集う(セレナ続き)
-
- 1 : 2014/01/24(金) 23:35:22 :
- こんばんは。今、執筆中状態の、【生まれる】の続きの物語です。
【生まれる】は、編集パスワードのトラブルにより、完了する事ができな
くなってしまいました。前回までのあらすじは説明しますので、ご容赦
願います。
-
- 2 : 2014/01/24(金) 23:40:37 :
- 了解
期待
-
- 3 : 2014/01/24(金) 23:46:34 :
- 842年、ウォール.シーナ地下街へと足を運んだエルヴィンは、憲兵に
乱暴され、殺されそうになっていた少女を救出する。
少女「私に…名前をください。」エルヴィンはこの要求に対し、少女に
訓練兵に志願し、調査兵団に入るという約束を交わす。
エルヴィン「セレナ.ラングレー。それが、君の名前だ。」
「…行こう、セレナ…」
その後、開拓地へと移り、満12歳になったセレナ.ラングレーは、あの日
の約束を果たすため、第100期訓練兵に志願した…
-
- 4 : 2014/01/25(土) 00:04:17 :
- 843年、トロスト区郊外、訓練兵施設…
教官「これより!第100期訓練兵団、入団式を開始する!!」
訓練生たちは、整列し、手を後ろに組み、神妙な面持ちで今日にのぞんだ
。まだその表情には、幼さが残る。
教官「私が指名した者は、出身地と名前を述べるように!……」
教官はそう言うと訓練生の間を歩き始めた。一同の間に緊張が走る。
教官の足が、一人の小柄で茶髪の少女の前で止まった。
-
- 5 : 2014/01/25(土) 00:05:18 :
- ごめんなさい。今日はここまでにします。
-
- 6 : 2014/01/25(土) 13:05:30 :
- 再開致します。
教官「オイ、貴様」
茶髪の少女「ハッ!」
教官「貴様は何者だ!?」
茶髪の少女「カラネス区出身!ペトラ.ラルです!」
教官「そうか!バカみてぇなふざけた名前だな!!親がつけてくれたのか!?」
ペトラ「はい!父がつけてくれました!」
教官「ペトラ.ラル!貴様は何しにここに来た!?」
ペトラ「兵士になり!巨人から領土を奪還し、母の病気を治すためです!」
教官「それは健気なことだな!!貴様は巨人のエサにでもなってもらおう…
3列目後ろを向け!」
-
- 7 : 2014/01/25(土) 13:22:28 :
- ペトラ(ふぅ…まだ心臓がドキドキしてる…まさか当てられるなんて…つ
いてないなぁ)
ペトラは、ふと目の前に立つ少女を見た。自分と同じ位の背丈で、髪の色も同じだ。顔は…けっこう可愛い。…だけど…
ペトラと似た少女「…。」
ペトラ(何だろう…あの目付き…見たことない…)
ペトラは、自分と似た少女の瞳に、自分にはない何かを感じた。
教官は、ペトラに似た少女の前で止まった。
教官「次!!貴様だ!!貴様は何者だ!?」
ペトラに似た少女「……。」
教官「おい、どうした!?貴様にきいている!」
ペトラに似た少女「…答えたくありません。」
一同(ザワ…)
教官「今…何と言った…」
ペトラに似た少女「答えたくありません、と言いました。」
教官「貴様…ふざけている様だな…」
ペトラに似た少女「ふざけてなどいません。…どうしても知りたいと仰る
のなら、今夜二人で…ベットの中でお答えします…」
-
- 8 : 2014/01/25(土) 13:41:19 :
- 一同(ザワザワザワ…)
バシッ………!!教官は、ペトラに似た少女の頬をぶった。
教官「その様な…卑猥な事をほざく様な奴に、兵士になる資格などない!
今すぐここから立ち去れ!!」
するとペトラに似た少女は、辛そうに眉を潜め、敬礼し、
「ウォール.シーナ地下街出身!セレナ.ラングレーです!!」
あの華奢な少女から、どうやってあの大声が出るのだろう…?一同の間から疑問が出るほどの叫びだった。
教官「ほぅ…地下街か…そんなお前がここへ来た目的は何だ!?」
セレナ「調査兵団に入り!自由を勝ち取るためです!」
教官「…そうか…調査兵団か…」
セレナ「はい!!」
教官「お前など真っ先に巨人のエサになるな…よし!4列目後ろを向け!!」
セレナを含む4列目の訓練兵は素早く回れ右をした。ペトラの目の前に、自分と同じ色の髪が映った。
自分と同じ背丈、同じ髪の色…ペトラは目の前に立つ少女を、じっと見つめていた…
-
- 9 : 2014/01/25(土) 13:54:44 :
- 入団式終了後…
訓練兵の少女1「ねぇねぇ、聞いた?」
訓練兵の少女2「地下街出身だって…」
訓練兵の少女3「ベットの中で…とか、教官誘惑するってヤバくない?」
訓練兵の少女4「絶対色々経験してんのよ…商売女よ、商売女。」
“商売女”。それがセレナにつけられたあだ名だった。ペトラは始めこそそのあだ名の意味を理解出来ずにいたが、周りの友人たちの会話を聞くにつれ、その意味を理解した。
そんなある日…
-
- 10 : 2014/01/25(土) 14:17:43 :
- 教官「今から、立体機動装置の訓練を行う!」
一同「ハッ!」
教官「使用方法は、座学、実技にてすでに周知済みであろう!貴様らには
これから、この森を抜け、またこの位置まで戻ってもらう!尚、分かって
いると思うが、立体機動を使わず、地上を走ろうとした者、落ちて動けな
くなった者は失格となる!以上!!」
一同「ハッ!!」
教官「…次!」
ペトラ「ハッ!」
ペトラは順調に森をぬけ、ゴール地点へもうすぐたどり着こうとした時だった。
カン……
ペトラ(アンカーが…刺さらない…)
ペトラはそのまま大木へと激突し、意識が混濁した…
教官「どうした!?ペトラ.ラル!!」
ペトラはぐったりとしたまま動かない。辛うじて木の枝に引っ掛かった状態ではあるが、いつ落ちるか分からない。…あの高さから落ちたら、小さなケガでは済まないだろう。教官は動こうとしない。
ペトラの友人1「どうしようペトラが…」
ペトラ友人2「早く助けないと…」
ペトラの友人3「何で教官は動かないのよ?」
ペトラの次はセレナの番だった。他の誰よりも、セレナはペトラの近くに立っていた。
ペトラは目を虚ろに開いたまま、唇を動かした。
「たす…け…て…」
-
- 11 : 2014/01/25(土) 14:30:07 :
- その時、セレナは思い出した。あの時の自分を…
(回想)憲兵「殺してやる!」
セレナ「たす…けてぇ…助けて!」
セレナは、飛び立った。立体機動を用いてペトラのもとへと向かい、ペトラを抱き抱えると、また元の位置へ戻ってきた。そして、ペトラをゆっくりと地面へ下ろした。
ペトラの友人たち「ペトラっペトラ!?大丈夫!?」
ペトラの目が晴れた。
ペトラ「あれ…私…どうして…」
ペトラの友人「ペトラ、どこも痛くない?大丈夫?」
ペトラ「あ…うん…」
ペトラの友人「よかったぁ!」
友人はペトラに抱きつき、安堵の涙を流した。その時、ペトラは目にした。教官に厳しく叱りつけられている、セレナの姿を…。
-
- 12 : 2014/01/25(土) 14:38:22 :
- その夜…
訓練兵の少女1「あの商売女、まだ走らされてるわ…」
後から事情を聞かされたペトラは、訓練終了後、延々と罰ランニングをさせられているセレナの姿を心配そうに見つめていた。
ペトラ「私のせいで…どうしよう。」
訓練兵の少女2「気にする事ないってペトラ。」
訓練兵の少女3「あの商売女の事だから、ペトラに恩を売っておいて何か
企んでたかもしれないわよ?」
-
- 13 : 2014/01/25(土) 14:48:06 :
- ペトラ「そんなこと…」
セレナは入団式以降、一部の同期生から、陰湿ないじめを受け続けていた。セレナの、地下街出身であるという生い立ちと、絶対に感情を表に出さない奇妙さ、さらに、そつなく座学、実技とこなしていく聡明さが癪に障ったのだろう。
就寝時間が迫っていた。
訓練兵の少女1「ね、ね、私、おもしろいこと思いついちゃった!」
いじめの中心メンバーの1人が、他のメンバーと何やら話を始める。時折、クスクスと笑い声がおこる。
ペトラは、何だろう?とは思ったが、セレナの事が気になり、とくに気に留めなかった。
-
- 14 : 2014/01/25(土) 14:54:07 :
- 罰ランニングを終えたセレナは、ふらふらと寝室へと向かい、ベットへと…
セレナ「…あれ?」
布団がない。今夜は冷えるから、布団無しで寝ては風邪をひいてしまう。それに何より、何時間も走り続け疲れた体を早く休めたい…。
(クスクス…クスクス…)
潜めた笑い声。
セレナ(ああ、そういうことか…)
セレナはため息をついた。
-
- 15 : 2014/01/25(土) 15:02:10 :
- 「あ…あの…」誰かが、おずおずと話し掛けてきた。
セレナ(確か昼間の…そうだ…ペトラ.ラル。)
セレナ「何か、用?」
ペトラ「今日は、本当にありがとう。でも、そのせいで、あなたがひどい
目に…」
セレナ「それだけ?」
ペトラ「えっ…」ペトラは言葉を失った。黙りこくるペトラの横を、セレナはつかつかと通り過ぎていった。ペトラは、寝室に入ると、セレナのベットへと視線を移した…
-
- 16 : 2014/01/25(土) 15:16:39 :
- <男子寮>
訓練兵の少年1「なあ、あいつ来るかな…」
訓練兵の少年2「さあ…今夜は冷えるしな。布団が無いと、厳しいんじゃ
ねぇの?」
訓練兵の少年3「大丈夫だ。」
訓練兵の少年1「え?」
訓練兵の少年3「あいつには、な…教官のベットがある。」
男子寮に笑い声が響く。そんな仲間たちをあきれた目で見つめる、天パの少年がいた。
天パの少年「ちぇっ。くだらねぇ…」
男子寮のベットに、新たに布団が敷かれている。セレナの布団だ。
訓練兵の少年「…おっ来たぞ。」
戸口に、セレナの姿があった。さすがに入るのをためらっている様にみえる。1人の少年がセレナへと近づく。
-
- 17 : 2014/01/25(土) 15:17:20 :
- 一度中断させていただきます。
-
- 18 : 2014/01/25(土) 19:30:11 :
- 再開させていただきます。
訓練兵の少年1「お前の寝場所は、ここだ。」
セレナ「…。」
訓練兵の少年1「こっちへ来いよ!」少年はセレナの腕を引っ張り部屋に入れる。周りから囃し立てる声が聞こえる。
訓練兵の少年1「ほぅらよ!」少年はセレナを突き飛ばす。セレナの突き飛ばされた先には別の少年が立っており、セレナをまた別の方向へ突き飛ばす。その先にはまた別の少年が立っており…セレナはされるがままだった。その表情からは何も読み取る事はできない。周りからは笑い声が溢れる。
ペトラ(何か、ずいぶん賑やかだけど…)
さすがに中に入るのをためらい、ペトラは入り口の陰に身を潜め、様子をうかがっていた。
その様子を、呆れた目で見ていた天パの少年は、ため息をつき立ち上がると…セレナの布団を畳みはじめた。
訓練兵の少年3「おい、お前何してんだ?」
天パの少年「くだらねぇ。こんなことやって恥ずかしいと思わねぇのかよ
?女1人、よってたかって全く…」
訓練兵の少年2「まさか、お前…」
-
- 19 : 2014/01/25(土) 19:37:01 :
- 天パの少年「あ?」
訓練兵の少年2「この女を…買ったのかよ?」
天パの少年「なにぃ!?」
セレナ「やめて。」いつの間にか、セレナがそばに立っていた。そのままさっさと布団を抱え、歩き始める。
天パの少年とすれ違い様、ポツリと
セレナ「…ありがとね。」
と告げ、男子寮を出ていった。男子寮は水を打った様に静まり返った。
-
- 20 : 2014/01/25(土) 19:55:59 :
- 天パの少年「お…おい…!」
セレナを追いかけようとして駆け出した時、入り口の所でペトラとはちあわせた。
ペトラ「あっ…」
天パの少年「おっと…」
天パの少年「何だ…お前…」
ペトラ「あの…えっと…セレナがここに向かうのを見かけて…心配で…」
天パの少年「お前…あいつの友達か何かか?」
ペトラ「違う…けど…」
ペトラは目の前にいる少年を見上げた。(ずいぶんと老けて見えるけど…
同い年なのかな…)
ペトラ「あの…さっきは、ありがとう。」
天パの少年「何がだよ?」
ペトラ「セレナが酷いことされてたのに、私、怖くて助けに行けなくて…
でも、あなたが助けてくれて…」
ペトラの言葉に、天パの少年は吹き出し笑った。
天パの少年「お前…友達でも何でもねぇ奴のために心配して…しかも…あ
りがとうって…」
ペトラ「おかしいかな?」
天パの少年はふと真顔になり、
天パの少年「別に、おかしかねぇよ。」
ペトラは、右手を差し出すと、
ペトラ「私、ペトラ.ラル。よろしく。」
天パの少年は照れ臭そうに握手に応じると、
天パの少年「オレはオルオ。オルオ.ボサドだ。」
ペトラは何となくではあったが、この人とは長い付き合いになりそうだ、と、思った。
-
- 21 : 2014/01/25(土) 20:06:12 :
- ペトラは、男子寮を後にすると、セレナの背中を追った。
ペトラ「待って…待ってよ!」セレナは立ち止まった。
ペトラ「…あのさ、少し聞きたいんだけど、いいかな?」
セレナは答えなかったが、立ち止まったままだった。それを肯定と受け止めたペトラは続ける。
ペトラ「入団式の日、あなた教官に名前を聞かれて、答えたくないって言ってたよね?…何でそんなこと言ったの?」
セレナ「…あなたが…」
ペトラ「え?」
セレナ「あなたが名前を聞かれて答えたとき、教官言ってたでしょ、バカ
みたいな、ふざけた名前だって。私、あれが…死んでも…嫌だったの…
名前を…バカにされるのが…」
-
- 22 : 2014/01/25(土) 20:24:31 :
- ペトラ「…そっか。そりゃあ嫌だよね。親からもらった大切な名前だもの…」
セレナ「……。」
ペトラ「でもね、」
セレナ「?」
ペトラ「あれは名前をバカにしたんじゃなくて、それまでの自分を否定し
てまっさらな状態から兵士に適した人材を育てるために必要な過程だって
後から聞いたんだ。だから私は気にしてないよ…嫌だったけどね。」
セレナ「……。」
ペトラ「でも、バカにされたって、罵られたって、自分にとって大切なも
のって変えられないと思うの。自分に嘘はつけないもん。」
セレナ「……。」
ペトラ「…ねぇ…」
セレナ「なに?」
ペトラ「私たち、友達にならない?」
セレナ「はあ?」
ペトラ「一緒に色々な話をしてみない?私、あなたと話をしていると、な
ぜか落ち着くんだ。ダメかな?」
セレナ「私…友達できたことないから…よく…分からない。」
ペトラ「じゃ、決まり!よろしく、セレナ…て、両手塞がってるから握手
は無理か。」
セレナは慎重に左腕で布団を抱え込み、右手を差し出した。
セレナ「…これで、いい?」
ペトラ「うんっ。」二人は握手を交わした。
こうして第100期訓練兵たちは鍛練を重ね、846年、解散式を迎えることになる…
-
- 23 : 2014/01/25(土) 20:32:07 :
- 以上で、【集う】を終了させていただきます。
では少し、次回の予告を…
晴れてペトラ、オルオ、セレナを含めた第100期訓練兵は解散式を終え、所属兵団を決めることになります。
ペトラ、オルオは、如何なる“理由”で調査兵団を志願したのか、そこにも焦点を当てていきたいと思います。
そして調査兵団といえば…そう、リヴァイ兵長もいよいよ登場します。
次回は題名の後に、(セレナ続き2)と表記させていただきます。よろしくお願いいたします。
-
- 24 : 2014/01/25(土) 20:39:16 :
- やっぱり無理です。編集パスワードが入力できません。この作品も執筆中状態にとどまります。…どうしよう。
-
- 25 : 2014/04/14(月) 04:50:36 :
- がんばってください
- 「進撃の巨人」カテゴリの最新記事
- 「進撃の巨人」SSの交流広場
- 進撃の巨人 交流広場