この作品はオリジナルキャラクターを含みます。
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#2 いとしむ【セレナ続き2】
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- 1 : 2014/01/29(水) 12:18:55 :
- #0生まれる、#1集うに続き、3作目のオリキャラ作品になります。
よろしくお願いします。
842年、エルヴィン.スミスは、地下街で身売りをする少女を救い、セレナ.ラングレーという名前を授ける代わりに、訓練兵となり、調査兵団に志願することを約束させる。
翌、843年、セレナは訓練兵に志願し、ペトラ.ラル、オルオ.ボサドと出会うのだった…
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- 2 : 2014/01/29(水) 12:32:34 :
- あの日以来、ペトラとセレナは友達になった。
ペトラは積極的にセレナに声をかけ、セレナと一緒にいるようにした。
セレナは戸惑いながらも、それを拒まず受け入れた。
「おはよう!セレナ…」
「ねぇねぇ、セレナ、聞いてよ…」
「セレナ………」 ペトラの笑顔を見ているうちに、セレナは、自分の中にある冷たい何かがゆっくりと溶けだしているのを感じた。
セレナは、笑うことを思い出した…
翌、844年ー
「…でさ、久しぶりに街に出てみたんだけど、もう欲しい洋服は並んでな
くてさ…なんか違うデザインのが増えてたのよね…」
休憩時間。ここは食堂である。ペトラ、セレナ、そしてなんとオルオの3人は、並んで座り、談笑していた。このオルオという少年、なぜかペトラと気が合うらしく、セレナを含め、3人の友情は深まっていくのである。
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- 3 : 2014/01/29(水) 12:46:21 :
- 「やっぱりデザインにも流行り、廃りがあるんだよ。自分に似合うと思う
物を選べば問題ないよ。」 と、セレナ。
「…つーか、お前よぉ、せっかく外出許可がおりたんなら、もっと有効に
使えよな…」 オルオは言う。ペトラは不服そうに、
「なによ、買い物だって大切でしょ。自分の私服を揃える時間なんて、そ
うあるもんじゃないわ。」
「けっ。兵士が色気づいてどうすんだ…」
「男子には分かんないのよ。とくにオルオには。」
「ああ?なんだよそれ…」
ペトラとオルオの掛け合いに、セレナは呆れ顔で見守る。それがいつもの光景になりつつあった。
「二人とも…その辺にしないと…それにオルオ?ペトラの私服姿、見たこ
とある?」 「へ?」
意外な質問に、オルオは間の抜けた声を出す。セレナは、いたずらっぽくオルオを見て、
「かわいいわよ?」 と言ってみせる。オルオの顔がみるみる赤くなる。
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- 4 : 2014/01/29(水) 13:03:18 :
- セレナは、オルオがペトラに対して特別な感情を抱いていることを、誰よりも、もしかしたら本人よりも先に見抜いていた。セレナには、他人の深層心理を見抜く能力がずば抜けて高かった。皮肉にも、地下街での経験が生かされているのである。
「オルオには、一生見せない!」 ペトラはそっぽを向いたまま言い放つ。
「別に見たかねぇよ、そんなもん。」
赤面したまま、オルオもそっぽを向いた。
やれやれ…セレナは息をつき、ふっと微笑した。
ペトラは、オルオの気持ちに気づいていない…セレナはそうみていた。オルオは、ペトラを幸せにできるのだろうか。
確かに、オルオは優しい…私のことも助けてくれた…あか抜けてなくて、ぶっきらぼうで、生意気そうにみえるけど、正義感が強く、困っている人を放っておけない、心根の優しい少年だ。
オルオと一緒にいて、ペトラは幸せだろうか…。
セレナはいつしか、ペトラの幸せを考えるようになった。自分は、ペトラに救われた。その気持ちが、セレナに根付いていた。
私は、ペトラの幸せのために、精一杯の事をしよう。調査兵団に入り、巨人を絶滅させ、自由をペトラのためにつかみとろう…。
それがセレナの、もう1つの目的になった。
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- 5 : 2014/01/29(水) 13:09:35 :
- ペトラとオルオの掛け合いは続く…
「そんなもん、とは何よ!あんたの私服より数百倍マシよ!」
「オレの私服なんていつ見たんだよ!?」
「この前の休日、あんた街へ出掛けてったでしょ?そん時私もいたの!あん
まりにもダサいから、声掛けなかったけど。」
「お前がオレのセンスにたどり着くまでには、まだ早ぇんだよ!」
「そんなの永遠にたどり着きたくないわ!」
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- 6 : 2014/01/29(水) 13:14:59 :
- 「2人とも!もうやめなさい!ほら、休憩時間、もうすぐ終わるから…ほら
ほら、ペトラも機嫌直して…」
セレナは2人をなだめながら、食堂の外へと促した。
この2人は…これで訓練が終わると、ケロッとした顔でまた一緒につるむんだから…おかしいったらない…。
セレナは、ふっと微笑んだ。この瞬間が大好きになった。
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- 7 : 2014/01/29(水) 13:31:57 :
- (ペトラの私服、か…)
1日の訓練を終え、男子寮に戻ったオルオは、布団の中で1人、物思いにふけっていた。
自分がペトラの事を好きだと分かりはじめたのは、つい最近の事だった。周りでは、○○○が○○○を好きだとか、○○○と○○○が交際している、だとか、そんな話題が出るようになった。もちろん、教官には秘密だ。
(ペトラ…いつも兵服姿しか見てないけど…ペトラの私服姿…かわいいん
だろうな…)
そう思うと、自然と顔がニヤける。そして
(オレの私服…そんなにダサいのかよ…)
と思い、ため息をつく。
…ふと、隣の話し声が気になり始める。
(バカな連中だ…夜更かしなんてすりゃ、明日の訓練に響いて大ケガする
ってのによ…) とはいえ、自然と耳を傾けてしまう。
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- 8 : 2014/01/29(水) 13:48:41 :
- 「おお、マジかよ…」 「それで…どうなんだよ…」
低い声であったが、静まり返った寝室に、その話し声はよく響いた。
オルオは、たまらなくなって
「…おい、何話してんだよ…眠れねぇじゃんかよ…」
少年たちは、オルオの声に最初ビクリとしたが、オルオだと分かると、ほっと胸を撫で下ろした。
「…なんだ、オルオか…びっくりした…ちょっと、オルオも来いよ。」
少年の1人が手招きする。
「はあ?何だよ…」
そうぼやきながらも、オルオは少年たちのいるベットへと移動した。少年たちの輪の中に入る。
「…こいつがな…」
1人の少年が指さされる。さされた少年は、照れくさそうに下を向く。
「○○○と、ヤッちまったってよ…」 「はああ!?」
オルオは思わず声を上げた。
「しーっ!!声が大きい。」
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- 9 : 2014/01/29(水) 13:58:29 :
- (………おいおい…ヤッちまった…女子と…ヤッたって事はつまり…まぁ
…そういう事だ。) オルオにも理解はできた。
訓練兵に入団してから1年以上が経ち、オルオたちも13,4才を迎える年頃になっていた。思わず、生唾を飲む。
「へっくだらねぇ…オレはもう寝るぜ…」
これ以上聞いていたら、本当に眠れなくなってしまう。オルオは早々に少年たちの輪から外れた。背を向けるオルオに、少年の1人が声をかける。
「お前もがんばれよ…ペトラと。」
オルオの背に、少年たちの笑い声が響く。オルオは、自分の枕を少年たちにぶん投げた。
(ちくしょう…本当に眠れないじゃんかよ…)
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- 10 : 2014/01/29(水) 14:12:19 :
- 翌朝…。オルオを含む、昨晩密談を楽しんでいた少年たちは、目にクマを浮かべたまま、訓練に挑んだ。
オルオは、訓練でミスを連発し、危うく大ケガしそうになり、教官にひどく叱られた。
訓練終了後、ペトラとセレナがオルオの所へやって来た。
…嘲笑されるのではないかと、オルオは身構えた。しかし、オルオが見たのは、ペトラの心配そうな顔だった。
「オルオ、大丈夫?体調でも悪いの?」
「いや、別に…」
「目の下…クマが出来てるわね…」 セレナが指摘する。
「オルオ、寝てないの?ダメだよ!きちんと寝ておかないと…本当に危険だ
よ。」 ペトラは、心底自分の事を心配しているようだった。
自分を見つめてくるペトラ…かわいい…。
(あ~も~…今夜も眠れねぇじゃんかよっ!!)
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- 11 : 2014/01/29(水) 14:14:47 :
- こうして第100期訓練兵は、鍛練を重ね、
845年、ウォール.マリア陥落を経て、
846年、解散式を迎えた…。
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- 12 : 2014/01/29(水) 14:26:03 :
- 以上で、#2 いとしむ を終了させていただきます。
当初のでは、#2話の時点でリヴァイ兵長を登場させる予定でしたが、どう
しても今回のエピソードをつけ加えたかったため、次回に持ち越しとなり
ました。ご了承下さい。
では、次回の予告を…
晴れてペトラ、オルオ、セレナを含めた第100期訓練兵は、解散式を終え、所属兵団を決める事になります。
言うまでもなく、ペトラ、オルオは調査兵団に志願し、セレナも志願することになります。次回は、ペトラ、オルオは、いかなる理由で調査兵団を志願したのか、かの有名な(?)ペトラ、オルオの初陣はどのようなものだったのかを、描いてみたいと思います。
読んでいただき、ありがとうございました。
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