(ムリムリムリ。終わったー。)
学園への教室へ行く途中、私は青白い顔でムリを連呼していた。
突然だが、私には前世の記憶がある。

その前世の記憶によれば、私が転生しているのは乙女ゲームの世界で、ヒロインである私は、これから悪役令嬢であるマリーに虐められるのだ。

これまでもそのストーリー通りに進んできた。
当然、マリーにも虐められるに決まっている。

(ムリです、神様。何でこんな世界に転生させたの。)

そう思いながらもついてしまった教室の扉を開ける。
その中の一つの席に座ると、教室の扉が開き悪役令嬢、マリーが入ってきた。

(来たーー!!!!)

マリーはこちらを少し見て、隣の席に座る。

そして眉間にシワを寄せ…ず満面の笑みでこちらを振り向く。

「こんにちは、私はマリーよ。よろしくね。」

「あ…。私はベルです…よ、よろしく…」

ん?!ちょっと待て。

悪役令嬢、ふつーに好感度高めなんだが?!