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アニ「あの日交わした約束」
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- 1 : 2014/01/24(金) 10:14:07 :
- アニのお話です!!
エレアニやらエレクリやら似たり寄ったりのssでマンネリ化したサイトに新しい風を!そんな意味合いも込めて和えてアニで書いて見ました!
アニを書くのは始めてなんですが、良かったら見てってください!
他にも案件抱えてるので超亀進行ですがお許しを…
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- 2 : 2014/01/24(金) 10:22:05 :
- これは始まりの物語…
壁が壊されるよりもずっと前…
誰もが幸せだった頃の話
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- 3 : 2014/01/24(金) 10:23:56 :
- はぁぁあ!!!
少女の気合があたりに響き渡る
そこは小さな道場であった。中では、親娘と思われる男と少女が稽古を行っていた。
少女はひたすら男に攻撃を叩き込まんとし攻め立てる。
しかし、男はその攻撃をものともせず受け止め、躱し、時にはいなしていく。
そんな時…
2人は急に動きを止める。
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- 4 : 2014/01/24(金) 10:26:27 :
- それと同時に男が怒鳴りつけるように声を張り上げる。
男「おまえは何度言えばわかる!攻撃は大振りで、すぐに脇が甘くなる!!」
少女「あ……ごめんなさい…。」
少女は彼女の脇に蹴りの寸止めが入っているのを見て少し驚いたような顔をしたあと、申し訳なさそうにただ謝るのだった。
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- 9 : 2014/01/24(金) 21:13:11 :
- まじか!こんなにみなさんコメントくれてたのか!超うれしいわぁw
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- 13 : 2014/01/25(土) 13:06:51 :
- その後、男は深いため息をついてから告げた。
男「今日はここまでだ…。」
少女「しかし私は…まだっ!!」
男「そういう事は自分の顔を見てから言え。」
男はさきほどまでの雰囲気とは一変、少し嬉しそうに笑いながら告げたのだった。
彼女の顔には疲弊が色濃くはりついていた。そして、そのせいでさきほどの蹴りへの反応が遅れたと言うことも日を見るより明らかであった。
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- 14 : 2014/01/25(土) 13:07:20 :
- 男「とりあえず今日は終いだ。」
そう男が言うと、少女は頬を膨らませながら恨めしそうに男を睨んだ。
しかし男は笑いながら少女をなだめるように言った。
男「アニそう拗ねるな。時間も時間なんだ、そろそろ飯にしよう。」
男「父さんもう腹ペコだ。」
アニと呼ばれた少女は不満そうに返事をするのだった。
アニ「…はーい」
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- 16 : 2014/01/29(水) 09:20:32 :
- アニは美しい少女だった。艶やかなブロンド、宝石の様な深い色讃える碧眼、筋の通った鼻、透き通る様な白い肌、まるで人形を見ているかのようであった。
そんな少女が武術を学んでいるのには理由があった…
使命が下ったのだ
座標を手に入れる到底容易とは言えない使命、小さな彼女の両肩に乗せるにはあまりに重すぎるものだったのは間違いなかった。
アニ「お父さん!今日の晩ご飯なに?」
それでも無邪気に笑うアニの姿に男は彼女を死なせはしまい。そう固く誓うのだった。
アニ「…お父さん?どうしたの?」
お父さん「いやなんでもない。さて、晩ご飯何にしようかな!」
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- 17 : 2014/01/29(水) 09:22:18 :
- その後ふたりは食事を終えてくつろいでいるときに男が急に話を切り出す。
男「アニ。今度他流試合をすることになった。日取りは一週間後だ。」
アニ「他流試合…」
アニが不安そうな表情を浮かべたのに気づいたのか男は軽く言い放つ。
男「そういえば、初めてだったな。まぁ固くなることはないさ。相手の胸を借りるつもりでいっておいで。」
男「相手はお前と同い年の男だってさ。聞いたところ相当体格のいい奴らみたいだ。」
男「今のお前には少し厳しい相手かもしれんな…」
アニ「なんで!?私今まで一日も欠かさず内功を練って、功夫を積んできたよ?それでも勝てないの?」
アニが男の言葉にくいつく。今までの努力を否定されたようなものだ、幼い彼女にすれば当然のことであった。
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- 18 : 2014/02/02(日) 11:18:08 :
- 男「まぁ落ち着けアニ。」
男「誰も勝てないとは言ってないだろ?」
男「前々からお前は肉体の練度は一人前以上なのに技には何かが足りないそう思っていたんだ」
男「いい機会だ。自分に足りないものを学び取っておいで。」
男「戦いの中で何かを見つけられれば…お前は化けるだろな…」
男「とはいえ…そんなことに期待するより稽古だ!」
男「これから一週間!頑張って稽古して勝とう!」
アニ「うん!!」
男の一言はアニ顔に立ち込めた暗雲を打ち払い笑顔を取り戻すのであった。
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- 19 : 2014/02/02(日) 11:18:56 :
- 男「そうと決まれば明日に向けて風呂入って寝るぞ!」
アニ「はーい♪」
アニは父が好きだった。
稽古の時は鬼のように厳しいが、アニの事を理解して不可能を強要したりはしなかった。
それに普段は優しい父でアニの事を1番に考えてくれていた。
だから父が一緒に頑張ろうと言ってくれた。勝とうと言ってくれた。それだけでアニは稽古が楽しみで仕方がなくなった。
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- 20 : 2014/02/04(火) 17:18:45 :
- そして次の日…
男「今日からはお前の技の欠点を補う為の稽古を行う!」
男「もちろん他流試合に向けてでもある!心して励め!」
アニ「はいっ!!」
新しい稽古は少し変わったものであった。平均台という器具を使った訓練ばかりである。足元は細く不安定で、身体の平衡を保つので精一杯であった。その上でいつもと変わらぬ稽古を行おうと言うのだ、アニはこなす事に必死であった。
こうして日は過ぎて行く。
日に日にアニも稽古の内容に適用して行った。しばらくすると、平均台の上でもぐらつく事はなくなっていた。
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- 21 : 2014/02/04(火) 17:19:34 :
- そして6日後…
男「よし…以前のように大振りで脇が甘くなるような事はなくなったな。」
男「これもお前の重心が安定してきた証拠だ。」
アニ「重心?」
男「ああ。重心が安定してくれば、地に根を張ったようにずっしりと構えていられる。」
男「攻撃の時のブレが抑えられ、以前の様に脇が甘くなる事もないだろう。」
アニ「なるほど…」
男「まぁ後はお前の心次第だ。今日はここらで切り上げるとしよう。」
アニ「はい!」
アニは自分の成長の手応えを確かに感じていた。明日の試合に負けるなんて事は考えられなかったし、考えようとも思わなかった。
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- 22 : 2014/02/09(日) 13:41:56 :
- その夜アニは言い知れぬ不安と期待感に胸を膨らませ床に就くのだった。
時は眈々と流れて行く…
人々の心など置き去りにして…
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- 23 : 2014/02/09(日) 13:42:26 :
- 男「なぁ母さん…アニは強くなったよ。」
そこには酒を片手に話す男の姿があった。
男「なぁ母さん…俺はちゃんといい親父をやれてるのかな…」
男「なぁ母さん……」
男「なんで…なんで逝っちまったんだよ…」
男の目から涙が流れ落ちる。
歯を食いしばり声を抑え泣く男の背中はいつになく小さく弱々しく見えた。そこにはいつもの強い父親の姿はなかった。
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- 26 : 2014/02/13(木) 10:32:15 :
それでも時は止まらない…
夜は更け…また日は昇る…
アニは夜な夜な父が泣いているのを知っていた。
自分が父を縛り付けている事も分かっていた。
それでも父はアニを時に優しく、時に厳しく真っ直ぐに導いてくれた。ずっと側に居てくれた。
だから決めたのだ。
父が彼女にしてくれたように。
側でずっと笑って居ようと。
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- 27 : 2014/02/21(金) 13:06:30 :
- おーい!アニ!いつまで寝てるんだ?
家に父の声が響く
アニ「……んっ。ふぁーい……」
伸びをして欠伸を噛み殺した返事をひとつ、アニは身支度を始めるのであった。
アニが自分の部屋から出て居間に出ると、既にそこには朝食の用意ができており、アニに気づいた男がこちらに呼びかける。
男「お!起きて来たか!朝ごはんできてるぞ。早く食べなさい。」
アニ「はーい」
そう言ってアニは椅子に座りいただきますと告げると食事を始めるのだった。
男「お前が寝坊するなんて珍しいな。緊張して眠れなかったか?」
アニ「ふぇ?ほんはんひゃはいほ!」
男は口いっぱいに食べ物を頬張りながらしゃべるアニの様子に苦笑を浮かべながら言う。
男「はぁ……口の物を飲み込んでからしゃべりなさい……」
するとアニは口に入った物を飲み込んで言い直す。
アニ「そんな事ないよ!」
男「そ、そうか。とりあえずよく噛んでから飲み込めよ……身体に悪いぞ……」
男は呆れた様子を見せていたがどこか嬉しそうであった。
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- 28 : 2014/03/03(月) 22:12:48 :
- そうこうしているうちに時間が迫り、アニたちはあわてて支度を済ませ玄関に出る。
アニ「お父さん!遅れちゃうよ!」
アニ「急いで!急いで!」
男「ああ。すまんすまん。」
男「忘れ物はないな?」
アニ「大丈夫!昨日の夜用意して、今朝も確認したから!」
男「そうか。じゃあ行くとしよう。」
目的地の道場は家から30分程度歩いた小さな山の中腹あたりにある。
その佇まいは人気がなく古く寂れて見える一方、どこか厳粛で石畳の階段下から眺めるアニ達ですら圧倒されるほどだった。
アニ「うわぁ…すごい…」
男「っははは。そうだろう。」
男「この辺りではここが1番でかい道場だからな。」
驚くアニを見て笑いながら男が言うのだった。
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- 32 : 2014/03/11(火) 11:15:36 :
- アニと男が話していると不意に石段の上から声をかけられる。
???「おお。レオンハートさんもういらしておったか。」
その声の方を見ると深く白い髭を蓄えた好々爺と呼ぶにふさわしいにこやかな老人が立っていた。
男「これはこれは老師自らお出迎えいただけるとは……」
男は恭しく頭を垂れ、感謝の念を告げる。
老師「ははは。頭をあげなされ。」
老師「こんな老いぼれに頭を下げては娘に示しもつかんじゃろうて。」
男「いえいえ滅相もない。」
老師「まあまあ堅苦しい挨拶はこの辺にして、中へ入ろう。」
男「はい。さぁアニいくぞ。」
アニ「はい!」
アニ達は老師の勧めるのに従い立派に構えた門をくぐる。
3人が広い庭を抜け、道場に辿り着くとそこには2人の大男が組手を行っていた。
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- 33 : 2014/03/12(水) 01:30:15 :
- 1人は筋骨隆々、逞しい身体つきをした金髪の男。そしてもう1人はひょろ長く頼りないイメージを持たせる様な黒髪の男であった。
しかし2人の動きは素早くキレがありほぼ互角であるのがアニの目から見てもわかり、印象との差に驚きを隠せずにいた。
そうして2人に見入っていると、道場に踏み入ったこちらの様子にも気づかぬ2人に老師が声をかける。
老師「こら!お客人をほっぽって組手とは何事じゃ!」
先ほどまでの優しい印象とは一変腹から出た怒声は2人だけではなく、アニの身体の芯を震わせる。
あまりの強い気あたりに師あってのこの弟子なのだと痛感させられ、一層気を引き締めるのだった。
そして呼ばれて初めて気づいたのか2人は驚愕の表情を見せた後にこちらに向き直り頭を下げて言う。
男達「大変失礼致しました!」
その様子を見て老師は笑顔に戻り諭す様につげる。
老師「ライナー、ベルトルト……お主ら真剣なのは良いが、礼を失してはならんぞ。」
男達「はい!申し訳ありません!」
2人の返事に安心した様に老師は続ける。
老師「では2人とも自己紹介なさい。」
男たち「はい!」
金髪の男が まずは俺から…… と言うと、前に出て言う。
男(金)「弟子のライナー・ブラウンと申します!」
男(金)「今日はよろしくお願いします!」
ライナーが自己紹介を終え後ろに下がると、黒髪の男が前へでて告げる。
男(黒)「同じく弟子のベルトルト・フーバーです!」
男(黒)「よろしくお願いします!」
2人が自己紹介を終えたところで男が言う。
男「ご丁寧にありがとう。」
男「アニ。お前も挨拶なさい。」
アニは黙って頷くと唇を硬く引き結んで前へ出る。
絶対負けない。
そんな意気込みをもって大きな声で言う。
アニ「アニ・レオンひゃうっ!?」
しかし勢いづきすぎて舌を噛んでしまい、痛み以上に恥ずかしさがこみ上げてくるのであった。
そんな時……
っはははは!!
大きな笑い声が響く。
ライナー「レオンひゃうっ!だってよwwww」
ベルトルト「やめなよライナー!」
ライナー「だって。だってよぉ…!っはははは!」
アニ「うぅ……」
ベルトルトの制止にも構わず笑続けるライナーの様子にアニが羞恥心に顔を赤く染め泣きそうになっていると、老師の
バカなことをしとるでないわ!
という一言とともにライナーの頭に拳骨が落ちる。
道場全体に音が響くのではないかと言うほどの勢いで殴られたライナーは悶絶するのだった。
ライナー「うをぉぉお!いってぇぇぇえ!」
ベルトルト「はぁ……だからやめなって言ったのに。」
その様子を見てアニはざまぁみろと言わんがばかりにあっかんべーする。
それを見た男が呆れた様子でアニの頭を平手で叩いて言った。
男「お前もやめんか……」
アニ「へぶっ!?」
そして舌を出していたアニは頭を叩かれた反動で舌を噛み悶えるのであった。
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- 34 : 2014/03/12(水) 17:44:16 :
- 痛みに悶える2人を他所に老師が話を進める。
老師「そろそろ始めるとしようかの。」
老師「自己紹介も終わったこじそこの2人は仲もよろしいことだしの。」
ライアニ「「仲良くありません!!」」
老師「はっはっは!そうかそうか。」
老師「今日はライナーにやってもらおうかの。」
ライナー「えぇ!?今日はベルトルトのはずじゃあ……!」
老師「まあ良かろう。じじいの気まぐれじゃよ」
ベルトルト「僕たちはいいけど……アニちゃんが……」
ベルトルトの目線の先には今にも噛みつきそうな猛犬の如くライナーを睨めつけるアニの姿があった。
ライナー「心配すんなよベルトルト。相手はあんなちびっ子だぞ」
ベルトルト「本当にそうかなぁ。ただの小さい子なら老師がこんな試合受けるわけないよ。」
ライナー「お前は気にしすぎなんだよ。すぐ終わらせてやるから待ってな。」
自信満々なライナーの言葉を聞いて尚、ベルトルトは不安を拭えなかった。しかしそんな心配を他所に試合は始まるのであった。
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- 35 : 2014/03/12(水) 22:08:55 :
- 老師「では、ライナー・ブラウン対アニ・レオンハートの試合を開始する。」
老師「わしが戦闘不能判定をするまでやってもらう。」
ライナー「おいちびっ子。勝ちたきゃ殺す気でかかって来な。」
アニ「あんた……本当に死にたいの?」
アニの身体から殺気が噴き出す。その気当たりの強さのあまりライナーにはその小さな身体がひとまわりも、ふたまわりも大きく見えた。しかしライナーと怖気づくことはなかった。むしろ顔に笑みを浮かべて告げる。
ライナー「ほう……こりゃあ驚いた。」
ライナー「ベルトルトの言ってた通りだな。」
ライナー「だが負けてやるつもりはないぜ。」
アニ「私だって同じだよ」
睨み合う2人。
そして戦いの火蓋は切って落とされた。
老師の開始の合図と共にライナーが突っ込み、アニの顔に向け容赦の無い掌底を突き込む。
アニも負けじとその攻撃を逸らすと同時に膝を叩き込まんとするが、そのアニの膝もライナーに手で止められてしまう。アニの膝蹴りに態勢を崩したライナーの身体にボディーブロウを数発を当てる。アニはそこから顔面への正拳突きへと繋ぐ。
しかし、ライナーも黙ってはいない。正拳突きを腕で逸らし反撃のため拳を突き出す。アニはそれに合わせて投げ技を繰り出すがライナーも身体の柔軟性を活かし抜け出し飛び退くことで距離を取るのだった。
ベルトルト(なんて激しい攻防なんだ……しかもここまでライナーがおされるなんて……!?)
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- 36 : 2014/03/12(水) 22:39:25 :
- アニとライナーは少し息が上がっていたが息を落ち着けると口を開く。
ライナー「お前ちびっ子の癖になんて力してやがるんだ。なかなかやるじゃねぇか。」
アニ「ちびっ子は余計だよ。あんたこそ無駄にでかいくせにたいしたことないね。」
ライナー「はっ。ぬかせ。俺の本領はここからだぜ!」
そういうと握った拳の中指を尖らせるように出す。
それを見たベルトルトは慌てて声をあげる。
ベルトルト「ライナーやめるんだ!!」
ベルトルト「君はその子を…!」
しかしベルトルトが言葉を言い切る前に老師が制止する。
老師「まあそう焦るな。ライナーだってわかっておるであろう。」
ベルトルト「は、はい……」
男「圧法ですか……」
老師「流石というべきか……いかにも」
男「アニには基本的な武術の知識は粗方教えてあります。大事にはならぬでしょう。」
老師「はっはっは。なかなか面白い試合になりそうじゃの。」
その時ライナーが動く。アニに肉迫し鳩尾を抉るように拳を放つ。
アニはそれを両腕で抑え身体を逸らすことで間一髪回避する。
アニ「その指、圧法でしょ?」
アニ「けど喰らわなけれb……ぐっ!?」
痛む腕をみるとライナーの指が食い込んでいた。
アニ「あんたまさか最初から……!?」
ライナー「経絡をついた。もう終わりだ!!」
ライナーが拳を振るうがそれをアニは蹴りで弾き、反動を利用して後退する。
アニ「痛いなぁ…またお父さんに怒られちゃうし……」
しかしライナーはアニに時間を与えはしなかった。もう一度アニに迫り圧法を仕掛ける。
アニもそれを一つずつ躱し、受け流していく。しかし、アニの動きに異変が起き始めた。
男(アニの動き……鈍くなっている……左腕が機能していないな)
アニが一度距離を取り、動かぬ自分の腕を見て声をあげる。
アニ「ああー!!!!」
ライナー「うおっ!な、なんだ!?」
アニ「ライナー……あんたはやってはいけない事をしたよ……」
ライナー「へ?」
アニ「乙女の柔肌に指の跡つけるなんて!!!」
アニ「絶対絶対ぜーったい許さない!!!」
アニがライナーの懐に入り込み攻撃を繰り返すが片手だけでは捌き切られてしまう。
さらにはライナーが距離を取り蹴りを放つ。受ければ確実に落ちる。それだけの威力のある蹴りだった。
しかしアニは動じるどころか笑っていた。
アニ(この蹴りの隙で決めなきゃ負ける…!)
アニは今もまだ動く右腕で蹴りを止めようとする。しかし蹴りは外す事ができたが右腕は弾かれ態勢が崩れる。
ベルトルト「終わった……」
男「いやまだだ。」
ベルトルト「え?」
男「まあ見てるといい」
アニは右腕を弾かれたまま膝蹴りを放っていた。その蹴りはライナーの脇腹に吸い込まれたかとおもわれた……
しかしそこはライナーが腕でガードしていた。
ベルトルト「おしい……!」
ベルトルト「けどこれじゃあ……」
しかしアニの目は死んでいなかった。そして叫ぶ。
アニ「残念ながら私は諦めが悪いんだよ!!」
アニは腕を押し切りそのままライナーの巨体を蹴り上げそれが見事脇腹にきまり、ライナーは地に倒れ伏すのであった。
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- 43 : 2014/03/14(金) 01:53:04 :
- 男「1番力の入っていないガード裏をつくか……悪くない……」
男「稽古の成果は着実に出ているか。」
老師「これではライナーも立てまい。」
ベルトルト「あのライナーが負けるなんて……」
アニは倒れたライナーの元へ歩み寄り手を貸す。
アニ「立てる?」
ライナー「ぐっ…!あ、ああ…もう大丈夫だ。」
ライナー「それよりアニ腕悪かったな。」
アニ「ああもう良いんだよ。跡消えてきたし。」
アニ「そういえばちびっ子って呼ばないの?」
ライナー「こんな強いやつをちびっ子なんて呼べるかよ。」
2人が話していると老師達が近づいて来て、アニの勝利を宣言した。そして続けて言う。
老師「積もる話もある。よければ泊まっていかんか?」
アニ「嬉しいですけど、お父さんに聞かないと……」
すると、後ろからアニの肩に手をおき男が言った。
男「そうだな今日はお前達にも話さねばならん事もある。お言葉に甘えよう。」
アニ「私達?」
男「ああ。それはその時に話そう。」
アニ「うん。わかった。」
こうしてアニ達は道場に泊まる事となるのであった。
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- 44 : 2014/03/14(金) 01:59:47 :
- その後、アニが休んでいると、ライナーとベルトルトがやって来て彼女に話しかけた。
ベルトルト「アニちゃんお疲れ様。」
ベルトルト「僕たちも一緒にいいかな?」
アニ「え?うん。いいよ。」
ベルトルト「そうだ。これ水なんだけど良かったら飲んで。」
ベルトルトがアニに竹でできた水筒を手渡す。
アニ「あ、ありがとう。」
アニ「あと、私のことはアニでいいよ。」
そうアニがいうとベルトルトは嬉しそうに少しはにかんで言う。
ベルトルト「そうかい?じゃあそうさせてもらうね。」
そして2人はアニの隣に座り、少ししてライナーが口を開いた。
ライナー「それにしても驚いたぜ。特に最後のには。」
そのライナーの言葉にベルトルトは賛同する。
ベルトルト「あ、それ僕も思ったよ。」
ライナー「俺の巨体を真上に持ち上げるほどの蹴り、とんでもねぇ下半身の力だったぜ。」
ベルトルト「重心も安定しててまるで根を張った樹みいだったしね。」
アニ「そ、そうかなぁ。」
2人の賞賛にアニは頬を染め照れるのだった。そして水を一口飲んでから言う。
アニ「さっきのはただ夢中でやったら、できちゃっただけなんだ。」
その一言にライナーとベルトルトは愕然とした。そして、少し間をおいてライナーが尋ねる。
ライナー「あれは教えられた技じゃねぇのか……?」
アニ「うん。」
ベルトルト「驚いたなぁ。戦いの中で技を編み出すなんて。」
ベルトルト「膝蹴りを囮とし敵にガードさせる。 」
ベルトルト「そこから膝を支点に足を回転させガードを弾き飛ばして、真上に蹴り上げる。」
ベルトルト「とんでもない技だ。」
ベルトルト「強靱な脚力と、相当重心が安定していなければ成せない。」
ライナー「流石はベルトルトだ一発で見えてるんだな。」
ライナー「にしても、その小さな身体のどこにそんなパワーがあるんだ?」
ライナーが不思議そうに言うと、 アニはえーとと少し考える素振りを見せたあと手探りな様子で答えた。
アニ「私は中間筋の割合をすごく高める稽古をしてるんだって。」
アニ「だから小さな身体でも大きな力を出せるってお父さんが言ってた。」
ライナー「中間筋の割合を高める……?」
ライナー「そんなことできるのか?」
ライナーは少し考え込んだあとベルトルトむかって尋ねる。
ベルトルト「理論上は不可能ではないはずだけど、今までそんな物確立したなんて聞いたこともないよ。」
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- 55 : 2014/10/21(火) 15:36:38 :
- 三人が話していると、後ろの戸が開き老師が顔を覗かせ告げる。
老師「三人とも夕飯の準備ができたぞ。」
ライナー「お!飯か行こうぜ!」
ベルアニ「「うん!」」
いち早くライナーが反応し、部屋を出る。それにベルトルトとアニも続くのであった。
三人が茶の間につくとたくさんの料理が用意されていた。そしてそこには既に老師と男の姿があった。
アニ「うわぁ……すごい!」
ベルトルト「ほんとだね。こんなに豪華な料理食べたことないよ!」
ライナー「いつもなら考えられんな。」
驚く三人の姿にに老師が嬉しそうに笑う。
老師「はっはっは。今日はお客人がおるんでの少し奮発したんじゃよ。」
すると男が少し申し訳なさそうに眉をひそめる。
男「そんな我々のことは気になさらずとも……」
老師「まあそういいなさるな。」
老師「お客人をもてなさなくては我が道場の名が廃るというものじゃよ。」
老師「折角の料理が冷めてしまう。早速頂こう。」
老師の言葉に促され、各々が席につく。そして、手を合わせいただきますと言うと食事を始めるのだった。
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- 56 : 2014/10/21(火) 15:37:26 :
- ◇ ◇ ◇
ライナー「ふぃ〜もう食えねぇ……!」
苦しそうに腹を抱え倒れこむライナーをみてベルトルトが少し呆れたように笑う。
ベルトルト「もう。食べ過ぎだよ。」
ライナー「今日食っとかなきゃ、次いつ食えるかわかったもんじゃねぇからな!」
無邪気に笑うライナーの様子にアニとベルトルトは顔を向き合わせると、おかしそうに笑い声をあげるのだった。
そんな時に男が口を開く。
男「3人とも少し聞いて欲しい」
男「お前達に使命が下った」
ベルトルト「し、使命!?なんで僕たちみたいな子供に!」
アニ「ねえねえベルトルト。使命ってなに?」
戦慄するベルトルトとは裏腹にアニはきょとんとした顔で尋ねる。
老師「それはわしから説明しようのぉ」
老師は3人に壁内へスパイとして潜入が決まったこと、座標を手に入れなければならないこと、村からのサポートは一切なく、無知性巨人も自分たちでなんとかせねばならない事など事細かに話した。
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- 57 : 2014/10/21(火) 15:38:07 :
- ライナー、ベルトルトは顔をしかめ、アニに至っては顔を伏せてしまった。
ライナー「冗談だろ……てめぇらでやれってんだよクズどもが……!」
老師「仕方がないのだ……諦めてくれ……」
憤怒の表情を見せるライナーに老師は苦虫を噛み潰すような顔で告げた。
それを見たアニは俯いていた顔を上げる。
アニ「私は知らない……この村からはでないよ。」
男「何を言ってるんだアニ!何のために鍛錬を重ねたと思ってるんだ!」
アニ「私たちはチェスの駒じゃない……今ここに生きてる」
アニ「そんなこともわからない人の下した使命になんて絶対従わない!」
そう言ってアニはその場を駆け出してしまう。
ベルトルト「アニ!」
ライナー「そっとしといてやれ。お前も俺もあいつの気持ちわからないわけじゃないだろ」
ベルトルト「……うん」
老師「本当にすまない……わしがもっと……!」
ライナー「老師気にすることなんてないですよ!使命の1つや2つやってやりますって!」
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- 58 : 2014/10/21(火) 15:38:31 :
- ◇ ◇ ◇
アニは迷っていた。
自分が父を支えて行くのだと思っていた。父と2人で幸せになるのだと信じて疑わなかった。
何時ものように稽古をして、何時ものように笑って。平凡で普通の毎日がこれからも続くとそう思っていた。
それが突然崩れ去り、自分が為すべきことは何なのかわからなくなっていた。
ただ川辺に腰掛け、水面を見つめ呆けることしかできずにいた。
ただひとつこのまま自分がわがままを言えば父も老師も私やベルトルト、ライナーの命まで危険にさらされるのだ。
水面に投げられた石が起こす波紋のように少しずつ落ち着きを取り戻し、徐々にごちゃごちゃになっていた頭の中が整理される。
自分は父を守らなければいけない。そのために例え自分を犠牲にしても。この先自分のために生きることを一切捨てるそうアニが決めた瞬間であった。
アニは少し暗くなった道を一人ゆっくりと歩いて道場へと帰った。
一歩一歩、歩みを進める度にこれまでへの未練は薄れて行った。
全ての不幸を終わらせる為に、幸福を取り戻すために、アニはその時自分の幸せを捨てた。
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- 59 : 2014/10/21(火) 15:38:53 :
- そして数年後────
男「アニ……頑張れよ」
アニ「……はい」
男「絶対死ぬんじゃないぞ」
アニ「……はい」
出立を前に男はアニを抱きしめた。そしてついには涙を流し、本来言うことは許されないであろうことを口にする。
男「アニ……使命なんぞどうだっていい……生きて帰ってきてくれ……頼む……」
アニ「大丈夫だよ……お父さん。必ず、使命を遂げて、生きて帰ってくるから……」
ライナー「っしゃ!老師!行きます!」
ベルトルト「必ず。使命は僕たちが……!」
老師「頼もしい限りじゃ。気をつけるんじゃぞ……」
そう静かに告げるとアニ達は旅立つのだった。
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- 60 : 2014/10/21(火) 15:39:21 :
- ──
────
──────
アニはベッドから起き上がると目をこする。
アニ「随分昔の夢を見たね……老人かい私は……」
そんな独り言をつぶやきながら憲兵団のマークが刺繍された兵服に袖を通し、身支度を整える。
最後に髪を結いつけると、部屋を出て今日も仕事へ向かうのだった。
fin
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- 61 : 2014/10/21(火) 16:19:53 :
- 強引に終わらせてしまってすみません……!ネタが浮かばず雑になってしまいました……。次作行こうかききれるように頑張りたいと思います!!
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