……死んで欲しく……ない…よぉ…」

    小町の肩が震えている


    必死にウイルスに抗っているのだろう


    八幡「小町…」


    小町「もう…いや…なの。お兄ちゃんが辛そうに…苦しそう…に…痛…そうに…してるのを、見るの…は…」


    小町「私…最初に化け物になった時…優しい言葉をかけてくれた…お兄ちゃんを…喰い殺し…ちゃって…」


    八幡「…」
  77. 77 : : 2014/02/04(火) 02:11:07

    小町「あの時…お兄ちゃんが…ウイルスに感染してたのは…本当に…偶然で、普通なら…お兄ちゃんはもう…死んじゃってて…」


    小町「お兄ちゃんがいなくなって…隣にお兄ちゃんがいない寂しさを知って…もう二度とあんな思い…したくない…って…思った…」


    小町「お兄ちゃん…には生きてて…欲しい…っ、だから、私はウイルスなんかに…負けないよ…、お兄ちゃんを…喰い殺したりなんて…絶対…しない!したく、ない…っ!」


    八幡「小町!」

    俺は小町を抱きしめた


    八幡「知ってる、俺はお前の強さを知ってる!だから帰ってこい!!お前は俺の妹だろ!ならウイルスなんかに負けんなっ!!」


    小町「お兄…ちゃん…っ!」
  78. 78 : : 2014/02/04(火) 02:13:50


    バンッ

    その時、急に部屋の扉が開けられた


    八幡「え、マリア…?」


    マリア「2人とも、よく頑張ったわね」


    そう言うとマリアは注射器を取り出し
    小町の腕にさした


    小町「あぁあぁぁああぁあっ!!!」

    小町が苦しそうに悲鳴をあげた


    八幡「お、おい!何をした!小町はなんで苦しんで…っ」

    マリア「今苦しんでるのは小町ちゃんじゃないわ、pupaウイルス自身よ」

    八幡「…え?」
  79. 79 : : 2014/02/04(火) 02:17:21

    マリア「これで小町ちゃんの意思が勝てば、ウイルスは死滅して小町ちゃんは人間に戻れるわ」


    八幡「(小町…小町…負けるなっ!)」


    小町「あああぁぁっ!あああ!!」


    八幡「小町!帰ってこい!!」


    小町「うあぁぁぁぁぁぁああ!!あああ…っ」


    急に声が途切れたと思うと小町はその場に倒れこんだ


    八幡「小町!!」

    俺はすぐに小町に駆け寄った


    マリア「どうやら…成功のようね」

    八幡「なんでそう言い切れるんだ?」


    マリア「もしウイルスに負けていれば小町ちゃんはまた化け物の姿になっていたはず、今も人間であるということはウイルスに打ち勝った証拠よ」


    そうか…小町はウイルスに勝ったのか…


    八幡「…良かった…小町…本当に…」

    小町は…人間に戻れたんだ…
  80. 80 : : 2014/02/04(火) 02:19:26



    八幡「てか、あんた小町に何を注射したんだ?」

    マリア「私が作った、身体からpupaウイルスを消す薬よ」

    八幡「んなもんあったんなら先に教えろよ!」

    マリア「バカね、誰にでも使えるわけじゃないから言わなかったのよ」

    八幡「え?」



    マリア「この薬は対象者の理性に比例して効果の強弱が変わるの。絶対にウイルスに負けたくないって、心から思ってる人にしか使っても意味がないの」

    マリア「それこそ、小町ちゃんみたいな理性を持った人間にしか、ね。兄妹愛も馬鹿にできないわね。pupaウイルスに打ち勝つなんて…」

    八幡「それ褒めてんのか?」


    マリア「小町ちゃんをね、アナタはただのシスコンじゃない。どうせ小町ちゃんに齧られて興奮してたんでしょ?」


    八幡「ちょっとだけな」


    マリア「ごめんなさい本気で引いたわ」

    八幡「おい…」
  81. 81 : : 2014/02/04(火) 02:21:26

    マリア「ま、これで小町ちゃんも人間に戻れたわけだし一件落着ね」

    八幡「いや待て、なぁそういや俺の身体ってどうなってんの?」

    マリア「あなたはそもそも羽化すらしてない特異体で、ウイルス自体も完全に発症していなかった。そこにあれだけ私の薬を飲んだのだから完全に死滅してるでしょうね」


    八幡「じゃあ、俺たちは人間に戻れたのか…?」


    マリア「そういうことよ、おめでとう。まぁ、これからは変なウイルスに感染しないように気をつけなさい」


    八幡「肝に命じとくよ」


    マリア「じゃあね八幡くん」


    八幡「あぁ…。ありがとうございました」


    マリア「……意外と可愛いとこあるじゃない」ボソ


  82. 82 : : 2014/02/04(火) 02:31:36





    翌日




    小町「おはようお兄ちゃん!」


    八幡「おう、おはよう小町」


    小町「なんか、こんな普通の生活がすごく新鮮に感じるね」

    八幡「まぁ…ここ最近は異常だったからな…」


    小町「でもこうしてまたお兄ちゃんと一緒にいられるようになって小町、嬉しいよ!あ、今の小町的にポイント高い!」

    八幡「あぁ、高い高い」


    小町「もー、適当だなー」

    八幡「ほら、早く用意しねぇと遅刻すっぞ」


    小町「はーい。あ、それとお兄ちゃん」



    八幡「ん?」



    チュッ




    八幡「…え?」


    小町「大好きだよ、お兄ちゃん!」






  83. 83 : : 2014/02/04(火) 02:36:44
    面白かったです!
    次回作に期待(^^)
  84. 84 : : 2014/03/24(月) 07:42:00
    めぐりとの、イチャラブ書いてください
  85. 85 : : 2014/03/25(火) 02:57:09
    この投稿は削除されました。
  86. 86 : : 2014/03/27(木) 12:07:56
    >>85
    死んでください
  87. 87 : : 2014/03/27(木) 20:08:34
    この投稿は削除されました。
  88. 88 : : 2014/04/08(火) 12:56:17
    この投稿は削除されました。
  89. 89 : : 2014/04/08(火) 12:56:32
    この投稿は削除されました。
  90. 90 : : 2014/04/08(火) 12:56:42
    この投稿は削除されました。
  91. 91 : : 2014/04/08(火) 12:57:32
    この投稿は削除されました。
  92. 92 : : 2014/04/08(火) 13:09:57
    荒らしさん、通報しました
  93. 93 : : 2014/04/09(水) 08:28:34
    この投稿は削除されました。
  94. 94 : : 2014/04/27(日) 04:09:03
    >>83~93
    はいはい、黙ろうね(#^ω^)ピキピキ
  95. 95 : : 2014/04/27(日) 04:42:50
    この投稿は削除されました。
  96. 96 : : 2014/05/03(土) 21:25:04
    >>95
    おいおい>>94これだけで結婚で嘘にもほどがあるぞ(笑)
  97. 97 : : 2015/02/06(金) 21:42:48
  98. 98 : : 2015/03/06(金) 04:47:43
    まさかさっき読んだのが六氏の処女作だったとは…pupaとクロスとはマイナーながらも拙者の知っている作品とクロスしていて嬉しい
    まぁ拙者はカクサンキボウの動画を見ただけで実際にプレイはしとらんがな
  99. 99 : : 2017/08/14(月) 01:33:36
    マリアって?
  100. 100 : : 2019/03/19(火) 00:12:13
    素晴らしいですねぇ超愛の信徒よ
    脳がフルエルゥゥゥゥウ
  101. 101 : : 2020/09/28(月) 11:21:44
    高身長イケメン偏差値70代の生まれた時からnote民とは格が違って、黒帯で力も強くて身体能力も高いが、noteに個人情報を公開して引退まで追い込まれたラーメンマンの冒険
    http://www.ssnote.net/archives/80410

    恋中騒動 提督 みかぱん 絶賛恋仲 神威団
    http://www.ssnote.net/archives/86931

    害悪ユーザーカグラ
    http://www.ssnote.net/archives/78041

    害悪ユーザースルメ わたあめ
    http://www.ssnote.net/archives/78042

    害悪ユーザーエルドカエサル (カエサル)
    http://www.ssnote.net/archives/80906

    害悪ユーザー提督、にゃる、墓場
    http://www.ssnote.net/archives/81672

    害悪ユーザー墓場、提督の別アカ
    http://www.ssnote.net/archives/81774

    害悪ユーザー筋力
    http://www.ssnote.net/archives/84057

    害悪ユーザースルメ、カグラ、提督謝罪
    http://www.ssnote.net/archives/85091

    害悪ユーザー空山
    http://www.ssnote.net/archives/81038

    【キャロル様教団】
    http://www.ssnote.net/archives/86972

    何故、登録ユーザーは自演をするのだろうか??
    コソコソ隠れて見てるのも知ってるぞ?
    http://www.ssnote.net/archives/86986

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mui

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