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愛と希望と無限の可能性!!

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  1. 1 : : 2020/07/11(土) 19:53:32
    Characters

    十刹(つなしせつ) 男 16歳
    高校二年生。平凡な少年と自称している。


    鈴音鈴音(すずおとれいね) 女 16歳
    高校二年生。刹の幼なじみ。


    佐藤(さとう)
    謎の人物。名前、性別、年齢不明。

  2. 2 : : 2020/07/11(土) 20:10:06
    1 デアイ


    「すみませーん......」


    鈴音「はい?」


     彼女の下校中、一人の女性が声をかけてきた。小雨がパラパラと降るなか、女は困ったような顔をして突っ立っていた。


    「あのぅ、コンタクト落としたみたいで......すいません、探すのを手伝ってほしいんですけど」


     鈴音は心底、雨だしさっさと帰りたい、と思っていたが、女の頼みを無下に断ることもできなかった。


    鈴音「あ、はい。わかりました」


    「アア、ありがとうございます!! アナタのお名前は何と言うんですか?」


    鈴音「鈴音鈴音です」


     彼女は自分の名前を誇らしげに言った。名字と名前が同じ漢字。小学生の頃はこの名で多少はからかわれ、忌み嫌っていたものの、今となってはその名前を好きになっていた。


    (刹くんの名字に比べたら、珍妙じゃないかもしれないけど)


    「私は佐藤です」


     女、佐藤は奇妙な笑顔を向けて言った。












    ブオオォォォォォォォオオン──オオオオオオオン──。



    「じぃつに素晴らしい!!」


     その男は、バンと机を叩き感嘆の声を上げた。


    「ヒヒヒッ、私は笑を止メルことができないよぅ、ヒヒヒイッ!!」
  3. 3 : : 2020/07/11(土) 20:26:23
    2 暗い部屋



    鈴音「......?」


     少女は、暗い部屋で目を覚ました。


    鈴音「ここは......?」


     彼女の最後の記憶は、佐藤と名乗った女の笑顔である。たしかその後、彼女とコンタクトを探し──


    鈴音(いや、探していない。そんな記憶はまったくない。とりあえず、ここはどこ──?)


     鈴音が立とうとすると、ジャラッという金属のような音が鳴った。それと同時に、首や腕や脚が何かに引っ張られるような感覚を覚える。彼女は何が起こっているのか、すぐに理解した。


    鈴音(──縛られているんだ、大の字で。ダメだ、全然立てない......まさかこれって、誘拐!!?)


     彼女のその考えは負の螺旋を巻き起こした。家族のこと、親友のこと、学校のこと、それから自身の身の安全のこと。次から次へと不安が襲ってくる。


    鈴音「誰か!! 助けてェェェェェッ!!!」


     何度も叫んだが、犯人が来る様子も、助けが来る様子も無かった。
  4. 4 : : 2020/07/11(土) 20:47:09
    3 一方


     小雨が降る日、少年は帰路へとついていた。


     自販機の側を通った際、女が財布を落として小銭をばらまく。


    「ああっ!」


    刹「あっ」


     彼は女が落とした小銭を何枚か拾い、手渡した。善意からの行動でもなく、当たり前のことをしただけだった。


    「アア! ありがとうございます! アナタのお名前は何と言うんですか?」


     変なことを聞くなぁ、と思いながらも刹はその問に答えた。


    刹「えっと、十刹と言います」


     十と書いてツナシと呼ぶのは変な名前かもしれないが、彼はこの名前を密かに気に入っていた。


    「私は佐藤です」


     女、佐藤は奇妙な笑顔を向けて言った。

  5. 5 : : 2020/07/11(土) 21:14:59
    4 熱いキモチ



    鈴音「誰かッ!!」


     少女は喉が張り裂けんばかりに叫ぶ。一刻も早くこの暗い部屋から逃げたかった。家に帰りたかった。


     彼女がもう一度声を上げようとしたとき──




    ──コツ、コツ、コツ......。



    鈴音(足音!!)



    鈴音「助けてください!!!! 誰か!!」




    ──コツ、コツ、コツ。


     足音が、止まった。




     ギイイィィ......と重そうな扉が開けられ、光が鈴音の目に入り、あまりの眩しさに思わず目を瞑る。


    鈴音「......誰? 助けて!」


    「起きたかア? スズオトレイネだッケエ?」


    鈴音「!!」


    「ヒヒヒイッ! 初めましてェ、私は佐藤だ」


     50代ほどの男が奇妙な──あの女よりもさらに奇怪な──笑みを浮かべた。



    鈴音「あのっ! 貴方は何を──」


    佐藤「私はネェ、君と愛を紡ぎたいんだ。希望を紡ぎたいんだァヒヒヒヒヒヘヘヘッ!!!」


     その言葉に彼女の背筋は凍る。まさか、誘拐してレイプでもするつもりなのかしら。こんな奇妙で気持ちの悪い中年の男に。


    鈴音「そんなのはイヤッ!!」


     彼女は拘束されて動けはしないが、ひたすら暴れる。鈴音は密かに、初めての相手は決めていた。それまでは、何としてでも守らなければならない。


    佐藤「美味しそうな腹をシテルねぇ」


     そう言いながら男は彼女の制服を脱がしていく。中の肌着を捲られ、白く綺麗な肌が露出した。
     その事に少女は顔を紅潮させながらも、必死に暴れた。しかし、先ほどの男の言葉に違和感を感じ、一瞬だけ動きが止まる。



    鈴音(美味しそうな、腹?)



    ──ザクッ。



     彼女の腹に冷たい物が当たったかと思うと、すぐに熱い何かが触れたような感じがした。腹を見ると、次第にその熱さが痛みであると認識していく。


     肉が削がれ、中の赤い血液が辺りに飛び散っていた。



    鈴音「ああああああああああああああああああああッ!!!」



     絶叫が部屋中に木霊した。

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